JP7246085B2 - 標的物質検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、液体試料中に存在する標的物質を磁場を利用して移動させたときの光信号の変化を利用して前記標的物質を検出する標的物質検出装置に関する。
近年、溶液中に存在する微小物質、特にDNA、RNA、タンパク質、ウイルス、細菌等の生体関連物質を検出・定量する方法が開発されている。該方法として、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)イムノアッセイ法、全反射照明蛍光顕微鏡(TIRFM)、表面プラズモン共鳴励起増強蛍光分光法(SPFS)などが挙げられる。
前記表面プラズモン共鳴イムノアッセイ法は、抗原抗体反応の特異的選択性と高感度な屈折率計である表面プラズモン共鳴センサを組み合わせた手法であり、全反射面の金薄膜表面に生じる増強電場内の抗原・抗体結合をリアルタイムに高精度で検出・定量することができる(非特許文献1参照)。
前記全反射照明蛍光顕微鏡は、試料とカバーガラス或いはスライドガラスとの界面で入射光を全反射させ、これによって生じるエバネッセント場を励起光として利用し、ノイズとなるバックグラウンド光が少ない蛍光観察を行う技術である(特許文献1参照)。該技術は、超解像を実現可能な技術であり、単分子観察を可能とする。
前記表面プラズモン共鳴励起増強蛍光分光法は、クレッチマン配置と呼ばれる光学配置を用いて、プリズムに接したガラス表面の金薄膜層と液体試料との界面での入射光の全反射によって、金薄膜上に表面プラズモン共鳴を励起し、金薄膜表面に増強電場を形成することを特徴とする。表面プラズモン共鳴によって金薄膜表面近傍において増強された光を励起光として、増強電場内に存在する蛍光分子を励起し、強い蛍光を生じさせ、バックグラウンド光が少ない蛍光観察を行う技術である(特許文献2参照)。
また、こうした光の全反射によって電場増強を生じさせ、増強電場を得る方法としては、例えば、非特許文献2乃至8に記載されているような公知のものがある。本発明者は、シリカガラス基板上にシリコン層とSiO層をこの順で積層した検出板をシリカガラス製の台形プリズム上に設置して、プリズムを介して検出板表面における全反射条件で光を照射し、増強電場を得る方法を非特許文献2で報告した。
非特許文献3では、クレッチマン配置を用いて表面プラズモン共鳴を発生させ、増強電場を得る方法が開示されている。非特許文献4では、クレッチマン配置におけるプリズムにドーブプリズムを用いて光を入射して表面プラズモン共鳴を発生させ、増強電場を得る方法が開示されている。非特許文献5及び非特許文献6では、レゾナントミラーを用いた増強電場を得る方法が開示されている。非特許文献7では、プリズム上に金属層と透明な誘電体層をこの順で積層して、リーキーモードセンサと呼ばれる構造を形成し、プリズムを介して光を照射して、前記誘電体層表面で増強電場を得る方法が開示されている。非特許文献8では、プリズム上に金属層を形成し、その上に屈折率の異なる2種類の透明な誘電体層をそれぞれ1層ずつ積層して、リーキーモードセンサ構造よりもさらに強い増強電場を得る方法が開示されている。
更に、特許文献3、4では、流路に表面プラズモン共鳴を発生させるプリズム形状が付与され、流路の底面または側面に表面プラズモン共鳴を発生させ、増強電場を得る方法が開示されている。
また、標的物質の検出面への吸着または近接を促進し、短時間での測定を実現するために、磁性粒子を標識に用いた方法が知られている(特許文献5、6)。これらの方法では、磁性標識と光応答性標識物質と標的物質との結合体を、磁場を印加することにより局所領域に引き寄せ、この局所領域を含む所定領域にのみ励起光を照射することにより、標的物質と磁性標識との結合体を形成していない光応答性標識の信号を排除した検出を行う。
また、前記生体関連物質を検出・定量する方法として、伝搬光を検出光とする方法も提案されている。例えば、このような方法として、蛍光免疫測定法(FIA法)、酵素結合免疫吸着法(ELISA法)などを挙げることができる。
前記FIA法は、特定の細菌やウイルスなどの標的物質に特異的に結合する抗体を用いて蛍光色素を結合させ、蛍光顕微鏡等で蛍光色素の発光を観測することで標的物質を検出・定量する手法である。
また、前記ELISA法は、検出プレート上に抗原-抗体反応を用いて前記標的物質を固定させた後、酵素標識抗体を結合させ、前記酵素により発色する基質を添加しその色の変化から標的物質を検出・定量する。
いずれの方法も確立された生体関連物質検出法として広く用いられているが、これらの方法は、多段の反応工程や繰り返しの洗浄工程を要し、測定結果を得るまでに多くの時間と手間が必要となる問題がある。また、検出感度の一層の向上が求められている。
前記生体関連物質検出法を用いた前記標的物質の検出における検出感度を向上させる方法として、磁性粒子を用いた測定法が提案されている。例えば、前記標的物質と前記磁性粒子とを含む結合体を液体試料容器底面側に集約し、前記容器底面に配された抗体と前記結合体との抗原-抗体反応により容器底面に固定する検出方法が開示されている(特許文献7参照)。
しかしながら、こうした磁性粒子を用いた測定法では、前記結合体を磁場によって検出位置に集める濃縮効果によって、検出感度を向上させることができるものの、濃縮先の前記検出位置で浮遊する夾雑物、前記液体試料容器底面上に吸着する前記夾雑物、前記液体試料容器底面上のキズ、更には、検出に用いる検出光の光源出力の揺らぎなどを原因とするノイズ信号と、前記結合体に基づく光信号とを区別できないことから、検出の精度が低い問題がある。このような問題は、前記微小物質の検出を行う場合に、より一層顕在化する。
また、前記液体試料容器底面上に吸着する前記夾雑物に基づく前記ノイズ信号を排除するためには、検出ごとにいちいち前記夾雑物を取り除く洗浄処理が必要となり、依然として検出の効率性が低い問題がある。
こうした問題を解決するため、本発明者は、磁場印加部を配した標的物質検出装置である外力支援型センサを提案している(特許文献8~16参照)。この提案では、前記磁場印加部からの磁場印加に伴って移動する前記磁性粒子と光信号を発する光応答性物質(標識物質)と前記標的物質との前記結合体の移動を光検出器で観察することで、前記検出位置で浮遊する夾雑物、前記液体試料容器底面上に吸着する前記夾雑物、前記液体試料容器底面上のキズ、更には、検出に用いる検出光の光源出力の揺らぎなどを原因とするノイズ信号と、前記結合体に基づく光信号とを区別する。
つまり、磁場印加により前記結合体が移動する一方で、前記ノイズ信号等は移動しないことから、検出される光信号の移動の様子を観察することで、この光信号が前記結合体に起因するものであるか、前記ノイズ信号等に起因するものかを区別することができ、延いては、検出の精度、効率性を向上させることができる。
しかしながら、その後の検討で、移動する光信号の中にも前記結合体の移動に関与しないノイズ信号(偽陽性信号)が含まれるケースがあることが分かってきた。
即ち、検出に使用する前記磁性粒子は、検出時における磁場印加や保存時等における外部磁場の影響を受けて帯磁し、凝集体を形成することがある。この凝集体は、前記標的物質と未結合の状態で磁場印加により移動するとともに前記光応答性物質によらない散乱光を発生させることから、移動するタイプのノイズ信号源となる。また、前記凝集体は、前記光応答性物質を取り込む形で凝集することがあり、前記標的物質と未結合の状態で磁場印加により移動するとともに前記光応答性物質による光信号を発生させることから、この場合も移動するタイプのノイズ信号源となる。
加えて、観察時に前記磁性粒子を前記検出板上の観察位置に濃縮する場合に前記磁性粒子同士が接近し易く、また、磁場印加に伴う移動時に速度差に伴う前記磁性粒子の衝突が生じ易いこと等から、前記外力支援型センサでは前記凝集体の発生頻度が高い状況にある。
したがって、前記外力支援型センサでは、前記磁性粒子の自己凝集や前記光応答性物質を取り込む形での凝集に基づき検出精度が低下し、また、検出結果が不安定となる問題がある。
特開2002-236258号公報 国際公開2015/194663号 特開2013-24606号公報 特開2010-145408号公報 特開2011-33454号公報 特開2005-77338号公報 特開平4-102062号公報 国際公開第2017/187744号公報 特開2017-219512号公報 国際公開第2018/100779号公報 国際公開第2018/100780号公報 国際公開第2018/190358号公報 特開2018-179783号公報 特開2018-179784号公報 特開2019-020180号公報 特開2019-020181号公報
D. R. Shankaran et al. Sensors and Actuators B, Vol. 121 (2007) 158-177 M. Fujimaki et al. Optics Express, Vol. 23 (2015) pp.10925 -10937 C. Nylander et al. Sensors and Actuators, Vol. 3 (1982/83) pp. 79 - 88 O.R.Bolduc et al. Talanta, Vol. 77 (2009) pp. 1680 - 1687 R. Cush et al. Biosensors and Bioelectronics, Vol. 8 (1993) pp. 347 - 353 P.E. Buckle et al. Biosensors and Bioelectronics, Vol. 8 (1993) pp. 355 - 363 R.P. Podgorsek et al. Sensors and Actuators B, Vol. 38 - 39 (1997) pp. 349 - 352 S. Hayashi et al. Applied Physics Express, Vol. 8, 022201 (2015)
本発明は、従来技術における前記諸問題を解決し、効率的で検出の精度及び安定性に優れた標的物質検出装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、次の通りである。即ち、
<1> 標的物質と結合体を形成する磁性粒子及び光応答性物質を含む液体試料が表面上に導入されるとともに光の照射を受けて伝搬光及び近接場光のいずれかの検出光を生じさせる検出板が配され、かつ、前記液体試料が前記検出板の表面上に保持可能とされる液体試料保持部と、前記検出板に前記光を照射して前記検出光を生じさせる光照射部と、前記検出板の裏面側位置と前記裏面側位置から前記検出板に対して遠ざかる方向に離間した第1離間位置との間で移動可能とされる永久磁石を有し、前記裏面側位置に位置した状態で前記液体試料保持部に保持された前記液体試料中の前記結合体を前記検出板の表面に移動させる第1磁場印加部と、前記検出板の表面側位置、側面側位置及び前記裏面側位置のいずれかの位置である磁場印加位置と前記磁場印加位置から前記検出板に対して遠ざかる方向に離間した第2離間位置との間で移動可能とされる永久磁石を有し、前記磁場印加位置に位置した状態で前記液体試料保持部に保持された前記液体試料中の前記結合体を前記検出板の表面の面内方向と平行な方向のベクトル成分を持つ方向に移動させる第2磁場印加部と、前記液体試料保持部に保持された前記液体試料中の前記磁性粒子を減衰交流磁界の印加により脱磁させる電磁石を有する脱磁部と、を有することを特徴とする標的物質検出装置。
<2> 脱磁部が前記脱磁部の一部分から液体試料保持部に保持された液体試料に向かう方向に印加方向が規制された減衰交流磁界を印加可能とされる前記<1>に記載の標的物質検出装置。
<3> 脱磁部が検出板の裏面側及び側面側のいずれかの位置である脱磁位置と前記脱磁位置から検出板に対して遠ざかる方向に離間した非脱磁位置との間で移動可能とされる前記<1>から<2>のいずれかに記載の標的物質検出装置。
<4> 第2磁場印加部の磁場印加位置が側面側位置とされる前記<1>から<3>のいずれかに記載の標的物質検出装置。
<5> 回転軸と、前記回転軸に軸支され前記回転軸の回動により表面上に配される第1磁場印加部が裏面側位置と第1離間位置との間を移動するように回動可能とされる裏面側回転テーブルと、前記回転軸の回動と連動して可動され取付けられる第2磁場印加部が側面側位置と第2離間位置との間を移動するように前記第2磁場印加部を運搬可能とされる連動キャリアと、を有する前記<4>に記載の標的物質検出装置。
<6> 裏面側回転テーブルの表面上において、第1磁場印加部の第1離間位置に脱磁部が配され、かつ、前記脱磁部の非脱磁位置に前記第1磁場印加部が配される前記<5>に記載の標的物質検出装置。
<7> 検出板の裏面側位置と前記裏面側位置から前記検出板の表面の面内方向と平行な方向のベクトル成分を持つ方向に離間した検出位置と前記裏面側位置から前記検出板に対して遠ざかる方向に離間した第1離間位置との間を移動可能とされる永久磁石を有し、第1磁場印加部と第2磁場印加部として作用する1つの一体型磁場印加部が配される前記<1>から<3>のいずれかに記載の標的物質検出装置。
<8> 一体型磁場印加部と脱磁部とが離間して配されるとともに前記検出板の表面の面内方向と平行な方向に延在されるレール部材が検出板の裏面側に配され、前記レール部材自身の延在方向に沿った移動又は連結部材により連結された状態の前記一体型磁場印加部及び前記脱磁部の前記延在方向に沿ったスライド移動により、前記一体型磁場印加部が裏面側位置と検出位置と第1離間位置との間を移動可能とされるとともに前記脱磁部が前記裏面側位置である脱磁位置と前記脱磁位置から前記検出板に対して遠ざかる方向に離間した非脱磁位置との間で移動可能とされる前記<7>に記載の標的物質検出装置。
<9> 回転軸と、前記回転軸に軸支され前記回転軸の回動により表面上に配される一体型磁場印加部が裏面側位置と検出位置と第1離間位置との間を移動するように回動可能とされるとともに脱磁部が前記裏面側位置である脱磁位置と前記脱磁位置から検出板に対して遠ざかる方向に離間した非脱磁位置との間で移動可能とされる裏面側回転テーブルとを有し、前記裏面側回転テーブルの表面上において、前記一体型磁場印加部の前記第1離間位置に前記脱磁部が配され、かつ、前記脱磁部の前記非脱磁位置に前記一体型磁場印加部が配される前記<7>に記載の標的物質検出装置。
本発明によれば、従来技術における前記諸問題を解決でき、効率的で検出の精度及び安定性に優れた標的物質検出装置を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る標的物質検出装置の概要を示す部分断面図である。 脱磁部から発せられる減衰交流磁界が及ぶ領域を説明するための上面図である。 本発明の第1実施形態に係る標的物質検出装置のより具体的な構成を示した構成例の概要を示す部分断面図である。 連動機構の構成例を示す部分拡大図である。 本発明の第2実施形態に係る標的物質検出装置の概要を示す部分断面図である。 本発明の第3実施形態に係る標的物質検出装置の概要を示す部分断面図である。 本発明の第3実施形態に係る標的物質検出装置のより具体的な構成を示した構成例1の概要を示す部分断面図である。 本発明の第3実施形態に係る標的物質検出装置のより具体的な構成を示した構成例2の概要を示す部分断面図である。 本発明の第3実施形態に係る標的物質検出装置のより具体的な構成を示した構成例3の概要を示す部分断面図である。 回転テーブル機構を用いた構成を説明するための斜視図である。 本発明の第4実施形態に係る標的物質検出装置の概要を示す部分断面図である。 リング状の脱磁部を含む構成を上から視たときの平面図である。 本発明の各実施形態に係る標的物質検出装置の変形例の一部概要を示す部分断面図である。 実施例1における偽陽性信号の検出結果を示す図である。 比較例1における偽陽性信号の検出結果を示す図である。
(標的物質検出装置)
本発明の標的物質検出装置は、液体試料保持部と、光照射部と、第1磁場印加部と、第2磁場印加部と、脱磁部とを有し、必要に応じて、その他の部を有する。
<液体試料保持部>
前記液体試料保持部は、検出板が配され、かつ、液体試料が前記検出板の表面上に保持される部である。
-液体試料-
前記液体試料は、標的物質と結合体を形成する磁性粒子及び光応答性物質を含む。
--標的物質--
前記標的物質としては、特に制限はなく、目的に応じて選択することができ、例えば、DNA、RNA、タンパク質、ウイルス、菌、汚染物質などが挙げられる。
前記標的物質の検出対象となる具体的な被検体液としては、例えば、血液、唾液、尿、液体薬品、環境水、上下水、飲料、食品のホモジナイズ溶液、ぬぐい液、粉末等の固体試料を水等の溶媒に溶解させた溶液、気相中のガスや微粒子などを捕集した気相濃縮液などが挙げられる。
したがって、具体的な前記液体試料としては、前記被検体液に前記磁性粒子、前記光応答性物質などを加えたものが挙げられる。
--磁性粒子--
前記磁性粒子の役割は、前記標的物質と前記結合体を形成し、前記標的物質を前記第1磁場印加部及び前記第2磁場印加部からの磁場印加を通じて移動させることにある。
前記磁性粒子としては、前記役割を奏するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知の磁気ビーズ等を用いることができる。
前記標的物質と前記磁性粒子とを結合させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、物理吸着、抗原-抗体反応、DNAハイブリダイゼーション、ビオチン-アビジン結合、キレート結合、アミノ結合などの公知の結合方法を用いることができる。
なお、前記物理吸着による結合方法としては、例えば、水素結合等の静電的な結合力を利用して、前記標的物質と前記磁性粒子とを結合させる方法が挙げられる。
これらの結合方法の中でも、前記標識物質が夾雑物と結合することを避けるため、前記抗原-抗体反応、前記DNAハイブリダイゼーション、前記ビオチン-アビジン結合、前記キレート結合、前記アミノ結合などの結合方法により、前記標的物質と前記磁性粒子とを特異的に結合させる方法が好ましい。
--光応答性物質--
前記光応答性物質の役割は、前記標的物質と前記結合体を形成し、検出光に基づく光信号を生じさせることにある。
前記光応答性物質としては、前記役割を奏するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記検出光の照射を受けて散乱光を発生させる光散乱物質や蛍光を発生させる蛍光物質等を用いることができる。
前記光散乱物質としては、ポリスチレンビーズ等の樹脂粒子、金ナノ粒子、銀ナノ粒子、金ナノロッド、金ナノスター等の金属ナノ粒子などの公知の粒子を用いることができる。
また、前記蛍光物質としては、蛍光色素、量子ドット、蛍光ビーズ、量子ドット入りビーズ、蛍光染色剤などの公知の蛍光材料を用いることができる。
前記標的物質と前記光応答性物質とを結合させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、物理吸着、抗原-抗体反応、DNAハイブリダイゼーション、ビオチン-アビジン結合、キレート結合、アミノ結合などの公知の結合方法を用いることができる。
また、前記光応答性物質に色素を用いる場合、前記標的物質の前記色素による染色も前記標的物質と前記光応答性物質との結合方法として有効である。
なお、前記物理吸着による結合方法としては、例えば、水素結合等の静電的な結合力を利用して、前記標的物質と前記標識物質とを結合させる方法を挙げることができる。
これらの結合方法の中でも、前記光応答性物質が夾雑物と結合することを避けるため、前記抗原-抗体反応、前記DNAハイブリダイゼーション、前記ビオチン-アビジン結合、前記キレート結合、前記アミノ結合などの結合方法により、前記標的物質と前記光応答性物質とを特異的に結合させる方法が好ましい。
本明細書において、「光応答性」とは、前記検出光の照射を受けて検出可能な光信号を生じる性質を指す。
-検出板-
前記検出板は、前記液体試料が表面上に導入されるとともに光の照射を受けて前記伝搬光及び前記近接場光のいずれかの前記検出光を生じさせる部材である。
前記検出板としては、前記液体試料が表面上に導入されるとともに裏面側又は前記表面側から照射される光の透過光を前記伝搬光として前記光が照射される側と反対の面側に伝搬可能とされる透光板、前記液体試料が前記表面上に導入されるとともに前記表面側から照射される光の反射光を前記伝搬光として前記表面上方に伝搬可能な反射板、前記液体試料が前記表面上に導入される導入板、及び、前記液体試料が前記表面上に導入されるとともに前記表面に対して全反射条件で照射される光により前記表面上に前記近接場光を発生可能な全反射検出板のいずれかで形成される。
なお、「伝搬光」とは、一般に発生源から数百nm~数μm以内の距離だけ離れた位置で急激な減衰を示す近接場光を含まない光とされるが、本明細書においても、前記近接場光を含まないことを意味し、前記検出板の前記表面から数百nm~数μm以内の距離だけ離れた位置で急激な減衰を示すことのない光を意味する。また、「近接場光」とは、前記検出板の前記表面から数百nm~数μm以内の距離だけ離れた位置で急激な減衰を示す光を意味する。
前記透光板としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の透過型顕微鏡の観察用ステージに用いられるガラス板、プラスチック板などの公知の透光板を用いることができる。
また、前記反射板としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の落射型顕微鏡の観察用ステージに用いられるガラス板、プラスチック板、金属板などの公知の反射板を用いることができる。
また、前記導入板としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記透光板、前記反射板を含み、この他の液体試料を導入するための公知の板状部材を用いることができる。
また、前記全反射検出板としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知の表面プラズモン共鳴センサや公知の光導波モードセンサに用いられる検出板などの公知の検出板を用いることができる。
前記検出板としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記表面が前記結合体の吸着を抑制する吸着抑制剤で表面処理されていることが好ましい。このような表面処理が施されていると、前記結合体が前記検出板の前記表面に吸着されることが抑制され、前記結合体の磁場印加に伴う移動を補助することができる。
前記吸着抑制剤としては、特に制限はなく、前記結合体を構成する物質の種類に応じて、公知の吸着抑制剤から適宜選択することができる。
例えば、前記表面処理の手法として、前記標的物質が前記タンパク質である場合には、前記タンパク質の吸着を抑制する公知のブロッキング法を選択することができる。前記ブロッキング法としては、特に制限はなく、例えば、ポリエチレングリコールを用いる手法、エタノールアミンを用いる方法、スキムミルクを用いる方法などが挙げられる。
前記液体試料保持部の構成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記検出板そのもので構成されてもよく、また、前記液体試料をカバーガラス等の板状透光部材と前記検出板とで挟み、前記液体試料の液層を前記検出板の前記表面上に保持する構成でもよい。
また、前記液体試料保持部の構成としては、底面が前記検出板で構成される枡状の液体セルで構成することもできる。
また、前記液体試料保持部としては、1つの前記検出板の前記表面上の領域を複数に分画してマルチチャンネル化させてもよい。
なお、前記液体試料保持部における前記検出板の表面設定としては、前記検出板の一の面上に前記液体試料が保持される構成であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記液体試料が保持される前記検出板の前記一の面が前記表面に該当し、この表面としては、水平方向に沿って配される前記検出板の鉛直上側の面及び鉛直下側の面や、鉛直方向に沿う面、例えば、分光光度計に用いられる試料セルのように縦置きで用いられる枡形液セルの内側面などのように、任意の方向に向けて露出する面として設定することができる。
<光照射部>
前記光照射部は、前記検出板に前記光を照射して前記検出光を生じさせる部である。
前記光照射部としては、裏面側光照射部、表面側光照射部、側面側光照射部及び全反射光照射部のいずれかで形成される。
前記裏面側光照射部は、前記検出板が前記透光板で形成されるときに前記検出板の前記裏面から前記光を照射可能とされる。
前記裏面側光照射部の構成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の透過型顕微鏡に用いられる公知の光照射部と同様に構成することができる。
前記表面側光照射部は、前記検出板が前記透光板及び前記反射板のいずれかで形成されるときに前記検出板の前記表面側から前記光を照射可能とされる。
前記表面側光照射部の構成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記反射板で形成される場合、公知の落射型顕微鏡に用いられる公知の光照射部と同様に構成することができ、また、前記透光板で形成される場合、公知の透過型顕微鏡に用いられる公知の光照射部と同様に構成することができる。
前記側面側光照射部は、前記検出板が前記導入板で形成されるときに前記検出板上に保持される前記液体試料に対して前記検出板の側面側から前記検出板の前記表面の面内方向と平行な方向で前記光を照射可能とされる。
前記側面側光照射部の構成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の光照射部と同様に構成することができる。
前記全反射光照射部は、前記検出板が前記全反射検出板で形成されるときに前記裏面側から前記表面に対して全反射条件で前記光を照射可能とされる。前記表面における全反射は、前記検出板の前記表面において全反射条件を満たすことが可能であれば、前記光の入射方向に特に制限はない。
前記全反射光照射部の構成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知の表面プラズモン共鳴センサや公知の光導波モードセンサに用いられる公知の光照射部と同様に構成することができる。
なお、前記裏面側光照射部、前記表面側光照射部、前記側面側光照射部及び前記全反射光照射部における光源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知のランプ、LED装置、レーザ光照射装置などの発光装置を用いることができる。
また、前記裏面側光照射部、前記表面側光照射部及び前記全反射光照射部としては、前記光源以外の光学要素についても特に制限はなく、公知の光学顕微鏡、公知の表面プラズモン共鳴センサや公知の光導波モードセンサに用いられる公知の光学要素を目的に応じて適宜採用して構成することができる。
<第1磁場印加部>
前記第1磁場印加部は、前記検出板の裏面側位置と前記裏面側位置から前記検出板に対して遠ざかる方向に離間した第1離間位置との間で移動可能とされる永久磁石を有し、前記裏面側位置に位置した状態で前記液体試料保持部に保持された前記液体試料中の前記結合体を前記検出板の表面に移動させる部である。
前記第1磁場印加部としては、このような部材であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の永久磁石と前記永久磁石を移動させる移動部材を用いて構成することができ、前記移動部材に前記永久磁石を保持させた状態で、前記永久磁石が前記裏面側位置と前記第1離間位置との間を移動するように前記移動部材の移動を制御する構成が挙げられる。
なお、本明細書において「裏面側位置」とは、前記検出板の裏面側において前記永久磁石から発せられる磁界が前記液体試料保持部に保持された前記液体試料に及ぶ位置であることを指し、「第1離間位置」とは、前記永久磁石から発せられる磁界が前記液体試料保持部に保持された前記液体試料に及ばない位置であり、かつ、前記脱磁部から発せられる減衰交流磁界が及ばない位置であることを指す。前記減衰交流磁界が及ぶ位置であると、前記永久磁石が脱磁(消磁)される。
<第2磁場印加部>
前記第2磁場印加部は、前記検出板の表面側位置、側面側位置及び前記裏面側位置のいずれかの位置である磁場印加位置と前記磁場印加位置から前記検出板に対して遠ざかる方向に離間した第2離間位置との間で移動可能とされる永久磁石を有し、前記磁場印加位置に位置した状態で前記液体試料保持部に保持された前記液体試料中の前記結合体を前記検出板の表面の面内方向と平行な方向のベクトル成分を持つ方向に移動させる部である。
前記第2磁場印加部としては、このような部材であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記第1磁場印加部と同様、例えば、公知の永久磁石と前記永久磁石を移動させる移動部材を用いて構成することができ、前記移動部材に前記永久磁石を保持させた状態で、前記永久磁石が前記磁場印加位置と前記第2離間位置との間を移動するように前記移動部材の移動を制御する構成が挙げられる。
なお、本明細書において「表面側位置」とは、前記検出板の表面側において前記永久磁石から発せられる磁界が前記液体試料保持部に保持された前記液体試料に及ぶ位置であることを指し、「側面側位置」とは、前記検出板の側面側において前記永久磁石から発せられる磁界が前記液体試料保持部に保持された前記液体試料に及ぶ位置であることを指し、「第2離間位置」とは、前記永久磁石から発せられる磁界が前記液体試料保持部に保持された前記液体試料に及ばない位置であり、かつ、前記脱磁部から発せられる前記減衰交流磁界が及ばない位置であることを指す。前記減衰交流磁界が及ぶ位置であると、前記永久磁石が脱磁(消磁)される。
前記第2磁場印加部としては、特に制限はないが、前記表面側位置よりも前記側面側位置と前記第2離間位置との間で移動可能とされることが好ましい。前記表面側位置と前記第2離間位置との間で移動可能に配されると、後述の光信号検出部と位置が競合し、前記光信号検出部の配置及び構成が制限される。
-一体型磁場印加部-
前記第2磁場印加部を前記裏面側位置と前記第2離間位置との間で移動可能に配する場合、移動位置及び移動方向の設定により、前記第2磁場印加部を前記第1磁場印加部と統合した一体型磁場印加部として構成することもできる。
即ち、前記標的物質検出装置では、前記検出板の前記裏面側位置と前記裏面側位置から前記検出板の表面の面内方向と平行な方向のベクトル成分を持つ方向に離間した検出位置と前記裏面側位置から前記検出板に対して遠ざかる方向に離間した前記第1離間位置との間を移動可能とされる永久磁石を有し、前記第1磁場印加部と前記第2磁場印加部として作用する1つの前記一体型磁場印加部が配される構成を採用することができる。ここで、前記一体型磁場印加部における前記第1離間位置は、前記一体型磁場印加部を前記第2磁場印加部としてみたときの前記第2離間位置を兼ね、前記第1離間位置と前記第2離間位置とは、同じ意義を持つ。また、前記検出位置を設定するのは、前記裏面側位置と前記検出位置との間を移動させることで、前記結合体の移動に伴う光信号の移動を検出するためである。
つまり、前記一体型磁場印加部は、前記第2磁場印加部の前記磁場印加位置として、前記裏面側位置を選択し、前記第2離間位置として前記第1離間位置と同じ位置を選択し、かつ、前記第1磁場印加部の移動方向として、前記裏面側位置から前記検出板の表面の面内方向と平行な方向のベクトル成分を持つ方向を含んだ方向を選択することで、これら前記第1磁場印加部及び前記第2磁場印加部とを一体化するものであり、一体化された状態で前記第1磁場印加部と前記第2磁場印加部とのそれぞれの構成を含む。
このような一体型磁場印加部を配する構成によれば、移動操作の対象を2つから1つに減らすことで、検出操作を効率化することができるうえ、装置の小型化及び軽量化を図ることができる。
なお、前記第2磁場印加部を前記裏面側位置と前記第2離間位置との間で移動可能に配する場合であっても、前記検出位置に移動させず、つまり、前記裏面側位置から前記検出板の表面の面内方向と直交する方向で、かつ、前記検出板から離れる方向に移動させる部として、前記第1磁場印加部と独立した磁場印加部として前記第2磁場印加部を構成してもよい。
<脱磁部>
前記脱磁部は、前記液体試料保持部に保持された前記液体試料中の前記磁性粒子を前記減衰交流磁界の印加により脱磁させる電磁石を有する部である。
前記磁性粒子が脱磁されると、前記磁性粒子の凝集が解かれ、前記磁性粒子の凝集体に伴うノイズ信号の発生を抑制することができる。
前記脱磁部としては、このような部材であれば特に制限はなく、例えば、前記減衰交流磁界を印加可能な公知の電磁石を有する構成であればよい。
中でも、前記脱磁部の一部分から前記液体試料保持部に保持された前記液体試料に向かう方向に印加方向が規制された前記減衰交流磁界を印加可能とされる構成が好ましい。
このような印加方向が規制された前記減衰交流磁界を用いる構成によれば、全方位に前記減衰交流磁界を発生させる構成と比べて、前記電磁石を励磁したときの前記第1磁場印加部及び前記第2磁場印加部と前記脱磁部との離間位置の設定が自由となる。つまり、前記検出板の周囲における前記第1磁場印加部及び前記第2磁場印加部に対して前記減衰交流磁界が及ばない領域が広がり、延いては、装置の小型化及び軽量化を図ることができる。
また、前記脱磁部としては、前記検出板の前記裏面側及び側面側のいずれかの位置である脱磁位置に配された状態で、前記液体試料保持部に保持された前記液体試料に前記減衰交流磁界を及ぼすものであることが好ましい。
このような前記脱磁位置に前記脱磁部を位置させる構成によれば、前記検出板の外周に架けて配される、例えば前記脱磁部がリング状の構成と比べて、小型で軽量の電磁石を採用し易く、また、前記減衰交流磁界が及ばない領域に向けた前記第1磁場印加部及び前記第2磁場印加部の移動設定の自由度を高めることができ、延いては、装置の小型化及び軽量化を図ることができる。
なお、これら好適な特徴を有する前記脱磁部としては、特に制限はなく、公知の脱磁装置を適宜選択して適用することができ、市販品であれば、ホーザン株式会社製HC-33等が挙げられる。
前記脱磁部では、前記電磁石の励磁及び消磁によるオン-オフ制御により、オン時に前記磁性粒子の脱磁を行い、オフ時に前記第1磁場印加部及び前記第2磁場印加部からの磁場印加に伴い帯磁された前記磁性粒子(及び前記結合体)の移動を許容する。
そのため、前記標的物質検出装置としては、前記脱磁部を前記脱磁位置に固定して配することもできる。
しかしながら、前記脱磁部を前記脱磁位置に固定して配する構成では、消磁(オフ)操作後も、前記電磁石に内蔵されるコイル芯の強磁性体等が前記検出板の近傍に留まることから、引き続いて行う前記第1磁場印加部、前記第2磁場印加部からの磁場印加により前記コイル芯が着磁することを避けるための設計がシビアになり易い。そのため、前記第1磁場印加部、前記第2磁場印加部に用いられる前記永久磁石の選定及び配置や前記脱磁部に用いられる前記電磁石の選定及び配置に関する磁界設計に困難を伴う場合がある。
こうしたことから、前記標的物質検出装置としては、公知の移動機構を用いて、前記脱磁部が前記検出板の前記裏面側及び側面側のいずれかの位置である前記脱磁位置と前記脱磁位置から検出板に対して遠ざかる方向に離間した非脱磁位置との間で前記電磁石を移動可能とされる構成も採用することができる。即ち、前記脱磁部を前記非脱磁位置に移動させることで、前記第1磁場印加部及び前記第2磁場印加部からの磁場印加に伴う前記電磁石(コイル芯の強磁性体等)の着磁を避けて前記結合体の移動操作に進むことができ、前記磁界設計を単純化することができる。また、前記移動機構を前記脱磁部に適用する場合、前記脱磁部に電流減衰方式の制御を伴わない交流磁界を印加するタイプの脱磁器を用いることも可能である。このとき、前記液体試料保持部に対する前記減衰交流磁界の印加は、前記電磁石に前記交流磁界を励磁させたまま、前記電磁石を前記検出板より遠ざかる方向に移動させることで行う。つまり、前記減衰交流磁界としては、電流減衰により減衰制御される交流磁界に加え、距離減衰により減衰制御される交流磁界を含み得る。
なお、本明細書において「脱磁位置」とは、前記電磁石から発せられる前記減衰交流磁界が前記液体試料保持部に保持された前記液体試料に及ぶ位置であることを指す。
また、「非脱磁位置」とは、前記電磁石から発せられる前記減衰交流磁界が前記液体試料保持部に保持された前記液体試料に及ばない位置であり、前記電磁石から発せられる前記減衰交流磁界が前記表面側位置、前記側面側位置及び前記裏面側位置に及ばない位置であり、かつ、前記第1磁場印加部及び前記第2磁場印加部における前記永久磁石を前記前記表面側位置、前記側面側位置及び前記裏面側位置に配した状態で前記永久磁石から発せられる磁界が及ばない位置であることを指す。前記減衰交流磁界が前記表面側位置、前記側面側位置及び前記裏面側位置に及ぶと、これらの位置に存する前記第1磁場印加部及び前記第2磁場印加部が脱磁(消磁)される。また、前記永久磁石から発せられる磁界が及ぶと、前記電磁石(コイル芯の強磁性体等)が着磁される。
<その他の部>
前記その他の部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光信号検出部、公知の透過型顕微鏡、公知の落射型顕微鏡、公知の表面プラズモン共鳴センサ、公知の光導波モードセンサ等に用いられる任意の部が挙げられる。
-光信号検出部-
前記光信号検出部は、前記検出光に基づく光信号の信号変化から前記結合体の移動を検出可能とされる。前記光信号検出部は、前記標的物質の検出操作に必須の構成であるが、前記標的物質の検出を行うユーザが所有する既存の前記光信号検出部を用いることができるため、前記標的物質検出装置に必須の構成ではない。
前記光信号検出部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、フォトダイオード、光電子増倍管などの公知の光検出器や対物レンズ等の公知の光学要素を用いて構成することができる。
また、前記光信号検出部としては、特に制限はないが、前記検出板の前記表面上の検出領域の様子を2次元画像として取得可能とされることが好ましい。前記2次元画像を取得できると、光点や暗点として現れる前記2次元画像中の前記光信号の位置情報やサイズ情報を容易に取得することができ、前記結合体の移動前後の前記2次元画像同士を比較して、前記光信号が前記結合体に関与する情報であるのか、或いは、前記検出板の前記表面上のキズ、前記夾雑物、光源出力の揺らぎ等の前記結合体に関与しない情報であるのかを明確に区別することが可能となる。このような2次元画像の取得を可能とするには、前記光信号検出部として撮像デバイスを選択すればよい。
前記撮像デバイスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサなどの公知のイメージセンサを用いることができる。
また、前記標的物質を検出することとしては、前記標的物質の有無の検出、前記標的物質の存在量の検出(定量測定)、前記標的物質の存在状況のリアルタイム観察等が挙げられる。
また、前記光信号検出部としては、特に制限はないが、前記液体試料中に帯電した夾雑物が含まれる場合に、前記夾雑物由来の光信号と前記結合体由来の光信号を区別するため、前記夾雑物由来の光信号を除去する光学フィルタを好適に採用することができる。
また、前記光信号検出部としては、前記光照射部と一体に構成された光照射部兼検出部としても構成することができる。
以下、図面を用いて前記標的物質検出装置をより具体的に説明する。
[第1実施形態]
先ず、図1(a),(b)を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る標的物質検出装置を説明する。なお、図1(a)は、本発明の第1実施形態に係る標的物質検出装置の概要を示す部分断面図である。また、図1(b)は、脱磁部から発せられる減衰交流磁界が及ぶ領域を説明するための上面図である。
図1(a)に示すように、標的物質検出装置10は、公知の落射型顕微鏡に準じて構成され、検出板1と、光照射部兼検出部3と、第1磁場印加部4と、第2磁場印加部5と、脱磁部6とを有する。
検出板1は、液体試料Sが表面上に導入されるとともに光照射部兼検出部3から照射される光Lの反射光を前記伝搬光として前記表面上に伝搬可能な反射板で形成される。また、検出板1は、自身で前記液体試料保持部を構成し、前記表面上に液体試料Sが導入された後、液体試料Sを覆うようにカバーガラス2を配することで液体試料Sを保持する。
光照射部兼検出部3は、検出板1の前記表面側に位置し、前記光照射部と前記光信号検出部とが一体的に配される部である。
前記光照射部は、公知の光源及びハーフミラー等を有し、前記光源からの光を検出板1の前記表面に向けて光Lとして照射可能な前記表面側照射部として構成される。
前記光信号検出部は、公知の撮像デバイス、対物レンズ及びハーフミラー(ダイクロイックミラー等)で構成され、検出板1からの反射光と液体試料S中の前記光応答性物質から発せられる散乱光又は蛍光とを含む光信号Lを受光して、前記信号光の信号変化を検出可能とされる。なお、前記撮像デバイスは、公知のCCDイメージセンサ等で構成され、2次元画像の取得が可能とされる。
第1磁場印加部4は、図1(a)に示す前記裏面側位置に位置した状態で検出板1の前記表面上に保持された液体試料S中の前記結合体を磁場の印加により検出板1の表面に移動させる。第1磁場印加部4は、公知の永久磁石で構成され、図示しない公知のスライド部材や回転部材等の移動機構により、検出板1の前記裏面側位置と前記裏面側位置から検出板1に対して遠ざかる方向(例えば、図1(a)中のX方向やY方向)に離間した前記第1離間位置との間で移動可能とされる。
また、第2磁場印加部は、図1(a)に示す前記側面側位置(前記磁場印加位置)に位置した状態で検出板1の前記表面上に保持された液体試料S中の前記結合体を磁場の印加により検出板1の表面の面内方向と平行な方向のベクトル成分を持つ方向に移動させる。第2磁場印加部5は、公知の永久磁石で構成され、図示しない公知のスライド部材や回転部材等の移動機構により、検出板1の前記側面側位置から検出板1に対して遠ざかる方向(例えば、図1(a)中のX方向やY方向)に離間した前記第2離間位置との間で移動可能とされる。
脱磁部6は、検出板1の前記表面上に保持された液体試料S中の前記磁性粒子を、前記電流減衰方式の減衰制御がされた前記減衰交流磁界の印加により脱磁させる前記電磁石を有する前記脱磁器により構成され、図1(a),(b)に示す検出板1の側面側の位置である前記脱磁位置に固定配置される。
また、脱磁部6は、図1(b)において前記減衰交流磁界が及ぶ範囲を符号Mで示したように、脱磁部6の一部分から検出板1の前記表面上に保持された液体試料Sに向かう方向に印加方向が規制された前記減衰交流磁界を印加可能とされる。
標的物質検出装置1では、次のように前記標的物質の検出を行う。
先ず、検出板1の前記表面上に液体試料Sを導入し、保持させる(図1(a)参照)。
ここで、液体試料Sとしては、それぞれ前記標的物質と前記結合体を形成する前記磁性粒子及び前記光応答性物質を含む。
次に、前記裏面側位置に位置された第1磁場印加部4により、液体試料Sの液層中を浮遊する前記結合体を検出板1の前記表面に向けて引き寄せる。
次に、光照射部兼検出部3から照射される光Lを検出板1の前記表面に向けて照射し、前記対物レンズ等を調整して前記表面ないしその近傍を結像可能範囲(観察視野)内に入れ、前記撮像デバイスで検出板1からの反射光及び液体試料S中の前記光応答性物質から発せられる散乱光又は蛍光を含む光信号Lを取得する。
次に、第2磁場印加部5を前記側面側位置(前記磁場印加位置)に位置させ、液体試料S中の前記結合体を検出板1の前記表面の面内方向と平行な方向のベクトル成分を持つ方向に移動させる。なお、この際、第1磁場印加部4としては、前記裏面側位置に位置させていてもよいし、前記第1離間位置に移動させてもよい。
次に、結像可能範囲を維持したまま第2磁場印加部5からの磁場印加に伴う前記結合体の移動に伴う前記光信号の移動変化を前記撮像デバイスで取得する。
これにより、移動変化する前記光信号と、移動しない光信号である検出板1の前記表面上のキズ、前記表面に吸着ないし前記表面上に存在する夾雑物、光源出力の揺らぎなどのノイズ信号とが区別して検出される。
しかしながら、移動変化する前記光信号が前記結合体、即ち、前記磁性粒子及び前記光応答性物質と結合された前記標的物質に基づくものとは限らない。
即ち、前記磁性粒子が自己凝集している場合、磁場印加に伴って移動しつつ、前記撮像デバイスで撮像される強度の散乱光が発せられる。また、前記磁性粒子が前記光応答性物質を取り込む形で凝集している場合、磁場印加に伴って移動しつつ、前記光応答性物質からの散乱光又は蛍光が発せられる。
これら磁性粒子の凝集体から発せられる前記光信号は、移動変化するものの、前記標的物質と結合せずに発せられることから、偽陽性信号としてノイズ信号となり得る。
そのため、脱磁部6から印加される前記減衰交流磁界により前記磁性粒子を脱磁化し、その凝集を解く。
脱磁部6により前記磁性粒子の脱磁を行うタイミングとしては、種々のタイミングを挙げることができる。
先ず、液体試料Sを検出板1の前記表面上に導入した時点が挙げられる。液体試料Sが保存、運搬時に外部磁場に触れ、検出板1の前記表面上に導入される前から前記磁性粒子の凝集が生じ、そのまま検出操作を行うと前記偽陽性信号を発生させるためである。
次に、第1磁場印加部4からの磁場印加により、液体試料Sの液層中を浮遊する前記結合体を検出板1の前記表面に向けて引き寄せる処理が完了した時点が挙げられる。第1磁場印加部4からの磁場印加に伴い、前記磁性粒子の凝集が生じ、そのまま検出操作を行うと前記偽陽性信号を発生させるためである。
次に、第2磁場印加部5からの磁場印加により、液体試料S中の前記結合体を検出板1の前記表面の面内方向と平行な方向のベクトル成分を持つ方向に移動させ、その移動に伴う前記撮像デバイスでの前記光信号の移動変化の検出処理が完了した時点が挙げられる。前記標的物質の検出操作は、信頼性向上等を目的として複数回行うことがあり、また、前記被検体液を代えた別の液体試料に対し、前記磁性粒子を使い回して用いることがあるが、第2磁場印加部5からの磁場印加に伴って前記磁性粒子の凝集が生じることから、次回の検出操作において前記偽陽性信号を発生させる原因となる。
標的物質検出装置10では、こうしたタイミングにおいて、脱磁部6の前記電磁石を励磁-消磁制御(オン-オフ制御)し、脱磁部6により前記磁性粒子の脱磁を行う。
また、標的物質検出装置10では、脱磁部6の前記電磁石を励磁する場合には、第1磁場印加部4及び第2磁場印加部5における前記永久磁石が脱磁(消磁)されることを避けるため、予め、第1磁場印加部4及び第2磁場印加部5を前記減衰交流磁界が及ばない前記第1離間位置、第2離間位置に移動させる。
また、第1磁場印加部4及び第2磁場印加部5を前記裏面側位置、前記側面側位置に位置させて液体試料Sに磁場印加させる操作は、第1磁場印加部4及び第2磁場印加部5における前記永久磁石が脱磁(消磁)されることを避けるため、脱磁部6の前記電磁石を消磁操作し、前記減衰交流磁界を消失させた後に行う。
こうした構成の標的物質検出装置10によれば、移動しないタイプの前記ノイズ信号に加え、前記磁性粒子の凝集を原因とする移動するタイプの前記ノイズ信号(偽陽性)と区別して、前記結合体に基づく前記光信号(陽性)を検出することができるため、効率的で検出の精度及び安定性に優れた検出操作を行うことができる。
次に、図2(a),(b)を参照しつつ、第1実施形態に係る標的物質検出装置のより具体的な構成例を説明する。なお、図2(a)は、本発明の第1実施形態に係る標的物質検出装置のより具体的な構成を示した構成例の概要を示す部分断面図であり、図2(b)は、連動機構の構成例を示す部分拡大図である。
図2(a)に示すように、標的物質検出装置20は、検出板21(及びカバーガラス22)と、光照射部兼検出部23と、第1磁場印加部24と、第2磁場印加部25と、脱磁部26と、連動機構Aとを有する。
このうち、検出板21(及びカバーガラス22)、光照射部兼検出部23、第1磁場印加部24、第2磁場印加部25、脱磁部26は、標的物質検出装置10の検出板1(及びカバーガラス2)、光照射部兼検出部3、第1磁場印加部4、第2磁場印加部5、脱磁部6と共通して構成することができるため、連動機構Aについて以下に説明する。
連動機構Aは、回転軸120と、回転軸120の一端と接続される回転モータ121と、回転軸120に軸支され、回転軸120の回動により表面上に配される第1磁場印加部24が前記裏面側位置と前記第1離間位置との間を移動するように回動可能とされる裏面側回転テーブル122と、回転軸120の回動と連動して可動され、取付けられる第2磁場印加部25が前記側面側位置と前記第2離間位置との間を移動するように第2磁場印加部25を運搬可能とされる連動キャリアとを有する。
ここで、前記連動キャリアは、図2(b)に拡大して示すように、回転軸120の他端側に軸支されるウォーム123と、ウォーム123と噛み合うウォーム歯車124と、一端側にウォーム歯車124と噛み合うラック部126が形成されるとともに他端側に第2磁場印加部25が取り付けられるリフタ125とで構成される。
前記連動キャリアでは、回転軸120を回動力がウォーム123、ウォーム歯車124、ラック部126の順で伝達され、リフタ125の昇降を通じて第2磁場印加部25を前記側面側位置と前記第2離間位置との間で移動させることができる。
よって、連動機構Aでは、回転軸120の回動操作を内容とする1つの操作を行うのみで、第1磁場印加部24を前記裏面側位置と前記第1離間位置との間で移動させる操作と、第2磁場印加部25を前記側面側位置と前記第2離間位置との間で移動させる操作との2つの操作を連動させて行うことができる。
標的物質検出装置10について説明した通り、第1磁場印加部4,24は、脱磁部6,26による脱磁の際、前記裏面側位置-前記第1離間位置間での移動操作が求められ、同様に第2磁場印加部5,25も、前記側面側位置と前記第2離間位置との間での移動操作が求められることとなる。
標的物質検出装置20では、これら2つの移動操作を回転軸120の回動操作を内容とする1つの操作を行うのみで行うことができるため、これら2つの移動操作を独立して行う場合に比べ、検出操作を高効率化することができる。
なお、本構成例における前記連動キャリア(ウォーム123、ウォーム歯車124、リフタ135、ラック部126)は、説明のための一例に過ぎず、公知の機械要素を適宜選択して構成することができる。
[第2実施形態]
次に、図3を参照しつつ、本発明の第2実施形態に係る標的物質検出装置を説明する。なお、図3は、本発明の第2実施形態に係る標的物質検出装置の概要を示す部分断面図である。
図3に示すように、標的物質検出装置30は、検出板31(及びカバーガラス32)と、光照射部兼検出部33と、一体型磁場印加部34と、脱磁部36とを有する。
このうち、検出板31(及びカバーガラス32)、光照射部兼検出部33、脱磁部36は、標的物質検出装置10の検出板1(及びカバーガラス2)、光照射部兼検出部3、脱磁部6と共通して構成することができるため、一体型磁場印加部34について以下に説明する。
一体型磁場印加部34は、公知の永久磁石で構成され、図示しない前記移動機構により、検出板31の前記裏面側位置と前記裏面側位置から前記検出板の表面の面内方向と平行な方向のベクトル成分を持つ方向(例えば、図中の矢印方向)に離間した前記検出位置と前記裏面側位置から前記検出板に対して遠ざかる方向に離間した前記第1離間位置との間を移動可能とされ、かつ、前記第1磁場印加部と前記第2磁場印加部として作用する部である。
一体型磁場印加部34では、前記裏面側位置に位置する状態で、液体試料Sの液層中を浮遊する前記結合体を検出板1の前記表面に向けて引き寄せる。また、前記裏面側位置から前記検出位置に移動させることで、液体試料S中の前記結合体を検出板1の前記表面の面内方向と平行な方向のベクトル成分を持つ方向に移動させる。
このような一体型磁場印加部34を配する構成によれば、前記第1磁場印加部及び前記第2磁場印加部を独立して構成する場合に比べ、移動操作の対象を2つから一体型磁場印加部34の1つに減らすことができ、検出操作を効率化することができるうえ、装置の小型化及び軽量化を図ることができる。
[第3実施形態]
次に、図4を参照しつつ、本発明の第3実施形態に係る標的物質検出装置を説明する。なお、図4は、本発明の第3実施形態に係る標的物質検出装置の概要を示す部分断面図である。
図4に示すように、標的物質検出装置40は、検出板41(及びカバーガラス42)と、光照射部兼検出部43と、第1磁場印加部44と、第2磁場印加部45と、脱磁部46とを有する。
標的物質検出装置40では、脱磁部6が固定配置される標的物質検出装置10と異なり、脱磁部46が移動可能とされる。この点に関連する事項を以下説明する。
脱磁部46は、検出板41の前記表面上に保持された液体試料S中の前記磁性粒子を前記減衰交流磁界の印加により脱磁させる前記電磁石を有して構成される。
また、脱磁部46は、図示しない公知の前記移動機構により、検出板41の前記裏面側の位置である前記脱磁位置(図4中の第1磁場印加部44の位置)と前記脱磁位置から検出板41に対して遠ざかる方向に離間した前記非脱磁位置(図4中の脱磁部46の位置)との間で移動可能とされる。
脱磁部46では、前記脱磁位置に位置する状態で、前記電磁石を励磁し、検出板41の前記表面上に保持された液体試料S中の前記磁性粒子の脱磁処理を行う。前記電磁石を励磁する際は、脱磁部46から発せられる前記減衰交流磁界が及ばない位置、つまり、前記第1離間位置、前記第2離間位置に、それぞれ第1磁場印加部44、第2磁場印加部45を移動させる。
その後、脱磁部46では、前記脱磁位置に位置する状態で消磁操作が行われ、続いて前記非脱磁位置への移動操作が行われる。または、前記非脱磁位置への移動操作後に消磁操作が行われる。いずれにしても、脱磁部46が前記非脱磁位置へ移動することで、第1磁場印加部44及び第2磁場印加部45による前記電磁石(コイル芯の強磁性体等)の着磁を避けつつ、後続の第1磁場印加部44、第2磁場印加部45を前記第1離間位置、前記第2離間位置からこれらの前記永久磁石から発せられる磁界が検出板41の前記表面上に保持された液体試料Sに及ぶ位置に移動させる移動操作を進めることができる。
したがって、脱磁部46によれば、脱磁部46を前記非脱磁位置に移動させることで、第1磁場印加部44及び第2磁場印加部45による前記電磁石(コイル芯の強磁性体等)の着磁を避けつつ、前記第1磁場印加部及び前記第2磁場印加部からの磁場印加に伴う前記結合体の移動操作に進むことができ、第1磁場印加部44、第2磁場印加部45及び脱磁部46における各磁界の前記磁界設計を簡素化することができる。
次に、図5を参照しつつ、前記脱磁部を移動させる第3実施形態についてのより具体的な構成例を説明する。なお、図5は、本発明の第3実施形態に係る標的物質検出装置のより具体的な構成を示した構成例1の概要を示す部分断面図である。
図5に示すように、標的物質検出装置50は、検出板51(及びカバーガラス52)と、光照射部兼検出部53と、一体型磁場印加部54と、脱磁部56と、レール部材130と、連結部材131とを有する。図示の例では、一体型磁場印加部54を配しているが、標的物質検出装置50では、一体型磁場印加部54に代えて、標的物質検出装置40の第1磁場印加部44及び第2磁場印加部45を適用してもよい。
つまり、標的物質検出装置50では、標的物質検出装置40と対比して、レール部材130と連結部材131とが配される点が特徴となる。以下、この点を説明する。
レール部材130は、検出板51の前記裏面側に配され、検出板51の前記表面の面内方向と平行な方向に延在される長板状ないし棒状の部材であり、例えば、レール部材130に形成されたレール溝(不図示)をガイドとして、レール部材130上に配された一体型磁場印加部54及び脱磁部56がレール部材130の延在方向(図5中の矢印方向)に沿ったスライド移動が可能とされる。
連結部材131は、前記脱磁位置-前記非脱磁位置間の距離と同等以上の長さを有する板状ないし棒状の部材であり、一端に一体型磁場印加部54が接続され、他端に脱磁部56が接続され、これらを連結する役割を有する。
標的物質検出装置50では、脱磁部56を検出板51の前記裏面側位置に移動させて液体試料S中の前記磁性粒子に対する脱磁を行い、一体型磁場印加部54を検出板51の前記裏面側位置及び前記検出位置に移動させて前記標的物質の検出操作を行う。
脱磁部56及び一体型磁場印加部54は、連結部材131による連結により、一体的に移動可能とされ、かつ、一方が前記裏面側位置に位置する状態で他方が前記脱磁位置-前記非脱磁位置間の距離と同等以上の距離で離間された状態が維持される。また、一体型磁場印加部54の前記裏面側検出位置に対する前記検出位置を、脱磁部56が前記裏面側位置(前記脱磁位置)から前記非脱磁位置に向かう方向に設定すれば、一体型磁場印加部54を前記検出位置に位置させたときの脱磁部56の位置が前記非脱磁位置の条件を満たしたままとすることができる。
したがって、レール部材130及び連結部材131を配する構成によれば、脱磁部56と一体型磁場印加部54とをそれぞれ独立して移動させる構成に比べて、移動対象を2つから1つに減らすことができ、検出操作の高効率化を図ることができる。
次に、図6を参照しつつ、前記脱磁部を移動させる第3実施形態についての別の構成例を説明する。なお、図6は、本発明の第3実施形態に係る標的物質検出装置のより具体的な構成を示した構成例2の概要を示す部分断面図である。
図6に示すように、標的物質検出装置60は、検出板61(及びカバーガラス62)と、光照射部兼検出部63と、一体型磁場印加部64と、脱磁部66と、レール部材140と、回転ギア142とを有する。
標的物質検出装置60は、標的物質検出装置50におけるレール部材130及び連結部材131に代えて、レール部材140及び回転ギア142を配した変形例に該当し、この他の部は、標的物質検出装置50について説明した事項が適用される。以下、レール部材140及び回転ギア142について説明する。
レール部材140は、検出板61の前記裏面側に配され、検出板61の前記表面の面内方向と平行な方向に延在される長板状ないし棒状の部材であり、一端側にラック部141が形成され、ラック部141からみて他端側に、脱磁部66と一体型磁場印加部64とが前記脱磁位置-前記非脱磁位置間の距離と同等以上の距離で離間されて取付けられる。
回転ギア142は、ラック部141と噛み合う歯車(ピニオン)構造を有し、回転ギア142の回動により、レール部材140自身がレール部材の延在方向に沿った方向に移動可能とされる。
このようなレール部材140及び回転ギア142によっても、標的物質検出装置50におけるレール部材130及び連結部材131と同様の効果が得られる。
次に、図7(a),(b)を参照しつつ、前記脱磁部を移動させる第3実施形態についての別の構成例を説明する。なお、図7(a)は、本発明の第3実施形態に係る標的物質検出装置のより具体的な構成を示した構成例3の概要を示す部分断面図であり、図7(b)は、回転テーブル機構を用いた構成を説明するための斜視図である。
図7(a)に示すように、標的物質検出装置70は、検出板71(及びカバーガラス72)と、光照射部兼検出部73と、第1磁場印加部74と、第2磁場印加部75と、脱磁部76と、回転テーブル機構とを有する。なお、図示の例では、第1磁場印加部74及び第2磁場印加部75を配しているが、標的物質検出装置70では、第1磁場印加部74及び第2磁場印加部75に代えて標的物質検出装置50における一体型磁場印加部54を適用してもよい。
つまり、標的物質検出装置70では、標的物質検出装置40と対比して、前記回転テーブル機構が配される点が特徴となる。以下、この点を説明する。
前記回転テーブル機構は、回転軸150と、回転軸を回動させる回転モータ151と、回転軸150に軸支され、回転軸150の回動により表面上に配される第1磁場印加部74が前記裏面側位置と前記第1離間位置との間を移動するように回動可能とされるとともに、脱磁部76が前記裏面側位置である前記脱磁位置と前記脱磁位置から検出板71に対して遠ざかる方向に離間した前記非脱磁位置との間で移動可能とされる裏面側回転テーブル152と、回転軸150に軸支され、回転軸150の回動により表面上に配される第2磁場印加部75が前記側面側位置と前記第2離間位置との間を移動するように回動可能とされるとともに裏面側回転テーブル152よりも小さな直径で形成される側面側回転テーブル153とで構成される。
また、前記回転テーブル機構では、裏面側回転テーブル152の表面上において、第1磁場印加部74の前記第1離間位置に脱磁部76が配され、かつ、脱磁部76の前記非脱磁位置に第1磁場印加部74が配されるとともに、第2磁場印加部75と脱磁部76とが前記脱磁位置-前記非脱磁位置間の距離と同等以上で離間されて配される。
なお、第1磁場印加部74及び第2磁場印加部75に代えて、前記一体型磁場印加部を適用する場合、第1磁場印加部74の位置に前記一体型磁場印加部を配し、裏面側回転テーブル上で前記裏面側位置と前記検出位置と前記第1離間位置との間を移動可能に構成される。また、この場合、側面側回転テーブル153は不要である。
標的物質検出装置70では、回転軸150の回動を受けて回動する裏面側回転テーブル152により、脱磁部76を検出板71の前記裏面側位置に移動させて液体試料S中の前記磁性粒子に対する脱磁を行う。
また、回転軸150の回動を受けて連動して回動する裏面側回転テーブル152及び側面側回転テーブル153により、第1磁場印加部74及び第2磁場印加部75を検出板71の前記裏面側位置及び前記側面側位置に移動させて前記標的物質の検出操作を行う。なお、第1磁場印加部74及び第2磁場印加部75に代えて、前記一体型磁場印加部を適用する場合、前記第1磁場印加部を検出板71の前記裏面側位置及び前記検出位置に移動させて前記標的物質の検出を行う。
したがって、前記回転テーブル機構によれば、脱磁部76と第1磁場印加部74と第2磁場印加部75とをそれぞれ独立して移動させる構成に比べて、移動対象を3つから1つに減らすことができ、検出操作の高効率化を図ることができる。
なお、前記回転テーブル機構における側面側回転テーブル153を用いた機構は、標的物質検出装置20(図2(a),(b)参照)におけるウォーム123、ウォーム歯車124及びリフタ125を用いた機構とともに、前記第2磁場印加部を前記側面側位置と前記第2離間位置との間で移動するように運搬可能とされる前記連動キャリアとして位置付けられる。
[第4実施形態]
次に、図8(a),(b)を参照しつつ、本発明の第4実施形態に係る標的物質検出装置を説明する。なお、図8(a)は、本発明の第4実施形態に係る標的物質検出装置の概要を示す部分断面図であり、図8(b)は、リング状の脱磁部を含む構成を上から視たときの平面図である。
図8(a),(b)に示すように、標的物質検出装置80は、検出板81(及びカバーガラス82)と、光照射部兼検出部83と、第1磁場印加部84と、第2磁場印加部85と、脱磁部86とを有する。
標的物質検出装置80では、第1実施形態~第3実施形態に係る標的物質検出装置と異なり、検出板81の外周に架けて配される、リング状の脱磁部86が配される。
公知の脱磁器としては、全方位に前記距離減衰タイプの前記減衰交流磁界を発生させるリング状の電磁石が一般的に使用されているが、このタイプの電磁石を用いる場合、重量が重いことに加え、他の構成部の設定の自由度を妨げる。例えば、図8(a)の図示例では、脱磁部86の上下移動と第1磁場印加部84の左右移動とが交錯し、第1磁場印加部84の移動設定が妨げられる。また、脱磁を避けるため第2磁場印加部85の前記側面側位置から離して設定される前記第2離間位置を検出板81からみて遠くに設定する必要がある。
そのため、第1実施形態~第3実施形態に係る標的物質検出装置と比べて、標的物質検出装置80では、装置の大型化及び重量化につながり易くなる点に留意する必要がある。
本発明の前記標的物質検出装置では、前記伝搬光を前記検出光に用いる前記透過型顕微鏡及び前記落射型顕微鏡の光学系に代えて、前記近接場光を前記検出光に用いる前記表面プラズモン共鳴センサ及び前記光導波モードセンサの光学系を適用することができる。
この光学系を図9を参照しつつ、第1実施形態~第4実施形態に係る標的物質検出装置の変形例として説明する。なお、図9は、本発明の各実施形態に係る標的物質検出装置の変形例の一部概要を示す部分断面図である。
図9に示す光学系は、公知の導波モードセンサに準じて構成され、検出板91と、光学プリズム97及び光源98で構成される光照射部と、光信号検出部99(撮像デバイス)とで構成される。なお、前記撮像デバイスは、例えば、公知のCCDイメージセンサ等で構成され、2次元画像の取得が可能とされる。
検出板91は、液体試料Sが表面上に導入されるとともに前記表面に対して全反射条件で照射される光Lの照射を受け、前記表面上方に前記近接場光を発生可能な前記全反射検出板で形成される。また、検出板91は、自身で前記液体試料保持部を構成し、前記表面上に液体試料Sが導入された後、液体試料Sを覆うようにカバーガラス92を配することで液体試料Sを保持する。
前記光照射部は、光源98から照射される光Lを光学プリズム97を介して検出板91の前記表面に対して全反射条件で照射可能とされる前記全反射光照射部として構成される。なお、前記全反射光照射部は、例えば前記光学プリズム97に代わり、グレーティングを介して前記検出板91の前記表面に対して全反射条件で前記光源98から照射される光Lを導入する構成とすることもできる。
(実施例1)
実施例1として前記標的物質検出装置(外力支援型センサ)を用いた前記標的物質の偽陽性信号検出試験を次のように行った。
実施例1では、図1に示す第1実施形態の標的物質検出装置10の構成に準じて作製した標的物質検出装置を用いる。ただし、光照射部兼検出部3の光学配置については、図9に示す光学配置を適用している。即ち、実施例1に係る標的物質検出装置では、光照射部兼検出部3(図1(a)参照)に代えて、検出板91、光学プリズム97、光源98及び光信号検出部99(撮像デバイス)で構成される光学系(図9参照)が適用される。
以下では、説明の便宜上、図1(a),(b),図9に示す符号と同一の符号で実施例1に係る標的物質検出装置の各構成部を説明する。
先ず、図9を参照しつつ、説明する。
検出板91としては、厚さ0.725mmのSiO基板上に厚さ33nmのSi層と厚さ333nmのSiO層とをこの順番で積層した平面導波路チップを用いた。また、中央に10mm四方の貫通四角孔を持つ、厚さ1mmのシリコンゴムシートを検出板91の表面上に配置し、前記液体試料保持部を構成した。
光学プリズム97としては、底角35度のSiOガラス製のプリズムを用いた。
光源98としては、出射端の先に500μm幅のエアスリットが配置された緑色LD光源(Thorlabs社、型番CPS532)を用いた。
これら構成部を用い、検出板91の裏面に光学プリズム97を光学的に密着させて配するとともに、検出板91の表面に対して平行な角度で光学プリズム97の入射面に光源98からの光を入射させることとした。
光信号検出部99としては、4倍の対物レンズを備えた光学顕微鏡と、非冷却CMOSカメラ(Basler社製、型番acA1920-40μm)とを用い、つまり、4倍の対物レンズを備えたCMOSカメラを用いることとし、これが検出板91の表面側上方に配される構成とした。
次に、図1(a),(b)を参照しつつ、説明する。
第1磁場印加部4としては、ネオジウム磁石(二六製作所製、NE083)を用い、検出板1(図9における検出板91、以下同じ。)の裏面側において、図1(a)中の矢印Y方向に沿って前記裏面側位置-前記第1離間位置間を移動させる構成とした。なお、ここでは、前記ネオジウム磁石の磁界が前記液体試料保持部に保持される液体試料Sに及ぶ前記裏面側位置を「オン位置」と称し、前記ネオジウム磁石の磁界が前記液体試料保持部に保持される液体試料Sに及ばない前記第1離間位置を「オフ位置」と称する。
第2磁場印加部5としては、前記ネオジウム磁石と同型のものを用い、検出板1の側面側において、図1(a)中の矢印Y方向に沿って前記側面側位置-前記第2離間位置間移動させる構成とした。なお、ここでは、前記ネオジウム磁石の磁界が前記液体試料保持部に保持される液体試料Sに及ぶ前記側面側位置を「オン位置」と称し、前記ネオジウム磁石の磁界が前記液体試料保持部に保持される液体試料Sに及ばない前記第2離間位置を「オフ位置」と称する。
脱磁部6としては、本体の一部分から印加方向が規制された減衰交流磁界(図1(b)参照)を発する脱磁器(ホーザン株式会社製、HC-33)を用い、前記減衰交流磁界が前記液体試料保持部に保持される液体試料Sに及ぶ位置に前記脱磁器が固定配置される構成とした。なお、脱磁部6を固定配置する位置としては、前記脱磁器の第1磁場印加部4及び第2磁場印加部5による着磁を避けるため、これらから発せられる磁界が及ばない位置としている。
前記偽陽性信号検出試験では、次のように液体試料Sを調製した。
先ず、前記磁性粒子としては、50nm径の磁性ビーズ(Ocean Nanotech社製、Streptavidin Super Mag Magnetic Beads,型番SV0050)を用いた。
また、前記光応答性物質としては、60nm径の金ナノ粒子(Cytodiagnostics社製、60nm NHS-Activated Gold Nanoparticle Conjugation Kit,型番CGN10K-60)を用いた。この金ナノ粒子は、光源98による光照射に起因して局在プラズモン共鳴を起こすため、光信号検出部99では、前記局在プラズモン共鳴により増強された前記金ナノ粒子からの散乱光が観測される。
また、前記磁性粒子及び前記光応答性物質を前記標的物質と抗原抗体反応により特異的に結合させる結合物質として、抗ノロウイルスモノクローナル抗体(abcam社製、ab125039)を用いた。
前記磁性粒子、前記光応答性物質及び前記結合物質は、ノロウイルスのウイルス様粒子を前記標的物質として設定した場合の材料例に係るが、前記偽陽性信号検出試験では、前記標的物質を用いずに液体試料Sを調製する。
即ち、前記偽陽性信号検出試験では、前記標的物質を含まない液体試料Sを検出対象として、どの程度、前記磁性粒子及び前記光応答性物質に基づく偽陽性信号が検出されるか確認することを試験目的とし、前記偽陽性信号と区別できない前記標的物質に基づく陽性信号を検出対象に含めないこととする。
具体的に、液体試料Sとしては、それぞれに前記結合物質を結合させた前記磁性粒子及び前記光応答性物質を含む前記検出液(一液)を予め調製し、この検出液を前記標的物質を含まない被検体液(10mM HEPES緩衝液)に混合して調製した。
なお、前記検出液の使用量は、100μLであり、前記検出液中の各材料の濃度は、前記磁性粒子が5μg/Lであり、前記光応答性物質が4μg/Lであり、前記結合物質が5μg/Lである。また、前記被検体液の使用量は、100μLである。また、前記検出液及び前記被検体液の混合液である液体試料Sの調製量は、200μLである。
実施例1における前記偽陽性信号の検出は、次の方法により行った。
先ず、検出板1表面上の前記シリコンゴムシートにおける前記貫通四角孔内に100μLの液体試料Sを導入後、カバーガラス2(図9におけるカバーガラス92)を配して蓋をし、前記液体試料保持部上に液体試料Sを保持させた(液体試料保持工程)。
次に、脱磁部6を励磁(オン)操作し、液体試料Sに前記減衰交流磁界を印加した(減衰交流磁界印加工程)。その後、脱磁部6を消磁(オフ)操作した。
次に、前記液体試料保持部上に保持された液体試料Sを振盪させた(液体試料振盪工程)。
次に、第1磁場印加部4を前記オフ位置から前記オン位置に移動させ、液体試料S中の前記磁性粒子を検出板91の表面上に引き寄せた(第1磁場印加工程)。
次に、第1磁場印加部4を前記オン位置に配したまま、第2磁場印加部5を前記オフ位置から前記オン位置に移動させるとともに、光照射部兼検出部3(図9における光源98及び光信号検出部99)による前記光照射と前記光照射に伴う前記光信号の検出を行い(光照射工程及び光信号検出工程)、第2磁場印加部5からの磁場印加に伴って移動する前記光信号、即ち、前記磁性粒子の凝集体の存在に基づく前記光信号である前記偽陽性信号の検出を行った。
(比較例1)
前記減衰交流磁界印加工程を実施しないこと以外は、実施例1における前記偽陽性信号の検出と同一条件で、比較例1における前記偽陽性信号の検出を行った。
(試験結果)
実施例1及び比較例1における前記偽陽性信号の各検出結果を図10,図11に示す。図10が実施例1における前記偽陽性信号の検出結果を示す図であり、図11が比較例1における前記偽陽性信号の検出結果を示す図である。
ここで、図10,図11として示される各画像は、ともに第2磁場印加部5からの磁場印加に伴って移動する前記光信号を0.3秒間隔で140回撮像した二次元画像(撮像画像)に対し、画像処理を行って、移動する前記光信号の軌跡を表示した画像に係り、移動する前記光信号(軌跡で表示される前記光信号)が検出対象となる前記偽陽性信号に該当する。
前記画像処理は、前記偽陽性信号に着目し易くする目的で行うものであり、具体的には、次の通りである。
先ず、140回目の前記撮像画像に対する1回目~140回目の前記撮像画像との差分画像140枚を作成する。前記撮像画像において、前記光信号は、黒地にグレースケールで表されており、強度が強いほど高い明度で表される。前記差分画像は、1回目~140回目の前記撮像画像のそれぞれの明度に対し、140回目の前記撮像画像の明度を減算したものであり、減算結果が0を下回るものは明度0(黒)として扱う。減算結果が正のものは、閾値を超えない場合は、明度0(黒)として扱い、閾値を超える場合は、撮像回数に応じた明度(撮像回数が大きいほど明度大、1回目でほぼ黒(明度0より大)、140回目で白(明度最大))として扱う。これにより、1~139回目の前記撮像画像に対応する前記差分画像では、140回目の前記撮像画像で観測される前記光信号と同じ場所で観測される前記光信号が減算により明度0(黒)として前記黒地に吸収され、140回目の前記撮像画像で観測される前記光信号とは異なる場所で観測される前記光信号のみが示されることになる。なお、140回目の前記撮像画像に対応する前記差分画像は、同一の画像同士での減算となるため、全ての画素が明度0(全面黒)として扱われる。
次に、1回目~140回目に対応する前記差分画像に対して、1回目に対応する前記差分画像から順に重ね合わせを行う。この時、同一位置の画素間比較で、より明度が高いものを表示する処理を行う。この処理により、移動するタイプの前記光信号は、進行方向に向かって次第に明度が大きくなる連続乃至断続的な軌跡として重ね合わせ画像に抽出される。一方、移動しないタイプの前記光信号は、140枚の前記差分画像の全てにおいて明度0(黒)と扱われ、前記重ね合わせ画像に表示されない。結果として、前記重ね合わせ画像では、移動するタイプの前記光信号のみが時間経過(撮像順番)に応じた明度で表示される。
以上の手順で、前記光信号の移動の軌跡が表示された図10,11に示す各画像を作成し、比較対象に用いる。
ただし、ブラウン運動などによって浮き沈み(焦点ずれ)を起こして140回目の前記撮像画像で撮像されない前記光信号が存在するため、図10,図11では、一部の移動しない前記光信号も表示される結果となっている。
なお、各図右端のグラデーションバーは、前記撮像順番に対応する前記光信号の表示色(明度)を示している。また、図10,図11として示される各画像の視野は、大凡、3.1mm×2.5mmである。また、図10,図11として示される各画像では、移動する前記光信号の軌跡が、大凡、図の上方向に向かう形で示されているが、これは、図の上方向の位置に第2磁場印加部5の前記オン位置が存在するためである。
実施例1及び比較例1における前記偽陽性信号の各検出結果を比較説明する。
先ず実施例1おける前記偽陽性信号の検出では、図10から確認されるように、6個の図中上方向へ移動する前記光信号の軌跡が確認される。
次に、比較例1おける前記偽陽性信号の検出では、図11から確認されるように、16個の図中上方向へ移動する前記光信号の軌跡が確認される。
ここで、実施例1及び比較例1における前記偽陽性信号の各検出では、200μL調製した同一の液体試料Sを100μLずつ分けて検出を行っており、両者の差は、前記減衰交流磁界印加工程の実施の有無に起因する。
また、移動する前記光信号の軌跡は、第2磁場印加部5に向かう方向のものであることから、前記光応答性物質を取り込んで凝集した前記磁性粒子の凝集体に基づくものと結論付けることができ、前記標的物質と無関係に発生する前記偽陽性信号であるといえる。
同一の液体試料Sを用いた検出でありながら、実施例1における前記偽陽性信号の検出では、比較例1における前記偽陽性信号の検出よりも、前記偽陽性信号の検出数を大幅に低減することができており、実施例1における前記脱磁工程が前記磁性粒子の凝集体を効果的に解体したと評価することができ、延いては、効率良く前記標的物質検出の精度及び安定性の向上に寄与すると評価することができる。
1,21,31,41,51,61,71,81,91 検出板
2,22,32,42,52,62,72,82,92 カバーガラス
3,23,33,43,53,63,73,83 光照射部兼検出部
4,24,44,74,84 第1磁場印加部
5,25,45,75,85 第2磁場印加部
6,26,36,46,56,66,76,86 脱磁部
10,20,30,40,50,60,70,80 標的物質検出装置
120,150 回転軸
121,151 回転モータ
122,152 裏面側回転テーブル
123 ウォーム
124 ウォーム歯車
125 リフタ
126,141 ラック部
142 回転ギア
153 側面側回転テーブル

Claims (9)

  1. 標的物質と結合体を形成する磁性粒子及び光応答性物質を含む液体試料が表面上に導入されるとともに光の照射を受けて伝搬光及び近接場光のいずれかの検出光を生じさせる検出板が配され、かつ、前記液体試料が前記検出板の表面上に保持可能とされる液体試料保持部と、
    前記検出板に前記光を照射して前記検出光を生じさせる光照射部と、
    前記検出板の裏面側位置と前記裏面側位置から前記検出板に対して遠ざかる方向に離間した第1離間位置との間で移動可能とされる永久磁石を有し、前記裏面側位置に位置した状態で前記液体試料保持部に保持された前記液体試料中の前記結合体を前記検出板の表面に移動させる第1磁場印加部と、
    前記検出板の表面側位置、側面側位置及び前記裏面側位置のいずれかの位置である磁場印加位置と前記磁場印加位置から前記検出板に対して遠ざかる方向に離間した第2離間位置との間で移動可能とされる永久磁石を有し、前記磁場印加位置に位置した状態で前記液体試料保持部に保持された前記液体試料中の前記結合体を前記検出板の表面の面内方向と平行な方向のベクトル成分を持つ方向に移動させる第2磁場印加部と、
    前記液体試料保持部に保持された前記液体試料中の前記磁性粒子を減衰交流磁界の印加により脱磁させる電磁石を有する脱磁部と、
    を有することを特徴とする標的物質検出装置。
  2. 脱磁部が前記脱磁部の一部分から液体試料保持部に保持された液体試料に向かう方向に印加方向が規制された減衰交流磁界を印加可能とされる請求項1に記載の標的物質検出装置。
  3. 脱磁部が検出板の裏面側及び側面側のいずれかの位置である脱磁位置と前記脱磁位置から検出板に対して遠ざかる方向に離間した非脱磁位置との間で移動可能とされる請求項1から2のいずれかに記載の標的物質検出装置。
  4. 第2磁場印加部の磁場印加位置が側面側位置とされる請求項1から3のいずれかに記載の標的物質検出装置。
  5. 回転軸と、前記回転軸に軸支され前記回転軸の回動により表面上に配される第1磁場印加部が裏面側位置と第1離間位置との間を移動するように回動可能とされる裏面側回転テーブルと、前記回転軸の回動と連動して可動され取付けられる第2磁場印加部が側面側位置と第2離間位置との間を移動するように前記第2磁場印加部を運搬可能とされる連動キャリアと、を有する請求項4に記載の標的物質検出装置。
  6. 裏面側回転テーブルの表面上において、第1磁場印加部の第1離間位置に脱磁部が配され、かつ、前記脱磁部の非脱磁位置に前記第1磁場印加部が配される請求項5に記載の標的物質検出装置。
  7. 検出板の裏面側位置と前記裏面側位置から前記検出板の表面の面内方向と平行な方向のベクトル成分を持つ方向に離間した検出位置と前記裏面側位置から前記検出板に対して遠ざかる方向に離間した第1離間位置との間を移動可能とされる永久磁石を有し、第1磁場印加部と第2磁場印加部として作用する1つの一体型磁場印加部が配される請求項1から3のいずれかに記載の標的物質検出装置。
  8. 一体型磁場印加部と脱磁部とが離間して配されるとともに前記検出板の表面の面内方向と平行な方向に延在されるレール部材が検出板の裏面側に配され、前記レール部材自身の延在方向に沿った移動又は連結部材により連結された状態の前記一体型磁場印加部及び前記脱磁部の前記延在方向に沿ったスライド移動により、前記一体型磁場印加部が裏面側位置と検出位置と第1離間位置との間を移動可能とされるとともに前記脱磁部が前記裏面側位置である脱磁位置と前記脱磁位置から前記検出板に対して遠ざかる方向に離間した非脱磁位置との間で移動可能とされる請求項7に記載の標的物質検出装置。
  9. 回転軸と、前記回転軸に軸支され前記回転軸の回動により表面上に配される一体型磁場印加部が裏面側位置と検出位置と第1離間位置との間を移動するように回動可能とされるとともに脱磁部が前記裏面側位置である脱磁位置と前記脱磁位置から検出板に対して遠ざかる方向に離間した非脱磁位置との間で移動可能とされる裏面側回転テーブルとを有し、前記裏面側回転テーブルの表面上において、前記一体型磁場印加部の前記第1離間位置に前記脱磁部が配され、かつ、前記脱磁部の前記非脱磁位置に前記一体型磁場印加部が配される請求項7に記載の標的物質検出装置。

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