JP2020030120A - 疾患発症可能性の評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、CNGB3(cyclic nucleotide-gated channel beta 3)を高発現している疾患の発症可能性を評価することを課題とする。【解決手段】発症の原因となる細胞がCNGB3を発現している疾患の発症可能性を評価する方法であって、被検動物から採取されたエクソソーム中のCNGB3を測定し、得られた測定値を、予め設定された基準値と比較して、前記被検動物が前記疾患を発症している可能性を評価する、疾患発症可能性の評価方法。【選択図】なし

Description

本発明は、発症の原因となる細胞がCNGB3を高発現している疾患の発症可能性を評価する方法に関する。
疾患組織や当該組織を構成する細胞に特異的に存在する分子は、当該疾患のマーカーとして有用である。被験者から採取された生体サンプル中に疾患マーカーを調べることにより、当該被験者が当該疾患を発症しているかどうかや発症の可能性を評価することができる。被験者の負担軽減の点から、目的の疾患の発症の有無の検出や発症の可能性の評価は、できるだけ低侵襲なサンプルから調べられることが好ましい。
一方で、細胞は様々な大きさの脂質二重膜に包まれた細胞外小胞を分泌していることが知られている。このうちのエクソソーム(exosome)の中には、mRNAやmiRNAといった核酸やタンパク質が含まれている。エクソソームは、正常細胞ではそれほど多く分泌されておらず、癌などの異常な状態の細胞で分泌量が増大することが報告されている。
また、子宮内膜症は、子宮内膜細胞が子宮内腔以外の部位で増殖する疾患である。多くのケースにおいて、骨盤の腹膜や卵巣内で子宮内膜細胞が増殖する。代表的な症状は、月経痛(月経困難症)や不妊症であり、重篤な場合には、激しい疼痛が起こり、失神することもある。さらに、子宮内膜症を発生母体として、癌が発症する場合もある。
特許文献1には、CNGB3(cyclic nucleotide-gated channel beta 3)に特異的に結合するZ13ペプチドとエンドソームエスケープペプチドとの融合ペプチドと、Z13ペプチドとアポトーシス誘導ペプチドとの融合ペプチドとを含むペプチド組成物が開示されている。CNGB3は、子宮内膜症細胞(子宮内膜以外に存在する子宮内膜細胞)の細胞表面に特異的に高発現しており、腹膜表面には発現していない分子である。両ペプチドを、Z13ペプチド部分により子宮内膜症細胞に共に取り込ませることにより、子宮内膜症細胞に対して選択的にアポトーシスを誘導させることができる。実際に、子宮内膜症を発症しているヒヒに、Z13ペプチドとエンドソームエスケープペプチドとの融合ペプチドと、Z13ペプチドとアポトーシス誘導ペプチドとの融合ペプチドとを含むペプチド組成物を、腹腔鏡を介して腹膜に投与したところ、子宮内膜症の病変の細胞のみ選択的にアポトーシスが誘導され、隣接するその他の細胞ではアポトーシスは誘導されなかった(非特許文献1参照。)。
米国特許出願公開第2016/145308号明細書
Sugihara,et al.,NATURE COMMUNICATIONS、2014年、第5巻、記事番号4478.
本発明は、発症の原因となる細胞がCNGB3を高発現している疾患の発症可能性を評価する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、CNGB3が、子宮内膜及び網膜のみならず、幾つかの癌細胞でも発現していること、及び発症の原因となる細胞がCNGB3を発現している疾患に罹患している患者から分離されたエクソソームはCNGB3を含むことを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の疾患発症可能性の評価方法及びバイオマーカーを提供するものである。
[1] 発症の原因となる細胞がCNGB3を発現している疾患の発症可能性を評価する方法であって、
被検動物から採取されたエクソソーム中のCNGB3を測定し、
得られた測定値を、予め設定された基準値と比較して、前記被検動物が前記疾患を発症している可能性を評価する、疾患発症可能性の評価方法。
[2] 前記測定値が、前記基準値超である場合に、前記被検動物は前記疾患を発症している可能性が高いと評価する、前記[1]の疾患発症可能性の評価方法。
[3] 前記エクソソームが前記被検動物から採取された血液から分離されたものである、前記[1]又は[2]の疾患発症可能性の評価方法。
[4] CNGB3の測定を、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドを用いて行う、前記[1]〜[3]のいずれかの疾患発症可能性の評価方法。
[5] 前記被検動物がヒトである、前記[1]〜[4]のいずれかの疾患発症可能性の評価方法。
[6] 前記疾患が、子宮内膜症又は癌である、前記[1]〜[5]のいずれかの疾患発症可能性の評価方法。
[7] エクソソーム中のCNGB3の量からなり、
子宮内膜症又は癌の発症の有無を評価するために用いられる、バイオマーカー。
本発明に係る疾患発症の評価方法及びバイオマーカーにより、子宮内膜症や癌などのCNGB3を特異的に発現している疾患の発症可能性を簡便かつ効率よく評価することができる。
<CNGB3>
CNGB3は、正常組織では、子宮内膜と網膜においてのみ高発現している膜タンパク質である。正常組織におけるCNGB3の局在は非常に偏っており、松果体において中程度の発現が、骨髄、脈絡叢、輸卵管、眼、卵巣、及び精巣において弱い発現が確認されているのみである。CNGB3は、様々な癌細胞でも比較的強く発現している。CNGB3を発現している癌としては、例えば、子宮癌、子宮頸癌、骨盤腔癌、卵巣癌、乳癌、腹壁腫瘍、大網腫瘍、食道癌、胃癌、小腸癌、結腸癌、直腸癌、盲腸癌、胆嚢癌、膵臓癌、肝臓癌、脾臓癌、腎臓癌、舌癌、咽頭癌、鼻癌、耳下腺癌、甲状腺癌、悪性リンパ腫、骨腫瘍、皮膚癌、肺癌、縦隔癌、精巣癌、前立腺癌、膀胱癌、脳腫瘍等が挙げられる。同種の組織に由来する癌細胞であっても、CNGB3が発現している癌細胞と発現していない癌細胞がある。
<バイオマーカー>
エクソソームには、当該エクソソームが放出された元の細胞の細胞膜に発現している生体分子を含む。前述の通り、CNGB3は、子宮内膜症細胞の細胞膜に多く発現しており、子宮内膜症細胞から放出されたエクソソームにはCNGB3が含まれている。同様に、CNGB3は、様々な癌細胞でも発現しており、癌細胞から放出されたエクソソームにはCNGB3が含まれている。このため、エクソソーム中のCNGB3量は、子宮内膜症又は癌のバイオマーカーとして有用である。
<疾患発症可能性の評価方法>
本発明に係る疾患発症可能性の評価方法(以下、「本発明に係る評価方法」ということがある。)は、エクソソーム中のCNGB3をバイオマーカーとし、CNGB3を発現している疾患の発症可能性を評価する方法である。発症の原因となる細胞がCNGB3を発現している疾患(以下、「CNGB3高発現疾患」ということがある。)を発症している動物の体内においては、当該疾患の原因細胞から、CNGB3を多く含むエクソソームが多く分泌されている。一方で、CNGB3は正常細胞では限られた組織でしか発現していないため、CNGB3高発現疾患を発症していない動物の体内には、CNGB3を多く含むエクソソームは非常に少ない。このため、エクソソーム中のCNGB3量に基づいて、CNGB3高発現疾患の発症者群と非発症者群を識別することができる。本発明に係る評価方法は、被検動物から採取されたエクソソーム中のCNGB3を測定し、得られた測定値を予め設定された基準値と比較して、前記被検動物がCNGB3高発現疾患を発症している可能性を評価する。
CNGB3高発現疾患としては、子宮内膜症やCNGB3を発現している癌が挙げられる。また、本発明に係る評価方法により評価される対象の被検動物としては、ヒトであってもよく、非ヒト動物であってもよい。非ヒト動物の生物種は特に限定されるものではなく、例えば、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ハムスター、サル、ヒツジ、ウマ、ウシ、ブタ、ロバ、イヌ、ネコ等の家畜や実験動物が挙げられる。本発明に係る評価方法により評価される対象の被検動物としては、ヒト、家畜、実験動物が好ましく、ヒトがより好ましい。
具体的には、エクソソーム中のCNGB3の測定値が、予め設定された基準値超である場合に、当該エクソソームが採取された被検動物は、CNGB3高発現疾患を発症している可能性が高いと評価する。当該基準値は、CNGB3高発現疾患の発症者と非発症者を識別するための基準値である。
当該基準値は、例えば、CNGB3高発現疾患の患者群と非患者群のエクソソーム中のCNGB3の量を測定し、両群を区別することができる閾値として実験的に求めることができる。本発明におけるエクソソーム中のCNGB3量の基準値の決め方は特に限定されるものではなく、例えば、一般的な統計学的手法によって求められる。
基準値の求め方の一例としては、例えば、一般的に行われている病理検査等の他の方法によって目的のCNGB3高発現疾患の患者であると診断されている患者のエクソソームを採取してそのCNGB3の量を測定する。複数の患者について測定した後に、その平均値又は中央値などによりこれらのエクソソーム中のCNGB3量を算出し、これが含まれる数値を基準値とすることができる。
また、複数のCNGB3高発現疾患患者と複数のCNGB3高発現疾患の非患者に対して、それぞれエクソソーム中のCNGB3量を測定し、平均値又は中央値などによりCNGB3高発現疾患患者群とCNGB3高発現疾患非患者群のエクソソーム中のCNGB3量とばらつきをそれぞれ算出した後、ばらつきも考慮して両数値が区別されるような閾値を求め、これを基準値とすることができる。
評価対象のCNGB3高発現疾患が、CNGB3が発症の原因細胞において特異的に発現している場合、前記基準値は、CNGB3の検出限界値とすることができる。被検動物から採取されたエクソソーム中からCNGB3が検出された場合には、当該被検動物は当該CNGB3高発現疾患に発症している可能性が高いと評価し、CNGB3が検出されなかった場合には、当該被検動物は当該CNGB3高発現疾患に発症していない可能性が高いと評価できる。
被検動物から採取されたエクソソーム中のCNGB3の量の測定方法は、特に限定されるものではなく、タンパク質の発現を定量的又は半定量的に測定する際に一般的に使用される各種方法で測定することができる。当該方法としては、例えば、ELISA法、免疫組織化学法、ウェスタンブロット法等の免疫反応を利用した方法が挙げられる。また、被検動物から採取されたエクソソーム中のCNGB3量は、CNGB3を含むエクソソームの量として求めてもよい。CNGB3は主にエクソソームの脂質二重膜表面に存在している。このため、特定の表面分子を有するエクソソームを測定する各種の方法を適用することによっても、エクソソーム中のCNGB3の量を測定できる。特定の表面分子を有するエクソソームを測定する装置としては、例えば、「Exo Counter」(JVCケンウッド社製)、「dNano」(メイワフォーシス社製)、「Nano Sight」(日本カンタム・デザイン社製)、「SP6800」ソニー(株)等のエクソソーム計測システムが挙げられる。
免疫反応を利用した測定方法においては、いずれの抗CNGB3抗体を用いてもよい。市販されている抗CNGB3抗体としては、例えば、Biorbyt(Catalog No.orb156415BRT 100UG)、Osenses(Code; OSC00253W)等が挙げられる。また、抗CNGB3抗体に代えて、CNGB3と結合する分子を利用することができる。当該分子としては、ペプチド、タンパク質、核酸、低分子等のいずれであってもよい。また、当該分子は、標識化物(CNGB3と結合する部位に、直接又は間接的に標識物質が結合したもの)であることも好ましい。当該標識物質は、特に限定されるものではなく、例えば、ビオチン等の低分子であってもよく、蛍光物質であってもよく、酵素であってもよく、Hisタグ、Mycタグ、Flagタグ等のタグペプチドであってもよい。
例えば、CNGB3と結合するペプチド(以下、「CNGB3結合性ペプチド」ということがある。)としては、例えば、配列番号1(VRRAXNXPG;Xは任意の天然に存在するアミノ酸を表す。)で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号1で表されるアミノ酸配列の一部を改変したアミノ酸配列からなるペプチドが挙げられる(特許文献1)。配列番号1で表されるアミノ酸配列の一部を改変したアミノ酸配列からなるペプチドとしては、配列番号1で表されるアミノ酸配列の1個、2個、又は3個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されており、かつCNGB3に対する結合能を保持しているペプチドや、配列番号1で表されるアミノ酸配列と少なくとも75%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上の配列同一性を有しており、かつCNGB3に対する結合能を保持しているペプチドが挙げられる。CNGB3結合性ペプチドとしては、具体的には、配列番号2(VRRADNRPG)で表されるアミノ酸配列からなるペプチド(以下、「Z13ペプチド」ということがある。)、配列番号3(VRRAENRPG)で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号4(VRRANNLPG)で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号5(VRRANNRPG)で表されるアミノ酸配列からなるペプチドが挙げられる。
また、CNGB3結合性ペプチドとしては、例えば、配列番号6(MQRTRATPG)で表されるアミノ酸配列からなるペプチド(以下、「Z24ペプチド」ということがある。非特許文献1参照。)、配列番号6で表されるアミノ酸配列の一部を改変したアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号7(VRSSRSTPQ)で表されるアミノ酸配列からなるペプチド(以下、「Z11ペプチド」ということがある。非特許文献1参照。)、又は配列番号7で表されるアミノ酸配列の一部を改変したアミノ酸配列からなるペプチドを用いることもできる。
免疫反応を利用した測定方法において使用されるCNGB3と結合する分子としては、CNGB3結合性ペプチド又はその標識化物が好ましく、CNGB3との結合特異性が高いことから、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号1で表されるアミノ酸配列の一部を改変したアミノ酸配列からなるペプチド、又はこれらの標識化物がより好ましく、Z13ペプチド又はその標識化物が特に好ましい。CNGB3結合性ペプチドとしては、ペプチド部分が全てL−アミノ酸からなるものを用いてもよく、D−アミノ酸からなるものを用いることもできる。例えば、ビオチン化Z13ペプチドと、酵素や蛍光で標識されたアビジンやストレプトアビジンのセットを用いることができる。
なお、本発明及び本願明細書において、「タンパク質においてアミノ酸が欠失する」とは、タンパク質を構成しているアミノ酸の一部が失われる(除去される)ことを意味する。
本発明及び本願明細書において、「タンパク質においてアミノ酸が置換する」とは、タンパク質を構成しているアミノ酸が別のアミノ酸に変わることを意味する。
本発明及び本願明細書において、「タンパク質においてアミノ酸が付加される」とは、タンパク質中に新たなアミノ酸が挿入されることを意味する。
CNGB3量の測定に供されるエクソソームは、被検動物から採取されたものであればよく、被検動物から採取された生体試料そのものであってもよいが、当該生体試料から精製されたエクソソームであることが好ましい。生体試料からのエクソソームの分離は、例えば、市販のエクソソーム分離用キットを用いて行うことができる。
エクソソームを含む生体試料としては、特に限定されるものではなく、血液、血漿、血清、涙液、唾液、腹腔液、尿等であってもよく、子宮粘膜や消化管粘膜のような粘膜や、肝臓、胃、小腸、大腸等の組織から採取された組織片であってもよい。中でも、血液、血漿、血清は、臨床検体として汎用されており、かつ比較的低侵襲的に採取することが可能である。このため、本発明に係る評価方法においてCNGB3量の測定に供されるエクソソームとしては、被検動物から採取された血液、特に血漿又は血清から分離されたエクソソームが好ましい。本発明に係る評価方法は、血清等から分離されたエクソソームをサンプルとして実施できるため、健康診断のようなCNGB3高発現疾患のファーストスクリーニングにも有効である。
本発明に係る評価方法は、CNGB3高発現疾患の治療における治療効果の評価に用いることができる。例えば、CNGB3高発現疾患患者に対して、CNGB3高発現疾患の治療の開始前と終了後に、本発明に係る評価方法を実施する。当該治療によって、患者の体内において、CNGB3高発現疾患の原因細胞が減少した、若しくは、その生理活性が低下した場合には、当該患者の体内では、CNGB3高発現疾患の原因細胞から分泌されるエクソソームの量が低下する。このため、エクソソーム中のCNGB3量が治療前と比較して治療後に有意に減少している場合には、当該治療により治療効果が得られた、と評価できる。また、エクソソーム中のCNGB3量の減少の割合が大きければ大きいほど、高い治療効果が得られた、と評価できる。CNGB3高発現疾患の治療の開始前と終了後に加えて、治療期間中にも経時的に本発明に係る評価方法を実施することにより、治療効果をモニタリングすることもできる。
また、CNGB3高発現疾患に少なくとも1度罹患した動物に対して、本発明に係る評価方法を経時的に実施することにより、当該罹患動物のCNGB3高発現疾患の発症の有無をモニタリングすることができる。例えば、CNGB3高発現疾患が、癌や子宮内膜症のように、治癒した場合でも再発リスクが高い疾患の場合、CNGB3高発現疾患患者に対して本発明に係る評価方法を経時的に実施することにより、再発の有無をモニタリングすることができる。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[参考例1]
各種臓器の癌組織のパラフィン包埋切片を、抗CNGB3抗体で免疫染色し、CNGB3の発現の有無を調べた。
組織切片は、市販されているヒトの卵巣癌組織アレイ(Ovary cancer tissue array)(US Biomax社製)4種のうちの2種類(OV20811及びOV2088)と、各種臓器の癌組織アレイ(Multiple organ tumor tissue array)のうちの2種類(FDA800a及びMC964a)を用いた。また、抗CNGB3抗体は、市販されている抗体のうち、Biorbyt(Catalog No.orb156415BRT 100UG)(以下、「抗体orb」ということがある。)及びOsenses(Code; OSC00253W)(以下、「抗体253W」ということがある。)の2種類を用いた。
組織切片の免疫染色は以下の通りにして行った。まず、パラフィン包埋組織切片を、液状免疫実験用ブロッキング剤(イムノブロック、DSファーマバイオメディカル社製)で30分間反応させて非特異的反応をブロッキングした後、TBST(Tween 20含有トリス緩衝生理食塩水)による5分間の洗浄処理を2回行った。次いで、当該組織切片を、0.3%の過酸化水素水に浸漬させて5分間反応させ、内在性ペルオキシダーゼ活性のブロッキング処理を行った後、TBSTによる5分間の洗浄処理を2回行った。続いて、当該組織切片を、抗CNGB3抗体をREAL Antibody Diluent(Code S2022、Dako社製)で100倍に希釈した一次抗体溶液に浸漬させて室温で30分間反応させた後、TBSTによる5分間の洗浄処理を2回行った。さらに、当該組織切片を、標識二次抗体(EnVision+System-HRP 標識 Polymer 抗ウサギ抗体、Dako社製)と室温で30分間反応させた後、TBSTによる5分間の洗浄処理を2回行った。その後、当該組織切片を、DAB発色試薬[DAB + Liquid (ラージサイズ)、RUO(K3468)、Dako社製]で5分間処理して発色させた。DAB発色後の組織切片は、水洗した後、マイヤーヘマトキシリンで2分間処理して核を染色した後、封入した。
ヒトの卵巣癌組織アレイのうちのOV20811の染色結果を表1〜6に、OV2088の染色結果を表7〜12に、それぞれ示す。各種臓器の癌組織アレイのうちのFDA800aの染色結果を表13、14に、MC964aの染色結果を表15〜17に、それぞれ示す。表中、各抗CNGB3抗体の欄が「+」は当該抗体で免疫染色された結果を、「−」は当該抗体で免疫染色されなかった結果を、それぞれ意味する。大部分の組織切片が抗CNGB3抗体による免疫染色されており、CNGB3が発現していることがわかった。
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[実施例1]
血液から分離されたエクソソーム中のCNGB3量を測定し、CNGB3高発現疾患患者とCNGB3高発現疾患の非罹患者を識別できるかを調べた。なお、以降の実験は、浜松医科大学制度審査委員会の承認を受けて行われた。
<血清サンプル>
健常者(腫瘤を持たず、何等かの疾患への罹患が確認されておらず、健康と予想されるヒト)2名、及び浜松医科大学大学病院の患者(卵巣癌患者3名、子宮体癌患者3名、乳癌患者3名、子宮頸癌患者1名、大腸癌患者2名、子宮内膜症患者3名、及び子宮腺筋症患者1名)から採取された血液を遠心分離し、得られた血清アリコートを−80℃で保存した。子宮腺筋症患者は、子宮内膜症と子宮筋腫の両方を発症している患者である。
<エクソソーム分離>
エクソソームは、Exosome Isolation Kit(富士フィルム・和光純薬社製)を用い、製造者の使用説明書に従って血清から単離した。具体的には、まず、血清を1,000×g、4℃で20分間遠心分離し、上清を回収した。回収した上清を、10,000×g、4℃で30分間遠心分離し、上清を新しいチューブに移した。次いで、この上清1.0mLを、エクソソーム捕捉ビーズと4℃で180分間、ローテーターで混合した。その後、当該補足ビーズを洗浄した後、100μLの溶出バッファーでエクソソームを溶出し、−20℃で保存した。
<ペプチド合成>
Z13ペプチド(VRRADNRPG:配列番号2)にビオチンを結合させたビオチン化Z13ペプチド(L−アミノ酸からなるペプチド)は、GenScript社により合成されたものを用いた。
<アビジンブロッティング>
800μLの血清から単離されたエクソソームを濃縮Laemmli緩衝液と混合して測定サンプルを調製した。当該測定サンプルを、SDS−PAGEにより分離し、次いでPVDF膜に移した。PVDF膜を室温で60分間、5%BSA含有TBST(0.1v/v% Tween−20)中でブロッキングした。ブロッキング後のPVDF膜は、洗浄後、1.0μg/mLのビオチン化Z13ペプチド含有TBST中、4℃で一晩インキュベートした。その後、当該膜をTBSTで洗浄し、続いて、0.1μg/mL HRP(西洋ワサビペルオキシダーゼ)結合アビジン(Thermo Fisher Scientific社製)含有TBST中、室温で60分間インキュベートした。当該膜上のCNGB3は、CCDカメラシステム(ATTO社製)及びECL prime(GE Healthcare社製)を用いて検出した。デンシトメトリー分析は、画像解析ソフトウェア「CS Analyzer 4」(ATTO社製)を用いて行った。
<統計分析>
全ての分析は、医学統計ソフトウェア「GraphPad Prism 6」(GraphPad Software社製)を用いて行った。
各測定サンプルのアビジンブロッティングの結果に得られたCNGB3のバンドのシグナル強度及びその相対値(健常者1のシグナル強度を1とした相対値)を表18に示す。ただし、乳癌患者1及び2は、少量の血清しか確保できなかったため、100μLの血清より単離したエクソソームを用い、乳癌患者3は、37.5μLの血清から単離したエクソソームを用いた。そのため、乳癌患者サンプルのシグナル強度は、血清使用量の逆数を乗じることで補正を行った。
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この結果、全てのサンプルにおいて、CNGB3のバンドが検出され、これらのエクソソームにはCNGB3が含まれていることが確認された。癌患者、子宮内膜症患者、及び子宮腺筋症患者から分離されたエクソソームのCNGB3量は、健常者から分離されたエクソソームの2倍以上であった。これらの結果から、腫瘍患者、子宮内膜症患者、及び子宮腺筋症患者のような、疾患の原因細胞でCNGB3が高発現している患者の血清から分離されたエクソソームには、健常者の血清から分離されたエクソソームよりも有意に多くのCNGB3が含まれており、よって、適切な基準値(カットオフ値)を設定することにより、エクソソーム中のCNGB3の量に基づいてCNGB3高発現疾患の発症の可能性が評価できることが確認できた。
また、健常者のエクソソームにも非常に少量ではあるがCNGB3が存在していることが確認された。これは、CNGB3結合性ペプチドのようなCNGB3との結合性の高い分子を用いたことにより、血清中のエクソソームのCNGB3を非常に高感度に検出できたためと推察された。健常者の体内にある極めて微量の癌細胞から放出されたCNGB3を含むエクソソームが検出できたことから、CNGB3結合性ペプチドを利用することにより、血清中のエクソソームを検体とした場合でも、進行癌が検出できるだけではなく、非常に早期の癌の検出も可能であることが期待できる。

Claims (7)

  1. 発症の原因となる細胞がCNGB3(cyclic nucleotide-gated channel beta 3)細胞を発現している疾患の発症可能性を評価する方法であって、
    被検動物から採取されたエクソソーム中のCNGB3を測定し、
    得られた測定値を、予め設定された基準値と比較して、前記被検動物が前記疾患を発症している可能性を評価する、疾患発症可能性の評価方法。
  2. 前記測定値が、前記基準値超である場合に、前記被検動物は前記疾患を発症している可能性が高いと評価する、請求項1に記載の疾患発症可能性の評価方法。
  3. 前記エクソソームが前記被検動物から採取された血液から分離されたものである、請求項1又は2に記載の疾患発症可能性の評価方法。
  4. CNGB3の測定を、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドを用いて行う、請求項1〜3のいずれか一項に記載の疾患発症可能性の評価方法。
  5. 前記被検動物がヒトである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の疾患発症可能性の評価方法。
  6. 前記疾患が、子宮内膜症又は癌である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の疾患発症可能性の評価方法。
  7. エクソソーム中のCNGB3の量からなり、
    子宮内膜症又は癌の発症の有無を評価するために用いられる、バイオマーカー。
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