JP2001131951A - 地盤改良材の注入装置および注入工法 - Google Patents

地盤改良材の注入装置および注入工法

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JP2001131951A
JP2001131951A JP31077399A JP31077399A JP2001131951A JP 2001131951 A JP2001131951 A JP 2001131951A JP 31077399 A JP31077399 A JP 31077399A JP 31077399 A JP31077399 A JP 31077399A JP 2001131951 A JP2001131951 A JP 2001131951A
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packer
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Kazunari Takahashi
一成 高橋
Fumishi Yamamoto
史士 山本
Akira Kamiide
明 神出
Hirohisa Tanimuro
裕久 谷室
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Osaka Bousui Construction Co Ltd
Okumura Corp
Original Assignee
Osaka Bousui Construction Co Ltd
Okumura Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】地盤改良材の注入速度を飛躍的に向上させるこ
とで、施工時間を大幅に短縮するとともに、施工コスト
を低減すること。 【解決手段】ホース6および通路6a,6bからなる膨
張流体供給路をパッカー1ごとに独立して設けるととも
に、ホース7および通路7a,7bからなる地盤改良材
供給路も注入管2ごとに独立して設け、地盤改良材を複
数箇所へ同時注入可能とする。地盤改良材は耐久性と高
浸透性とを備えた薬液からなり、膨張したパッカー1と
地盤との間に形成される注入空間へ吐出口22から注入
され、広い接触面積で直接地盤と接してすみやかに浸透
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液状化対策等を目
的とした地盤改良工事に用いられる地盤改良材の注入装
置および注入工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】たとえば砂礫層からなる地盤の場合、地
震の発生などによって液状化現象が生じるおそれがある
ため、これを未然に阻止するために地盤改良材を注入し
て地盤を強化する対策がとられる。この工法は注入工法
と呼ばれ、注入装置を掘削孔内に挿入して地盤改良材で
ある薬液を注入し、これを地盤に浸透させて硬化させる
ことにより地盤を強化するものである。
【0003】図7は、従来の注入工法の一例であるスリ
ーブ注入工法を示す断面図である。図において、101
は砂礫層からなる地盤、102はこの地盤101に掘削
した掘削孔、103は掘削孔102に挿入された注入装
置である。注入装置103は、スリーブパイプ104と
このスリーブパイプ104の内部に挿入されるインジェ
クションパイプ105とを備えており、スリーブパイプ
104には薬液の注入口106が形成されているととも
に、この注入口106を覆う円筒形のゴムスリーブ10
7が外周に装着されている。このゴムスリーブ107に
は、スリット108が形成されている。また、インジェ
クションパイプ105は、上下にゴム製のパッカー10
9,110を備えているとともに、薬液の吐出口111
が設けられている。112はスリーブパイプ104と掘
削孔103との間に充填されたシール材、113はゴム
スリーブ107のスリット108から噴射されて地盤1
01の内部に注入される薬液である。
【0004】次に、上記のような注入装置103を用い
た地盤改良工事の施工手順について説明する。まず、ボ
ーリングにより地盤101に掘削孔102を形成する。
このボーリングは、図示しないケーシングパイプを用い
て行われる。所定深度までボーリングを行ない、ケーシ
ングパイプが土中に埋設されると、次に、ケーシングパ
イプ内にCB(セメント・ベントナイト)のようなシー
ル材112を注入する。続いて、スリーブパイプ104
をケーシングパイプ内に挿入し、シール材112が硬化
しないうちにケーシングパイプを掘削孔102から引き
抜く。これによって図のように、シール材112がスリ
ーブパイプ104と掘削孔102との間に充填される。
【0005】次に、インジェクションパイプ105をス
リーブパイプ104内に挿入する。そして、外部からイ
ンジェクションパイプ105内に薬液を導入し、この薬
液を所定の圧力で吐出口111から注入口106および
スリット108を通して噴射させると、その圧力により
シール材112にはクラックが発生する。したがって、
噴射された薬液113はこのクラックを通って地盤10
1の砂礫層に浸透し、浸透した薬液113が硬化するこ
とによって地盤101が強化される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の工法では、1箇所の注入作業が終了するたびに、イ
ンジェクションパイプ105を上下方向に移動して、吐
出口111を次の箇所における注入口106と対向さ
せ、同じ注入作業を繰り返さなければならない。このよ
うに1箇所ずつ注入作業を行なっていたのでは、作業に
時間を要し、施工効率が悪くなって工費も高くなるとい
う問題がある。
【0007】また、スリーブパイプ104と掘削孔10
2との間にシール材112が介在しており、このシール
材112のクラックを通して薬液113を地盤101に
注入するので、薬液113の浸透面積が小さく、浸透に
時間がかかるという難点がある。もっとも、浸透時間を
短くするには薬液の注入速度を速くすればよいが、注入
速度をあまり速くすると、その注入圧力によって砂礫層
のような地盤101が崩れるおそれがあるから、実際に
は注入速度には限界がある。
【0008】さらに、従来の工法においては、地盤改良
材として用いる薬液は仮設工事用の溶液型薬液であり、
耐久性に欠けるとともに、液状化対策のような大規模工
事で大量に用いた場合にはコストが非常に高くなる。さ
らに、薬液自体の浸透性にも限界があることから、広範
囲の地盤改良工事を行なう場合には、掘削孔を短い間隔
で多数設けなければならない。このため、掘削作業に多
大の手間を要するとともに、掘削孔の多い分だけ薬液の
注入作業に時間がかかり、結果的に施工効率が悪くコス
ト高になっていた。
【0009】そこで本発明の主たる課題は、薬液の注入
速度を飛躍的に向上させることで、施工時間を大幅に短
縮するとともに、施工コストを低減することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明に係る地盤改良材の注入装置は、所定間隔を
おいて設けられた膨張自在な複数のパッカーと、これら
のパッカー間に設けられ、膨張したパッカーと地盤との
間に形成される注入空間に地盤改良材を注入するための
吐出口を有する複数の注入管と、パッカーを膨張させる
ための流体を各パッカーへ個別に供給する複数の独立し
た膨張流体供給路と、各注入管へ地盤改良材を個別に供
給する複数の独立した地盤改良材供給路とを備える。
【0011】また、本発明に係る地盤改良材の注入工法
は、上記注入装置を地盤の掘削孔に挿入し、膨張流体供
給路から流体を供給して当該供給路に対応するパッカー
を膨張させた後、地盤改良材供給路から当該供給路に対
応する注入管へ地盤改良材を供給し、膨張したパッカー
と地盤との間に形成された注入空間に注入管の吐出口か
ら地盤改良材を注入し、注入された地盤改良材を地盤へ
浸透させて硬化させるものである。
【0012】このようにすることで、複数箇所へ地盤改
良材を同時に注入できるとともに、注入管と地盤との間
に広い注入空間が形成されて、この注入空間に注入され
た地盤改良材は広い接触面積で直接地盤と接してすみや
かに浸透し、とくに地盤が砂礫層の場合には短時間で浸
透する。このため、地盤を崩すことなく注入空間に大量
の地盤改良材を注入することが可能となり、注入速度を
大幅に上げることができる。
【0013】また、本発明では各パッカーへの膨張流体
供給路が独立しているので、たとえば1つおきにパッカ
ーを膨張させることにより、注入空間をより広く確保し
て注入速度を一層上げることが可能となる。さらに、本
発明では注入管への地盤改良材供給路も独立していて、
各注入空間へ個別に地盤改良材を注入することができる
ため、たとえば砂礫層のみを対象として地盤改良材を注
入したり、あるいは各層の地質に見合った注入条件で地
盤改良材を注入することが可能となる。
【0014】また、本発明の注入装置では、パッカーの
内部に膨張流体供給用のホースおよび地盤改良材供給用
のホースが挿通されるフレキシブルパイプを設けるとと
もに、注入管をフレキシブルストレーナで形成すること
が好ましい。こうすることにより、フレキシブルパイプ
によってパッカー膨張時の内圧から各ホースを保護でき
るとともに、装置全体に可撓性が付与されて巻取りが可
能となる。
【0015】また、本発明の注入装置では、パッカーの
本体を布などの液体透過性を有する材質で形成すること
が好ましい。こうすることにより、地盤改良材の注入に
先立って、パッカーの内部に硬化時間の比較的短い浸透
性注入材を注入してパッカーを膨張させ、この注入材を
パッカー本体を通して地盤へ浸透させ硬化させること
で、その後に注入する地盤改良材が未注入箇所へ拡散浸
透するのを防止することができる。この場合、パッカー
から注入材が滲み出す方向を規制するために、パッカー
本体の両側部にゴム引きなどの止水加工を施すことが好
ましい。
【0016】また、本発明の注入装置では、注入管を周
面に多数の吐出口を有するストレーナから構成し、吐出
口を覆うメッシュシートを設けることが好ましい。こう
することにより、ストレーナの吐出口を通して砂などが
侵入するのを、メッシュシートにより阻止することがで
きる。
【0017】また、本発明の注入工法においては、地盤
改良材として耐久性を備えた高浸透性の薬液を用い、こ
れを低圧注入により注入することが好ましい。こうする
ことにより、液圧で地盤を崩壊させることなく、地盤改
良材をより高速で地盤へ浸透させることができ、施工効
率が飛躍的に向上するとともに、地盤強度も一層強化さ
れる。
【0018】また、本発明の注入工法では、膨張流体供
給路から硬化時間の比較的短い浸透性注入材をパッカー
の内部に注入して当該パッカーを膨張させ、この注入材
をパッカー本体を通して地盤へ浸透させて硬化させた
後、注入空間に地盤改良材を注入することが好ましい。
こうすることにより、その後に注入する地盤改良材が他
の未注入領域へ侵入するのを、先の注入材の硬化層で阻
止することができる。
【0019】また、本発明の注入工法では、上記のよう
に浸透性注入材をパッカーの内部に注入して地盤へ浸透
させた後、膨張流体供給路から懸濁液型注入材をパッカ
ー内部に注入して硬化させることが好ましい。こうする
ことにより、パッカーは内部に注入材が充填されて地盤
と強固に密着するため、注入空間に注入された地盤改良
材が隣の注入空間に漏出するのを防止することができ
る。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態につき、
図を参照しながら説明する。図1は本発明に係る地盤改
良材の注入装置を示す図であり、(a)は正面断面図、
(b)は側面断面図である。図において、1は所定間隔
をおいて設けられた膨張自在なパッカー、2はパッカー
1の間に設けられた地盤改良材の注入管であり、これら
は交互に複数個設けられている。パッカー1は本体3を
備えており、この本体3は両端部において、それぞれカ
シメリング4a,4bによって固定具5a,5bにカシ
メ固定されている。なお、本体3は液体透過性を有する
材質からなり、ここでは布を用いているが、必ずしも布
に限られるものではなく、皮、ゴム、ビニール等に小径
の穴を設けて液体透過性を付与したものを用いてもよ
い。また、固定具5a,5bはプラスチックなどの樹脂
で形成されているが、これに代えて金属により形成して
もよい。
【0021】パッカー1の内部には、パッカー1を膨張
させるための流体を供給するホース6と、注入管2へ地
盤改良材を供給するためのホース7とが収納されてお
り、これらのホース6,7は可撓性の樹脂材料からなる
フレキシブルパイプ12の内部に挿通されている。フレ
キシブルパイプ12の両端部は、カシメリング13によ
って固定具5a,5bに固定されている。
【0022】注入管2は、地盤改良材を注入するための
多数の吐出口22を周面に有するフレキシブルストレー
ナ20と、このフレキシブルストレーナ20の外周に装
着されたメッシュシート23とを備え、これらは両端部
においてカシメリング21a,21bにより固定具5
a,5bに固定されている。フレキシブルストレーナ2
0は、フレキシブルパイプ12と同様に可撓性の樹脂材
料からなり、これによって全体がフレキシブルな装置と
なって、巻取りが可能となる。メッシュシート23は、
土中の砂などが内部に侵入しない程度の網目状の細孔が
形成された薄い樹脂材料からなる。この注入管2の内部
には、パッカー1内のホース6,7と連通するホース
6,7が収納されている。
【0023】ホース6およびホース7は、図1(b)に
示すように、1つのパッカー1および注入管2の内部に
それぞれ複数本が収納されており、ホース6は各パッカ
ー1に対応して設けられていて、対応するパッカー1へ
流体を個別に供給できるように、各ホース6は独立した
ものとなっている。一方、ホース7も各注入管2に対応
して設けられていて、対応する注入管2へ地盤改良材を
個別に供給できるように、各ホース7は独立したものと
なっている。
【0024】図1(a)に示すように、パッカー1の内
部のホース6は、一端が固定具5a、他端が固定具5b
にそれぞれ支持され、固定具5aに形成された通路6a
と接続されているとともに、固定具5bに形成された通
路6bと接続されている。また、ホース7も一端が固定
具5a、他端が固定具5bにそれぞれ支持され、固定具
5aに形成された通路7aと接続されているとともに、
固定具5bに形成された通路7bと接続されている。こ
のような構造によると、パッカー1の長さを地質に合わ
せて製造段階で自由に調節することができる。
【0025】一方、注入管2の内部のホース6は、一端
が固定具5b、他端が固定具5aにそれぞれ支持され、
固定具5bに形成された通路6bと接続されて、パッカ
ー1の内部のホース6と連通しているとともに、固定具
5aに形成された通路6aと接続されている。また、注
入管2の内部のホース7も、一端が固定具5b、他端が
固定具5aにそれぞれ支持され、固定具5bに形成され
た通路7bと接続されて、パッカー1の内部のホース7
と連通しているとともに、固定具5aに形成された通路
7aと接続されている。このような構造によると、注入
管2の長さ、したがってパッカー1の間隔を地質に合わ
せて製造段階で自由に調節することができる。
【0026】このようにして、ホース6と通路6a,6
bとによって膨張流体供給路が形成され、ホース7と通
路7a,7bとによって地盤改良材供給路が形成され
る。そして、固定具5aにおける通路6aの1つは、そ
の端部にパッカー1の内部空間9と連通する開口8を有
しており、当該パッカー1と対応するホース6および通
路6a,6bから供給される膨張用流体が開口8から内
部空間9に送り込まれて、パッカー1が膨張するように
なっている。したがって、複数のパッカー1は、それぞ
れに対応して独立して設けられた膨張流体供給路から供
給される流体によって、個別に膨張させることができ
る。この場合、ホース6,7は、フレキシブルパイプ1
2によってパッカー1の内圧から保護される。なお、通
路6aの開口8の手前には、逆流防止弁10が設けられ
ている。
【0027】一方、固定具5bにおける通路7bの1つ
は、その端部に注入管2の内部空間24と連通する開口
11を有しており、当該注入管2と対応するホース7お
よび通路7a,7bから供給される地盤改良材が開口1
1から内部空間24に送り込まれて、吐出口22から吐
出されるようになっている。したがって、複数の注入管
2は、それぞれに対応して独立して設けられた地盤改良
材供給路から供給される地盤改良材を、個別に吐出させ
ることができる。
【0028】次に、以上の構成からなる注入装置を用い
て地盤改良工事を行なう場合の注入工法について説明す
る。図2は、本発明に係る注入工法の一例を示す工程図
である。まず、図2(a)のように、地盤30にボーリ
ングにより形成した掘削孔31に、図1の注入装置を縦
方向に挿入する。なお、32は前述したホース6,7が
挿通されているパイプである。ここでは、地盤30が砂
礫層からなるため、掘削孔31を形成するには、ケーシ
ングパイプ(図示省略)を用いたボーリングが好まし
い。掘削孔31の深さはたとえば15m〜20m、孔径
はたとえば12cm程度である。
【0029】次に、パイプ32の外部からホース6を通
して注入材を供給すると、図3に示すように、注入材3
3は、開口8からパッカー1の内部へ注入されて充填さ
れ、これによってパッカー1が膨張する。ここでは、注
入材として硬化時間(ゲルタイム)の比較的短い浸透性
注入材を供給する。このような注入材としては、たとえ
ば水ガラス系やシリカゾル系もしくはシリカ系の注入材
などが用いられる。なお、開口8の手前には逆流防止弁
10を設けてあるので、パッカー1の内部に充填された
注入材33が逆流することはない。また、崩壊の危険が
大きい地盤の場合は、ケーシングパイプを引抜きなが
ら、順次パッカー1を膨張させることにより、地盤の崩
壊を防止することができる。
【0030】注入材33が充填されてパッカー1が膨張
すると、図2(b)のようにパッカー1は掘削孔31の
内面に密着し、隣り合うパッカー1,1の間に、後述す
る地盤改良材が注入される注入空間37が形成される。
また、前述のようにパッカー1の本体3は布製であるた
め、図3に示すように、地盤と接する部分において充填
された注入材33が本体3を通して滲み出す。滲み出し
た注入材33は、図2(b)のように地盤30の砂礫層
に浸透してゆく。この場合、注入材33は硬化時間が短
く、数分程度で硬化するので、パッカー1の周囲にはご
く短時間で注入材33の硬化層が形成される。この硬化
層は、浸透径がたとえば0.5m〜1mであり、後述す
る地盤改良材の他領域への侵入を防ぐ役割を果たす。
【0031】好ましい実施形態としては、上記に続いて
パイプ32の外部からホース6を通して懸濁液型注入材
を供給し、図4に示すように、この注入材35を開口8
からパッカー1の内部へ注入し充填する。このような懸
濁液型注入材35としては、たとえば水ガラスとセメン
ト懸濁液との混合液であるLW(Labires Wasserglas)
が推奨される。LWの硬化時間は30秒〜3分程度であ
るから、パッカー1の内部へ充填された注入材35は短
時間で硬化する。ここで、注入材35にはセメントが混
合されているため、パッカー1の本体3の布地がセメン
トにより目詰まりされ、水ガラスが布地を通して滲出す
るのを防止することができる。このようにして注入材3
5が充填されたパッカー1は、掘削孔31の内壁に圧着
して隣り合う注入空間37を相互に遮蔽するとともに、
地盤30を補強する機能も併せ持つ。
【0032】次に、パイプ32の外部からホース7を通
して地盤改良材を供給し、これを図1の通路7bを介し
て開口11から注入管2の内部空間24へ送り込み、こ
れをフレキシブルストレーナ20の吐出口22からメッ
シュシート23を通して吐出させ、注入空間37に注入
する。この場合、すべての注入空間37に同時に地盤改
良材を注入してもよいが、こうすると、地盤30内の水
圧が上がりすぎて地盤30が持ち上がることがあるの
で、図2(c)のように、注入空間37へはたとえば1
つおきに地盤改良材を注入するのが好ましい。注入空間
37へ注入された地盤改良材は、パッカー1が隔壁とな
って隣の注入空間37への漏出が防止される。
【0033】地盤改良材としては、硬化時間の長い溶液
型水ガラス系やシリカゾル系、あるいは超微粒子シリカ
系のような耐久性を備えた高浸透性の薬液を用いるのが
好ましい。
【0034】注入空間37に注入された薬液34aは、
図2(c)のように地盤30の砂礫層に浸透してゆく。
ここで、注入空間37には図7のようなシール材112
が存在せず、また、注入空間37の上下寸法はたとえば
0.75m〜1m程度に設定できるので、注入空間37
に注入された薬液34aは広い接触面積で直接地盤30
と接し、しかも高浸透性を有することから、薬液34a
はすみやかに地盤30に浸透する。
【0035】したがって、従来のように薬液34aを高
圧で噴射させる必要がなく、低圧注入(圧力は従来工法
の1/3〜1/2)により浸透させることができるた
め、地盤30が崩壊するおそれがない。また、薬液34
aの浸透速度が速いために、注入空間37を広く確保し
て大量の薬液34aを注入でき、これによって注入速度
を大幅に上げることができる。しかも、複数の注入空間
37へ同時に薬液34aを注入できるため、注入速度の
高速化と相俟って施工効率が大幅に向上する。
【0036】続いて必要により、薬液が未注入の残りの
注入空間37に、薬液34aと同じ薬液34bを上記と
同様に注入する。ここで、先に注入された薬液34aが
薬液未注入の空間37の周囲へ侵入して硬化すると、後
から注入する薬液34bの浸透が阻害されるが、図2
(c)のようにパッカー1の周囲には注入材33の硬化
層が存在するので、この硬化層により薬液34aの未注
入領域への侵入を阻止することができる。
【0037】後から注入された薬液34bは、先の薬液
34aと同様に図2(d)のように地盤30内に浸透し
てゆき、薬液34a,34b(まとめて34で表す)は
最終的に、図2(e)のように掘削孔31の周囲の広い
範囲まで浸透して硬化する。これによって、地盤30の
砂礫層は薬液34で固められ強化される。そして、薬液
34は耐久性があり長期にわたって劣化することがない
ため、液状化対策に大きな威力を発揮する。
【0038】また、薬液34は浸透性に優れているため
に、地盤30内への浸透径が従来工法の場合の数倍程度
になり、この結果、掘削孔31の数を大幅に減らすこと
ができる。したがって、個々の掘削孔31における注入
速度の高速化に加えて、掘削作業の時間が短縮される結
果、工事全体の施工効率が飛躍的に向上し、工費も著し
く低減することができる。
【0039】なお、図2ではすべてのパッカー1を膨張
させているが、地盤30が均一な層である場合には、た
とえば1つおきにパッカー1を膨張させてもよい。この
ようにすれば、注入空間37がより広くなって注入速度
を一層上げることができる。
【0040】また、図2では地盤30が単一の砂礫層か
らなる場合を例に挙げたが、地盤30が複数種の層から
構成されている場合にも、本発明は有用である。すなわ
ち、本発明の注入装置では、各注入空間37へ独立して
薬液を注入することができるため、たとえば砂礫層のみ
を対象として薬液を注入したり、あるいは各層の地質に
見合った注入条件(薬液の種類、注入速度、注入圧力
等)で薬液を注入したりすることが可能となる。
【0041】図5は、上述した工法で用いるパッカーの
他の実施形態を示しており、(a)は正面図、(b)は
断面図である。ここでは、パッカー1の布製本体3の両
側部に、ゴム36a、36bをコーティングすることに
より止水加工を施してある。このような構造にすれば、
パッカー1に充填した注入材33は、地盤30と接する
部分だけから滲み出すので、注入材33を無駄なく地盤
30に浸透させることができる。なお、止水加工として
は、上記のようなゴム引きに代えて、樹脂をコーティン
グしてもよい。あるいは、これらに代えて、パッカー1
の両側部を樹脂材料で形成し、中間部のみを布で形成し
てもよい。
【0042】図6は、本発明に係る注入工法の他の実施
形態を示す工程図である。以下、この工法につき説明す
る。まず、図6(a)のように、地盤30にボーリング
により形成した掘削孔31に、図1の注入装置を縦方向
に挿入する。これは図2(a)の場合と同じである。次
に、パッカー1内へ膨張流体供給路から圧縮空気やガス
等の気体を送り込んで、図6(b)のようにパッカー1
を膨張させる。本実施形態の場合は、パッカー1の内部
に図2の場合のような注入材が充填されないので、パッ
カー1の本体はゴムや樹脂から形成される。したがっ
て、パッカー1の周囲には図2(b)のような注入材3
3の硬化層は形成されないが、各注入空間37へ薬液を
同時に注入する場合や、薬液がある程度粘性を有してい
て他領域に侵入するおそれのない場合には、硬化層がな
くても支障はない。
【0043】次に、注入管2の吐出口22から注入空間
37へ薬液34(図2の場合と同じもの)を注入する
と、注入された薬液34は図6(c)のように地盤30
に浸透してゆき、図6(d)のように掘削孔31の周囲
の広い範囲まで浸透して硬化する。なお、ここでは薬液
34を各空間37へ同時に注入する場合を示している
が、薬液34は必要な注入空間37のみに注入すること
も勿論可能である。以上のような工法においても、複数
の注入空間37への同時注入が可能であることや、薬液
34が高浸透性を有することなどから、注入速度を上げ
て施工効率を大幅に向上させることができる。
【0044】本発明は上述した実施形態のみに限定され
るものではなく、他にも種々の形態を採用することがで
きる。たとえば、上記実施形態においては、膨張流体供
給路をホース6と通路6a,6bとを順次つなぐことに
より構成したが、これに代えて、各供給路を1本の長い
ホースだけで構成してもよい。また、同様に地盤改良材
供給路についても、ホース7と通路7a,7bを順次つ
なぐことに代えて、各供給路を1本の長いホースだけで
構成することができる。このように供給路をホースだけ
で構成した場合には、図1の固定具5a,5bの中を複
数のホースが通ることになるが、パッカー1と注入管2
との間を遮蔽するために、ホースの挿通部分をエポキシ
樹脂等で固めて封止するのが好ましい。
【0045】また、図2および図6では、垂直にボーリ
ングを行なって掘削孔31を形成する場合を示したが、
タンクなどの既設構造物の直下の液状化対策を行なう際
には、構造物の側方から斜めにボーリングを行なって掘
削孔31を形成するとよい。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、複数箇所へ同時に地盤
改良材を注入できることに加えて、注入管と地盤との間
に広い注入空間が確保され、注入された地盤改良材は広
い接触面積で直接地盤と接してすみやかに浸透するた
め、注入空間に大量の地盤改良材を注入することが可能
となり、注入速度を大幅に上げることができる。
【0047】また、膨張流体の供給路が独立しているの
で、必要なパッカーのみを膨張させることで注入空間を
より広く確保し、注入速度を一層上げることが可能とな
る。加えて、地盤改良材の供給路も独立しているため、
各注入空間へ個別に地盤改良材を注入することができ、
任意の領域に任意の注入条件で地盤改良材を注入するこ
とが可能となる。
【0048】さらに、地盤改良材として耐久性を備えた
高浸透性の薬液を低圧で注入することにより、地盤を崩
壊させることなく地盤改良材をより高速で地盤へ浸透さ
せることができる。この結果、地盤改良材の浸透径が大
きくなって掘削孔の数を減らすことができ、施工効率が
飛躍的に向上するとともに、地盤の強度も一層強化され
て確実な液状化対策を講じることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る地盤改良材の注入装置を示す断面
図である。
【図2】本発明に係る地盤改良材の注入工法を示す工程
図である。
【図3】浸透性注入材が充填されたパッカーの断面図で
ある。
【図4】懸濁液型注入材が充填されたパッカーの断面図
である。
【図5】パッカーの他の実施形態を示す図である。
【図6】本発明に係る注入工法の他の実施形態を示す工
程図である。
【図7】従来の注入工法の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 パッカー 2 注入管 3 パッカーの本体 6,7 ホース 6a,6b,7a,7b 通路 12 フレキシブルパイプ 20 フレキシブルストレーナ 22 吐出口 23 メッシュシート 30 地盤 31 掘削孔 33 浸透性注入材 34 薬液(地盤改良材) 35 懸濁液型注入材 36a,36b ゴム 37 注入空間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 史士 大阪府大阪市阿倍野区松崎町2丁目2番2 号 株式会社奥村組内 (72)発明者 神出 明 大阪府大阪市天王寺区餌差町7番6号 株 式会社大阪防水建設社内 (72)発明者 谷室 裕久 大阪府大阪市天王寺区餌差町7番6号 株 式会社大阪防水建設社内 Fターム(参考) 2D040 AA00 AB01 AC03 BB03 CA02 CA10 CB03 CC02 DA01 DA02 DA05 DA11 DA12 DA13 DC02

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定間隔をおいて設けられた膨張自在な複
    数のパッカーと、これらのパッカー間に設けられ、膨張
    したパッカーと地盤との間に形成される注入空間に地盤
    改良材を注入するための吐出口を有する複数の注入管
    と、パッカーを膨張させるための流体を各パッカーへ個
    別に供給する複数の独立した膨張流体供給路と、各注入
    管へ地盤改良材を個別に供給する複数の独立した地盤改
    良材供給路とを備えたことを特徴とする地盤改良材の注
    入装置。
  2. 【請求項2】パッカーの内部に膨張流体供給用のホース
    および地盤改良材供給用のホースが挿通されるフレキシ
    ブルパイプを設けるとともに、注入管をフレキシブルス
    トレーナで形成した請求項1に記載の地盤改良材の注入
    装置。
  3. 【請求項3】パッカーの本体が液体透過性を有する材質
    からなる請求項1または2に記載の地盤改良材の注入装
    置。
  4. 【請求項4】パッカー本体の両側部に止水加工を施した
    請求項3に記載の地盤改良材の注入装置。
  5. 【請求項5】注入管は周面に多数の吐出口を有するスト
    レーナからなり、吐出口を覆うメッシュシートが設けら
    れている請求項1または2に記載の地盤改良材の注入装
    置。
  6. 【請求項6】請求項1に記載の注入装置を地盤の掘削孔
    に挿入し、膨張流体供給路から流体を供給して当該供給
    路に対応するパッカーを膨張させた後、地盤改良材供給
    路から当該供給路に対応する注入管へ地盤改良材を供給
    し、膨張したパッカーと地盤との間に形成された注入空
    間に注入管の吐出口から地盤改良材を注入し、注入され
    た地盤改良材を地盤へ浸透させて硬化させることを特徴
    とする地盤改良材の注入工法。
  7. 【請求項7】地盤改良材が耐久性を備えた高浸透性の薬
    液であって、低圧注入により注入される請求項6に記載
    の地盤改良材の注入工法。
  8. 【請求項8】膨張流体供給路から硬化時間の比較的短い
    浸透性注入材をパッカーの内部に注入して当該パッカー
    を膨張させ、この注入材をパッカー本体を通して地盤へ
    浸透させ硬化させた後、前記注入空間に地盤改良材を注
    入する請求項6または7に記載の地盤改良材の注入工
    法。
  9. 【請求項9】浸透性注入材をパッカーの内部に注入して
    地盤へ浸透させた後、膨張流体供給路から懸濁液型注入
    材をパッカー内部に注入して硬化させる請求項8に記載
    の地盤改良材の注入工法。
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