以下、図面を参照して、実施形態について詳細に説明する。なお、図面中の同一又は相当部分には同一符号を付すこととする。
図1は、実施形態に係るベビーバスの上方からの斜視図である。図2は、図1のベビーバスの側面図である。図3は、図1のベビーバスの下方からの斜視図である。図1~図3に示される実施形態に係るベビーバス1は、乳幼児(生後0カ月から2歳)向けの育児用品である。ベビーバス1は、可撓性の袋体に気体(例えば、空気)を注入することによって立体的に形成されている。可撓性の袋体は、例えば、塩化ビニール樹脂等の樹脂シートにより形成されている。
ベビーバス1は、底部2、側壁部3、背もたれ部4、突出部5、及び一対の支持部6を備える。底部2、側壁部3、背もたれ部4、突出部5、及び一対の支持部6は、それぞれ上述の袋体に気体を注入することによって立体的に形成されている。ベビーバス1では、底部2と、側壁部3と、背もたれ部4とにより浴槽Bが構成されている。浴槽Bには湯や水を溜めることができるので、乳幼児に入浴や水浴びをさせることができる。浴槽Bに湯や水を溜めず、ベビーバス1をベビーチェアとして用いることもできる。
底部2は、全体として、略円形の平板状に形成されている。底部2は、直線状の後端2aと、後端2aの両端同士を接続するU字状又は円弧状の縁部2bと、を有している。以下の説明では、後端2aの延びる方向を第1方向D1とし、水平面内において第1方向D1に直交する方向を第2方向D2とする。
底部2は、第1方向D1に延在し、第2方向D2に配列された複数のチューブ体7が互いに連結されて構成されている。複数のチューブ体7のうち、第2方向D2の中央部に配置された3本のチューブ体7aは、チューブ体7aの第1方向D1の中央部に設けられた連通部C1により、互いに連通可能に連結されている。また、残りのチューブ体7bは、底部2の第1方向D1の両端部に設けられた連通部C2により、互いに連通可能に連結されている。チューブ体7aと、チューブ体7bとは、互いに連通不能に連結されている。底部2の第1方向D1の長さ(底部2の幅)は、例えば、15cm以上50cm以下であり、本実施形態では、31cmである。底部2の第2方向D2の長さは、例えば、15cm以上70cm以下であり、本実施形態では、25cmである。底部2の厚さは、チューブ体7の厚さと等しく、例えば、1cm以上10cm以下であり、本実施形態では、3cmである。後端2aの長さは、15cm以上50cm以下であり、本実施形態では、30cmである。
側壁部3は、底部2と背もたれ部4とにより、浴槽Bを構成する。側壁部3は、底部2の縁部2bに立設されている。側壁部3の下端部3aは、例えば、高周波溶着により縁部2bと連結されている。下端部3aの長さは、縁部2bの長さと一致している。側壁部3は、縁部2bに沿ってU字状に湾曲されている。側壁部3は、例えば、高周波溶着により背もたれ部4と連結された一対の端部3bを有している。一対の端部3bは、鉛直方向に対し、後方に傾斜している。端部3b及び下端部3aがなす角度は、例えば、130度以上150度以下である。このため、側壁部3の上端部3cの長さは、下端部3aの長さよりも長い。
側壁部3は、上下方向に延在し、縁部2bに沿って配列された複数のチューブ体8が互いに連結されて構成されている。側壁部3の高さH1は、例えば、15cm以上31cm以下であり、本実施形態では、21cmである。高さH1は、ベビーバス1が載置される平面を基準面としたときの高さである。
側壁部3の厚さは、底部2の厚さよりも厚い。側壁部3の厚さは、チューブ体8の厚さと等しく、3cm以上18cm以下であり、本実施形態では、9cmである。側壁部3は、チューブ体8の延在方向には屈曲し難く、チューブ体8の配列方向にはチューブ体8間において容易に屈曲する。このため、側壁部3では、縁部2bに沿ってU字状に湾曲した形状が安定して維持される。側壁部3には、気体の注入口A1が設けられている。注入口A1から気体を注入することにより、チューブ体8を膨らませることができる。注入口A1は、例えば、側壁部3の外側面に設けられている。側壁部3は、ベビーバス1の他の部分と連通していないので、側壁部3の形状が安定し易い。よって、浴槽Bの形状が安定し易い。
背もたれ部4は、乳幼児の背中及び頭部(後頭部)を支持する。背もたれ部4の幅方向は、第1方向D1と一致している。背もたれ部4は、底部2の後端2aに立設されている。背もたれ部4は、後端2aと連結された直線状の下端4aを有している。背もたれ部4は、側壁部3よりも高く、側壁部3の上端部3cから突出している。
背もたれ部4は、平面状のシート体9と、U字状に形成されたチューブ体10と、を有している。ここで、平面状とは立体的ではなく平面的な形状を有するという意味である。シート体9は、略矩形状に形成されている。シート体9の上端部は、乳幼児の頭部(頭頂部)の形状に合わせて、半円の円弧状に形成されている。チューブ体10は、シート体9の下端以外、すなわち、上端及び第1方向D1の両端を取り囲んでいる。チューブ体10は、シート体9を挟んで第1方向D1で互いに対向する一対の対向部分10aと、一対の対向部分10a同士を接続する半円の円弧状の上部分10bと、を有している。背もたれ部4の下端4aは、第1方向D1の中央部に配置されたシート体9の下端と、第1方向D1の両端部に配置されたチューブ体10の一対の下端とからなる。
シート体9が平面的な形状を有するのに対し、チューブ体10は立体的な形状を有する。このため、背もたれ部4の第1方向D1の中央部には、シート体9を底部とする凹部11が形成されている。凹部11は、背もたれ部4の下端4aから側壁部3よりも上方まで延在している。シート体9の上端の高さH2は、側壁部3の高さH2よりも高く、例えば、15cm以上40cm以下であり、本実施形態では、27cmである。高さH2は、ベビーバス1が載置される平面を基準面としたときの高さである。
シート体9の全長(シート体9の下端から上端までの長さ)は、例えば、17cm以上45cm以下であり、本実施形態では、30cmである。背もたれ部4の全長は、例えば、17cm以上60cm以下であり、本実施形態では、背もたれ部4の全長は、42cmである。
凹部11には、乳幼児の背中及び頭部が配置される。凹部11の底部(すなわちシート体9)は、乳幼児の頭部の横幅に対応する幅を有している。つまり、シート体9の幅(シート体9の第1方向D1の長さ)は、乳幼児の頭部の横幅と同等に設定されている。シート体9の幅は、例えば、10cm以上15cm以下であり、本実施形態では、13cmである。
本実施形態では、背もたれ部4を構成する袋体は、チューブ体10に対応する部分にのみに気体が注入可能に形成されている。この袋体において、シート体9に対応する部分には気体が注入されないので、シート体9は平面的な形状を有する。シート体9に対応する部分も袋体であり、シート体9は2枚の可撓性シートが重なって形成されている。
背もたれ部4は、鉛直方向に対し、後方に傾斜している。底部2及びシート体9がなす角度は、側壁部3の端部3b及び下端部3aがなす角度と一致しており、例えば、130度以上150度以下である。すなわち、シート体9の傾斜角(鉛直方向、又は、底部2に垂直な方向からの傾斜角)は、40度以上60度以下である。
本実施形態では、背もたれ部4及び底部2は、一つの袋体により形成されている。底部2の後端2a及び背もたれ部4の下端4aは、実質的に同じであるため、高周波溶着等によりこれらを連結させる必要がなく、製造が容易となる。底部2のチューブ体7bは、連通部C2により背もたれ部4のチューブ体10とも連通可能に連結されている。チューブ体10には、気体の注入口A2が設けられている。注入口A2から気体を注入することにより、チューブ体10及びチューブ体7bを膨らませることができる。注入口A2は、例えば、チューブ体10の後面において、支持部6よりも上方に設けられている。
突出部5は、底部2における第1方向D1及び第2方向D2の略中央部から上方に突出している。突出部5は、第2方向D2において側壁部3とシート体9との間に配置されている。側壁部3は膨らんで厚みがあるのに対し、シート体9は平面状で厚みがない。このため、突出部5は底部2の第2方向D2の略中央部に配置されているものの、突出部5及び側壁部3間の第2方向D2の距離は、突出部5及びシート体9間の第2方向D2の距離よりも実質的には短い。突出部5及び側壁部3間の第2方向D2の距離は、例えば、7cmであり、突出部5及びシート体9間の第2方向D2の距離は、例えば、9cmである。
突出部5の高さは、側壁部3の高さと同等である。ここで、同等には、製造誤差の範囲が含まれる。突出部5は、乳幼児の股の間に配置され、乳幼児の股部又は臀部を支持する。突出部5は、浴槽B内において、乳幼児の股部又は臀部の位置を固定するストッパーの機能を有し、乳幼児の下半身が滑って前方に移動することを抑制する。突出部5は、例えば、円柱状に形成されているので、乳幼児の股の間に配置され易い。突出部5の直径は、例えば、4cm以上13cm以下であり、本実施形態では、7.5cmである。
図4は、図2のIV-IV線に沿った断面図である。図4に示されるように、突出部5の下端部5aは、例えば、高周波溶着により底部2と連結されている。底部2は、例えば、上シート21及び下シート22を含んでいる。上シート21は、突出部5の下端部5aと連結された円環状の連結部21aと、連結部21aの内側において下シート22と連結された円環状の連結部21bと、を有している。連結部21bは、例えば、高周波溶着により下シート22と連結されている。連結部21bの内側における上シート21と下シート22とが重なった部分には、気体の注入口A3が設けられている。注入口A3から気体を注入することにより、突出部5を膨らませることができる。
上シート21の連結部21aと連結部21bとの間には、第1方向D1で対向する一対の連通孔21cが設けられている。一対の連通孔21cにより、突出部5と底部2のチューブ体7aとが互いに連通される。このため、注入口A3から気体を注入することにより、突出部5だけでなく、底部2のチューブ体7aも膨らませることができる。
一対の支持部6は、背もたれ部4の後面における下部分に設けられ、背もたれ部4を支持している。一対の支持部6は、第1方向D1において互いに離間して設けられている。一対の支持部6は、例えば、高周波溶着によりチューブ体10の一対の下端部に連結されている。支持部6は、チューブ体10から後方に突出している。支持部6は、例えば、円錐状に形成されている。支持部6は、例えば、第1方向D1から見て、三角形状となるように形成されている。支持部6の後端は、第2方向D2において、背もたれ部4の後端と同じかそれよりも前方に位置している。これにより、ベビーバス1の第2方向D2の長さが支持部6によって長くなることが抑制される。
支持部6には、気体の注入口A4が設けられている。注入口A4から気体を注入することにより、支持部6を膨らませることができる。支持部6は、ベビーバス1の他の部分と連通していないので、支持部6の形状が安定し易い。よって、背もたれ部4を安定して支持することができる。その結果、浴槽Bの形状が安定し易い。支持部6の上端の高さH3は、側壁部3の高さH2よりも低い。支持部6の上端の高さH3は、シート体9の上端の高さH1の1/2以上である。これにより、背もたれ部4が安定して支持される。高さH3は、ベビーバス1が載置される平面を基準面としたときの高さである。
以上説明したように、ベビーバス1において、背もたれ部4には、乳幼児の背部及び頭部が配置される凹部11が設けられているので、乳幼児の体を安定して支持することができる。また、凹部11は、側壁部3よりも上方まで延在しているので、乳幼児の頭部を浴槽B内の水面より高い位置で支持することができる。
凹部11の底部は、平面状のシート体9により構成されている。このため、乳幼児の背部及び頭部が凹部11に配置され易い。
凹部11の底部は、乳幼児の頭部に対応する幅を有している。このため、凹部11の底部をなすシート体9を挟んで対向するチューブ体10の一対の対向部分10aにより、乳幼児の頭部を左右両側から支持することができる。
一対の支持部6は、第1方向D1において互いに離間して設けられている。このため、背もたれ部4が二点で支持される。よって、背もたれ部4が一点で支持される場合に比べて、背もたれ部4の支持が更に安定する。
背もたれ部4は、後方に傾斜しており、底部2に対する背もたれ部4がなす角度は、130度以上150度以下である。このため、乳幼児の上半身が後方に傾斜した状態となる。よって、乳児用の上半身が前方に倒れにくい。
突出部5は、底部2から突出し、浴槽B内において乳幼児の股部を支持する。このため、乳幼児の股部の位置が安定する。突出部5の高さは、側壁部3の高さと同等である。このため、乳幼児の上半身が前方に倒れ込んだとしても、突出部5により乳幼児の上半身(特に、顔)を支持することができる。
本開示は上述した実施形態に限らず、様々な変形が可能である。
ベビーバス1は、突出部5を備えなくてもよい。また、突出部5は、側壁部3及び背もたれ部4とは連通していないので、突出部5を構成する袋体に気体を注入しないことにより、突出部5を立体的に形成せず、ベビーバス1を用いてもよい。ベビーバス1は、1つの支持部6で背もたれ部4を支持する構成であってもよい。この場合、支持部6は、第1方向D1に延在し、背もたれ部4の第1方向D1の全体を支持してもよい。底部2のチューブ体7aは、突出部5と連通していなくてもよい。