JP7247020B2 - 蓄電池システム、方法及びプログラム - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、蓄電池システム、方法及びプログラムに関する。
従来、蓄電池システムにおいて、蓄電池及び蓄電池システム全体を保護するために主回路ヒューズとFETによる遮断機構を設けていた。
例えば、従来技術においては、放電方向の保護(過電流、過放電、外部短絡含む)は、放電制御FETと主回路ヒューズを設けることで保護し、同様に、充電方向の保護(過電流・過充電等)は、2直列に接続された充電制御FETを設けることで、それぞれ二重の保護が実現されていた。
特開2015-035925号公報
しかしながら、比較的大きな電流を扱うシステムにおいては、放電制御用のFET及び充電制御用のFETは、通電容量の大きなFETを3~4並列で用いる必要があり、装置構成が複雑化、大型化するとともに、装置製造コストが高くなるという虞があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、装置構成を簡略化し、装置の小形化を図るとともに、コストの低減を図ることが可能な蓄電池システム、方法及びプログラムを提供することにある。
実施形態の蓄電池システムは、複数の蓄電池セルを有する電池ユニットと、ヒューズ素子を有し、前記電池ユニットの高電位側の充放電経路に設けられたアクティブヒューズユニットと、前記電池ユニットの過充電検出時あるいは充電過電流検出時に前記アクティブヒューズユニットを制御して、前記充放電経路を遮断する制御部と、前記充放電経路に設けられた放電制御FETユニットと、前記電池ユニットを監視し、前記電池ユニットの過充電、充電過電流、過放電あるいは放電過電流を検出するバッテリ監視ユニットと、を備え、前記バッテリ監視ユニットは、電源スイッチがオフ状態、前記放電制御FETユニットが非導通状態、外部の負荷装置との通信が不能な状態である出荷モードにおいて、前記電池ユニットの間欠監視を行い、前記電池ユニットに異常が検出された場合に、前記制御部を起動する。
図1は、実施形態のバッテリシステムの一例の原理説明図である。 図2は、従来のバッテリシステムの概要構成ブロック図である。 図3は、より具体的な実施形態のバッテリシステムの一例の説明図である。 図4は、通常運転モードにおける放電過電流検出時の動作フローチャートである。 図5は、低消費電力モードにおける放電過電流検出時の動作フローチャートである。 図6は、出荷モード及び低消費電力モードにおける充電過電流検出時の動作フローチャートである。 図7は、通常運転モードにおける充電過電流検出時の動作フローチャートである。 図8は、出荷モード及び低消費電力モードにおける過充電検出時の動作フローチャートである。 図9は、通常運転モードにおける過充電検出時の動作フローチャートである。 図10は、第2保護ICによる過充電検出処理の処理フローチャートである。 図11は、出荷モード及び低消費電力モードにおける過放電検出時の動作フローチャートである。 図12は、通常運転モードにおける過放電検出時の動作フローチャートである。 図13は、実施形態の第1変形例の説明図である。 図14は、実施形態の第2変形例の説明図である。
次に好適な実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、実施形態のバッテリシステムの一例の原理説明図である。
蓄電池システム10は、大別すると、バッテリユニット11、シャント抵抗12、アクティブヒューズユニット13、アクティブヒューズ駆動回路14、放電制御FET15、FETドライバ16、上位インタフェース(I/F)17、バッテリ監視IC18、第2保護IC19及びMPU20を備えている。
上記構成において、アクティブヒューズユニット13及び放電制御FET15は、高電位側電源ラインHLにおいて、直列に接続されており、シャント抵抗の低電位側端子は、低電位側電源ラインLLに接続されている。
そして、高電位側電源ラインHL及び低電位側電源ラインLLに負荷装置LDが接続されることとなる。
バッテリユニット11は、直列接続された複数の電池セル21を備えている。
シャント抵抗12は、電流検出用の抵抗器である。
アクティブヒューズユニット13は、電流流路に直列に挿入された一対のヒューズ素子22-1、22-2と、一対のヒューズ素子22-1、22-2の接続点に一端が接続され、他端がアクティブヒューズ駆動回路14に接続されたヒーター部23と、を備えている。
アクティブヒューズ駆動回路14は、ゲート端子GがMPU20に接続され、ソース端子Sが接地され、ドレイン端子がヒーター部23に接続された第1MOSFET24-1と、ゲート端子Gが第2保護IC19に接続され、ソース端子Sが接地され、ドレイン端子がヒーター部23に接続された第2MOSFET24-2と、を備えている。
ここで、第1MOSFET24-1及び第2MOSFET24-2は、NチャネルMOSFETである。
放電制御FET15は、ゲート端子がFETドライバ16に接続され、ドレイン端子Dがヒューズ素子22-2に接続され、ソース端子Sが負荷装置LDの高電位側電源端子TPに接続されている。
この放電制御FET15は、製品への組み込み(負荷装置LDへの接続)前に短絡が発生しないように設けられている。
FETドライバ16は、MPU20の制御下で、放電制御FET15を駆動する。
上位インタフェース17は、CAN(Controller Area Network)プロトコルを用いて負荷装置LDと通信を行う際の通信インタフェース動作を行う。
バッテリ監視IC18は、MPU20の制御下でバッテリユニット11の状態(各電池セルの電圧、温度、充放電電流等)をモニタする。
第2保護IC19は、MPU20とは独立してバッテリユニット11が過充電であるか否かの状態を監視し、過充電が検出された場合には、アクティブヒューズ駆動回路14を駆動してアクティブヒューズユニット13の制御を行うことにより、バッテリユニット11の保護の冗長化を図っている。
この第2保護IC19は、バッテリユニット11が接続された以降は、動作モードに限らず、バッテリユニット11を構成している電池セル21のセル電圧を監視し続ける。すなわち、第2保護IC19は、過充電検出におけるMPU20の冗長系を構成しており、検出閾値は、MPU20の検出閾値(判定電圧)より高く設定している。
MPU20は、蓄電池システム10全体の制御を行うとともに、バッテリ監視IC18を介してバッテリユニット11の状態をモニタし、放電制御FET15及びアクティブヒューズ駆動回路14の制御を行う。
さらにMPU20は、アクティブヒューズユニット13における電圧を常時モニタリングし、健全性を常時確認している。
次に実施形態の動作について説明する。
まず、実施形態の動作に先立ち、従来システムの問題点について説明する。
図2は、従来のバッテリシステムの概要構成ブロック図である。
従来のバッテリシステム200は、大別すると、バッテリユニット201、シャント抵抗202、主回路ヒューズ203、充電制御FET204-1、204-2、放電制御FET205、FETドライバ206、上位インタフェース207、絶縁トランス208、バッテリ監視IC209及びMPU210を備えている。
上記構成において、MPU210は、絶縁トランス208及び上位インタフェースを介して負荷装置LDと通信を行いつつ、バッテリ監視IC209によりバッテリユニット201の状態(各電池セルの電圧、温度、充放電電流等)をモニタする。
そして、放電過電流が発生した場合には、MPU210がFETドライバユニット206を介して放電制御FET205を遮断し、あるいは、短絡時には、主回路ヒューズ203が溶断することにより遮断して保護を行うようにされていた。
また、充電過電流が発生した場合には、MPU210がFETドライバユニット206を介して充電制御FET204-1、204-2を遮断して保護を行うようにされていた。
同様に、過充電時には、バッテリ監視IC209が過充電を検出し、その旨をMPU210に通知することで、MPU210がFETドライバユニット206を介して充電制御FET204-1、204-2を遮断して保護を行うようにされていた。
また、過放電時には、バッテリ監視IC209が過放電を検出し、その旨をMPU210に通知することで、MPU210がFETドライバユニット206を介して放電制御FET205を遮断して保護を行うようにされていた。
上述したように、従来システムにおいては、主回路ヒューズ203と、充電制御FET204-1、204-2及び放電制御FET205による遮断機構を設けることとなっていたが、比較的大きな電流を扱うシステムにおいては、放電・充電制御用のFETとしては、通電容量の大きなFETを3~4並列に接続して構成する必要があり、装置構成及び装置規模が大きくなるとともに、製造コストも高くなる虞れがあった。
上記従来のシステム構成に対し、本実施形態のバッテリシステムは、放電過電流に対しては、放電制御FET15を遮断し、あるいは、短絡時には、アクティブヒューズユニット13を構成しているヒューズ素子22-1、22-2を溶断することにより遮断して保護を行うようにし、過放電に対しては、放電制御FET15を遮断して保護を行うようにしている。
また、充電過電流に対しては、アクティブヒューズユニット13を構成しているヒューズ素子22-1、22-2を溶断することにより遮断して保護を行うようにし、過充電に対しては、アクティブヒューズユニット13を構成しているヒューズ素子22-1、22-2を溶断することにより遮断して保護を行うようにしてする。
したがって、充電制御FETに代えて、比較的電流容量の大きなヒューズ素子22-1、22-2を設けることにより同様の保護機能を実現できるので、装置構成及び装置規模を小さくできるとともに、製造コストも低減することが可能となっている。
次により具体的な実施形態について説明する。
図3は、より具体的な実施形態のバッテリシステムの一例の説明図である。
図3において、図1と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
蓄電池システム10は、大別すると、バッテリユニット11、シャント抵抗12、アクティブヒューズユニット13A、アクティブヒューズ駆動回路14A、放電制御FETユニット15A、FETドライバ16A、上位インタフェース(I/F)17、バッテリ監視IC18、第2保護IC19、MPU20、ロジック回路25、電源回路31、充電電流検出回路32及び常時オン電源回路33を備えている。
上記構成において、アクティブヒューズユニット13及び放電制御FET15は、高電位側電源ラインHLにおいて、直列に接続されており、シャント抵抗12の低電位側端子は、低電位側電源ラインLLに接続されている。
そして、高電位側電源ラインHL及び低電位側電源ラインLLに負荷装置LDが接続されることとなる。
バッテリユニット11は、直列接続された複数の電池セル21を備えている。
シャント抵抗12は、電流検出用の抵抗器である。
アクティブヒューズユニット13Aは、電流流路に直列に挿入された一対のヒューズ素子22-1A、22-1Bと、一対のヒューズ素子22-1A、22-1Bの接続点に一端が接続され、他端がアクティブヒューズ駆動回路14Aに接続されたヒーター部23Aと、を備えている。
さらにアクティブヒューズユニット13Aは、電流容量を確保するために、一対のヒューズ素子22-1A、22-1Bと並列に接続され、電流流路に直列に挿入された一対のヒューズ素子22-2A、22-2Bと、一対のヒューズ素子22-2A、22-2Bの接続点に一端が接続され、他端がアクティブヒューズ駆動回路14Aに接続されたヒーター部23Bと、を備えている。
アクティブヒューズ駆動回路14Aは、ゲート端子GがMPU20に接続され、ソース端子Sが接地され、ドレイン端子がヒーター部23Aに接続された第1MOSFET24-1Aと、ゲート端子Gが第2保護IC19に接続され、ソース端子Sが接地され、ドレイン端子がヒーター部23Aに接続された第2MOSFET24-2Aと、を備えている。
さらにアクティブヒューズ駆動回路14Aは、ゲート端子GがMPU20に接続され、ソース端子Sが接地され、ドレイン端子がヒーター部23Bに接続された第1MOSFET24-1Bと、ゲート端子Gが第2保護IC19に接続され、ソース端子Sが接地され、ドレイン端子がヒーター部23Bに接続された第2MOSFET24-2Bと、を備えている。
放電制御FETユニット15Aは、ゲート端子がFETドライバ16Aに接続され、ドレイン端子Dがヒューズ素子22-1B及びヒューズ素子22-2Bに接続され、ソース端子Sが負荷装置LDの高電位側電源端子TPに接続されている放電制御FET15A-1と、ゲート端子がFETドライバ16Aに接続され、ドレイン端子Dがヒューズ素子22-2A及びヒューズ素子22-2Bに接続され、ソース端子Sが負荷装置LDの高電位側電源端子TPに接続されている放電制御FET15A-2と、を備えている。
この放電制御FET15A-1及び放電制御FET15A-2は、製品への組み込み(負荷装置LDへの接続)前に短絡が発生しないように設けられている。
FETドライバ16Aは、MPU20の制御下で、放電制御FETユニット15Aを構成している放電制御FET15A-1及び放電制御FET15A-2を駆動する。
上位インタフェース17は、CANプロトコルを用いて負荷装置LDと通信を行う際の通信インタフェース動作を行う。
バッテリ監視IC18は、MPU20の制御下でバッテリユニット11の状態(各電池セルの電圧、温度、充放電電流等)をモニタする。
本実施形態では、バッテリ監視IC18は、MPU20が停止している状態であっても、定期的に起動し、電池セル21の状態、主回路電流、温度等を間欠的に監視する機能を有しており、間欠監視において、異常を検出した場合にはフォールト検出信号SFLを電源回路31及びMPU20に出力し、電源回路31を起動して、システム電源をMPU20に供給させるとともに、MPU20を起動させる。
第2保護IC19は、MPU20とは独立してバッテリユニット11が過充電であるか否かの状態を監視し、過充電が検出された場合には、アクティブヒューズ駆動回路14を駆動してアクティブヒューズユニット13の制御を行うことにより、バッテリユニット11の保護の冗長化を図っている。
この第2保護IC19は、バッテリユニット11が接続された以降は、動作モードに限らず、バッテリユニット11を構成している電池セル21のセル電圧を監視し続ける。すなわち、第2保護IC19は、過充電検出におけるMPU20の冗長系を構成しており、検出閾値は、MPU20の検出閾値(判定電圧)より高く設定している。
ロジック回路25は、常時オン電源回路33から常時オン用電源が供給されているともに、ラッチ回路等を備えており、MPU20がスタンバイ状態となっている場合でも、常時オン用電源によりFETドライバ16Aを駆動して、放電制御FET15Aをオン状態とできるようになっている。
ここで、実施形態の動作モードについて説明する。
実施形態の蓄電池システムは、以下の三つの動作モードを有している。
通常運転モード、低消費電力モード及び出荷モードである。
通常運転モードにおいては、蓄電池システム10は、図示しない電源スイッチがオン状態であり、放電制御FET15は、導通状態(オン状態)とされている。
さらに制御部としてのMPU20は、動作状態、バッテリ監視IC18は、常時監視状態であり、上位インタフェース17は、オン状態で、負荷装置LDとの通信が可能な状態となっている。
低消費電力モードにおいては、蓄電池システム10は、電源スイッチがオン状態であり、放電制御FET15は、導通状態(オン状態)とされている。
さらに制御部としてのMPU20は、停止状態(スタンバイ状態)、バッテリ監視IC18は、間欠監視状態であり、上位インタフェース17は、オフ状態で、負荷装置LDとの通信は不能な状態となっている。
出荷モードにおいては、蓄電池システム10は、電源スイッチがオフ状態であり、放電制御FET15は、非導通状態(オフ状態)とされている。
さらに制御部としてのMPU20は、停止状態(スタンバイ状態)、バッテリ監視IC18は、間欠監視状態であり、上位インタフェース17は、オフ状態で、負荷装置LDとの通信は不能な状態となっている。
次に実施形態の動作を説明する。
[1]放電過電流時の動作
この場合において、出荷モードにおいては、放電制御FETがオフ状態であるので、放電過電流は発生しないので、通常運転モード及び低消費電力モードにおける動作を説明する。
[1.1]通常運転モード
図4は、通常運転モードにおける放電過電流検出時の動作フローチャートである。
この場合において、放電制御FET15は、MPU20によりFETドライバ16を介してオン状態になっているものとする。
MPU20は、バッテリ監視IC18及びシャント抵抗12を介して放電電流の電流モニタを常時行っている(ステップS11)。
そして、MPU20は、電流モニタによる電流値(電流モニタ値)が、所定の放電過電流閾値以上の状態が所定時間(所定の放電過電流判定用の基準時間)以上継続した状態となっているか否かを判断する(ステップS12)。
ステップS12の判断において、電流モニタによる電流値(電流モニタ値)が、放電過電流閾値を基準時間以上継続して流れた状態となっている場合には(ステップS12;Yes)、MPUは、FETドライバ16を介して放電制御FET15をオフ状態として放電過電流を遮断する(ステップS13)。
そして、放電制御FET15が完全にオフ状態に遷移する所定時間が経過したら(ステップS14)、シャットダウンして処理を終了する(ステップS15)。
[1.2]低消費電力モード
図5は、低消費電力モードにおける放電過電流検出時の動作フローチャートである。
この場合において、MPU20は、低消費電力モードでスタンバイ状態になっているものとする。
また、ロジック回路25は、常時オン電源回路33から常時オン用電源が供給されており、この常時オン用電源によりロジック回路25を構成している図示しないラッチ回路等によりFETドライバ16は駆動状態となって、MPU20がスタンバイ状態になっているにもかかわらず、放電制御FET15は、常時オン状態になっているものとする。
低消費電力モードにおいては、バッテリ監視IC18は、シャント抵抗を介した放電電流の電流モニタを間欠的に行っている(ステップS21)。
例えば、バッテリ監視IC18は、電流モニタを数秒おきに行っている。
そして、バッテリ監視IC18は、電流モニタによる電流値(電流モニタ値)が、MPU20の起動が必要とされる所定のMPU起動電流閾値以上の状態となっているか否かを判断する(ステップS22)。
ステップS22の判断において、電流モニタによる電流値(電流モニタ値)が、MPU起動電流閾値未満の状態である場合には(ステップS22;No)、処理を再びステップS21に移行し、待機状態となる。
ステップS22の判断において、電流モニタによる電流値(電流モニタ値)が、MPU起動電流閾値以上である場合には(ステップS22;Yes)、バッテリ監視IC18は、例えば、ウェイクアップ信号を電源回路31に出力し、電源回路31が起動用の電源をMPU20に供給することでMPU20を起動させ、通常動作モードに移行させる(ステップS23)。
これにより、MPU20は、バッテリ監視IC18及びシャント抵抗を介して放電電流の電流モニタを開始し(ステップS24)、電流モニタによる電流値(電流モニタ値)が、所定の放電過電流閾値以上の状態が所定時間(所定の放電過電流判定用の基準時間)以上継続した状態となっているか否かを判断する(ステップS25)。
ステップS25の判断において、電流モニタによる電流値(電流モニタ値)が、放電過電流閾値を基準時間以上継続して流れた状態となっている場合には(ステップS25;Yes)、MPUは、FETドライバ16を介して放電制御FET15をオフ状態として放電過電流を遮断する(ステップS26)。
そして、放電制御FET15が完全にオフ状態に遷移する所定時間が経過したら(ステップS27)、シャットダウンして処理を終了する(ステップS28)。
一方、ステップS25の判断において、電流モニタによる電流値(電流モニタ値)が、放電過電流閾値を基準時間以上継続して流れていない場合には(ステップS25;No)、動作のばたつき(チャタリング)を避けるための所定時間が経過したら(ステップS29)、MPU20は、再び動作モードを低消費電力モードに移行し(ステップS30)、スタンバイ状態に移行し、再び処理をステップS21に移行する。
[1.3]まとめ
以上の説明のように、通常運転モードあるいは低消費電力モードのいずれにおいても、放電過電流が検出された場合には、MPU20が放電制御FET15をオフ状態とすることで、放電過電流による影響を低減しつつシャットダウン状態に移行することができる。
[2]充電過電流時の動作
この場合においては、出荷モード及び低消費電力モードと、通常運転モードとでは、処理の流れが異なるので、まず、出荷モード及び低消費電力モードにおける動作を説明する。
[2.1]出荷モード及び低消費電力モード
図6は、出荷モード及び低消費電力モードにおける充電過電流検出時の動作フローチャートである。
この場合において、出荷モードの場合には、放電制御FET15A(=放電制御FET15A-1及び放電制御FET15A-1)は、オフ状態となっているものとし、MPU20は、スタンバイ状態になっているものとする。さらに、放電制御FET15Aを駆動するFETドライバ16Aには、充電電流検出回路32からウェイクアップ信号が入力可能となっており、放電制御FET15Aがオフ状態(非導通状態)の場合に、外部の充電装置が接続され、放電制御FET15Aのボディダイオードに充電電流が流れて発熱するのを防止すべく、強制的に放電制御FET15Aをオン状態(導通状態)とするようにされている。したがって、出荷モードで充電過電流が検出された場合には、放電制御FETAは、オン状態となっている。
また、低消費電力モードの場合には、放電制御FET15は、MPU20によりFETドライバ16を介してオン状態になっているものとし、MPU20は、スタンバイ状態になっているものとする。
出荷モード及び低消費電力モードにおいては、バッテリ監視IC18は、シャント抵抗を介した充電電流の電流モニタを間欠的に行っている(ステップS41)。
例えば、バッテリ監視IC18は、電流モニタを数秒おきに行っている。
そして、バッテリ監視IC18は、電流モニタによる電流値(電流モニタ値)が、MPU20の起動が必要とされる所定のMPU起動電流閾値以上の状態となっているか否かを判断する(ステップS42)。
ステップS42の判断において、電流モニタによる電流値(電流モニタ値)が、MPU起動電流閾値未満の状態である場合には(ステップS42;No)、処理を再びステップS41に移行し、待機状態となる。
ステップS42の判断において、電流モニタによる電流値(電流モニタ値)が、MPU起動電流閾値以上である場合には(ステップS42;Yes)、バッテリ監視IC18は、例えば、ウェイクアップ信号を電源回路31に出力し、電源回路31が起動用の電源をMPU20に供給することでMPU20を起動させ、通常動作モードに移行させる(ステップS43)。
これにより、MPU20は、バッテリ監視IC18及びシャント抵抗を介して充電電流の電流モニタを開始し(ステップS44)、電流モニタによる電流値(電流モニタ値)が、所定の充電過電流閾値以上の状態が所定時間(所定の充電過電流判定用の基準時間)以上継続した状態となっているか否かを判断する(ステップS45)。
ステップS45の判断において、電流モニタによる電流値(電流モニタ値)が、充電過電流閾値を基準時間以上継続して流れた状態となっている場合には(ステップS45;Yes)、MPU20は、アクティブヒューズ駆動回路をオン状態としてアクティブヒューズユニットのヒューズ素子を溶断すべく第1MOSFET24をオン状態とし(ステップS46)、ヒューズ素子を溶断するのに十分な所定時間待機する(ステップS47)。
そして、その後、第1MOSFET24をオフ状態とし(ステップS48)、MPU20は、アクティブヒューズユニット13Aの端子電圧モニタを開始する(ステップS49)。
次にMPU20は、端子電圧モニタによる電圧値(アクティブヒューズ端子電圧モニタ値)が、所定のアクティブヒューズ溶断判定閾値以下となっているかを判断する(ステップS50)。
ステップS50の判断において、未だ端子電圧モニタによる電圧値(アクティブヒューズ端子電圧モニタ値)が、所定のアクティブヒューズ溶断判定閾値以下となっていない場合には、再び処理をステップS46に移行して、以下、前述と同様の処理を繰り返す。
ステップS50の判断において、端子電圧モニタによる電圧値(アクティブヒューズ端子電圧モニタ値)が、所定のアクティブヒューズ溶断判定閾値以下となっている場合には(ステップS50;Yes)、ヒューズ素子が完全に溶断したと判断可能な所定時間が経過したら(ステップS51)、シャットダウンして処理を終了する(ステップS52)。
一方、ステップS45の判断において、電流モニタによる電流値(電流モニタ値)が、充電過電流閾値を基準時間以上継続して流れていない場合には(ステップS45;No)、動作のばたつき(チャタリング)を避けるための所定時間が経過したら(ステップS53)、MPU20は、再び動作モードを元の動作モード(出荷モードあるいは低消費電力モード)に移行し(ステップS54)、スタンバイ状態に移行し、再び処理をステップS41に移行する。
[2.2]通常運転モード
図7は、通常運転モードにおける充電過電流検出時の動作フローチャートである。
この場合において、放電制御FET15は、MPU20によりFETドライバ16を介してオン状態になっているものとする。
MPU20は、バッテリ監視IC18及びシャント抵抗を介して充電電流の電流モニタを常時行っている(ステップS61)。
そして、MPU20は、電流モニタによる電流値(電流モニタ値)が、所定の充電過電流閾値以上の状態が所定時間(所定の充電過電流判定用の基準時間)以上継続した状態となっているか否かを判断する(ステップS62)。
ステップS62の判断において、電流モニタによる電流値(電流モニタ値)が、充電過電流閾値を基準時間以上継続して流れていない場合には(ステップS62;No)、再び処理をステップS61に移行する。
ステップS62の判断において、電流モニタによる電流値(電流モニタ値)が、充電過電流閾値を基準時間以上継続して流れた状態となっている場合には(ステップS62;Yes)、MPU20は、アクティブヒューズ駆動回路をオン状態としてアクティブヒューズユニットのヒューズ素子を溶断すべく第1NMOSFET24(=24-1A,24-2A)をオン状態とし(ステップS63)、ヒューズ素子を溶断するのに十分な所定時間待機する(ステップS64)。
そして、その後、第1NMOSFET24(=24-1A,24-2A)をオフ状態とし(ステップS65)、MPU20は、アクティブヒューズユニット13Aの端子電圧モニタを開始する(ステップS66)。
次にMPU20は、端子電圧モニタによる電圧値(アクティブヒューズ端子電圧モニタ値)PM1、PM2が、所定のアクティブヒューズ溶断判定閾値以下となっているかを判断する(ステップS67)。
ステップS67の判断において、未だ端子電圧モニタによる電圧値(アクティブヒューズ端子電圧モニタ値)PM1、PM2が、所定のアクティブヒューズ溶断判定閾値以下となっていない場合には、再び処理をステップS63に移行して、以下、前述と同様の処理を繰り返す。
ステップS67の判断において、端子電圧モニタによる電圧値(アクティブヒューズ端子電圧モニタ値)PM1、PM2が、所定のアクティブヒューズ溶断判定閾値以下となっている場合には(ステップS67;Yes)、ヒューズ素子が完全に溶断したと判断可能な所定時間が経過したら(ステップS68)、シャットダウンして処理を終了する(ステップS69)。
[2.3]まとめ
以上の説明のように、出荷モード、通常運転モードあるいは低消費電力モードのいずれにおいても、充電過電流が検出された場合には、アクティブヒューズのヒューズ素子が溶断されることで、充電過電流による影響を低減しつつシャットダウン状態に移行することができる。
[3]過充電時の動作
この場合においては、出荷モード及び低消費電力モードと、通常運転モードとでは、処理の流れが異なるので、まず、出荷モード及び低消費電力モードにおける動作を説明する。
また、過充電の検出には、第2保護ICによるものがあるので、これについては、後に別途説明する。
[3.1]出荷モード及び低消費電力モード
図8は、出荷モード及び低消費電力モードにおける過充電検出時の動作フローチャートである。
この場合において、出荷モードの場合には、放電制御FET15A(=放電制御FET15A-1及び放電制御FET15A-1)は、オフ状態となっているものとし、MPU20は、スタンバイ状態になっているものとする。さらに、放電制御FET15Aを駆動するFETドライバ16Aには、充電電流検出回路32からウェイクアップ信号が入力可能となっており、放電制御FET15Aがオフ状態(非導通状態)の場合に、外部の充電装置が接続され、放電制御FET15Aのボディダイオードに充電電流が流れて発熱するのを防止すべく、強制的に放電制御FET15Aをオン状態(導通状態)とするようにされている。したがって、出荷モードで過充電が検出された場合には、放電制御FETAは、オン状態となっている。
また、低消費電力モードの場合には、放電制御FET15Aは、MPU20によりFETドライバ16Aを介してオン状態になっているものとし、MPU20は、スタンバイ状態になっているものとする。
出荷モード及び低消費電力モードにおいては、バッテリ監視IC18は、電池セル21の電圧モニタを間欠的に行っている(ステップS71)。
例えば、バッテリ監視IC18は、電圧モニタを数秒おきに行っている。
そして、バッテリ監視IC18は、電圧モニタによる電圧値(電圧モニタ値)が、MPU20の起動が必要とされる所定のMPU起動電圧閾値以上の状態となっているか否かを判断する(ステップS72)。
ステップS72の判断において、電圧モニタによる電圧値(電圧モニタ値)が、MPU起動電圧閾値未満の状態である場合には(ステップS72;No)、処理を再びステップS71に移行し、待機状態となる。
ステップS72の判断において、電圧モニタによる電圧値(電流モニタ値)が、MPU起動電圧閾値以上である場合には(ステップS72;Yes)、バッテリ監視IC18は、例えば、ウェイクアップ信号をMPU20に出力し、MPU20を起動させ、通常動作モードに移行させる(ステップS73)。
これにより、MPU20は、バッテリ監視IC18を介して充電電圧の電圧モニタを開始し(ステップS74)、電圧モニタによる電圧値(電圧モニタ値)が、所定の過充電電圧閾値以上の状態が所定時間(所定の過充電判定用の基準時間)以上継続した状態となっているか否かを判断する(ステップS75)。
ステップS75の判断において、電圧モニタによる電圧値(電圧モニタ値)PMが、充電過電圧閾値以上の状態が基準時間以上継続した状態となっている場合には(ステップS75;Yes)、MPU20は、アクティブヒューズ駆動回路24-1B、24-2Bをオン状態としてアクティブヒューズユニット13Aのヒューズ素子22-1A、22-1B、22-2A、22-2Bを溶断すべく第1MOSFET24(=24-1A,24-2A)をオン状態とし(ステップS76)、ヒューズ素子22-1A、22-1B、22-2A、22-2Bを溶断するのに十分な所定時間待機する(ステップS77)。
そして、その後、第1MOSFET24(=24-1A,24-2A)をオフ状態とし(ステップS78)、MPU20は、アクティブヒューズユニット13Aの端子電圧モニタを開始する(ステップS79)。
次にMPU20は、端子電圧モニタによる電圧値(アクティブヒューズ端子電圧モニタ値)PM1、PM2が、所定のアクティブヒューズ溶断判定閾値以下となっているかを判断する(ステップS80)。
ステップS80の判断において、未だ端子電圧モニタによる電圧値(アクティブヒューズ端子電圧モニタ値)PM1、PM2が、所定のアクティブヒューズ溶断判定閾値以下となっていない場合には(ステップS80;No)、再び処理をステップS76に移行して、以下、前述と同様の処理を繰り返す。
ステップS80の判断において、端子電圧モニタによる電圧値(アクティブヒューズ端子電圧モニタ値)が、所定のアクティブヒューズ溶断判定閾値以下となっている場合には
ステップS80;Yes)、ヒューズ素子22-1A、22-1B、22-2A、22-2Bが完全に溶断したと判断可能な所定時間が経過したら(ステップS81)、シャットダウンして処理を終了する(ステップS82)。
一方、ステップS75の判断において、電圧モニタによる電圧値(電圧モニタ値)PM1、PM2が、充電過電圧閾値を基準時間以上継続して超えていない場合には(ステップS75;No)、動作のばたつき(チャタリング)を避けるための所定時間が経過したら(ステップS83)、MPU20は、再び動作モードを元の動作モード(出荷モードあるいは低消費電力モード)に移行し(ステップS84)、スタンバイ状態に移行し、再び処理をステップS71に移行する。
[2.2]通常運転モード
図9は、通常運転モードにおける過充電検出時の動作フローチャートである。
この場合において、放電制御FET15は、MPU20によりFETドライバ16を介してオン状態になっているものとする。
MPU20は、バッテリ監視IC18を介して充電電圧の電圧モニタを常時行っている(ステップS91)。
そして、MPU20は、電圧モニタによる電圧値(電圧モニタ値)が、所定の充電過電圧閾値以上の状態が所定時間(所定の充電過電圧判定用の基準時間)以上継続した状態となっているか否かを判断する(ステップS92)。
ステップS92の判断において、電圧モニタによる電圧値(電圧モニタ値)が、充電過電圧閾値以上となっている状態が基準時間以上継続していない場合には(ステップS92;No)、再び処理をステップS91に移行する。
ステップS92の判断において、電圧モニタによる電圧値(電圧モニタ値)PM1、PM2が、充電過電圧閾値以上となっている状態が基準時間以上継続している場合には(ステップS92;Yes)、MPU20は、アクティブヒューズ駆動回路14Aをオン状態としてアクティブヒューズユニットのヒューズ素子を溶断すべく第1MOSFET24(=24-1A,24-2A)をオン状態とし(ステップS93)、ヒューズ素子を溶断するのに十分な所定時間待機する(ステップS94)。
そして、その後、第MOSFET24(=24-1A,24-2A)をオフ状態とし(ステップS95)、MPU20は、アクティブヒューズユニット13Aの端子電圧モニタを開始する(ステップS96)。
次にMPU20は、端子電圧モニタによる電圧値(アクティブヒューズ端子電圧モニタ値)PM1、PM2が、所定のアクティブヒューズ溶断判定閾値以下となっているかを判断する(ステップS97)。
ステップS97の判断において、未だ端子電圧モニタによる電圧値(アクティブヒューズ端子電圧モニタ値)PM1、PM2が、所定のアクティブヒューズ溶断判定閾値以下となっていない場合には、再び処理をステップS93に移行して、以下、前述と同様の処理を繰り返す。
ステップS97の判断において、端子電圧モニタによる電圧値(アクティブヒューズ端子電圧モニタ値)PM1、PM2が、所定のアクティブヒューズ溶断判定閾値以下となっている場合には(ステップS97;Yes)、ヒューズ素子22-1A、22-1B、22-2A、22-2Bが完全に溶断したと判断可能な所定時間が経過したら(ステップS98)、シャットダウンして処理を終了する(ステップS99)。
[3.3]第2保護ICによる過充電検出
次に第2保護IC19による過充電検出について説明する。
この場合において、第2保護IC19による過充電検出は、運転モード(通常、低消費電力、出荷)に拘わらず行われるとともに、MPU20の制御とは、独立して行われる。
図10は、第2保護ICによる過充電検出処理の処理フローチャートである。
まず第2保護IC19は、電池ユニットを構成している電池セル21のそれぞれの電圧(セル電圧)をモニタする(ステップS101)。
そして第2保護IC19は、得られたセル電圧モニタ値が所定時間以上継続して所定の過充電判定閾値以上となっていたか否かを判断する(ステップS102)。
この場合において、第2保護IC19の過充電判定閾値は、MPU20の充電過電圧閾値(例えば、2.8V)よりも高い電圧(例えば、2.9V)とされており、MPU20が正常に動作できず保護がなされなかった場合でも、第2保護IC19による保護がなされるようになっている。
ステップS102の判断において、セル電圧モニタ値が所定時間以上継続して所定の過充電判定閾値以上となっていない場合には(ステップS102;No)、第2保護IC19は、処理を再びステップS101に移行して以下上述した処理を継続する。
ステップS102の判断において、セル電圧モニタ値が所定時間以上継続して所定の過充電判定閾値以上となっていた場合には(ステップS102;Yes)、第2保護IC19は、アクティブヒューズ駆動回路をオン状態としてアクティブヒューズユニット13Aのヒューズ素子22-1A、22-1B、22-2A、22-2Bを溶断すべく第2MOSFET24(=24-1B,24-2B)をオン状態とし(ステップS103)、ヒューズ素子を溶断して処理を終了する。
[3.4]まとめ
以上の説明のように出荷モード、通常運転モードあるいは低消費電力モードのいずれにおいても、過充電状態が検出された場合には、MPU20あるいは第2保護IC19がアクティブヒューズユニット13Aのヒューズ素子22-1A、22-1B、22-2A、22-2Bを溶断することで、過充電による影響を回避しつつシャットダウン状態に移行することができる。
[4]過放電時の動作
この場合においては、出荷モードでは、過放電の検出を行っていないので、低消費電力モード及び通常運転モードについて説明する。
ここで、低消費電力モードと、通常運転モードとでは、処理の流れが異なるので、まず、低消費電力モードにおける動作を説明する。
[4.1]低消費電力モード
図11は、低消費電力モードにおける過放電検出時の動作フローチャートである。
この場合において、放電制御FET15は、MPU20によりFETドライバ16を介してオン状態になっているものとし、MPU20は、停止状態(スタンバイ状態)になっているものとする。
低消費電力モードにおいては、バッテリ監視IC18は、電池セル21の電圧モニタを間欠的に行っている(ステップS111)。
例えば、バッテリ監視IC18は、電圧モニタを数秒おきに行っている。
そして、バッテリ監視IC18は、電圧モニタによる電圧値(電圧モニタ値)が、MPU20の起動が必要とされる所定のMPU起動電圧閾値以上の状態となっているか否かを判断する(ステップS112)。
ステップS112の判断において、電圧モニタによる電圧値(電圧モニタ値)が、MPU起動電圧閾値を超えている状態である場合には(ステップS112;No)、処理を再びステップS111に移行し、待機状態となる。
ステップS112の判断において、電圧モニタによる電圧値(電流モニタ値)が、MPU起動電圧閾値以下である場合には(ステップS112;Yes)、バッテリ監視IC18は、例えば、ウェイクアップ信号を電源回路31に出力し、電源回路31が起動用の電源をMPU20に供給することでMPU20を起動させ、通常動作モードに移行させる(ステップS113)。
これにより、MPU20は、バッテリ監視IC18を介して充電電圧の電圧モニタを開始し(ステップS114)、電圧モニタによる電圧値(電圧モニタ値)PMが、所定の過放電電圧閾値以下の状態が所定時間(所定の過放電判定用の基準時間)以上継続した状態となっているか否かを判断する(ステップS115)。
ステップS115の判断において、電圧モニタによる電圧値(電圧モニタ値)PMが、過放電電圧閾値以上の状態が基準時間以上継続した状態となっている場合には(ステップS115;Yes)、MPU20は、FETドライバ16Aを介して、放電制御FETユニット15Aを構成している放電制御FET22-1A、22-2Aをオフ状態(非導通状態)とし(ステップS116)、放電制御FET22-1A、22-2Aが確実にオフ状態となるのに十分な所定時間待機する(ステップS117)。
そして、その後、シャットダウンして処理を終了する(ステップS118)。
一方、ステップS115の判断において、電圧モニタによる電圧値(電圧モニタ値)PMが、過放電電圧閾値以上の状態が基準時間以上継続していない状態となっている場合には(ステップS115;No)、当該状態が確実に継続していると考えられる所定時間が経過するまで待ち(ステップS119)、MPU20の起動前の動作モードである低消費電力モードあるいは出荷モードへ移行し、処理を再びステップS111に移行する。
[4.1]通常運転モード
図12は、通常運転モードにおける過放電検出時の動作フローチャートである。
この場合において、放電制御FET15は、MPU20によりFETドライバ16を介してオン状態になっているものとする。
MPU20は、バッテリ監視IC18を介して放電電圧の電圧モニタを常時行っている(ステップS131)。
そして、MPU20は、電圧モニタによる電圧値(電圧モニタ値)が、所定の過放電電圧閾値以下の状態が所定時間(所定の過放電判定用の基準時間)以上継続した状態となっているか否かを判断する(ステップS132)。
ステップS132の判断において、電圧モニタによる電圧値(電圧モニタ値)が、過放電電圧閾値以下となっている状態が基準時間以上継続していない場合には(ステップS132;No)、再び処理をステップS131に移行する。
ステップS132の判断において、電圧モニタによる電圧値(電圧モニタ値)が、充電過電圧閾値以上となっている状態が基準時間以上継続している場合には(ステップS132;Yes)、MPU20は、FETドライバ16Aを介して、放電制御FETユニット15Aを構成している放電制御FET22-1A、22-2Aをオフ状態(非導通状態)とし(ステップS133)、放電制御FET22-1A、22-2Aが確実にオフ状態となるのに十分な所定時間待機する(ステップS134)。
そして、その後、シャットダウンして処理を終了する(ステップS135)。
[4.3]まとめ
以上の説明のように、低消費電力モードあるいは通常運転モードのいずれにおいても、過放電状態が検出された場合には、MPU20が放電制御FET15をオフ状態とすることで、過放電による影響を回避しつつシャットダウン状態に移行することができる。
図13は、実施形態の第1変形例の説明図である。
図13において、図3の実施形態と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
以上の説明においては、放電電流を遮断するための放電制御FET15をバッテリユニット11の高電位側(ハイサイド)に設けていたが、本第1変形例の蓄電池システムは、放電制御FET15Bをバッテリユニット11の低電位側(ロウサイド)に設けている。
また、放電制御FET15Bを駆動するFETドライバ16Bには、充電電流検出回路32からウェイクアップ信号が入力可能となっており、放電制御FET15Bがオフ状態(非導通状態)の場合に、外部の充電装置が接続され、FET15Bのボディダイオードに充電電流が流れて発熱するのを防止すべく、強制的に放電制御FET15Bをオン状態(導通状態)とするようにしている。
この構成によれば、保護を確実に行える蓄電池システムを構築することが可能となる。
図14は、実施形態の第2変形例の説明図である。
図14において、図3の実施形態と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
以上の説明においては、放電電流あるいは充電電流を検出するためのシャント抵抗12をバッテリユニット11の低電位側(ロウサイド)に設けていたが、本第2変形例の蓄電池システムは、シャント抵抗12をバッテリユニット11の高電位側(ハイサイド)に設けている。
この構成によっても、放電電流あるいは充電電流を確実に検出して、保護を確実に行うことができる。
なお、本実施形態の蓄電池システムで実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。
本実施形態の蓄電池システムで実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、USBメモリ、メモリカード等の半導体メモリ装置、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
さらに、本実施形態の蓄電池システムで実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の蓄電池システムで実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10 蓄電池システム
11 バッテリユニット
12 シャント抵抗
13 アクティブヒューズユニット
13A アクティブヒューズユニット
14、14A アクティブヒューズ駆動回路
15、15A、15B 放電制御FET(ユニット)
16、16A、16B FETドライバ
17 上位インタフェース
20 MPU(制御部)
21 電池セル
22 ヒューズ素子
23、23A、23B 電流制限用抵抗
24 アクティブヒューズ駆動回路
31 電源回路
32 充電電流検出回路
33 常時オン電源回路
FET22 放電制御FET
18 バッテリ監視IC
19 第2保護IC
LD 負荷装置

Claims (9)

  1. 複数の蓄電池セルを有する電池ユニットと、
    ヒューズ素子を有し、前記電池ユニットの高電位側の充放電経路に設けられたアクティブヒューズユニットと、
    前記電池ユニットの過充電検出時あるいは充電過電流検出時に前記アクティブヒューズユニットを制御して、前記充放電経路を遮断する制御部と、
    前記充放電経路に設けられた放電制御FETユニットと、
    前記電池ユニットを監視し、前記電池ユニットの過充電、充電過電流、過放電あるいは放電過電流を検出するバッテリ監視ユニットと、
    を備え
    前記バッテリ監視ユニットは、電源スイッチがオフ状態、前記放電制御FETユニットが非導通状態、外部の負荷装置との通信が不能な状態である出荷モードにおいて、前記電池ユニットの間欠監視を行い、前記電池ユニットに異常が検出された場合に、前記制御部を起動する、
    電池システム。
  2. 前記アクティブヒューズユニットを構成する前記ヒューズ素子の溶断電流経路に設けられ、前記制御部の制御下で前記アクティブヒューズユニットを構成するヒューズ素子を溶断するための電流を流すアクティブヒューズ駆動部を備えた、
    請求項1記載の蓄電池システム。
  3. 前記制御部は、前記電池ユニットの過放電検出時あるいは放電過電流検出時に前記放電制御FETユニットを制御して、前記充放電経路を遮断する、
    請求項1又は請求項2記載の蓄電池システム。
  4. 前記放電制御FETユニットは、前記アクティブヒューズユニットの高電位側あるいは前記電池ユニットの低電位側のいずれか一方に設けられている、
    請求項1乃至請求項3のいずれか一項記載の蓄電池システム。
  5. 短絡による前記電池ユニットの放電過電流が発生した場合には、前記ヒューズ素子が溶断されることにより、前記充放電経路を遮断する、
    請求項1乃至請求項4のいずれか一項記載の蓄電池システム。
  6. 前記制御部とは独立して動作可能であり、前記蓄電池セルの電圧を監視して、前記電池ユニットの過充電時に前記アクティブヒューズユニットを制御して、前記充放電経路を遮断する第2保護ユニットを備えた、
    請求項1乃至請求項5のいずれか一項記載の蓄電池システム。
  7. 前記放電制御FETユニットを導通状態とするFETドライバユニットと、
    前記放電制御FETユニットが非導通状態で、前記電池ユニットに流れる充電電流を検出した場合に、前記FETドライバユニットを駆動し、前記放電制御FETユニットを導通状態とさせる充電電流検出部と、
    を備えた、
    請求項1乃至請求項6のいずれか一項記載の蓄電池システム。
  8. 複数の蓄電池セルを有する電池ユニットと、ヒューズ素子を有し、前記電池ユニットの高電位側の充放電経路に設けられたアクティブヒューズユニットと、前記充放電経路に設けられた放電制御FETユニットと、を備えた蓄電池システムで実行される方法であって、
    電源スイッチがオフ状態、前記放電制御FETユニットが非導通状態、外部の負荷装置との通信が不能な状態である出荷モードにおいて、前記電池ユニットの間欠監視を行い、前記電池ユニットの過充電、充電過電流、過放電あるいは放電過電流を検出する過程と、
    前記過充電、充電過電流、過放電あるいは放電過電流の検出時に前記アクティブヒューズユニットに前記ヒューズ素子を溶断する電流を流して、前記充放電経路を遮断する過程と、
    を備えた方法。
  9. 複数の蓄電池セルを有する電池ユニットと、ヒューズ素子を有し、前記電池ユニットの高電位側の充放電経路に設けられたアクティブヒューズユニットと、前記充放電経路に設けられた放電制御FETユニットと、を備えた蓄電池システムをコンピュータにより制御するためのプログラムであって、
    前記コンピュータを、
    電源スイッチがオフ状態、前記放電制御FETユニットが非導通状態、外部の負荷装置との通信が不能な状態である出荷モードにおいて、前記電池ユニットの間欠監視を行い、前記電池ユニットの過充電、充電過電流、過放電あるいは放電過電流を検出する手段と、
    前記過充電、充電過電流、過放電あるいは放電過電流の検出時に前記アクティブヒューズユニットに前記ヒューズ素子を溶断する電流を流して、前記充放電経路を遮断する手段と、
    して機能させるプログラム。
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