JP7242444B2 - 放射線撮像装置 - Google Patents

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Description

本発明は光子計数型検出器を搭載した放射線撮像装置に係り、散乱線除去のためのコリメータを支持する構造に関する。
近年、フォトンカウンティング方式を採用する検出器(光子計数型検出器)を搭載したフォトンカウンティングCT(Computed Tomography)装置の開発が、様々な機関において進められている。光子計数型検出器は、従来のCT装置で採用されている電荷積分型の検出器と異なり、検出素子である半導体層に入射した放射線の光子を個々に計数可能であるので、各光子のエネルギーを計測できる。そのため、フォトンカウンティングCT装置では従来のCT装置に比べてより多くの情報を得ることができる。
CT装置に代表される放射線撮像装置では、被写体等で発生した散乱線の検出器への入射を抑制するために、タングステンやモリブデン、タンタル等の重金属のプレートで形成されるスリットまたはグリッドであるコリメータが被写体と検出器の間に配置される。ただし、コリメータと検出器の検出素子との位置合せの精度が不十分な場合、CT装置が生成する断層画像にアーチファクトと呼ばれる偽像が発生する。
特許文献1では、複数のコリメータプレートの全てを支持する一組のコリメータレールに複数の検出器モジュールを装着するとともに、一方のコリメータレールに固定される高電圧ストリップから各検出器モジュールへ高電圧線等を介して高電圧を供給している。
特開2007-144184号公報
しかしながら特許文献1では、コリメータを含む検出器モジュールを小型化することが困難な場合がある。すなわち検出器モジュールを小型化するために、複数のコリメータプレートの全てを支持するコリメータレール間の距離を短くすると、高電圧ストリップと検出器モジュールとの距離も短くなり、耐圧を保てなくなる場合がある。
そこで、本発明は、放射線の光子を検出する半導体層と散乱線の入射を抑制するコリメータとを備える光子計数型放射線検出器を小型化するとともに耐圧を確保可能な放射線撮像装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、放射線を放射する放射線源と、前記放射線の光子を検出する放射線検出器と、前記放射線源と前記放射線検出器とを対向させて支持する支持部を備える放射線撮像装置であって、前記放射線検出器は、複数の検出素子モジュールが円弧状に配列されて構成され、前記検出素子モジュールは、前記支持部に固定されるベースと、前記光子を受けて電荷を出力する半導体層と、前記半導体層に高電圧を供給する高電圧配線と、前記半導体層へ入射する散乱線を抑制するコリメータと、前記コリメータを支持し前記ベースに固定される一組の支柱と、を有し、前記支柱は、前記半導体層から所定の距離の中に配置されるとともに、前記高電圧配線が挿入される切り欠き部を有することを特徴とする。
本発明によれば、放射線の光子を検出する半導体層と散乱線の入射を抑制するコリメータとを備える光子計数型放射線検出器を小型化するとともに耐圧を確保可能な放射線撮像装置を提供することができる。
本発明が適用されるX線CT装置の全体構成を示す図である。 第一実施形態に係る検出素子モジュールの側面と上面を示す図である。 第一実施形態に係る検出素子モジュールを構成する各部の斜視図である。 第一実施形態に係る検出素子モジュールのA-A断面図である。 第一実施形態に係る検出素子モジュールのB-B断面図である。 第一実施形態に係る検出素子モジュールのC-C断面図である。 第一実施形態に係る検出素子モジュールの組立治具の一例を示す図である。 第二実施形態に係る検出素子モジュールとその組立治具の一例を示す図である。 第三実施形態に係る検出素子モジュールを示す図である。 第三実施形態に係る検出素子モジュールの組立治具の一例を示す図である。 第三実施形態の変形例に係る検出素子モジュールとその組立治具の一例を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお本発明の放射線撮像装置は、放射線源と、放射線の光子を検出する放射線検出器と、を備える装置に適用される。以降の説明では、放射線がX線、放射線検出器が光子計数型のX線検出器であり、放射線撮像装置がX線CT装置である例について述べる。
<第一実施形態>
本実施形態のX線CT装置は、図1に示すように、X線を照射するX線源1と、X線を検出する複数の検出素子を二次元配列したX線検出器2と、信号処理部3と、画像生成部4とを備える。信号処理部3は、検出素子による検出信号に対し補正等の処理を行うとともに、X線CT装置の各部を制御する。画像生成部4は、信号処理部3で補正等の処理がなされた信号を用いて被写体7の画像を生成する。X線源1とX線検出器2は対向した位置で回転板5に支持され、寝台6に横たわる被写体7の周りを、被写体7に対して相対的に回転するように構成される。なおX線源1、X線検出器2及び回転板5を含めスキャナともいう。
X線検出器2は、複数の検出素子モジュール200がX線源1を中心とする円弧状に配列されて構成される。検出素子モジュール200は光子計数型検出器であり、コリメータ210と、高電圧配線220と、半導体層230と、光子計数回路240を有する。半導体層230は、例えばテルル化亜鉛カドミウム(CZT)やテルル化カドミウム(CdTe)等で構成され、入射するX線の光子に相当する電荷を生成する。光子計数回路240は、半導体層230が生成する電荷を計数し、計数した結果を計数信号として出力する。コリメータ210は、モリブデンやタンタルのような重金属のスリットまたはグリッドとして構成され、半導体層230に入射する散乱線を抑制する。高電圧配線220は、半導体層230が生成する電荷を光子計数回路240へ移動させるために、半導体層230に高電圧を供給する。検出素子モジュール200の詳細な構造は図2乃至図6を用いて後述される。
対向配置されたX線源1とX線検出器2が被写体7の周りを回転する間に、X線源1からのX線の照射と、被写体7を透過したX線のX線検出器2での検出とが繰り返される。X線検出器2の光子計数回路240が出力する計数信号は、信号処理部3において補正等の処理を施された後、画像生成部4に送信され、画像生成部4によって被写体7の断層画像(CT像)が生成される。
図2乃至図6を用いて検出素子モジュール200の詳細な構造について説明する。なお図2(a)は検出素子モジュール200の側面を示す図であり、図2(b)は検出素子モジュール200の上面を示す図である。また図3は検出素子モジュール200を構成する各部の斜視図であり、図4、図5、図6はそれぞれ図2(b)中のA-A断面、B-B断面、C-C断面を示す図である。各図において、X軸はX線検出器2の回転方向、Y軸はX線入射方向、Z軸はX線検出器2の回転軸の方向である。検出素子モジュール200は、コリメータ210、高電圧配線220、半導体層230、光子計数回路240とともに、支柱250とベース260を有する。
ベース260は、X線源1を支持する支持部である回転板5に固定され、検出素子モジュール200の位置の基準となる。ベース260は、例えばアルミニウムで構成され、配線穴261と取付け穴262を有する。ベース260のZ方向の中央部には光子計数回路240と半導体層230がY方向に積層される。またZ方向において半導体層230から所定の距離の中に一対の支柱250がベース260の上に配置される。半導体層230から支柱250までの距離は、検出素子モジュール200のZ方向の大きさに応じて設定される。
高電圧配線220は、半導体層230に高電圧を供給するために、半導体層230のX線入射面、すなわちX線源1側の面に配置され、例えばフレキシブルケーブルで構成される。高電圧配線220と半導体層230との間には、両者を電気的に接続するためのシート状導体222が設けられる。また高電圧配線220のZ方向の両端部には接続導体221が設けられ、接続導体221を介して、高電圧配線220に数mA程度の電流が供給される。高電圧配線220に供給される電流の流れを阻害しないように、高電圧配線220の形状は、図3に示すような接続導体221からシート状導体222へ向かうに従って、X方向の幅が広がることが望ましい。
支柱250は、例えば銅、鉄、真鍮、タングステン等のX線遮蔽効果の高い金属で構成され、コリメータ210を支持し、配線穴251と取付け穴252と切り欠き部253を有する。支柱250に金属を用いる場合、支柱250と高電圧配線220の間の電気的な絶縁は、高電圧配線220の被覆材等によって確保される。コリメータ210の固定には、コリメータ210のZ方向の両端部に設けられる取付け穴211、取付け穴212とともに、支柱250の取付け穴252とベース260の取付け穴262が用いられる。取付け穴211を丸穴、取付け穴212を長穴として、Z方向におけるコリメータ210の固定位置の調整シロを設けても良い。また重金属で構成されるコリメータ210の固定位置にずれを生じさせないように、取付け穴211と取付け穴212は、それぞれ複数設けられることが好ましい。さらにコリメータ210の固定強度をより高めるために、取付け穴211と取付け穴212との間の距離はより短いことが好ましい。
切り欠き部253は、支柱250のX方向の中央部で取付け穴211や取付け穴212と重ならない位置に設けられ、高電圧配線220が挿入される。切り欠き部253の形状は、高電圧配線220のZ方向の両端部と整合するものが好ましい。切り欠き部253には、支柱250の配線穴251とベース260の配線穴261が通じており、配線穴251と配線穴261の中には高電圧供給部270が図4や図6に示すように設けられる。高電圧供給部270は接続導体221を介して高電圧配線220に高電圧を供給する。なお図6に示す半導体層230と高電圧供給部270との距離L1、L2は、半導体層230の光子計数回路240側の電極と高電圧供給部270との間で放電が発生しないように設定される。
また高電圧配線220による半導体層230への張力を軽減するために、高電圧配線220は実質的に水平に保たれることが望ましい。そこで、ベース260から切り欠き部253の底面までの高さと、ベース260から半導体層230のX線入射面までの高さとは、図2(a)や図6に示すように、等しいことが最も望ましい。なお、高電圧配線220による半導体層230への張力は、半導体層230が破損しない程度に軽減されれば良いので、高電圧配線220は必ずしも水平に配線されなくても良い。すなわち、半導体層230や光子計数回路240の大きさや半導体層230が破損する強度、高電圧配線220による張力に基づいて、半導体層230が破損しないように、切り欠き部253の底面の高さが設定されれば良い。
またコリメータ210と高電圧配線220との間に図5に示すような空隙500が確保されるように、支柱250の高さが設定される。空隙500が確保されることにより、重金属で構成されるコリメータ210と高電圧配線220とを接触させずに済むので、半導体層230の破損を回避できる。
図2乃至図6を用いて説明した本実施形態によれば、検出素子モジュール200を小型化するために、コリメータ210を支持する支柱250が半導体層230から所定の距離の中に配置される。また半導体層230に接続される高電圧配線220に高電圧を供給する高電圧供給部270が、半導体層230との間で放電が発生しない距離に配置される。よって、放射線の光子を検出する半導体層と散乱線の入射を抑制するコリメータとを備える光子計数型放射線検出器を小型化するとともに耐圧を確保可能になる。
なお、コリメータと半導体層との位置合わせの精度が不十分である場合、放射線撮像装置が生成する画像にアーチファクトと呼ばれる偽像が発生する。そこで本実施形態の検出素子モジュール200において、コリメータ210と半導体層230との位置合わせの精度を確保することについて以降で説明する。
図7を用いて、本実施例の検出素子モジュール200を組み立てるときに、コリメータ210の位置調整に用いられる組立治具700について説明する。図7(a)に組立治具700の上面図を示し、図7(b)に組立治具700の側面図とともに検出素子モジュール200の側面図を示す。
組立治具700は、突起部701とピン702と開口部705を有する。ピン702は、ベース260を回転板5に固定するときに用いられる固定用穴703に接続される。固定用穴703にピン702が接続されることにより、検出素子モジュール200のベース260が回転板5に固定されるときの位置精度が、回転板5と組立治具700との間にも再現される。
開口部705は、XZ面において、コリメータ210よりも大きい矩形の開口であり、開口部705の内周面のうちの短辺の一方には一つの突起部701が、長辺の一方には2つの突起部701が設けられる。3つの突起部701の各先端とピン702との相対位置は、固定用穴703にピン702が接続された状態で、3つの突起部701にコリメータ210が突き当てられたときに、ベース260とコリメータ210との位置精度が担保されるように調整される。
なお開口部705の短辺に設けられる突起部701は、X方向における開口部705の中心に設けられることが望ましい。また開口部705の長辺に設けられる突起部701は、支柱250に隣接する範囲である支柱隣接範囲704に設けられることが望ましい。突起部701が支柱隣接範囲704に設けられることにより、コリメータ210の組み立て中に、組立治具700が半導体層230や光子計数回路240と接触することを回避できる。なお、固定用穴703にピン702が接続された組立治具700の突起部701には、コリメータ210のみが突き当てられても良いし、コリメータ210とともに支柱250が突き当てられても良い。
図7を用いて説明した本実施形態の組立治具700によれば、コリメータ210と半導体層230との位置合わせの精度を確保しながら検出素子モジュール200を組み立てられる。
<第二実施形態>
第一実施形態では、コリメータ210の位置調整に用いられる治具として、コリメータ210よりも大きい開口部705の内周面に3つの突起部701を有する組立治具700について説明した。本実施例では、図7に例示される組立治具700よりも簡易な治具等について説明する。なお本実施形態には、第一実施形態で説明した構成や機能の一部を適用できるので、同様の構成、機能については同じ符号を用いて説明を省略する。
図8を用いて本実施形態の検出素子モジュール800と組立治具810について説明する。図8(a)に検出素子モジュール800と組立治具810の上面図を示し、図8(b)に組立治具810と検出素子モジュール800の側面図を示す。各図において、X軸はX線検出器2の回転方向、Y軸はX線入射方向、Z軸はX線検出器2の回転軸の方向である。
組立治具810は、図8(a)に示すように、断面がL字形状であるとともに、突き当て部811を有する。また組立治具810を用いてコリメータ210が位置調整される検出素子モジュール800のベース860は、突き当て部811が突き当てられる端面である突き当て端面801を有する。なお組立治具810の突き当て部811には、ベース860の突き当て部811とともに、コリメータ210の端部が突き当てられる。
本実施形態の組立治具810によれば、突き当て部811にベース860の突き当て部811とともに、コリメータ210の端部が突き当てられ、ベース860とコリメータ210との位置精度が担保される。また本実施形態の組立治具810は、第一実施形態の組立治具700に比べて、簡易な形状となる。
なお図8(a)では、紙面下側から組立治具810が突き当てられるようにベース860に突き当て端面801が形成されているが、紙面上側から組立治具810が突き当てられるようにベース860に突き当て面が形成されても良い。また組立治具810の突き当て部811に、ベース860とともに、コリメータ210のみが突き当てられても良いし、コリメータ210に加えて支柱250が突き当てられても良い。
<第三実施形態>
第一実施形態では、高電圧配線220に高電圧を供給する高電圧供給部270が支柱250の中に設けられることについて説明した。高電圧配線220に供給される電圧の値によっては、支柱250の中の高電圧供給部270では、半導体層230の光子計数回路240側の電極との間の放電を防止できない場合がある。そこで本実施形態では、Z方向においてコリメータ210を支持する支柱よりも半導体層230から離れた位置に高電圧供給部を設ける場合について説明する。本実施形態には、第一実施形態で説明した構成や機能の一部を適用できるので、同様の構成、機能については同じ符号を用いて説明を省略する。なお以降に示す各図において、X軸はX線検出器2の回転方向、Y軸はX線入射方向、Z軸はX線検出器2の回転軸の方向である。
図9を用いて、本実施形態の検出素子モジュール900について説明する。なお図9(a)は検出素子モジュール900の側面を示す図であり、図9(b)は検出素子モジュール200の上面を示す図、図9(c)は図9(b)中のD-D断面を示す図である。検出素子モジュール900は、コリメータ210、高電圧配線920、半導体層230、光子計数回路240、支柱950、配線接続部955、ベース960を有する。
ベース960は、X線源1を支持する支持部である回転板5に固定され、検出素子モジュール900の位置の基準となる。ベース960は、例えばアルミニウムで構成される。ベース960のZ方向の中央部には光子計数回路240と半導体層230がY方向に積層される。またZ方向において半導体層230から所定の距離の中に一対の支柱950がベース960の上に固定される。半導体層230から支柱950までの距離は、検出素子モジュール900のZ方向の大きさに応じて設定される。さらにZ方向において支柱950よりも半導体層230から離れた位置に配線接続部955が設けられる。
高電圧配線920は、半導体層230に高電圧を供給するために、半導体層230のX線入射面、すなわちX線源1側の面に配置され、例えばフレキシブルケーブルで構成される。高電圧配線920と半導体層230との間には、両者を電気的に接続するためのシート状導体922が設けられる。また高電圧配線920のZ方向の両端部には接続導体921が設けられ、接続導体921を介して、高電圧配線920に数mA程度の電流が供給される。高電圧配線920に供給される電流の流れを阻害しないように、高電圧配線920の形状は、図9(b)に示すような接続導体921からシート状導体922へ向かうに従って、X方向の幅が広がることが望ましい。
支柱950は、例えば銅、鉄、真鍮、タングステン等のX線遮蔽効果の高い金属で構成され、コリメータ210を支持する。支柱950に金属を用いる場合、支柱950と高電圧配線920の間の電気的な絶縁は、高電圧配線920の被覆材等によって確保される。コリメータ210の支柱950への固定には、コリメータ210のZ方向の両端部に設けられる取付け穴211、取付け穴212が用いられる。また支柱950には、第一実施形態と同様に切り欠き部が設けられ、高電圧配線920が切り欠き部を通過して配線接続部955まで配線される。
配線接続部955は、例えばセラミックス等の絶縁物で構成され、内部に高電圧供給部970を有する。高電圧供給部970は高電圧配線920の接続導体921に接続され、高電圧配線920に高電圧を供給する。なお図9(c)に示す半導体層230と配線接続部955の中の高電圧供給部970との距離L3、L4は、半導体層230の光子計数回路240側の電極と高電圧供給部970との間で放電が発生しないように設定される。
また高電圧配線920による半導体層230への張力を軽減するために、高電圧配線920は実質的に水平に保たれることが望ましい。そこで、半導体層230のX線入射面と、支柱950の切り欠き部の底面と、配線接続部955の高電圧供給部970の各々の高さは、図9(c)に示すように、等しいことが望ましい。なお、高電圧配線920による半導体層230への張力は、半導体層230が破損しない程度に軽減されれば良いので、半導体層230や光子計数回路240の大きさや半導体層230が破損する強度、高電圧配線920による張力に基づいて設定されても良い。すなわち、高電圧配線920は必ずしも水平に配線されなくても良く、半導体層230が破損しないように、支柱950の切り欠き部の底面と配線接続部955の高電圧供給部970との高さが設定されれば良い。
本実施形態によれば、検出素子モジュール900を小型化するために、コリメータ210を支持する支柱950が半導体層230から所定の距離の中に配置される。また半導体層230に接続される高電圧配線920に高電圧を供給する高電圧供給部970が、半導体層230との間で放電が発生しない距離に配置される。よって、放射線の光子を検出する半導体層と散乱線の入射を抑制するコリメータとを備える光子計数型放射線検出器を小型化するとともに耐圧を確保可能になる。特に高電圧配線220に供給される電圧の値が高い場合であっても、Z方向においてコリメータ210をコンパクトにしながら、耐圧を確保できる。
図10を用いて、本実施例の検出素子モジュール900を組み立てるときに、コリメータ210の位置調整に用いられる組立治具1000について説明する。図10(a)に組立治具1000の上面図を示し、図10(b)に組立治具1000の側面図とともに検出素子モジュール900の側面図と拡大図を示す。
組立治具1000は、突起部1001とピン1002と開口部1005を有する。ピン1002は、ベース960を回転板5に固定するときに用いられる固定用穴1003に接続される。固定用穴1003にピン1002が接続されることにより、検出素子モジュール900のベース960が回転板5に固定されるときの位置精度が、回転板5と組立治具1000との間にも再現される。
開口部1005は、XZ面において、コリメータ210よりも大きい矩形の開口であり、開口部1005の内周面のうちの短辺の一方には一つの突起部1001が、長辺の一方には2つの突起部1001が設けられる。3つの突起部1001の各先端とピン1002との相対位置は、固定用穴1003にピン1002が接続された状態で、3つの突起部1001にコリメータ210が突き当てられたときに、ベース960とコリメータ210との位置精度が担保されるように調整される。
なお開口部1005の短辺に設けられる突起部1001は、X方向における開口部1005の中心に設けられることが望ましい。また開口部1005の長辺に設けられる突起部1001は、支柱950に隣接する範囲である支柱隣接範囲1004に設けられることが望ましい。突起部1001が支柱隣接範囲1004に設けられることにより、コリメータ210の組み立て中に、組立治具1000が半導体層230や光子計数回路240と接触することを回避できる。なお、固定用穴1003にピン1002が接続された組立治具1000の突起部1001には、コリメータ210のみが突き当てられても良いし、コリメータ210とともに支柱950が突き当てられても良い。また組立治具1000の突起部1001がコリメータ210に突き当てられるように、配線接続部955のY方向の大きさは設定され、例えば図9(b)の拡大図のように、支柱950のY方向の大きさと同一とされる。
図10を用いて説明した本実施形態の組立治具1000によれば、コリメータ210と半導体層230との位置合わせの精度を確保しながら検出素子モジュール900を組み立てられる。
図11を用いて、本実施形態の変形例について説明する。図11(a)に組立治具1100の上面図を示し、図11(b)に組立治具1100と検出素子モジュールの側面図、図11(c)に検出素子モジュールの上面図を示す。
本変形例の検出素子モジュールは、図9と異なり、コリメータ210の取付け穴211と、検出素子モジュールのベース960を回転板5に固定するときに用いられる固定用穴1103とが長穴であり、Z方向に位置の自由度を有する。なおベース960を回転板5に固定するときの位置合わせの基準には、X方向では固定用穴1103が用いられ、Z方向ではベース960の突き当て面1107が用いられる。位置合わせの基準が分散させられることにより、ベース960の加工が簡便になる。
組立治具1100は、突起部1101とピン1102と開口部1105とともに突き当て部1106を有する。ピン1102は固定用穴1103に接続される。固定用穴1103にピン1102が接続されることにより、検出素子モジュールのベース960が回転板5に固定されるときのX方向の位置精度が、回転板5と組立治具1100との間にも再現される。また組立治具1100の突き当て部1106は、ベース960のZ方向における位置合わせの基準である突き当て面1107に突き当てられる。突き当て部1106が突き当て面1107に突き当てられることにより、ベース960が回転板5に固定されるときのZ方向の位置精度が、回転板5と組立治具1100との間にも再現される。
開口部1105は、XZ面において、コリメータ210よりも大きい矩形の開口であり、開口部1105の内周面のうちの短辺の一方には一つの突起部1101が、長辺の一方には2つの突起部1101が設けられる。3つの突起部1101の各先端とピン1102との相対位置は、固定用穴1103にピン1102が接続された状態で、3つの突起部1101にコリメータ210が突き当てられたときに、ベース960とコリメータ210との位置精度が担保されるように調整される。
なお開口部1105の短辺に設けられる突起部1101は、X方向における開口部1105の中心に設けられることが望ましい。また開口部1105の長辺に設けられる突起部1101は、支柱950に隣接する範囲である支柱隣接範囲1104に設けられることが望ましい。突起部1101が支柱隣接範囲1104に設けられることにより、コリメータ210の組み立て中に、組立治具1100が半導体層230や光子計数回路240と接触することを回避できる。なお、固定用穴1103にピン1102が接続された組立治具1100の突起部1101には、コリメータ210のみが突き当てられても良いし、コリメータ210とともに支柱950が突き当てられても良い。また組立治具1100の突起部1001がコリメータ210に突き当てられるように、配線接続部955のY方向の大きさは設定され、例えば図11(b)のように支柱950のY方向の大きさと同一とされる。
図11を用いて説明した本変形例の組立治具1100によれば、コリメータ210と半導体層230との位置合わせの精度を確保しながら本変形例の検出素子モジュールを組み立てられる。
以上、本発明の放射線撮像装置について複数の実施形態を説明した。本発明の放射線撮像装置は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせても良い。さらに、上記実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除しても良い。
1:X線源、2:X線検出器、3:信号処理部、4:画像生成部、5:回転板、6:寝台、7:被写体、200:検出素子モジュール、210:コリメータ、211:取付け穴、212:取付け穴、220:高電圧配線、221:接続導体、222:シート状導体、230:半導体層、240:光子計数回路、250:支柱、251:配線穴、252:取付け穴、253:切り欠き部、260:ベース、261:配線穴、262:取付け穴、270:高電圧供給部、500:空隙、700:組立治具、701:突起部、702:ピン、703:固定用穴、704:支柱隣接範囲、705:開口部、800:検出素子モジュール、801:突き当て端面、810:組立治具、811:突き当て部、860:ベース、900:検出素子モジュール、920:高電圧配線、921:接続導体、922:シート状導体、950:支柱、955:配線接続部、960:ベース、970:高電圧供給部、1000:組立治具、1001:突起部、1002:ピン、1003:固定用穴、1004:支柱隣接範囲、1005:開口部、1100:組立治具、1101:突起部、1102:ピン、1103:固定用穴、1104:支柱隣接範囲、1105:開口部、1106:突き当て部、1107:突き当て面

Claims (11)

  1. 放射線を放射する放射線源と、前記放射線の光子を検出する放射線検出器と、前記放射線源と前記放射線検出器とを対向させて支持する支持部を備える放射線撮像装置であって、
    前記放射線検出器は、複数の検出素子モジュールが円弧状に配列されて構成され、
    前記検出素子モジュールは、前記支持部に固定されるベースと、前記光子を受けて電荷を出力する半導体層と、前記半導体層に高電圧を供給する高電圧配線と、前記半導体層へ入射する散乱線を抑制するコリメータと、前記コリメータを支持し前記ベースに固定される一組の支柱と、を有し、
    前記支柱は、前記半導体層から所定の距離の中に配置されるとともに、前記高電圧配線が挿入される切り欠き部を有することを特徴とする放射線撮像装置。
  2. 請求項1に記載の放射線撮像装置であって、
    前記半導体層の前記放射線源の側には前記高電圧配線と接続される電極面が設けられ、
    前記切り欠き部の底面と前記電極面とは、前記ベースからの高さの差異が所定の範囲内に設定されることを特徴とする放射線撮像装置。
  3. 請求項2に記載の放射線撮像装置であって、
    前記高さの差異は、前記高電圧配線が水平に保たれるように設定されることを特徴とする放射線撮像装置。
  4. 請求項1に記載の放射線撮像装置であって、
    前記半導体層の前記放射線源の側には前記高電圧配線と接続される電極面が設けられ、
    前記高電圧配線は、両端部から前記電極面へ向かうに従って、前記検出素子モジュールが配列される方向の幅が広くなることを特徴とする放射線撮像装置。
  5. 請求項1に記載の放射線撮像装置であって、
    前記切り欠き部には、前記高電圧配線に高電圧を供給する高電圧供給部が設けられることを特徴とする放射線撮像装置。
  6. 請求項1に記載の放射線撮像装置であって、
    前記半導体層から前記支柱よりも離れた位置に、前記高電圧配線に高電圧を供給する高電圧供給部が設けられることを特徴とする放射線撮像装置。
  7. 請求項6に記載の放射線撮像装置であって、
    前記半導体層の前記放射線源の側には前記高電圧配線と接続される電極面が設けられ、
    前記電極面と前記切り欠き部と前記高電圧供給部とは、前記高電圧配線が水平に保たれるように、前記ベースからの高さが設定されることを特徴とする放射線撮像装置。
  8. 請求項1に記載の放射線撮像装置であって、
    前記コリメータは、前記ベースに取り付けられる組立治具を用いて、位置調整されることを特徴とする放射線撮像装置。
  9. 請求項8に記載の放射線撮像装置であって、
    前記ベースには、前記支持部への固定に用いられる穴が設けられ、
    前記組立治具は、前記穴に嵌め込まれるピンと、前記コリメータの2つの側面に突き当てられる突起部を有することを特徴とする放射線撮像装置。
  10. 請求項9に記載の放射線撮像装置であって、
    前記半導体層から前記支柱よりも離れた位置に、前記高電圧配線に高電圧を供給する高電圧供給部が設けられ、
    前記ベースから前記高電圧供給部の上面までの高さは、前記コリメータの側面に前記突起部が突き当てられるように設定されることを特徴とする放射線撮像装置。
  11. 請求項8に記載の放射線撮像装置であって、
    前記組立治具は、断面がL字形状を有しており、
    前記ベースは前記L字形状に突き当てられる端面である突き当て端面を有することを特徴とする放射線撮像装置。
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