以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る自動分析装置1の機能構成の例を示すブロック図である。図1に示される自動分析装置1は、分析機構2、解析回路3、駆動機構4、入力インタフェース5、出力インタフェース6、通信インタフェース7、記憶回路8、RFID(Radio Frequency IDentifier)リーダ9、照射回路10、及び制御回路11を具備する。
分析機構2は、標準試料、又は被検試料等の試料と、この試料に設定される各検査項目で用いられる試薬とを混合する。分析機構2は、試料と試薬との混合液を測定し、例えば吸光度で表される標準データ、及び被検データを生成する。
解析回路3は、分析機構2により生成される標準データ、及び被検データを解析することで、検量データ、及び分析データ等を生成するプロセッサである。解析回路3は、記憶回路8から動作プログラムを読み出し、読み出した動作プログラムに従って検量データ、及び分析データ等を生成する。例えば、解析回路3は、標準データに基づき、標準データと標準試料について予め設定された標準値との関係を示す検量データを生成する。また、解析回路3は、被検データと、この被検データに対応する検査項目の検量データとに基づき、濃度値、及び酵素の活性値として表される分析データを生成する。解析回路3は生成した検量データ、及び分析データ等を制御回路11へ出力する。
駆動機構4は、制御回路11の制御に従い、分析機構2を駆動させる。駆動機構4は、例えば、ギア、ステッピングモータ、ベルトコンベア、及びリードスクリュー等により実現される。
入力インタフェース5は、例えば、操作者から、又は病院内ネットワークNWを介して測定を依頼された試料に係る各検査項目の分析パラメータ等の設定を受け付ける。入力インタフェース5は、例えば、マウス、キーボード、及び、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチパッド等により実現される。入力インタフェース5は、制御回路11に接続され、操作者から入力される操作指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御回路11へ出力する。なお、本明細書において入力インタフェース5はマウス、及びキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、自動分析装置1とは別体に設けられた外部の入力機器から入力される操作指示に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路11へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース5の例に含まれる。
出力インタフェース6は、制御回路11に接続され、制御回路11から供給される信号を出力する。出力インタフェース6は、例えば、表示回路、印刷回路、及び音声デバイス等により実現される。表示回路には、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、及びプラズマディスプレイ等が含まれる。なお、表示対象を表すデータをビデオ信号に変換し、ビデオ信号を外部へ出力する処理回路も表示回路に含まれる。印刷回路は、例えば、プリンタ等を含む。なお、印刷対象を表すデータを外部へ出力する出力回路も印刷回路に含まれる。音声デバイスは、例えば、スピーカ等を含む。なお、音声信号を外部へ出力する出力回路も音声デバイスに含まれる。
通信インタフェース7は、例えば、病院内ネットワークNWと接続する。通信インタフェース7は、病院内ネットワークNWを介してHIS(Hospital Information System)とデータ通信を行う。なお、通信インタフェース7は、病院内ネットワークNWと接続する検査部門システム(Laboratory Information System:LIS)を介してHISとデータ通信を行っても構わない。
記憶回路8は、磁気的、若しくは光学的記録媒体、又は半導体メモリ等の、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を含む。なお、記憶回路8は、必ずしも単一の記憶装置により実現される必要は無い。例えば、記憶回路8は、複数の記憶装置により実現されても構わない。
記憶回路8は、解析回路3で実行される動作プログラム、及び制御回路11に備わる機能を実現するための動作プログラムを記憶している。記憶回路8は、解析回路3により生成される検量データを検査項目毎に記憶する。記憶回路8は、解析回路3により生成される分析データを被検試料毎に記憶する。記憶回路8は、操作者から入力された検査オーダ、又は通信インタフェース7が病院内ネットワークNWを介して受信した検査オーダを記憶する。記憶回路8は、後述する第1試薬庫204、及び第2試薬庫205で保持される試薬容器100に貼付される無線タグ101から読み出された試薬情報を記憶する。なお、第1の実施形態において試薬情報とは、例えば、試薬容器100に収容されている試薬に関する情報を表す。
RFIDリーダ9は、第1試薬庫204、及び第2試薬庫205で保持される試薬容器100に貼付される無線タグ101に記憶されている試薬情報を読み出す。例えば、RFIDリーダ9は、第1試薬庫204、又は第2試薬庫205で保持される試薬容器100に貼付される無線タグ101と無線通信可能な位置に設けられる。なお、RFIDリーダ9は、1台で、第1試薬庫204及び第2試薬庫205の両方で保持される試薬容器100に貼付される無線タグ101と無線通信するようにしても構わない。この場合、RFIDリーダ9は、第1試薬庫204及び第2試薬庫205の両方で保持される試薬容器100に貼付される無線タグ101と無線通信可能な位置に設けられる。
RFIDリーダ9は、制御回路11の制御に従い、予め設定された周波数の電波を、第1試薬庫204、第2試薬庫205、又は第1試薬庫204及び第2試薬庫205の両方へ向けて照射する。すなわち、RFIDリーダ9は、電波照射部の一例として動作する。RFIDリーダ9は、送信した電波に応じて無線タグ101から返信される電波を受信する。すなわち、RFIDリーダ9は、電波受信部の一例として動作する。RFIDリーダ9は、受信した電波を電気信号へ変換し、電気信号を制御回路11へ出力する。
照射回路10は、無線タグ101の応答の状態を切り替える切替部の一例である。照射回路10は、第1試薬庫204、及び第2試薬庫205で保持される試薬容器100に貼付される無線タグ101へ、所定の周波数の電磁波を照射する。このとき、照射回路10は、第1試薬庫204、及び第2試薬庫205で保持される複数の試薬容器100のうち、1本の試薬容器100に貼付される無線タグ101のみへ電磁波を照射可能なように、指向性が調整されている。所定の周波数とは、RFIDリーダ9と無線タグ101との無線通信で用いられる電波よりも高い周波数である。すなわち、照射回路10から照射される電磁波は、無線通信で用いられる電波よりも、波長が短いため、指向性が高くなる。照射回路10は、第1試薬庫204、及び第2試薬庫205で保持される試薬容器100に貼付される無線タグ101へ電磁波を照射可能な位置に設けられる。
第1の実施形態では、照射回路10が電磁波として光を照射する場合を例に説明する。なお、照射回路10が照射する光は、赤外光、及び可視光等、いずれの光であっても構わない。照射回路10は、例えば、発光ダイオード、半導体レーザ、又は光源ランプ等を備える。照射回路10は、例えば、制御回路11の制御に従い、発光ダイオード、半導体レーザ、又は光源ランプ等を駆動させ、無線タグ101へ所定の径のスポット光を照射する。なお、スポット光の径は、スリット、及びレンズ等を用いて小さく絞るようにしてもよい。
制御回路11は、自動分析装置1の中枢として機能するプロセッサである。制御回路11は、記憶回路8に記憶されている動作プログラムを実行することで、この動作プログラムに対応する機能を実現する。なお、制御回路11は、記憶回路8で記憶されているデータの少なくとも一部を記憶する記憶領域を備えても構わない。
図2は、図1に示される分析機構2の構成の一例を示す模式図である。図2に示される分析機構2は、反応ディスク201、恒温部202、ラックサンプラ203、第1試薬庫204、及び第2試薬庫205を備える。
反応ディスク201は、反応容器2011を所定の経路に沿って搬送する搬送部の一例である。具体的には、反応ディスク201は、複数の反応容器2011を、環状に配列させて保持する。反応ディスク201は、駆動機構4により、既定の時間間隔で回動と停止とが交互に繰り返される。反応容器2011は、例えば、ガラスにより形成されている。
恒温部202は、所定の温度に設定された熱媒体を貯留し、貯留する熱媒体に反応容器2011を浸漬させることで、反応容器2011に収容される混合液を昇温する。
ラックサンプラ203は、測定を依頼された試料を収容する複数の試料容器を保持可能な試料ラック2031を、移動可能に支持する。図2に示す例では、5本の試料容器を並列して保持可能な試料ラック2031が示されている。
ラックサンプラ203には、試料ラック2031が投入される投入位置から、測定が完了した試料ラック2031を回収する回収位置まで試料ラック2031を搬送する搬送領域が設けられている。搬送領域では、短手方向に整列された複数の試料ラック2031が、駆動機構4により、方向D1へ移動される。
また、ラックサンプラ203には、試料ラック2031で保持される試料容器を所定のサンプル吸引位置へ移動させるため、試料ラック2031を搬送領域から引き込む引き込み領域が設けられている。サンプル吸引位置は、例えば、サンプル分注プローブ207の回動軌道と、ラックサンプラ203で支持されて試料ラック2031で保持される試料容器の開口部の移動軌道とが交差する位置に設けられる。引き込み領域では、搬送されてきた試料ラック2031が、駆動機構4により、方向D2へ移動される。
また、ラックサンプラ203には、試料が吸引された試料容器を保持する試料ラック2031を搬送領域へ戻すための戻し領域が設けられている。戻し領域では、試料ラック2031が、駆動機構4により、方向D3へ移動される。
第1試薬庫204は、標準試料、及び被検試料に含まれる所定の成分と反応する第1試薬を収容する試薬容器100を複数保冷する。図2では図示していないが、第1試薬庫204は、着脱自在な試薬カバーにより覆われている。第1試薬庫204内には、試薬ラックが回転自在に設けられている。試薬ラックは、複数の試薬容器100を円環状に配列して保持する。試薬ラックは、駆動機構4により回動される。
第1試薬庫204上の所定の位置には、第1試薬吸引位置が設定されている。第1試薬吸引位置は、例えば、第1試薬分注プローブ209の回動軌道と、試薬ラックに円環状に配列される試薬容器100の開口部の移動軌道とが交差する位置に設けられる。
第2試薬庫205は、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する試薬容器100を複数保冷する。図2では図示していないが、第2試薬庫205は、着脱自在な試薬カバーにより覆われている。第2試薬庫205内には、試薬ラックが回転自在に設けられている。試薬ラックは、複数の試薬容器100を円環状に配列して保持する。なお、第2試薬庫205で保冷される第2試薬は、第1試薬庫204で保冷される第1試薬と同一成分、かつ、同一濃度の試薬であっても構わない。
第2試薬庫205上の所定の位置には、第2試薬吸引位置が設定されている。第2試薬吸引位置は、例えば、第2試薬分注プローブ211の回動軌道と、試薬ラックに円環状に配列される試薬容器100の開口部の移動軌道とが交差する位置に設けられる。
図3は、図2に示される第1試薬庫204、及び第2試薬庫205で保冷される試薬容器100の例を示す模式図である。試薬容器100は、例えば、底面部及び上面部が台形状の四角柱形状をしている。試薬容器100の上面部には試薬吸引用の開口部が設けられている。
複数の試薬容器100が試薬ラックに保持される場合、試薬容器100の第1側面102、及び第2側面103は、隣り合う試薬容器100の第2側面103、及び第1側面102とそれぞれ対向する。複数の試薬容器100を保持する試薬ラックが第1試薬庫204、又は第2試薬庫205内に取り付けられると、試薬容器100は円環状に配列され、試薬容器100の第3側面104は円環の外側を向く。第3側面104には、例えば、無線タグ101が貼付されている。無線タグ101の表面には、照射回路10から照射される電磁波を受信するための受信回路1011が設けられている。
なお、無線タグ101は、試薬容器100に貼付される試薬ラベルに埋め込まれていても構わない。このとき、試薬ラベルには、試薬情報を表す光学式マークが印刷されていてもよい。光学式マークには、例えば、1次元画素コード、及び2次元画素コード等、任意の画素コードが用いられる。
無線タグ101は、記憶されている試薬情報を電波により送信するRFIDタグである。
図4は、図3に示される無線タグ101の構成例を示す模式図である。図4に示される無線タグ101は、例えば、受信回路1011、記憶回路1012、切替回路1013、及びアンテナ回路1014を備える。
受信回路1011は、照射回路10から照射される電磁波を受信するための回路である。なお、第1の実施形態では、照射回路10から照射されるスポット光を受光する場合を例に説明する。受信回路1011は、赤外線、及び可視光等の光に感応して電気信号を出力する。受信回路1011は、典型的には、フォトダイオード等の半導体チップを備える。
受信回路1011は、無線タグ101の所定位置に1つ設けてもよいが、複数個を所定間隔を隔てて設けても構わない。これにより、無線タグ101、又は無線タグ101が埋め込まれた試薬ラベルを試薬容器100に貼付する際の位置合わせを神経質に行わずに済み、貼付作業の効率を上げることが可能となる。また、受信回路1011が複数個並ぶことになるので、試薬容器100の位置が、照射回路10の位置に対してずれた場合であっても、いずれかの受信回路1011が、照射回路10から照射されるスポット光を検知することが可能となる。
記憶回路1012は、試薬情報を記憶する。記憶回路1012への試薬情報の書き込みは、例えば、自動分析装置1による分析処理に先立ち、試薬メーカからの出荷時に行われる。このとき書き込まれる試薬情報には、例えば、試薬名、試薬メーカコード、試薬項目コード、ボトル種類、ボトルサイズ、容量、製造ロット番号、ボトル固有ID(又は無線タグID)及び有効期間等が含まれる。なお、自動分析装置1にRFIDライタが設けられている場合には、試薬管理に係る所定の情報を記憶回路1012に書き込むようにしてもよい。なお、RFIDライタは、RFIDリーダ9と一体に構成してもよい。すなわち、RFIDライタは、RFIDリーダ9と、例えば、電波照射部及び電波受信部を共有してもよい。
切替回路1013は、受信回路1011から出力される電気信号に基づき、RFIDリーダ9から送信される電波に対する応答を有効とするか、又は無効とするかを切り替える。例えば、受信回路1011から電気信号がトリガとなって、切替回路1013は、電波に対する応答を無効にする。応答を無効化する方法としては、例えば、RFIDリーダ9への電波の返信を停止する方法、及び、返信する電波に無意味なメッセージを含める方法等がある。切替回路1013は、受信回路1011からの電気信号の供給が停止すると、電波に対する応答を有効にする。
アンテナ回路1014は、RFIDリーダ9から送信された電波を受信する。また、アンテナ回路1014は、受信した電波に応じ、記憶回路に記憶されている試薬情報を乗せた電波を送信する。
なお、無線タグ101が貼付される位置は、試薬容器100の第3側面104に限定されない。RFIDリーダ9の設置位置によっては、無線タグ101は、例えば、試薬容器100の上面部に貼付されていても構わない。
また、図2に示される分析機構2は、サンプル分注アーム206、サンプル分注プローブ207、第1試薬分注アーム208、第1試薬分注プローブ209、第2試薬分注アーム210、第2試薬分注プローブ211、攪拌ユニット212、測光ユニット213、及び洗浄ユニット214を備える。
サンプル分注アーム206は、反応ディスク201とラックサンプラ203との間に設けられている。サンプル分注アーム206は、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。サンプル分注アーム206は、一端にサンプル分注プローブ207を保持する。
サンプル分注プローブ207は、サンプル分注アーム206の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、ラックサンプラ203上の試料ラック2031で保持される試料容器の開口部が位置するようになっている。また、サンプル分注プローブ207の回動軌道上には、サンプル分注プローブ207が吸引した試料を反応容器2011へ吐出するためのサンプル吐出位置が設けられている。サンプル吐出位置は、サンプル分注プローブ207の回動軌道と、反応ディスク201に保持されている反応容器2011の移動軌道との交点に相当する。
サンプル分注プローブ207は、駆動機構4によって駆動され、ラックサンプラ203上の試料ラック2031で保持される試料容器の開口部の直上、又は、サンプル吐出位置において上下方向に移動する。また、サンプル分注プローブ207は、制御回路11の制御に従い、直下に位置する試料容器から試料を吸引する。また、サンプル分注プローブ207は、制御回路11の制御に従い、吸引した試料を、サンプル吐出位置の直下に位置する反応容器2011へ吐出する。
第1試薬分注アーム208は、反応ディスク201と第1試薬庫204との間に設けられている。第1試薬分注アーム208は、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。第1試薬分注アーム208は、一端に第1試薬分注プローブ209を保持する。
第1試薬分注プローブ209は、第1試薬分注アーム208の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、第1試薬吸引位置が設けられている。また、第1試薬分注プローブ209の回動軌道上には、第1試薬分注プローブ209が吸引した試薬を反応容器2011へ吐出するための第1試薬吐出位置が設定されている。第1試薬吐出位置は、第1試薬分注プローブ209の回動軌道と、反応ディスク201に保持されている反応容器2011の移動軌道との交点に相当する。
第1試薬分注プローブ209は、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の第1試薬吸引位置、又は第1試薬吐出位置において上下方向に移動する。また、第1試薬分注プローブ209は、制御回路11の制御に従い、第1試薬吸引位置の直下に位置する試薬容器から第1試薬を吸引する。すなわち、第1試薬分注プローブ209は、第1の実施形態に係る吸引部の一例である。また、第1試薬分注プローブ209は、制御回路11の制御に従い、吸引した第1試薬を、第1試薬吐出位置の直下に位置する反応容器2011へ吐出する。
第2試薬分注アーム210は、反応ディスク201と第2試薬庫205との間に設けられている。第2試薬分注アーム210は、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。第2試薬分注アーム210は、一端に第2試薬分注プローブ211を保持する。
第2試薬分注プローブ211は、第2試薬分注アーム210の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、第2試薬吸引位置が設けられている。また、第2試薬分注プローブ211の回動軌道上には、第2試薬分注プローブ211が吸引した試薬を反応容器2011へ吐出するための第2試薬吐出位置が設定されている。第2試薬吐出位置は、第2試薬分注プローブ211の回動軌道と、反応ディスク201に保持されている反応容器2011の移動軌道との交点に相当する。
第2試薬分注プローブ211は、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の第2試薬吸引位置、又は第2試薬吐出位置において上下方向に移動する。また、第2試薬分注プローブ211は、制御回路11の制御に従い、第2試薬吸引位置の直下に位置する試薬容器から第2試薬を吸引する。すなわち、第2試薬分注プローブ211は、第1の実施形態に係る吸引部の一例である。また、第2試薬分注プローブ211は、制御回路11の制御に従い、吸引した第2試薬を、第2試薬吐出位置の直下に位置する反応容器2011へ吐出する。
攪拌ユニット212は、反応ディスク201の外周近傍に設けられている。攪拌ユニット212は、攪拌子を有し、攪拌子により、反応ディスク201上の攪拌位置に位置する反応容器2011内に収容されている試料及び第1試薬、又は、反応容器2011内に収容されている試料、第1試薬、及び第2試薬を攪拌する。
測光ユニット213は、反応容器2011内に吐出された試料と試薬との混合液における所定の成分を光学的に測定する。測光ユニット213は、光源、及び光検出器を有する。測光ユニット213は、制御回路11の制御に従い、光源から光を照射する。照射された光は、反応容器2011の第1側壁から入射され、第1側壁と対向する第2側壁から出射される。測光ユニット213は、反応容器2011から出射された光を、光検出器により検出する。
具体的には、例えば、光検出器は、反応容器2011内の標準試料と試薬との混合液を通過した光を検出し、検出した光の強度に基づき、吸光度等により表される標準データを生成する。また、光検出器は、反応容器2011内の被検試料と試薬との混合液を通過した光を検出し、検出した光の強度に基づき、吸光度等により表される被検データを生成する。測光ユニット213は、生成した標準データ、及び被検データを解析回路3へ出力する。
洗浄ユニット214は、測光ユニット213で混合液の測定が終了した反応容器2011の内部を洗浄する。
図1に示される制御回路11は、記憶回路8に記憶されている動作プログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。例えば、制御回路11は、動作プログラムを実行することで、システム制御機能111、取得機能112、切替制御機能113、及び特定機能114を有する。なお、第1の実施形態では、単一のプロセッサによってシステム制御機能111、取得機能112、切替制御機能113、及び特定機能114が実現される場合を説明するが、これに限定されない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて制御回路を構成し、各プロセッサが動作プログラムを実行することによりシステム制御機能111、取得機能112、切替制御機能113、及び特定機能114を実現しても構わない。
システム制御機能111は、入力インタフェース5から入力される入力情報に基づき、自動分析装置1における各部を統括して制御する機能である。
取得機能112は、試薬容器100に貼付されている無線タグ101から、無線タグ101に記憶されている試薬情報を取得する機能である。具体的には、制御回路11は、所定の指示に応じて取得機能112を実行する。所定の指示とは、例えば、操作者から入力される測定開始の指示、及び試薬容器100についての試薬情報を要求する指示等である。取得機能112において、制御回路11は、RFIDリーダ9を制御して、無線タグ101から送信される電波に基づく電気信号を受信する。制御回路11は、電気信号に基づき、第1試薬庫204、第2試薬庫205、又は第1試薬庫204及び第2試薬庫205の両方内の試薬容器100についての試薬情報を取得する。
切替制御機能113は、試薬容器100に貼付されている無線タグ101の、RFIDリーダ9から送信される電波に対する応答の有効/無効の切り替えを制御する機能である。具体的には、例えば、制御回路11は、取得機能112により第1試薬庫204、第2試薬庫205、又は第1試薬庫204及び第2試薬庫205の両方内の全ての試薬容器100についての試薬情報が取得されると、切替制御機能113を実行する。切替制御機能113において、制御回路11は、照射回路10を制御し、試薬容器100に貼付されている無線タグ101へスポット光の照射を開始する。
制御回路11は、例えば、特定機能114において無線タグ101の応答が無効化されていることが確認されると、スポット光の照射を停止する。また、制御回路11は、特定機能114からの通知がないまま、予め設定された時間経過した場合、スポット光の照射を停止する。
特定機能114は、読み出した試薬情報が、第1試薬庫204、第2試薬庫205、又は第1試薬庫204及び第2試薬庫205の両方に保持されている複数の試薬容器100のいずれについての試薬情報であるかを特定する機能である。具体的には、例えば、制御回路11は、切替制御機能113を実行させると、特定機能114を実行する。特定機能114において、制御回路11は、無線タグ101の応答を無効にする前に取得した複数の試薬情報と、無効にした後に取得した複数の試薬情報とを照合する。制御回路11は、応答を無効にする無線タグ101を切り替えることで、取得した複数の試薬情報が、いずれの試薬容器100についての試薬情報であるかを特定する。制御回路11は、試薬容器100と対応する試薬情報を特定すると、記憶回路8に記憶されている試薬情報に、特定した保持位置を追加する。
次に、図5を参照して、自動分析装置1に設けられるRFIDリーダ9、及び照射回路10の設置位置について詳細を説明する。図5は、第1の実施形態に係る試薬容器保管装置の構成例を表す模式図である。第1の実施形態では、試薬容器保管装置は、例えば、第1試薬庫204又は第2試薬庫205、RFIDリーダ9、照射回路10、及び制御回路11を備える。なお、試薬容器保管装置は、第1試薬庫204及び第2試薬庫205の両方を備えていても構わない。
図5では、RFIDリーダ9が、第1試薬庫204で保持される試薬容器100に貼付される無線タグ101と無線通信する場合を想定している。第1試薬庫204の構造と、第2試薬庫205の構造とは同様であるため、試薬容器保管装置が第2試薬庫205を備える場合においても、試薬容器保管装置の構造は、図5に示される構造と同様の構造となる。
図5に示される第1試薬庫204は、試薬カバー2041、第1の試薬ラック2042、第2の試薬ラック2043、筐体2044、第1のディスク2045、第1のガイド2046、第2のディスク2047、第2のガイド2048、及びローラ2049を有する。
筐体2044は、上端に開口部を有し、内部に第1の試薬ラック2042、第2の試薬ラック2043、第1のディスク2045、第1のガイド2046、第2のディスク2047、第2のガイド2048、ローラ2049、及び照射回路10を収容可能に形成されている。筐体2044は、開口部が試薬カバー2041により覆われている。
筐体2044は、内面部が熱伝導性に優れたアルミニウム等の材料により形成されている。また、筐体2044は、アルミニウム等により形成される内面部を覆うように形成される、断熱材から成る断熱部を有する。
筐体2044は、内側底面部の略中央にドレイン口を有する。筐体2044は、内側底面部が、内周面からドレイン口へ向けて緩やかな下り傾斜を有するように形成されている。内側底面部において、内周面からドレイン口へ下り傾斜を設けることで、内側底面部に溜まった水(結露水)がドレイン口へ流れるようになる。
筐体2044は、内側底面部に複数の支持部を有する。支持部は、ローラ2049を回転自在に支持可能な形状をしている。支持部は、筐体2044の内側底面部において、支持するローラ2049に、第1、及び第2のガイド2046,2048を載置可能な位置に設けられる。
第1のディスク2045は、中心部に円形の開口部を有するドーナツ盤形状を有する。第1のディスク2045は、表面に、第1の試薬ラック2042を取り付けるための複数の取付部を有する。
第1の試薬ラック2042は、予め設定された数の試薬容器100を、第1のディスク2045の外径と対応する円弧に沿って保持可能に形成されている。第1の試薬ラック2042は、第1のディスク2045の表面に設けられる取付部に着脱自在に取り付けられる。複数の試薬容器100を保持する第1の試薬ラック2042が第1試薬庫204内に複数取り付けられることで、第1試薬庫204内において試薬容器100が第1のディスク2045と対応した円環状に配列されることになる。
第1のガイド2046は、円環状に形成されると共に、その内周縁に複数の歯が形成されている。第1のガイド2046の上面は、第1のディスク2045の裏面に固定されている。第1のガイド2046の下面は、筐体2044の支持部により支持されるローラ2049と接触している。第1のガイド2046の内周縁に形成される歯は、駆動機構4の一例である第1のモータの回転軸に取り付けられるピニオンギアと噛み合っている。第1のモータが回転すると、ピニオンギアにより、第1のガイド2046、及び第1のディスク2045が回動する。
第2のディスク2047は、中心部に第1のディスク2045より若干大径の開口部を有するドーナツ盤形状を有する。第2のディスク2047は、第1のディスク2045の外周面に近接して配置される。第2のディスク2047は、表面に、第2の試薬ラック2043を取り付けるための複数の取付部を有する。
第2の試薬ラック2043は、予め設定された数の試薬容器100を、第2のディスク2047の外径と対応する円弧に沿って保持可能に形成されている。第2の試薬ラック2043は、第2のディスク2047の表面に設けられる取付部に着脱自在に取り付けられる。複数の試薬容器100を保持する第2の試薬ラック2043が第1試薬庫204内に複数取り付けられることで、第1試薬庫204内において試薬容器100が第2のディスク2047と対応した円環状に配列されることになる。
第2のガイド2048は、円環状に形成されると共に、その内周縁に複数の歯が形成されている。第2のガイド2048の上面は、第2のディスク2047の裏面に固定されている。第2のガイド2048の下面は、筐体2044の支持部により支持されるローラ2049と接触している。第2のガイド2048の内周縁に形成される歯は、駆動機構4の一例である第2のモータの回転軸に取り付けられるピニオンギアと噛み合っている。第2のモータが回転すると、ピニオンギアにより、第2のガイド2048、及び第2のディスク2047が回動する。
RFIDリーダ9は、試薬容器100に貼付されている無線タグ101へ電波を照射可能な位置に設置されている。図5に示される例では、RFIDリーダ9は、第1試薬庫204の筐体2044の側壁を隔てた、第1試薬庫204の外部に設けられている。
RFIDリーダ9は、例えば、第1試薬庫204で保冷されている複数の試薬容器100に各々付されている無線タグ101を含むように、電波を扇状に拡げて射出する。このとき、RFIDリーダ9が出力する電波の強度は、例えば、筐体2044の側壁を隔てた外部から送信した電波が、第1試薬庫204内の全ての試薬容器100に到達可能な程度に調整されている。図5、及び図6に示される破線は、RFIDリーダ9から送信される電波を模式的に表している。RFIDリーダ9は、電波を射出した範囲に位置している全ての試薬容器100に貼付されている無線タグ101から返信される電波を同時に受信する。
照射回路10は、試薬容器100に貼付されている無線タグ101へスポット光を照射可能な位置に設置されている。図5に示される例では、照射回路10は、第1試薬庫204の筐体2044の側壁の内側側面において、試薬容器100に貼付される無線タグ101と略対向する高さに設けられている。第1試薬庫204内に設置される照射回路10は、1つであっても、複数であっても構わない。ただし、第1試薬庫204内に複数の照射回路10が設置される場合には、制御回路11は、第1試薬庫204内における照射回路10の設置位置を把握している。
なお、照射回路10は、第1試薬庫204の内部に設ける方が好ましいが、第1試薬庫204の外部に設けることも可能である。このとき、筐体2044の側面に、第1試薬庫204の外部から内部へスポット光を透過させるための窓を設ける。
なお、RFIDリーダ9、及び照射回路10の設置位置は、図5に示される例に限定されない。無線タグ101が試薬容器100の上面部に貼付されている場合は、RFIDリーダ9、及び照射回路10は、図7のように配置されていても構わない。図7によれば、RFIDリーダ9は、第1試薬庫204の試薬カバー2041を隔てた、第1試薬庫204の外部に設けられている。このとき、RFIDリーダ9が出力する電波の強度は、例えば、試薬カバー2041を隔てた外部から送信した電波が、第1試薬庫204内の全ての試薬容器100に到達可能な程度に調整されている。
図7において照射回路10は、第1試薬庫204の試薬カバー2041の内側面において、試薬容器100に貼付される無線タグ101と略対向する位置に設けられている。このとき、第1のディスク2045により支持される試薬容器群、及び第2のディスク2047により支持される試薬容器群それぞれに対して少なくとも1つの照射回路10を設ける必要がある。
なお、図5、及び図7では、RFIDリーダ9が第1試薬庫204内の試薬容器100に貼付される無線タグ101へ電波を照射する場合を例に説明した。しかしながら、RFIDリーダ9は、第1試薬庫204内の試薬容器100に貼付される無線タグ101と、第2試薬庫205内の試薬容器100に貼付される無線タグ101とへ電波を照射しても構わない。
次に、以上のように構成された自動分析装置1による動作を、制御回路11の処理手順に従って説明する。
図8は、図1に示される制御回路11が第1試薬庫204内の試薬容器100と対応する試薬情報を特定する際の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図8の説明では、図5に示されるようにRFIDリーダ9、及び照射回路10が設置される場合を想定している。しかしながら、RFIDリーダ9、及び照射回路10が自動分析装置1内でどのように設置されても、試薬容器100と対応する試薬情報を特定する際には同様の処理が実施される。
まず、制御回路11は、自動分析装置1に設けられる測定開始ボタンが操作者により押下されると、測定を開始する前に、取得機能112を実行する。これにより、制御回路11は、試薬スキャンを開始する(ステップS1)。
ところで、第1試薬庫204内の試薬容器100と対応する試薬情報は、一度特定されると試薬容器100の取り出し等がなければ変わることはない。そこで、制御回路11は、測定開始ボタンが操作者により押下され、かつ、試薬容器100と対応する試薬情報が特定されてからボタンが押下されるまでの間に試薬容器100への接触がない場合に、取得機能112を実行するようにしてもよい。試薬容器100と対応する試薬情報が特定されてから、測定開始ボタンが押下されるまでの間に試薬容器100への接触があったか否かは、例えば、試薬カバー2041の開閉履歴に基づいて判断されるようにしてもよい。
取得機能112において、制御回路11は、第1試薬庫204の動作状態を初期化する(ステップS2)。第1試薬庫204の動作状態の初期化とは、例えば、第1試薬庫204の第1のディスク2045、及び第2のディスク2047を初期位置に移動させる等である。続いて、制御回路11は、RFIDリーダ9を制御し、RFIDリーダ9から所定の周波数の電波を出射させる(ステップS3)。RFIDリーダ9から出射される電波が、第1試薬庫204内の試薬容器100に貼付されている無線タグ101に対する最初のRFIDリーダ読出し命令となる。
無線タグ101は、RFIDリーダ9から照射される電波を受信すると、受信した電波をエネルギー源として動作する。RFIDリーダ9から照射された電波の一部は、無線タグ101で反射され、アンテナ回路1014から電波として照射される。アンテナ回路1014から照射される電波には、記憶回路1012に記憶されている試薬情報が乗せられている。
取得機能112において、制御回路11は、無線タグ101から送信された電波に基づく電気信号を受信する。制御回路11は、例えば、所定のコードと、種々の情報とが対応付けられている変換テーブルを参照することで、受信した電気信号を解読して試薬情報を取得する(ステップS4)。これにより、第1試薬庫204内の試薬容器100の試薬情報がまとめて取得されることになる。例えば、第1試薬庫204が図6に示されるように試薬容器100を保持している場合、制御回路11は、56個の試薬容器100それぞれの試薬情報を取得することになる。制御回路11は、取得した試薬情報を記憶回路8に記憶させる(ステップS5)。
なお、ステップS5の段階においては、第1試薬庫204内のどの位置にどの試薬容器があるかを認識することはできていないが、第1試薬庫204内の全ての試薬容器100についての試薬情報は記憶回路8に記憶されている。また、同様の処理により、第2試薬庫205内の全ての試薬容器についての試薬情報も記憶回路8に記憶されている。制御回路11は、記憶回路8に記憶されている検査オーダに基づき、続いて実施される測定で用いられる試薬を認識する。制御回路11は、ステップS5で記憶した試薬情報に、認識した試薬を照合させることで、使用する試薬が不足するか否か、使用する試薬の有効期限が切れていないか等を確認する。制御回路11は、不足する試薬がある場合、又は有効期限が切れる試薬がある場合等には、これらの情報を出力インタフェース6を介して操作者へ通知する。これにより、操作者は、試薬の不足、及び試薬の有効期限切れ等に対し、迅速に対応することが可能となる。
続いて、制御回路11は、切替制御機能113を実行する。切替制御機能113において、制御回路11は、ポジションを初期化(P=1)し、ポジション1とする(ステップS6)。これにより、照射回路10と対向している位置がポジション1となる。制御回路11は、照射回路10を制御し、ポジション1に停止している試薬容器100に貼付されている無線タグ101へスポット光の照射を開始する(ステップS7)。
無線タグ101に設けられている受信回路1011は、スポット光が照射されると、照射されたスポット光に感応して電気信号を発生させる。発生された電気信号は、無線タグ101の切替回路1013へ出力される。切替回路1013は、受信した電気信号をトリガとして、例えば、無線タグ101内の信号の伝送経路を遮断する。これにより、この無線タグ101からは電波が応答されなくなる。
取得機能112において、制御回路11は、RFIDリーダ9を制御し、RFIDリーダ9から所定の周波数の電波を出射させる(ステップS8)。RFIDリーダ9から出射される電波が、第1試薬庫204内の試薬容器100に貼付されている無線タグ101に対する2回目のRFIDリーダ読出し命令となる。このとき、ステップS7でスポット光が照射された無線タグ101は、スポット光が照射されたままとなっている。
スポット光が照射されている無線タグ101以外の無線タグ101は、RFIDリーダ9から照射された電波の一部を利用し、記憶回路1012に記憶されている試薬情報を乗せた電波を送信する。
取得機能112において、制御回路11は、無線タグ101から送信された電波に基づく電気信号を受信する。制御回路11は、受信した電気信号を解読して試薬情報を取得する(ステップS9)。これにより、第1試薬庫204内の試薬容器100のうち、スポット光が照射されていない試薬容器100についての試薬情報がまとめて取得されることになる。例えば、第1試薬庫204が図6に示されるように試薬容器100を保持している場合、制御回路11は、55個の試薬容器100それぞれの試薬情報を取得することになる。制御回路11は、取得した試薬情報を記憶回路8に記憶させる(ステップS10)。
続いて、制御回路11は、特定機能114を実行する。特定機能114において、制御回路11は、第1試薬庫204に保持されている複数の試薬容器100と対応する試薬情報を特定する。具体的には、制御回路11は、ステップS5で記憶回路8に記憶させた試薬情報に、ステップS10で記憶回路8に記憶させた試薬情報を照合させる。制御回路11は、ステップS5で記憶された試薬情報に含まれ、ステップS10で記憶された試薬情報に含まれていない試薬情報が、ポジション1に停止している試薬容器100についての試薬情報であると特定する(ステップS11)。これにより、ポジション1に停止している試薬容器100と対応する試薬情報が特定されることになる。このことは、制御回路11が、この試薬容器100がポジション1に保持されていることを特定すると換言可能である。
試薬容器100と対応する試薬情報を特定すると、制御回路11は、スポット光の照射を停止するように、照射回路10を制御する(ステップS12)。制御回路11は、ポジション1に停止している試薬容器100と対応付けた試薬情報を、ポジション1の試薬情報として記憶回路8に正式に記憶させる(ステップS13)。このことは、記憶回路8が、この試薬容器100がポジション1に保持されていることを記憶すると換言可能である。ポジションと関連付けられて正式に記憶された試薬情報は、測定の際に記憶回路8から読み出されて利用される。
続いて、制御回路11は、最後のポジションであるポジション56に到達したか否かを判断する(ステップS14)。ポジション56に到達していない場合(ステップS14のNo)、制御回路11は、ポジションを1ステップ分インクリメント(P=P+1)する(ステップS15)。制御回路11は、ポジションをインクリメントすると、第1試薬庫204の第1のディスク2045、及び第2のディスク2047のうち少なくともいずれかを移動させ(ステップS16)、次のポジションの試薬容器100を照射回路10と対向する位置まで移動させる。
2回目のループでは、ポジション2に位置する試薬容器100に貼付されている無線タグ101へスポット光が照射される(ステップS7)。そして、制御回路11は、RFIDリーダ9により、ポジション2に位置する試薬容器100以外についての試薬情報を取得し(ステップS9)、取得した試薬情報を記憶回路8に記憶させる(ステップS10)。そして、制御回路11は、スポット光を照射する前と照射している間とに記憶された試薬情報を照合することで、ポジション2に停止している試薬容器100と対応する試薬情報を特定する(ステップS11)。これは、制御回路11が、この試薬容器100がポジション2に保持されていることを特定すると換言可能である。ポジション2に停止している試薬容器100と対応付けた試薬情報は、ポジション2の試薬情報として記憶回路8に正式に記憶される(ステップS13)。これは、記憶回路8が、この試薬容器100がポジション2に保持されていることを記憶すると換言可能である。
なお、第1試薬庫204の内側で環状に配列される試薬容器100に貼付されている無線タグ101へは、例えば、以下のようにスポット光が照射される。例えば、図6で示されるように、所定数の第2の試薬ラック2043を第1試薬庫204の内部に取り付けた場合、第1試薬庫204の外側で環状に配列される試薬容器100には、試薬容器100略1本分の隙間が生じる。照射回路10は、図6の一点鎖線で示されるように、この隙間を介し、内側で環状に配列される試薬容器100に貼付されている無線タグ101へスポット光を照射する。
制御回路11は、ポジション56に到達するまでステップS7~ステップS16の処理を繰り返す。ステップS14において、ポジション56に達している場合、制御回路11は、処理を終了させる。
以上のように、第1の実施形態では、電磁波の受信により応答の状態を変化させる無線タグ101を、複数の試薬容器100のそれぞれに貼付する。照射回路10は、複数の試薬容器100に貼付されている無線タグ101のうち、1つの無線タグ101の応答の状態を切り替える。そして、RFIDリーダ9は、応答の状態が切り替わる前、及び切り替わった後において、電波を広域に照射することで、複数の試薬容器100に貼付された無線タグ101に記憶されている試薬情報を取得するようにしている。これにより、第1の実施形態に係る試薬容器保管装置は、電磁波を照射する前、及び照射により応答の状態が変化した後で、異なった状態の試薬情報を取得することが可能となる。
また、第1の実施形態では、制御回路11は、取得機能112により、無線タグ101の応答の状態を切り替える前、及び切り替えた後それぞれでRFIDリーダ9を制御し、試薬容器100に貼付された無線タグ101に記憶されている試薬情報を取得する。そして、制御回路11は、特定機能114により、無線タグ101の応答の状態を切り替える前、及び切り替えた後それぞれにおいて取得した試薬情報に基づき、読み出した試薬情報と、試薬容器100とを対応付けるようにしている。これにより、第1の実施形態に係る自動分析装置1は、論理的帰結により、第1及び第2試薬庫204,205内の全ての試薬容器100と、これらの試薬容器100に貼付される無線タグ101から読み込んだ試薬情報とを対応付けることが可能となる。
したがって、第1の実施形態に係る試薬容器保管装置、及び自動分析装置1によれば、試薬庫内に保持される試薬容器に付される無線タグに記憶されている情報を、いずれの試薬容器についての情報かを識別して読み出すことができる。
また、第1の実施形態に係る自動分析装置1によれば、無線タグ技術による利点はそのままに、試薬情報と、この試薬情報に係る試薬容器が保持されている試薬庫内のポジションとを関連付けることが可能となる。このため、第1の実施形態に係る自動分析装置1では、試薬の在庫管理に加え、試薬庫内での試薬の管理についても、RFIDシステムを利用することが可能となる。つまり、「多くの情報を保持できる」、「情報を追記できる」、及び「データを一度にまとめて読み込める」等といった無線タグ技術の利点を、検査業務を通して利用することが可能になる。
また、自動分析装置1にRFIDライタが設けられている場合には、例えば、試薬を使用開始した日時を、RFIDライタにより、無線タグ101に記憶させても構わない。これにより、無線タグ101から、使用開始日時を読み取ることが可能となり、読み取った使用開始日時を有効期間内の使用であるか否かの判断に利用することが可能となる。また、例えば、試薬を使用した回数を、RFIDライタにより、無線タグ101に記憶させても構わない。これにより、無線タグ101から、使用回数を読み取ることが可能となり、読み取った使用回数を試薬残量の把握に利用することが可能となる。
また、試薬容器100についての情報が無線タグ101に残っているため、自動分析装置1から試薬容器100を一旦取り出した後、この試薬容器100を自動分析装置1へ戻す場合であっても、自動分析装置1は、試薬容器100を正しく管理することが可能となる。また、他の自動分析装置から取り出された試薬容器100が間違って自装置に置かれた場合であっても、自動分析装置1は、間違って置かれた試薬容器100を判別することが可能となる。
これらのことから、RFIDシステムにおいて、無線タグに記憶されている試薬情報を、試薬容器単位で正確に識別し、かつ、管理することが可能な試薬容器保管装置、自動分析装置、及び特定方法を提供することができる。
このため、試薬容器100にバーコードラベルを貼付せず、無線タグを貼付するのみで、自動分析装置1上での試薬容器の運用が可能となる。また、自動分析装置1上に載せられている試薬容器が一括でわかるため、検査室全体での在庫管理が容易になる。また、バーコードラベルを読み取るための読取窓を試薬庫の側面に設ける必要がなくなる。このため、読取窓の表面で発生する結露等を原因とするバーコードの読取エラー等を抑えることが可能となる。
また、従来では、バーコードリーダによるバーコードの正確な読み取りを担保するため、ある程度の読み取り期間を設ける必要があった。そのため、試薬容器が存在していない場合等には、必要以上の時間がかかってしまうおそれがあった。第1の実施形態では、照射回路10から電磁波が照射されるため、試薬容器が存在していない場合、試薬容器が存在していないことを即座に認識することができる。そのため、試薬容器についての試薬情報を迅速に取得することが可能となる。
なお、第1の実施形態では、無線タグ101は、受信回路1011でスポット光を受信すると、切替回路1013により応答を無効にする場合について説明した。しかしながら、これに限定されない。例えば、切替回路1013は、試薬情報が乗せられている電気信号に、受信回路1011から出力された電気信号の振幅を変調しても構わない。アンテナ回路1014は、試薬情報が乗せられ、電気信号の強度で変調された電波を送信する。これにより、無線タグ101は、受信回路1011が光に感応すると、受光強度をエンコードした電波をRFIDリーダ9へ返送することになる。
第1試薬庫204、第2試薬庫205、又は第1試薬庫204及び第2試薬庫205の両方に保持されている試薬容器100に貼付される無線タグ101は、RFIDリーダ9へ、それぞれが受信した光の強度を変調した電波を送信する。制御回路11は、受信した電波に復号処理を施すことで、電波に変調されている受光強度を取得する復号機能をさらに有する。
そして、制御回路11は、特定機能114において、復号機能により取得された受光強度を、受信した電波間で比較する。制御回路11は、受光強度が特異的に大きい電波が、スポット光を照射されている無線タグ101から送信された電波であると判断する。制御回路11は、スポット光を照射する試薬容器100を順次切り替えながら、スポット光が照射されている試薬容器100と、変調されている受光強度が大きい電波とを対応付ける。これにより、制御回路11は、試薬容器100についての試薬情報と、試薬容器100が保持されているポジションとを対応付けることが可能となる。
なお、第1の実施形態では、応答の有効/無効を切り替える、及び応答に受光強度を変調する等、応答の状態を変化させる場合を例に説明した。応答の状態を変化させる手法はこれらに限定されない。応答期間、応答の繰り返し回数、又はフレームフォーマット等を、RFIDシステムの規格の許す限りにおいて変化させても構わない。
また、スポット光を照射しても受光強度が増大する電波が存在しない場合、制御回路11は、スポット光を照射したポジションには試薬容器100は保持されていない、すなわち、このポジションは空きであると判断する。
また、第1の実施形態では、自動分析装置1の制御回路11は、所定のポジションに停止している試薬容器100についての試薬情報を特定すると、この試薬情報をポジションと関連付けて記憶回路8に記憶させる場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。自動分析装置1がRFIDライタを備えている場合、制御回路11は、書込機能を実行し、無線タグ101に記憶されている試薬情報にポジション情報を書き込むようにしても構わない。
また、第1の実施形態では、試薬容器100と対応する試薬情報の特定を、測定が開始される前に実施する場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。例えば、試薬容器100から試薬を吸引する際において、試薬容器100と対応する試薬情報を特定するようにしても構わない。
具体的には、例えば、第1試薬庫204内において、照射回路10は、開口部が第1試薬吸引位置に位置している試薬容器100の無線タグ101へ、スポット光を照射可能な位置に設置されている。
制御回路11は、第1試薬庫204内に保持される試薬容器100についての試薬情報を、図8のステップS1~ステップS5で示されるように、測定開始前に記憶回路8に記憶させている。制御回路11は、切替制御機能113において、開口部が第1試薬吸引位置に到達した試薬容器100へスポット光の照射を開始するように、照射回路10を制御する。
続いて、制御回路11は、取得機能112において、RFIDリーダ9から所定の周波数の電波を出射させることで、開口部が第1試薬吸引位置に位置する試薬容器100以外から試薬情報を取得する。制御回路11は、このときに取得した試薬情報と、予め記憶している試薬情報とを比較することで、吸引される試薬容器についての試薬情報を特定する。制御回路11は、検査オーダに含まれる所定の検査項目と、特定した試薬情報とを比較することで、実行中の分析において用いられる試薬が正しいか否かを確認する。これにより、実際に吸引される試薬と、検査オーダに含まれる検査項目で用いられる試薬とのミスマッチを防ぐことが可能となり、検査エラーを未然に防ぐことが可能となる。
なお、試薬の吸引位置近傍では、試薬分注アーム等が存在するため、デバイスを設置することが可能な空間は狭い。本願実施形態に係る照射回路10は、LED等の光源を用いるため、小型化が可能である。また、無線タグ101についても小型化が可能である。このため、試薬吸引位置近傍のような狭い空間であっても、試薬分注アーム等の邪魔にならずに、照射回路10、及び無線タグ101を設置することが可能となる。
また、第1の実施形態では、無線タグ101は、スポット光に感応して電気信号を発生する受信回路1011を有する場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。無線タグ101は、例えば、受信回路1011の代わりに、機械的な接点領域が実装されていても構わない。このとき、試薬庫の内側側面には、切替部として、照射回路10の代わりに、プローブ等の導電性の棒状部材10aが設けられる。
図9は、図5に示される試薬容器保管装置内の構造のその他の例を示す模式図である。図9において、2本の棒状部材10aが無線タグ101に設けられる接点領域に接触すると、制御回路11は、切替機能を実行し、棒状部材10aを介して無線タグ101へ電流を供給する。無線タグ101に設けられている切替回路1013は、棒状部材10aを介して供給される電流がトリガとなって、電波に対する応答を無効にする。制御回路11は、例えば、特定機能114において無線タグ101の応答が無効化されていることが確認されると、電流の供給を停止する。また、制御回路11は、特定機能114からの通知がないまま、予め設定された時間経過した場合、電流の供給を停止する。切替回路1013は、棒状部材10aを介する電流の供給が停止すると、電波に対する応答を有効にする。
なお、照射回路10は、さらには、磁力の有無(強弱)(ホールセンサ等)や機械的な接触による導通の有無で無線タグ101を制御することも可能である。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、第1及び第2試薬庫204,205内に保持されている試薬容器100の試薬情報を特定する場合を例に説明した。しかしながら、無線タグ101を用いて複数の試薬容器100の試薬情報を特定する技術は、試薬容器100を第1及び第2試薬庫204,205へ装填する場合にも有効である。
例えば、第1又は第2試薬庫204,205に保持されている試薬容器100の残量が少なった場合、及び試薬容器100に収容される試薬の有効期限が切れている場合等には、その試薬容器100を交換する必要がある。第2の実施形態では、自動分析装置が試薬容器装填システムを備え、試薬容器装填システムにより、第1及び第2試薬庫204,205内に保持されている試薬容器100を新たな試薬容器100に入れ替える場合を例に説明する。
図10は、第2の実施形態に係る自動分析装置1Aの機能構成の例を表すブロック図である。図10に示される自動分析装置1Aは、試薬容器装填システム12を具備する。試薬容器装填システム12は、ロボットアーム121、入力インタフェース122、出力インタフェース123、記憶回路124、通信インタフェース125、及び制御回路126を具備する。
入力インタフェース122は、例えば、試薬容器装填システム12に対して入力される操作者からの指示を受け付ける。入力インタフェース122は、例えば、マウス、キーボード、及び、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチパッド等により実現される。入力インタフェース122は、制御回路126に接続され、操作者から入力される操作指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御回路126へ出力する。なお、入力インタフェース122は、入力インタフェース5と共有されていても構わない。
出力インタフェース123は、例えば、制御回路126に接続され、制御回路126から供給される信号を出力する。出力インタフェース123は、例えば、表示回路、印刷回路、及び音声デバイス等により実現される。なお、出力インタフェース123は、出力インタフェース6と共有されていても構わない。
記憶回路124は、磁気的、若しくは光学的記録媒体、又は半導体メモリ等の、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を含む。なお、記憶回路124は、必ずしも単一の記憶装置により実現される必要は無い。例えば、記憶回路124は、複数の記憶装置により実現されても構わない。
記憶回路124は、制御回路126に備わる機能を実現するための動作プログラムを記憶している。記憶回路124は、試薬トレー127に載置される試薬容器100に貼付される無線タグ101から読み出された試薬情報を記憶する。また、記憶回路124は、交換対象となる試薬容器100について、第1又は第2試薬庫204,205内のポジションと関連付けられた試薬情報を、制御回路126を介して記憶回路8から取得する。記憶回路124は、記憶回路8から取得した試薬情報を記憶する。
通信インタフェース125は、例えば、ロボットアーム121と接続する。通信インタフェース125は、ロボットアーム121とデータ通信をする。例えば、通信インタフェース125は、制御回路126からの制御信号をロボットアーム121へ出力する。また、通信インタフェース125は、ロボットアーム121から出力される信号を受信し、制御回路126へ出力する。
ロボットアーム121は、第1及び第2試薬庫204,205に試薬容器100を装填する装填部の一例である。図11は、図10に示される分析機構2にロボットアーム121が設置される例を表す模式図である。図11によれば、ロボットアーム121は、例えば、第1及び第2試薬庫204,205にアクセス可能な位置に設けられる。また、自動分析装置1Aには、例えば、交換のために冷蔵庫から取り出した複数の試薬容器100を載置する試薬置場としての試薬トレー127が設けられている。
ロボットアーム121は、例えば、保持部1211、及び複数の可動部を備える。保持部1211は、例えば、試薬容器100を保持するための爪等を有する。保持部1211は、制御回路126の制御に従い、例えば、開動作及び閉動作を実行する。保持部1211は、閉動作を実行して例えば爪を閉じることで、試薬容器100をホールドする。また、保持部1211は、開動作を実行して例えば爪を開くことで、ホールドしている試薬容器100を開放する。複数の可動部は、例えば、複数のサーボモータにより駆動される。複数の可動部は、制御回路126の制御に従い、例えば、保持部1211を所望の位置へ運搬する。
また、ロボットアーム121は、RFIDリーダ1212、及び照射回路1213を備える。RFIDリーダ1212は、例えば、試薬トレー127上の試薬容器100に貼付される無線タグ101と無線通信可能な位置に設けられる。RFIDリーダ1212は、制御回路126の制御に従い、試薬トレー127上の試薬容器100に貼付される無線タグ101に記憶されている試薬情報を読み出す。具体的には、RFIDリーダ1212は、制御回路126の制御に従い、予め設定された周波数の電波を試薬トレー127へ向けて照射する。すなわち、RFIDリーダ1212は、電波照射部の一例として動作する。RFIDリーダ1212は、送信した電波に応じて無線タグ101から返信される電波を受信する。すなわち、RFIDリーダ1212は、電波受信部の一例として動作する。RFIDリーダ1212は、受信した電波を電気信号へ変換し、電気信号を制御回路126へ出力する。
照射回路1213は、無線タグ101の応答の状態を切り替える切替部の一例である。照射回路1213は、制御回路126の制御に従い、所定の周波数の電磁波を照射する。このとき、照射回路1213は、試薬トレー127上の複数の試薬容器100のうち、1本の試薬容器100に貼付される無線タグ101のみへ所定の周波数の電磁波を照射可能なように、指向性が調整されている。所定の周波数とは、RFIDリーダ1212と無線タグ101との無線通信で用いられる電波よりも高い周波数である。照射回路1213は、保持部1211が試薬容器100へ接近した際に試薬容器100と対向する位置、例えば、保持部1211の先端に設けられる。
第2の実施形態では、照射回路1213が電磁波として光を照射する場合を例に説明する。なお、照射回路1213が照射する光は、赤外光、及び可視光等、いずれの光であっても構わない。照射回路1213は、例えば、発光ダイオード、半導体レーザ、又は光源ランプ等を備える。照射回路1213は、例えば、制御回路126の制御に従い、発光ダイオード、半導体レーザ、又は光源ランプ等を駆動させ、無線タグ101へ所定の径のスポット光を照射する。
制御回路126は、試薬容器装填システム12の中枢として機能するプロセッサである。制御回路126は、記憶回路124に記憶されている動作プログラムを実行することで、この動作プログラムに対応する機能を実現する。なお、制御回路126は、記憶回路124で記憶されているデータの少なくとも一部を記憶する記憶領域を備えても構わない。
制御回路126は、例えば、動作プログラムを実行することで、操作機能1261、取得機能1262、切替制御機能1263、特定機能1264、及び判断機能1265を有する。なお、第2の実施形態では、単一のプロセッサによって操作機能1261、取得機能1262、切替制御機能1263、特定機能1264、及び判断機能1265が実現される場合を説明するが、これに限定されない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて制御回路を構成し、各プロセッサが動作プログラムを実行することにより操作機能1261、取得機能1262、切替制御機能1263、特定機能1264、及び判断機能1265を実現しても構わない。
操作機能1261は、ロボットアーム121を操作する機能である。
取得機能1262は、試薬容器100に貼付されている無線タグ101から、無線タグ101に記憶されている試薬情報を取得する機能である。具体的には、制御回路126は、所定の指示に応じて取得機能1262を実行する。所定の指示とは、例えば、操作者から入力される、試薬容器100の交換開始の指示等である。取得機能1262において、制御回路126は、RFIDリーダ1212を制御して、無線タグ101から送信される電波に基づく電気信号を受信する。制御回路126は、電気信号に基づき、試薬トレー127上の試薬容器100についての試薬情報を取得する。
切替制御機能1263は、試薬容器100に貼付されている無線タグ101の、RFIDリーダ1212から送信される電波に対する応答の有効/無効の切り替えを制御する機能である。具体的には、例えば、制御回路126は、試薬トレー127上の全ての試薬容器100についての試薬情報が取得された状態において、ロボットアーム121が所定の位置に到達すると、切替制御機能1263を実行する。切替制御機能1263において、制御回路261は、照射回路1213を制御し、試薬容器100に貼付されている無線タグ101へスポット光の照射を開始する。
制御回路126は、例えば、特定機能1264において無線タグ101の応答が無効化されていることが確認されると、スポット光の照射を停止する。また、制御回路126は、特定機能1264からの通知がないまま、予め設定された時間経過した場合、スポット光の照射を停止する。
特定機能1264は、読み出した試薬情報が、試薬トレー127に載置されている複数の試薬容器100のいずれについての試薬情報であるかを特定する機能である。具体的には、例えば、制御回路126は、切替制御機能1263を実行させると、特定機能1264を実行する。特定機能1264において、制御回路126は、無線タグ101の応答を無効にする前に取得した複数の試薬情報と、無効にした後に取得した複数の試薬情報とを照合する。制御回路126は、応答を無効にする前には記憶され、かつ、無効にした後には記憶されていない試薬情報を、試薬トレー127上の所定の位置に載置されている試薬容器100についての試薬情報であると特定する。試薬トレー127上の位置は、例えば、試薬トレー127に割り当てられる位置情報、及びロボットアーム121に設けられるサーボモータを制御する際のパルス数等により規定される。
判断機能1265は、特定した試薬情報と対応する試薬容器100が必要とする試薬容器100であるか否かを判断する機能である。例えば、判断機能1265において制御回路126は、特定した試薬情報と、交換対象である試薬容器100の試薬情報とを比較することで、特定した試薬情報に係る試薬容器100が、必要とする試薬容器100であるか否かを判断する。
次に、以上のように構成された自動分析装置1Aにおいて、試薬容器装填システム12が試薬容器100を交換する動作の例を、制御回路126の処理手順に従って説明する。なお、以下の説明では、無線タグ101が試薬容器100の上面部に貼付されている場合を例に説明する。
操作者は、例えば、第1及び第2試薬庫204,205で保持される試薬容器100の残量が少なくなると、又は試薬容器100に収容される試薬の有効期限が切れると、試薬容器100を交換する準備をする。操作者は、必要とする試薬容器100を含む複数の試薬容器100を冷蔵庫から取り出し、取り出した複数の試薬容器100を試薬トレー127に載置する。試薬トレー127に複数の試薬容器100を載置すると、操作者は、試薬容器装填システム12の入力インタフェース122を介し、第1及び第2試薬庫204,205で保持される試薬容器100のうち、交換対象となる試薬容器100を指定する。交換対象となる試薬容器100を指定すると、操作者は、入力インタフェース122を介して交換開始の指示を入力する。
試薬容器100の交換開始の指示が入力されると、制御回路126は、例えば、交換対象である試薬容器100について、第1及び第2試薬庫204,205内のポジションと関連付けられた試薬情報を記憶回路8から読み出す。制御回路126は、読み出した試薬情報を記憶回路124に記憶する。制御回路126は、交換対象である試薬容器100の試薬情報を記憶回路124に記憶すると、操作機能1261を実行する。なお、試薬容器100の交換開始の指示が入力されると、第1及び第2試薬庫204,205の動作状態が初期化される。
操作機能1261において、制御回路126は、ロボットアーム121に設けられているRFIDリーダ1212を、試薬トレー127上の複数の試薬容器100に貼付されている無線タグ101へ電波を照射可能な位置に移動させる。
RFIDリーダ1212の移動が完了すると、制御回路126は、取得機能1262を実行する。取得機能1262において、制御回路126は、RFIDリーダ1212を制御し、RFIDリーダ1212から所定の周波数の電波を出射させる。RFIDリーダ1212から出射される電波が、試薬トレー127上の試薬容器100に貼付されている無線タグ101に対する最初のRFIDリーダ読出し命令となる。
無線タグ101は、RFIDリーダ1212から照射される電波を受信すると、試薬情報が乗せられた電波を返信する。
取得機能1262において、制御回路126は、無線タグ101から送信された電波に基づく電気信号を受信する。制御回路126は、例えば、所定のコードと、種々の情報とが対応付けられている変換テーブルを参照することで、受信した電気信号を解読して試薬情報を取得する。これにより、試薬トレー127上の試薬容器100の試薬情報がまとめて取得される。制御回路126は、取得した試薬情報を記憶回路124に記憶させる。
取得した試薬情報が記憶回路124に記憶されると、制御回路126は、操作機能1261を実行する。操作機能1261において制御回路126は、ロボットアーム121の保持部1211先端に設けられている照射回路1213を、試薬トレー127上において予め設定された初期位置に載置されている試薬容器100上へ移動させる。
初期位置に載置されている試薬容器100の上面部に貼付されている無線タグ101へスポット光を照射可能な位置へ照射回路1213が到達すると、制御回路126は、切替制御機能1263を実行する。切替制御機能1263において、制御回路126は、照射回路1213を制御し、初期位置に載置されている試薬容器100に貼付されている無線タグ101へスポット光の照射を開始する。
無線タグ101は、照射回路1213から照射されるスポット光を受光すると、電波を返信しなくなる。
スポット光の照射を開始すると、制御回路126は、取得機能1262において、RFIDリーダ1212を制御し、RFIDリーダ1212から所定の周波数の電波を出射させる。RFIDリーダ1212から出射される電波が、試薬トレー127上の試薬容器100に貼付されている無線タグ101に対する2回目のRFIDリーダ読出し命令となる。このとき、スポット光が照射された無線タグ101は、スポット光が照射されたままとなっている。
スポット光が照射されている無線タグ101以外の無線タグ101は、RFIDリーダ1212から照射された電波の一部を利用し、試薬情報を乗せた電波を返信する。
取得機能1262において、制御回路126は、無線タグ101から送信された電波に基づく電気信号を受信する。制御回路126は、受信した電気信号を解読して試薬情報を取得する。これにより、試薬トレー127上の試薬容器100のうち、スポット光が照射されていない試薬容器100についての試薬情報がまとめて取得される。制御回路126は、取得した試薬情報を記憶回路124に記憶させる。
取得した試薬情報が記憶回路124に記憶されると、制御回路126は、特定機能1264を実行する。特定機能1264において、制御回路126は、記憶回路124に記憶している、スポット光の照射前、及び照射中の試薬情報を照合させる。制御回路126は、スポット光の照射前に記憶された試薬情報に含まれ、スポット光の照射中に記憶された試薬情報に含まれていない試薬情報が、試薬トレー127の初期位置に載置されている試薬容器100についての試薬情報であると特定する。
初期位置に載置される試薬容器100と対応する試薬情報を特定すると、制御回路126は、スポット光の照射を停止するように、照射回路1213を制御する。初期位置に載置される試薬容器100と対応する試薬情報を特定すると、制御回路126は、判断機能1265を実行する。判断機能1265において制御回路126は、特定した試薬情報と、交換対象である試薬容器100の試薬情報とを比較する。特定した試薬情報と、交換対象である試薬容器100の試薬情報との間で、例えば、試薬名、試薬メーカコード、及び試薬項目コード等が一致する場合、制御回路126は、特定した試薬情報に係る試薬容器100が、必要とする試薬容器100であると判断する。
初期位置に載置される試薬容器100が、操作者が所望する試薬容器100であると判断すると、制御回路126は、操作機能1261を実行する。操作機能1261において制御回路126は、ロボットアーム121を制御し、初期位置に載置される試薬容器100と、交換対象である試薬容器100とを交換する。具体的には、例えば、制御回路126は、ロボットアーム121を制御して第1又は第2試薬庫204,205から交換対象である試薬容器100を取り出し、交換対象である試薬容器100が取り出された試薬庫内の位置へ、試薬トレー127の初期位置に載置されている試薬容器100を装填する。
続いて、制御回路126は、交換対象として指定された試薬容器100が他にも存在するか否かを確認する。他にも存在する場合、制御回路126は、操作機能1261によりロボットアーム121を制御し、ロボットアーム121に設けられている照射回路1213を、試薬トレー127上において予め設定された第2位置に載置されている試薬容器100へ移動させる。
制御回路126は、照射回路1213を制御し、第2位置に載置されている試薬容器100に貼付されている無線タグ101へスポット光を照射する。制御回路126は、RFIDリーダ1212により、第2位置に載置されている試薬容器100以外についての試薬情報を取得し、取得した試薬情報を記憶回路124に記憶させる。そして、制御回路126は、スポット光を照射する前と照射している間とに記憶された試薬情報を照合することで、第2位置に載置されている試薬容器100と対応する試薬情報を特定する。
第2位置に載置される試薬容器100と対応する試薬情報を特定すると、制御回路126は、スポット光の照射を停止させ、特定した試薬情報と、交換対象である試薬容器100の試薬情報とを比較する。第2位置に載置される試薬容器100が、操作者が所望する試薬容器100であると判断すると、制御回路126は、操作機能1261によりロボットアーム121を制御し、第2位置に載置される試薬容器100と、交換対象である試薬容器100とを交換する。制御回路126は、交換対象として指定された全ての試薬容器100に対して上記動作を繰り返す。
特定した試薬情報と、交換対象である試薬容器100の試薬情報とが一致しない場合、制御回路126は、特定した試薬情報に係る試薬容器100が、必要とする試薬容器100ではないと判断する。特定した試薬情報に係る試薬容器100が必要とする試薬容器100ではない場合、制御回路126は、操作機能1261によりロボットアーム121を制御し、ロボットアーム121に設けられている照射回路1213を、試薬トレー127上における次の位置に載置されている試薬容器100へ移動させる。
以上のように、第2の実施形態では、電磁波の受信により応答の状態を変化させる無線タグ101を、複数の試薬容器100のそれぞれに貼付する。照射回路1213は、複数の試薬容器100に貼付されている無線タグ101のうち、1つの無線タグ101の応答の状態を切り替える。そして、RFIDリーダ1212は、応答の状態が切り替わる前、及び切り替わった後において、電波を広域に照射することで、複数の試薬容器100に貼付された無線タグ101に記憶されている試薬情報を取得するようにしている。これにより、第2の実施形態に係る自動分析装置1Aは、電磁波を照射する前、及び照射により応答の状態が変化した後で、異なった状態の試薬情報を取得することが可能となる。
また、第2の実施形態では、制御回路126は、取得機能1262により、無線タグ101の応答の状態を切り替える前、及び切り替えた後それぞれでRFIDリーダ1212を制御し、試薬容器100に貼付された無線タグ101に記憶されている試薬情報を取得する。制御回路126は、特定機能1264により、無線タグ101の応答の状態を切り替える前、及び切り替えた後それぞれにおいて取得した試薬情報に基づき、試薬トレー127の所定の位置に載置されている試薬容器100の試薬情報を特定する。そして、制御回路126は、判断機能1265により、特定した試薬情報に基づき、特定した試薬情報に係る試薬容器100が、交換対象である試薬容器100と対応する試薬容器100であるか否かを判断するようにしている。これにより、第2の実施形態に係る自動分析装置1Aは、試薬トレー127に載置される複数の試薬容器100から、第1又は第2試薬庫204,205内で交換対象となる試薬容器100と対応する試薬容器100を特定することが可能となる。
なお、第2の実施形態では、無線タグ101は、スポット光に感応して電気信号を発生する受信回路1011を有する場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。無線タグ101は、例えば、受信回路1011の代わりに、機械的な接点領域が実装されていても構わない。このとき、ロボットアーム121の保持部1211の先端には、切替部として、照射回路1213の代わりに、プローブ等の導電性の棒状部材が設けられる。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、自動分析装置1,1Aは、試薬庫内に保持される、又は試薬トレーで載置される試薬容器に付される無線タグに記憶されている情報を、いずれの試薬容器についての情報かを識別して読み出すことができる。
第1及び第2の実施形態の説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central processing unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、上記各実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、上記各実施形態における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。