JP2009189384A - X線ct装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】X線検出器に設けられた信号処理手段をX線から確実に保護することができるX線CT装置を提供する。
【解決手段】被検体2の周囲を回転する回転体4に、被検体に向けてX線を照射するX線管5と、被検体の体軸に沿うスライス方向及びスライス方向と直交するチャンネル方向に配列された複数の検出素子ブロック6aからなるX線検出器6とを設置したX線CT装置において、検出素子が実装されたX線検出器の配線基板6bの後方に、信号処理回路10bが実装された信号処理手段10の回路基板10aをほぼ平行するよう配置し、かつ配線基板と回路基板の間を接続手段11により電気的に接続すると共に、配線基板に、信号処理回路の上方を覆うようにX線遮蔽手段12を設置して、配線基板を透過したX線により信号処理回路が被曝されるのを防止する。
【選択図】図2

Description

本発明は、X線検出器に設けられた信号処理手段をX線の被曝から保護するようにしたX線CT装置に関する。
X線を使用して被検体の断層撮影を行うX線CT装置は、被検体を中心に回転する回転体が設けられていて、この回転体に被検体を挟んで対向するようX線管とX線検出器が配置されており、X線管より被検体へX線が照射されるようになっている。
また被検体を透過したX線はX線検出器により検出された後、信号処理手段によりX線強度に応じたデジタル信号に変換されて画像処理手段へと出力されるようになっており、画像処理手段は、入力されたX線検出データを演算処理して画像を再構成し、被検体の断層画像として表示手段に表示するようになっている。
一方、近年のX線CT装置では、断層像の面と平行するチャンネル方向と、これと直交する被検体の体軸方向に沿うスライス方向の2次元方向に検出素子アレイを配列したX線検出器により被検体2を透過したX線を検出し、1スキャンで被検体の複数枚の断層画像データを得るように構成したマルチスライス型のX線CT装置が実用化されている。
このマルチスライス型X線CT装置では、1回のスキャンにより複数枚の断層画像が得られるが、より多くの断層画像が短時間で得られるようにするためX線検出器の検出素子アレイ数をスライス方向へ増大させて、32スライスや64スライスが可能なX線CT装置の開発も行われている。
またX線検出器の多素子化に伴い、各検出素子から出力される電気信号を処理する信号処理手段の処理能力も大きなものが要求されるが、処理能力の大きい信号処理手段は高集積化されているため、X線の被曝により誤動作する等、X線の影響を受けやすい問題がある。
このため従来のマルチスライス型X線CT装置では、検出素子アレイから離して信号処理手段を設置することにより、X線の被曝により信号処理手段が誤動作を起こすのを防止する等の対策が講じられている。
一方、例えば特許文献1に記載されたX線CT装置のように、検出素子及び信号処理回路とX線遮蔽体とをパッケージ化して、X線から信号処理回路を保護するようにしたX線CT装置が公知となっている。
前記特許文献1に記載のX線CT装置は、検出素子と信号処理回路がICチップ化されていて、このICチップを保護するようX線の照射方向にX線遮蔽体が配置された状態で、ICチップとX線遮蔽体が保護用樹脂によりパッケージ化された構成となっており、多層配線基板の外面に設けられた端子(半田ボール)とICチップとの間が、ICチップより導出された金ワイヤと多層配線基板内に埋設された導線とにより電気的に接続されている。
特開2006−202791号公報
しかしマルチスライス型X線CT装置に使用するX線検出器は、多数の検出素子アレイにより構成されているため、検出素子アレイが検出した信号を処理する信号処理手段と検出素子アレイとの間を多数の信号配線で接続する必要がある。
このため検出素子アレイから離して信号処理手段を設置することにより、X線の被曝から信号処理回路を保護するようにした従来のマルチスライス型X線CT装置では、検出素子アレイと信号処理手段との間に多数の信号配線を配線するためのスペースを予め設ける必要があり、X線CT装置を小型化する際の支障となる問題がある。
また信号配線が長くなると、検出素子により検出された微弱な電気信号が信号配線の途中で劣化するため、高精細な断層像が得られなくなると共に、信号配線が長くなると組み立てに手間がかかったり、断線等の不具合が発生しやすい問題もある
一方、前記特許文献1に記載のX線CT装置のように、検出素子及び信号処理回路と放射線遮蔽体とがパッケージ化されたX線検出器を使用したX線CT装置では、次のような問題がある。
すなわち、検出素子アレイ及び信号処理回路と放射線遮蔽体とをパッケージ化されていることから、検出素子アレイ毎に設けられた信号処理回路に対し同数のX線遮蔽体を設ける必要があり、このためICパッケージをスライス方向に多数増設して多スライス化を図ろうとした場合、ICパッケージのコストアップによりX線検出器が高価となる問題がある。
また検出素子アレイや信号処理回路の一部に不具合や故障が発生した場合、検出素子アレイとともに信号処理回路も交換する必要があるため、不経済である等の問題もある。
本発明はかかる問題を改善するためになされたもので、X線検出器に設けられた信号処理手段をX線から確実に保護することができるX線CT装置を提供することを目的とするものである。
本発明のX線CT装置は、被検体の周囲を回転する回転体と、回転体に搭載され、かつ被検体に向けてX線を照射するX線管と、被検体を挟んでX線管と対向するよう回転体に配置され、かつ被検体の体軸に沿うスライス方向及びスライス方向と直交するチャンネル方向に配列された複数の検出素子からなるX線検出器と、各検出素子が検出した検出信号を信号処理して画像処理手段へ出力する信号処理手段とを備えたX線CT装置であって、検出素子が実装されたX線検出器の配線基板の後方に、信号処理回路が実装された信号処理手段の回路基板をほぼ平行するよう配置し、かつ配線基板と回路基板の間を接続手段により電気的に接続すると共に、配線基板に、信号処理回路の上方を覆うようにX線遮蔽手段を設置して、配線基板を透過したX線により信号処理回路が被曝されるのを防止したものである。
前記構成により、X線ビームが配線基板を透過しても、配線基板に設けられたX線遮蔽手段によりX線が遮蔽されて信号処理回路が被曝することがないため、信号処理回路がX線の被曝により誤動作したり、破損されるのを未然に防止することができると共に、検出素子の下方に信号処理手段の信号処理回路を配置した構成のため、PDアレイを自在に配列して、PDアレイのN倍の大きさのX線検出器を得る所謂タイリングに好適な構造が得られるようになる。
また検出素子と信号処理手段との間に接続手段を配置したので、多数の信号配線を配線する必要がないため、配線のためのスペースが不要となり、これによってX線CT装置の小型化とコストの低減が図れると共に、検出素子と信号処理手段を結ぶ信号配線が不要となることにより、検出素子により検出された微弱な電気信号が信号配線の途中で劣化することがないため、より高精細な断層像が得られる上、信号配線が長くなると組み立てに手間がかかったり、断線等の不具合が発生しやすい等の問題も解消することができる。
本発明のX線CT装置は、被検体の周囲を回転する回転体と、回転体に搭載され、かつ被検体に向けてX線を照射するX線管と、被検体を挟んでX線管と対向するよう回転体に配置され、かつ被検体の体軸に沿うスライス方向及びスライス方向と直交するチャンネル方向に配列された複数の検出素子からなるX線検出器と、各検出素子が検出した検出信号を信号処理して画像処理手段へ出力する信号処理手段とを備えたX線CT装置であって、検出素子が実装されたX線検出器の配線基板の後方に、処理回路が実装された信号処理手段の回路基板をほぼ直交するよう配置し、かつ配線基板と回路基板の端部間を接続手段により電気的に接続すると共に、配線基板に、信号処理回路の上方を覆うようにX線遮蔽手段を設置して、配線基板を透過したX線により信号処理回路が被曝されるのを防止したものである。
前記構成により、X線ビームが配線基板を透過しても、配線基板に設けられたX線遮蔽手段によりX線が遮蔽されて信号処理回路が被曝することがないため、信号処理回路がX線の被曝により誤動作したり、破損されるのを未然に防止することができると共に、検出素子の下方に信号処理手段の信号処理回路を配置した構成のため、PDアレイを自在に配列して、PDアレイのN倍の大きさのX線検出器を得る所謂タイリングに好適な構造が得られるようになる。
また検出素子と信号処理手段との間に接続手段を配置したので、多数の信号配線を配線する必要がないため、配線のためのスペースが不要となり、これによってX線CT装置の小型化とコストの低減が図れると共に、検出素子と信号処理手段を結ぶ信号配線が不要となることにより、検出素子により検出された微弱な電気信号が信号配線の途中で劣化することがないため、より高精細な断層像が得られる上、信号配線が長くなると組み立てに手間がかかったり、断線等の不具合が発生しやすい等の問題も解消することができる。
さらに信号処理手段の回路基板を配線基板と直交するよう配置したので、回路基板の枚数を増加したり、基板を下方向へ延長することができるため、電子部品をより多く実装することが可能となり、これによって低集積電子部品を使用した場合でも、処理能力の大きい信号処理手段が安価に得られると共に、高集積電子部品を採用すれば、より処理能力の大きい信号処理手段が容易に得られるようになる。
本発明のX線CT装置は、ICソケットやコネクタ等の接続手段により配線基板と回路基板の間を着脱自在に接続したものである。
前記構成により、X線検出器の検出素子や信号処理手段の信号処理回路に故障や不具合が発生した場合、接続手段よりX線検出器と信号処理手段の間を切り離して、故障や不具合が発生した部品のみを新たな部品に交換することができるため、X線検出器と信号処理手段の両方を交換する必要がある従来のものに比べて大変経済的である。
本発明のX線CT装置は、配線基板の後方に、回路基板をほぼ直交するよう複数枚配置したものである。
前記構成により、信号処理回路の回路基板を複数枚にして、より処理能力の大きな信号処理手段を構成しても、各回路基板に実装された信号処理回路を、検出素子の配線基板に設けた1個のX線遮蔽手段でX線から保護することができるため、各信号処理回路毎にX線遮蔽手段を設ける必要のある従来のICパッケージを採用したX線CT装置の場合に比べて大変経済的である。
本発明のX線CT装置は、配線基板の下面に、信号処理手段の信号処理回路が接続手段を介して実装された接続基板を接着し、かつ配線基板及び接続基板に形成した接続パターンの間を、スルーホールを介して電気的に接続したものである。
前記構成により、配線基板の上面に検出素子を、そして下面に信号処理回路を設けることにより、X線検出器と信号処理手段とをコンパクトに一体化することができるため、X線検出器と信号処理手段の小型化が図れる。
本発明のX線CT装置によれば、X線ビームが配線基板を透過しても、配線基板に設けられたX線遮蔽手段によりX線が遮蔽されて信号処理回路が被曝することがないため、信号処理回路がX線の被曝により誤動作したり、破損されるのを未然に防止することができると共に、検出素子の下方に信号処理手段の信号処理回路を配置した構成のため、PDアレイを自在に配列して、PDアレイのN倍の大きさのX線検出器を得る所謂タイリングに好適な構造が得られるようになる。
本発明の第1の実施の形態を、図面を参照して詳述する。
図1はX線CT装置の概略構成図、図2はX線CT装置に採用したX線検出器の拡大断面図である。
図1に示すX線CT装置は、装置本体1を構成するガントリ1aを有しており、ガントリ1aの中央部には円形の開口部1bが開口されていて、この開口部1bの中心部に、被検体2を寝かせるための寝台3が水平に設置されており、この寝台3は、図示しない水平移動手段及び上下駆動手段により被検体2の体軸方向及び上下方向へ移動自在となっている。
ガントリ1a内には、図示しない回転駆動手段により被検体2を中心に高速回転される円板状の回転体4が設けられていて、この回転体4に、被検体2を挟んで対向するようX線管5とX線検出器6が配置されている。
X線管5は、図示しない陽極より円錐状のX線が被検体2に向けて照射されるようになっており、陽極より照射されたX線は、X線管5の近傍に設けられたコリメータ7により扇状のX線ビーム8にコリメートされた後、被検体2へ図1に示すように照射されるようになっている。
X線検出器6は、X線管5の焦点5aを中心として検出器単位ブロック6Aを円弧状に配置することにより形成されている。
検出器単位ブロック6Aは、検出素子ブロック6aが基板上にチャネル方向とスライス方向に所定数ずつアレイ状に配列されたものからなる。
この検出器単位ブロック6Aを円弧状に配列することにより、マルチスライスCT用X線検出器が構成されている。
X線管5より被検体2に向けて照射され、被検体2を透過したX線ビーム8は、X線検出器6の各検出素子ブロック6aにより受光されて、X線の強度に応じた電気信号に変換された後、図示しない画像処理手段へと出力され、画像処理手段の演算処理によって画像が再構成され、被検体の断層画像として表示されるようになっている。
検出器単位ブロック6Aは、X線が入射すると発光し、発光した蛍光を効率よく光電変換素子へ導く面の他の面の全ての面を反射層に覆われたシンチレータをチャネル方向とスライス方向へ各所定数が配列されたシンチレータアレイと、各シンチレータより受光した蛍光を光電変換する複数の光電変換素子が配列されてなるPD(フォトダイード)アレイ(何れも図示せず)を接着することにより形成された検出素子ブロック6aが、図2に示すように配線基板6bの上面に例えば半田バンプ等の固着手段による接続や、超音波接続等の固着手段により実装されている。
また配線基板6bの下方には、信号処理手段10の回路基板10aが配線基板6bとほぼ平行するように設けられていて、配線基板6bと回路基板10aの間がICソケットやコネクタ等の接続手段11により着脱自在に接続され、そして信号処理手段10の回路基板10a下面には、信号処理回路10bが実装されていて構成されている。
なお接続手段11には、回転体4が高速回転された際信号処理手段10に作用する遠心力により抜ける方向に大きな力が加わるため、この力により接続手段11が抜け外れないようロック手段(図示せず)によりロックされている。
検出器単位ブロック6Aの検出素子ブロック6aにより受光され、X線の強度に応じた電気信号に変換された検出信号は、配線基板6bに形成された回路及び接続手段11を介して信号処理手段10の回路基板10aへと導かれ、さらに回路基板10aに形成された回路を経由して基板10a下面の信号処理回路10bへと入力されるようになっている。
一方、X線管5より被検体2へ照射され、かつ被検体2を透過したX線ビーム7のほとんどは、検出素子ブロック6aのシンチレータで光に変換されるが、一部は配線基板6bを透過して、配線基板6bの下方に設置された信号処理手段10に達することがある。
信号処理手段10には、シンチレータとPD(フォトダイオード)からなる複数の検出素子より送られてくる検出信号を電流/電圧変換及びアナログ/デジタル変換する信号処理回路10bが回路基板10aに実装されているが、この信号処理回路は10bは、近年の処理能力の増大に伴い高集積化が図られているため、放射線、特にX線の影響を受けやすく、またX線の被曝を受けると誤動作したり、寿命が著しく低下する等の問題が発生する。
これを防止するため、検出器単位ブロック6Aの配線基板6bにX線遮蔽手段12が設けられている。
X線遮蔽手段12としては、X線遮蔽効果の高い、例えば鉛やタングステン、またはタングステンの合金を板状に成形したものが使用されている。
X線遮蔽手段12は、検出器単位ブロック6Aの上方より照射され、かつ配線基板6bを透過したX線ビーム8が信号処理手段10の信号処理回路10bに到達するのを確実に防止するため、信号処理回路10bの表面面積より十分に大きな面積を持って形成されている。
検出器単位ブロック6Aの製造プロセスの1例を次に示す。
なお、このプロセス(実装方法)は、後述する第2、第3の実施の形態も同様である。
(1)予め下面にX線遮蔽手段12を埋設した配線基板6bの上面に、検出素子ブロック6aのPDアレイを半田バンプ等の固着手段で固着し、次に検出素子ブロック6aのシンチレータアレイをPDアレイにFC(フリップチップ)ボンダ等の接着手段で接着する。
(2)次に、配線基板6bの下面側に、X線遮蔽手段12より外側に接続手段11、例えばICソケットの一方を半田付けする。
このときの半田溶融温度は、前記工程(1)における半田バンプ温度より低く設定して、検出素子ブロック6aの半田バンプ固着部が溶融するのを防止する。
(3)次に、信号処理手段10の回路基板10aの下面側に信号処理回路10bを半田バンプ等の固着手段で固着し、また回路基板10aの上面側には、接続手段11の他方、例えばICソケット用端子を半田付けする。
このときの半田溶融温度も、信号処理回路10bの半田バンプ温度より低く設定して信号処理回路10bの半田バンプ固着部が溶融するのを防止する。
なお必要に応じて信号処理回路10bの実装側と反対の面、すなわち回路基板10aの上面側に、信号処理回路10bの放熱を行う放熱フィンを取り付けてもよい。
(4)最後に、配線基板6b側の接続手段11の一方と回路基板10a側の接続手段11の他方を互いに嵌合して両者を電気的に接続することにより、検出素子ブロック6aと配線基板6bとからなるX線検出素子部と信号処理手段10を一体化する。
本実施の形態によれば、検出素子ブロック6aの下方に信号処理手段10の信号処理回路10bを配置できるので、PDアレイを自在に配列して、PDアレイのN倍の大きさのX線検出器6を得る所謂タイリングに好適な構造となる。
次に前記構成された第1の実施の形態になるX線CT装置の作用を説明する。
X線断層撮影を行うに当って、まず被検者2を寝台3上に横臥させた状態でX線CT装置の運転を開始すると、ガントリ1内の回転体4が回転駆動手段により高速回転され、回転体4に設置されたX線管5から被検体2へ向けてX線ビーム8が照射されると共に、被検体2が横臥する寝台3が体軸に沿うスライス方向へ移動されることにより、被検体2の断層撮影が開始される。
そしてX線管5より被検体2へ照射され、被検体2を透過したX線ビーム8は、被検体2を挟んでX線管5と対向する位置に設置された各検出器単位ブロック6Aの各検出素子ブロック6aにより検出され、X線の強度に応じた電気信号に変換された後、配線基板6bに形成された回路パターン(図示せず)及び接続手段11を経由して、信号処理手段10へ検出信号として出力される。
接続手段11より信号処理手段10へ入力された検出信号は、信号処理手段10の回路基板10aに形成された回路パターン(図示せず)により基板10aの下面側に導かれ、回路基板10aの下面に設けられた信号処理回路10bに入力されて、電流/電圧変換及びアナログ/デジタル変換する信号処理が行われた後図示しない画像処理手段へと出力されて、デジタル画像データの演算処理により画像に再構成され、被検体の断層画像として記録され、また表示手段に断層画像が表示される。
一方、X線管5より被検体2へ向けて照射されたX線ビーム8のほとんどは、X線検出器のシンチレータで光に変換されるが、一部がX線検出器の配線基板6bを透過して信号処理手段10に達することがある。
しかし、本実施の形態によれば、配線基板6b下面には、信号処理手段10の信号処理回路10bの上方を、それより大きな面積で覆うようにX線遮蔽手段12が埋設されているため、X線ビーム8が配線基板6bを透過しても、X線遮蔽手段12によりX線が遮蔽されて信号処理回路10bが被曝しないようになっており、これによって信号処理回路10bがX線の被曝により誤動作したり、破損されるのを未然に防止できるようになっている。
また、本実施の形態によれば、接続手段11にICソケットを用いることによりX線検出素子部と信号処理手段10の間が自在に脱着できるので、検出素子部や信号処理手段10の信号処理回路10bに故障や不具合が発生した場合、接続手段11により検出素子単位ブロック6aと配線基板6bとからなるX線検出素子部と信号処理手段10の間を切り離して、故障や不具合が発生した部品のみを新たな部品に交換することができるため、従来のX線検出器と信号処理手段10の両方を交換する必要がある従来のものに比べて大変経済的である。
図3ないし図5は、本発明の第2の実施の形態を示すもので、次にこの第2の実施の形態を説明する。
なお前記第1の実施の形態と同一部分は同一符号を付して、その説明は省略する。
検出器単位ブロック6Bは、前記第1の実施の形態と同様に、配線基板6bの上面に、シンチレータとPDアレイが積層して実装され、配線基板6bの下面にX線遮蔽手段12が埋設されていると共に、配線基板6bの下方に、これとほぼ平行するよう連結基板14が接続手段17、例えばICソケットとICソケット用端子介して設置されている。
連結基板14は図5に示すように、互いに平行する縦辺14aと、これら縦辺14aのほぼ中央部間を連設する横辺14bとによりほぼH形に形成されていて、各縦辺14aの上面と配線基板6bの下面間が半田バンプ等の固着手段16により固着されている。
また連結基板14の横辺14bの下面には、ICソケットやコネクタ等の接続手段17を介して信号処理手段10の回路基板10a上端部が着脱自在に接続されている。
信号処理手段10の回路基板10aは、図4に示すように配線基板6bに対しほぼ直交する方向、すなわちX線ビーム8の照射方向とほぼ平行するように設けられていて、この回路基板10aの少なくとも一方の側面に信号処理回路10bが実装されている。
回路基板10aに実装された信号処理回路10bは、配線基板6bの下面に埋設されたX線遮蔽手段12の下方に位置していて、X線ビーム8が配線基板6bを透過しても、X線遮蔽手段12によりX線が遮蔽されて信号処理回路10bが被曝しないように、X線遮蔽手段12と信号処理回路10bの大小関係が設定されており、これによって信号処理回路10bがX線の被曝を受けることがないため、誤動作したり破損されるのを未然に防止できるようになっている。
なお前記第1の実施の形態と同様に接続手段11には、回転体4が高速回転された際信号処理手段10に作用する遠心力により抜ける方向に大きな力が加わるため、この力により接続手段11が抜け外れないようロック手段(図示せず)によりロックされている。
次に前記構成された第2の実施の形態になるX線CT装置の作用を説明すると、被検体2の断層撮影を行っている際、X線管5より被検体2へ向けて照射されたX線ビーム8のほとんどは、前記第1の実施の形態と同様にX線検出器のシンチレータで光に変換されるが、一部がX線検出器の配線基板6bを透過して信号処理手段10に達することがある。
しかしX線検出器の配線基板6b下面には、信号処理手段10の信号処理回路10bの上方を覆うようにX線遮蔽手段12が埋設されているため、配線基板6bを透過したX線ビーム8は、このX線遮蔽手段12に遮蔽されて信号処理回路10bに達することがない。
従って信号処理回路10bがX線の被曝を受けることがないため、誤動作したり破損されるのを未然に防止できるようになる。
また前記第2の実施の形態によれば、X線遮蔽手段12が設けられた配線基板6bに対し、信号処理手段10の回路基板10bを直交する方向に設置したことにより、回路基板10bの数を複数枚にして、より処理能力の大きな信号処理手段10を構成しても、各回路基板10bに実装された信号処理回路10bを、配線基板6bに設けた1個のX線遮蔽手段12でX線から保護することができるため、各信号処理回路10a毎にX線遮蔽手段12を設ける場合に比べて大変経済的である。
さらに信号処理手段10の基板10bを下方向へ延長することができるため、1枚の回路基板10bに電子部品をより多く実装することが可能となり、これによって低集積電子部品を使用した場合でも、処理能力の大きい信号処理手段12が安価に得られると共に、高集積電子部品を採用すれば、より処理能力の大きい信号処理手段10が容易に得られるようになる。
なおX線遮蔽手段12を信号処理回路10bの上方に庇状に設けることにより、信号処理回路10aがX線の被曝を受けるのを防止するようにしてもよい。
図6は第3の実施の形態を示すもので、次にこの第3の実施の形態を説明する。
なお第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同一部分は同一符号を付して、その説明は省略する。
図6に示す第3の実施の形態では、前記第1、第2の実施の形態と同様に検出器単位ブロック6Cの配線基板6eの下面に、X線遮蔽手段12が埋設されており、配線基板6eの下面にエポキシ樹脂接着剤のような接着手段により接続基板18が全面に接着されている。
接続基板18は配線基板6eとほぼ同じ大きさに形成されていて、配線基板6eと接続基板18の周辺部に、互いに合致する位置に接続パターン6c,18a及びスルーホール6d,18bが形成されており、スルーホール6d,18bの内周面にはメッキが施されていて、スルーホール6d,18bに流し込まれた半田19により配線基板6eと接続基板18の間が電気的に接続されている。
接続基板18の下面には、遮蔽部材12の下方に位置してICソケットのような接続手段20が実装されており、この接続手段18に信号処理手段10の信号処理回路10bが着脱自在に取り付けられている。
次に前記構成された第3の実施の形態になるX線CT装置の作用を説明すると、被検体2の断層撮影を行っている際、X線管5より被検体2へ向けて照射されたX線ビーム8のほとんどは、前記第1、第2の実施の形態と同様にX線検出器のシンチレータで光に変換されるが、一部が配線基板6e及び接続基板18を透過して信号処理手段10に達することがある。
しかし配線基板6e下面には、信号処理手段10の信号処理回路10bの上方を覆うようにX線遮蔽手段12が埋設されているため、配線基板6eを透過したX線ビーム8は、このX線遮蔽手段12によって遮蔽されて信号処理回路10bに達することがない。
従って信号処理回路10bがX線の被曝を受けることがないため、誤動作したり破損されるのを未然に防止できるようになる。
なお検出器単位ブロック6Aの配線基板6eを複層構造にして、各層の間に遮蔽手段12を埋設し、配線基板6eの下面に接続手段20を介して信号処理手段10の信号処理回路10bを実装するようにすれば、接続基板20を省略することができる。
また配線基板の6e上面に検出素子単位ブロック6aを、そして下面に信号処理回路10bを設けることにより、検出素子単位ブロック6aと信号処理手段10とをコンパクトに一体化することができるため、X線検出器の小型化が図れる上、PDアレイを自在に配列して、PDアレイのN倍の大きさのX線検出器を得る所謂タイリングに好適な構造となる。
なお前記何れの実施の形態も、検出素子ブロック6aをシンチレータアレイとPDアレイを組み合わせて構成したが、これらの組み合わせに限定されることはなく、例えば受光したX線を直接電気信号(電流)に変換する直接変換構造の検出素子を使用するようにしてもよい。
また、配線基下面にX線遮蔽手段を埋設したが、接着等の手段で配線基板下面にX線遮蔽手段を貼り付けるようにしてもよい。
さらに接続手段としては、ICソケットの他に異方性導電膜(Anisotropic Film))を用いてもよい。
本発明の第1の実施の形態になるX線CT装置の概略構成図である。 本発明の第1実施の形態になるX線CT装置に採用したX線検出器及び信号処理手段の正面図である。 本発明の第2の実施の形態になるX線検出器及び信号処理手段の正面図である。 本発明の第2の実施の形態になるX線検出器及び信号処理手段の側面図である。 本発明の第2の実施の形態になるX線検出器及び信号処理手段の底面図である。 本発明の第3の実施の形態になるX線検出器及び信号処理手段の正面図である。
符号の説明
1 装置本体
2 被検体
4 回転体
5 X線管
6 X線検出器
6a 検出素子ブロック
6b 配線基板
6c 接続パターン
6d スルーホール
10 信号処理手段
10a 回路基板
10b 信号処理回路
12 X線遮蔽手段
18 接続基板
18a 接続パターン
18b スルーホール

Claims (5)

  1. 被検体の周囲を回転する回転体と、前記回転体に搭載され、かつ前記被検体に向けてX線を照射するX線管と、前記被検体を挟んで前記X線管と対向するよう前記回転体に配置され、かつ前記被検体の体軸に沿うスライス方向及び前記スライス方向と直交するチャンネル方向に配列された複数の検出素子からなるX線検出器と、前記各検出素子が検出した検出信号を信号処理して画像処理手段へ出力する信号処理手段とを備えたX線CT装置であって、前記検出素子が実装された前記X線検出器の配線基板の後方に、信号処理回路が実装された前記信号処理手段の回路基板をほぼ平行するよう配置し、かつ前記配線基板と前記回路基板の間を接続手段により電気的に接続すると共に、前記配線基板に、前記信号処理回路の上方を覆うようにX線遮蔽手段を設置して、前記配線基板を透過したX線により前記信号処理回路が被曝されるのを防止したことを特徴とするX線CT装置。
  2. 被検体の周囲を回転する回転体と、前記回転体に搭載され、かつ前記被検体に向けてX線を照射するX線管と、前記被検体を挟んで前記X線管と対向するよう前記回転体に配置され、かつ前記被検体の体軸に沿うスライス方向及び前記スライス方向と直交するチャンネル方向に配列された複数の検出素子からなるX線検出器と、前記各検出素子が検出した検出信号を信号処理して画像処理手段へ出力する信号処理手段とを備えたX線CT装置であって、前記検出素子が実装された前記X線検出器の配線基板の後方に、信号処理回路が実装された前記信号処理手段の回路基板をほぼ直交するよう配置し、かつ前記配線基板と前記回路基板の端部間を接続手段により電気的に接続すると共に、前記配線基板に、前記信号処理回路の上方を覆うようにX線遮蔽手段を設置して、前記配線基板を透過したX線により信号処理回路が被曝されるのを防止したことを特徴とするX線CT装置。
  3. ICソケットやコネクタ等の接続手段により前記配線基板と前記回路基板の間を着脱自在に接続してなる請求項1または2に記載のX線CT装置。
  4. 前記配線基板の後方に、前記回路基板をほぼ直交するよう複数枚配置してなる請求項2に記載のX線CT装置。
  5. 前記配線基板の下面に、前記信号処理手段の信号処理回路が接続手段を介して実装された接続基板を接着し、かつ前記配線基板及び前記接続基板に形成した接続パターンの間を、スルーホールを介して電気的に接続してなる請求項1または3に記載のX線CT装置。
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