将来の無線通信システムは、様々な無線通信サービスを、それぞれ異なる要求条件(例えば、超高速、大容量、超低遅延など)を満たすように実現することが期待されている。例えば、将来の無線通信システムでは、上述したように、ビームフォーミング(BF:Beam Forming)を利用して通信を行うことが検討されている。
BFは、デジタルBF及びアナログBFに分類できる。デジタルBFは、ベースバンド上で(デジタル信号に対して)プリコーディング信号処理を行う方法である。この場合、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)/デジタル-アナログ変換(DAC:Digital to Analog Converter)/RF(Radio Frequency)の並列処理が、アンテナポート(RF Chain)の個数だけ必要となる。一方で、任意のタイミングで、RF chain数に応じた数だけビームを形成できる。
アナログBFは、RF上で位相シフト器を用いる方法である。この場合、RF信号の位相を回転させるだけなので、構成が容易で安価に実現できるが、同じタイミングで複数のビームを形成することができない。具体的には、アナログBFでは、位相シフト器ごとに、一度に1ビームしか形成できない。
このため、基地局(例えば、eNB(evolved Node B)、BS(Base Station)、gNBなどと呼ばれる)が位相シフト器を1つのみ有する場合には、ある時間において形成できるビームは、1つとなる。したがって、アナログBFのみを用いて複数のビームを送信する場合には、同じ時間リソースで同時に送信することはできないため、ビームを時間的に切り替えたり、回転させたりする必要がある。
なお、デジタルBFとアナログBFとを組み合わせたハイブリッドBF構成とすることも可能である。将来の無線通信システム(例えば、5G)では、大規模MIMOの導入が検討されているが、膨大な数のビーム形成をデジタルBFだけで行うとすると、回路構成が高価になってしまう。このため、5GではアナログBF構成またはハイブリッドBF構成が利用されると想定される。
BF動作としては、1つのBFを利用するシングルBF動作(Single BF operation)と、複数のBFを利用するマルチプルBF動作(Multiple BF operation)がある。シングルBF動作を用いたセルでは、DL信号(例えば、参照信号)が単一のビームパターン(例えば無指向性)で送信され、エリアが形成される。
NRにおいては、セルが複数のビームによって構成されるシナリオにおけるL1/L2ビーム制御方法として、CSI-RS(CSI測定用RS、Channel State Information-Reference Signal)又はモビリティ参照信号(MRS:Mobility Reference Signal)を用いて、ビーム選択のための測定報告を行うことが検討されている。ここで、MRSは、RRM(Radio Resource Management)測定用RSとして用いることができる信号であればよく、既存の同期信号(例えば、PSS/SSS)、既存の参照信号(例えば、CRS、CSI-RS)又はこれらを拡張/変更した信号などであってもよい。
なお、RRM測定報告では、UEは、受信電力(例えば、RSRP(Reference Signal Received Power))に関する情報を報告してもよい。CSIメジャメント報告では、UEは、チャネル品質指標(CQI:Channel Quality Indicator)、プリコーディング行列指標(PMI:Precoding Matrix Indicator)、プリコーディングタイプ指標(PTI:Precoding Type Indicator)、ランク指標(RI:Rank Indicator)などの少なくとも1つに関するCSIを報告してもよい。
ビームは、下記(1)-(9)のうち少なくとも1つによって区別されるものとするが、これに限られるものではない:(1)リソース(例えば、時間及び/又は周波数リソース)、(2)SSブロック(SSブロックインデックス)、(3)アンテナポート、(4)プリコーディング(例えば、プリコーディングの有無、プリコーディングウェイト)、(5)送信電力、(6)位相回転、(7)ビーム幅、(8)ビームの角度(例えば、チルト角)、(9)レイヤ数。また、本明細書で使用される「ビーム」という用語は、上記(1)-(9)の少なくとも1つと互換的に使用されてもよく、例えば「ビーム」は、「リソース」、「アンテナポート」などで読み替えられてもよい。なお、プリコーディングが異なる場合、プリコーディングウェイトが異なってもよいし、プリコーディングの方式(例えば、線形プリコーディングや非線型プリコーディング)が異なってもよい。ビームに線型/非線型プリコーディングを適用する場合は、送信電力や位相回転、レイヤ数なども変わり得る。
非線形プリコーディングの例としては、THP(Tomlinson Harashima Precoding)、ベクトル摂動(VP:Vector Perturbation)などが挙げられる。また、MIMO方式、基本物理レイヤ(PHY)設計、送受信におけるチャネル状態情報(Channel State Information:CSI)取得(acquisition)、参照信号(RS)設計、ユーザスケジューリング、詳細信号設計などにおいて、THPを用いることが検討されている。
CSI取得においては、受信装置におけるCSI測定及びフィードバックのために、THPを用いることが検討されている。
THPの概要について説明する。
図1に示すように、THPは、QR又はGMD(Geometric Mean Decomposition)を用いるチャネルの三角行列化(triangulation)と、完全CSI-T(CSI at transmitter:送信機側チャネル状態情報)を用いる送信側における逐次干渉除去(Successive Interference Cancellation:SIC、フィードバック処理)と、シンボル電力を制御するためのモジュロ演算(modulo operation)と、を含む。
次式のように、THPレイヤkの送信シンボル(データ信号)dkに対し、モジュロ演算とフィードバック処理(SIC)とが行われることによって、x’kが得られる。
この式において、右辺第3項は、THPレイヤkに対し、THPレイヤ1からk-1までの干渉ベクトルを示す。SICは、送信シンボルdkから干渉を減算(除去、cancel)する。右辺第2項は、シンボル電力を制御するためのモジュロベクトルを示す。pI及びpQは整数である。モジュロ演算は、信号にモジュロベクトルを加算する。
要素bk,lを有するフィードバック処理行列Bは、次式に示すように、チャネル行列Hから得られる。
ここで、フィードフォワード処理行列(ユニタリ行列)Q及び共分散行列Rは、QR分解(decomposition、チャネルの三角行列化)によって得られる。
SIC及びモジュロ演算の結果x’kは、SICに用いられる。また、x’kに対し、フィードフォワード処理行列Qを乗ずるフィードフォワード処理が行われる。
フィードフォワード処理の結果xに対し、1/√Pmaxを乗ずる電力正規化が行われ、チャネル行列Hが得られる。
次に、THPにおけるSICについて説明する。
等価チャネルR(三角行列)は、フィードフォワード処理行列Qを用いて三角行列化される。THPのSIC手順は、次の通りである。
(1)第1THPレイヤ(THPレイヤ#1)のデータ信号d1は、干渉除去なしの送信信号x’1として直接送信される。
(2)第2THPレイヤ(THPレイヤ#2)のデータ信号d2は、第1THPレイヤからの干渉を予め除去された送信信号x’2として送信される。
(3)第kTHPレイヤ(THPレイヤ#k)のデータ信号dkは、第1から第(k-1)THPレイヤまでの干渉(干渉ベクトル)を予め除去された送信信号x’kとして送信される。
送信信号x’1、x’2、x’kは、次式で表される。
次に、THP処理の一例について説明する。
送信装置は、図2Aに示すように、第kTHPレイヤの送信シンボルdkを得る。
その後、送信装置は、図2Bに示すように、第1~第(k-1)THPレイヤからの干渉ベクトルを送信シンボルから除去する。干渉除去結果は、次式で表される。
図2Cは、モジュロ演算の境界αを示す。
その後、送信装置は、図2Dに示すように、干渉除去結果のモジュロ演算によって送信信号x’kを得る。モジュロ演算は、干渉除去結果にモジュロベクトルを加算してもよい。送信信号x’kは、次式で表される。
ここで、モジュロベクトルは、右辺第3項で表される。
受信装置は、ノイズが無い場合、図3Aに示すように、送信信号x’kに前述の干渉ベクトルが加算された受信信号rkを受信する。受信信号rkは、次式で表される。
その後、受信装置は、図3Bに示すように、受信信号rkのデモジュロ演算によって送信シンボルdkを得る。デモジュロ演算は、モジュロ演算と同様であり、受信信号rkにモジュロベクトルを加算してもよい。
次に、THPのためのDMRS送信について説明する。
UE受信機は、通常、他レイヤのDMRSポートを用いて、MMSE(Minimum Mean Square Error)-IRC(Interference Rejection Combining、干渉抑圧合成)受信機のための干渉の共分散行列(受信アンテナのウェイト)を推定する。このウェイトは、干渉の到来方向にアンテナ利得の極小点(null)を作る。DMRSポートは、DMRSに割り当てられたアンテナポートである。
チャネルを精度良く推定するために、通常、複数のDMRSポートのDMRSが、NR又はLTEシステム用の直交ポート(アンテナポート)において送信される。
図4に示すように、既存のDMRS送信方式を有するTHPにおいて、上段のPDSCHの送信シンボルdに対する処理は、送信側におけるSIC及びモジュロ演算を有する。この干渉はUEが受ける実際の干渉である。下段のDMRSの送信シンボルdRSに対する処理において、送信側におけるSICは適用されない。よって、UEは、干渉DMRSポートの信号を受信する。DMRSが直交ポートにおいて送信されることによって、SICは、DMRS信号に基づかない。モジュロ演算をDMRSポートに適用することができないため、SICはDMRS信号に適用されない。
受信DMRS信号に対して異なる信号処理が行われるため、IRC受信機に用いられる共分散行列の推定に用いられない。
次に、THP用のDMRS送信について説明する。
DMRSのマルチユーザ干渉(MUI)を制御するために、DMRSは、通常、実際のシステムの直交又は擬似直交リソースにおいて送信される。DMRSが直交リソースにおいて送信されている場合、SICの適用を必要としない。DMRS及びPDSCH(データ信号)の両方に同じフィードフォワード処理(Q)が適用され、チャネル推定を容易にする。
モジュロ演算は、振幅及び位相の曖昧さを招くため、DMRSに適用されない。また、SICがDMRSに適用される場合、DMRSシンボルの電力制御が問題となる。
既存のDMRS送信方式を用いるTHPにおいて、DMRSにおける干渉はPDSCHにおける干渉と異なる。
次に、既存のIRC受信機及びCQIフィードバックについて説明する。
線形MMSE-IRC受信機によって推定される受信アンテナのウェイトは、例えば次式で表される。
ここで、RSは、信号の共分散行列であり、受信機に割り当てられた個別DMRSポートにおいて測定される。RMUIは、MUIの共分散行列であり、既存システムの他のDMRSポートにおいて測定されてもよい。THPのためのDMRSの送信方式のため、測定されることができない。RICIは、ICI(セル間干渉)の共分散行列であり、CSI-IM(Interface Measurement)を用いて測定される。
受信装置によって測定され送信装置へフィードバックされるCQIは、例えば次式で表される。
ここで、PSは、受信機のための信号の個別チャネル電力であり、NZP(Non-Zero Power) CSI-RSリソース又はDMRSリソースにおいて測定される。PMUIは、MUI電力であり、NZP CSI-RSリソース又はDMRSリソースにおいて測定されてもよい。THPを用いるNZP CSI-RS又はDMRSの送信方法によって、同様の問題が発生する。PICIは、ICI電力であり、通常、CSI-IMリソースを用いて測定される。
復調及びCQIフィードバックには、MUI電力及び共分散行列推定が必要である。DMRS、CSI-RSなどのRSがこの目的に用いられてもよい。
しかしながら、RSがTHPを用いてプリコードされる場合、RSにおけるMUIをどのように測定するかが問題となる。
各MIMOレイヤに対し、THP処理される順序に従うTHPレイヤ番号が与えられてもよい。既存のRS送信方式において、第kTHPレイヤに対する後続THPレイヤ(第(k+1)THPレイヤから最終THPレイヤまで)からの干渉は、対応するRSポートにおいて直接推定できる。第kTHPレイヤに対する先行THPレイヤ(第1THPレイヤから第(k-1)THPレイヤまで)からの干渉は、対応するRSポートにおいて直接推定できない。先行THPレイヤにおける干渉の推定結果は、実際のレベルよりも強い場合がある。
そこで、本発明者らは、非線形プリコーディングのための干渉測定に、所定のDMRSに加えて特定信号(所定のRS)を用いることを着想した。
以下、本開示に係る実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。各実施形態に係る無線通信方法は、それぞれ単独で適用されてもよいし、組み合わせて適用されてもよい。
以下の説明において、送信装置が無線基地局(gNB、eNB、ネットワークと呼ばれてもよい)であり、受信装置がUEである場合の、DL信号(例えば、PDSCH、RS)に対する非線形プリコーディングの方法について説明する。なお、この方法は、送信装置がUEであり、受信装置が無線基地局である場合のUL信号(例えば、PUSCH、RS)に対しても適用可能である。
(第1の態様)
NRのDMRS構造における追加(additional)DMRSが、干渉測定に用いられてもよい。
無線基地局は、THPレイヤ処理順序に従って、マルチユーザ又はマルチレイヤの信号を複数のDMRSポートにマップしてもよい。
NRにおける前置(front-loaded、前方荷重)DMRS及び追加DMRSを利用して干渉測定を行ってもよい。前置DMRSは、スロットにおいてデータの割り当て開始となる3シンボル目に配置されてもよい。追加DMRSは、上位レイヤによって設定された場合、図5に示すように、スロットにおいて前置DMRSの後に配置されてもよい。1つのスロットに、前置DMRS、追加DMRS、PDSCHが配置されてもよい。
UEは、前置DMRSポートのみによって、当該UEに割り当てられた個別(dedicated)チャネルを推定してもよい。UEは、前置DMRS及び追加DMRSからの信号を組み合わせることによって干渉を推定してもよい。
前置DMRSの送信信号は、次式によって表されてもよい。
前置DMRSは、既存の仕様に規定されているように、DMRS信号が直接送信されてもよい。UEは、前置DMRSを個別チャネルの推定に用いてもよい。
追加DMRSの送信方法として、次の送信方法1~3の1つが用いられてもよい。
(送信方法1)追加DMRSの送信信号は、次式によって表されてもよい。
すなわち、この送信信号は、追加DMRSシンボルに対してSIC及びモジュロ演算を含む完全なTHP処理を用いる信号である。この送信信号に対し、データ信号と同様のSIC及びモジュロ演算を用いることができる。
(送信方法2)追加DMRSの送信信号は、次式によって表されてもよい。
すなわち、この送信信号は、SIC及びモジュロ演算の部分のみである。この送信信号は、DMRSシンボルを含まない。この送信信号に対し、データ信号と同様のSIC及びモジュロ演算を用いることができる。
(送信方法3)追加DMRSの送信信号は、次式によって表されてもよい。
すなわち、この送信信号は、SICの部分のみである。この送信信号は、DMRSシンボルを含まない。この送信信号に対し、データ信号と同様のSICを用いることができる。
送信方法1に対し、UEは、前置DMRS及び追加DMRSを用いて干渉を推定できる。送信方法2及び3に対し、UEは、追加DMRSを用いて干渉を推定できる。しかしながら、送信方法2及び3に対し、送信電力は制御できない。
次に、DMRSポート及びTHPレイヤの間のマッピングについて説明する。
UEは、干渉推定において、後続THPレイヤ及び先行THPレイヤにおいて異なる手順を有する。先行THPレイヤに対し、UEは、両方のDMRSを用いて干渉を推定する。後続THPレイヤに対し、UEは、前置DMRSのみを用いて干渉を推定する。
マッピングを示す情報が無線基地局からUEへ通知されてもよい。
無線基地局は、THPレイヤ順序に従って、THPレイヤをDMRSポートへマッピングする。マッピング方法は、次のマッピング方法1及び2の1つであってもよい。
(マッピング方法1)図6Aに示すように、THPレイヤ番号の昇順に、PDSCHがDMRSポートにマッピングされてもよい。
(マッピング方法2)図6Bに示すように、THPレイヤ番号の降順に、PDSCHがDMRSポートにマッピングされてもよい。
ここで、式3に示すように、第kTHPレイヤのPDSCHの送信シンボルに対し、先行THPレイヤから第kTHPレイヤへの干渉が除去される。
これらのマッピング方法によれば、各THPレイヤをDMRSポートへ適切にマップできる。
次に、UE動作について説明する。
UEに割り当てられた個別(dedicated)THPレイヤ(第kTHPレイヤ)に対し、当該UEは、前置DMRS及び追加DMRSの両方のRSを用いて、先行THPレイヤから第kTHPレイヤへの干渉を推定してもよい。先行THPレイヤから第kTHPレイヤへの干渉の推定方法として、追加DMRSの送信方法に応じて、次の推定方法1、2の1つが用いられてもよい。
(推定方法1)
前述の送信方法1が用いられる場合、先行THPレイヤから第kTHPレイヤへの干渉は、次式のように推定されてもよい。
ここで、y’k
(1)は、DMRSポート#kにおける前置DMRSの受信信号である。y’k
(2)は、DMRSポート#kにおける追加DMRSの受信信号である。すなわち、推定方法1において、UEは、先行THPレイヤに対応するDMRSポートにおける前置DMRSリソースと、第kTHPレイヤに対応するDMRSポートにおける前置DMRSリソースと、第kTHPレイヤに対応するDMRSポートにおける追加DMRSリソースと、を用いて、先行THPレイヤから第kTHPレイヤへの干渉を推定する。
(推定方法2)
前述の送信方法2又は送信方法3が用いられる場合、先行THPレイヤから第kTHPレイヤへの干渉は、次式のように推定されてもよい。
すなわち、推定方法2において、UEは、先行THPレイヤに対応するDMRSポートにおける前置DMRSリソースと、第kTHPレイヤに対応するDMRSポートにおける前置DMRSリソースと、第kTHPレイヤに対応するDMRSポートにおける追加DMRSリソースと、を用いて、先行THPレイヤから第kTHPレイヤへの干渉を推定する。
これらの推定方法によれば、前置DMRS及び追加DMRSを用いて先行THPレイヤから第kTHPレイヤへの干渉を推定できる。
UEは、前置DMRS(第kTHPレイヤに対応するDMRSポートにおける前置DMRSリソース)を用いて第kTHPレイヤのチャネルを推定してもよい。
UEは、前置DMRS(後続THPレイヤに対応するDMRSポートにおける前置DMRSリソース)を用いて後続THPレイヤから第kTHPレイヤへの干渉を推定してもよい。
UEは、第kTHPレイヤのチャネル推定結果、先行THPレイヤの干渉推定結果、後続THPレイヤの干渉推定結果、の少なくとも1つ(CQI)を無線基地局へフィードバックしてもよい。無線基地局は、第kTHPレイヤのUEからの先行THPレイヤの干渉推定結果を用いて、SICを行ってもよい。無線基地局は、第kTHPレイヤのUEからのチャネル推定結果を用いて、フィードフォワード処理を行ってもよい。
UEは、第kTHPレイヤの前置DMRS(チャネル推定結果)に基づいて、PDSCHを復調してもよい。
UEは、干渉測定のために1つの追加DMRSを設定されると想定してもよい。もし1よりも多い追加DMRSが設定された場合、UEは、設定された複数の追加DMRSから1つを選択してもよい。
追加DMRSがTHPの干渉(MUI)測定用であることが、無線基地局からUEへ通知されてもよい。
データ信号(送信シンボルdk)の送信及び受信は、図1~図3と同様に行われてもよい。
第1の態様によれば、受信装置のMMSE-IRC受信機にマルチユーザ干渉を除去させることができ、受信品質を改善できる。また、NRのRSを利用できるため、追加のRSを導入する必要がない。
第1の態様によれば、追加DMRSの設定と、対応するUE動作と、を追加するだけでよいため、第2の態様に比べて、仕様への影響が小さい。追加DMRSの設定は、例えば、上位レイヤ(RRC設定)によって行われてもよい。第1の態様によれば、受信装置は、第2の態様に比べて、より正確な干渉推定を行うことができる。
(第2の態様)
DMRS以外のRSが干渉測定に用いられてもよい。
前置DMRSと他RSとを利用して干渉測定を行ってもよい。すなわち、第1の態様における追加DMRSの代わりに他RSが用いられてもよい。他RSは、CSI-RS、PTRS(Phase Tracking Reference Signal)、TRS(Tracking Reference Signal)の少なくとも1つであってもよい。
第1の態様の追加DMRSを、他RSと読み替えてもよい。
他RSがCSI-RS(NZP CSI-RS)である場合、図7に示すように、CSI-RSは、スロットにおいて前置DMRSの後に配置されてもよい。
干渉推定のために、新たなタイプのCSI-RSリソースセットが導入されてもよい。このCSI-RSリソースセットは、PDSCHをともにトリガ(スケジュール)されてもよい。このCSI-RSリソースセットは、対応するPDSCHと同じ帯域幅割り当てを有していてもよい。
無線基地局は、複数種類のRSのうち、どのRSが干渉測定に用いられるかを決定してもよい。無線基地局は、複数種類のRSから干渉測定用のRS(他RS)を選択し、UEへ通知してもよい。複数種類のRSに優先度が設定され、UEは優先度に基づいて複数種類のRSから干渉測定用のRS(他RS)を決定してもよい。
第2の態様によれば、受信装置のMMSE-IRC受信機にマルチユーザ干渉を除去させることができ、受信品質を改善できる。また、NRのRSを利用できるため、追加のRSを導入する必要がない。
第2の態様によれば、第1の態様に比べて、オーバーヘッドを小さくすることができる。
(第3の態様)
NZP CSI-RSベースのチャネル及び干渉の推定に対し、同様のアプローチが採用されてもよい。
チャネル測定のためにCSI-RSリソースのグループ(CSI-RSリソースセット#1)がUEに設定されてもよい。THP干渉測定のためにCSI-RSリソースのグループ(CSI-RSリソースセット#2)がUEに設定されてもよい。CSI-IMは、既存システムと同様に設定されてもよい。
CQIの導出におけるUE動作について説明する。
チャネル電力は、CSI-RSリソースセット#1において測定されてもよい。MUIは、CSI-RSリソースセット#1及び#2の両方を用いて測定されてもよい。例えば、MUIは、「CSI-RSリソースセット#2の測定結果」-「CSI-RSリソースセット#1の測定結果」であってもよい。
第3の態様によれば、チャネル測定及び干渉測定にCSI-RSリソースセットが用いられることによって、リソースの設定及び切り替えの処理を簡単にできる。
(第4の態様)
追加DMRSの設定に関し、次の方法1、方法2の1つが用いられてもよい。
(方法1)もしUEが上位レイヤ及びDCIの少なくとも1つによって追加DMRSを設定されない場合、UEは、第2の態様又は第3の態様に従って干渉測定を行ってもよい。
(方法2)非線形プリコーディングに対し、もしUEが上位レイヤ及びDCIの少なくとも1つによって追加DMRSを設定されない場合、UEは、1つの追加DMRSが設定されたと想定し、その追加DMRSを受信してもよい。この場合、UEは、第1の態様に従って干渉測定を行う。
(無線通信システム)
以下、本発明の一実施形態に係る無線通信システムの構成について説明する。この無線通信システムでは、本発明の上記各実施形態に係る無線通信方法のいずれか又はこれらの組み合わせを用いて通信が行われる。
図8は、本発明の一実施形態に係る無線通信システムの概略構成の一例を示す図である。無線通信システム1では、LTEシステムのシステム帯域幅(例えば、20MHz)を1単位とする複数の基本周波数ブロック(コンポーネントキャリア)を一体としたキャリアアグリゲーション(CA)及び/又はデュアルコネクティビティ(DC)を適用することができる。
なお、無線通信システム1は、LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、LTE-B(LTE-Beyond)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4G(4th generation mobile communication system)、5G(5th generation mobile communication system)、NR(New Radio)、FRA(Future Radio Access)、New-RAT(Radio Access Technology)などと呼ばれてもよいし、これらを実現するシステムと呼ばれてもよい。
無線通信システム1は、比較的カバレッジの広いマクロセルC1を形成する無線基地局11と、マクロセルC1内に配置され、マクロセルC1よりも狭いスモールセルC2を形成する無線基地局12(12a-12c)と、を備えている。また、マクロセルC1及び各スモールセルC2には、ユーザ端末20が配置されている。各セル及びユーザ端末20の配置、数などは、図に示す態様に限定されない。
ユーザ端末20は、無線基地局11及び無線基地局12の双方に接続することができる。ユーザ端末20は、マクロセルC1及びスモールセルC2を、CA又はDCを用いて同時に使用することが想定される。また、ユーザ端末20は、複数のセル(CC)(例えば、5個以下のCC、6個以上のCC)を用いてCA又はDCを適用してもよい。
ユーザ端末20と無線基地局11との間は、相対的に低い周波数帯域(例えば、2GHz)で帯域幅が狭いキャリア(既存キャリア、legacy carrierなどとも呼ばれる)を用いて通信を行うことができる。一方、ユーザ端末20と無線基地局12との間は、相対的に高い周波数帯域(例えば、3.5GHz、5GHzなど)で帯域幅が広いキャリアが用いられてもよいし、無線基地局11との間と同じキャリアが用いられてもよい。なお、各無線基地局が利用する周波数帯域の構成はこれに限られない。
また、ユーザ端末20は、各セルで、時分割複信(TDD:Time Division Duplex)及び/又は周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)を用いて通信を行うことができる。また、各セル(キャリア)では、単一のニューメロロジーが適用されてもよいし、複数の異なるニューメロロジーが適用されてもよい。
無線基地局11と無線基地局12との間(又は、2つの無線基地局12間)は、有線(例えば、CPRI(Common Public Radio Interface)に準拠した光ファイバ、X2インターフェースなど)又は無線によって接続されてもよい。
無線基地局11及び各無線基地局12は、それぞれ上位局装置30に接続され、上位局装置30を介してコアネットワーク40に接続される。なお、上位局装置30には、例えば、アクセスゲートウェイ装置、無線ネットワークコントローラ(RNC)、モビリティマネジメントエンティティ(MME)などが含まれるが、これに限定されない。また、各無線基地局12は、無線基地局11を介して上位局装置30に接続されてもよい。
なお、無線基地局11は、相対的に広いカバレッジを有する無線基地局であり、マクロ基地局、集約ノード、eNB(eNodeB)、送受信ポイント、などと呼ばれてもよい。また、無線基地局12は、局所的なカバレッジを有する無線基地局であり、スモール基地局、マイクロ基地局、ピコ基地局、フェムト基地局、HeNB(Home eNodeB)、RRH(Remote Radio Head)、送受信ポイントなどと呼ばれてもよい。以下、無線基地局11及び12を区別しない場合は、無線基地局10と総称する。
各ユーザ端末20は、LTE、LTE-Aなどの各種通信方式に対応した端末であり、移動通信端末(移動局)だけでなく固定通信端末(固定局)を含んでもよい。
無線通信システム1においては、無線アクセス方式として、下りリンクに直交周波数分割多元接続(OFDMA:Orthogonal Frequency Division Multiple Access)が適用され、上りリンクにシングルキャリア-周波数分割多元接続(SC-FDMA:Single Carrier Frequency Division Multiple Access)及び/又はOFDMAが適用される。
OFDMAは、周波数帯域を複数の狭い周波数帯域(サブキャリア)に分割し、各サブキャリアにデータをマッピングして通信を行うマルチキャリア伝送方式である。SC-FDMAは、システム帯域幅を端末毎に1つ又は連続したリソースブロックによって構成される帯域に分割し、複数の端末が互いに異なる帯域を用いることで、端末間の干渉を低減するシングルキャリア伝送方式である。なお、上り及び下りの無線アクセス方式は、これらの組み合わせに限らず、他の無線アクセス方式が用いられてもよい。
無線通信システム1では、下りリンクのチャネルとして、各ユーザ端末20で共有される下り共有チャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)、ブロードキャストチャネル(PBCH:Physical Broadcast Channel)、下りL1/L2制御チャネルなどが用いられる。PDSCHによって、ユーザデータ、上位レイヤ制御情報、SIB(System Information Block)などが伝送される。また、PBCHによって、MIB(Master Information Block)が伝送される。
下りL1/L2制御チャネルは、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)、EPDCCH(Enhanced Physical Downlink Control Channel)、PCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)、PHICH(Physical Hybrid-ARQ Indicator Channel)などを含む。PDCCHによって、PDSCH及び/又はPUSCHのスケジューリング情報を含む下り制御情報(DCI:Downlink Control Information)などが伝送される。
なお、DCIによってスケジューリング情報が通知されてもよい。例えば、DLデータ受信をスケジューリングするDCIは、DLアサインメントと呼ばれてもよいし、ULデータ送信をスケジューリングするDCIは、ULグラントと呼ばれてもよい。
PCFICHによって、PDCCHに用いるOFDMシンボル数が伝送される。PHICHによって、PUSCHに対するHARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)の送達確認情報(例えば、再送制御情報、HARQ-ACK、ACK/NACKなどともいう)が伝送される。EPDCCHは、PDSCH(下り共有データチャネル)と周波数分割多重され、PDCCHと同様にDCIなどの伝送に用いられる。
無線通信システム1では、上りリンクのチャネルとして、各ユーザ端末20で共有される上り共有チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)、上り制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control Channel)、ランダムアクセスチャネル(PRACH:Physical Random Access Channel)などが用いられる。PUSCHによって、ユーザデータ、上位レイヤ制御情報などが伝送される。また、PUCCHによって、下りリンクの無線品質情報(CQI:Channel Quality Indicator)、送達確認情報、スケジューリングリクエスト(SR:Scheduling Request)などが伝送される。PRACHによって、セルとの接続確立のためのランダムアクセスプリアンブルが伝送される。
無線通信システム1では、下り参照信号として、セル固有参照信号(CRS:Cell-specific Reference Signal)、チャネル状態情報参照信号(CSI-RS:Channel State Information-Reference Signal)、復調用参照信号(DMRS:DeModulation Reference Signal)、位置決定参照信号(PRS:Positioning Reference Signal)などが伝送される。また、無線通信システム1では、上り参照信号として、測定用参照信号(SRS:Sounding Reference Signal)、復調用参照信号(DMRS)などが伝送される。なお、DMRSはユーザ端末固有参照信号(UE-specific Reference Signal)と呼ばれてもよい。また、伝送される参照信号は、これらに限られない。
(無線基地局)
図9は、本発明の一実施形態に係る無線基地局の全体構成の一例を示す図である。無線基地局10は、複数の送受信アンテナ101と、アンプ部102と、送受信部103と、ベースバンド信号処理部104と、呼処理部105と、伝送路インターフェース106と、を備えている。なお、送受信アンテナ101、アンプ部102、送受信部103は、それぞれ1つ以上を含むように構成されればよい。
下りリンクによって無線基地局10からユーザ端末20に送信されるユーザデータは、上位局装置30から伝送路インターフェース106を介してベースバンド信号処理部104に入力される。
ベースバンド信号処理部104では、ユーザデータに関して、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤの処理、ユーザデータの分割・結合、RLC(Radio Link Control)再送制御などのRLCレイヤの送信処理、MAC(Medium Access Control)再送制御(例えば、HARQの送信処理)、スケジューリング、伝送フォーマット選択、チャネル符号化、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)処理、プリコーディング処理などの送信処理が行われて送受信部103に転送される。また、下り制御信号に関しても、チャネル符号化、逆高速フーリエ変換などの送信処理が行われて、送受信部103に転送される。
送受信部103は、ベースバンド信号処理部104からアンテナ毎にプリコーディングして出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に変換して送信する。送受信部103で周波数変換された無線周波数信号は、アンプ部102によって増幅され、送受信アンテナ101から送信される。送受信部103は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるトランスミッター/レシーバー、送受信回路又は送受信装置から構成することができる。なお、送受信部103は、一体の送受信部として構成されてもよいし、送信部及び受信部から構成されてもよい。
一方、上り信号については、送受信アンテナ101で受信された無線周波数信号がアンプ部102で増幅される。送受信部103はアンプ部102で増幅された上り信号を受信する。送受信部103は、受信信号をベースバンド信号に周波数変換して、ベースバンド信号処理部104に出力する。
ベースバンド信号処理部104では、入力された上り信号に含まれるユーザデータに対して、高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)処理、逆離散フーリエ変換(IDFT:Inverse Discrete Fourier Transform)処理、誤り訂正復号、MAC再送制御の受信処理、RLCレイヤ及びPDCPレイヤの受信処理がなされ、伝送路インターフェース106を介して上位局装置30に転送される。呼処理部105は、通信チャネルの呼処理(設定、解放など)、無線基地局10の状態管理、無線リソースの管理などを行う。
伝送路インターフェース106は、所定のインターフェースを介して、上位局装置30と信号を送受信する。また、伝送路インターフェース106は、基地局間インターフェース(例えば、CPRI(Common Public Radio Interface)に準拠した光ファイバ、X2インターフェース)を介して他の無線基地局10と信号を送受信(バックホールシグナリング)してもよい。
また、送受信部103は、データ信号(例えば、PDSCH)と復調用参照信号(例えば、前置DMRS)と特定信号(例えば、追加DMRS、他RS)とを、複数のレイヤ(例えば、THPレイヤ)のそれぞれにおいて送信してもよい。
また、送受信部103は、データ信号(例えば、PUSCH)と復調用参照信号と特定信号とを、複数のレイヤの少なくとも1つにおいて受信してもよい。
図10は、本発明の一実施形態に係る無線基地局の機能構成の一例を示す図である。なお、本例では、本実施形態における特徴部分の機能ブロックを主に示しており、無線基地局10は、無線通信に必要な他の機能ブロックも有すると想定されてもよい。
ベースバンド信号処理部104は、制御部(スケジューラ)301と、送信信号生成部302と、マッピング部303と、受信信号処理部304と、測定部305と、を少なくとも備えている。なお、これらの構成は、無線基地局10に含まれていればよく、一部又は全部の構成がベースバンド信号処理部104に含まれなくてもよい。
制御部(スケジューラ)301は、無線基地局10全体の制御を実施する。制御部301は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるコントローラ、制御回路又は制御装置から構成することができる。
制御部301は、例えば、送信信号生成部302における信号の生成、マッピング部303における信号の割り当てなどを制御する。また、制御部301は、受信信号処理部304における信号の受信処理、測定部305における信号の測定などを制御する。
制御部301は、システム情報、下りデータ信号(例えば、PDSCHで送信される信号)、下り制御信号(例えば、PDCCH及び/又はEPDCCHで送信される信号。送達確認情報など)のスケジューリング(例えば、リソース割り当て)を制御する。また、制御部301は、上りデータ信号に対する再送制御の要否を判定した結果などに基づいて、下り制御信号、下りデータ信号などの生成を制御する。また、制御部301は、同期信号(例えば、PSS(Primary Synchronization Signal)/SSS(Secondary Synchronization Signal))、下り参照信号(例えば、CRS、CSI-RS、DMRS)などのスケジューリングの制御を行う。
制御部301は、上りデータ信号(例えば、PUSCHで送信される信号)、上り制御信号(例えば、PUCCH及び/又はPUSCHで送信される信号。送達確認情報など)、ランダムアクセスプリアンブル(例えば、PRACHで送信される信号)、上り参照信号などのスケジューリングを制御する。
また、制御部301は、前記復調用参照信号及び前記特定信号に基づいて推定された干渉(例えば、先行THPレイヤから第kTHPレイヤへの干渉)と、モジュロ演算とに基づいて、前記データ信号の送信を制御し、前記干渉に基づく前記特定信号の送信を制御してもよい。
また、制御部301は、前記復調用参照信号及び前記特定信号に基づいて、干渉を推定し、前記推定の結果(例えば、先行THPレイヤから第kTHPレイヤへの干渉、後続THPレイヤから第kTHPレイヤへの干渉、など)の送信を制御し、前記データ信号のモジュロ演算を行ってもよい。
送信信号生成部302は、制御部301からの指示に基づいて、下り信号(下り制御信号、下りデータ信号、下り参照信号など)を生成して、マッピング部303に出力する。送信信号生成部302は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明される信号生成器、信号生成回路又は信号生成装置から構成することができる。
送信信号生成部302は、例えば、制御部301からの指示に基づいて、下りデータの割り当て情報を通知するDLアサインメント及び/又は上りデータの割り当て情報を通知するULグラントを生成する。DLアサインメント及びULグラントは、いずれもDCIであり、DCIフォーマットに従う。また、下りデータ信号には、各ユーザ端末20からのチャネル状態情報(CSI:Channel State Information)などに基づいて決定された符号化率、変調方式などに従って符号化処理、変調処理が行われる。
マッピング部303は、制御部301からの指示に基づいて、送信信号生成部302で生成された下り信号を、所定の無線リソースにマッピングして、送受信部103に出力する。マッピング部303は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるマッパー、マッピング回路又はマッピング装置から構成することができる。
受信信号処理部304は、送受信部103から入力された受信信号に対して、受信処理(例えば、デマッピング、復調、復号など)を行う。ここで、受信信号は、例えば、ユーザ端末20から送信される上り信号(上り制御信号、上りデータ信号、上り参照信号など)である。受信信号処理部304は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明される信号処理器、信号処理回路又は信号処理装置から構成することができる。
受信信号処理部304は、受信処理によって復号された情報を制御部301に出力する。例えば、HARQ-ACKを含むPUCCHを受信した場合、HARQ-ACKを制御部301に出力する。また、受信信号処理部304は、受信信号及び/又は受信処理後の信号を、測定部305に出力する。
測定部305は、受信した信号に関する測定を実施する。測定部305は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明される測定器、測定回路又は測定装置から構成することができる。
例えば、測定部305は、受信した信号に基づいて、RRM(Radio Resource Management)測定、CSI(Channel State Information)測定などを行ってもよい。測定部305は、受信電力(例えば、RSRP(Reference Signal Received Power))、受信品質(例えば、RSRQ(Reference Signal Received Quality)、SINR(Signal to Interference plus Noise Ratio)、SNR(Signal to Noise Ratio))、信号強度(例えば、RSSI(Received Signal Strength Indicator))、伝搬路情報(例えば、CSI)などについて測定してもよい。測定結果は、制御部301に出力されてもよい。
(ユーザ端末)
図11は、本発明の一実施形態に係るユーザ端末の全体構成の一例を示す図である。ユーザ端末20は、複数の送受信アンテナ201と、アンプ部202と、送受信部203と、ベースバンド信号処理部204と、アプリケーション部205と、を備えている。なお、送受信アンテナ201、アンプ部202、送受信部203は、それぞれ1つ以上を含むように構成されればよい。
送受信アンテナ201で受信された無線周波数信号は、アンプ部202で増幅される。送受信部203は、アンプ部202で増幅された下り信号を受信する。送受信部203は、受信信号をベースバンド信号に周波数変換して、ベースバンド信号処理部204に出力する。送受信部203は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるトランスミッター/レシーバー、送受信回路又は送受信装置から構成することができる。なお、送受信部203は、一体の送受信部として構成されてもよいし、送信部及び受信部から構成されてもよい。
ベースバンド信号処理部204は、入力されたベースバンド信号に対して、FFT処理、誤り訂正復号、再送制御の受信処理などを行う。下りリンクのユーザデータは、アプリケーション部205に転送される。アプリケーション部205は、物理レイヤ及びMACレイヤより上位のレイヤに関する処理などを行う。また、下りリンクのデータのうち、ブロードキャスト情報もアプリケーション部205に転送されてもよい。
一方、上りリンクのユーザデータについては、アプリケーション部205からベースバンド信号処理部204に入力される。ベースバンド信号処理部204では、再送制御の送信処理(例えば、HARQの送信処理)、チャネル符号化、プリコーディング、離散フーリエ変換(DFT:Discrete Fourier Transform)処理、IFFT処理などが行われて送受信部203に転送される。送受信部203は、ベースバンド信号処理部204から出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に変換して送信する。送受信部203で周波数変換された無線周波数信号は、アンプ部202によって増幅され、送受信アンテナ201から送信される。
また、送受信部203は、データ信号(例えば、PDSCH)と復調用参照信号(例えば、前置DMRS)と特定信号とを、複数のレイヤの少なくとも1つにおいて受信してもよい。
また、送受信部203は、データ信号(例えば、PUSCH)と復調用参照信号と特定信号とを、複数のレイヤのそれぞれにおいて送信してもよい。
図12は、本発明の一実施形態に係るユーザ端末の機能構成の一例を示す図である。なお、本例においては、本実施形態における特徴部分の機能ブロックを主に示しており、ユーザ端末20は、無線通信に必要な他の機能ブロックも有すると想定されてもよい。
ユーザ端末20が有するベースバンド信号処理部204は、制御部401と、送信信号生成部402と、マッピング部403と、受信信号処理部404と、測定部405と、を少なくとも備えている。なお、これらの構成は、ユーザ端末20に含まれていればよく、一部又は全部の構成がベースバンド信号処理部204に含まれなくてもよい。
制御部401は、ユーザ端末20全体の制御を実施する。制御部401は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるコントローラ、制御回路又は制御装置から構成することができる。
制御部401は、例えば、送信信号生成部402における信号の生成、マッピング部403における信号の割り当てなどを制御する。また、制御部401は、受信信号処理部404における信号の受信処理、測定部405における信号の測定などを制御する。
制御部401は、無線基地局10から送信された下り制御信号及び下りデータ信号を、受信信号処理部404から取得する。制御部401は、下り制御信号及び/又は下りデータ信号に対する再送制御の要否を判定した結果などに基づいて、上り制御信号及び/又は上りデータ信号の生成を制御する。
また、制御部401は、前記復調用参照信号及び前記特定信号に基づいて、干渉を推定し、前記推定の結果(例えば、先行THPレイヤから第kTHPレイヤへの干渉、後続THPレイヤから第kTHPレイヤへの干渉、など)の送信を制御し(例えば、式13~式14)、前記データ信号のモジュロ演算を行ってもよい(例えば、図3B)。
また、前記複数のレイヤの中の個別レイヤ(第kTHPレイヤ、個別THPレイヤ)が前記受信装置に割り当てられてもよい。また、前記個別レイヤのデータ信号と、前記個別レイヤの特定信号は、前記個別レイヤのレイヤ番号よりも小さいレイヤ番号を有する特定レイヤ(例えば、先行THPレイヤ)から前記個別レイヤへの干渉に基づき送信されてもよい(例えば、式10~式12)。
また、制御部401は、前記特定レイヤの復調用参照信号リソースにおいて受信された信号と、前記個別レイヤの復調用参照信号リソースにおいて受信された信号と、前記個別レイヤの特定信号リソースにおいて受信された信号と、に基づいて、前記特定レイヤから前記個別レイヤへの干渉を推定してもよい(例えば、式13~式14)。
また、前記複数のレイヤのそれぞれの特定信号は、モジュロ演算を適用されて送信されてもよい(例えば、式10~式11)。
また、前記複数のレイヤは、所定順序(例えば、THPレイヤ番号の昇順、降順)に従って前記復調用参照信号のポートにマップされてもよい(例えば、図6)。
また、制御部401は、前記復調用参照信号及び前記特定信号に基づいて推定された干渉(例えば、先行THPレイヤから第kTHPレイヤへの干渉)と、モジュロ演算とに基づいて、前記データ信号の送信を制御し、前記干渉に基づく前記特定信号の送信を制御してもよい。
送信信号生成部402は、制御部401からの指示に基づいて、上り信号(上り制御信号、上りデータ信号、上り参照信号など)を生成して、マッピング部403に出力する。送信信号生成部402は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明される信号生成器、信号生成回路又は信号生成装置から構成することができる。
送信信号生成部402は、例えば、制御部401からの指示に基づいて、送達確認情報、チャネル状態情報(CSI)などに関する上り制御信号を生成する。また、送信信号生成部402は、制御部401からの指示に基づいて上りデータ信号を生成する。例えば、送信信号生成部402は、無線基地局10から通知される下り制御信号にULグラントが含まれている場合に、制御部401から上りデータ信号の生成を指示される。
マッピング部403は、制御部401からの指示に基づいて、送信信号生成部402で生成された上り信号を無線リソースにマッピングして、送受信部203へ出力する。マッピング部403は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるマッパー、マッピング回路又はマッピング装置から構成することができる。
受信信号処理部404は、送受信部203から入力された受信信号に対して、受信処理(例えば、デマッピング、復調、復号など)を行う。ここで、受信信号は、例えば、無線基地局10から送信される下り信号(下り制御信号、下りデータ信号、下り参照信号など)である。受信信号処理部404は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明される信号処理器、信号処理回路又は信号処理装置から構成することができる。また、受信信号処理部404は、本発明に係る受信部を構成することができる。
受信信号処理部404は、受信処理によって復号された情報を制御部401に出力する。受信信号処理部404は、例えば、ブロードキャスト情報、システム情報、RRCシグナリング、DCIなどを、制御部401に出力する。また、受信信号処理部404は、受信信号及び/又は受信処理後の信号を、測定部405に出力する。
測定部405は、受信した信号に関する測定を実施する。測定部405は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明される測定器、測定回路又は測定装置から構成することができる。
例えば、測定部405は、受信した信号に基づいて、RRM測定、CSI測定などを行ってもよい。測定部405は、受信電力(例えば、RSRP)、受信品質(例えば、RSRQ、SINR、SNR)、信号強度(例えば、RSSI)、伝搬路情報(例えば、CSI)などについて測定してもよい。測定結果は、制御部401に出力されてもよい。
(ハードウェア構成)
なお、上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。
例えば、本開示の一実施形態における無線基地局、ユーザ端末などは、本開示の無線通信方法の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。図13は、一実施形態に係る無線基地局及びユーザ端末のハードウェア構成の一例を示す図である。上述の無線基地局10及びユーザ端末20は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。無線基地局10及びユーザ端末20のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
例えば、プロセッサ1001は1つだけ図示されているが、複数のプロセッサがあってもよい。また、処理は、1のプロセッサによって実行されてもよいし、処理が同時に、逐次に、又はその他の手法を用いて、2以上のプロセッサによって実行されてもよい。なお、プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。
無線基地局10及びユーザ端末20における各機能は、例えば、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004を介する通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。例えば、上述のベースバンド信号処理部104(204)、呼処理部105などは、プロセッサ1001によって実現されてもよい。
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、ユーザ端末20の制御部401は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001において動作する制御プログラムによって実現されてもよく、他の機能ブロックについても同様に実現されてもよい。
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically EPROM)、RAM(Random Access Memory)、その他の適切な記憶媒体の少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施形態に係る無線通信方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、フレキシブルディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD-ROM(Compact Disc ROM)など)、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、リムーバブルディスク、ハードディスクドライブ、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、カード、スティック、キードライブ)、磁気ストライプ、データベース、サーバ、その他の適切な記憶媒体の少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。通信装置1004は、例えば周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)及び時分割複信(TDD:Time Division Duplex)の少なくとも一方を実現するために、高周波スイッチ、デュプレクサ、フィルタ、周波数シンセサイザなどを含んで構成されてもよい。例えば、上述の送受信アンテナ101(201)、アンプ部102(202)、送受信部103(203)、伝送路インターフェース106などは、通信装置1004によって実現されてもよい。
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LED(Light Emitting Diode)ランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
また、プロセッサ1001、メモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007によって接続される。バス1007は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
また、無線基地局10及びユーザ端末20は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアを用いて各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
(変形例)
なお、本開示において説明した用語及び本開示の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。例えば、チャネル及びシンボルの少なくとも一方は信号(シグナリング)であってもよい。また、信号はメッセージであってもよい。参照信号は、RS(Reference Signal)と略称することもでき、適用される標準によってパイロット(Pilot)、パイロット信号などと呼ばれてもよい。また、コンポーネントキャリア(CC:Component Carrier)は、セル、周波数キャリア、キャリア周波数などと呼ばれてもよい。
無線フレームは、時間領域において1つ又は複数の期間(フレーム)によって構成されてもよい。無線フレームを構成する当該1つ又は複数の各期間(フレーム)は、サブフレームと呼ばれてもよい。さらに、サブフレームは、時間領域において1つ又は複数のスロットによって構成されてもよい。サブフレームは、ニューメロロジー(numerology)に依存しない固定の時間長(例えば、1ms)であってもよい。
ここで、ニューメロロジーとは、ある信号又はチャネルの送信及び受信の少なくとも一方に適用される通信パラメータであってもよい。例えば、サブキャリア間隔(SCS:SubCarrier Spacing)、帯域幅、シンボル長、サイクリックプレフィックス長、送信時間間隔(TTI:Transmission Time Interval)、TTIあたりのシンボル数、無線フレーム構成、送受信機が周波数領域において行う特定のフィルタリング処理、送受信機が時間領域において行う特定のウィンドウイング処理などの少なくとも1つを示してもよい。
スロットは、時間領域において1つ又は複数のシンボル(OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボル、SC-FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)シンボルなど)によって構成されてもよい。また、スロットは、ニューメロロジーに基づく時間単位であってもよい。
スロットは、複数のミニスロットを含んでもよい。各ミニスロットは、時間領域において1つ又は複数のシンボルによって構成されてもよい。また、ミニスロットは、サブスロットと呼ばれてもよい。ミニスロットは、スロットよりも少ない数のシンボルによって構成されてもよい。ミニスロットより大きい時間単位で送信されるPDSCH(又はPUSCH)は、PDSCH(PUSCH)マッピングタイプAと呼ばれてもよい。ミニスロットを用いて送信されるPDSCH(又はPUSCH)は、PDSCH(PUSCH)マッピングタイプBと呼ばれてもよい。
無線フレーム、サブフレーム、スロット、ミニスロット及びシンボルは、いずれも信号を伝送する際の時間単位を表す。無線フレーム、サブフレーム、スロット、ミニスロット及びシンボルは、それぞれに対応する別の呼称が用いられてもよい。
例えば、1サブフレームは送信時間間隔(TTI:Transmission Time Interval)と呼ばれてもよいし、複数の連続したサブフレームがTTIと呼ばれてよいし、1スロット又は1ミニスロットがTTIと呼ばれてもよい。つまり、サブフレーム及びTTIの少なくとも一方は、既存のLTEにおけるサブフレーム(1ms)であってもよいし、1msより短い期間(例えば、1-13シンボル)であってもよいし、1msより長い期間であってもよい。なお、TTIを表す単位は、サブフレームではなくスロット、ミニスロットなどと呼ばれてもよい。
ここで、TTIは、例えば、無線通信におけるスケジューリングの最小時間単位のことをいう。例えば、LTEシステムでは、無線基地局が各ユーザ端末に対して、無線リソース(各ユーザ端末において使用することが可能な周波数帯域幅、送信電力など)を、TTI単位で割り当てるスケジューリングを行う。なお、TTIの定義はこれに限られない。
TTIは、チャネル符号化されたデータパケット(トランスポートブロック)、コードブロック、コードワードなどの送信時間単位であってもよいし、スケジューリング、リンクアダプテーションなどの処理単位となってもよい。なお、TTIが与えられたとき、実際にトランスポートブロック、コードブロック、コードワードなどがマッピングされる時間区間(例えば、シンボル数)は、当該TTIよりも短くてもよい。
なお、1スロット又は1ミニスロットがTTIと呼ばれる場合、1以上のTTI(すなわち、1以上のスロット又は1以上のミニスロット)が、スケジューリングの最小時間単位となってもよい。また、当該スケジューリングの最小時間単位を構成するスロット数(ミニスロット数)は制御されてもよい。
1msの時間長を有するTTIは、通常TTI(LTE Rel.8-12におけるTTI)、ノーマルTTI、ロングTTI、通常サブフレーム、ノーマルサブフレーム、ロングサブフレーム、スロットなどと呼ばれてもよい。通常TTIより短いTTIは、短縮TTI、ショートTTI、部分TTI(partial又はfractional TTI)、短縮サブフレーム、ショートサブフレーム、ミニスロット、サブスロット、スロットなどと呼ばれてもよい。
なお、ロングTTI(例えば、通常TTI、サブフレームなど)は、1msを超える時間長を有するTTIで読み替えてもよいし、ショートTTI(例えば、短縮TTIなど)は、ロングTTIのTTI長未満かつ1ms以上のTTI長を有するTTIで読み替えてもよい。
リソースブロック(RB:Resource Block)は、時間領域及び周波数領域のリソース割当単位であり、周波数領域において、1つ又は複数個の連続した副搬送波(サブキャリア(subcarrier))を含んでもよい。
また、RBは、時間領域において、1つ又は複数個のシンボルを含んでもよく、1スロット、1ミニスロット、1サブフレーム又は1TTIの長さであってもよい。1TTI、1サブフレームは、それぞれ1つ又は複数のリソースブロックによって構成されてもよい。
なお、1つ又は複数のRBは、物理リソースブロック(PRB:Physical RB)、サブキャリアグループ(SCG:Sub-Carrier Group)、リソースエレメントグループ(REG:Resource Element Group)、PRBペア、RBペアなどと呼ばれてもよい。
また、リソースブロックは、1つ又は複数のリソースエレメント(RE:Resource Element)によって構成されてもよい。例えば、1REは、1サブキャリア及び1シンボルの無線リソース領域であってもよい。
なお、上述した無線フレーム、サブフレーム、スロット、ミニスロット及びシンボルなどの構造は例示に過ぎない。例えば、無線フレームに含まれるサブフレームの数、サブフレーム又は無線フレームあたりのスロットの数、スロット内に含まれるミニスロットの数、スロット又はミニスロットに含まれるシンボル及びRBの数、RBに含まれるサブキャリアの数、並びにTTI内のシンボル数、シンボル長、サイクリックプレフィックス(CP:Cyclic Prefix)長などの構成は、様々に変更することができる。
また、本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。例えば、無線リソースは、所定のインデックスによって指示されてもよい。
本開示においてパラメータなどに使用する名称は、いかなる点においても限定的な名称ではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式などは、本開示において明示的に開示したものと異なってもよい。様々なチャネル(PUCCH(Physical Uplink Control Channel)、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)など)及び情報要素は、あらゆる好適な名称によって識別できるので、これらの様々なチャネル及び情報要素に割り当てている様々な名称は、いかなる点においても限定的な名称ではない。
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
また、情報、信号などは、上位レイヤから下位レイヤ及び下位レイヤから上位レイヤの少なくとも一方へ出力され得る。情報、信号などは、複数のネットワークノードを介して入出力されてもよい。
入出力された情報、信号などは、特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報、信号などは、上書き、更新又は追記をされ得る。出力された情報、信号などは、削除されてもよい。入力された情報、信号などは、他の装置へ送信されてもよい。
情報の通知は、本開示において説明した態様/実施形態に限られず、他の方法を用いて行われてもよい。例えば、情報の通知は、物理レイヤシグナリング(例えば、下り制御情報(DCI:Downlink Control Information)、上り制御情報(UCI:Uplink Control Information))、上位レイヤシグナリング(例えば、RRC(Radio Resource Control)シグナリング、ブロードキャスト情報(マスタ情報ブロック(MIB:Master Information Block)、システム情報ブロック(SIB:System Information Block)など)、MAC(Medium Access Control)シグナリング)、その他の信号又はこれらの組み合わせによって実施されてもよい。
なお、物理レイヤシグナリングは、L1/L2(Layer 1/Layer 2)制御情報(L1/L2制御信号)、L1制御情報(L1制御信号)などと呼ばれてもよい。また、RRCシグナリングは、RRCメッセージと呼ばれてもよく、例えば、RRC接続セットアップ(RRCConnectionSetup)メッセージ、RRC接続再構成(RRCConnectionReconfiguration)メッセージなどであってもよい。また、MACシグナリングは、例えば、MAC制御要素(MAC CE(Control Element))を用いて通知されてもよい。
また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的な通知に限られず、暗示的に(例えば、当該所定の情報の通知を行わないことによって又は別の情報の通知によって)行われてもよい。
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真(true)又は偽(false)で表される真偽値(boolean)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
本開示において使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用され得る。
本開示においては、「基地局(BS:Base Station)」、「無線基地局」、「固定局(fixed station)」、「NodeB」、「eNodeB(eNB)」、「gNodeB(gNB)」、「アクセスポイント(access point)」、「送信ポイント(transmission point)」、「受信ポイント(reception point)」、「送受信ポイント(transmission/reception point)」、「セル」、「セクタ」、「セルグループ」、「キャリア」、「コンポーネントキャリア」、「帯域幅部分(BWP:Bandwidth Part)」などの用語は、互換的に使用され得る。基地局は、マクロセル、スモールセル、フェムトセル、ピコセルなどの用語で呼ばれる場合もある。
基地局は、1つ又は複数(例えば、3つ)のセル(セクタとも呼ばれる)を収容することができる。基地局が複数のセルを収容する場合、基地局のカバレッジエリア全体は複数のより小さいエリアに区分でき、各々のより小さいエリアは、基地局サブシステム(例えば、屋内用の小型基地局(RRH:Remote Radio Head))によって通信サービスを提供することもできる。「セル」又は「セクタ」という用語は、このカバレッジにおいて通信サービスを行う基地局及び基地局サブシステムの少なくとも一方のカバレッジエリアの一部又は全体を指す。
本開示においては、「移動局(MS:Mobile Station)」、「ユーザ端末(user terminal)」、「ユーザ装置(UE:User Equipment)」、「端末」などの用語は、互換的に使用され得る。
移動局は、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント又はいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
基地局及び移動局の少なくとも一方は、送信装置、受信装置などと呼ばれてもよい。なお、基地局及び移動局の少なくとも一方は、移動体に搭載されたデバイス、移動体自体などであってもよい。当該移動体は、乗り物(例えば、車、飛行機など)であってもよいし、無人で動く移動体(例えば、ドローン、自動運転車など)であってもよいし、ロボット(有人型又は無人型)であってもよい。なお、基地局及び移動局の少なくとも一方は、必ずしも通信動作時に移動しない装置も含む。
また、本開示における無線基地局は、ユーザ端末で読み替えてもよい。例えば、無線基地局及びユーザ端末間の通信を、複数のユーザ端末間の通信(例えば、D2D(Device-to-Device)、V2X(Vehicle-to-Everything)などと呼ばれてもよい)に置き換えた構成について、本開示の各態様/実施形態を適用してもよい。この場合、上述の無線基地局10が有する機能をユーザ端末20が有する構成としてもよい。また、「上り」、「下り」などの文言は、端末間通信に対応する文言(例えば、「サイド(side)」)で読み替えられてもよい。例えば、上りチャネル、下りチャネルなどは、サイドチャネルで読み替えられてもよい。
同様に、本開示におけるユーザ端末は、無線基地局で読み替えてもよい。この場合、上述のユーザ端末20が有する機能を無線基地局10が有する構成としてもよい。
本開示において、基地局によって行われるとした動作は、場合によってはその上位ノード(upper node)によって行われることもある。基地局を有する1つ又は複数のネットワークノード(network nodes)を含むネットワークにおいて、端末との通信のために行われる様々な動作は、基地局、基地局以外の1つ以上のネットワークノード(例えば、MME(Mobility Management Entity)、S-GW(Serving-Gateway)などが考えられるが、これらに限られない)又はこれらの組み合わせによって行われ得ることは明らかである。
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
本開示において説明した各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、LTE-B(LTE-Beyond)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4G(4th generation mobile communication system)、5G(5th generation mobile communication system)、FRA(Future Radio Access)、New-RAT(Radio Access Technology)、NR(New Radio)、NX(New radio access)、FX(Future generation radio access)、GSM(登録商標)(Global System for Mobile communications)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi-Fi(登録商標))、IEEE 802.16(WiMAX(登録商標))、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切な無線通信方法を利用するシステム、これらに基づいて拡張された次世代システムなどに適用されてもよい。また、複数のシステムが組み合わされて(例えば、LTE又はLTE-Aと、5Gとの組み合わせなど)適用されてもよい。
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
本開示において使用する「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1及び第2の要素の参照は、2つの要素のみが採用され得ること又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
本開示において使用する「判断(決定)(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。例えば、「判断(決定)」は、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)などを「判断(決定)」することであるとみなされてもよい。
また、「判断(決定)」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)などを「判断(決定)」することであるとみなされてもよい。
また、「判断(決定)」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などを「判断(決定)」することであるとみなされてもよい。つまり、「判断(決定)」は、何らかの動作を「判断(決定)」することであるとみなされてもよい。
また、「判断(決定)」は、「想定する(assuming)」、「期待する(expecting)」、「みなす(considering)」などで読み替えられてもよい。
本開示に記載の「最大送信電力」は送信電力の最大値を意味してもよいし、公称最大送信電力(the nominal UE maximum transmit power)を意味してもよいし、定格最大送信電力(the rated UE maximum transmit power)を意味してもよい。
本開示において使用する「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、又はこれらのあらゆる変形は、2又はそれ以上の要素間の直接的又は間接的なあらゆる接続又は結合を意味し、互いに「接続」又は「結合」された2つの要素間に1又はそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合又は接続は、物理的であっても、論理的であっても、あるいはこれらの組み合わせであってもよい。例えば、「接続」は「アクセス」で読み替えられてもよい。
本開示において、2つの要素が接続される場合、1つ以上の電線、ケーブル、プリント電気接続などを用いて、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域、光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどを用いて、互いに「接続」又は「結合」されると考えることができる。
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も同様に解釈されてもよい。
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びこれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
本開示において、例えば、英語でのa, an及びtheのように、翻訳によって冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
以上、本開示に係る発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示に係る発明が本開示中に説明した実施形態に限定されないということは明らかである。本開示に係る発明は、請求の範囲の記載に基づいて定まる発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とし、本開示に係る発明に対して何ら制限的な意味をもたらさない。