以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1に示すように、鍵管理機10は、筐体である本体11を備えている。本体11の前面に第1の扉12、第2の扉13および表示ユニット14がそれぞれ開閉可能に設けられている。本体11の前面には、第1の扉12によって開閉される鍵管理部16、第2の扉13によって開閉されるプリンタ17および鍵交換部18、さらにカードリーダ19等が配設されている。
そして、鍵管理部16は、キーホルダ21にそれぞれリング22で連結された鍵23を管理する。鍵管理部16には、キーホルダ21が挿入されてそのキーホルダ21を施錠する複数の錠機構25が設けられている。錠機構25は、例えば、鍵管理部16のパネル部26に上下2段でかつ各段毎に5個ずつの配列で設けられている。パネル部26の各錠機構25の位置には、キーホルダ21が挿入される挿入口27が形成されている。各錠機構25は、キーホルダ21が挿入口27の所定の施錠位置まで挿入されたことを検知するキーホルダ検知部、および所定の施錠位置に挿入されたキーホルダ21を施錠するキーホルダ施錠部等を有している。キーホルダ施錠部は、挿入されたキーホルダ21を係止部材によって係止し、例えばソレノイドなどの電気的駆動部によって係止部材による係止を解除可能とする。また、パネル部26の各錠機構25の下側には、例えばキーホルダ21を抜き取ったり挿入する錠機構25の位置等を表示するための錠表示部28が設けられている。なお、キーホルダ21や錠機構25等は、それぞれ複数でもよいし、1つずつでもよく、数に限定はない。
各錠機構25は、挿入口27の形状が共通でどのキーホルダ21でも挿入可能としているが、各錠機構25と各錠機構25で管理するキーホルダ21との関連付けが予め登録されており、関連付けが登録されているキーホルダ21のみ施錠して管理可能とする。
鍵管理部16での鍵23の管理に用いられるキーホルダ21は、例えば、キーホルダ本体、およびこのキーホルダ本体にリング22を介して係止されるリング係止体等を有している。鍵23が装着されたリング22を介して組み合わされたキーホルダ本体とリング係止体は、リング22を取り外し不可に係止されている。キーホルダ21に対する鍵23の交換や追加等のためのキーホルダ本体とリング係止体との係止解除は、鍵交換の権限を有する権限者である例えば管理者によって鍵交換部18で行うことが可能となっている。なお、1つのキーホルダ21には、1つの鍵23が連結される場合に限らず、利用目的に応じて複数の鍵23が一緒に連結される場合もある。
各キーホルダ21は、形状が共通でどの錠機構25にも挿入可能としているが、各錠機構25と各錠機構25で管理するキーホルダ21との関連付けが予め登録されており、関連付けが登録されている錠機構25に挿入した場合にのみ施錠される。
プリンタ17は、鍵抜取情報および鍵交換情報などを含む鍵管理機10の履歴を本体11内に配置されたロール紙などの用紙に印字する。プリンタ17で印字された用紙は、本体11の前面から導出されるか、もしくは本体11内の巻取ユニットによって巻き取られる。
鍵交換部18は、キーホルダ21と鍵23との連結を解除するもので、鍵交換の権限を有する権限者である例えば管理者のみが利用できる。鍵交換部18は、いずれのキーホルダ21も挿入可能とする挿入口30、この挿入口30を開閉するカバー31、挿入口30内の所定の係止解除位置まで挿入されたキーホルダ21に対してキーホルダ本体とリング係止体の係止を解除してリング22を外せる状態とする解除部材、管理者によるキーホルダ21に対しての係止解除を許可するとともに管理者以外によるキーホルダ21に対しての係止解除を不可とする鍵交換規制部、およびキーホルダ21に対して係止解除を行うことを検知する鍵交換検知部等を有している。鍵交換規制部は、例えば、ソレノイド等の電気的駆動部でストッパを挿入口30に進退させるストッパ機構を用い、通常はストッパが挿入口30内に進出し、キーホルダ21が挿入口30の所定の係止解除位置まで挿入されるのを規制し、また、管理者が操作する場合にのみストッパが挿入口30内から退避し、キーホルダ21が挿入口30の所定の係止解除位置まで挿入されるのを可能とする。
カードリーダ19は、本体11の前面に上下方向に沿ってスリット状に設けられた読取溝33内に配置されている。カードの磁気記憶帯を読取溝33に沿って上から下に通すことにより、カードリーダ19によってカードの磁気記憶帯から情報が読み取られる。
また、第1の扉12は、本体11にヒンジ35によって開閉可能に取り付けられ、本体11に配置された第1の扉施錠機構により本体11に対して閉鎖状態で施錠され、第1の扉施錠機構の解錠によって本体11から開放可能としている。
また、第2の扉13は、本体11にヒンジ36によって開閉可能に取り付けられ、本体11に配置された第2の扉施錠機構により本体11に対して閉鎖状態で施錠され、第2の扉施錠機構の解錠によって本体11から開放可能としている。
また、表示ユニット14は、操作部38および表示部39を有している。操作部38には、表示部39の前面に設けられたタッチパネル38aが用いられている。表示部39は、例えばカラーの液晶表示パネルや有機EL表示パネルなどが用いられている。
次に、図2に、キーホルダ21にリング22で連結された鍵23を示す。
鍵23には、第1の無線タグ41が設けられている。第1の無線タグ41は、例えばRFID(Radio Frequency Identification)タグである。第1の無線タグ41は、固有の識別情報である第1の情報を有している。鍵23に第1の無線タグ41を設けるには、例えば、鍵23にシールタイプの第1の無線タグ41を貼り付けてもよいし、鍵23に第1の無線タグ41を埋め込んでもよいし、鍵23に第1の無線タグ41を連結してもよいし、鍵23の頭に取付可能なキーキャップに第1の無線タグ41を設けてもよい。
キーホルダ21には、無線タグである第2の無線タグ42が設けられている。第2の無線タグ42は、例えばRFIDタグである。第2の無線タグ42は、固有の識別情報である第2の情報を有している。キーホルダ21に第2の無線タグ42を設けるには、例えば、シールタイプの第2の無線タグ42をキーホルダ21に貼り付けてもよいし、キーホルダ21内に第2の無線タグ42を設けてもよい。
また、図1に示すように、鍵管理機10の各錠機構25には、各錠機構25に挿入されるキーホルダ21の第2の無線タグ42から第2の情報を取得するとともに、このキーホルダ21に連結されている鍵23の第1の無線タグ41から第1の情報を取得する取得部44が配置されている。取得部44は、錠機構25に近接して設けられるか、錠機構25に設けられている。取得部44は、例えばRFIDリーダである。なお、ある錠機構25の取得部44で、隣接する錠機構25に挿入されるキーホルダ21および鍵23の各無線タグ41,42からの電波を誤って取得するのを防止するために、互いに隣接する錠機構25の間に電波を遮蔽する遮蔽板等を設けてもよい。
さらに、鍵管理機10の鍵交換部18には、鍵交換部18に挿入されるキーホルダ21の第2の無線タグ42から第2の情報を取得するとともに、このキーホルダ21に連結されている鍵23の第1の無線タグ41から第1の情報を取得する取得部45が配置されている。取得部45は、鍵交換部18に近接して設けられるか、鍵交換部18に設けられている。取得部45は、例えばRFIDリーダである。なお、鍵交換部18に設けられる取得部45は、必須ではなく、鍵管理機10の仕様や必要性に応じて選択的に設けてもよい。
次に、図3に鍵管理機10の制御系のブロック図を示す。
鍵管理機10は、この鍵管理機10を制御する制御部50を有している。制御部50には、操作部38および表示部39、カードリーダ19、各錠機構25(取得部44を含む)、プリンタ17、鍵交換部18(取得部45を含む)、記憶部51および出力部である通信部52等が接続されている。通信部52は、外部と通信する。
そして、制御部50は、認証部53、登録部54、識別部55、および照合部56等の機能を備えている。
認証部53は、カードリーダ19によって読み取られるカード情報や操作部38で入力されるパスワード情報により、予め登録されている認証情報と照合し、操作者を認証する。
登録部54は、鍵23の固有の情報(鍵名称、鍵23に刻印された鍵番号等を含む)と第1の無線タグ41の第1の情報とを関連付けて登録し、さらに、キーホルダ21の固有の情報(挿入可能な錠機構25の番号等を含む)と第2の無線タグ42の第2の情報とを関連付けて登録し、さらに、キーホルダ21に係る情報(挿入可能な錠機構25の番号、第2の情報等を含む)とこのキーホルダ21に連結されている鍵23に係る情報(鍵名称、鍵番号、第1の情報等を含む)とを関連付けて登録する。また、登録部54は、錠機構25に係る情報(錠機構25の番号等)とこの錠機構25に挿入されるキーホルダ21に係る情報(挿入可能な錠機構25の番号、第2の情報等を含む)とを関連付けて登録する。したがって、錠機構25に係る情報と、この錠機構25に挿入可能なキーホルダ21に係る情報と、このキーホルダ21に連結されている鍵23に係る情報とが関連付けられて登録される。
登録部54は、キーホルダ登録モードの際に、取得部44により取得された第2の情報を有する新規(未登録)のキーホルダ21を、鍵管理機10の管理対象のキーホルダ21として登録する。登録部54は、既に登録済みのキーホルダ21については登録不可とする。また、登録部54は、新規のキーホルダ21が挿入された錠機構25を、当該キーホルダ21を管理する錠機構25として登録する。登録部54は、既にキーホルダ21が登録されている錠機構25に対し、新規を含む別のキーホルダ21が挿入されても錠機構25に当該キーホルダ21を登録不可とする。登録部54は、全ての錠機構25にキーホルダ21が登録されている場合、錠機構25に新規を含む別のキーホルダ21を登録不可とする。なお、登録部54は、取得部44により取得された第1の情報を有する鍵23を、鍵管理機10の管理対象の鍵23として登録するようにしてもよい。
識別部55は、取得部44,45により取得した第1の情報および第2の情報に基づき、キーホルダ21およびこのキーホルダ21に連結されている鍵23を識別する。識別部55は、錠機構25にキーホルダ21が挿入された際、操作部38にて所定の操作が行われた際、および鍵交換部18による鍵交換処理時等に、キーホルダ21およびこのキーホルダ21に連結されている鍵23を識別する。なお、操作部38による所定の操作とは、例えば、鍵交換完了とするボタンが押下されたときや、鍵交換が完了した旨の確認ボタンが押下されたとき等が含まれる。また、鍵交換処理時とは、鍵交換部18にて鍵23を交換し、鍵交換済みのキーホルダ21を錠機構25に挿入するまでが含まれる。
照合部56は、記憶部51に記憶している情報(登録部54によって登録される情報)と、識別部55による識別結果とを照合する。例えば、照合部56は、記憶部51に記憶している第1の情報と第2の情報の関連付けの情報に対して、識別部55によって識別された第1の情報および第2の情報が一致するか否かを照合する。
また、記憶部51は、登録部54によって登録される情報を記憶する。すなわち、記憶部51は、鍵23の固有の情報(鍵名称、鍵23に刻印された鍵番号等を含む)と第1の無線タグ41の第1の情報とを関連付けて記憶し、さらに、キーホルダ21の固有の情報(挿入可能な錠機構25の番号等を含む)と第2の無線タグ42の第2の情報とを関連付けて記憶し、さらに、キーホルダ21に係る情報(挿入可能な錠機構25の番号、第2の情報等を含む)とキーホルダ21に連結されている鍵23に係る情報(鍵名称、鍵番号、第1の情報等を含む)とを関連付けて記憶する。
また、操作部38は、錠機構25に対するキーホルダ21の返却時に認証を必要とする返却認証の有無を、錠機構25毎に設定する返却認証設定部57を構成している。
また、表示部39は、報知部58の少なくとも一部を構成している。報知部58は、報知情報を表示部39による表示によって報知する。報知部58は、照合部56による照合が一致しなかった場合、一致しなかった鍵23の情報を報知する鍵情報報知部であるとともに、取得部44,45により取得された第1の情報に対し、鍵23の固有の情報(鍵名称、鍵23に刻印された鍵番号等を含む)が登録されていない場合、鍵23の固有の情報(鍵名称、鍵23に刻印された鍵番号等を含む)を登録するように促す登録報知部である。なお、報知部58は、表示部39による表示以外に、音声案内等によって報知してもよい。
そして、制御部50は、錠機構25に挿入されたキーホルダ21および鍵23について、照合部56による照合が一致しなかった場合、錠機構25からのキーホルダ21の抜き取りを禁止するように制御する。すなわち、錠機構25は、照合部56による照合が一致しなかった場合、キーホルダ21の抜き取りを禁止する。また、制御部50は、登録部54によって新規のキーホルダ21を登録するためのキーホルダ登録モードを有し、操作部38によってキーホルダ登録モードを選択可能とする。
次に、図4に、鍵管理機10を用いた鍵管理システム60を示す。
鍵管理システム60は、鍵管理機10、この鍵管理機10と接続される端末61およびサーバ62等で構成されている。鍵管理機10と端末61とはインラインで接続され、また、鍵管理機10とサーバ62とはネットワーク63を通じて接続されている。
なお、鍵管理機10と端末61についても、ネットワーク63を通じて接続されていてもよい。
鍵管理機10は、通信部52により、識別部55による識別結果を端末61やサーバ62に出力する。さらに、鍵管理機10は、管理データを新規作成する場合に備えて、記憶部51で記憶している情報(キーホルダ21と鍵23と錠機構25の位置の関係等)を出力するようにしてもよい。
端末61は、例えばパソコン、タブレット、スマートフォン等で構成されている。端末61は、鍵管理機10で管理している鍵23に係る管理データを有している。端末61は、鍵管理機10の通信部52により出力された識別結果に基づき、管理データを更新する。なお、サーバ62も、端末61と同様に、管理データを有していてもよい。
次に、鍵管理機10の動作を説明する。
まず、鍵23の取出操作について説明する。
鍵23の取り出しを行う操作者は、保有するカードをカードリーダ19に通し、その後に表示部39に表示される入力画面でパスワードを入力する。操作者の情報が認証部53によって認証されることにより、表示部39にキーホルダ21の抜き取りが可能な錠機構25の選択画面を表示する。
表示部39の選択画面では、実際の錠機構25の配列に対応した配置でかつ錠機構25毎に番号を付した選択ボタンを一覧表示するとともに、予め登録されている操作者の取出権限のある鍵23に対応した選択ボタンを取出権限のない鍵23に対応した選択ボタンとは別の表示形態で表示する。さらに、取出権限のある鍵23のうち、鍵23が取出状態にある錠機構25の選択ボタンと鍵23を取出可能な錠機構25の選択ボタンとを異なる色で表示する。このとき、各錠機構25の錠表示部28の表示形態が、表示部39の表示と同期する。
操作者が表示部39の選択画面で選択ボタンを選択操作した後に確定操作をすることにより、選択された錠機構25を解錠する。操作者は、選択された錠機構25からキーホルダ21を抜き取り、キーホルダ21とともに鍵23を鍵管理機10から取り出して使用する。
なお、鍵23の取出時において、表示部39の選択画面による選択は必要とせず、カード情報およびパスワードの認証により、操作者がキーホルダ21の抜き取り可能な錠機構25を一斉に解除する構成としてもよい。
キーホルダ21が選択された錠機構25から抜かれたことを錠機構25のキーホルダ検知部で検知することにより、取出日時、操作者情報、キーホルダ21に係る情報(挿入可能な錠機構25の番号、第2の情報等を含む)および鍵23に係る情報(鍵名称、鍵番号、第1の情報等を含む)等を含む取出情報の履歴を記憶部51に記憶する。または、キーホルダ21が錠機構25から引き抜かれ、このキーホルダ21および鍵23が錠機構25の取得部44との無線通信可能な範囲の外に出ることにより、取得部44の情報状態の変化に基づいて制御部50がキーホルダ21が錠機構25から抜かれたと判断し、取出日時、操作者情報、キーホルダ21に係る情報(挿入可能な錠機構25の番号、第2の情報等を含む)および鍵23に係る情報(鍵名称、鍵番号、第1の情報等を含む)等を含む取出情報の履歴を記憶部51に記憶してもよい。
次に、鍵23の返却操作について説明する。
鍵23の返却操作は、操作者の認証を必要としない通常運用の場合と、操作者の認証を必要とする返却認証運用の場合とがあり、これらの運用は錠機構25毎に設定されている。
まず、通常運用の場合、操作者によって返却する鍵23のキーホルダ21を対応する錠機構25の挿入口30に挿入する。このキーホルダ21が錠機構25の所定の施錠位置まで挿入されることにより、錠機構25のキーホルダ施錠部によってキーホルダ21を施錠する。
キーホルダ21が錠機構25に挿入されて施錠されたことを錠機構25のキーホルダ検知部で検知し、キーホルダ21が返却された錠機構25の取得部44でキーホルダ21の第2の無線タグ42からの第2の情報およびこのキーホルダ21に連結されている鍵23の第1の無線タグ41からの第1の情報を取得する。この取得情報から制御部50の識別部55でキーホルダ21および鍵23を識別するとともに、この識別情報を制御部50の照合部56で記憶部51に記憶している情報と照合する。この照合が一致することにより、制御部50はキーホルダ21が錠機構25に返却されたことを確認し、返却日時、キーホルダ21に係る情報(挿入可能な錠機構25の番号、第2の情報等を含む)および鍵23に係る情報(鍵名称、鍵番号、第1の情報等を含む)等を含む返却情報の履歴を記憶部51に記憶する。
また、返却認証運用の場合、操作者は、操作部38で鍵23の返却を指定し、保有するカードをカードリーダ19に通すとともに、操作部38でパスワードを入力する。操作者の情報が認証部53によって認証されることにより、上述した通常運用のように返却操作が可能となるとともに、操作者情報を含めた返却情報の履歴が記憶部51に記憶される。なお、この返却認証を行う操作者は、鍵貸出操作を行った操作者本人でもよいし、この操作者本人とは別のユーザでもよい。
なお、キーホルダ21をある錠機構25に挿入しようとして近付けた際、あるいはキーホルダ21をある錠機構25に挿入した際、その錠機構25の取得部44でキーホルダ21の第2の無線タグ42からの第2の情報およびこのキーホルダ21に連結されている鍵23の第1の無線タグ41からの第1の情報の少なくとも一方を取得し、この取得情報から制御部50の識別部55でキーホルダ21および鍵23の少なくとも一方を識別し、この識別情報から制御部50の照合部56でキーホルダ21を挿入した錠機構25が正しいか否かを照合する。照合の結果、正しい場合には、制御部50はキーホルダ21の返却を受け付け、錠機構25でキーホルダ21を施錠して管理する。照合の結果、間違っている場合には、錠機構25でキーホルダ21を施錠せず、返却先が間違っている旨を表示部39(報知部58)で報知する。
次に、キーホルダ21に連結されている鍵23を別の鍵23に交換したり、キーホルダ21に別の鍵23を追加したり、キーホルダ21に連結されている複数の鍵23の中から一部の鍵23を外したりといったキーホルダ21に対する鍵交換処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。
鍵交換の権限を有する権限者である管理者により、上述と同様にカード情報およびパスワードの入力による認証後に、操作部38を操作して鍵交換モードを選択し、表示部39に表示される鍵交換モード画面で鍵交換を行うキーホルダ21を選択する。この操作により、選択されたキーホルダ21の錠機構25を解錠し、また、鍵交換部18では挿入口30内の係止解除位置までキーホルダ21を挿入可能な状態とする。
管理者は、選択されたキーホルダ21を錠機構25から抜き取り、抜き取ったキーホルダ21を鍵交換部18の挿入口30に挿入する。キーホルダ21を挿入口30内の係止解除位置まで挿入すると、挿入口30内の解除部材により、キーホルダ21の係止が解除されてリング22を外せる状態となる。
キーホルダ21が挿入口30内の係止解除位置まで挿入されたことを鍵交換部18の鍵交換検知部で検知し、キーホルダ21が挿入された鍵交換部18の取得部45でキーホルダ21の第2の無線タグ42からの第2の情報およびこのキーホルダ21に連結されている鍵23の第1の無線タグ41からの第1の情報を取得し、この取得情報から制御部50の識別部55でキーホルダ21およびこのキーホルダ21に連結されている鍵23を識別し、この識別情報を制御部50の照合部56で記憶部51に記憶している情報と照合し、この照合が一致することにより、制御部50は鍵交換処理を行おうとしているキーホルダ21および鍵23を確認し、交換日時、操作する管理者情報、キーホルダ情報および鍵情報等を含む鍵交換情報の履歴を記憶部51に記憶する。
管理者は、係止の解除されたキーホルダ21を鍵交換部18から抜き取り、キーホルダ21からリング22を外し、リング22に対して別の鍵23と交換したり、リング22に別の鍵23を追加したり、リング22に装着されている複数の鍵23の中から一部の鍵23を外したりした後、キーホルダ21とリング22とを組み合わせてリング22を外せない状態にキーホルダ21を係止し、キーホルダ21に対する鍵交換操作を完了する(ステップS1)。
そして、鍵交換操作の終えたキーホルダ21を元の錠機構25に挿入し、返却する(ステップS2)。
キーホルダ21が返却された錠機構25の取得部44は、キーホルダ21に連結されている鍵23の第1の無線タグ41から第1の情報を取得するとともに、キーホルダ21の第2の無線タグ42から第2の情報を取得する(ステップS3のYES)。
制御部50の識別部55は、取得部44で取得した第1の情報および第2の情報に基づき、キーホルダ21に連結されている鍵23およびキーホルダ21を識別する(ステップS4)。
制御部50の照合部56は、キーホルダ21に係る情報(挿入可能な錠機構25の番号、第2の情報等を含む)とキーホルダ21に連結されている鍵23に係る情報(鍵名称、鍵番号、第1の情報等を含む)とを関連付けて記憶部51に記憶している情報と、識別部55による識別結果とを照合する(ステップS5)。
仮に、鍵23を交換しなかったり増減せずに、キーホルダ21を元の錠機構25に返却した場合には、照合部56による照合が一致し(ステップS6のYES)、鍵交換処理を終了する。
そして、照合部56による照合が一致せず、キーホルダ21に連結されている鍵23が関連付けされていない場合(ステップS6のNO)、報知部(鍵情報報知部)58で、新たに取得された鍵23の鍵情報(第1の情報)や不足する鍵23の鍵情報(鍵名称、鍵番号、第1の情報等)を報知する(ステップS7)。さらに、照合が一致しない場合、錠機構25からのキーホルダ21の抜き取りを禁止する(ステップS8)。
ここでは、キーホルダ21に対して情報が関連付けされていない鍵23に交換した場合や新たな鍵23を追加している場合について説明する。
管理者は、報知部(鍵情報報知部)58による報知、つまり表示部39に表示される鍵情報を確認し、鍵情報が報知された新たな鍵23の鍵名称や鍵23に刻印された鍵番号等の鍵23の固有の情報を操作部38で入力する(ステップS9)。
鍵23の固有の情報が入力されることにより、制御部50の登録部54は、入力された鍵23の固有の情報と鍵23の第1の無線タグ41から取得された第1の情報とを関連付けて自動的に登録する(ステップS10)。さらに、制御部50の登録部54は、キーホルダ21に係る情報(挿入可能な錠機構25の番号、第2の情報等を含む)とこのキーホルダ21に連結されている鍵23に係る情報(鍵名称、鍵番号、第1の情報等を含む)とを関連付けて自動的に登録する(ステップS11)。
これらの登録完了により、鍵管理機10から識別結果や登録情報等の情報を上位機器である端末61やサーバ62に出力し(ステップS12)、鍵交換処理が完了する。
そして、端末61やサーバ62では、鍵管理機10の通信部52により出力された識別結果や登録情報に基づき、管理データを更新する。
また、鍵交換操作により、キーホルダ21に連結されている複数の鍵23の中から一部の鍵23を外した場合、管理者は、表示部39に表示される不足する鍵23の鍵情報を確認し、操作部38で登録を削除する操作をする。
次に、鍵管理機10への新規(未登録)のキーホルダ21の登録処理について、図6のフローチャートを参照して説明する。
例えば、キーホルダ21を紛失または破損した場合、新規のキーホルダ21に交換する。なお、キーホルダ21とともに鍵23を紛失した場合には、紛失した鍵23に代えて新たな鍵23を用意し、その新たな鍵23を新たなキーホルダ21に取り付ける。また、キーホルダ21が破損した場合には、上述した鍵交換操作により、破損したキーホルダ21の係止解除を行い、鍵23を破損したキーホルダ21から外して新規のキーホルダ21に取り付ける。新規のキーホルダ21は、キーホルダ本体とリング係止体とが分離されており、鍵23を取り付けたリング22を介してキーホルダ本体とリング係止体を組み合わせることにより、鍵23を取外し不可とする。なお、新規のキーホルダ21のキーホルダ本体とリング係止体が分離されていない場合には、キーホルダ21の登録後にキーホルダ21に鍵23を取り付けるための鍵交換を促すよう報知部58で報知してもよい。
そして、キーホルダ21の登録の権限を有する権限者である管理者により、上述したカード情報およびパスワードの入力による認証後に、操作部38を操作してキーホルダ登録削除モードを選択し、紛失または破損したキーホルダ21の登録を削除する。
続いて、管理者は、操作部38を操作してキーホルダ登録モードを選択する(ステップS21)。
キーホルダ登録モードとなると、図7に示すように、表示部39にキーホルダ登録モード画面が表示される。このキーホルダ登録モード画面では、複数の錠機構25に予め付されている番号の選択ボタンのうち、登録可能な錠機構25に対応した番号の選択ボタンが表示される。この場合、キーホルダ21が抜き取られている錠機構25についてのみ、登録可能な選択ボタンとして表示される。管理者は、キーホルダ登録モード画面の選択ボタンの中から登録したい番号の選択ボタン(つまり錠機構25)を選択する(ステップS22)。図7には、例えば、6番、7番、13番、19番の選択ボタンが登録可能な選択ボタンとして表示され、これら登録可能な選択ボタンの中から7番の選択ボタンを操作する例を示す。
続いて、新規のキーホルダ21を選択した番号の錠機構25に挿入し(ステップS23)、キーホルダ登録モード画面の登録ボタンを押下する(ステップS24)。
登録ボタンの押下により、選択された錠機構25の取得部44は、この錠機構25に挿入されたキーホルダ21の第2の無線タグ42から第2の情報を取得する(ステップS25であり、鍵管理方法の取得ステップである)。このとき、キーホルダ21に鍵23が連結されている場合には、取得部44によって、キーホルダ21に連結されている鍵23から第1の情報を取得してもよい。
制御部50の登録部54は、キーホルダ登録モードにおいて、取得部44により取得された第2の情報を有する新規のキーホルダ21を、鍵管理機10の管理対象のキーホルダ21として登録するとともに(ステップS26であり、鍵管理方法の登録ステップである)、新規のキーホルダ21が挿入された錠機構25を、当該キーホルダ21を管理する錠機構25として関連付けて登録する(ステップS27)。このとき、キーホルダ21に連結されている鍵23に係る情報が取得されている場合には、鍵23についてもキーホルダ21や錠機構25と関連付けて登録してもよい。
なお、登録部54は、既に登録済みのキーホルダ21については登録不可とする。さらに、登録部54は、既にキーホルダ21が登録されている錠機構25に対し、新規を含む別のキーホルダ21が挿入されても錠機構25に当該キーホルダ21を登録不可とする。また、登録部54は、全ての錠機構25にキーホルダ21が登録されている場合、錠機構25に新規を含む別のキーホルダ21を登録不可とする。なお、これらのように登録不可とせず、上書き登録できるようにしてもよい。
そして、登録日時、操作者情報、錠機構25に係る情報、キーホルダ21に係る情報、鍵23に係る情報等の登録情報の履歴を記憶部51に記憶するとともにプリンタ17で印字し(ステップS28)、キーホルダ21の登録処理を終了する。図8には、プリンタ17で印字した登録履歴のジャーナルを示す。登録履歴のジャーナルには、例えば、21:45に一般のNO.00000001の操作者が鍵23を取り出した後、キーホルダ21を紛失または破損したために、翌日の08:50にNO.00000003の管理者がキーホルダ21の登録操作を行ったことを示す。なお、登録を削除する理由(キーホルダ21を紛失したためなど)や、新規登録理由(キーホルダ21の紛失分の補充など)を操作部38で手入力可能となっており、手入力された上記理由を履歴として記憶(出力)してもよい。
次に、錠機構25毎に返却認証の有無を設定する返却認証設定処理について、図9を参照して説明する。
返却認証設定の登録の権限を有する権限者である管理者により、上述したカード情報およびパスワードの入力による認証後に、操作部38を操作して返却認証設定モードを選択する。
返却認証設定モードとなると、図9に示すように、表示部39に返却認証設定画面が表示される。この返却認証設定画面では、複数の錠機構25に予め付されている番号の選択ボタンが表示され、これら選択ボタンのうち、返却認証設定有りの選択ボタンと、返却認証設定無しの選択ボタンとが異なる表示形態(例えば色)で表示される。なお、返却認証が操作者本人でよい場合と、別のユーザでなければならない場合とで、さらに色を変えてもよい。
管理者は、返却認証設定無しの選択ボタンの中から、1つまたは複数を選択して押下し、設定有りボタンを押下し、設定ボタンを押下することにより、選択された錠機構25が返却認証有りに設定される。また、管理者は、返却認証設定有りの選択ボタンの中から、1つまたは複数を選択して押下し、設定無しボタンを押下し、設定ボタンを押下することにより、選択された錠機構25が返却認証無しに設定される。
なお、未使用の錠機構25があり、この錠機構25で管理する新規のキーホルダ21を追加する場合にも、上述したように登録することができる。
次に、他の処理として、全ての鍵23が返却されているか否かを確認する締め上げ処理がある。この場合、権限の有効な管理者が操作部38で全ての鍵23の鍵精査処理を選択操作することにより、全ての錠機構25の取得部44でキーホルダ21に連結されている鍵23の情報を取得し、これら取得情報から識別部55で鍵23を識別し、全ての鍵23が返却されているか確認する。
さらに、特定の錠機構25に挿入されているキーホルダ21に連結されている鍵23が正常か否かを確認する鍵精査処理がある。この場合、権限の有効な管理者が操作部38で特定の錠機構25の鍵23の鍵精査処理を選択操作することにより、選択された特定の錠機構25の取得部44でキーホルダ21に連結されている鍵23の情報を取得し、この取得情報から識別部55で鍵23を識別し、鍵23を確認する。
なお、制御部50により、所定の時間毎に、全ての錠機構25の取得部44での情報取得、および識別部55での識別による確認動作を自動的に行ってもよい。
以上のように、鍵管理機10および鍵管理システム60によれば、キーホルダ21の第2の情報を取得部44で取得し、この取得された第2の情報を有するキーホルダ21を管理対象のキーホルダ21として登録するため、キーホルダ21の新規登録が自動的になされて不正の余地もなく、より簡便かつ厳正にキーホルダ21を新規登録できる。そのため、キーホルダ21の新規登録をユーザ側で実施する運用が可能となり、鍵管理機メーカー側の負担を軽減できる。
キーホルダ21に識別情報を有する第2の無線タグ42を設けることにより、取得部44は第2の無線タグ42から識別情報を容易に取得できるため、効率的にキーホルダ21を新規登録できる。
キーホルダ21の新規登録は、登録に係る権限を有する管理者が可能とするため、厳正にキーホルダ21を新規登録できる。さらに、キーホルダ21の新規登録は、キーホルダ登録モードの際に可能とするため、キーホルダ21の誤登録を防止できる。また、既に登録済みのキーホルダ21については、登録不可とするため、重複登録を防止できる。
錠機構25に取得部44を設けたため、錠機構25にキーホルダ21が挿入される際に第2の情報を取得できる。なお、取得部44は、錠機構25にキーホルダ21が挿入されたときに第2の情報を取得してもよいし、錠機構25にキーホルダ21が挿入された後に操作部38で所定の取得ボタンが押下されたときに第2の情報を取得してもよい。
既にキーホルダ21が登録されている錠機構25に対し、新規を含む別のキーホルダ21が挿入されても錠機構25に当該キーホルダ21を登録不可とするため、重複登録を防止できる。また、登録部54は、全ての錠機構25にキーホルダ21が登録されている場合、錠機構25に新規を含む別のキーホルダ21を登録不可とするため、重複登録を防止できる。
また、返却認証設定部57により、錠機構25に対するキーホルダ21の返却時に認証を必要とする返却認証の有無を、錠機構25毎に個別に設定できるため、返却認証が必要な鍵23については返却認証を有りに設定でき、それ以外の鍵23については返却認証を無しに設定して鍵23の返却操作を簡単にできる。
また、取得部44,45でキーホルダ21に連結されている鍵23の第1の無線タグ41から第1の情報を取得し、識別部55で第1の情報に基づいてキーホルダ21に連結されている鍵23を識別するため、キーホルダ21に連結されている鍵23の効率的かつ厳正な管理ができる。
さらに、鍵管理機10は、取得部44,45でキーホルダ21の第2の無線タグ42から第2の情報を取得し、識別部55で第1の情報および第2の情報に基づいてキーホルダ21に連結されている鍵23およびキーホルダ21を識別するため、キーホルダ21およびこのキーホルダ21に連結されている鍵23の効率的かつ厳正な管理ができる。
また、鍵管理機10は、記憶部51に、キーホルダ21に係る情報(挿入可能な錠機構25の番号、第2の情報等を含む)と、キーホルダ21に連結されている鍵23に係る情報(鍵名称、鍵番号、第1の情報等を含む)とを関連付けて記憶するため、キーホルダ21とこのキーホルダ21に連結されている鍵23について、より効率的かつ厳正な管理ができる。
照合部56により、記憶部51に記憶している情報と、識別部55による識別結果とを照合するため、記憶部51に記憶されているキーホルダ21および鍵23なのか否かの確認や、キーホルダ21とこのキーホルダ21に連結されている鍵23との関係が正しいか否かの確認ができる。
照合部56による照合が一致しなかった場合、一致しなかった鍵情報を報知部(鍵情報報知部)58で報知するため、キーホルダ21に対して交換または追加された新たな鍵23の情報や不足する鍵23の情報を管理者等が容易に把握できる。
照合部56による照合が一致しなかった場合、錠機構25からのキーホルダ21の抜き取りを禁止するため、管理者による対応を必要とし、鍵23の厳正な管理ができる。
また、識別部55によるキーホルダ21およびこのキーホルダ21に連結されている鍵23の識別は、鍵交換部18による鍵交換処理時、操作部38にて所定の操作(鍵精査処理等)が行われた際、および錠機構25にキーホルダ21が挿入された際の少なくともいずれかのタイミングで実施するため、常に、鍵23の厳正な管理ができる。
また、無線タグ41,42にはRFIDタグを用い、取得部44,45にはRFIDリーダを用い、第1の情報および第2の情報はRFIDタグの識別情報であるため、鍵23の効率的かつ厳正な管理ができる。
また、鍵交換したキーホルダ21を錠機構25に挿入した際等に、取得部44により取得された鍵23の第1の情報に対し、鍵23の固有の情報(鍵名称、鍵番号等を含む)が登録されていない場合、報知部(登録報知部)58により鍵23の固有の情報(鍵名称、鍵番号等を含む)を登録するように促すため、管理者は、その報知を確認し、鍵23の固有の情報(鍵名称、鍵番号等を含む)を第1の情報に関連付けて登録できる。
なお、本実施の形態では、キーホルダ21を挿入する錠機構25は決まっているが、キーホルダ21を挿入する錠機構25が間違っていたとしても返却を受け付けるようにしてもよい。もしくは、キーホルダ21を挿入する錠機構25を定めず、キーホルダ21を空いている錠機構25のどこに挿入しても返却を受け付けるようにしてもよい。
また、鍵管理機10とは別に、取得部44、登録部54および識別部55等の機能を備えた取得ユニット(RFIDリーダユニット)を設け、この取得ユニットによって、キーホルダ21の第2の無線タグ42からの第2の情報とこのキーホルダ21に連結されている鍵23の第1の無線タグ41からの第1の情報との関連付けの処理を行ってもよい。
さらに、記憶部51はキーホルダ21に設けてもよい。この場合、キーホルダ21が鍵管理機10の錠機構25に挿入された際に、鍵管理機10の制御部50はキーホルダ21の記憶部51から登録情報等の情報を取得し、この情報に基づいて鍵23を識別および照合してもよい。この場合、制御部50とキーホルダ21とは非接触通信または接触通信によって通信可能に構成する。
なお、鍵には、鍵穴に差し込んで操作する鍵の他、カード形態の鍵や車の鍵等のその他の形態についても含まれる。したがって、鍵管理機は、例えばカード管理機や車用鍵管理機(キーボックス)としても置き換え可能である。