JP7230587B2 - 表面処理鋼板、表面処理鋼板の製造方法、および表面処理鋼板の加工方法 - Google Patents
表面処理鋼板、表面処理鋼板の製造方法、および表面処理鋼板の加工方法 Download PDFInfo
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Description
本発明の一実施形態は、表面処理鋼板に関する。上記表面処理鋼板は、板状の鋼板であり、上記板状の一方の面(以下、単に「表面」ともいう。)と、他方の面(以下、単に「裏面」ともいう。)と、の動摩擦係数が異なるように、表面および裏面の少なくとも一方が表面処理されている。
上記表面処理鋼板の基材鋼板となる鋼板の種類は、特に限定されない。たとえば、基材鋼板としては、低炭素鋼や中炭素鋼、高炭素鋼、合金鋼などからなる鋼板を使用することができる。良好なプレス成形性が必要とされる場合は、低炭素Ti添加鋼、低炭素Nb添加鋼などからなる深絞り用鋼板が基材鋼板として好ましい。また、P、Si、Mnなどを添加した高強度鋼板を用いてもよい。また、上記鋼板は、冷延鋼板であってもよいし、熱延鋼板であってもよい。また、上記鋼板は、低炭素Ti添加鋼および低炭素Nb添加鋼などの深絞り用鋼板であってもよい。
上記表面処理鋼板は、表面および裏面の少なくとも一方の面に、表面処理層を有する。上記表面処理層は、後述する動摩擦係数および静摩擦係数の条件が満たされる限りにおいて、表面および裏面の一方の面のみに形成されていてもよいが、表面および裏面の両方の面に形成されていることが好ましい。上記両方の面に形成されているとき、上記表面処理層は、表面側と裏面側で組成または膜厚が異なることが好ましい。
上記表面および裏面の少なくとも一方の面に形成された表面処理層により、上記表面処理鋼板は、以下の条件(1)~(3)を満たす。
(1)表面は、動摩擦係数μ1が0.1以下である
(2)裏面は、動摩擦係数μ2が0.2以上である
(3)表面と裏面との間の静摩擦係数μ3は、0.14より大きい
表面処理層は、表面処理鋼板の表面および裏面が上述した動摩擦係数μ1、動摩擦係数μ2、および静摩擦係数μ3の条件を満たすように、表面処理鋼板の表面および裏面の少なくとも一方の面に形成されていればよい。
本発明の他の実施形態は、表面処理鋼板の製造方法に関する。上記表面処理鋼板は、一方の面(表面)と他方の面(裏面)とを有する鋼板を用意する工程と、上記表面に、有機系潤滑剤を含む表面処理液を付与して、表面処理層を形成する工程と、上記裏面に、上記表面に付与した上記表面処理液とは組成が異なる表面処理液を付与するか、または上記裏面には表面処理層を形成しない工程と、を有する方法により、製造することができる。
本発明のさらに他の実施形態は、上述した表面処理鋼板をプレス成型する、表面処理鋼板の加工方法に関する。具体的には、本実施形態に関する加工方法は、上記表面処理鋼板が打ち抜かれてなるブランク材を用意する工程と、上記ブランク材が有する上記一方の面を、ダイに接触させる工程と、上記ブランク材が有する上記他方の面を、上記ダイ側に押圧する工程と、を有する。
1-1.めっき処理
板厚0.6mmの普通鋼の両面に溶融Zn-6質量%Al-3質量%Mgめっき層(めっき付着量60g/m2)を形成して、めっき鋼板1とした。
1-2-1.表面処理液1~表面処理液13の調製
4族金属の添加量が金属原子換算で12.0g/Lである炭酸ジルコニウムアンモニウム(Zrの酸素酸塩)と、リン原子換算の添加量が6.6g/Lであるリン酸アンモニウム(リン酸化合物)とを含有するベース処理液に対し、ベース処理液中の固形分の全質量に対して15.0質量%のポリエチレン系潤滑剤を添加して、表面処理液1を調製した。表面処理液1中の、リン酸化合物が有するリン原子のモル濃度に対する、4族金属酸素酸塩に由来する金属原子(Zr)のモル濃度の比(リン原子のモル濃度/4族金属のモル濃度)は、1.7である。
めっき鋼板1~めっき鋼板3の表面および裏面に、表面処理液1~表面処理液13のいずれかを塗布し、200℃のオーブンで乾燥させて、表面処理鋼板1~表面処理鋼板27を得た。
2-1.動摩擦係数μ1およびμ2
JIS K 7125(1999年)に準じて、表面の動摩擦係数μ1および裏面の動摩擦係数μ2を測定した。測定機として新東科学株式会社製、HEIDEN TYPE:14を使用し、固定試験片として表面処理鋼板1~表面処理鋼板27を、移動試験片として10mmφのSUS製鋼球を、それぞれ使用した。分銅により移動試験片に1Nの荷重をかけた状態で、摺動速度150mm/minで100mmの距離を移動試験片に移動させ、動摩擦係数を測定した。
図1に示す方法で、表面と裏面との間の静摩擦係数を測定した。表面処理鋼板1~表面処理鋼板27から、幅30mm×長さ300mmの引き抜き用供試サンプル110と、幅30mm×長さ40mmの2つの押さえ用供試サンプル120aおよび押さえ用供試サンプル120bと、を切り出した。押さえ用供試サンプル120aおよび押さえ用供試サンプル120bは、それぞれ、両面テープ130aおよび両面テープ130bによって取付金型140aおよび取付金型140bに接着させた。
○ 静摩擦係数μ3が0.14より大きい
× 静摩擦係数μ3が0.14以下である
打ち抜き用パンチを用いて、表面処理鋼板1~表面処理鋼板27から、径92mmφの円盤状のブランク材を打ち抜いた。
◎ O.D.R.が0.90以下である
○ O.D.R.が0.90超0.94以下である
× O.D.R.が0.94超である
表面処理鋼板1~表面処理鋼板27を塩水噴霧試験機に投入し、72時間後の表面および裏面への白錆発生面積率および赤錆発生面積率を求め、以下の基準により、当該白錆発生面積率および赤錆発生面積率から表面処理鋼板1~表面処理鋼板27の耐食性を評価した。
○: 白錆発生面積率は表面・裏面とも10%以下だった
△: 白錆発生面積率は表面・裏面のいずれかまたは双方が10%超だったが、赤錆の発生はなかった
×: 赤錆発生面積率は表面・裏面のいずれかまたは双方が10%超だった
120a、120b 押さえ用供試サンプル
130a、130b 両面テープ
140a、140b 取付金型
210 ブランク材
212 表面
212b 絞り用ダイと接触している領域
214 裏面
214b 絞り用パンチと接触している領域
216 鋼板
220 深絞り用金型
222 絞り用ダイ
222a 開口部
224 皺押さえ部材
224a 開口部
226 絞り用パンチ
300 ロール体(コイル)
310 表面処理鋼板
312 表面
314 裏面
316 鋼板
Claims (9)
- 一方の面と他方の面とを有する表面処理鋼板であって、
前記一方の面は、有機系潤滑剤を含む表面処理層を有し、かつ動摩擦係数μ1が0.1以下であり、
前記他方の面は、前記一方の層とは異なる組成を有する表面処理層を有するか、または亜鉛系めっき層を有するが表面処理層を有さず、かつ動摩擦係数μ2が0.2以上であり、かつ、
前記一方の面と前記他方の面との間の静摩擦係数μ3は、0.14より大きい、
表面処理鋼板。 - 前記一方の面が有する前記有機系潤滑剤は、フッ素系樹脂、ポリオレフィン系樹脂およびスチレン系樹脂からなる群から選択される有機系潤滑剤である、請求項1に記載の表面処理鋼板。
- 前記表面処理層は、膜厚が3μm以下である、請求項2に記載の表面処理鋼板。
- 前記表面処理層は、4族金属の酸素酸塩と、リン酸化合物と、を含み、
前記表面処理層における前記4族金属の酸素酸塩の付着量は、4族原子換算で3mg/m2以上であり、かつ、
前記表面処理層における前記リン酸化合物の付着量は、リン原子換算で、前記4族金属の酸素酸塩に由来する金属原子の付着量の1モル倍以上2モル倍以下である、
請求項2または3に記載の表面処理鋼板。 - 前記他方の面は、表面処理層を有し、
前記他方の面が有する表面処理層は、前記一方の面が有する表面処理層とは組成が異なる、請求項2~4のいずれか1項に記載の表面処理鋼板。 - 前記一方の面および他方の面の少なくとも1つの面は、0.1質量%以上のAlを含有する亜鉛系めっき層を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の表面処理鋼板。
- 絞り加工用の表面処理鋼板である、請求項1~6のいずれか1項に記載の表面処理鋼板。
- 一方の面と他方の面とを有する鋼板を用意する工程と、
前記一方の面に、有機系潤滑剤を含む表面処理液を付与して、表面処理層を形成する工程と、
前記他方の面に、前記一方の面に付与した前記表面処理液とは組成が異なる表面処理液を付与する工程と、
を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の表面処理鋼板の製造方法。 - 請求項1~7のいずれか1項に記載の表面処理鋼板が所定の形状に打ち抜かれてなるブランク材を用意する工程と、
前記ブランク材が有する前記一方の面を、ダイに接触させる工程と、
前記ブランク材が有する前記他方の面を、前記ダイ側に押圧する工程と、
を有する、表面処理鋼板の加工方法。
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JP2000080481A (ja) | 1998-07-09 | 2000-03-21 | Nippon Steel Corp | 潤滑性、クロム難溶性に優れた樹脂クロメ―ト処理金属板およびその製造方法 |
JP2002241960A (ja) | 2001-02-16 | 2002-08-28 | Nippon Steel Corp | 成形性・摺動性に優れ、かつ積層時の横滑りやコイル潰れを起こしにくい潤滑処理金属板 |
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