以下、実施形態に係る印刷方法及びプリンタについて、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。また、細部は省略されることがある。
以下の説明において、色の語は、黒色及び白色を含む。着色の語は、黒色、シアン、マゼンダ及び/又はイエロー等の一般に有色として把握されている色を被印刷面に付与することだけでなく、白色を被印刷面に付与する(例えば白色のインクを被印刷面に塗布する)ことも含む。ただし、説明の便宜上、白色を被印刷面のうちの着色がなされない領域の色であるかのように表現することがある。
第2実施形態以降の実施形態の説明及び変形例の説明においては、基本的に先に説明された構成及び手順との相違点についてのみ述べる。特に言及が無い事項については、先に説明された構成及び手順と同様とされたり、類推されたりしてよい。複数の実施形態及び変形例において互いに対応する構成については、具体的な構成が異なる場合においても、同じ符号を付すことがある。
<第1実施形態>
(プリントシステムの概要及び動作の一例)
図1は、第1実施形態に係るプリントシステム1の構成の一例を模式的に示す斜視図である。ここでは、説明の便宜上、直交座標系D1-D2-D3が示されている。直交座標系D1-D2-D3は、後述するプリンタ3に固定された座標系(別の観点ではプリンタ3の移動に伴って移動する相対座標系)であるものとする。単に平面視又は平面透視という場合は、特に断りが無い限り、D3方向に見ることを指すものとする。
プリントシステム1は、例えば、プリンタ3と、プリンタ3と通信可能なスマートデバイス5とを有している。プリンタ3は、ユーザが片手で掴んで移動させることが可能な大きさ及び重量で構成されている。図1では、被印刷物101の被印刷面101aに文字列「ABCD」からなる印刷画像103を印刷する場合が例示されている。印刷時において、被印刷面101aは、鉛直方向(重力方向)に対して種々の向きとされてよい。換言すれば、プリンタ3は、鉛直方向に対していずれの向きで使用されてもよい。ただし、以下の説明では、便宜上、+D3側を上方として、上面及び下面等の用語を用いることがある。
プリントシステム1を用いた印刷手順の概要は、例えば、以下のとおりである。まず、ユーザは、スマートデバイス5に対する操作によって印刷を希望する画像(印刷画像103)のデータをプリンタ3に送信する。次に、ユーザは、プリンタ3を被印刷面101a上に載置した状態で、プリンタ3のスイッチ7を操作してプリンタ3に印刷開始を指示する。その後、ユーザは、プリンタ3を手動で被印刷面101aに沿って移動させる。図示の例では、例えば、ユーザは、プリンタ3を+D1側へ移動させる。その間、プリンタ3は、印刷画像103を-D側の部分から徐々に印刷していく。このようにして、手動での走査によって印刷画像103の全体が被印刷面101aの印刷領域R103に印刷される。
図2(a)は、比較例に係るプリンタ153によって印刷画像103を被印刷面101aに印刷するときの様子の一例を示す模式的な平面図である。
ここでは、被印刷面101aに予め罫線101b(図1も参照)が印刷されており、この罫線101bに沿って印刷画像103(例えば図1の文字列「ABCD」)を印刷する場合が想定されている。この例では、印刷を開始するためにプリンタ153を被印刷面101a上に載置した結果、プリンタ153が罫線101bの一部(点線で表された部分)に重なっている。従って、例えば、ユーザは、罫線101bの左端(-D1側の端部)を視認することができず、罫線101bの左端に対して印刷画像103の左端を左右方向(D1方向)において位置合わせすることが困難になっている。
また、仮に罫線101bの左端の位置を把握できたとしても、ユーザは、スイッチ7に対する操作によって印刷開始をプリンタ153に指示した位置と、印刷画像103が印刷される位置との位置関係を把握することが困難な場合がある。例えば、ユーザは、印刷開始を指示した位置から直ちに印刷が開始されるのか、又は印刷開始を指示した位置から+D1側へプリンタ153が少し移動した後に印刷が開始されるのか把握していないことがある。また、印刷を開始した位置から直ちに印刷が開始されるとしても、印刷画像103の左端がプリンタ153の左端に位置するのか、中央に位置するのか、右端に位置するのか、把握していないことがある。D2方向についても同様のことがいえる。
図2(b)は、実施形態に係るプリンタ3によって印刷画像103を被印刷面101aに印刷するときの様子の一例を示す模式的な平面図である。また、図3(a)は、図2(b)の一部の拡大図である。
プリンタ3は、ディスプレイ9を有している。ディスプレイ9には、例えば、印刷画像103が被印刷面101aに印刷された状態を模擬したプレビュー画像109が表示される。プレビュー画像109は、プリンタ3が現在の位置にある状態でスイッチ7に対する操作によって印刷開始が指示されたと仮定した場合の被印刷面101aの状態が模擬されている。例えば、プレビュー画像109は、後述するカメラ11(図4(a))によって被印刷面101aを撮像して得られた撮像画像105と、印刷画像103に基づくプレビュー用印刷画像107とが重ねられた合成画像である。
撮像画像105は、例えば、被印刷面101aのうちプリンタ3によって隠れて見えない部分の一部を撮像した画像である。ひいては、例えば、罫線101bのうちプリンタ3に重なる部分が撮像画像105によって視認可能となっている。また、撮像画像105は、所定のフレームレートで連続的に取得及び表示されている。すなわち、ディスプレイ9には、撮影された動画がリアルタイムで表示されている。従って、プリンタ3を被印刷面101aに対して移動させると、ディスプレイ9に表示される撮像画像105の内容(別の観点ではディスプレイ9の画面内における罫線101bの位置)も変化する。
プレビュー用印刷画像107は、印刷画像103自体、又は印刷画像103を模したものである。同一のプレビュー画像109に含まれている撮像画像105とプレビュー用印刷画像107との位置関係は、プリンタ3が現在の位置にある状態でスイッチ7に対する操作によって印刷開始が指示されたと仮定したときの被印刷面101a(別の観点では罫線101b)と印刷後の印刷画像103との位置関係と同じとされている。
ここで、スイッチ7に対する操作によって印刷開始が指示されたときの位置(基準位置)と、印刷後の印刷画像103の所定位置(例えば印刷画像103の左上の角)との関係は、例えば、一定である。従って、例えば、プリンタ3を移動させると、ディスプレイ9内のプレビュー用印刷画像107の位置は変化せず、撮像画像105の内容のみ(別の観点では罫線101bの位置)が変化する。例えば、図2(b)及び図3(a)の状態からプリンタ3を+D1側へ移動させると、ディスプレイ9内におけるプレビュー用印刷画像107の位置は変化せず、罫線101bの左端が-D1側へ移動する。
図3(b)は、スイッチ7に対する操作によって印刷の開始が指示された後におけるディスプレイ9に表示される画像の一例を示す図3(a)と同様の模式図である。
この図では、プリンタ3が図3(a)に示される位置にあるときに印刷の開始が指示されたことを想定している。そして、プリンタ3が図3(a)の位置から+D1側へ少し移動し、印刷画像103の印刷の一部が進行した状態(文字「A」の左半分が印刷された状態)が図示されている。
図示の例では、印刷の開始が指示された後は、撮像画像105が表示され、プレビュー用印刷画像107は表示されない。ディスプレイ9は、撮影された動画をリアルタイムで表示しているから、撮像画像105には、例えば、印刷画像103のうち、実際に被印刷面101aに印刷された一部を撮像した画像が含まれている。
以上のような動作によって、例えば、ユーザは、印刷開始前において(図3(a)参照)、及び/又は印刷中において(図3(b)参照)、被印刷面101a上において印刷画像103が印刷される位置を把握することが可能である。
(プリンタの構成)
図1に戻る。プリンタ3の形状及び寸法は任意である。図示の例では、プリンタ3の外形は、概略、長さ(D2方向の長さ)及び厚さ(D3方向の長さ)が幅(D1方向の長さ)よりも大きい直方体状とされている。ユーザは、例えば、プリンタ3の上面に掌を向け、親指を一方の側面(-D1側及び+D1側に面する面の一方)に添え、他の指の少なくとも1つを他方の側面に添えるようにしてプリンタ3を掴むことができる。特に図示しないが、プリンタ3は、把持の容易性、又は種々の要素(例えば不図示のバッテリ又はインクカートリッジ)を内部に配置する容易性等の観点から、適宜な位置(例えば側面の上方側)に膨らみを有するような形状であってもよい。
プリンタ3の印刷方式は、適宜なものとされてよい。例えば、プリンタ3は、プリントヘッドが被印刷面101aに対して非接触とされるものであってもよいし、プリントヘッドが被印刷面101aに対して直接に又は間接に接触するものであってもよい。非接触式のものとしては、例えば、インク滴を被印刷面101aに向けて吐出するインクジェット方式を挙げることができる。接触式のものとしては、例えば、サーマル方式及びドットインパクト方式を挙げることができる。サーマル方式では、例えば、プリントヘッドは、被印刷面101aを有する感熱紙、又は被印刷面101aとの間に介在するインクリボンに熱を付与する。ドットインパクト方式では、例えば、プリントヘッドは、細いピンをインクリボンに叩き付ける。プリンタ3は、モノクロプリンタであってもよいし、カラープリンタであってもよい。なお、本実施形態の説明では、プリンタ3がインクジェット方式のモノクロプリンタである態様を例に取る。
図4(a)は、プリンタ3の下面を示す模式的な平面図である。図4(a)では、ディスプレイ9の画面の輪郭も点線で示している。図4(b)は、図4(a)の一部(後述するプリントヘッド15)を拡大して示す模式図である。図4(c)は、プリンタ3の下面側の一部を示す模式的な断面図であり、図4(a)のIVc-IVc線に対応している。
図1、図4(a)及び図4(c)に示すように、プリンタ3は、例えば、筐体13を有している。図1に示すように、プリンタ3は、既述のスイッチ7及びディスプレイ9を有している。図4(a)及び図4(c)に示すように、プリンタ3は、既述のカメラ11を有している。図4(a)~図4(c)に示すように、プリンタ3は、印刷を直接的に担うプリントヘッド15(以下、単に「ヘッド15」ということがある。)を有している。図4(a)及び図4(c)に示すように、プリンタ3は、被印刷面101a等に対して当接する当接部17を有している。図4(a)に示すように、プリンタ3は、カメラ11によって撮像される撮像領域R105(図4(c))に光を照射する照明部19を有していてもよい。
(筐体)
筐体13の外形は、概略、プリンタ3の外形を構成している。従って、上述のプリンタ3の外形の説明は、筐体13の外形の説明に援用されてよい。筐体13は、適宜な数の部材が組み合わされて構成されてよい。また、筐体13は、開閉可能な部分及び/又は着脱可能な部分を有していてもよい。そのような部分は、例えば、バッテリ及び/又はインクカートリッジ等の、筐体13の内部への着脱に利用されてよい。筐体13の材料は、任意のものとされてよく、例えば、金属若しくは樹脂又はこれらの組み合わせとされてよい。
(ヘッド)
既述のように、本実施形態の説明では、インクジェット方式を例に取る。この場合のヘッド15は、例えば、筐体13の下面から露出している吐出面15aと、吐出面15aに開口している複数(理論上は1つも可)のノズル15bとを有している。吐出面15aは、印刷時において、被印刷面101aに対して隙間を介して概ね平行に対向する。そして、各ノズル15bから被印刷面101aに向けて液滴(例えばインク滴)が吐出されることによって印刷画像103が被印刷面101aに印刷される。なお、インクジェット方式以外の方式も考慮して上位概念化した場合においては、吐出面15aは、対向面と言い換えることができ、ノズル15bは、被印刷面101aに1ドット(1画素)を形成する印刷要素と言い換えることができる。
複数のノズル15bの数は適宜に設定されてよい。図4(b)では、図示の便宜上、比較的少数のノズル15bが示されている。別の観点では、ドット密度が比較的低い態様が示されている。ただし、実際には、ノズル15bの数は、図示の例よりも多くされてよく、及び/又はドット密度は図示の例よりも高くされてよい。例えば、複数のノズル15bは、100個以上設けられていてもよいし、100dpi(dots per inch)以上又は300dpi以上の密度で設けられていてもよい。なお、プリンタ3の用途によっては、図示の例よりもノズル15bの数を少なくすることも可能である。
複数のノズル15bの配列方向及び列数等も適宜に設定されてよい。図示の例では、複数のノズル15bは、1列でD2方向(図示の例ではプリンタ3の長手方向)に配列されている。従って、例えば、D1方向(図示の例ではプリンタ3の短手方向)又はD1方向の成分を含む方向へプリンタ3を移動させながら複数のノズル15bから液滴を吐出することによって、複数のノズル15bの配列長さをプリンタ3の移動方向に投影した幅で、帯状の画像を印刷することができる。ただし、図示の例とは異なり、複数のノズル15bは、2列以上で配列されていてもよい。また、複数のノズル15bの配置領域の長手方向と、プリンタ3の長手方向とは一致していなくてもよい。
ノズル15bから液滴を吐出するための駆動方式は任意のものとされてよい。代表的なものとしては、ピエゾ式とサーマル式とを挙げることができる。ピエゾ式では、圧電素子に電圧を印加したときの圧電素子の変形によってヘッド15内の液体(インク)に圧力を付与し、これにより液滴をノズル15bから吐出させる。サーマル式では、発熱体によってノズル15bの奥側の液体(インク)に熱を付与して気泡を生じさせ、その圧力によって液滴をノズル15bから吐出させる。以下の説明では、液滴を吐出する駆動部として圧電素子を例に取ることがある。
(当接部)
当接部17は、ヘッド15の吐出面15aよりも下方へ突出して、被印刷面101a及び/又は被印刷面101aの周囲に露出している面に当接している。これにより、吐出面15aと被印刷面101aとの間には隙間が構成されている。隙間の大きさ(吐出面15aと被印刷面101aとの距離)は適宜に設定されてよく、例えば、1mm以下とされてもよいし、1mm以上、2mm以上又は1cm以上とされてもよい。なお、接触式の印刷方式においては、当接部17は省略されてもよい。
当接部17の構成は適宜なものとされてよい。例えば、当接部17は、被印刷面101aを転がる転動体を有する走行部であってもよいし、被印刷面101aを摺動する摺動部であってもよい。走行部としては、例えば、D1方向にのみ転がることが可能な転動体(コロ)を有するもの、及び任意の方向に走行可能なキャスターを有するものを挙げることができる。走行部の数及び配置位置は適宜に設定されてよい。例えば、走行部は、3個以上(図示の例では4個)で筐体13の下面の外縁に隣接して配置されている。また、当接部17が摺動部である場合、その数及び形状は任意である。例えば、摺動部は、図示の例のように、互いに異なる位置に複数で設けられていてもよいし、筐体13の下面の比較的離れた複数の位置に亘って一体的に1つのみ形成されていてもよい。なお、当接部17は、走行と摺動とを切り換え可能に構成されていてもよい。例えば、走行部が設けられた筐体13に対して摺動部を着脱することによって走行と摺動とが切り換えられてもよい。
(カメラ)
カメラ11は、例えば、イメージャ11a(図5参照。別の用語ではイメージセンサ又は撮像素子)と、イメージャ11aに対して光学的な意味での前方(ここでは-D3側)に位置する不図示のレンズとを有している。イメージャ11aは、例えば、固体撮像素子であり、その代表的なものとしては、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ及びCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを挙げることができる。イメージャ11aは、例えば、少なくとも可視光に対応している。ただし、イメージャ11aは、可視光に代えて、又は加えて、赤外線に対応していてもよい。この場合、暗所の撮像が容易化される。イメージャ11aは、カラーフィルタを含むことによってカラーでの撮像が可能であってもよいし、モノクロでの撮像が可能であるだけであってもよい。カメラ11は、イメージャ11aからの信号を処理する処理部を含んでいてもよい。このような処理部は、例えば、IC(Integrated Circuit)を含んで構成されている。
本実施形態では、カメラ11は、筐体13の下面から露出している。これにより、カメラ11は、被印刷面101aのうち印刷時にプリンタ3に隠れる領域を撮像することが可能となっている。カメラ11の数及び具体的な配置位置は適宜に設定されてよい。図示の例では、2つのカメラ11がD1方向においてヘッド15を挟むように配置されている。図4(c)において模式的にハッチングによって示されているように、2つのカメラ11が撮像する範囲は、互いに隣接又は一部が重複している。従って、2つのカメラ11全体として、1つの撮像画像105を形成可能となっている。カメラ11のD3方向における具体的な位置(被印刷面101aとの距離)は任意である。
図示の例とは異なり、カメラ11は、1個のみ設けられていてもよいし、3個以上設けられていてもよい。また、カメラ11が1個のみ設けられる場合において、カメラ11は、ヘッド15に対していずれの方向に設けられてもよく、例えば、ヘッド15に対して+D1側に設けられてよい。+D1側は、図示の例におけるヘッド15の移動先である。換言すれば、+D1側は、スイッチ7に対する操作によって印刷が指示されたときの位置(基準位置)に対して、印刷画像103が印刷される印刷領域R103が位置する側である。また、カメラ11が2個以上設けられる場合において、2個以上のカメラ11は、ヘッド15をD2方向(別の観点ではヘッド15の長手方向)において挟むように配置されてもよいし、ヘッド15をD2方向に傾斜する方向(別の観点ではヘッド15の対角線方向)において挟むように配置されてもよい。
被印刷面101aのうち、ディスプレイ9に表示される撮像画像105に対応する領域を撮像領域R105(図4(c))というものとする。なお、撮像領域R105(別の観点ではディスプレイ9に表示される領域)は、1以上のカメラ11によって実際に撮像できる領域よりも狭い領域とすることが可能であるが、本実施形態の説明では、便宜上、特に断りが無い限り、両者は一致するものとする。本実施形態では、これまでの説明から理解されるように、撮像領域R105は、被印刷面101aのうちプリンタ3の下面と対向する領域を含んでいる。その具体的な範囲は、適宜に設定されてよい。例えば、撮像領域R105は、平面透視において複数のノズル15bを囲む最小の矩形を仮定したときに、当該矩形を含んでいる。ただし、後述する第2実施形態から理解されるように、撮像領域R105は、そのような矩形を含んでいなくてもよい。また、例えば、撮像領域R105は、被印刷面101aのうちヘッド15と対向する領域全体を含んでいる。また、例えば、撮像領域R105は、平面透視においてディスプレイ9の画面と重なる領域の少なくとも一部(例えば全体)を含んでいる。また、例えば、撮像領域R105は、プリンタ3の下面の幅(D1方向の長さ)の6割以上、8割以上又は全体を含んでいる。撮像領域R105は、被印刷面101aのうちプリンタ3に隠れない領域を含んでいてもよい。
(照明部)
撮像領域R105は、プリンタ3によって隠れる領域であることから、暗くなりやすい。照明部19によって撮像領域R105を照らすことによって、例えば、撮像画像105の視認性を向上させることができる。照明部19の数及び位置は任意である。図示の例では、ヘッド15の外縁のうち最もプリンタ3の下面の外縁から離れている位置(具体的にはヘッド15の-D2側)に隣接して、1個の照明部19が設けられている。もちろん、1個の照明部19が図示の例とは異なる位置に設けられたり、2以上の照明部19が設けられたりしてよい。照明部19は、例えば、LED(light emitting diode)等の光源のみからなるものであってもよいし、光源の前方(-D3側)にレンズを有していてもよい。照明部19は、設けられなくてもよい。
(ディスプレイ)
ディスプレイ9は、例えば、任意の画像を表示可能なものであり、液晶ディスプレイ又は有機EL(electro-luminescence)ディスプレイによって構成されている。その具体的な構成は適宜に設定されてよい。例えば、ディスプレイ9は、カラー画像を表示可能であってもよいし、モノクロ画像を表示可能であってもよい。ディスプレイ9の画素数及びドット密度は適宜に設定されてよい。例えば、ディスプレイ9のドット密度は、例えば、ヘッド15のドット密度未満であってもよいし、ヘッド15のドット密度以上であってもよい。
ディスプレイ9の画面の位置及び大きさは適宜に設定されてよい。図示の例では、ディスプレイ9の画面は、プリンタ3(筐体13)の上面から露出している。ここで、既述のように、カメラ11の撮像領域R105は、例えば、平面透視において、少なくとも一部がディスプレイ9の画面の少なくとも一部(例えば全体)と重なっている。従って、ディスプレイ9に表示される撮像画像105は、被印刷面101aのうち、ディスプレイ9の直下の領域の少なくとも一部(例えば全体)を撮像した画像を含むことが可能である。さらに、平面透視において、実際の撮像領域R105の位置と、ディスプレイ9の画面上の撮像領域R105の位置とを一致させることもできる。従って、ユーザは、プリンタ3を透かして実際の撮像領域R105を見ているかのように撮像画像105を見ることができる。
上記のような態様においては、既述の撮像領域R105の位置及び大きさの説明が適宜にディスプレイ9の画面の位置及び大きさに援用されてよい。例えば、ディスプレイ9の画面は、平面透視において複数のノズル15aを囲む最小の矩形を仮定したときに、少なくとも一部が前記矩形全体と重なってよい。また、例えば、ディスプレイ9の画面は、平面透視において少なくとも一部がヘッド15の全体と重なってよい。また、例えば、ディスプレイ9の画面の幅は、プリンタ3の下面又は上面の幅(D1方向の長さ)の6割以上又は8割以上とされてよい。ディスプレイ9の画面は、撮像領域R105(実際の寸法)よりも小さくてもよいし、同等でもよいし、広くてもよい。
ただし、ディスプレイ9は、図示の例とは異なり、プリンタ3の上面以外の面に画面が露出するように設けられていてもよいし、プリンタ3の上面のうち平面透視において撮像領域R105と全く重ならない領域に画面が露出するように設けられていてもよい。
ディスプレイ9に表示される画像としては、主として、プレビュー画像109、撮像画像105及び後述の経過表示画像111を挙げるが、それ以外の適宜な画像が表示されてよい。例えば、時刻及び/又はバッテリの残量がディスプレイ9に表示されてもよい。これらは、例えば、上記のプレビュー画像109等と重ねて表示されてもよいし、プレビュー画像109等の外側に表示されてもよい。
(スイッチ)
スイッチ7の構成及び位置は任意である。例えば、図示の例では、スイッチ7は、押しボタン式スイッチ(より詳細には、例えば、自動復帰型(モーメンタリ)のスイッチ)によって構成されている。この場合、例えば、スイッチ7は、特に図示しないが、筐体13から外部へ露出している操作部材と、操作部材の押下によってその押下方向へ移動する可動接点と、押下方向へ移動した可動接点が接触する固定接点とを有している。可動接点と固定接点との接触によって、印刷の開始を指示する信号が、後述する制御部21(図5参照)に入力される。操作部材が押下されていないときは、可動接点は、操作部材、可動接点及び/又は他の部材が有している復元力によって固定接点から離れている。
また、スイッチ7は、図示の例では、プリンタ3の上面に位置している。また、スイッチ7は、プリンタ3のD2方向の中央よりも+D2側に位置している。図示の例では、プリンタ3の+D2側がユーザの指先側となる(-D2側がユーザの手首側となる)。従って、スイッチ7を上記のように配置すると、指でスイッチ7を操作することが容易であり、その一方で、走査中においてはプリンタ3の側面に指を添えることによって誤操作を避けることができる。また、図示の例では、より詳細には、スイッチ7は、プリンタ3の+D2側の端部と、ディスプレイ9との間に位置している。
スイッチ7は、ユーザの操作に応じて信号を制御部21に入力するものであるから、換言すれば、操作部である。また、制御部21への信号入力のみに着目して、スイッチ7は、入力部であるということもできる。操作部(スイッチ7)の構成及び位置は、図示の例以外の種々の態様とされてよい。例えば、ディスプレイ9をタッチパネルによって構成し、このタッチパネル(その内部のタッチセンサ)がスイッチ7として機能してよい。また、上記のタッチセンサからも理解されるように、スイッチ(操作部)は、センサによって構成されてよい。また、スイッチ7は、プリンタ3の上面以外の面にて露出していてもよい。
本実施形態とは異なり、スイッチ以外の方法によって印刷開始が指示されてもよい。例えば、プリンタ3の移動開始が印刷開始の指示とされてもよい。この場合、印刷開始前における印刷画像103の位置を調整するためのプリンタ3の移動(別の観点ではプレビュー画像109において撮像画像105の内容を変化させるプリンタ3の移動)と、印刷開始を指示するためのプリンタ3の移動とは適宜に区別されてよい。例えば、プリンタ3の特定の方向への移動(例えば+D1側への移動)のみが印刷開始を指示する移動とされてよい。また、例えば、印刷画像103の位置の調整のための移動は、プリンタ3を被印刷面101aから離した状態での移動に限定されてもよい。なお、プリンタ3の移動を検出する構成(センサ29等)については後述する。また、スイッチ以外の方法としては、例えば、印刷画像103のデータをスマートデバイス5からプリンタ3へ送信した後に、印刷開始を指示する信号をスマートデバイス5からプリンタ3へ送信してもよい。
(スマートデバイス)
図1に示すスマートデバイス5は、例えば、スマートフォン(図示の例)、タブレット及びノートパソコンによって構成されている。スマートデバイス5は、プリンタ5と通信可能な機器であれば、その構成または種別は限定されない。スマートデバイス5のハードウェア及び基本的なソフトウェア(例えばOS(Operating System))は、公知の種々のもの(別の観点では一般的なもの)と同様とされてよく、本開示では、これらの説明は適宜に省略される。所定のアプリケーションを一般的なスマートデバイスにインストールすることによって、プリントシステム1を構成するスマートデバイス5を得ることができる。
スマートデバイス5は、例えば、適宜に図示を省略するが、ユーザの操作を受け付ける入力装置、画像を表示する表示装置、プリンタ3と通信を行う通信部、及びこれらを制御する制御部を有している。入力装置の少なくとも一部は、表示装置と一体化されてタッチパネル23を構成していてもよい(図示の例)。制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit、プロセッサ)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、外部記憶装置等を含んでいる。CPUがROM及び外部記憶装置に記憶されている所定のプログラムを実行することによって制御部が構築される。
通信部は、例えば、少なくともプリンタ3と通信を行うことができる構成を有している。通信は、プリンタ3へ送信を行うことができるだけであってもよいし、プリンタ3と送受信を行うことができるものであってもよい。通信は、無線通信であってもよいし(図示の例)、有線通信であってもよい。無線通信としては、例えば、電波を用いるもの、赤外線を用いるものを挙げることができる。また、電波を用いるものとしては、例えば、Bluetooth(登録商標)及びWiFiのような近距離用のものを挙げることができる。
(被印刷物)
被印刷物101は、印刷画像103を印刷可能な種々のものとされてよい。例えば、被印刷物101は、紙のように記録媒体として概念されるものであってもよいし、記録媒体として概念することが難しいものであってもよい。後者としては、例えば、衣類、履物、服飾雑貨(例えば鞄)、筆記用具、電子機器(例えばそのうちの筐体)、家具及び建築物(例えばそのうちの壁)を挙げることができる。別の観点では、プリンタ3による印刷の目的は、情報伝達に限定されず、例えば、記名又は装飾であってもよい。また、被印刷物101の材料としては、例えば、紙、布、木材、樹脂、金属及びガラスを挙げることができる。
被印刷面101aは、例えば、少なくとも印刷時において平面状とされる。ただし、ある程度の凹凸又は湾曲が被印刷面101aに存在しても、印刷画像103を被印刷面101aに印刷することは可能である。また、上記の被印刷物101の例示からも理解されるように、被印刷物101の形状及び被印刷面101aの平面形状は任意である。被印刷面101aの面積は、プリンタ3の平面視における面積よりも大きくてもよいし(図示の例)、同等以下であってもよい。後者としては、例えば、被印刷面101aのD1方向の長さがプリンタ3のD1方向の長さよりも短い場合、及び/又は被印刷面101aのD2方向の長さがプリンタ3のD2方向の長さ(若しくは複数のノズル15bの配列長さ)よりも短い場合を挙げることができる。
実施形態の説明では、プリンタ3よりも広い面積を有している矩形状の比較的薄い被印刷物101(例えば紙)が平坦な机上(不図示)に載置されている場合を例に取る。
被印刷物101(被印刷面101a)は、図示の例の罫線101bのように、撮像画像105において目印となるものを有していてもよいし、そのような目印を有していなくてもよい。目印としては、罫線101bの他、例えば、1文字が記入される枠線(例えば日本で利用されている封筒において郵便番号が記入される枠)、文字列が記入される枠線、被印刷面101aの外縁(図2(b)参照)を挙げることができる。また、例えば、プリンタ3によって複数行に亘って文字列を印刷する場合において、その印刷途中においては、先に印刷された文字列が目印となり得る。
(液体)
プリンタ3がインクジェット方式のものである場合において、プリンタ3が吐出する液体は、例えば、インクである。インクは、例えば、溶媒と着色剤とを含んでいる。溶媒としては、水及び有機溶媒を挙げることができる。着色剤としては、顔料及び染料を挙げることができる。ただし、液体は、インクに限定されない。例えば、液体は、塗料(ただしインクとの区別は必ずしも明確ではない)であってもよいし、無色で透光性を有するコーティング剤であってもよい。
(印刷画像)
印刷画像103は、例えば、文字、図形、模様、絵、写真又はこれらの2つ以上の組み合わせを含んでよい。また、印刷画像103の面積も適宜に設定されてよい。プリンタ3は、手動でのD1方向へ移動によってD1方向に走査可能であるから、印刷画像103のD1方向の大きさが任意であることは明らかである。また、複数のノズル15bのうち、一部のみ使用することによって、D2方向の長さが複数のノズル15bの配列長さよりも短い印刷画像103を形成できることも明らかである。さらに、印刷画像103は、D2方向の長さが複数のノズル15bの配列長さよりも長くてもよい。この場合は、例えば、プリンタ3のD1方向への移動と、プリンタ3のD2方向へ移動とを交互に繰り返すことなどによって、D2方向の長さが複数のノズル15bの配列長さよりも長い印刷画像103を印刷することができる。
印刷画像103(別の観点では印刷領域R103)は、印刷画像103のデータ等の観点から、実際に着色がなされる領域(ドットが形成される領域)の周囲の領域を含んで概念されてよい。例えば、文字列「ABCD」を字下げしたかのように、着色可能な領域に空白を設けた画像のデータが用いられている場合において、当該空白も印刷画像103の一部として概念されてよい。ただし、以下の説明では、便宜上、着色がなされる領域のみが印刷画像103であるかのように表現することがある。
印刷画像103のデータ形式は、例えば、公知の種々の形式のもの、又は公知の形式を応用したものとされてよい。また、データ形式は、スマートデバイス5で印刷画像103が準備されている段階、印刷画像103のデータがスマートデバイス5からプリンタ3へ送信される段階、及びプリンタ3において印刷画像103のデータに基づいて印刷を行う段階等の各段階において適宜なデータ形式とされてよい。例えば、スマートデバイス5で準備されている段階において、データ形式は、一般的に画像データといわれているデータの形式(例えば、GIF、JPEG、BMP及びPINGなど)であってもよいし、テキストデータであってもよい。また、画像データは、ラスターデータであってもよいし、ベクターデータであってもよい。
(撮像画像)
既述の撮像領域R105の説明からも理解されるように、撮像画像105は、例えば、カメラ11によって撮像された画像の全部を含んでいてもよいし、当該画像の中央側等の一部のみを含んでいてもよい。また、撮像画像105がディスプレイ9に表示されるときの縮尺は適宜に設定されてよい。例えば、本実施形態では、ユーザがプリンタ3を透かして実際の撮像領域R105を見ているかのような効果を狙っているから、ディスプレイ9に表示されている撮像領域R105の寸法は、撮像領域R105の実際の寸法に一致するか、遠近法を考慮して若干小さくされてよい。もちろん、視認性を高くするために拡大表示がされてもよい。
撮像画像105は、ディスプレイ9の画面全体に表示されてもよいし、画面の一部に表示されてもよい。後者の場合においては、撮像画像105の外側には、例えば、時刻及び/又はバッテリの残量を示すマークなどの適宜な画像が表示されてよい。また、撮像画像105は、撮像された生の画像に対して、歪補正及び/又は明度補正等の適宜な処理がなされたものとされてよい。
(プレビュー画像)
既述のように、プレビュー画像109は、撮像画像105と、印刷画像103のデータに基づくプレビュー用印刷画像107とが重ねられた合成画像となっている。この合成は、適宜になされてよい。例えば、プレビュー画像109は、印刷画像103の着色される領域について、撮像画像105がプレビュー用印刷画像107に置き換えられたものであってもよい。また、例えば、プレビュー画像109は、印刷画像103(又は撮像画像105)が半透過で表示されているかのように、ドット単位等の比較的小さい単位で交互に、撮像画像105とプレビュー用印刷画像107とが表示されたものであってもよい。
プレビュー用印刷画像107は、印刷画像103そのままであってもよいし、印刷画像103の表示態様を変化させたものであってもよい。後者としては、例えば、印刷画像103よりも明度を下げた画像、印刷画像103の着色される領域の輪郭線のみからなる画像、印刷画像103の着色される領域の色を特定の色に置換した画像を挙げることができる。また、例えば、上記のプレビュー画像109の説明における半透過を別の観点で捉えた例となるが、印刷画像103において、ドット単位等の比較的小さい単位で交互に、印刷画像103の着色を無くした画像を挙げることができる。
上記のようなプレビュー用印刷画像107は、例えば、印刷画像103内の色の変化(例えば色相、彩度及び/又は明度)を反映している画像であるということができる。色の変化の反映は、印刷画像103の全ての画素について反映されている必要は無い。例えば、印刷画像103が、内部が着色された図形を含んでいる場合において、プレビュー用印刷画像107は、その図形の輪郭線のみ(内部が着色されていない図形)を含んでよい。この場合、プレビュー用印刷画像107は、印刷画像103の図形の内外の色の変化(印刷画像103の一部の色の変化)を反映していると言える。
(撮像領域と印刷領域との位置関係)
説明の便宜上、本実施形態においては、カメラ11によって撮像される撮像領域R105のプリンタ3に対する位置関係(第1の位置関係の一例。別の観点ではプリンタ3に対するカメラ11の向き等)は一定であるものとする。すなわち、撮像領域R105は、プリンタ3に対して固定的である。
スイッチ7に対する操作によって印刷開始が指示されたときのプリンタ3の位置(基準位置)と、印刷画像103が印刷される印刷領域R103との位置関係(第2の位置関係の一例)は、少なくとも印刷画像103の印刷が完了するまで一定である。換言すれば、印刷中において、印刷領域R103は、被印刷物101に対して固定的である。
プレビュー画像109は、プリンタ3が現在の位置にあるときに印刷開始の指示がなされたと仮定したときを模擬しているから(現在の位置が基準位置になると仮定するから)、プリンタ3を移動させると(現在の位置を移動させると)、印刷画像103が印刷されると予想されている印刷領域R103も移動する。従って、予想されている印刷領域R103に印刷された印刷画像103を模擬しているプレビュー用印刷画像107も移動する。換言すれば、プレビュー画像109を表示しているとき、プレビュー用印刷画像107は、プリンタ3に対して固定的である。
プレビュー画像109を表示しているとき、撮像領域R105及び予想されている印刷領域R103は、いずれもプリンタ3に対して固定されているから、両者の位置関係(第3の位置関係というものとする。)は一定である。この第3の位置関係は適宜に設定されてよい。
図示の例では、印刷領域R103は、その左端が撮像領域R105内に位置するように(より詳細には撮像領域R105の左右中央に位置するように)設定されている。従って、プレビュー画像109においては、撮像画像105内(より詳細には中央)に、印刷画像103の左端に相当するプレビュー用印刷画像107の左端が位置している。そして、例えば、+D1側にプリンタ3を移動させることによって、印刷画像103を印刷することができる。この態様においては、例えば、印刷画像103の左端を被印刷面101a上の目印(例えば罫線101bの左端)に位置合わせすることが容易である。
図示の例とは異なり、例えば、印刷領域R103は、その右端が撮像領域R105内に位置するように設定されてもよい。この場合、例えば、プレビュー画像109においては、撮像画像105内に、印刷画像103の右端に相当するプレビュー用印刷画像107の右端が位置している。そして、例えば、-D1側にプリンタ3を移動させることによって、印刷画像103を印刷することができる。この態様においては、例えば、印刷画像103の右端を被印刷面101a上の目印(例えば罫線101bの右端)に位置合わせすることが容易である。
また、図示の例とは異なり、例えば、印刷領域R103は、その中央が撮像領域R105内に位置するように設定されてもよい。この場合、例えば、プレビュー画像109においては、撮像画像105内に、印刷画像103の中央に相当するプレビュー用印刷画像107の中央が位置している。そして、例えば、+D1側及び-D1側にプリンタ3を交互に移動させることなどによって、印刷画像103を印刷することができる。この態様においては、例えば、印刷画像103の中央を被印刷面101a上の目印に位置合わせすることが容易である。
上記以外にも、印刷画像103の適宜な位置が撮像画像105の適宜な位置に位置するように第1~第3の位置関係が設定されてよい。上記の第2及び第3の位置関係は、予め製造者によって設定されることによって一定であってもよいし、スマートデバイス5又はプリンタ3に対する操作によってユーザが設定可能(変更可能)であってもよい。また、上記の説明では、便宜上、第1の位置関係は一定であるものとしたが、第1の位置関係をユーザが変更可能とすることも可能である。
(プリンタの信号処理系の構成)
図5は、プリンタ3の信号処理系の構成を示すブロック図である。なお、ブロック同士を結ぶ矢印が示す方向は、主要な信号が伝達される方向を示しているが、実際には、矢印とは逆方向へ伝達される信号が存在してもよい。
プリンタ3は、既に述べたように、ディスプレイ9、ヘッド15、カメラ11(イメージャ11a)及びスイッチ7を有している。なお、ここでは、スイッチ7は、ユーザの操作を受け付ける操作部25の少なくとも一部として示されている。また、プリンタ3は、少なくともスマートデバイス5との間で通信を行う通信部27と、ヘッド15を駆動するドライバ28と、プリンタ3の各部を制御する制御部21とを有している。また、プリンタ3は、プリンタ3の被印刷面101aに対する位置(姿勢を含むものとする。)を検出するためのセンサ29を有していてもよい。
通信部27は、スマートデバイス5と通信を行うものであるから、既述のスマートデバイス5の通信部の説明は適宜に通信部27に援用されてよい。通信部27は、スマートデバイス5から受信した印刷画像103のデータを制御部21に入力する。なお、通信部27は、制御部21からの信号に基づいてスマートデバイス5へ情報を送信してもよい。例えば、印刷の進行状況(例えば印刷の完了)を報知するための情報が送信されてよい。
操作部25(スイッチ7)は、ユーザの操作に応じた信号を制御部21に入力する。当該信号は、例えば、既に述べたように、印刷の開始を指示する信号である。
カメラ11(イメージャ11a)は、所定のフレームレートで撮像される複数フレームの撮像画像105のデータを制御部21へ順次入力する。なお、複数フレームの撮像画像105が順次入力される(又は順次取得される等)というとき、例えば、フレームレートが比較的高く、通信の負担を低減するために幾つかのフレーム数の撮像画像105のデータが纏めて入力されるような態様も含むものとする。フレームレートは適宜に設定されてよく、例えば、15fps(frames per second)以上、30fps以上又は60fps以上とされてよい。カメラ11と制御部21との間の役割分担は適宜に設定されてよい。例えば、所定のフレームレートで撮像を行うためのクロック信号は、カメラ11が生成してもよいし、制御部21が生成してもよい。前者の場合、制御部21は、カメラ11の動作と、他の処理とを同期させるための信号を適宜に出力してよい。
ディスプレイ9は、制御部21から入力された画像データに基づく画像を表示する。具体的には、本実形態では、既述のように、印刷開始前においては、プレビュー画像109(撮像画像105及びプレビュー用印刷画像107)が所定のフレームレートで表示され、印刷中においては、撮像画像105が所定のフレームレートで表示される。別の観点では、複数フレームの撮像画像105が順次取得(撮像)されることに伴って複数フレームの撮像画像105が順次表示される。換言すれば、撮像画像105がリアルタイムで表示される。ただし、リアルタイムで表示とはいっても、現実には、画像処理等に必要な時間遅れが存在してよいことは当然である。フレームレートは適宜に設定されてよく、例えば、撮像のフレームレートと同等であってもよいし、異なっていてもよく、また、15fps(frames per second)以上、30fps以上又は60fps以上とされてよい。なお、カメラ11と同様に、複数フレームの画像データが纏めてディスプレイ9に出力されてもよい。また、ディスプレイ9と制御部21との間の役割分担は適宜に設定されてよい。例えば、所定のフレームレートで表示を行うためのクロック信号は、ディスプレイ9が生成してもよいし、制御部21が生成してもよい。前者の場合、制御部21は、ディスプレイ9の動作と、他の処理とを同期させるための信号を適宜に出力してよい。
ドライバ28は、制御部21から入力された制御信号に基づいてヘッド15を駆動するための駆動信号をヘッド15に入力する。例えば、ピエゾ式かつインクジェット方式のプリンタ3においては、駆動信号は、所定の波形で表される電圧を有しており、ノズル15b毎に設けられた圧電素子に対して個別に入力される。圧電素子は、駆動信号の波形に応じた変形を生じ、ヘッド15内の液体に圧力を付与する。ドライバ28は、通常のプリンタで用いられているものと同様とされてよく、また、ドライバ28と制御部21との間の役割分担は適宜に設定されてよい。
センサ29は、例えば、少なくともプリンタ3の被印刷面101aに沿う方向の位置に相関する情報を検出し、当該情報に応じた信号を制御部21に出力する。センサ29は、例えば、マウス等に利用されている位置センサによって構成されてよい。このような位置センサは、接触式のものであってもよいし、非接触式のものであってもよい。前者としては、例えば、被印刷面101aを転がる転動体(ボール)の回転をエンコーダで計測するものが挙げられる。後者としては、例えば、光学式のものが挙げられる。光学式のものとしては、被印刷面101aを撮像した画像に基づいて被印刷面101aのセンサ29に対する移動を検出するものが挙げられる。
センサ29は、2以上のセンサによって構成されてよい。この場合、例えば、2以上のセンサの検出値に基づく演算によって、検出位置の補正及び/又はプリンタ3の姿勢の検出がなされてよい。また、センサ29は、上記のような位置センサに代えて、又は加えて、加速度センサ及び/又はジャイロセンサを含んで構成されてもよい。センサ29は、被印刷面101aに沿う方向の移動だけでなく、被印刷面101aに対して近接及び離反する方向の移動を検出可能であってもよい。センサ29と制御部21との役割分担は適宜に設定されてよい。例えば、光学式のセンサ29において、画像に基づいて位置を特定する処理は、センサ29が実行してもよいし、制御部21が実行してもよい。
センサ29が光学式のものとされてよいことから理解されるように、カメラ11は、プリンタ3の位置を検出する用途に兼用可能である。従って、センサ29は、省略されても構わない。以下の説明では、便宜上、カメラ11とは別に、センサ29が設けられているかのように表現することがある。
制御部21は、例えば、CPU21a(プロセッサの一例)及びメモリ21bを有している。メモリ21bは、例えば、ROM、RAM及び外部記憶装置等を含んでいる。CPUがメモリ21b(ROM及び外部記憶装置)に記憶されている所定のプログラムを実行することによって制御部21が構築される。
(フローチャート)
制御部21(CPU21a)等が実行する処理の手順の一例について、フローチャートを参照して説明する。なお、以下に示すフローチャートは、処理の概念の理解を容易にするように描かれており、必ずしも実際の処理とは合致しない。
(全体の処理)
図6は、スマートデバイス5(その制御部、プロセッサ)及びプリンタ3(制御部21、CPU21a)が実行する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
ステップST1及びST2は、スマートデバイス5が実行する処理を示している。この処理は、例えば、スマートデバイス5において、プリンタ3による印刷を行うためのアプリケーションの実行が開始されたとき、又は当該アプリケーションの実行中にスマートデバイス5に対して所定の操作がなされたときに開始される。
ステップST3~ST7は、プリンタ3が実行する処理を示している。この処理は、例えば、プリンタ3において、不図示の電源スイッチに対する操作等によって電源が投入されたとき、又は電源投入後に操作部25に対して所定の操作がなされたときに開始される。
ステップST1では、スマートデバイス5は、入力装置(例えばタッチパネル23)に対する操作に応じて、印刷画像103のデータを準備する。ステップST2では、スマートデバイス5は、入力装置に対する操作に応じて、印刷画像103のデータをプリンタ3へ送信する。そして、スマートデバイス5は、処理を終了する(又はステップST1へ戻る。)。
ステップST3では、制御部21は、印刷を指示するデータをスマートデバイス5から受信したか否か判定する。当該データは、少なくとも印刷画像103のデータを含む。そして、制御部21は、否定判定のときは待機し(ステップST3を繰り返し)、肯定判定のときはステップST4へ進む。
ステップST4では、制御部21は、図2(b)及び図3(a)を参照して説明したように、プレビュー画像109をディスプレイ9に表示するためのプレビュー処理を開始する。なお、ここでは、印刷を指示するデータが受信されるとプレビュー処理が自動的に開始されているが、プリンタ3に対して所定の操作がなされることなどを条件としてプレビュー処理が開始されてもよい。
ステップST5では、制御部21は、印刷開始が指示されたか否か判定する。例えば、制御部21は、スイッチ7に対する操作がなされたか否かを判定したり、又はプリンタ3の移動が開始されたか否か判定したりする。制御部21は、否定判定のときは待機して、ステップST4で開始したプレビュー処理を継続する。肯定判定のときは、制御部21は、プレビュー処理を終了して、ステップST6及びST7に進む。
ステップST6及びST7は、実質的に並列に実行される。ステップST6では、制御部21は、印刷画像103を被印刷面5aに印刷するための処理を行う。ステップST7では、制御部21は、図3(b)を参照して説明したように、印刷中の画像(本実施形態では撮像画像105)をディスプレイ9に表示するための処理を行う。その後、制御部21は、処理を終了する(又はステップST3へ戻る。)。
(プレビュー処理)
図7は、図6のステップST4において制御部21(CPU21a)が実行するプレビュー処理の手順の一例を示すフローチャートである。
ステップST11では、制御部21は、ステップST3で受信した印刷画像103のデータに基づいて、印刷画像103のうち、プレビュー画像109の一部としてディスプレイ9に表示する領域を特定する。具体的には、例えば、撮像領域R105と予想される印刷領域R103との位置関係(第3の位置関係)を規定する情報(例えば座標データ)は、例えば、製造者又はユーザにより、メモリ21bに記憶されている。プロセッサ21aは、この情報を参照して、印刷画像103のうち撮像画像105と重なる領域を特定する。
ステップST12では、制御部21は、印刷画像103のデータから、ステップST11で特定した領域に対応するデータを抽出し、その抽出したデータに基づいて、プレビュー用印刷画像107のデータを生成する。なお、プレビュー用印刷画像107のデータとして印刷画像103のデータそのものが利用されてもよいことは既に述べたとおりである。
ステップST13では、制御部21は、所定の時間T1が経過したか否か判定する。この時間T1は、以下の説明から理解されるように、プレビュー画像109を更新する周期である。時間T1は、例えば、撮像及び表示のサンプリング周期(フレームレートの逆数)と同等とされてよい。時間T1は、例えば、製造者(又はユーザ)によって設定された一定の値である。制御部21は、否定判定のときは待機し(ステップST13を繰り返し)、肯定判定のときはステップST14に進む。
ステップST14では、制御部21は、現時点に対して直近の撮像画像105のデータを取得する。この取得は、例えば、既述のカメラ11の説明からも理解されるように、このステップでカメラ11に撮像を指示することによって取得してもよいし、カメラ11から自動的に所定のフレームレートで入力される撮像画像105を取得するだけであってもよい。
ステップST15では、制御部21は、ステップST14で取得した撮像画像105のデータと、ステップST12で生成したプレビュー用印刷画像107のデータとに基づいて、プレビュー画像109のデータを生成する。
ステップST16では、制御部21は、ステップST15で生成したデータに基づいてプレビュー画像109を表示するようにディスプレイ9に制御信号を出力する。
ステップST17では、制御部21は、プレビュー処理を終了する終了条件が満たされたか否か判定する。終了条件は、例えば、スイッチ7に対する操作によって印刷開始が指示されたことである。そして、制御部21は、否定判定のときは、ステップST13に戻ってプレビュー処理を継続し、肯定判定のときはプレビュー処理を終了する。
(印刷処理)
図8は、図6のステップST6において制御部21(CPU21a)が実行する印刷処理の手順の一例を示すフローチャートである。
ステップST21では、制御部21は、プリンタ3の被印刷面101a上における現在の位置を基準位置として、印刷画像103が印刷される印刷領域R103を決定する。すなわち、プレビュー処理においては、予想される印刷領域R103は、プリンタ3に対して固定的であったが、ここでは、印刷領域R103を被印刷物101に対して固定的な領域としてその座標を決定する。具体的な処理としては、例えば、印刷画像103のデータにおける画素毎の座標を被印刷面101aに固定的な座標に変換したり、又は、そのような座標変換が可能な数値が特定及び記憶されたりしてよい。基準位置と印刷領域R103との位置関係は、プレビュー処理におけるプリンタ3と予想される印刷領域R103との位置関係(第3の位置関係)に相当しており、印刷領域R103の決定に際しては、図7のステップST11で参照された情報と同じ情報が参照されてよい。
ステップST22では、制御部21は、所定の時間T2が経過したか否か判定する。この時間T2は、以下の説明から理解されるように、ノズル15bからインクを吐出する吐出周期である。時間T1は、例えば、所定の上限速度以下でプリンタ3を移動させたときに所定のドット密度での印刷が可能になるように設定されてよい。時間T2は、例えば、製造者(又はユーザ)によって設定された一定の値である。制御部21は、否定判定のときは待機し(ステップST22を繰り返し)、肯定判定のときはステップST23に進む。
ステップST23では、制御部21は、センサ29の検出結果に基づいて、被印刷面101aに固定的な座標系における各ノズル15bの位置(別の観点では座標)を特定する。ここで特定されるノズル15bの座標は、ステップST21で被印刷面101a(別の観点ではステップST21の時点におけるプリンタ3の位置である基準位置)に対して固定的とされた印刷画像103のデータの画素毎の座標と比較可能なものである。
具体的な処理は、例えば、以下のようにされてよい。制御部21は、ステップST21において、基準位置に固定的な座標系(例えば基準位置を原点とする)における、印刷画像103の画素の座標をメモリ21bに記憶する。基準位置を特定したときの印刷画像103(印刷領域R103)のプリンタ3に対する位置関係(第2の位置関係)は、既述のように予め設定されている。そこで、制御部21は、例えば、ステップST21の時点で、メモリ21bに記憶されている第2の位置関係及びプリンタ3に固定的な座標系における各ノズル15bの座標を参照して、上記の基準位置に固定的な座標系における各ノズル15bの座標を特定し、メモリ21bに記憶させる。制御部21は、ステップST23では、直近の時間T2内においてセンサ29によって検出されたプリンタ3の平行移動量及び回転量に基づいて、メモリ21bに記憶されている各ノズル15bの座標を更新する。
ステップST24では、制御部21は、被印刷面101a(基準位置)に対して固定的な座標系において、印刷画像103の座標(複数の画素の座標のうちの代表的な1以上の座標とされてよい。)と、複数のノズル15bの座標(複数のノズル15bの座標の代表的な1以上の座標とされてよい。)とを比較する。そして、制御部21は、印刷画像103のうち複数のノズル15bの配列と重複する領域(必要に応じてその周囲の領域)のデータを印刷画像103のデータから抽出する。この抽出されたデータに対応する画像を要素画像というものとする。
ステップST25では、制御部21は、上記の要素画像のデータに基づいて、複数のノズル15bのうち液滴を吐出するノズル15bを決定するとともに、液体の吐出量(別の観点では形成するドットの大きさ)を決定する。例えば、制御部21は、要素画像のデータの画素毎の座標と、各ノズル15bの座標とを比較して、着色される画素の座標と一致する(現実的には画素の座標から所定の範囲内に位置する)座標を有するノズル15bが存在するときは、そのノズル15bを、液滴を吐出するノズル15bとして特定する。また、制御部21は、液滴を吐出するノズル15bの座標と一致する座標を有する画素の明度等の情報に基づいて、そのノズル15bの吐出量を特定する。
ステップST26では、制御部21は、ステップST25で特定したノズル15b及び吐出量の情報を含む制御信号をドライバ28へ制御信号を出力する。ドライバ28は、その制御信号で指定された吐出量に応じた波形を有する駆動信号を生成し、制御信号で指定されたノズル15bの駆動部(例えば圧電素子)に駆動信号を出力する。これにより、指定されたノズル15bから液滴が吐出される。
ステップST27では、制御部21は、印刷処理を終了する終了条件が満たされたか否か判定する。終了条件は、例えば、印刷画像103の印刷が完了したことである。印刷の完了は、適宜に判断されてよい。例えば、上記のステップST25の判定結果を利用して、印刷画像103のうちの、着色されるべき画素の全て(又は大部分)に対応する液滴の吐出がなされたか否かによって判定されてよい。また、終了条件は、他の条件とされてもよい。例えば、センサ29又は他のセンサによって、プリンタ3が被印刷面101aから+D3方向へ離されたことを検出するようにし、当該検出がなされたときに終了条件が満たされたと判定してもよい。制御部21は、否定判定のときは、ステップST22に戻って印刷処理を継続し、肯定判定のときは印刷処理を終了する。
上記の処理の手順の一例では、制御部21は、着色される画素の座標と一致する座標のノズル15bを特定している。従って、プリンタ3は、シリアルプリンタのヘッドのように、予め定められた方向へ予め定められた速度で移動される必要は無く、任意の方向へ任意の速度で移動されてよい。なお、プリンタ3の速度及び/又は加速度に基づいて、液滴を吐出するときのノズル15bの座標を予測する演算を行い、この座標を印刷画像103の画素の座標との比較に用いてもよい。
ステップST25においてノズル15bの座標と一致する座標を有すると判定された印刷画像103の画素は、次回以降のステップST25では、判定対象から除外されてよい。これにより、例えば、プリンタ3が一度通過した領域を再度通過したとしても、同一の画素について重複して液滴が吐出される蓋然性が低減される。その結果、プリンタ3の移動経路の自由度が更に向上する。
(印刷中表示処理)
図9は、図6のステップST7において制御部21(CPU21a)が実行する印刷中表示処理の手順の一例を示すフローチャートである。
ステップST31~ST34は、図7のプレビュー処理のステップST13~ST17においてステップST15を省略したものと同様となっており、ステップST13、ST14、ST16及びST17に対応している。従って、ここでは、基本的に、両者の相違点についてのみ述べる。
ステップST31の時間T3は、ステップST13の時間T1と同一であってもよいし、異なっていてもよい。ステップST34の印刷中表示終了条件は、適宜に設定されてよい。例えば、印刷中表示終了条件は、図8のステップST27の印刷終了条件と同じとされてもよいし、図8の印刷処理が終了してから所定時間が経過したこととされてもよい。また、印刷中表示処理は、新たな印刷画像103のデータの受信(ステップST3)があるまで、又はプリンタ3の電源がOFFとされるまで、継続されてもよい。
なお、制御部21が実行する処理として説明した一部は、必要な情報をプリンタ3からスマートデバイス5に送信することなどによって、スマートデバイス5に分担させても構わない。例えば、所定の周期で実行されないステップ(例えばステップST11及びST12)はスマートデバイス5のプロセッサが実行しても構わない。所定の周期で実行されるステップ(例えばステップST15、ST23~ST25)も、スマートデバイス5のプロセッサが実行しても構わない。
以上のとおり、本実施形態に係る印刷方法は、被印刷面101aに沿ってプリンタ3を移動させながらプリンタ3によって被印刷面101aに印刷画像103を印刷するものである。そして、当該印刷方法は、撮像ステップ(ステップST14等)と、表示ステップ(ステップST16等)と、印刷ステップ(ステップST6)とを有している。撮像ステップは、少なくとも所定の印刷指示(ステップST5)の前に行われ、被印刷面101aのうちプリンタ3と第1の位置関係にある撮像領域R105を所定のフレームレートで撮像して複数フレームの撮像画像105を順次取得する。表示ステップは、複数フレームの撮像画像105が順次取得されることに伴って複数フレームの撮像画像105を順次表示する。印刷ステップでは、前記印刷指示がなされたときのプリンタ3の位置に対して第2の位置関係にある印刷領域R103に印刷画像103を印刷する。表示ステップでは、印刷指示がなされる前に、プリンタ3が現在の位置にある状態で前記印刷指示がなされたと仮定したときの印刷領域R103の位置を示す補助画像(プレビュー用印刷画像107)を撮像画像105と同時に表示する(ステップST14~ST16)。
別の観点では、本実施形態に係るプリンタ3は、プリントヘッド15と、イメージャ11aと、プロセッサ(CPU21a)とを有している。ヘッド15は、被印刷面101aに印刷画像103を印刷可能である。イメージャ11aは、被印刷面101aのうちヘッド15と第1の位置関係にある撮像領域R105を撮像可能である。CPU21aは、ヘッド15及びイメージャ11aを制御する。CPU21aは、以下の処理を行う。一つは、イメージャ11aから所定のフレームレートで取得した複数フレームの撮像画像105をディスプレイ9に順次表示させる処理である(ステップST13、ST14及びST16)。他の一つは、印刷を指示する指示信号がCPU21aに入力されたときのヘッド15の位置に対して第2の位置関係にある印刷領域R103に印刷画像103をヘッド15に印刷させる処理である(ステップST6)。さらに他の一つは、前記指示信号が入力される前に、ヘッド15の現在の位置において前記指示信号が入力されたと仮定したときの印刷領域R103の位置を示す補助画像(プレビュー用印刷画像107)を撮像画像105と同時にディスプレイ9に表示させる処理(ステップST15及びST16)である。
従って、例えば、ユーザは、リアルタイムで印刷画像103の印刷予定位置を視認すること(プレビュー)ができる。その結果、例えば、印刷画像103を被印刷物101の目印(例えば罫線101b)に対して位置合わせすることが容易化される。
また、本実施形態では、表示ステップでは、撮像画像105と補助画像(プレビュー用印刷画像107)とを重ねて表示する(ステップST14~ST16)。
この場合、例えば、撮像画像105の周囲に補助画像が表示される態様(後述する変形例に係る図15(c)参照)に比較して、印刷画像103の印刷予定位置の把握が容易である。
また、本実施形態では、補助画像は、撮像画像105と共にプレビュー画像109を構成する、印刷画像103内の色の変化を反映したプレビュー用印刷画像107である。換言すれば、プレビュー用印刷画像107は、印刷画像103そのもの、又は印刷画像103を模した画像である。
この場合、例えば、印刷画像103内の色の変化とは全く無関係な補助画像が表示される態様(後述する変形例に係る図15(a)及び図15(b)参照)に比較して、印刷画像103の印刷予定位置の把握が容易である。
また、本実施形態の表示ステップ(ステップST33)では、印刷画像103の印刷中に、プレビュー用印刷画像107を表示せずに、撮像画像105を表示することで、印刷画像103のうち印刷が完了した領域と印刷が完了していない領域とを表示する。
この場合、例えば、印刷中においても印刷位置を把握することができる。ここで、例えば、図8に示した印刷処理とは異なり、ヘッド15と被印刷面101a上の位置が確定された印刷画像103との相対位置をD1方向においてのみ比較して、液滴を吐出するノズル15bを特定する態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれてよい。)が考えられる。すなわち、D1方向の走査のみが許容されているプリンタが考えられる。この態様では、印刷中にユーザがプリンタ3をD2方向にずらすと、印刷画像103も途中からD2方向へずれる。ユーザは、例えば、その印刷画像103が途中からずれる様子を視認することができる。その結果、例えば、そのようなずれを無くすようにプリンタ3を移動させたり、逆に、意図したずれ量で印刷画像103にずれ量を生じさせて趣向を凝らしたりすることができる。また、図8に示した印刷処理においても、実際には、制御遅れ等に起因して、ユーザのプリンタ3を移動させる経路が被印刷面101a上の印刷画像103の画質に影響を及ぼす。従って、印刷中の印刷位置を把握することによって、印刷画像103の画質を向上させることができる。また、例えば、印刷途中において、印刷画像103(プレビュー用印刷画像107)のうちプレビュー画像109に表示されていなかった領域について、印刷画像103と被印刷面101aの目印との位置関係が意図したものであるか否か視認可能である。そして、意図したものでなかった場合には、例えば、ユーザはプリンタ3を持ち上げて印刷を止めることができる。又は、ユーザは、印刷画像103の一部のみを印刷したい場合に、印刷画像103の印刷が任意の位置まで進行したときに、プリンタ3を持ち上げて、印刷を止めることができる。ユーザによっては、スマートデバイス5において印刷画像103の一部を切り出すよりも、このようなプリンタ3の運用の方が容易なことがある。
また、本実施形態では、撮像領域R105は、被印刷面101aの平面視においてプリンタ3と重なる領域の少なくとも一部を含んでいる。
この場合、例えば、後述する第2実施形態に比較して、ユーザにとって、ディスプレイ9に表示されている撮像領域R105が被印刷面101a上のいずれの領域であるかを把握することが容易である。その結果、被印刷面101a上の所望の位置に印刷画像103を位置合わせすることが容易化される。
<印刷中表示の変形例>
図10は、印刷中においてディスプレイ9に表示される画像の変形例を示す図であり、図3(b)に代わる図である。
この変形例では、印刷中においても、印刷開始前と同様に、撮像画像105と、プレビュー用印刷画像107とを含む経過表示画像111(プレビュー画像109に相当)が表示されている。印刷画像103のうちプレビュー用印刷画像107としてディスプレイ9に表示される領域はプリンタ3の移動に伴って変化する。
このようにプレビュー画像109の表示を継続する場合において、プレビュー用印刷画像107は、例えば、印刷(着色)が完了した領域(図示の例では「A」の左半分)と、印刷が完了していない領域とで表示態様が異ならされてよい。そして、印刷の進行に伴って、その表示態様が異なる領域の境界が移動してもよい。別の観点では、プレビュー用印刷画像107は、印刷開始前(図3(a))と、印刷完了後(図10から類推されたい。)とで、異なった表示態様で表示されてよい。
ここでいう異なった表示態様は、適宜なものとされてよい。例えば、色相、彩度及び/又は明度の絶対的な値又は印刷画像103からの差が、印刷が完了した領域と印刷が完了していない領域とで互いに異ならされてよい。具体的には、例えば、印刷開始前において、プレビュー用印刷画像107は、印刷画像103の明度を低くして構成されており、印刷の進行に伴って、印刷が完了した領域の明度が高くされてよい。プレビュー用印刷画像107のうち、印刷が完了した領域についてはプレビュー用印刷画像107を表示しないようにすることも、ここでいう異なる表示態様に含まれてよい。
ただし、プレビュー用印刷画像107は、印刷が完了した領域と、印刷が完了していない領域とで、表示態様が同じであってもよい。
また、図10の例では、プレビュー用印刷画像107(印刷が完了した領域と印刷が完了していない領域との表示態様は異なっていてもよいし、同一であってもよい。)の表示が継続されつつ、実施形態と同様に、撮像画像105の表示も継続されている。この場合、実施形態と同様に、被印刷面101aに印刷された印刷画像103を確認できる。このとき、プレビュー用印刷画像107は、例えば、その全部若しくは印刷が完了した領域が半透過で示され、又は印刷が完了した領域が表示されず、これにより印刷された印刷画像103が視認されてよい。また、例えば、プレビュー用印刷画像107が半透過とされずに、印刷された印刷画像103のうち(より厳密には着色された領域のうち)、誤差等によってプレビュー用印刷画像107から食み出した部分が視認されるだけであってもよい。
ただし、図示の例とは異なり、撮像画像105が表示されずに、プレビュー用印刷画像107(印刷が完了した領域と印刷が完了していない領域との表示態様は異なっていてもよいし、同一であってもよい。)のみが表示されてもよい。
図11は、図9に代えて、制御部21(CPU21a)が実行する変形例に係る印刷中表示処理の手順の一例を示すフローチャートである。
この処理は、図9の処理において、撮像画像105にプレビュー用印刷画像107を合成する処理を加えたものである。ステップST41、ST42及びST48は、図9のステップST31、ST32及びST34と同様であり、説明は省略する。
ステップST43では、制御部21は、図8のステップST23(ノズル位置の特定)と類似した処理により、プリンタ3の位置を特定する。ただし、ここでは、ノズル15b毎の位置は必要ではなく、被印刷面101a(別の観点ではステップST21の時点におけるプリンタ3の位置である基準位置)に対して固定的とされた座標系における撮像領域R105の位置を特定可能であればよい。
ステップST44では、制御部21は、図8のステップST24(要素画像の抽出)と類似した処理により、印刷画像103(プレビュー用印刷画像107とすることも可能である。)のうち、ステップST43で特定した撮像領域R105と重なる領域(換言すればディスプレイ9に表示すべき範囲)を特定する。
ステップST45では、制御部21は、ステップST44で特定した領域において、印刷が完了した画素と、印刷が完了していない画素とを分類する。これは、例えば、図8のステップST25において、ノズル15bの座標と一致する座標を有していると判定された画素についてフラグを立てておくことなどによって実現できる。
ステップST46では、制御部21は、ステップST44及びST45における特定結果に基づいて、印刷完了前後で表示態様が異なるプレビュー用印刷画像107を生成するとともに、これを撮像画像105と合成し、経過表示画像111を生成する。そして、ステップST47では、制御部21は、経過表示画像111をディスプレイ9に表示させる。
なお、プレビュー用印刷画像107の表示態様を印刷完了後の領域と印刷完了前の領域とで異ならせない場合においては、ステップST45を省略し、ステップST46で表示態様が一様のプレビュー用印刷画像107を生成すればよい。
また、撮像画像105を表示せずに、プレビュー用印刷画像107のみを表示する場合においては、ステップST42を省略し、ステップST47でプレビュー用印刷画像107のみを表示すればよい。
以上のとおり、本変形例に係る表示ステップ(ステップST7)では、印刷ステップ(ステップST6)が実行されている間に、プレビュー用印刷画像107の表示を継続し、かつプレビュー用印刷画像107のうち印刷が完了した領域(図10の「A」の左半分)と印刷が完了していない領域とを互いに異なる表示態様で表示する(ステップST45~ST47)。
この場合、例えば、ユーザは、印刷の進行状況を把握することができる。その結果、例えば、実施形態で述べたような効果を得ることができる。例えば、ユーザは、任意の領域まで印刷したときにプリンタ3を持ち上げて、印刷を止めることができる。
また、別の観点では、本変形例に係る表示ステップ(ステップST7)では、印刷ステップ(ステップST6)が実行されている間に、プレビュー用印刷画像107の表示を継続し、かつ順次取得される複数フレームの撮像画像105を順次表示することで、印刷画像103のうち印刷が完了した領域とプレビュー用印刷画像107とを重ねて表示する(ステップST42~ST47)。
この場合も、例えば、実施形態等で述べたような効果を得ることができる。さらに、ユーザは、実際に印刷された印刷画像103と、プレビュー用印刷画像107とを比較することで、意図した印刷がなされているかを判断することもできる。
<第2実施形態>
図12(a)は、第2実施形態に係るプリンタ203の模式的な断面図である。この図は、図4(c)で示した断面に対応する断面を示している。図12(b)は、プリンタ203によって印刷画像103を被印刷面101aに印刷するときの様子の一例を示す模式的な平面図であり、第1実施形態の図2(b)に対応している。
第1実施形態では、撮像領域R105は、被印刷面101aの平面視においてプリンタ3と重なる領域の少なくとも一部を含んでいた。一方、本実施形態では、撮像領域R105は、被印刷面101aの平面視においてプリンタ3と重ならない領域の少なくとも一部を含んでいる。
より具体的には、例えば、本実施形態において、撮像領域R105は、その全部(図示の例)、9割以上、8割以上又は6割以上がプリンタ3と重なっていない。また、別の観点では、撮像領域R105がプリンタ3と重なっている領域が存在する場合において、当該領域は、例えば、プリンタ3のノズル15bと重なっていないか、ヘッド15と重なっていないか、D1方向(換言すればプリンタ3と撮像領域R105との並び方向)の長さがプリンタ3のD1方向の長さの2割以下である。撮像領域R105がプリンタ3と重なっていない場合において、両者の距離は適宜に設定されてよい。両者は互いに隣接していてもよいし(距離0)であってもよいし、ヘッド15の幅よりも短い距離又は長い距離で離れていてもよい。
撮像領域R105の広さは、適宜に設定されてよい。例えば、撮像領域R105のD1方向(換言すれば複数のノズル15bの配列方向に直交する方向)の長さは、プリンタ3のD1方向の長さよりも長くてもよいし、同等でもよいし、短くてもよい。第1実施形態で説明した撮像領域R105の広さの説明が援用されても構わない。
プリンタ3に対する撮像領域R105の方向は、適宜に設定されてよい。図示の例では、撮像領域R105は、プリンタ3の+D1側に位置している。ただし、撮像領域R105は、プリンタ3の+D1側に代えて、プリンタ3の-D1側、+D2側、-D2側又はこれらに対して傾斜した側に位置していてもよい。また、複数のカメラ11によって、複数の撮像領域R105が互いに離れて、隣接して、又は互いに一部を重複させて設定されていてもよい。複数の撮像領域R105は、いずれかが選択的にディスプレイ9に表示されてもよいし、合成されてディスプレイ9に表示されてもよい。
別の観点では、カメラ11は、プリンタ3(筐体13)の下面以外の面から露出している。図示の例では、カメラ11は、プリンタ3の+D1側の側面にて露出している。図示の例とは異なり、カメラ11は、プリンタ3の-D1側、+D2側、-D2側の面から露出していてもよいし、これらの面がなす角部から露出していてもよい。カメラ11をプリンタ3の上面に設けることも不可能ではない。また、カメラ11が露出している面が面している方向と、プリンタ3に対して撮像領域R105が位置している方向とは必ずしも一致していなくてもよい。
図示の例では、プリンタ3に対する撮像領域R105の方向は、複数のノズル15bの配列方向に直交する方向(D2方向)となっている。ただし、上記の説明から理解されるように、両者は異なる方向であってもよい。
図12(b)に示されているように、本実施形態においても、スイッチ7に対する操作によって印刷開始が指示される前において、ディスプレイ9には、カメラ11によって撮像された撮像画像105(動画)がリアルタイムで表示されている。また、プリンタ3が現在の位置にある状態でスイッチ7に対する操作がなされたと仮定した場合の被印刷面101a上の印刷画像103のうち、現在の撮像領域R105と重なる領域が、プレビュー用印刷画像107によって示されている。プレビュー画像109の縮尺は、第1実施形態と同様であってもよいし、第1実施形態とは異なっていてもよい。
図示の例では、第1実施形態と同様に、印刷位置が予想された印刷画像103の左端が撮像領域R105内(ただし、撮像領域R105の中央ではない)に含まれる(プレビュー画像109に含まれる)態様を例示している。ただし、第1実施形態と同様に、印刷画像103のうち、プレビュー画像109に含まれる部分は、右端又は中央等の任意の部分とされてよい。別の観点では、プリンタ3に対する撮像領域R105の位置関係(第1の位置関係)と、スイッチ7に対する操作によって印刷開始が指示されたときのプリンタ3の位置に対する印刷領域R103(図1参照)の位置(第2の位置関係)とは、適宜に設定されてよい。換言すれば、プレビュー画像109を表示しているときの、撮像領域R105と、予想されている印刷領域R103との位置関係(第3の位置関係)は、適宜に設定されてよい。
なお、図示の例では、第3の位置関係は、概ね第1実施形態の第3の位置関係と同様とされている。一方、第1の位置関係は、第1実施形態の第1の位置関係とは異なっている。従って、第2の位置関係も第1実施形態とは異なっている。具体的には、印刷領域R103は、第1実施形態では、その左端(-D1側の端)がプリンタ3の直下に位置していたが、本実施形態では、その左端がプリンタ3よりも右側に位置している。
制御部21が実行する処理(図7~図9等)は、基本的に第1実施形態と同様である。ただし、第1実施形態では、印刷領域R103の左端がヘッド15の直下に位置していたことから、スイッチ7に対する操作によって印刷開始が指示された後、プリンタ3が+D1方向に移動されると、即座に印刷(液滴の吐出)が開始される。一方、本実施形態では、印刷領域R103の左端がヘッド15から+D1側へ離れていることから、プリンタ3が+D1方向へその離間距離だけ移動した後に、印刷(液滴の吐出)が開始される。
印刷中においてディスプレイ9に表示される画像は、第1実施形態及び変形例で説明したいずれかとされてよい。例えば、上述した変形例のうちの、撮像画像105及びプレビュー用印刷画像107のうちのプレビュー用印刷画像107のみを表示し、かつ印刷が完了した領域と印刷が完了していない領域とを互いに異なる表示態様で表示する態様が採用されてよい。なお、変形例の説明では、印刷中において、被印刷面101a上の座標が与えられた印刷画像103のうち撮像領域R105と重なっている領域がプレビュー用印刷画像107としてディスプレイ9に表示されるものとした(ステップST44)。本実施形態では、撮像領域R105は、例えば、複数のノズル15bに重なっていないから、撮像領域R105と重なる領域についてプレビュー用印刷画像107を表示しても、印刷が完了した領域と印刷が完了していない領域との境界(換言すれば印刷の進行状況)を視認できるとは限らない。そこで、本実施形態では、例えば、ステップST44において、プレビュー用印刷画像107のうち、撮像領域R105と重なる領域ではなく、複数のノズル15b又はヘッド15を含む領域について特定されてよい。
以上のとおり、本実施形態では、撮像領域R105は、被印刷面101aの平面視においてプリンタ3と重ならない領域の少なくとも一部を含んでいる。
この場合、例えば、プリンタ3の直下を撮像することが困難な場合において、プリンタ3の周囲の撮像画像105とプレビュー用印刷画像107との位置関係から、印刷画像103の印刷位置を把握することができる。プリンタ3の直下を撮像することが困難な場合としては、例えば、プリンタ3と被印刷面101aとの距離を確保することが難しい(別の観点ではカメラ11の画角を広くすることが難しい)場合、及びプリンタ3の直下が暗い場合を挙げることができる。
<第3実施形態>
図13は、第3実施形態に係るプリントシステム301の構成を示す模式図である。図13のうち下部は、第1実施形態の図2(b)に対応している。
第1実施形態では、プレビュー画像109は、プリンタ3のディスプレイ9に表示された。一方、本実施形態では、プレビュー画像109は、スマートデバイス5のタッチパネル23(ディスプレイ)に表示されている。
この場合のプレビュー画像109の縮尺等は、第1実施形態と同様であってもよいし、異なっていてもよい。また、ここでは、第1実施形態のように、撮像領域R105がプリンタ3に重なる領域を含んでいる場合を例に取って説明しているが、第2実施形態のように、撮像領域R105は、プリンタ3に重ならない領域を含んでいてもよい。
プリントシステム301のハードウェア構成は、プリンタ303からディスプレイ9を省略してよいことを除いて、第1実施形態のプリンタ3と同様とされてよい。なお、プリンタ303に代えて、ディスプレイ9を有するプリンタ3を用いつつ、ディスプレイ9に代えて、又は加えて、タッチパネル23にプレビュー画像109を表示させても構わない。
プリントシステム301の処理は、プレビュー画像109がディスプレイ9に表示される点を除いては、第1実施形態と同様とされてよい。また、この表示に係る種々の処理については、プリンタ303とスマートデバイス5との間の分担が第1実施形態から変更されてもよい。
具体的には、例えば、図7のステップST16において、制御部21(CPU21a)は、プレビュー画像109を表示させるためのデータをディスプレイ9に出力するのではなく、通信部27を介してスマートデバイス5に出力する。又は、制御部21は、撮像画像105のデータをスマートデバイス5に出力することによって、ステップST15(プレビュー画像の生成)及びST16をスマートデバイス5に実行させてもよい。
また、例えば、図9のステップST33において、制御部21(CPU21a)は、撮像画像105を表示させるためのデータをディスプレイ9に出力するのではなく、通信部27を介してスマートデバイス5に出力する。
あるいは、変形例のように、印刷中もプレビュー用印刷画像107を表示するのであれば、制御部21(CPU21a)は、例えば、図11のステップST47において、経過表示画像111を表示させるためのデータをディスプレイ9に出力するのではなく、通信部27を介してスマートデバイス5に出力する。又は、制御部21は、ステップST42~ST45で得られた撮像画像105のデータをスマートデバイス5に出力することによって、ステップST46(経過表示画像111の生成)及びST47をスマートデバイス5に実行させてもよい。
<第4実施形態>
図14(a)及び図14(b)は、第4実施形態に係るプリンタ403の構成を示す模式的な斜視図である。
この図に示すように、プリンタ403の筐体413は、本体部413aと、本体部413aに対して移動可能な可動部413bとを有していてもよい。そして、ディスプレイ9及びカメラ11の少なくとも一方(図示の例では双方)は、可動部413bに設けられてよい。
より詳細には、図示の例では、可動部413bは、本体部413aの凹部に収容された位置(図14(a)参照。別の観点では本体部413aに重なる位置。以下、閉位置という。)と、本体部413aから離れた位置(図14(b)参照。以下、開位置というものとする。)との間で移動可能に本体部413aに連結されている。閉位置では、ディスプレイ9の画面は隠され、開位置ではディスプレイ9が上方に露出する。また、閉位置では、カメラ11は側方に面しており、開位置では、カメラ11は被印刷面101a(図1参照)に面する。
特に図示しないが、カメラ11は、第1実施形態又は第2実施形態と同様に、本体部413aに対して固定的に設けられ、ディスプレイ9のみが本体部413aに対して移動可能とされてもよい。逆に、ディスプレイ9は、第1実施形態又は第2実施形態と同様に、本体部413aに対して固定的に設けられ、カメラ11のみが本体部413aに対して移動可能とされてもよい。
プレビュー画像109及び印刷中に表示される画像(撮像画像105又は経過表示画像111)は、これまでに述べたいずれの態様とされてもよい。ただし、図示の例では、撮像領域R105は、第2実施形態と同様に、平面視において複数のノズル15bと重なっていないから、経過表示画像111は、例えば、撮像画像105及びプレビュー用印刷画像107のうちプレビュー用印刷画像107のみを表示する態様とされてよい。
本実施形態のようにカメラ11を可動部413bに設けると、例えば、第2実施形態に比較して、使用時にカメラ11を被印刷面101aに対して正対させることが容易化される。その結果、例えば、撮像画像105の画質を向上させることができる。また、本実施形態のようにディスプレイ9を可動部413bに設けると、例えば、プリンタ3の上面よりも広い面積を有し、かつ使用時に上方に面するディスプレイ9を設けることができる。その結果、例えば、プレビュー画像109等を視認することが容易化される。
<補助画像の変形例>
実施形態では、印刷領域R103の予想位置を示す補助画像として、印刷画像103の色の変化を反映したプレビュー用印刷画像107が用いられた。ただし、補助画像は、そのような印刷画像103の色の変化を反映していないものであってもよい。図15(a)~図15(c)を参照して、補助画像の例を示す。これらの図は、図3(a)の一部に対応している。
図15(a)の変形例では、補助画像121として、印刷画像103の外縁を示す線が示されている。なお、この補助画像121は、印刷画像103が印刷される領域を示すものとして捉えられてもよいし、印刷画像103の所定の位置(例えば所定方向の端部位置)を示す基準線と捉えられてもよい。
図15(b)の変形例では、補助画像123として、印刷画像103の角を示す基準点が示されている。
図15(c)の変形例では、補助画像125として、印刷画像103のD1方向及びD2方向の範囲を示す矢印(ルーラー)が示されている。なお、補助画像125は、撮像画像105に重ねらずに、同時に表示されるものの一例となっている。
本開示に係る技術は、以上の実施形態及び変形例に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
例えば、プリンタの動作は、実施形態に挙げた動作以外の動作を可能であってもよい。例えば、2行以上の文字列を含む印刷画像103を印刷する場合において、スイッチ7に対する操作によって印刷開始が指示されたときに1行分の文字列の印刷のみを行い、スイッチ7に対する操作の繰り返しによって、順次、各行の文字列の印列が行われてもよい。そして、1行分の文字列の印刷が完了する度に、印刷中表示処理からプレビュー処理へ復帰して、次に印刷される文字列のプレビューがなされてもよい。
本開示の実施形態及び変形例からは、撮像画像(動画)のリアルタイム表示、及び撮像画像と補助画像との同時表示等を前提としない種々の発明を抽出可能である。
例えば、印刷開始前の撮像画像のリアルタイム表示は、補助画像無しで行われてもよい。この場合であっても、例えば、プリンタによって隠れている領域の状態(例えば汚れ)を確認できるという効果が奏される。
また、例えば、印刷中の撮像画像のリアルタイム表示は、印刷開始前に補助画像が表示されることを前提とせずに行われてもよい。同様に、印刷中において、印刷が完了した領域と印刷が完了していない領域とを異なる表示態様にして、補助画像(例えばプレビュー用印刷画像のような画像)を表示する動作は、印刷開始前の補助画像の表示を前提とせずに行われてよい。プレビューは、通常、印刷開始前において行われるものであり、このように印刷中の状況を視認することに着目した、これらの動作は画期的である。
また、例えば、印刷開始を指示できる位置にプリンタが位置している状態(プリンタが被印刷面101a等に載置されている状態)で、被印刷面のうちプリンタと重ならない領域を撮像する構成(第2実施形態参照)は、静止画のみを表示する態様に適用されてもよい。例えば、ユーザのプリンタに対する操作に応じて撮像が行われる態様に適用されてもよい。この場合であっても、例えば、プリンタの下面にカメラを設ける態様に比較して、画角を大きくする必要性が低減される等の効果が奏される。