JP7243310B2 - 塩化ビニル系樹脂複合体及びそれを用いた塩化ビニル系樹脂組成物 - Google Patents

塩化ビニル系樹脂複合体及びそれを用いた塩化ビニル系樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、微細セルロース繊維を含んでなる新規なペースト加工用塩化ビニル系樹脂(ペースト塩ビと略記する場合もある。)複合体及びそれより得られるペースト塩ビ組成物に関するものであり、より詳しくは、高いチキソトロピー性を有するプラスチゾルを与えるペースト塩ビ複合体及びそれより得られるペースト塩ビ組成物に関するものである。
ペースト塩ビは、一般的に可塑剤、希釈剤、安定剤等の配合剤と混練することによりペースト塩ビゾルとして加工に供され、種々の加工法により様々な成型品が得られる。ペースト塩ビゾルはその加工法からチキソトロピー性が重要となる。例えば粘度が高いペースト塩ビゾルはゾルの輸送や、ろ過による凝集物の除去が困難となり、生産性が悪くなる。また低せん断時の粘度が低すぎる場合、加工時のゾル垂れや、ゾル保管中に配合剤の沈降が起こる。ゆえに、ペースト塩ビは粒径の調整や粘度調整剤の添加により、チキソトロピー性が付与されている。
例えば、特許文献1では、ペースト塩ビゾルにチキソトロピー性を付与するため、粒径の異なる複数の塩化ビニル系樹脂を用いることが提案されている。
また、特許文献2には、微細セルロース繊維に炭化水素基がイオン結合またはアミド結合を介して結合してなる微細セルロース繊維複合体とポリ塩化ビニル系樹脂とを含有する、優れた強度及び伸縮性を示す樹脂組成物が提案されている。
さらに、特許文献3には、微細セルロース繊維に炭化水素基がアミド結合を介して結合してなる微細セルロース繊維複合体と、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂及びポリカーボネート系樹脂からなる群から選択される1種類以上の樹脂とを含有する、実用上十分な機械的強度を有し、着色が少ない樹脂組成物が提案されている。
特開平6-340836号公報 特開2016-188299号公報 特開2014-34616号公報
特許文献1に提案された粒径の異なった複数の塩化ビニル系樹脂を混合したペースト塩ビゾルでは、チキソトロピー性の改善効果は見られるものではあるが、発泡体とした際の表面平滑性という点ではまだまだ改善が求められるものであった。
また、特許文献2、3に提案された樹脂組成物は、樹脂組成物又は成形体とした際の機械的強度の向上を目的とするものであり、ゾル状態のチキソトロピー性は無論のこと成形加工性については何ら考慮のなされていないものである。
本発明は、これら課題を解決したペースト塩ビを提供するものであり、良好な機械的強度を示すだけでなく、高いチキソトロピー性を示すプラスチゾルを与える新規なペースト塩ビ複合体及びそれより得られるペースト塩ビ組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題に鑑み、鋭意検討した結果、微細セルロース繊維(CNFと略記する場合もある。)を配合してなるペースト塩ビ複合体をペースト塩ビ組成物とした際に、高いチキソトロピー性を示すプラスチゾルとなること、また良好な機械的強度を示すものとなることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ペースト塩ビ100重量部に対して、CNF0.002~0.9重量部を含有することを特徴とするペースト塩ビ複合体及びそれを含んでなるペースト塩ビ組成物に関するものである。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のペースト塩ビ複合体は、ペースト塩ビ100重量部に対して、CNFを0.002~0.9重量部含有するものであり、特に加工性、成形性に優れるプラスチゾルをより容易に提供できることから0.01~0.7重量部であることが好ましく、特に0.02~0.5重量部であることが好ましい。ここで、CNFの含有量が0.002重量部未満である場合、プラスチゾルとした際のチキソトロピー性の改善効果が発現されないものとなる。一方、0.9重量部を超える場合、引張強度及び伸び、さらに発泡体とした際の発泡倍率、表面平滑性、セル構造の緻密さ、色相等が低下するものとなる。
本発明のペースト塩ビ複合体を構成するペースト塩ビとしては、ペースト加工に供されるペースト塩ビと称される範疇に属するものであればよく、例えば(商品名)リューロンペースト(東ソー(株)製)等を挙げることができる。
また、本発明のペースト塩ビ複合体を構成する微細セルロース繊維とは、微細セルロース繊維と称される範疇に属するものであればよく、木材に含まれるセルロースの繊維を平均繊維径数ナノ~数百ナノレベルまで解繊したものを挙げることができる。中でも微細セルロース繊維の原料である木材等にはリグニンが含まれており、リグニンを多く含む微細セルロース繊維は水に対する分散性が低下し、ラテックス等に対する分散性が低下する可能性があり、該微細セルロース繊維としてはリグニン量が20重量%以下のものが好ましく、特に10重量%以下のものが好ましく、更に5重量%以下のものが好ましい。また、プラスチゾルとした際のチキソトロピー性と成形体の機械的特性のバランスに優れるものとなることから繊維径が200nm以下のCNFであることが好ましく、100nm以下、50nm以下、20nm以下、さらには10nm以下、特に5nm以下のCNFであることが好ましい。
本発明のペースト塩ビ複合体は、重合開始剤、乳化剤、乳化助剤、緩衝剤、高級アルコール、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、塩素化パラフィン等の分散助剤、重合度調整剤等のペースト塩ビを製造する際に一般的に添加される物質等を含有していてもよい。また、ペースト塩ビの製造方法としては、一般的な乳化重合法、ミクロ懸濁重合法、シード乳化重合法、シードミクロ懸濁重合法等の方法を挙げることができる。
そして、本発明のペースト塩ビ複合体の製造方法としては、ペースト塩ビに微細セルロール繊維を含有することが可能であれば如何なる方法を用いてもよく、例えば上記した重合方法により得られた塩化ビニル系樹脂ラテックスにCNFを添加し、例えば乾燥等の方法により水分を除去し、紛体、粒状物として製造する方法を挙げることができる。その際のCNFの添加量としては、本発明のペースト塩ビ複合体を製造することが可能であれば任意であり、例えば塩化ビニル系樹脂ラテックス中の塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、0.002~0.9重量部を添加することを挙げることができる。
塩化ビニル系樹脂ラテックスから水分を除去する方法としては、例えば、噴霧乾燥、流動層乾燥、通気乾燥、回転乾燥、伝導加熱乾燥による方法等が挙げられ、中でも効率よく水分を除去できることから噴霧乾燥による方法が好ましい。
以下に、本発明のペースト塩ビ複合体とする際に用いられる塩化ビニル系樹脂ラテックスを得る方法の一例として、シードミクロ懸濁重合法を示す。
シードミクロ懸濁重合法とは、1)ミクロ懸濁重合法により油溶性重合開始剤を含む塩化ビニル系樹脂を含有する塩化ビニル系樹脂シードラテックスを得る第一段階、2)得られたシードラテックスを塩化ビニルモノマー、又は塩化ビニルモノマーとこれと共重合可能な単量体を、脱イオン水、乳化剤、緩衝剤、必要に応じて高級アルコール等の乳化助剤の存在下で緩やかな攪拌で重合を行い、シードラテックスを肥大化させて塩化ビニル系樹脂ラテックスを得る第二段階からなる重合方法である。
ここで、塩化ビニルモノマーと共重合可能な単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸またはその無水物;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル類;マレイン酸エステル、フマル酸エステル、桂皮酸エステル類等の不飽和カルボン酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルアミルエーテル、ビニルフェニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン等のモノオレフィン類;塩化ビニリデン、スチレン及びその誘導体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を挙げることができ、これらビニル単量体は1種類以上で用いることが可能である。
そして、プラスチゾルとした際のチキソトロピー性と成形体の引張強度、伸び等に代表される機械的特性とのバランスに優れるものとなることから、塩化ビニルモノマーと共重合可能な単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類であることが好ましく、特に酢酸ビニルであることが好ましい。その際の塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル-プロピオン酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル-アクリル酸エステル類共重合樹脂、塩化ビニル-メタクリル酸エステル類共重合樹脂を挙げることができる。
また、乳化剤としては、例えば、ラウリル硫酸エステルナトリウム、ミリスチル硫酸エステル等のアルキル硫酸エステル塩類;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム等のアルキルアリールスルホン酸塩類;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩類;ラウリン酸アンモニウム、ステアリン酸カリウム等の脂肪酸塩類;ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸エステル塩類等のアニオン系乳化剤:ソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のソルビタンエステル類;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ポリオキシエチレンアルキルエステル類等のノニオン系乳化剤等の従来より知られているものを1種類又は2種類以上用いることができる。
緩衝剤としては、例えば、リン酸一水素アルカリ金属塩、リン酸二水素アルカリ金属塩、フタル酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、ホウ酸-苛性カリウム溶液等が挙げられる。
必要に応じて用いられる乳化助剤としては、例えば、セチルアルコール、ラウリルアルコール等の高級アルコール;ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸;そのエステル;芳香族炭化水素、高級脂肪酸炭化水素、塩素化パラフィンのようなハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
シードミクロ懸濁重合法に用いられるシードラテックスは、以下のようなミクロ懸濁重合法で調製することが可能である。まず、塩化ビニルモノマー、油溶性重合開始剤、界面活性剤、緩衝剤、高級アルコール、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、塩素化パラフィン等の分散助剤、必要に応じて重合度調整剤を添加してプレミックスし、ホモジナイザーにより均質化処理して油滴の調製を行なう。この際のホモジナイザーとしては、例えば、コロイドミル、振動攪拌機、二段式高圧ポンプ等を用いることができる。そして、均質化処理した液を重合器に送り、緩やかに攪拌しながら重合器内の温度を上げて重合反応を開始し、所定の転化率に達するまで重合を行なうことにより油溶性重合開始剤を含有するシードラテックスを調製することが可能である。
油溶性重合開始剤としては、10時間半減期温度30~70℃のジアシルパーオキサイドが好ましく、そのような重合開始剤としては、例えば、イソブチリルパーオキサイド、3,3,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、コハク酸パーオキサイド等が挙げられる。
本発明のペースト塩ビ複合体は、可塑剤、充填剤、発泡剤等を配合することによりペースト塩ビ組成物として各種用途に用いることができる。その際には優れる特性を有する組成物となることから、ペースト塩ビ複合体100重量部に対し、可塑剤20~200重量部を含有するものであることが好ましく、特に発泡体とする際には、ペースト塩ビ複合体100重量部に対して、可塑剤20~200重量部、充填剤1~300重量部、発泡剤0.1~30重量部、安定剤0.1~30重量部を含有するものであることが好ましい。
可塑剤としては、例えば、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DOPと略記する場合もある)、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジブチル等のフタル酸エステル類;アジピン酸(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソノニル等のアジピン酸エステル類;トリメリット酸トリ(2-エチルヘキシル)、トリメリット酸トリイソデシル、トリメリット酸トリノルマルオクチル等のトリメリット酸エステル類;リン酸トリ(2-エチルヘキシル)、リン酸トリクレジル、リン酸トリキシレニル等のリン酸エステル類;ジエチレングリコールジベンゾアート、ジプロピレングリコールジベンゾアート等の安息香酸エステル;その他ポリエステル系可塑剤やセバシン酸エステル、マゼライン酸エステル、マレイン酸エステル、エポキシ化植物油等、一般に可塑剤として使用されているものを用いることができる。
充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、珪藻土、炭酸マグネシウム、酸化チタン等が挙げられる。
発泡剤としては、例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、アミド化合物、ホウ水素化ナトリウム等の無機系発泡剤、イソシアネート化合物、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、バリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ化合物、p,p’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、p-トルエンスルホニルヒドラジド等のヒドラジン誘導体、セミカルバジド化合物、アジ化合物、ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、トリアゾール化合物等の有機系発泡剤が挙げられる。そして、必要に応じて上記発泡剤と亜鉛華(酸化亜鉛)等の分解促進剤を併用することも可能である。
また、安定剤としては、例えば、エポキシ系安定剤、バリウム系安定剤、カルシウム系安定剤、スズ系安定剤、亜鉛系安定剤等が挙げられる。また、市販のカルシウム-亜鉛系、バリウム-亜鉛系等の複合安定剤を使用することもできる。
さらに、ペースト塩ビ組成物とする際には、本発明の目的を超えない範囲でペースト塩ビ組成物に通常添加される添加剤、例えば、酸化防止剤、難燃剤、希釈剤、滑剤、紫外線吸収剤、顔料等の着色剤、界面活性剤、帯電防止剤等を添加してもよく、またそれらの配合量も一般に使用される範囲で差し支えない。
本発明のペースト塩ビ複合体は、高いチキソトロピー性を有するプラスチゾルとすることが可能で、その工業的価値は非常に高いものである。また、該ペースト塩ビ複合体を組成物とした際には、高いチキソトロピー性を示すと同時に、発泡倍率、発泡色相性、表面平滑性、セル構造の緻密性、又は機械的強度にも優れるという効果をも奏する。
次に、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下に実施例より得られたペースト塩ビ複合体、組成物の評価方法を示す。
<平均粒子径>
レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置((株)堀場製作所、商品名LA-920)を使用し、屈折率1.16の条件にて2回測定し、平均粒子径を求めた。
<重合度>
JISK6721のウベローデ粘度計を用いて、溶液粘度測定法により重合度を算出した。
<粘度の評価>
ペースト塩ビ組成物150mLを、150mLのポリプロピレン製カップに入れ、B8H型粘度計(東京計器社製)ローターNo.5を用いて、回転数5、10、20、100rpmの条件で粘度を評価した。その際の粘度の評価としては、回転数5、10rpmの粘度がペースト塩ビ組成物中の配合剤の沈降に影響するものとして、粘度4000mPa・s以上100000mPa・s以下のものを沈降抑制効果に優れると評価した。また、回転数20、100rpmの粘度がペースト塩ビ組成物の加工性・ハンドリング性に影響するものとして、粘度2000mPa・s以上30000mPa・s以下のものを加工性に優れると評価した。
<配合剤の沈降評価>
得られたペースト塩ビ組成物を20日間静置し、配合剤の沈降を目視で観察することにより評価した。
〇:配合剤の沈降なし。
×:配合剤の沈降有り。
<発泡倍率>
発泡倍率は次式(1)により算出した。
発泡倍率=(発泡体の厚み-原反の厚み)/原反の厚み (1)
発泡倍率は、壁紙及び床材として際の意匠性に優れるものとなることから、5.0倍以上となるものが好ましいとした。
<表面平滑性>
得られた発泡体の表面平滑性を目視で観察することにより評価した。
表面平滑性の評価基準を以下に示す。
○:表面が平滑。
×:表面が粗い。
<セル構造>
得られた発泡体のセル構造を目視で観察することにより評価した。
○:セル構造が緻密。
×:セル構造が粗い。
<発泡色相>
得られた発泡体を色彩色差計(コニカミノルタ(株)、(商品名)CR-5)を用いて、YI値の測定をおこなった。YI値は小さいほど白色に近く、製品として15以下が好ましい。
<引張強度及び伸びの測定方法>
ペースト塩ビ複合体100重量部に対し、DOP(大八化学工業(株)製)60重量部、Ca/Zn系安定剤((商品名)SC-320 ADEKA社製)3重量部からなるペースト塩ビ組成物を脱泡した後、0.5mm厚に塗布し、180℃×1分間加熱して得られたシートから、JIS3号ダンベルで作製された試験片を23℃条件で200mm/minの条件で測定した。コーティング剤、特に自動車アンダーボディーコート剤、自動車用シーラント剤として適したものとなることから、引張強度は10MPa以上、伸びは200%以上を有するものが好ましい。
合成例1
1mステンレス製オートクレーブ中に脱イオン水360kg、塩化ビニルモノマー300kg、過酸化ラウロイル5.7kg及び15重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液30kgを仕込み、該重合液をホモジナイザーを用いて3時間循環し均質化処理を行なった後、反応系の温度を45℃に上げて重合を開始した。重合系の圧力が低下した後、未反応塩化ビニルモノマーを回収し、固形分含有率35重量%、平均粒子径0.55μmの開始剤含有シードラテックス(a)を得た。
合成例2
1mステンレス製オートクレーブ中に脱イオン水400kg、塩化ビニルモノマー350kg、16重量%ラウリン酸カリウム水溶液2kg及び16重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液5kgを仕込んだ後、反応系の温度を60℃に上げて重合を開始した。重合系の圧力が低下した後、未反応塩化ビニルモノマーを回収し、固形分含有率40重量%、平均粒子径0.15μmであるシードラテックス(b)を得た。
製造例1
2.5Lステンレス製オートクレーブ中に脱イオン水650g、塩化ビニルモノマー550g、5重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5.5g、1重量%ホウ酸-苛性カリウム溶液11g、合成例1により得られた平均粒子径0.55μmのシードラテックス(a)を63g、合成例2により得られた平均粒子径0.15μmのシードラテックス(b)を27.5g仕込み、この反応混合物の温度を66℃に上げて重合を開始した。重合を開始してから重合を終了までの間、82.5gの5重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを連続的に添加した。重合圧が66℃における塩化ビニルモノマーの飽和蒸気圧から降下し、0.647MPaに達したときに重合を停止し、未反応塩化ビニルモノマーを回収し、平均粒子径が1.4μmで、重合度が850の塩化ビニル系樹脂ラテックスを得た。
実施例1
製造例1で得られた塩化ビニル系樹脂ラテックス(平均粒子径:1.4μm、重合度:850)1kgに、CNF(第一工業製薬(株)、商品名:レオクリスタ;平均繊維径3nm)の0.2wt%水溶液を10g(塩化ビニル系樹脂100重量部に対してCNFが0.002重量部)添加してから撹拌し、回転円盤式のスプレードライヤーを用い、熱風温度110℃、出口温度50℃で噴霧乾燥し、顆粒状のペースト塩ビ複合体を得た。
得られたペースト塩ビ複合体100重量部に対し、可塑剤としてDOP(大八化学工業(株)製)53重量部、充填剤として炭酸カルシウム(日東粉化工業(株)、商品名NN#500)100重量部、顔料として酸化チタン(テイカ(株)、商品名JR600A)13重量部、発泡剤(大塚化学(株)、商品名AZウルトラ1050)4重量部、希釈剤(東燃ゼネラル石油(株)、商品名Exxsol D40)10重量部、安定剤(旭電化(株)、商品名FL103N)3重量部を用い、ディゾルバーを用いて混練し、ペースト塩ビ組成物を得た。
得られたペースト塩ビ組成物について粘度の評価を行った。回転数5、10、20、100rpmにおいてそれぞれ5280、4080、3320、2416mPa・sであった。沈降性評価において、ペースト塩ビ組成物中に配合剤の沈殿物は観測されなかった。
また、得られたペースト塩ビ組成物を、予め180℃で5秒加熱した難燃紙上に0.14mmの厚みでコーティングし、180℃で10秒加熱することにより、原反を得た。
得られた原反の厚みを測定した後、220℃で60秒加熱することにより発泡体を得た。その後、得られた発泡体の厚みを測定し、発泡倍率、表面平滑性、セル構造及び色相を評価した。発泡倍率は5.4倍と5.0倍以上であり、表面は平滑で、セルは緻密な構造だった。なお、発泡体の色相は、YI値で9.7であった。
また、上記で得られた顆粒状のペースト塩ビ複合体について、引張強度及び伸びの測定を行い、評価した。
評価結果を表1に示す。
Figure 0007243310000001
実施例2
製造例1で得られた塩化ビニル系樹脂ラテックス(平均粒子径:1.4μm、重合度:850)1kgに、CNF(第一工業製薬(株)、商品名:レオクリスタ;平均繊維径3nm)の0.2wt%水溶液を50g(塩化ビニル系樹脂100重量部に対してCNFが0.01重量部)添加してから撹拌し、回転円盤式のスプレードライヤーを用い、熱風温度110℃、出口温度50℃で噴霧乾燥し、顆粒状のペースト塩ビ複合体を得た。
得られたペースト塩ビ複合体に対し、実施例1と同様にしてペースト塩ビ組成物を得て、同様の評価をおこなった。試験結果を表1に示した。粘度は、回転数5、10、20、100rpmにおいてそれぞれ5520、4160、3400、2476mPa・sであった。沈降性評価において、ペースト塩ビ組成物中に配合剤の沈殿物は観測されなかった。発泡倍率は5.4倍と5.0倍以上であり、表面は平滑で、セルは緻密な構造だった。なお、発泡体の色相は、YI値で10.2であった。引張強度は11.8MPa、伸びは310%であった。
実施例3
製造例1で得られた塩化ビニル系樹脂ラテックス(平均粒子径:1.4μm、重合度:850)1kgに、CNF(第一工業製薬(株)、商品名:レオクリスタ;平均繊維径3nm)の0.2wt%水溶液を100g(塩化ビニル系樹脂100重量部に対してCNFが0.02重量部)添加してから撹拌し、回転円盤式のスプレードライヤーを用い、熱風温度110℃、出口温度50℃で噴霧乾燥し、顆粒状のペースト塩ビ複合体を得た。
得られたペースト塩ビ複合体に対し、実施例1と同様にしてペースト塩ビ組成物を得て、同様の評価をおこなった。試験結果を表1に示した。粘度は、回転数5、10、20、100rpmにおいてそれぞれ6000、4640、3680、2644mPa・sであった。沈降性評価において、ペースト塩ビ組成物中に配合剤の沈殿物は観測されなかった。発泡倍率は5.4倍と5.0倍以上であり、表面は平滑で、セルは緻密な構造だった。なお、発泡体の色相は、YI値で10.7であった。引張強度は11.4MPa、伸びは287%であった。
実施例4
製造例1で得られた塩化ビニル系樹脂ラテックス(平均粒子径:1.4μm、重合度:850)1kgに、CNF(第一工業製薬(株)、商品名:レオクリスタ;平均繊維径3nm)の0.5wt%水溶液を1000g(塩化ビニル系樹脂100重量部に対してCNFが0.5重量部)添加してから撹拌し、回転円盤式のスプレードライヤーを用い、熱風温度110℃、出口温度50℃で噴霧乾燥し、顆粒状のペースト塩ビ複合体を得た。
得られたペースト塩ビ複合体に対し、実施例1と同様にしてペースト塩ビ組成物を得て、同様の評価をおこなった。試験結果を表1に示した。粘度は、回転数5、10、20、100rpmにおいてそれぞれ48320、33800、26200、15440mPa・sであった。沈降性評価において、ペースト塩ビ組成物中に配合剤の沈殿物は観測されなかった。発泡倍率は5.4倍と5.0倍以上であり、表面は平滑で、セルは緻密な構造だった。なお、発泡体の色相は、YI値で14.9であった。引張強度は8.9MPa、伸びは225%であった。
比較例1
CNFを添加しない以外は、実施例1と同様にしてペースト塩ビ、ペースト塩ビ組成物を得て、同様の評価をおこなった。
試験結果を表3に示した。粘度は、回転数5、10、20、100rpmにおいてそれぞれ3200、2720、2300、1984mPa・sであった。回転数5,10rpm(低せん断速度領域)での粘度が低く。ペースト塩ビ組成物中の配合剤の沈降性については、沈殿物が生じていた。発泡倍率は5.4倍と5.0倍以上であり、表面は平滑で、セルは緻密な構造だった。なお、発泡体の色相は、YI値で9.7であった。引張強度は11.3MPa、伸びは285%であった。
比較例2
製造例1で得られた塩化ビニル系樹脂ラテックス(平均粒子径:1.4μm、重合度:850)1kgに、CNF(第一工業製薬(株)、商品名:レオクリスタ;平均繊維径3nm)の0.2wt%水溶液を5g(塩化ビニル系樹脂100重量部に対してCNFが0.001重量部)添加してから撹拌し、回転円盤式のスプレードライヤーを用い、熱風温度110℃、出口温度50℃で噴霧乾燥し、顆粒状のペースト塩ビを得た。
得られたペースト塩ビに対し、実施例1と同様にしてペースト塩ビ組成物を得て、同様の評価をおこなった。試験結果を表2に示した。粘度は、回転数5、10、20、100rpmにおいてそれぞれ3340、2800、2410、2010mPa・sであった。回転数5,10rpm(低せん断速度領域)での粘度が低く。ペースト塩ビ組成物中の配合剤の沈降性については、沈殿物が生じていた。発泡倍率は5.4倍と5.0倍以上であり、表面は平滑で、セルは緻密な構造だった。なお、発泡体の色相は、YI値で9.8であった。引張強度は11.6MPa、伸びは290%であった。
比較例3
製造例1で得られた塩化ビニル系樹脂ラテックス(平均粒子径:1.4μm、重合度:850)1kgに、CNF(第一工業製薬(株)、商品名:レオクリスタ;平均繊維径3nm)の0.5wt%水溶液を2000g(塩化ビニル系樹脂100重量部に対してCNFが1重量部)添加してから撹拌し、回転円盤式のスプレードライヤーを用い、熱風温度110℃、出口温度50℃で噴霧乾燥し、顆粒状のペースト塩ビを得た。
得られたペースト塩ビに対し、実施例1と同様にしてペースト塩ビ組成物を得て、同様の評価をおこなった。試験結果を表2に示した。粘度は、回転数5、10、20、100rpmにおいてそれぞれ139620、92936、75958、42942mPa・sであった。回転数20,100rpm(高せん断速度領域)での粘度が高いものであった。発泡倍率は3.2倍と4.0倍を下回り、表面とセル構造は粗く、発泡体の色相はYI値で22.3で劣っていた。引張強度は7.2MPa、伸びは180%であった。
Figure 0007243310000002
製造例2
2.5Lステンレス製オートクレーブ中に脱イオン水500g、塩化ビニルモノマーを712g(混合モノマーの全仕込み量に対して89重量%)、酢酸ビニルモノマーを88g(混合モノマーの全仕込み量に対して11重量%)、5重量%ラウリル硫酸ナトリウムを11.2g、合成例1により得られた平均粒子径0.55μmのシードラテックス(a)を91.4g、0.1重量%硫酸銅を4.0g仕込み、この反応混合物の温度を38℃ に上げて重合を開始した。重合中、0.05重量%アスコルビン酸水溶液を、重合温度を維持するように連続的に添加し、混合モノマーの合計に対して重合転化率が90%となったところで重合を終了した。なお、重合を開始してから重合終了までの間、120gの5重量%ラウリル硫酸ナトリウムを連続的に添加した。重合終了後、未反応モノマーを回収して塩化ビニル系樹脂ラテックスを得た。得られたペースト塩ビは、平均重合度1850、酢酸ビニル残基の含有量6.5重量%の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体であった。
実施例5
製造例2で得られた塩化ビニル系樹脂ラテックス(重合度:1850、酢酸ビニル残基含量:6.5重量%)1kgに、CNF(第一工業製薬(株)、商品名:レオクリスタ;平均繊維径3nm)の0.5wt%水溶液を200g(塩化ビニル系樹脂100重量部に対してCNFが0.1重量部)添加してから撹拌し、回転円盤式のスプレードライヤーを用い、熱風温度158℃、出口温度55℃で噴霧乾燥した。乾燥して得られた顆粒状のペースト塩ビ複合体を粉砕することで微粉状のペースト塩ビ複合体を得た。
得られたペースト塩ビ複合体に対し、実施例1と同様にしてペースト塩ビ組成物を得て、同様の評価をおこなった。試験結果を表3に示した。粘度は、回転数5、10、20、100rpmにおいてそれぞれ7687、5940、4948、3765mPa・sであった。沈降性評価において、ペースト塩ビ組成物中に配合剤の沈殿物は観測されなかった。なお、引張強度は17.3MPa、伸びは415%であった。
また、得られたペースト塩ビ複合体100重量部に対し、可塑剤としてDINP((株)ジェイ・プラス、グレード工業用)100重量部、充填剤として炭酸カルシウム(日東粉化工業(株)、商品名NN#500)70重量部、および脂肪酸処理を施した炭酸カルシウム(竹原化学工業(株)、商品名ネオライトSP-60)70重量部、希釈剤(東燃ゼネラル石油(株)、商品名Exxsol D80)20重量部を用い、ディゾルバーを用いて混練し、ペースト塩ビ組成物Bを得た。
ペースト塩ビ組成物B100mLを、100mLの蓋付きポリプロピレン製カップに入れ、粘度増加の加速試験のため40℃の一定温度下で一日静置した。その後、23℃で3時間放冷し、B8H型粘度計(東京計器社製)ローターNo.7を用いて回転数5、10、20、100rpmの条件で粘度Bを評価した。回転数5、10rpmの粘度Bがペースト塩ビ組成物B塗布後の垂れに影響するものとして、回転数5rpmでは粘度300000mPa・s以上500000mPa・s以下のもの、回転数10rpmでは粘度200000mPa・s以上400000mPa・s以下のものを垂れ抑制効果に優れると評価した。また、回転数20、100rpmの粘度Bがペースト塩ビ組成物の加工性・ハンドリング性に影響するものとして、回転数20rpmでは粘度50000mPa・s以上150000mPa・s以下のもの、回転数100rpmでは粘度10000mPa・s以上50000mPa・s以下のものを加工性に優れると評価した。
得られたペースト塩ビ組成物Bの粘度Bは、回転数5、10、20、100rpmにおいてそれぞれ305700、203200、110000、30200mPa・sであった。
Figure 0007243310000003
実施例6
製造例2で得られた塩化ビニル系樹脂ラテックス(重合度:1850、酢酸ビニル残基含量:6.5重量%)1kgに、CNF(第一工業製薬(株)、商品名:レオクリスタ;平均繊維径3nm)の0.5wt%水溶液を600g(塩化ビニル系樹脂100重量部に対してCNFが0.3重量部)添加してから撹拌し、回転円盤式のスプレードライヤーを用い、熱風温度158℃、出口温度55℃で噴霧乾燥した。乾燥して得られた顆粒状のペースト塩ビ複合体を粉砕することで微粉状のペースト塩ビ複合体を得た。
得られたペースト塩ビ複合体に対し、実施例1と同様にしてペースト塩ビ組成物を得て、同様の評価をおこなった。試験結果を表3に示した。粘度は、回転数5、10、20、100rpmにおいてそれぞれ23061、17823、14844、11296mPa・sであった。沈降性評価において、ペースト塩ビ組成物中に配合剤の沈殿物は観測されなかった。なお、引張強度は15.6MPa、伸びは378%であった。
また、得られたペースト塩ビ複合体に対し、実施例5と同様にしてペースト塩ビ組成物Bを得て、塗布性評価として同様の粘度Bの評価をおこなった。試験結果を表3に示した。粘度Bは、回転数5、10、20、100rpmにおいてそれぞれ332800、205400、118000、35000mPa・sであった。
実施例7
製造例2で得られた塩化ビニル系樹脂ラテックス(重合度:1850、酢酸ビニル残基含量:6.5重量%)1kgに、CNF(第一工業製薬(株)、商品名:レオクリスタ;平均繊維径3nm)の0.5wt%水溶液を1kg(塩化ビニル系樹脂100重量部に対してCNFが0.5重量部)添加してから撹拌し、回転円盤式のスプレードライヤーを用い、熱風温度158℃、出口温度55℃で噴霧乾燥した。乾燥して得られた顆粒状のペースト塩ビ複合体を粉砕することで微粉状のペースト塩ビ複合体を得た。
得られたペースト塩ビ複合体に対し、実施例1と同様にしてペースト塩ビ組成物を得て、同様の評価をおこなった。試験結果を表3に示した。粘度は、回転数5、10、20、100rpmにおいてそれぞれ41162、31812、26496、20163mPa・sであった。沈降性評価において、ペースト塩ビ組成物中に配合剤の沈殿物は観測されなかった。なお、引張強度は13.2MPa、伸びは342%であった。
また、得られたペースト塩ビ複合体に対し、実施例5と同様にしてペースト塩ビ組成物Bを得て、塗布性評価として同様の粘度Bの評価をおこなった。試験結果を表3に示した。
粘度Bは、回転数5、10、20、100rpmにおいてそれぞれ345600、208000、120800、37080mPa・sであった。
比較例4
CNFを添加しない以外は、実施例5と同様にしてペースト塩ビ、ペースト塩ビ組成物、ペースト塩ビ組成物Bを得て、同様の評価をおこなった。
試験結果を表4に示した。粘度は、回転数5、10、20、100rpmにおいてそれぞれ2726、2560、2326、2591mPa・sであった。回転数5,10rpm(低せん断速度領域)での粘度が低く、ペースト塩ビ組成物中の配合剤の沈降性については、沈殿物が生じていた。なお、引張強度は19.7MPa、伸びは433%であった。また、粘度Bは、回転数5、10、20、100rpmにおいてそれぞれ233600、120400、69800、21880mPa・sであった。回転数5,10rpm(低せん断速度領域)での粘度が低く、ペースト塩ビ組成物の垂れ性が不適であった。
比較例5
製造例2で得られた塩化ビニル系樹脂ラテックス(重合度:1850、酢酸ビニル残基含量:6.5重量%)1kgに、CNF(第一工業製薬(株)、商品名:レオクリスタ;平均繊維径3nm)の0.5wt%水溶液を2g(塩化ビニル系樹脂100重量部に対してCNFが0.001重量部)添加してから撹拌し、回転円盤式のスプレードライヤーを用い、熱風温度158℃、出口温度55℃で噴霧乾燥した。乾燥して得られた顆粒状のペースト塩ビ複合体を粉砕することで微粉状のペースト塩ビ複合体を得た。
得られたペースト塩ビ複合体に対し、実施例5と同様にしてペースト塩ビ組成物を得て、同様の評価をおこなった。試験結果を表4に示した。粘度は、回転数5、10、20、100rpmにおいてそれぞれ2845、2635、2437、2625mPa・sであった。回転数5,10rpm(低せん断速度領域)での粘度が低く、ペースト塩ビ組成物中の配合剤の沈降性については、沈殿物が生じていた。なお、引張強度は19.5MPa、伸びは424%であった。また、粘度Bは、回転数5、10、20、100rpmにおいてそれぞれ214400、120000、72800、21840mPa・sであった。回転数5,10rpm(低せん断速度領域)での粘度が低く、ペースト塩ビ組成物の垂れ性が不適であった。
比較例6
製造例2で得られた塩化ビニル系樹脂ラテックス(重合度:1850、酢酸ビニル残基含量:6.5重量%)1kgに、CNF(第一工業製薬(株)、商品名:レオクリスタ;平均繊維径3nm)の0.5wt%水溶液を2kg(塩化ビニル系樹脂100重量部に対してCNFが1重量部)添加してから撹拌し、回転円盤式のスプレードライヤーを用い、熱風温度158℃、出口温度55℃で噴霧乾燥した。乾燥して得られた顆粒状のペースト塩ビ複合体を粉砕することで微粉状のペースト塩ビ複合体を得た。
得られたペースト塩ビ複合体に対し、実施例5と同様にしてペースト塩ビ組成物を得て、同様の評価をおこなった。試験結果を表4に示した。粘度は、回転数5、10、20、100rpmにおいてそれぞれ81217、61553、52992、40419mPa・sであった。回転数20,100rpm(高せん断速度領域)での粘度が高いものであった。なお、引張強度は9.4MPa、伸びは273%であり、引張強度が劣っていた。また、粘度Bは、回転数5、10、20、100rpmにおいてそれぞれ380400、251000、142800、53100mPa・sであった。
Figure 0007243310000004
本発明のペースト塩ビ複合体は、ペースト塩ビ組成物にチキソトロピー性を付与することができ、ペースト塩ビ組成物のゾルを保管する際に配合剤が沈降しないプラスチゾルを得ることができると共に、成形体は発泡倍率、発泡色相性、表面平滑性、セル構造の緻密性、又は機械的強度にも優れるものとなり、広範に使用されることが期待されているものである。

Claims (8)

  1. ペースト加工用塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、繊維径5nm以下の微細セルロース繊維0.002~0.9重量部を含有することを特徴とするペースト加工用塩化ビニル系樹脂複合体。
  2. ペースト加工用塩化ビニル樹脂100重量部に対して、繊維径5nm以下の微細セルロース繊維0.02~0.5重量部を含有することを特徴とする請求項1に記載のペースト加工用塩化ビニル系樹脂複合体。
  3. ペースト加工用塩化ビニル樹脂が、ペースト加工用塩化ビニル単独重合樹脂又はペースト加工用塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載のペースト加工用塩化ビニル系樹脂複合体。
  4. 請求項1~3のいずれかに記載のペースト加工用塩化ビニル系樹脂複合体100重量部に対し、可塑剤20~200重量部を含有することを特徴とするペースト加工用塩化ビニル系樹脂組成物。
  5. ペースト加工用塩化ビニル系樹脂複合体100重量部に対し、さらに充填剤1~300重量部、発泡剤0.1~30重量部及び安定剤0.1~30重量部を含有することを特徴とする請求項4に記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  6. 壁紙用であることを特徴とする請求項4又は5に記載のペースト加工用塩化ビニル系樹脂組成物。
  7. 塩化ビニル系重合体ラテックスに繊維径5nm以下の微細セルロース繊維を分散し、噴霧乾燥を行うことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のペースト加工用塩化ビニル系樹脂複合体の製造方法。
  8. 塩化ビニル系重合体ラテックスが、塩化ビニル単独重合体ラテックス又は塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体ラテックスであることを特徴とする請求項7に記載のペースト加工用塩化ビニル系樹脂複合体の製造方法。
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