JP7234442B1 - チョコレートクラムの製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、加熱された乳のコク、香ばしさ、キャラメルやカラメルのような風味を有するチョコレートクラムの製造法を提供することである。【解決手段】固形乳又はたんぱく質を含む原料が1~70質量%、油脂が0~20質量%及び糖が15~96質量%であるチョコレートクラムの製造法であって、前記固形乳又はたんぱく質を含む原料及び糖によるメイラード反応を起こす前に、水分調整剤を添加し、チョコレートクラム原材料100質量%に対して、反応時水分含有率を5~12質量%に調整する調整工程と、前記反応時水分含有率が調整されたものを加熱してメイラード反応を起こさせるメイラード反応工程とを含む、上記チョコレートクラムの製造法、とする。【選択図】なし

Description

本発明は、チョコレートクラムの製造法に関する。より詳細には、加熱された乳のコク、香ばしさ、キャラメルやカラメルのような風味を有するチョコレートクラムの製造法に関する。
クラムの製造には、たんぱく質と糖によるメイラード反応などの工程が含まれている。また、クラムは、チョコレートの製造における中間品としてよく用いられている。例えば、チョコレート製品の生産において、チョコレート原料にクラムを混合し、それに続く微粒化、コンチングおよび調温などが行われ、チョコレートが製造されている。クラムは、ミルクチョコレート中の成分の大半(約70%)を占めることもある。
クラムによるフレーバーは、メイラード反応によって生じるフレーバー前駆体に起因する。したがって、このメイラード反応によって、クラムに必要とされる風味と色が付与される。また、メイラード反応では、クラムの原材料に含まれる糖が遊離のアミノ酸やペプチドと反応して褐色の物質が生成する。これが風味や色に影響を与えているといわれている。なお、この遊離のアミノ酸とペプチドは、固形乳やたんぱく質に由来することが知られている。
従来技術では、クラムの原材料の種類や量を調整することでメイラード反応を調節している。例えば、特許文献1には、クラム加工で使用する原料を操作すること、あるいは、クラム加工中のアミノフレーバー前駆体の消費を高め、生じるクラムのフレーバー強度とプロファイルを変化させるために他の原料を使用する発明が記載されている。より具体的には、約15~約70質量%の固形乳を約10~約75質量%の糖および約0.1~約10質量%の乳または植物蛋白加水分解物と混合、加熱し、そのパーセンテージが混合物の重量換算であるクラムの製造法が開示されている。
従来のチョコレートクラムの製造法では、加熱された乳のコク、香ばしさ、キャラメルやカラメルのような風味を有するチョコレートクラムを製造することが難しく、より簡便な製造法が求められていた。
特表2004-514453号公報
本発明の目的は、加熱された乳のコク、香ばしさ、キャラメルやカラメルのような風味を有するチョコレートクラムの製造法を提供することである。
上記目的を達成するために、チョコレートクラムの製造法について鋭意検討した結果、特定の配合量のクラム原材料を混合してメイラード反応を行うだけでなく、メイラード反応の起こり方を調整するため、特定の水分含量率となるように予め調整してから加熱することで、所望のチョコレートクラムが得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の態様を含み得る。
本発明の第1の発明は、固形乳又はたんぱく質を含む原料が1~70質量%、油脂が1~18質量%、及び糖が15~96質量%である、チョコレートクラムの製造法であって、前記固形乳又はたんぱく質を含む原料及び糖によるメイラード反応を起こす前に、水分調整剤を添加し、チョコレートクラム原材料100質量%に対して、反応時水分含有率を5~10質量%に調整する調整工程と、前記反応時水分含有率が調整されたものを加熱して、反応温度100~120℃で1~60分間反応させて、メイラード反応を起こさせるメイラード反応工程とを含み、メイラード反応工程の後にカカオマスが添加される、上記チョコレートクラムの製造法である。
本発明の第2の発明は、前記メイラード反応工程において、反応温度が100~120℃であり、3~40分間反応させる、第1の発明に記載のチョコレートクラムの製造法である。
本発明の第3の発明は、前記メイラード反応工程において、反応温度が100~120℃であり、5~30分間反応させる、第1の発明に記載のチョコレートクラムの製造法である。
本発明の第4の発明は、前記メイラード反応工程において、反応温度が110~115℃であり、3~40分間反応させる、第1の発明に記載のチョコレートクラムの製造法である。
本発明の第5の発明は、前記メイラード反応工程の後に、さらに乾燥工程を含む、第1の発明ないし第4の発明のいずれか1つの発明に記載のチョコレートクラムの製造法である。
本発明の第6の発明は、前記乾燥工程が、減圧又は真空乾燥によって水分を飛ばす工程である、第5の発明に記載のチョコレートクラムの製造法である。
本発明の第7の発明は、第1の発明ないし第6の発明のいずれか1つの発明に記載のチョコレートクラムの製造法によって製造されたチョコレートクラムを使用した食品の製造法
本発明の第8の発明は、前記食品がチョコレート、チョコクリーム及びアイスクリームミックス、ドリンク、焼き菓子、及び生菓子からなる群から選ばれる、第7の発明に記載の食品の製造法である。
本発明によれば、加熱された乳のコク、香ばしさ、キャラメルやカラメルのような風味をチョコレート及びその他食品に付与することができる。
〔チョコレートクラム〕
本発明の「チョコレートクラム」とは、固形乳又はたんぱく質を含む原料、油脂、及び糖(以下、固形乳又はたんぱく質を含む原料、油脂、糖とその他の原材料を合わせて「チョコレートクラム原材料」という)から製造されるクラムである。「チョコレートクラム原材料100質量%」とは、固形乳又はたんぱく質を含む原料の質量%、油脂の質量%、糖の質量%及びその他の原材料の質量%を合計して100質量%となることをいう。ここで、「クラム」とは、固形乳又はたんぱく質を含む原料に含まれる遊離のアミノ酸やペプチドと糖とをメイラード反応させて得られるフレーバー前駆体を有する固形状の物質をいう。例えば、ミルクチョコレートを製造する際に、チョコレート原料に混合され、次いで微粒化、コンチングおよびテンパリングされる。
(固形乳又はたんぱく質を含む原料)
本発明における「固形乳又はたんぱく質を含む原料」とは、たんぱく成分を含むものであればよく、例えば、全粉乳、脱脂粉乳、ホエーパウダー、バターミルクパウダー、クリーミングパウダー及び大豆粉などを挙げることができる。ここで、全粉乳とは、生乳、牛乳、特別牛乳から水分を除去して得られる粉末のことである。また、脱脂粉乳とは、脱脂乳(獣乳からほとんどの乳脂肪分を除去したもの、牛乳の場合、無脂固形分8.0%以上、乳脂肪分0.5%未満)を乾燥したものである。また、ホエーとは、乳からチーズ等を調製した際にできる上澄みであり、乳清とも呼ばれるものである。これを粉末化したものがホエーパウダーである。また、バターミルクパウダーとは、クリームからバターを製造するときのチャーニング(撹拌)工程において得られる液体を乾燥して粉末にしたもので、リン脂質を多く含むものである。クリーミングパウダーとは、脱脂粉乳などの乳製品にクリーム、植物性脂肪、糖類、香料などを添加した乳等を主原料とする食品である。大豆粉とは、脱皮した丸大豆を粉砕した全脂大豆粉、脱脂大豆を粉砕した脱脂大豆粉、全脂大豆粉を加熱脱臭した脱臭全脂大豆粉等が挙げられる。本発明において「固形乳又はたんぱく質を含む原料」としては、全粉乳、脱脂粉乳、ホエーパウダー、バターミルクパウダー、クリーミングパウダー、及び大豆粉からなる群から選ばれる1種または2種以上を用いることが好ましい。
本発明における「固形乳又はたんぱく質を含む原料」の使用量は、チョコレートクラム原材料100質量%とした場合、1~70質量%であり、より好ましくは、10~60質量%であり、さらに好ましくは、20~50質量%である。このような量にすることで、メイラード反応の起こり方を調整することができ、望ましいチョコレートクラムを得ることができる。
(油脂)
本発明における油脂は、食用油脂であれば特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。食用油脂としては、例えば、菜種油、高オレイン酸菜種油、大豆油、高オレイン酸大豆油、コーン油、綿実油、紅花油、高オレイン酸紅花油、オリーブ油、ひまわり油、高オレイン酸ひまわり油、米油、落花生油、パーム油、ゴマ油、ぶどう油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、アーモンド油、かぼちゃ油、くるみ油、椿油、茶油、小麦胚芽油、パーム核油、ココナッツ油等の植物油脂、牛脂、豚脂、魚油、鶏油、乳脂等の動物油脂、及びこれらの硬化油、分別油あるいはエステル交換油が挙げられる。上記食用油脂は、1種類で使用されてもよいし、2種類以上の組み合せで使用されてもよい。本発明における油脂は、カカオバター、ココナッツ油、及びオリーブ油からなる群から選ばれる1種または2種以上を用いることが好ましい。
なお、前記カカオバターは、カカオマス等のカカオバターを含有するカカオ原料の状態で添加されても良い(なお、カカオマスには、カカオバターが約55%含まれている。)そのため、本発明における油脂は、カカオマス等のカカオバターを含有するカカオ原料も含むものとする。また、本発明における油脂は、前記カカオ原料以外の油脂を含有する原料は含まないものとする。
本発明における油脂は、カカオマスを用いることがより好ましい。
本発明における油脂の使用量は、チョコレートクラム原材料100質量%とした場合、0~20質量%であり、好ましくは、0~18質量%であり、より好ましくは、1~18質量%であり、さらに好ましくは、1~15質量%である。このような量にすることで、メイラード反応の起こり方を調整することができ、望ましいチョコレートクラムを得ることができる。
(糖)
本発明における糖とは、食用の糖であれば任意であるが、例えば、スクロース、グルコース、デキストロース、ラクトース、マルトース、マルトースシロップ、モルトエキス、フルクトース、転化糖、固形コーンシロップ、ラムノース、フコース、または、ポリオール、例えばソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、ポリデキストロースなどの糖代替物若しくはそれらの混合物を挙げることができる。使用する糖は、スクロース単独であることが好ましいが、必要に応じて、1種類以上の他の糖を、スクロースと合わせて使用することができる。また、必要に応じて、糖の一部に、低カロリー甘味剤を使用することもできる。
本発明における糖の使用量は、チョコレートクラム原材料100質量%とした場合、15~96質量%であり、より好ましくは、30~90質量%であり、さらに好ましくは、50~80質量%である。このような量にすることで、メイラード反応の起こり方を調整することができ、望ましいチョコレートクラムを得ることができる。
(水分調整剤)
本発明における水分調整剤とは、水分を含むものであれば何でも良く特に制限されないが、例えば、水、牛乳、生クリーム、豆乳、ココナッツミルク、カカオパルプ、及び果汁など、水分や風味に特徴のある液体を挙げることができる。使用する水分調整剤は、それぞれ単独で使用することが好ましいが、必要に応じて、他の水分調整剤を組み合わせて使用することもできる。本発明の水分調整剤としては、水、牛乳、生クリーム、カカオパルプ、及び果汁からなる群から選ばれる1種または2種以上を用いることが好ましい。
(その他の原材料)
本発明のチョコレートクラム原材料に含まれるその他の原材料としては、クラムの製造に通常用いられているものが使用でき、例えば、食塩などの塩分、食物繊維、乳化剤、酸化防止剤、増粘剤、ミネラル、香料、色素などを挙げることができる。そして、これらその他の原材料を1種又は2種以上組み合わせて任意に使用することができる。上記その他の原材料を加える方法として、従来公知の方法で構わない。また、その他の原材料を加える量は、本発明の効果を損なわない範囲で当業者が適宜決定することができる。
本発明における水分調整剤は、チョコレートクラム原材料100質量%に対して、反応時水分含有率が5~12質量%となるように使用される。例えば、固形乳又はたんぱく質を含む原料40質量%、カカオマス15質量%、糖45質量%に対して、5~12質量%の水分調整剤が添加される。また、水分調整剤は水分換算量に基づいて添加される。すなわち、水分調整剤が水である場合は、チョコレートクラム原材料100質量%に対して、5~12質量%の水が添加される。一方、牛乳である場合は、牛乳の水分含有率がおよそ88.5質量%であるので、チョコレートクラム原材料100質量%に対して、5.6~13質量%の牛乳が添加される。このような反応時水分含有率については、好ましくは、6~10質量%であり、より好ましくは、8~10質量%である。このような反応時水分含有率に調節することで、メイラード反応の起こり方を調整することができ、望ましいチョコレートクラムを得ることができる。
〔チョコレートクラムの製造法〕
本発明におけるチョコレートクラムの製造法は、固形乳又はたんぱく質を含む原料及び糖によるメイラード反応を起こす前に、水分調整剤を添加し、チョコレートクラム原材料100質量%に対して、反応時水分含有率を5~12質量%に調整する調整工程と、前記反応時水分含有率が調整されたものを加熱してメイラード反応を起こさせるメイラード反応工程とを含んでいる。そして、前記製造法により得られるチョコレートクラムは、固形乳又はたんぱく質を含む原料が1~70質量%、油脂が0~20質量%及び糖が15~96質量%である。なお、チョコレートクラム原材料を構成する、固形乳又はたんぱく質を含む原料、油脂及び糖は、加熱工程や乾燥工程によって水分が蒸発しても、その質量はほとんど変化しない。
(固形乳又はたんぱく質を含む原料及び糖によるメイラード反応を起こす前に水分調整剤を添加して反応時水分含有率を5~12質量%に調整する調整工程)
上述したような固形乳又はたんぱく質を含む原料、油脂及び糖を購入もしくは準備する。固形乳又はたんぱく質を含む原料及び糖、もしくは固形乳又はたんぱく質を含む原料、油脂及び糖に、上述の水分調整剤を添加して混合して混合物を得て、その反応時水分含有率を所定の数値範囲となるように調整する。前記水分調整剤を添加して混合する工程は、従来から公知の方法に従って行うことができる。例えば、固形乳又はたんぱく質を含む原料及び糖、もしくは固形乳又はたんぱく質を含む原料、油脂及び糖を装置(リアクター)の中に入れ、これらに所定の反応時水分含有率となるように水分調整剤を添加して良く撹拌し、十分に分散又は混合された状態の混合物を得る。この混合物の反応時水分含有率は5~12質量%であり、より好ましくは、6~10質量%であり、さらに好ましくは、8~10質量%である。ここで、混合・撹拌する温度は、一般的に常温(20℃)程度であればよく、攪拌には、通常の攪拌で常用されるミキサー、パドルミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、流動層ミキサー、Vブレンダー、ホモゲナイザー等の機械器具を用いることができる。
上述したとおり、油脂は、メイラード反応を行う前に加えるパターンと行った後に加えるパターンとの二通りが考えられる。この理由は、油脂は、固形乳又はたんぱく質を含む原料及び糖のような親水系の物質とはよく混ざり合わないため、反応時水分含有率を考える際には無視できる原材料である。そのため、メイラード反応を行った後に、油脂を加えるパターンも存在する。しかし、固形乳又はたんぱく質を含む原料、油脂及び糖と同じように、水分調整剤も一律に、チョコレートクラム原材料100質量%を基準として計量する方がわかりやすいため、上記のように取り扱った。
本発明におけるチョコレートクラムの製造法は、好ましくは油脂がメイラード反応工程の後に添加される。
(前記反応時水分含有率が調整されたものを加熱してメイラード反応を起こさせるメイラード反応工程)
上述のように得られた、反応時水分含有率が調整された混合物を加熱しメイラード反応を起こさせる工程である。より詳細には、所定の反応時水分含有率が調整された混合物を加熱し、固形乳又はたんぱく質を含む原料に含まれる遊離のアミノ酸やペプチドと、糖との間にメイラード反応を起こさせる工程である。この加熱によって、混合物に含まれる水分は加熱によって徐々に蒸発し、最終的にチョコレートクラムに含まれる水分含量は3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下となる。また、加熱方法としては、例えば、オイル槽を所定の温度に加熱し、その中に反応槽(ボール)を入れて、反応槽の中にある混合物を加熱し、所望の反応温度及び所望の反応時間でメイラード反応を起こさせることができる。前記反応温度及び反応時間は、所望の色差値となるようにメイラード反応を起こさせるものであれば制限されない。メイラード反応工程において、反応温度が100~120℃で、好ましくは1~60分間、より好ましくは3~40分間、さらに好ましくは5~30分間反応させる。また、前記メイラード反応工程において、反応温度が110~115℃で、好ましくは3~40分間、より好ましくは5~30分間、さらに好ましくは10~15分間反応させる。これにより、所望の風味や物性を有するチョコレートクラムを得ることができる。なお、本発明で反応温度は、最終到達温度のことである。また、本発明で反応時間は、最終到達温度での保持時間のことである。
また、水分を確実になくすために、任意の工程として、メイラード反応後、さらに乾燥工程を設けてもよい。乾燥工程は公知の方法で行うことができる。例えば、アスピレーター等を用いた減圧又は真空乾燥によって水分を飛ばすことができる。この乾燥工程によって、水分含量の少ないチョコレートクラムが製造できる。
〔食品〕
本発明に係る食品は、上記のチョコレートクラムを使用して製造した食品である。かかる食品としては、例えば、チョコレート、チョコクリーム、アイスクリームミックス、ドリンク、焼き菓子、生菓子が挙げられる。特に、チョコレート、チョコクリーム及びアイスクリームミックス、ドリンク、焼き菓子、及び生菓子からなる群から選ばれることが好ましい。これらの食品の製造・加工は、公知の一般的な方法により行なうことができる。
次に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。以下において「部」、「%」とは、特別な記載がない場合、「質量部」、「質量%」を意味する。
Figure 0007234442000001
Figure 0007234442000002
Figure 0007234442000003
Figure 0007234442000004
Figure 0007234442000005
Figure 0007234442000006
<製造可否評価基準>
表1~6において、製造可否の評価基準は以下のとおりである。

○:問題無く製造可能でクラムがパウダー化する。またはクラム中に小さな塊があるが、
パウダーの割合が多い。
△:クラム中に大きな塊があるが、パウダーの割合が多く問題ない。
×:脱気途中で固着し、クラムがパウダー化しない。またはパウダーに油がにじんでいる。その他製造に危険を伴う。
<風味評価基準>
表1~6において、風味の評価基準は以下のとおりである。製造したチョコレートクラムを食したときの風味を5名の専門パネルで総合的に評価した。

○:クラムらしいキャラメル様のコクがある。
△:クラムらしいキャラメル様のコクが弱い。または焦げの苦味や酸味が多少ある。
×:クラムらしいキャラメル様のコクが無い。または焦げの苦味や酸味が強い。
<実施例1~12>
表1~4の配合表に従い、砂糖、全粉乳及び水をリアクター((株)入江商会製、型番:PNV-1)に投入した。投入後、攪拌を開始し、各配合表に記載の温度になるまで加温した。同温度に到達後、メイラード反応起こさせるため、同温度に維持したまま各配合表に記載の時間反応させた。反応終了後、カカオマスを添加し撹拌した。その後、真空調節器付き循環型アスピレーター(柴田科学株式会社製、型番:WJ-20)を用いて5~10分減圧乾燥することにより水分を飛ばして、チョコレートクラムを作成した。
<比較例1>
表5の配合表に従い、砂糖、全粉乳及び水3%をリアクター((株)入江商会製、型番:PNV-1)に投入した。投入後、攪拌を開始したが、水分含量が少ないため、生地が馴染みにくく、製造初期にリアクターから異音が発生した。加温に伴い生地が多少馴染んで異音が収まったため製造を続行した。温度が115℃になるまで加温した。前記温度に到達後、温度を維持したまま10分間反応させた。反応終了後、カカオマスを投入し、その後、真空調節器付き循環型アスピレーター(柴田科学株式会社製、型番:WJ-20)を用いて5~10分減圧乾燥することにより水分を飛ばした。出来上がったクラムは、水分が少なく生地の馴染みが悪いため、キャラメル部分とカカオマス部分が混ざらず不均一なクラムとなった。また、お湯に溶かすとタンパク質変性物様の軟らかい粒が溶け残り、食感の悪いものとなった。
<比較例2>
表5の配合表に従い、砂糖、全粉乳及び水14%をリアクター((株)入江商会製、型番:PNV-1)に投入した。投入後、攪拌を開始し、温度が115℃になるまで加温した。加温の際、実施例よりも生地の温度が上昇しにくく、熱源の温度を過度に高く設定しなければならず、危険であるため、通常製造は難しいと判断した。同温度に到達後、メイラード反応起こさせるため、同温度に維持したまま10分間反応させた。反応終了後、カカオマスを添加し撹拌した。その後、真空調節器付き循環型アスピレーター(柴田科学株式会社製、型番:WJ-20)を用いて5~10分減圧乾燥することにより水分を飛ばした。出来上がったクラムの風味に問題はなかったが、パウダーの一部に大きな塊があった。また、高い温度が必要であるため、危険かつ製造効率が悪いものであった。
<比較例3>
表6の配合表に従い、砂糖、全粉乳及び水をリアクター((株)入江商会製、型番:PNV-1)に投入した。投入後、攪拌を開始し、温度が90℃になるまで加温した。前記温度に到達後、温度を維持したまま15分間反応させた。反応終了後、カカオマスを投入し、その後、真空調節器付き循環型アスピレーター(柴田科学株式会社製、型番:WJ-20)を用いて5~10分減圧乾燥することにより水分を飛ばした。出来上がったクラムは、反応温度が低いためメイラード反応が弱く、カカオマスの風味に負けてクラムらしいキャラメル様のコクが得られなかった。
<比較例4>
表6の配合表に従い、砂糖、全粉乳及び水をリアクター((株)入江商会製、型番:PNV-1)に投入した。投入後、攪拌を開始し、温度が124~126℃になるまで加温した。前記温度に到達後、温度を維持したまま5分間反応させた。反応終了後、カカオマスを投入し、その後、真空調節器付き循環型アスピレーター(柴田科学株式会社製、型番:WJ-20)を用いて5~10分減圧乾燥することにより水分を飛ばした。出来上がったクラムは、反応温度が高いため焦げの風味が強く、乳の劣化風味のような酸味もあり、クラム特有の風味を損なっていた。また、高い温度が必要であるため、危険であった。
<チョコレートクラムを使用したチョコレート>
実施例4、8、11又は比較例3、4のチョコレートクラムと、ココアバターとをそれぞれ65:35で配合したものに一定量の乳化剤を添加し、そして、この配合のものを通常のチョコレートの製造方法(混合、微粒化、精練、テンパリング、冷却)を適用して、チョコレートを製造した。
<官能評価>
実施例4、8、11又は比較例3、4のチョコレートクラムを使用して製造したチョコレートを食した時の風味について、評価基準は以下のとおりである。5名のパネルで総合的に評価した。それぞれの評価結果を表7に示した。

4:焦げの苦味や酸味が強い
3:クラムらしいキャラメル様のコクがあり、焦げの苦味や酸味が多少ある
2:クラムらしいキャラメル様のコクがある
1:クラムらしいキャラメル様のコクを少し感じる
0:クラムらしいキャラメル様のコクがない
<官能評価の合格基準>
官能評価の合格基準は0点または4点を不合格とした。また、1~3点を合格とした。
Figure 0007234442000007
以上に示すように、実施例4、8、及び11のチョコレートクラムを用いたチョコレートは、比較例3及び4のチョコレートよりもバランス良くクラムらしいキャラメル様のコクが感じられた。このように。特定の反応時水分含有率、反応温度・時間を調整して、チョコレートクラムを製造することにより、特有の風味を有するチョコレートクラムが提供できた。これにより、キャラメル様のコクを持つ様々な製品を供給することができる。

Claims (8)

  1. 固形乳又はたんぱく質を含む原料が1~70質量%、油脂が1~18質量%、及び糖が15~96質量%である、チョコレートクラムの製造法であって、前記固形乳又はたんぱく質を含む原料及び糖によるメイラード反応を起こす前に、水分調整剤を添加し、チョコレートクラム原材料100質量%に対して、反応時水分含有率を5~10質量%に調整する調整工程と、前記反応時水分含有率が調整されたものを加熱して、反応温度100~120℃で1~60分間反応させて、メイラード反応を起こさせるメイラード反応工程とを含み、メイラード反応工程の後にカカオマスが添加される、上記チョコレートクラムの製造法。
  2. 前記メイラード反応工程において、反応温度が100~120℃であり、3~40分間反応させる、請求項1に記載のチョコレートクラムの製造法。
  3. 前記メイラード反応工程において、反応温度が100~120℃であり、5~30分間反応させる、請求項1に記載のチョコレートクラムの製造法。
  4. 前記メイラード反応工程において、反応温度が110~115℃であり、3~40分間反応させる、請求項1に記載のチョコレートクラムの製造法。
  5. 前記メイラード反応工程の後に、さらに乾燥工程を含む、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のチョコレートクラムの製造法。
  6. 前記乾燥工程が、減圧又は真空乾燥によって水分を飛ばす工程である、請求項5に記載のチョコレートクラムの製造法。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載のチョコレートクラムの製造法によって製造されたチョコレートクラムを使用した食品の製造法
  8. 前記食品がチョコレート、チョコクリーム及びアイスクリームミックス、ドリンク、焼き菓子、及び生菓子からなる群から選ばれる、請求項7に記載の食品の製造法
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