JP7226070B2 - 数値制御装置 - Google Patents
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Description
図1を参照し、工作機械1の構造を説明する。工作機械1は基台2、Y軸移動機構(図示略)、X軸移動機構(図示略)、Z軸移動機構(図示略)、移動体15、立柱5、主軸ヘッド6、主軸(図示略)、被削材支持装置8、工具交換装置9、制御箱(図示略)、数値制御装置40(図3参照)等を備える。基台2は架台11、主軸基台12、右側基台13、左側基台14等を備える。架台11は前後方向に長い略直方体状の構造体である。主軸基台12は前後方向に長い略直方体状に形成し、架台11上面後方に設ける。右側基台13は架台11上面右前方に設ける。左側基台14は架台11上面左前方に設ける。右側基台13と左側基台14は夫々、上面に被削材支持装置8を支持する。
図3を参照して数値制御装置40と工作機械1の電気的構成を説明する。数値制御装置40はCPU41、ROM42、RAM43、フラッシュメモリ44、入出力部45、駆動回路51~56を備える。工作機械1はX軸モータ61、Y軸モータ62、Z軸モータ63、C軸モータ64、A軸モータ65、主軸モータ66、エンコーダ71~76を備える。以下、駆動回路51~56を区別しない時、駆動回路50と総称する。X軸モータ61、Y軸モータ62、Z軸モータ63、C軸モータ64、A軸モータ65、主軸モータ66を区別しない時、モータ60と総称する。エンコーダ71~76を区別しない時、エンコーダ70と総称する。
被削材に対して工具を、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、A軸方向、C軸方向に相対移動させて加工するNCプログラムの指令(以下、「送り軸指令」と称す。)に基づき、工作機械1が駆動する場合を例示する。以下、工具に対して被削材を、A軸まわりに移動する場合を例示して説明する。被削材に対して工具を、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、C軸方向に移動する場合については、A軸まわりに移動する場合と同様であるので、説明は省略する。
工作機械1において、偏荷重は、被削材支持装置8のA軸台20の回転角度に応じて変動し、A軸モータ65を特定の方向に回転させようとする力又はトルクを示す。より具体的には、図2に示すように、A軸台20の重心Cgを定義する時、該重心Cgは、支軸31の回転中心Rに対して下方に位置する。故に、A軸モータ65が回転する時、該重心Cgに対して鉛直下向き方向に偏荷重による力が作用する。
図7を参照し、数値制御装置40のCPU41が実行するメイン処理について説明する。メイン処理は、数値制御装置40の電源がONした時、フラッシュメモリ44に記憶したプログラムをCPU41が読み出し実行することにより開始する。
amax=(Tmax-Fθ-Fc-Dvmax)/J (7-1)
CPU41は、時定数tの移動平均フィルタを用いて加減速を行う場合、最大加速度amaxを超えない最小限の時定数tminを、式(7-2)により導出する。時定数T1がtmin以上なら、加減速時のトルクはモータの最大トルクTmaxを超えることはない。
tmin=vmax/amax (7-2)
該決定方法により、モータ60のトルクを最大限に利用できる時定数T1、T2を決定できる。
Topt=2π√(J/K) (8)
該時、CPU41は、FIRフィルタの時定数T1もしくはT2をToptとすることにより、固有振動数を励起せずにモータ60の加減速を行うことができる。従って、CPU41は、特定したモデルパラメータから算出された該時定数の適用により、機械系の固有振動数を打ち消すことができるので、工作機械1の固有振動を抑制できる。
早送り条件を満たす指令に基づき、モデルパラメータを特定した。A軸台20の最高速度360(deg/s)、最大加速度2880(deg/s2)であり、且つ、移動範囲が-30(deg)~120(deg)の往復運動を示す指令を、評価対象として用いた。第一FIRフィルタの時定数T1、及び、第二FIRフィルタの時定数T2を夫々、125msとした。該時、モデルパラメータとして、慣性モーメントJ:0.0051[N/(deg/sec2)]、偏荷重係数Fθ:8.6[Nm]、クーロン摩擦Fc:1.3[Nm]、粘性摩擦係数D:0.0061[Nm/(deg/sec)]を導出した。
図8は、CPU41が駆動回路55に目標値rを出力したことに応じてA軸モータ65に生じる実際のトルク(測定値)と、上記のように特定したモデルパラメータ及びエンコーダ75からのフィードバック値xを式(6)に適用したときに推定されるA軸モータ65のトルク(推定値)との関係を示す。
図9は、A軸モータ65の回転速度とトルクとの関係を示す。図9の各プロット点は、A軸モータ65をそれぞれの回転速度で、一定回転速度で動作させて測定された実際のトルクを示す。図9の2本の一次直線は、上記のように特定したモデルパラメータ及びエンコーダ75からのフィードバック値xを式(6)に適用したときの、回転速度とトルクとの関係を示す。
工作機械1において、高速且つ高精度な制御を行う為の制御パラメータの決定には、工作機械1に関連する慣性モーメント等の物理パラメータが必要である。例えば、モータ65の最大加速度を決定するFIRフィルタの時定数は、モータ65の回転軸の慣性モーメントと最大トルクの関係から、適切な値を自動的に算出するのが好ましい。その理由は、A軸台20上の積載質量が時々刻々と変化するためである。これに対し、従来の方法では、A軸台20上の積載質量により発生する偏荷重Fθsin(θ)を物理パラメータに適用できなかった為、時定数の設定時に偏荷重Fθsin(θ)を考慮した大きなマージンが必要となり、サイクルタイムの短縮及び精度の向上を阻害していた。
本発明は、上記実施形態に限らない。数値制御装置40は工作機械1に設ける場合に限らず、工作機械1とは別体に設けてもよい。例えば数値制御装置40は、工作機械1に接続した装置(PC、専用機等)でもよい。
S15の処理を行うCPU41は、本発明の「取得部」の一例である。S21の処理を行うCPU41は、本発明の「特定部」の一例である。S17の処理を行うCPU41は、本発明の「決定部」の一例である。モデルパラメータは、本発明の「パラメータ」の一例である。駆動回路50は、本発明の「加工部」の一例である。
6 :主軸ヘッド
20 :A軸台
40 :数値制御装置
41 :CPU
50、51、52、53、54、55、56 :駆動回路
60、61、62、63、64、65、66 :モータ
70、71、72、73、74、75、76 :エンコーダ
Claims (8)
- 被削材を加工する工具と前記被削材とを相対的に移動及び回転させる為のモータを備えた工作機械に対し、前記モータの駆動条件を示す指令を出力する数値制御装置であって、
所定の前記駆動条件である入力条件を取得する取得部と、
前記取得部により取得した前記入力条件に応じて前記モータに出力した出力結果と、前記工作機械の伝達モデルを前記入力条件に適用して導出した導出結果との誤差が最小となるように、前記伝達モデルのパラメータを特定する特定部と、
前記特定部により特定した前記パラメータに基づき、前記指令を決定する決定部と、
を備え、
前記パラメータは、
前記工作機械に関する慣性モーメント、粘性摩擦、クーロン摩擦、及び、偏荷重を含み、
前記偏荷重は、
前記被削材を保持するテーブルの回転角度に応じて変動し、前記モータを特定の方向に回転させようとする力又は前記モータのトルクを表す前記パラメータであることを特徴とする数値制御装置。 - 被削材を加工する工具と前記被削材とを相対的に移動及び回転させる為のモータを備えた工作機械に対し、前記モータの駆動条件を示す指令を出力する数値制御装置であって、
所定の前記駆動条件である入力条件を取得する取得部と、
前記取得部により取得した前記入力条件に応じて前記モータに出力した出力結果と、前記工作機械の伝達モデルを前記入力条件に適用して導出した導出結果との誤差が最小となるように、前記伝達モデルのパラメータを特定する特定部と、
前記特定部により特定した前記パラメータに基づき、前記指令を決定する決定部と、
を備え、
前記パラメータは、
前記工作機械に関する慣性モーメント、粘性摩擦、クーロン摩擦、及び、偏荷重を含み、
前記決定部は、
前記特定部により特定した前記パラメータに基づき、前記モータの加減速時における加減速時定数を調整することで、前記指令を決定することを特徴とする数値制御装置。 - 被削材を加工する工具と前記被削材とを相対的に移動及び回転させる為のモータを備えた工作機械に対し、前記モータの駆動条件を示す指令を出力する数値制御装置であって、
所定の前記駆動条件である入力条件を取得する取得部と、
前記取得部により取得した前記入力条件に応じて前記モータに出力した出力結果と、前記工作機械の伝達モデルを前記入力条件に適用して導出した導出結果との誤差が最小となるように、前記伝達モデルのパラメータを特定する特定部と、
前記特定部により特定した前記パラメータに基づき、前記指令を決定する決定部と、
を備え、
前記パラメータは、
前記工作機械に関する慣性モーメント、粘性摩擦、クーロン摩擦、及び、偏荷重を含み、
前記決定部は、
前記特定部により特定した前記パラメータに基づき、前記工作機械に作用する外乱トルクを決定し、前記外乱トルクが所定の閾値をこえた時、機械が異常であると判断することを特徴とする数値制御装置。 - 被削材を加工する工具と前記被削材とを相対的に移動及び回転させる為のモータを備えた工作機械に対し、前記モータの駆動条件を示す指令を出力する数値制御装置であって、
所定の前記駆動条件である入力条件を取得する取得部と、
前記取得部により取得した前記入力条件に応じて前記モータに出力した出力結果と、前記工作機械の伝達モデルを前記入力条件に適用して導出した導出結果との誤差が最小となるように、前記伝達モデルのパラメータを特定する特定部と、
前記特定部により特定した前記パラメータに基づき、前記指令を決定する決定部と、
を備え、
前記パラメータは、
前記工作機械に関する慣性モーメント、粘性摩擦、クーロン摩擦、及び、偏荷重を含み、
前記取得部は、
前記入力条件として、設定可能な最大速度で前記モータが回転する早送り条件を取得し、
前記決定部は、
前記取得部により取得した前記早送り条件に応じて前記モータに出力した出力結果と、前記伝達モデルを前記早送り条件に適用して導出した前記導出結果との誤差が最小となるように、前記伝達モデルの前記パラメータを決定することを特徴とする数値制御装置。 - 前記決定部は、
前記特定部により特定した前記パラメータに基づき、前記モータの加減速時における加減速時定数を調整することで、前記指令を決定することを特徴とする請求項1に記載の数値制御装置。 - 前記決定部は、
前記特定部により特定した前記パラメータに基づき、前記工作機械に作用する外乱トルクを決定し、前記外乱トルクが所定の閾値をこえた時、機械が異常であると判断することを特徴とする請求項1、2、5の何れかに記載の数値制御装置。 - 前記取得部は、
前記入力条件として、設定可能な最大速度で前記モータが回転する早送り条件を取得し、
前記決定部は、
前記取得部により取得した前記早送り条件に応じて前記モータに出力した出力結果と、前記伝達モデルを前記早送り条件に適用して導出した前記導出結果との誤差が最小となるように、前記伝達モデルの前記パラメータを決定することを特徴とする請求項1から3、5、6の何れかに記載の数値制御装置。 - 前記指令に基づき前記モータを駆動し、前記工具により前記被削材を加工する加工部を更に備えたことを特徴とする請求項1から7の何れかに記載の数値制御装置。
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