本発明に係る鍵管理装置の第1実施形態を図1〜図10を参照して以下に説明する。
第1実施形態の鍵管理装置1は、銀行等の金融機関の店舗で使用されるもので、図1に示すように、鍵10と、一対一で鍵10を保持する鍵ホルダ11と、鍵ホルダ11を整列状態で着脱可能に保持する装置本体12とを有するものである。
装置本体12は、装置主体部14と、この装置主体部14の上下方向中間部から下部に設けられた開閉部15を覆う開閉可能なカバー16とを有している。カバー16は、装置主体部14の側縁部に設けられたヒンジ17を介して一端側が装置主体部14に回動可能に連結されており、他端側の内面には、係合突起部18および検出突起部19が固定されている。
装置主体部14には、カバー16で閉塞されない上部に、担当者による暗証番号等の入力操作や文字の入力操作がなされる複数の操作キー21aを有する操作部(認証手段)21と、日時、操作状況、アラーム情報およびガイダンス等を表示する液晶ディスプレイからなる表示部(報知手段)22と、IDカード23が走査されると、このIDカード23からデータを読み取るカードリーダ(認証手段)24と、必要な情報を紙面に印字して鍵管理装置本体上面の排紙口25aから排紙するプリンタ部25と、報知音を発生させるブザー(報知手段)26とが設けられている。なお、IDカード23は、ICチップを有する電子カードや磁気カード等からなるもので、鍵管理装置1の使用が許可されたすべての担当者にそれぞれ個別に準備されて他との識別のための個別の担当者識別番号等が記憶されている。また、操作部21は、数字のほかに、アルファベット、ひらがなおよびカタカナのうちの少なくとも一種類の入力が可能となっている。必要により漢字変換を可能としても良い。
装置主体部14には、カバー16で閉塞されない側部に、主電源のオン・オフ操作が入力される電源スイッチ27と、外部電源用の電源ケーブルが接続される接続部28とが設けられている。
装置主体部14には、カバー16で閉塞される開閉部15に、それぞれが一対一で対応する鍵ホルダ11を取り外し不可となるようにロック状態で保持する多数の鍵保持部31が整列状態で設けられている。また、開閉部15には、カバー16の閉時に係合突起部18が挿入される係合挿入穴32と、カバー16の閉時に検出突起部19が挿入される検出挿入穴33とが設けられている。さらに、開閉部15には、収納部34が設けられている。
係合挿入穴32の内側には、係合挿入穴32に挿入された係合突起部18をロックおよびロック解除する電磁駆動式の図2に示すカバーロック機構35が設けられており、検出挿入穴33の内側には、検出挿入穴33に挿入された検出突起部19の挿入・非挿入を検出することでカバー16が閉状態にあるか否かを検出する図2に示す閉検出センサ37が設けられている。カバーロック機構35は、カバー16が閉じられることで検出突起部19の挿入を閉検出センサ37が検出したことを条件に、係合突起部18を係合挿入穴32内でロックする。
鍵管理装置1は、装置主体部14の上部に設けられた取っ手38を介して持ち運び可能となっており、また背面に設けられた折り畳み収納式のスタンド39を用いることで机上等に傾斜状態で立設可能となっている。
鍵ホルダ11には、一対一で保持する鍵10を他の鍵10と識別するための個別の鍵識別番号(ホルダ番号情報)が記憶された図3に示すICタグ(記憶手段)43が埋設されている。さらに、鍵ホルダ11は、ICタグ43に記憶されたものと同じ個別の鍵識別番号が視認可能に表記された鍵識別表記部44を有している。図1に示す鍵10は、その用途が、金融機関に設置された金庫の扉の開閉用、現金処理機の扉の開閉用、現金処理機の扉内の現金収納庫の扉の開閉用、現金処理機の扉内の回収庫の扉の開閉用、現金処理機の主電源のオン・オフ切り換え用等となっている。
複数の鍵保持部31は、それぞれ、鍵ホルダ11が挿入される個別のキーホルダ装着穴45と、キーホルダ装着穴45に鍵ホルダ11が挿入されるとこれをロックしてロック状態で保持し、かつロック解除可能な個別の電磁駆動式の図2に示す鍵ロック機構46とを有している。
また、鍵保持部31は、それぞれが、同じ鍵保持部31を構成する鍵ロック機構46のロックを解除する際に押圧される操作ボタンであって点灯および点滅することで操作を案内可能な表示ランプ(案内手段)50が一体に設けられた操作ボタン(指定手段)51と、装着された図3に示す鍵ホルダ11のICタグ43と通信可能であって通信状態から非通信状態への切り替えで鍵10の持ち出しを検出し非通信状態から通信状態への切り替えで鍵10の返却を検出する図2に示すICタグリーダ52とを有している。すべての鍵保持部31には、他の鍵保持部31と識別するための例えば「001」〜「030」のような個別の保持部識別番号が割り振られており、キーホルダ装着穴45の上側には、保持部識別番号が視認用に記載される保持部識別表記部53が設けられている。なお、ここでは、鍵ホルダ11に対して割り当てられた鍵識別番号と、鍵保持部31に対して割り当てられた保持部識別番号とを共通の番号としている。以下の説明では、この共通の識別番号を鍵・保持部識別番号(ホルダ番号情報)とする。
図4に示すように、鍵10は貫通孔60を有しており、鍵ホルダ11には、この貫通孔60に挿通されることで鍵10を連結する連結機構(連結手段)61が設けられている。連結機構61は、鍵ホルダ11に回動可能に設けられて鍵10の貫通孔60に挿通されるリング状のキーコードリング(回動体)62と、キーコードリング62に対し係脱可能となるように鍵ホルダ11内にスライド可能に設けられたロック体63と、ロック体63をキーコードリング62と係合する方向に付勢する付勢バネ(付勢体)64とを有している。
鍵ホルダ11の内部には、その長さ方向に沿って延在する収容空間68が形成されている。また、鍵ホルダ11には、収容空間68の延在方向の一端側を上下両側に開口させる円弧状の挿入穴69が形成されており、また、収容空間68の延在方向の同じく一端側を側方に開口させる複数具体的には二カ所のスリット70が上下に並んで形成されている。複数のスリット70は、いずれも鍵ホルダ11の長さ方向に沿って延在する形状をなしており、この長さ方向における位置を互いに合わせている。
キーコードリング62は、鍵ホルダ11に対して回動可能となるように円弧状の挿入穴69に挿入されている。キーコードリング62は、円周方向にその一部を分断する切欠部72を有するC字状をなしている。切欠部72の円周方向の間隔は、切欠部72を介して鍵10の取り付けおよび取り外しが可能な幅であり、鍵ホルダ11の高さよりも狭く、これによりキーコードリング62の鍵ホルダ11からの脱落が規制されるようになっている。
ロック体63は、図4および図5に示すように、鍵ホルダ11の収容空間68内にスライド可能に収容されている。収容空間68の延在方向の他端側とロック体63との間に付勢バネ64が収容されており、付勢バネ64は、ロック体63をキーコードリング62の方向に向けて付勢する。ロック体63は、キーコードリング62の切欠部72が収容空間68と位置を合わせている状態では、付勢バネ64の付勢力で切欠部72を横切って収容空間68の一端の当接面75に当接する。この状態で、キーコードリング62はロック体63に係合することになり、ロック体63で回転が規制されることになる。このロック状態では、切欠部72が鍵ホルダ11の内部に位置して鍵ホルダ11から外部に露出することはない。つまり、キーコードリング62の切欠部72は、図4に示すように連結機構61が鍵10を連結する連結状態にあるとき、鍵ホルダ11の内部に位置してロック体63に係合する。
他方、ロック体63が、図5(a),(b)に示すように付勢バネ64の付勢力に抗して移動して当接面75から所定距離離間すると、ロック体63は、切欠部72から逃げることになる。この状態では、キーコードリング62はロック体63に対する係合が解除されることになり、ロック体63で回転が規制されることはない。よって、このロック解除状態では、図5(b)に示すようにキーコードリング62が回動させられることで切欠部72の全部が鍵ホルダ11の外部に位置して鍵ホルダ11から外部に露出することになる。つまり、キーコードリング62の切欠部72は、連結機構61が鍵10を連結する連結状態の解除時に、ロック体63との係合が解除されて鍵ホルダ11の外部に位置可能となる。
ロック体63には、図5(c)に示すように鍵ホルダ11の複数のスリット70に連通可能なこれらスリット70よりも長さが短い複数具体的には二カ所の溝部(係合部)78が形成されている。これら溝部78は、ロック体63が図5(c)に示すようにロック状態にあるとき、それぞれの当接面75側の端部が鍵ホルダ11のスリット70の当接面75側の端部と位置を一致させる。
図1に示す装置本体12の収納部34には、図4に示す連結機構61による鍵10への連結状態を解除する図6に示す解除具(解除手段)81が収納されている。この解除具81は、基板部82と、基板部82の長さ方向の端部から基板部82とは垂直をなすように突出する複数具体的には二カ所の延出部83と、これら延出部83のそれぞれの基板部82とは反対側の端部から基板部82と平行に延出する複数具体的には二カ所の押圧部84とを有している。繋がる延出部83および押圧部84は、L字状の係合爪85を構成しており、解除具81には、係合爪85が二カ所形成されている。
この解除具81は、二カ所の延出部83が図4に示す当接面75側に位置する姿勢で、二カ所の係合爪85の押圧部84が、ロック状態にあるロック体63の二カ所の溝部78に鍵ホルダ11の二カ所のスリット70を介して挿入されて係合する。この状態で基板部82が鍵ホルダ11の側面に当接する。そして、鍵ホルダ11の側面上で基板部82を、図5(a)に示すようにスライドさせると、二カ所の係合爪85の押圧部84が延出部83とは反対側の端部で二カ所の溝部78の当接面75とは反対側の端部に当接し、これら溝部78つまりロック体63を付勢バネ64の付勢力に抗してロック解除方向にスライドさせることになる。二カ所の延出部83がスリット70の当接面75とは反対側の端部に当接すると、それ以上の解除具81の当接面75とは反対側へのスライドが規制される。
この状態では、ロック体63がロック解除状態になり、キーコードリング62が回動可能となって切欠部72が図5(b)に示すように外部に露出可能となり、鍵10への連結状態を解除可能となる。なお、溝部78は、それぞれの当接面75とは反対側の端部が鍵ホルダ11のスリット70の当接面75とは反対側の端部と位置を一致させた状態では、ロック体63をロック解除状態にすることはなく、ロック体63が切欠部72に入り込んだ状態が維持されることになる。つまり、解除具81以外の例えばマイナスドライバによって溝部78をスライドさせると、溝部78は全体がスリット70の範囲内で移動するのみであり、このように移動させられてもロック体63が切欠部72に入り込んだ状態が維持され、キーコードリング62の切欠部72が露出することはない。
図6に示すように、解除具81の基板部82には、ICタグリーダ(読取手段)87が設けられており、このICタグリーダ87は通信線88に繋がれ、この通信線88は図1に示す装置本体12の収納部34内に繋がれている。ICタグリーダ87は、図4に示す溝部78に図6に示す押圧部84を挿入した状態で、図3に示す鍵ホルダ11のICタグ43と通信可能でありICタグ43に記憶された鍵・保持部識別番号を読み取る。図6に示す通信線88は解除具81とともに図1に示す収納部34に収納される。収納部34には開閉扉90が設けられている。装置本体12には、開閉扉90を閉状態でロックおよびロック解除する電磁駆動式の図2に示す扉ロック機構91と、開閉扉90が閉状態にあるか否かを検出する閉検出センサ92と、扉ロック機構91のロックを解除する際に押圧されるものであって点灯および点滅可能な表示ランプ93が一体に設けられた操作ボタン94と、が設けられている。
装置本体12は、上記各部を制御する制御部(認証手段,許諾手段,確認手段,報知手段,履歴管理手段)55と、制御部55とデータのやり取りが可能なRAMやHDD等からなる記憶部(履歴管理手段)56とを有している。
記憶部56には、鍵管理装置1を使用可能な担当者識別番号および使用時に入力される暗証番号が記憶されており、また、それぞれの担当者識別番号について、モード切替(後述)の許可の有無および使用可能な鍵10およびこれを保持する鍵保持部31の鍵・保持部識別番号が関連付けされて記憶されている。つまり、担当者の職務範囲や権限に応じてモード切替の許可の有無が決められるため、担当者毎にモード切替の許可の有無が記憶されている。また、担当者の職務範囲や権限に応じて使用可能な鍵10が異なるため、担当者毎に鍵10の持ち出しが可能な鍵保持部31が決められており、この関係が記憶されている。さらに、担当者の職務範囲や権限に応じて、鍵10の付け替えを行うことができる鍵ホルダ11が決められており、この関係が記憶されている。
記憶部56には、各鍵保持部31の鍵・保持部識別番号に一対一で対応して、保持する鍵10の用途情報(目的、適用箇所)が関連付けされて記憶されている。つまり、各鍵保持部31には保持する鍵10が一対一で決められており、鍵10にはそれぞれ、金庫の扉開閉用、現金処理機の扉開閉用、現金処理機の現金収納庫の扉開閉用、現金処理機の回収庫の扉開閉用、現金処理機の主電源のオン・オフ切換用等の用途(目的、使用する場所)が決められているため、複数の鍵保持部31それぞれについての、個別の保持部識別情報と、保持する鍵10の用途情報とが関連付けされて記憶されている。例えば、記憶部56には、図7に一例を示すように、鍵・保持部識別番号の「001」とその用途情報としての「キンコ トビラ」とが関連付けされて記憶されており、鍵・保持部識別番号の「002」とその用途情報としての「ATM1ゴウキ トビラ」とが関連付けされて記憶されており、鍵・保持部識別番号の「003」とその用途情報としての「ATM1ゴウキ シュウノウコA カギ」とが関連付けされて記憶されており、鍵・保持部識別番号の「004」とその用途情報としての「ATM1ゴウキ カイシュウコ カギ」とが関連付けされて記憶されている。
鍵管理装置1は、持出・返却モード、交換モード、新規登録モード、およびログ出力モードでの使用が可能となっており、これらのモードの切り替えは、モード切替の許可有の担当者識別番号をIDカード23から読み取った場合にのみ可能となる。モード切替の許可無の担当者識別番号をIDカード23から読み取った場合、制御部55は、以下の持出・返却モードを自動的に選択し、モード切替の許可有の担当者識別番号をIDカード23から読み取った場合、表示部22へモード選択画面を表示させる。この表示は、例えば「1.持出・返却モード 2.交換モード 3.新規登録モード 4.ログ出力モード」といった表示となり、この場合、操作者は、操作部21の操作キー21aの数字入力でモードを選択する。制御部55は、選択されたモードを実行する。
「持出・返却モード」
持出・返却モードについて説明する。カードリーダ24にIDカード23が走査された後、持出・返却モードが選択され、鍵10の管理許可のために設定された暗証番号が操作部21に入力される。すると、制御部55は、カードリーダ24で読み取ったIDカード23の担当者識別番号および操作部21に入力された暗証番号を記憶部56に記憶されたデータと照合することで担当者識別番号および暗証番号が持出・返却モードを実行するにあたって適正であるか否かを判定する。適正である場合に、制御部55は、カバーロック機構35を駆動してカバー16のロックを解除するとともに、この担当者識別番号に対して設定された鍵・保持部識別番号を有する鍵保持部31をロック解除可能とするべく対応するすべての操作ボタン51の表示ランプ50を点滅させる。このように、操作部21、カードリーダ24および制御部55が、装置本体12の使用の認証を行う。なお、担当者識別番号および暗証番号が適正である場合に、すべての鍵保持部31をロック解除可能とする設定としても良い。
担当者は、ロックが解除されたカバー16を開き、表示ランプ50が点滅している鍵保持部31の中から所望の鍵10の付いた鍵ホルダ11が保持された鍵保持部31の操作ボタン51を、保持部識別表記部53に表記された鍵・保持部識別番号の識別を視認して押すことになる(一つでも良いし複数でも良い)。つまり、複数の鍵保持部31のそれぞれに設けられた操作ボタン51は、持出・返却モードが設定されている場合に、複数の鍵保持部31の中からいずれかを選択する選択指定を受け付ける。なお、各鍵保持部31にそれぞれ設けられた保持部識別表記部53を液晶素子とし、それぞれに対応する鍵・保持部識別番号と用途情報とを表示させるようにしても良い。
そして、この表示ランプ50が点滅した、選択指定の受け付け可能な操作ボタン51の中から所望のものが担当者によって押圧操作されると、制御部55は、この表示ランプ50を点灯させるとともに、この操作ボタン51が設けられた鍵保持部31の鍵ロック機構46を駆動しロックを解除して、鍵10の付いた鍵ホルダ11を取り外し可能とする。つまり、操作ボタン51が鍵保持部31の選択指定を受け付けると、制御部55は鍵ロック機構46でこの選択指定された鍵保持部31のロックを解除する。このように鍵保持部31のロック状態が解除され、表示ランプ50の点灯で持ち出し可能となったことが案内されている鍵保持部31から、担当者が鍵10の付いた鍵ホルダ11を持ち出すことになる。なお、操作部21への鍵・保持部識別番号の入力でも、制御部55が、選択指定された鍵保持部31を認識して、その鍵ロック機構46を駆動しロックを解除するとともにその表示ランプ50を点滅から点灯に切り替えるようになっている。
すると、制御部55は、この鍵保持部31のICタグリーダ52が、鍵ホルダ11のICタグ43と通信不可となることでその持ち出しを検出する。制御部55は、持ち出しが検出された表示ランプ50を点滅状態に戻すとともに、この鍵ホルダ11の持ち出しに際して読み取ったIDカード23の担当者識別番号と、操作ボタン51が押圧された鍵保持部31の鍵・保持部識別番号と、操作ボタン51が押された鍵保持部31からの鍵ホルダ11つまり鍵10の持出時刻と、返却時刻(この時点では未返却であるためデータは空欄とされる)とを含む図8(a)に示すような持出状況データを記憶部56に記憶させる。
図8(a)に示す持出状況データの一例においては、「001」の鍵・保持部識別番号の鍵保持部31から鍵10の付いた鍵ホルダ11を、「777」の担当者識別番号の担当者が、「10:10」の持出時刻で持ち出し、「10:20」の返却時刻で返却したことを表している。つまり、制御部55は、ICタグリーダ52の検出結果である持出時刻および返却時刻を、ICタグリーダ52の検出対象であるICタグ43に記憶された鍵・保持部識別番号と関連付けて記憶部56に記憶させる。なお、当然のことながら、表示ランプ50が点滅した以外の操作ボタン51が操作されても、制御部55は、この操作ボタン51が設けられた鍵保持部31のロック状態を解除することはない。
そして、制御部55は、鍵10の付いた鍵ホルダ11が持ち出されるたびに、記憶部56に、上記した持出状況データを、持ち出し時間順に時系列的に並べて記憶させ、記憶用ログデータを作成する。
鍵10の付いた鍵ホルダ11の取り出し後(後述する返却後も同様)、担当者はカバー16を閉じることになる。すると、カバー16の係合突起部18が、装置主体部14の係合挿入穴32に進入するとともに、カバー16の検出突起部19が、装置主体部14の検出挿入穴33に進入することになり、この検出突起部19を閉検出センサ37が検出すると、制御部55は、カバーロック機構35でカバー16を閉状態にロックする。なお、検出突起部19を閉検出センサ37が検出した状態で、操作部21にロック操作が入力されると、カバーロック機構35がカバー16を閉状態でロックするようにしても良い。
次に、返却時について説明する。担当者は、ロックが解除されたカバー16を開き、表示ランプ50が点滅している鍵保持部31の中から、鍵10の付いた鍵ホルダ11の鍵識別表記部44に表記された鍵・保持部識別番号と同じ鍵・保持部識別番号が表記された保持部識別表記部53を有する鍵保持部31のキーホルダ装着穴45に、鍵ホルダ11を挿入する(一つでも良いし複数でも良い)。すると、制御部55は、ICタグリーダ52でこの鍵ホルダ11のICタグ43から鍵・保持部識別番号を読み出し、この鍵・保持部識別番号がこの鍵保持部31の鍵・保持部識別番号に一致しているか否かを確認する。これらの鍵・保持部識別番号が一致している場合のみ、鍵10の付いた鍵ホルダ11の返却を検出して、鍵ロック機構46でこの鍵ホルダ11をロック状態とする。それとともに、制御部55は、記憶部56に記憶されているこの鍵・保持部識別番号を有する最新の持出状況データの返却時刻に、この鍵10の付いた鍵ホルダ11を検出した時刻を書き込む。
他方、制御部55は、鍵保持部31および鍵10の鍵・保持部識別番号が一致しない場合に鍵ロック機構46による鍵ホルダ11のロックをせず、この鍵保持部31の操作ボタン51の表示ランプ50を点灯させ、ブザー26による報知音および表示部22へのアラーム表示(正しい操作を誘導する表示を含む)等を発生させる。
「交換モード」
交換モードについて説明する。カードリーダ24にIDカード23が走査された後、交換モードが選択され、鍵10の管理許可のために設定された暗証番号が操作部21に入力される。すると、制御部55は、カードリーダ24で読み取ったIDカード23の担当者識別番号および操作部21に入力された暗証番号を記憶部56に記憶されたデータと照合することで担当者識別番号および暗証番号が交換モードを実行するにあたって適正であるか否かを判定する。適正である場合、つまり交換モードを実行する特定の権限を付与された担当者識別番号および暗証番号が入力された場合、制御部55は、カバーロック機構35を駆動してカバー16のロックを解除するとともに、表示部22に、交換する鍵保持部31の選択操作を促す画面を表示させるとともに、入力された担当者識別番号に対して登録済みで交換可能の鍵・保持部識別番号を有する鍵保持部31に対して設けられた操作ボタン51の表示ランプ50を点滅させる。担当者は、カバー16を開き、表示ランプ50が点滅している操作ボタン51の中から、交換する所望の鍵保持部31の操作ボタン51を押す(一つでも良いし複数でも良い)。
すると、制御部55は、操作ボタン51が押された鍵保持部31の鍵・保持部識別番号が選択指定されたことを認識することになり、この操作ボタン51が設けられた鍵保持部31の鍵ロック機構46を駆動しロックを解除して、鍵ホルダ11を取り外し可能とするとともに、この状態を案内するべく、この操作ボタン51の表示ランプ50を点滅から点灯に切り替える。このように鍵保持部31のロック状態が解除されることにより担当者が鍵保持部31から鍵ホルダ11を取り外すことになる。なお、操作部21への鍵・保持部識別番号の入力でも、制御部55が、選択指定された鍵保持部31を認識して、その鍵ロック機構46を駆動しロックを解除するとともに表示ランプ50を点滅から点灯に切り替えるようになっている。操作ボタン51あるいは操作部21で指定された鍵保持部31に保持された鍵ホルダ11は、後述するように連結機構61による鍵10の連結状態を解除する対象であり、操作ボタン51の表示ランプ50は、点滅から点灯に切り替わることで、指定された鍵ホルダ11を案内する。
鍵保持部31から鍵ホルダ11が取り外されると、制御部55は、この鍵保持部31のICタグリーダ52が、鍵ホルダ11のICタグ43と通信不可となることでその取り外しを検出する。すると、制御部55は、この鍵ホルダ11の取り外しに際して読み取ったIDカード23の担当者識別番号と、操作ボタン51が押圧された鍵保持部31の鍵・保持部識別番号と、操作ボタン51が押された鍵保持部31からの鍵ホルダ11の取外時刻と、この鍵ホルダ11の鍵10の付替時刻(この時点では付け替え前であるためデータは空欄とされる)と、操作ボタン51が押された鍵保持部31への再取付時刻(この時点では再取り付け前であるためデータは空欄とされる)と、を含む付替状況データを記憶部56に記憶させる。また、この付替状況データには、解除具81が収納部34から取り出された解除具取出時刻(この時点では取り出し前であるためデータは空欄とされる)と、解除具81が収納部34に収納された解除具収納時刻(この時点では取り出し前であるためデータは空欄とされる)とが含まれる。
図8(b)に示す付替状況データの一例においては、「021」の鍵・保持部識別番号の鍵保持部31から鍵ホルダ11を、「711」の担当者識別番号の担当者が、「13:15」の取外時刻で取り外し、「13:17」の付替時刻で鍵10を付け替え、「13:18」の時刻で再取り付けを誤り、「13:19」の再取付時刻で適正に取り付けたこと、および、「000」の識別番号の収納部34に対し、解除具81を、「711」の担当者識別番号の担当者が、「13:16」の解除具取出時刻で取り出し、「13:20」の解除具収納時刻で収納したことを表している。つまり、制御部55は、ICタグリーダ52の検出結果である取外時刻および再取付時刻と、ICタグリーダ87の検出結果である付替時刻とを鍵・保持部識別番号と関連付けて記憶部56に記憶させる。
そして、制御部55は、鍵10の付け替えが行われるたびに、記憶部56に、上記した付替状況データを、時系列的に並べて記憶させ、記憶用ログデータを作成する。
次に、制御部55は、表示部22に、鍵ホルダ11が取り外された鍵保持部31の交換後の鍵10の用途情報の入力を促す画面を表示させ、用途情報の入力を受け付ける状態となる。担当者は、操作部21の操作キー21aを用いたカナ入力および英字入力等で用途情報を入力し直す。例えば、図7に一例を示すように、鍵・保持部識別番号の「001」に対する用途情報として、それまでとは変更して「キンコ トビラ」を入力したり、鍵・保持部識別番号の「002」に対する用途情報として、それまでとは変更して「ATM1ゴウキ トビラ」を入力したり、鍵・保持部識別番号の「003」に対する用途情報として、それまでとは変更して「ATM1ゴウキ シュウノウコA カギ」を入力したり、鍵・保持部識別番号の「004」に対する用途情報として、それまでとは変更して「ATM1ゴウキ カイシュウコ カギ」を入力したりする。このように入力が行われると、制御部55は、この入力時に選択指定された鍵・保持部識別番号に対して、この用途情報を関連付けて記憶部56に記憶させる。つまり、制御部55は、操作ボタン51あるいは操作部21への鍵保持部31の選択指定を受け付けると、当該選択指定された鍵保持部31の鍵・保持部識別番号と、当該選択指定に関連して操作部21によって入力された用途情報とを関連付けて記憶部56に記憶させる。
用途情報の入力が完了した旨の操作入力が操作部21に入力されると、制御部55は、鍵10の付け替えを促す画面を表示部22に表示させるとともに、収納部34に対して設けられた操作ボタン94の表示ランプ93を点滅させる。これを見て、担当者は、操作ボタン94を押圧操作することになる。すると、制御部55は、表示ランプ93を点滅から点灯に切り替えるとともに、扉ロック機構91を駆動して収納部34の開閉扉90のロックを解除する。その後、担当者は、収納部34の開閉扉90を開いて解除具81を取り出す。このように、制御部55は、IDカード23の担当者識別番号および入力された暗証番号の認証結果に基づいて解除具81へのアクセスを許諾する。なお、開閉扉90を開くと、閉検出センサ92がこれを検出することになり、その時点で制御部55は、その時刻を、上記した付替状況データの解除具81の解除具取出時刻として記憶部56に記憶させる。
そして、担当者は、取り出した解除具81を、図6に示す二カ所の延出部83が、図4に示す当接面75側に位置する姿勢とし、二カ所の係合爪85の押圧部84を、ロック状態にあるロック体63の二カ所の溝部78に挿入し、基板部82を鍵ホルダ11の側面に当接させる。この状態で、図5(a)に示すように、解除具81をロック体63とともに、二カ所の延出部83がスリット70の当接面75とは反対側の端部に当接するまで付勢バネ64の付勢力に抗してスライドさせて、ロック解除状態とする。そして、このロック解除状態を維持しながら、図5(b)に示すように、キーコードリング62を回動させて切欠部72を外部に露出させ、それまで取り付けられていた古い鍵10を外して新しい鍵10を取り付ける付け替えを行う。
なお、解除具81の基板部82を鍵ホルダ11の側面に当接させると、基板部82に設けられた図6に示すICタグリーダ87が図3に示す鍵ホルダ11のICタグ43から鍵・保持部識別番号を読み取ることになり、制御部55は、この鍵・保持部識別番号が、選択指定された鍵保持部31の鍵・保持部識別番号と一致する場合、その時刻を、この鍵・保持部識別番号における付替状況データの付替時刻として記憶部56に記憶させる。鍵・保持部識別番号が一致しない場合は、ブザー26による報知音および表示部22へのアラーム表示(正しい操作を誘導する表示を含む)等のアラームを発生させ、鍵・保持部識別番号が一致するまで待機する。
切欠部72を介して鍵10を付け替えると、担当者は、解除具81への押圧を解除するとともに、キーコードリング62を回動させて切欠部72を鍵ホルダ11内に配置し、切欠部72の位置をロック体63に合わせる。すると、ロック体63が解除具81とともに付勢バネ64の付勢力で移動して当接面75に当接して停止する。この状態で、担当者は、解除具81を鍵ホルダ11から外す。
そして、担当者は、鍵ホルダ11の鍵識別表記部44と同じ表記の保持部識別表記部53を有する鍵保持部31のキーホルダ装着穴45に、鍵10の付け替えが終わった鍵ホルダ11を挿入することになる。すると、鍵保持部31は、ICタグリーダ52が鍵ホルダ11のICタグ43と通信して鍵・保持部識別番号を読み出すことになり、この鍵・保持部識別番号と、この鍵・保持部識別番号を検出したICタグリーダ52を有する鍵保持部31の鍵・保持部識別番号とが一致していれば、鍵ロック機構46で鍵ホルダ11をロックするとともにこの鍵保持部31に対して設けられた操作ボタン51の表示ランプ50を点滅させる。鍵・保持部識別番号が一致しない場合はロックせずに、ブザー26による報知音および表示部22へのアラーム表示(正しい操作を誘導する表示を含む)等を発生させ、鍵・保持部識別番号が一致するまで待機する。なお、鍵・保持部識別番号が一致すると、制御部55は、その時刻を、上記した付替状況データの再取付時刻として記憶部56に記憶させる。
このような、鍵保持部31の操作ボタン51の選択指定のステップ、用途情報の入力のステップ、選択指定された鍵保持部31の鍵・保持部識別番号および用途情報の関連付け記憶のステップ、鍵ホルダ11のICタグ43からのICタグリーダ87による鍵・保持部識別番号の検出および鍵・保持部識別番号の一致確認のステップ、鍵ホルダ11のICタグ43からのICタグリーダ52による鍵・保持部識別番号の検出および鍵・保持部識別番号の一致確認のステップを、鍵10の数分行う。その最中に、記憶部56に記憶された基準のステップデータと比較することにより、例えば、閉検出センサ92による開閉扉90の開検出のステップの前や、鍵ホルダ11のICタグ43からのICタグリーダ87による鍵・保持部識別番号の検出のステップの前に、鍵ホルダ11のICタグ43からのICタグリーダ52による鍵・保持部識別番号の検出のステップが行われる等、ステップの順序に誤りがあると、制御部55は、ブザー26による報知音および表示部22へのアラーム表示(正しい操作を誘導する表示を含む)等を発生させる。
鍵10の付け替えが完了すると、担当者は、通信線88とともに解除具81を収納部34に収納して、開閉扉90を閉じる。すると、閉検出センサ92がこれを検出することになり、制御部55は、扉ロック機構91により開閉扉90を閉状態でロックするとともに、表示部22に、カバー16を閉じる操作を促す表示を行う。すると、担当者は、カバー16を閉じる。すると、カバー16の係合突起部18が、装置主体部14の係合挿入穴32に進入するとともに、カバー16の検出突起部19が、装置主体部14の検出挿入穴33に進入することになり、この検出突起部19を閉検出センサ37が検出すると、カバーロック機構35が自動的にカバー16を閉状態でロックして交換モードを終了する。この場合も、検出突起部19を閉検出センサ37が検出した状態で操作部21にロック操作が入力されるとカバーロック機構35がカバー16を閉状態でロックするようにしても良い。
なお、閉検出センサ92が開閉扉90の閉状態を検出すると、制御部55は、その時刻を、上記した付替状況データの解除具収納時刻として記憶部56に記憶させることになる。この場合も、記憶部56に記憶された基準のステップデータと比較することにより、例えば、閉検出センサ92による開閉扉90の開検出のステップの前や、鍵ホルダ11のICタグ43からのICタグリーダ87による鍵・保持部識別番号の検出のステップの前、さらには鍵ホルダ11のICタグ43からのICタグリーダ52による鍵・保持部識別番号の再検出のステップが行われる前に、閉検出センサ37が検出突起部19つまりカバー16の閉状態を検出する等、ステップの順序に誤りがあると、制御部55は、ブザー26による報知音および表示部22へのアラーム表示(正しい操作を誘導する表示を含む)等を発生させる。
以上により、制御部55は、操作ボタン51の表示ランプ50で案内した鍵保持部31に保持された鍵ホルダ11が装置本体12から取り外されるステップと、開閉扉90が開状態となり解除具81にアクセスされるステップと、当該取り外された鍵ホルダ11が装置本体12に再装着されるステップと、ICタグリーダ87がICタグ43から鍵・保持部識別番号を読み取るステップとを確認する。そして、制御部55は、ステップの予め記憶部56に登録された所定の順序と、ステップの実際の操作の際に進行した順序との一致確認を行い、当該一致確認結果についての報知を行う。
なお、交換モードにて、交換可能な鍵・保持部識別番号を有する鍵保持部31のロックを操作ボタン51で解除可能とする際に、収納部34の開閉扉90のロックを操作ボタン94で操作可能とするようにして、鍵10の付け替え後、対象となる鍵保持部31のキーホルダ装着穴45に鍵ホルダ11を挿入しICタグリーダ52が鍵ホルダ11のICタグ43と通信して鍵・保持部識別番号の一致を確認してから、この鍵・保持部識別番号に対応する用途情報の操作部21への入力を行うようにしても良い。
「新規登録モード」
新規登録モードでは、制御部55が、新規登録モードを実行する特定の権限を付与された担当者識別番号および暗証番号が入力された場合に限り、カバーロック機構35を駆動してカバー16のロックを解除する以外は、交換モードとほぼ同様である。
「ログ出力モード」
ログ出力モードについて説明する。カードリーダ24にIDカード23が走査された後、ログ出力モードが選択され、鍵10の管理許可のために設定された暗証番号が操作部21に入力される。すると、制御部55は、カードリーダ24で読み取ったIDカード23の担当者識別番号および操作部21に入力された暗証番号を記憶部56に記憶されたデータと照合することで担当者識別番号および暗証番号がログ出力モードを実行するにあたって適正であるか否かを判定する。適正である場合、制御部55は、記憶部56に記憶されている上記した記憶用ログデータを読み出し、この記憶用ログデータを構成する各持出状況データおよび各付替状況データにある鍵・保持部識別番号(つまり選択指定を受け付けた鍵保持部31の鍵・保持部識別番号)のそれぞれについて、関連する用途情報を記憶部56から読み出して、各持出状況データおよび付替状況データの中にそれぞれ対応する用途情報を含ませる。
このようにして、それぞれが用途情報を含む持出状況データおよび付替状況データが時系列的に並べられた図9に示すような出力用ログデータ(用途情報を含むログ情報)を作成する。図9に示す出力用ログデータの一例においては、「2012/3/3」の日付の日に、「001」の鍵・保持部識別番号の鍵保持部31から「キンコ トビラ」の鍵10を、「777」の担当者識別番号の担当者が、「10:10」の持出時刻で持ち出し、「10:20」の返却時刻で返却したこと、「002」の鍵・保持部識別番号の鍵保持部31から「ATM1ゴウキ トビラ」の用途情報を有する鍵10を、「789」の担当者識別番号の担当者が、「10:15」の持出時刻で持ち出し、「10:25」の返却時刻で返却したこと、「003」の鍵・保持部識別番号の鍵保持部31から「ATM1ゴウキ シュウノウコA カギ」の用途情報を有する鍵10を、「789」の担当者識別番号の担当者が、「10:16」の持出時刻で持ち出し、「10:26」の返却時刻で返却したこと、「004」の鍵・保持部識別番号の鍵保持部31から「ATM1ゴウキ カイシュウコ カギ」の用途情報を有する鍵10を、「789」の担当者識別番号の担当者が、「10:17」の持出時刻で持ち出し、「10:27」の返却時刻で返却したことを表している。
加えて、図9に示す出力用ログデータの一例においては、「021」の鍵・保持部識別番号の鍵保持部31から、鍵10の付いた鍵ホルダ11を、「711」の担当者識別番号の担当者が、「13:15」の取外時刻で取り外し、「13:17」の付替時刻で鍵10を付け替え、「13:18」の時刻で再取り付けを誤り、「13:19」の再取付時刻で適正に取り付けたこと、および、「キンコ トビラ」に用途を変更したことを表している。さらには、「000」の識別番号の収納部34に対し、解除具81を、「711」の担当者識別番号の担当者が、「13:16」の解除具取出時刻で取り出し、「13:20」の解除具収納時刻で収納したことを表している。つまり、制御部55および記憶部56は、操作の際に進行したステップの順序の確認状況を履歴として残す。その際に、間違えた手順についても履歴を残す。例えば、複数の鍵ホルダ11を指定して鍵10の付け替えを行った場合には、履歴から、何れの鍵ホルダ11から順番に鍵10の付け替えを行ったかについてもわかることになる。
ここで、出力用ログデータは、例えば、前回出力が行われた出力用ログデータに含まれる持出状況データおよび付替状況データよりも後に記憶された持出状況データおよび付替状況データからなるもの、出力する当日に記憶された持出状況データおよび付替状況データからなるもの、操作部21へ指定入力された日付あるいは期間の日に記憶された持出状況データおよび付替状況データからなるもの等である。
そして、制御部55は、このようにして作成した出力用ログデータをプリンタ部25で用紙に出力させる。なお、出力用ログデータをプリンタ部25で用紙に出力させるのではなく、別途のパーソナルコンピュータからなるデータ管理装置に出力して記憶させても良く、用紙への出力とデータ管理装置への記憶との両方を行っても良い。
なお、制御部55は、上記のように操作部21で出力操作を受け付けるとプリンタ部25で出力用ログデータを出力させるのではなく、主電源がオンされた基準時点から、予め設定された所定の時間が経過したか否かを判断し、この所定の時間が経過したと判断した場合に、出力用ログデータを用紙あるいは別途のデータ管理装置に出力するようにしても良い。あるいは、前回出力用ログデータを出力した基準時点から、予め設定された所定の時間(例えば一週間)が経過したか否かを判断し、この所定の時間が経過したと判断した場合に、出力用ログデータを用紙あるいは別途のデータ管理装置に出力するようにしても良い。あるいは、制御部55は、その時計機能を利用して、予め設定された所定の時刻となったか否かを判断し、所定の時刻になったと判断した場合に、出力用ログデータを用紙あるいは別途のデータ管理装置に出力するようにしても良い。さらには、これらを適宜組み合わせるようにしても良い。
以上に述べた第1実施形態の鍵管理装置1によれば、鍵ホルダ11への鍵10への付け替えおよび新規取付時には、操作部21およびカードリーダ24への入力に基づいて制御部55が認証を行いその認証結果に基づいて解除具81へのアクセスを許諾すると、解除具81によって、鍵ホルダ11の連結機構61による鍵10への連結状態を解除可能となり、この状態で鍵ホルダ11の鍵10が付け替えられることになる。このように、連結機構61による鍵10の連結を解除する専用の解除具81を準備し、この解除具81へのアクセスに認証を必要とすることで、特定の権限を付与された担当者のみに許諾することができ、よって、鍵10の鍵ホルダ11からの不正な抜き取りを防止することができる。また、認証結果に基づいて制御部55が解除具81へのアクセスを許諾すれば、解除具81によって連結機構61の連結状態を解除可能となるため、部材の破壊等を不要にできる。よって、鍵10の付け替え作業の容易化および廃棄物の低減が可能となる。
また、操作ボタン51によって、連結機構61による鍵10の連結状態を解除する対象の鍵ホルダ11が指定されると、操作ボタン51の表示ランプ50が、点滅から点灯に変わって、指定された鍵ホルダ11を案内することになる。その後、制御部55が、案内した鍵ホルダ11が装置本体12から取り外されるステップと、解除具81にアクセスされるステップと、取り外された鍵ホルダ11が装置本体12に再装着されるステップとを確認する。よって、鍵ホルダ11の連結状態を解除する操作につき、より厳密な管理が可能になる。
また、制御部55は、解除具81に設けられたICタグリーダ87が、鍵ホルダ11のICタグ43から鍵・保持部識別番号を読み取るステップを併せて確認するため、何れの鍵ホルダ11の連結解除を行うかの鍵・保持部識別番号も、解除具81によって解除を行う際に確認されるので、より厳密な管理が可能になる。
また、制御部55が、各ステップの予め登録された所定の順序と各ステップの操作の際に進行した順序との一致確認を行い、この一致確認結果についての報知を行うことになるため、操作手順の間違いを報知することができる。
また、制御部55が、ステップの操作の際に進行した順序の確認状況を履歴として記憶部56に残すため、連結機構61の解除に係るセキュリティをさらに高める効果がある。つまり、いつ、誰が、どの鍵ホルダ11を対象に、交換あるいは新規登録の際に、どのように解除操作したかが詳細の履歴情報としてログに残り、参照も可能となる。
また、キーコードリング62は、切欠部72が鍵ホルダ11の内部に位置してロック体63に係合すると、鍵ホルダ11とで鍵10を取り外し不可に保持することになり、ロック体63が解除具81に係合してスライドさせられると、切欠部72がロック体63との係合が解除されて鍵ホルダ11の外部に位置可能となって鍵10の付け替えが可能となる。これにより、連結機構61の構造が簡素になるとともに、連結および解除が容易となる。
また、ロック体63に、解除具81が係合する溝部78が複数設けられているため、専用の解除具81の構造を複雑化でき、解除具81以外でのロック解除を良好に規制できる。なお、溝部78および係合爪85を増やせば増やすほど、解除具81以外でのロック解除を良好に規制できる効果が高まる。
なお、以上の第1実施形態において、図10に示すように、ロック体63に、切欠部72に係合した状態において鍵ホルダ11の内部へ係止し解除具81が溝部78に係合した際に鍵ホルダ11の内部への係止を解除する係止爪98を設けても良い。これにより、ロック体63が切欠部72に係合した状態を強固に維持できるとともに、ロック体63と鍵ホルダ11の内部(つまり、収容空間68)との係合も強固に維持できる。
次に、本発明に係る鍵管理装置の第2実施形態を主に図11を参照して第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。
第2実施形態では、連結機構(連結手段)61が第1実施形態と一部相違している。第2実施形態の連結機構61は、鍵ホルダ11にスライド可能に設けられる矩形状のキーコードリング(スライド体)62’を有しており、これに合わせて、鍵ホルダ11には、収容空間68の延在方向の一端側を上下両側に開口させる一直線の挿入穴69’が形成されている。そして、キーコードリング62’は、鍵ホルダ11に対してスライド可能となるように直線状の挿入穴69’に挿入されている。キーコードリング62’は、矩形の一部を分断するように切欠部72’を有する鉤状をなしている。
ロック体63が、付勢バネ64の付勢力でキーコードリング62’の切欠部72’内に入り込んで当接面75に当接する状態では、キーコードリング62’はロック体63に係合することになり、ロック体63でスライドが規制されることになる。このロック状態では、切欠部72’が鍵ホルダ11の内部に位置して鍵ホルダ11から外部に露出することはない。
他方、ロック体63が、付勢バネ64の付勢力に抗して移動して当接面75から所定距離離間すると、ロック体63は、切欠部72’から逃げ出ることになる。この状態では、キーコードリング62’はロック体63に対する係合が解除されることになり、ロック体63でスライドが規制されることはない。よって、このロック解除状態では、キーコードリング62’がスライドさせられることになり、その際に切欠部72’の全部が鍵ホルダ11の外部に位置して鍵ホルダ11から外部に露出することが可能となる。つまり、キーコードリング62’の切欠部72’は、連結機構61が鍵10を連結する連結状態の解除時にロック体63との係合が解除されて鍵ホルダ11の外部に位置可能となる。
以上に述べた第2実施形態によれば、キーコードリング62’は、切欠部72’が鍵ホルダ11の内部に位置してロック体63に係合すると、鍵ホルダ11とで鍵10を取り外し不可に保持することになり、ロック体63が解除具81に係合してスライドさせられると、切欠部72’がロック体63との係合が解除されて鍵ホルダ11の外部に位置可能となって鍵10の付け替えが可能となる。これにより、連結機構61の構造が簡素になるとともに、連結および解除が容易となる。
以上の第1,第2実施形態において、鍵管理装置1の制御部55を、例えば鍵管理装置1が設置されている営業店とLANで連携される本店の管理PC(許諾管理手段)に通信可能に接続させて鍵管理システムを構築し、この管理PCからの操作によって、鍵管理装置1の制御部55による解除具81へのアクセスの許諾の機能を設定可能としても良い。つまり、鍵管理装置1の制御部55による解除具81へのアクセスの許諾の有効・無効を操作入力により設定して、例えば誰であっても交換後一定期間は鍵10の交換をできなくしたり、あるいは特定の権限を付与された担当者複数の中から一部のみが、交換後一定期間であっても鍵10の交換を可能に選択したり等、顧客の運用形態に合わせた設定が可能となる。
また、第1,第2実施形態においては、解除具81を収納するための専用の収納部34を設ける場合を例にとり説明したが、鍵10と同様に管理されるIDカードを収納する、装置本体12の内部に別に設けられた図示略のカード収納部を解除具81を収納するための収納部として用いても良い。あるいは、収納部34をユニット化して鍵管理装置1の外面に取り付けたりすることも可能である。
また、第1,第2実施形態においては、解除具81のICタグリーダ87を有線で制御部55に通信する場合を例にとり説明したが、無線で制御部55に通信するようにしても良い。
実施形態の第1の態様は、装置本体に対し着脱可能な鍵ホルダと、該鍵ホルダに設けられて鍵を連結する連結手段と、該連結手段による前記鍵への連結状態を解除する解除手段と、前記装置本体の使用の認証を行う認証手段と、該認証手段の認証結果に基づいて前記解除手段へのアクセスを許諾する許諾手段と、を備えたことを特徴とする。
実施形態の第2の態様は、第1の態様において、前記連結手段による前記連結状態を解除する対象の鍵ホルダが指定される指定手段と、該指定手段に指定された鍵ホルダを案内する案内手段と、該案内手段で案内した鍵ホルダが前記装置本体から取り外されるステップと、前記解除手段にアクセスされるステップと、当該取り外された鍵ホルダが前記装置本体に再装着されるステップとを確認する確認手段と、を備えたことを特徴とする。
実施形態の第3の態様は、第2の態様において、前記鍵ホルダにはホルダ番号情報を記憶する記憶手段が備えられ、前記解除手段には前記記憶手段に記憶された前記ホルダ番号情報を読み取る読取手段が備えられ、前記確認手段は、前記読取手段が前記ホルダ番号情報を読み取るステップを併せて確認することを特徴とする。
実施形態の第4の態様は、第2または第3の態様において、前記確認手段は、前記ステップの予め登録された所定の順序と、前記ステップの操作の際に進行した順序との一致確認を行い、当該一致確認結果についての報知を行う報知手段を備えたことを特徴とする。
実施形態の第5の態様は、第2乃至第4の何れか一態様において、前記ステップの操作の際に進行した順序の前記確認手段による確認状況を履歴として残す履歴管理手段を備えたことを特徴とする。
実施形態の第6の態様は、第1乃至第5の何れか一態様において、前記連結手段は、前記鍵ホルダに対して回動可能であって切欠部を有するリング状の回動体と、前記解除手段が係合してスライドするロック体と、該ロック体を前記回動体の方向に向けて付勢する付勢体とで構成され、前記回動体の前記切欠部は、前記連結手段が前記連結状態にあるとき前記鍵ホルダの内部に位置して前記ロック体に係合し、前記連結手段による前記連結状態の解除時に前記ロック体との係合が解除されて前記鍵ホルダの外部に位置可能となることを特徴とする。
実施形態の第7の態様は、第1乃至第5の何れか一態様において、前記連結手段は、前記鍵ホルダに対してスライド可能であって切欠部を有する鉤状のスライド体と、前記解除手段が係合してスライドするロック体と、該ロック体を前記スライド体の方向に向けて付勢する付勢体とで構成され、前記スライド体の前記切欠部は、前記連結手段が前記連結状態にあるとき前記鍵ホルダの内部に位置して前記ロック体に係合し、前記連結手段による前記連結状態の解除時に前記ロック体との係合が解除されて前記鍵ホルダの外部に位置可能となることを特徴とする。
実施形態の第8の態様は、第6または第7の態様において、前記ロック体は、前記解除手段が係合する係合部を複数有することを特徴とする。
実施形態の第9の態様は、第8の態様において、前記ロック体は、前記切欠部に係合した状態において前記鍵ホルダの内部に係止し前記解除手段が前記係合部に係合した際に前記鍵ホルダの内部への係止を解除する係止爪を備えたことを特徴とする。
実施形態の第10の態様は、第1乃至第9の何れか一態様において、前記許諾手段の機能を設定する許諾管理手段を備えたことを特徴とする。
実施形態の第1の態様によれば、鍵ホルダへの鍵への付け替え時等には、認証手段の認証結果に基づいて許諾手段が解除手段へのアクセスを許諾すると、解除手段によって、鍵ホルダの連結手段による鍵への連結状態を解除可能となり、この状態で鍵ホルダの鍵が付け替えられることになる。このように、解除手段へのアクセスに認証手段の認証が必要であるため、鍵の鍵ホルダからの不正な抜き取りを防止することができる。また、認証手段の認証結果に基づいて許諾手段が解除手段へのアクセスを許諾すれば、解除手段によって連結手段の連結状態を解除可能となるため、部材の破壊等を不要にできる。よって、鍵の付け替え作業の容易化および廃棄物の低減が可能となる。
実施形態の第2の態様によれば、連結手段による連結状態を解除する対象の鍵ホルダが指定手段によって指定されると、案内手段が、指定手段に指定された鍵ホルダを案内することになる。その後、確認手段が、案内手段で案内した鍵ホルダが装置本体から取り外されるステップと、解除手段にアクセスされるステップと、取り外された鍵ホルダが装置本体に再装着されるステップとを確認する。よって、鍵ホルダの連結状態を解除する操作について、より厳密な管理が可能になる。
実施形態の第3の態様によれば、確認手段は、解除手段に設けられた読取手段が、鍵ホルダのホルダ番号情報を読み取るステップを併せて確認するため、何れの鍵ホルダの連結解除を行うかのホルダ番号情報も、解除手段によって解除を行う際に、確認手段によって確認されるので、より厳密な管理が可能になる。
実施形態の第4の態様によれば、確認手段が各ステップの予め登録された所定の順序と各ステップの操作の際に進行した順序との一致確認を行い、報知手段がこの一致確認結果についての報知を行うことになるため、操作手順の間違いを報知することができる。
実施形態の第5の態様によれば、履歴管理手段が、ステップの操作の際に進行した順序の確認手段による確認状況を履歴として残すため、連結手段の解除に係るセキュリティをさらに高める効果がある。
実施形態の第6の態様によれば、回動体は、切欠部が鍵ホルダの内部に位置してロック体に係合すると、鍵ホルダとで鍵を取り外し不可に保持することになり、ロック体が解除手段に係合してスライドさせられると、切欠部がロック体との係合が解除されて鍵ホルダの外部に位置可能となって鍵の付け替えが可能となる。これにより、連結手段の構造が簡素になるとともに、連結および解除が容易となる。
実施形態の第7の態様によれば、スライド体は、切欠部が鍵ホルダの内部に位置してロック体に係合すると、鍵ホルダとで鍵を取り外し不可に保持することになり、ロック体が解除手段に係合してスライドさせられると、切欠部がロック体との係合が解除されて鍵ホルダの外部に位置可能となって鍵の付け替えが可能となる。これにより、連結手段の構造が簡素になるとともに、連結および解除が容易となる。
実施形態の第8の態様によれば、ロック体に、解除手段が係合する係合部を複数有するため、解除手段の構造を複雑化でき、解除手段以外でのロック解除を良好に規制できる。
実施形態の第9の態様によれば、ロック体に、切欠部に係合した状態において鍵ホルダの内部に係止する係止爪を設けたため、ロック体が切欠部に係合した状態を強固に維持できるとともに、ロック体と鍵ホルダの内部との係合も強固に維持できる。
実施形態の第10の態様によれば、許諾管理手段によって許諾手段の機能を設定することができるため、例えば誰であっても交換後一定期間は鍵の交換をできなくしたり、あるいは特定の権限を付与された複数の担当者の中から一部のみが、交換後一定期間であっても鍵の交換を可能に選択したり等、顧客の運用形態に合わせた設定が可能となる。