JP7239865B1 - フラックス及び接合体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】インジウムシートの実装に好適に用いることができ、比較的低温の接合においても濡れ性が高く、かつ、ボイド発生の抑制能が高められた、フラックスを提供する。【解決手段】ロジンと、有機酸と、溶剤(S)とを含有するフラックスを採用する。有機酸は、融点が35℃以上90℃以下であるモノカルボン酸(A1)を含み、溶剤(S)は、沸点が100℃以下である溶剤(S1)を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、フラックス及び接合体の製造方法に関する。
近年、電子機器には、大容量化、高速化が要求されている。このような電子機器に搭載される高集積化されたダイは、動作時に大量の熱を発生する。このため、ダイに、ヒートシンクを備えたリッド等を装着することにより、発生した熱を効率的に排出する必要がある。
これに対し、例えば特許文献1には、ダイの動作による熱を、より高い効率でヒートシンクに伝達するために、ダイと、ヒートシンクを備えたリッドとの間に、ポリマーを含有する熱界面材料(Thermal Interface Material:TIM)を挟み込んで用いることが提案されている。
特表2010-539706号公報
TIMとして、インジウムのみからなるシート(以下、これをインジウムシートという)が提案されている。インジウムは、他の金属元素に比べて硬度が低く、インジウムシートは、ダイ及びリッドの表面に対して、高い追従性を有し、密着性が高い。そのため、インジウムシートは、ダイからヒートシンクを備えたリッドへの熱伝達効率が高い。その結果、インジウムシートを用いることにより、ダイの動作による熱の排出効率を高めることが可能である。
インジウムシートの実装では、表面にフラックスを塗布したインジウムシートを用いて、ヒートシンクを備えたリッドと、ダイとを接合する。インジウムは融点が156℃と比較的低いため、インジウムシートのリフロー方式による接合は、通常の接合よりも低温条件で行われる。
従来のはんだ付け用のフラックスを用いて、例えば170℃の条件でインジウムシートの実装を行った場合、フラックスは、インジウムシートの表面に濡れ広がらず、接合面に溜まり、その結果、接合面にボイドが大量に発生する場合がある。このボイドにより、インジウムシートを介したダイからヒートシンクを備えたリッドへの熱伝達効率は低下し、ダイの動作による熱の排出効率は低下してしまう。
そこで、本発明は、インジウムシートの実装に好適に用いることができ、比較的低温条件での接合においても濡れ性が高く、かつ、ボイド発生の抑制能が高められた、フラックスを提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を含む。
[1]ロジンと、有機酸と、溶剤(S)とを含有し、前記有機酸は、融点が35℃以上90℃以下であるモノカルボン酸(A1)を含み、前記溶剤(S)は、沸点が100℃以下である溶剤(S1)を含む、フラックス。
[2]前記モノカルボン酸(A1)の分子量が、180以上350以下である、[1]に記載のフラックス。
[3]前記溶剤(S1)の含有量が、前記溶剤(S)の総質量に対して、50質量%以上である、[1]又は[2]に記載のフラックス。
[4]さらに、アルカノールアミンを含有する、[1]~[3]のいずれかに記載のフラックス。
[5]前記モノカルボン酸(A1)の含有量が、フラックスの総質量に対して、0.5質量%以上20質量%以下である、[1]~[4]のいずれかに記載のフラックス。
[6]前記モノカルボン酸(A1)がパルミチン酸を含み、パルミチン酸の含有量が、前記モノカルボン酸(A1)の総質量に対して、60質量%以上である、[1]~[5]のいずれかに記載のフラックス。
[7]前記ロジンの含有量が、フラックスの総質量に対して、10質量%以上50質量%以下である、[1]~[6]のいずれかに記載のフラックス。
[8]ダイとリッドとが熱界面材料(TIM)を介して貼り合わされた接合体の製造方法であって、前記TIMが、インジウムシートであり、前記TIMと前記ダイとの間、又は、前記TIMと前記リッドとの間の少なくとも一方に、[1]~[7]のいずれかに記載のフラックスを介在させて、リフロー方式による接合を行う、接合体の製造方法。
[9]前記リフロー方式による接合を、200℃未満で行う、[8]に記載の接合体の製造方法。
本発明によれば、インジウムシートの実装に好適に用いることができ、比較的低温条件での接合においても濡れ性が高く、かつ、ボイド発生の抑制能が高められた、フラックスを提供することができる。
接合体の製造方法の一実施形態について、リッド、TIM及びダイを示す断面図である。 接合体の製造方法の一実施形態について、TIM及びダイにフラックスを塗布する工程を示す断面図である。 接合体の製造方法の一実施形態について、フラックスの塗布後、TIMを用いて、基板に対してリッドを固定して得られる接合体を示す断面図である。
(フラックス)
本実施形態に係るフラックスは、ロジンと、有機酸と、溶剤(S)とを含有する。前記有機酸は、融点が35℃以上90℃以下であるモノカルボン酸(A1)を含む。前記溶剤(S)は、沸点が100℃以下である溶剤(S1)を含む。
インジウムシートの実装では、低温(例えば170℃)の条件でリフローを行うことにより、ヒートシンクを備えたリッドと、ダイとを、インジウムシートで接合する。従来のフラックスでは、インジウムシートの表面に濡れ広がらず、接合面に溜まり、その結果、接合面にボイドが大量に発生する場合がある。
本実施形態に係るフラックスは、融点が35℃以上90℃以下であるモノカルボン酸(A1)を含有することにより、低温のリフローであっても、モノカルボン酸(A1)はガスが抜けやすい程度に溶融し、インジウムシートに対して濡れ性を十分なものとすることが可能である。
本実施形態に係るフラックスに含まれるモノカルボン酸(A1)は、ジカルボン酸に比べて反応性が低いため、ボイドの発生を抑制しやすくなる。
また、本実施形態に係るフラックスに含まれる、沸点が100℃以下である溶剤(S1)は、低温のリフローであっても、インジウムシートが溶融する前に、揮発する。その結果、インジウムが溶融する際に、溶剤(S1)に由来するボイドは発生しない。
これらの相乗効果により、本実施形態に係るフラックスは、インジウムシートの実装においても、ボイドの発生を抑制することが可能である。
<ロジン>
本発明において「ロジン」とは、アビエチン酸を主成分とする、アビエチン酸とこの異性体との混合物を含む天然樹脂、及び天然樹脂を化学修飾したもの(ロジン誘導体と呼ぶ場合がある)を包含する。
天然樹脂中のアビエチン酸及びアビエチン酸の異性体の総含有量は、一例として、天然樹脂に対して、40質量%以上80質量%以下である。
本明細書において「主成分」とは、化合物を構成する成分のうち、その化合物中の含有量が40質量%以上の成分をいう。
アビエチン酸の異性体の代表的なものとしては、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、レボピマル酸等が挙げられる。アビエチン酸の構造を以下に示す。
Figure 0007239865000001
前記「天然樹脂」としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン及びトール油ロジン等が挙げられる。
本発明において「天然樹脂を化学修飾したもの(ロジン誘導体)」とは、前記「天然樹脂」に対して水素化、脱水素化、中和、アルキレンオキシド付加、アミド化、二量化及び多量化、エステル化並びにDiels-Alder環化付加からなる群より選択される1つ以上の処理を施したものを包含する。
ロジン誘導体としては、例えば、精製ロジン、変性ロジン等が挙げられる。
変性ロジンとしては、例えば、水添ロジン、重合ロジン、重合水添ロジン、不均化ロジン、酸変性ロジン、ロジンエステル、酸変性水添ロジン、無水酸変性水添ロジン、酸変性不均化ロジン、無水酸変性不均化ロジン、フェノール変性ロジン及びα,β不飽和カルボン酸変性物(アクリル酸変性ロジン、マレイン酸変性ロジン、フマル酸変性ロジン等)、並びに該重合ロジンの精製物、水素化物及び不均化物、並びに該α,β不飽和カルボン酸変性物の精製物、水素化物及び不均化物、ロジンアルコール、ロジンアミン、水添ロジンアルコール、ロジンエステル、水添ロジンエステル、ロジン石鹸、水添ロジン石鹸、酸変性ロジン石鹸等が挙げられる。
ロジンアミンとしては、例えば、デヒドロアビエチルアミン、ジヒドロアビエチルアミン及びテトラヒドロアビエチルアミンの混合物であり、いわゆる不均化ロジンアミンを意味する。デヒドロアビエチルアミン、ジヒドロアビエチルアミン及びテトラヒドロアビエチルアミンの各構造を以下に示す。
Figure 0007239865000002
ロジンは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
ロジンは、ロジン誘導体を含むことが好ましく、酸変性水添ロジン及び水添ロジンからなる群より選択される一種以上を含むことがより好ましい。
前記フラックス中の、ロジンの含有量は、フラックスの総質量(100質量%)に対して、5質量%以上70質量%以下であることが好ましく、10質量%以上50質量%以下であることがより好ましく、15質量%以上45質量%以下が更に好ましい。
ロジンの含有量が前記範囲内の下限値以上であることにより、フラックスの濡れ性を高めやすくなるとともに、ボイドの発生を抑制しやすくなる。ロジンの含有量が前記範囲内の上限値以下であることにより、ボイドの発生を抑制しやすくなる。
<有機酸>
本実施形態に係るフラックスに含まれる有機酸は、融点が35℃以上90℃以下であるモノカルボン酸(A1)を含む。本実施形態に係るフラックスに含まれる有機酸は、モノカルボン酸(A1)以外に、その他有機酸を含んでもよい。
≪モノカルボン酸(A1)≫
モノカルボン酸(A1)は、融点が35℃以上90℃以下である。モノカルボン酸とは、分子内に1個のカルボキシ基を有するカルボン酸を意味する。
モノカルボン酸(A1)の融点は、40℃以上85℃以下であることが好ましく、45℃以上80℃以下であることがより好ましく、50℃以上72℃以下であることが更に好ましく、55℃以上66℃以下であることが特に好ましく、60℃以上66℃以下であることが最も好ましい。
インジウムの融点が156℃と低温であるため、インジウムシートの実装は、低温リフロー(例えば170℃)により行われる。
モノカルボン酸(A1)の融点が前記範囲内の下限値以上であることにより、リフロー時の、インジウムシートとモノカルボン酸(A1)との反応を抑制しやすくなるため、リフロー時にボイドの発生を抑制しやすくなる。
モノカルボン酸(A1)の融点が前記範囲内の上限値以下であることにより、リフロー時に、フラックス中のモノカルボン酸(A1)が溶融しやすくなるため、リフロー時に発生するボイドが、フラックスから抜けやすくなる。また、フラックスの濡れ性を高めやすくなる。
モノカルボン酸(A1)の分子量は、180以上350以下であることが好ましく、190以上310以下であることがより好ましく、220以上275以下であることが更に好ましく、240以上265以下であることが特に好ましく、250以上260以下であることが最も好ましい。
モノカルボン酸(A1)の分子量が前記範囲内の下限値以上であることにより、同一含有量(質量%)における、フラックスに含まれるモノカルボン酸(A1)のモル量がより少なくなるため、リフロー時にボイドの発生を抑制しやすくなる。
モノカルボン酸(A1)の分子量が前記範囲内の上限値以下であることにより、同一含有量(質量%)における、フラックスに含まれるモノカルボン酸(A1)のモル量が多くなるため、フラックスの濡れ性を高めやすくなる。
モノカルボン酸(A1)としては、例えば、脂肪族モノカルボン酸又は芳香族モノカルボン酸等が挙げられ、脂肪族モノカルボン酸が好ましい。
脂肪族モノカルボン酸は、ヒドロキシ基を含有してもよいし、ヒドロキシ基を含有しなくてもよい。
脂肪族モノカルボン酸の炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよい。前記炭化水素基は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。
前記炭化水素基は、飽和炭化水素基であってもよいし、不飽和炭化水素基であってもよい。前記炭化水素基は、飽和炭化水素基であることが好ましい。
前記脂肪族モノカルボン酸の炭素数としては、12~24が好ましく、12~18がより好ましく、14~17が更に好ましく、15~17が特に好ましく、16が最も好ましい。
モノカルボン酸(A1)が直鎖状の脂肪族モノカルボン酸である場合、モノカルボン酸(A1)としては、例えば、ラウリン酸(C12、45℃、200)、トリデカン酸(C13、41℃、214)、ミリスチン酸(C14、54℃、228)、ペンタデカン酸(C15、52℃、242)、パルミチン酸(C16、63℃、256)、マルガリン酸(C17、61℃、270)、ステアリン酸(C18、70℃、284)、ノナデシル酸(C19、69℃、299)、アラキジン酸(C20、76℃、313)、ヘンイコシル酸(C21、75℃、327)、ベヘン酸(C22、76℃、341)、トリコシル酸(C23、80℃、355)、リグノセリン酸(C24、84℃、369)等が挙げられる。かっこ内の記載は、炭素数、融点、分子量を意味する。
モノカルボン酸(A1)が直鎖状の脂肪族モノカルボン酸である場合、上記の中でも、モノカルボン酸(A1)としては、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸及びステアリン酸からなる群より選択される一種以上が好ましく、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸及びステアリン酸からなる群より選択される一種以上がより好ましく、パルミチン酸及びステアリン酸からなる群より選択される一種以上が更に好ましい。
モノカルボン酸(A1)がヒドロキシ基を含有する脂肪族モノカルボン酸である場合、モノカルボン酸(A1)としては、12-ヒドロキシステアリン酸が好ましい。12-ヒドロキシステアリン酸は、融点は76.5℃、分子量は300、炭素数は18である。
モノカルボン酸(A1)の含有量は、前記フラックスの総量(100質量%)に対して、0.1質量%以上30質量%以下が好ましく、0.5質量%以上20質量%以下がより好ましく、1質量%以上20質量%以下が更に好ましく、1質量%以上15質量%以下が特に好ましく、3質量%以上15質量%以下が最も好ましい。
モノカルボン酸(A1)の含有量が前記範囲内の下限値以上であることにより、フラックスの濡れ性を高めやすくなるとともに、ボイドの発生を抑制しやすくなる。モノカルボン酸(A1)の含有量が前記範囲内の上限値以下であることにより、ボイドの発生を抑制しやすくなる。
パルミチン酸の含有量は、モノカルボン酸(A1)の総質量に対して、60質量%以上100質量%以下であることが好ましい。
パルミチン酸の含有量が上記範囲内の下限値以上であることにより、ボイド発生の抑制能がより高めやすくなる。
≪その他有機酸≫
その他有機酸としては、例えば、カルボン酸、有機スルホン酸等が挙げられる。カルボン酸としては、例えば、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等が挙げられる。脂肪族カルボン酸としては、モノカルボン酸(A1)以外の脂肪族モノカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。
脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、イソペラルゴン酸、カプリン酸、カプロレイン酸、ウンデカン酸、リンデル酸、ミリストレイン酸、イソパルミチン酸、パルミトレイン酸、ヒラゴン酸、ヒドノカーピン酸、イソステアリン酸、エライジン酸、ペトロセリン酸、モロクチン酸、エレオステアリン酸、タリリン酸、バクセン酸、リミノレイン酸、ベルノリン酸、ステルクリン酸オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、エイコサン二酸、酒石酸、2,4-ジエチルグルタル酸、ジグリコール酸、2-メチルノナン二酸と、4-(メトキシカルボニル)-2,4-ジメチルウンデカン二酸と、4,6-ビス(メトキシカルボニル)-2,4,6-トリメチルトリデカン二酸と、8,9-ビス(メトキシカルボニル)-8,9-ジメチルヘキサデカン二酸等が挙げられる。
芳香族カルボン酸としては、例えば、サリチル酸、ジブチルアニリンジグリコール酸、テレフタル酸、パラヒドロキシフェニル酢酸、フェニルコハク酸、フタル酸、安息香酸、2,3-ジヒドロキシ安息香酸、2-キノリンカルボン酸、3-ヒドロキシ安息香酸、p-アニス酸、ピコリン酸、ジピコリン酸、3-ヒドロキシピコリン酸等が挙げられる。
また、カルボン酸としては、イソシアヌル酸トリス(2-カルボキシエチル)、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
また、その他有機酸としては、ヒドロキシカルボン酸が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、酒石酸等が挙げられる。
また、その他有機酸としては、ダイマー酸、トリマー酸、ダイマー酸に水素を添加した水添物である水添ダイマー酸、トリマー酸に水素を添加した水添物である水添トリマー酸等が挙げられる。
有機スルホン酸としては、例えば、脂肪族スルホン酸、芳香族スルホン酸等が挙げられる。脂肪族スルホン酸としては、例えば、アルカンスルホン酸、アルカノールスルホン酸等が挙げられる。
<溶剤(S)>
溶剤(S)は、沸点が100℃以下である溶剤(S1)を含む。溶剤(S1)としては、例えば、2-プロパノール、エタノール等が挙げられる。溶剤(S1)の沸点は、50℃以上100℃以下であることが好ましく、60℃以上90℃以下であることがより好ましく、70℃以上85℃以下であることが更に好ましい。
本明細書において、沸点とは、対象の液体の飽和蒸気圧が1気圧(すなわち、1013hPa)と等しくなるときの、その液体の温度を意味する。
溶剤(S)は、溶剤(S1)以外に、その他溶剤(S2)を含有してもよい。その他溶剤(S2)の沸点は、100℃超である。その他溶剤(S2)の沸点は、100℃超350℃以下であることが好ましく、150℃以上300℃以下であることがより好ましく、200℃以上280℃以下であることが更に好ましい。
その他溶剤(S2)としては、例えば、アルコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、テルピネオール類等が挙げられる。
アルコール系溶剤としては、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、イソボルニルシクロヘキサノール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2,5-ジオール、2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール、2-メチルペンタン-2,4-ジオール、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、2-エチル-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、2,2′-オキシビス(メチレン)ビス(2-エチル-1,3-プロパンジオール)、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール、1,2,6-トリヒドロキシヘキサン、1-エチニル-1-シクロヘキサノール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、2-ヘキシル-1-デカノール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール(ヘキシレングリコール)、オクタンジオール等が挙げられる。
グリコールエーテル系溶剤としては、ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルグリコール)、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(ヘキシルグリコール)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(ヘキシルジグリコール)、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、メチルプロピレントリグルコール、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコール、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコール-n-ブチルエーテル等が挙げられる。
テルピネオール類としては、α-テルピネオール、β-テルピネオール、γ-テルピネオール、テルピネオール混合物(すなわち、その主成分がα-テルピネオールであり、β-テルピネオール又はγ-テルピネオールを含有する混合物)等が挙げられる。
その他溶剤としては、例えば、セバシン酸ジオクチル(DOS)、流動パラフィン等が挙げられる。
その他溶剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
前記フラックス中の、溶剤の含有量は、前記フラックスの総量(100質量%)に対して、10質量%以上95質量%以下であることが好ましく、25質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。
前記溶剤(S1)の含有量は、前記溶剤(S)の総質量に対して、50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、55質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、60質量%以上100質量%以下であることが更に好ましく、65質量%以上100質量%以下であることが特に好ましい。
溶剤(S1)の含有量が上記範囲内の下限値以上であることにより、ボイド発生の抑制能がより高めやすくなる。また、前記フラックスをスプレー塗布することが容易となる。
<その他成分>
本実施形態におけるフラックスは、ロジン、有機酸及び溶剤(S)以外に、必要に応じて、その他成分を含んでもよい。
その他成分としては、ロジン以外の樹脂成分、有機酸以外の活性剤、チキソ剤、金属不活性化剤、界面活性剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、着色剤等が挙げられる。
≪ロジン以外の樹脂成分≫
ロジン以外の樹脂としては、例えば、テルペン樹脂、変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、変性テルペンフェノール樹脂、スチレン樹脂、変性スチレン樹脂、キシレン樹脂、変性キシレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリル-ポリエチレン共重合樹脂、その他熱硬化性樹脂等が挙げられる。
変性テルペン樹脂としては、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、水添芳香族変性テルペン樹脂等が挙げられる。変性テルペンフェノール樹脂としては、水添テルペンフェノール樹脂等が挙げられる。変性スチレン樹脂としては、スチレンアクリル樹脂、スチレンマレイン酸樹脂等が挙げられる。変性キシレン樹脂としては、フェノール変性キシレン樹脂、アルキルフェノール変性キシレン樹脂、フェノール変性レゾール型キシレン樹脂、ポリオール変性キシレン樹脂、ポリオキシエチレン付加キシレン樹脂等が挙げられる。
その他熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF 型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型樹脂、脂環式エポキシ樹脂、アミノプロパン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、トリアジン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
≪有機酸以外の活性剤≫
有機酸以外の活性剤としては、例えば、アミン、ハロゲン化合物、有機リン化合物等が挙げられる。
[アミン]
アミンとしては、例えば、アゾール類、グアニジン類、アルカノールアミン、アルキルアミン化合物、アミンポリオキシアルキレン付加体等が挙げられる。
アゾール類としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン、2,4-ジアミノ-6-ビニル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-ビニル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-s-トリアジン、エポキシ-イミダゾールアダクト、2-メチルベンゾイミダゾール、2-オクチルベンゾイミダゾール、2-ペンチルベンゾイミダゾール、2-(1-エチルペンチル)ベンゾイミダゾール、2-ノニルベンゾイミダゾール、2-(4-チアゾリル)ベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾール、1,2,4-トリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-tert-オクチルフェノール]、6-(2-ベンゾトリアゾリル)-4-tert-オクチル-6’-tert-ブチル-4’-メチル-2,2’-メチレンビスフェノール、1,2,3-ベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾール、2,2’-[[(メチル-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)メチル]イミノ]ビスエタノール、1-(1’,2’-ジカルボキシエチル)ベンゾトリアゾール、1-(2,3-ジカルボキシプロピル)ベンゾトリアゾール、1-[(2-エチルヘキシルアミノ)メチル]ベンゾトリアゾール、2,6-ビス[(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)メチル]-4-メチルフェノール、5-メチルベンゾトリアゾール、5-フェニルテトラゾール等が挙げられる。
グアニジン類としては、例えば、1,3-ジフェニルグアニジン、1,3-ジ-o-トリルグアニジン、1-o-トリルビグアニド、1,3-ジ-o-クメニルグアニジン、1,3-ジ-o-クメニル-2-プロピオニルグアニジン等が挙げられる。
アルカノールアミンとしては、例えば、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、1-アミノ-2-プロパノール、ビス(2-ヒドロキシプロピル)アミン、トリス(2-ヒドロキシプロピル)アミン等が挙げられる。
アルキルアミン化合物としては、例えば、エチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、シクロヘキシルアミン、ヘキサデシルアミン、ステアリルアミン等が挙げられる。
アミンポリオキシアルキレン付加体としては、例えば、末端ジアミンポリアルキレングリコール、脂肪族アミンポリオキシアルキレン付加体、芳香族アミンポリオキシアルキレン付加体、多価アミンポリオキシアルキレン付加体等が挙げられる。
アミンポリオキシアルキレン付加体に付加されているアルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等が挙げられる。
末端ジアミンポリアルキレングリコールは、ポリアルキレングリコールの両末端がアミノ化された化合物である。
末端ジアミンポリアルキレングリコールとしては、例えば、末端ジアミンポリエチレングリコール、末端ジアミンポリプロピレングリコール、末端ジアミンポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体等が挙げられる。
末端ジアミンポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体としては、例えば、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合物ビス(2-アミノプロピル)エーテル、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合物ビス(2-アミノエチル)エーテルが挙げられる。
脂肪族アミンポリオキシアルキレン付加体、芳香族アミンポリオキシアルキレン付加体、及び多価アミンポリオキシアルキレン付加体は、アミンの窒素原子にポリオキシアルキレン基が結合したものである。前記アミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、牛脂アミン、硬化牛脂アミン、牛脂プロピルジアミン、メタキシレンジアミン、トリレンジアミン、パラキシレンジアミン、フェニレンジアミン、イソホロンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、4,4-ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4-ジアミノジフェニルメタン、ブタン-1,1,4,4-テトラアミン、ピリミジン-2,4,5,6-テトラアミン等が挙げられる。
アミンは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
アミンとしては、アルカノールアミンが好ましく、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及び1-アミノ-2-プロパノールからなる群より選択される一種以上がより好ましく、ジエタノールアミンが更に好ましい。
前記アミンの含有量は、フラックスの総質量に対して、0.1質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上3質量%以下であることがより好ましく、0.2質量%以上1質量%以下であることが更に好ましい。
本実施形態に係るフラックスは、アミンを含有すること、好ましくはアルカノールアミンを含有することにより、濡れ性が高めやすくなるとともに、ボイド発生の抑制能をより高めやすくなる。
[ハロゲン化合物]
ハロゲン化合物としては、例えば、アミンハロゲン化水素酸塩、アミンハロゲン化水素酸塩以外の有機ハロゲン化合物等が挙げられる。
アミンハロゲン化水素酸塩は、アミンとハロゲン化水素とを反応させた化合物である。
ここでのアミンとしては、≪アミン≫において上述したものが挙げられる。
また、アミンハロゲン化水素酸塩以外のハロゲン化合物としては、例えば、アミンとテトラフルオロホウ酸(HBF)とを反応させた塩、アミンと三フッ化ホウ素(BF)とを反応させた錯体も用いることができる。前記錯体としては、例えば、三フッ化ホウ素ピぺリジン等が挙げられる。
アミンハロゲン化水素酸塩以外のハロゲン化合物としては、例えば、ハロゲン化脂肪族化合物が挙げられる。ハロゲン化脂肪族炭化水素基は、脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されたものをいう。
ハロゲン化脂肪族化合物としては、ハロゲン化脂肪族アルコール、ハロゲン化複素環式化合物が挙げられる。
ハロゲン化脂肪族アルコールとしては、例えば、1-ブロモ-2-プロパノール、3-ブロモ-1-プロパノール、3-ブロモ-1,2-プロパンジオール、1-ブロモ-2-ブタノール、1,3-ジブロモ-2-プロパノール、2,3-ジブロモ-1-プロパノール、1,4-ジブロモ-2-ブタノール、trans-2,3-ジブロモ-2-ブテン-1,4-ジオール等が挙げられる。
ハロゲン化複素環式化合物としては、例えば、下記一般式(h1)で表される化合物が挙げられる。
h11-(Rh12 (h1)
[式中、Rh11は、n価の複素環式基を表す。Rh12は、ハロゲン化脂肪族炭化水素基を表す。]
h11における、n価の複素環式基の複素環としては、脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された環構造が挙げられる。この複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。この複素環は、3~10員環であることが好ましく、5~7員環であることがより好ましい。この複素環としては、例えば、イソシアヌレート環などが挙げられる。
h12における、ハロゲン化脂肪族炭化水素基は、炭素数1~10が好ましく、炭素数2~6がより好ましく、炭素数3~5がさらに好ましい。また、Rh12は、臭素化脂肪族炭化水素基、塩素化脂肪族炭化水素基が好ましく、臭素化脂肪族炭化水素基がより好ましく、臭素化飽和脂肪族炭化水素基がさらに好ましい。
ハロゲン化複素環式化合物としては、例えば、トリス-(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。
また、アミンハロゲン化水素酸塩以外のハロゲン化合物としては、例えば、2-ヨード安息香酸、3-ヨード安息香酸、2-ヨードプロピオン酸、5-ヨードサリチル酸、5-ヨードアントラニル酸等のヨウ化カルボキシル化合物;2-クロロ安息香酸、3-クロロプロピオン酸等の塩化カルボキシル化合物;2,3-ジブロモプロピオン酸、2,3-ジブロモコハク酸、2-ブロモ安息香酸等の臭素化カルボキシル化合物等のハロゲン化カルボキシル化合物が挙げられる。
また、アミンハロゲン化水素酸塩以外のハロゲン化合物としては、例えば、有機クロロ化合物が挙げられる。有機クロロ化合物としては、例えば、クロロアルカン、塩素化脂肪酸エステル、クロレンド酸、クロレンド酸無水物等が挙げられる。
ハロゲン化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
≪有機リン化合物≫
有機リン化合物としては、例えば、酸性リン酸エステル、酸性ホスホン酸エステル、酸性ホスフィン酸エステル等が挙げられる。
有機リン化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
≪チキソ剤≫
チキソ剤としては、例えば、エステル系チキソ剤、アミド系チキソ剤、ソルビトール系チキソ剤等が挙げられる。
エステル系チキソ剤としては、例えばエステル化合物が挙げられ、具体的には硬化ひまし油、ミリスチン酸エチル等が挙げられる。
アミド系チキソ剤としては、例えば、モノアミド、ビスアミド、ポリアミドが挙げられる。
モノアミドとしては、例えば、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、飽和脂肪酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、4-メチルベンズアミド(p-トルアミド)、p-トルエンメタンアミド、芳香族アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、置換アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチロールアミド、脂肪酸エステルアミド等が挙げられる。
ビスアミドとしては、例えば、エチレンビス脂肪酸(脂肪酸の炭素数C6~24)アミド、エチレンビスヒドロキシ脂肪酸(脂肪酸の炭素数C6~24)アミド、ヘキサメチレンビス脂肪酸(脂肪酸の炭素数C6~24)アミド、ヘキサメチレンビスヒドロキシ脂肪酸(脂肪酸の炭素数C6~24)アミド、芳香族ビスアミド等が挙げられる。前記ビスアミドの原料である脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸(炭素数C18)、オレイン酸(炭素数C18)、ラウリン酸(炭素数C12)等が挙げられる。
ポリアミドとしては、例えば、飽和脂肪酸ポリアミド、不飽和脂肪酸ポリアミド、芳香族ポリアミド、1,2,3-プロパントリカルボン酸トリス(2-メチルシクロヘキシルアミド)、環状アミドオリゴマー、非環状アミドオリゴマー等のポリアミドが挙げられる。
前記環状アミドオリゴマーは、ジカルボン酸とジアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、トリカルボン酸とジアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、ジカルボン酸とトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、トリカルボン酸とトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、ジカルボン酸及びトリカルボン酸とジアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、ジカルボン酸及びトリカルボン酸とトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、ジカルボン酸とジアミン及びトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、トリカルボン酸とジアミン及びトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、ジカルボン酸及びトリカルボン酸とジアミン及びトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー等が挙げられる。
また、前記非環状アミドオリゴマーは、モノカルボン酸とジアミン及び/又はトリアミンとが非環状に重縮合したアミドオリゴマーである場合、ジカルボン酸及び/又はトリカルボン酸とモノアミンとが非環状に重縮合したアミドオリゴマーである場合等が挙げられる。モノカルボン酸又はモノアミンを含むアミドオリゴマーであると、モノカルボン酸、モノアミンがターミナル分子(terminal molecules)として機能し、分子量を小さくした非環状アミドオリゴマーとなる。また、非環状アミドオリゴマーは、ジカルボン酸及び/又はトリカルボン酸と、ジアミン及び/又はトリアミンとが非環状に重縮合したアミド化合物である場合、非環状高分子系アミドポリマーとなる。更に、非環状アミドオリゴマーは、モノカルボン酸とモノアミンとが非環状に縮合したアミドオリゴマーも含まれる。
ソルビトール系チキソ剤としては、例えば、ジベンジリデン-D-ソルビトール、ビス(4-メチルベンジリデン)-D-ソルビトール、(D-)ソルビトール、モノベンジリデン(-D-)ソルビトール、モノ(4-メチルベンジリデン)-(D-)ソルビトール等が挙げられる。
本実施形態にかかるフラックスは、チキソ剤を含有しなくてもよいし、チキソ剤を含有してもよい。本実施形態にかかるフラックスがチキソ剤を含有する場合、チキソ剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
≪金属不活性化剤≫
金属不活性化剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、窒素化合物等が挙げられる。
ここでいう「金属不活性化剤」とは、ある種の化合物との接触により金属が劣化することを防止する性能を有する化合物をいう。
ヒンダードフェノール系化合物とは、フェノールのオルト位の少なくとも一方に嵩高い置換基(例えばt-ブチル基等の分岐状又は環状アルキル基)を有するフェノール系化合物をいう。
ヒンダードフェノール系化合物としては、特に限定されず、例えば、ビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオン酸][エチレンビス(オキシエチレン)]、N,N’-ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]、1,6-ヘキサンジオールビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、2,2’-ジヒドロキシ-3,3’-ビス(α-メチルシクロヘキシル)-5,5’-ジメチルジフェニルメタン、2,2’-メチレンビス(6-tert-ブチル-p-クレゾール)、2,2’-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-エチルフェノール)、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-tert-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス-[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルフォスフォネート-ジエチルエステル、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N’-ビス[2-[2-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)エチルカルボニルオキシ]エチル]オキサミド、下記化学式で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0007239865000003
(式中、Zは、置換されてもよいアルキレン基である。R81及びR82は、それぞれ独立して、置換されてもよい、アルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基又はヘテロシクロアルキル基である。R83及びR84は、それぞれ独立して、置換されてもよいアルキル基である。)
金属不活性化剤における窒素化合物としては、例えば、ヒドラジド系窒素化合物、アミド系窒素化合物、トリアゾール系窒素化合物、メラミン系窒素化合物等が挙げられる。
ヒドラジド系窒素化合物としては、ヒドラジド骨格を有する窒素化合物であればよく、ドデカン二酸ビス[N2-(2ヒドロキシベンゾイル)ヒドラジド]、N,N’-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、デカンジカルボン酸ジサリチロイルヒドラジド、N-サリチリデン-N’-サリチルヒドラジド、m-ニトロベンズヒドラジド、3-アミノフタルヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ヒドラジド、オキザロビス(2-ヒドロキシ-5-オクチルベンジリデンヒドラジド)、N’-ベンゾイルピロリドンカルボン酸ヒドラジド、N,N’-ビス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル)ヒドラジン等が挙げられる。
アミド系窒素化合物としては、アミド骨格を有する窒素化合物であればよく、N,N’-ビス{2-[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシル]エチル}オキサミド等が挙げられる。
トリアゾール系窒素化合物としては、トリアゾール骨格を有する窒素化合物であればよく、N-(2H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)サリチルアミド、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、3-(N-サリチロイル)アミノ-1,2,4-トリアゾール等が挙げられる。
メラミン系窒素化合物としては、メラミン骨格を有する窒素化合物であればよく、メラミン、メラミン誘導体等が挙げられる。より具体的には、例えば、トリスアミノトリアジン、アルキル化トリスアミノトリアジン、アルコキシアルキル化トリスアミノトリアジン、メラミン、アルキル化メラミン、アルコキシアルキル化メラミン、N2-ブチルメラミン、N2,N2-ジエチルメラミン、N,N,N’,N’,N’’,N’’-ヘキサキス(メトキシメチル)メラミン等が挙げられる。
金属不活性化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
≪界面活性剤≫
界面活性剤としては、例えば、ノニオン界面活性剤等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレン付加体が挙げられる。
ポリオキシアルキレン付加体が由来するアルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等が挙げられる。
ポリオキシアルキレン付加体としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体、エチレンオキサイド-レゾルシン共重合物、ポリオキシアルキレンアセチレングリコール類、ポリオキシアルキレングリセリルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンエステル、ポリオキシアルキレンアルキルアミド等が挙げられる。
あるいは、ノニオン界面活性剤としては、アルコールのポリオキシアルキレン付加体が挙げられる。前記アルコールとしては、例えば、脂肪族アルコール、芳香族アルコール、多価アルコールが挙げられる。
界面活性剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
≪酸化防止剤≫
酸化防止剤としては、例えば、2,2’-ジヒドロキシ-3,3’-ビス(α-メチルシクロヘキシル)-5,5’-ジメチルジフェニルメタン等のヒンダードフェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
ここでいう「酸化防止剤」とは、はんだ合金の酸化を抑制する性能を有する化合物をいう。
酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
インジウムシートの実装では、シートを構成するインジウムの融点が156℃と低いため、リフローが低温条件で行われる。
本実施形態に係るフラックスは、比較的低温の接合においても濡れ性が高く、かつ、ボイドの発生の抑制能を高めることが可能である。このような効果が奏される理由は定かではないが、次のように推測される。
パルミチン酸等のモノカルボン酸(A1)は、アジピン酸等のジカルボン酸と比べて融点が低い。本実施形態に係るフラックスは、融点が比較的低いモノカルボン酸(A1)を含有することにより、比較的低温のリフローにおいても、十分な濡れ性を発揮することが可能である。
モノカルボン酸(A1)は、ジカルボン酸に比べて、カルボキシ基による反応性が低いため、カルボン酸と金属酸化物との反応に由来するボイド量を低減することも可能である。
沸点が100℃以下である溶剤(S1)は、低温のリフローであっても、インジウムシートが溶融する前に、揮発する。その結果、インジウムが溶融する際に、溶剤(S1)に由来するボイドは発生しない。
これらの相乗効果により、本実施形態に係るフラックスは、インジウムシートの実装においても、ボイドの発生を抑制することが可能である。
本実施形態に係るフラックスは、以上のような効果を奏するため、インジウムシートの実装に好適に用いることができる。
(接合体の製造方法)
本態様に係る接合体の製造方法は、上記実施形態に係るフラックスを用いて、ダイとリッドとを、熱界面材料(TIM)を介して貼り合わせることにより、接合体を得る方法である。
本態様に係る接合体の製造方法について、フラックス塗布工程、リッド装着工程、リフロー工程を有する方法を例示して説明する。
本態様に係る接合体の製造方法の好適な一実施形態について、図1~3を用いて説明する。本実施形態に係る接合体の製造方法では、図1に例示するように、リッド10、TIM20、及び、ダイ41が搭載された基板40を準備する。
ダイ41の表面には、メタライズ層42が設けられている。メタライズ層42は、例えば、Niめっき層、Ni/Auめっき層等であってもよい。メタライズ層42は、異なる組成の層を複数有していてもよい。メタライズ層42は、例えば、スパッタリング等の方法により形成することができる。
リッド10は、TIM20と対向する面に、メタライズ層11が設けられている。メタライズ層11としては、ダイ41が有するメタライズ層42と同様のものが挙げられる。リッド10は、TIM20と対向する面とは反対側の面に、ヒートシンク12を備えている。ヒートシンク12の材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅等の金属が挙げられる。
TIM20は、インジウムのみからなる、インジウムシートである。TIM20の形状は板状である。TIM20の寸法は、リッド10のメタライズ層11、及び、ダイ41のメタライズ層42の寸法と同等であるか、あるいは、これらよりも小さい。
<フラックス塗布工程>
フラックス50としては、上記実施形態にかかるフラックス50が好適に用いられる。フラックス塗布工程について、図2を参照して説明する。図2は、フラックス50が塗布された、TIM20及びダイ41を示す断面図である。フラックス塗布工程においては、TIM20とダイ41との間、及び、TIM20とリッド10との間に、フラックス50を介在させる。
フラックス塗布工程では、ダイ41とTIM20との貼合面(42a、20b)、及び、リッド10とTIM20との貼合面(11a、20a)に、フラックス50を塗布する。
フラックス50は、次のように貼合面に塗布される。ダイ41のメタライズ層42の表面42aに対して、フラックス50を塗布する。次いで、フラックス50を塗布したダイ41のメタライズ層42の上に、TIM20を載置する。ダイ41に積層されたTIM20の、ダイ41と接触している面20bとは反対側の面20aに対して、フラックス50を塗布する。
フラックス50の塗布装置としては、スプレーフラクサー、および発泡式フラクサー等が挙げられる。これらの中でも、塗布量の安定性の観点から、スプレーフラクサーが好ましい。
<リッド装着工程>
リッド装着工程では、フラックス50を貼合面に塗布した後、TIM20及びダイ41が積層されている基板40に対して、リッド10を固定する。リッド装着工程について、図3を参照して説明する。図3は、フラックス50の塗布後、リッド10と基板40とが、接着用樹脂43により接着された積層体60を示す図である。
リッド装着工程では、フラックス50の塗布後、基板40の一方面上に、接着用樹脂43を塗布する。次いで、リッド10と、TIM20及びダイ41が積層されている基板40とを、熱圧着することにより、接着用樹脂43を硬化させる。これにより、リッド10が基板40に対して固定される。リッド装着工程により、リッド10と基板40とが、接着用樹脂43により接着された積層体60が得られる。
<リフロー工程>
リフロー工程では、積層体60に対して、リフローを行う。リフローにより、TIM20を介して、リッド10及びダイ41が接合される。
リフロー温度は、200℃未満で行うことが好ましい。TIMであるインジウムシートを構成するインジウムは、融点が156℃であるため、通常のリフローよりも低い温度であっても、接合が可能である。リフロー温度は、160~200℃であることが好ましく、170~190℃であることがより好ましい。
以上説明した実施形態に係る接合体の接合方法によれば、上記実施形態に係るフラックスは、低温でも濡れ性に優れているため、リッド及びダイに対するTIMの密着性を高めやすくなる。その結果、ダイとリッドとをTIM(すなわち、インジウムシート)により良好に接合することが可能である。また、このように接合された接合体は、インジウムシートの接合面におけるボイド量が低減されているため、ダイから発生した熱を高効率で放熱することが可能である。
(その他実施形態)
上述したように、本態様に係る接合体の製造方法は、TIM20とダイ41との間、又は、TIM20とリッド10との間の少なくとも一方に、フラックス50を介在させる。
上記の実施形態においては、ダイ41におけるTIM20との貼合面42a、TIM20におけるリッド10との貼合面11aにフラックス50を塗布するが、フラックス50を塗布する面はこれに限定されない。
例えば、TIM20とダイ41との間にフラックス50を介在させるために、TIM20におけるダイ41との貼合面20bにフラックス50を塗布してもよいし、リッド10におけるTIM20との貼合面11aにフラックス50を塗布してもよい。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<フラックスの調製>
(実施例1~45、比較例1~4)
表1~6に示す組成で実施例及び比較例の各フラックスを調合した。使用した原料の成分を以下に示した。表1~6における組成率は、フラックスの全質量を100質量%とした場合の質量%であり、空欄は0質量%を意味する。
ロジン:アクリル酸変性水添ロジン、水添ロジン
有機酸として、モノカルボン酸(A1)及びジカルボン酸を用いた。
モノカルボン酸(A1):ラウリン酸(融点45℃、分子量200)、パルミチン酸(融点63℃、融点256)、ステアリン酸(融点70℃、融点284)、12-ヒドロキシステアリン酸(融点76.5℃、分子量300)
ジカルボン酸:エイコサン二酸、アジピン酸、セバシン酸
アミン:ジエタノールアミン
溶剤(S)として、溶剤(S1)及び溶剤(S2)を用いた。
溶剤(S1):2-プロパノール(沸点82℃)
溶剤(S2):ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(沸点259℃)
下記の<評価1>に記載した評価方法にしたがって、接合体を製造し、≪ボイド発生抑制能の評価≫、≪濡れ性の評価≫を行った。これらの評価結果を表1~5に示した。
<評価1>
≪ボイド発生抑制能の評価≫
接合体の製造方法:
表面にAu/Niめっき部(サイズ8mm×8mm)が設けられたリッド、及び、表面にAu/Niめっき部(サイズ8mm×8mm)が設けられた基板を用意した。
はんだシートとして、インジウムのみからなるインジウムシート(サイズ:7mm×7mm×400μm)を準備した。インジウムシートの表面及び裏面に、それぞれ、各例のフラックス2mgをスプレー塗布した。
基板のAu/Niめっき部の周縁に、厚さ300μmの銅板を、スペーサーとして載置した。次いで、フラックスを塗布したインジウムシートを、リッド及び基板のAu/Niめっき部の間に挟み込んだ状態で、クリップで固定した。
次いで、はんだシートを挟んだリッド及び基板に対して、リフローを行い、接合体を得た。リフローは、大気中、昇温速度10℃/分で昇温し、170℃に達するまで行った。
検証方法:
得られた接合体に対し、基板の鉛直方向からX線を照射して、透過X線を解析することにより、ボイド面積を測定した。測定には、XD7600NT(ノードソン社製)を用いた。ボイド面積の測定では、X線が少なくとも1個のボイドを通過した場合には、ボイドが存在したものとして測定した。ボイドは、直径0.1μm以上のものを検出した。次いで、インジウムシートの総面積に対するボイドの総面積の割合を算出し、ボイド面積率(%)とした。
判定基準:
A:ボイド面積率が、10%未満である。
B:ボイド面積率が、10%以上15%未満である。
C:ボイド面積率が、15%以上である。
評価結果が、A又はBであったフラックスは合格であり、Cであったフラックスは不合格であるとした。
≪濡れ性の評価≫
検証方法:
はんだシートとして、インジウムのみからなるインジウムシート(サイズ:2mm×2mm×100μm)を準備した。
インジウムシートの表面及び裏面に、それぞれ、各例のフラックス0.5mgをスプレー塗布した。フラックスを塗布したはんだシートを、Au/Ni電極上に載置した。
次いで、インジウムシートが載置された電極を、次の条件でリフローを行った。リフローは、昇温速度6℃/分で、180℃まで昇温し、180℃で3分間、保持した。
次いで、フラックスを除去した後、濡れ広がった面積を計測した。
判定基準:
A:濡れ広がった面積が、2.5mm以上である。
B:濡れ広がった面積が、2.0mm以上2.5mm未満である。
評価結果が、A又はBであったフラックスは合格であるとした。
下記の<評価2>に記載した評価方法にしたがって、≪ボイド発生抑制能の評価≫、≪濡れ性の評価≫を行った。これらの評価結果を表6に示した。
<評価2>
≪ボイド発生抑制能の評価≫
はんだシートとして、Agが3質量%、Cuが0.5質量%、残部がSnのはんだ合金からなるSAC合金シート(サイズ:7mm×7mm×400μm)を準備した。
SAC合金シート、及び、実施例5、比較例3のフラックスを用いて、<評価1>の[ボイド発生抑制能の評価]と同様の方法で検証した。ただし、リフローは、大気中、昇温速度30℃/分で昇温し、250℃に達するまで行った。
≪濡れ性の評価≫
はんだシートとして、Agが3質量%、Cuが0.5質量%、残部がSnのはんだ合金からなるSAC合金シート(サイズ:2mm×2mm×100μm)を準備した。
SAC合金シート、及び、実施例5、比較例3のフラックスを用いて、<評価1>の[濡れ性の評価]と同様の方法で検証した。ただし、リフローは、昇温速度6℃/分で、250℃まで昇温し、250℃で3分間、保持した。
Figure 0007239865000004
融点が35℃以上90℃以下であるモノカルボン酸(A1)を含有する、実施例1~9のフラックスは、ボイド発生抑制能の評価が、A又はBであった。
モノカルボン酸(A1)を含有しない、比較例1~4のフラックスは、ボイド発生抑制能の評価が、Cであった。
パルミチン酸を含有する、実施例5のフラックスは、ボイド発生抑制能の評価が、Aであった。ラウリン酸、ステアリン酸又は12-ヒドロキシステアリン酸を含有する、実施例7~9のフラックスは、ボイド発生抑制能の評価が、Bであった。
アルカノールアミンを含有する、実施例5のフラックスは、ボイド発生抑制能の評価及び濡れ性の評価が、Aであった。
アルカノールアミンを含有しない、実施例6のフラックスは、ボイド発生抑制能の評価及び濡れ性の評価が、Bであった。
Figure 0007239865000005
パルミチン酸の含有量が、モノカルボン酸(A1)の総質量に対して、60質量%以上である、実施例10のフラックスは、ボイド発生抑制能の評価が、Aであった。
パルミチン酸の含有量が、モノカルボン酸(A1)の総質量に対して、60質量%未満である、実施例11のフラックスは、ボイド発生抑制能の評価が、Bであった。
溶剤(S1)の含有量が、溶剤(S)の総質量に対して、65質量%以上である、実施例12のフラックスは、ボイド発生抑制能の評価が、Aであった。
溶剤(S1)の含有量が、溶剤(S)の総質量に対して、65質量%未満である、実施例13のフラックスは、ボイド発生抑制能の評価が、Bであった。
Figure 0007239865000006
Figure 0007239865000007
Figure 0007239865000008
ロジンの総含有量が、フラックスの総質量に対して、15質量%以上45質量%以下であり、かつ、パルミチン酸の含有量が、フラックスの総質量に対して、3質量%以上15質量%以下である、実施例15、17~19、22~25、27、29~31のフラックスは、ボイド発生抑制能の評価及び濡れ性の評価が、Aであった。
ロジンの総含有量が、フラックスの総質量に対して、10質量%である、実施例34、38のフラックスは、ボイド発生抑制能の評価及び濡れ性の評価が、Bであった。
ロジンの総含有量が、フラックスの総質量に対して、50質量%である、実施例37、41、45のフラックスは、ボイド発生抑制能の評価が、Bであった。
パルミチン酸の含有量が、フラックスの総質量に対して、1質量%である、実施例26、38のフラックスは、ボイド発生抑制能の評価及び濡れ性の評価が、Bであった。
パルミチン酸の含有量が、フラックスの総質量に対して、20質量%である、実施例20~21、32~33、44~45のフラックスは、ボイド発生抑制能の評価が、Bであった。
Figure 0007239865000009
≪評価2≫において、SAC合金シート及び実施例5のフラックスを用いた場合、ボイド発生抑制能及び濡れ性の評価は、Aであった。また、SAC合金シート及び比較例3のフラックスを用いた場合、ボイド発生抑制能及び濡れ性の評価は、Aであった。
モノカルボン酸(A1)を含有しない比較例3のフラックスは、SAC合金シートを用いた場合、ボイド抑制能はAであり、インジウムシートを用いた場合、ボイド抑制能はCであった。すなわち、インジウムシートは、SAC合金シートよりも、ボイドを発生しやすい。
モノカルボン酸(A1)を含有する実施例5のフラックスは、インジウムシートを用いた場合であっても、十分にボイドを抑制することができた。
本発明のフラックスは、ヒートシンクを備えたリッドと、ダイとがインジウムシートにより接合された、熱排出効率が高い接合体の製造に好適に用いられる。
10 リッド、11 メタライズ層、11a 貼合面、12 ヒートシンク、20 熱界面材料(TIM)、20a,20b 貼合面、40 基板、41 ダイ、42 メタライズ層、42a 貼合面、43 接着用樹脂、50 フラックス、60 積層体

Claims (14)

  1. ロジンと、有機酸と、溶剤(S)と、アルカノールアミンとを含有し、
    前記有機酸は、融点が35℃以上90℃以下であり、かつ、分子量が180以上350以下であるモノカルボン酸(A1)を含み、
    前記溶剤(S)は、沸点が100℃以下である溶剤(S1)を含
    前記ロジンの含有量が、フラックスの総質量に対して、5質量%以上70質量%以下であり、
    前記モノカルボン酸(A1)の含有量が、フラックスの総質量に対して、0.1質量%以上30質量%以下であり、
    前記溶剤(S)の含有量が、フラックスの総質量に対して、10質量%以上90質量%以下であり、
    前記溶剤(S1)の含有量が、前記溶剤(S)の総質量に対して、50質量%以上100質量%以下であり、
    前記アルカノールアミンの含有量が、フラックスの総質量に対して、0.1質量%以上5質量%以下である、フラックス。
  2. ロジンと、有機酸と、溶剤(S)とを含有し、
    前記有機酸は、融点が35℃以上90℃以下であり、かつ、分子量が180以上350以下であるモノカルボン酸(A1)を含み、
    前記溶剤(S)は、沸点が100℃以下である溶剤(S1)を含
    エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を含有せず、
    前記ロジンの含有量が、フラックスの総質量に対して、10質量%以上70質量%以下であり、
    前記モノカルボン酸(A1)の含有量が、フラックスの総質量に対して、0.1質量%以上30質量%以下であり、
    前記溶剤(S)の含有量が、フラックスの総質量に対して、10質量%以上88.5質量%以下であり、
    前記溶剤(S1)の含有量が、前記溶剤(S)の総質量に対して、50質量%以上100質量%以下である、フラックス。
  3. 前記溶剤(S1)の含有量が、前記溶剤(S)の総質量に対して、65質量%以上である、請求項1又は2に記載のフラックス。
  4. さらに、アルカノールアミンを含有する、請求項に記載のフラックス。
  5. 前記モノカルボン酸(A1)の含有量が、フラックスの総質量に対して、0.5質量%以上20質量%以下である、請求項1又は2に記載のフラックス。
  6. 前記モノカルボン酸(A1)がパルミチン酸を含み、
    パルミチン酸の含有量が、前記モノカルボン酸(A1)の総質量に対して、60質量%以上である、請求項1又は2に記載のフラックス。
  7. 前記ロジンの含有量が、フラックスの総質量に対して、10質量%以上50質量%以下である、請求項1又は2に記載のフラックス。
  8. ダイとリッドとが熱界面材料(TIM)を介して貼り合わされた接合体の製造方法であって、
    前記TIMが、インジウムシートであり、
    前記TIMと前記ダイとの間、又は、前記TIMと前記リッドとの間の少なくとも一方に、フラックスを介在させて、リフロー方式による接合を行う工程を有し
    前記フラックスは、ロジンと、有機酸と、溶剤(S)とを含有し、
    前記有機酸は、融点が35℃以上90℃以下であり、かつ、分子量が180以上350以下であるモノカルボン酸(A1)を含み、
    前記溶剤(S)は、沸点が100℃以下である溶剤(S1)を含み
    前記ロジンの含有量が、フラックスの総質量に対して、5質量%以上70質量%以下であり、
    前記モノカルボン酸(A1)の含有量が、フラックスの総質量に対して、0.1質量%以上30質量%以下であり、
    前記溶剤(S)の含有量が、フラックスの総質量に対して、10質量%以上88.5質量%以下であり、
    前記溶剤(S1)の含有量が、前記溶剤(S)の総質量に対して、50質量%以上100質量%以下である、接合体の製造方法。
  9. 前記リフロー方式による接合を、200℃未満で行う、請求項8に記載の接合体の製造方法。
  10. 前記溶剤(S1)の含有量が、前記溶剤(S)の総質量に対して、65質量%以上である、請求項8又は9に記載の接合体の製造方法。
  11. さらに、アルカノールアミンを含有する、請求項8又は9に記載の接合体の製造方法。
  12. 前記モノカルボン酸(A1)の含有量が、フラックスの総質量に対して、0.5質量%以上20質量%以下である、請求項8又は9に記載の接合体の製造方法。
  13. 前記モノカルボン酸(A1)がパルミチン酸を含み、
    パルミチン酸の含有量が、前記モノカルボン酸(A1)の総質量に対して、60質量%以上である、請求項8又は9に記載の接合体の製造方法。
  14. 前記ロジンの含有量が、フラックスの総質量に対して、10質量%以上50質量%以下である、請求項8又は9に記載の接合体の製造方法。
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