JP7230587B2 - 表面処理鋼板、表面処理鋼板の製造方法、および表面処理鋼板の加工方法 - Google Patents

表面処理鋼板、表面処理鋼板の製造方法、および表面処理鋼板の加工方法 Download PDF

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Description

本発明は、表面処理鋼板、表面処理鋼板の製造方法、および表面処理鋼板の加工方法に関する。
鋼板を円板状に打ち抜いてなるブランク材から有底円筒形状の加工品を製造する方法として、深絞り加工などの絞り加工が知られている。深絞り加工とは、ブランク材の外周部を、開口部を有する絞り用ダイと皺押さえ部材(ブランクホルダ)とで挟持し、絞り用パンチによってブランク材を絞り用ダイスの上記開口部の内部に押し込み、ブランク材を加工するプレス加工方法である。
深絞り加工では、鋼板の表面が加工時に高い圧力を受けることにより、一方の面が絞り用パンチとの間で擦動し、かつ他方の面が絞り用ダイとの間で擦動する。そのため、特許文献1に記載のように、上記擦動による当該鋼板の表面の損傷を抑制するため、潤滑皮膜を鋼板表面の両面に形成する方法が知られている。
特開2017-105986号公報
特許文献1に記載のように鋼板の両面に潤滑皮膜を形成することによって、深絞り加工などの絞り加工時の鋼板の加工性はより高まると期待される。しかし、本発明者らの知見によると、鋼板の両面に潤滑皮膜を形成しても、たとえば深絞り加工時にパンチと接触する肩部で鋼板の破断を十分には抑制しきれていないなど、絞り加工による鋼板の加工性が十分に高まったとはいえなかった。
また、鋼板は、コイル状に巻いて保管されることが多い。そのため、鋼板には、巻かれて保管されている間に変形やずれが生じにくいことが求められる。上記保管中の変形やずれを生じにくくするためには、鋼板の表面と裏面との間の静摩擦係数をより高くすればよい。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、絞り加工による加工性が高く、かつ、鋼板の表面と裏面との間の静摩擦係数も高い表面処理鋼板、当該表面処理鋼板の製造方法、および当該表面処理鋼板の加工方法を提供することをその目的とする。
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に関する表面処理鋼板は、一方の面と他方の面とを有する表面処理鋼板であって、上記一方の面は、動摩擦係数μ1が0.1以下であり、上記他方の面は、動摩擦係数μ2が0.2以上であり、かつ、上記一方の面と上記他方の面との間の静摩擦係数μ3は、0.14より大きい。
また、上記課題を解決するための本発明の一実施形態に関する表面処理鋼板の製造方法は、上記表面処理鋼板の製造方法であって、一方の面と他方の面とを有する鋼板を用意する工程と、上記一方の面に、有機系潤滑剤を含む表面処理液を付与して、表面処理層を形成する工程と、上記他方の面に、上記一方の面に付与した上記表面処理液とは組成が異なる表面処理液を付与する工程と、を有する。
また、上記課題を解決するための本発明の一実施形態に関する表面処理鋼板の加工方法は、上記表面処理鋼板が所定の形状に打ち抜かれてなるブランク材を用意する工程と、上記ブランク材が有する上記一方の面を、ダイに接触させる工程と、上記ブランク材が有する上記他方の面を、上記ダイ側に押圧する工程と、を有する。
本発明によれば、絞り加工による加工性が高く、かつ、鋼板の表面と裏面との間の静摩擦係数も高い表面処理鋼板、当該表面処理鋼板の製造方法、および当該表面処理鋼板の加工方法が提供される。
図1は、本発明の一実施形態において静摩擦係数μ3を測定する方法を説明する模式図である。 図2は、本発明の一実施形態に関する表面処理鋼板を用いて深絞り加工を行う様子を示す模式図である。 図3Aは、本発明の一実施形態に関する表面処理鋼板をロール体(コイル)とした様子を示す模式図であり、図3Bは、上記ロール体(コイル)を構成する表面処理鋼板による複数の層のうち一部の層の拡大断面図である。
1.表面処理鋼板
本発明の一実施形態は、表面処理鋼板に関する。上記表面処理鋼板は、板状の鋼板であり、上記板状の一方の面(以下、単に「表面」ともいう。)と、他方の面(以下、単に「裏面」ともいう。)と、の動摩擦係数が異なるように、表面および裏面の少なくとも一方が表面処理されている。
1-1.鋼板
上記表面処理鋼板の基材鋼板となる鋼板の種類は、特に限定されない。たとえば、基材鋼板としては、低炭素鋼や中炭素鋼、高炭素鋼、合金鋼などからなる鋼板を使用することができる。良好なプレス成形性が必要とされる場合は、低炭素Ti添加鋼、低炭素Nb添加鋼などからなる深絞り用鋼板が基材鋼板として好ましい。また、P、Si、Mnなどを添加した高強度鋼板を用いてもよい。また、上記鋼板は、冷延鋼板であってもよいし、熱延鋼板であってもよい。また、上記鋼板は、低炭素Ti添加鋼および低炭素Nb添加鋼などの深絞り用鋼板であってもよい。
上記基材鋼板は、亜鉛めっき、Zn-Al合金めっき、およびZn-Al-Mg合金めっきなどの亜鉛系めっき層を有してもよいし、アルミニウムめっきなどのアルミニウム系めっき層を有してもよい。これらのうち、表面処理鋼板およびその加工品の耐食性を高める観点からは、上記基材鋼板は、0.1質量%以上のAlを含有する亜鉛系めっき層(Zn-Al合金めっき層およびZn-Al-Mg合金めっき層)を有することが好ましく、Zn-Al-Mg合金めっき層を有することがより好ましい。
1-2.表面処理層
上記表面処理鋼板は、表面および裏面の少なくとも一方の面に、表面処理層を有する。上記表面処理層は、後述する動摩擦係数および静摩擦係数の条件が満たされる限りにおいて、表面および裏面の一方の面のみに形成されていてもよいが、表面および裏面の両方の面に形成されていることが好ましい。上記両方の面に形成されているとき、上記表面処理層は、表面側と裏面側で組成または膜厚が異なることが好ましい。
1-2-1.動摩擦係数μ1、動摩擦係数μ2、および静摩擦係数μ3
上記表面および裏面の少なくとも一方の面に形成された表面処理層により、上記表面処理鋼板は、以下の条件(1)~(3)を満たす。
(1)表面は、動摩擦係数μ1が0.1以下である
(2)裏面は、動摩擦係数μ2が0.2以上である
(3)表面と裏面との間の静摩擦係数μ3は、0.14より大きい
上記表面の動摩擦係数μ1および裏面の動摩擦係数μ2は、JIS K 7125(1999年)に準じて測定して得られた値とすることができる。
上記表面と裏面との間の静摩擦係数μ3は、同一の上記表面処理鋼板について、表面と裏面とが接触した状態から、上記接触している表面および裏面が接触しながら滑るように運動するときに働く抵抗である。
上記静摩擦係数μ3は、図1に示す方法で測定した値とすることができる。具体的には、表面処理鋼板から、幅30mm×長さ300mmの引き抜き用供試サンプル110と、幅30mm×長さ40mmの2つの押さえ用供試サンプル120aおよび押さえ用供試サンプル120bと、を切り出す。押さえ用供試サンプル120aおよび押さえ用供試サンプル120bは、それぞれ、両面テープ130aおよび両面テープ130bによって取付金型140aおよび取付金型140bに接着させる。
その後、引き抜き用供試サンプル110の表面に押さえ用供試サンプル120aの裏面が、引き抜き用供試サンプル110の裏面に押さえ用供試サンプル120bの表面が、それぞれ接触するように、同一水平面上に対向して配置した押さえ用供試サンプル120aおよび押さえ用供試サンプル120bの間に引き抜き用供試サンプル110を配置する。さらに、引き抜き用供試サンプル110の両側から押さえ用供試サンプル120aおよび押さえ用供試サンプル120bを押し当て、取付金型140aおよび取付金型140bを介して、押さえ用供試サンプル120aおよび押さえ用供試サンプル120bを引き抜き用供試サンプル110側に600kgfの荷重で押圧する。
この状態で、引き抜き用供試サンプル110を垂直方向に100mm/minの速度で引き抜き、引き抜き直後に印加されていた、引き抜き用供試サンプル110を引き抜くための力を測定する。そして、上記引き抜き用供試サンプル110を引き抜くための力を、押さえ用供試サンプル120aおよび押さえ用供試サンプル120bを引き抜き用供試サンプル110側に押圧した荷重(600kgf)で除算して、得られた値を静摩擦係数μ3とすることができる。
図2は、本実施形態に関する表面処理鋼板を用いて深絞り加工を行う様子を示す模式図である。
上記表面処理鋼板が円形などの所定の形状に打ち抜かれてなるブランク材210は、動摩擦係数μ1が0.1以下であり高潤滑である表面212と、動摩擦係数μ2が0.2以上であり低潤滑である裏面214と、を有する。表面212および裏面214は、鋼板216の両面である。深絞り用金型220において、ブランク材210は、表面212が絞り用ダイ222と接触するように配置され、裏面214が皺押さえ部材224によって絞り用ダイ222側に押圧されることにより、絞り用ダイ222に対して固定される。
絞り用ダイ222は、平面方向(ブランク材210の表面212および裏面214が延在する平面に平行な方向)における中央に開口部222aを有し、皺押さえ部材224は、平面方向における中央に絞り用ダイ222の開口部222aと略同一形状の開口部224aを有する。絞り用ダイ222と皺押さえ部材224とは、これらの開口部222aおよび開口部224aの位置が垂直方向(ブランク材210の表面212および裏面214が延在する平面に直交する方向)に一致するように配置される。
この状態で、皺押さえ部材224の開口部224aから絞り用パンチ226を挿入し、ブランク材210の裏面214に接触させる。さらに、絞り用パンチ226をブランク材210の表面212側に押圧していくと、ブランク材210は絞り用ダイ222の開口部222aの内部へと押し込まれて流入していき、開口部222aの形状に加工される。
このとき、ブランク材210は、その表面212が高潤滑であるため、絞り用ダイ222と接触している領域212bが絞り用ダイ222に対して滑りやすく、領域212bが周囲部から開口部222aの内部へと、流入していきやすい。また、ブランク材210は、その裏面214が低潤滑であるため、絞り用パンチ226と接触している領域214bが絞り用パンチ226に対して滑りにくく、領域214bが開口部222aの外側方向へと流出しにくい。そのため、ブランク材210からは、絞り加工時に開口部222aの内部に十分に鋼板が流入し、かつ流入した鋼板が留まりやすい(逆流出しにくい)ため、十分な厚みを有する加工品を得ることができ、加工品の厚みが薄くなり強度が低くなることによる破断などの加工不良が生じにくい。
このような観点から、本実施形態では、表面処理鋼板の表面の動摩擦係数μ1を0.1以下とし、表面処理鋼板の裏面の動摩擦係数μ2を0.2以上とする。表面の動摩擦係数μ1は、0.04以上0.08以下であることが好ましく、0.04以上0.06以下であることがより好ましい。また、裏面の動摩擦係数μ2は、0.2以上0.5以下であることが好ましく、0.3以上0.4以下であることがより好ましい。
また、表面処理鋼板は、ロール体(コイル)などとして保管されることが多い。図3Aは、本実施形態に関する表面処理鋼板をロール体(コイル)とした様子を示す模式図であり、図3Bは、上記ロール体(コイル)を構成する表面処理鋼板による複数の層のうち一部の層(図3A中、「3B」で示す領域)の拡大断面図である。
図3Aに示すように、ロール体(コイル)300は、1枚の表面処理鋼板310がロール状(コイル状)に丸められてなる。そして、図3Bに示すように、ロール体(コイル)300を構成する表面処理鋼板310は、表面312が隣り合う層の裏面314と接するように丸められている。表面312および裏面314は、鋼板316の両面である。なお、図3Bには、複数の層を有するロール状(コイル状)に表面処理鋼板310が丸められてなるロール体(コイル)300のうち、3つの表面処理鋼板310の層のみを示すが、表面処理鋼板310はさらに多くの層が形成されるように丸められてもよい。
このとき、表面処理鋼板310は、表面312と裏面314との間の静摩擦係数が0.14より大きいため、ロール体300において上記接触した状態となっている表面312と裏面314とは、互いに対して滑りにくい。そのため、表面処理鋼板310は、ロール体300としたときに、保管中に表面処理鋼板310の層間で滑りが発生することによる変形やずれが生じにくい。
このような観点から、本実施形態では、表面と裏面との間の静摩擦係数μ3は、0.14より大きくする。表面と裏面との間の静摩擦係数μ3は、0.15以上0.3以下であることが好ましく、0.18以上0.22以下であることがより好ましい。
1-2-2.表面処理層の組成など
表面処理層は、表面処理鋼板の表面および裏面が上述した動摩擦係数μ1、動摩擦係数μ2、および静摩擦係数μ3の条件を満たすように、表面処理鋼板の表面および裏面の少なくとも一方の面に形成されていればよい。
表面処理層は、有機の表面処理層であってもよいし、無機の表面処理層であってもよい。いずれにおいても、有機系潤滑剤を表面処理層中に配合することにより、表面処理鋼板の表面および裏面の潤滑性を、上記動摩擦係数μ1、動摩擦係数μ2、および静摩擦係数μ3の条件が満たされるように調整することができる。特に、潤滑製をより高めることが求められる上記表面側に形成する表面処理層に、上記有機系潤滑剤を配合することが好ましい。
上記有機系潤滑剤は、特に限定されないが、潤滑性をより高める観点からは、フッ素系樹脂、ポリオレフィン樹脂、またはスチレン系樹脂が好ましく、ポリオレフィン樹脂がより好ましく、ポリエチレン樹脂がさらに好ましい。
また、表面処理層は、4族金属の酸素酸塩とリン酸化合物とを含むことが好ましい。このような表面処理層は、表面処理鋼板の表面および裏面の潤滑性を調整して絞り加工による加工性およびロール状(コイル状)にしての保管性を高めるほか、緻密な化成処理皮膜を形成することにより表面処理鋼板の耐食性を高めることもできる。
上記4族金属には、Ti、ZrおよびHfが含まれる。上記4族金属の酸素酸塩は、4族金属原子および酸素原子を含む無機酸の塩である。上記塩の例には、水素酸塩、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、およびアルカリ土類金属塩などが含まれる。これらのうち、塗装鋼板の耐食性をより高める観点からは、上記4族金属の酸素酸塩は、4族金属原子および酸素原子を含む無機酸のアンモニウム塩であることが好ましく、炭酸ジルコニウムアンモニウムであることが好ましい。
上記リン酸化合物は、4族金属の酸素酸塩を含む表面処理層の密着性を高めることができる。上記リン酸化合物の例には、リン酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸マンガン、およびリン酸マグネシウムなどが含まれる。
上記絞り加工による加工性およびロール状(コイル状)にしての保管性を維持しつつ、表面処理鋼板の耐食性を十分に高める観点からは、上記4族金属の酸素酸塩の付着量は、4族原子換算で3mg/m以上であることが好ましく、4mg/m以上140mg/m以下であることがより好ましく、4mg/m以上100mg/m以下であることがさらに好ましい。なお、表面処理層が後述する有機樹脂を含むときは、上記4族金属の酸素酸塩の付着量は、4族原子換算で4mg/m以上20mg/m以下であることがさらに好ましく、表面処理層が後述する有機樹脂を含まないときは、上記4族金属の酸素酸塩の付着量は、4族原子換算で30mg/m以上140mg/m以下であることがさらに好ましい。
また、上記4族金属の酸素酸塩の密着性を高めて、上記4族金属の酸素酸塩による耐食性の向上効果を十分に奏させる観点からは、上記リン酸化合物の付着量は、リン原子換算で、上記4族金属の酸素酸塩に由来する金属原子の付着量の1モル倍以上2モル倍以下であることが好ましく、1.5モル倍以上1.7モル倍以下であることがより好ましい。
表面処理層は、有機樹脂を含む有機系の表面処理層であってもよい。上記有機樹脂は、鋼板の表面処理に通常使用される有機樹脂であればよく、たとえば、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、およびポリエステル樹脂などから、適宜選択することができる。これらの有機樹脂を含む表面処理層は、上記塗装鋼板の耐食性および加工性を高めることができる。これらのうち、耐食性および加工性をより高める観点からは、上記有機樹脂はウレタン樹脂またはポリエステル樹脂であることが好ましく、ウレタン樹脂であることがより好ましい。
上記ウレタン樹脂は、通常、イソシアネート化合物に由来する構成単位およびポリオール化合物に由来する構成単位を有する。
上記イソシアネート化合物に由来する構成単位の例には、脂肪族ジイソシアネートに由来する構成単位および脂環族ジイソシアネートに由来する構成単位が含まれる。上記脂肪族ジイソシアネートの例には、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートおよびナフタレンジイソシアネートが含まれる。上記脂環族ジイソシアネートの例には、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートおよびテトラメチルキシリレンジイソシアネートが含まれる。
上記ポリオール化合物に由来する構成単位の例には、ポリオレフィンポリオールに由来する構成単位が含まれる。上記ポリオレフィンポリオールの例には、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリアクリレートポリオールおよびポリブタジエンポリオールが含まれる。
上記表面処理層は、バルブメタルの酸化物、バルブメタルの水酸化物、またはバルブメタルのフッ化物からなる群から選ばれる1種類または2種類以上の化合物(以下、単に「バルブメタル化合物」ともいう)などを含んでもよい。バルブメタル化合物は、環境負荷を小さくしつつ、優れたバリア作用を表面処理層に付与することができる。バルブメタルとは、その酸化物が高い絶縁抵抗を示す金属をいう。バルブメタルとしては、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、MoおよびWからなる群から選ばれる1種類または2種類以上の金属が挙げられる。バルブメタル化合物としては公知のものを用いてよい。
上記有機樹脂の付着量は、上記絞り加工による加工性およびロール状(コイル状)にしての保管性への顕著な影響がない限りにおいて特に限定されないものの、1,000mg/m以上3,000mg/m以下であることが好ましく、200mg/m以上1,000mg/m以下であることがより好ましい。
また、バルブメタルの可溶性フッ化物を表面処理層に含ませることで、表面処理層に自己修復作用を付与することができる。バルブメタルのフッ化物は、雰囲気中の水分に溶け出した後、皮膜欠陥部から露出しているめっき鋼板の表面に難溶性の酸化物または水酸化物となって再析出し、皮膜欠陥部を埋めることができる。
上記表面処理層は、有機顔料などを含む着色された皮膜であってもよいが、リン酸塩処理層による黒色の外観の視認性をより高めて、塗装鋼板の意匠性をより高める観点からは、クリア皮膜であることが好ましい。
絞り加工時に絞り用ダイまたは絞り用パンチなどとの間の摩擦で剥離した表面処理層(特には有機樹脂)が抵抗となることによる、加工性の低下を抑制する観点からは、上記表面処理層の膜厚は、3.0μm以下であることが好ましい。なお、表面処理鋼板の表面および裏面の潤滑性を上記動摩擦係数μ1、動摩擦係数μ2、および静摩擦係数μ3の条件が満たされるように調整しやすくする観点からは、上記表面処理層の膜厚は、0.05μm以上であることが好ましい。また、潤滑性の調整および剥離した表面処理層による加工性の低下の抑制を両立する観点からは、上記表面処理層の膜厚は、表面および裏面に形成された表面処理層のうち少なくともいずれか一方の膜厚が、0.1μm以上3.0μm以下であることが好ましく、0.15μm以上0.9μm以下であることがより好ましい。
表面処理鋼板は、少なくとも表面側に、上記有機系潤滑剤を含む表面処理層を有することが好ましい。このとき、上記表面側に形成された表面処理層に、上述した4族金属の酸素酸塩およびリン酸化合物を含ませることで、上記表面側の耐食性をより高めることができる。
表面処理鋼板は、裏面側には、上記表面処理層を有してもよいし、上記表面処理層を有さなくてもよい。ただし、上述した4族金属の酸素酸塩およびリン酸化合物を含む表面処理層を上記裏面側に形成することで、上記裏面側の耐食性をより高めることができる。上記裏面側に形成される表面処理層には、上記有機系潤滑剤が含まれていてもよいし、上記有機系潤滑剤が含まれていなくてもよいが、裏面側の動摩擦係数μ2の低下を抑制したり、表面と裏面との間の静摩擦係数μ3の低下を抑制したりする観点からは、上記裏面側に形成される表面処理層には、上記有機系潤滑剤は含まれていないことが好ましい。上記裏面側に形成される表面処理層が上記有機系潤滑剤を含むときは、上記有機系潤滑剤の付着量は、上記動摩擦係数μ2および静摩擦係数μ3を上述した範囲に調整できる程度の量に調整すればよい。
鋼板の種類にもよるものの、表面側に付着している上記有機系潤滑剤の量は、2.0mg/m以上500mg/m以下であることが好ましく、7.0mg/m以上140mg/m以下であることがより好ましい。また、裏面側に付着している上記有機系潤滑剤の量は、0g/m以上100mg/m以下であることが好ましく、0g/m以上50mg/m以下であることがより好ましい。
2.表面処理鋼板の製造方法
本発明の他の実施形態は、表面処理鋼板の製造方法に関する。上記表面処理鋼板は、一方の面(表面)と他方の面(裏面)とを有する鋼板を用意する工程と、上記表面に、有機系潤滑剤を含む表面処理液を付与して、表面処理層を形成する工程と、上記裏面に、上記表面に付与した上記表面処理液とは組成が異なる表面処理液を付与するか、または上記裏面には表面処理層を形成しない工程と、を有する方法により、製造することができる。
表面および任意に裏面に付与される表面処理液は、上述した有機系潤滑剤、4族金属の酸素酸塩、リン酸化合物および有機樹脂、ならびに任意に添加される他の添加剤を含む表面処理液であればよい。
上記表面処理液に含まれる有機系潤滑剤の量は、上記表面処理液の全質量に対して、3質量%以上30質量%以下とすることができ、4質量%以上20質量%以下とすることが好ましい。
上記表面処理液に含まれる4族金属の酸素酸塩の量は、4族原子換算で、上記表面処理液の全質量に対して、0.5g/L以上30g/L以下とすることができ、1g/L以上24g/L以下とすることが好ましい。
上記表面処理液に含まれるリン酸化合物の量は、リン原子換算で、上記4族金属の酸素酸塩に由来する金属原子の含有量の1モル倍以上2モル倍以下であることが好ましく、1.5モル倍以上1.7モル倍以下であることがより好ましい。
上記表面処理液に含まれる有機樹脂の量は、上記表面処理液に対して、0g/L以上100g/L以下とすることができ、0g/L以上50g/L以下とすることが好ましい。
上記表面処理層は、上述した表面処理液を、鋼板の表面および裏面の少なくとも一方の面に付与して、公知の方法により乾燥させて形成することができる。このとき、上記裏面には上記表面処理液の付与による表面処理層の形成を行ってもよいし、行わなくてもよい。上記表面および裏面の両方に表面処理層を形成するときは、表面側に付与する表面処理液と、裏面側に付与する表面処理液とは、上述した動摩擦係数μ1、動摩擦係数μ2、および静摩擦係数μ3の条件が満たされるように調整すればよく、特には、有機系潤滑剤の含有量が異なることが好ましい。
3.表面処理鋼板の加工方法
本発明のさらに他の実施形態は、上述した表面処理鋼板をプレス成型する、表面処理鋼板の加工方法に関する。具体的には、本実施形態に関する加工方法は、上記表面処理鋼板が打ち抜かれてなるブランク材を用意する工程と、上記ブランク材が有する上記一方の面を、ダイに接触させる工程と、上記ブランク材が有する上記他方の面を、上記ダイ側に押圧する工程と、を有する。
上記ブランク材は、上述した表面処理鋼板が、円形などの所定の形状に打ち抜かれていればよい。
上記ダイの形状や、他方の面の押圧は、絞り加工、張出し加工、フランジ加工、曲げ加工などの各種加工により製造しようとする加工品の形状などに応じて定めることができる。これらのうち、本実施形態では、深絞り加工が、パンチと接触する肩部で鋼板の破断が従来よりも生じにくいため好ましい。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されない。
1.表面処理鋼板の作製
1-1.めっき処理
板厚0.6mmの普通鋼の両面に溶融Zn-6質量%Al-3質量%Mgめっき層(めっき付着量60g/m)を形成して、めっき鋼板1とした。
板厚0.6mmの普通鋼の両面に溶融Zn-0.1質量%Alめっき層(めっき付着量60g/m)を形成して、めっき鋼板2とした。
板厚0.6mmの普通鋼の両面に溶融Znめっき層(めっき付着量60g/m)を形成して、めっき鋼板3とした。
1-2.表面処理
1-2-1.表面処理液1~表面処理液13の調製
4族金属の添加量が金属原子換算で12.0g/Lである炭酸ジルコニウムアンモニウム(Zrの酸素酸塩)と、リン原子換算の添加量が6.6g/Lであるリン酸アンモニウム(リン酸化合物)とを含有するベース処理液に対し、ベース処理液中の固形分の全質量に対して15.0質量%のポリエチレン系潤滑剤を添加して、表面処理液1を調製した。表面処理液1中の、リン酸化合物が有するリン原子のモル濃度に対する、4族金属酸素酸塩に由来する金属原子(Zr)のモル濃度の比(リン原子のモル濃度/4族金属のモル濃度)は、1.7である。
ポリエチレン系潤滑剤の添加量をベース処理液中の固形分の全質量に対して10.0質量%とした以外は表面処理液1の調製と同様にして、表面処理液2を調製した。
ポリエチレン系潤滑剤の添加量をベース処理液中の固形分の全質量に対して5.0質量%とした以外は表面処理液1の調製と同様にして、表面処理液3を調製した。
4族金属の酸素酸塩の添加量を4族金属の金属原子換算で1.1g/Lとし、リン酸化合物の添加量をリン原子換算で0.6g/Lとし、ベース処理液中にさらに固形分換算で48.3g/Lのウレタン樹脂を添加した以外は表面処理液1の調製と同様にして、表面処理液4を調製した。表面処理液4中の、リン酸化合物が有するリン原子のモル濃度に対する、4族金属酸素酸塩に由来する金属原子(Zr)のモル濃度の比(リン原子のモル濃度/4族金属のモル濃度)は、1.5である。
ポリエチレン系潤滑剤の添加量をベース処理液中の固形分の全質量に対して10.0質量%とした以外は表面処理液4の調製と同様にして、表面処理液5を調製した。
ポリエチレン系潤滑剤の添加量をベース処理液中の固形分の全質量に対して5.0質量%とした以外は表面処理液4の調製と同様にして、表面処理液6を調製した。
4族金属の添加量が金属原子換算で10.0g/Lであるフッ化チタンアンモニウム(Tiの酸素酸塩)と、リン原子換算の添加量が12.0g/Lであるリン酸とを含有するベース処理液を用意して、表面処理液7とした。表面処理液7中の、リン酸化合物が有するリン原子のモル濃度に対する、4族金属酸素酸塩に由来する金属原子(Ti)のモル濃度の比(リン原子のモル濃度/4族金属のモル濃度)は、1.9である。
ポリエチレン系潤滑剤を添加しなかった以外は表面処理液4の調製と同様にして、表面処理液8を調製した。
ポリエチレン系潤滑剤を添加しなかった以外は表面処理液1の調製と同様にして、表面処理液9を調製した。
4族金属の添加量が金属原子換算で1.0g/Lであるフッ化チタンアンモニウム(Tiの酸素酸塩)と、リン原子換算の添加量が1.2g/Lであるリン酸アンモニウム(リン酸化合物)とを含有するベース処理液に対し、固形分換算で48.3g/Lのウレタン樹脂を添加し、さらに、ベース処理液中の固形分の全質量に対して10.0質量%のポリエチレン系潤滑剤を添加して、表面処理液10を調製した。表面処理液10中の、リン酸化合物が有するリン原子のモル濃度に対する、4族金属酸素酸塩に由来する金属原子(Ti)のモル濃度の比(リン原子のモル濃度/4族金属のモル濃度)は、1.9である。
4族金属の酸素酸塩を添加しなかった以外は表面処理液10の調製と同様にして、表面処理液11を調製した。
リン酸化合物を添加しなかった以外は表面処理液5の調製と同様にして、表面処理液12を調製した。
4族金属の酸素酸塩を添加せず、かつ、リン酸化合物を添加しなかった以外は表面処理液5の調製と同様にして、表面処理液13を調製した。
表1に、表面処理液1~表面処理液13の、4族金属の種類及び添加量、リン酸化合物の添加の有無およびリン原子の添加量、リン酸化合物が有するリン原子のモル濃度に対する4族金属酸素酸塩に由来する金属原子のモル濃度の比(表中、単に「モル比」と示す。)、ベース処理液中の有機樹脂の種類および添加量、ならびに有機系潤滑剤の種類および添加量を、示す。
Figure 0007230587000001
1-2-2.表面処理
めっき鋼板1~めっき鋼板3の表面および裏面に、表面処理液1~表面処理液13のいずれかを塗布し、200℃のオーブンで乾燥させて、表面処理鋼板1~表面処理鋼板27を得た。
表2に、表面処理鋼板1~表面処理鋼板27の作製に用いためっき鋼板の種類、表面処理液の種類およびその膜厚を示す。
Figure 0007230587000002
2.表面処理鋼板の評価
2-1.動摩擦係数μ1およびμ2
JIS K 7125(1999年)に準じて、表面の動摩擦係数μ1および裏面の動摩擦係数μ2を測定した。測定機として新東科学株式会社製、HEIDEN TYPE:14を使用し、固定試験片として表面処理鋼板1~表面処理鋼板27を、移動試験片として10mmφのSUS製鋼球を、それぞれ使用した。分銅により移動試験片に1Nの荷重をかけた状態で、摺動速度150mm/minで100mmの距離を移動試験片に移動させ、動摩擦係数を測定した。
2-2.静摩擦係数μ3
図1に示す方法で、表面と裏面との間の静摩擦係数を測定した。表面処理鋼板1~表面処理鋼板27から、幅30mm×長さ300mmの引き抜き用供試サンプル110と、幅30mm×長さ40mmの2つの押さえ用供試サンプル120aおよび押さえ用供試サンプル120bと、を切り出した。押さえ用供試サンプル120aおよび押さえ用供試サンプル120bは、それぞれ、両面テープ130aおよび両面テープ130bによって取付金型140aおよび取付金型140bに接着させた。
引き抜き用供試サンプル110の表面に押さえ用供試サンプル120aの裏面が、引き抜き用供試サンプル110の裏面に押さえ用供試サンプル120bの表面が、それぞれ接触するように、同一水平面上に対向して配置した押さえ用供試サンプル120aおよび押さえ用供試サンプル120bの間に引き抜き用供試サンプル110を配置した。さらに、引き抜き用供試サンプル110の両側から押さえ用供試サンプル120aおよび押さえ用供試サンプル120bを押し当て、取付金型140aおよび取付金型140bを介して、押さえ用供試サンプル120aおよび押さえ用供試サンプル120bを引き抜き用供試サンプル110側に600kgfの荷重で押圧した。
この状態で、引き抜き用供試サンプル110を垂直方向に100mm/minの速度で引きにき、引き抜き直後に印加されていた、引き抜き用供試サンプル110を引き抜くための力を測定した。そして、上記引き抜き用供試サンプル110を引き抜くための力を、押さえ用供試サンプル120aおよび押さえ用供試サンプル120bを引き抜き用供試サンプル110側に押圧した荷重(600kgf)で除算して、静摩擦係数μ3を求めた。得られた静摩擦係数の値に基づき、以下の基準で表面処理鋼板1~表面処理鋼板27を評価した。
○ 静摩擦係数μ3が0.14より大きい
× 静摩擦係数μ3が0.14以下である
2-3.加工性
打ち抜き用パンチを用いて、表面処理鋼板1~表面処理鋼板27から、径92mmφの円盤状のブランク材を打ち抜いた。
上記ブランク材を用いて、パンチ径40mmφ、パンチ肩半径5mmR、ダイ内径41.5mmφ、ダイ肩半径3.0mmRの加工装置を用いて、絞り比(ブランクの径/パンチ径)2.3、しわ抑え力9.2kNの条件で、円筒絞り加工を行った。ブランク材の外径をL1とし、加工後の円筒の開口径の最大値および最小値の加算平均をL2として、L2/L1の値を求め、外径比O.D.R.とした。O.D.R.の値に基づき、以下の基準で表面処理鋼板1~表面処理鋼板27の加工性を評価した。
◎ O.D.R.が0.90以下である
○ O.D.R.が0.90超0.94以下である
× O.D.R.が0.94超である
2-4.耐食性
表面処理鋼板1~表面処理鋼板27を塩水噴霧試験機に投入し、72時間後の表面および裏面への白錆発生面積率および赤錆発生面積率を求め、以下の基準により、当該白錆発生面積率および赤錆発生面積率から表面処理鋼板1~表面処理鋼板27の耐食性を評価した。
○: 白錆発生面積率は表面・裏面とも10%以下だった
△: 白錆発生面積率は表面・裏面のいずれかまたは双方が10%超だったが、赤錆の発生はなかった
×: 赤錆発生面積率は表面・裏面のいずれかまたは双方が10%超だった
表3に、表面処理鋼板1~表面処理鋼板27の評価結果を示す。
Figure 0007230587000003
表面の動摩擦係数μ1が0.1以下であり、裏面の摩擦係数μ2が0.2以上である、表面処理鋼板1~表面処理鋼板14、表面処理鋼板19~表面処理鋼板22、および表面処理鋼板24~表面処理鋼板27は、深絞りの加工性が良好であった。また、表面処理鋼板1~表面処理鋼板14、表面処理鋼板19~表面処理鋼板22、および表面処理鋼板24~表面処理鋼板27は、表面と裏面との間の静摩擦係数μ3が0.14より大きく、コイル保管性も高かった。
本発明の表面処理鋼板は、ホットスタンピングによる加工を行ったときにスケールが発生しにくい。そのため、スケール除去などの工程を短縮化あるいは不要とし、ホットスタンピングによる鋼板の加工をより容易かつ安価に行うことを可能とする。そのため、本発明の表面処理鋼板は、ホットスタンピングによる鋼板の加工のさらなる普及に貢献すると期待される。
110 引き抜き用供試サンプル
120a、120b 押さえ用供試サンプル
130a、130b 両面テープ
140a、140b 取付金型
210 ブランク材
212 表面
212b 絞り用ダイと接触している領域
214 裏面
214b 絞り用パンチと接触している領域
216 鋼板
220 深絞り用金型
222 絞り用ダイ
222a 開口部
224 皺押さえ部材
224a 開口部
226 絞り用パンチ
300 ロール体(コイル)
310 表面処理鋼板
312 表面
314 裏面
316 鋼板

Claims (9)

  1. 一方の面と他方の面とを有する表面処理鋼板であって、
    前記一方の面は、有機系潤滑剤を含む表面処理層を有し、かつ動摩擦係数μ1が0.1以下であり、
    前記他方の面は、前記一方の層とは異なる組成を有する表面処理層を有するか、または亜鉛系めっき層を有するが表面処理層を有さず、かつ動摩擦係数μ2が0.2以上であり、かつ、
    前記一方の面と前記他方の面との間の静摩擦係数μ3は、0.14より大きい、
    表面処理鋼板。
  2. 前記一方の面が有する前記有機系潤滑剤は、フッ素系樹脂、ポリオレフィン系樹脂およびスチレン系樹脂からなる群から選択される有機系潤滑剤である、請求項1に記載の表面処理鋼板。
  3. 前記表面処理層は、膜厚が3μm以下である、請求項2に記載の表面処理鋼板。
  4. 前記表面処理層は、4族金属の酸素酸塩と、リン酸化合物と、を含み、
    前記表面処理層における前記4族金属の酸素酸塩の付着量は、4族原子換算で3mg/m以上であり、かつ、
    前記表面処理層における前記リン酸化合物の付着量は、リン原子換算で、前記4族金属の酸素酸塩に由来する金属原子の付着量の1モル倍以上2モル倍以下である、
    請求項2または3に記載の表面処理鋼板。
  5. 前記他方の面は、表面処理層を有し、
    前記他方の面が有する表面処理層は、前記一方の面が有する表面処理層とは組成が異なる、請求項2~4のいずれか1項に記載の表面処理鋼板。
  6. 前記一方の面および他方の面の少なくとも1つの面は、0.1質量%以上のAlを含有する亜鉛系めっき層を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の表面処理鋼板。
  7. 絞り加工用の表面処理鋼板である、請求項1~6のいずれか1項に記載の表面処理鋼板。
  8. 一方の面と他方の面とを有する鋼板を用意する工程と、
    前記一方の面に、有機系潤滑剤を含む表面処理液を付与して、表面処理層を形成する工程と、
    前記他方の面に、前記一方の面に付与した前記表面処理液とは組成が異なる表面処理液を付与する工程と、
    を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の表面処理鋼板の製造方法。
  9. 請求項1~7のいずれか1項に記載の表面処理鋼板が所定の形状に打ち抜かれてなるブランク材を用意する工程と、
    前記ブランク材が有する前記一方の面を、ダイに接触させる工程と、
    前記ブランク材が有する前記他方の面を、前記ダイ側に押圧する工程と、
    を有する、表面処理鋼板の加工方法。
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