JP7240256B2 - 水中物体捜索計画検討支援システムおよび水中物体捜索計画検討支援方法 - Google Patents

水中物体捜索計画検討支援システムおよび水中物体捜索計画検討支援方法 Download PDF

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Description

本発明は、海洋等の捜索水域に潜在する水中物体を捜索する捜索計画の検討を支援する水中物体捜索計画検討支援システムおよび水中物体捜索計画検討支援方法に関する。
海洋等の広大な水域に潜在する水中物体を捜索するために、従来から、ソーナーシステムが用いられる。ソーナーシステムは、自ら音波を送信(発振)するアクティブ方式と、水中物体が放射する音波を捕捉するパッシブ方式との2種類に大別することができる。このうちアクティブ方式のソーナーシステム(アクティブソーナーシステム)では、一般的には、電気信号を音響信号に変換する音波送信器から水中に音波を送信し、水中からの反射波を音波受信器で受信し、受信した反射波を電気信号に変換して信号処理する。反射波から得られる信号に基づいて、水中物体の位置および移動変化に関する情報を取得することができるので、水中物体の捜索が可能になる。
アクティブソーナーシステムは、さらに、モノスタティック方式とマルチスタティック方式との2種類に大別することができる。モノスタティック方式では、音波送信器および音波受信器が同一の装置にまとめられている。マルチスタティック方式では、音波送信器および音波受信器がそれぞれ別の独立した装置に分離されている。また、アクティブソーナーシステムの具体的な構成としては、水面に浮遊するブイにソーナー装置を設けた構成のソノブイ、あるいは、捜索用の航空機または水上艦等の捜索機にソーナー装置を設けた構成等が挙げられる。一般に、ソノブイは捜索機から水上に投下されて用いられる。
ここで、水中における音波の伝搬は、様々な条件に影響を受ける。例えば、海洋では、捜索水域に固有の環境に応じて、伝搬媒体としての水の諸条件(水温、水深、水圧、塩分濃度等)は異なってくる。また、水中では、音波は、上記の諸条件によって決定される音速分布に応じて上下に屈折を繰り返しながら伝搬する。さらには、海底地形等によっては、音波に減衰、反射、または散乱等が生じる。それゆえ、捜索水域に平面波の音波を送信しても、捜索水域の特性に応じて、平面波が複雑に変形して水中を伝搬することになる。
アクティブソーナーシステムにおいて音波の伝搬が捜索水域の特性に影響を受けるということは、音波送信器から送信された音波が水中物体に十分に到達しない可能性、あるいは、水中物体からの反射波が音波受信器で十分に受信できない可能性が想定される。そこで、特定の捜索水域で水中物体を捜索する際には、捜索者は、当該捜索水域に固有の環境を考慮して、好適な捜索計画を立案する必要がある。
このような捜索計画の立案の検討を支援する手法としては、例えば、特許文献1または2に例示する水中物体捜索計画立案支援装置および方法(支援装置および方法)が挙げられる。
特許文献1では、水中物体がとり得るあらゆる回避行動パターンを想定することを主たる課題としている。そして、特許文献1に開示の支援装置および方法では、水中物体の複数の回避行動パターンとこれら回避行動パターンの発生確率を設定し(シミュレーション条件の設定)、捜索領域内に水中物体が一様に分布する状態を初期状態として、発生確率に応じた回避行動パターンに従って水中物体を回避行動させるシミュレーションを行い(シミュレーションの試行)、シミュレーション結果である捜索領域内の水中物体の存在分布を表示している(シミュレーション結果の表示)。
特許文献2では、水中物体と捜索機との有利、不利を定量的に比較することを主たる課題の一つとしている。そして、特許文献2に開示の支援装置および方法では、特許文献1に開示の支援装置および方法と同様に、シミュレーション条件の設定、シミュレーションの試行、およびシミュレーション結果の表示を実行することに加えて、水中物体と捜索機との捜索の有利、不利の状況および時間経過推移を定量的に表示する処理をさらに実行している。
特開2012-159459号公報 特開2013-190344号公報
特許文献1に開示の支援装置および方法では、海洋環境情報、水中物体の通常行動および回避行動、水中物体を捜索する捜索機の情報を予め設定してからシミュレーションを実行して表示している。そのため、捜索領域内に水中物体が一様に分布する状態を初期状態とするとしても、実体的には、設定条件に対して1回のシミュレーションを実行することになる。このような1回のシミュレーションでは、捜索計画を網羅的に検討するには限界があると考えられる。
特許文献2では、捜索の有利、不利の状況および時間経過推移を定量的に表示するために、捜索領域内の水中物体の存在分布、並びに、捜索機が探知した水中物体の数および捜索機を探知した水中物体の数について、時間経過との関係を時々刻々グラフ表示している。しかしながら、特許文献2に開示の支援装置および方法では、基本的な処理が特許文献1に開示の支援装置および方法と同じであるため、特許文献1と同様に、捜索計画を網羅的に検討するには限界があると考えられる。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、アクティブソーナーシステムによる水中物体の捜索計画の立案において、捜索計画の網羅的な検討をより一層良好に支援することが可能な支援システムおよび支援方法を提供することを目的とする。
本発明に係る水中物体捜索計画検討支援システムは、前記の課題を解決するために、捜索水域に向けて音波を送信し、水中物体からの反射波を受信することにより、水中物体を捜索する捜索計画を検討する、水中物体捜索計画検討支援システムであって、水測予察情報、前記捜索に用いられる捜索機器の諸元、前記水中物体の諸元、および前記捜索水域の環境諸元を含む、捜索計画情報を記憶する記憶部と、前記捜索計画情報に基づいて前記捜索計画を立案する捜索計画立案部と、前記水中物体の諸元に含まれる当該水中物体の複数の行動パターンに基づいて、立案された前記捜索計画を複数回シミュレーションし、複数のシミュレーション結果を生成するシミュレーション部と、生成した複数の前記シミュレーション結果を統計分析する統計分析部と、制御部と、を備え、前記統計分析部では、前記捜索計画に含まれる捜索条件のうち前記シミュレーション結果に影響を及ぼす可能性があるものを、感度分析パラメータとして設定し、当該感度分析パラメータを変化させる感度分析処理を実行し、これにより、立案された前記捜索計画が前記水中物体の捜索に寄与する程度を評価するための捜索計画評価値を生成する構成である。
前記構成によれば、水中物体の複数の行動パターンに基づいて捜索計画を複数回シミュレーションして統計分析するだけでなく、統計分析に際して感度分析処理を実行して捜索計画評価値を生成している。この捜索計画評価値に基づいて、立案された捜索計画について水中物体の捜索に寄与する程度を評価することができるので、捜索計画の検討者は、より好ましい捜索計画を予測することができる。そのため、前記構成では、網羅的な検討のためにやみくもに捜索計画を立案してシミュレーションして評価するのではなく、捜索計画評価値という根拠に基づいて捜索計画を評価することができる。その結果、アクティブソーナーシステムによる水中物体の捜索計画の立案において、捜索計画の網羅的な検討をより一層効率的に支援することが可能となる。
前記構成の水中物体捜索計画検討支援システムにおいては、表示部をさらに備え、前記制御部は、さらに、前記捜索計画立案部で立案された前記捜索計画を前記表示部で再生表示させる構成であってもよい。
また、前記構成の水中物体捜索計画検討支援システムにおいては、前記制御部は、前記捜索計画評価値を前記シミュレーション結果の評価データとともに前記表示部に表示させる構成であってもよい。
また、前記構成の水中物体捜索計画検討支援システムにおいては、前記水中物体の前記行動パターンは、前記シミュレーション部により自動生成される構成であってもよい。
また、前記構成の水中物体捜索計画検討支援システムにおいては、前記捜索機器として、音波を送信する音波送信器、前記水中物体からの反射波を受信する音波受信器、並びに、これらを捜索水域に投下して前記水中物体を捜索する捜索機が用いられ、前記捜索計画情報のうち前記捜索機器の諸元としては、前記捜索機の運動性能、前記捜索機の行動パターン、音波受信器の種別、音波受信器の数、音波受信器の受波性能、音波送信器の種別、音波送信器の数、音波送信器の送信(発音)性能の少なくともいずれかである構成であってもよい。
また、前記構成の水中物体捜索計画検討支援システムにおいては、前記捜索計画情報のうち前記水中物体の諸元は、当該水中物体の運動性能、当該水中物体の音響特性、当該水中物体の初期行動パターン、当該水中物体の回避行動パターンの少なくともいずれかであり、複数回の前記シミュレーションに用いられる前記水中物体の複数の行動パターンは、前記初期行動パターン、または、前記初期行動パターンおよび前記回避行動パターンである構成であってもよい。
また、前記構成の水中物体捜索計画検討支援システムにおいては、前記捜索計画情報のうち前記捜索水域の環境諸元は、当該捜索水域の風向、風速、潮流、海況(シーステート)、海底地形、底質の少なくともいずれかである構成であってもよい。
また、前記構成の水中物体捜索計画検討支援システムにおいては、前記捜索機器として、前記音波送信器および前記音波受信器の双方を備える送受信装置を含むモノスタティックソーナーシステムが用いられるか、あるいは、前記音波送信器を備える送信装置と、当該送信装置とは独立して構成され、前記音波受信器を備える受信装置と、を含むマルチスタティックソーナーシステムが用いられる構成であってもよい。
また、前記構成の水中物体捜索計画検討支援システムにおいては、前記モノスタティックソーナーシステムまたは前記マルチスタティックソーナーシステムでは、ソノブイが用いられる構成であってもよい。
また、本発明に係る水中物体捜索計画検討支援方法は、前記の課題を解決するために、捜索水域に向けて音波を送信し、水中物体からの反射波を受信することにより、水中物体を捜索する捜索計画を検討する、水中物体捜索計画検討支援方法であって、水測予察情報、前記捜索に用いられる捜索機器の諸元、前記水中物体の諸元、および前記捜索水域の環境諸元を含む、捜索計画情報を設定し、前記捜索計画情報に基づいて前記捜索計画を立案し、前記水中物体の諸元に含まれる当該水中物体の複数の行動パターンに基づいて、立案された前記捜索計画を複数回シミュレーションして複数のシミュレーション結果を生成し、生成した複数の前記シミュレーション結果を統計分析し、当該統計分析に際しては、前記捜索計画に含まれる捜索条件のうち前記シミュレーション結果に影響を及ぼす可能性があるものを、感度分析パラメータとして設定し、当該感度分析パラメータを変化させる感度分析処理を実行し、これにより、立案された前記捜索計画が前記水中物体の捜索に寄与する程度を評価するための捜索計画評価値を生成する方法である。
本発明では、以上の構成により、アクティブソーナーシステムによる水中物体の捜索計画の立案において、捜索計画の網羅的な検討をより一層良好に支援することが可能な支援システムおよび支援方法を提供することができる、という効果を奏する。
本発明の代表的な実施の形態に係る水中物体捜索計画検討支援システムの構成例を示すブロック図である。 本発明の代表的な実施の形態に係る水中物体捜索計画検討支援方法の構成例を示すフローチャートである。 (A)は、図1に示す支援システムまたは図2に示す支援方法における水中物体捜索計画において、音波送信器および音波受信器の敷設例を示す模式図であり、(B)は、(A)に示す敷設例における水中物体捜索計画のシミュレーション例を示す模式図である。 (A)~(C)は、図3(B)に示すシミュレーション例のより具体的な一例を示す模式図である。 図1に示す支援システムまたは図2に示す支援方法における捜索計画評価値の算出例を示す模式図である。
以下、本発明の代表的な実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
[水中物体捜索計画検討支援システム]
まず、本開示に係る水中物体捜索計画検討支援システムについて、図1を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明では、本開示に係る水中物体捜索計画検討支援システムまたは水中物体捜索計画検討支援方法を、適宜「支援システム」または「支援方法」と略し、水中物体捜索計画を適宜「捜索計画」と略す。
図1に示すように、本開示に係る支援システム10は、制御部11、表示部12、入力部13、記憶部14、捜索計画立案部15、シミュレーション部16、統計分析部17等を備えている。制御部11は支援システム10の動作を制御する。表示部12は、制御部11の制御により支援システム10の動作に伴う様々な情報を表示する。入力部13は、制御部11の制御により支援システム10の動作に伴う様々な情報入力を可能とする。
記憶部14は、支援システム10の動作に用いられる様々な情報、並びに、支援システム10の動作により生成された様々な情報を記憶する。本実施の形態では、記憶部14は、少なくとも捜索計画の立案に用いられる各種の捜索計画情報を記憶している。具体的な捜索計画情報としては、図1に示すように、水測予察情報21、捜索機器の諸元22、水中物体の諸元23、捜索水域の環境諸元24、およびシミュレーション諸元25が挙げられるが、これらに限定されない。また、これら捜索計画情報の詳細については後述する。
記憶部14に記憶される捜索計画情報は、予め記憶部14に記憶されてもよいし、入力部13から適宜入力された各種情報が、制御部11の制御により捜索計画情報として設定され、これにより記憶部14に記憶されてもよい。また、記憶部14には、図示しないが、制御部11の制御により支援システム10を動作させるための公知のプログラムおよび当該プログラムの実行に用いられる種々の情報が記憶されていればよい。
捜索計画立案部15は、記憶部14に記憶される捜索計画情報に基づいて、捜索水域に潜在する(可能性がある)水中物体を捜索するための捜索計画を立案する。本開示では、水中物体の捜索は、捜索水域に向けて音波を送信(発振)し、水中物体からの反射波を受信することにより行われる。本開示に係る支援システム10は、捜索計画の検討者が捜索計画の良否等を検討するための支援を行うシステムである。なお、水中物体の捜索および捜索計画の詳細については後述する。
シミュレーション部16は、捜索計画立案部15により立案された捜索計画をシミュレーションしてシミュレーション結果を生成する。このシミュレーションは、1回のみ試行されるのではなく、記憶部14に記憶される捜索計画情報のうち、水中物体の諸元23に含まれる当該水中物体の複数の行動パターンに基づいて、複数回試行される。そのため、シミュレーション部16は、複数のシミュレーション結果を生成する。
統計分析部17は、シミュレーション部16により生成された複数のシミュレーション結果を統計分析する。統計分析部17では、捜索計画立案部15で立案された捜索計画に含まれる捜索条件のうち、シミュレーション結果に影響を及ぼす可能性があるものを、感度分析パラメータとして設定し、当該感度分析パラメータを変化させる感度分析処理を実行する。この感度分析処理に基づいて、立案された捜索計画が水中物体の捜索に寄与する程度を評価するための捜索計画評価値を生成する。
本開示に係る支援システム10が備える制御部11、表示部12、入力部13、記憶部14、捜索計画立案部15、シミュレーション部16、統計分析部17等の具体的な構成は特に限定されない。
例えば表示部12としては、液晶パネル、プラズマディスプレイパネル、有機ELディスプレイ等の公知のフラットパネルディスプレイを好適に用いることができるが、特に限定されない。入力部13としては、キーボード、マウス(トラックボール方式の入力装置)、ペンタブレット、スキャナ、カードリーダ、バーコードリーダ等の公知の入力機器を用いることができるが特に限定されない。支援システム10が外部機器と通信可能に構成されていれば、通信部も入力部13として機能することができる。
また、支援システム10は、表示部12以外の出力部を備えてもよい。例えば、インクジェットプリンタまたは電子写真方式のプリンタ等の公知の印刷装置を出力部として備えてもよい。あるいは、前記の通り、支援システム10が通信可能に構成されていれば、通信部は、入力部13とともに出力部としても機能することができる。さらには、表示部12がタッチパネルとして構成されていれば、このようなタッチパネル型の表示部12は入力部13を兼ねることになる。加えて、本開示に係る支援システム10では、表示部12および入力部13(並びに表示部12以外の出力部)はそれぞれ1つのみ備えてもよいし、同一種類または異なる種類のものを複数備えてもよい。
記憶部14は、公知の演算器の内部メモリとして構成されてもよいし、演算器から独立した外部メモリとして構成されてもよいし、支援システム10に外付けされた外部記憶装置として構成されてもよい。外部メモリとしてはハードディスク等が挙げられ、外部記憶装置としては、ハードディスク、光ディスク、フラッシュメモリ等が挙げられるが特に限定されない。支援システム10では、記憶部14も1つのみ備えてよいし、同一種類または異なる種類のものを複数備えてもよい。
制御部11、捜索計画立案部15、シミュレーション部16、および統計分析部17の具体的構成は特に限定されないが、代表的には、マイクロコンピュータまたはマイクロコントローラの機能構成であって、公知の演算器(演算素子、演算装置)が、記憶部14に格納されるプログラムにしたがって動作することにより実現される機能構成であればよい。また、制御部11、捜索計画立案部15、シミュレーション部16、および統計分析部17の少なくとも一部の機能は、公知のスイッチング素子、減算器、比較器等による論理回路等として構成されてもよいし、独立した処理装置として構成されてもよい。
制御部11、捜索計画立案部15、シミュレーション部16、および統計分析部17を実現する演算器は特に限定されず、公知のCPU(Central Processing Unit),GPU(Graphics Processing Unit),FPGA(Field-Programmable Gate Array),ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を挙げることができる。これら演算器は単独で用いられてもよいし、複数用いられてもよいし、演算器そのものがマルチコアで構成されてもよい。
また、本開示に係る支援システム10は、図1でブロック化して示す構成以外の構成を備えていてもよい。例えば、前記の通り、表示部12以外の出力部、あるいは、通信部等を備えてもよい。また、演算器により実現される機能構成としても、制御部11、捜索計画立案部15、シミュレーション部16、および統計分析部17に限定されず、支援システム10の具体的な用途等に応じて他の機能構成を備えてもよい。
本開示に係る支援システム10では、捜索計画立案部15による捜索計画の立案方法は具体的に限定されず、想定される捜索機器の構成と捜索水域における水測予察情報21とに基づいて(必要に応じてこれら以外の他の情報等も併用して)、捜索に関わる種々の条件を設定するように立案すればよい。捜索機器および捜索計画の具体例については、支援方法の一例とともに後述する。
本開示に係る支援システム10では、シミュレーション部16で実行される捜索計画のシミュレーションは特に限定されないが、捜索計画において、異なる変数が相互に、どのように影響し合うかを仮定し、水中物体の捜索行動の結果を数学的に予想するものであればよい。任意の変数の値は特別な状況を模擬するために設定され、本開示では、この変数が捜索計画に含まれる捜索条件に相当し、捜索計画のシミュレーションによって任意の捜索条件の効力を測定または評価することができる。
具体的なシミュレーション方法としては、例えば、モンテカルロ法、マルコフ連鎖モンテカルロ法、ブートストラップ法、メトロポリス法、ラスベガス法等を挙げることができるが、特に限定されない。代表的な一例としては、モンテカルロ法またはマルコフ連鎖モンテカルロ法を挙げることができる。これらのシミュレーション方法により捜索計画をシミュレーションすることで、捜索条件の効力を有効に測定または評価することが可能となる。
本開示に係る支援システム10では、統計分析部17で実行される統計分析は特に限定されないが、シミュレーション部16により得られた複数のシミュレーション結果を、特定の指標に基づいてグループ化して集計し、捜索計画立案部15で立案された捜索計画がどの程度有効であるかを分析するものであればよい。本実施の形態では、より良好な分析結果を得るために、複数の分析手法を用いることが好ましい。
具体的な分析手法としては、例えば、クロス集計、クラスター分析、アソシエーション分析、共分散構造分析、重回帰分析等を挙げることができるが、特に限定されない。代表的な一例としては、クロス集計またはクラスター分析を挙げることができ、好ましい一例としては、クロス集計およびクラスター分析の併用を挙げることができる。本開示では、捜索計画に含まれる捜索条件のうち感度分析パラメータとして設定された情報について感度分析処理を実行するが、このとき、クロス集計およびクラスター分析の少なくとも一方(もしくは両方)を用いることが好ましい。
[水中物体捜索計画検討支援方法]
次に、本開示に係る水中物体捜索計画検討支援方法の一例について、図1に示す支援システム10に基づいて、図2を参照して具体的に説明する。図2のフローチャートに示すように、本実施の形態に係る支援方法は、例えば合計11のステップを有している。なお、図2に示す支援方法の一例は本開示を限定するものではなく、図2に示すステップ以外のステップを含んでもよいし、一部のステップは省略されてもよいし、任意のステップが複数のステップに区分されてもよいし、複数のステップが統合されてもよい。
まず、支援システム10に対しては捜索計画情報が設定され、捜索計画立案部15は設定された捜索計画情報に基づいて捜索計画を立案する(ステップS01)。前記の通り、捜索計画情報としては、例えば、水測予察情報21、捜索機器の諸元22、水中物体の諸元23、捜索水域の環境諸元24、およびシミュレーション諸元25が挙げられ、これら捜索計画情報は、例えば、入力部13からの入力により支援システム10に設定されて記憶部14に記憶される。
水測予察情報21は、捜索計画の対象となる捜索水域(例えば海洋の特定海域)における水測予察の結果であり、当該捜索水域において、音波送信器から送信される音波が水中物体(目標)を探知できる距離または範囲である。水測予察情報21の生成(算出)の手法は特に限定されないが、例えば、公知のソーナー方程式を用いて、探知(可能)距離または探知(可能)範囲を予測してもよい。あるいは、捜索水域における音波の伝搬状況を把握して、この伝搬状況から探知距離または探知範囲を算出してもよい。さらには、水測予察情報21には、探知距離または探知範囲以外に、水中物体の捜索効率が好適化するような音波送信器および音波受信器の水深、あるいは、送信される音波の周波数、送信パワー、パルス幅等のパラメータについての好適値等が含まれてもよい。
捜索機器の諸元22は、水中物体の捜索に用いられる各種捜索機器に関する諸元(性能等の諸要素)であればよい。具体的な捜索機器は特に限定されないが、自ら音波を送信するアクティブソーナーシステムとしては、モノスタティックソーナーシステムまたはマルチスタティックソーナーシステムが挙げられる。モノスタティックソーナーシステムは、音波送信器および音波受信器の双方を備える送受信装置を含む構成である。マルチスタティックソーナーシステムは、音波送信器を備える送信装置と、当該送信装置とは独立して構成され、音波受信器を備える受信装置と、を含む構成である。
これらアクティブソーナーシステムが備える送受信装置、送信装置、または受信装置は、捜索水域を捜索する捜索機に設けられてもよいし、捜索機とは別にソノブイとして構成されてもよい。特に、マルチスタティックソーナーシステムでは、送信装置を音源ブイ(送波ブイ)としてソノブイ化し、受信装置もパッシブソノブイ(受波ブイ)としてソノブイ化することで、捜索水域に少数の送信装置と多数の受信装置を敷設して、航空機(または水上艦等)の捜索機により広範囲を捜索することが可能である。
ただし、ソノブイを用いたマルチスタティックソーナーシステムでは、ソノブイの種類、ソノブイの数、音源ブイの送信順、音波の送信波形等の条件が多いため、これらの条件の組合せ、すなわち、捜索計画は無数に存在し得る。また、捜索対象(目標)である水中物体が取り得る行動パターンについても考慮する必要がある。そのため、マルチスタティックソーナーシステムにおいて、好適な捜索計画を「人力」のみで立案することは実質的に困難である。それゆえ、本開示に係る支援システム10および支援方法は、特に、ソノブイを用いたマルチスタティックソーナーシステムに対して好適に適用することができる。
マルチスタティックソーナーシステムであるかモノスタティックソーナーシステムであるかに関わらず、あるいは、ソノブイ化されているか捜索機に設けられているか否かに関わらず、捜索機器としては、音波を送信する音波送信器、水中物体からの反射波を受信する音波受信器、並びに、これらを捜索水域に投下して水中物体を捜索する捜索機が用いられることになる。
それゆえ、捜索機器の諸元22としては、具体的には、例えば、捜索機の運動性能、捜索機の行動パターン、音波受信器の種別、音波受信器の数、音波受信器の受波性能、音波送信器の種別、音波送信器の数、音波送信器の送信(発音)性能等を挙げることができる。捜索機器の諸元22はこれら諸元に限定されず、他の諸元であってもよい。また、本開示に係る支援システム10および支援方法で設定される捜索機器の諸元22は、これらの全てであってもよいし一部であってもよい。
水中物体の諸元23としては、具体的には、例えば、水中物体の運動性能、水中物体の音響特性、水中物体の初期行動パターン、当該水中物体の回避行動パターン等を挙げることができる。水中物体の諸元23はこれら諸元に限定されず、他の諸元であってもよい。また、本開示に係る支援システム10および支援方法で設定される水中物体の諸元23は、これらの全てであってもよいし一部であってもよい。なお、シミュレーション部16において、複数回のシミュレーションの試行に用いられる水中物体の複数の行動パターン(並びに、後述する自動生成される行動パターン)は、初期行動パターンのみであってもよいし、初期行動パターンおよび回避行動パターンの組合せであってもよい。あるいは、設定可能な他の行動パターンおよびこれら行動パターンの組み合わせ等であってもよい。
捜索水域の環境諸元24としては、具体的には、例えば、当該捜索水域の風向、風速、潮流、海況(シーステート)、海底地形、底質等を挙げることができる。捜索水域の環境諸元24はこれら諸元に限定されず、他の諸元であってもよい。また、本開示に係る支援システム10および支援方法で設定される捜索水域の環境諸元24は、これらの全てであってもよいし一部であってもよい。
シミュレーション諸元25としては、具体的には、例えば、シミュレーションの試行回数、乱数発生条件、終了条件、感度分析パラメータの指定、範囲、刻み値(変動最少幅)等を挙げることができる。シミュレーション諸元25はこれら諸元に限定されず、他の諸元であってもよい。また、本開示に係る支援システム10および支援方法で設定されるシミュレーション諸元25は、これらの全てであってもよいし一部であってもよい。また、シミュレーション部16で実行されるシミュレーションの具体的な種類または仕様等によっては、シミュレーション諸元25は予め設定されているものをそのまま用いることができる。そのため、捜索計画情報にはシミュレーション諸元25は含まれていなくてもよい。
捜索計画の立案方法は、前記の通り、少なくとも捜索機器の構成と水測予察情報21とに基づいて、捜索に関わる種々の条件を設定するように立案すればよい。例えば、ソノブイを用いたマルチスタティックソーナーシステムであれば、具体的な捜索計画としては、ソノブイの敷設に関する捜索条件を設定する敷設計画と、ソノブイのうち音源ブイ(音波送信器)からの音波の送信に関する捜索条件を設定する送信(発音)計画とを挙げることができる。
敷設計画では、捜索条件として、ソノブイの敷設位置、音波送信器または音波受信器の水深(深度)、音源ブイおよびパッシブソノブイ(受波ブイ)の種別、ソノブイの敷設順序等を設定する。送信計画では、捜索条件として、音波の送信順、音波の送信間隔または送信タイミング、音波の送信波形、音波の送信時間等を設定する。なお、捜索機器の構成によっては、敷設計画および送信計画以外の捜索条件を含む計画を含んでもよい。統計分析部17では、これらの捜索条件の中から特定の捜索条件が感度分析パラメータとして指定され、当該捜索条件(感度分析パラメータ)を変化させる感度分析処理を実行する。
次に、支援システム10のシミュレーション部16は、捜索計画立案部15によって立案された捜索計画をシミュレーションする(ステップS02)。本開示では、シミュレーションは複数回試行されるので、シミュレーション部16は、捜索計画のシミュレーションが所定の回数試行されたか(所定の試行回数に達したか)否かを判定する(ステップS03)。所定の試行回数に達していなければ(ステップS03でNO)、シミュレーション部16はシミュレーションを繰り返し、所定の試行回数に達していれば(ステップS03でYES)、生成した複数のシミュレーション結果を統計分析部17に供出する。
ここで、シミュレーション部16による複数回のシミュレーションは、前記の通り、捜索計画情報における水中物体の諸元23のうち水中物体の行動パターンに基づいて行われる。このとき、シミュレーション部16は、設定済の行動パターンを記憶部14から適宜読み出して捜索計画をシミュレーションしてもよいが、当該シミュレーション部16が行動パターンを自動生成し、この自動生成された行動パターンに基づいてシミュレーション部16は捜索計画をシミュレーションしてもよい。
このように、支援システム10において、水中物体の行動パターンを自動的に生成して捜索計画がシミュレーションされれば、統計分析の基礎となるシミュレーション結果をより一層充実化することが可能になる。これにより、感度分析処理および捜索計画評価値の有効性の向上を図ることができる。なお、シミュレーション部16による具体的なシミュレーション内容の一例については後述する。
次に、支援システム10の統計分析部17は、複数のシミュレーション結果を統計分析し、水中物体の捜索に関わる統計的な評価値、すなわち、検討対象の捜索計画を評価するための評価値(捜索計画評価値)を算出する。具体的な捜索計画評価値としては、例えば、音波の瞬間探知確率、各試行における探知確率の平均、累積探知確率等を挙げることができる。
次に、統計分析部17は、感度分析処理を実行するか否かを判定する(ステップS05)。感度分析処理では、捜索条件のうちの特定条件すなわち感度分析パラメータを変化させながら統計分析し、当該感度分析パラメータの最適値(または好適値)を導出する。感度分析パラメータとしては、例えば、音波(音源ブイ)の送信順、音波の送信間隔、音波の送信波形、音波の送信時間、音源ブイの位置等が挙げられるが特に限定されない。
統計分析部17による感度分析処理の実行が否の場合には、全ての感度分析パラメータについて感度分析処理が完了した場合と、感度分析処理が不要である場合とが挙げられる。感度分析処理を実行する場合を「感度分析モード」とすれば、統計分析部17における統計処理には「感度分析モード」でない場合もあり得る。いずれにせよ感度分析処理を実行しないのであれば(ステップS05でNO)、捜索計画の検討者による良否判断(後述)に移行する。
統計分析部17は、感度分析処理を実行すると判定すれば(ステップS05でYES)、捜索条件のうちから特定条件を感度分析パラメータとして指定するとともに、当該感度分析パラメータの範囲および刻み値等を設定し、感度分析処理を実行する。そして、統計分析部17は、感度分析モードが終了したか否かを判定し(ステップS06)、終了していなければ(ステップS06でNO)、感度分析モードが継続しているため、統計分析部17は、感度分析パラメータを別の捜索条件に変更し、シミュレーション部16は、変更された感度分析パラメータに基づいて捜索計画を再度シミュレーションする(ステップS02に戻る)。
感度分析モードが終了していれば(ステップS06でYES)、感度分析モードにより得られた統計分析の結果から、最適または好適な感度分析パラメータ(捜索条件)の値を算出し、捜索計画の立案に適用する(ステップS08)。捜索計画立案部15では、最適または好適な感度分析パラメータに基づいて、再度、捜索計画を立案する(ステップS01に戻る)。
このように、本実施の形態では、捜索計画立案部15は、最適または好適な感度分析パラメータ(捜索条件)を用いて捜索計画を再度自動的に立案する。言い換えれば、統計分析部17は、最適または好適な捜索条件を捜索計画立案部15(捜索計画の立案)に自動的にフィードバックする。これにより、立案された捜索計画の有効性の検討を、より一層効率的に支援することが可能になる。なお、最適または好適な感度分析パラメータ(捜索条件)のフィードバックは、自動的に行われず、支援システム10の利用者(捜索計画の検討者)により手動で行われてもよい。
感度分析モードが完了して、最適または好適な感度分析パラメータが捜索条件として捜索計画に適用されれば、捜索計画の検討者は、立案された捜索計画の良否判断を行う(ステップS09)。このとき、支援システム10では、例えば、制御部11の制御により、表示部12において捜索計画評価値をシミュレーション結果の評価データとともに表示させることができる。これにより、捜索計画の検討者は、捜索計画評価値の高い捜索計画を容易に把握して、捜索計画の良否判定に活用することができる。なお、表示の一例については後述する。
また、捜索計画評価値の高い捜索計画を得る過程では、特定の感度分析パラメータを変化させて感度分析処理を実行している。そのため、捜索計画の検討者は、捜索計画評価値が高くなる感度分析パラメータを予測することも可能になる。それゆえ、このような感度分析パラメータ(すなわち捜索条件)を捜索計画の立案にフィードバックすることで、より好適な捜索計画の立案を目指すことも可能となる。
捜索計画の検討者による良否判断が「否」の場合(ステップS09でNO)には、支援システム10において捜索計画の立案からシミュレーション結果の統計分析(感度分析処理)までを繰り返させる(ステップS01に戻る)。一方、良否判断が「良」の場合(ステップS09でYES)には、当該捜索計画が最適または好適なものであると最終判断してもよい(支援方法の終了)が、本実施の形態では、制御部11により表示部12において、立案された捜索計画を再生表示させる(ステップS10)。これにより、捜索計画の検討者は、立案された捜索計画の進行状況を表示画面上で確認することができる。
表示部12における捜索計画の再生表示は、基本的には、全てのシミュレーション結果について実施することが可能である。捜索計画の検討者は、入力部13の操作により捜索計画における任意のシミュレーション結果を選択して再生表示させることができる。また、捜索計画の再生表示では、例えば下記のような進行状況を表示することができる。
(1)捜索機の予定経路、捜索機の通過経路、再生時刻における捜索機の位置および進行方向等
(2)水中物体(目標)の予定経路、水中物体の通過経路、再生時刻における水中物体の位置および進行方向等
(3)パッシブソノブイおよび音源ブイの投下位置および投下タイミング、再生時刻におけるパッシブソノブイおよび音源ブイの位置、これらの寿命等
(4)パッシブソノブイおよび音源ブイを用いて水中物体を探知したタイミング、探知方位、探知距離等
(5)音源ブイからの音波の送信タイミングおよび送信回数等
捜索計画の検討者、再生表示された捜索計画の進行状況に基づいて、再び立案された捜索計画の良否判断を行う(ステップS11)。捜索計画の検討者による良否判断が「否」の場合(ステップS11でNO)には、支援システム10において捜索計画の立案からシミュレーション結果の統計分析(感度分析処理)までを繰り返させる(ステップS01に戻る)。一方、良否判断が「良」の場合(ステップS11でYES)には、当該捜索計画が最適または好適なものであると最終判断する(支援方法の終了)。
[捜索計画のシミュレーション]
次に、本開示に係る支援システム10または支援方法における捜索計画のシミュレーションの一例について、図3(A),(B)および図4(A)~(C)を参照して具体的に説明する。
捜索計画のシミュレーションでは、例えば、図3(A),(B)に示すように、捜索機33および水中物体40(目標)の行動、音源ブイ31,32からの音波の送信、パッシブソノブイ30a~30iによる水中物体40の探知を模擬する。図3(A),(B)では、捜索水域におけるソノブイすなわちパッシブソノブイ30a~30iおよび音源ブイ31,32の敷設例を模式的に示している。パッシブソノブイ30a~30iは円形のシンボルで図示し、音源ブイ31,32は菱形のシンボルで図示し、捜索機33(航空機)は白抜きのV字形(進行方向がV字の折れ曲り部先端)で図示している。また、捜索機33の予定経路は点線で図示し、通過経路は実線で図示する。捜索機33の進行方向は矢印方向であり、黒三角形は音源ブイ31,32の送信イベント・ポイントPである。
図3(A),(B)では、捜索機33は、図面左側から右側に進行した後、右側から左側に折返し、再び左側から右側に折り返すという、2段階のつづら折り状の経路を進行する。最初の左から右に進行する経路には、4つのパッシブソノブイ30a,30b,30c,30dを投下し、次の右から左に進行する経路には、第一音源ブイ31、パッシブソノブイ30e、第二音源ブイ32を投下し、次の左から右に進行する経路には、4つのパッシブソノブイ30f,30g,30h,30iを投下する。送信イベント・ポイントPは、最後のパッシブソノブイ30iを投下した後に設定される。
図3(A)では、捜索機33は、最初に投下されるパッシブソノブイ30aから見て進行経路の上流側に位置している。それゆえ、捜索機33の進行経路は点線の予定経路で図示している。一方、図3(B)では、捜索機33は、パッシブソノブイ30fとパッシブソノブイ30gとの間まで到達しているので、この位置までの進行経路は実線の通過経路で図示し、それ以降は点線の予定経路で図示している。
また、図3(B)では、円形または菱形のシンボルを二重線で図示するものを含むが、これら二重線で図示されるシンボルは、いずれも実際に投下されたソノブイを示している。したがって、図3(B)では、パッシブソノブイ30a~30d、第一音源ブイ31、パッシブソノブイ30e、第二音源ブイ32、およびパッシブソノブイ30fまでの合計8個のソノブイが投下済で、パッシブソノブイ30g~30iは未投下であることを示している。さらに、図3(B)では、水中物体40を細長い黒菱形のシンボルで図示しており、水中物体40の進行経路を破線で図示している。また、水中物体40の初期行動パターンを破線矢印b1で示している。
図3(A),(B)を参照して、捜索計画のシミュレーションの再生表示について説明する。捜索機33は捜索計画に基づいてパッシブソノブイ30a~30iおよび音源ブイ31,32を順に捜索水域に投下して敷設する。
水中物体40の行動は、設定された初期行動パターン(破線矢印b1)にしたがって模擬される。なお、行動パターンがシミュレーション部16によって自動生成される場合には、例えば乱数によって水中物体40の位置、針路、速度、深度等の諸条件を設定し、定期的に針路、速度、深度等の諸条件を変化させることにより、水中物体40をランダムに行動させる。
また、設定により、第一音源ブイ31または第二音源ブイ32が送信した音波を水中物体40が検出することで、当該水中物体40は回避行動を取ることができる。水中物体40の回避行動としては、例えば、下記のような種類および時間設定を挙げることができる。なお、行動パターンが自動生成される場合は、水中物体40は、乱数によるランダムな回避行動を取ることになる。
(1)初期行動パターンを継続する
(2)停止して最大深度まで潜航する
(3)初期行動パターンを逆戻りする
(4)音源ブイ31,32から離れる方向に最大速度で進行する
(5)方位、速度、深度のカスタマイズ
なお、(5)のカスタマイズでは、水中物体40の方位は、ランダムまたは設定値のいずれかを選択し、設定値の場合は任意の方位を設定する。同様に、水中物体40の速度は、ランダム、最高速度または設定値のいずれかを選択し、設定値の場合は任意の速度を設定する。同様に水中物体40の深度は、ランダム、最大深度または設定値のいずれかを選択し、設定値の場合は任意の深度を設定する。
音源ブイ31,32については、捜索計画のうち送信計画にしたがって音波の送信を模擬し、パッシブソノブイ30a~30iについては、水中物体40の随時の探知判定を模擬する。探知判定においては、捜索水域毎に異なる探知距離等の水中音響特性(すなわち水測予察情報21)を考慮して実際の捜索水域の環境に近い水中物体40の探知を模擬する。また、パッシブソノブイ30a~30iおよび音源ブイ31,32の位置および水中物体40の姿勢から、当該水中物体40からの反射音の反射強度を算出し、これらを捜索計画評価値の算出に利用してもよい。
このように、シミュレーションにおける水中音響特性を実際の捜索水域の環境に近いものにするとともに、水中物体40の姿勢を考慮して反射音の反射強度を算出することで、得られる捜索計画評価値の信頼性をより一層良好なものとすることができる。これにより、水中物体40の探知判定における誤差を可能な限り低減することができる。その結果、シミュレーションでは、実際の水中物体40の動静に即した探知を模擬することが可能となる。
捜索機33がソノブイ(パッシブソノブイ30a~30iおよび音源ブイ31,32)を敷設し、送信イベント・ポイントPに到達すると、送信計画にしたがって音源ブイ31,32が音波を送信する。パッシブソノブイ30a~30iは、水中の音を受信して分析し、「水中物体40からの反射音」を随時検出することで、当該水中物体40の探知を判定する。音源ブイ31,32からの送信後にいずれかのパッシブソノブイ30a~30iで「水中物体40からの反射音」を検出すれば、当該送信による「水中物体40の探知あり」と判定する。
シミュレーション部16は、試行したシミュレーション毎に得られた「水中物体40の探知あり」の情報を、評価データとして記憶部14に記憶(保存)する。統計分析部17は、記憶部14に記憶された評価データに基づいて、後述するように、捜索計画評価値である探知確率を算出する。
このように、本開示に係る支援システム10では、シミュレーションを所定の試行回数まで複数回繰り返すことにより、それぞれのシミュレーション毎に網羅的に水中物体40の行動パターンを模擬することができる。それゆえ、このような網羅的な行動パターンに対応する水中物体40の探知の可否を判定することができるので、捜索計画の網羅的な検討をより一層良好に支援することが可能となる。
より具体的なシミュレーションの一例としては、図4(A)~(C)に示す例が挙げられる。これら図4(A)~(C)では、ソノブイ(パッシブソノブイ30a~30iおよび音源ブイ31,32)の敷設(配置)は図3(A),(B)と同一であり、二重線で図示するか否かによるソノブイの投下/未投下については区別していない。また、水中物体40の行動パターンを説明する便宜上、捜索機33は図示せず、捜索機33の進行経路も実線(通過経路)で図示する。
図4(A)は、シミュレーション1回目の例であり、水中物体40は、パッシブソノブイ30iの位置から第二音源ブイ32とパッシブソノブイ30eとの間に移動する。水中物体40は、この位置において図中星形Dで示すように第二音源ブイ32からの送信音波を検出する。水中物体40の行動は、細破線矢印b1で示す初期行動パターンから太破線矢印b2で示す回避行動パターンに変化する。すなわち、水中物体40は、第二音源ブイ32に接近する行動パターンから、第二音源ブイ32とパッシブソノブイ30eとの間から、パッシブソノブイ30bおよびパッシブソノブイ30cの間に向かう行動パターンに回避行動を取る。
図4(B)は、シミュレーション2回目の例であり、水中物体40は、パッシブソノブイ30aと第二音源ブイ32との間から、第二音源ブイ32とパッシブソノブイ30eとの間であり、かつ、パッシブソノブイ30e寄りの位置を通過し、さらに第一音源ブイ31とパッシブソノブイ30hとの間を通って、パッシブソノブイ30iと第一音源ブイ31との間に移動する。水中物体40は、この位置において図中星形Dで示すように第一音源ブイ31からの送信音波を検出する。水中物体40の行動は、細破線矢印b1で示す初期行動パターンから太破線矢印b2で示す回避行動パターンに変化する。すなわち、水中物体40は、第一音源ブイ31に接近する行動パターンから、第一音源ブイ31およびパッシブソノブイ30iの間から離脱するような行動パターンに回避行動を取る。
図4(C)は、シミュレーション3回目の例であり、水中物体40は、パッシブソノブイ30d付近から第一音源ブイ31付近を通過し、パッシブソノブイ30hおよびパッシブソノブイ30iの間であってパッシブソノブイ30h寄りの位置に到達する。水中物体40は、この位置において図中星形Dで示すように第一音源ブイ31からの送信音波を検出する。水中物体40の行動は、細破線矢印b1で示す初期行動パターンから太破線矢印b2で示す回避行動パターンに変化する。すなわち、水中物体40は、パッシブソノブイ30hと第一音源ブイ31の間でパッシブソノブイ30hに近接する行動パターンから、パッシブソノブイ30hおよび第一音源ブイ31から大きく離脱するような行動パターンに回避行動を取る。
[捜索計画評価値の算出]
次に、水中物体40の捜索計画評価値の算出の一例について、図3(A)(並びに図3(B)、図4(A)~(C))に加えて図5を参照して具体的に説明する。
例えば、検討対象の捜索計画を構成する送信計画において、捜索機33が送信イベント・ポイントPに到達して所定の時間が経過した後に、音源ブイ31,32からの音波が合計4回送信されるとする。この4回の送信をそれぞれ下記の送信1~送信4とする。なお、捜索機33が送信イベント・ポイントPに到達してからの時間t1秒~t4秒の大小関係は、t1<t2<t3<t4であり、送信される音波の送信波形および送信時間はいずれも同じである。
(1)送信1:t1秒経過後に第一音源ブイ31で音波を送信
(2)送信2:t2秒経過後に第二音源ブイ32で音波を送信
(3)送信3:t3秒経過後に第一音源ブイ31で音波を送信
(4)送信4:t4秒経過後に第二音源ブイ32で音波を送信
また、検討対象の捜索計画をシミュレーション部16でシミュレーションする回数(試行回数)を5回とする。この5回のシミュレーションによる水中物体40の探知結果をそれぞれ下記の試行1~試行5とする。なお、図5では、送信回数の最大値をmとし、試行回数の最大値をnとしているが、上述した例では、送信回数の最大値m=4(送信1~送信4)であり、試行回数の最大値n=5である。
(1)試行1:
送信1(捜索機33が送信イベント・ポイントPに到達してからt1秒後に第一音源ブイ31で送信)の結果、いずれかのパッシブソノブイ30a~30iで「水中物体40の探知あり」。
送信2(捜索機33が送信イベント・ポイントPに到達してからt2秒後に第二音源ブイ32で送信)の結果、いずれかのパッシブソノブイ30a~30iで「水中物体40の探知あり」。
送信3(捜索機33が送信イベント・ポイントPに到達してからt3秒後に第一音源ブイ31で送信)の結果、いずれのパッシブソノブイ30a~30iでも「探知なし」。
送信4(捜索機33が送信イベント・ポイントPに到達してからt4秒後に第二音源ブイ32で送信)の結果、いずれのパッシブソノブイ30a~30iでも「探知なし」。
(2)試行2:送信2および送信4で「水中物体40の探知あり」。
(3)試行3:送信3で「水中物体40の探知あり」。
(4)試行4:送信4で「水中物体40の探知あり」。
(5)試行5:いずれの送信でも「探知なし」。
このような試行回数5回のシミュレーション結果から、本実施の形態では、捜索計画評価値として「探知確率」を統計分析部17により算出する。具体的な「探知確率」としては、図5に例示する「瞬間探知確率」、「各試行における探知確率の平均」および「累積探知確率」を挙げることができる。探知確率の具体的な種類はこれらに限定されず、他の評価値であってもよいし、捜索計画評価値としては、対象となるソーナーシステムの構成に応じて、探知確率以外の評価値を用いる(あるいは併用する)こともできる。
なお、図5では、各試行および各送信における探知確率を「DPxx」として示している。例えば、試行1および送信1における探知確率はDP11として示し、その下に計算結果の一例をパーセンテージで示している(これら数値は図示上の一例であり具体的な結果を示すものではない)。また、図5では、探知確率とともに評価データも例示している。図5に示す例では、評価データは○×式であり、「水中物体40の探知あり」を○で示し、「探知なし」を×で示している。
また、図5では、具体的な捜索結果評価値である「瞬間探知確率」は「DPx」(例えば送信1ではDP1)で示しており、「各試行における探知確率の平均」は「DPxave」(例えば送信1ではDP1ave)で示しており、「累積探知確率」は「DPtx」(例えば送信1ではDPt1)で示している。また、図5では、各試行に対する評価データと探知確率との対応関係を一点鎖線の枠で囲うことで示しており、「瞬間探知確率」と各送信の探知確率との対応関係を破線の枠で囲うことで示しており、「各試行における探知確率の平均」と各送信の探知確率との対応関係を点線の枠で囲うことにより示している。
また、探知確率のうち、「瞬間探知確率」は、「探知有試行数」の「有効試行回数」の除算値(瞬間探知確率=探知有試行数/有効試行回数)として算出される。また、「各試行における探知確率の平均」は「送信回での総探知確率」(それまでの送信回のうち単純に「探知あり」が得られる確率)に等しい。また、「累積探知確率」は、「探知有試行数(累計)」の「試行回数」の除算値(累積探知確率=探知有試行数(累計)/試行回数)として算出される。この「累積探知確率」は、それまでの送信回のうち、少なくとも1回は「探知あり」が得られる確率である。
これら捜索計画評価値のうち「瞬間探知確率」の具体例について説明する。まず、送信1の瞬間探知確率は、試行1から試行5までの5回のシミュレーションにおいて送信1により「探知あり」を得られた確率である。前記の例では、試行1のみで「探知あり」が得られているため、送信1の瞬間探知確率(DP1)は1/5=20%の確率となる。
また、送信2の瞬間探知確率は、5回シミュレーションにおいて送信2により「探知あり」を得られた確率である。前記の例では、試行1および試行2で「探知あり」が得られているため、送信2の瞬間探知確率(DP2)は2/5=40%の確率となる。
また、送信3の瞬間探知確率は、5回のシミュレーションにおいて送信3により「探知あり」を得られた確率である。前記の例では、試行3のみで「探知あり」が得られているため、送信3の瞬間探知確率(DP3)は1/5=20%の確率となる。
また、送信4の瞬間探知確率は、5回のシミュレーションにおいて送信4により「探知あり」を得られた確率である。前記の例では、試行2および試行4で「探知あり」が得られているため、送信4の瞬間探知確率(DP4、図5ではDPmに対応)は2/5=40%の確率となる。
次に、捜索計画評価値のうち「各試行における探知確率の平均」の具体例について説明する。まず、送信1の実施により得られる探知確率の平均は、試行1から試行5までの5回のシミュレーションにおいて送信1を実施して「探知あり」を得られる確率である。前記の例では、試行1で「探知あり」が得られているため、送信1の実施により得られる探知確率の平均(DP1ave)は、1(総探知数)/5(5試行×送信1回)=20%の確率となる。
また、送信2までの実施により得られる探知確率の平均は、5回のシミュレーションにおいて送信1および送信2を実施して「探知あり」を得られる確率である。前記の例では、送信1では試行1で「探知あり」が得られ、送信2では試行1および試行2で「探知あり」が得られているため、送信2までの実施により得られる探知確率の平均(DP2ave)は、3(総探知数)/10(5試行×送信2回)=30%の確率となる。
また、送信3までの実施により得られる探知確率の平均は、5回のシミュレーションにおいて送信1、送信2および送信3を実施して「探知あり」を得られた確率である。前記の例では、送信1では試行1で「探知あり」、送信2では試行1および試行2で「探知あり」、送信3では試行3で「探知あり」が得られているため、送信3までの実施により得られる探知確率の平均(DP3ave)は、4(総探知数)/15(5試行×送信3回)≒26.7%の確率となる。
また、送信4までの実施により得られる探知確率の平均は、5回のシミュレーションにおいて、送信1、送信2、送信3および送信4を実施して「探知あり」を得られた確率である。前記の例では、送信1では試行1で「探知あり」、送信2では試行1および試行2で「探知あり」、送信3では試行3で「探知あり」、送信4では試行2および試行4で「探知あり」が得られているため、送信4までの実施により得られる探知確率の平均(DP4ave、図5ではDPmaveに対応)は、6(総探知数)/20(5試行×送信4回)=30%の確率となる。
次に、捜索計画評価値のうち「累積探知確率」の具体例について説明する。まず、送信1の実施により得られる累積探知確率は、試行1から試行5までの5回のシミュレーションにおいて、送信1の実施により少なくとも1回「探知あり」を得られた確率である。前記の例では、試行1で「探知あり」が得られているため、送信1の実施により得られる累積探知確率(DPt1)は、1(探知有試行数)/5(試行)=20%の確率となる。
また、送信2までの実施により得られる累積探知確率は、5回のシミュレーションにおいて送信1および送信2を実施して少なくとも1回「探知あり」を得られる確率である。前記の例では、送信1では試行1で「探知あり」、送信2では試行1および試行2で「探知あり」が得られているため、送信2までの実施により得られる累積探知確率(DPt2)は、送信2までの実施により一度も「探知あり」を得られなかった(非探知であった)確率の余事象を取るため、1-(4(送信1の非探知数)/5(試行)×3(送信2の非探知数)/5(試行))=52%の確率となる。
また、送信3までの実施により得られる累積探知確率は、5回のシミュレーションにおいて送信1、送信2および送信3を実施して少なくとも1回「探知あり」を得られる確率である。前記の例では、送信1では試行1で「探知あり」、送信2では試行1および試行2で「探知あり」、送信3では試行3で「探知あり」が得られているため、送信3までの実施により得られる累積探知確率(DPt3)は、送信3までの実施により一度も「探知あり」を得られなかった(非探知であった)確率の余事象を取るため、1-(4(送信1の非探知数)/5(試行)×3(送信2の非探知数)/5(試行)×4(送信3の非探知数)/5(試行))=61.6%の確率となる。
また、送信4までの実施により得られる累積探知確率は、5回のシミュレーションにおいて送信1、送信2、送信3および送信4を実施して少なくとも1回「探知あり」を得られる確率である。前記の例では、送信1では試行1で「探知あり」、送信2では試行1および試行2で「探知あり」、送信3では試行3で「探知あり」、送信4では試行2および試行4で「探知あり」が得られているため、送信4までの実施により得られる累積探知確率(DPt4、図5では、DPtmに対応)は、送信4までの実施により一度も「探知あり」を得られなかった(非探知であった)確率の余事象を取るため、1-(4(送信1の非探知数)/5(試行)×3(送信2の非探知数)/5(試行)×4(送信3の非探知数)/5(試行)×3(送信4の非探知数)/5(試行))=76.9%の確率となる。
統計分析部17は、このようにして捜索計画評価値を算出するので、表示部12では、例えば、図5に示すように、シミュレーション結果の評価データとともに捜索計画評価値を表示することができる。捜索計画の検討者は、このような捜索計画評価値から、送信回数が少ない段階(早い段階)で「探知あり」を得られる確率が高い捜索計画を抽出したり、最終的に探知確率が高い捜索計画を抽出したりする等、目的に応じた捜索計画を抽出することができる。また、このようにして抽出された捜索計画から、捜索計画評価値が高くなる可能性のある感度分析パラメータ(捜索条件)を予測して捜索計画の立案にフィードバックすることも可能となる。
このように、本開示に係る水中物体捜索計画検討支援システムまたは支援方法は、捜索水域に向けて音波を送信し、水中物体からの反射波を受信することにより、水中物体を捜索する捜索計画を検討するものであり、水測予察情報、捜索に用いられる捜索機器の諸元、水中物体の諸元、および捜索水域の環境諸元を含む、捜索計画情報を設定し、捜索計画情報に基づいて前記捜索計画を立案し、水中物体の諸元に含まれる当該水中物体の複数の行動パターンに基づいて、立案された前記捜索計画を複数回シミュレーションして複数のシミュレーション結果を生成し、生成した複数の前記シミュレーション結果を統計分析している。そして、統計分析に際しては、捜索計画に含まれる捜索条件のうちシミュレーション結果に影響を及ぼす可能性があるものを、感度分析パラメータとして設定し、当該感度分析パラメータを変化させる感度分析処理を実行し、さらに、立案された捜索計画が水中物体の捜索に寄与する程度を評価するための捜索計画評価値を生成する。
このような構成によれば、水中物体の複数の行動パターンに基づいて捜索計画を複数回シミュレーションして統計分析するだけでなく、統計分析に際して感度分析処理を実行して捜索計画評価値を生成している。この捜索計画評価値に基づいて、立案された捜索計画について水中物体の捜索に寄与する程度を評価することができるので、捜索計画の検討者は、より好ましい捜索計画を予測することができる。そのため、前記構成では、網羅的な検討のためにやみくもに捜索計画を立案してシミュレーションして評価するのではなく、捜索計画評価値という根拠に基づいて捜索計画を評価することができる。その結果、アクティブソーナーシステムによる水中物体の捜索計画の立案において、捜索計画の網羅的な検討をより一層良好に支援することが可能となる。
なお、本発明は前記実施の形態の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態や複数の変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、アクティブソーナーシステムを用いた水中物体の捜索を支援する分野に広く好適に用いることができる。
10:水中物体捜索計画検討支援システム(支援システム)
11:制御部
12:表示部
13:入力部
14:記憶部
15:捜索計画立案部
16:シミュレーション部
17:統計分析部
21:水測予察情報
22:捜索機器の諸元
23:水中物体の諸元
24:捜索水域の環境諸元
25:シミュレーション諸元
30a~30i:パッシブソノブイ
31:第一音源ブイ
32:第二音源ブイ
33:捜索機
40:水中物体

Claims (10)

  1. 捜索水域に向けて音波を送信し、水中物体からの反射波を受信することにより、水中物体を捜索する捜索計画を検討する、水中物体捜索計画検討支援システムであって、
    水測予察情報、前記捜索に用いられる捜索機器の諸元、前記水中物体の諸元、および前記捜索水域の環境諸元を含む、捜索計画情報を記憶する記憶部と、
    前記捜索計画情報に基づいて前記捜索計画を立案する捜索計画立案部と、
    前記水中物体の諸元に含まれる当該水中物体の複数の行動パターンに基づいて、立案された前記捜索計画を複数回シミュレーションし、複数のシミュレーション結果を生成するシミュレーション部と、
    生成した複数の前記シミュレーション結果を統計分析する統計分析部と、
    制御部と、
    を備え、
    前記統計分析部では、前記捜索計画に含まれる捜索条件のうち前記シミュレーション結果に影響を及ぼす可能性があるものを、感度分析パラメータとして設定し、当該感度分析パラメータを変化させる感度分析処理を実行し、これにより、立案された前記捜索計画が前記水中物体の捜索に寄与する程度を評価するための捜索計画評価値を生成することを特徴とする、
    水中物体捜索計画検討支援システム。
  2. 表示部をさらに備え、
    前記制御部は、さらに、前記捜索計画立案部で立案された前記捜索計画を前記表示部で再生表示させることを特徴とする、
    請求項1に記載の水中物体捜索計画検討支援システム。
  3. 前記制御部は、前記捜索計画評価値を前記シミュレーション結果の評価データとともに前記表示部に表示させることを特徴とする、
    請求項1に記載の水中物体捜索計画検討支援システム。
  4. 前記水中物体の前記行動パターンは、前記シミュレーション部により自動生成されることを特徴とする、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の水中物体捜索計画検討支援システム。
  5. 前記捜索機器として、音波を送信する音波送信器、前記水中物体からの反射波を受信する音波受信器、並びに、これらを捜索水域に投下して前記水中物体を捜索する捜索機が用いられ、
    前記捜索計画情報のうち前記捜索機器の諸元としては、前記捜索機の運動性能、前記捜索機の行動パターン、音波受信器の種別、音波受信器の数、音波受信器の受波性能、音波送信器の種別、音波送信器の数、音波送信器の送信(発音)性能の少なくともいずれかであることを特徴とする、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の水中物体捜索計画検討支援システム。
  6. 前記捜索計画情報のうち前記水中物体の諸元は、当該水中物体の運動性能、当該水中物体の音響特性、当該水中物体の初期行動パターン、当該水中物体の回避行動パターンの少なくともいずれかであり、
    複数回の前記シミュレーションに用いられる前記水中物体の複数の行動パターンは、前記初期行動パターン、または、前記初期行動パターンおよび前記回避行動パターンであることを特徴とする、
    請求項1から5のいずれか1項に記載の水中物体捜索計画検討支援システム。
  7. 前記捜索計画情報のうち前記捜索水域の環境諸元は、当該捜索水域の風向、風速、潮流、海況(シーステート)、海底地形、底質の少なくともいずれかであることを特徴とする、
    請求項1から6のいずれか1項に記載の水中物体捜索計画検討支援システム。
  8. 前記捜索機器として、
    前記音波送信器および前記音波受信器の双方を備える送受信装置を含むモノスタティックソーナーシステムが用いられるか、あるいは、
    前記音波送信器を備える送信装置と、当該送信装置とは独立して構成され、前記音波受信器を備える受信装置と、を含むマルチスタティックソーナーシステムが用いられることを特徴とする、
    請求項1から7のいずれか1項に記載の水中物体捜索計画検討支援システム。
  9. 前記モノスタティックソーナーシステムまたは前記マルチスタティックソーナーシステムでは、ソノブイが用いられることを特徴とする、
    請求項8に記載の水中物体捜索計画検討支援システム。
  10. 捜索水域に向けて音波を送信し、水中物体からの反射波を受信することにより、水中物体を捜索する捜索計画を検討する、水中物体捜索計画検討支援方法であって、
    水測予察情報、前記捜索に用いられる捜索機器の諸元、前記水中物体の諸元、および前記捜索水域の環境諸元を含む、捜索計画情報を設定し、
    前記捜索計画情報に基づいて前記捜索計画を立案し、
    前記水中物体の諸元に含まれる当該水中物体の複数の行動パターンに基づいて、立案された前記捜索計画を複数回シミュレーションして複数のシミュレーション結果を生成し、
    生成した複数の前記シミュレーション結果を統計分析し、
    当該統計分析に際しては、前記捜索計画に含まれる捜索条件のうち前記シミュレーション結果に影響を及ぼす可能性があるものを、感度分析パラメータとして設定し、当該感度分析パラメータを変化させる感度分析処理を実行し、これにより、立案された前記捜索計画が前記水中物体の捜索に寄与する程度を評価するための捜索計画評価値を生成することを特徴とする、
    水中物体捜索計画検討支援方法。
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