JP7245691B2 - 樹脂粒子及び樹脂粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は、樹脂粒子及び樹脂粒子の製造方法に関する。
親水性の重合体を含む微粒子は、様々な分野で使用されている。特に、親水性の高いグリセロール(メタ)アクリレート等の単量体に由来する構造単位を含む共重合体は、生体適合性に優れ、細胞やタンパク質などの吸着を抑制する効果が知られており、抗体、抗原等の検査用プローブ、化粧料等として用いられている(特許文献1~3)。
特開2007-246858号公報 特開2007-211076号公報 特開2007-119374号公報
ここで、親水性の重合体を含む粒子の用途の一つとして、摺動性の乏しい樹脂等に配合又は表面に塗布することにより、樹脂の摺動性を高める摺動性付与剤としての用途がある。樹脂製品は、例えば、ピストン等の高い摺動性が求められる多くの分野で使用されることから、樹脂により高い摺動性を付与できる摺動性付与剤が求められている。
本開示は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、樹脂製品により高い摺動性を付与できる樹脂粒子、及びそのような樹脂粒子の製造方法を提供することを目的とする。
本開示の樹脂粒子は、下記式(I)で表される構造単位(A)を含む重合体を含有する。
Figure 0007245691000001

(式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、Rは、-O-又は-NH-を表し、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表す。)
上記重合体が、重合体の総量に対して、構造単位(A)を30質量%以上含むと好ましい。
上記重合体が、更に、下記式(III)で表される構造単位(C)を含むと好ましい。
Figure 0007245691000002

(式(III)中、R11は、水素原子又はメチル基を表し、R12は、炭素数2~5のアルキレン基を表し、nは、1以上の数である。)
上記重合体が架橋剤に由来する構造単位を含むと好ましい。
上記樹脂粒子が1~100μmの平均粒子径を有すると好ましい。
上記重合体が、更に下記式(II)で表される構造単位(B)を含み、上記重合体は、当該重合体の総量に対して、構造単位(A)及び構造単位(B)を合計で30質量%以上含み、構造単位(B)100モル%に対する構造単位(A)の比が10モル%以下であると好ましい。
Figure 0007245691000003
上記重合体が、当該重合体の総量に対して、構造単位(A)及び構造単位(B)を合計で30質量%以上含むと好ましい。
本開示の分散体は、水性媒体に分散された上記樹脂粒子を含む分散体である。
本開示の樹脂粒子の製造方法は、上記樹脂粒子を酸によって処理する工程を含む。
本開示は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、樹脂製品により高い摺動性を付与できる樹脂粒子、及びそのような樹脂粒子の製造方法を提供することを目的とする。
本開示の樹脂粒子は、下記式(I)で表される構造単位(A)を必須の構造単位として含む重合体を含有する。
Figure 0007245691000004

(式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、Rは、-O-又は-NH-を表し、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表す。)
及びRのアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、1-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、2-メチルブチル基、1,1-ジメチルプロピル基、3-メチルブチル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基が挙げられる。なお、Rが水素原子又は炭素数1~5のアルキル基であり、且つRが水素原子又は炭素数2~5のアルキル基であると好ましい。
重合体は、当該重合体の総量に対して、構造単位(A)を30質量%以上含むと好ましく、50質量%以上含むと好ましく、70質量%以上含むと更に好ましい。
重合体は、更に下記式(II)で表される構造単位(B)を含んでいてよい。構造単位(B)は、構造単位(A)のジオキソラン環を加水分解することにより得ることができる。
Figure 0007245691000005

(式(II)中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、Rは、-O-又は-NH-を表す。)
重合体が構造単位(B)を含む場合、樹脂粒子の分散性を更に高める観点から、構造単位(B)100モル%に対する構造単位(A)の比が10モル%以下であると好ましく、7モル%以下であるとより好ましく、5モル%以下であると更に好ましい。また、構造単位(B)100モル%に対する構造単位(A)の比が0.1モル%以上であると好ましい。
重合体が、当該重合体の総量に対して、構造単位(A)及び構造単位(B)を合計で30質量%以上含むと好ましく、50質量%以上含むと好ましく、70質量%以上含むと更に好ましい。
重合体は、更に、下記式(III)で表される単量体に由来する構造単位(C)を含むと好ましい。
Figure 0007245691000006

(式(III)中、R11は、水素原子又はメチル基を表し、R12は、炭素数2~5のアルキレン基を表し、nは、1以上の数である。)
12のアルキレン基の炭素数は、2~4が好ましく、2又は3がより好ましい。nは、1であってもよいが、1より大きくてもよい。nが1より大きい場合、nは、アルキレンオキサイド基(すなわち、式(III)における-R12-O-)の平均付加モル数であってよく、2~100であることが好ましく、2~50であることが好ましい。なお、1つの構造単位(C)中に複数のR12が存在する場合、R12は、単一のアルキレン基のみを含んでいてもよく、2以上のアルキレン基を含んでいてもよい。
式(III)において、nが1である化合物としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
重合体における構造単位(C)の含有量は、特に制限されないが、重合体の総量に対して、0.1~30質量%であると好ましく、1~20質量%であるとより好ましく、3~15質量%であると更に好ましい。
なお、本開示の重合体は、ポリエチレンオキシド基(すなわち、-O-(CHCHO)-H基、mは、例えば2以上であってよく、2~150であってよい。)を含まなくてもよい。重合体におけるポリエチレンオキシド基の含有量は、重合体100質量部に対して、0.1質量部未満であってよく、0.07質量部以下であってよく、0.05質量部以下であってよく、0.03質量部以下であってよく、実質的に0質量部であってよい。
本開示の重合体は、架橋剤に由来する構造単位を含んでいてもよい。架橋剤としては、特に限定されないが、分子内に二つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物が挙げられ、具体的には、多官能(メタ)アクリル酸アミド、多官能(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ポリビニル化合物等が挙げられる。言い換えれば、重合体は、多官能(メタ)アクリル酸アミド、多官能(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ポリビニル化合物等の分子内に分子内にエチレン性不飽和基を二つ以上有する化合物に由来する構造単位を有していてよい。架橋剤は、1種又は2種以上を使用できる。
多官能(メタ)アクリル酸エステルとしては、エチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、デンドリマーアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等が挙げられる。
また、多官能(メタ)アクリル酸エステルとしては、上記の化合物以外にも下記式(IV)の化合物も挙げることができる。
Figure 0007245691000007

(式(IV)中、R21及びR22は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、rは、2~10の整数を表し、R23は、炭素数2又は3のアルキレン基を表す。)
式(IV)中、rは、2~7が好ましく、3~5がより好ましい。
式(IV)の化合物としては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリル酸アミドとしては、N,N’-メチレンビスアクリルアミド等が挙げられる。
芳香族ポリビニル化合物としては、ジビニルベンゼンが挙げられる。
上記重合体における、架橋剤に由来する構造単位の含有量は、重合体の総量に対して、0.5~20質量部であると好ましく、1~10質量部であるとより好ましい。
重合体は、上記構造単位(A)~(C)及び上記架橋剤に由来する構造単位のいずれでもないその他の構造単位(D)を含んでいてもよい。その他の構造単位としては、カルボキシル基を有する単量体に由来する構造単位、芳香族ビニル単量体に由来する構造単位、ビニル基を有するアミド化合物に由来する構造単位、ビニルエステル化合物に由来する構造単位、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位等が挙げられる。
カルボキシル基を有する単量体としては、エチレン性不飽和基及びカルボキシル基を含む単量体であってよく、モノカルボン酸類、ジカルボン酸類、ジカルボン酸モノエステル類等を挙げることができる。より具体的には、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、けい皮酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、無水イタコン酸、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル、ビニル安息香酸、シュウ酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリルオキシメチルアクリル酸等の環化重合性不飽和カルボン酸などを挙げることができる。これらは1種又は2種以上を適宜選択し用いることができる。
芳香族ビニル単量体としては、スチレン及びその誘導体が挙げれられ、具体的には、スチレン、α-メチルスチレン、ハロゲン化スチレン等が挙げられる。また、ビニル基を有するアミド化合物としては、(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド及びその誘導体、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-5-メチルピロリドン、N-ビニルピペリドン、N-ビニル-ε-カプロラクタム、1-(2-プロペニル)-2-ピペリドン等のビニル基及び環状アミド基を有する化合物、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド等のビニル基及び環状アミド基を有する化合物などが挙げられる。ビニルエステル化合物としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位としては、以下の式(V)で表される構造単位が挙げられる。
Figure 0007245691000008

(式(V)中、R31は、水素原子又はメチル基を表し、R32は、炭素数1~30の炭化水素基を表す。)
32の炭化水素基としては、直鎖のアルキル基、分岐鎖のアルキル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。R32の炭素数は、1~20であってよく、1~18であってよい。R32としては、より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2-エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基、イソボルニル基等が挙げられる。
重合体における構造単位(D)の含有量は、重合体の総量に対して、40質量%未満であると好ましく、35質量%以下であると好ましく、25質量%以下であると更に好ましく、10質量%以下であるとより更に好ましく、5質量%以下であると特に好ましい。重合体は、構造単位(D)を含まなくてもよい。
また、本開示の重合体は、重合体を懸濁重合等の単量体の水分散体から合成する際に、重合途中の重合体に疎水性を付与しなくても分散性が良好であることから、式(V)で表される構造単位の含有量を少なくする、又は含まないようにすることができる。式(V)で表される構造単位の含有量は、重合体の総量に対して、40質量%未満であると好ましく、35質量%以下であると好ましく、25質量%以下であると更に好ましく、10質量%以下であるとより更に好ましく、5質量%以下であると特に好ましい。
重合体における構造単位(A)、(B)及び(C)の含有量の合計は、重合体の総量に対して、60質量%より大きいと好ましく、65質量%以上であると好ましく、75質量%以上であると更に好ましく、90質量%以上であるとより更に好ましく、95質量%以上であると特に好ましい。
本開示の樹脂粒子は、上記重合体以外の有機樹脂粒子、又は無機酸化物粒子を含んでいてもよく、無機酸化物粒子を含むことが好ましい。この場合、上記重合体は、樹脂粒子の表面に露出していることが好ましい。また、上記重合体と有機樹脂粒子又は無機酸化物粒子との間には共有結合が形成されていてよい。有機樹脂粒子、又は無機酸化物粒子は、例えば、有機樹脂粒子、又は無機酸化物粒子をシード粒子としたシード重合により樹脂粒子中に導入することができる。
有機樹脂粒子としては、特に制限はないが、ポリスチレン等のスチレン系共重合体、メチルメタクリレート等のアクリル系共重合体が挙げられる。
無機酸化物粒子としては、特に制限はないが、非磁性の無機酸化物が好ましく、具体的には、ケイ素酸化物を含む無機酸化物粒子が好ましい。
樹脂粒子における上記有機樹脂粒子、及び無機酸化物粒子の含有量は、重合体100質量部に対して、1~30質量部であると好ましく、2~20質量部であるとより好ましく、5~15質量部であると更に好ましい。
樹脂粒子の平均粒子径は、1~100μmであると好ましく、2~100μmであるとより好ましく、5~100μmであると更に好ましく、5~50μmであると特に好ましい。樹脂粒子の平均粒子径は、個数平均粒子径であってよい。また、樹脂粒子の平均粒子径は、コールターカウンター等により測定することができ、そのような測定を行うための装置としては、ベックマンコールター社製「コールターマルチサイザーIII型」等が挙げられる。樹脂粒子の平均粒子径は、レーザー回折、動的光散乱、電子顕微鏡等によっても測定することができる。
なお、樹脂粒子の粒子径についての変動係数(CV値、粒子径の標準偏差を個数平均粒子径で除したもの)は、1~20%が好ましく、1~10%がより好ましい。
<樹脂粒子の製造方法>
本開示の樹脂粒子は、特に制限されないが、例えば、下記式(IA)で表される単量体(A)を含む単量体組成物を重合することによって得ることができる。
Figure 0007245691000009

(式(IA)中、R~Rは、それぞれ式(I)のR~Rと同じ意味である。)
また、単量体組成物は、必要に応じて、下記式(IIIA)の単量体、架橋剤、構造単位(D)を導入するための単量体を含んでいてよい。なお、式(IIIA)の単量体は、重合体に式(III)の構造単位を導入するための単量体である。単量体組成物における各単量体及び架橋剤の含有量は、所望の樹脂粒子における重合体の組成に応じて適宜調整することができる。
Figure 0007245691000010

(式(IIIA)中、R11及びR12は、それぞれ式(III)のR11及びR12と同じ意味である。)
単量体組成物を重合させる際には、重合開始剤を用いることができる。
重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤(特に熱重合開始剤)が好ましく、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、オクタノイルパーオキシド、オルトクロロベンゾイルパーオキシド、オルトメトキシベンゾイルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、シクロヘキサノンパーオキサイド、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(商品名:パーヘキシルO(登録商標))、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(商品名:パーヘキサHC(登録商標))、クメンヒドロパーオキシド、t-ブチルヒドロパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド等の過酸化物系重合開始剤;2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,3-ジメチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス-(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,3,3-トリメチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-イソプロピルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリン酸)、ジメチル-2,2’-アゾビスイソブチレート等のアゾ化合物系重合開始剤;が挙げられる。
これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用いてもよい。
重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、通常、樹脂粒子の重合体の原料モノマー100質量部あたり、好ましくは0.001~20質量部、より好ましくは0.01~10質量部である。
単量体組成物の重合方法としては、特に制限はないが、粒子径の揃った樹脂粒子が得られやすいことから、乳化重合、ソープフリー重合、懸濁重合、シード重合等の方法が挙げられる。
シード重合の場合、上述の有機樹脂粒子、無機酸化物粒子をシード粒子として用いることにより、樹脂粒子を得ることができる。シード重合に用いる無機酸化物粒子としては、例えば、形成される重合体と共有結合を形成できる観点から、エチレン性不飽和基を有する無機酸化物粒子が好ましく、エチレン性不飽和基を有するポリシロキサン粒子がより好ましい。
エチレン性不飽和基を有するポリシロキサン粒子は、例えば、エチレン性不飽和基と加水分解性基を有するシラン化合物を成分として用いてポリシロキサン粒子を合成することにより得ることができる。このようなポリシロキサン粒子を合成した場合、ビニル基をポリシロキサン粒子の表面及び内部に導入することができる。このようなポリシロキサン粒子を用いてシード重合を行った場合、ポリシロキサン粒子の内部に吸収された単量体とポリシロキサン粒子に導入されたビニル基との反応がポリシロキサン粒子全体にわたって起こるため、均一な組成の粒子が得られやすい。ポリシロキサン粒子を合成する際に、エチレン性不飽和基と加水分解性基を有するシラン化合物のみを用いてもよいが、テトラメトキシシラン、トリエトキシシラン等の、エチレン性不飽和基を有さず、加水分解性基を有するシラン化合物を併用してもよい。
エチレン性不飽和基と加水分解性基を有するシラン化合物としては、例えば、下記式(VI)の化合物が挙げられる。
(R41Si(R424-l-m・・・(VI)
(式(VI)中、R41はビニル基を有する有機基であり、R42は、炭素数1~5のアルキル基とフェニル基とからなる群から選ばれた少なくとも1つの1価の基であり、Xは加水分解性基である。lは、1又は2であり、mは、0又は1である。)
41としては、ビニル基、又は下記式(VIa)で表される基が好ましい
CH=C(R)C(O)OR-・・・(VIa)
(式(VIa)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは、共有結合又は置換基を有していても良い炭素数1~20の2価の有機基である。)
Xの加水分解性基としては特に制限はないが、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1~5のアルキル基を有するアルコキシ基、炭素数2~5のアルキル基を有するアシル基等が挙げられる。
式(VI)で表される化合物としては、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリアセトキシシラン、γ-メタクリロキシエトキシプロピルトリメトキシシラン(または、γ-トリメトキシシリルプロピル-β-メタクリロキシエチルエーテルともいう)、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等を挙げることができる。
なお、無機酸化物粒子としては、シリカ等の無機酸化物基材粒子の存在下で式(VI)で表される化合物の加水分解を行い、当該無機酸化物基材粒子の表面にエチレン性不飽和基を導入したものを用いることもできる。
シード重合を行う場合、まず、シード粒子が分散しており、乳化剤を含む水溶液を用意する。無機酸化物粒子が上述のエチレン性不飽和基を有するポリシロキサン粒子である場合、乳化剤を含む水溶液中で式(VI)の化合物に加水分解及び縮合反応を行ってもよいが、式(VI)の化合物に加水分解及び縮合反応を行った後に得られた分散液に乳化剤を添加してもよい。
そして、各単量体、架橋剤、重合開始剤等を上記水溶液に添加し、単量体組成物が分散した乳濁液を得る。乳濁液において、シード粒子に十分に単量体組成物を吸収させた上で、重合を開始し、樹脂粒子を得ることができる。なお、各単量体等を上記水溶液に直接添加してもよいが、予め、単量体組成物を分散させた乳化液を用意し、当該乳化液を上記水溶液に添加してもよい。
乳化剤としては、特に限定はなく、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤等のすべての界面活性剤を使用することができる。
アニオン系界面活性剤としては、具体的には、例えば、ナトリウムドデシルサルフェート、カリウムドデシルサルフェート等のアルカリ金属アルキルサルフェート;アンモニウムドデシルサルフェート等のアンモニウムアルキルサルフェート;ナトリウムドデシルポリグリコールエーテルサルフェート;ナトリウムスルホリシノエート;スルホン化パラフィンのアルカリ金属塩、スルホン化パラフィンのアンモニウム塩等のアルキルスルホネート;ナトリウムラウリレート、トリエタノールアミンオレエート、トリエタノールアミンアビエテート等の脂肪酸塩;ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、アルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカリ金属サルフェート等のアルキルアリールスルホネート;高アルキルナフタレンスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ジアルキルスルホコハク酸塩;ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩等を挙げることができる。
ノニオン系界面活性剤としては、具体的には、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;グリセロールのモノラウレート等の脂肪酸モノグリセライド;ポリオキシエチレンオキシプロピレン共重合体;エチレンオキサイドと脂肪族アミン、アミド又は酸との縮合生成物等が使用できる。
高分子界面活性剤としては、具体的には、例えば、ポリビニルアルコール;ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸カリウム、ポリ(メタ)アクリル酸アンモニウム、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレート;ポリヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;ポリビニルピロリドン;又はこれらの重合体の構成単位である重合性単量体の二種以上の共重合体又は他の単量体との共重合体等が挙げられる。また、クラウンエーテル類等の相間移動触媒は界面活性を示すので、界面活性剤として使用してもよい。
反応性界面活性剤としては、分子中に1個以上の重合可能な炭素-炭素不飽和結合を有するものが挙げられ、具体的には、例えば、プロペニル-2-エチルヘキシルベンゼンスルホコハク酸エステルナトリウム、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンの硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルエーテル硫酸アンモニウム塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンエステルのリン酸エステル、ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート化硫酸エステルアンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩の構造を有し、かつプロペニル基、イソプロペニル基、アリル基、アクリレート基、メタクリレート基等の重合性を有するもの等のアニオン性反応性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルベンゼンエーテル(メタ)アクリル酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(メタ)アクリル酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルの構造を有し、かつイソプロペニル基、アリール基等の重合性を有するもの等のノニオン性反応性界面活性剤等が挙げられる。これら界面活性剤の使用は、1種のみの使用であっても、また2種以上の併用であってもよい。
得られた樹脂粒子には、酸処理を行ってもよい。酸処理を行うことによって、樹脂粒子における構造単位(A)が有するジオキソラン環を加水分解して樹脂粒子中に構造単位(B)を生じさせることができる。
ここで、下記式(IIA)で表される単量体(B)を含む単量体組成物を重合することによって、構造単位(B)を有する重合体を得ることもできるが、単量体(B)は、水に対する溶解度が非常に高いため、乳化重合等の水分散体を使用する方法で重合体を製造することが困難であった。そのため、単量体(B)を含む単量体組成物、特に単量体(B)の含有量の大きい単量体組成物から乳化重合等の一般的な微粒子の製造方法により微粒子を得ることが困難であったため、構造単位(B)を含む微小な樹脂粒子の製造は困難であった。
一方、単量体(A)は、水に対する溶解度がそれほど高くないため、乳化重合等の一般的な微粒子の製造方法を首尾よく行うことができる。そして上述のとおり、構造単位(A)は、酸処理を行うことによって、容易に構造単位(B)を生じさせることができる。また、酸処理の条件(pH、反応温度、反応時間など)を変更することにより、樹脂粒子に含まれる構造単位(A)と構造単位(B)との比率を容易に変化させることができるため、樹脂粒子の親水性の調節を適切に行える。
Figure 0007245691000011
なお、上記単量体組成物に単量体(B)を含ませることにより、直接構造単位(B)を重合体に導入することもできるが、単量体組成物は、単量体(B)を含まなくてもよい。
本開示の樹脂粒子は、樹脂製品、無機物の基材等の摺動性を改善することができる。そのため、本開示の樹脂粒子は、摺動性付与剤として使用することができる。樹脂製品に含まれる母材樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂が挙げられる。摺動性付与剤は、樹脂製品中に配合してもよく、その場合、母材樹脂の溶液に本開示の樹脂粒子又は本開示の樹脂粒子の分散液を添加し、樹脂フィルム(ポリエチレンテレフタレート(PET)等)などの支持体上に塗布して乾燥する方法、溶融した母材樹脂に本開示の樹脂粒子を添加して混錬する方法等により本開示の樹脂粒子を配合することができる。
また、摺動性付与剤は、樹脂製品、無機物の基材等の表面に固定することによっても使用することができる。例えば、摺動性を付与したい材料の表面に直接本開示の樹脂粒子を散布する方法、材料表面に接着剤層を形成し、当該接着剤層上に本開示の樹脂粒子を散布する方法、材料表面を改質し、改質された表面上に本開示の樹脂粒子を散布する方法等により、本開示の樹脂粒子を材料表面に物理的又は化学的に結合させることもできる。また、樹脂粒子の散布に代えて、樹脂粒子を水性媒体等に分散させた分散体を材料表面に塗布してもよい。無機物の基材上としては、ガラス、セラミックス、金属等が挙げられる。
また、本開示の樹脂粒子は、親水性が高い、又は酸処理によって容易に親水性を高めることができるため、親水性付与剤としても使用できる。本開示の樹脂粒子を親水性付与剤に使用する場合、摺動性付与剤として使用する場合と同様の方法で樹脂製品中に配合する、又は樹脂製品、無機物の基材等の表面に樹脂粒子を固定化することにより使用することができる。
本開示の樹脂粒子は、水への分散性が高い、又は酸処理によって容易に水への分散性を高めることができるため、分散性の高い水性分散体を容易に得ることができる。水性分散体は、本開示の樹脂粒子を水性媒体に添加して調製してもよい。本開示の樹脂粒子の分散性をより高めるため、水性媒体に分散剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(第一工業製薬ハイテノールNF-08など)、ポリビニルアルコール等)を配合してもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前記及び後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
1.物性測定方法
各種物性の測定は以下の方法で行った。
<シード粒子および樹脂粒子の個数平均粒子径及び変動係数(CV値)>
樹脂粒子の場合には、樹脂粒子0.1部に、乳化剤であるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬株式会社製「ハイテノール(登録商標)N-08」)の1%水溶液20部を加え、超音波で10分間分散させた分散液を測定試料とした。シード粒子の場合には、加水分解、及び縮合反応で得られた分散液をポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬株式会社製「ハイテノール(登録商標)N-08」)の1%水溶液により希釈したものを測定試料とした。各測定試料について、粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製、「コールターマルチサイザーIII型」)を用いてコールター原理により、30000個の粒子の粒子径(μm)を測定し、個数平均粒子径を求めた。また樹脂粒子については、個数平均粒子径とともに個数基準での粒子径の標準偏差をも求め、下記式に従って粒子径の変動係数(CV値)を算出した。
粒子の変動係数(%)=100×(粒子径の標準偏差/個数平均粒子径)
2-1.樹脂粒子の作製
製造例1
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、イオン交換水627部と、25%アンモニア水2.1部、メタノール386部を入れ、攪拌下、滴下口から3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、「KBM503」)100部を添加して、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの加水分解、及び縮合反応を行って、メタクリロイル基を有するポリシロキサン粒子(重合性ポリシロキサン粒子)の乳濁液を調製した。反応開始から2時間後、得られたポリシロキサン粒子の乳濁液をサンプリングし、粒子径を測定したところ、個数平均粒子径は8.01μmであった。
次いで、乳化剤としてポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製、「ハイテノール(登録商標)NF-08」)の20%水溶液25部をイオン交換水1000部で溶解した溶液に、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレート(大阪有機化学工業社製、「MEDOL-10」)810部、トリエチレングリコールジメタクリレート(「3EG」とも呼ぶ)90部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(「HEMA」とも呼ぶ)100部、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製、「V-65」)25部を溶解した溶液を加え、乳化分散させて単量体成分の乳化液を調製した。
得られた乳化液を、重合性ポリシロキサン粒子の乳濁液中に添加して、さらに攪拌を行った。乳化液の添加から1時間後、混合液をサンプリングして顕微鏡で観察を行ったところ、重合性ポリシロキサン粒子が単量体を吸収して肥大化していることが確認された。
次いで、ポリビニルアルコール(クラレ社製、「ポバールPVA-205」)の10%水溶液1250部、イオン交換水1360部を加え、窒素雰囲気下で反応液を65℃まで昇温させて、撹拌継続下、窒素雰囲気下で2時間保持することにより単量体成分のラジカル重合を行った。ラジカル重合後の乳濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、メタノールで洗浄した後、40℃で12時間真空乾燥させて樹脂粒子No.1を得た。
製造例3
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、イオン交換水356部と、25%アンモニア水1.2部、メタノール219部を入れ、攪拌下、滴下口から3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、「KBM503」)100部を添加して、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの加水分解、及び縮合反応を行って、メタクリロイル基を有するポリシロキサン粒子(重合性ポリシロキサン粒子)の乳濁液を調製した。反応開始から2時間後、得られたポリシロキサン粒子の乳濁液をサンプリングし、粒子径を測定したところ、個数平均粒子径は7.98μmであった。
次いで、乳化剤としてポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製、「ハイテノール(登録商標)NF-08」)の20%水溶液25部をイオン交換水1000部で溶解した溶液に、シクロヘキシルメタクリレート(「CHMA」とも呼ぶ)980部、トリエチレングリコールジメタクリレート20部、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製、「V-65」)25部を溶解した溶液を加え、乳化分散させて単量体成分の乳化液を調製した。
得られた乳化液を、重合性ポリシロキサン粒子の乳濁液中に添加して、さらに攪拌を行った。乳化液の添加から1時間後、混合液をサンプリングして顕微鏡で観察を行ったところ、重合性ポリシロキサン粒子が単量体を吸収して肥大化していることが確認された。
次いで、ポリビニルアルコール(クラレ社製「ポバールPVA-205」)の10%水溶液1250部、イオン交換水1860部を加え、窒素雰囲気下で反応液を65℃まで昇温させて、撹拌継続下、窒素雰囲気下で2時間保持することにより単量体成分のラジカル重合を行った。ラジカル重合後の乳濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、メタノールで洗浄した後、40℃で12時間真空乾燥させて樹脂粒子No.2を得た。
(製造例2及び4)
イオン交換水、メタノール、アンモニア水の量を適宜変更して表1に示すとおりの個数基準の平均粒子径のポリシロキサン粒子を作製し、吸収モノマーの種類と使用量を表1に示すとおりに変更したこと以外は製造例1と同様にして、樹脂粒子2及び4を得た。樹脂粒子の粒子径、及び変動係数(CV値)は、表1に示すとおりであった。なお、表1において「iPGL-A」は、イソプロピリデングリセロールアクリレート[(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレート]を意味する。
Figure 0007245691000012
<粒子の酸処理>
製造例で作製した各樹脂粒子1部を1M塩酸100部に加え、5分間超音波分散させた後、1時間撹拌してジオキソラン環の加水分解を行った。樹脂粒子をろ別した後、イオン交換水100部に再分散させて洗浄を行い、再度ろ別した粒子を40℃で12時間真空乾燥させた。
<ジオキソラン環の加水分解の程度>
酸処理の前後で樹脂粒子の固体13C-NMR測定を行い、ジオキソラン環の加水分解の程度を見積もった。具体的には、酸処理の前後で、酸処理により変化を受けないカルボニル炭素に由来するピーク(180ppm付近)の積分強度を1とした時のジオキソラン環の2位の炭素のピーク(110ppm付近)の積分強度を測定した。
酸処理後のジオキソラン環の残存量(すなわち、構造単位(II)100モル%に対する構造単位(I)のモル%)を表2に示す。
なお、固体13C-NMRの測定条件は以下のとおりである。
測定装置:ブルカー社 AVANCEIII
測定核周波数:150.9MHz(13C周波数)
標準物質:外部標準(グリシン)
測定法:DD/MAS(45°パルス設定)
試料回転速度:14kHz
繰り返し時間:100秒
積算回数:1024回
<水分散性>
樹脂粒子1部をイオン交換水100部に加えて撹拌し、水への分散性を評価した。撹拌のみで5分以内に水に分散する場合をA、撹拌のみでは分散せず超音波かけると5分以内に水に分散するものをB、1時間経過後も水に浮いて沈まず、分散できない場合をCとした。結果を表2に示す。
<フィルム動摩擦係数>
動摩擦測定機(トリニティーラボ社製、商品名:TL201Tt)を用いて、ステンレス鋼(SUS)の平板接触子を用いて、荷重10g、速度10mm/sec、5往復、往復距離30mmの条件で、表2に示すとおり上述の各樹脂粒子を含む塗膜を形成したフィルムの動摩擦係数を測定した。
なお、動摩擦係数の測定に供するフィルムは、PMMA(ポリメチルメタクリレート、住友化学社製「スミペックスEX」)1%メチルエチルケトン溶液100部に対して、樹脂粒子1部を加えて分散させた塗工液を、PETフィルム上にアプリケータによって塗布し、乾燥して作製した。
測定前にフィルムをステージに固定してイオン交換水を加え、フィルム全体が水に浸った状態で測定を行い、動摩擦係数が0.7より小さい場合をA、0.7以上1.5以下をB、1.5より大きい場合をCとした。
結果を表2に示す。なお、比較例2として上記塗膜を形成していないPMMAフィルムを使用した。
Figure 0007245691000013

Claims (9)

  1. 下記式(I)で表される構造単位(A)を含む重合体を含有し、
    前記重合体が、当該重合体の総量に対して、構造単位(A)を30質量%以上含む、樹脂粒子。
    Figure 0007245691000014

    (式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、Rは、-O-又は-NH-を表し、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表す。)
  2. 下記式(I)で表される構造単位(A)を含む重合体と、無機酸化物粒子とを含有する、樹脂粒子。
    Figure 0007245691000015

    (式(I)中、R は、水素原子又はメチル基を表し、R は、-O-又は-NH-を表し、R 及びR は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表す。)
  3. 前記重合体が、更に、下記式(III)で表される構造単位(C)を含む、請求項1又は2に記載の樹脂粒子。
    Figure 0007245691000016

    (式(III)中、R11は、水素原子又はメチル基を表し、R12は、炭素数2~5のアルキレン基を表し、nは、1以上の数である。)
  4. 前記重合体が架橋剤に由来する構造単位を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂粒子。
  5. 1~100μmの平均粒子径を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の樹脂粒子。
  6. 下記式(I)で表される構造単位(A)と、下記式(II)で表される構造単位(B)とを含む重合体を含有する樹脂粒子であって、
    前記重合体は、当該重合体の総量に対して、構造単位(A)及び構造単位(B)を合計で30質量%以上含み、
    構造単位(B)100モル%に対する構造単位(A)の比が10モル%以下である、樹脂粒子。
    Figure 0007245691000017

    Figure 0007245691000018

    (式(I)中、R は、水素原子又はメチル基を表し、R は、-O-又は-NH-を表し、R 及びR は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表す。式(II)中、R は、水素原子又はメチル基を表し、R は、-O-又は-NH-を表す。)
  7. 前記重合体が、当該重合体の総量に対して、前記構造単位(A)及び前記構造単位(B)を合計で30質量%以上含む、請求項6に記載の樹脂粒子。
  8. 水性媒体に分散された樹脂粒子を含む分散体であって、
    前記樹脂粒子が請求項1~7のいずれか一項に記載の樹脂粒子である、分散体。
  9. 請求項1~7のいずれか一項に記載の樹脂粒子を酸によって処理する工程を含む、樹脂粒子の製造方法。
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