以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態のエッジ位置読取装置100を有する画像形成装置500の構成を例示する断面図である。
画像形成装置500の上部には、原稿台2を有する自動原稿送り装置1が設けられている。原稿台2に載置された原稿束は、プリントキーが押下されると、一番下の原稿から順に給送ローラ3、給送ベルト4によってコンタクトガラス5上の所定の位置に給送される。
スキャナ部6は、コンタクトガラス5上に給送される原稿を光学的に読み込んで画像データを取得する。スキャナ部6によって取得された画像データに基づいて、書き込み部7が感光体8の表面にレーザ光を照射して静電潜像を形成する。感光体8の表面に形成された静電潜像は、現像ユニット9によりトナー像化される。
用紙トレイ11,12,及び13に収納されている用紙Pは、それぞれ給紙装置14,15,及び16によって給紙され、搬送ユニット10によって搬送される。用紙Pは、感光体8と転写ユニット17との間の画像形成部の一例である転写位置22で、感光体8の表面に形成されているトナー像が転写される。トナー像が転写された用紙Pは、定着ユニット18に搬送されて加熱及び加圧され、表面にトナー像が定着される。定着ユニット18を通過した用紙Pは、排紙ユニット19により機外に排出される。
両面印刷する場合には、定着ユニット18を通過した用紙Pは、分岐爪20により搬送経路が切り替えられて両面給紙搬送ユニット21にストックされる。両面給紙搬送ユニット21にストックされた用紙Pは、反転されて再び感光体8に向かって搬送され、裏面にトナー像が形成された後に機外に排出される。
画像形成装備500はさらに操作パネル23を有する。操作パネル23は、利用者の操作に応じた各種の入力を受け付けるとともに、各種の情報(例えば受け付けた操作を示す情報、画像形成装置1の動作状況を示す情報、画像形成装置1の設定状態を示す情報など)を表示する。つまり操作パネル23は、入力受付部の一例であり、表示部の一例である。操作パネル23は、タッチパネル機能を搭載した液晶表示装置(LCD:Liquid Cristal Display)で構成されるが、これに限られるものではない。例えばタッチパネル機能が搭載された有機EL(Electro-Luminescence)表示装置で構成されてもよい。さらに、これに加えて又はこれに代えて、ハードウェアキーで入力を受け付けたり、ランプ等で情報を表示したりすることもできる。前述のプリントキーは、一例として操作パネル23に設けられる。なお、図1は画像形成装置500の断面図であるが、操作パネル23については、ユーザが操作パネル23を操作できるように画像形成装置500の外部に露出して設けられた状態を示すものとする。
画像形成装置500は、用紙Pの搬送経路に、用紙のエッジ位置読取装置100を有している。エッジ位置読取装置100は、搬送される用紙Pのエッジ位置を読み取り、用紙Pの搬送位置を把握する。用紙Pの搬送位置に応じて画像形成位置を調整することで、用紙Pにおける画像位置ずれを防止している。
次に、本実施形態の用紙のエッジ位置読取装置100が有するセンサ部210の構成の一例を、図2を参照して説明する。図2は、センサ部210の構成の概略を説明する図である。(a)は側面図、(b)は平面図を示している。なお図2において、黒の太い矢印は、用紙Pの搬送方向を表し、白抜きの太い矢印は、用紙Pの搬送方向と交差する方向、すなわち幅方向を表している。なお、幅方向は、「所定方向」の代表的な一例である。
センサ部210は、光源部211と受光部212とを有している。
光源部211は、搬送される用紙Pの幅方向の一端、すなわちエッジが通過する領域に、幅方向に長いライン状の光を照射する。光源部211は、LED(Light Emitting Diode)アレイ211dと、基板211aとを有している。白色光に近い広範囲な波長帯域を有する光を発光する複数のLEDが、基板211aの上に幅方向に配列されている。
但し、光源部211は上記の構成に限定されず、赤、緑、及び青色の各色のLEDを同時に点灯させ、各色の光を混合させて、白色光に近い広範囲な波長帯域を有する光を照射してもよい。また、例えば蛍光管のように幅方向に長いライン状の光を照射する素子を1つ備える構成であってもよい。蛍光管によれば、幅方向に明るさが均一な白色光を照射することができる。
さらに、幅方向を長手方向とする導光部材を用い、導光部材の両端に配置した白色、又は赤色、緑色、及び青色の各色のLEDを点灯させて、導光部材を通過させることでライン状の光を照射してもよい。導光部材により幅方向に明るさが均一な光を照射することができる。これら以外にも、幅方向にライン状の光を照射可能であれば、光源部211を、上記した例とは異なる構成としてもよい。また、LEDアレイ211dからの光を、搬送される用紙Pの幅方向のエッジが通過する領域に、効率的に導くための導光レンズを設けた構成としてもよい。
受光部212は、基板212aと、赤色の光を受光する画素アレイ212rと、緑色の光を受光する画素アレイ212gと、青色の光を受光する画素アレイ212bとを有している。
画素アレイは、光信号を電気信号に変換する光電変換素子、例えばPD(Photo Diode)が幅方向にアレイ状に配列された素子である。1つの光電変換素子は、1つの画素に該当し、光の受光量に応じた電気信号を出力する。「光の受光量に応じた電気信号」は、検出信号の代表的な一例である。画素アレイは、1ライン分の画素の電気信号を出力する。
画素アレイ212rと、画素アレイ212gと、画素アレイ212bのそれぞれは、図示したように、幅方向と画素の配列方向が略平行になる状態で、搬送方向に並べて配置されている。
赤色の光を受光する画素アレイ212rは、受光面の前に赤色のカラーフィルタを有しており、カラーフィルタを通過した赤色の光を受光する。赤色のカラーフィルタは、赤色の波長帯の光を通過し、他の波長帯の光を吸収、又は反射する。同様に、画素アレイ212g、及び画素アレイ212bは、それぞれ緑色、及び青色のカラーフィルタを有しており、緑色、及び青色の波長帯の光を受光する。赤色、緑色、又は青色の光を通過させるカラーフィルタは、「赤、緑、又は青色の色選択手段」の代表的な一例である。
なお、画素アレイには、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)等を用いても構わない。また、二次元の画素アレイを有するCCDやCMOSのエリアセンサを用いて、受光部212を構成してもよい。さらに、受光部212の集光効率を上げるために、用紙Pによって反射された光を画素アレイに導くためのロッドレンズアレイ等のレンズアレイを設けてもよい。
センサ部210は、用紙Pの幅方向のエッジが通過する領域に、光源部211からライン状の白色光に近い光を照射する。そして、用紙Pの幅方向のエッジが通過する領域からの反射光を受光部212により受光する。反射光のうち、赤色の光は画素アレイ212rで受光され、緑色の光は画素アレイ212gで受光され、青色の光は画素アレイ212bで受光される。
単色の光のみを照射し、反射光を受光する場合、用紙Pの色によっては照射光が用紙Pに吸収されてしまい、十分な反射光が得られない時がある。本実施形態のように、白色光に近い光を照射し、赤、緑、及び青色の光を受光することで、単色光のみを用いた場合と比較して、エッジ位置を読み取ることが可能な用紙Pの色や種類を増やすことができる。
但し、このような効果を得るための構成は、上記に限定されない。例えば赤、緑、及び青色の3つのLEDアレイを光源に用い、各LEDアレイを順次点灯させながら、1つの画素アレイにより時分割で各色の光を受光する構成としてもよい。この構成によっても、
上記と同様に用紙Pの色や種類を増やすことができる。
また、センサ部210をCIS(Contact Image Sensor)により構成してもよい。CISは、受光部と、光源部と、ロッドレンズアレイ(等倍結像系レンズ)とを一体化したイメージセンサである。CISを用いることで、例えば用紙の表面に近づきコンパクトにエッジ位置を読取ることができるという効果が得られる。
図3は、エッジ位置読取装置100におけるセンサ部210と、用紙Pとの位置関係の一例を示している。図3において、用紙Pは、黒の太い矢印の方向に搬送されている。センサ部210は、白抜きの矢印で示した幅方向において、用紙Pの一端、すなわちエッジを跨ぐように設けられている。センサ部210が跨いでいる用紙Pのエッジの幅方向における位置が、センサ部210により読み取られる。「幅方向において、用紙Pの一端、すなわちエッジを跨ぐように設けられたセンサ部210」は、「対象物のエッジを読み取り可能に配置されたセンサ部」の代表的な一例である。
次に、エッジ位置読取装置100のハードウェア構成を、図4のブロック図を参照して説明する。エッジ位置読取装置100は、センサ部210と、制御装置300とを有している。エッジ位置読取装置100は、制御装置300からの命令に従い、動作する。
センサ部210は、光源部211と、受光部212と、AFE(Analog Front End)213とを有している。AFE213は、センサなどの信号検出デバイスと、マイコンや電子ハードウェア回路などのデジタル信号処理デバイスとを結ぶアナログ回路である。AFE213は、制御装置300からの命令に従い、所定のタイミングで受光部212と光源部211に、駆動信号を出力する。
光源部211は、AFE213から駆動信号が入力されると、点灯、又は消灯する。点灯により、所定の光量で、幅方向に長いライン状の光を照射する。
受光部212は、AFE213から駆動信号が入力されると、受光した光を画素アレイの各画素で光電変換した、幅方向に長い1ライン分のアナログ電圧信号を、AFE213に出力する。AFE213は、受光部212の有する画素アレイからアナログ電圧信号が入力されると、A/D(Analog/Digital)変換を実行し、各画素のデジタル電圧信号を制御装置300に出力する。
制御装置300は、AFE213から信号が入力されると、後述するような、画素の出力値を加算する処理やエッジ位置の検出処理等を実行し、搬送される用紙Pのエッジ位置を読み取る。読取結果は、制御装置300の後工程に接続された補正装置400に出力される。補正装置400は、エッジ位置読取装置100の出力に応じて、用紙Pと用紙Pに形成される画像の互いの位置を適切にする装置である。補正装置400の一例として、書込み装置6が挙げられる。この場合読取結果を出力された補正装置400である書込み装置6は、読取結果であるエッジ位置に応じて次に搬送される用紙Pの画像の画像形成位置を調整する。補正装置400は書込み装置6に限られず、画像形成位置22に到達する前の用紙Pの位置を補正する用紙位置補正装置等であってもよい。また、上記ではAFE213を用いる構成を示したが、AFE213で行う処理を、LEDのドライバ回路、画素アレイのドライバ回路、A/D変換器、或いはこれらの組合せた回路等に実行させてもよい。
制御装置300は、例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)により構成されている。但し、FPGAで行う処理の一部、又は全部を、CPU(Central Processing Unit)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等に実行させてもよい。また、制御装置300が、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリを有する構成としてもよい。例えば、ROMに予め記憶されているプログラムに従って、RAMをワークメモリとして用いて、光源部211の制御や、受光部212で読み取られた画素の出力の処理を行う。また制御装置300が制御に用いる設定値などを記憶させるための不揮発性記憶媒体、一例としてHDD(Hard Disc Drive)等を含めて制御装置300としてもよい。
また、制御装置300をセンサ部210の外部に設けた構成を示したが、これに限定されない。センサ部210が制御装置300を有する構成としてもよいし、画像形成装置や後工程の補正装置400等が制御装置300を有する構成としてもよい。
また、センサ部210がAFE213を有する構成を示したが、AFE213をセンサ部210の外部に設けた構成としてもよいし、後工程の補正装置等がAFE213を有する構成としてもよい。
制御装置300は、上記のハードウェア構成によって、次に説明する機能構成を実現することができる。
図5は、制御装置300の機能構成の一例を示すブロック図である。制御装置300は、通信部301と、駆動クロック生成部302と、前処理部303とを有している。また制御装置300は、条件設定部304と、信号レベル検出部305と、信号出力加算処理部306と、エッジ位置検出部307とを有している。
通信部301は、AFE213や補正装置等、制御装置300に接続されるデバイスを制御したり、データを入出力したりするために通信を行う。通信方式には、例えばシリアル通信が用いられる。
駆動クロック生成部302は、駆動クロック信号を生成し、通信部301を介してAFE213に出力する。生成された駆動クロック信号に基づくタイミングで、センサ部210における光源部211や受光部212が、AFE213を介して制御される。
前処理部303は、センサ部210で読み取られた画素出力の処理の前処理として、出力ノイズを除去するための処理等を行う。前処理には、例えば幅方向移動平均処理や、搬送方向平均処理等がある。
幅方向移動平均処理は、受光部212の画素アレイで幅方向に隣接する画素の出力値を、区間をずらしながら平均化する処理である。例えば、幅方向における任意の位置の画素で、隣接する7画素の出力値の平均値を求め、その画素の出力値とする。この処理により、受光面に付着したゴミによる出力ノイズや、画素毎のショットノイズや熱ノイズ等が除去、又は低減される。またロッドレンズを使用する場合、例えば7画素間隔等の周期性を有し、再現性のある出力ノイズが発生することがある。ロッドレンズで集められた光には強度分布があるため、ロッドレンズの配列に伴い、ロッドレンズ毎の強度分布が重ね合わされることで生じるものである。幅方向移動平均処理により、このようなノイズも除去、又は低減される。
搬送方向平均処理は、搬送方向、すなわち幅方向と交差する方向での画素の出力値を平均化する処理である。幅方向における画素毎の出力値の変動が大きい場合に、幅方向と交差する方向でも画素の出力値を平均化することで、出力ノイズを除去、又は低減する。例えば搬送方向に複数の画素アレイが備えられている場合に、幅方向における任意の位置の画素で、搬送方向に隣接する画素の出力値の平均値を求め、その画素の出力値とする。また搬送方向に複数の画素アレイが備えられていない場合は、用紙Pを搬送しながら、幅方向における任意の位置の画素において、時分割で複数の出力値を取得し、これらの平均値をその画素の出力値とする。
なお、前処理の内容は、上記に限定されず、ノイズの状況等に応じて種々に変更可能である。
条件設定部304は、エッジ位置の読み取りのための条件の設定を行う。例えば、幅方向移動平均処理で、出力値を平均化するための隣接画素の数等の前処理条件の設定を行う。また用紙Pのエッジの読取回数や搬送方向におけるエッジの読取位置、タイミングといった読み取り条件、或いはエッジ位置を検出するための閾値や閾値の決め方等のエッジ検出条件等の設定を行う。条件の入力は、例えば各種条件の設定データが記録された条件ファイルを、通信部301を介して、USB(Universal Serial Bus)等の外部記憶装置から読み込ませることで行うことができる。また設定される各種条件は、画像形成装置500が有するHDD等の記憶媒体にあらかじめ記憶されたものを用いてもよい。
信号レベル検出部305は、画素の出力値の信号レベルVh、及びVlを取得する。本実施形態での信号レベルVh、及びVlは、例えば、幅方向に配列された画素アレイの1ライン分の画素の出力値の中での最大値、及び最小値である。取得された信号レベルVh、及びVlは、閾値を自動決定する場合に、閾値の算出のため等に用いられる。但し、信号レベルVh、及びVlは、上記のような最大値、及び最小値に限定されない。例えば画素アレイにおいて、搬送される用紙Pのうち最小サイズの用紙であっても、用紙からの反射光の出力値が得られる画素を用いて、反射光の出力値を取得する。取得された出力値に基づき、信号レベルVhを算出することにしてもよい。また取得した信号レベルVhが、予め決められた閾値以下だった場合は、予め決められた所定の値、すなわち固定値を、信号レベルVhとしてもよい。得られたVhから、Vh/2として閾値を決定してもよい。
一方、信号レベルVlは、データを取得せず、予め決められた所定の値、すなわち固定値を用いることにしてもよい。信号レベルVhは搬送される用紙Pによって変動が大きいため、取得したデータから求める必要があるが、信号レベルVlは背景領域の出力値であるため、出力値の変動が少ないからである。
信号出力加算処理部306は、幅方向の位置毎で、画素アレイの画素の出力値を加算する。具体的には、例えば幅方向の任意の位置で、画素アレイ212rによる赤色の光に対する画素の出力値と、画素アレイ212gによる緑色の光に対する画素の出力値と、画素アレイ212bによる青色の光に対する画素の出力値とを加算する。そして加算した値を、その位置での画素の出力値として出力する。
なお、画素アレイの各画素の出力は信号であり、その出力値は、時間に応じて多少なりとも変化する。「時間に応じて変化する画素の出力値」は、「画素の出力信号」の一例である。また、信号出力加算処理部306は、「所定方向における位置毎において、画素アレイの画素の出力信号を加算する加算部」の一例である。
エッジ位置検出部307は、幅方向において隣接する画素の出力値が、閾値より小さい値から閾値より大きい値に変化する位置(座標)を特定し、用紙Pのエッジ位置として出力する。なお、エッジ位置検出部307は、「対象物のエッジを検出するエッジ位置検出部」の一例である。
次に、制御装置300による処理の一例を、図6のフローチャートを参照して説明する。
まず、ステップS601において、条件設定部304は、エッジ位置の読み取りのために必要な条件を設定する。設定される条件は、上述したように前処理の条件やエッジ検出処理の条件等である。条件設定部304は、設定値を前処理部303、信号レベル検出部305、信号出力加算処理部306、及びエッジ位置検出部307に出力し、各部で必要な条件が設定される。
次に、ステップS603において、制御装置300は、駆動クロック生成部302によるクロック信号に基づくタイミングで、光源部211と受光部212を駆動する命令を出す。命令は、通信部301を介してAFE213に出される。光源部211は、AFE213からの駆動信号に基づき、所定のタイミングで、搬送されてくる用紙Pの幅方向のエッジが通過する領域に光を照射する。
受光部212は、AFE213からの駆動信号に基づき、所定のタイミングで、1ライン分の画素のアナログ電圧信号をAFE213に出力する。AFE213は、A/D変換を実行し、1ライン分の画素のデジタル電圧信号を、制御装置300に出力する。
通信部301は、1ライン分の画素の出力信号を入力し、前処理部303に出力する。前処理部303は、幅方向移動平均処理や搬送方向平均処理等の前処理を実行し、前処理結果を信号レベル検出部305に出力する。
次に、ステップS605において、信号レベル検出部305は、1ライン分の画素の出力値における信号レベルVh、及びVlを取得する。エッジ検出のための閾値の決定方法が条件設定部304により「自動決定」に設定されている場合、信号レベル検出部305は、取得した信号レベルVh、及びVlからエッジ検出のための閾値を算出する。算出された閾値は、エッジ位置検出部307に入力される。算出は、例えば(Vh+Vl)/2の演算により行われる。閾値を自動決定しない場合は、条件ファイルに記録された閾値データがエッジ位置検出部307に入力される。
次に、ステップS607において、信号出力加算処理部306は、信号レベルVh、及び信号レベルVlの値に基づき、画素の出力値の加算処理を実行するかを判断する。つまり、用紙Pから十分な反射光が得られ、信号レベルVhと信号レベルVlの差が大きい時は、信号出力加算処理を実行しないと判断する。信号レベルVhと信号レベルVlの差が小さい時は、信号出力加算処理を実行すると判断する。なお、この判断は、信号レベルVhと信号レベルVlの検出結果を用いる方法に限らず、予め用紙の種類、色、又は表面状態等のデータを条件ファイルに記録しておき、そのデータを参照することで、判断してもよい。
ステップS607で信号出力加算処理を実行すると判断された場合は、ステップS609において、信号出力加算処理部306は、幅方向の位置毎で、画素の出力値を加算する。つまり幅方向の位置毎で、例えば画素アレイ212rの画素の出力値と、画素アレイ212gの画素の出力値と、画素アレイ212bの画素の出力値とを加算する。加算により得られた1ライン分の画素の出力値は、エッジ位置検出部307に入力される。
ステップS607で信号出力加算処理を実行しないと判断された場合は、信号出力加算処理が実行されず、画素アレイの1ライン分の画素の出力値は、エッジ位置検出部307に入力される。この場合は、例えば、画素アレイ212r、画素アレイ212g、又は画素アレイ212bの何れか1つの画素アレイの1ライン分の画素の出力値が、エッジ位置検出部307に入力される。
次に、ステップS611において、エッジ位置検出部307は、幅方向において隣接する画素の出力値が、閾値より小さい値から閾値より大きい値に変化する位置を特定し、用紙Pのエッジ位置として出力する。
次に、搬送方向における用紙Pの複数の箇所のエッジ位置を読み取ると条件設定されている場合は、ステップS613において、所定の位置、又は所定の回数だけエッジ位置が読み取られたかが判断される。ステップS613において、所定の位置、又は所定の回数だけエッジ位置が読み取られたと判断された場合、制御装置300は処理を終了する。一方、読み取られていないと判断された場合は、ステップS603に戻り、再度、用紙Pのエッジ位置の読み取りが実行される。後述するように、複数の箇所のエッジ位置が読み取られた場合は、用紙Pの位置に加え、用紙Pの傾きが求められる。
エッジ位置読取装置100は、以上の処理を実行し、用紙Pのエッジ位置を読み取る。用紙Pのエッジ位置に基づき、用紙Pの位置、又は傾きが検出される。後工程の補正装置は、検出結果に基づき、用紙Pの位置、又は傾きを補正する。
次に、エッジ位置読取装置100により読み取られたデータと、エッジ位置読取装置100の作用、及び効果を、図7~9を用いて説明する。
図7は、エッジ位置読取装置100により用紙Pのエッジ位置を読み取る様子と、読み取られたデータを説明する図である。(a)は、用紙Pが、黒の太い矢印で示した方向に搬送経路Tを搬送されており、用紙PのエッジWが、センサ部210により読み取られる様子を示している。
(b)は、画素アレイ212rにより読み取られた、赤色の光に対する1ライン分の画素の出力値を示している。横軸は、幅方向における画素アレイの各画素の位置(座標)である。縦軸は画素の出力値である。破線は画素の出力値の信号レベルVhを表し、信号レベルVlとの差をレンジDとして示している。2本の一点鎖線214は、幅方向におけるエッジWの位置、及びセンサ部210の一端210aの位置をそれぞれ示している。また点線は、エッジ検出のための閾値215を示している。同様に、(c)、(d)は、それぞれ画素アレイ212g、及び画素アレイ212bにより読み取られた、緑色の光、及び青色の光に対する1ライン分の画素の出力値を示している。
光源部211から光を照射した領域において、用紙Pがない領域からの反射光は光量が小さく、画素の出力値は小さくなっている。一方、用紙Pがある領域からの反射光は、用紙Pによる反射により光量が大きくなり、画素の出力値は大きくなっている。従って、画素の出力値が小さい値から大きい値に変化する幅方向の位置を検出することで、幅方向における用紙PのエッジWの位置を読み取ることができる。なお、用紙Pがない領域を、以降では「背景領域」と呼ぶ。
ここで、従来は、赤色、緑色、及び青色のうち、最も上記変化が大きい色に対する画素の出力値を用いて、用紙PのエッジWの位置を読み取った。例えば図7において、赤色の光に対する画素の出力値の変化は、緑、及び青色の光に対する画素の出力値の変化より大きい。これは用紙Pの色が赤に近く、赤色の反射光の光量が大きいことを表している。図7の例では、赤色の光に対する画素の出力値:Rが、閾値215より小さい値から閾値215より大きい値に変化する位置を特定することで、エッジWの幅方向における位置を読み取ることができる。
但し、用紙Pには、様々な色や表面状態を有するものがあり、用紙によっては十分な反射光の光量が得られない場合がある。例えば図8では、赤、緑、及び青色の光に対する画素の出力値は何れも閾値215より小さくなっている。用紙Pの色が黒色であり、何れの色でも十分な反射光の光量が得られない状態である。このような場合には、用紙Pのエッジの位置を読み取ることができない。
一方、図9は、エッジの検出のための閾値を、図8と比較して下げた場合を示している。点線は閾値216である。図9の例では、赤、緑、及び青色の何れの光に対しても、用紙Pからの反射光による画素の出力値が閾値216を上回っている。しかし、背景領域におけるゴミ等のノイズ光で、用紙がなくても画素の出力値が大きくなる場合がある。図9において、画素出力216aはノイズ光による画素出力を表している。閾値216を小さくすると、ノイズ光による画素出力が閾値を上回ってしまう場合があり、このような場合にはエッジの位置のみを正確に読み取ることができなくなる。
本実施形態のエッジ位置読取装置100では、幅方向における位置毎で、画素の出力値を加算している。例えば図10において、(a)は赤色の光に対する画素の出力値、(b)は緑色の光に対する画素の出力値、(c)は青色の光に対する画素の出力値、(d)は幅方向における位置毎で、赤、緑、及び青色の光に対する画素の出力値を加算したものをそれぞれ示している。
3つの色の光に対する画素の出力値を加算することで、単色のみを用いる場合と比較して、出力値を大きくすることができる。これにより、用紙の色や表面状態に起因した用紙からの反射光の光量不足で、用紙のエッジが読み取れなくなることを防ぐことができる。また、ノイズ光による画素の出力値と、用紙からの反射光による画素の出力値との差を広げることができるため、ノイズ光に起因して、用紙のエッジ位置を誤って読み取ってしまうことを防ぐことができる。
さらに、加算する画素の出力値に、赤、緑、及び青色という異なる色の光に対する出力値を用いるため、用紙の色毎での反射光の光量の違いを抑えることができ、様々な色の用紙のエッジを読み取ることができる。
以上説明したように、本実施形態のエッジ位置読取装置100によれば、対象物の種類の制約を受けることなく、対象物のエッジ位置を読み取ることができる。
なお、本実施形態では、白色に近い光を照射し、赤、緑、及び青色の光を3つの画素アレイでそれぞれ受光する構成を示したが、これに限定されない。例えば赤、緑、及び青色の3つの光源から光を照射し、1つの画素アレイにより各色の反射光を時分割で受光する構成としてもよい。
利用する光の色も、赤、緑、又は青に限定されず、例えばシアン、マゼンタ、又はイエロー等、他の色を置換や追加で用いてもよい。また色毎に備える画素アレイや光源の数を増減させてもよい。
また光を照射しなくても、対象物からの光を十分大きい出力で受光できるのであれば、対象物に光を照射するための光源を有さなくてよい。
さらに、以上では、画像形成装置において、搬送される用紙の幅方向のエッジを読み取る例を示したが、これに限定されない。例えば、搬送される物品やシート、移動する物品やシート等のエッジの読み取りにも適用できる。また停止している用紙、シート、又は物品等の種々の対象物の任意方向のエッジの読み取りにも適用可能である。また対象物からの反射光を利用する例を示したが、対象物が光を透過、又は通過するものであれば、対象物の透過光、又は通過光を利用して、エッジを読み取ってもよい。
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態のエッジ位置読取装置の一例を、図11~12を参照して説明する。なお、第2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
まず、第2の実施形態のエッジ位置読取装置100aを説明する前に、エッジ位置読取装置における背景領域の反射光の影響を、図11を参照して説明する。
図11は、黒の太い矢印で示した方向に搬送されている用紙Pのエッジ位置を、センサ部210が読み取る様子を、側方から観察した模式図である。ここで背景領域Bとは、センサ部210が読み取る領域において、用紙Pがない領域である。背景領域Bは、例えば用紙Pを搬送するための搬送ベルトのベルト面である。搬送ベルトは、ベルト面が搬送方向に移動することで、ベルト面上に載置された用紙Pを搬送する部材である。センサ部210が読み取る領域において、用紙Pがない領域では、センサ部210はベルト面に対向する。
ここで、用紙Pのエッジを読み取る領域に光を照射した時、背景領域B、すなわちベルト面からの反射光の光量が大きく、画素アレイにおける画素の出力値が大きいと、用紙Pの反射光による画素の出力値との差が小さくなる。特に、信号出力加算処理部306により加算処理を行うと、用紙Pの反射光による画素の信号出力との差がさらに小さくなる場合がある。
背景領域Bからの反射光による画素の出力は、用紙Pの反射光による画素の出力に対してノイズになる。そのため、背景領域Bからの反射光の光量が大きいと、用紙Pの反射光による画素の出力信号のSNR(Signal to Noise Ratio)が低下する。その結果、用紙Pのエッジ位置を正しく読み取ることができなくなる場合がある。
本実施形態のエッジ位置読取装置100aは、図12に示すように、センサ部210が用紙Pのエッジを読み取る領域において、センサ部210と対向する箇所に、光を通過、又は透過させる開口部218を備えた構成としている。開口部218は、例えば図12において、1つの搬送ベルトB1から次の搬送ベルトB2に用紙Pを受け渡す場合の2つの搬送ベルト間にできる隙間である。この領域にはベルト面がないため、センサ部210が光を照射してもベルト面で反射されず、反射光がセンサ部210に入射することもない。
従って、背景領域Bからの反射光を防ぎ、用紙Pの反射光による画素の出力信号のSNRを確保することができる。これにより、用紙Pのエッジ位置の読取精度を確保でき、用紙Pのエッジ位置を正しく読み取ることができる。
なお、上記以外の効果は、第1の実施形態で説明したものと同様である。
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態のエッジ位置読取装置の一例を、図13を参照して説明する。なお、第3の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図13は、第3の実施形態のエッジ位置読取装置100bによるエッジ位置の読み取りの様子を説明する図である。(a)は、黒の太い矢印で示した方向に搬送されている用紙Pのエッジ位置を、センサ部210が読み取る様子を、側方から観察した模式図である。
(b)は、センサ部210の周辺を拡大した図である。
第2の実施形態のように、センサ部210が用紙Pのエッジを読み取る領域において、センサ部210と対向する箇所に開口部218を設けると、センサ部210から照射された光が通過するため、反射光が抑制される。但し、用紙Pが搬送される空間が狭いような場合、開口部218の付近に何らかの部材が配置される時がある。
このような時、開口部218を通過した光は、開口部218の付近に配置された部材で反射され、センサ部210に入射する場合がある。部材による反射光は、第2の実施形態において説明したのと同様に、用紙Pの反射光による画素の出力信号のSNRを低下させる場合がある。
第3の実施形態のエッジ位置読取装置100bは、図13に示すように、センサ部210が用紙Pのエッジを読み取る領域において、センサ部210と対向する箇所に、光吸収部材219を備えた構成としている。光吸収部材219は、例えば黒色の起毛紙である。
光を吸収することで、表面での反射が防止されている。
センサ部210における光源部211からの照射光は、光吸収部材219で吸収され、センサ部210に入射されるノイズ光が防止される。従って、背景領域Bからの反射光を防ぎ、用紙Pの反射光による画素の出力信号のSNRを確保することができる。これにより、用紙Pのエッジ位置の読取精度を確保でき、用紙Pのエッジ位置を正しく読み取ることができる。
なお、上記以外の効果は、第1の実施形態で説明したものと同様である。
[第4の実施形態]
次に、第4の実施形態のエッジ位置読取装置の一例を、図14を参照して説明する。なお、第4の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図14は、第4の実施形態のエッジ位置読取装置100cによるエッジ位置の読み取りの様子を説明する図である。(a)は、黒の太い矢印で示した方向に搬送されている用紙Pのエッジ位置を、センサ部210が用紙Pのエッジ位置を読み取る様子を、側方から観察した模式図である。(b)は、センサ部210の周辺を拡大した図である。
第2の実施形態のように、センサ部210が用紙Pのエッジを読み取る領域において、センサ部210と対向する箇所に開口部218を設けると、センサ部210から照射された光が通過するため、反射光が抑制される。但し、用紙Pが搬送される空間が狭いような場合、開口部218の付近に何らかの部材が配置される時がある。
このような時、開口部218を通過した光は、開口部218の付近に配置された部材で反射され、センサ部210に入射する場合ある。部材による反射光は、第2の実施形態において説明したのと同様に、用紙Pの反射光による画素の信号出力のSNRを低下させる場合がある。
第4の実施形態のエッジ位置読取装置100cは、図14に示すように、センサ部210が用紙Pのエッジを読み取る領域において、センサ部210と対向する箇所に、ミラー220を備えた構成としている。ミラー220は、反射光がセンサ部210に入射しないように、センサ部210からの光の照射方向に対して、所定の角度で反射面が傾けられている。なお、ミラー220は、光反射面の一例である。
センサ部210における光源部211からの照射光は、ミラー220によりセンサ部210が配置された方向とは異なる方向に反射される。これにより、センサ部210にノイズ光が入射するのを防止することができる。ミラー220の反射光がセンサ部210に入射しない角度は、実験、又はシミュレーションにより予め求められ、ミラー220はこの角度に調整されて固定されている。
以上により、背景領域Bからの反射光を防ぎ、用紙Pの反射光による画素の信号出力のSNRを確保することができる。これにより、用紙Pのエッジ位置の読取精度を確保でき、用紙Pのエッジ位置を正しく読み取ることができる。
なお、上記以外の効果は、第1の実施形態で説明したものと同様である。
[第5の実施形態]
次に、第5の実施形態のエッジ位置読取装置の一例を、図15~18を参照して説明する。なお、第5の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
用紙は、例えば複数のローラで挟まれて把持され、搬送ベルト上に載置されて搬送される。この際、複数のローラの各々の回転数の違い等に起因して、搬送ベルト上に傾いて載置される場合がある。
図15は、用紙Pが位置ずれ、すなわち幅方向に平行にシフトし、かつ傾いて搬送ベルト上に載置されて搬送される様子を示している。(a)は、用紙Pの位置ずれが補正される前の状態である。(b)は、エッジ位置読取装置により、用紙Pのエッジ位置が読み取られ、後工程の補正装置により用紙Pの位置ずれが補正された後の状態を示している。補正の前後で用紙Pのエッジの位置が補正されている。但し、用紙Pの傾きは残ったままである。
本実施形態のエッジ位置読取装置100dでは、センサ部210dが、搬送方向における用紙Pの異なる複数の箇所のエッジ位置を読み取り、この結果に基づき、用紙Pの傾きを検出する。
図16は、センサ部210dが用紙Pの異なる複数の箇所のエッジ位置を読み取る様子の一例と、各箇所で得られた、赤、緑、及び青色の光に対する「画素の出力値が加算された値」を示している。(a)は読取箇所1、読取箇所2、及び読取箇所3と用紙Pとの位置関係を示している。見やすいように、用紙Pに対してセンサ部210dの搬送方向の位置をずらして示しているが、読み取りにおいては、センサ部210dは固定され、用紙Pが搬送される。そして、センサ部210dによる読み取りのタイミングがずらされ、用紙Pの異なる複数の箇所、すなわち読取箇所1~3のエッジ位置が読み取られる。
(b)は、読取箇所1での「画素の出力値が加算された値」を示している。つまり、画素アレイ212rと、画素アレイ212gと、画素アレイ212bの画素の出力値が、幅方向の位置毎で加算された値である。(c)、及び(d)は同様に、読取箇所2、及び読取箇所3での「画素の出力値が加算された値」を示している。
読取箇所1では、用紙Pの幅方向におけるエッジ位置はW3である。読取箇所2、及び3では、用紙Pの幅方向におけるエッジ位置は、それぞれW4、及びW5である。用紙Pが傾いていることで、各箇所でのエッジ位置が異なる値となっている。
図17は、本実施形態のエッジ位置読取装置100dの有する制御装置300dの機能構成の一例を示している。エッジ位置検出部307dは、第1の実施形態で説明したのと同様の方法で、エッジ位置W3~W5を検出する。またこれに加え、エッジ位置W3~W5から、用紙Pの傾きを、例えばtan-1{(W5-W3)/L31}の演算により算出する。但し、L31は読取箇所1から読取箇所3までの搬送方向における距離である。上記では、3箇所のエッジ位置を読み取ったが、用紙Pの傾きを得るためには、少なくとも2箇所のエッジ位置を読み取ればよい。読取箇所の数を増やすほど、平均化の効果により、傾きの検出精度を向上させることができる。
図18は、本実施形態のエッジ位置読取装置100dにおいて、センサ部210dが用紙Pの異なる複数の箇所のエッジ位置を読み取る様子の別の例を示している。図18は、読取箇所1、及び2で読み取ったエッジ位置W7、及びW6に基づき、用紙Pの傾きを補正する様子を示している。(a)は補正前で、(b)は補正後である。
エッジ位置読取装置100dにおいて、センサ部210dはW7、及びW6を読み取り、エッジ位置検出部307dは、傾きtan-1{(W7-W6)/L76}を算出する。但し、L76は読取箇所1から読取箇所2までの搬送方向における距離である。算出された用紙Pの傾きは、補正装置に出力され、補正装置により補正される。
なお、エッジ位置読取装置100dでは、用紙Pの幅方向における理想的な位置を予め規定しておき、エッジ位置検出部307dにより検出したエッジ位置との差分から、理想的な位置に対する用紙Pの位置ずれを算出してもよい。例えば、図18において、W6を理想的な位置とすれば、エッジ位置検出部307dは用紙Pの位置ずれを、W7―W6の演算により算出できる。算出された用紙Pの位置ずれは、補正装置に出力され、補正装置により補正される。
以上説明したように、本実施形態のエッジ位置読取装置100dによれば、読み取った用紙のエッジ位置に基づき、用紙の位置、及び傾きを検出することができる。
なお、上記以外の効果は、第1の実施形態で説明したものと同様である。
[第6の実施形態]
次に、第6の実施形態のエッジ位置読取装置の一例を、図19~21を参照して説明する。なお、第6の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
上述したように、エッジ位置読取装置では、ゴミ等に起因して画素の出力値が閾値を上回った場合、エッジ位置を誤検出する場合がある。本実施形態では、このようなゴミ等の画素の出力値による誤検出を防止している。
図19は、本実施形態のエッジ位置読取装置100eが有する制御装置300eの機能構成の一例を示すブロック図である。制御装置300eは、閾値画素数検出部191と、ゴミ等判定部192とを有している。
閾値画素数検出部191は、画素の出力値が、幅方向の所定範囲において、出力値の閾値を上回った画素の数を検出する。検出された画素数は、ゴミ等判定部192に入力される。ゴミ等判定部192は、条件設定部304eにより予め設定された、所定範囲における画素数の閾値に対し、検出された画素数が下回る場合、この画素の出力値はゴミ等に起因するものと判定し、判定結果をエッジ位置検出部307eに出力する。エッジ位置検出部307eは、ゴミ等に起因するものを判定された画素の出力値は、エッジ検出において無視するようにしている。また条件設定部304eにより、所定範囲と画素数の閾値は、任意に変更可能としている。閾値画素数検出部191は、画素数検出部の一例である。またエッジ位置検出部307eは、「加算部の出力と、画素数検出部の出力とに基づき、対象物のエッジ位置を検出するエッジ位置検出部」の一例である。
図20は、本実施形態のエッジ位置読取装置100eにより読み取られたデータの一例を示している。横軸は幅方向の位置を表し、縦軸は画素の出力値を表している。黒丸のプロットは、赤、緑、及び青色の光に対する画素の出力値を加算したものを示し、白丸のプロットは、このような加算を行わなかった場合の、例えば赤色の光に対する画素の出力値を示している。また実線の直線で示した193は画素の出力値に対する閾値を示している。実線の丸で囲ったゴミ等出力194は、ゴミ等に起因する画素の出力値を示し、破線の四角で囲った用紙出力195は、用紙Pに起因する画素の出力値を示している。
例えば、ゴミ等出力194において、赤色の光の画素出力、すなわち白丸のプロット5個のうち、閾値193を上回っている画素の数は1個である。これに対し用紙出力195では、白丸のプロット5個のうち、閾値193を上回っている画素の数は4個である。従って、例えば所定の範囲を5画素とし、ゴミ等判定部192における画素数の閾値を2画素以上とすれば、ゴミ等に起因する出力の影響を受けず、エッジ位置を正しく読み取ることが可能となる。
一方で、ゴミ等出力194において、赤、緑、及び青色の光に対する画素の出力、すなわち黒丸のプロット5個のうち、閾値193を上回っている画素の数は3個である。これに対し用紙出力195では、白丸のプロット5個のうち、閾値193を上回っている画素の数は5個である。従ってこの場合は、例えば所定の範囲を5画素とし、ゴミ等判定部192における画素数の閾値を4画素以上とすれば、ゴミ等に起因する出力の影響を受けず、エッジ位置を正しく読み取ることが可能となる。
図21は、本実施形態のエッジ位置読取装置100eにより読み取られたデータの別の例を示している。図21は、画素数の閾値を大きくし過ぎた場合の副作用を説明するものである。
図21において、黒丸のプロットは、赤、緑、及び青色の光に対する画素の出力値を加算したものを示し、実線の丸で囲った黒色のゴミ等出力196は、黒色のゴミ等に起因する画素の出力値を示している。またプロット197は正しいエッジ位置を示し、プロット198は誤検出されたエッジ位置を示している。196で画素の出力値が小さくなっているのは、ゴミ等が黒いためである。
このような場合に、例えば所定範囲が5画素で、画素数の閾値を3画素以上とすれば、正しいエッジ位置のプロット197が検出されるが、所定範囲が5画素で、画素数の閾値を5画素以上とすると、誤ったエッジ位置のプロット198が検出される。従って、ゴミ等のサイズが小さいことが予測される場合や、赤、緑、及び青色の光に対する画素出力の加算を行わないような場合は、画素数の閾値は小さくすることが望ましい。
このように本実施形態によれば、ゴミ等に起因する出力の影響を受けず、エッジ位置を正しく読み取ることができるとともに、画素出力の加算処理を行う場合と行わない場合で、所定範囲、及び画素数の閾値を適正化することができる。
[第7の実施形態]
第7の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図5の説明でも触れたが、エッジ検出のための閾値は自動で決定されることにしてもよい。その場合は、例えば、センサ部210で取得される幅方向の画素の出力値のうち、信号レベルVh、及び信号レベルVlを用い、(Vh+Vl)/2を閾値とする。しかし、用紙Pには透明シートやメタリック紙のように、用紙で反射した光による画素の出力値が安定しない場合がある。
図22は、その一例を示している。図22において、実線の四角で示した部分221は、メタリック紙で反射した光による画素の出力値を示している。図のように出力値が大きく変化しており、この場合に、信号レベルVh、及びVlを用いて自動で閾値を求めると、エッジ位置を正しく読み取ることができない場合がある。
そこで、本実施形態のエッジ位置読取装置100fでは、用紙種類を検知し、用紙の種類に応じて、閾値の決定方法を切り替えることにしている。
図23は、本実施形態のエッジ位置読取装置100fが有する制御装置300fの機能構成の一例を示すブロック図である。制御装置300fは、用紙種類検知部222を有している。
用紙種類検知部222は、搬送される用紙の種類を検知する。例えば、画像形成装置において操作パネル23等で選択され、RAMに記憶された用紙の種類を参照することで、実現される。用紙種類検知部222は、用紙が透明シートやメタリック紙等の反射光による画素の出力値が安定しないものであることを検知すると、検知結果を条件設定部304fに出力する。条件設定部304fは、この場合はエッジ検出のための画素の出力値の閾値を自動決定せず、固定の値に設定する。一方で、用紙種類検知部222は、用紙が、反射光による画素の出力値が安定するものであることを検知すると、検知結果を条件設定部304fに出力する。条件設定部304fは、この場合はエッジ検出のための画素の出力値の閾値を自動決定するように設定する。なお、条件設定部304fは、閾値決定方法変更部の一例であり、用紙種類検知部222は、種類検知部の一例である。
以上により、用紙の種類に応じて閾値の決定方法の設定を切り替えることで、用紙の種類の影響を抑制し、正しくエッジ位置を読み取ることができる。
[第8の実施形態]
図5の説明においても触れたが、本実施形態は、前処理部303における幅方向移動平均処理に関するものである。第7の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
エッジ位置読取装置では、ロッドレンズを使用する場合に、ロッドレンズを通過する光線のクロストーク等により、周期性をもった出力ノイズが発生する場合がある。図24は、そのような周期性をもった出力ノイズと、前処理部303における幅方向移動平均処理後の出力値の一例を示している。図24において、実線241は幅方向移動平均処理前の出力値であり、破線242は幅方向移動平均処理後の出力値である。処理前は周期性をもった出力値のばらつきがみられるのに対し、処理後はばらつきが抑制されている。
一方で、図25は、幅方向移動平均処理を行った場合の副作用の一例を示している。図25において、丸で囲った部分のゴミ243は、1つのゴミに起因した画素の出力を表し、丸で囲った部分のゴミ244は、別のゴミに起因した画素の出力を表し、丸で囲った部分245は、用紙Pのエッジに起因する画素の出力を表す。また実線のプロットは幅方向移動平均処理を行っていない場合の出力で、破線のプロットは幅方向移動平均処理を行った場合の出力である。
図25に示したように、幅方向移動平均処理を行わない場合は、ゴミ243とゴミ244において、画素の出力値の閾値を上回る画素数は少ないため、上述したゴミ等判定処理によりこれらはゴミと判定される。しかし、幅方向移動平均処理を行うと、ゴミ243とゴミ244は合体した塊となり、画素の出力値の閾値を上回る画素数が増える。その結果、ゴミ243とゴミ244はゴミとして判定されなくなり、エッジ位置の誤検出を招く。
また、用紙Pのエッジ付近にゴミ等の出力があった場合、幅方向移動平均処理を行わないと、両者を分離できるところ、幅方向移動平均処理を行うと、両者が合体したうえでエッジ位置が検出され、エッジ位置の誤検出を招く。
特に、赤、緑、及び青色の光に対する画素の出力の加算処理を行うと、ゴミ等に起因する出力が大きくなり、上記の幅方向移動平均処理の副作用を生じさせる場合がある。
そこで、本実施形態のエッジ位置読取装置100gでは、赤、緑、及び青色の光に対する画素の出力の加算処理を行う場合と行わない場合で、幅方向移動平均処理の実行を切り替えることにしている。
図26は、本実施形態のエッジ位置読取装置100gが有する制御装置300gの機能構成の一例を示すブロック図である。制御装置300gは、幅方向移動平均処理実行切替部246を有している。幅方向移動平均処理実行切替部246は、条件設定部304gを参照し、赤、緑、及び青色の光に対する画素の出力の加算処理を行う場合は、幅方向移動平均処理を実行しないように前処理部303を設定し、加算処理を行わない場合は、幅方向移動平均処理を実行するように前処理部303を設定する。これにより、副作用を防止しながら、幅方向移動平均処理により出力ノイズを抑制することができる。前処理部303は、移動平均処理実行部の一例である。
次に、第9の実施形態のエッジ位置読取装置の一例を、図27、図28を参照して説明する。なお、第9の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
エッジ位置読取装置では、ゴミ等の異物に起因して画素の出力値が閾値を上回った場合、エッジ位置を誤検出する場合がある。本実施形態では、このようなゴミ等の異物の画素の出力値によるエッジ位置の誤検出を防止し、正確なエッジ位置検出を可能としている。
図27は、本実施形態のエッジ位置読取装置100hが有する制御装置300hの機能構成の一例を示すブロック図である。制御装置300hは、閾値画素検出部308h、光量調整部309を有している。本実施形態において条件設定部304hは、ゴミ等の異物検出のための条件設定を行う。前述の各実施の形態の条件設定部304と同様にエッジ位置の読み取りのための条件の設定を行うことも可能である。また本実施の形態においてエッジ位置検出部307hは、幅方向において隣接する画素の出力値が、第一の所定の閾値より小さい値から大きい値に変化する位置(座標)を特定し、用紙Pのエッジ位置として出力する。
閾値画素検出部の一例である閾値画素検出部308hは、エッジを読み取る領域に対象物がない状態において出力値が第二の所定の閾値よりも大きい画素である閾値画素を検出する。エッジを読み取る領域にエッジ読取の対象物である用紙がない状態においては、理想的には画素の出力値は所定範囲内に収まっているはずなので、所定の閾値よりも大きい出力値を持つ画素がある場合、この画素の出力値はゴミ等の異物に起因すると判断できる。したがって閾値画素検出部308は、異物検出部と呼ぶこともできる。閾値画素検出部308の検出結果には一例として閾値画素の出力値、閾値画素の幅方向の位置が含まれる。なお、閾値画素検出部308hは、幅方向の検出可能な全範囲において閾値画素を検出してもよいし、所定範囲において検出してもよい。
そして閾値画素検出部308hは、表示パネル23(表示部の一例)に異物がある旨の表示を指示する。この結果、ユーザはエッジ誤検出の原因となるゴミ等の異物が存在することを知ることができる。表示パネル23への表示は、異物の位置の情報等を含んでいてもよい。
光量調整部309は、受光部212が受光する光量を調整する。具体的にはCISのLEDへの電流量を変更する、1ラインあたりの露光時間を変更する、受光信号の増幅率を偏向するなどが挙げられるがこれらに限られない。
本実施形態の条件設定部304hは、センサ部210が対象物のエッジを読み取る領域に対象物がない状態における受光部212が受光する光量を、対象物のエッジを読み取る領域に対象物がある状態における受光部212が受光する光量よりも大きく設定する。なお条件設定部304hは、閾値画素検出部308hの幅方向の検出範囲を任意に設定、変更可能である。また条件設定部304hは、その他閾値画素検出部308hの出力値の所定の閾値、画素数の所定の閾値等も任意に変更可能である。
またエッジ位置検出部307hは、「加算部の出力に基づき、対象物のエッジ位置を検出するエッジ位置検出部」の一例である。エッジ位置検出部307hは、前記センサ部が前記対象物のエッジを読み取る領域に前記対象物がある状態における、前記加算部の出力に基づき、前記エッジ位置を検出する。なお、前述の各実施形態におけるエッジ位置検出部307も前記センサ部が前記対象物のエッジを読み取る領域に前記対象物がある状態における、前記加算部の出力に基づき、前記エッジ位置を検出することが可能である。
以上のように、センサ部210が対象物のエッジを読み取る領域に対象物がない状態における受光部212が受光する光量を、対象物のエッジを読み取る領域に対象物がある状態における受光部212が受光する光量よりも大きく設定する。用紙がセンサ下にない状態でゴミなどの異物を検出することができ、異物によるエッジの誤検出を防ぐことができる。
図28は、エッジ検出処理時と異物検出処理時の反射光の光量の説明図である。
なおエッジ検出処理は、センサ部210が対象物のエッジを読み取る領域に対象物がある状態において実行される処理である。対象物がある場合前述したように対象物がある状態における出力が第一の所定の閾値より大きい値に変化する位置に基づき、前記対象物の前記幅方向におけるエッジ位置を検出できる。
一方異物検出処理は、センサ部210が対象物のエッジを読み取る領域に対象物がない状態において実行される処理である。対象物が無い場合、理想的にはセンサ部210は背景領域からのほぼ一定の出力値を検出される。したがってもし異物検出処理時に、異物検出時の閾値である第二の所定の閾値を超えた閾値画素が検出された場合は、その閾値画素に対応する幅方向位置にゴミ等の異物の存在が検出できる。
図28は、異物検出処置時に画素アレイ212により読み取られた、ある光の1ライン分の画素の出力値を示している。横軸は、幅方向における画素アレイの各画素の位置(座標)である。縦軸は画素の出力値である。
図28における点線は、エッジ検出処理時と同じ光量条件の場合の出力値である。点線を見ると、異物1に起因する出力値は、閾値αを超えている。一方異物2に起因する出力値は、閾値αを超えていない。閾値αがエッジ検出処理時の閾値である第一の所定の閾値である場合、異物2は検出されないため、エッジを誤検出する原因とはならない。しかし出力値が閾値αと近い場合、読み取り自体のばらつきでたまたま検出されない可能性もある。また異物2に紙粉等がさらに蓄積されると次第に異物2の位置の出力値が大きくなり、いずれ用紙端部の誤検出となる。
そのため、実線で示されるように、異物検出処理時は、エッジ検出処理時よりもセンサ部210に検出される反射光の光量を上げるように制御する。エッジ検出処理時の所定値である第一の所定の閾値と異物検出処理時の所定値である第二の所定の閾値がいずれも閾値αである場合、このように制御することにより比較的出力値が小さい異物も、より検出しやすくなる。
つまり一例としてセンサ部210が対象物のエッジを読み取る領域に対象物がない状態の照射光が、対象物のエッジを読み取る領域に対象物がある状態、つまりエッジ検出時における照射光よりも大きくなるように制御する。その結果、用紙がセンサ下に無い状態でゴミなどの異物を検出しやすくなる。なお、反射光の光量を上げる具体的な手段としては、CISのLEDの電流を増やすなどが挙げられるがこれらに限られない。
また他の例としてセンサ部210が対象物のエッジを読み取る領域に対象物がない状態の受光量に応じた検出信号は、対象物のエッジを読み取る領域に対象物がある状態、つまりエッジ検出時における受光量に応じた検出信号よりも大きくなるように制御する。この場合も、用紙がセンサ下に無い状態でゴミなどの異物を検出しやすくなる。なお、検出信号を大きくする具体的な手段としては、1ラインあたりの露光時間を長くする、受光信号の増幅率を増加させるなどが挙げられるがこれらに限られない。
次に、第10の実施形態のエッジ位置読取装置の一例を、図29、図30を参照して説明する。なお、第10の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
上述したように、エッジ位置読取装置100では、ゴミ等の異物に起因して画素の出力値が閾値を上回った場合、エッジ位置を誤検出する場合がある。本実施形態では、このようなゴミ等の異物の画素の出力値によるエッジ位置の誤検出を防止し、正確なエッジ位置検出を可能としている。
図29は、本実施形態のエッジ位置読取装置100が有する制御装置300iの機能構成の一例を示すブロック図である。制御装置300iは、閾値画素検出部308iを有している。本実施形態において条件設定部304iは、ゴミ等の異物検出のための条件設定を行う。また条件設定部304iは、前述の各実施形態の条件設定部304と同様にエッジ位置の読み取りのための条件の設定を行うことも可能である。またエッジ位置検出部307iは、幅方向において隣接する画素の出力値が、第一の所定の閾値より小さい値から大きい値に変化する位置(座標)を特定し、用紙Pのエッジ位置として出力する。エッジ位置検出部307iは、「対象物のエッジを検出するエッジ位置検出部」の一例である。
閾値画素検出部の一例である閾値画素検出部308iは、エッジを読み取る領域に前記対象物がない状態において出力値が第二の所定の閾値よりも大きい画素である閾値画素を検出する。エッジを読み取る領域にエッジ読取の対象物である用紙がない状態においては、理想的には画素の出力値は所定範囲内に収まっているはずなので、所定の閾値よりも大きい出力値を持つ画素がある場合、この画素の出力値はゴミ等の異物に起因すると判断できる。したがって閾値画素検出部308は、異物検出部と呼ぶこともできる。閾値画素検出部308の検出結果には一例として閾値画素の出力値、閾値画素の幅方向の位置が含まれる。なお、閾値画素検出部308iは、幅方向の検知可能な全範囲において閾値画素を検出してもよいし、所定範囲において検出してもよい。
そして本実施形態において条件設定部304iは、本実施形態においてはセンサ部210が対象物のエッジを読み取る領域に対象物がない状態における第二の所定の閾値を対象物のエッジを読み取る領域に対象物がある状態、つまりエッジ検出時における第一の所定の閾値よりも小さく設定する。
そして閾値画素検出部308iは、表示パネル23に対し異物がある旨の表示を指示する。表示パネル23への表示は、異物の位置の情報等を含んでいてもよい。
なお閾値画素検出部308iの検出範囲、出力値の所定の閾値、画素数の所定の閾値は、条件設定部304iにより、任意に変更可能としている。またエッジ位置検出部307hは、「加算部の出力に基づき、対象物のエッジ位置を検出するエッジ位置検出部」の一例である。エッジ位置検出部307hは、前記センサ部が前記対象物のエッジを読み取る領域に前記対象物がある状態における、前記加算部の出力に基づき、前記エッジ位置を検出する。なお、前述の各実施形態におけるエッジ位置検出部307も前記センサ部が前記対象物のエッジを読み取る領域に前記対象物がある状態における、前記加算部の出力に基づき、前記エッジ位置を検出することが可能である。
そして閾値画素検出部308iは、表示パネル23に異物がある旨の表示を指示する。表示パネル23への表示は、異物の位置の情報等を含んでいてもよい。
以上のように、本実施形態においてはセンサ部210が対象物のエッジを読み取る領域に対象物がない状態における第二の所定の閾値を対象物のエッジを読み取る領域に対象物がある状態、つまりエッジ検出時における第一の所定の閾値よりも小さくするため、用紙がセンサ下にない状態でゴミなどの異物をより検出しやすくすることができ、異物によるエッジの誤検出を防ぐことができる。
図30は、エッジ検出処理時と異物検出処理時の閾値の説明図である。図30においてh、異物検出処置時に画素アレイ212により読み取られた、ある光の1ライン分の画素の出力値が示されている。横軸は、幅方向における画素アレイの各画素の位置(座標)、縦軸は画素の出力値である。
図30における実線は、ある異物3、異物4について異物検出処理を行った際の出力値である。図30の異物3に起因する出力値は、閾値βおよび閾値γを超えている。一方異物4に起因する出力値は、閾値γは超えているが閾値βは超えていない。エッジ検出時の閾値である第一の所定の閾値が閾値βであった場合、異物4に起因する出力値は閾値βを超えていないため、、エッジと誤検出の原因とはならない。しかし出力値が閾値βと近い場合、読み取り自体のばらつきでたまたま検出されない可能性もある。また異物4に紙粉等がさらに蓄積されると次第に異物4の位置の出力値が大きくなり、いずれ用紙端部の誤検出となる。
したがって、異物検出時の閾値である第二の所定の閾値を、図30に示される閾値γ、エッジ検出時の閾値である第一の所定の閾値β、というように第二の所定の閾値を第一の所定の閾値よりも小さくする。その結果、異物をより検出しやすくすることができる。
図31は、異物検出処理の第一の例を示すフローチャートである。
図31は例として、第9の実施形態や第10の実施形態で実行されるフローである。センサ部210が前記対象物のエッジを読み取る領域に前記対象物がない状態でスタートするフローである。フローのスタートは、ユーザ等が表示パネル23等から指示したタイミングでもよいし、制御部300によって判断されたタイミングでもよいし、あらかじめ設定されたタイミングで自動スタートしてもよい。なお制御装置300は、一例として搬送経路に用紙Pが搬送されていないタイミングで、センサ部210が前記対象物のエッジを読み取る領域に前記対象物がない状態と判断する。また他の例として、搬送経路に用紙Pが搬送されている場合であっても、センサ部210が先の用紙Pと後の用紙Pの間を読み取るタイミングを、センサ部210が前記対象物のエッジを読み取る領域に前記対象物がない状態と判断してもよい。
まず条件設定部304が、異物検出条件を設定する(S11)。異物検出条件は、エッジ検出時の条件と同じでも良いし、異物検出に適した条件を別途設定してもよい。次にセンサ部210は設定された条件に基づきCISを発光する(S12)。すると閾値画素検出部308が、閾値画素を検出する(S13)。そして閾値画素検出部308は異物の有無を判断する(S14)。ステップS14で異物が有ると判断した場合、画素検出部308は表示部である表示パネル23に異物が有る旨表示させ(S15)、本フローは終了する。一方ステップS14で異物が無いと判断した場合は閾値画素検出部308は、表示部である表示パネル23に異物が無い旨表示させ(S16)、本フローは終了する。
本異物検出フローが第9の実施形態において実行される場合は、ステップS11の異物検出条件の一つとして、図28で説明したように反射光の光量が大きくなるような条件を設定する。また本異物検出フローが第10の実施形態において実行される場合は、ステップS11の異物検出条件の一つとして、図30で説明したように第二の所定の閾値を第一の所定の閾値より小さくすればよい。
ここで、図32を用いて、図31のステップS14の異物の有無の判断の具体例について説明する。図32は、エッジ位置読取装置100により用紙Pのエッジ位置を読み取る様子、読み取られたデータを説明する図である。
図32の(a)は、用紙Pが、黒の太い矢印で示した方向に搬送経路Tを搬送されており、用紙PのエッジWが、センサ部210により読み取られる様子を示している。図32(a)にはさらに、用紙Pのエッジが画像形成装置500の設計上、センサ部210寄りに最もずれた場合の端をB、Bと反対側に最もずれた場合のエッジ位置をW8と示されている。つまり画像形成装置500の設計上、用紙PはBを超えてセンサ部210寄りにずれたり、W8を超えてセンサ部210寄りにずれたりはしない。
(b)は、画素アレイ212により読み取られた、ある光の1ライン分の画素の出力値を示している。横軸は、幅方向における画素アレイの各画素の位置(座標)である。縦軸は画素の出力値である。
図7で説明したように、光源部211から光を照射した領域において、用紙Pが存在しない領域からの反射光は光量が小さく、画素の出力値は小さくなっている。一方、用紙Pが存在する領域からの反射光は、用紙Pによる反射により光量が大きくなり、画素の出力値は大きくなっている。従って、画素の出力値が小さい値から大きい値に変化する幅方向の位置を検出することで、幅方向における用紙PのエッジWの位置を読み取ることができる。
図32でセンサ部210のセンサとしての検知領域である領域を領域R1としたとき、領域R1から、用紙が搬送される可能性がない領域であるBよりもセンサ部210寄りを除いた領域R2を「用紙搬送領域」と呼ぶ。ステップS14の異物の有無の判断は、一例として、この用紙搬送領域に異物が有る場合を異物有りと判断する。
さらに、領域R2のうちW8の左側、つまり領域3は、画像形成装置500の設計上、用紙がずれた場合のエッジ部分が通る可能性がある領域である。したがってこの領域に異物が存在すると、エッジの誤検出が発生する可能性がある。この領域を「通紙位置以前領域」と呼ぶ。一方領域R4は、用紙が最もずれた場合も用紙が必ず搬送される領域である。領域R4を「通紙位置領域」と呼ぶ。この領域R4には異物が存在していても、センサ部210と異物の間を用紙が通過するため、異物からの反射光がセンサ部201に受光されることはなく、したがってエッジの誤検出は発生しない。
各実施形態における条件設定部304は、エッジ検出処理、異物検出処理の各条件の一つとして、閾値画素の検出範囲を領域R1~R4等適宜設定可能である。
つまり例えば閾値画素検出部308h、閾値画素検出部308iはそれぞれ、条件設定部304h、条件設定部304iにより設定された幅方向の所定領域に閾値画素がある場合、その画素の出力値はゴミ等の異物に起因する判断するが、このあらかじめ設定された幅方向の所定領域の設定は、領域R1~R4を用いて適宜設定可能である。
次に、第11の実施形態のエッジ位置読取装置の一例を、図33~図36を参照して説明する。なお、第11の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
上述したように、エッジ位置読取装置では、ゴミ等の異物に起因して画素の出力値が閾値を上回った場合、エッジ位置を誤検出する場合がある。本実施形態では、このようなゴミ等の異物の画素の出力値によるエッジ位置の誤検出を防止し、正確なエッジ位置検出を可能としている。
図33は、本実施形態のエッジ位置読取装置100jが有する制御装置300jの機能構成の一例を示すブロック図である。制御装置300jは、条件設定部304j、閾値画素検出部308j、閾値画素検出結果記憶部309を有している。
本実施形態において条件設定部304jは、異物検出処理時の条件として、エッジ検出処理時の条件を設定する。なおエッジ検出処理時の条件は、図6で説明したように、エッジ検出時の閾値や、信号加算を行うかどうか等、様々なバリエーションを取りうる。本実施形態においては、エッジ検出処理の条件の例として図34に示す7つの異なるエッジ検出処理条件N(N=0~6)があるとして説明する。図34に示されるように、光源201の「発光量」、センサ部210の「RGB信号加算有無/検出色」、エッジ検出時の「閾値」の組み合わせにより異なる7つの条件が設定可能である。条件設定部304jはまた、前述の各実施形態の条件設定部304と同様に異物検出処理時の検出条件の設定を行うことも可能である。
またエッジ位置検出部307jは、幅方向において隣接する画素の出力値が、第一の所定の閾値より小さい値から大きい値に変化する位置(座標)を特定し、用紙Pのエッジ位置として出力する。エッジ位置検出部307jは、「対象物のエッジを検出するエッジ位置検出部」の一例である。
本実施形態において閾値画素検出部308jは、条件設定部304jによって設定される、エッジ検出処理時の条件で異物検出を行う。そして閾値画素検出部308jは、エッジ検出処理時の条件で実行した異物検出結果を閾値画素検出結果記憶部309に出力する。異物検出結果は、閾値画素(異物)の有無、閾値画素(異物)の位置、閾値画素(異物)の個数などが挙げられるがこれらに限られない。閾値画素検出結果記憶部309は、閾値画素検出部308jから出力された検出結果を記憶する。
図35は、異物検出処理の第二の例を示すフローチャートである。
前記センサ部が前記対象物のエッジを読み取る領域に前記対象物がない状態でスタートするフローである。フローのスタートは、ユーザ等が表示パネル23等から指示したタイミングでもよいし、制御部300によって判断されたタイミングでもよいし、あらかじめ設定されたタイミングで自動スタートしてもよい。なお制御装置300は、一例として搬送経路に用紙Pが搬送されていないタイミングで、センサ部210が前記対象物のエッジを読み取る領域に前記対象物がない状態と判断する。また他の例として、搬送経路に用紙Pが搬送されている場合であっても、センサ部210が先の用紙Pと後の用紙Pの間を読み取るタイミングを、センサ部210が前記対象物のエッジを読み取る領域に前記対象物がない状態と判断してもよい。
まず条件設定部304jは、変数Nを0に設定する(S21)。そして条件設定部304jは条件N、最初はN=0のエッジ検出条件を、異物検出条件として設定する(S22)。次にセンサ部が設定された条件に基づきCISを発光する(S23)。そして閾値画素検出部308jは、閾値画素を検出し(S24)、検出結果を異物検出結果記憶部309に出力する。閾値画素検出結果記憶部309は、変数N番目の検出結果を記憶する(S25)。条件設定部304jは、全エッジ検出条件で異物検出処理の実行を終了したかを判断し(S26)、終了していないと判断した場合は、NをN+1にインクリメントし(S27)、ステップS22に戻る。ステップS26で終了したと判断した場合は(S26)、本フローを終了する。
本実施形態ではステップS22、ステップS23のように、エッジ位置検出部が、センサ部が前記対象物のエッジを読み取る領域に前記対象物がない状態においてエッジ位置を検出する際の検出条件であるエッジ検出条件を複数有し、画素検出部は、センサ部が対象物のエッジを読み取る領域に前記対象物がない状態において複数のエッジ検出条件それぞれと同じ条件で、所定の閾値以上となる画素を検出する。したがって本実施形態のようにあるエッジ検出条件で異物検出を行うことで、そのエッジ検出条件下でエッジ位置検出が実行されるときに検出される異物を正確に把握できる。
図36は、エッジ検出フロー図である。図6で説明したエッジ位置検出ステップS611の一例ということもできる。まず、エッジ位置読取条件Nで印刷が開始される(S31)。エッジ位置検出検出部307jは、閾値画素検出結果記憶部309を参照し、エッジ読取条件Nの閾値画素検出結果に閾値画素、つまり異物が有るか無いかを判断する(S32)。エッジ位置検出部307jは、ステップS32で異物が無い場合、印刷、つまり画像形成部23による画像形成とそれに伴うエッジ位置検出を継続すると判断し(S33)、エッジ位読取対象である用紙に印刷が完了して本エッジ検出フローは終了する。一方ステップS32で閾値画素がある場合は、ステップS34に進む。
このように本実施形態では、センサ部が前記対象物のエッジを読み取る領域に前記対象物がない状態において前記エッジ検出条件で、あらかじめ所定の閾値以上となる画素が検出を検出した検出結果に応じて前記対象物への画像形成を実行するため、エッジ位置検出に誤検出が生じる可能性がある状態で画像形成を行って、画像形成位置にずれが生じることを防げる。
ステップS34としてエッジ位置検出部307jは、用紙搬送領域内で通紙位置以前に閾値画素が有るか無いかを判断する(S34)。通紙位置以前に閾値画素が無い場合は、印刷、つまり画像形成部23による画像形成を継続して実行し(S33)、エッジ位置読取対象である用紙に印刷が完了して本エッジ検出フローは終了する。一方ステップS34において、所定の位置、一例として図31で説明した通紙位置以前領域に閾値画素が有ると判断した場合は、操作パネル23等にアラートを表示させる。その結果、ユーザはエッジ誤検出の可能性があることを知り、清掃などの対応を行うことができる。アラートとは一例として、異物の清掃をしないと誤検出の可能性がある旨のメッセージが挙げられるがこれに限られない。
このように、ステップS34で閾値画素の位置に応じて画像形成を実行したり、しなかったりすることにより、エッジ検出処理に影響がない場合も含んで頻繁にステップS35に進んで画像形成が中断されることを防止できる。
なお、本エッジ検出フロー図ではステップS32において閾値画素の有無、ステップS34において閾値画素の位置を分けて清掃が必要な異物の有無の判断を行ったが、さらに別ステップを加えてもよいし、ステップS32で閾値画素があった場合(NOの場合)、するにステップS35に移行してもよい。
エッジ検出条件例は、図34で説明したように、CISの発光量、検出色としてRGBのどの色を点灯させるか、(全色点灯含む)、検出のしきい値(高低)設定等を含むがこれらに限られない。
エッジ検出条件例としてRGBそれぞれを点灯させる条件と用いて異物検出を行うと、異物の色に応じた異物の位置など、詳細な情報を取得できる。一方RGB全色を点灯させる条件を用いた場合は、それぞれの個別の色毎にやる場合と比較して、一回の異物検出処理で多くの異物を検出できる。
また、異物とRGBの各センサとの相対位置の相違が原因でセンサによって異物検出ができなかったりする場合や、センサの色と異物の色の関係が原因で、ある異物に対する感度がセンサによって異なる場合がある。その場合は、RGB個別に発光する条件で異物検出処理を行った結果を用い、RGBのうち異物の検出されなかった色を用いるエッジ検出条件を選択してエッジ検出処理を行ってもよい。
図37は、エッジ位置読取装置100を有する画像形成装置500の他の構成を例示する図である。
画像形成装置500は、露光部101と、作像部102と、転写部103と、定着装置104とを有する。そして画像形成装置500の上部には、操作パネル60が設けられている。
表示部の一例としての操作パネル60は、利用者の操作に応じた各種の入力を受け付けるとともに、各種の情報(例えば受け付けた操作を示す情報、画像形成装置1の動作状況を示す情報、画像形成装置1の設定状態を示す情報など)を表示する。操作パネル60は、一例としてタッチパネル機能を搭載した液晶表示装置(LCD:Liquid Cristal Display)で構成されるが、これに限られるものではない。例えばタッチパネル機能が搭載された有機EL(Electro-Luminescence)表示装置で構成されてもよい。さらに、これに加えて又はこれに代えて、ハードウェアキー等の操作部やランプ等の表示部を設けることもできる。
露光部101と、作像部102と、転写部103と、定着装置104とはそれぞれプリンタエンジンの一部として、操作パネル60等から入力された指示等に基づきプリンタ機能、コピー機能、ファクス機能、などを実現させるためのハードウェアである。すなわちプリンタ、コピー、ファクス,スキャナ等のハードウェアである。プリンタ機能は電子写真方式、インクジェット方式などが適用可能だが、これに限られない。
画像形成装置500は、その他印刷済み用紙を仕分けるフィニッシャや、原稿を自動給送するADF(Auto Document Feeder)のような特定のオプションを備えることもできる。以降画像形成装置500の各部の動作について説明する。
作像部102は、それぞれが像担持体であるイエロー(Y)用感光体120y、ブラック(K)用感光体120k、マゼンタ(M)用感光体120m、シアン(C)用感光体120cを有する。作像部102はまた、それぞれが現像部であるイエロー(Y)用現像器121y、ブラック(K)用現像器121k、マゼンタ(M)用現像器121m、シアン(C)用現像器121cを有する。作像部102はさらに、それぞれが帯電部であるイエロー(Y)用帯電器122y、ブラック(K)用帯電器122k、マゼンタ(M)用帯電器122m、シアン(C)用帯電器122cを有する。
また、転写部103は、中間転写ベルト130、2次転写ベルト133などを有する。そして定着部である定着装置104は、定着部材141、排出ローラ142などを有する。
露光部101は、作像部102の感光体120y~120cを露光し、各感光体上に画像データに応じた潜像を書き込むための書き込み光を出射する。つまり画像データの画像パターンに応じた書き込み位置と、画像濃度に応じた書き込み光量で選択的に光ビームを出射する。書き込み光は、レーザー光源やLED光源からの光などを用いればよいが、以下は一例として、LD(Laser Diode)を有するレーザー光源を用いた場合を説明する。
まず、レーザー光源から出射された光ビームBMは、ポリゴンミラー110により偏向され、それぞれがfθレンズを含む走査レンズ111a,111bに入射する。なお、レーザー光源から光ビームBMが出射される構成および動作については後述する。
上記光ビームは、イエロー(Y),ブラック(K),マゼンタ(M),シアン(C)の各色の画像に対応した数が発生されていて、それぞれ走査レンズ111a,111bを通過した後、反射ミラー112y~112cで反射される。
例えば、イエローの光ビームYは走査レンズ111aを透過して反射ミラー112yで反射されてWTLレンズ113yへ入射される。ブラック,マゼンタ,シアンの各色の光ビームK,M,Cについても同じなのでそれらの説明は省略する。
WTLレンズ113y~113cは、それぞれ入射された各光ビームY~Cを整形した後、反射ミラー114y~114cへと各光ビームY~Cを偏向させる。そしてその各光ビームY~Cはさらに反射ミラー115y~115cで反射され、それぞれ露光のために使用される光ビームY~Cとして感光体120y~120cへと照射される。
感光体120y~120cへの光ビームY~Cの照射は、感光体120y~120cに対する主走査方向および副走査方向に関して、タイミング同期が行われている。なお、感光体は一例として主走査方向に長いドラム状であり、感光体ドラムということもある。
以下、感光体120y~120cに対する主走査方向を、光ビームの走査方向として定義し、副走査方向を、主走査方向に対して直交する方向、すなわち、感光体120y~120cの回転する方向として定義する。なお、主走査方向は用紙の幅方向、副走査方向は用紙の搬送方向に対応する。
感光体120y~120cは、アルミニウムなどの導電性ドラム上に、少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とを含む光導電層を備えている。
上記光導電層は、それぞれ感光体120y~120cに対応して設けられ、コロトロン帯電器または、スコロトロン帯電器、又は帯電ローラなどを含んで構成される帯電部としての帯電器122y~122cにより、帯電バイアスに応じて表面電荷が付与される。
各帯電器122y~122cによって感光体120y~120c上にそれぞれ付与された静電荷は、書き込み光としての光ビームY~Cによりそれぞれ画像パターンに応じて露光され、各帯電器122y~122cの被走査面上に静電潜像が形成される。
感光体120y~120cの被走査面上にそれぞれ形成された静電潜像は、現像バイアスが印加された現像スリーブ,トナー供給ローラ,規制ブレードなどを含む現像部である現像器121y~121cによりそれぞれ現像され、感光体120y~120cの被走査面上にトナー像が形成される。
感光体120y~120cの被走査面上に担持された各現像剤は、搬送ローラ131a~131cにより矢示Dの方向に移動する中間転写ベルト130上に転写される。132y~132cは、それぞれ感光体120y~120cに対する1次転写ローラである。
像担持体としての中間転写ベルト130は、感光体120y~120cの被走査面上からそれぞれ転写されたY,K,M,Cの現像剤を担持した状態で、画像形成部の一例である2次転写位置135へと搬送される。
2次転写ベルト133は搬送ローラ134a,134bに架け渡され、さらに搬送ローラ134a,134bの回転により矢示Eの方向に搬送される。
2次転写位置135に向かって、給紙カセットなどの収納部の一例である用紙トレイ136から上質紙,プラスチックシートなどの対象物である用紙Pが搬送ローラ137a、137bにより搬送される。
2次転写位置135への搬送経路上には、用紙のエッジ位置読取装置100を有している。エッジ位置読取装置100は、搬送される用紙Pのエッジ位置を読み取り、用紙Pの搬送位置を把握する。そして2次転写位置135への搬送経路上でエッジ位置読取装置100の後に、補正装置400としての用紙ずれ補正装置138が設けられている。用紙ずれ補正装置138は一例として用紙Pを挟むローラ対を複数有し、エッジ位置読取装置100が把握した用紙Pの搬送位置に応じて複数のローラ対を制御し用紙Pの搬送角度を調整して画像形成位置を補正する。
2次転写位置135では、2次転写バイアスを印加して、中間転写ベルト130上に担持されたトナー像を、2次転写ベルト133上に吸着保持された用紙Pに転写する。用紙Pは主走査方向と直交する方向に搬送される。つまり用紙Pは、中間転写ベルト130と2次転写ベルト133との間の画像形成部の一例である2次転写位置135で、中間転写ベルト130の表面に形成されているトナー像が転写される。
上記用紙Pは、2次転写ベルト133の搬送に伴い、定着装置104へと供給される。
上記定着装置104は、シリコーンゴム,フッ素ゴムなどを含む定着ローラなどの定着部材141含んで構成されていて、用紙Pとトナー像とを加圧加熱し、排出ローラ142によって画像形成後の用紙P′(以下用紙P´と呼ぶ。)として定着装置104の外部へと排出される。
定着装置104から排出された像担持体としての用紙P´上の画像は、濃度センサ70によって画像濃度が検知される。濃度センサ70によって検知された画像濃度に基づき、主走査方向の濃度ムラ補正が行うことができる。
上記多色現像剤像を転写した後の中間転写ベルト130は、クリーニングブレードを含むクリーニング部139によって転写残現像剤が除去された後、次の像形成プロセスへと供給されている。
以上のプリンタエンジンの動作において、像担持体である感光体120y~120cの回転方向、像担持体である中間転写ベルト130の搬送方向、そして像担持体である用紙Pおよび用紙P´の搬送方向は、主走査方向に対してはいずれも直交する方向であり、副走査方向と同じ方向になる。
なお図2において濃度センサ70は、定着装置の後に配置されているが、例えば搬送ローラ131aの近傍に設置すれば、中間転写ベルト130上に画像形成された画像の画像濃度を検出することもできる。
図36で示した画像形成装置500は、図1で示した画像形成装置500と同様、制御装置300からの命令に従い、動作する。図1の画像形成装置500ではエッジ読取装置100は定着装置18の後に設置され、画像が形成された用紙のエッジを読み取るのに対し、図36で示した画像形成装置500においてはエッジ位置読取装置100が画像形成部である2次転写位置138の手前に設けられすなわち画像形成前の用紙Pのエッジを読み取っている。この場合にも同様に用紙Pのエッジを正確に読み取るという効果を得ることができる。
なお、図1および図36において画像形成装置500はエッジ読取装置100を一つ有しているが、複数有していてもよい。
以上、実施形態に係る読取装置および画像形成装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。