JP7231434B2 - トンネル二次覆工用鉄筋組み立て体の設置方法 - Google Patents
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Description
しかし、このような工法は、シール材の劣化や破損によって止水性が損なわれるおそれがあるため、防水シートに穴をあけずに段取り筋等を配置する工法が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
このような工法においては、防水シートに穴を形成することなくアンカー筋を設置することにより、地山から出る水が二次覆工コンクリートの中に浸入することを防止できる。
また、防水シートで覆われた被挟持金具の先端部に挟持金具を挟み込む時に防水シートが破られるなどの問題も生じるほか、被挟持金具の先端部形状に合わせて防水シートで覆う作業も面倒で施工手間が更に増加し、二次覆工作業の省力化を高めることができない。
請求項2記載の発明は、前記鉄筋組み立て体の両端の変位させた状態の保持は、前記鉄筋組み立て体の両端を前記インバートコンクリート両側部に固定することで行なうことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、前記鉄筋組み立て体の両端の内側にそれぞれ対向させて前記インバートコンクリート両側部の上面にそれぞれジャッキを配置し、前記鉄筋組み立て体の両端を互いに近づける方向への変位は、前記ジャッキの縮小作動で行なうことを特徴とする。
請求項4記載の発明は、前記トンネル一次覆工面に対向する前記鉄筋組み立て体の両端においてそれぞれ前記トンネル一次覆工面の長手方向に延在しそれら両端をそれぞれ支持する支持部材を配置し、前記鉄筋組み立て体の両端を互いに近づける方向への変位は、前記支持部材を前記ジャッキの縮小作動で行ない、前記ジャッキの縮小作動後、前記支持部材を前記インバートコンクリート両側部に固定することを特徴とする。
請求項5記載の発明は、前記鉄筋組み立て体は、前記トンネル一次覆工面の周方向に分割された複数の分割鉄筋組み立て体が結合されることで構成されていることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、前記複数の分割鉄筋組み立て体は、作業台車上で組み立てられることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、前記作業台車は、前記トンネル一次覆工面の頂部周面に対向する分割鉄筋組み立て体が載置される鉄筋載置部を有することを特徴とする。
請求項8記載の発明は、前記鉄筋組み立て体は、前記トンネル一次覆工面の長手方向に所定の間隔で配置され、かつ前記トンネル一次覆工面の周方向に延在する複数の主鉄筋と、前記トンネル一次覆工面の長手方向に延在し前記主鉄筋に固定される複数の配力筋とを含んで構成されることを特徴とする。
したがって、段取り筋やアンカー筋等の段取り部品が不要になり、二次覆工用鉄筋組み立て体の設置が容易になるとともに、施工手間が低減でき、トンネルの二次覆工作業の省力化を高める上で有利となる。
本発明では、鉄筋組み立て体の両端を互いに近づける方向に変位することにより、二次覆工用の鉄筋組み立て体をトンネル一次覆工面の周方向に沿って変形させたのち、変形後の鉄筋組み立て体をトンネルの外周部から固定し、あるいは、インバートコンクリートの床や地盤から固定してもよく、固定方法は任意であるが、請求項2記載の発明のように、鉄筋組み立て体の両端をインバートコンクリート両側部に固定すると、場所を取らずに二次覆工用の鉄筋組み立て体をトンネル一次覆工面の周方向に沿う状態に保持することができ、鉄筋組み立て体の設置を容易にするとともにトンネルの二次覆工作業の省力化を高める上で有利となる。
請求項3,4記載の発明によれば、ジャッキの縮小作動で鉄筋組み立て体の両端を互いに近づける方向に変位させるので、二次覆工用鉄筋組み立て体の変位操作が容易になり、トンネルの二次覆工作業の省力化を高める上で有利となる。
請求項5,6,7,8記載の発明によれば、二次覆工用鉄筋組み立て体のトンネル内への搬入が容易になり、しかも、複数の分割鉄筋組み立て体を作業台車上で組み立てることができ、鉄筋組み立て体の設置を容易にするとともにトンネルの二次覆工作業の省力化を高める上で有利となる。
地山10にトンネル12が掘削された後の地山10の内側には、図1に示すように、トンネル12の長手方向に所定のピッチで、アーチ状に成形した図示省略の支保工を設置した後、隣り合う支保工間にコンクリートを吹き付けることにより一次覆工コンクリート14が形成され、さらに、支保工の内側面及び一次覆工コンクリート14の内側面には防水シート16がセットされる。そして防水シート16がセットされた後の一次覆工コンクリート14の内側には、本発明方法により、二次覆工コンクリートの補強鉄筋である鉄筋組み立て体30がトンネル12の長手方向の全長に亘り設置される。
さらに、鉄筋組み立て体30は、図2及び図3に示すように、一次覆工コンクリート14の長手方向に所定の間隔で配置され、かつ一次覆工コンクリート14の周方向に延在する複数の(本実施の形態では3本の)主鉄筋3002と、一次覆工コンクリート14の長手方向に延在し主鉄筋3002に固定される複数の配力筋3004とを含んで構成されている。
そして、これら分割鉄筋組み立て体30は、分割鉄筋組み立て体30Aの主鉄筋3002の両端に、分割鉄筋組み立て体30B及び30Cの主鉄筋3002の上端を、例えば図3に示すように番線3006により連結することで鉄筋組み立て体30を構成するようになっている。
路面20上には、作業台車22を走行させるレール25がトンネル12の長手方向に沿って敷設されている。
なお、作業台車22は、レール25上または路面20上を自動走行可能な牽引車(図示省略)によりトンネル12の長手方向に移動するように構成されている。
鉄筋載置部2208の上面は、図1に示すように、一次覆工コンクリート14の内周面の頂部形状に対応するアーチ形状を呈しており、さらに、鉄筋組み立て体30を構成する主鉄筋3002がトンネル12の長手方向に一定の間隔をおいて複数配置し得る長さを有している。
また、分割鉄筋組み立て体30Aにおける主鉄筋3002のアーチ形状の曲率半径は、一次覆工コンクリート14の頂部内周面の曲率半径より大きく設定されている。
その理由は、図4に示すように、鉄筋組み立て体30の両端を互いに近づける方向に変位させた時に分割鉄筋組み立て体30Aに生じる曲げ応力を利用して、鉄筋組み立て体30を一次覆工コンクリート14の内側に安定して設置するためである。
また、図4において、支持部材24は、一次覆工用の鉄筋組み立て体30の両端を互いに近づける方向に変位させる時に鉄筋組み立て体30の両端をそれぞれ支持し、かつ鉄筋組み立て体両端の変位させた状態を保持するためのものであり、トンネル12の長手方向に沿って左右のインバートコンクリート両側部18の上面にそれぞれ配置される。
まず、二次覆工用鉄筋組み立て体30に設置に必要な鉄筋等を積み込んだ作業台車22をトンネル12内の二次覆工用鉄筋の組み立て位置に移動する。
次いで、分割鉄筋組み立て体30B及び30Cを一次覆工コンクリート14の左右の側部周面に対向してそれぞれ配置し、分割鉄筋組み立て体30B及び30Cの主鉄筋3002の下端を、左右のインバートコンクリート両側部18の上面にそれぞれ配置された支持部材24にそれぞれ固定する。
この場合の支持部材24は、図5に示すように、一次覆工面の長さ方向に延在するアングル材2402と挟持部材2404を備え、主鉄筋3002の下端をアングル材2402の垂直片2402aと挟持部材2404で挟んで固定ねじ2406で締付けることにより主鉄筋3002の下端を支持部材24に固定できる構成なっている。
なお、支持部材24に固定される主鉄筋3002のトンネル長手方向の間隔は、二次覆工の配筋に要する値に設定されている。
この場合の一次覆工コンクリート14の内周面と分割鉄筋組み立て体30Aと分割鉄筋組み立て体30B及び30Cとの位置関係は、図6(a)に示すようになる。すなわち、分割鉄筋組み立て体30Aは、一次覆工コンクリート14の頂部内周面の曲率半径より大きい曲率半径に加工されているため、分割鉄筋組み立て体30Aの頂部は一次覆工コンクリート14の頂部内周面から通常より離間された状態に置かれる。
これに対して、分割鉄筋組み立て体30B及び30Cの下端は一次覆工コンクリート14の内周下端に略当接する状態に置かれている。
また、分割鉄筋組み立て体30A,30B及び30Cの各主鉄筋3002に組み付けられる配力筋3004の固定作業は、分割鉄筋組み立て体30A,30B及び30Cの各主鉄筋同士が連結された後に作業者台22上で行ってもよいし、トンネル外で図2に示すように組み立てられた分割鉄筋組み立て体30A,30B及び30Cのうち、分割鉄筋組み立て体30Aを作業台車22の鉄筋載置部2208に載置し、分割鉄筋組み立て体30B及び30Cを一次覆工コンクリート14の左右の内周面に沿って配置したのち、分割鉄筋組み立て体30Aの主鉄筋3002の両端と、分割鉄筋組み立て体30B及び30Cの主鉄筋3002の上端とを連結するようにしてもよい。
トンネル外で組み立てられる場合、分割鉄筋組み立て体30B及び30Cの各主鉄筋3002の下端に支持部材24も固定される。
この場合は、図4に示すように、まず、ジャッキ26を鉄筋組み立て体30の左右両下端の内側にそれぞれ対向させてトンネルの左右のインバートコンクリート両側部18の上面にそれぞれ配置し、さらに、各ジャッキ26を結合部材28を介して、対応する支持部材24に連結する。この状態で、左右両方のジャッキ26を互いに同期させて同一の引っ張り力で縮小動作させる。これに伴い、支持部材24を含む鉄筋組み立て体30の左右の両下端は図6(a)に示す矢印方向に変位される。すなわち、鉄筋組み立て体30の左右の両下端は、分割鉄筋組み立て体30Aが有する曲げ応力に抗して互いに近づく方向に同時に変位される。これに伴い、分割鉄筋組み立て体30Aは、図6(b)に示すように、上方に凸の湾曲形状に変形されると同時に、一次覆工トンネル14の頂部内周面の曲面に沿う形状に湾曲される。これにより、鉄筋組み立て体30全体が一次覆工トンネル14の内周面に沿い一定の間隔をおいて設置されることになる。
鉄筋組み立て体30が一次覆工トンネル14の内側に設置された後は、ジャッキ26を取り外し、次の鉄筋組み立て体30の設置作業に移行する。
一次覆工コンクリート14の内側面の長手方向に沿った幅と、一次覆工コンクリート14の周方向に沿った長さを有する鉄筋組み立て体30を、一次覆工コンクリート14の頂部周面に対向する分割鉄筋組み立て体30Aと、一次覆工コンクリート14の左右の側部周面にそれぞれ対向する分割鉄筋組み立て体30B及び30Cとに分割し、これら分割鉄筋組み立て体を連結することで鉄筋組み立て体30を組み立て、この鉄筋組み立て体30の両端をジャッキ26により互いに近づける方向に変位させ、この変位させた状態が保持されるように鉄筋組み立て体30の両端を支持部材24によりインバートコンクリート両側部18の上面に固定して、鉄筋組み立て体30を一次覆工コンクリート14の内側に設置するようにしたので、従来用いられている段取り筋やアンカー筋等の設置部品が不要になり、段取り筋やアンカー筋等を用いなくとも鉄筋組み立て体30を一次覆工コンクリート14の内側に安定して設置することができるとともに、二次覆工用鉄筋組み立て体30の設置が容易になり、施工手間が低減でき、トンネルの二次覆工作業の省力化を高める上で有利となる。
また、本実施の形態によれば、作業台車22の台枠2202の上部に、分割鉄筋組み立て体30Aを載置する鉄筋載置部2208が設けられているので、分割鉄筋組み立て体30Aを一次覆工コンクリート14の頂部内周面に対して正確かつ安定して配置することが可能になり、その結果、分割鉄筋組み立て体30Aの両端と分割鉄筋組み立て体30B及び30Cとの作業台車22上での連結が容易になって、二次覆工作業の省力化を高める上で更に有利となる。
また、本実施の形態によれば、インバートコンクリート両側部18の上面に位置する鉄筋組み立て体30の両端、すなわち複数の主鉄筋3002の下端はそれぞれの支持部材24に支持され一体化されているため、鉄筋組み立て体30の両端を互いに近づける方向に安定して変位させることができる。
さらに、上記実施の形態では、鉄筋組み立て体30を構成する主鉄筋3002を複数本用いる場合について説明したが、本発明方法はこれに限定されない。例えば、トンネル一次覆工面の内周面に対応してアーチ状に加工された一本物の主鉄筋3002を用いて二次覆工用鉄筋組み立て体を構成することも可能である。
この場合、アーチ状の主鉄筋3002を作業台車22の鉄筋載置部2208上にトンネル12の長手方向に一定の間隔で配列した後、この主鉄筋3002に配力筋3004をトンネル一次覆工面の長手方向に延在して固定することで鉄筋組み立て体30を構成する。そして、インバートコンクリート両側部18の上面に位置する鉄筋組み立て体30の両端を、上記実施の形態に示すジャッキ26と支持部材24を用いて互いに近づく方向に変位させ、支持部材24をインバートコンクリート両側部18の上面に固定することで上記の変位を保持すれば、鉄筋組み立て体30を上記実施の形態で説明した場合と同様に一次覆工面の内側に設置することができる。
また、上記実施の形態では、分割鉄筋組み立て体30Aの主鉄筋3002の両端と分割鉄筋組み立て体30B及び30Cの主鉄筋3002の上端とを番線3006により連結した場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、パイプ状結合金具の両端に主鉄筋3002の結合端を圧入して連結する方式のもでもよく、分割された主鉄筋3002同士の連結方式は限定されない。
また、鉄筋組み立て体30の両端に取り付けられる支持部材24は、上記実施の形態に示す構造のものに限定されず、インバートコンクリート両側部18の上面に位置する鉄筋組み立て体30の両端である主鉄筋3002の下端を一体に支持できるものであれば、その形や構造は任意である。
また、上記実施の形態では、鉄筋組み立て体30の両端を互いに近づける方向に変位させる手段としてジャッキ26を用いたが,本発明はこれに限定されないことは勿論である。
12 トンネル
14 一次覆工コンクリート
16 防水シート
18 インバートコンクリート両側部
20 路面
22 作業台車
2202 台枠
2208 鉄筋載置部
24 支持部材
26 ジャッキ
30 鉄筋組み立て体
30A,30B,30C 分割鉄筋組み立て体
3002 主鉄筋
3004 配力筋
3006 番線
Claims (3)
- トンネル一次覆工面に沿わせて、前記トンネル一次覆工面の長手方向に沿った幅と、前記トンネル一次覆工面の周方向に沿った長さを有する鉄筋組み立て体を設置する方法であって、
前記鉄筋組み立て体は、前記トンネル一次覆工面の長手方向に所定の間隔で配置されかつ前記トンネル一次覆工面の周方向に延在する複数の主鉄筋と、前記トンネル一次覆工面の長手方向に延在し前記主鉄筋に固定される複数の配力筋とを含んで構成され、
前記鉄筋組み立て体を、前記トンネル一次覆工面の頂部内周面に対向する上部分割鉄筋組立体と、前記トンネル一次覆工面の頂部内周面の両側の側部内周面に対向する一対の側部鉄筋組み立て体とで形成し、
その際に、前記上部分割鉄筋組立体を前記頂部内周面の曲率半径より大きい曲率半径で設定すると共に、前記一対の側部鉄筋組み立て体と前記上部分割鉄筋組立体とにより前記鉄筋組み立て体を組み立て前記一対の側部鉄筋組み立て体の下端を前記側部内周面の下端にほぼ当接する位置に位置させた状態で、前記トンネル一次覆工面と前記鉄筋組み立て体との間の間隔が、前記トンネル一次覆工面の周方向における前記頂部内周面の中央との間で最も大きく前記トンネル一次覆工面の側部内周面の下端に近づくにつれて次第に小さくなるように前記一対の側部鉄筋組み立て体の曲率半径を設定し、
前記トンネル一次覆工面における前記鉄筋組立体の組み立て位置で、前記一対の側部鉄筋組み立て体の下端を前記側部内周面の下端にほぼ当接する位置に位置させて前記上部分割鉄筋組立体の両端の前記複数の主鉄筋と前記一対の側部鉄筋組み立て体の上端の前記複数の主鉄筋とを連結して前記鉄筋組み立て体を組み立て、
前記トンネルの幅方向両側のインバートコンクリート両側部の上面に位置する前記一対の側部鉄筋組み立て体の下端においてそれぞれ前記トンネル一次覆工面の長手方向に延在し、前記一対の側部鉄筋組み立て体の下端の前記複数の主鉄筋を互いに近づく方向に一体に変位できるように前記一対の側部鉄筋組み立て体の下端の前記複数の主鉄筋をそれぞれ支持する一対の支持部材を配置し、
前記一対の支持部材の内側にそれぞれ対向させて前記インバートコンクリート両側部の上面にそれぞれジャッキを配置し、
前記一対の支持部材を、前記ジャッキにより同期させて同一の引っ張り力により互いに近づける方向に変位させることで、前記上部分割鉄筋組立体を前記頂部内周面の曲面に沿う形状に湾曲させると共に前記鉄筋組み立て体全体を前記トンネル一次覆工面に一定の間隔をおいて設置し、
前記一対の支持部材をインバートコンクリート両側部の上面に固定することで前記鉄筋組み立て体を設置するようにした、
ことを特徴とするトンネル二次覆工用鉄筋組み立て体の設置方法。 - 前記上部分割鉄筋組立体の両端の前記複数の主鉄筋と前記一対の側部鉄筋組み立て体の上端の前記複数の主鉄筋とを連結して前記鉄筋組み立て体を組み立てる作業は、作業台車上で行なわれる、
ことを特徴とする請求項1記載のトンネル二次覆工用鉄筋組み立て体の設置方法。 - 前記作業台車は、上部分割鉄筋組立体が載置される鉄筋載置部を有する、
ことを特徴とする請求項2記載のトンネル二次覆工用鉄筋組み立て体の設置方法。
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