JP7232939B2 - 光学フィルム、円偏光板、有機エレクトロルミネッセンス表示装置 - Google Patents

光学フィルム、円偏光板、有機エレクトロルミネッセンス表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、光学フィルム、円偏光板、および、有機エレクトロルミネッセンス表示装置に関する。
位相差を有する光学異方性層は、非常に多くの用途に使用されている。例えば、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置は、金属電極を用いる構造を有するため、外光を反射し、コントラスト低下および映り込みの問題を生じることがある。そこで、従来から、外光反射による悪影響を抑制するために、光学異方性層と偏光子とから構成される円偏光板が使用されている。
円偏光板に使用される光学異方性層としては、例えば、特許文献1に記載されるように、λ/2板と、λ/4板とからなる位相差板が知られている。
特許第3174367号公報
一方、近年、有機EL表示装置に代表される表示装置においては、画質のより一層の向上のために、正面および斜め方向における黒色の色味づきの抑制が求められている。より具体的には、現在、円偏光板を有する有機EL表示装置においては、正面方向および斜め方向から見た際に黒色に他の色が混色したような色味(黒色の色味づき)が生じないことが求められている。
特に、正面方向からより傾いた方向から視認した際にも、黒色の色味づきが生じないことが求められている。
本発明者らは、特許文献1で開示される位相差板を使用して円偏光板を作製し、表示装置に貼り付けて、その性能評価を行ったところ、上記要望を十分には満たしていないことを知見した。
本発明は、上記実情に鑑みて、円偏光板として有機EL表示装置に用いた際に、正面方向および斜め方向における黒色の色味づきが抑制される、光学フィルムを提供することを課題とする。
また、本発明は、円偏光板および有機EL表示装置を提供することも課題とする。
本発明者らは、従来技術の問題点について鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を解決できることを見出した。
(1) 第1光学異方性層および第2光学異方性層を有し、
第1光学異方性層および第2光学異方性層の少なくとも一方が、液晶化合物を固定してなる層であり、液晶化合物の平均チルト角が2°以上であり、
第1光学異方性層および第2光学異方性層の少なくとも一方が、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した液晶化合物を固定してなる層であり、捩れ配向した液晶化合物の捩れ角度が10~180°である、光学フィルム。
(2) 第1光学異方性層および第2光学異方性層の少なくとも一方が、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した液晶化合物を固定してなる層であり、
捩れ配向した液晶化合物の捩れ角度が10~180°であり、
液晶化合物の平均チルト角が2°以上である、(1)に記載の光学フィルム。
(3) 液晶化合物が、棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物である、(1)または(2)に記載の光学フィルム。
(4) 第1光学異方性層と第2光学異方性層との間に、実質的に配向膜が配置されていない、(1)~(3)のいずれかに記載の光学フィルム。
(5) 第1光学異方性層が、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した第1液晶化合物を固定してなる層であり、
第1液晶化合物の捩れ角度が70~150°であり、
第2光学異方性層が、第2液晶化合物を用いて形成された層であり、
第1液晶化合物の平均チルト角、および、第2液晶化合物の平均チルト角の少なくとも一方が2°以上であり、
波長550nmで測定した第1光学異方性層の屈折率異方性Δn1と第1光学異方性層の厚みd1との積Δn1d1の値が後述する式(1)の関係を満たし、
波長550nmで測定した第2光学異方性層の屈折率異方性Δn2と第2光学異方性層の厚みd2との積Δn2d2の値が後述する式(2)の関係を満たし、
第1光学異方性層の第2光学異方性層側の表面での面内遅相軸と、第2光学異方性層の第1光学異方性層側の表面での面内遅相軸とは平行である、(1)~(4)のいずれかに記載の光学フィルム。
(6) 第1光学異方性層が、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した第1液晶化合物を固定してなる層であり、
捩れ配向した第1液晶化合物の捩れ角度が68~148°であり、
第2光学異方性層が、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した第2液晶化合物を固定してなる層であり、
捩れ配向した第2液晶化合物の捩れ角度が5~45°であり、
第1液晶化合物の捩れ方向と第2液晶化合物の捩れ方向とが同じ向きであり、
第1液晶化合物の平均チルト角、および、第2液晶化合物の平均チルト角の少なくとも一方が2°以上であり、
波長550nmで測定した第1光学異方性層の屈折率異方性Δn1と第1光学異方性層の厚みd1との積Δn1d1の値が後述する式(3)の関係を満たし、
波長550nmで測定した第2光学異方性層の屈折率異方性Δn2と第2光学異方性層の厚みd2との積Δn2d2の値が後述する式(4)の関係を満たし、
第1光学異方性層の第2光学異方性層側の表面での面内遅相軸と、第2光学異方性層の第1光学異方性層側の表面での面内遅相軸とは平行である、(1)~(4)のいずれかに記載の光学フィルム。
(7) 第1光学異方性層が、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した第1液晶化合物を固定してなる層であり、
捩れ配向した第1液晶化合物の捩れ角度が72~126°であり、
第2光学異方性層が、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した第2液晶化合物を固定してなる層であり、
捩れ配向した第2液晶化合物の捩れ角度が5~45°であり、
第1液晶化合物の捩れ方向と第2液晶化合物の捩れ方向とが逆向きであり、
第1液晶化合物の平均チルト角、および、第2液晶化合物の平均チルト角の少なくとも一方が2°以上であり、
波長550nmで測定した第1光学異方性層の屈折率異方性Δn1と第1光学異方性層の厚みd1との積Δn1d1の値が後述する式(5)の関係を満たし、
波長550nmで測定した第2光学異方性層の屈折率異方性Δn2と第2光学異方性層の厚みd2との積Δn2d2の値が後述する式(6)の関係を満たし、
第1光学異方性層の第2光学異方性層側の表面での面内遅相軸と、第2光学異方性層の第1光学異方性層側の表面での面内遅相軸とは平行である、(1)~(4)のいずれかに記載の光学フィルム。
(8) 第1光学異方性層が、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した第1液晶化合物を固定してなる層であり、
捩れ配向した第1液晶化合物の捩れ角度が5~120°であり、
第2光学異方性層が、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した第2液晶化合物を固定してなる層であり、
捩れ配向した第2液晶化合物の捩れ角度が0°超45°以下であり、
第1液晶化合物の平均チルト角、および、第2液晶化合物の平均チルト角の少なくとも一方が2°以上であり、
波長550nmで測定した第1光学異方性層の屈折率異方性Δn1と第1光学異方性層の厚みd1との積Δn1d1の値が後述する式(7)の関係を満たし、
波長550nmで測定した第2光学異方性層の屈折率異方性Δn2と第2光学異方性層の厚みd2との積Δn2d2の値が後述する式(8)の関係を満たし、
第1光学異方性層の第2光学異方性層側の表面での面内遅相軸と、第2光学異方性層の第1光学異方性層側の表面での面内遅相軸とは非平行である、(1)~(4)のいずれかに記載の光学フィルム。
(9) (1)~(8)のいずれかに記載の光学フィルムと、偏光子とを有する、円偏光板。
(10) (9)に記載の円偏光板を有する、有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
本発明によれば、円偏光板として有機EL表示装置に用いた際に、正面方向および斜め方向における黒色の色味づきが抑制される、光学フィルムを提供できる。
また、本発明によれば、円偏光板および有機EL表示装置を提供できる。
本発明の光学フィルムの第1の実施態様の概略断面図の例である。 チルト角を説明するための図である。 本発明の光学フィルムの第2の実施態様の概略断面図の例である。 工程1を説明するための組成物層の断面図である。 工程2を説明するための組成物層の断面図である。 キラル剤Aおよびキラル剤Bの各々について、螺旋誘起力(HTP:Helical Twisting Power)(μm-1)×濃度(質量%)と光照射量(mJ/cm2)との関係をプロットしたグラフの模式図である。 キラル剤Aおよびキラル剤Bを併用した系において、加重平均螺旋誘起力(μm-1)と光照射量(mJ/cm2)との関係をプロットしたグラフの模式図である。 工程5を実施した場合を説明するための組成物層の断面図である。 本発明の円偏光板の第1の実施態様の概略断面図の例である。 本発明の円偏光板の第1の実施態様の一つの態様における、偏光子20の吸収軸と、第1光学異方性層12aおよび第2光学異方性層14aのそれぞれの面内遅相軸との関係を示す図である。 図10の矢印の方向から観察した際の偏光子20の吸収軸と、第1光学異方性層12aおよび第2光学異方性層14aのそれぞれ面内遅相軸との角度の関係を示す概略図である。 本発明の円偏光板の第1の実施態様の一つの態様における、偏光子20の吸収軸と、第1光学異方性層12aおよび第2光学異方性層14aのそれぞれの面内遅相軸との関係を示す図である。 図12の矢印の方向から観察した際の偏光子20の吸収軸と、第1光学異方性層12aおよび第2光学異方性層14aのそれぞれ面内遅相軸との角度の関係を示す概略図である。 本発明の円偏光板の第2の実施態様の概略断面図の例である。 本発明の円偏光板の第2の実施態様の一つの態様における、偏光子20の吸収軸と、第1光学異方性層12bおよび第2光学異方性層14bのそれぞれの面内遅相軸との関係を示す図である。 図15の矢印の方向から観察した際の偏光子20の吸収軸と、第1光学異方性層12bおよび第2光学異方性層14bのそれぞれ面内遅相軸との角度の関係を示す概略図である。 本発明の円偏光板の第2の実施態様の一つの態様における、偏光子20の吸収軸と、第1光学異方性層12bおよび第2光学異方性層14bのそれぞれの面内遅相軸との関係を示す図である。 図17の矢印の方向から観察した際の偏光子20の吸収軸と、第1光学異方性層12bおよび第2光学異方性層14bのそれぞれ面内遅相軸との角度の関係を示す概略図である。 本発明の有機EL表示装置の概略断面図の例である。 本発明の有機EL表示装置の概略断面図の例である。 光学異方性層の法線方向から光学異方性層を観察した際の液晶化合物の捩れ方向を示す概略図である。 本発明の光学フィルムの第3の実施態様の概略断面図の例である。 本発明の光学フィルムの第4の実施態様の概略断面図の例である。 本発明の円偏光板の第3の実施態様の概略断面図の例である。 本発明の円偏光板の第4の実施態様の概略断面図の例である。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。まず、本明細書で用いられる用語について説明する。
面内遅相軸は、特別な断りがなければ、550nmにおける定義である。
本発明において、Re(λ)およびRth(λ)は各々、波長λにおける面内のレタデーションおよび厚み方向のレタデーションを表す。特に記載がないときは、波長λは、550nmとする。
本発明において、Re(λ)およびRth(λ)はAxoScan(Axometrics社製)において、波長λで測定した値である。AxoScanにて平均屈折率((nx+ny+nz)/3)と膜厚(d(μm))を入力することにより、
遅相軸方向(°)
Re(λ)=R0(λ)
Rth(λ)=((nx+ny)/2-nz)×d
が算出される。
なお、R0(λ)は、AxoScanで算出される数値として表示されるものであるが、Re(λ)を意味している。
本明細書において、屈折率nx、ny、および、nzは、アッベ屈折計(NAR-4T、アタゴ(株)製)を使用し、光源にナトリウムランプ(λ=589nm)を用いて測定する。また、波長依存性を測定する場合は、多波長アッベ屈折計DR-M2(アタゴ(株)製)にて、干渉フィルターとの組み合わせで測定できる。
また、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、および、各種光学フィルムのカタログの値を使用できる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、および、ポリスチレン(1.59)。
本明細書中における「光」とは、活性光線または放射線を意味し、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光:Extreme Ultraviolet)、X線、紫外線、および電子線(EB:Electron Beam)などを意味する。なかでも、紫外線が好ましい。
本明細書では、「可視光」とは、380~780nmの光のことをいう。また、本明細書では、測定波長について特に付記がない場合は、測定波長は550nmである。
また、本明細書において、角度の関係(例えば「直交」、「平行」など)については、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。具体的には、厳密な角度±10°未満の範囲内であることを意味し、厳密な角度との誤差は、±5°以下の範囲内であることが好ましく、±3°以下の範囲内であることがより好ましい。
本発明の光学フィルムの特徴点としては、以下の2つの要件を満たす点が挙げられる。
要件1:第1光学異方性層および第2光学異方性層の少なくとも一方が、液晶化合物を固定してなる層であり、液晶化合物の平均チルト角が2°以上である。
要件2:第1光学異方性層および第2光学異方性層の少なくとも一方が、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した液晶化合物を固定してなる層であり、捩れ配向した液晶化合物の捩れ角度が10~180°である。
光学フィルムが上記2つの要件を満たすことにより、光学フィルムを円偏光板として有機EL表示装置に用いた際に、正面方向および斜め方向における黒色の色味づきが抑制される。特に、要件1を満たすことにより、従来よりも正面方向からより傾いた方向から視認した際にも、黒色の色味づきが抑制される。
上記要件1の平均チルト角、および、上記要件2の捩れ角度の測定方法は、後段で詳述する。
本発明の光学フィルムとしては、第1光学異方性層および第2光学異方性層の少なくとも一方が、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した液晶化合物を固定してなる層であり、捩れ配向した液晶化合物の捩れ角度が10~180°であり、かつ、液晶化合物の平均チルト角が2°以上である、光学フィルムが好ましい。つまり、第1光学異方性層および第2光学異方性層の少なくとも一方が、要件1で規定する平均チルト角、および、要件2で規定する捩れ角度の両方の要件を満たすことが好ましい。
また、上記液晶化合物は、棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物であることが好ましい。棒状液晶化合物および円盤状液晶化合物に関しては、後段で詳述する。
なお、第1光学異方性層と第2光学異方性層との間に、実質的に配向膜が配置されていないことが好ましい。
本明細書において「実質的に配向膜がない」とは、配向膜として機能させるためだけに形成された膜を含んでいないことを意味する。下方に位置する層の表面が、上方に位置する層の液晶化合物が配向するのに寄与する場合であっても、下方に位置する層が配向膜としてのみ用いるために形成されていない限り、本発明に含まれる。
本発明において、光学異方性層の厚み方向に沿った液晶化合物の捩れ角の変化は、線形的であっても、非線形的であってもよく、本発明の効果がより優れる点で、線形的であることが好ましい。ここで線形的とは、厚み方向の位置と捩れ角の増加量とが比例関係であることを意味し、非線形的とは、上記比例関係が成り立たないことを意味する。
また、本発明において、光学異方性層の厚み方向に沿った液晶化合物のチルト角の変化は、線形的であっても、非線形的であってもよく、本発明の効果がより優れる点で、線形的であることが好ましい。ここで線形的とは、厚み方向の位置とチルト角の増加量とが比例関係であることを意味し、非線形的とは、上記比例関係が成り立たないことを意味する。
<第1の実施態様>
以下に、本発明の光学フィルムの第1の実施態様について図面を参照して説明する。図1に、本発明の光学フィルムの第1の実施態様の概略断面図を示す。
光学フィルム10aは、第1光学異方性層12aと、第2光学異方性層14aとを有する。第1光学異方性層12aおよび第2光学異方性層14aは、いずれも棒状液晶化合物LCを用いて形成された層である。特に、第1光学異方性層12aは、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した液晶化合物を固定してなる層であり、液晶化合物の平均チルト角が2°以上である。つまり、第1光学異方性層12a中に示す棒状液晶化合物LCは、第1光学異方性層12a中で捩れ配向しており、かつ、第1光学異方性層12aの第2光学異方性層14a側の表面121aから、第2光学異方性層14a側とは反対側の表面122a側に向かうにつれ、棒状液晶化合物LCのチルト角が大きくなり、平均チルト角が所定値以上を示す。よって、第1光学異方性層12aは、上述した要件1および2を満たす層に該当する。
上述したように、第1光学異方性層12aにおいては、棒状液晶化合物LCが捩れ配向すると共に、所定の平均チルト角を有する。このような配向状態を、ツイストハイブリッド配向ともいう。なお、図1においては、液晶化合物として棒状液晶化合物を使用した例を示しているが、後述するように、液晶化合物は棒状液晶化合物には限定されない。
以下、各層について詳述する。
(第1光学異方性層12a)
第1光学異方性層12aは、図1に示すように、厚み方向(図1中、z軸方向)を螺旋軸とする捩れ配向した棒状液晶化合物LCを固定してなる層である。第1光学異方性層12aは、いわゆる螺旋構造を持ったキラルネマチック相を固定してなる層であることが好ましい。なお、上記相を形成する際には、ネマチック液晶相を示す液晶化合物と後述するキラル剤とを混合したものが使用されることが好ましい。
なお、「固定した」状態は、液晶化合物の配向が保持された状態である。具体的には、通常、0~50℃、より過酷な条件下では-30~70℃の温度範囲において、層に流動性がなく、また、外場もしくは外力によって配向形態に変化を生じさせることなく、固定された配向形態を安定に保ち続けることができる状態であることが好ましい。
棒状液晶化合物LCの捩れ角(棒状液晶化合物LCの配向方向の捩れ角)は70~150°が好ましく、光学フィルムを円偏光板として表示装置に貼り合わせた際の正面および斜め方向における黒色の色味づきがより少ない点(以後、単に「本発明の効果がより優れる点」とも称する)で、75~130°がより好ましく、75~120°がさらに好ましい。
なお、液晶化合物が捩れ配向するとは、第1光学異方性層12aの厚み方向を軸として、第1光学異方性層12aの一方の主表面から他方の主表面までの液晶化合物が捩れることを意図する。それに伴い、液晶化合物の配向方向(面内遅相軸方向)が、第1光学異方性層12aの厚み方向の位置によって異なる。液晶化合物の捩れ角φは、図21に示すように、液晶化合物LCが一方の表面側から他方の表面側に向かってどの程度捩れているかを示す。図21に示すように、本明細書の捩れ角は、法線方向から光学異方性層を観察した際の液晶化合物の光学軸を平面上に投影した図における、一方の表面における光学軸と他方の表面における光学軸とのなす角度を意味する。
また、捩れの向きには2種類あるが、右捩れでも左捩れでも構わない。図1において、右捩れとは、第2光学異方性層14aから第1光学異方性層12aの方向に向かって観察した際において、基準軸から時計回りの捩れを意図する。
上述したように、第1光学異方性層12aにおいて、表面121aから表面122aに向かうにつれて、捩れ配向した棒状液晶化合物LCはよりチルト(傾斜)している。
上記棒状液晶化合物LCの平均チルト角は、本発明の効果がより優れる点で、2~85°が好ましく、5~70°がより好ましく、15~40°がさらに好ましい。
また、第1光学異方性層12aの少なくとも一方の表面(表面121aおよび表面122aの少なくとも一方の表面)において、捩れ配向した棒状液晶化合物LCのチルト角は10°以上が好ましく、30°以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、90°以下の場合が多い。
なお、第1光学異方性層12aの第2光学異方性層14a側の表面(表面121a)における棒状液晶化合物LCのチルト角(以下、「チルト角1A」ともいう。)と、第1光学異方性層12aの第2光学異方性層14a側とは反対側の表面(表面122a)における棒状液晶化合物LCのチルト角(以下、「チルト角1B」ともいう。)とは同一であっても、異なっていてもよい。つまり、第1光学異方性層12a中において、棒状液晶化合物LCのチルト角は、第1光学異方性層12aの一方の表面から他方の表面に向かって一定であってもよいし、第1光学異方性層12aの一方の表面から他方の表面に向かって大きくなっていてもよい。なかでも、チルト角1Aとチルト角1Bとを比較すると、本発明の効果がより優れる点で、チルト角1Bのほうがチルト角1Aよりも大きいことが好ましい。
なお、図2に示すように、棒状液晶化合物LCのチルト角とは、棒状液晶化合物LCの光学軸と、液晶化合物の光学軸の第1光学異方性層主面(図1中、xy平面)に対する射影成分LCxyとが成す角度θ1を意味する。なお、液晶化合物の光学軸とは、液晶化合物が棒状液晶化合物である場合にはその長軸が光学軸に該当し、液晶化合物が円盤状液晶化合物である場合には円盤面に直交する方向が光学軸に該当する。
上記捩れ角、チルト角および平均チルト角の測定方法は、Axometrics社のAxoscan(ポラリメーター)装置を用い、同社の装置解析ソフトウエアを用いて測定する。
なお、平均チルト角とは、光学異方性層の対向する2つの表面(主面)(図1においては、表面121aおよび表面122a)におけるそれぞれの液晶化合物のチルト角の平均値を意味する。
波長550nmで測定した第1光学異方性層12aの屈折率異方性Δn1と第1光学異方性層12aの厚みd1との積Δn1d1の値は、本発明の効果がより優れる点で、式(1)の関係を満たすことが好ましい。
式(1) 142nm≦Δn1d1≦400nm
なかでも、式(1A)の関係を満たすことがより好ましく、式(1B)の関係を満たすことがさらに好ましい。
式(1A) 162nm≦Δn1d1≦350nm
式(1B) 192nm≦Δn1d1≦300nm
本明細書において、光学異方性層の屈折率異方性(例えば、Δn1およびΔn2)は、光学異方性層の面内遅相軸における屈折率と面内進相軸における屈折率との差を表す。つまり、第1光学異方性層12aの屈折率異方性Δn1は、第1光学異方性層12aの面内遅相軸における屈折率と面内進相軸における屈折率との差を表す。
上記Δn1d1は、捩れ角の測定方法と同様にAxometrics社のAxoscan(ポラリメーター)装置を用い、同社の装置解析ソフトウエアを用いて測定する。
(第2光学異方性層14a)
第2光学異方性層14aは、棒状液晶化合物LCを用いて形成された層である。より具体的には、第2光学異方性層14aは、棒状液晶化合物LCを含む組成物を用いて形成された層である。
第2光学異方性層14aは、上記第1光学異方性層12aとは異なり、ホモジニアス配向した液晶化合物を固定してなる層である。
なお、「固定した」状態の意味は、上述した通りである。
本明細書において、ホモジニアス配向とは、液晶化合物の分子軸(言い換えれば、光学軸)(例えば、棒状液晶化合物の場合には長軸が該当)が層表面に対して水平に、かつ、同一方位に配列している状態(光学的一軸性)をいう。
ここで、水平とは、厳密に水平であることを要求するものでなく、層内の液晶化合物の平均分子軸が層表面とのなす傾斜角が2°未満の配向を意味するものとする。
また、同一方位とは、厳密に同一方位であることを要求するものでなく、面内の任意の20か所の位置で遅相軸の方位を測定したとき、20か所での遅相軸の方位のうちの遅相軸方位の最大差(20個の遅相軸方位のうち、差が最大となる2つの遅相軸方位の差)が10°未満であることを意味するものとする。
波長550nmで測定した第2光学異方性層14aの屈折率異方性Δn2と第2光学異方性層14aの厚みd2との積Δn2d2の値は、本発明の効果がより優れる点で、式(2)の関係を満たすことが好ましい。
式(2) 138nm≦Δn2d2≦238nm
なかでも、式(2A)の関係を満たすことがより好ましく、式(2B)の関係を満たすことがさらに好ましい。
式(2A) 148nm≦Δn2d2≦208nm
式(2B) 158nm≦Δn2d2≦178nm
第2光学異方性層14aの屈折率異方性Δn2は、第2光学異方性層14aの面内遅相軸における屈折率と面内進相軸における屈折率との差を表す。
上記Δn2d2は、Axometrics社のAxoscan(ポラリメーター)装置を用い、同社の装置解析ソフトウエアを用いて測定する。
第1光学異方性層12aの第2光学異方性層14a側の表面121aでの面内遅相軸と、第2光学異方性層14aの第1光学異方性層12a側の表面での面内遅相軸とは平行に配置される。平行の定義は、上述の通りである。
なお、第1光学異方性層12aと第2光学異方性層14aとの間には後述する配向膜が配置されていてもよいが、図1に示すように、第1光学異方性層12aと第2光学異方性層14aとが隣接し、第1光学異方性層12aと第2光学異方性層14aとの間に、実質的に配向膜を有さないことが好ましい。第1光学異方性層12aと第2光学異方性層14aとの間に実質的に配向膜がない場合、それぞれの光学異方性層に含まれる化合物間での共有結合を利用できるので、密着性により優れる。
また、上述したように、第1光学異方性層12aは捩れ配向した液晶化合物を含むことから、ラビング処理を実施せずに、所望の光学フィルムを得ることができる。より具体的には、第1光学異方性層12aを作製した後、その上に液晶化合物を用いて第2光学異方性層14aを形成する場合、第1光学異方性層12aの表面122aと表面121aとでの面内遅相軸の方向が変わっており、敢えてラビング処理をすることなく、表面121a上に液晶化合物を塗布すれば、表面121aの配向状態に沿って液晶化合物が配向し、所望の光学フィルムを得ることができる。
図1において、第1光学異方性層12aおよび第2光学異方性層14aの形成には棒状液晶化合物が用いられているが、この態様には限定されない。
一般的に、液晶化合物はその形状から、棒状タイプ(棒状液晶化合物)と円盤状タイプ(円盤状液晶化合物)に分類できる。さらに、それぞれ低分子タイプと高分子タイプがある。高分子とは一般に重合度が100以上のものを指す(高分子物理・相転移ダイナミクス,土井 正男 著,2頁,岩波書店,1992)。本発明では、いずれの液晶化合物を用いることもできる。また、本発明においては、2種以上の棒状液晶化合物、2種以上の円盤状液晶化合物、または、棒状液晶化合物と円盤状液晶化合物との混合物を用いてもよい。
なお、棒状液晶化合物としては、例えば、特表平11-513019号公報の請求項1および特開2005-289980号公報の段落[0026]~[0098]に記載の液晶化合物が挙げられ、円盤状液晶化合物としては、例えば、特開2007-108732号公報の段落[0020]~[0067]および特開2010-244038号公報の段落[0013]~[0108]に記載の液晶化合物が挙げられる。
本発明で使用される液晶化合物は、順波長分散性の液晶化合物であっても、逆波長分散性の液晶化合物であってもよいが、液晶化合物が順波長分散性の液晶化合物である場合、光学フィルムの製造コストが低下すると共に、耐久性も向上する点で好ましい。
本明細書において、順波長分散性の液晶化合物とは、この液晶化合物を用いて作製された光学異方性層の可視光範囲における面内のレタデーション(Re)値を測定した際に、測定波長が大きくなるにつれてRe値が小さくなるものをいう。一方、逆波長分散性の液晶化合物とは、同様にRe値を測定した際に、測定波長が大きくなるにつれてRe値が大きくなるものをいう。
第1光学異方性層12aおよび第2光学異方性層14aは、温度変化または湿度変化を小さくできることから、重合性基を有する液晶化合物(棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物)を用いて形成することがより好ましい。
つまり、第1光学異方性層12aまたは第2光学異方性層14aは、重合性基を有する棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物が重合などによって固定されて形成された層であることが好ましい。
重合性基の種類は特に制限されず、付加重合反応が可能な官能基が好ましく、重合性エチレン性不飽和基または環重合性基が好ましく、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、または、アリル基がより好ましく、(メタ)アクリロイル基がさらに好ましい。
<第1の実施態様の変形例>
上記第1の実施態様の光学フィルムは、第1光学異方性層および第2光学異方性層の一方が、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した液晶化合物を固定してなる層であり、捩れ配向した液晶化合物の平均チルト角が2°以上である態様であったが、第1光学異方性層および第2光学異方性層のうち、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した液晶化合物を固定してなる層に該当しない層中の液晶化合物の平均チルト角が2°以上である態様であってもよい。
つまり、光学フィルムとしては、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した液晶化合物を固定してなる層である第1光学異方性層と、液晶化合物を用いて形成された層である第2光学異方性層とを有し、第2光学異方性層において液晶化合物の平均チルト角が2°以上である、光学フィルム(以下、単に「光学フィルムX」ともいう。)であってもよい。
上記光学フィルムX中の第1光学異方性層の平均チルト角以外の特性(捩れ角、Δn1d1など)は、上記<第1の実施形態>で説明した通りであり、上記光学フィルムX中の第2光学異方性層の特性(Δn2d2)は、上記<第1の実施形態>で説明した通りである。
光学フィルムX中の第2光学異方性層における液晶化合物の平均チルト角の好適範囲は、上記<第1の実施形態>で説明した平均チルト角の好適範囲と同じである。
また、上記においては、第2光学異方性層がホモジニアス配向した液晶化合物を固定してなる層である態様について説明したが、上述したΔn2d2の値が式(2)の関係を満たしていれば、他の層であってもよい。
例えば、第2光学異方性層は、第2液晶化合物の平均チルト角が2°以上である層であってもよい。第2光学異方性層中の第2液晶化合物の平均チルト角が2°以上である場合、上記平均チルト角は2~85°が好ましく、5~70°がより好ましく、5~30°がさらに好ましい。
なお、第2液晶化合物の平均チルト角が2°以上である層としては、例えば、ハイブリッド配向(一方の表面から他方の表面に向かって液晶化合物のチルト角が連続的に変化する配向)、または、傾斜配向(一方の表面から他方の表面に向かって液晶化合物のチルト角が一定である配向)した第2液晶化合物を固定してなる層が挙げられる。
なお、上述した第1の実施態様およびその変形例のうち、本発明の効果がより優れる点で、第1の実施態様が好ましい。言い換えれば、第1の実施態様のように、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した液晶化合物を固定してなる層において、液晶化合物の平均チルト角が2°以上であることが好ましい。
<第2の実施態様>
以下に、本発明の光学フィルムの第2の実施態様について図面を参照して説明する。図3に、本発明の光学フィルムの第2の実施態様の概略断面図を示す。
光学フィルム10bは、第1光学異方性層12bと、第2光学異方性層14bとを有する。第1光学異方性層12bおよび第2光学異方性層14bは、いずれも厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した棒状液晶化合物LCを固定してなる層である。特に、第1光学異方性層12bは、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した液晶化合物を固定してなる層であり、液晶化合物の平均チルト角が2°以上である。つまり、第1光学異方性層12b中に示す棒状液晶化合物LCは、第1光学異方性層12b中で捩れ配向しており、かつ、第1光学異方性層12bの第2光学異方性層14b側の表面121bから、第2光学異方性層14b側とは反対側の表面122b側に向かうにつれ、棒状液晶化合物LCのチルト角が大きくなり、平均チルト角が所定値以上を示す。よって、第1光学異方性層12bは、上述した要件1および2を満たす層に該当する。
以下、各層について詳述する。
(第1光学異方性層12b)
第1光学異方性層12bは、図3に示すように、厚み方向(図3中、z軸方向)を螺旋軸とする捩れ配向した棒状液晶化合物LCを固定してなる層である。第1光学異方性層12bは、いわゆる螺旋構造を持ったキラルネマチック相を固定してなる層であることが好ましい。なお、上記相を形成する際には、ネマチック液晶相を示す液晶化合物と後述するキラル剤とを混合したものが使用されることが好ましい。
なお、「固定した」状態の意味は、上述した通りである。
棒状液晶化合物LCの捩れ角(棒状液晶化合物LCの配向方向の捩れ角)は68~148°が好ましく、本発明の効果がより優れる点で、72~128°がより好ましく、78~138°がさらに好ましい。
なお、液晶化合物が捩れ配向するとは、第1光学異方性層12bの厚み方向を軸として、第1光学異方性層12bの一方の主表面から他方の主表面までの液晶化合物が捩れることを意図する。それに伴い、液晶化合物の配向方向(面内遅相軸方向)が、第1光学異方性層12bの厚み方向の位置によって異なる。
また、捩れの向きには2種類あるが、右捩れでも左捩れでも構わない。図3において、右捩れとは、第2光学異方性層14bから第1光学異方性層12bの方向に向かって観察した際において、基準軸から時計回りの捩れを意図する。
上述したように、第1光学異方性層12bにおいて、表面121bから表面122bに向かうにつれて、捩れ配向した棒状液晶化合物LCはよりチルト(傾斜)している。
上記棒状液晶化合物LCの平均チルト角は、本発明の効果がより優れる点で、2~85°が好ましく、5~70°がより好ましく、15~40°がさらに好ましい。
また、第1光学異方性層12bの少なくとも一方の表面(表面121bおよび表面122bの少なくとも一方の表面)において、捩れ配向した棒状液晶化合物LCのチルト角は10°以上が好ましく、30°以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、90°以下の場合が多い。
なお、第1光学異方性層12bの第2光学異方性層14b側の表面(表面121b)における棒状液晶化合物LCのチルト角(以下、「チルト角2A」ともいう。)と、第1光学異方性層12bの第2光学異方性層14b側とは反対側の表面(表面122b)における棒状液晶化合物LCのチルト角(以下、「チルト角2B」ともいう。)とは同一であっても、異なっていてもよい。つまり、第1光学異方性層12b中において、棒状液晶化合物LCのチルト角は、第1光学異方性層12bの一方の表面から他方の表面に向かって一定であってもよいし、第1光学異方性層12bの一方の表面から他方の表面に向かって大きくなっていてもよい。なかでも、チルト角2Aとチルト角2Bとを比較すると、本発明の効果がより優れる点で、チルト角2Bのほうがチルト角2Aよりも大きいことが好ましい。
なお、棒状液晶化合物LCのチルト角の説明は、上記図2を用いて説明した通りである。
上記捩れ角、チルト角および平均チルト角の測定方法は、Axometrics社のAxoscan(ポラリメーター)装置を用い、同社の装置解析ソフトウエアを用いて測定する。
波長550nmで測定した第1光学異方性層12bの屈折率異方性Δn1と第1光学異方性層12bの厚みd1との積Δn1d1の値は、本発明の効果がより優れる点で、式(3)の関係を満たすことが好ましい。
式(3) 118nm≦Δn1d1≦376nm
なかでも、式(3A)の関係を満たすことがより好ましく、式(3B)の関係を満たすことがさらに好ましい。
式(3A) 138nm≦Δn1d1≦326nm
式(3B) 148nm≦Δn1d1≦276nm
第1光学異方性層12bの屈折率異方性Δn1は、第1光学異方性層12bの面内遅相軸における屈折率と面内進相軸における屈折率との差を表す。
上記Δn1d1は、捩れ角の測定方法と同様にAxometrics社のAxoscan(ポラリメーター)装置を用い、同社の装置解析ソフトウエアを用いて測定する。
(第2光学異方性層14b)
第2光学異方性層14bは、図3に示すように、厚み方向(図3中、z軸方向)を螺旋軸とする捩れ配向した棒状液晶化合物LCを固定してなる層である。第2光学異方性層14bは、いわゆる螺旋構造を持ったキラルネマチック相を固定してなる層であることが好ましい。なお、上記相を形成する際には、ネマチック液晶相を示す液晶化合物と後述するキラル剤とを混合したものが使用されることが好ましい。
なお、「固定した」状態の意味は、上述した通りである。
なお、図3に示す、第2光学異方性層14b中の棒状液晶化合物の平均チルト角は2°未満であり、より具体的には、第2光学異方性層14b中の棒状液晶化合物LCは、その光学軸が第2光学異方性層14bの表面と平行となるように配置されている。
棒状液晶化合物LCの捩れ角(棒状液晶化合物LCの配向方向の捩れ角)は5~45°が好ましく、本発明の効果がより優れる点で、10~40°がより好ましく、15~35°がさらに好ましい。
なお、液晶化合物が捩れ配向するとは、第2光学異方性層14bの厚み方向を軸として、第2光学異方性層14bの一方の主表面から他方の主表面までの液晶化合物が捩れることを意図する。それに伴い、液晶化合物の配向方向(面内遅相軸方向)が、第2光学異方性層14bの厚み方向の位置によって異なる。
また、捩れの向きには2種類あるが、右捩れでも左捩れでも構わない。図3において、右捩れとは、第2光学異方性層14bから第1光学異方性層12bの方向に向かって観察した際において、基準軸から時計回りの捩れを意図する。
波長550nmで測定した第2光学異方性層14bの屈折率異方性Δn2と第2光学異方性層14bの厚みd2との積Δn2d2の値は、本発明の効果がより優れる点で、式(4)の関係を満たすことが好ましい。
式(4) 125nm≦Δn2d2≦425nm
なかでも、式(4A)の関係を満たすことがより好ましく、式(4B)の関係を満たすことがさらに好ましい。
式(2A) 175nm≦Δn2d2≦375nm
式(2B) 225nm≦Δn2d2≦325nm
第2光学異方性層14bの屈折率異方性Δn2は、第2光学異方性層14bの面内遅相軸における屈折率と面内進相軸における屈折率との差を表す。
上記Δn2d2は、Axometrics社のAxoscan(ポラリメーター)装置を用い、同社の装置解析ソフトウエアを用いて測定する。
第1光学異方性層12bの第2光学異方性層14b側の表面121bでの面内遅相軸と、第2光学異方性層14bの第1光学異方性層12b側の表面での面内遅相軸とは平行に配置される。平行の定義は、上述の通りである。
第1光学異方性層12bにおける液晶化合物の捩れ方向と、第2光学異方性層14bにおける液晶化合物の捩れ方向とは、同じ方向であることが好ましい。
例えば、第2光学異方性層14b側から光学フィルム10bを観察した際に、第1光学異方性層12bの第2光学異方性層14bとは反対側の表面での面内遅相軸を基準として、第1光学異方性層12bの面内遅相軸が時計回りに回転している場合、第2光学異方性層14bの第1光学異方性層12b側の表面での面内遅相軸を基準に、第2光学異方性層14bの第1光学異方性層12b側とは反対側の表面での面内遅相軸が時計回りに回転していることが好ましい。
また、第2光学異方性層14b側から光学フィルム10bを観察した際に、第1光学異方性層12bの第2光学異方性層14bとは反対側の表面での面内遅相軸を基準として、第1光学異方性層12bの面内遅相軸が反時計回りに回転している場合、第2光学異方性層14bの第1光学異方性層12b側の表面での面内遅相軸を基準に、第2光学異方性層14bの第1光学異方性層12b側とは反対側の表面での面内遅相軸が反時計回りに回転していることが好ましい。
なお、第1光学異方性層12bと第2光学異方性層14bとの間には後述する配向膜が配置されていてもよいが、図3に示すように、第1光学異方性層12bと第2光学異方性層14bとが隣接し、第1光学異方性層12bと第2光学異方性層14bとの間に、実質的に配向膜を有さないことが好ましい。第1光学異方性層12bと第2光学異方性層14bとの間に実質的に配向膜がない場合、それぞれの光学異方性層に含まれる化合物間での共有結合を利用できるので、密着性により優れる。
図3において、第1光学異方性層12bおよび第2光学異方性層14bの形成には棒状液晶化合物が用いられているが、この態様には限定されない。
液晶化合物としては、第1の実施態様で説明した液晶化合物が挙げられる。
第1光学異方性層12bおよび第2光学異方性層14bは、温度変化または湿度変化を小さくできることから、重合性基を有する液晶化合物(棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物)を用いて形成することがより好ましい。
つまり、第1光学異方性層12bまたは第2光学異方性層14bは、重合性基を有する棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物が重合などによって固定されて形成された層であることが好ましい。
重合性基の種類は特に制限されず、付加重合反応が可能な官能基が好ましく、重合性エチレン性不飽和基または環重合性基が好ましく、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、または、アリル基がより好ましく、(メタ)アクリロイル基がさらに好ましい。
<第2の実施態様の変形例>
上記第2の実施態様の光学フィルムは、第1光学異方性層において、捩れ配向した液晶化合物の平均チルト角が2°以上である態様であったが、第2光学異方性層において、捩れ配向した液晶化合物の平均チルト角が2°以上である態様であってもよい。第2光学異方性層中の液晶化合物の平均チルト角が2°以上である場合、上記平均チルト角は2~85°が好ましく、5~70°がより好ましく、5~30°がさらに好ましい。
つまり、光学フィルムとしては、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した液晶化合物を固定してなる層である第1光学異方性層と、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した液晶化合物を固定してなる層である第2光学異方性層とを有し、第2光学異方性層において液晶化合物の平均チルト角が2°以上である、光学フィルム(以下、単に「光学フィルムY」ともいう。)であってもよい。つまり、光学フィルムYにおいて、第1光学異方性層中の液晶化合物の平均チルト角は0である。
上記光学フィルムY中の第1光学異方性層の平均チルト角以外の特性(捩れ角、Δn1d1など)は、上記<第2の実施形態>で説明した通りであり、上記光学フィルムY中の第2光学異方性層の特性(Δn2d2)は、上記<第2の実施形態>で説明した通りである。
光学フィルムY中の第2光学異方性層における液晶化合物の平均チルト角の好適範囲は、上記<第2の実施形態>で説明した平均チルト角の好適範囲と同じである。
なお、上述した第2の実施態様およびその変形例のうち、本発明の効果がより優れる点で、第2の実施態様が好ましい。言い換えれば、第2の実施態様のように、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した液晶化合物を固定してなる層のうち、より捩れ角度が大きい層において、液晶化合物の平均チルト角が2°以上であることが好ましい。
<第3の実施態様>
以下に、本発明の光学フィルムの第3の実施態様について図面を参照して説明する。図22に、本発明の光学フィルムの第3の実施態様の概略断面図を示す。
光学フィルム10cは、第1光学異方性層12cと、第2光学異方性層14cとを有する。第1光学異方性層12cおよび第2光学異方性層14cは、いずれも厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した棒状液晶化合物LCを固定してなる層である。特に、第1光学異方性層12cは、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した液晶化合物を固定してなる層であり、液晶化合物の平均チルト角が2°以上である。つまり、第1光学異方性層12c中に示す棒状液晶化合物LCは、第1光学異方性層12c中で捩れ配向しており、かつ、第1光学異方性層12cの第2光学異方性層14c側の表面121cから、第2光学異方性層14c側とは反対側の表面122c側に向かうにつれ、棒状液晶化合物LCのチルト角が大きくなり、平均チルト角が所定値以上を示す。よって、第1光学異方性層12cは、上述した要件1および2を満たす層に該当する。
以下、各層について詳述する。
(第1光学異方性層12c)
第1光学異方性層12cは、図22に示すように、厚み方向(図22中、z軸方向)を螺旋軸とする捩れ配向した棒状液晶化合物LCを固定してなる層である。第1光学異方性層12cは、いわゆる螺旋構造を持ったキラルネマチック相を固定してなる層であることが好ましい。なお、上記相を形成する際には、ネマチック液晶相を示す液晶化合物と後述するキラル剤とを混合したものが使用されることが好ましい。
なお、「固定した」状態の意味は、上述した通りである。
棒状液晶化合物LCの捩れ角(棒状液晶化合物LCの配向方向の捩れ角)は72~126°が好ましく、本発明の効果がより優れる点で、77~114°がより好ましく、82~104°がさらに好ましい。
なお、液晶化合物が捩れ配向するとは、第1光学異方性層12cの厚み方向を軸として、第1光学異方性層12cの一方の主表面から他方の主表面までの液晶化合物が捩れることを意図する。それに伴い、液晶化合物の配向方向(面内遅相軸方向)が、第1光学異方性層12cの厚み方向の位置によって異なる。
また、捩れの向きには2種類あるが、右捩れでも左捩れでも構わない。図22において、右捩れとは、第2光学異方性層14cから第1光学異方性層12cの方向に向かって観察した際において、基準軸から時計回りの捩れを意図する。
上述したように、第1光学異方性層12cにおいて、表面121cから表面122cに向かうにつれて、捩れ配向した棒状液晶化合物LCはよりチルト(傾斜)している。
上記棒状液晶化合物LCの平均チルト角は、本発明の効果がより優れる点で、2~85°が好ましく、5~70°がより好ましく、15~40°がさらに好ましい。
また、第1光学異方性層12cの少なくとも一方の表面(表面121cおよび表面122cの少なくとも一方の表面)において、捩れ配向した棒状液晶化合物LCのチルト角は10°以上が好ましく、30°以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、90°以下の場合が多い。
なお、第1光学異方性層12cの第2光学異方性層14c側の表面(表面121c)における棒状液晶化合物LCのチルト角(以下、「チルト角3A」ともいう。)と、第1光学異方性層12cの第2光学異方性層14c側とは反対側の表面(表面122c)における棒状液晶化合物LCのチルト角(以下、「チルト角3B」ともいう。)とは同一であっても、異なっていてもよい。つまり、第1光学異方性層12c中において、棒状液晶化合物LCのチルト角は、第1光学異方性層12cの一方の表面から他方の表面に向かって一定であってもよいし、第1光学異方性層12cの一方の表面から他方の表面に向かって大きくなっていてもよい。なかでも、チルト角3Aとチルト角3Bとを比較すると、本発明の効果がより優れる点で、チルト角3Bのほうがチルト角3Aよりも大きいことが好ましい。
なお、棒状液晶化合物LCのチルト角の説明は、上記図2を用いて説明した通りである。
上記捩れ角、チルト角および平均チルト角の測定方法は、Axometrics社のAxoscan(ポラリメーター)装置を用い、同社の装置解析ソフトウエアを用いて測定する。
波長550nmで測定した第1光学異方性層12cの屈折率異方性Δn1と第1光学異方性層12cの厚みd1との積Δn1d1の値は、本発明の効果がより優れる点で、式(5)の関係を満たすことが好ましい。
式(5) 140nm≦Δn1d1≦500nm
なかでも、式(5A)の関係を満たすことがより好ましい。
式(5A) 180nm≦Δn1d1≦340nm
第1光学異方性層12cの屈折率異方性Δn1は、第1光学異方性層12cの面内遅相軸における屈折率と面内進相軸における屈折率との差を表す。
上記Δn1d1は、捩れ角の測定方法と同様にAxometrics社のAxoscan(ポラリメーター)装置を用い、同社の装置解析ソフトウエアを用いて測定する。
(第2光学異方性層14c)
第2光学異方性層14cは、図22に示すように、厚み方向(図22中、z軸方向)を螺旋軸とする捩れ配向した棒状液晶化合物LCを固定してなる層である。第2光学異方性層14cは、いわゆる螺旋構造を持ったキラルネマチック相を固定してなる層であることが好ましい。なお、上記相を形成する際には、ネマチック液晶相を示す液晶化合物と後述するキラル剤とを混合したものが使用されることが好ましい。
なお、「固定した」状態の意味は、上述した通りである。
なお、図22に示す、第2光学異方性層14c中の棒状液晶化合物の平均チルト角は2°未満であり、より具体的には、第2光学異方性層14c中の棒状液晶化合物LCは、その光学軸が第2光学異方性層14cの表面と平行となるように配置されている。
棒状液晶化合物LCの捩れ角(棒状液晶化合物LCの配向方向の捩れ角)は5~45°が好ましく、本発明の効果がより優れる点で、10~40°がより好ましく、15~35°がさらに好ましい。
なお、液晶化合物が捩れ配向するとは、第2光学異方性層14cの厚み方向を軸として、第2光学異方性層14cの一方の主表面から他方の主表面までの液晶化合物が捩れることを意図する。それに伴い、液晶化合物の配向方向(面内遅相軸方向)が、第2光学異方性層14cの厚み方向の位置によって異なる。
また、捩れの向きには2種類あるが、右捩れでも左捩れでも構わない。図22において、右捩れとは、第2光学異方性層14cから第1光学異方性層12cの方向に向かって観察した際において、基準軸から時計回りの捩れを意図する。
波長550nmで測定した第2光学異方性層14cの屈折率異方性Δn2と第2光学異方性層14cの厚みd2との積Δn2d2の値は、本発明の効果がより優れる点で、式(6)の関係を満たすことが好ましい。
式(6) 70nm≦Δn2d2≦300nm
なかでも、式(6A)の関係を満たすことがより好ましい。
式(6A) 80nm≦Δn2d2≦200nm
第2光学異方性層14cの屈折率異方性Δn2は、第2光学異方性層14cの面内遅相軸における屈折率と面内進相軸における屈折率との差を表す。
上記Δn2d2は、Axometrics社のAxoscan(ポラリメーター)装置を用い、同社の装置解析ソフトウエアを用いて測定する。
第1光学異方性層12cの第2光学異方性層14c側の表面121cでの面内遅相軸と、第2光学異方性層14cの第1光学異方性層12c側の表面での面内遅相軸とは平行に配置される。平行の定義は、上述の通りである。
第1光学異方性層12cにおける液晶化合物の捩れ方向と、第2光学異方性層14cにおける液晶化合物の捩れ方向とは、逆方向であることが好ましい。
例えば、第2光学異方性層14c側から光学フィルム10cを観察した際に、第1光学異方性層12cの第2光学異方性層14cとは反対側の表面での面内遅相軸を基準として、第1光学異方性層12cの面内遅相軸が時計回りに回転している場合、第2光学異方性層14cの第1光学異方性層12c側の表面での面内遅相軸を基準に、第2光学異方性層14cの第1光学異方性層12c側とは反対側の表面での面内遅相軸が反時計回りに回転していることが好ましい。
また、第2光学異方性層14c側から光学フィルム10cを観察した際に、第1光学異方性層12cの第2光学異方性層14cとは反対側の表面での面内遅相軸を基準として、第1光学異方性層12cの面内遅相軸が反時計回りに回転している場合、第2光学異方性層14cの第1光学異方性層12c側の表面での面内遅相軸を基準に、第2光学異方性層14cの第1光学異方性層12c側とは反対側の表面での面内遅相軸が時計回りに回転していることが好ましい。
なお、第1光学異方性層12cと第2光学異方性層14cとの間には後述する配向膜が配置されていてもよいが、図22に示すように、第1光学異方性層12cと第2光学異方性層14cとが隣接し、第1光学異方性層12cと第2光学異方性層14cとの間に、実質的に配向膜を有さないことが好ましい。第1光学異方性層12cと第2光学異方性層14cとの間に実質的に配向膜がない場合、それぞれの光学異方性層に含まれる化合物間での共有結合を利用できるので、密着性により優れる。
図22において、第1光学異方性層12cおよび第2光学異方性層14cの形成には棒状液晶化合物が用いられているが、この態様には限定されない。
液晶化合物としては、第1の実施態様で説明した液晶化合物が挙げられる。
第1光学異方性層12cおよび第2光学異方性層14cは、温度変化または湿度変化を小さくできることから、重合性基を有する液晶化合物(棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物)を用いて形成することがより好ましい。
つまり、第1光学異方性層12cまたは第2光学異方性層14cは、重合性基を有する棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物が重合などによって固定されて形成された層であることが好ましい。
重合性基の種類は特に制限されず、付加重合反応が可能な官能基が好ましく、重合性エチレン性不飽和基または環重合性基が好ましく、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、または、アリル基がより好ましく、(メタ)アクリロイル基がさらに好ましい。
<第3の実施態様の変形例>
上記第3の実施態様の光学フィルムは、第1光学異方性層において、捩れ配向した液晶化合物の平均チルト角が2°以上である態様であったが、第2光学異方性層において、捩れ配向した液晶化合物の平均チルト角が2°以上である態様であってもよい。第2光学異方性層中の液晶化合物の平均チルト角が2°以上である場合、上記平均チルト角は2~85°が好ましく、5~70°がより好ましく、5~30°がさらに好ましい。
つまり、光学フィルムとしては、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した液晶化合物を固定してなる層である第1光学異方性層と、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した液晶化合物を固定してなる層である第2光学異方性層とを有し、第2光学異方性層において液晶化合物の平均チルト角が2°以上である、光学フィルム(以下、単に「光学フィルムZ」ともいう。)であってもよい。つまり、光学フィルムZにおいて、第1光学異方性層中の液晶化合物の平均チルト角は0である。
上記光学フィルムZ中の第1光学異方性層の平均チルト角以外の特性(捩れ角、Δn1d1など)は、上記<第3の実施形態>で説明した通りであり、上記光学フィルムZ中の第2光学異方性層の特性(Δn2d2)は、上記<第2の実施形態>で説明した通りである。
光学フィルムZ中の第2光学異方性層における液晶化合物の平均チルト角の好適範囲は、上記<第3の実施形態>で説明した平均チルト角の好適範囲と同じである。
なお、上述した第3の実施態様およびその変形例のうち、本発明の効果がより優れる点で、第3の実施態様が好ましい。言い換えれば、第3の実施態様のように、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した液晶化合物を固定してなる層のうち、より捩れ角度が大きい層において、液晶化合物の平均チルト角が2°以上であることが好ましい。
<第4の実施態様>
以下に、本発明の光学フィルムの第4の実施態様について図面を参照して説明する。図23に、本発明の光学フィルムの第4の実施態様の概略断面図を示す。
光学フィルム10dは、第1光学異方性層12dと、第2光学異方性層14dとを有する。第1光学異方性層12dおよび第2光学異方性層14dは、いずれも厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した棒状液晶化合物LCを固定してなる層である。特に、第1光学異方性層12dは、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した液晶化合物を固定してなる層であり、液晶化合物の平均チルト角が2°以上である。つまり、第1光学異方性層12d中に示す棒状液晶化合物LCは、第1光学異方性層12d中で捩れ配向しており、かつ、第1光学異方性層12dの第2光学異方性層14d側の表面121dから、第2光学異方性層14d側とは反対側の表面122d側に向かうにつれ、棒状液晶化合物LCのチルト角が大きくなり、平均チルト角が所定値以上を示す。よって、第1光学異方性層12dは、上述した要件1および2を満たす層に該当する。
以下、各層について詳述する。
(第1光学異方性層12d)
第1光学異方性層12dは、図23に示すように、厚み方向(図23中、z軸方向)を螺旋軸とする捩れ配向した棒状液晶化合物LCを固定してなる層である。第1光学異方性層12dは、いわゆる螺旋構造を持ったキラルネマチック相を固定してなる層であることが好ましい。なお、上記相を形成する際には、ネマチック液晶相を示す液晶化合物と後述するキラル剤とを混合したものが使用されることが好ましい。
なお、「固定した」状態の意味は、上述した通りである。
棒状液晶化合物LCの捩れ角(棒状液晶化合物LCの配向方向の捩れ角)は5~120°が好ましく、本発明の効果がより優れる点で、20~105°がより好ましく、35~90°がさらに好ましい。
なお、液晶化合物が捩れ配向するとは、第1光学異方性層12dの厚み方向を軸として、第1光学異方性層12dの一方の主表面から他方の主表面までの液晶化合物が捩れることを意図する。それに伴い、液晶化合物の配向方向(面内遅相軸方向)が、第1光学異方性層12dの厚み方向の位置によって異なる。
また、捩れの向きには2種類あるが、右捩れでも左捩れでも構わない。図23において、右捩れとは、第2光学異方性層14dから第1光学異方性層12dの方向に向かって観察した際において、基準軸から時計回りの捩れを意図する。
上述したように、第1光学異方性層12dにおいて、表面121dから表面122dに向かうにつれて、捩れ配向した棒状液晶化合物LCはよりチルト(傾斜)している。
上記棒状液晶化合物LCの平均チルト角は、本発明の効果がより優れる点で、2~85°が好ましく、5~70°がより好ましく、15~40°がさらに好ましい。
また、第1光学異方性層12dの少なくとも一方の表面(表面121dおよび表面122dの少なくとも一方の表面)において、捩れ配向した棒状液晶化合物LCのチルト角は10°以上が好ましく、30°以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、90°以下の場合が多い。
なお、第1光学異方性層12dの第2光学異方性層14d側の表面(表面121d)における棒状液晶化合物LCのチルト角(以下、「チルト角4A」ともいう。)と、第1光学異方性層12dの第2光学異方性層14d側とは反対側の表面(表面122d)における棒状液晶化合物LCのチルト角(以下、「チルト角4B」ともいう。)とは同一であっても、異なっていてもよい。つまり、第1光学異方性層12d中において、棒状液晶化合物LCのチルト角は、第1光学異方性層12dの一方の表面から他方の表面に向かって一定であってもよいし、第1光学異方性層12dの一方の表面から他方の表面に向かって大きくなっていてもよい。なかでも、チルト角4Aとチルト角4Bとを比較すると、本発明の効果がより優れる点で、チルト角4Bのほうがチルト角4Aよりも大きいことが好ましい。
なお、棒状液晶化合物LCのチルト角の説明は、上記図2を用いて説明した通りである。
上記捩れ角、チルト角および平均チルト角の測定方法は、Axometrics社のAxoscan(ポラリメーター)装置を用い、同社の装置解析ソフトウエアを用いて測定する。
波長550nmで測定した第1光学異方性層12dの屈折率異方性Δn1と第1光学異方性層12dの厚みd1との積Δn1d1の値は、本発明の効果がより優れる点で、式(3)の関係を満たすことが好ましい。
式(7) 80nm≦Δn1d1≦300nm
なかでも、式(7A)の関係を満たすことがより好ましい。
式(7A) 120nm≦Δn1d1≦240nm
第1光学異方性層12dの屈折率異方性Δn1は、第1光学異方性層12dの面内遅相軸における屈折率と面内進相軸における屈折率との差を表す。
上記Δn1d1は、捩れ角の測定方法と同様にAxometrics社のAxoscan(ポラリメーター)装置を用い、同社の装置解析ソフトウエアを用いて測定する。
(第2光学異方性層14d)
第2光学異方性層14dは、図23に示すように、厚み方向(図23中、z軸方向)を螺旋軸とする捩れ配向した棒状液晶化合物LCを固定してなる層である。第2光学異方性層14dは、いわゆる螺旋構造を持ったキラルネマチック相を固定してなる層であることが好ましい。なお、上記相を形成する際には、ネマチック液晶相を示す液晶化合物と後述するキラル剤とを混合したものが使用されることが好ましい。
なお、「固定した」状態の意味は、上述した通りである。
なお、図23に示す、第2光学異方性層14d中の棒状液晶化合物の平均チルト角は2°未満であり、より具体的には、第2光学異方性層14d中の棒状液晶化合物LCは、その光学軸が第2光学異方性層14dの表面と平行となるように配置されている。
棒状液晶化合物LCの捩れ角(棒状液晶化合物LCの配向方向の捩れ角)は0°超45°以下が好ましく、本発明の効果がより優れる点で、0~40°がより好ましい。
なお、液晶化合物が捩れ配向するとは、第2光学異方性層14dの厚み方向を軸として、第2光学異方性層14dの一方の主表面から他方の主表面までの液晶化合物が捩れることを意図する。それに伴い、液晶化合物の配向方向(面内遅相軸方向)が、第2光学異方性層14dの厚み方向の位置によって異なる。
また、捩れの向きには2種類あるが、右捩れでも左捩れでも構わない。図23において、右捩れとは、第2光学異方性層14dから第1光学異方性層12dの方向に向かって観察した際において、基準軸から時計回りの捩れを意図する。
波長550nmで測定した第2光学異方性層14dの屈折率異方性Δn2と第2光学異方性層14dの厚みd2との積Δn2d2の値は、本発明の効果がより優れる点で、式(8)の関係を満たすことが好ましい。
式(8) 80nm≦Δn2d2≦360nm
なかでも、式(8A)の関係を満たすことがより好ましい。
式(8A) 120nm≦Δn2d2≦320nm
第2光学異方性層14dの屈折率異方性Δn2は、第2光学異方性層14dの面内遅相軸における屈折率と面内進相軸における屈折率との差を表す。
上記Δn2d2は、Axometrics社のAxoscan(ポラリメーター)装置を用い、同社の装置解析ソフトウエアを用いて測定する。
第1光学異方性層12dの第2光学異方性層14d側の表面121dでの面内遅相軸と、第2光学異方性層14dの第1光学異方性層12d側の表面での面内遅相軸とは非平行に配置される。
非平行とは、平行でないことを意味し、より具体的には、第1光学異方性層12dの第2光学異方性層14d側の表面121dでの面内遅相軸と、第2光学異方性層14dの第1光学異方性層12d側の表面での面内遅相軸とのなす角度は、5~70°が好ましく、10~40°がより好ましい。
図23においては、第1光学異方性層12bにおける液晶化合物の捩れ方向と、第2光学異方性層14bにおける液晶化合物の捩れ方向とは、同じ方向であるが、逆方向であってもよい。
逆方向である場合も、捩れ角度は、上述した範囲であることが好ましい。
なお、第1光学異方性層12dと第2光学異方性層14dとの間には後述する配向膜が配置されていてもよいが、図23に示すように、第1光学異方性層12dと第2光学異方性層14dとが隣接し、第1光学異方性層12dと第2光学異方性層14dとの間に、実質的に配向膜を有さないことが好ましい。第1光学異方性層12dと第2光学異方性層14dとの間に実質的に配向膜がない場合、それぞれの光学異方性層に含まれる化合物間での共有結合を利用できるので、密着性により優れる。
図23において、第1光学異方性層12dおよび第2光学異方性層14dの形成には棒状液晶化合物が用いられているが、この態様には限定されない。
液晶化合物としては、第1の実施態様で説明した液晶化合物が挙げられる。
第1光学異方性層12dおよび第2光学異方性層14dは、温度変化または湿度変化を小さくできることから、重合性基を有する液晶化合物(棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物)を用いて形成することがより好ましい。
つまり、第1光学異方性層12dまたは第2光学異方性層14dは、重合性基を有する棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物が重合などによって固定されて形成された層であることが好ましい。
重合性基の種類は特に制限されず、付加重合反応が可能な官能基が好ましく、重合性エチレン性不飽和基または環重合性基が好ましく、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、または、アリル基がより好ましく、(メタ)アクリロイル基がさらに好ましい。
<第4の実施態様の変形例>
上述した図23においては、第2光学異方性層14dは厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した第2液晶化合物を固定してなる層であったが、液晶化合物を用いて形成された層であればよい。例えば、第4の実施態様の変形例としては、上述した第1光学異方性層12dと、ホモジニアス配向した液晶化合物を固定してなる第2光学異方性層とを含む光学フィルムであってもよい。
上述したホモジニアス配向した液晶化合物を固定してなる第2光学異方性層のΔn2d2は、式(8)の関係を満たす。
また、この光学フィルムにおいては、第1光学異方性層の第2光学異方性層側の表面での面内遅相軸と、第2光学異方性層の第1光学異方性層側の表面での面内遅相軸とは非平行に配置される。非平行の定義は、上述した通りである。
また、上記第4の実施態様の光学フィルムは、第1光学異方性層において、捩れ配向した液晶化合物の平均チルト角が2°以上である態様であったが、第2光学異方性層において、捩れ配向した液晶化合物の平均チルト角が2°以上である態様であってもよい。第2光学異方性層中の液晶化合物の平均チルト角が2°以上である場合、上記平均チルト角は2~85°が好ましく、5~70°がより好ましく、5~30°がさらに好ましい。
つまり、光学フィルムとしては、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した液晶化合物を固定してなる層である第1光学異方性層と、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した液晶化合物を固定してなる層である第2光学異方性層とを有し、第2光学異方性層において液晶化合物の平均チルト角が2°以上である、光学フィルム(以下、単に「光学フィルムW」ともいう。)であってもよい。つまり、光学フィルムWにおいて、第1光学異方性層中の液晶化合物の平均チルト角は0である。
上記光学フィルムW中の第1光学異方性層の平均チルト角以外の特性(捩れ角、Δn1d1など)は、上記<第4の実施形態>で説明した通りであり、上記光学フィルムW中の第2光学異方性層の特性(Δn2d2)は、上記<第4の実施形態>で説明した通りである。
光学フィルムW中の第2光学異方性層における液晶化合物の平均チルト角の好適範囲は、上記<第4の実施形態>で説明した平均チルト角の好適範囲と同じである。
なお、上述した第4の実施態様およびその変形例のうち、本発明の効果がより優れる点で、第4の実施態様が好ましい。言い換えれば、第4の実施態様のように、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した液晶化合物を固定してなる層のうち、より捩れ角度が大きい層において、液晶化合物の平均チルト角が2°以上であることが好ましい。
なお、第1の実施態様~第4の実施態様においては、第1光学異方性層および第2光学異方性層の一方において、液晶化合物がチルトしていたが、この態様に限定されず、第1光学異方性層および第2光学異方性層の両方において、液晶化合物がチルトしていてもよく、いずれの層においても液晶化合物の平均チルト角が2°以上であってもよい。
<その他の層>
光学フィルムは、上述した第1光学異方性層および第2光学異方性層以外の他の層を有していてもよい。
光学フィルムは、支持体を有していてもよい。
支持体としては、透明支持体が好ましい。なお、透明支持体とは、可視光の透過率が60%以上である支持体を意図し、その透過率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。
支持体は、長尺状の支持体(長尺支持体)であってもよい。長尺支持体の長手方向の長さは特に制限されないが、10m以上の支持体が好ましく、生産性の点から、100m以上が好ましい。なお、長手方向の長さは特に制限されず、10000m以下の場合が多い。
長尺支持体の幅は特に制限されないが、150~3000mmの場合が多く、300~2000mmが好ましい。
支持体の波長550nmにおける厚み方向のレタデーション値(Rth(550))は特に制限されないが、-110~110nmが好ましく、-80~80nmがより好ましい。
支持体の波長550nmにおける面内のレタデーション値(Re(550))は特に制限されないが、0~50nmが好ましく、0~30nmがより好ましく、0~10nmがさらに好ましい。
支持体を形成する材料としては、光学性能透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、および、等方性などに優れるポリマーが好ましい。
支持体として用いることのできるポリマーフィルムとしては、例えば、セルロースアシレートフィルム(例えば、セルローストリアセテートフィルム、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、および、セルロースアセテートプロピオネートフィルム)、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリメチルメタクリレートなどのポリアクリルフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルム、並びに、脂環式構造を有するポリマーのフィルム(ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製)))が挙げられる。
なかでも、ポリマーフィルムの材料としては、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、または、脂環式構造を有するポリマーが好ましい。
支持体には、種々の添加剤(例えば、光学的異方性調整剤、波長分散調整剤、微粒子、可塑剤、紫外線防止剤、劣化防止剤、および、剥離剤)が含まれていてもよい。
支持体の厚みは特に制限されないが、10~200μmが好ましく、10~100μmがより好ましく、20~90μmがさらに好ましい。
また、支持体は複数枚の積層からなっていてもよい。
支持体はその上に設けられる層との接着を改善するため、支持体の表面に表面処理(例えば、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、および、火炎処理)を実施してもよい。
また、支持体の上に、接着層(下塗り層)を設けてもよい。
支持体は、いわゆる仮支持体であってもよい。
また、支持体の表面に直接ラビング処理を施してもよい。つまり、ラビング処理が施された支持体を用いてもよい。ラビング処理の方向は特に制限されず、液晶化合物を配向させたい方向に応じて、適宜、最適な方向が選択される。
ラビング処理は、LCD(liquid crystal display)の液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を適用できる。即ち、支持体の表面を、紙、ガーゼ、フェルト、ゴム、ナイロン繊維、または、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより、配向を得る方法を用いることができる。
光学フィルムは、配向膜を有していてもよい。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、または、ラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω-トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で形成できる。
さらに、電場の付与、磁場の付与、または、光照射(好ましくは偏光)により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。
本発明の光学フィルムの波長分散特性は、逆波長分散性を示すことが好ましい。特に、本発明の光学フィルムは、Re(450)/Re(550)<1の関係を満たすことが好ましい。なお、上記Re(450)は光学フィルムの波長450nmにおける面内レタデーションであり、上記Re(550)は光学フィルムの波長550nmにおける面内レタデーションである。
<光学フィルムの製造方法>
光学フィルムの製造方法は特に制限されず、公知の方法が挙げられる。なお、光学フィルムは、ロールトゥロールで連続的に製造してもよい。
例えば、所定の光学特性を示す第1光学異方性層および第2光学異方性層をそれぞれ作製して、それら光学異方性層を密着層(例えば、粘着層または接着層)を介して所定の順番に貼り合わせることにより、光学フィルムを製造できる。
また、支持体上に、順次、後述する重合性液晶組成物を用いて、第1光学異方性層および第2光学異方性層をそれぞれ作製して、光学フィルムを製造してもよい。例えば、支持体上に重合性液晶組成物を塗布して、第2光学異方性層を形成した後、第2光学異方性層上に重合性液晶組成物を塗布して、第1光学異方性層を形成してもよい。
また、上述した光学異方性層を貼り合わせる方法と、重合性液晶組成物を用いて光学異方性層を形成する方法とを組み合わせてもよい。
第1光学異方性層および第2光学異方性層は、いずれも液晶化合物(例えば、棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物)を用いて形成される層であることが好ましく、その製造方法は特に制限されないが、重合性基を有する液晶化合物(例えば、重合性基を有する棒状液晶化合物、および、重合性基を有する円盤状液晶化合物)を含む組成物(以下、単に「重合性液晶組成物」ともいう。)を用いる方法が好ましい。
以下、重合性液晶組成物を用いる方法について詳述する。
重合性液晶組成物は、重合性基を有する液晶化合物を含む。液晶化合物としては、上述したように棒状液晶化合物および円盤状液晶化合物が挙げられる。
重合性液晶組成物は、重合性基を有する液晶化合物以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、重合開始剤が挙げられる。使用される重合開始剤は、重合反応の形式に応じて選択され、例えば、熱重合開始剤、および、光重合開始剤が挙げられる。
重合性液晶組成物中における重合開始剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.01~20質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましい。
なお、固形分とは、溶媒を除去した、光学異方性層を形成し得る成分を意味し、その性状が液体状であっても固形分とする。
重合性液晶組成物は、重合性基を有する液晶化合物以外の他の重合性モノマーを含んでいてもよい。重合性モノマーとしては、ラジカル重合性またはカチオン重合性の化合物が挙げられ、多官能性ラジカル重合性モノマーが好ましい。
重合性液晶組成物中における重合性モノマーの含有量は、液晶化合物の全質量に対して、1~50質量%が好ましく、2~30質量%がより好ましい。
重合性液晶組成物に含まれていてもよい他の成分としては、上記以外にも、界面活性剤、密着改良剤、可塑剤、および、溶媒が挙げられる。
なお、液晶化合物を捩れ配向させるためには、重合性液晶組成物はキラル剤を含むことが好ましい。キラル剤は、液晶化合物を捩れ配向させるために添加されるが、勿論、液晶化合物が、分子内に不斉炭素を有するなど、光学活性を示す化合物である場合は、キラル剤の添加は不要である。また、製造方法および捩れ角度によっては、キラル剤の添加は不要である。
キラル剤としては、併用する液晶化合物を相溶するものであれば、特に構造についての制限はない。公知のキラル剤(例えば、日本学術振興会第142委員会編「液晶デバイスハンドブック」,第3章4-3項,TN、STN用カイラル剤,199頁,1989年に記載)のいずれも用いることができる。
キラル剤の使用量は特に制限されず、上述した捩れ角度が達成されるように調整される。
また、液晶化合物をチルトさせるためには、重合性液晶組成物は配向制御剤(垂直配向剤、水平配向剤)を含むことが好ましい。
配向制御剤としては、公知の化合物を用いることができる。
光学異方性層を作製する方法としては、重合性液晶組成物を塗布して塗膜を形成して、塗膜に配向処理を施して重合性液晶化合物を配向させて、硬化処理を施す方法が挙げられる。
重合性液晶組成物が塗布される対象は特に制限されず、例えば、上述した支持体、第1光学異方性層、または、第2光学異方性層が挙げられる。
なお、形成される光学異方性層の面内遅相軸の方向を所定の方向にするために、重合性液晶組成物が塗布される対象は、ラビング処理が施されていてもよい。例えば、ラビング処理が施された長尺支持体を用いてもよい。
重合性液晶組成物の塗布方法としては、カーテンコーティング法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、印刷コーティング法、スプレーコーティング法、スロットコーティング法、ロールコーティング法、スライドコーティング法、ブレードコーティング法、グラビアコーティング法、および、ワイヤーバー法が挙げられる。
次に、形成された塗膜に、配向処理を施して、塗膜中の重合性液晶化合物を配向させる。
配向処理は、室温により塗膜を乾燥させる、または、塗膜を加熱することにより行うことができる。配向処理で形成される液晶相は、サーモトロピック性液晶化合物の場合、一般に温度または圧力の変化により転移させることができる。リオトロピック性液晶化合物の場合には、溶媒量などの組成比によっても転移させることができる。
なお、塗膜を加熱する場合の条件は特に制限されないが、加熱温度としては50~250℃が好ましく、50~150℃がより好ましく、加熱時間としては10秒間~10分間が好ましい。
また、塗膜を加熱した後、後述する硬化処理(光照射処理)の前に、必要に応じて、塗膜を冷却してもよい。冷却温度としては20~200℃が好ましく、30~150℃がより好ましい。
次に、重合性液晶化合物が配向された塗膜に対して硬化処理を施す。
重合性液晶化合物が配向された塗膜に対して実施される硬化処理の方法は特に制限されず、例えば、光照射処理および加熱処理が挙げられる。なかでも、製造適性の点から、光照射処理が好ましく、紫外線照射処理がより好ましい。
光照射処理の照射条件は特に制限されないが、50~1000mJ/cmの照射量が好ましい。
光照射処理の際の雰囲気は特に制限されないが、窒素雰囲気が好ましい。
光学フィルムの製造方法において、支持体上に第1光学異方性層および第2光学異方性層を製造する際、以下の工程1~5を実施してもよい。以下の工程1~工程5を実施することにより、塗布工程1回で第1光学異方性層および第2光学異方性層の積層体を製造できる。なお、本工程で形成される第1光学異方性層および第2光学異方性層においては、液晶化合物がチルトしている。
工程1:光照射により螺旋誘起力が変化する感光性キラル剤を少なくとも含むキラル剤、および、重合性基を有する棒状液晶化合物(以下、工程1~工程5の説明においては、単に「液晶化合物」とも記す。)を含む重合性液晶組成物を支持体上に塗布して、組成物層を形成する工程
工程2:組成物層に加熱処理を施して、組成物層中の液晶化合物を配向させる工程
工程3:工程2の後、酸素濃度1体積%以上の条件下にて、組成物層に対して光照射を行う工程
工程4:工程3の後、組成物層に加熱処理を施す工程
工程5:工程4の後、組成物層に対して硬化処理を施して、液晶化合物の配向状態を固定し、第1光学異方性層および第2光学異方性層を形成する工程
以下、上記各工程の手順について詳述する。
(工程1)
工程1は、光照射により螺旋誘起力が変化する感光性キラル剤を少なくとも含むキラル剤、重合性基を有する液晶化合物、および、配向制御剤を含む重合性液晶組成物を支持体上に塗布して、組成物層を形成する工程である。本工程を実施することにより、後述する光照射処理が施される組成物層が形成される。
重合性液晶組成物に含まれる各種成分は上述した通りであり、以下では、上記で説明していない感光性キラル剤について詳述する。
なお、キラル剤の螺旋誘起力(HTP)は、下記式(X)で表される螺旋配向能力を示すファクターである。
式(X) HTP=1/(螺旋ピッチの長さ(単位:μm)×液晶化合物に対するキラル剤の濃度(質量%))[μm-1
螺旋ピッチの長さとは、コレステリック液晶相の螺旋構造のピッチP(=螺旋の周期)の長さをいい、液晶便覧(丸善株式会社出版)の196ページに記載の方法で測定できる。
光照射により螺旋誘起力が変化する感光性キラル剤(以下、単に「キラル剤A」ともいう。)は、液晶性であっても、非液晶性であってもよい。キラル剤Aは、一般に不斉炭素原子を含む場合が多い。なお、キラル剤Aは、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物または面性不斉化合物であってもよい。
キラル剤Aは、重合性基を有していてもよい。
キラル剤Aは、光照射によって螺旋誘起力が増加するキラル剤であってもよいし、減少するキラル剤であってもよい。なかでも、光照射により螺旋誘起力が減少するキラル剤であることが好ましい。
なお、本明細書において「螺旋誘起力の増加および減少」とは、キラル剤Aの初期(光照射前)の螺旋方向を「正」としたときの増減を表す。従って、光照射により螺旋誘起力が減少し続け、0を超えて螺旋方向が「負」となった場合(つまり、初期(光照射前)の螺旋方向とは逆の螺旋方向の螺旋を誘起する場合)にも、「螺旋誘起力が減少するキラル剤」に該当する。
キラル剤Aとしては、いわゆる光反応型キラル剤が挙げられる。光反応型キラル剤とは、キラル部位と光照射によって構造変化する光反応部位を有し、例えば、照射量に応じて液晶化合物の捩れ力を大きく変化させる化合物である。
キラル剤Aとしては、なかでも、光異性化部位を少なくとも有する化合物が好ましく、光異性化部位は光異性化可能な二重結合を有することがより好ましい。上記光異性化可能な二重結合を有する光異性化部位としては、光異性化が起こりやすく、かつ、光照射前後の螺旋誘起力差が大きいという点で、シンナモイル部位、カルコン部位、アゾベンゼン部位またはスチルベン部位が好ましく、さらに可視光の吸収が小さいという点で、シンナモイル部位、カルコン部位またはスチルベン部位がより好ましい。なお、光異性化部位は、上述した光照射によって構造変化する光反応部位に該当する。
工程1においては、上述したキラル剤Aが少なくともが用いられる。工程1は、キラル剤Aを2種以上用いる態様であってもよいし、少なくとも1種のキラル剤Aと少なくとも1種の光照射により螺旋誘起力が変化しないキラル剤(以下、単に「キラル剤B」ともいう。)とを用いる態様であってもよい。
キラル剤Bは、液晶性であっても、非液晶性であってもよい。キラル剤Bは、一般に不斉炭素原子を含む場合が多い。なお、キラル剤Bは、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物または面性不斉化合物であってもよい。
キラル剤Bは重合性基を有していてもよい。
キラル剤Bとしては、公知のキラル剤を使用できる。
キラル剤Bは、上述したキラル剤Aと逆向きの螺旋を誘起するキラル剤であることが好ましい。つまり、例えば、キラル剤Aにより誘起する螺旋が右方向の場合には、キラル剤Bにより誘起する螺旋は左方向となる。
組成物層中における上記キラル剤Aの含有量は特に制限されないが、液晶化合物が均一に配向しやすい点で、液晶化合物の全質量に対して、5.0質量%以下が好ましく、3.0質量%以下がより好ましく、2.0質量%以下がさらに好ましく、1.0質量%未満が特に好ましく、0.8質量%以下がより特に好ましく、0.5質量%以下が最も好ましい。下限は特に制限されないが、0.01質量%以上が好ましく、0.02質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上がさらに好ましい。
なお、上記キラル剤Aは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上の上記キラル剤Aを併用する場合には、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
組成物層中における上記キラル剤Bの含有量は特に制限されないが、液晶化合物が均一に配向しやすい点で、液晶化合物の全質量に対して、5.0質量%以下が好ましく、3.0質量%以下がより好ましく、2.0質量%以下がさらに好ましく、1.0質量%未満が特に好ましく、0.8質量%以下がより特に好ましく、0.5質量%以下が最も好ましい。下限は特に制限されないが、0.01質量%以上が好ましく、0.02質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上がさらに好ましい。
なお、上記キラル剤Bは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上の上記キラル剤Bを併用する場合には、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
組成物層中におけるキラル剤の合計含有量(全てのキラル剤の総含有量)は、液晶化合物の全質量に対して、5.0質量%以下が好ましく、4.0質量%以下がより好ましく、2.0質量%以下がさらに好ましく、1.0質量%以下が特に好ましい。下限は特に制限されないが、0.01質量%以上が好ましく、0.02質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上がさらに好ましい。
重合性液晶組成物を塗布して組成物層を形成する方法は特に制限されず、上述した重合性液晶組成物を塗布する方法が挙げられる。
組成物層の膜厚は特に制限されないが、0.1~20μmが好ましく、0.2~15μmがより好ましく、0.5~10μmがさらに好ましい。
(工程2)
工程2は、組成物層に加熱処理を施して、組成物層中の液晶化合物を配向させる工程である。本工程を実施することにより、組成物層中の液晶化合物が所定の配向状態となる。
加熱処理の条件としては、使用される液晶化合物に応じて最適な条件が選択される。
なかでも、加熱温度としては、10~250℃の場合が多く、40~150℃の場合がより多く、50~130℃の場合がさらに多い。
加熱時間としては、0.1~60分間の場合が多く、0.2~5分間の場合がより多い。
工程1により形成される組成物層中のキラル剤の加重平均螺旋誘起力の絶対値は、0.0~1.9μm-1であることが好ましく、0.0~1.5μm-1であることがより好ましく、0.0~1.0μm-1であることがさらに好ましく、0.0~0.5μm-1であることが特に好ましく、ゼロが最も好ましい。
なお、キラル剤の加重平均螺旋誘起力とは、組成物層中に2種以上のキラル剤が含まれる場合に、組成物層中に含まれる各キラル剤の螺旋誘起力と各キラル剤の組成物層中における濃度(質量%)との積を組成物層中におけるキラル剤の合計濃度(質量%)で除した値の合計値を表す。例えば、2種類のキラル剤(キラル剤Xおよびキラル剤Y)を併用した場合、下記式(Y)により表される。
式(Y) 加重平均螺旋誘起力(μm-1)=(キラル剤Xの螺旋誘起力(μm-1)×組成物層中におけるキラル剤Xの濃度(質量%)+キラル剤Yの螺旋誘起力(μm-1)×組成物層中におけるキラル剤Bの濃度(質量%))/(組成物層中におけるキラル剤Aの濃度(質量%)+組成物層中におけるキラル剤Bの濃度(質量%))
ただし、上記式(Y)において、キラル剤の螺旋方向が右巻きの場合、その螺旋誘起力は正の値とする。また、キラル剤の螺旋方向が左巻きの場合、その螺旋誘起力は負の値とする。つまり、例えば、螺旋誘起力が10μm-1のキラル剤の場合、上記キラル剤により誘起される螺旋の螺旋方向が右巻きであるときは、螺旋誘起力を10μm-1として表す。一方、上記キラル剤により誘起される螺旋の螺旋方向が左巻きであるときは、螺旋誘起力を-10μm-1として表す。
工程1により形成される組成物層中のキラル剤の加重平均螺旋誘起力の絶対値が0である場合には、図4に示すように、支持体16上に、棒状液晶化合物LCがチルトして配向した組成物層18が形成される。上述したように、組成物層には配向制御剤が含まれており、組成物層18中における棒状液晶化合物LCは、支持体16側から離れるにつれて、チルト角が大きくなっている。
なお、図4は、支持体16と組成物層18との断面の概略図である。図4に示す組成物層18にはキラル剤Aとキラル剤Bとが同濃度で存在しており、キラル剤Aにより誘起される螺旋方向が左巻きであり、キラル剤Bにより誘起される螺旋方向が右巻きであるとする。また、キラル剤Aの螺旋誘起力の絶対値と、キラル剤Bの螺旋誘起力の絶対値は同じとする。
(工程3)
工程3は、工程2の後、酸素の存在下にて、組成物層に対して光照射を行う工程である。以下では、図面を用いて本工程の機構を説明する。
図5に示すように、上述した工程2では酸素濃度1体積%以上の条件下にて、支持体16の組成物層18側とは反対側の方向(図5中の白矢印の方向)から光照射を行う。なお、図5では光照射は支持体16側から実施されているが、組成物層18側から実施されてもよい。
その際、組成物層18の支持体16側の第1領域18Aと、支持体16側とは反対側の第2領域18Bとを比較すると、第2領域18Bの表面のほうが空気側にあるため、第2領域18B中の酸素濃度が高く、第1領域18A中の酸素濃度は低い。そのため、組成物層18に対して光照射がなされると、第1領域18Aにおいては液晶化合物の重合が進行しやすく、液晶化合物の配向状態が固定される。なお、第1領域18Aにおいてもキラル剤Aが存在しており、キラル剤Aも感光し、螺旋誘起力が変化する。しかしながら、第1領域18Aでは液晶化合物の配向状態が固定されているため、後述する、光照射された組成物層に対して加熱処理を施す工程4を実施しても、液晶化合物の配向状態の変化は生じない。
また、第2領域18Bにおいては酸素濃度が高いため、光照射がなされても、液晶化合物の重合が酸素により阻害され、重合が進行しにくい。そして、第2領域18Bにおいてもキラル剤Aが存在しているため、キラル剤Aが感光し、螺旋誘起力が変化する。そのため、後述する工程4(加熱処理)を実施すると、変化した螺旋誘起力に沿って液晶化合物の配向状態が変化する。
つまり、工程3を実施することにより、組成物層の基板側の領域においては液晶化合物の配向状態の固定化が進行しやすい。また、組成物層の基板側と反対側の領域においては、液晶化合物の配向状態の固形化は進行しづらく、感光したキラル剤Aに応じて螺旋誘起力が変化する状態となる。
工程3は、酸素濃度1体積%以上の条件下にて実施される。なかでも、光学異方性層中において液晶化合物の配向状態が異なる領域が形成しやすい点で、酸素濃度は2体積%以上が好ましく、5体積%以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、100体積%が挙げられる。
工程3における光照射の照射強度は特に制限されず、キラル剤Aの螺旋誘起力に基づいて適宜決定できる。工程3における光照射の照射量は特に制限されないが、所定の光学異方性層が形成されやすい点で、300mJ/cm2以下が好ましく、200mJ/cm2以下がより好ましい。下限としては、所定の光学異方性層が形成されやすい点で、5mJ/cm2以上が好ましく、10mJ/cm2以上がより好ましい。
なお、工程3での光照射は、15~70℃(好ましくは、15~50℃)にて実施されることが好ましい。
光照射に使用される光は、キラル剤Aが感光する光であればよい。つまり、光照射に使用される光は、キラル剤Aの螺旋誘起力を変化させる活性光線または放射線であれば特に制限されず、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線、X線、紫外線、および、電子線が挙げられる。なかでも、紫外線が好ましい。
(工程4)
工程4は、工程3の後、組成物層に加熱処理を施す工程である。本工程を実施することにより、光照射が施された組成物層中のキラル剤Aの螺旋誘起力が変化した領域において、液晶化合物の配向状態が変化する。
以下では、図面を用いて本工程の機構を説明する。
上述したように、図4に示した組成物層18に対して工程3を実施すると、第1領域18Aにおいては液晶化合物の配向状態が固定されるのに対して、第2領域18Bでは液晶化合物の重合は進行しづらく、液晶化合物の配向状態が固定されていない。また、第2領域18Bにおいてはキラル剤Aの螺旋誘起力が変化している。このようなキラル剤Aの螺旋誘起力の変化が生じると、光照射前の状態と比較すると、第2領域18Bにおいて液晶化合物を捩じる力が変化している。この点をより詳細に説明する。
上述したように、図4に示す組成物層18にはキラル剤Aとキラル剤Bとが同濃度で存在しており、キラル剤Aにより誘起される螺旋方向が左巻きであり、キラル剤Bにより誘起される螺旋方向が右巻きである。また、キラル剤Aの螺旋誘起力の絶対値と、キラル剤Bの螺旋誘起力の絶対値は同じである。よって、光照射を行う前の組成物層中のキラル剤の加重平均螺旋誘起力は0である。
上記の態様を図6に示す。図6においては、縦軸が「キラル剤の螺旋誘起力(μm-1)×キラル剤の濃度(質量%)」を表し、その値がゼロから離れるほど、螺旋誘起力が大きくなる。横軸は「光照射量(mJ/cm)」を表す。
まず、光照射を行う前の組成物層中のキラル剤Aとキラル剤Bとの関係は、光照射量が0の時点に該当し、「キラル剤Aの螺旋誘起力(μm-1)×キラル剤Aの濃度(質量%)」の絶対値と、「キラル剤Bの螺旋誘起力(μm-1)×キラル剤Bの濃度(質量%)」の絶対値とが等しい状態に該当する。つまり、左巻きを誘起するキラル剤Aと右巻きを誘起するキラル剤Bとの両者の螺旋誘起力は相殺されている。
このような状態の第2領域18Bにおいて光照射が行われ、図6に示すように、光照射量によってキラル剤Aの螺旋誘起力が減少する場合、図7に示すように、第2領域18Bにおけるキラル剤の加重平均螺旋誘起力は大きくなり、右巻きの螺旋誘起力が強くなる。つまり、液晶化合物の螺旋を誘起する螺旋誘起力は、照射量が大きいほど、キラル剤Bが誘起する螺旋の方向(+)に螺旋誘起力が大きくなる。
そのため、このような加重平均螺旋誘起力の変化が生じている工程3後の組成物層18に対して、加熱処理を施して液晶化合物の再配向を促すと、図8に示すように、第2領域18Bにおいては、組成物層18の厚み方向に沿って延びる螺旋軸に沿って液晶化合物LCが捩れ配向し、かつ、チルトしている。
一方で、上述したように、組成物層18の第1領域18Aにおいては工程3の際に液晶化合物の重合が進行して液晶化合物の配向状態が固定されているため、液晶化合物の再配向は進行しない。
上記のように、工程4を実施することにより、組成物層の厚み方向に沿って、液晶化合物の配向状態が異なる領域が複数形成される。
上記液晶化合物LCの捩れの程度は、使用されるキラル剤Aの種類、および、工程3の露光量などによって適宜調整でき、所定の捩れ角度を実現できる。
なお、上記においては、キラル剤Aとして光照射により螺旋誘起力が減少するキラル剤を用いた態様について説明したが、この態様には限定されない。例えば、キラル剤Aとして光照射により螺旋誘起力が増加するキラル剤を用いてもよい。その場合、光照射によりキラル剤Aの誘起する螺旋誘起力が大きくなり、キラル剤Aの誘起する旋回方向に液晶化合物が捩れ配向することになる。
また、上記においては、キラル剤Aとキラル剤Bとを併用する態様について説明したが、この態様には限定されない。例えば、2種のキラル剤Aを用いる態様であってもよい。具体的には、左巻きを誘起するキラル剤A1と、右巻きを誘起するキラル剤A2とを併用する態様であってもよい。キラル剤A1およびA2は、それぞれ独立に、螺旋誘起力が増加するキラル剤であってもよいし、螺旋誘起力が減少するキラル剤であってもよい。例えば、左巻きを誘起するキラル剤であって、光照射により螺旋誘起力が増加するキラル剤と、右巻きを誘起するキラル剤であって、光照射により螺旋誘起力が減少するキラル剤とを併用してもよい。
加熱処理の条件としては、使用される液晶化合物に応じて最適な条件が選択される。
なかでも、加熱温度としては、工程3の状態から加熱する温度であることが好ましく、35~250℃の場合が多く、50~150℃の場合がより多く、50℃超150℃以下の場合がさらに多く、60~130℃の場合が特に多い。
加熱時間としては、0.01~60分間の場合が多く、0.03~5分間の場合がより多い。
また、光照射後の組成物層中のキラル剤の加重平均螺旋誘起力の絶対値は特に制限されないが、光照射後の組成物層中のキラル剤の加重平均螺旋誘起力と光照射前の加重平均螺旋誘起力との差の絶対値が、0.05μm-1以上が好ましく、0.05~10.0μm-1がより好ましく、0.1~10.0μm-1がさらに好ましい。
(工程5)
工程5は、工程4の後、組成物層に対して硬化処理を施して、液晶化合物の配向状態を固定し、第1光学異方性層および第2光学異方性層を形成する工程である。本工程を実施することにより、組成物層中の液晶化合物の配向状態が固定され、結果として所定の光学異方性層が形成される。つまり、捩れ配向している液晶化合物を固定してなる光学異方性層と、捩れ配向していない液晶化合物を固定してなる光学異方性層との積層フィルムを、1回の塗布処理で形成することができる。
硬化処理の方法は特に制限されず、光硬化処理および熱硬化処理が挙げられる。なかでも、光照射処理が好ましく、紫外線照射処理がより好ましい。
紫外線照射には、紫外線ランプなどの光源が利用される。
光(例えば、紫外線)の照射量は特に制限されないが、一般的には、100~800mJ/cm2程度が好ましい。
<円偏光板>
上述した光学フィルムは、偏光子と組み合わせて、円偏光板として使用してもよい。
偏光子は、自然光を特定の直線偏光に変換する機能を有する部材であればよく、例えば、吸収型偏光子が挙げられる。
偏光子の種類は特に制限はなく、通常用いられている偏光子を利用でき、例えば、ヨウ素系偏光子、二色性染料を利用した染料系偏光子、および、ポリエン系偏光子が挙げられる。ヨウ素系偏光子および染料系偏光子は、一般に、ポリビニルアルコールにヨウ素または二色性染料を吸着させ、延伸することで作製される。
なお、偏光子の片面または両面には、保護膜が配置されていてもよい。
円偏光板の製造方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。
例えば、密着層を介して、光学フィルムおよび偏光子を貼り合わせる方法が挙げられる。
以下に、円偏光板の好適態様について詳述する。
(第1の実施形態)
円偏光板の第1の実施形態としては、図9に示すように、第1光学異方性層12aと、第2光学異方性層14aと、支持体16と、偏光子20とをこの順で有する円偏光板100aが挙げられる。なお、第1光学異方性層12aおよび第2光学異方性層14aを有する光学フィルム10aの態様は、上述した通りである。
円偏光板100aにおいて、偏光子20の吸収軸と、第2光学異方性層14aの面内遅相軸との関係は、以下の(Xa)または(Ya)の要件を満たすことが好ましい。
(Xa)第2光学異方性層14aの偏光子20側の表面における面内遅相軸と偏光子20の吸収軸とのなす角度は15±10°(5~25°)の範囲内(好ましくは、15±6°の範囲内)にある。
(Ya)第2光学異方性層14aの偏光子20側の表面における面内遅相軸と偏光子20の吸収軸とのなす角度は105±10°(95~115°)の範囲内(好ましくは、105±6°の範囲内)にある。
なお、上述したように、第1光学異方性層12aの第2光学異方性層14a側の表面における面内遅相軸と、第2光学異方性層14aの第1光学異方性層12a側の表面における面内遅相軸とは平行である。
上記(Xa)で表される要件における、偏光子20の吸収軸と、第2光学異方性層14aの面内遅相軸と、第1光学異方性層12aの面内遅相軸との関係に関して、図10を用いてより詳細に説明する。
図10においては、図9に示す円偏光板100aから支持体16を除いた構成を示す。図10中の偏光子20中の矢印は吸収軸を、第2光学異方性層14aおよび第1光学異方性層12a中の矢印はそれぞれの層中の面内遅相軸を表す。また、図11においては、図10の白抜きの矢印から観察した際の、偏光子20の吸収軸と、第2光学異方性層14aの面内遅相軸と、第1光学異方性層12aの面内遅相軸との角度の関係を示す。
なお、図11において面内遅相軸の回転角度は、図10の白抜きの矢印から観察した際、偏光子20の吸収軸を基準に反時計回り方向に正の値、時計回りに負の値をもって表す。
図10においては、偏光子20の吸収軸と第2光学異方性層14aの面内遅相軸とのなす角度φ1aは、15°である。つまり、第2光学異方性層14aの面内遅相軸は、偏光子20の吸収軸に対して、-15°(時計回りに15°)回転している。なお、図10においては、第2光学異方性層14aの面内遅相軸が-15°の位置にある態様を示すが、この態様に限定されず、-15±10°の範囲にあればよい。
また、第2光学異方性層14aは、上述したように、面内遅相軸が両界面において同一である。すなわち、第2光学異方性層14aの偏光子20側の表面141aにおける面内遅相軸と、第1光学異方性層12a側の表面142aにおける面内遅相軸とのなす角度φ2aは、上記φ1aと略同じである。
図10においては、第2光学異方性層14aの第1光学異方性層12a側の表面142aでの面内遅相軸と、第1光学異方性層12aの第2光学異方性層14a側の表面121aでの面内遅相軸とは、平行にある。つまり、偏光子20の吸収軸と第1光学異方性層12aの第2光学異方性層14a側の表面121aでの面内遅相軸とのなす角度φ3aは、上記φ1aと略同じである。
第1光学異方性層12aの第2光学異方性層14a側の表面121aでの面内遅相軸と、第1光学異方性層12aの第2光学異方性層14a側とは反対側の表面122aでの面内遅相軸とは、上述した捩れ角をなす。ここで、図10に示すとおり捩れ角90°を例として説明すると、第1光学異方性層12aの面内遅相軸は、-90°(時計回りに90°)回転する。従って、偏光子20の吸収軸と第1光学異方性層12aの表面122aでの面内遅相軸とのなす角度φ4aは、105°となる。
なお、図10においては、第1光学異方性層12aの表面122aでの面内遅相軸が第1光学異方性層12aの表面121aでの面内遅相軸に対して時計回りに90°回転した態様を示すが、この態様に限定されず、その回転角度は時計回りに70~150°の範囲であればよい。
上述したように、図10の態様では、偏光子20の吸収軸を基準に、第2光学異方性層14aの面内遅相軸が時計回りに15°の位置にあり、第1光学異方性層12a中の液晶化合物の捩れ方向は時計回り(右捩れ)を示す。なお、捩れ方向は、図10の白抜きの矢印から観察し、第1光学異方性層12a中の手前側の表面(表面121a)での面内遅相軸を基準に右捩れか、左捩れかを判断する。
図10においては、第2光学異方性層14aの面内遅相軸と第1光学異方性層12a中の液晶化合物の捩れ方向とが時計回りの態様について詳述したが、所定の角度の関係を満たせば、反時計回りの態様であってもよい。より具体的には、偏光子20の吸収軸を基準に、第2光学異方性層14aの面内遅相軸が反時計回りに15°の位置にあり、第1光学異方性層12a中の液晶化合物の捩れ方向は反時計回り(左捩れ)である態様であってもよい。
これらの態様をまとめると、偏光子20から光学フィルム10aを観察し、反時計まわりを正の角度値で表す場合、偏光子20の吸収軸を基準(0°)として、第2光学異方性層14aの面内遅相軸が15±10°の範囲にあり、かつ、第1光学異方性層12aの捩れ方向が反時計回りである、または、第2光学異方性層14aの面内遅相軸が-15±10°の範囲にあり、かつ、第1光学異方性層12aの捩れ方向が時計回りであればよい。
次に、上記(Ya)で表される実施態様における偏光子20の吸収軸と、第2光学異方性層14aの面内遅相軸と、第1光学異方性層12aの面内遅相軸との関係に関して、図12を用いてより詳細に説明する。
図12においては、図9に示す円偏光板100aから支持体16を除いた構成を示す。図12中の偏光子20中の矢印は吸収軸を、第2光学異方性層14aおよび第1光学異方性層12a中の矢印はそれぞれの層中の面内遅相軸を表す。また、図13においては、図12の白抜きの矢印から観察した際の、偏光子20の吸収軸と、第2光学異方性層14aの面内遅相軸と、第1光学異方性層12aの面内遅相軸との角度の関係を示す。
なお、図13において面内遅相軸の回転角度は、図12の白抜きの矢印から観察した際、偏光子20の吸収軸を基準に反時計回り方向に正の値、時計回りに負の値をもって表す。
図12に示す態様は、偏光子20の吸収軸が図12中の偏光子20の吸収軸と90°異なる点を除いて、図10に示す態様と同一の構成を有する。
図12においては、偏光子20の吸収軸と第2光学異方性層14aの面内遅相軸とのなす角度φ1aは、105°である。つまり、第2光学異方性層14aの面内遅相軸は、偏光子20の吸収軸に対して、-105°(時計回りに105°)回転している。なお、図12においては、第2光学異方性層14aの面内遅相軸が-105°の位置にある態様を示すが、この態様に限定されず、-105±10°の範囲にあればよい。
また、第2光学異方性層14aは、上述したように、面内遅相軸が両界面において同一である。すなわち、第2光学異方性層14aの偏光子20側の表面141aにおける面内遅相軸と、第1光学異方性層12a側の表面142aにおける面内遅相軸とのなす角度φ2aは、上記φ1aと略同じである。
図12においては、図10と同様に、第2光学異方性層14aの第1光学異方性層12a側の表面142aでの面内遅相軸と、第1光学異方性層12aの第2光学異方性層14a側の表面121aでの面内遅相軸とは、平行である。つまり、偏光子20の吸収軸と第1光学異方性層12aの第2光学異方性層14a側の表面121aでの面内遅相軸とのなす角度φ3aは、上記φ1aと略同じである。
図12においては、図10と同様に、第1光学異方性層12aの第2光学異方性層14a側の表面121aでの面内遅相軸と、第1光学異方性層12aの第2光学異方性層14a側とは反対側の表面122aでの面内遅相軸とは、上述した捩れ角をなす。ここで、図3に示すとおり捩れ角90°を例として説明すると、第1光学異方性層12aの面内遅相軸は、-90°(時計回りに90°)回転する。従って、偏光子20の吸収軸と第1光学異方性層12aの表面122aでの面内遅相軸とのなす角度φ4aは、195°となる。
上述したように、図12の態様では、偏光子20の吸収軸を基準に、第2光学異方性層14aの面内遅相軸が-105°の位置にあり、第1光学異方性層12a中の液晶化合物の捩れ方向は時計回り(右捩れ)を示す。なお、捩れ方向は、図12の白抜きの矢印から観察し、第1光学異方性層12a中の手前側の表面(表面121a)での面内遅相軸を基準に右捩れか、左捩れを判断する。
図12においては、第2光学異方性層14aの面内遅相軸と第1光学異方性層12a中の液晶化合物の捩れ方向とが時計回りの態様について詳述したが、所定の角度の関係を満たせば、反時計回りの態様であってもよい。より具体的には、偏光子20の吸収軸を基準に、第2光学異方性層14aの面内遅相軸が105°の位置にあり、第1光学異方性層12a中の液晶化合物の捩れ方向は反時計回り(左捩れ)である態様であってもよい。
これらの態様をまとめると、偏光子20から光学フィルム10aを観察し、反時計まわりを正の角度値で表す場合、偏光子20の吸収軸を基準(0°)として、第2光学異方性層14aの面内遅相軸が105±10°の範囲にあり、かつ、第1光学異方性層12aの捩れ方向が反時計回りである、または、第2光学異方性層14aの面内遅相軸が-105±10°の範囲にあり、かつ、第1光学異方性層12aの捩れ方向が時計回りであればよい。
なお、図10に示す態様((Xa)の要件)および図12に示す態様((Ya)の要件)のうち、図10に示す態様であることがより好ましい。
(第2の実施形態)
円偏光板の第2の実施形態としては、図14に示すように、第1光学異方性層12bと、第2光学異方性層14bと、支持体16と、偏光子20とをこの順で有する円偏光板100bが挙げられる。
円偏光板100bにおいて、偏光子20の吸収軸と、第2光学異方性層14bの面内遅相軸との関係が、下記(Xb)または(Yb)の要件を満たすことが好ましい。
(Xb)第2光学異方性層14bの偏光子20側の表面における面内遅相軸と偏光子20の吸収軸とのなす角度は0±10°(-10~10°)の範囲内(好ましくは、0±6°の範囲内)にある。
(Yb)第2光学異方性層14bの偏光子20側の表面における面内遅相軸と偏光子20の吸収軸とのなす角度は90±10°(80~100°)の範囲内(好ましくは、90±6°の範囲内)にある。
なお、上述したように、第1光学異方性層12bの第2光学異方性層14b側の表面における面内遅相軸と、第2光学異方性層14bの第1光学異方性層12b側の表面における面内遅相軸とは平行である。
上記(Xb)で表される要件における、偏光子20の吸収軸と、第2光学異方性層14bの面内遅相軸と、第1光学異方性層12bの面内遅相軸との関係に関して、図15を用いてより詳細に説明する。
図15においては、図14に示す円偏光板100bから支持体16を除いた構成を示す。図15中の偏光子20中の矢印は吸収軸を、第2光学異方性層14bおよび第1光学異方性層12b中の矢印はそれぞれの層中の面内遅相軸を表す。また、図16においては、図10の白抜きの矢印から観察した際の、偏光子20の吸収軸と、第2光学異方性層14bの面内遅相軸と、第1光学異方性層12bの面内遅相軸との角度の関係を示す。
なお、図16において面内遅相軸の回転角度は、図15の白抜きの矢印から観察した際、偏光子20の吸収軸を基準に反時計回り方向に正の値、時計回りに負の値をもって表す。
図15においては、偏光子20の吸収軸と第2光学異方性層14bの偏光子20側の表面141bでの面内遅相軸とは、平行である。平行の定義は、上述の通りである。
第2光学異方性層14bは、上述したように、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した液晶化合物を固定してなる層である。そのため、図15に示すように、第2光学異方性層14bの偏光子20側の表面141bでの面内遅相軸と、第2光学異方性層14bの第1光学異方性層12b側の表面142bでの面内遅相軸とは、上述した捩れ角(なお、図15においては、26.5°)をなす。つまり、第2光学異方性層14bの面内遅相軸は、-26.5°(時計回りに26.5°)回転する。従って、偏光子20の吸収軸と第2光学異方性層14bの表面142bでの面内遅相軸とのなす角度φ2bは、26.5°となる。
なお、図15においては、第2光学異方性層14bの表面142bでの面内遅相軸が第2光学異方性層14bの表面141bでの面内遅相軸に対して時計回りに26.5°回転した態様を示すが、この態様に限定されず、その回転角度は時計回りに5~45°の範囲であればよい。
図15においては、第2光学異方性層14bの第1光学異方性層12b側の表面142bでの面内遅相軸と、第1光学異方性層12bの第2光学異方性層14b側の表面121bでの面内遅相軸とは、平行にある。つまり、偏光子20の吸収軸と第1光学異方性層12bの第2光学異方性層14b側の表面121bでの面内遅相軸とのなす角度φ3bは、上記角度φ2bと略同じである。
第1光学異方性層12bには、上述したように、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した液晶化合物を固定してなる層である。そのため、図15に示すように、第1光学異方性層12bの第2光学異方性層14b側の表面121bでの面内遅相軸と、第1光学異方性層12bの第2光学異方性層14b側とは反対側の表面122bでの面内遅相軸とは、上述した捩れ角(なお、図4においては、78.6°)をなす。つまり、第1光学異方性層12bの面内遅相軸は、-78.6°(時計回りに78.6°)回転する。従って、偏光子20の吸収軸と第1光学異方性層12bの表面122bでの面内遅相軸とのなす角度φ24は、105.1°となる。
なお、図15においては、第1光学異方性層12bの表面122bでの面内遅相軸が第1光学異方性層12bの表面121bでの面内遅相軸に対して時計回りに78.6°回転した態様を示すが、この態様に限定されず、その回転角度は時計回りに68~148°の範囲であればよい。
上述したように、図15の態様では、偏光子20の吸収軸を基準に、第1光学異方性層12b中および第2光学異方性層14b中の液晶化合物の捩れ方向がともに時計回り(右捩れ)を示す。
図15においては、捩れ方向が時計回り(右捩れ)の態様について詳述したが、第1光学異方性層12b中および第2光学異方性層14b中の液晶化合物の捩れ方向がともに反時計回りの態様であってもよい。
次に、上記(Yb)で表される実施態様における偏光子20の吸収軸と、第1光学異方性層12bの面内遅相軸と、第2光学異方性層14bの面内遅相軸との関係に関して、図7を用いてより詳細に説明する。
図17においては、上記(Yb)の関係を満たす図14に示す円偏光板100bから支持体16を除いた構成を示す。図17中の偏光子20中の矢印は吸収軸を、第1光学異方性層12bおよび第2光学異方性層14b中の矢印はそれぞれの層中の面内遅相軸を表す。また、図18においては、図17の白抜きの矢印から観察した際の、偏光子20の吸収軸と、第1光学異方性層12bの表面121bおよび表面122bでの面内遅相軸と、第2光学異方性層14bの表面141bおよび表面142bでの面内遅相軸との角度の関係を示す。
なお、図18においては、図17の白抜きの矢印から観察した際、面内遅相軸の回転角度は、偏光子20の吸収軸を基準(0°)に反時計回り方向に正、時計回りに負の角度値をもって表す。
図17に示す態様は、偏光子20の吸収軸が図15中の偏光子20の吸収軸と90°異なる点を除いて、図15に示す態様と同一の構成を有する。
図17においては、偏光子20の吸収軸と第2光学異方性層14bの表面141bでの面内遅相軸とは、直交する。つまり、偏光子20の吸収軸と第2光学異方性層14bの表面141bでの面内遅相軸とのなす角度φ1bは、90°である。なお、直交の定義は、上述の通りである。
また、第2光学異方性層14bの偏光子20側の表面141bでの面内遅相軸と、第2光学異方性層14bの第1光学異方性層12b側の表面142bでの面内遅相軸とは、上述した捩れ角(なお、図17においては、26.5°)をなす。つまり、第2光学異方性層14bの面内遅相軸は、-26.5°(時計回りに26.5°)回転する。従って、偏光子20の吸収軸と第2光学異方性層14bの表面142bでの面内遅相軸とのなす角度φ2bは、116.5°となる。
なお、図17においては、第2光学異方性層14bの表面142bでの面内遅相軸が第2光学異方性層14bの表面141bでの面内遅相軸に対して時計回りに26.5°回転した態様を示すが、この態様に限定されず、その回転角度は時計回りに5~45°の範囲であればよい。
図17においては、第2光学異方性層14bの第1光学異方性層12b側の表面142bでの面内遅相軸と、第1光学異方性層12bの第2光学異方性層14b側の表面121bでの面内遅相軸とは、平行にある。つまり、偏光子20の吸収軸と第1光学異方性層12bの第2光学異方性層14b側の表面121bでの面内遅相軸とのなす角度φ3bは、上記φ2bと略同じである。
第1光学異方性層12bの第2光学異方性層14b側の表面121bでの面内遅相軸と、第1光学異方性層12bの第2光学異方性層14b側とは反対側の表面122bでの面内遅相軸とは、上述した捩れ角(なお、図17においては、78.6°)をなす。つまり、第1光学異方性層12bの面内遅相軸は、-78.6°(時計回りに78.6°)回転する。従って、偏光子20の吸収軸と第1光学異方性層12bの表面122bでの面内遅相軸とのなす角度φ4bは、195.1°となる。
なお、図17においては、第1光学異方性層12bの表面122bでの面内遅相軸が第1光学異方性層12bの表面121bでの面内遅相軸に対して時計回りに78.6°回転した態様を示すが、この態様に限定されず、その回転角度は時計回りに68~148°の範囲であればよい。
上述したように、図17の態様では、偏光子20の吸収軸を基準に、第1光学異方性層12b中および第2光学異方性層14b中の液晶化合物の捩れ方向がともに時計回り(右捩 れ)を示す。
図17においては、捩れ方向が時計回り(右捩れ)の態様について詳述したが、第1光学異方性層12b中および第2光学異方性層14b中の液晶化合物の捩れ方向がともに反時計回りの態様であってもよい。
なお、図15に示す態様((Xb)の要件)および図17に示す態様((Yb)の要件)のうち、図15に示す態様であることがより好ましい。
(第3の実施形態)
円偏光板の第3の実施形態としては、図24に示すように、第1光学異方性層12cと、第2光学異方性層14cと、支持体16と、偏光子20とをこの順で有する円偏光板100cが挙げられる。
円偏光板100cにおいて、偏光子20の吸収軸と、第2光学異方性層14cの面内遅相軸との関係が、下記(Xc)または(Yc)の要件を満たすことが好ましい。
(Xc)第2光学異方性層14cの偏光子20側の表面における面内遅相軸と偏光子20の吸収軸とのなす角度は30±10°(20~40°)の範囲内(好ましくは、25~40°の範囲内)にある。
(Yc)第2光学異方性層14cの偏光子20側の表面における面内遅相軸と偏光子20の吸収軸とのなす角度は120±10°(110~130°)の範囲内(好ましくは、115~130°の範囲内)にある。
なお、上述したように、第1光学異方性層12cの第2光学異方性層14c側の表面における面内遅相軸と、第2光学異方性層14cの第1光学異方性層12c側の表面における面内遅相軸とは平行である。
(第4の実施形態)
円偏光板の第4の実施形態としては、図25に示すように、第1光学異方性層12dと、第2光学異方性層14dと、支持体16と、偏光子20とをこの順で有する円偏光板100dが挙げられる。
円偏光板100dにおいて、偏光子20の吸収軸と、第2光学異方性層14dの面内遅相軸との関係が、下記(Xd)または(Yd)の要件を満たすことが好ましい。
(Xd)第2光学異方性層14dの偏光子20側の表面における面内遅相軸と偏光子20の吸収軸とのなす角度は20±20°(0~40°)の範囲内(好ましくは、10~40°の範囲内)にある。
(Yd)第2光学異方性層14dの偏光子20側の表面における面内遅相軸と偏光子20の吸収軸とのなす角度は110±20°(90~130°)の範囲内(好ましくは、100~130°の範囲内)にある。
なお、上述したように、第1光学異方性層12dの第2光学異方性層14d側の表面における面内遅相軸と、第2光学異方性層14dの第1光学異方性層12d側の表面における面内遅相軸とは非平行である。
<有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置>
本発明の有機EL表示装置は、上述した光学フィルム(または円偏光板)を有する。通常、円偏光板は、有機EL表示装置の有機EL表示パネル上に設けられる。例えば、図19に示すように、有機EL表示装置200は、少なくとも、有機EL表示パネル22と、光学フィルム10aと、偏光子20とを有する。なお、光学フィルム10aの代わりに、上述した第2の実施態様で説明した光学フィルム10bを用いてもよい。
なお、有機EL表示装置は図19の態様に限定されず、図20に示すように、有機EL表示装置210は、偏光子20上にさらに保護膜24を有していてもよい。
有機EL表示パネル22は、陽極、陰極の一対の電極間に発光層もしくは発光層を含む複数の有機化合物薄膜を形成した部材であり、発光層のほか正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、保護層などを有してもよく、またこれらの各層はそれぞれ他の機能を備えたものであってもよい。各層の形成にはそれぞれ種々の材料を用いることができる。
本発明の光学フィルムは、上述した有機EL表示装置以外の他の表示装置に適用してもよい。他の表示装置としては、液晶表示装置が挙げられる。
また、本発明の光学フィルムは、外光反射防止用途以外にも、他の用途にも適用してもよい。他の用途としては、液晶表示装置の光学補償層などが挙げられる。
なお、本発明の光学フィルムは、λ/4板として種々の用途に適用することが可能である。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、および、処理手順は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更できる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<支持体の準備>
特開2014-209219号公報の表1に記載の支持体5を、同様の手順に従って、作製し、支持体1とした。得られた支持体1のRth(550)は0nmであった。
<実施例1>
特開2014-209219号公報の段落0116~0119の記載の手順に従って、上記で作製した支持体1のアルカリ鹸化処理と、配向膜の形成を行った。
(光学異方性層Aの形成)
上記作製した配向膜に連続的にラビング処理を施した。このとき、長尺状のフィルムの長手方向と搬送方向は平行であり、フィルム長手方向に対するラビング方向が15°になるように調節した。
なお、ラビング方向の角度は、後述する光学異方性層Bが積層される面側から支持体を観察して、支持体の長手方向を基準の0°とし、反時計回り方向に正の角度値、時計回りに負の角度値をもって表す。
次に、表1に示す棒状液晶化合物を含む光学異方性層形成用組成物(RLC(1))を上記作製した配向膜上に#3のワイヤーバーで塗布した。フィルムの搬送速度(V)は5m/minとした。その後、組成物中の溶媒の乾燥および棒状液晶化合物の配向熟成のために、得られた塗膜を95℃の温風で1.5分間加熱した。次に、窒素環境下にて、塗膜に対して60℃にて紫外線(UV)照射(500mJ/cm2)を行い、棒状液晶化合物の配向を固定化して、光学異方性層Aを得た。光学異方性層Aの厚さは1.12μmであり、波長550nmにおけるΔn1d1は168nmであった。
(光学異方性層Bの形成)
上記で作製した光学異方性層Aにラビング処理を施すことなく、表1に示す棒状液晶化合物を含む光学異方性層形成用組成物(RLC(2))を、上記作製した光学異方性層A上に#3のワイヤーバーで塗布した。フィルムの搬送速度(V)は5m/minとした。その後、組成物中の溶媒の乾燥および棒状液晶化合物の配向熟成のために、得られた塗膜を110℃の温風で2分間加熱した。次に、窒素環境下にて、塗膜に対して80℃にてUV照射(500mJ/cm2)を行い、棒状液晶化合物の配向を固定化して、光学異方性層Bを得た。光学異方性層Bの厚さは1.45μmであり、波長550nmにおけるΔn2d2は218nmであった。
なお、光学異方性層Bの光学異方性層A側の表面における面内遅相軸は、光学異方性層Aの光学異方性層B側の表面における面内遅相軸と平行であった。
また、光学異方性層B中の棒状液晶化合物の捩れ角は90°であり、支持体の長手方向を基準の0°とすると、光学異方性層Bの光学異方性層A側とは反対側の表面における面内遅相軸の回転角度は105°であった。つまり、棒状液晶化合物は右回りに捩れ構造を形成していた。
なお、上記面内遅相軸の回転角度は、支持体の長手方向を基準の0°として、光学異方性層が積層される面側から支持体を観察し、反時計回り方向に正、時計回りに負の角度値をもって表す。
また、ここで棒状液晶化合物の捩れ構造は、光学異方性層が積層される面側から支持体を観察して、光学異方性層Bの光学異方性層A側とは反対側の表面における面内遅相軸を基準に、面内遅相軸が右回りか左回りかを判断する。
(偏光子の作製)
厚さ80μmのポリビニルアルコールフィルムを、ヨウ素濃度0.05質量%のヨウ素水溶液中に30℃で60秒浸漬して染色した。次に、得られたフィルムをホウ酸濃度4質量%濃度のホウ酸水溶液中に60秒浸漬している間に元の長さの5倍に縦延伸した後、50℃で4分間乾燥させて、厚さ20μmの偏光子を得た。
(偏光子保護フィルムの作製)
市販のセルロースアシレート系フィルム「TD80UL」(富士フイルム株式会社製)を準備し、1.5モル/リットルで55℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した後、水で十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、0.005モル/リットルで35℃の希硫酸水溶液に得られたフィルムを1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に、得られたフィルムを120℃で十分に乾燥させて、表面を鹸化処理した偏光子保護フィルムを作製した。
(円偏光板の作製)
上記で作製された支持体と光学異方性層Aと光学異方性層Bとを備える光学フィルムの支持体の露出表面上に、前述の偏光子および前述の偏光子保護フィルムをポリビニルアルコール系接着剤を用いて連続的に貼り合せ、長尺状の円偏光板(P-1)を作製した。つまり、円偏光板(P-1)は、偏光子保護フィルム、偏光子、支持体、光学異方性層A(上記第1の実施態様の第2光学異方性層に該当)、および、光学異方性層B(上記第1の実施態様の上記第1光学異方性層に該当)をこの順で有していた。
なお、偏光子の吸収軸は円偏光板の長手方向と一致しており、偏光子の吸収軸に対する光学異方性層Aの面内遅相軸の回転角度は-15°であり、光学異方性層Bの光学異方性層Aとは反対側の表面における面内遅相軸の回転角度は-105°であった。
なお、上記面内遅相軸の回転角度は、偏光子側から光学異方性層を観察して、支持体の長手方向を基準の0°とし、反時計回り方向に正、時計回りに負の角度値をもって表す。
<実施例2~9、比較例1>
光学異方性層Aおよび光学異方性層Bの製造の際に光学異方性層形成用組成物を表1および表2のとおり変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って円偏光板(P-2)~(P-9)および円偏光板(C-1)を製造した。
なお、円偏光板(P-2)~(P-9)および円偏光板(C-1)での偏光子の吸収軸と、光学異方性層Aの面内遅相軸とのなす角度の関係は、表2に示すように、円偏光板(P-1)と同様であった。
<実施例10>
(光学異方性層Aの形成)の際のフィルム長手方向に対するラビング方向を15°から105°に変更した以外は、実施例1と同様の手順を実施し、円偏光板(P-10)を製造した。
<実施例11、比較例2>
光学異方性層Aおよび光学異方性層Bの製造の際に光学異方性層形成用組成物を表2のとおり変更し、(光学異方性層Aの形成)の際のフィルム長手方向に対するラビング方向を15°から0°に変更した以外は、実施例1と同様の手順を実施し、円偏光板(P-11)および円偏光板(C-2)を製造した。
<実施例12>
表1に示す棒状液晶化合物を含む光学異方性層形成用組成物(RLC(19))を用いて、光学異方性層Aおよび光学異方性層Bを一回の塗布で一括製造した。
実施例1と同様のラビング支持体上に光学異方性層形成用組成物(RLC(19))を塗布し、80℃で60秒間加熱した。この加熱により組成物層の棒状液晶化合物が所定の方向に配向した。
その後、酸素を含む空気下、30℃にて、365nmのLEDランプ(アクロエッジ(株)製)使用して紫外線照射した(70mJ/cm2)。続いて、得られた組成物層を80℃で10秒間加熱した。その後、窒素パージを行って、酸素濃度100体積ppmとして、80℃にて、メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を使用して紫外線照射し(500mJ/cm2)、液晶化合物の配向状態を固定した光学異方性層を形成した。さらに、実施例1と同様の手法にて、円偏光板(P-12)を製造した。
<実施例13~17>
光学異方性層Aおよび光学異方性層Bの製造の際に光学異方性層形成用組成物を表2のとおり変更し、光学異方性層Aの形成の際のフィルム長手方向に対するラビング方向を表2に記載のとおりに変更した以外は、実施例1と同様の手順を実施し、円偏光板(P-13)~(P-17)を製造した。
<実施例18~21>
光学異方性層Aおよび光学異方性層Bの製造の際に光学異方性層形成用組成物を表2のとおり変更し、光学異方性層Aの形成の際のフィルム長手方向に対するラビング方向を表2に記載のとおりに変更し、光学異方性層Bの形成の直前に、光学異方性層Aの表面をラビングした(フィルム長手方向に対するラビング方向は表2に記載)以外は、実施例1と同様の手順を実施し、円偏光板(P-18)~(P-21)を製造した。
なお、各実施例で作製した光学異方性層Aと光学異方性層Bとを備える光学フィルムをAxoScanで測定したところ、すべての光学フィルムがRe(450)/Re(550)<1を満たすことを確認した。
以下の表1に、上記実施例および比較例で使用した光学異方性層形成用組成物の組成を示す。
なお、各光学異方性層形成用組成物は、溶媒として2-ブタノン(富士フイルム和光純薬製)を含んでいた。
Figure 0007232939000001
Figure 0007232939000002
Figure 0007232939000003
Figure 0007232939000004
Figure 0007232939000005
Figure 0007232939000006
化合物1(以下、化合物の混合物に該当し、数値(%)は各化合物の混合物中における含有量(質量%)を表す。)
Figure 0007232939000007
化合物2
Figure 0007232939000008
(化合物3の合成)
FAAC-6(ユニマテック社製)2.5g、及びアクリル酸(富士フイルム和光純薬製)2.5gを通常のラジカル重合手法にて重合し、以下の化合物3を得た。
Figure 0007232939000009
化合物4
Figure 0007232939000010
化合物5
Figure 0007232939000011
化合物6
Figure 0007232939000012
化合物7
Figure 0007232939000013
また、上記実施例の結果を以下にまとめて示す。
なお、実施例および比較例における光学異方性層Aおよび光学異方性層BのΔnd、チルト角、平均チルト角、および、偏光子の吸収軸との角度はAxometrics社のAxoscanを用いて測定を行った。
また、表2中のラビング方向の角度は、光学異方性層が積層される面側から支持体を観察して、支持体の長手方向を基準の0°とし、反時計回り方向に正、時計回りに負の角度値をもって表す。
一方、偏光子の吸収軸に対する、光学異方性層Aおよび光学異方性層Bの面内遅相軸の回転角度は、偏光子側から光学異方性層を観察して、偏光子の吸収軸を基準の0°とし、反時計回り方向に正、時計回りに負の角度値をもって表す。
また、表2中の「捩れ角」欄が正の数値である場合、光学異方性層が積層される面側から支持体を観察して、光学異方性層の支持体側の表面における面内遅相軸を基準にして、反時計回り方向に捩れることを意味し、「捩れ角」欄が負の数値である場合、光学異方性層が積層される面側から支持体を観察して、光学異方性層の支持体側の表面における面内遅相軸を基準にして、時計回り方向に捩れることを意味する。
Figure 0007232939000014
Figure 0007232939000015
Figure 0007232939000016
<比較例3および4>
重量平均分子量10万のポリカーボネートを塩化メチレンに溶解して、18質量%溶液を得た。この溶液をガラス板上に、乾燥膜厚が80μmになるように流涎し、得られたガラス板を室温で30分乾燥後、70℃で1時間乾燥した。得られたポリカーボネートフィルムをガラス板から剥離して、10cm×20cmのサイズに裁断し、160℃で長手方向に4%延伸し位相差板であるλ/4板を得た。また、160℃で8%延伸する以外は同様の手順で位相差板であるλ/2板を得た。それぞれの面内遅相軸はフィルムの長手方向に平行であり、波長550nmでのReはλ/4板が137.5nm、λ/2板が275nmであった。
上記で作製されたλ/4板上に、前述の偏光子および前述の偏光子保護フィルムをλ/4板の面内遅相軸と偏光子の吸収軸とのなす角度が45°になるようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合せ、円偏光板(比較例3)を作製した。つまり、比較例3の円偏光板は、偏光子保護フィルム、偏光子、λ/4板をこの順で有する。
また、上記で作製されたλ/4板上にλ/2板を粘着剤を用いて、各々の面内遅相軸が60°で交差するように貼り合わせた。さらにλ/2板上に、前述の偏光子および前述の偏光子保護フィルムをλ/2板の面内遅相軸と偏光子の吸収軸とのなす角度が15°になるようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合せ、円偏光板(比較例4)を作製した。つまり、円偏光板(比較例4)は、偏光子保護フィルム、偏光子、λ/2板、λ/4板をこの順で有する。なお、偏光子の吸収軸とλ/2板の面内遅相軸とのなす角度が15°で、偏光子の吸収軸とλ/4板の面内遅相軸とのなす角度は75°であった。
<有機EL表示装置への実装および表示性能の評価>
(表示装置への実装)
有機EL表示パネル搭載のSAMSUNG社製GALAXY SIIを分解し、円偏光板を剥離して、そこに実施例1~12および比較例1~4で作製した円偏光板を、偏光子保護フィルムが外側に配置されるように、表示装置に貼り合せた。
(表示性能の評価)
(正面方向)
作製した有機EL表示装置について、正面方向からの黒色の色味づきを評価した。表示装置に黒表示をして、正面より観察し、下記の基準で評価した。結果は表3にまとめて示す。
4:色味づきが全く視認されない。(許容)
3:色味づきが視認されるものの、ごくわずか。(許容)
2:色味づきがやや視認され、反射光もややあり、許容できない。
1:色味づきが視認され、反射光も多く、許容できない。
(斜め方向)
作製した有機EL表示装置について、斜め方向からの黒色の色味づきを評価した。表示装置に黒表示をして、極角60度より観察し、下記の基準で評価した。結果は表3にまとめて示す。
5:色味づきが全く視認されない。(許容)
4:色味づきが視認されるものの、ごくわずか。(許容)
3:色味づきがわずかに視認される。(許容)
2:色味づきがやや視認され、反射光もややあり、許容できない。
1:色味づきが視認され、反射光も多く、許容できない。
Figure 0007232939000017
Figure 0007232939000018
Figure 0007232939000019
上記表3に示すように、本発明の光学フィルムを使用すると、所望の効果が得られた。
実施例1~2、9、11、12と実施例3~8との対比から、平均チルト角が好ましい範囲(15~40°)にある場合、チルト角が好ましい範囲(30°以上)および、捩れ角が好ましい範囲(75~130°)にある場合において、性能がより優れることが分かる。
また、実施例1~6と実施例7~8との対比から、第1光学異方性層の平均チルト角が2°以上チルトしている場合において、性能がより優れることが分かる。
また、実施例1(図10に示す態様)と実施例10(図12に示す態様)の対比から、図10および図12に示す態様のうち、図10に示す態様の場合において、性能がより優れることが分かる。
また、実施例11、16、17の対比から、第2の実施態様に該当する場合において、チルト角およびΔndが好ましい範囲(式(3B) 148nm≦Δn1d1≦276nm)にあるとき、性能により優れることが分かる。
また、実施例13~15の対比から、第3の実施態様に該当する場合において、Δndが好ましい範囲(式(5A) 180nm≦Δn1d1≦340nm)にあるとき、性能により優れることが分かる。
また、実施例18~21の対比から、第4の実施態様に該当する場合において、チルト角およびΔndが好ましい範囲にあるとき、性能により優れることが分かる。
また、請求項1、11、13と請求項18との対比により、光学異方性層AとBの界面において、両層の遅相軸が平行である場合に、性能により優れることが分かる。
なお、上記実施例では、右捩れ構造を形成する液晶化合物を用いて第1光学異方性層を製造したが、左捩れ構造を形成する液晶化合物を用いた場合も、上述したように偏光子の吸収軸、第1光学異方性層の面内遅相軸、および、第2光学異方性層の面内遅相軸との関係を調整することにより、所望の特性を示す円偏光板を形成することができた。
10a,10b,10c,10d 光学フィルム
12a,12b,12c,12d 第1光学異方性層
14a,14b,14c,14d 第2光学異方性層
16 支持体
18 組成物層
20 偏光子
22 有機EL表示パネル
24 保護膜
100a,100b 円偏光板
200,210 有機EL表示装置

Claims (8)

  1. 第1光学異方性層および第2光学異方性層を有し、
    前記第1光学異方性層および前記第2光学異方性層の少なくとも一方が、液晶化合物を固定してなる層であり、前記液晶化合物の平均チルト角が2°以上であり、
    前記第1光学異方性層および前記第2光学異方性層の少なくとも一方が、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した液晶化合物を固定してなる層であり、前記捩れ配向した液晶化合物の捩れ角度が10~180°であり、
    前記第1光学異方性層が、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した第1液晶化合物を固定してなる層であり、
    前記第1液晶化合物の捩れ角度が70~150°であり、
    前記第2光学異方性層が、第2液晶化合物を用いて形成された層であり、
    前記第1液晶化合物の平均チルト角、および、前記第2液晶化合物の平均チルト角の少なくとも一方が2°以上であり、
    波長550nmで測定した前記第1光学異方性層の屈折率異方性Δn1と前記第1光学異方性層の厚みd1との積Δn1d1の値が式(1)の関係を満たし、
    波長550nmで測定した前記第2光学異方性層の屈折率異方性Δn2と前記第2光学異方性層の厚みd2との積Δn2d2の値が式(2)の関係を満たし、
    前記第1光学異方性層の前記第2光学異方性層側の表面での面内遅相軸と、前記第2光学異方性層の前記第1光学異方性層側の表面での面内遅相軸とは平行である、光学フィルム。
    式(1) 142nm≦Δn1d1≦400nm
    式(2) 138nm≦Δn2d2≦238nm
  2. 第1光学異方性層および第2光学異方性層を有し、
    前記第1光学異方性層および前記第2光学異方性層の少なくとも一方が、液晶化合物を固定してなる層であり、前記液晶化合物の平均チルト角が2°以上であり、
    前記第1光学異方性層および前記第2光学異方性層の少なくとも一方が、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した液晶化合物を固定してなる層であり、前記捩れ配向した液晶化合物の捩れ角度が10~180°であり、
    前記第1光学異方性層が、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した第1液晶化合物を固定してなる層であり、
    前記捩れ配向した第1液晶化合物の捩れ角度が68~148°であり、
    前記第2光学異方性層が、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した第2液晶化合物を固定してなる層であり、
    前記捩れ配向した第2液晶化合物の捩れ角度が5~45°であり、
    前記第1液晶化合物の捩れ方向と前記第2液晶化合物の捩れ方向とが同じ向きであり、
    前記第1液晶化合物の平均チルト角、および、前記第2液晶化合物の平均チルト角の少なくとも一方が2°以上であり、
    波長550nmで測定した前記第1光学異方性層の屈折率異方性Δn1と前記第1光学異方性層の厚みd1との積Δn1d1の値が式(3)の関係を満たし、
    波長550nmで測定した前記第2光学異方性層の屈折率異方性Δn2と前記第2光学異方性層の厚みd2との積Δn2d2の値が式(4)の関係を満たし、
    前記第1光学異方性層の前記第2光学異方性層側の表面での面内遅相軸と、前記第2光学異方性層の前記第1光学異方性層側の表面での面内遅相軸とは平行である、光学フィルム。
    式(3) 118nm≦Δn1d1≦376nm
    式(4) 125nm≦Δn2d2≦425nm
  3. 第1光学異方性層および第2光学異方性層を有し、
    前記第1光学異方性層および前記第2光学異方性層の少なくとも一方が、液晶化合物を固定してなる層であり、前記液晶化合物の平均チルト角が2°以上であり、
    前記第1光学異方性層および前記第2光学異方性層の少なくとも一方が、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した液晶化合物を固定してなる層であり、前記捩れ配向した液晶化合物の捩れ角度が10~180°であり、
    前記第1光学異方性層が、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した第1液晶化合物を固定してなる層であり、
    前記捩れ配向した第1液晶化合物の捩れ角度が72~126°であり、
    前記第2光学異方性層が、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した第2液晶化合物を固定してなる層であり、
    前記捩れ配向した第2液晶化合物の捩れ角度が5~45°であり、
    前記第1液晶化合物の捩れ方向と前記第2液晶化合物の捩れ方向とが逆向きであり、
    前記第1液晶化合物の平均チルト角、および、前記第2液晶化合物の平均チルト角の少なくとも一方が2°以上であり、
    波長550nmで測定した前記第1光学異方性層の屈折率異方性Δn1と前記第1光学異方性層の厚みd1との積Δn1d1の値が式(5)の関係を満たし、
    波長550nmで測定した前記第2光学異方性層の屈折率異方性Δn2と前記第2光学異方性層の厚みd2との積Δn2d2の値が式(6)の関係を満たし、
    前記第1光学異方性層の前記第2光学異方性層側の表面での面内遅相軸と、前記第2光学異方性層の前記第1光学異方性層側の表面での面内遅相軸とは平行である、光学フィルム。
    式(5) 140nm≦Δn1d1≦500nm
    式(6) 70nm≦Δn2d2≦300nm
  4. 第1光学異方性層および第2光学異方性層を有し、
    前記第1光学異方性層および前記第2光学異方性層の少なくとも一方が、液晶化合物を固定してなる層であり、前記液晶化合物の平均チルト角が2°以上であり、
    前記第1光学異方性層および前記第2光学異方性層の少なくとも一方が、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した液晶化合物を固定してなる層であり、前記捩れ配向した液晶化合物の捩れ角度が10~180°であり、
    前記第1光学異方性層が、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した第1液晶化合物を固定してなる層であり、
    前記捩れ配向した第1液晶化合物の捩れ角度が5~120°であり、
    前記第2光学異方性層が、第2液晶化合物を用いて形成された層であり、
    前記第2光学異方性層が、厚み方向を螺旋軸とする捩れ配向した第2液晶化合物を固定してなる層である場合、前記捩れ配向した第2液晶化合物の捩れ角度が0°超45°以下であり、
    前記第1液晶化合物の平均チルト角、および、前記第2液晶化合物の平均チルト角の少なくとも一方が2°以上であり、
    波長550nmで測定した前記第1光学異方性層の屈折率異方性Δn1と前記第1光学異方性層の厚みd1との積Δn1d1の値が式(7)の関係を満たし、
    波長550nmで測定した前記第2光学異方性層の屈折率異方性Δn2と前記第2光学異方性層の厚みd2との積Δn2d2の値が式(8)の関係を満たし、
    前記第1光学異方性層の前記第2光学異方性層側の表面での面内遅相軸と、前記第2光学異方性層の前記第1光学異方性層側の表面での面内遅相軸とは非平行である、光学フィルム。
    式(7) 80nm≦Δn1d1≦300nm
    式(8) 80nm≦Δn2d2≦360nm
  5. 前記液晶化合物が、棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物である、請求項1~4のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  6. 前記第1光学異方性層と前記第2光学異方性層との間に、実質的に配向膜が配置されていない、請求項1~のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  7. 請求項1~のいずれか1項に記載の光学フィルムと、偏光子とを有する、円偏光板。
  8. 請求項に記載の円偏光板を有する、有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
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