本開示の原理の理解を促進するために、次に、図面に例示された実施形態を参照し、特定の言語を使用して、これを説明しよう。しかしながら、これによって本発明の範囲を限定することを意図しないことが理解されるだろう。
本開示は、薬物送達装置用の検知システムに関する。一態様では、検知システムは、薬物送達装置の用量設定部材とアクチュエータとの間の相対回転運動の検知に基づいて、薬物送達装置によって送達される投与量を判定するためのものである。検知された相対角度位置または動きは、送達される投与量と相関している。第2の態様では、検知システムは、薬物送達装置に含まれる薬物のタイプを判定するためのものである。例として、薬物送達装置は、ペン型注射器の形態で記載されている。しかしながら、薬物送達装置は、注入ポンプ、ボーラス注射器または自動注射装置等の、ある用量の薬物を設定して送達するために使用される任意の装置であり得る。薬物は、このような薬物送達装置によって送達され得るタイプのうちのいずれかであり得る。
装置10等の本明細書に記載の装置は、例えば、リザーバまたはカートリッジ20内等に、薬物をさらに含むことができる。別の実施形態では、システムは、装置10を含む1つ以上の装置および薬物を含み得る。「薬物」という用語は、限定されないが、インスリン、インスリンリスプロまたはインスリングラルギン等のインスリンアナログ、インスリン誘導体、ダラグルチドまたはリラグルチド等のGLP-1受容体アゴニスト、グルカゴン、グルカゴン類似体、グルカゴン誘導体、胃抑制ポリペプチド(GIP)、GIP類似体、GIP誘導体、オキシントモジュリン類似体、オキシントモジュリン誘導体、治療用抗体および上記の装置による送達が可能な任意の治療薬を含む、1つ以上の治療薬を指す。本装置において使用されるような薬物は、1つ以上の賦形剤と共に製剤化されてもよい。装置は、ヒトに薬物を送達するために、患者、介護者または医療専門家によって、概して上述のような様態で操作される。
例示的な薬物送達装置10は、針を通して患者に薬物を注射するように構成されるペン型注射器として図1~図4に示されている。ペン型注射器10は、遠位部分14および近位部分16を含む細長いペン型ハウジング12を備えた本体11を含む。遠位部分14は、ペンキャップ18内に受容されている。図2を参照すると、遠位部分14は、分注動作中にその遠位出口端を通して分注されるべき薬液を保持するように構成されたリザーバまたはカートリッジ20を含む。遠位部分14の出口端には、取り外し可能なカバー25によって囲まれた注射針24を含む取り外し可能な針アセンブリ22が装備されている。ピストン26は、リザーバ20内に配置される。近位部分16内に配置された注射機構は、用量分注動作中にピストン26をリザーバ20の出口に向かって前進させて、含まれる薬物を強制的に針端に通すように動作可能である。注射機構は、リザーバ20を通してピストン26を前進させるために、例示的にハウジング12に対して軸方向に移動可能なねじの形態である駆動部材28を含む。
用量設定部材30は、装置10によって分注されるべき用量を設定するためにハウジング12に連結される。例示される実施形態では、用量設定部材30は、用量設定中および用量分注中にハウジング12に対して螺旋運動する(すなわち、軸方向にかつ回転的に同時に移動する)ように動作可能なねじ要素の形態である。図1および図2は、そのホームまたはゼロ用量位置でハウジング12内に完全にねじ込まれた用量設定部材30を示す。用量設定部材30は、1回の注射で装置10によって送達可能な最大用量に対応する完全に伸張された位置に到達するまで、ハウジング12から近位方向にねじ切るように動作可能である。
図2~図4を参照すると、用量設定部材30がハウジング12に対して螺旋運動することを可能にするように、用量設定部材30は、ハウジング12の対応するねじ山付き内面に係合する螺旋状ねじ山付き外面を有する円筒状用量ダイヤル部材32を含む。用量ダイヤル部材32は、装置10のスリーブ34(図2)のねじ山付き外面に係合する螺旋状ねじ山付き内面をさらに含む。ダイヤル部材32の外面は、ユーザに設定用量を示すために、投与量窓36を介して視認可能な数字等の用量指標マーキングを含む。用量設定部材30は、ダイヤル部材32の開放近位端に連結され、かつダイヤル部材32の開放41内に受容される戻り止め40によってダイヤル部材32に対して軸方向にかつ回転的に係止される、管状フランジ38をさらに含む。用量設定部材30は、その近位端でダイヤル部材32の外周の周りに配置されるカラーまたはスカート42をさらに含む。スカート42は、スロット46に受容されるタブ44によってダイヤル部材32に対して軸方向にかつ回転的に係止される。
したがって、用量ダイヤル部材32、フランジ38、およびスカート42が全て、回転的にかつ軸方向に一緒に固定されているため、用量設定部材30はそれらのいずれかまたは全てを含むと見なすことができる。用量ダイヤル部材32は、用量の設定および薬物の送達の推進に直接関与している。フランジ38は、用量ダイヤル部材32に取り付けられ、後述するように、クラッチと協働してダイヤル部材32を用量ボタン56に選択的に連結する。スカート42は、ユーザが用量を設定するためにダイヤル部材32を回転させることができるように、本体11の外部に表面を提供する。
スカート42は、例示的に、スカート42の外面上に形成された複数の表面特徴部48および環状隆起部49を含む。表面特徴部48は、例示的に、スカート42の外面の周りに円周方向に離間された長手方向に延在するリブおよび溝であり、ユーザがスカートを把持して回転させ易くする。代替的な実施形態では、スカート42は取り外されるか、またはダイヤル部材32と一体化され、ユーザは、用量設定のために、用量ボタン56および/または用量ダイヤル部材32を把持して回転させることができる。図4の実施形態では、ユーザは、用量設定のために、同様に複数の表面特徴部を含む一体型用量ボタン56の半径方向外側表面を把持して回転させることができる。
送達装置10は、ダイヤル部材32内に受容されるクラッチ52を有するアクチュエータ50を含む。クラッチ52は、その近位端に軸方向に延在するステム54を含む。アクチュエータ50は、用量設定部材30のスカート42の近位に配置された用量ボタン56をさらに含む。代替的な実施形態では、用量設定部材30は、図26に示される一体型用量ボタン56を備える。用量ボタン56は、用量ボタン56の遠位面の中央に位置する装着カラー58(図2)を含む。カラー58は、用量ボタン56とクラッチ52を一緒に軸方向にかつ回転可能に固定するために、締まり嵌めまたは超音波溶接等によりクラッチ52のステム54に取り付けられる。
用量ボタン56は、円盤状の近位端表面または面60と、遠位に延在し、かつ面60の外周縁の半径方向内側に離間された環状壁部分62とを含み、その間に環状リップ64を形成する用量ボタン56の近位面60は、アクチュエータ50を遠位方向に押すために、手動で、すなわち、ユーザによって直接的に、力が加えられ得る押圧表面として機能する。用量ボタン56は、例示的に、近位面60の中央に位置する凹状部分66を含むが、近位面60は、代替的に平坦な表面であってもよい。同様に、図26に示される一体型用量ボタン56は、近位面60の中央に位置する凹状部分66を含み得るか、または代替的に平坦な表面であってもよい。付勢部材68、例示的にばねが、ボタン56の遠位表面70と管状フランジ38の近位表面72との間に配置され、アクチュエータ50および用量設定部材30を互いから軸方向に離して付勢する。用量ボタン56は、用量分注動作を開始するようにユーザによって押下可能である。
送達装置10は、用量設定モードおよび用量分注モードの両方で動作可能である。用量設定モードの動作では、装置10によって送達されるべき所望の用量を設定するために、用量設定部材30をハウジング12に対してダイヤルする(回転させる)。近位方向へのダイヤルは、設定用量を増加させるように機能し、遠位方向へのダイヤルは、設定用量を減少させるように機能する。用量設定部材30は、用量設定動作中に設定用量の最小増分増加または減少に対応する回転増分(例えば、クリック)で調節可能である。例えば、1回の増分または「クリック」は、2分の1または1単位の薬物と等しくなり得る。設定用量は、投与窓36を通して示されるダイヤル指標マーキングを介してユーザに視認可能である。用量ボタン56およびクラッチ52を含むアクチュエータ50は、用量設定モードでのダイヤル中に用量設定部材30と共に軸方向にかつ回転的に移動する。
用量ダイヤル部材32、フランジ38、およびスカート42は全て互いに回転固定されており、用量ダイヤル部材32とハウジング12とのねじ接続に起因して、用量設定中に回転して薬物送達装置10の近位に伸張する。この用量設定動作中、用量ボタン56は、付勢部材68によって一緒に付勢されるフランジ38およびクラッチ52の相補的スプライン74(図2)によってスカート42に対して回転固定される。用量設定の過程で、スカート42および用量ボタン56は、ハウジング12に対して「開始」位置から「終了」位置まで螺旋状に移動する。ハウジングに対するこの回転は、薬物送達装置10の操作によって設定される投与量に比例する。
所望の用量が設定されてから、注射針24が、例えばユーザの皮膚を適切に貫通するように装置10を操作される。用量分注モードの動作は、用量ボタン56の近位面60に加えられる軸方向の遠位力に応答して開始される。軸方向の力は、ユーザによって用量ボタン56に直接加えられる。これにより、アクチュエータ50をハウジング12に対して軸方向に遠位に移動させる。
アクチュエータ50の軸方向への移動動作は、付勢部材68を圧縮し、用量ボタン56と管状フランジ38との間の間隙を縮小するかまたは閉鎖する。この相対的な軸方向への移動は、クラッチ52およびフランジ38上の相補的スプライン74を分離し、それにより、アクチュエータ50、例えば用量ボタン56を、用量設定部材30に回転固定された状態から解放する。具体的には、用量設定部材30は、アクチュエータ50から回転的に連結解除され、アクチュエータ50およびハウジング12に対する用量設定部材30の後方駆動回転を可能にする。用量分注モードの動作はまた、別個のスイッチまたはトリガ機構を起動させることによっても開始され得る。
アクチュエータ50がハウジング12に対して回転しない状態で軸方向に押し込まれ続けると、ダイヤル部材32が用量ボタン56に対して回転するにつれて、ダイヤル部材32がハウジング12内にねじ戻される。注射されるべき量がまだ残っていることを示す用量マーキングは、窓36を通して視認可能である。用量設定部材30が遠位にねじ止めされると、駆動部材28は、遠位に前進されて、リザーバ20を通してピストン26を押し込み、かつ針24(図2)を通して薬物を放出する。
用量分注動作中に、薬物送達装置から放出される薬物の量は、ダイヤル部材32がハウジング12内にねじ戻される際のアクチュエータ50に対する用量設定部材30の回転運動の量に比例する注射は、ダイヤル部材32の雌ねじがスリーブ34の対応する雄ねじの遠位端に到達したときに完了する(図2)。次に、装置10は、図2および図3に示されるような準備状態またはゼロ用量位置に再び配置される。
用量ボタン56に対する用量ダイヤル部材32の、したがって回転固定されたフランジ38およびスカート42の開始および終了角度位置は、用量送達中に角度位置の「絶対」変化を提供する。相対回転が360°を超えたかどうかの判定は、いくつかの方法で判定される。例として、全回転は、検知システムによって任意の数の方法で測定することができる用量設定部材30の増分運動も考慮に入れることによって判定することができる。
例示的な送達装置10の設計および動作のさらなる詳細は、Medication Dispensing Apparatus with Triple Screw Threads for Mechanical Advantageと題される米国特許第7,291,132号に見出すことができ、その全体的な開示は、参照により本明細書に組み込まれる。送達装置の別の例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「Automatic Injection Device With Delay Mechanism Including Dual Functioning Biasing Member」と題される米国特許第8,734,394号に見出すことができる自動注射装置であり、そのような装置は、薬物送達装置内の相対回転の検知に基づいて薬物送達装置から送達された薬物の量を判定するように、本明細書に記載の1つ以上の様々なセンサシステムを用いて変更される。
用量検出システムは、薬物送達装置の部材に取り付けられた検知構成要素および被検知構成要素を使用する。「取り付けられた」という用語は、それらが本明細書に記載されるように動作可能であるように、構成要素の位置を薬物送達装置の別の構成要素または部材に固定する任意の様態を包含する。例えば、検知構成要素は、部材上に直接配置されるか、部材内に受容されるか、部材に一体化されるか、または別様に部材と接続されることによって、薬物送達装置の部材に取り付けられ得る。接続は、例えば、摩擦係合、スプライン、スナップまたは圧入、音波溶接または接着剤によって形成される接続を含み得る。
「直接取り付けられた」という用語は、2つの構成要素、または1つの構成用途と1つの部材が、取り付け構成要素以外の中間部材を用いることなく物理的に一緒に固定される取り付けを説明するために使用される。取り付け構成要素は、取り付けを容易にするために2つの構成要素間に介在する締結具、アダプタ、または締結システムの他の部品(圧縮膜等)を備えることができる。「直接的な取り付け」は、例えば、図2においてダイヤル部材32がクラッチ52によって用量ボタン56に連結される方法等の、構成要素/部材が1つ以上の中間機能部材によって連結される接続と区別される。
「固定された」という用語は、示される運動が起こってもまたは起こらなくてもよいことを示すために使用される。例えば、2つの部材が回転して一緒に移動することが必要とされる場合、第1の部材は第2の部材と「回転固定」される。一態様では、部材は、構造的にではなく機能的に別の部材に対して「固定」されてもよい。例えば、2つの部材間の摩擦係合がそれらを一緒に回転固定するようにある部材が別の部材に対して押圧されてもよいが、2つの部材は第1の部材の押圧がなければ一緒に固定され得ない。
様々なセンサシステムが本明細書において企図される。一般に、センサシステムは検知構成要素および被検知構成要素を含む。「検知構成要素」という用語は、被検知構成要素の相対位置を検出することができる任意の構成要素を指す。検知構成要素は、検知素子または「センサ」を、検知素子を操作するための関連する電気構成要素と共に含む。「被検知構成要素」は、検知構成要素が検知構成要素に対する被検知構成要素の位置および/または動きを検出することができる任意の構成要素である。用量送達検出システムの場合、被検知構成要素は検知構成要素に対して回転し、それによって被検知構成要素の角度位置および/または回転運動を検出することができる。用量タイプ検出システムの場合、検知構成要素は被検知構成要素の相対角度位置を検出する。検知構成要素は1つ以上の検知素子を含むことができ、被検知構成要素は1つ以上の被検知素子を含むことができる。センサシステムは、被検知構成要素(複数可)の位置または動きを検出し、被検知構成要素(複数可)の位置(複数可)または動き(複数可)を表す出力を提供することができる。
センサシステムは、典型的には、被検知領域内の1つ以上の被検知素子の位置に関連して変動する検知されたパラメータの特性を検出する。被検知素子は、検知されたパラメータの特性に直接的または間接的に影響を及ぼす様態で被検知領域内に及ぶかまたは別様に影響する。センサと被検知素子との相対位置は、検知されたパラメータの特性に影響を及ぼし、センサシステムのコントローラが被検知素子の異なる位置を判定することを可能にする。
好適なセンサシステムは、能動的構成要素と受動的構成要素の組み合わせを含み得る。検知構成要素が能動的構成要素として動作している場合、両方の構成要素が電源またはコントローラ等の他のシステム要素に接続される必要はない。
2つの部材の相対位置を検出することができる様々な検知技術のいずれが組み込まれてもよい。そのような技術は、例えば、触覚的、光学的、誘導的または電気的測定に基づく技術を含み得る。
そのような技術は、磁場等の場に関連する検知されたパラメータの測定を含み得る。一形態では、磁気構成要素をセンサに対して移動させると、磁気センサが、検知された磁場における変化を検知する。別の実施形態では、対象物を磁場内に配置したときおよび/または磁場を通って移動させたときに、センサシステムが磁場の特性および/または磁場への変化を検知することができる。場の変動は、被検知領域内の被検知素子の位置に関連して検知されたパラメータの特性を変化させる。そのような実施形態では、検知されたパラメータは、静電容量、コンダクタンス、抵抗、インピーダンス、電圧、インダクタンス等であり得る。例えば、磁気抵抗型センサは、センサの素子の抵抗に特性変化をもたらす印加磁場の歪みを検出する。別の例として、ホール効果センサは、印加磁場の歪みから生じる電圧の変化を検出する。
一態様では、センサシステムは、被検知素子、したがって薬物送達装置の関連する部材の相対位置または動きを検出する。センサシステムは、被検知構成要素の位置(複数可)または移動量を表す出力を生成する。例えば、センサシステムは、用量送達中の用量設定部材の回転を判定することができる出力を生成するように動作可能であり得る。出力を受信するために、コントローラが各センサに動作可能に接続される。一態様では、コントローラは、薬物送達装置の動作によって送達される投与量を出力から判定するように構成される。
用量送達検出システムは、2つの部材間の相対回転運動を検出することを含む。送達される投与量と既知の関係を有する回転の程度により、センサシステムは、用量注射の開始から用量注射の終了までの角度移動量を検出するように動作する。例えば、ペン型注射器の典型的な関係は、用量設定部材の18°の角度変位が1単位用量に等しいということであるが、他の角度関係もまた好適である。センサシステムは、用量送達中の用量設定部材の全角度変位を判定するように動作可能である。したがって、角度変位が90°であれば、5単位の用量が送達されたことになる。
角度変位を検出するための1つの手法は、注射が進むにつれて用量の増分をカウントすることである。例えば、センサシステムは、各繰り返しが既定の程度の回転角度の指標となるように、被検知素子の繰り返しパターンを使用することができる。都合のよいことに、パターンは、各繰り返しが薬物送達装置を用いて設定され得る用量の最小増分に対応するように確立することができる。
代替的な手法は、相対的に移動する部材の開始位置と停止位置を検出し、それらの位置の間の差として送達投与量を判定することである。この手法では、センサシステムが用量設定部材の全回転数を検出することが判定の一部であり得る。このための様々な方法は十分に当業者の範囲内であり、全回転数を評価するために増分数を「カウントする」ことを含み得る。
センサシステム構成要素は、恒久的にまたは取り外し可能に薬物送達装置に取り付けることができる。例示的な実施形態では、用量検出システムの構成要素の少なくともいくつかは、薬物送達装置に取り外し可能に取り付けられるモジュールの形態で提供される。これは、これらのセンサ構成要素を1つより多くのペン型注射器で使用できるようにするという利点を有する。
いくつかの実施形態では、検知構成要素がアクチュエータに取り付けられ、被検知構成要素が用量設定部材に取り付けられる。被検知構成要素はまた、用量設定部材またはその任意の部分を含み得る。センサシステムは、用量送達中に、被検知構成要素、したがって用量設定部材の相対回転を検出し、それから薬物送達装置によって送達される投与量が判定される。例示的な実施形態では、回転センサがアクチュエータに取り付けられ、回転固定される。アクチュエータは、用量送達中に薬物送達装置の本体に対して回転しない。この実施形態では、被検知構成要素が、用量送達中にアクチュエータおよび装置本体に対して回転する用量設定部材に取り付けられ、回転固定される。被検知構成要素はまた、用量設定部材またはその任意の部分を含み得る。例示的な実施形態では、回転センサは、用量送達中に、相対的に回転する用量設定部材に直接取り付けられない。
図5を参照すると、装置10等の薬物送達装置との組み合わせにおいて有用なモジュール82を含む用量送達検出システム80が概略的な形態で示されている。モジュール82は、回転センサ86およびプロセッサ、メモリ、電池等の他の関連構成要素を含む、84に概略的に示されるセンサシステムを担持する。モジュール82は、アクチュエータに取り外し可能に取り付けることができる別個の構成要素として提供される。
用量検出モジュール82は、用量ボタン56に取り付けられた本体88を含む。本体88は、例示的に、円筒状の側壁90と、側壁90にわたって広がりそれを密封する頂壁92とを含む。例として、図5において、上側壁90は、モジュール82を用量ボタン56に取り付ける内側に延在するタブ94を有するように概略的に示されている。用量検出モジュール82は、代替的に、スナップまたは圧入、ねじインターフェース等の任意の好適な締結手段を介して用量ボタン56に取り付けられ得るが、但し、一態様では、モジュール82を第1の薬物送達装置から取り外し、その後、第2の薬物送達装置に取り付けることができるものとする。取り付けは用量ボタン56上のいずれの位置であってよいが、但し、本明細書で論じるように、用量ボタン56が用量設定部材30に対して軸方向に任意の必要量を移動することができるものとする。
用量送達中、用量設定部材30は用量ボタン56およびモジュール82に対して自由に回転できる。例示的な実施形態では、モジュール82は用量ボタン56と回転固定されており、用量送達中は回転しない。これは、例えば、図5のタブ94を用いて、または、用量ボタン56に対してモジュール82が軸方向に移動したときにモジュール本体88および用量ボタン56上の互いに向かい合うスプラインまたは他の表面特徴部を係合させることによって、構造的に提供され得る。別の実施形態では、モジュールの遠位への押圧が、モジュール82と用量ボタン56との間に十分な摩擦係合をもたらし、用量送達中にモジュール82と用量ボタン56一緒に回転固定されたままにする。
頂壁92は、用量ボタン56の面60から離間され、それによって回転センサおよび他の構成要素の一部または全部を含むことができるキャビティ96を提供する。キャビティ96は底部が開口していてもよいか、または底壁98等によって囲まれていてもよい。底壁98は、用量ボタン56の面60に直接当接するように配置することができる。代替的に、底壁98が存在する場合、それは用量ボタン56から離間されてもよく、モジュール82と用量ボタン56との間の他の接触は、モジュール82に加えられる軸方向力が用量ボタン56に伝達されるように使用され得る。別の実施形態では、モジュール82は、図26に示されるように一体型用量ボタン56に回転固定することができる。
代替的な実施形態では、用量設定中のモジュール82は、代わりに用量設定部材30に取り付けられる。例えば、側壁90は、隆起部49の下の位置でスカート42と係合する内側への突起102を有する下壁部分100を含み得る。この手法では、タブ94が省略されてもよく、モジュール82が用量ボタン56の近位面60および環状隆起部49の遠位側に効果的に係合する。この構成では、スカート42の表面特徴部と係合してモジュール82をスカート42に回転固定する表面特徴部が下壁部分100に提供されてもよい。用量設定中にハウジング82に加えられる回転力は、それによって、下壁部分100とスカート42との連結によってスカート42に伝達される。
用量送達を続行するために、モジュール82はスカート42から回転的に解放される。下壁部分100とスカート42との連結は、スカート42に対するモジュール82の遠位軸方向に移動したときに切り離されるように構成され、それにより、用量送達中にスカート42がモジュール82に対して回転することが可能になる。
同様に、モジュール82は、用量設定中に用量ボタン56およびスカート42の両方と連結されてもよい。これは、用量設定におけるモジュールの回転中に追加の連結面を提供するという利点を有する。次に、用量送達が開始される際のスカート42に対するモジュール82の軸方向への移動等によって、スカート42へのモジュール82の連結が用量注射前に解放され、それにより、用量送達中に用量設定部材30がモジュール82に対して回転することが可能になる。
特定の実施形態では、回転センサ86が、被検知構成要素を検出するために側壁90に連結される。下壁部分100はまた、用量送達中に用量設定部材30がモジュール82およびハウジング12に対して回転するときに、ユーザの手が誤ってそれに抗力を加える可能性を減少させるのに役立つ。さらに、用量ボタン56は用量設定中に用量設定部材30に回転固定されているため、下壁部分100を含む側壁90は、用量設定中にユーザによって容易に把持および操作され得る単一の連続的な表面を提供する。
用量検出モジュール82を押下することによって注射プロセスが開始されると、用量ボタン56と用量設定部材30とが一緒に回転固定される。モジュール82、したがって用量ボタン56を短い距離、例えば2mm未満移動させると、回転係合が解放され、用量が送達されると用量設定部材30がモジュール82に対して回転する。フィンガーパッドまたは他のトリガ機構の使用にかかわらず、用量ボタン56が用量ボタン56と用量設定部材30との回転係止を解除するのに十分な距離を移動する前に用量検出システムが起動する。
例示的に、用量送達検出システムは、本明細書に記載されるようなセンサシステムの動作に好適な電子機器アセンブリを含む。1つ以上の回転センサからの出力を受信するために、コントローラはセンサシステムに動作可能に接続される。コントローラは、例えばモジュール本体88によって画定されたキャビティ96内に含まれるプロセッサ、電源、メモリ、マイクロコントローラ等の従来の構成要素を含むことができる。代替的に、少なくともいくつかの構成要素は、コンピュータ、スマートフォン、または他の装置等によって、別々に提供され得る。次に、有線または無線接続等によって適切なときに外部コントローラ構成要素をセンサシステムに動作可能に接続するための手段が提供される。
例示的な電子機器アセンブリ120は、複数の電子部品を有するフレキシブルプリント回路基板(FPCB)を含む。電子機器アセンブリは、検知された相対回転を表す信号をセンサから受信するためにプロセッサと動作可能に通信する1つ以上の回転センサ86を含むセンサシステムを備える。電子機器アセンブリは、少なくとも1つの処理コアおよび内部メモリを備えるマイクロコントローラユニット(MCU)をさらに含む。このシステムは、構成要素に電力を供給するための電池、例示的にコイン型電池を含む。MCUは、アクチュエータに対する用量設定部材の検出された回転に基づいて薬物送達装置10によって送達される用量を検出することを含む、本明細書に記載される動作を実行するように動作可能な制御ロジックを含む。一実施形態では、検出された回転は、ペン型注射器のスカート42と用量ボタン56との間である。
MCUは、検出された用量をローカルメモリ(例えば、内部フラッシュメモリまたはオンボードEEPROM)に格納するように動作可能である。MCUは、検出された用量を表す信号を、Bluetooth低エネルギー(BLE)または他の好適な短距離もしくは長距離無線通信プロトコルを介して、ユーザのスマートフォン等の対を成す遠隔電子装置に無線で送信および/または受信するようにさらに動作可能である。例示的に、BLE制御ロジックおよびMCUは、同じ回路上に集積される。
検知電子機器の多くはキャビティ96内に含まれる。しかしながら、回転センサは、被検知構成要素の相対的な動きを検知するために様々な場所に配置され得る。例えば、回転センサは、キャビティ96内、本体88内であるがキャビティ96の外側、または下壁部分100等の本体の他の場所に位置してもよい。唯一の要件は、回転センサが、用量送達中に被検知構成要素の回転運動を効果的に検出するように配置されることである。いくつかの実施形態では、回転センサは装置10と一体化される。
1つ以上の被検知素子が用量設定部材30に取り付けられる。一態様では、被検知素子は用量設定部材のスカート42に直接取り付けられる。代替的に、被検知素子は、ダイヤル部材、フランジ、および/またはスカートを含む、用量設定構成要素のうちのいずれか1つ以上に取り付けられてもよい。唯一の要件は、検知素子(複数可)が、用量送達中の相対回転運動中に回転センサによって検知されるように配置されることである。他の実施形態では、被検知構成要素は用量設定部材30またはその任意の部分を含む。
用量送達検出システム80のさらなる例示的な実施形態が図6~図13に提供される。実施形態は、図1~図5に関して共通の詳細が既に提供されているため、若干概略的に示されている。概して、各実施形態は、円筒状の上壁90および頂壁92を有する本体88を含む、用量検出モジュール82の同様の構成要素を含む。各実施形態はまた下壁100を含むが、下壁100が存在しないことを含むこれらの構成要素の変形例が本開示の範囲内であることが理解されるであろう。本明細書におけるこれまでの説明と共通する他の部品は、モジュール本体88のキャビティ96内に含まれる電子機器アセンブリ120、用量ボタン56、用量設定部材32および装置ハウジング12を含む。さらに、各実施形態では、用量検出モジュール82は、用量ボタン56の環状側壁62に取り付けられているように概略的に示されているが、代替的な取り付け形態および取り付け位置が用いられてもよい。例えば、用量検出モジュール82が用量ボタン56に取り付けられてもよく、いくつかの実施形態では、スカート42に解放可能に取り付けられてもよい。また、用量検出モジュール82は、図26に示されるように、一体型用量ボタン56に取り付けることができる。
各実施例も、特定のタイプのセンサシステムの使用を示す。しかしながら、いくつかの実施形態では、用量検出システムは、同じかまたは異なる検知技術を使用する複数の検知システムを含む。これは、検知システムのうちの1つが故障した場合に冗長性を提供する。それはまた、第1の検知システムが適切に機能していることを定期的に確認するために第2の検知システムを使用する能力を提供する。
特定の実施形態では、図6に示されるように、モジュール82の頂壁92にフィンガーパッド110が取り付けられている。フィンガーパッド110は頂壁92に連結され、頂壁92は上側壁90に取り付けられる。フィンガーパッド110は、半径方向内側に延在し、かつ壁構成要素92の円周向の溝116内に受容される隆起部114を含む。溝116は、フィンガーパッド110と壁構成要素92との間のわずかな軸方向への移動を可能にする。ばね(図示せず)は通常、フィンガーパッド110を壁構成要素92から離して上方に付勢する。フィンガーパッド110は壁構成要素92に回転固定されてもよい。注射プロセスが開始される際のモジュール本体88に向かって遠位方向へのフィンガーパッド110の軸方向への移動は、選択された事象を引き起こすために使用され得る。フィンガーパッド110の1つの用途は、用量注射が開始されるときのモジュール本体88に対するフィンガーパッド110の初期の押圧および軸方向への移動時の薬物送達装置電子機器の起動であり得る。例えば、この初期の軸方向への移動は、装置、特に用量検出システムに関連する構成要素を「目覚めさせる」ために使用されてもよい。一例では、モジュール82は、情報をユーザに示すための表示部を含む。そのような表示部は、フィンガーパッド110と一体化することができる。MCUは、検知されたデータを受信して処理し、例えば、用量設定、分注された用量、注射の状態、注射の完了、日付および/もしくは時間、または次の注射までの時間等の情報を前記表示部に表示するように動作可能な表示部駆動ソフトウェアモジュールおよび制御ロジックを含む。
フィンガーパッドが存在しない場合、システム電子機器は他の様々な方法で起動することができる。例えば、用量送達の開始時におけるモジュール82の初期の軸方向への移動は、接点の閉鎖またはスイッチの物理的な係合等によって直接検出され得る。また、他の様々な動作、例えば、ペンキャップの取り外し、加速度計を用いたペンの動きの検出、または用量の設定に基づいて、薬物送達装置を起動することも知られている。多くの手法において、用量検出システムは用量送達の開始前に起動される。
図6~図8を参照すると、用量検出モジュール82は磁気検知システム84を用いて動作する。2つの磁気センサ130が、用量設定部材30のスカート42の反対側の下壁部分100(例示的には下壁部分100の内面)に配置されている。全ての実施形態に関して、回転センサ(複数可)および被検知素子(複数可)の数および位置は異なってもよい。例えば、図6~図8の実施形態は、代わりに、スカート42の周りに均等にまたは不均等に離間された任意の数の磁気センサ130を含んでもよい。被検知構成要素132(図7および図8)は、例示的にスカート42の内部に示される、スカート42に固定された磁気ストリップ134を含む。例示的な実施形態では、ストリップは、5対の南北磁気構成要素、例えば136および138を含み、したがって各磁気部分は36°にわたって延在する。磁気センサ130は18°の間隔で配置され(図7)、磁気ストリップ132の、したがってスカート42のデジタル位置を2ビットのグレイコード方式で読み取る。例えば、センサがN-S磁気対の通過を検出すると、スカート42が36°回転したことが検出され、これは2単位の、例えば加算(または減算)された用量に相当する。
異なる数または位置の磁気素子を含む他の磁気パターンも使用することができる。さらに、代替的な実施形態では、図9に示されるように、被検知構成要素133が用量設定部材30のフランジ38に取り付けられるかまたは一体化される。
前述のように、検知システム84は、磁気センサ130に対する検知素子の回転量を検出するように構成される。この回転量は、装置によって送達される投与量と直接相関している。相対回転は、例えば、スカート42の開始位置と停止位置との間の差を識別することによって、または薬物の送達中にスカート42の増分移動の数を「カウントする」ことによって、用量送達中のスカート42の動きを検出することにより判定される。
図10~図11を参照すると、N極154およびS極156を有する環状のリング状双極磁石152を被検知素子として含む例示的な磁気センサシステム150が示されている。磁石152はフランジ38に取り付けられており、したがって用量送達中にフランジと共に回転する。磁石152は、代替的に、用量ダイヤル32または用量設定部材に回転固定された他の部材に取り付けられてもよい。
センサシステム150は、モジュール82内に含まれるセンサ電子機器(図示せず)と動作可能に接続された1つ以上の検知素子160を含むセンサ158をさらに含む。センサ158の検知素子160は、図11Aにおいて、プリント回路基板162に取り付けられて示されており、回路基板162は、今度はモジュール82に取り付けられており、モジュール82は用量ボタン56に回転固定されている。その結果、用量送達中、磁石152は検知素子160に対して回転する。検知素子160は、磁石152の相対角度位置を検出するように動作可能である。これにより、磁気センサシステム150は、用量ボタン56に対するフランジ38の全回転、したがって用量送達中のハウジング12に対する回転を検出するように動作する。
一実施形態では、磁気センサシステム150は、モジュール82内で等半径に離間された4つの検知素子160を含む。検知素子の代替的な数および位置が用いられてもよい。例えば、図11Bに示される別の実施形態では、単一の検知素子160が使用されている。さらに、図11Bの検知素子160はモジュール82内の中心にあるように示されているが、他の位置が用いられてもよい。前述の実施形態では、検知素子160はモジュール82内に取り付けられて示されている。代替的に、用量送達中に構成要素がハウジング12に対して回転しないように、検知素子160は、用量ボタン56に回転固定された構成要素の任意の部分に取り付けられてもよい。
説明のために、磁石152は、フランジ38に取り付けられた単一の環状の双極磁石として示されている。しかしながら、磁石152の代替的な構成および位置も企図される。例えば、磁石は、交互のN極とS極等の複数の極を備えてもよい。一実施形態では、磁石は、フランジ38の個別の回転用量設定位置の数と等しいいくつかの極対を含む。磁石152はまた、いくつかの別個の磁石部材を含み得る。加えて、磁石構成要素は、スカート42または用量ダイヤル部材32等の、用量送達中にフランジ38に回転固定された部材の任意の部分に取り付けることができる。
センサシステムは、誘導センサシステム170として図12~図13に代替的に例示されている。センサシステム170は、被検知素子としてスカート42に取り付けられた金属帯172を備える被検知素子171を利用する。センサシステム170は、スカート42の外周に沿って等半径に離間された4つの独立したアンテナ178等の、1つ以上の検知素子176を備えるセンサ174をさらに含む。これらの4つのアンテナは、180度離れて位置する2つのアンテナ対を形成し、スカート42の角度位置のレシオメトリック測定を提供する。
金属帯172は、モジュール82に対するスカート42の1つ以上の異なる回転位置を検出できるような形状である。金属帯172は、スカート42がアンテナ178に対して回転すると変化する信号を発生する形状を有する。例示的に、図13A~図13Cはバンドパターンを示し、図13Bが図13Aの位置から90°の回転を示し、図13Cがさらなる90°の回転を示す。このパターンは、図12Dに概略的に示されるように、モジュール82に対してスカート42が回転すると検出される正弦波応答を生じ、位置a~dは、図12Aに示されるものと相関する。
図13Dは、ペン10のモジュール82およびスカート42に組み込まれた誘導センサシステム170を示す概略図を提供する。金属帯172は、スカート42に取り付けられて示されている。アンテナ178は電子機器120と動作可能に接続されているため、アンテナは、用量送達中に、モジュール82に対する、したがってペン10のハウジング12に対するスカート42の位置を検出するように機能する。
図12~図13に示される実施形態では、誘導センサシステム170は、モジュール82内に等半径に離間されたアンテナ178を備える4つの検知素子176を含む。検知素子の代替的な数および位置が用いられてもよい。例えば、別の実施形態は、単一のアンテナを利用する。例示される実施形態では、アンテナ178は、モジュール82内に取り付けられて示されている。代替的に、用量送達中に構成要素がハウジング12に対して回転しないように、アンテナ(複数可)は、用量ボタン56に回転固定された構成要素の任意の部分に取り付けられてもよい。
説明のために、金属帯172は、スカート42の外側に取り付けられた単一の円筒状の帯として示されている。しかしながら、金属帯172の代替的な構成および位置も企図される。例えば、金属帯は、複数の個別の金属元素を含み得る。一実施形態では、金属帯は、スカート42の個別の回転用量設定位置の数と等しいいくつかの要素を含む。代替例における金属帯は、用量送達中にスカート42に回転固定された構成要素、例えばフランジ38またはダイヤル部材32の任意の部分に取り付けることができる。金属帯は、部材の内側もしくは外側で回転部材に取り付けられた金属要素を含んでもよいか、または構成要素に組み込まれた金属粒子によって、もしくは金属帯を用いて構成要素をオーバーモールドすることによって、そのような部材に組み込まれてもよい。
アンテナ178は、図12Aに概略的に示され、図13Dおよび図13Eでは円形であるように構造的に示される。アンテナの代替構成が図13Fおよび図13Gに概略的に示される。図13Fに示されるのは、長方形の中央部182と半円形の端部184とを有する「細長いアンテナ」180である。図13Fは、金属帯186に対するアンテナ180の位置を示す。この位置は、用量を送達する場合のようにモジュールの軸方向の変位がない状態で静止しているペン型注射器に対応する。図13Gでは、アンテナ180は、用量の送達を引き起こすために押圧されたモジュールに対応する位置にある。モジュール、したがってアンテナ180は、図13Gにおいて、金属帯186に対して下方に変位している。金属帯と重複する中央部182のより一定の領域があるため、細長いアンテナ180は金属帯186のより均一な検知を提供し得ることは明らかである。
一態様では、モジュール形態の用量検出システムが開示されている。取り外し可能に取り付けられたモジュールの使用は、アクチュエータおよび用量設定部材の両方が薬物装置ハウジングの外部にある部分を含む薬物送達装置と共に使用するのに特に適している。これらの外部部分は、本明細書に記載されるように、用量ボタン等のアクチュエータへの検知構成要素の直接的な取り付け、および用量スカート、フランジ、またはダイヤル部材等の用量設定部材への被検知構成要素の直接的な取り付けを可能にする。これに関して、「用量ボタン」は、装置ハウジングの外側に位置する部分を含む薬物送達装置の構成要素をより一般的に指し、ユーザが設定された用量を送達するために使用するのに利用可能な露出表面を含む。同様に、用量「スカート」は、装置ハウジングの外側に位置し、それによりユーザが用量を設定するために構成要素を把持して回転させるのに利用可能な露出部分を有する薬物送達装置の構成要素をより一般的に指す。本明細書に開示されるように、用量スカートは、用量送達中に用量ボタンに対して回転する。また、用量スカートまたは用量ボタンのいずれかを回転させて用量を設定することができるように、用量設定中に用量スカートを用量ボタンに回転固定することができる。代替的な実施形態では、送達装置が用量スカートを含まない場合があり、ユーザは用量設定のためにアクチュエータ(例えば用量ボタン)を把持して回転させてもよい。いくつかの実施形態では、用量検出モジュールがアクチュエータおよび/または用量スカートに取り付けられた状態で、用量検出モジュールを回転させ、それによって送達装置の用量設定部材を回転させて送達されるべき用量を設定することができる。
本開示のさらなる特徴は、用量検出システム80の検知システムを、追加モジュールとしてよりもむしろ統合型システムとして、薬物送達装置に最初から組み込むことができるということである。
上記は、用量送達中にアクチュエータに対する用量設定部材の相対回転を検知するための様々な構造および方法についての考察を提供する。薬物送達装置の特定の実施形態では、アクチュエータは、用量設定中、ペン本体に対して螺旋状に移動する。例示目的のために、本開示は、そのような螺旋運動するアクチュエータに関する用量検出システムについて説明する。しかしながら、開示される用量検出システムの原理および物理的動作は、用量送達中に回転するが平行移動しないアクチュエータと組み合わせて使用されてもよいことを当業者は理解するであろう。用量検出システムは、装置が用量注射中に用量設定部材に対して回転するアクチュエータを含むという条件で、他の構成の医療用送達装置と共に動作可能であることも理解されよう。
検出システムはまた、ペン型注射器によって投与される薬物の特徴を識別する(特定する)ためのモジュールと共に使用されてもよい。ペン型注射器は、多種多様な薬物と共に、またさらには様々なタイプの所与の薬物と共に使用される。例えば、インスリンは、意図する目的に応じて異なる形態で入手可能である。インスリンのタイプには、速効型、短時間作用型、中時間作用型および長時間作用型が含まれる。別の観点では、薬物のタイプは、どの薬物が関与しているか、例えばインスリン対非インスリン薬物、および/または薬物の濃度を指す。その結果が深刻な影響を与える場合があるため、薬物のタイプを混同しないことが重要である。
薬物のタイプに基づいて特定のパラメータを相関させることができる。インスリンを例として用いると、どのタイプのインスリンが関与しているか、インスリンのタイプが投与のタイミングとどのように相関しているか等の要因に基づいて、適切な量の用量に関する既知の制限が存在する。別の態様では、治療方法を正確に監視し、評価するために、どのタイプの薬物が投与されたかを知ることが必要である。一態様では、投与される薬物のタイプを識別することができるセンサシステムが提供される。
薬物タイプを判定するために、薬物送達装置に含まれる薬物のタイプの一意の識別情報を検出するモジュールが提供される。モジュールを薬物送達装置、例えばペン型注射器に装着すると、モジュールは薬物のタイプを検出し、それをメモリに格納する。その後、モジュールは、ペン内の薬物のタイプ、ならびに以前の投与履歴および他の情報を考慮して、薬物の設定または送達を評価することができる。
図14を参照すると、ペン型注射器10は、被検知構成要素202および検知構成要素204を備えるセンサシステム200を含む。センサシステム200は、ペン型注射器10に対する被検知構成要素202の異なる角度方向を識別するように動作可能である。センサシステム200は、前述のような任意のタイプであり得、それによって特定の角度位置を識別することができる。
図14には、ハウジング12、用量ダイヤル部材32、フランジ38、クラッチ52、用量ボタン56およびモジュール82を含むペン型注射器10が示されている。被検知構成要素202は、一意に識別可能な様態でペン型注射器10に取り付けられた1つ以上の被検知素子206を含む。例として、被検知素子206はスカート42に取り付けられ、スカート42に対して常に同じ配向を有するように示される。スカート42は、ハウジング12に対して回転可能であるが、ペン型注射器から任意の薬物が分注される前の「初期ゼロ位置」にあるとき、ハウジング12に対して一意の識別可能な位置を有する。同様に、被検知素子206は、モジュール82をペン型注射器10に装着する間等の適切な期間に一意の識別可能な位置を有するペンの他の回転可能な部材に取り付けることができる。この点において、被検知素子206は、代替的に、例えばフランジ38またはダイヤル部材32に取り付けられてもよい。
スカート42は、円筒状のスカート壁210の外側で軸方向に延在するスロット208を含む(図15)。被検知素子206の角度位置に対するスロット208の角度位置は、選択されたタイプの薬物に対応するように既定される。図15を参照すると、スロット208は、スカート42がその初期のゼロ用量位置にある9時の位置に示されている。スロット208のこの位置は、特定のタイプの薬物を表すために割り当てられる。代替的に、スロット208は、図15における3時の位置等の、初期のゼロ用量位置の異なる角度位置に位置する。この位置は次に第2のタイプの薬物を表すために割り当てられる。したがって、スロット208に対する被検知素子206の位置の検出は、ペン型注射器10に含まれる薬物タイプを識別するのに有用である。
モジュール82は、内面214を含む下壁212を含む(図16)。タブ216は、内面214の半径方向内側に延在し、スロット208内に受容されるように構成される。この状態は図15に概略的に示されている。タブ216は、内面の単純な突起であり得るか、または半径方向外向きに屈曲することが可能なアームとして提供され得る。モジュール82を装置10に装着するために、タブ216をスロット208と位置合わせし、次にモジュールを装置の方向に前進させる。タブ216は、鈍前端部218を有することによってスロット208との適切な位置合わせを確実にするように構成される。これは、タブ216がスカート上の別の場所を不適切に乗り越えるのではなく、スロット208内に受容されることを必要とするように提供される。
図14は、タブ216がスロット208内に受容された状態の設置中のモジュールを示す。図17では、モジュール82は、タブ216がスロット208から外に移動した状態でその設置位置まで前進している。この位置で、モジュール82は、前述のように、例えば突起220によって用量ボタン56に固定されてもよい。タブ216をスロット208の外側に配置することにより、設置後にスカート42とモジュール82との間の相対回転が可能になる。
薬物タイプの識別つまり特定(identification)は、スロット208に対する被検知素子の既定の配向からもたらされる。図14~図17の実施形態では、これは、被検知素子が薬物のタイプを表すようにスカート42上に選択的に配置されることを意味する。そのようにして、タブ216がスロット208と位置合わせされるといつでも、センサシステムは、被検知素子(複数可)とモジュールとの相対的な角度関係を識別し、そこから薬物タイプを導出するように動作可能である。この検出は、タブとスロットとが位置合わせされたときにはいつでも行われる。この位置合わせは、モジュールをスカートに装着する際に必要となるため、この時点で位置を検出すると都合がよい。これは、近接センサ、滑り接点、ばね付勢スイッチ、またはモジュールの設置開始時の手動による起動等の、任意の好適な様態でセンサシステムをトリガすることによって引き起こされ得る。
モジュールがインストールされ、薬物のタイプが識別されると、ペン型注射器は使用できる状態になる。必要に応じて、モジュール82はペン型注射器から取り外され、別のペン型注射器での使用に利用可能となる。動作中、用量の送達はモジュール82に対してスカート42を回転させるため、用量送達の終了時にはタブとスロットとが位置合わせされていない。タブがスロット208から軸方向に変位し、したがってスカート42に対して任意の角度位置にあり得るため、これはペン型注射器の動作には影響しない。しかしながら、モジュール82の取り外しを容易にするために、タブ216は先細りの後端部222を含む。これにより、スカートの角度位置に関係なく、タブ216がスカート42の外面210を容易に乗り越えることが可能になる。タブとスロットの位置合わせ機構を用いて薬物タイプの識別について説明してきた。しかしながら、他の位置合わせ構造またはシステムも企図される。
この薬物タイプの検出は、位置合わせ特徴部に対する被検知素子の既定の角度位置を検出するように動作可能である様々なセンサシステムに有用である。これらのセンサシステムは、本明細書で先に開示したものを含む。この薬物タイプの判定が送達される投与量を検出するためにセンサシステムと容易に組み合わされることは、さらなる態様である。2つのシステムは、独立してまたは互いに協調して動作し得る。
特定の態様では、用量送達を検出するために使用されるセンサシステムは、薬物タイプを識別するためにも使用される。例えば、図10~図11および関連する文章は、送達される投与量を判定するために検知素子160および磁石152を含む磁気センサシステムについて説明している。磁石152は、センサシステムが検知素子に対する磁石152の特定の角度位置を検出することができるように一意の構成を有する。したがって、ペン型注射器に含まれる薬物タイプを識別するために、図14~図17に関して記載したように、この同じセンサシステムを位置合わせ特徴部と組み合わせて使用することができる。図12~図13の誘導センサシステムは、薬物タイプと用量送達の両方を判定するために有用なセンサシステムの別の例である。
図18~図21を参照すると、代替的な薬物および/またはペンタイプ検出システム230が提供されている。この実施形態では、センサシステム230がモジュール232と関連して提供される。モジュール232は、図14~図17の実施形態でモジュール82に関して記載したのと同じキー止め様態でペン型注射器10に取り外し可能に取り付けられる。センサシステム230は、被検知構成要素234およびセンサ236を備える。センサシステム230は、ペン型注射器10に対する被検知構成要素234の異なる角度方向を識別するように動作可能である。薬物および/またはペンタイプの識別は、前述のように、被検知素子(複数可)の既定の配向からもたらされる。センサシステムは、モジュールに対する被検知素子の相対的な角度関係を識別し、そこから薬物および/またはペンタイプを導出するように動作可能である。
被検知構成要素234の角度位置は、被検知構成要素の一意の角度プロファイルに基づいて検出される。「一意の角度プロファイル」という用語は、被検知構成要素234を含む1つ以上の被検知素子238が、システムによって使用される任意の既定の角度位置として被検知構成要素の角度位置が一意に識別されることを可能にする被検知構成要素の構成を特定するために使用される。そのような一意の角度プロファイルを有する被検知構成要素は、図19~図21に示される。図19は、被検知構成要素234の一実施形態とセンサ236との関係を概略的に示す。被検知構成要素234は、略円形パターンに形成された単一の被検知素子238を含む。
センサ236は、アクチュエータ244の回転軸242の周りに等半径に配置された、対向する対の誘導コイルアンテナ246および248を含むものとして図20に示されている。アンテナは、A+/A-とB+/B-の対を表す。被検知構成要素234は、回転軸242の周りを回転するように構成されて図20に示すように配置される。AC電流は、対を成すアンテナ246および248を通って流れ、4つの別々の独立したAC磁界を発生する。
被検知素子234がアンテナ対を通過すると、各アンテナの磁界は、被検知素子234中の金属の表面に循環電流(渦電流)を誘導する。この渦電流は、それ自体の磁界を発生させ、それはアンテナによって発生された元の磁界に対向する。被検知素子234の金属がアンテナコイルの近くに移動すると、そのコイルによって生成される電磁場のより大きな部分が遮断され、他のアンテナの電磁場のより小さな部分が遮断される。これは、より多くの電磁場の磁束線が遮断されるにつれて渦電流が増加し、より少ない磁束線が他のコイルから遮断されるにつれて減少することを意味する。各アンテナにおける渦電流のこの変化は、各個々のアンテナの実効インダクタンスを変化させる。システムは、各アンテナ246および248のインダクタンスのこれらの変化を経時的に測定し、対向するコイル246および248からのそのデータを使用して、温度または機械的公差による望ましくない変動を相殺することができる。その結果、図21に示すように、90度位相がずれた2つの連続的に変化する波形が得られる。
次に、対応するレベルの2つの出力信号を、直交回転検知を可能にするセンサ236に対する被検知構成要素234の様々な回転位置に相関させることができる。システムは、AおよびBアンテナ対246および248から、それぞれ応答データAおよびデータBを提供する。センサシステム230は、図20において「0位置」に示されている。被検知構成要素234の形状および信号出力から、被検知構成要素234の各相対回転位置は一意の応答シグネチャを有し、したがって被検知構成要素はアクチュエータ244の回転軸242の周りに一意の角度プロファイルを有することは明らかである。
出力信号は処理および復号されて、所与の位置の被検知素子234に対する一意のシグネチャを生成する。そのような処理は、出力を繰り返しサンプリングするための、または図21に示されるアナログ信号を同じく90度位相がずれた別々のデジタル方形波に変換するための信号処理を含み得る。ルックアップテーブルを使用して、現在の位置情報と前の位置情報とを比較して移動方向を複号することができる。例えば、出力信号AおよびBに対する最後の復号化値がそれぞれ00であり、現在の値が01である場合、被検知素子は時計方向に半ステップ移動したと言える。所与の「ステップ」の度数は、アナログ信号のサンプリングレートによって判定される。サンプリングレートを増加すると、角度位置の小さな変化が検出されるにつれて回転分解能が上がる。しかしながら、薬物または装置のタイプを検出するためには、被検知構成要素が、薬物もしくは装置のタイプ、または検出される任意の他の情報に相関する任意の角度位置に対して一意の信号出力を生じるならば十分である。
センサシステム230は、センサ236に対する被検知構成要素234の1つ以上の角度位置を検出するように構成される。コントローラ250は、1つ以上の検出された角度位置に応答し、それによって薬物送達装置10に関する情報を判定するように動作可能である。
この例示的な実施形態では、モジュール232は、キー止めされた関係でアクチュエータ244に取り付けられ、モジュール232、したがってセンサ236をアクチュエータ244に対する既定の角度位置に配置する。このキー止めされた関係は、例えば、スカート42のスロット208にモジュール232のタブ216(図18)を受容させることによって、図14~図17の実施形態の場合と同じ様態で提供され得る。
モジュール232の既定の角度位置は、薬物送達装置10のタイプ、および/または薬物送達装置10に含まれる薬物のタイプと相関する。例えば、図20に示される0°の位置は、ペン型注射器が特定の投薬能力を有するペンであることを示すことができ、90°の位置は、投薬が速効型インスリンであることを示すことができる。180°の位置は、例えば、薬物送達装置が一定量の速効型インスリンを含むペン型注射器であることを示すことができる。相関は、モジュール232によって担持されるメモリに格納されてもよい。コントローラは、モジュール232に含まれるセンサ236に対する被検知構成要素234の角度位置を判定し、薬物送達装置に関する相関情報を導出するように構成される。
別の例示的な実施形態では、センサシステム230は、薬物送達装置によって送達される薬物の量を判定するように動作可能である。この実施形態によれば、薬物送達装置は、用量送達中に薬物送達装置の本体に対して回転する用量設定部材を含む。アクチュエータは、用量設定中の第1の動作モードにおいて、用量設定部材と軸方向にかつ回転可能に固定される。アクチュエータは、用量送達中の第2の動作モードにおいて、装置本体に対して回転不能である。センサシステム230は、用量送達中にモジュールに対する被検知構成要素の回転を検出し、コントローラは、送達される薬物の量を導出する。
さらなる実施形態では、薬物送達装置のセンサシステムは、薬物送達装置自体に関する情報および薬物送達装置によって送達される薬物の量に関する情報の両方を判定するように動作可能である。この実施形態では、モジュール232は、薬物送達装置に取り付けられており、センサシステム230は、モジュール232に対する被検知構成要素234の角度位置を検出する。この位置は、薬物送達装置のタイプ、薬物送達装置に含まれる薬物のタイプ、または任意の他の所望の情報と相関している。次に、薬物送達装置を用いて薬物を送達する。送達中、センサシステム230は、送達される薬物の量の指標として、センサ236に対する被検知構成要素234の回転を検出する。
図18を参照すると、薬物送達システム252のさらなる例示的な詳細が提供されている。システム252は、図18において、装置本体11、用量ダイヤル部材32、フランジ38、スカート42、クラッチ52および用量ボタン56を含む薬物送達装置10を備える。モジュール232は、モジュール232から内側に延在する突起220によって用量ボタン56に取り付けられてもよい。最初の取り付けでは、タブ216がスロット208内に受容されることによって、モジュール232がスカート42に対して配向される。この配向では、センサ236に対する被検知構成要素234の位置は、前述のように、薬物のタイプおよび/または薬品送達装置のタイプと相関している。
用量送達のために、モジュール232および用量ボタン56を、スカート42に対して遠位方向に、図21の位置まで前進させる。この位置において、スカート42、用量ダイヤル部材32およびフランジ38は、ある用量の薬物が送達されるにつれて用量ボタン56に対して回転しながら一緒に移動する。
示されるような被検知構成要素234は、金属帯254として提供される単一の被検知素子を含む。図19~図21に関して説明したように、金属帯254は回転軸242を囲む一意の角度プロファイルを有する。例として、被検知素子238は、用量ダイヤル部材32に取り付けられて示されている。用量ダイヤル部材32は、装置本体11に対して回転可能であるが、薬物送達装置から任意の薬物が分注される前の「初期ゼロ位置」にあるとき、装置本体11に対して一意の識別可能な位置を有する。同様に、被検知素子238は、モジュール232を薬物送達装置10に装着する間等の適切な期間に一意の識別可能な位置を有する薬物送達装置の他の回転可能な部材に取り付けることができる。この点において、被検知構成要素234は、代替的に、例えばフランジ38またはスカート42に取り付けられてもよい。
例示的なセンサシステム230はまた、取り外し可能なモジュールとして提供されるよりもむしろ、薬物送達装置に統合されたシステムとしても有用である。図22を参照すると、図1~図4の装置10と実質的に同じ薬物送達装置310が示されている。薬物送達装置310は、装置本体11と、用量ダイヤル部材32、フランジ38、およびスカート42を備える用量設定部材30とを含む。これらの構成要素は、前述のように機能するように構成される。アクチュエータ50は、クラッチ52およびそれに取り付けられた用量ボタン56を備える。用量設定中、用量ボタン56は、用量設定部材30に回転固定される。用量を送達するために、この回転的な固定が解除され、用量設定部材30は、送達された投与量に比例して用量ボタン56に対して回転する。
薬物送達装置310は、被検知構成要素314およびセンサ316を備える用量検出システム312を含むという点で図1~図4の装置10とは異なる。センサ316は、用量ボタン56に統合されている。用量ボタン56は、底壁318、周囲壁320、および頂壁322を含み、それらは一緒になって区画324を形成する。センサ316は、区画324内に支持された1つ以上のセンサ素子326を含む。同様に、図26に示される一体型用量ボタン56は、一体型センサ316および区画324を含むことができる。
電子機器アセンブリ328も区画324内に受容され、センサ素子326と動作可能に接続される。電子機器アセンブリ328は、コントローラ330をさらに含む。コントローラ328は、センサ出力を受信し、それによって薬物送達装置および/またはその内容物に関する情報を判定するようにセンサ素子320と連結されている。
被検知構成要素314は用量設定部材30に取り付けられる。図18~図21の実施形態に関して、被検知構成要素314は、一意の角度プロファイルを有する金属帯または他の被検知素子を含む。被検知構成要素314は用量ダイヤル部材32に取り付けられて示されているが、これは用量設定部材30の他の構成要素に取り付けられてもよい。センサ316は、被検知構成要素314の相対角度位置を検出するように配置および構成される。
この実施形態は、用量検出システム312の構成要素が薬物送達装置310に統合されているという点で図18~図21とは異なる。他の点では、検知動作は前述のように進行し、用量検出システムは、薬物送達装置のタイプ、薬物のタイプ、および/または薬物送達装置によって送達される投与量等を検出するように動作する。さらに別の代替例では、被検知構成要素314は、薬物送達装置310に統合されるが、センサ316は、前述のように取り外し可能なモジュールに含まれる。
図23A~図23Cを参照すると、光検知を用いる代替的な実施形態が示されている。前述のように、モジュール82は用量ボタン56およびスカート42を含む薬物送達装置10に取り付けられている。被検知素子は、スカート42の上面352に付された1つ以上の検出可能なマーク350を含む。マークは、例えば、スカート42に付着した可視または不可視のインクのスポットを含むことができる。センサシステムは、区画96内に装着されたカメラアセンブリ354を備える。カメラアセンブリ354は、モジュール82に対するスカート42の回転を通して検出可能なマーク(複数可)を追跡するように配置され、そのために好適な光学機器を含む。
図24A~Bに示される、同じく光学的検知を使用する同様の実施形態においても、薬物送達装置10に取り付けられたモジュール82が提供される。被検知構成要素は、フランジ38の上面368に付けられた1つ以上の検出可能なマーク360を含む。カメラアセンブリ364は、モジュール82に対するフランジ38の回転を通して検出可能なマーク(複数可)360を追跡するように配置され、そのために好適な光学機器を含む。例えば、カメラアセンブリ364は、用量ボタン56の窓(図示せず)と位置合わせして配置されるレンズ366と、任意選択的に、側壁90のタブ94に形成されるノッチ370とを含み得る。フランジ38の回転の監視を容易にするために、検出可能なマーク360は、様々なパターンで提供され得る。図23および図24の実施形態のいずれかを代替的または追加的に使用して、スカートまたはフランジの周囲に一意の検出可能なマークを含めることに基づいて、スカートまたはフランジの絶対的な相対位置を検出することができることを理解されたい。
センサシステムは、容量センサシステム380として図25A~図25Cに代替的に例示されている。センサシステム380は、スカート42に取り付けられた金属帯384を備える被検知素子382を利用する。センサシステム380は、金属帯384の反対側の側壁90に装着された1つ以上の検知素子、例えば、アンテナまたは電機子388を備えるセンサ386をさらに含む。金属帯は、例えばスカート42の外周の半分を覆い、それがZ軸上で回転する間に各対の電機子間に容量性カップリングを形成する。180°離れた2つの電機子対は、直角位相で2つのセンサを形成し、スカートの角度位置の比メトリック測定を提供する。
金属帯384は、モジュール82に対するスカート42の回転位置を検出できるような形状である。金属帯384は、スカート42がアンテナ384に対して回転すると変化する信号を発生する形状を有する。金属帯384の形状および電機子の位置は、スカート42が回転するにつれて正弦波応答を生じる。モジュール壁90の外側のシールド390は、装置アース392に接続されており、動作中にセンサを絶縁する。
例示の目的のために、金属帯384は、スカート42の内部の周りに途中まで延在する単一の円筒状の帯として示されている。しかしながら、金属帯384の代替的な構成および位置も企図される。例えば、金属帯は、複数の異なる金属元素を含み得る。代替例における金属帯は、用量送達中にスカート42に回転固定される構成要素、例えばフランジ38またはダイヤル部材32の任意の部分に取り付けることができる。金属帯は、部材の内側もしくは外側で回転部材に取り付けられた金属要素を含んでもよいか、または構成要素に組み込まれた金属粒子によって、もしくは金属帯を用いて構成要素をオーバーモールドすることによって、そのような部材に組み込まれてもよい。図26に示される実施形態では、示される装置10の用量ボタン56は、図1~図4のスカート42および用量ボタン56の両方を組み合わせた一体型部品である。この実施形態では、フランジ38は、用量ダイヤル部材32に取り付けられ、クラッチ52と協働して用量ダイヤル部材32を一体型用量ボタン56に選択的に連結させる。一体型用量ボタン56の半径方向の外面は、ダイヤル部材32を回転させる際に使用するように、本体11の外部に表面を提供する。
用量検出システムは、例としてペン型注射器等の薬物送達装置の特定の設計を用いて説明されてきた。しかしながら、例示的な用量検出システムはまた、本明細書に記載の様態で動作可能な、代替的な薬物送達装置と共に、および他の検知構成と共に使用されてもよい。本明細書に記載の任意の装置は、例えば装置のカートリッジ内等に、本明細書に記載のいずれか1つ以上の薬物を含み得る。