本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。本発明の一態様に係る本実施形態は、保護テープの種別を識別できる保護テープの識別方法、被加工物の加工方法、識別装置、及び加工装置である。
保護テープは、加工装置で加工される被加工物に予め貼着されて使用される。本実施形態に係る保護テープの識別方法は、例えば、該識別装置で実施される。該識別装置は、例えば、保護テープが貼着された被加工物を加工する加工装置に組み込まれて使用される。そして、該加工装置では、保護テープの種別を識別し被加工物を加工する該加工方法が実施される。
本実施形態に係る加工装置は、例えば、被加工物を研削する研削装置である。以下、該加工装置が研削装置である場合を例に説明するが、本実施形態に係る加工装置は研削装置に限定されない。図1は、研削装置2の構成を模式的に示す斜視図である。研削装置2は、被加工物1を研削して所定の厚さに薄化する。
研削装置2で研削される被加工物1は、例えば、Si(シリコン)、SiC(シリコンカーバイド)、GaN(ガリウムナイトライド)、GaAs(ヒ化ガリウム)、若しくは、その他の半導体等の材料から形成されるウェーハである。または、被加工物1は、サファイア、ガラス、石英等の材料からなる略円板状の基板等である。該ガラスは、例えば、アルカリガラス、無アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス等である。
図1には、被加工物1の斜視図が模式的に示されており、図2(A)及び図2(B)には、被加工物1の断面図が模式的に示されている。被加工物1の表面1aにはIC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)等の複数のデバイス(不図示)が形成されている。研削装置2により被加工物1を裏面1b側から研削して薄化し、デバイス毎に被加工物1を分割すると、所定の厚さの個々のデバイスチップを形成できる。
研削装置2では、被加工物1の裏面1b側が上方に露出された状態で裏面1bが研削される。被加工物1を研削する際に被加工物1の表面1a側に形成されたデバイスを保護するために、被加工物1の表面1aには保護テープ3が貼着される。被加工物1の表面1aに保護テープ3を貼着する際に使用されるテープマウンター54(図2(B)参照)については、後述する。被加工物1は、例えば、複数の被加工物1を収容できるカセット6a,6bに収容されて運搬され、研削装置2に搬入される。
図2(A)に示す通り、被加工物1の表面1a側に貼着された保護テープ3の外周が環状フレーム5に貼着されてもよい。この場合、被加工物1は、保護テープ3及び環状フレーム5と一体化したフレームユニットの状態で取り扱われる。ただし、保護テープ3は外周側が環状フレーム5に貼着されていなくてもよい。
次に、研削装置2について詳述する。研削装置2は、各構成要素を支持する基台4を備える。基台4の前端にはカセット載置台8a,8bが固定されている。例えば、カセット載置台8a上には研削前の被加工物1を収容したカセット6aが載置され、カセット載置台8b上には研削の終了した被加工物1を収容するためのカセット6bが載置される。
基台4上のカセット載置台8a,8bに隣接した位置には、搬送ロボット10が据え付けられている。搬送ロボット10は、カセット載置台8aに載せられたカセット6aから被加工物1を搬出し、基台4上の該搬送ロボット10に隣接した位置に設けられた位置決めテーブル12に該被加工物1を搬送する。
位置決めテーブル12は、環状に並ぶ複数の位置決めピン12a(図2(A)参照)を有する。位置決めテーブル12は、中央の載置領域12b(図2(A)参照)に被加工物1が載置された際、それぞれの位置決めピン12aを径方向内側に連動させて移動させることにより、被加工物1を予定された位置に位置付ける。
基台4の上面の該位置決めテーブル12に隣接した位置には、ローディングアーム14と、アンローディングアーム16と、が設けられる。位置決めテーブル12により予定された位置に位置付けられた被加工物1は、ローディングアーム14により搬送される。
基台4の上面には、開口4aが設けられている。開口4a中には、Y軸方向に沿って移動可能な移動テーブル18と、移動テーブル18に接続され開口4aを埋めるように配設されたジャバラ20と、が設けられている。移動テーブル18の上面には、被加工物1を保持するチャックテーブル22が設けられている。
被加工物1は、ローディングアーム14により位置決めテーブル12からチャックテーブル22上に搬送される。このとき、被加工物1の裏面1bが上方に露出するように表面1a側を下方に向け、保護テープ3を介して被加工物1をチャックテーブル22の上面に載せる。チャックテーブル22は、図示しない吸引機構を備え、上面に載せられた被加工物1を吸引保持できる。その後、移動テーブル18をY軸方向に沿って移動させ、研削ユニット(加工ユニット)24の下方に被加工物1を位置付ける。
基台4の後端部には、カラム26が立設している。カラム26の前面には、Z軸方向に沿った一対のガイドレール28が配設されており、一対のガイドレール28には移動プレート30がスライド可能に取り付けられている。移動プレート30の前面側には研削ユニット24が固定されている。
そして、移動プレート30の背面側にはナット部(不図示)が設けられており、該ナット部にガイドレール28に沿ったボールねじ32に螺合されている。ボールねじ32の上端にはパルスモータ34が接続されている。パルスモータ34を作動させてボールねじ32を回転させると、移動プレート30とともに研削ユニット24が昇降する。
研削ユニット24は、Z軸方向に沿ったスピンドル(不図示)と、スピンドルの下端に設けられた円板状のホイールマウント24bと、スピンドルの上端側を回転可能に収容するスピンドルハウジング24aと、を備える。ホイールマウント24bの下面には、円環状に並ぶ研削砥石38が固定された研削ホイール36が装着される。
被加工物1を研削する際には、被加工物1を保持するチャックテーブル22と、スピンドルと、をそれぞれZ軸に沿った軸の周りに回転させ、パルスモータ34を作動させて研削ユニット24を下降させる。そして、環状軌道上を移動する研削砥石38を被加工物1に接触させる。
チャックテーブル22は、被加工物1が研削された後にY軸方向に沿って移動してアンローディングアーム16の近傍に移動する。基台4の上面のアンローディングアーム16及び搬送ロボット10の近傍には、被加工物1を洗浄するスピンナ洗浄装置40が設けられている。
研削された被加工物1は、アンローディングアーム16によりチャックテーブル22からスピンナ洗浄装置40に搬送され、スピンナ洗浄装置40により洗浄される。スピンナ洗浄装置40で洗浄された被加工物1は、搬送ロボット10によりカセット載置台8bに載せられたカセット6bに搬入され、カセット6bに収容される。
研削装置2は、さらに、研削装置2の各構成要素を制御する制御ユニット44を備える。制御ユニット44は、研削ユニット24、チャックテーブル22、パルスモータ34、スピンナ洗浄装置40等の研削装置2の各構成要素を制御する機能を有する。制御ユニット44の機能は、例えば、装置制御用コンピュータのソフトウェアとして実現される。
すなわち、制御ユニット44は、CPU等の処理装置や、フラッシュメモリ等の記憶装置を含むコンピュータによって構成される。記憶装置に記憶されるプログラム等のソフトウェアに従い処理装置を動作させることによって、制御ユニット44は、ソフトウェアと処理装置(ハードウェア資源)とが協働した具体的手段として機能する。
制御ユニット44は、研削ユニット24及びチャックテーブル22等を制御して、被加工物1の研削に適した所定の加工条件で被加工物1を研削する。すなわち、制御ユニット44は、該加工条件に従って研削ユニット24のスピンドルの回転数や、チャックテーブル22の回転数、移動プレート30の下降速度等を設定する。
加工条件は、例えば、被加工物1の材質や被加工物1の仕上げ厚さ、研削後の裏面1bに求められる平坦性等によって決定される。被加工物1の表面1aには、実施する研削の内容や被加工物1の種別等に応じた適切な種別の保護テープ3が貼着される。そして、保護テープ3は、その種別により厚さや粘着強度、硬さ等の性質が異なり、保護テープ3の性質が被加工物1の研削結果にも影響する。そのため、被加工物1の加工条件が決定される際、保護テープ3の種別が参照される。
ここで、保護テープ3の色や形状、表面の感触等の性質は保護テープ3の種別により大きくは異ならない。そのため、保護テープ3を取り違え、被加工物1に誤った種別の保護テープ3を貼着してしまう場合がある。また、被加工物1に貼着された保護テープ3の種別が分からなくなる場合がある。さらに、被加工物1をカセット6a,6bに収容する際、被加工物1を取り違えて、予定された保護テープ3の種別とは異なる種別の保護テープ3が貼着されている被加工物1をカセット6a,6bに収容してしまう場合がある。
これらの場合、被加工物1を所定の加工条件で研削すると所望の加工結果が得られない場合がある。そこで、予め保護テープ3の種別を識別して、適切な保護テープ3が被加工物1に貼着されていることを確認した後で被加工物1の研削を実施することが望まれるため、研削装置2では本実施形態に係る保護テープ3の識別方法を実施する。
本実施形態に係る保護テープ3の識別方法を実施するための構成として、研削装置2は、さらに識別ユニット42を備える。識別ユニット42は、例えば、図1及び図2(A)に示す通り、位置決めテーブル12に組み込まれる。ただし、識別ユニット42は、研削装置2の他の箇所に組み込まれてもよい。図2(A)には、位置決めテーブル12に組み込まれた識別ユニット42の断面図を模式的に示されている。図2(A)では、被加工物1に貼着された保護テープ3の外周部が環状フレーム5に貼着されている。
識別ユニット42は、被加工物1に貼着された保護テープ3の光学特性を測定して種別を識別する機能を有する。識別ユニット42は、識別対象の保護テープ3の光学特性を測定する測定ユニット104を有する。測定ユニット104は、識別対象の保護テープ3を挟んで配設される一対の筐体106,108を有する回帰反射型センサ110を備える。
回帰反射型センサ110は、識別対象の保護テープ3に光を照射し、該識別対象の該保護テープ3を透過した該光を反射板により反射させて再度該保護テープ3に照射し、該保護テープを再び透過した該光を受光することで第1の透過率を測定する。回帰反射型センサ110の構成については、後に詳述する。
ここで、第1の透過率は、保護テープ3に最初に照射される光の発光量と、受光された該光の受光量と、から算出される。第1の透過率とは、このように2度保護テープ3を透過する際の光の透過率であり、保護テープ3の種別に依存する光学特性である。そのため、測定ユニット104を使用して測定された第1の透過率によって識別対象の保護テープ3の種別を識別できる。
研削装置2の制御ユニット44は、図1に模式的に示される通り、複数の種別の保護テープ3の光学特性が登録された特性登録部44aと、保護テープ3の種別を識別する識別部44bと、を備える。
特性登録部44aに光学特性が登録される保護テープ3は、例えば、被加工物1に貼着されて使用される可能性のある種別の保護テープ3である。各保護テープ3の光学特性は、例えば、予め識別ユニット42の測定ユニット104により測定されて特性登録部44aに登録される。または、他の測定ユニットにより測定された値が特性登録部44aに登録される。そして、特性登録部44aに登録される光学特性には、例えば、上述の第1の透過率が含まれる。
そして、識別部44bは、測定ユニット104で測定された識別対象の保護テープ3の第1の透過率で特性登録部44aに照合し、特性登録部44aに光学特性が登録された複数の種別の保護テープ3から識別対象の保護テープ3の種別を識別する機能を有する。より詳細には、特性登録部44aに光学特性が登録された複数の種別の保護テープ3のうち、測定ユニット104で測定された識別対象の保護テープ3の第1の透過率と同程度の第1の透過率の保護テープ3の種別が、識別対象の保護テープ3の種別として特定される。
ここで、保護テープ3の第1の透過率は、反射率よりも種別間の差が大きい傾向にある。そのため、反射率が同程度の複数の種別の保護テープ3が存在する等の理由により識別対象の保護テープ3の反射率を測定しても種別を識別できない場合においても、識別対象の保護テープ3の第1の透過率を測定することで種別の識別が可能となりやすい。すなわち、研削装置2によると、被加工物1に貼着された保護テープ3の種別を識別しやすい。
なお、研削装置2では、保護テープ3の種別の識別が可能であるため、研削装置2は識別装置ともいえる。そして、識別装置として機能する研削装置2では、保護テープ3の種別の識別のみが実施され、被加工物1の研削が実施されなくてもよい。
ここで、研削装置2では、識別対象の保護テープ3の第1の透過率に加え、識別対象の保護テープ3を一度だけ透過する光の透過率が第2の透過率として測定されてもよく、第1の透過率及び第2の透過率により該保護テープ3の種別が識別されてもよい。この場合、特性登録部44aには各保護テープ3の光学特性として、第1の透過率に加えて第2の透過率が登録される。
研削装置2では、識別対象の保護テープ3の第1の透過率に加えて第2の透過率を測定できるように、測定ユニット104は、識別対象の保護テープ3を挟んで配設される一対の筐体112,114を有する透過型センサ116を備えてもよい。透過型センサ116は、保護テープ3に光を照射し、保護テープ3を透過した該光を受光することで第2の透過率を測定する。なお、透過型センサ116の構成については、後に詳述する。
ここで、第2の透過率は、保護テープ3に照射される光の発光量と、受光された該光の受光量と、から算出される。識別部44bは、特性登録部44aに光学特性が登録された複数の種別の保護テープ3から識別対象の保護テープ3の種別を識別する際、第1の透過率に加えて該第2の透過率で特性登録部44aに照合する。
すなわち、特性登録部44aに光学特性が登録された保護テープ3のうち、第1の透過率及び第2の透過率のいずれもが識別対象の保護テープ3と同程度の保護テープ3を特定して、識別対象の保護テープ3の種別を識別する。識別対象の保護テープ3の種別を識別する際に、第1の透過率に加えて第2の透過率を使用すると、識別の精度をより向上できる。
さらに、研削装置2では、識別対象の保護テープ3の第1の透過率及び第2の透過率に加えて保護テープ3の反射率が測定されてもよく、第1の透過率、第2の透過率及び反射率により該保護テープ3の種別が識別されてもよい。この場合、特性登録部44aには各保護テープ3の光学特性として、第1の透過率と、第2の透過率と、に加えて反射率が登録される。
研削装置2では、識別対象の保護テープ3の第1の透過率及び第2の透過率に加えて反射率を測定できるように、測定ユニット104は、回帰反射型センサ110及び透過型センサ116に隣接して配設される反射型センサ118を備えてもよい。反射型センサ118は、識別対象の保護テープ3に光を照射し、該保護テープ3で反射した該光を受光することで反射率を測定する。なお、反射型センサ118の構成については、後に詳述する。
ここで、反射率は、保護テープ3に照射される光の発光量と、受光された該光の受光量と、から算出される。識別部44bは、特性登録部44aに光学特性が登録された複数の種別の保護テープ3から識別対象の保護テープ3の種別を識別する際、第1の透過率と第2の透過率に加えて反射率で特性登録部44aに照合する。すなわち、特性登録部44aに光学特性が登録された保護テープ3のうち、第1の透過率、第2の透過率及び反射率のいずれもが識別対象の保護テープ3と同程度の保護テープ3を特定して、識別対象の保護テープ3の種別を識別する。
識別対象の保護テープ3の種別を識別する際に、第1の透過率、第2の透過率及び反射率を使用すると、識別の精度をさらに向上できる。なお、識別装置として機能する研削装置2は、第2の透過率を保護テープ3の種別の識別に使用しなくてもよい。すなわち、第1の透過率に加えて反射率を使用して識別対象の保護テープ3の種別を識別してもよい。
ここで、測定ユニット104が備える回帰反射型センサ、透過型センサ、及び反射型センサについて説明する。
図3(C)は、識別対象の保護テープ3の第1の透過率を測定する際に使用される回帰反射型センサ96の構成を模式的に示す断面図である。回帰反射型センサ96は、発光部98及び受光部102を備える筐体96aと、識別対象の保護テープ3を挟んで発光部98等と対面する反射板100を備える筐体96bと、を備える。ここで、筐体96aは、上述の回帰反射型センサ110の筐体106,108の一方に対応し、筐体96bは、筐体106,108の他方に対応する。
発光部98は、第1の光7cを発して識別対象の保護テープ3に照射する機能を有する。反射板100は、識別対象の保護テープ3を透過した第1の光7cを反射させて再度識別対象の保護テープ3に照射する機能を有する。受光部102は、識別対象の保護テープ3を再び透過した第1の光7cを受光する機能を有する。なお、反射板100は、例えば、4分の1波長板100aと、反射鏡100bと、を備える。そして、発光部98及び受光部102にはそれぞれ偏光板が組み込まれている。
回帰反射型センサ96は、保護テープ3に第1の光7cを照射し、保護テープ3を透過した第1の光7cを反射板100により反射させて再度保護テープ3に照射し、保護テープ3を再び透過した第1の光7cを受光することで第1の透過率を測定する。
なお、受光部102に到達する第1の光7cと、発光部98で発せられ保護テープ3で反射されて受光部102に到達する光と、を合わせて受光部102で受光しないように、光の偏向が利用されるとよい。
例えば、発光部98及び受光部102にそれぞれ偏光板を組み込み、反射板100に4分の1波長板100a等の光学フィルムを組み込む。この場合、特定の偏光面を有する状態の第1の光7cが発光部98から発せられる。そして、反射板100では、該偏光面が回転されながら該第1の光7cが反射される。ここで、受光部102の偏光板の向きは、反射板100により反射された該第1の光7cを受光部102で受光できる向きに合わせられる。
この場合、発光部98から発せられ保護テープ3を透過し、反射板100で反射され保護テープ3を再び透過した第1の光7cは、受光部102に受光される。その一方で、発光部98から発せられ保護テープ3で反射された光は、受光部102の偏光板に遮られて受光されにくくなる。このように、受光部102では、保護テープ3で反射された光が除かれ、反射板100で反射された第1の光7cが選択的に受光される。
図3(B)は、識別対象の保護テープ3の第2の透過率を測定する際に使用される透過型センサ90の構成を模式的に示す断面図である。透過型センサ90は、発光部92を備える筐体90aと、識別対象の保護テープ3を挟んで発光部92と対面する受光部94を備える筐体90bと、を備える。ここで、筐体90aは、上述の透過型センサ116の筐体112,114の一方に対応し、筐体90bは、筐体112,114の他方に対応する。
発光部92は、第2の光7bを発して識別対象の保護テープ3に照射する機能を有する。受光部94は、識別対象の保護テープ3を透過した第2の光7bを受光する機能を有する。透過型センサ90は、識別対象の保護テープ3に第2の光7bを照射し、識別対象の保護テープ3を透過した第2の光7bを受光することで第2の透過率を測定する。
図3(A)は、識別対象の保護テープ3の反射率を測定する際に使用される反射型センサ84の構成を模式的に示す断面図である。反射型センサ84は、発光部86と、該発光部86に並ぶ受光部88と、を備える。ここで、反射型センサ84は反射型センサ118に対応する。
発光部86は、第3の光7aを発して識別対象の保護テープ3に照射する機能を有する。受光部88は、識別対象の保護テープ3で反射した第3の光7aを受光する機能を有する。反射型センサ84は、識別対象の保護テープ3に第3の光7aを照射し、識別対象の保護テープ3で反射した第3の光7aを受光することで反射率を測定する。
そして、この場合、回帰反射型センサ96,110で測定された第1の透過率と、透過型センサ90,116で測定された第2の透過率と、反射型センサ84,118で測定された反射率と、により識別対象の保護テープ3の種別が識別される。
ここで、識別装置として機能する研削装置2において被加工物1に貼着された保護テープ3の種別を識別する際に使用される第1の光7c及び第2の光7bには、例えば、波長660nmの半導体レーザが用いられる。また、第3の光7aには、白色光または赤外光が使用される。ただし、第1の光7c、第2の光7b及び第3の光7aはこれに限定されない。特定の波長の単色光及び単色光でない光のいずれでもよい。
それぞれの光を発する発光部は、特定の光を発する発光素子を内蔵する。発光素子は、例えば、LED、レーザ発振器等である。また、それぞれの光を受光する受光部は、該光を受光する受光素子を内蔵する。ここで、識別装置として機能する研削装置2では、保護テープ3の第1の透過率、第2の透過率及び反射率を測定する際に、光の分光スペクトルを分析する必要はない。すなわち、それぞれの受光部は、光を分光する分光光度計を備える必要はない。
研削装置2(識別装置)に分光光度計を組み込む場合、分光光度計にコストがかかるだけでなく、研削装置2が大型化してしまい、研削装置2が設置される工場等の空間を圧迫してしまう。これに対して、以上に説明した研削装置2(識別装置)では、識別ユニット42の測定ユニット46を使用して保護テープ3の種別を識別できる。したがって、省スペースな構成の装置でより確実に保護テープ3の種別を識別できる。
研削装置2では、被加工物1を研削する前に、被加工物1の表面1aに貼着されている保護テープ3の種別を識別できる。そのため、保護テープ3の種別が参照されて決定された加工条件で被加工物1を研削すると、所望の加工結果を得ることができる。言い換えると、想定される種別ではない保護テープ3が被加工物1に貼着されている場合でも、被加工物1を加工する前に保護テープ3の種別の誤りを検出できるため、被加工物1に対する不適切な加工を防止できる。
なお、本実施形態に係る保護テープ3の識別方法を実施できる識別装置は研削装置2に限定されず、識別装置は研削ユニット24を備えていなくてもよい。例えば、識別装置は、被加工物1に保護テープ3を貼着するテープマウンターでもよい。図2(B)は、テープマウンター54の構成を模式的に示す側面図である。次に、識別装置として機能できるテープマウンター54について説明する。なお、テープマウンター54は、被加工物1の表面1aに保護テープ3を貼着するとの加工を実施する加工装置でもある。
テープマウンター54には、ロール状に巻かれた状態で長い帯状の保護テープ3が搬入される。そして、該保護テープ3が引き出されて被加工物1に貼着される。その後、必要部分を残して被加工物1の外周に沿って保護テープ3が切断されることで被加工物1に保護テープ3が配設される。そして、必要部分がくり抜かれた帯状の保護テープ3がロール状に巻かれて回収される。
テープマウンター54は、保護テープ3のロール3aを回転可能に支持する芯部56を備える。該芯部56は、ロール3aの中心の貫通孔に挿入される。ロール3aからは帯状の保護テープ3が引き出される。引き出された保護テープ3は、テープマウンター54が備えるローラー58,62,64等にガイドされてテープマウンター54内を進行する。
なお、保護テープ3の貼着面には、該貼着面を保護する剥離シート3cが貼着されている。そこで、保護テープ3が被加工物1に貼着される前に剥離シート3cが保護テープ3から剥離される。テープマウンター54は、剥離シート3cをロール状に巻いて回収する芯部60を備え、芯部60には保護テープ3から剥離された剥離シート3cが巻かれる。
テープマウンター54は、被加工物1等の被貼着物を支持する支持テーブル72を備える。支持テーブル72の上面には、予め被加工物1が載せられる。このとき、被加工物1の被貼着面である表面1aが上方に向けられ、被加工物1の裏面1bが下方に向けられる。そして、裏面1bが支持テーブル72の上面に接触する。支持テーブル72の上方では、帯状の保護テープ3が被加工物1の表面1aに沿って進行する。
支持テーブル72のさらに上方には、被加工物1の表面1aに貼着された帯状の保護テープ3の不要部分を切り離す昇降可能なテープカッター74が設けられている。テープカッター74は、支持テーブル72の上面に垂直な方向に沿ったスピンドル74aと、スピンドル74aの下端に接続された円板状のカッターホイール74bと、カッターホイール74bの外周部下面に装着されたカッター74cと、を備える。
スピンドル74aの上端には図示しない回転駆動源が接続されており、該回転駆動源を作動させるとカッターホイール74bがスピンドル74aの周りに回転し、カッター74cが円環軌道上を移動する。なお、スピンドル74aの上端には、回転駆動源に代えて作業者がスピンドル74aを回転させるためのハンドルが装着されていてもよく、作業者が手動でカッターホイール74bを回転させてもよい。
また、支持テーブル72の上方の保護テープ3と、テープカッター74と、の間には、押圧ローラー70a,70bが設けられている。押圧ローラー70a,70bは昇降可能であるとともに、支持テーブル72の上面に沿った方向に移動可能である。押圧ローラー70a,70bは、上方から保護テープ3を押圧して保護テープ3を被加工物1の表面1aに貼着させる機能を有する。なお、図2(B)では、2つの押圧ローラー70a,70bを備えるテープマウンター54が示されているが、一方の押圧ローラー70a,70bは省略されてもよい。
また、支持テーブル72を挟んで芯部56の反対側には、帯状の保護テープ3の不要部分を巻き取る芯部66が設けられている。芯部66には、帯状の保護テープ3の不要部分が巻き取られてロール3bが形成される。
芯部56,60,66及びローラー58,62,64には図示しない回転駆動源がそれぞれ接続されており、各回転駆動源が連動して作動することで支持テーブル72に支持される被加工物1の上方に帯状の保護テープ3が引き出される。ただし、芯部56,60,66及びローラー58,62,64のすべてに回転駆動源が接続されている必要はない。
テープマウンター54において被加工物1の表面1aに保護テープ3を貼着する際には、まず、支持テーブル72の上方に帯状の保護テープ3を引き出す。そして、押圧ローラー70a,70bにより保護テープ3を上方から押圧して被加工物1の表面1aに保護テープ3を貼着させる。その後、テープカッター74を下降させながら円環軌道に沿ってカッター74cを移動させて、被加工物1の外周に沿って保護テープ3を切断する。すると、被加工物1の表面1aに保護テープ3が貼着される。
ここで、テープマウンター54の芯部56に帯状の保護テープ3が巻かれたロール3aを配設する際、誤った種別の保護テープ3を準備してしまう場合がある。保護テープ3は、種別による外観上の差が小さいため、予定されていない種別の保護テープ3が巻かれたロール3aが芯部56に配設されても作業者が保護テープ3の種別の間違いに気づかない場合がある。被加工物1に誤った種別の保護テープ3を貼着すると、その後、上述の通り被加工物1を所定の加工条件で適切に加工できない。
そこで、保護テープ3の種別を識別する識別機能をテープマウンター54に具備させるために、テープマウンター54には、測定ユニット120と、制御ユニット54cと、が組み込まれる。制御ユニット54cは、特性登録部54a及び識別部54bを含み、測定ユニット120を制御する。測定ユニット120と、特性登録部54aと、識別部54bと、はそれぞれ研削装置2が備える測定ユニット104と、特性登録部44aと、識別部44bと、と同様に構成される。
すなわち、測定ユニット120は、筐体122,124を含む回帰反射型センサ126を備える。また、測定ユニット120は、筐体128,130を含む透過型センサ132を有してもよく、さらに、反射型センサ134を有してもよい。回帰反射型センサ126の筐体122,124は、図3(C)に示した回帰反射型センサ96の筐体96a,96bに対応する。透過型センサ132の筐体128,130は、図3(B)に示した透過型センサ90の筐体90a,90bに対応する。反射型センサ134は、図3(A)に示した反射型センサ84に対応する。
測定ユニット120の各部の機能は、上述の測定ユニット104の機能と同様である。また、特性登録部54a及び識別部54bの機能は、上述の特性登録部44a及び識別部44bの機能と同様である。そのため、測定ユニット120、特性登録部54a及び識別部54bの説明を省略する。
測定ユニット120、特性登録部54a及び識別部54bを使用すると、識別対象の保護テープ3の第1の透過率を測定できる。さらに、保護テープ3の第2の透過率及び反射率が測定されてもよい。制御ユニット54cでは、測定された第1の透過率から識別対象の保護テープ3の種別を識別する。この際、第1の透過率に加えて第2の透過率及び反射率が参照されてもよい。
ここで、図2(B)に示すテープマウンター54の構成においては、保護テープ3が剥離シート3cと一体化された状態の光学特性が測定される。そのため、特性登録部54aには、剥離シート3cと一体化された状態の各種の保護テープ3の光学特性が登録される。特に、剥離シート3cの材料の選択の幅は保護テープ3の材料の選択の幅よりも広いため、保護テープ3の種別を識別が容易となるように、各保護テープ3に使用される剥離シート3cにそれぞれ光学特性が互いに大きく異なる材料を使用してもよい。
ただし、識別装置として機能するテープマウンター54はこれに限定されず、剥離シート3cが剥離された後の保護テープ3の光学特性が測定ユニット76により測定されてもよい。
なお、識別装置として機能する研削装置2及びテープマウンター54等は、さらに、使用者に警告する警告装置を有してもよい。この場合、識別対象の保護テープ3の種別を識別した結果、該保護テープ3の種別が予定されていない保護テープ3の種別であることが判明した場合に、警告装置で該使用者に警告を発する。ここで、警告装置とは、例えば、警報音を発するブザー、点灯することで異常状態であることを示す警告ランプ、または、警報を表示する表示画面等である。
なお、識別装置に組み込まれた測定ユニット104,120が識別対象の保護テープ3の第1の透過率と、第2の透過率と、反射率と、を測定する場合、各センサが備える発光部等の一部の機能を他のセンサの発光部等に担当させることが考えられる。この場合、一部の発光部及び受光部を省略できる。例えば、図2(A)に示す測定ユニット104の変形例である測定ユニット46を図5(A)に示す。また、図2(B)に示す測定ユニット120の変形例である測定ユニット76を図5(B)に示す。
測定ユニット46,76は、第1の発光部48a,78aと、識別対象の保護テープ3を介して第1の発光部48a,78aと対面する反射板50,80と、識別対象の保護テープ3を介して反射板50,80と対面する第1の受光部52a,82aと、を有する。
図5(A)及び図5(B)に示す例では、保護テープ3の下方に第1の発光部48a,78a及び第1の受光部52a,82aが配され、保護テープ3の上方に反射板50,80が配されている。しかしながら、測定ユニット46,76はこれに限定されず、保護テープ3の上方に第1の発光部48a,78a及び第1の受光部52a,82aが配され、保護テープ3の下方に反射板50,80が配されてもよい。
第1の発光部48a,78aは、識別対象の保護テープ3に第1の光を照射する機能を有する。また、反射板50,80は、識別対象の保護テープ3を透過した該第1の光を反射させる機能を有する。第1の受光部52a,82aは、第1の発光部48a,78aから発せられ保護テープ3を透過して反射板50,80に到達し、反射板50,80で反射されて保護テープ3に再び照射され、保護テープ3を再び透過した該第1の光を受光する機能を有する。
そして、第1の発光部48a,78aで発せられた第1の光の発光量と、第1の受光部52a,82aで受光された該第1の光の受光量と、から、第1の透過率が算出される。
測定ユニット46,76は、識別対象の保護テープ3を介して第1の受光部52a,82aと対面する第2の発光部48b,78bをさらに備える。第2の発光部48b,78bは、識別対象の保護テープ3に第2の光を照射する機能を有する。
そして、測定ユニット46,76は、第2の発光部48b,78bから識別対象の保護テープ3に第2の光を照射し、識別対象の保護テープ3を透過した該第2の光を第1の受光部52a,82aで受光することで第2の透過率を測定する機能を有する。ここで、測定ユニット46,76は、第2の発光部48b,78bで発せられた第2の光の発光量と、第1の受光部52a,82aで受光された該第2の光の受光量と、から、第2の透過率を算出する。
測定ユニット46,76は、識別対象の保護テープ3を介して第1の発光部48a,78aと対面する第2の受光部52b,82bをさらに備える。この場合、第2の発光部48b,78bは、識別対象の保護テープ3に第3の光を照射する機能を有し、第2の受光部52b,82bは、識別対象の保護テープ3で反射される該第3の光を受光する機能を有する。
そして、測定ユニット46,76は、第2の発光部48b,78bから識別対象の保護テープ3に第3の光を照射し、識別対象の保護テープ3で反射された該第3の光を第2の受光部52b,82bで受光することで反射率を測定する機能を有する。ここで、測定ユニット46,76は、第2の発光部48b,78bで発せられた第3の光の発光量と、第2の受光部52b,82bで受光された該第3の光の受光量と、から、反射率を算出する。
このように図5(A)及び図5(B)に示す変形例によると、識別ユニットの測定ユニットは、回帰反射型センサ、透過型センサ、及び反射型センサを個別に備えていなくてもよい場合があり、一部の発光部及び受光部を省略できる場合がある。
次に、本実施形態に係る保護テープ3の識別方法について説明する。図4(A)は、本実施形態に係る保護テープの識別方法の一例の各ステップのフローを模式的に示すフローチャートである。また、図4(B)は、本実施形態に係る保護テープの識別方法の他の一例のフローを模式的に示すフローチャートである。
図4(A)及び図4(B)に示す通り、該識別方法では、まず、識別対象の保護テープ3の第1の透過率を測定する第1の透過率測定ステップS11を実施する。各種の保護テープ3は、それぞれ所定の第1の透過率を有するため、測定された第1の透過率から保護テープ3の種別の識別が可能である。そこで、第1の透過率測定ステップS11を実施した後、保護テープ3の種別を識別する識別ステップS20を実施する。
なお、識別ステップS20を実施する前に、識別対象の保護テープ3の第2の透過率を測定する第2の透過率測定ステップS12を実施してもよい。また、識別ステップS20を実施する前に、識別対象の保護テープ3の反射率を測定する反射率測定ステップS13を実施してもよい。なお、第2の透過率測定ステップS12と、反射率測定ステップS13と、の一方または両方を実施する場合、識別ステップS20の前に実施される各ステップの順序は適宜入れ替え可能であり、さらに、各ステップを同時に実施してもよい。以下、各ステップについて詳述する。
第1の透過率測定ステップS11では、保護テープ3に第1の光を照射し、保護テープ3を透過した該第1の光を反射板により反射させて再度保護テープ3に照射し、再び保護テープ3を透過した該第1の光を受光して第1の透過率を測定する。ここで、第1の透過率とは、保護テープ3に光を照射して保護テープ3を透過させ、該光を反射させて保護テープ3を再び透過させるときの、受光された該光の強度を照射前の光の強度で除して算出される割合である。
第1の透過率測定ステップS11では、例えば、図2(A)に示される研削装置2の測定ユニット104の回帰反射型センサ110が使用される。または、図2(B)に示されるテープマウンター54の測定ユニット120の回帰反射型センサ126が使用される。または、図5(A)に示される測定ユニット46の第1の発光部48a、反射板50、及び第1の受光部52aが使用される。または、図5(B)に示される測定ユニット76の第1の発光部78a、反射板80、及び第1の受光部82aが使用される。
識別ステップS20では、第1の透過率測定ステップS11で測定された第1の透過率に基づいて保護テープ3の種別を識別する。識別ステップS20では、例えば、制御ユニット44,54cの特性登録部44a,54a及び識別部44b,54bが使用される。
特性登録部44a,54aには、種別毎に保護テープ3の光学特性が登録されている。識別部44b,54bは、第1の透過率測定ステップS11で測定された保護テープ3の第1の透過率で特性登録部44a,54aに照合する。すなわち、識別部44b,54bは、特性登録部44a,54aに光学特性が登録されている保護テープ3のうち、第1の透過率が識別対象の保護テープ3の第1の透過率と同程度である保護テープ3の種別を該識別対象の保護テープ3の種別として識別する。
ここで、保護テープ3の第2の透過率を測定する第2の透過率測定ステップS12を実施する場合、識別ステップS20では、第1の透過率に加えて第2の透過率に基づいて該保護テープ3の種別を識別してもよい。第2の透過率測定ステップS12では、保護テープ3に第2の光を照射し、保護テープ3を透過した第2の光を受光して第2の透過率を測定する。ここで、第2の透過率とは、保護テープ3に光を照射して保護テープ3を透過させるときの、受光された該光の強度を照射前の光の強度で除して算出される割合である。
第2の透過率測定ステップS12では、例えば、図2(A)に示される研削装置2の測定ユニット104の透過型センサ116が使用される。または、図2(B)に示されるテープマウンター54の測定ユニット120の透過型センサ132が使用される。または、図5(A)に示される測定ユニット46の第2の発光部48b及び第1の受光部52aが使用される。または、図5(B)に示される測定ユニット76の第2の発光部78b及び第1の受光部82aが使用される。
識別ステップS20において、第1の透過率測定ステップS11で測定される第1の透過率に加えて第2の透過率測定ステップS12で測定される第2の透過率に基づいて保護テープ3の種別の識別が実施されると、識別の精度が向上する。
また、保護テープ3の反射率を測定する反射率測定ステップS13を実施する場合、識別ステップS20では、第1の透過率に加えて反射率に基づいて該保護テープ3の種別を識別してもよい。反射率測定ステップS13では、保護テープ3に第3の光を照射し、保護テープ3で反射した該第3の光を受光して反射率を測定する。ここで、反射率とは、保護テープ3に光を照射して保護テープ3で反射された光を受光したときの、受光された該光の強度を照射前の光の強度で除して算出される割合である。
反射率測定ステップS13では、例えば、図2(A)に示される研削装置2の測定ユニット104の反射型センサ118が使用される。または、図2(B)に示されるテープマウンター54の測定ユニット120の反射型センサ134が使用される。または、図5(A)に示される測定ユニット46の第2の発光部48b及び第2の受光部52bが使用される。または、図5(B)に示される測定ユニット76の第2の発光部78b及び第2の受光部82bが使用される。
識別ステップS20において、第1の透過率測定ステップS11で測定される第1の透過率に加えて反射率測定ステップS13で測定される反射率に基づいて保護テープ3の種別の識別が実施されると、識別の精度が向上する。
さらに、第2の透過率測定ステップS12及び反射率測定ステップS13のいずれもが実施されると、識別ステップS20では、第1の透過率と、第2の透過率と、反射率と、に基づいて保護テープ3の種別を識別できる。第1の透過率と、第2の透過率と、反射率と、に基づいて保護テープ3の種別を識別する場合、識別の精度が極めて高くなる。
ここで、特性登録部44a,54aに登録される各種の保護テープ3の光学特性の一例について説明する。下記の表1には、テープAからテープKまでの11種別の保護テープ3の光学特性が示されている。該光学特性は、第1の透過率と、第2の透過率と、反射率と、を含む。下記の表1では、各光学特性の具体的な数値ではなく、互いに判別可能な範囲毎にそれぞれの数値を分類したときの該数値が属する分類の名称が示されている。同じ分類に属する数値は、互いに判別が容易ではないと言える。
ここで、各保護テープ3の反射率は、それぞれAからDの4つの範囲に分類された。また、各保護テープ3の第1の透過率は、1から8の8つの範囲に分類された。さらに、各保護テープ3の第2の透過率は、aからeまでの5つの範囲に分類された。このように、第1の透過率は、第2の透過率及び反射率よりも多くの範囲で分類が可能である。
例えば、識別対象の保護テープ3の反射率だけが測定される場合に、測定された反射率が表1のBに分類される値であると、保護テープ3の種別の候補は、表1のテープD、テープE、テープF、テープGの4つが存在することとなる。そのため、識別対象の保護テープ3の種別を識別できない。
その一方で、識別対象の保護テープ3の第1の透過率を測定した結果、測定された第1の透過率が表1の3に分類される値であると、保護テープ3の種別の候補は表1のテープEに絞られる。そのため、識別対象の保護テープ3の種別はテープEであると識別される。このように、本実施形態に係る保護テープ3の識別方法によると、保護テープ3の種別間で反射率よりも差が生じ易い第1の透過率で保護テープ3の種別を識別するため、容易かつ正確に保護テープ3の種別が識別される。
また、識別対象の保護テープの第1の透過率が表1の5に分類される値である場合、保護テープ3の種別の候補は、テープA及びテープDとなる。この場合、さらに識別対象の保護テープ3の第2の透過率または反射率が測定されると、保護テープ3の種別がテープAまたはテープDのいずれの種別であるか識別できる。このように、本実施形態に係る保護テープ3の識別方法により種別が識別されると、加工装置における被加工物1の不適切な加工を防止できる。
なお、本実施形態に係る保護テープ3の識別方法は、被加工物1を加工する加工方法の一部として実施されてもよい。この場合、該識別方法により識別された保護テープ3の種別に基づいて保護テープ3が貼着された被加工物1を加工する加工条件を選定する加工条件選定ステップが実施されてもよい。例えば、研削装置2の制御ユニット44には被加工物1に貼着される各種の保護テープ3に対応した加工条件が登録されており、制御ユニット44は識別された保護テープ3の種別に対応する加工条件を選定する。
次に、研削装置2等の加工装置では、保護テープ3が貼着された被加工物1を該加工条件選定ステップで選定された該加工条件で加工する加工ステップが実施されてもよい。この場合、被加工物1に貼着される保護テープ3の種別に応じて加工条件が選定されるため、例えば、カセット6aに収容される複数の被加工物1の一部に予定されていない種別の保護テープ3が貼着されていてもそれぞれの被加工物1を適切に加工できる。
したがって、保護テープ3の識別方法により保護テープ3の種別を識別して、その後、加工条件選定ステップと、加工ステップと、を実施する被加工物の加工方法によると、被加工物1に貼着されている保護テープ3の種別に関わらず被加工物1を適切に加工できる。
なお、本発明の一態様は、上記実施形態の記載に限定されず、種々変更して実施可能である。例えば、上記実施形態では、被加工物1の裏面1b側が研削される際に被加工物1の表面1aに貼着される保護テープ3を識別する場合について説明したが、識別対象はこれに限定されない。例えば、保護テープ3は、被加工物1を円環状の切削ブレードで切削して分割する際に該被加工物1に貼着されるダイシングテープでもよい。
そして、識別装置として機能する研削装置2について説明したが、識別装置として機能する加工装置はこれに限定されない。例えば、識別装置は円環状の切削ブレードを備える切削装置でもよい。切削装置においても被加工物1の加工条件がダイシングテープの種別が参照されて決定される場合がある。そのため、被加工物1を切削する前にダイシングテープの種別が識別できると、被加工物1の不適切な条件での加工を防止できる。
さらに、保護テープ3がダイシングテープである場合、識別装置として機能する加工装置は、個々のチップに分割された被加工物1を保持するダイシングテープを径方向外側に拡張してチップ間距離を広げるエキスパンダーでもよい。エキスパンダーでは、ダイシングテープの種別により異なる条件でダイシングテープが拡張される場合がある。そこで、エキスパンダーにおいてエキスパンドテープの種別を識別できると、エキスパンドテープの種別に応じた適切な条件で該エキスパンドテープを拡張できる。
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。