JP7227589B2 - 疾患の発症に関する診断のための情報を提供する方法 - Google Patents
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Description
[1] 発症の原因となる細胞がCNGB3(cyclic nucleotide-gated channel beta 3)を発現している疾患の発症可能性を評価し、当該疾患の発症に関する診断のための情報を提供する方法であって、
被検動物から採取されたエクソソーム中のCNGB3を測定し、
得られた測定値を、予め設定された基準値と比較して、前記被検動物が前記疾患を発症している可能性を評価する、方法。
[2] 前記測定値が、前記基準値超である場合に、前記被検動物は前記疾患を発症している可能性が高いと評価する、前記[1]の方法。
[3] 前記エクソソームが前記被検動物から採取された血液から分離されたものである、前記[1]又は[2]の方法。
[4] CNGB3の測定を、配列番号2、4~7のいずれかで表されるアミノ酸配列からなるペプチドを用いて行う、前記[1]~[3]の方法。
[5] 前記被検動物がヒトである、前記[1]~[4]のいずれかの方法。
[6] 前記疾患が、子宮内膜症又は癌である、前記[1]~[5]のいずれかの方法。
[7] エクソソーム中のCNGB3の量からなり、
子宮内膜症又は癌の発症の有無を評価するために用いられる、バイオマーカー。
CNGB3は、正常組織では、子宮内膜と網膜においてのみ高発現している膜タンパク質である。正常組織におけるCNGB3の局在は非常に偏っており、松果体において中程度の発現が、骨髄、脈絡叢、輸卵管、眼、卵巣、及び精巣において弱い発現が確認されているのみである。CNGB3は、様々な癌細胞でも比較的強く発現している。CNGB3を発現している癌としては、例えば、子宮癌、子宮頸癌、骨盤腔癌、卵巣癌、乳癌、腹壁腫瘍、大網腫瘍、食道癌、胃癌、小腸癌、結腸癌、直腸癌、盲腸癌、胆嚢癌、膵臓癌、肝臓癌、脾臓癌、腎臓癌、舌癌、咽頭癌、鼻癌、耳下腺癌、甲状腺癌、悪性リンパ腫、骨腫瘍、皮膚癌、肺癌、縦隔癌、精巣癌、前立腺癌、膀胱癌、脳腫瘍等が挙げられる。同種の組織に由来する癌細胞であっても、CNGB3が発現している癌細胞と発現していない癌細胞がある。
エクソソームには、当該エクソソームが放出された元の細胞の細胞膜に発現している生体分子を含む。前述の通り、CNGB3は、子宮内膜症細胞の細胞膜に多く発現しており、子宮内膜症細胞から放出されたエクソソームにはCNGB3が含まれている。同様に、CNGB3は、様々な癌細胞でも発現しており、癌細胞から放出されたエクソソームにはCNGB3が含まれている。このため、エクソソーム中のCNGB3量は、子宮内膜症又は癌のバイオマーカーとして有用である。
本発明に係る疾患発症可能性の評価方法(以下、「本発明に係る評価方法」ということがある。)は、エクソソーム中のCNGB3をバイオマーカーとし、CNGB3を発現している疾患の発症可能性を評価する方法である。発症の原因となる細胞がCNGB3を発現している疾患(以下、「CNGB3高発現疾患」ということがある。)を発症している動物の体内においては、当該疾患の原因細胞から、CNGB3を多く含むエクソソームが多く分泌されている。一方で、CNGB3は正常細胞では限られた組織でしか発現していないため、CNGB3高発現疾患を発症していない動物の体内には、CNGB3を多く含むエクソソームは非常に少ない。このため、エクソソーム中のCNGB3量に基づいて、CNGB3高発現疾患の発症者群と非発症者群を識別することができる。本発明に係る評価方法は、被検動物から採取されたエクソソーム中のCNGB3を測定し、得られた測定値を予め設定された基準値と比較して、前記被検動物がCNGB3高発現疾患を発症している可能性を評価する。
本発明及び本願明細書において、「タンパク質においてアミノ酸が置換する」とは、タンパク質を構成しているアミノ酸が別のアミノ酸に変わることを意味する。
本発明及び本願明細書において、「タンパク質においてアミノ酸が付加される」とは、タンパク質中に新たなアミノ酸が挿入されることを意味する。
各種臓器の癌組織のパラフィン包埋切片を、抗CNGB3抗体で免疫染色し、CNGB3の発現の有無を調べた。
組織切片は、市販されているヒトの卵巣癌組織アレイ(Ovary cancer tissue array)(US Biomax社製)4種のうちの2種類(OV20811及びOV2088)と、各種臓器の癌組織アレイ(Multiple organ tumor tissue array)のうちの2種類(FDA800a及びMC964a)を用いた。また、抗CNGB3抗体は、市販されている抗体のうち、Biorbyt(Catalog No.orb156415BRT 100UG)(以下、「抗体orb」ということがある。)及びOsenses(Code; OSC00253W)(以下、「抗体253W」ということがある。)の2種類を用いた。
血液から分離されたエクソソーム中のCNGB3量を測定し、CNGB3高発現疾患患者とCNGB3高発現疾患の非罹患者を識別できるかを調べた。なお、以降の実験は、浜松医科大学制度審査委員会の承認を受けて行われた。
健常者(腫瘤を持たず、何等かの疾患への罹患が確認されておらず、健康と予想されるヒト)2名、及び浜松医科大学大学病院の患者(卵巣癌患者3名、子宮体癌患者3名、乳癌患者3名、子宮頸癌患者1名、大腸癌患者2名、子宮内膜症患者3名、及び子宮腺筋症患者1名)から採取された血液を遠心分離し、得られた血清アリコートを-80℃で保存した。子宮腺筋症患者は、子宮内膜症と子宮筋腫の両方を発症している患者である。
エクソソームは、Exosome Isolation Kit(富士フィルム・和光純薬社製)を用い、製造者の使用説明書に従って血清から単離した。具体的には、まず、血清を1,000×g、4℃で20分間遠心分離し、上清を回収した。回収した上清を、10,000×g、4℃で30分間遠心分離し、上清を新しいチューブに移した。次いで、この上清1.0mLを、エクソソーム捕捉ビーズと4℃で180分間、ローテーターで混合した。その後、当該補足ビーズを洗浄した後、100μLの溶出バッファーでエクソソームを溶出し、-20℃で保存した。
Z13ペプチド(VRRADNRPG:配列番号2)にビオチンを結合させたビオチン化Z13ペプチド(L-アミノ酸からなるペプチド)は、GenScript社により合成されたものを用いた。
800μLの血清から単離されたエクソソームを濃縮Laemmli緩衝液と混合して測定サンプルを調製した。当該測定サンプルを、SDS-PAGEにより分離し、次いでPVDF膜に移した。PVDF膜を室温で60分間、5%BSA含有TBST(0.1v/v% Tween-20)中でブロッキングした。ブロッキング後のPVDF膜は、洗浄後、1.0μg/mLのビオチン化Z13ペプチド含有TBST中、4℃で一晩インキュベートした。その後、当該膜をTBSTで洗浄し、続いて、0.1μg/mL HRP(西洋ワサビペルオキシダーゼ)結合アビジン(Thermo Fisher Scientific社製)含有TBST中、室温で60分間インキュベートした。当該膜上のCNGB3は、CCDカメラシステム(ATTO社製)及びECL prime(GE Healthcare社製)を用いて検出した。デンシトメトリー分析は、画像解析ソフトウェア「CS Analyzer 4」(ATTO社製)を用いて行った。
全ての分析は、医学統計ソフトウェア「GraphPad Prism 6」(GraphPad Software社製)を用いて行った。
Claims (7)
- 発症の原因となる細胞がCNGB3(cyclic nucleotide-gated channel beta 3)を発現している疾患の発症可能性を評価し、当該疾患の発症に関する診断のための情報を提供する方法であって、
被検動物から採取されたエクソソーム中のCNGB3を測定し、
得られた測定値を、予め設定された基準値と比較して、前記被検動物が前記疾患を発症している可能性を評価する、方法。 - 前記測定値が、前記基準値超である場合に、前記被検動物は前記疾患を発症している可能性が高いと評価する、請求項1に記載の方法。
- 前記エクソソームが前記被検動物から採取された血液から分離されたものである、請求項1又は2に記載の方法。
- CNGB3の測定を、配列番号2、4~7のいずれかで表されるアミノ酸配列からなるペプチドを用いて行う、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
- 前記被検動物がヒトである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記疾患が、子宮内膜症又は癌である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
- エクソソーム中のCNGB3の量からなり、
子宮内膜症又は癌の発症の有無を評価するために用いられる、バイオマーカー。
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---|---|---|---|---|
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JP2014504871A (ja) | 2011-01-07 | 2014-02-27 | アプライド ジェネティック テクノロジーズ コーポレイション | 1色覚および他の疾患の治療のためのプロモーター、発現カセット、ベクター、キット、ならびに方法 |
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Non-Patent Citations (1)
Title |
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SUGIHARA, K. et al,Development of pro-apoptotic peptides as potential therapy for peritoneal endometriosis,NATURE COMMUNICATIONS,2014年07月22日,Vol.5/No.4478,p.1-9 |
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