JP7238677B2 - 共振インバータ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、放電負荷に放電を発生させるための共振インバータ装置に関する。
車両に搭載される放電発生装置等の放電負荷に対して、交流電圧を供給するために共振インバータ装置が用いられる。このような共振インバータ装置は、一般に、バッテリ電源からの直流電圧を交流電圧に変換するインバータ回路と、交流電圧を昇圧して放電負荷へ出力するトランスと、インバータ回路の駆動状態を制御するための制御部とを備えている。制御部は、インバータ回路のスイッチング動作を制御して、容量性の放電負荷とトランスの漏れインダクタンス成分を共振させることにより、放電に必要な高い出力電圧を得ている。
車両用の放電発生装置は、例えば、排ガス通路に設置される排ガス処理装置の一部をなすもので、排ガス処理を効果的に行うために、放電負荷への出力電圧を安定して制御することが求められる。また、経年による劣化等が生じることにより、放電発生装置の電気的特性が変化すると、所望の出力電圧を効率よく得られなくなるおそれがある。そのため、劣化等の異常を早期に検出するための自己診断システムを併設することが求められている。車両搭載装置の自己診断システムに関しては、例えば、特許文献1に、共振回路が構成されたときの出力電圧又は出力電流に基づいて、故障判定を行う電圧変換装置が開示されている。
特許文献1には、車載用モータ駆動装置に用いられる電圧変換装置において、直流電源と、負荷となる交流モータに接続されるインバータとの間に、リアクトル及びスイッチング回路を含む昇圧コンバータと、コンデンサとを配設し、コンデンサとリアクトルを用いて共振回路を構成するように制御する制御手段と、故障判定手段を設けることが提案されている。故障判定手段は、共振回路が構成されたときのコンデンサ電圧、リアクトル電流及び直流電源電圧のいずれかについて、その波形から振動数及びピーク値を検出し、基準値と比較してコンデンサ又はリアクトルの故障を判定する。
特許第03994883号公報
特許文献1の故障検出手段は、直流電源に接続される直流回路内の共振回路を対象とするものであり、直流回路への給電時に、直流回路内に構成される共振回路の振動特性に基づいて、共振回路を構成するコンデンサ又はリアクトルの故障を検出するようになっている。このような特許文献1の給電手法を、共振インバータ装置に適用しても、インバータ後段の放電負荷を含めた振動特性を検出することはできず、故障検出もできない。そのため、共振インバータ装置に用いられる放電負荷について、劣化に伴う特性の変化等を検出し、異常検出を可能とする手法の確立が望まれている。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、容量性の放電負荷に対して交流電圧を出力する共振インバータ装置において、放電負荷の劣化等の異常検出を可能として、信頼性の高い共振インバータ装置を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、
容量性の放電負荷(10)に対して交流高電圧を供給する共振インバータ装置(1)であって、
直流電圧(Vin)を出力する直流電圧電源(B)と、
複数のスイッチング素子(Q1~Q4)のオンオフ動作により、上記直流電圧を交流電圧に変換するインバータ回路(2)と、
上記交流電圧を昇圧して、上記放電負荷へ出力するトランス(3)と、
上記スイッチング素子をオンオフ動作させるための駆動パルスを生成し、上記インバータ回路の駆動状態を制御する制御部(4)と、を備え、
上記制御部は、上記放電負荷の容量成分(C)と上記トランスのインダクタンス成分(L)を含む共振回路(50)に自由振動を発生させると共に、上記自由振動の固有振動数情報を検出し、上記固有振動数情報の変化に基づいて上記放電負荷の異常を検出する異常検出部(5)を有している、共振インバータ装置にある。
上記構成の共振インバータ装置において、直流電圧電源からインバータ回路へ入力される直流電圧は、複数のスイッチング素子のオンオフ動作により交流電圧に変換され、さらにトランスによって昇圧されて、放電負荷へ出力される。このとき、制御部によって、インバータ回路の駆動状態を適切に制御することで、所望の交流高電圧を放電負荷に供給可能となる。また、制御部に異常検出部を設け、放電負荷の容量成分を含む共振回路に自由振動を与えることで、その固有振動数情報を検出することができる。固有振動数情報は、放電負荷の劣化等によって変化することから、固有振動数情報の変化を用いて異常の有無を判定することができる。
以上のごとく、上記態様によれば、容量性の放電負荷に対して交流電力を出力する共振インバータ装置において、放電負荷の異常検出を行うことが可能な共振インバータ装置を提供することができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
実施形態1における、共振インバータ装置の全体概略構成図。 実施形態1における、共振インバータ装置の異常検出部による駆動パルスの印加状態を示す概略図。 実施形態1における、共振インバータ装置の異常検出部による駆動パルスの停止状態を示す概略図。 実施形態1における、共振インバータ装置の異常検出部による異常判定動作の概要を示す概略図。 実施形態1における、共振インバータ装置が適用されるオゾナイザの概略構成図及びその部分拡大図。 実施形態1における、共振インバータ装置の制御部による制御の概要を説明するための図で、駆動パルス周波数と出力電力の関係を示す図。 実施形態1における、共振インバータ装置の制御部にて実施されるオゾナイザの放電制御処理のフローチャート図。 実施形態1における、制御部の異常検出部にて実施される異常検出処理のフローチャート図。 実施形態1における、制御部の異常検出部による固有振動数の検出方法の一例を説明するための図。 実施形態1における、制御部の異常検出部による固有振動数の検出方法の他の一例を説明するための図。 試験例1における、制御部の異常検出部による駆動パルスの印加例とトランス一次電流の関係を示す図。 試験例1における、制御部の異常検出部によるトランス一次電流のFFT解析結果を初期品と劣化想定品とで比較して示す図。 試験例1における、制御部の異常検出部による駆動パルスの逆位相印加例とトランス一次電流の関係を示す図。 試験例1における、制御部の異常検出部による駆動パルスの逆位相印加の有無とトランス一次電流の関係を比較して示す図。 実施形態2における、共振インバータ装置の全体概略構成図。 実施形態1における、制御部の異常検出部にて実施される異常検出処理のフローチャート図。 実施形態3における、共振インバータ装置の全体概略構成図。 実施形態3における、制御部による制御の概要を説明するための図で、駆動パルス周波数と出力電力の関係を示す図。 実施形態3における、制御部にて出力される駆動パルスと出力電力の関係の変化を示す図。 実施形態3における、制御部の制御定数設定部にて実施される電力制御定数調整処理のフローチャート図。
(実施形態1)
共振インバータ装置に係る実施形態1について、図1~図14を参照して説明する。
図1において、本形態の共振インバータ装置1は、直流電圧を出力する直流電圧電源(以下、適宜、電源と略称する)Bと、複数のスイッチング素子Q1~Q4を有するインバータ回路2と、昇圧用のトランス3と、制御部4とを備えている。共振インバータ装置1は、制御部4によってインバータ回路2を駆動し、容量性の放電負荷10に対して、交流高電圧を供給する。
具体的には、制御部4は、スイッチング素子Q1~Q4をオンオフ動作させるための駆動パルスを生成し、インバータ回路2の駆動状態を制御する。インバータ回路2は、電源Bから出力される直流電圧を、スイッチング素子Q1~Q4のオンオフ動作により、交流電圧に変換する。インバータ回路2から出力される交流電圧は、トランス3において昇圧されると共に、共振回路の作用により、所定の交流高電圧(以下、適宜、出力電圧と略称する)として、放電負荷10へ出力される。これにより、放電負荷10に放電が発生する。
また、制御部4には、放電負荷10の異常を検出するための異常検出部5が設けられる。図2~図4に示すように、異常検出部5は、放電負荷10の容量成分(静電容量C)とトランス3のインダクタンス成分(漏れインダクタンスL)を含む共振回路50に自由振動を発生させると共に、発生させた自由振動の固有振動数情報を検出し、検出結果から知られる固有振動数情報の変化に基づいて放電負荷10の異常を検出する。ここで、固有振動数情報とは、固有振動数の検出値又は検出値から導かれる情報を含む。
具体的には、異常検出部5は、自由振動発生部51と、固有振動数検出部52と、異常判定部53と、を備えている。
自由振動発生部51は、異常判定期間に、まず、インバータ回路2へ異常判定用の駆動パルスを出力し(図2参照)、その後に駆動パルスを停止することで(図3参照)、共振回路50に自由振動を発生させる。固有振動数検出部52は、発生させた自由振動から、固有振動数情報として、共振回路50の固有振動数fresを検出する(図4参照)。異常判定部53は、例えば、検出された固有振動数fresの初期状態からの変化に基づいて、放電負荷10の異常有無を判定することができる。
放電負荷10は、例えば、車両用放電発生装置を構成することができる。その場合、自由振動発生部51において、異常判定期間は、車両暖気完了後で、かつ、放電負荷10の放電停止期間に設定されることが好ましい。これにより、車両用放電発生装置の作動に影響しない期間に、異常検出を実施することができる。
好適には、自由振動発生部51は、異常判定用の駆動パルスを、放電負荷10の放電可能範囲外に設定すると共に、異常判定用の駆動パルスを、自由振動を発生可能な短時間の出力後に停止する。
その場合には、自由振動発生部51は、異常判定用の駆動パルスを出力した後に、逆位相の駆動パルスを同時間出力してから停止することもできる。
好適には、固有振動数検出部52は、トランス3の一次側又は二次側の電流値を検出し、検出した電流値の単位時間当たりの極性反転回数から、固有振動数fresを検出する。
または、固有振動数検出部52は、トランス3の一次側又は二次側の電流値を検出し、さらに高速フーリエ変換して、得られた周波数波形のピークスペクトルから、固有振動数fresを検出することができる。
異常判定部53は、固有振動数fresの初期状態からの変化を示す、固有振動数変化量Δfres、又は、固有振動数変化率fratioを、それぞれの閾値となる第1変化量閾値TH(Δfres)又は第1変化率閾値TH(fratio)と比較して、放電負荷10の異常有無を判定する。
ここで、固有振動数変化量Δfresは、検出した固有振動数fresと共振回路50の初期固有振動数fres0との差分値fres-fres0で表される。また、固有振動数変化率fratioは、検出した固有振動数fresと共振回路50の初期固有振動数fres0との比率fres/fres0とすることができる。
以下、本形態の共振インバータ装置1について、詳述する。
図1において、共振インバータ装置1は、例えば、車載用共振インバータ装置として用いられ、放電負荷10となる放電リアクタを主要部とするオゾナイザ等に適用される。共振インバータ装置1は、インバータ回路2を駆動して、放電発生装置である放電リアクタに対して、交流高電圧を供給する。オゾナイザは、排ガス処理装置の一部をなし、放電リアクタにて発生させたオゾンを用いて、図示しない車両のエンジンから排ガス通路に排出される排ガスを改質するよう構成される。
オゾナイザの構成については、後述する。
共振インバータ装置1は、例えば、車載用バッテリである電源Bの直流電圧を、インバータ回路2に入力して、所定の交流電圧に変換し、トランス3へ供給する。制御部4には、図示しない測定部からの検出信号、例えば、インバータ回路2への入力電圧Vinや入力電力Pin、トランス3の一次電流Itrans1、二次電流Itrans2等の検出信号が入力されている。制御部4は、これら検出信号と、図示しない外部の制御装置からの指令電力信号(例えば、目標入力電力Pref*)に基づいて、インバータ回路2の駆動を制御し、交流電圧をトランス3にて昇圧して、放電負荷10へ供給する。
インバータ回路2は、スイッチング素子Q1~Q4がフルブリッジ回路を構成している。スイッチング素子Q1~Q4は、電源Bの正極線11と負極線12の間に配置され、互いに並列に接続される第1アーム21と第2アーム22を形成する。第1アーム21は、直列接続された一対のスイッチング素子Q1、Q2からなり、第2アーム22は、直列接続された一対のスイッチング素子Q3、Q4からなる。
スイッチング素子Q1~Q4は、例えば、図示する金属酸化膜型電界効果トランジスタ(MOSFET)や絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)等のパワー素子とダイオードとを組み合わせて構成される。ダイオードは、スイッチング素子Q1~Q4に対して逆並列に接続される。
トランス3は、一次コイル31と二次コイル32とを磁気結合させた公知の構成を有し、インバータ回路2からの交流電圧を昇圧して、所定の交流高電圧を発生させる。このとき、一次コイル31の巻線数n1と二次コイル32の巻線数n2は、n1<n2に設定され、これらの巻数比に応じた昇圧効果が得られる。また、放電負荷10の静電容量Cと、二次側の漏れインダクタンスLとにより共振回路50が構成されており、二次コイル32を流れる二次電流Itrans2は、静電容量Cと漏れインダクタンスLとによって決定される固有振動数(共振周波数)fres(=1/2π√LC)で共振する。そのため、トランス3の巻数比による昇圧効果と、共振による昇圧効果とが重畳し、高い二次電圧Vtrans2が発生する。
インバータ回路2の各スイッチング素子Q1~Q4のゲートには、所定のタイミングで、制御部4から所定の駆動パルスが入力されて、そのオンオフ動作が制御される。制御部4には、インバータ回路2を構成する複数のスイッチング素子Q1~Q4の駆動パルスを生成するパルス生成部41と、生成される駆動パルスによるスイッチング周波数(以下、駆動パルス周波数と略称する)fやデューティ等により駆動パルスの状態を設定する駆動パルス設定部42が設けられる。
パルス生成部41は、駆動パルス設定部42にて設定される駆動パルス周波数fと、デューティに基づいて、PWM(すなわち、Pulse Width Modulation;パルス幅変調)信号を生成する。駆動パルス設定部42には、インバータ回路2への入力電力Pinの検出信号が入力されると共に、その目標値である目標入力電力Pref*の指令信号が入力されており、入力電力Pinが目標入力電力Pref*に近づくように、駆動パルス周波数fの設定値をフィードバック制御する。
なお、フィードバック制御では、例えば、予め設定された電力制御定数である変化幅Δfを用いる。このとき、入力電力Pinと目標入力電力Pref*の大小関係に応じて、変化幅Δfを加算又は減算することにより、駆動パルス周波数fの設定値を更新することができる。また、目標入力電力Pref*は、放電負荷10の要求電力に基づく目標出力電力Po*にインバータ回路2における電力損失を加算し、あるいは、目標出力電力Po*をインバータ回路2の回路効率で除算することにより算出することができる。
また、入力電力Pinと目標入力電力Prefの大小関係の判定には、予め設定された電力制御定数であるヒステリシスHysが用いられる。例えば、入力電力Pinが、目標入力電力Pref*を中心とする所定の範囲(すなわち、Pref*±Hys)内にあるときには、入力電力Pinが目標入力電力Prefとがほぼ等しいと判断して、駆動パルス周波数fの設定値を更新しない。
また、駆動パルス設定部42には、インバータ回路2への入力電圧Vinの検出信号が入力されており、入力電圧Vinの変化に応じて、駆動パルスのデューティを変化させる。具体的には、デューティ制御マップ等に基づいて、例えば、入力電圧Vinが大きくなるほどデューティが小さくなるようにデューティを設定し、フィードフォワード制御を行うことができる。
第1アーム21のスイッチング素子Q1、Q2と第2アーム22のスイッチング素子Q3、Q4とは、同じ駆動パルス周波数f、同じデューティで駆動される。デューティは、1つの制御周期におけるオン期間の比率(すなわち、オン期間/オン期間+オフ期間)であり、一定値(例えば、デューティ=0.5)とする。第1アーム21の2つのスイッチング素子Q1、Q2、第2アーム22の2つのスイッチング素子Q3、Q4は、それぞれ一方がオンのとき他方がオフとなるようになっている。
このとき、制御部4は、1つの制御周期において、第1アーム21と第2アーム22とを交互にオンオフすると共に、各アーム21、22の一対のスイッチング素子Q1、Q2又は一対のスイッチング素子Q3、Q4について、それぞれ、その一方がオンであるときに他方がオフとなるように駆動パルスを生成する。
なお、一次コイル31の正極端子には、第2アーム22の中点が接続され、負極端子には、第1アーム21の中点が接続される。これにより、第1アーム21と第2アーム22を交互にスイッチング動作させることで、一次コイル31に逆方向の電流が流れる。
図5に示すように、放電リアクタ100は、一般に、対向する電極101、102間に、排ガスGが導入される流路を形成して、放電部103としている。放電部103を挟んで対向する電極101、102の表面には、セラミックスからなる誘電体バリア層104、105が配設される。このとき、対向する電極101、102間に、共振インバータ装置1から交流高電圧が印加されることで、放電部103に誘電体バリア放電が生起し、流路を通過する酸素分子から酸素ラジカルが生成すると、さらに他の酸素分子と反応してオゾンが生成される。
ここで、図6に放電特性の一例を示すように、共振インバータ装置1からの出力電力は、駆動パルス周波数fに応じて変化する。通常動作時には、駆動パルス周波数fは、出力電力がオゾナイザの放電可能領域、すなわち、放電開始閾値以上となる範囲で、所望の出力電力が得られるように設定される。一方、放電リアクタ100の誘電体バリア層104、105に、経年による劣化が生じると、電極101、102間の静電容量が変化して、放電特性が変化する。その場合には、駆動パルス周波数fに対応する出力電力にずれが生じることで、オゾナイザによるオゾン生成やオゾンによる排ガス処理能力に影響するおそれがある。
そこで、制御部4には、このような放電特性の変化を検出可能とするために、異常検出部5が設けられる。異常検出部5は、自由振動発生部51と、固有振動数検出部52と、異常判定部53とを備えており、共振回路50に自由振動を発生させたときの固有振動数fresから、放電負荷10の劣化等の異常を検出する。具体的には、自由振動発生部51は、所定の異常検出期間に、パルス生成部41から異常判定用の駆動パルスを出力させ、インバータ回路2を所定の短時間駆動して、停止する。これにより、共振回路50に自由振動を発生させることができ、固有振動数検出部52によって、共振回路50に発生する自由振動の固有振動数fresを検出する。さらに、異常判定部53において、初期状態からの変化量を所定の閾値と比較することで、異常の有無を判定することができる。
次に、図7、図8に示すフローチャートを用いて、制御部4にて実施されるオゾナイザの放電制御処理と、異常検出部5にて実施される異常検出処理のより具体的な手順を説明する。図7のステップS3は、異常検出処理としての放電負荷10の劣化判定処理に相当し、図8のステップS102は、自由振動発生部51に相当する。また、ステップS103~S106は、固有振動数検出部52に相当し、ステップS107~S110は、異常判定部53に相当する。図7のステップS2と図8のステップS101は、異常判定期間の判定のためのものである。
図7のオゾナイザの放電制御処理は、車両エンジンの始動によって開始され、まず、ステップS1において、オゾナイザ放電のためにインバータ回路2が駆動され、オゾナイザへの出力電圧が制御される。上述したように、オゾナイザの放電は、駆動パルス生成部41から駆動パルスが出力され、インバータ回路2の第1アーム21と第2アーム22が交互にスイッチング動作されることによって実施される。駆動パルス周波数fやデューティは、駆動パルス設定部42にて設定され、入力電力Pinや入力電圧Vinに応じて、駆動パルスが生成される。
その際、上記図6に示したように、駆動パルス周波数fを適切に設定することで、インバータ回路2からオゾナイザへの出力電力が、放電開始閾値以上の放電可能領域となる。放電開始閾値は、放電負荷10において放電を発生させるための最低限の電力であり、放電可能領域において、共振点に近づくほど、出力電力が高くなる。駆動パルス設定部42では、この関係に基づいて、所望の出力電力が得られるように、駆動パルス周波数fを設定する。
ここで、上述したように、駆動パルス設定部42には、駆動パルス周波数fを設定するための電力制御定数として、変化幅ΔfやヒステリシスHysが記憶されている、これにより、入力電力Pinが、目標入力電力Pref*にヒステリシスHysを考慮した範囲を外れたときに、入力電力Pinと目標入力電力Pref*との差が小さくなるように、変化幅Δfを加減算して、駆動パルス周波数fの設定値を更新する。
目標出力電力Po*が、放電開始閾値よりも低い場合には、インバータ回路2を連続駆動させる連続モードに代えて、間欠モードとすることもできる。間欠モードでは、インバータ回路2を駆動して放電負荷10に放電を発生させる放電期間Tdisと、インバータ回路2を駆動せず放電負荷10に放電を発生させない停止期間Tstopとを交互に行い、インバータ回路2を間欠駆動させる。その場合、間欠率(Tdis/Tburst)は、放電開始閾値に対する目標入力電力Pref*の比率となり、放電期間Tdisの出力電力が、放電開始閾値となるようにスイッチング動作が制御される。
ついで、ステップS2へ進み、オゾナイザの動作を停止可能か否かを判定する。具体的には、排ガス処理装置においてオゾナイザに併設される触媒温度が、所定の活性温度(例えば、200℃)以上となったか否か(すなわち、触媒温度≧200℃?)を判定する。あるいは、車両エンジンが停止されたか否か(すなわち、エンジン停止?)を判定する。
一般に、排ガス処理装置に用いられるオゾナイザは、エンジン始動直後の低温時において、排ガスを処理可能とするためのものであり、排ガス処理用の主触媒の活性温度以上では停止することができる。また、エンジン始動直後に、何らかの理由でエンジンが停止された場合も、排ガス処理が不要となるので、同様に、オゾナイザを停止することができる。
ステップS2が否定判定された場合には、ステップS1へ戻り、オゾナイザの放電のための駆動パルスの出力を継続する。これを、ステップS2が肯定判定されるまで繰り返す。ステップS2が肯定判定された場合には、異常判定期間の判定条件の1つである、オゾナイザの放電停止状態が継続されると判断して、ステップS3へ進み、異常検出部5による放電負荷劣化判定処理を実施する。その後、ステップS4へ進み、インバータ回路2の駆動を停止して、オゾナイザの駆動を完全に停止し、本処理を終了する。
図8に示すように、放電負荷劣化判定処理は、放電負荷10である放電リアクタの劣化による異常の有無を判定するための処理である。まず、ステップS101において、異常判定期間のもう1つの判定条件として、車両エンジンの暖気の完了後であるか否か(すなわち、暖気完了?)を判定する。暖気完了の判定方法としては、例えば、エンジン冷却水温が暖気後に相当する所定温度(例えば、80℃)以上となったか否かに基づいて、暖気完了を判定することができる。
ステップS101は、所定の異常判定期間、すなわち、車両暖気完了後で、かつ、放電負荷10が放電停止状態にあるか否かを判定するためのステップであり、ステップS101が肯定判定された場合には、ステップS102へ進む。ステップS101が否定判定された場合には、異常判定期間の条件を満足せず、放電負荷劣化判定処理に適した状態にないと判断されるので、本処理を終了する。
ステップS101が肯定判定され、放電負荷劣化判定処理に適した状態と判断された場合には、ステップS102において、インバータ回路2に異常判定用の駆動パルスを出力して、共振回路50に自由振動を発生させる。異常判定用の駆動パルスは、好適には、駆動パルス周波数fが、上記図6に示した放電開始閾値未満の放電不可領域となるように設定される。異常判定時には、オゾナイザの駆動によるオゾン生成の必要がないので、出力電力を低減して放電しないようにし、電力損失を抑制することができる。
図2に示すように、具体的には、放電不可領域となる駆動パルス(例えば、80kHz)を短時間発信出力した後、図3に示すように、駆動パルスの出力を停止する。これにより、共振回路50の固有振動数fresに基づく自由振動が発生する。
駆動パルスの出力時間は、駆動パルスの停止時に自由振動を発生可能な範囲であればよく、できるだけ短時間とすることで、異常検出に要する時間を短縮し、不要な電力消費を抑制することができる。
次いで、ステップS103へ進み、共振回路50に発生させた自由振動の固有振動数fresを検出するために、自由振動によりトランス3を流れる電流値を入力する。
図4に示すように、共振回路50の固有振動数fresは、駆動パルスの停止後にトランス3を流れる電流波形の周波数として表されるので、例えば、一次コイル31を流れる一次電流Itrans1を測定することで、以降のステップにて、固有振動数fresを算出可能となる。トランス3を流れる電流値として、二次コイル32を流れる二次電流Itrans2の測定値を用いることもできる。
続くステップS104では、固有振動数fresの検出が初回か否かを判定する(すなわち、固有振動数検出初回?)。このステップは、共振インバータ装置10の初期状態における基準固有振動数fres0を設定するためのものであり、ステップS104が肯定判定された場合には、ステップS105へ進んで、基準固有振動数fres0を演算する。ステップS104が、否定判定された場合には、ステップS106へ進んで、固有振動数fresを演算する。
ステップS104において、固有振動数fresの検出が初回であった場合には、放電負荷10の使用開始直後であり、劣化していない初期状態とみなせるので、この状態における固有振動数fresを演算して、基準固有振動数fres0に設定することができる。これにより、予め測定等を行って基準固有振動数fres0を設定し、制御部4に記憶させておく必要がなくなる。
ステップS105における基準固有振動数fres0の演算方法と、ステップS106における固有振動数fresの演算方法について、説明する。
図9に示すように、検出される一次電流Itrans1の波形は、一定周期で極性が正から負へ切り替わるので、所定の単位時間tsect当たりの極性反転回数Nをカウントして、図中に示す(1)式から、固有振動数fres(=N/2tsect)を算出することができる。
このとき、ステップS105とステップS106における演算方法は同じであり、ステップS105であれば、算出された固有振動数fres=基準固有振動数fres0となる。
あるいは、図10に示すように、検出される一次電流Itrans1の電流波形値の離散データf(x)を、図中に示す(2)式を用いて、高速フーリエ変換(FFT;Fast Fourier Transform)することもできる。その場合には、図中に(3)式として示すように、得られた周波数解析データF(t)のピークから、固有振動数fres又は基準固有振動数fres0を算出することもできる。
ステップS105に進んだ場合には、算出された基準固有振動数fres0を、制御部4の記憶領域に記憶した後、本処理を終了する。この基準固有振動数fres0は、次回以降の放電負荷劣化判定処理において、後述するステップ107における劣化判定に用いられる。
ステップS106に進んだ場合には、固有振動数fresを算出した後、ステップS107へ進む。
ステップS107では、ステップS106にて算出された固有振動数fresと、記憶された基準固有振動数fres0とから、固有振動数変化量Δfres、又は、固有振動数変化率fratioを演算する。固有振動数変化量Δfresは、固有振動数fresと基準固有振動数fres0の差分値であり、下記式で表される。
Δfres=fres-fres0
また、固有振動数変化率fratioは、固有振動数fresと基準固有振動数fres0との比率であり、下記式で表される。
fratio=fres/fres0
ステップS108では、ステップS107にて算出された固有振動数変化量Δfresを、第1変化量閾値TH(Δfres)と比較し、下記式の範囲にあるか否かを判定する。
-TH(Δfres)<Δfres<TH(Δfres)
あるいは、固有振動数変化率fratioを、第1変化率閾値TH(fratio)の下限値TH(fratio1)及び上限値TH(fratio2)と比較し、下記式の範囲にあるか否かを判定する。
TH(fratio1)<fratio<TH(fratio2)
第1変化量閾値TH(Δfres)、又は、第1変化率閾値TH(fratio)は、異常判定のための基準値となるもので、予め試験等を行って正常と異常とを判別可能な値に設定されている。
ステップS108が肯定判定された場合には、ステップS109へ進んで「正常」判定を行う。例えば、第1変化量閾値TH(Δfres)が300Hzであるとき、固有振動数変化量Δfresが200Hzであれば、
-TH(Δfres)=-300<Δfres=200<TH(Δfres)=300
の関係にあり、ステップS108が肯定判定されて、「正常」と判定される。その場合には、ステップS109の後、本処理を終了する。
一方、ステップS108が否定判定された場合には、ステップS110へ進んで「異常」判定を行う。例えば、第1変化率閾値TH(fratio)の下限値TH(fratio1)が0.95、上限値TH(fratio2)が1.05であるとき、固有振動数変化率fratioが1.1であれば、
TH(fratio1)=0.95<fratio=1.1
fratio=1.1>TH(fratio2)=1.05
の関係にあり、ステップS108は否定判定されて、「劣化」と判定される。その場合には、ステップS110に続いて、ステップS111へ進み、運転者への警告信号として、放電負荷劣化判定信号を外部へ出力する。その後、本処理を終了する。
このように、本形態の共振インバータ装置1によれば、制御部4が異常検出部5を備えることで、固有振動数fresの検出結果に基づいて、放電負荷10の劣化を速やかに判定することができる。したがって、例えば、車両用放電発生装置の自己診断装置として、オゾサイザ等に適用され、警告灯の点灯等により、運転者へ警告可能とする。
(試験例1)
実施形態1の共振インバータ装置1を放電リアクタに適用したオゾナイザを試作し、制御部4の異常検出部5による放電負荷10の劣化判定動作を実機検証した。図11は、異常検出期間にインバータ回路2の第1アーム21に印加されるゲート電圧(図11の上図参照)と、トランス3の一次電流Itrans1(図11の下図参照)の波形を示しており、駆動パルスをオンとした後、オフとすることで、一次電流Itrans1に自由振動が発生している。
このとき、初期品に対して、放電負荷10の静電容量Cを増加させた劣化想定品を用意し、それぞれについて、発生した自由振動の固有振動数fresを算出した。いずれも、異常判定用の駆動パルスは、放電を発生しない放電不可領域の駆動パルス周波数f(例えば、80kHz)に設定されており、所定の短時間(例えば、2ms程度)のオン後に、オフされる。第1アーム21のスイッチング素子Q1、Q2に印加されるゲート電圧Vgate1、Vgate2は、互いに逆位相となっている。
図12に示すように、駆動パルスの停止により発生する自由振動の固有振動数fresを、上述したFFT変換を用いて周波数解析したところ、初期品の固有振動数fresは、56.6kHzであった。これに対して、劣化想定品の固有振動数fresは、56.0kHzとなった。
このように、本形態の異常検出部5により、容量性の放電負荷10を含む共振回路50に自由振動を発生させて、固有振動数fresを算出することができる。そして、図13に示すように、固有振動数fresの変化から静電容量Cの変化、すなわち、放電負荷10の劣化を判定可能であることが確認された。
また、図13に示すように、所定の異常判定期間において、所定の短時間を二分して、逆位相の駆動パルスを印加することもできる。具体的には、二分された前半時間(例えば、1ms程度)の駆動パルスの印加後、後半の同時間(例えば、1ms程度)において、第1アーム21のスイッチング素子Q1、Q2に印加されるゲート電圧Vgate1、Vgate2を、それぞれ逆位相となるように変更する。
図14の上図に示すように、インバータ回路2において、例えば、第1アーム21のスイッチング素子Q1、Q2(又は第2アーム22のスイッチング素子Q3、Q4)にスイッチング特性のばらつきがあると、駆動パルスを停止して自由振動を発生させたときに、検出される一次電流Itrans1の偏りが生じる場合がある。その場合には、一次電流Itrans1が0Aに収束しないために、損失が増加するおそれがある。
これに対して、図14の下図に示すように、所定の短時間において、前後半で逆位相の駆動パルスを印加後に停止した場合には、検出される一次電流Itrans1の偏りが抑制され、速やかに0Aに収束することにより、損失を抑制することができる。
(実施形態2)
共振インバータ装置に係る実施形態2について、図15~図16を参照して説明する。
上記実施形態1では、異常検出部5の固有振動数検出部52は、トランス3の一次電流Itrans1又は二次電流Itrans2から固有振動数fresを検出しているが、本形態では、二次電圧Vtrans2とf-Vコンバータ7を用いて、固有振動数fresを検出している。また、異常判定部53において、固有振動数情報として、固有振動数fresから導かれる静電容量Cに基づいて、放電負荷劣化判定を行うこともできる。
なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
図15において、共振インバータ装置1の基本構成は、上記実施形態1と同様であり、以下、相違点を中心に説明する。本形態においても、制御部4には、パルス生成部41と、駆動パルス設定部42と、異常検出部5が設けられ、異常検出部5は、自由振動発生部51と、固有振動数検出部52と、異常判定部53と、を備えている。ここで、固有振動数検出部52には、f-Vコンバータ7が接続され、f-Vコンバータ7には、トランス3の二次コイル32側に設けられる電圧検出部6から、二次電圧Vtrans2が入力されるようになっている。f-Vコンバータ7は、検出された二次電圧Vtrans2を、周波数fvに変換して、固有振動数fresを検出する。
また、異常判定部53において、検出した固有振動数fresに対応する放電負荷10の静電容量Cを算出し、所定の閾値と比較して異常判定を行うこともできる。制御部4によるインバータ回路2の基本制御や、異常検出部5の基本動作は、上記実施形態1と同様であり、説明を省略する。
次に、図16に示すフローチャートを用いて、異常検出部5にて実施される異常検出処理の手順を説明する。図16のステップS201~204は、図8のステップS101~104に相当するものであり、説明を簡略にする。
図16のステップS201では、車両エンジンの暖気の完了後であるか否か(すなわち、暖気完了?)を判定し、肯定判定された場合には、ステップS202へ進む。ステップS201が否定判定された場合には、本処理を終了する。
ステップS202では、インバータ回路2に異常判定用の駆動パルスを短時間出力して停止し、共振回路50に自由振動を発生させる。次いで、ステップS203へ進み、発生した自由振動の固有振動数fresとして、f-Vコンバータ7にて変換された周波数fvを入力する。周波数fvは、f-Vコンバータ7に入力されるトランス3の二次側に発生する二次電圧Vtrans2を、周波数変換した波形から導かれる値であり、固有振動数fresに相当する。
続くステップS204では、固有振動数fresの検出が初回か否かを判定し、肯定判定された場合には、ステップS205へ進んで、放電負荷10の基準静電容量C0を演算する。ステップS204が、否定判定された場合には、ステップS206へ進んで、静電容量Cを演算する。静電容量C0に基づいて判定を行う場合も、同様に、初回の演算結果を用いて基準静電容量C0を設定することができる。
ステップS205における基準静電容量C0の演算方法と、ステップS206における放電負荷10の静電容量Cの演算方法について、説明する。
共振回路50において、固有振動数fresと、放電負荷10の静電容量Cと、トランス3の二次側の漏れインダクタンスLとは、下記式で表される関係にある(図16中に示す(4)式)。
C=1/[L・(2πfres)2]
このとき、f-vコンバータ7で検出される固有振動数fresから、静電容量Cを演算することができる。
ステップS205に進んだ場合には、算出された静電容量Cを、初期状態における基準静電容量C0として、制御部4の記憶領域に記憶した後、本処理を終了する。この基準静電容量C0は、次回以降の放電負荷劣化判定処理において、後述するステップ207における劣化判定に用いられる。
ステップS206に進んだ場合には、静電容量Cを算出した後、ステップS207へ進む。
ステップS207では、ステップS206にて算出された静電容量Cと、記憶された基準静電容量C0とから、静電容量変化量ΔC、又は、静電容量変化率Cratioを演算する。静電容量変化量ΔCは、静電容量Cと基準静電容量C0の差分値であり、下記式で表される。
ΔC=C-C0
また、静電容量変化率Cratioは、静電容量Cと基準静電容量C0との比率であり、下記式で表される。
Cratio=C/C0
ステップS208では、ステップS207にて算出された静電容量変化量ΔCを、第2変化量閾値TH(ΔC)と比較し、下記式の範囲にあるか否かを判定する。
-TH(ΔC)<ΔC<TH(ΔC)
あるいは、静電容量変化率Cratioを、第2変化率閾値TH(Cratio)の下限値TH(Cratio1)及び上限値TH(Cratio2)と比較して、下記式の範囲にあるか否かを判定する。
TH(Cratio1)<Cratio<TH(Cratio2)
第2変化量閾値TH(ΔC)、又は、第2変化率閾値TH(Cratio)は、異常判定のための基準値となるもので、予め試験等を行って正常と異常とを判別可能な値に設定される。
ステップS208が肯定判定された場合には、ステップS209へ進んで「正常」判定を行った後、本処理を終了する。
一方、ステップS208が否定判定された場合には、ステップS210へ進んで「異常」判定を行う。さらに、ステップS211へ進み、放電負荷劣化判定信号を外部へ出力した後、本処理を終了する。
(実施形態3)
共振インバータ装置に係る実施形態3について、図17~図20を参照して説明する。
図17に示すように、本形態の共振インバータ装置1は、上記実施形態1の基本構成において、駆動パルス設定部42に制御定数設定部43を設けて、予め記憶されている制御定数の設定値を変更可能としている。共振インバータ装置1のその他の構成、制御部4のパルス生成部41、異常検出部5の構成及び基本動作は、上記実施形態1と同様であり、説明を省略する。
駆動パルス設定部42では、図18に示すように、放電負荷10へ供給される出力電力の周波数特性に基づいて、駆動パルス周波数fがフィードバック制御される。そのために、制御定数設定部43には、電力制御定数である変化幅Δf及びヒステリシスHysが予め設定されており、検出される入力電力Pin(例えば、図18中に示す現在の電力P1、前回の電力P0)が、目標入力電力Pref*±Hysの範囲外にあるときに、目標入力電力Pref*に近づくように、変化幅Δfが加減算される。
このように、目標入力電力Pref*と入力電力Pinに応じて、駆動パルス周波数fが更新されることで、所望の出力電力が放電負荷10に供給されるように、駆動パルス生成部41から出力される駆動パルスが制御される。一方、図19に示すように、出力電力の周波数特性は、経年等により変化する。その場合には、予め設定された変化幅Δfに対して、変化前の電力変動幅ΔWaと変化後の電力変動幅ΔWbの大きさが一致しなくなる(例えば、ΔWb>ΔWa)。ヒステリシスHysについても同様であり、目標入力電力Pref*±Hysが適正な範囲から外れるおそれがある。
そこで、図20にフローチャートを示すように、制御定数設定部43において、電力制御定数調整処理を実施し、変化幅ΔfやヒステリシスHysを調整することができる。また、周波数特性の変化を示す指標として、上記図8に示した異常検出処理にて演算される固有振動数変化量Δfresや固有振動数変化率fratioを用いることができる。具体的には、ステップ301において、演算した固有振動数変化量Δfres又は固有振動数変化率fratioを入力し、ステップ302において、これら演算値から知られる変化の大きさに基づいて、変化幅ΔfやヒステリシスHysを補正し、ステップ303において、変化幅ΔfやヒステリシスHysを更新することができる。
このとき、固有振動数fresの初期状態からの変化を示す値である、固有振動数変化量Δfres又は固有振動数変化率fratioに代えて、静電容量Cの初期状態からの変化を示す値、具体的には、上記図16に示した異常検出処理にて演算される静電容量変化量ΔCや静電容量変化率Cratioを用いることもできる。
このようにして、更新された変化幅ΔfやヒステリシスHysを用いて、次回以降の制御を行うことで、共振インバータ装置1から放電負荷10へ供給される出力電力の制御精度や応答性を向上させることができる。
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。例えば、上記各実施形態に示した共振インバータ装置1において、電源Bとインバータ回路2の間に、平滑化のためのフィルタコンデンサを配置することもできる。また、インバータ回路2やトランス3その他の構成は、上記各形態に記載したものに限らず、他の構成を採用してもよい。上記各実施形態では、共振インバータ装置1を車両に搭載したが、本発明はこれに限るものではなく、車両搭載用以外の用途に用いてももちろんよい。
B 直流電圧電源
1 共振インバータ装置
10 放電負荷
2 インバータ回路
3 トランス
4 制御部
5 異常検出部
51 自由振動発生部
52 固有振動数検出部
53 異常判定部

Claims (10)

  1. 容量性の放電負荷(10)に対して交流高電圧を供給する共振インバータ装置(1)であって、
    直流電圧(Vin)を出力する直流電圧電源(B)と、
    複数のスイッチング素子(Q1~Q4)のオンオフ動作により、上記直流電圧を交流電圧に変換するインバータ回路(2)と、
    上記交流電圧を昇圧して、上記放電負荷へ出力するトランス(3)と、
    上記スイッチング素子をオンオフ動作させるための駆動パルスを生成し、上記インバータ回路の駆動状態を制御する制御部(4)と、を備え、
    上記制御部は、上記放電負荷の容量成分(C)と上記トランスのインダクタンス成分(L)を含む共振回路(50)に自由振動を発生させると共に、上記自由振動の固有振動数情報を検出し、上記固有振動数情報の変化に基づいて上記放電負荷の異常を検出する異常検出部(5)を有している、共振インバータ装置。
  2. 上記異常検出部は、
    異常判定期間に、上記インバータ回路へ異常判定用の上記駆動パルスを出力した後に停止して、上記共振回路に上記自由振動を発生させる自由振動発生部(51)と、
    上記共振回路の固有振動数fresを検出する固有振動数検出部(52)と、
    上記固有振動数fresの初期状態からの変化、又は、上記固有振動数fresから算出される上記放電負荷の静電容量Cの初期状態からの変化に基づいて、上記放電負荷の異常有無を判定する異常判定部(53)と、を備えている、請求項1に記載の共振インバータ装置。
  3. 上記自由振動発生部は、異常判定用の上記駆動パルスを、上記放電負荷の放電可能領域外に設定すると共に、異常判定用の上記駆動パルスを、上記自由振動を発生可能な短時間の出力後に停止する、請求項2に記載の共振インバータ装置。
  4. 上記自由振動発生部は、異常判定用の上記駆動パルスを出力した後に、逆位相の上記駆動パルスを同時間出力してから停止する、請求項3に記載の共振インバータ装置。
  5. 上記固有振動数検出部は、上記トランスの一次側又は二次側の電流値を検出し、検出した電流値の単位時間当たりの極性反転回数から、上記固有振動数fresを検出する、請求項2~4のいずれか1項に記載の共振インバータ装置。
  6. 上記固有振動数検出部は、上記トランスの一次側又は二次側の電流値を検出し、高速フーリエ変換した周波数波形のピークスペクトルから上記固有振動数fresを検出し、又は、上記トランスの二次側の電圧値を検出し、f-Vコンバータにより周波数変換した波形から上記固有振動数fresを検出する、請求項2~4のいずれか1項に記載の共振インバータ装置。
  7. 上記異常判定部は、上記固有振動数fresと上記共振回路の初期固有振動数fres0との差分値fres-fres0を、固有振動数変化量Δfresとし、又は、上記固有振動数fresと上記初期固有振動数fres0との比率fres/fres0を、固有振動数変化率fratioとして、
    上記固有振動数変化量Δfres又は上記固有振動数変化率fratioを、第1変化量閾値TH(Δfres)又は第1変化率閾値TH(fratio)と比較して、上記放電負荷の異常有無を判定する、請求項2~6のいずれか1項に記載の共振インバータ装置。
  8. 上記異常判定部は、上記固有振動数fresと上記トランスの二次側の漏れインダクタンスLを用いて、上記静電容量Cを算出し、
    上記静電容量Cと上記共振回路の初期静電容量C0との差分値C-C0を、静電容量変化量ΔCとし、又は、上記静電容量Cと上記初期静電容量C0との比率C/C0を、静電容量変化率Cratioとして、
    上記静電容量変化量ΔC又は上記静電容量変化率Cratioを、第2変化量閾値TH(ΔC)又は第2変化率閾値TH(Cratio)と比較して、上記放電負荷の異常有無を判定する、請求項2~6のいずれか1項に記載の共振インバータ装置。
  9. 上記制御部は、上記駆動パルスを生成するパルス生成部(41)と、上記駆動パルスの状態を設定する駆動パルス設定部(42)を備えており、上記駆動パルス設定部は、上記固有振動数fresの初期状態からの変化、又は、上記静電容量Cの初期状態からの変化に基づいて、電力制御定数(Δf、Hys)の設定値を調整する制御定数設定部(43)を備える、請求項7又は8に記載の共振インバータ装置。
  10. 上記放電負荷は、車両用放電発生装置を構成しており、
    上記異常判定期間は、車両暖気完了後で、かつ、上記放電負荷の放電停止時に設定される、請求項2~9のいずれか1項に記載の共振インバータ装置。
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