JP7225065B2 - 歯科用タービンハンドピース - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、ハウジング内に切削工具を保持するための回転軸に固定されたタービン翼(タービンブレード)と、タービン翼回転用のエアを流す給気路、及び、タービン翼を回転させた後のエアを排出する排気路とを備えるハンドピースにおいて、給気路先端の給気口の口径に対し、排気路の入口端の排気口の口径を大きく設定し、かつ、上記給気口から排気口に至るハウジング内を周回するエア通路を、給気口から排気口側にかけて順次拡大させて形成したハンドピースが開示されている(特許文献1)。
実施の形態1について、図面を参照して説明する。尚、図中において、ヘッド20を前側、グリップ10を後側とし、ヘッド20とグリップ10が連なる方向を前後方向、この前後方向に対して直交する方向を左右方向とする。この前後左右の方向は、使用者がグリップ10を握りハンドピースHを使用する状態で、使用者からハンドピースHを見た状態を基準としている。
ハンドピースHに供給するエアの調整は、エアの流路に設けられるフットペダル(図示せず)等のエア調整手段を操作することで行われる。
グリップ10の内部には、カップリング11からヘッド20へと給気されたエアを導く給気パイプ12が設けられる。また、グリップ10の内部は、ヘッド20から排気されたエアの流路となる。グリップ10の内部を流れた排気エアは、カップリング11へと流入する。
図2に示すように、給気パイプ12は、内部に給気されたエアが流れる流路を形成するパイプ状の部材である。給気パイプ12により、コード11aから供給されたエアが、グリップ10の内部を通り、ヘッド20側へと供給される。
この給気パイプ12の先端には、ノズル13が取り付けられる。ノズル13は、給気パイプ12から流れるエアを後述するタービン100に向けて噴射する部位となる。
連結部40は、グリップ10とヘッド20を接続する部位である。連結部40にグリップ10が嵌り込むことにより、ヘッドケース21とグリップ10が一体となる。
凹部41の内部には、ヘッド20の内部とグリップ10の内部とを繋ぐ連通孔である給気孔42と排気孔43が形成されている。給気孔42の内部には、給気パイプ12と、この給気パイプ12に取り付けられたノズル13が設けられる。また、排気孔43は、排気エアの流路となるグリップ10の内部に向けて開口する。
また、プッシュボタン22の下側には、切削工具27を保持するチャック機構26が位置する。プッシュボタン22は、チャック機構26と接続している。プッシュボタン22を押すことで、チャック機構26が開閉する。
この様に構成されたプッシュボタン22は、切削工具27を外す際のチャック機構26の解除ボタンとしての機能を有する。チャック機構26が開閉することで、切削工具27がヘッド20に対して、着脱可能に構成されている。
回転筒24は、下方向に向けて開口する円筒状の部材である。チャック機構26は、回転筒24の内部に備えられ、切削工具27を着脱自在に保持する。尚、回転筒24の開口は、切削工具27をチャック機構26に装着する為の装着開口24aとなる。
タービンブレード120は、ハブ110の周囲から径方向に延びるように複数設けられている。このタービンブレード120は、タービン100の径方向から見ると、タービン100の回転方向とは逆方向に開口する凹形状を成している。
本実施の形態のタービン100の凹形状は、滑らかな湾曲した形状を成している。例えば、ローマ字の「C」に似た形状、又は、ローマ字の「U」を回転方向とは逆方向に倒した形状を成している。この凹形状の部分が、給気されたエアを受けるエア受面121となる。
この様に、タービンブレード120にエアが供給されることで、エアの圧力が個々のタービンブレード120のエア受面121に作用して、タービン100の回転駆動力となる。
そして、タービン100は、取付開口111に回転筒24を固定することで、供給されるエアによりタービン100と回転筒24が一体に回転する。切削工具27は、チャック機構26に保持された状態において、ヘッド20の下方向に突出して、回転筒24と共に回転する。軸受25は、回転筒24を回転自在に保持する。
図3に示すように、ヘッドケース21の内部には、上軸受25aと下軸受25bが設けられる。
上軸受25aの外輪(アウターレース)とヘッドケース21に固定されたヘッドキャップ28の間には、Oリング25cが設けられる。同じく、下軸受25bの外輪とヘッドケース21の間には、Oリング25dが設けられる。
また、上軸受25aと下軸受25bは、上側と下側にそれぞれ離れて位置する。離れて位置した上軸受25aと下軸受25bの間には、タービン100が回転可能に位置する空間であるタービン室200が形成される。
タービン室200は、タービン100の形状に合わせた概ね円筒形状の空間である。また、タービン室200に向けて、給気孔42と排気孔43が開口する。
これにより、回転筒24は、上軸受25aの内輪及び下軸受25bの内輪と共に回転する。尚、回転筒24の装着開口24aは、下方向に開口する。
切削工具27をチャック機構26に装着する場合、プッシュボタン22を押すことで、チャック機構26が切削工具27を受け入れ可能な状態となる。つまり、切削工具27をヘッド20に取付けることが可能な状態となる。
切削工具27をチャック機構26から外す場合、プッシュボタン22を押すことで、チャック機構26の切削工具27の保持状態が解除され、切削工具27をチャック機構26から外すことができる。
従って、タービン100は、給気パイプ12から供給されるエアが、ノズル13からタービンブレード101に吹き付けられることで、タービン室200内で回転する。
これにより、ロータ160は回転し、回転筒24の内部のチャック機構26に保持された切削工具27も回転する。
以上のようにハンドピースHの各部を構成することで、切削工具27を回転させて、歯牙等の治療対象を切削することが可能となる。
次に、図2、図4を参照して、本実施の形態の要部であるヘッド20の内部に形成された凹部41について詳細に説明する。
凹部41は、ヘッドケース21の後側の内壁に形成された後方に凹む部位である。この凹部41の内部には、ヘッド20の内部とグリップ10の内部とを繋ぐ連通孔である給気孔42と排気孔43が形成されている。
また、凹部41は、タービン室200の周囲に沿って広がるように開口している。本実施の形態の場合、凹部41は、排気孔43より右側の位置から、給気孔42の左側に至る領域にわたり形成されている。尚、凹部41の左右の幅は、連結部40の左右の幅より広い。
尚、凹部41のタービン室200への開口縁41aと排気孔43の排気開口縁43aの間の接続面44は、滑らかな曲面に構成されている。
この給気孔42の内部には、前側の内径より後側の内径を大きくすることにより、段部42aが形成されている。そして、給気孔42には、この連通孔を貫くようにノズル13が設けられる。つまり、ノズル13の先端は、給気孔42から凹部41の内部に突出して位置する。
ノズル13は、円筒形状であり、先端部分において、内径が先端に向けて小さくなる形状に構成されている。つまり、ノズル13は、エアが吹き出る吹出口13aにかけて、窄んだ形状を成している。また、ノズル13の外周面には、外周面を取り巻くように突出部13bが形成されている。
更に、突出部13bは、ノズル13を給気パイプ12の内部に圧入により取付ける際に、給気パイプ12の先端開口12aが当接することで、給気パイプ12に対するノズル13の位置を決める部位となる。
この様にノズル13が取り付けられることで、吹出口13aは排気孔43の開口より前側に位置する。そして、凹部41の内部において、ノズル13の周囲に空間が形成される。
ノズル13は円筒状に形成された部材であり、また、排気孔43は直線的なパイプ状の孔であり、いずれもまっすぐ延びている。
ノズル13と排気孔43は、ハンドピースHの前後方向に延びる仮想直線Lに対して、斜めに傾いて前後方向に延びている。本実施の形態の場合、ノズル13と排気孔43は、前側の部分が後側の部分に対して左側に寄るように傾いている。
尚、仮想直線Lは、例えば、B-B断面を示す一点鎖線と平行な直線である。B-B断面を示す一点鎖線は、ハンドピースHの左右の中心を通る線である。
更に、排気孔43は、凹部41の概ね中心位置に開口している。ノズル13は、この排気孔43の左側であって、凹部41の上下方向の上側に開口した給気孔42に、吹出口13aを突出させた状態で設けられる。つまり、ノズル13の吹出口13aは凹部41内の左側に位置し、排気孔43の開口より前側の位置で、タービンブレード120に向けて開口している。
そして、排気孔43とノズル13は、互いに平行か、排気孔43の前側がノズル13に近づくように、ノズル13に対して排気孔43が傾いた状態で、ヘッドケース21に設けられている。つまり、排気孔43は、前側に近づくにつれ、ノズル13に寄るように配置されている。
まず、使用者がエア調整手段を操作してハンドピースHにエアの供給を開始すると、給気パイプ12に給気エアが流れ込み、ノズル13の吹出口13aからタービン100に向けて給気エアが吹出す。ノズル13から吹出されたエアは、タービンブレード120にぶつかり、タービン100を回転させる。これにより、ロータ160が回転駆動し、回転する切削工具27で治療部位の切削が可能となる。
タービン100と共にタービン室200内を回転移動するエアは、前後に隣り合うタービンブレード120に挟まれた状態で、タービン100の回転に伴い、ヘッドケース21の内壁に沿って移動する。
そして、タービン100と共に回転移動してきたエアは、凹部41の右側から凹部41内部に入り込み、排気孔43へと流れ込む。排気孔43へと流れ込んだエアは、グリップ10の内部からカップリング11に至り、ハンドピースHの外部へと排気される。
これにより、タービン室200の内部から効率良くエアを排気することができるので、新たにノズル13からタービン室200内部へと吹出すエアの流れを妨げにくい。
本実施の形態のように、ノズル13は凹部41内に突出して位置しているので、吹出口13aをタービンブレード120に近づけることができると共に、ノズル13の周囲にタービンブレード120から跳ね返ってくるエアが流れ込む空間が確保される。つまり、凹部41の内部であって、ノズル13の周囲の空間は、タービンブレード120から跳ね返ったエアの流れが入り込むことができる空間となる。
特に、ノズル13の左側に至る部分まで凹部41が形成されているので、タービン100に回転駆動力を与えた空気の一部が、排気孔43へと流れ込みやすくなる。
そして、タービンブレード120に供給されたエアは、エア受面121に沿って流れ、エア受面121から離れる方向に向きを変え、エア受面121の下側の領域から、エア受面121から離れるように流れる。
従って、ノズル13からより効率良くエアをタービン100へと供給することができ、ロータ160の回転出力を向上させることができる。
この様に構成することで、ヘッドケース21に対して、複雑なノズル形状を加工しなくて済むので、ヘッドケース21の加工難易度を下げることができる。特に、ヘッドケース21の凹部41の内部にノズル13が突出する複雑な形状を、切削加工などにより形成した場合に比べ、容易に形成することができる。
また、タービン100の特性に応じて、用いるノズル13の形状を容易に選択することができる。つまり、様々な形状のタービン100やノズルを適宜組み合わせることで、ヘッドケース21やハンドル10を共通にした様々な特性のハンドピースの製品ラインナップを容易に増やすことができる。
このようなエアタービンは衝動タービンと呼ばれ、エアの衝動力が回転力の源となる。この衝動力は流速の2乗に比例するため、ノズル13から噴射される流速が大きいほどトルクや回転速度が上昇して効率が良くなる。つまり、超音速流を得られれば、ロータ160の回転出力を向上させることができる。
この様に、給気エアの流れる方向に対して、ノズル13の位置が固定されるように取り付けているので、給気するエアの圧力により、ノズル13が段部42aに押しつけられ、給気孔42の内部でノズル13がずれたり、給気孔42から脱落したりすることが無い。
これにより、ダイレクトに排気孔43へと流れるエアの流れを抑制し、タービン100の回転数が高くなりすぎないように抑制して、回転トルクがより大きくなるように構成することができる。
これにより、排気孔43はノズル13側に寄せて配置され、タービン100からノズル13側に跳ね返るエアを、排気孔43へと導きやすい。
特に、タービン100と共にタービン室200を回転して流れてくるエアについて、凹部41の右側から凹部41の内部に入り、排気孔43へと流れる排気孔43へと至る距離が長くなるので、この位置を流れるエアの流れを抑制することができる。これにより、タービン100から跳ね返りノズル13の周辺に流れてきたエアを、排気孔43へと導きやすくすることができる。
実施の形態2を図9、図10を参照して説明する。尚、実施の形態1と同じ構成については、同じ符号を付し、説明を省略する。
図9は、実施の形態2のハンドピースHの断面図である。図9におけるハンドピースの断面位置は、図1のA-Aと同じ位置である。また、図9において、ノズル13と給気パイプ12は、設けられていない状態で示してある。
図10は、図9のE-E断面図である。図10において、実施の形態2の構成を説明しやすくするため、ロータ160やプッシュボタン22やキャップ28やその他の内部構造等は、設けられていないヘッドケース21のみの状態で示してある。
そして、更に凹部41には、給気孔42の下側に第2の排気孔45が形成されている。第2の排気孔45は、排気孔43と同様に、ヘッド20の内部とグリップ10の内部とを繋ぐ連通孔である。つまり、第2の排気孔45は、タービン100を回転させた排気エアをタービン室200からグリップ10の内部へと排気する為の連通孔である。
これにより、吹出口13aの周囲の空気の圧力の上昇を緩和して、吹出口13aからエアが吹出し難くなることを緩和することができる。
10 グリップ
11 カップリング
11a コード
12 給気パイプ
13 ノズル
13a 吹出口
20 ヘッド
21 ヘッドケース
22 プッシュボタン
24 回転筒
24a 装着開口
25 軸受
25a 上軸受
25b 下軸受
25c Oリング
26 チャック機構
27 切削工具
28 ヘッドキャップ
40 連結部
41 凹部
41a 開口縁
42 給気孔
42a 段部
43 排気孔
43a 排気開口縁
44 接続面
100 タービン
110 ハブ
111 取付開口
120 タービンブレード
121 エア受面
Claims (1)
- 歯科用タービンハンドピースにおいて、
使用者が握る部位となるグリップと、前記グリップの先端に接続するヘッドと、前記ヘッド内に備えられるロータを有し、
前記ロータは、供給されるエアにより回転トルクを得るタービンを備え、
前記ヘッドの外殻となる部分はヘッドケースを有し、前記ヘッドケースの内部にはタービン室が形成され、
前記タービンは、供給されたエアを受けるエア受面を有するタービンブレードを備え、前記タービン室に位置し、
前記ヘッドケースは、前記タービンにエアを供給する給気孔と、前記ヘッドの内部のエアを排気する排気孔と第2の排気孔を備え、
前記ヘッドを前側、前記グリップを後側とし、前記ヘッドと前記グリップが連なる方向を前後方向とし、この前後方向に対して直交する方向を左右方向とし、この前後左右の方向は、使用者が前記グリップを握り前記歯科用ハンドピースを使用する状態で、使用者から前記歯科用ハンドピースを見た状態を基準とし、
前記ヘッドケースには、後方に向けて凹む1つの凹部が形成されており、
前記給気孔と前記排気孔と前記第2の排気孔は、前記凹部の内部に位置し、前記排気口の左側には前記給気孔が位置し、前記給気孔の真下に前記第2の排気孔が位置し、
前記タービンブレードには、前記給気孔から供給されたエアが、上側の領域からエアが入り込み、前記エア受け面に沿って流れて、下側の部分から前記第2の排気孔へと流れることを特徴とする歯科用タービンハンドピース。
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2019
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