以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる半導体記憶装置を詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
(第1の実施形態)
実施形態にかかる半導体記憶装置は、例えばSRAM(Static Random Access Memory)であり、複数のビットセルを有する。複数のビットセルのそれぞれには、データを保持するために電力が継続的に供給され、低消費電力化・低電圧動作が要求され得る。各ビットセルへの電源電位が低電圧化すると、各ビットセルからデータをリードする際にデータが破壊されたり、各ビットセルへデータをライトしにくくなったりすることがある。
具体的には、半導体記憶装置1は、図1に示すように構成され得る。図1は、半導体記憶装置1におけるビットセルアレイ2及び周辺回路の一部の構成を示す図である。半導体記憶装置1は、ビットセルアレイ2、複数のワード線WL[0],WL[1]、複数の1対のビット線(BL[0],BLB[0]),(BL[1],BLB[1])、ロウデコーダ(Row Decoder)3、ワード線ドライバ(Word Line Driver)4、複数のIO回路7-0,7-1を有する。各IO回路7は、ライトアンプ(Write Amp.)5、及びセンスアンプ(Sense Amp.)6を有する。図1では、IO回路7がビットセルアレイ2のカラム方向両側に分割配置され、IO回路7ごとに、ビットセルアレイ2において2ロウ×4カラムのビットセルBC(0,0)-0~BC(1,1)-0,BC(0,0)-1~BC(1,1)-1が配列されている場合を例示している。
ロウデコーダ3及びワード線ドライバ4は、複数のワード線WL[0],WL[1]を介して複数のビットセルビットセルBC(0,0)-0~BC(1,1)-0,BC(0,0)-1~BC(1,1)-1に接続されている。
複数のワード線WL[0],WL[1]は、それぞれロウ方向に延びているとともに、カラム方向に配列されている。各ワード線WLは、同一ロウのビットセルBCに共通に接続される。ワード線WL[0]は、ビットセルBC(0,0)-0,BC(0,1)-0,BC(0,0)-1,BC(0,1)-1に共通に接続される。ワード線WL[1]は、ビットセルBC(1,0)-0,BC(1,1)-0,BC(1,0)-1,BC(1,1)-1に共通に接続される。
ライトアンプ5及びセンスアンプ6は、それぞれ、複数の1対のビット線(BL[0],BLB[0]),(BL[1],BLB[1])を介して複数のビットセルBC(0,0)~BC(1,1)に接続されている。各IO回路7-0,7-1のライトアンプ5は、ライト動作時に、データDIn[0],DIn[1]を受け、ロウアドレス[0:1]及びカラムアドレス[0]に応じて選択されたビットセルBCへデータを書き込む。各IO回路7-0,7-1のセンスアンプ6は、リード動作時に、ロウアドレス[0:1]及びカラムアドレス[0]に応じて選択されたビットセルBCからデータDOut[0],DOut[1]を読み出し出力する。
複数の1対のビット線(BL[0],BLB[0]),(BL[1],BLB[1])は、それぞれカラム方向に延びているとともに、ロウ方向に配列されている。各1対のビット線BL,BLBは、同一カラムのビットセルBCに共通に接続される。1対のビット線BL[0],BLB[0]は、ビットセルBC(1,0),BC(0,0)に共通に接続される。1対のビット線BL[1],BLB[1]は、ビットセルBC(1,1),BC(0,1)に共通に接続される。
また、複数の1対のビット線は、複数のIO回路7に対応して設けられている。例えば、IO回路7-0用に、数の1対のビット線(BL[0]-0,BLB[0]-0),(BL[1]-0,BLB[1]-0)が設けられている。IO回路7-1用に、数の1対のビット線(BL[0]-1,BLB[0]-1),(BL[1]-1,BLB[1]-1)が設けられている。
各ビットセルBCは、図2に示すように構成される。図2では、ビットセルBC(0,0)の構成について例示するが、他のビットセルBC(0,1)~BC(1,1)の構成もビットセルBC(0,0)の構成と同様である。
ビットセルBC(0,0)は、負荷トランジスタT3、T5、駆動トランジスタT4、T6及び転送トランジスタT1、T2を有する6トランジスタ型のSRAMセルである。負荷トランジスタT3と駆動トランジスタT4とはインバータINV1を構成し、負荷トランジスタT5と駆動トランジスタT6とはインバータINV2を構成する。インバータINV1の出力端子は反転記憶ノードNcを介してインバータINV2の入力端子に接続され、インバータINV2の出力端子は記憶ノードNtを介してインバータINV1の入力端子に接続されている。インバータINV1とインバータINV2は、フリップフロップを構成する。
フリップフロップの記憶ノードNtとビット線BLとの間には、転送トランジスタT1が接続されている。フリップフロップの反転記憶ノードNcと反転ビット線BLBとの間には、転送トランジスタT2が接続されている。転送トランジスタT1、T2はそれぞれ、ワード線ドライバ4からワード線WLにアクティブレベルの制御信号が供給された際にオンする。これにより、記憶ノードNt及び反転記憶ノードNcとビット線BL及び反転ビット線BLBとがそれぞれ電気的に接続される。
例えば、ライト動作において、転送トランジスタT1、T2がオンされると、ライトアンプ5からビット線BL及び反転ビット線BLBへ供給されたデータ(電圧)が記憶ノードNt、Ncへ転送され、記憶ノードNt、Ncにデータに応じた電位レベルが書き込まれる。
このとき、ビットセルBCへの電源電位が低電圧化すると、転送トランジスタT1、T2のゲート電圧が低電圧化する。これに伴い、ビットセルBCのデータを書き換える場合、ビット線BL及び反転ビット線BLBから記憶ノードNt及び反転記憶ノードNcへ移動し得る電荷の量が記憶ノードNt、Ncの電位を論理的に反転させる量より不足する可能性がある。すなわち、記憶ノードNt及び反転記憶ノードNcに異なるレベルのデータをライトしにくくなる可能性がある。
それに対して、図1に示すライトアンプ5は、ライト動作の期間において、ライトアシスト動作を行う。ライトアシスト動作は、ビットセルBCのデータの書き換えを促進するための動作であり、転送トランジスタT1、T2のドライブ能力を上げるような動作を含む。
例えば図3に示すように、ロウデコーダ3及びワード線ドライバ4は、期間TPWの開始タイミングに、選択ワード線WLを非選択レベルVWUSLから選択レベルVWSLへ遷移させ、期間TPWにおいて、選択ワード線WLを選択レベルVWSLに維持する。期間TPWは、ライト動作の期間である。図3に一点鎖線で示すように、ライトアンプ5は、期間TPWにおいて、1対のビット線BL,BLBの一方のビット線を非選択レベルVBUSLに維持する。また、図3に実線で示すように、ライトアンプ5は、期間TPWの前半の期間TPW1において、1対のビット線BL,BLBの他方のビット線を選択レベルVBSL(例えば、0V)に遷移させて選択レベルVBSLに維持する。ライトアンプ5は、期間TPWの後半の期間TPW2において、他方のビット線を選択レベルVBSLより低いライトアシストレベルVWAST(例えば、-0.2V)に制御する。これにより、転送トランジスタT1、T2のゲート・ソース間電圧が増加するので、転送トランジスタT1、T2のドライブ能力が上がる。これにより、ビット線BL及び反転ビット線BLBから記憶ノードNt及び反転記憶ノードNcへの電荷の移動が促進されるので、記憶ノードNt及び反転記憶ノードNcの電位が論理的に反転しやすくなる。すなわち、記憶ノードNt及び反転記憶ノードNcに異なるレベルのデータをライトしやすくなる。
このライトアシストレベルVWASTは、選択レベルVBSLから低くするレベル幅が小さすぎると、転送トランジスタT1、T2のドライブ能力の不足を補うのが困難になる可能性がある。また、ライトアシストレベルVWASTは、選択レベルVBSLから低くするレベル幅が大きすぎると、非選択ビットセルBCに誤書き込みが行われる可能性がある。このため、ライトアシストレベルVWASTを選択レベルVBSLからどの程度低いレベルにすべきかについて適正範囲が存在する。
ライトアンプ5は、アシスト回路8を有する。アシスト回路8は、アシスト容量素子を有し、アシスト動作を行うべき期間TPW2に、ビット線の寄生容量CBL,CBLBとアシスト容量素子とのカップリング効果を用いたチャージシェア動作を行う。これにより、アシスト回路8は、ビット線の電位を選択レベルVBSLからライトアシストレベルVWASTまで下げる。すなわち、アシスト回路8は、期間TPWの前半の期間TPW1にアシスト容量素子に電荷を蓄積し、期間TPWの後半の期間TPW2にビット線BL,BLBの寄生容量値とアシスト回路8の容量値との比に応じて電荷を再配分する。これにより、ビット線BL,BLBのレベルがライトアシストレベルVWASTに制御され得る。
例えば、半導体記憶装置1がSRAMコンパイラである場合、半導体記憶装置1の適用用途等に応じて、ビットセルアレイ2のロウ数が変化し、ビット線の長さ及びビット線に接続されるセル数が変化するので、ビット線の寄生容量CBL,CBLBの値が変化する傾向にある。これにより、ビット線の寄生容量CBL,CBLBの値がアシスト回路8の設計時に想定した容量値からずれると、ライトアシストレベルVWASTが意図したレベルからずれてその適正範囲から外れる可能性がある。例えば、半導体記憶装置1がSRAMコンパラのロウ数について最小の構成である場合、ビット線が短く、その寄生容量値が小さいため、ライトアシストレベルVWASTが適正範囲より低いレベルになる可能性がある。これにより、半導体記憶装置1が誤動作したり素子の信頼性が低下したりする可能性がある。
そこで、本実施形態は、ビット線BL,BLBの寄生容量値とアシスト回路8の容量値との比が変更可能なように半導体記憶装置1を構成することで、ライトアシストレベルVWASTをその適正範囲に収めることを可能にする。
具体的には、半導体記憶装置1の設計時において、アシスト回路8に複数のアシスト容量素子を含め、複数のアシスト容量素子のうち活性化されるアシスト容量素子の合成容量値を変更することにより、ビット線の寄生容量値とアシスト回路8の容量値との比を変更可能にしておく。ビット線の寄生容量CBL,CBLBの値は、ビットセルアレイ2のロウ数に依存して変わり得る。半導体記憶装置1において、ロウ数から、ビット線BL,BLBの寄生容量値とアシスト回路8の容量値との比について、ライトアシストレベルVWASTが適正範囲に収まるような比を見積もることができる。半導体記憶装置1の製造時において、複数のアシスト容量素子のうち活性化されるアシスト容量素子の合成容量値を変更することで、設計時に見積もった比が得られるようにする。これにより、製造された半導体記憶装置1において、ライト動作時に、ライトアシストレベルVWASTをその適正範囲に収めることができる。この結果、半導体記憶装置1の誤動作を低減でき、素子の信頼性を向上できる。
より具体的には、アシスト回路8を含むライトアンプ5は、図4及び図5に示すように構成され得る。図4は、アシスト回路8を含むライトアンプ5の概略構成を示す図である。図5は、アシスト回路8を含むライトアンプ5の詳細構成を示す図である。
ライトアンプ5は、カラムセレクタ9[0],9[1]を介してビット線BL,BLBに接続可能である。カラムセレクタ9[0]は、カラムアドレス[0]のカラムに対応し、信号ColADD[0]がアクティブレベルになった際に、カラムアドレス[0]のカラムを選択してライトアンプ5をビット線BL,BLBに接続する。カラムセレクタ9[1]は、カラムアドレス[1]のカラムに対応し、信号ColADD[1]がアクティブレベルになった際に、カラムアドレス[1]のカラムを選択してライトアンプ5をビット線BL,BLBに接続する。すなわち、ライトアンプ5は、カラムセレクタ9[0]に対応したカラムとカラムセレクタ9[1]に対応したカラムとで共有されている。
各カラムセレクタ9は、ビット線BL,BLBに接続されたトランジスタTr1,Tr2を有する。各トランジスタTr1,Tr2は、ソースがビット線BL,BLBに接続され、ドレインがライトアンプ5に接続されている。カラムセレクタ9における各トランジスタTr1,Tr2は、ゲートでアクティブレベルのカラムアドレス信号ColADDを受けた際にオンすることで、そのカラムが選択されたとして、ライトアンプ5をビット線BL,BLBへ接続する。
ライト動作時において、ロウデコーダ3及びワード線ドライバ4は、ロウアドレスに応じて選択された選択ワード線WLに選択レベルVWSLを印加する。カラムセレクタ9は、カラムアドレスに応じて選択された際に、ライトアンプ5をビット線BL,BLBへ接続する。ライトアンプ5は、データDInを受け、データDInに応じた相補的なデータDt,Dbを生成し、ロウアドレス及びカラムアドレスに応じて選択されたビットセルBCへデータDt,Dbを書き込む。
ライトアンプ5は、アンプ51、アンプ52、及びアシスト回路8を有する。アンプ51は、入力ノード51aでデータDtを受け、入力ノード51bでライトクロックWclkを受ける。アンプ51は、制御ノード51cがアシスト回路8に電気的に接続され、出力ノード51dがカラムセレクタ9に電気的に接続されている。
アンプ51は、図5に示すように、否定論理和ゲートNO1、トランジスタTr3,Tr5,Tr7を有する。
否定論理和ゲートNO1は、第1の入力ノードでデータDtを受け、第2の入力ノードでライトクロックWclkbを受ける。否定論理和ゲートNO1は、出力ノードがトランジスタTr3のゲートに電気的に接続されている。
トランジスタTr3は、ソースがアシスト回路8に接続され、ドレインがカラムセレクタ9を介してビット線BLに電気的に接続されている。トランジスタTr3のソースは、アンプ51の制御ノード51cに相当する。トランジスタTr3のドレインは、トランジスタTr5,Tr7に電気的に接続されている。
トランジスタTr5,Tr7は、それぞれ、Pre-Charge制御信号をゲートで受ける。トランジスタTr5は、ソースがカラムセレクタ9を介してビット線BLに電気的に接続され、ドレインが電源電位VDDに電気的に接続されている。トランジスタTr7は、ソースがカラムセレクタ9を介してビット線BLに電気的に接続され、ドレインがカラムセレクタ9を介してビット線BLBに電気的に接続されている。
図4に示すアンプ52は、入力ノード52aでデータDbを受け、入力ノード52bでライトクロックWclkを受ける。アンプ52は、制御ノード52cがアシスト回路8に電気的に接続され、出力ノード52dがカラムセレクタ9に電気的に接続されている。
アンプ52は、図5に示すように、否定論理和ゲートNO2、トランジスタTr4,Tr6,Tr7を有する。
否定論理和ゲートNO2は、第1の入力ノードでデータDbを受け、第2の入力ノードでライトクロックWclkbを受ける。否定論理和ゲートNO2は、出力ノードがトランジスタTr4のゲートに電気的に接続されている。
トランジスタTr4は、ソースがアシスト回路8に接続され、ドレインがカラムセレクタ9を介してビット線BLBに電気的に接続されている。トランジスタTr4のソースは、アンプ52の制御ノード52cに相当する。トランジスタTr4のドレインは、トランジスタTr6,Tr7に電気的に接続されている。
トランジスタTr6は、Pre-Charge制御信号をゲートで受ける。トランジスタTr6は、ソースがカラムセレクタ9を介してビット線BLBに電気的に接続され、ドレインが電源電位VDDに電気的に接続されている。
なお、トランジスタTr7は、アンプ51とアンプ52とに共有されている。
図4に示すアシスト回路8は、アンプ51の制御ノード51cとアンプ52の制御ノード52cとに電気的に接続されている。アシスト回路8は、アシスト動作をすべき期間TPW2に、アンプ51及びアンプ52を介して、ビット線BL,BLBのレベルをライトアシストレベルVWASTに制御する。
アシスト回路8は、複数の論理積ゲートAN1~AN4、複数のアシスト容量素子C1~C4、及びスイッチSWを有する。
論理積ゲートAN1は、第1の入力ノードでアシスト信号φASを受け、第2の入力ノードで活性化制御信号φRN[0]を受ける。論理積ゲートAN1は、出力ノードがアシスト容量素子C1の一端に電気的に接続されている。アシスト容量素子C1の他端は、スイッチSWの一端及びアンプ51,52の制御ノード51c,52cに電気的に接続されている。
論理積ゲートAN2は、第1の入力ノードでアシスト信号φASを受け、第2の入力ノードで活性化制御信号φRN[1]を受ける。論理積ゲートAN2は、出力ノードがアシスト容量素子C2の一端に電気的に接続されている。アシスト容量素子C2の他端は、スイッチSWの一端及びアンプ51,52の制御ノード51c,52cに電気的に接続されている。
論理積ゲートAN3は、第1の入力ノードでアシスト信号φASを受け、第2の入力ノードで活性化制御信号φRN[2]を受ける。論理積ゲートAN3は、出力ノードがアシスト容量素子C3の一端に電気的に接続されている。アシスト容量素子C3の他端は、スイッチSWの一端及びアンプ51,52の制御ノード51c,52cに電気的に接続されている。
論理積ゲートAN4は、第1の入力ノードでアシスト信号φASを受け、第2の入力ノードで活性化制御信号φRN[3]を受ける。論理積ゲートAN4は、出力ノードがアシスト容量素子C4の一端に電気的に接続されている。アシスト容量素子C4の他端は、スイッチSWの一端及びアンプ51,52の制御ノード51c,52cに電気的に接続されている。
スイッチSWは、一端が各アシスト容量素子C1~C4の他端及びアンプ51,52の制御ノード51c,52cに電気的に接続され、他端がグランド電位に接続され、制御端でアシスト信号φASを受ける。スイッチSWは、アシスト信号φASがアクティブレベルにあることに応じてオンして、各アシスト容量素子C1~C4の他端をグランド電位に電気的に接続する。スイッチSWは、アシスト信号φASがノンアクティブレベルにあることに応じてオフして、各アシスト容量素子C1~C4の他端をグランド電位から電気的に遮断する。
スイッチSWは、図5に示すように、トランジスタTr8を有する。トランジスタTr8は、例えばNMOSトランジスタであり、ソースがグランド電位に接続され、ドレインがアシスト容量素子C1~C4の他端とトランジスタTr3,Tr4のソースとにそれぞれ接続されている。トランジスタTr8は、アシスト信号φASをゲートで受ける。
半導体記憶装置1は、図3に示すライト動作の期間TPWの前半の期間TPW1に、アシスト信号φASをアクティブレベルVASTに維持する。これにより、半導体記憶装置1は、スイッチSWをオンするとともに、アシスト回路8における複数のアシスト容量素子C1~C4のうち活性化制御信号φRN[0]~φRN[3]に応じて活性化されたアシスト容量素子に電荷を蓄積させる。このとき、活性化されたアシスト容量素子の一端に正電荷が蓄積され、他端に負電荷が蓄積される。半導体記憶装置1は、ライト動作の期間TPWの後半の期間TPW2において、アシスト信号φASをノンアクティブレベルVUASTに維持する。これにより、半導体記憶装置1は、スイッチSWをオフ状態に維持するとともに活性化されたアシスト容量素子に蓄積された電荷をビット線BL,BLBの寄生容量値とアシスト回路8の容量値との比に応じて再配分する。このとき、活性化されたアシスト容量素子の他端に蓄積された負電荷の一部が、ビット線BL,BLBの寄生容量値とアシスト回路8の容量値との比に応じてビット線BL,BLBへ供給される。これにより、半導体記憶装置1は、アシスト回路8を用いて、ビット線BL,BLBのレベルを選択レベルVBSLからより低いライトアシストレベルVWASTに制御する。
このライトアシストレベルVWASTを適正レベルに制御するために、半導体記憶装置1は、その製造時等において、ビット線BL,BLBの寄生容量値とアシスト回路8のアシスト動作に寄与する容量値との比を変更可能である。半導体記憶装置1は、複数の活性化制御信号RN[0]~RN[3]のうちどの活性化制御信号をアクティブレベルにするかに応じて、アシスト回路8における複数のアシスト容量素子C1~C4のうち活性化されるアシスト容量素子の合成容量値を変更可能である。すなわち、半導体記憶装置1は、複数のアシスト容量素子C1~C4のうち活性化されるアシスト容量素子の合成容量値を変更することで、設計時に見積もったビット線BL,BLBの寄生容量値とアシスト回路8の容量値との比が得られるようにする。
例えば、単位容量値をCとすると、アシスト容量素子C1、アシスト容量素子C2、アシスト容量素子C2、アシスト容量素子C4の容量値C1,C2,C3,C4について、次の数式1が成り立つ場合、複数の活性化制御信号RN[0]~RN[3]のうちアクティブレベルにする活性化制御信号の数に応じて、アシスト回路8の容量値を4段階で変更可能である。
C1=C2=C3=C4=C・・・数式1
このとき、構成され得るロウ数の範囲Nmin~Nmaxを4段階に分け、Nmin~N1,N1+1~N2,N2+1~N3,N3+1~Nmaxとする。
ロウ数がNmin~N1の範囲内にある場合、1個の活性化制御信号RN[0]を選択的にアクティブレベルにする。この場合、アシスト容量素子C1が選択的にアシスト動作に寄与し、ライト動作の期間TPWの後半の期間TPW2において、ビット線BL,BLBの寄生容量値とアシスト容量素子C1の容量値C1(=C)との比で電荷が再配分される。ロウ数がN3+1~Nmaxの範囲内にある場合、4個の活性化制御信号RN[0]~RN[3]をアクティブレベルにする。この場合、4個のアシスト容量素子C1~C4がアシスト動作に寄与し、ライト動作の期間TPWの後半の期間TPW2において、ビット線BL,BLBの寄生容量値と4個のアシスト容量素子C1~C4の合成容量値(C1+C2+C3+C4=4C)との比で電荷が再配分される。
あるいは、単位容量値をCとすると、アシスト容量素子C1、アシスト容量素子C2、アシスト容量素子C2、アシスト容量素子C4の容量値C1,C2,C3,C4について、次の数式2が成り立つ場合、複数の活性化制御信号RN[0]~RN[3]のうちアクティブレベルにする活性化制御信号の数に応じて、アシスト回路8の容量値を10段階で変更可能である。
C1=C,C2=2C,C3=4C,C4=8C・・・数式2
このとき、構成され得るロウ数の範囲Nmin~Nmaxを10段階に分け、Nmin~N11,N11+1~N12,N12+1~N13,N13+1~N14,N14+1~N15,N15+1~N16,N16+1~N17,N17+1~N18,N18+1~N19,N19+1~Nmaxとする。
ロウ数がNmin~N11の範囲内にある場合、1個の活性化制御信号RN[0]を選択的にアクティブレベルにする。この場合、アシスト容量素子C1が選択的にアシスト動作に寄与し、ライト動作の期間TPWの後半の期間TPW2において、ビット線BL,BLBの寄生容量値とアシスト容量素子C1の容量値C1(=C)との比で電荷が再配分される。ロウ数がN14+1~N15の範囲内にある場合、2個の活性化制御信号RN[1],RN[2]を選択的にアクティブレベルにする。この場合、アシスト容量素子C1,C3が選択的にアシスト動作に寄与し、ライト動作の期間TPWの後半の期間TPW2において、ビット線BL,BLBの寄生容量値とアシスト容量素子C1,C3の合成容量値(C1+C3=5C)との比で電荷が再配分される。ロウ数がN19+1~Nmaxの範囲内にある場合、4個の活性化制御信号RN[0]~RN[3]をアクティブレベルにする。この場合、4個のアシスト容量素子C1~C4がアシスト動作に寄与し、ライト動作の期間TPWの後半の期間TPW2において、ビット線BL,BLBの寄生容量値と4個のアシスト容量素子C1~C4の合成容量値(C1+C2+C3+C4=10C)との比で電荷が再配分される。
以上のように、本実施形態では、ビット線BL,BLBの寄生容量値とアシスト回路8の容量値との比が変更可能なように半導体記憶装置1を構成する。例えば、半導体記憶装置1は、その製造時等において、複数のアシスト容量素子C1~C4のうち活性化されるアシスト容量素子の合成容量値を変更する。これにより、半導体記憶装置1は、設計時にライトアシストレベルVWASTが得られるように見積もられたビット線BL,BLBの寄生容量値とアシスト回路8の容量値との比が得られるようにする。したがって、ライトアシストレベルVWASTをその適正範囲に収めることが可能であり、半導体記憶装置1の誤動作を低減でき、半導体記憶装置1における素子の信頼性を向上できる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態にかかる半導体記憶装置101について説明する。以下では、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
第1の実施形態では、アシスト回路で活性化される容量素子の合成容量値を変更することでビット線の寄生容量値とアシスト回路の容量値との比を変更しているが、第2の実施形態では、アシスト回路に接続されるビット線の本数を変更することでビット線の寄生容量値とアシスト回路の容量値との比を変更する。
具体的には、半導体記憶装置101の設計時において、アシスト回路に接続されるカラムの数を変更することで、ビット線の寄生容量値とアシスト回路108の容量値との比を変更可能にしておく。ビット線の寄生容量CBL,CBLBの値は、ビットセルアレイ2のロウ数に依存して変わり得る。半導体記憶装置101において、ロウ数から、ビット線BL,BLBの寄生容量値とアシスト回路108の容量値との比について、ライトアシストレベルVWASTが適正範囲に収まるような比を見積もることができる。半導体記憶装置101の製造時において、アシスト回路に接続されるカラムの数を変更して、設計時に見積もった比が得られるようにする。例えば、複数のカラムに対応する複数のアシスト回路のうち一部のアシスト回路を活性化して複数のカラムに接続することで、アシスト回路に接続されるカラムの数を変更でき、設計時に見積もった比を得ることができる。これにより、製造された半導体記憶装置101において、ライト動作時に、ライトアシストレベルVWASTをその適正範囲に収めることができる。この結果、半導体記憶装置101の誤動作を低減でき、素子の信頼性を向上できる。
より具体的には、図6に示すように、半導体記憶装置101は、複数のIO回路107-0~107-3の間に複数のトランスファーゲートTG01,TG12,TG23を有する。図6は、第2の実施形態にかかる半導体記憶装置101の構成を示す図であり、半導体記憶装置101におけるビットセルアレイ2の一部及び周辺回路の一部の構成を示している。図6では、4つのIO回路107-0~107-3が設けられる構成が例示されている。図6では、各IO回路107-0~107-3について、カラムセレクタ9[1]及びそれに接続されたカラムの図示が省略されている。
各IO回路107-0~107-3のライトアンプ5は、アシスト回路8(図4参照)に代えてアシスト回路108を有する。アシスト回路108は、複数の論理積ゲートAN1~AN4及び複数のアシスト容量素子C1~C4(図4参照)に代えて、1つの論理積ゲートAN1及び1つのアシスト容量素子C1を有する。
トランスファーゲートTG01は、IO回路107-0とIO回路107-1との間に電気的に接続されている。トランスファーゲートTG01は、一端がIO回路107-0におけるアンプ51,52とアシスト回路108との間のノードNに電気的に接続され、他端が回路107-1におけるアンプ51,52とアシスト回路108との間のノードNに電気的に接続されている。トランスファーゲートTG01は、アクティブレベルの制御信号が供給された際に、IO回路107-0のノードNとIO回路107-1のノードNとを電気的に接続し、ノンアクティブレベルの制御信号が供給された際に、IO回路107-0のノードNとIO回路107-1のノードNとを電気的に遮断する。
トランスファーゲートTG12は、IO回路107-1とIO回路107-2との間に電気的に接続されている。トランスファーゲートTG12は、一端がIO回路107-1におけるアンプ51,52とアシスト回路108との間のノードNに電気的に接続され、他端が回路107-2におけるアンプ51,52とアシスト回路108との間のノードNに電気的に接続されている。トランスファーゲートTG12は、アクティブレベルの制御信号が供給された際に、IO回路107-1のノードNとIO回路107-2のノードNとを電気的に接続し、ノンアクティブレベルの制御信号が供給された際に、IO回路107-1のノードNとIO回路107-2のノードNとを電気的に遮断する。
トランスファーゲートTG23は、IO回路107-2とIO回路107-3との間に電気的に接続されている。トランスファーゲートTG23は、一端がIO回路107-2におけるアンプ51,52とアシスト回路108との間のノードNに電気的に接続され、他端が回路107-3におけるアンプ51,52とアシスト回路108との間のノードNに電気的に接続されている。トランスファーゲートTG23は、アクティブレベルの制御信号が供給された際に、IO回路107-2のノードNとIO回路107-3のノードNとを電気的に接続し、ノンアクティブレベルの制御信号が供給された際に、IO回路107-2のノードNとIO回路107-3のノードNとを電気的に遮断する。
なお、図4及び図5では図示が省略されていた各IO回路107におけるインバータ53が、図6では、確認的に示されている。すなわち、ライトアンプ5に入力されるデータDataInは、アンプ51へデータDtとして入力されるとともに、インバータ53で論理的に反転されてアンプ52へデータDbとして入力される。これにより、データDt,Dbが互いに相補的なデータとなっている。
半導体記憶装置101は、図3に示すライト動作の期間TPWの前半の期間TPW1に、アシスト信号φASをアクティブレベルVASTに維持して、スイッチSWをオンするとともに、複数のアシスト回路108のうち活性化されたアシスト回路108のアシスト容量素子に電荷を蓄積させる。このとき、活性化されたアシスト回路108のアシスト容量素子の一端に正電荷が蓄積され、他端に負電荷が蓄積される。半導体記憶装置101は、ライト動作の期間TPWの後半の期間TPW2において、アシスト信号φASをノンアクティブレベルVUASTに維持して、スイッチSWをオフ状態に維持するとともに活性化されたアシスト回路108のアシスト容量素子に蓄積された電荷をビット線BL,BLBの寄生容量値とアシスト回路108の容量値との比に応じて再配分する。このとき、活性化されたアシスト回路108のアシスト容量素子の他端に蓄積された負電荷の一部が、ビット線BL,BLBの寄生容量値とアシスト回路108の容量値との比に応じてビット線BL,BLBへ供給される。これにより、半導体記憶装置101は、アシスト回路108を用いて、ビット線BL,BLBのレベルを選択レベルVBSLからより低いライトアシストレベルVWASTに制御する。
このライトアシストレベルVWASTを適正レベルに制御するために、半導体記憶装置101は、その製造時等において、アシスト回路に接続されるビット線の本数を変更することでビット線の寄生容量値とアシスト回路の容量値との比を変更可能である。すなわち、半導体記憶装置101は、複数のアシスト回路108のうち活性化されるアシスト回路108のアシスト容量素子に接続されるカラムの数を変更することで、設計時に見積もったビット線BL,BLBの寄生容量値とアシスト回路108の容量値との比が得られるようにする。
なお、設計時に見積もった比を考える際に、複数のアシスト回路108のうち非活性化されるアシスト回路108のアシスト容量素子の容量値の影響を考慮してもよい。すなわち、活性化されたアシスト回路108のアシスト容量素子に蓄積された電荷は、厳密には、ビット線BL,BLBの寄生容量値と非活性化されたアシスト回路108の容量値と活性化されたアシスト回路108の容量値との比に応じて再分配される。このため、非活性化されるアシスト回路108のアシスト容量素子の容量値の影響を考慮して、設計時に見積もったビット線BL,BLBの寄生容量値とアシスト回路108の容量値との比を微調整して用いてもよい。
例えば、ライトアシストレベルVWASTを適正レベルに制御するために、ロウ数に応じてアシスト回路に2個のカラムを接続するのが適切である場合、半導体記憶装置101は、ライト動作の期間TPWの前半の期間TPW1において、図7(a)~図7(c)に示すような動作を行う。
半導体記憶装置101は、図7(a)に示すように、トランスファーゲートTG01、トランスファーゲートTG12、トランスファーゲートTG23のそれぞれにアクティブレベルの制御信号を供給する。これにより、IO回路107-0のノードNとIO回路107-1のノードNとIO回路107-2のノードNとIO回路107-3のノードNとが、互いに、電気的に接続される。
半導体記憶装置101は、図7(b)に示すように、IO回路107-0のアシスト回路108の論理積ゲートAN1とIO回路107-2のアシスト回路108の論理積ゲートAN1とに、それぞれ、アクティブレベルの活性化制御信号RNを供給する。IO回路107-1のアシスト回路108の論理積ゲートAN1とIO回路107-3のアシスト回路108の論理積ゲートAN1とに、それぞれ、ノンアクティブレベルの活性化制御信号RNを供給する。これにより、IO回路107-0,107-2のアシスト回路108が活性化され、IO回路107-1,107-3のアシスト回路108が非活性化される。このとき、各トランスファーゲートTG01~TG23にアクティブレベルの制御信号を供給する状態は維持されている。
半導体記憶装置101は、図7(c)に示すように、トランスファーゲートTG01とトランスファーゲートTG23とにアクティブレベルの制御信号を供給する状態を維持したまま、トランスファーゲートTG12にノンアクティブレベルの制御信号を供給する。これにより、IO回路107-0のノードNとIO回路107-1のノードNとが電気的に接続されIO回路107-2のノードNとIO回路107-3のノードNとが電気的に接続された状態が維持されたまま、IO回路107-1のノードNとIO回路107-2のノードNとが電気的に遮断される。
これにより、ビット線BL[0]-0,BLB[0]-0を含むカラムとビット線BL[0]-1,BLB[0]-1を含むカラムとの2個のカラムが、IO回路107-0,107-1のアンプ51,52及びカラムセレクタ9[0]を介して、IO回路107-0のアシスト回路108に接続され得る。同様に、ビット線BL[0]-2,BLB[0]-2を含むカラムとビット線BL[0]-3,BLB[0]-3を含むカラムとの2個のカラムが、IO回路107-0,107-1のアンプ51,52及びカラムセレクタ9[0]を介して、IO回路107-2のアシスト回路108に接続され得る。この結果、ライト動作の期間TPWの後半の期間TPW2において、2個のカラムのビット線BL,BLBの寄生容量値と1個のアシスト容量素子C1の容量値との比で電荷が再配分される。
あるいは、ライトアシストレベルVWASTを適正レベルに制御するために、ロウ数に応じてアシスト回路に4個のカラムを接続するのが適切である場合、半導体記憶装置101は、ライト動作の期間TPWの前半の期間TPW1において、図8(a)~図8(b)に示すような動作を行う。
半導体記憶装置101は、図8(a)に示すように、トランスファーゲートTG01、トランスファーゲートTG12、トランスファーゲートTG23のそれぞれにアクティブレベルの制御信号を供給する。これにより、IO回路107-0のノードNとIO回路107-1のノードNとIO回路107-2のノードNとIO回路107-3のノードNとが、互いに、電気的に接続される。
半導体記憶装置101は、図8(b)に示すように、IO回路107-0のアシスト回路108の論理積ゲートAN1に、アクティブレベルの活性化制御信号RNを供給する。IO回路107-1のアシスト回路108の論理積ゲートAN1とIO回路107-2のアシスト回路108の論理積ゲートAN1とIO回路107-3のアシスト回路108の論理積ゲートAN1とに、それぞれ、ノンアクティブレベルの活性化制御信号RNを供給する。これにより、IO回路107-0のアシスト回路108が活性化され、IO回路107-1,107-2,107-3のアシスト回路108が非活性化される。このとき、各トランスファーゲートTG01~TG23にアクティブレベルの制御信号を供給する状態は維持されている。
これにより、ビット線BL[0]-0,BLB[0]-0を含むカラムとビット線BL[0]-1,BLB[0]-1を含むカラムとビット線BL[0]-2,BLB[0]-2を含むカラムとビット線BL[0]-3,BLB[0]-3を含むカラムとの4個のカラムが、IO回路107-0,107-1,107-2,107-3のアンプ51,52及びカラムセレクタ9[0]を介して、IO回路107-0のアシスト回路108に接続され得る。この結果、ライト動作の期間TPWの後半の期間TPW2において、4個のカラムのビット線BL,BLBの寄生容量値と1個のアシスト容量素子C1の容量値との比で電荷が再配分される。
以上のように、第2の実施形態では、アシスト回路に接続されるビット線の本数を変更可能なように半導体記憶装置101を構成する。例えば、アシスト回路に接続されるカラムの数を変更可能なように半導体記憶装置101を構成する。これによっても、半導体記憶装置101の製造時に、ビット線BL,BLBの寄生容量値とアシスト回路108の容量値との比を変更して、ライトアシストレベルVWASTをその適正範囲に収めることが可能である。
なお、各IO回路107のアシスト回路108は、第1の実施形態と同様のアシスト回路8に置き換えられてもよい。このとき、アシスト回路で活性化される容量素子の合成容量値を変更することと、アシスト回路に接続されるビット線の本数を変更することとを組み合わせて、ビット線の寄生容量値とアシスト回路の容量値との比を変更し、設計時に見積もった比が得られるようにしてもよい。
(第3の実施形態)
第3の実施形態にかかる半導体記憶装置201について説明する。以下では、第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
第3の実施形態では、半導体記憶装置201が、大容量の適用用途にも対応できるようにするため、各カラムが複数バンクで構成される。すなわち、半導体記憶装置201は、大容量化の要求に対して、カラム数の増加で対応するだけでなく、各カラムを複数バンクで構成することでも対応する。これにより、ビット線当りに接続可能なセル数に上限がある場合に、カラム方向だけでなくロウ方向にもビットセルアレイ202の面積を拡張でき、チップ面積の増加を抑えながらチップ内に容易にレイアウトできる。
半導体記憶装置201は、複数バンクのカラム構成を、アシスト回路に接続されるビット線の本数を変更することに活用する。すなわち、カラムごとに、アシスト回路に接続されるバンクの数を変更することで、ビット線BL,BLBの寄生容量値とアシスト回路108の容量値との比を変更する。
具体的には、半導体記憶装置201の設計時において、アシスト回路に接続されるバンクの数を変更することで、ビット線の寄生容量値とアシスト回路108の容量値との比を変更可能にしておく。ビット線の寄生容量CBL,CBLBの値は、ビットセルアレイ202のロウ数に依存して変わり得る。半導体記憶装置201において、ロウ数から、ビット線BL,BLBの寄生容量値とアシスト回路108の容量値との比について、ライトアシストレベルVWASTが適正範囲に収まるような比を見積もることができる。半導体記憶装置201の製造時において、アシスト回路に接続されるバンクの数を変更して、設計時に見積もった比が得られるようにする。例えば、各カラムに対応する複数のバンクのうち活性化するバンクの数を変更することで、設計時に見積もった比を得ることができる。これにより、製造された半導体記憶装置201において、ライト動作時に、ライトアシストレベルVWASTをその適正範囲に収めることができる。この結果、半導体記憶装置201の誤動作を低減でき、素子の信頼性を向上できる。
より具体的には、図9に示すように、半導体記憶装置201は、ビットセルアレイ2及び複数のIO回路7(図1参照)に代えて、ビットセルアレイ202及び複数のIO回路207を有する。図9は、第3の実施形態にかかる半導体記憶装置201の構成を示す図である。図9では、図示の簡略化のため、1つのIO回路207に接続された1つのカラムの構成について例示している。
ビットセルアレイ202において、各カラムは、複数のバンクBN-0,BN-1を含む。各バンクBNは、図1に示す1つのカラムに対応した構成を含み、複数の1対のビット線(BL[0],BLB[0]),(BL[1],BLB[1])及び図1に示す1カラム分の複数のビットセルBCを含む。
各IO回路207は、カラムセレクタ9及びアシスト回路8(図4参照)に変えて、複数のバンクセレクタ209及びアシスト回路108を有する。アシスト回路108は、第2の実施形態のアシスト回路108と同様である。
複数のバンクセレクタ209-0,20Tr1は、複数のバンクBN-0,BN-1に対応している。各バンクセレクタ209は、その対応するバンクBNを選択することで、アシスト回路108をアンプ51,52経由でそのバンクBN内のビット線BL,BLBに接続可能である。
各バンクセレクタ209は、カラムセレクタ9と同様の構成に加えて、論理積ゲートAN0を有する。
バンクセレクタ209-0の論理積ゲートAN0は、第1の入力ノードで信号ColADD[0]を受け、第2の入力ノードで信号BankADD[0]を受ける。論理積ゲートAN0は、出力ノードがトランジスタTrTr1のゲートとトランジスタTrTr2のゲートとに電気的に接続されている。信号ColADD[0]は、カラムを選択するための信号である。信号BankADD[0]は、バンクBN-0を選択するための信号である。
バンクセレクタ209-0は、信号ColADD[0]と信号BankADD[0]とがいずれもアクティブレベルになった際に、バンクBN-0を選択して、アシスト回路108をアンプ51,52経由でそのバンクBN-0内のビット線BL,BLBに接続する。
バンクセレクタ209-1の論理積ゲートAN0は、第1の入力ノードで信号ColADD[0]を受け、第2の入力ノードで信号BankADD[1]を受ける。論理積ゲートAN0は、出力ノードがトランジスタTrTr1のゲートとトランジスタTrTr2のゲートとに電気的に接続されている。信号BankADD[1]は、バンクBN-1を選択するための信号である。
バンクセレクタ209-1は、信号ColADD[0]と信号BankADD[1]とがいずれもアクティブレベルになった際に、バンクBN-1を選択して、アシスト回路108をアンプ51,52経由でそのバンクBN-1内のビット線BL,BLBに接続する。
例えば、ライトアシストレベルVWASTを適正レベルに制御するために、ロウ数に応じてアシスト回路に1個のバンクを接続するのが適切である場合、半導体記憶装置201は、ライト動作の期間TPWの前半の期間TPW1において、図10(a)に示すような動作を行う。
半導体記憶装置201は、各バンクセレクタ209の論理積ゲートAN0にアクティブレベルの信号ColADD[0]を供給するとともに、バンクセレクタ209-0の論理積ゲートAN0にアクティブレベルのBankADD[0]を供給し、バンクセレクタ209-1の論理積ゲートAN0にノンアクティブレベルのBankADD[1]を供給する。これにより、バンクセレクタ209-0における論理積ゲートAN0が活性化されトランジスタTr1,Tr2をオンさせ、バンクセレクタ209-1における論理積ゲートAN0が非活性化されトランジスタTr1,Tr2をオフさせる。これにより、バンクセレクタ209-0がバンクBN-0を選択して活性化し、バンクセレクタ209-1がバンクBN-1を非選択状態にして非活性化する。
これにより、1個のバンクBN-0内のビット線BL,BLBが、アンプ51,52経由でアシスト回路108に接続され得る。この結果、ライト動作の期間TPWの後半の期間TPW2において、1個のバンクのビット線BL,BLBの寄生容量値と1個のアシスト容量素子C1の容量値との比で電荷が再配分される。
あるいは、ライトアシストレベルVWASTを適正レベルに制御するために、ロウ数に応じてアシスト回路に2個のバンクを接続するのが適切である場合、半導体記憶装置201は、ライト動作の期間TPWの前半の期間TPW1において、図10(b)に示すような動作を行う。
半導体記憶装置201は、各バンクセレクタ209の論理積ゲートAN0にアクティブレベルの信号ColADD[0]を供給するとともに、バンクセレクタ209-0の論理積ゲートAN0にアクティブレベルのBankADD[0]を供給し、バンクセレクタ209-1の論理積ゲートAN0にアクティブレベルのBankADD[1]を供給する。これにより、バンクセレクタ209-0における論理積ゲートAN0が活性化されトランジスタTr1,Tr2をオンさせ、バンクセレクタ209-1における論理積ゲートAN0が活性化されトランジスタTr1,Tr2をオンさせる。これにより、バンクセレクタ209-0がバンクBN-0を選択して活性化し、バンクセレクタ209-1がバンクBN-1を選択して活性化する。
これにより、2個のバンクBN-0,BN-1内のビット線BL,BLBが、アンプ51,52経由でアシスト回路108に接続され得る。この結果、ライト動作の期間TPWの後半の期間TPW2において、2個のバンクのビット線BL,BLBの寄生容量値と1個のアシスト容量素子C1の容量値との比で電荷が再配分される。
なお、複数のバンクBNをアンプ51,52経由でアシスト回路108に接続する場合、ビットセルBCへの書き込み動作においては、複数のバンクBNのうち選択ビットセルBCを含む1つのバンクBNを選択バンクBNとし、他のバンクBNを非選択バンクBNとする。非選択バンクBNの各ビットセルBCに接続されたワード線の電位は、いずれも、非選択レベルVWUSLに維持する。これにより、非選択バンクBNの各ビットセルBCへの誤書き込みを防止できる。
以上のように、第3の実施形態では、アシスト回路に接続されるバンクの数を変更可能なように半導体記憶装置201を構成する。これによっても、半導体記憶装置201の製造時に、ビット線BL,BLBの寄生容量値とアシスト回路108の容量値との比を変更して、ライトアシストレベルVWASTをその適正範囲に収めることが可能である。
なお、各IO回路207のアシスト回路108は、第1の実施形態と同様のアシスト回路8に置き換えられてもよい。このとき、アシスト回路で活性化される容量素子の合成容量値を変更することと、アシスト回路に接続されるバンクの数を変更することとを組み合わせて、ビット線の寄生容量値とアシスト回路の容量値との比を変更し、設計時に見積もった比が得られるようにしてもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。