JP7225007B2 - グラウンドアンカー及びグラウンドアンカー工法 - Google Patents
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Description
特許文献1に開示されたグラウンドアンカー工法では、切削可能領域をシールド掘削機で直接的に切削し、土留め壁に開口を形成する。
共上がりが生じたグラウンドアンカーを棒等で押込みながらケーシングパイプを引抜くことも考えられるが、共上がりによりグラウンドアンカーの位置決め精度が低下する上に、押込み作業により施工工数が増加する。
本発明のグラウンドアンカーは、線状部材と、前記線状部材の第1端部の外面を覆うように配置され、両端部と前記線状部材との間がそれぞれ封止された第1筒状部材と、前記線状部材の外面における前記第1筒状部材よりも前記線状部材の第2端部側の部分を覆うように配置され、両端部と前記線状部材との間がそれぞれ封止された第2筒状部材と、第1端部が前記第1筒状部材と前記線状部材との間に配置され、第2端部が前記第1筒状部材の外部に配置された第1管状体と、第1端部が前記第2筒状部材と前記線状部材との間に配置され、第2端部が前記第2筒状部材の外部に配置された第2管状体と、を備え、前記第2筒状部材における前記第1筒状部材側の前記端部である第1端部は、前記線状部材の外面に固定され、前記第1筒状部材における前記第2筒状部材側の前記端部である第1端部は、前記第2筒状部材の前記第1端部の外周面を覆った状態で、前記第2筒状部材の前記第1端部に固定されていることを特徴としている。
次に、第1管状体を通して第1筒状部材内に固化材を注入して第1筒状部材を拡径させ(第1筒状部材の外径を大きくさせ)、地盤における挿入穴の周縁部と第1筒状部材の外周面との間に作用する摩擦力により、地盤における挿入穴の周縁部に第1筒状部材を固定する。管材から第2筒状部材が露出するように、地盤に対して管材を引き抜く。この際に、地盤における挿入穴の周縁部に第1筒状部材が固定されているため、管材を引き抜く際の共上がりを抑制することができる。
なお、次に、第2管状体を通して第2筒状部材内に固化材を注入して第2筒状部材を拡径させ、地盤における挿入穴の周縁部に第2筒状部材を固定することにより、地盤にグラウンドアンカーが固定される。
この発明によれば、第1筒状部材の中間部と第2筒状部材の中間部との間に生じる、地盤における挿入穴の周縁部に固定されない部分の軸線方向の長さを、さらに短く抑えることができる。
この発明によれば、管材から第1筒状部材が露出するように地盤に対して管材を引き抜く際に、管材から第1筒状部材及び第2筒状部材の両方が露出するように管材を一度に引抜く場合に比べて管材を引き抜く長さが短くなるため、管材を引き抜く際のグラウンドアンカーの共上がりを抑制することができる。また、管材から第2筒状部材が露出するように地盤に対して管材を引き抜いても、地盤における挿入穴の周縁部に第1筒状部材が固定されているため、管材を引き抜く際の共上がりを抑制することができる。
図1に示すように、本実施形態のグラウンドアンカー1は、地盤(地山)Gに形成された立坑100において、土留め壁101の切削可能領域(構造物)102を補強するのに用いられる。
立坑100は、平面視で四角形状を呈する。切削可能領域102は、立坑100の土留め壁101のうち、シールド掘削機M1の発進方向に位置する土留め壁101(以下、土留め壁101Aとも言う)に形成される。
土留め壁101Aのうち切削可能領域102以外の部分は、シールド掘削機M1により切削されない非切削可能領域106である。非切削可能領域106は、切削可能領域102を上下左右から囲うように配置されている。非切削可能領域106は、上下方向に延びる複数の金属部材107を備えている。複数の金属部材107は、水平方向に互いに間隔を空けて配置されている。非切削可能領域106において、複数の金属部材107の間には、ソイルセメント硬化体108が充填されている。
テンドン10は、複数のワイヤー部材11を備えている。ワイヤー部材11としては、FRP製のケーブル、具体的には炭素繊維を有する複数の芯線を束ねたケーブルが用いられる。なお、ワイヤー部材11を構成する芯線としては、ガラス繊維を有するものであってもよい。複数のワイヤー部材11は、束ねられた状態で配置されている。
第1シース13の内径は、テンドン10の外径よりも大きい。テンドン10は、第1シース13よりも先端側に延びている。第1シース13の内周面とテンドン10の外面との間には、第1止水材14が配置されている。第1止水材14には、ウレタン樹脂が用いられている。第1止水材14は、第1シース13の全長にわたって配置されている。
第1シース13の基端部の外面には、第2止水材15が第1シース13と同軸に配置されている。第2止水材15には、ブチルゴムが用いられている。
テンドングリップ17の小径部及び大径部の内部にはテンドン10の第2端部10bが配置され、小径部及び大径部に固定されている。
自由長部シース18の先端部の内周面とテンドン10の外面との間には、第3止水材19が配置されている。第3止水材19には、ウレタン樹脂が用いられている。自由長部シース18の先端部の外面には、第4止水材20が自由長部シース18と同軸に配置されている。第4止水材20には、ブチルゴムが用いられている。
管部材21の第1端部には、図示しない固化材供給装置が接続される。固化材供給装置は、管部材21を通して自由長部シース18内にグラウト材等の固化材を注入することができる。
第2パッカー35における先端側の端部である第1端部36は、第2止水材15の外面に固定されている。第1端部36は、第2パッカー35における第1パッカー25側の端部である。第2パッカー35の第1端部36は、第2止水材15の外面を覆うように配置され、鋼製のワイヤ等の固定部材40により第2止水材15に固定されている。固定部材40は、第1端部36の外周面に巻き付けられている。
第1端部36は、第2止水材15、第1シース13、及び第1止水材14を介してテンドン10の外面に固定されている。第1端部36とテンドン10との間は、第2止水材15、第1シース13、及び第1止水材14により封止されている。
第2パッカー35における中間部37を挟んで第1端部36とは反対側に配置された第2端部38は、中間部37の基端から基端側に向かって延びている。第2端部38は、第4止水材20と同軸に配置され、第4止水材20の外面を覆っている。第2端部38は、固定部材41により第2止水材15に固定されている。第2端部38とテンドン10との間は、第4止水材20、自由長部シース18、及び第3止水材19により封止されている。
第1パッカー25における第2パッカー35側の端部である第1端部26は、第2パッカー35の第1端部36の外周面及び固定部材40を覆った状態で、固定部材30により第1端部36及び固定部材40に固定されている。第1端部26とテンドン10との間は、固定部材40、第2パッカー35の第1端部36、第2止水材15、第1シース13、及び第1止水材14により封止されている。
第1パッカー25における中間部27を挟んで第1端部26とは反対側に配置された第2端部28は、中間部27の先端から先端側に向かって延びている。第2端部28は、テンドン10の先端に止水部材31により固定されている。第2端部28とテンドン10との間は、止水部材31により封止されている。
第1パッカー25は、第2パッカー35よりもテンドン10の先端側の部分を覆っている。第1パッカー25内には、第1パッカー25の軸線方向の全長にわたってテンドン10が配置されている。第1パッカー25の軸線方向の長さは、例えば500mmである。
パッカー25,35は、軸線方向に並べて配置されている。
まず、挿入穴形成工程(ステップS1、図4参照)において、図5に示すように、土留め壁101Aの切削可能領域102及び地盤Gにケーシングパイプ(管材)Pを挿入して、切削可能領域102及び地盤Gに挿入穴Hを形成する。ケーシングパイプPは、挿入方向の先端側に向かうに従い漸次、下方に向かうように傾斜させて挿入する。これにより、挿入穴Hは、切削可能領域102から離間するに従い漸次、下方に向かうように傾斜して形成される。
挿入穴形成工程S1が終了すると、ステップS3に移行する。
アンカー挿入工程S3が終了すると、ステップS5に移行する。
第1引き抜き工程S5においてケーシングパイプPを一度に引き抜く長さが第1パッカー25の軸線方向の長さ程度であるため、ケーシングパイプPを一度に引き抜く長さがパッカー25,35全体の軸線方向の長さ程度の場合に比べてケーシングパイプPを引き抜く長さが短くなり、ケーシングパイプPを引き抜く際の共上がりを抑制することができる。
第1引き抜き工程S5が終了すると、ステップS7に移行する。
第1固定工程S7が終了すると、ステップS9に移行する。
地盤Gにおける挿入穴Hの周縁部に第1パッカー25が固定されているため、地盤Gに対してケーシングパイプPを引き抜いても、グラウンドアンカー1の共上がりが抑制される。
第2引き抜き工程S9が終了すると、ステップS11に移行する。
第2固定工程S11が終了すると、ステップS13に移行する。
テンドングリップ17の基端側からテンドングリップ17に、受圧板65及び支圧板66を外装する。テンドングリップ17の雄ネジにナット67を嵌め合わせ、図示しない工具によりナット67を受圧板65側に締め付ける。そして、前記工具による締め付け後に、図示しないジャッキアップ装置を用いて、テンドン10に引き抜き方向の力を作用させるとともに、ナット67をさらに締め付けて、テンドン10に所定の張力を付与する。すなわち、地盤Gとナット67との間に切削可能領域102を挟むことにより、地盤Gに切削可能領域102を固定する。こうして、切削可能領域102が補強される。
グラウンドアンカー1からジャッキアップ装置を取外す。
締め付け工程S13が終了すると、ステップS15に移行する。
固化工程S15が終了すると、グラウンドアンカー工法Sの全工程が終了する。
なお、グラウンドアンカー工法Sが終了した後で、諸々の段取りを行ってから、シールド掘削機M1を用いて、グラウンドアンカー1で補強された切削可能領域102を掘削する。
次に、第1パイプ45を通して第1パッカー25内に固化材M3を注入して第1パッカー25を拡径させ、地盤Gにおける挿入穴Hの周縁部と第1パッカー25の外周面との間に作用する摩擦力により、地盤Gにおける挿入穴Hの周縁部に第1パッカー25を固定する。ケーシングパイプPから第2パッカー35が露出するように地盤Gに対してケーシングパイプPを引き抜く。この際に、地盤Gにおける挿入穴Hの周縁部に第1パッカー25が固定されているため、ケーシングパイプPを引き抜く際の共上がりを抑制することができる。
例えば、前記実施形態では、図11に示すグラウンドアンカー1Aのように、第1パッカー25において、中間部27は、第1端部26の先端から先端側に延びていてもよい。このように構成しても、前記グラウンドアンカー工法Sの手順で施工することにより、ケーシングパイプPを引き抜く際の共上がりを抑制することができる。
なお、グラウンドアンカー1Aにおいて、第1パッカー25の第1端部26と、第2パッカー35の第1端部36とは、軸線方向に重なっていなくてもよい。
グラウンドアンカー工法Sでは、締め付け工程S13、固化工程S15、及び掘削工程S17は行わなくてもよい。
グラウンドアンカー1,1Aは、第1シース13、第1止水材14、第2止水材15、テンドングリップ17、自由長部シース18、第3止水材19、第4止水材20、管部材21、及び第3パイプ55を備えなくてもよい。
10 テンドン(線状部材)
10a,26,36,45a,50a 第1端部
10b,28,38,45b,50b 第2端部
25 第1パッカー(第1筒状部材)
27 中間部
35 第2パッカー(第2筒状部材)
45 第1パイプ(第1管状体)
50 第2パイプ(第2管状体)
G 地盤
H 挿入穴
M3 固化材
P ケーシングパイプ(管材)
S グラウンドアンカー工法
Claims (3)
- 線状部材と、
前記線状部材の第1端部の外面を覆うように配置され、両端部と前記線状部材との間がそれぞれ封止された第1筒状部材と、
前記線状部材の外面における前記第1筒状部材よりも前記線状部材の第2端部側の部分を覆うように配置され、両端部と前記線状部材との間がそれぞれ封止された第2筒状部材と、
第1端部が前記第1筒状部材と前記線状部材との間に配置され、第2端部が前記第1筒状部材の外部に配置された第1管状体と、
第1端部が前記第2筒状部材と前記線状部材との間に配置され、第2端部が前記第2筒状部材の外部に配置された第2管状体と、
を備え、
前記第2筒状部材における前記第1筒状部材側の前記端部である第1端部は、前記線状部材の外面に固定され、
前記第1筒状部材における前記第2筒状部材側の前記端部である第1端部は、前記第2筒状部材の前記第1端部の外周面を覆った状態で、前記第2筒状部材の前記第1端部に固定されているグラウンドアンカー。 - 前記第1筒状部材における前記第1筒状部材の軸線方向の中間部は、前記第1筒状部材の前記第1端部に対して折り返されている請求項1に記載のグラウンドアンカー。
- 請求項1又は2に記載のグラウンドアンカーを地盤に固定するグラウンドアンカー工法であって、
前記地盤に管材を挿入して前記地盤に挿入穴を形成し、
前記管材内に前記グラウンドアンカーを挿入し、
前記管材から前記第1筒状部材が露出するように、前記地盤に対して前記管材を引き抜き、
前記第1管状体を通して前記第1筒状部材内に固化材を注入して前記第1筒状部材を拡径させ、前記地盤における前記挿入穴の周縁部に前記第1筒状部材を固定し、
前記管材から前記第2筒状部材が露出するように、前記地盤に対して前記管材を引き抜き、
前記第2管状体を通して前記第2筒状部材内に固化材を注入して前記第2筒状部材を拡径させ、前記地盤における前記挿入穴の周縁部に前記第2筒状部材を固定するグラウンドアンカー工法。
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