JP2006299758A - 地盤の透水性を低下させる方法および注入管装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】砂地盤又は砂礫地盤の湧水防止又は軟弱地盤の改良を目的として地盤の透水性を低下させる方法、換言すれば低透水層を形成する方法、および同方法の実施に使用される注入管装置を提供する。
【解決手段】注入管装置2は、2種類の溶液X、Yを別々に送給する2本の注入管10、11及び注入孔18を上下に仕切る仕切り手段6を備え、仕切り手段6により上下に仕切られた注入区間7A〜7Dから地盤中へ2種類の溶液X、Yを互い違いの順列で注入する構成とする。注入孔18内へ設置した注入管装置2は、仕切り手段6で注入孔18を上下方向に注入区間7A〜7Dに仕切った後に、各注入区間7A〜7Dから地盤中へ2種類の溶液X、Yを互い違いの順列でそれぞれ水平方向に注入させる。2種類の溶液X、Yを地盤1内で混合させ反応させて地盤中に微細で水に難溶性の析出物8を複数層発生させ地盤の透水性を低下させる。
【選択図】図1
Description
上記の特許文献3に開示された止水方法は、2種類以上の水溶液を別々に地盤内へ注入する点を注目できるが、注入手段については具体的な記載は一切されていない。
本発明の次の目的は、地盤内に微細で水に難溶性の析出物を上下に複数層発生させて複合化し、地盤の透水性を低下させる層を実質大厚に形成し、もって低透水層の上下に水圧差を生じて局所的な動水勾配が作用した場合でも、圧力に対する耐久性(耐圧性)が大きく安定な低透水層を造成する方法、及び同方法の実施に使用する注入管装置を提供することである。
地盤1中に注入孔18を掘削し、前記注入孔18へ注入管装置2を挿入して設置し、地上から前記注入管装置2を通じて2種類の溶液X、Yを別々に注入し、注入した前記2種類の溶液X、Yを地盤内で混合させ反応させて地盤1中に微細で水に難溶性の析出物8を発生させ地盤の透水性を低下させる方法において、
前記注入管装置2は、2種類の溶液X、Yを別々に送給する2本の注入管10、11及び注入孔18を上下に仕切る複数の仕切り手段6を備え、前記仕切り手段6により上下に仕切られた複数の注入区間7A〜7Dから地盤中へ2種類の溶液X、Yを互い違いの順列で注入する構成とし、
注入孔18内へ設置した注入管装置2は、前記仕切り手段6で注入孔18を上下方向に複数の注入区間7A〜7Dに仕切った後に、各注入区間7A〜7Dから地盤中へ2種類の溶液X、Yを互い違いの順列でそれぞれ水平方向に注入させ、
前記2種類の溶液X、Yを地盤1内で混合させ反応させて地盤中に微細で水に難溶性の析出物8を複数層発生させ地盤の透水性を低下させることを特徴とする。
地盤1中に一定の間隔を空けて注入孔18と揚水孔を掘削し、前記注入孔18へは注入管装置2を挿入し、揚水孔へは揚水管装置3を挿入してそれぞれ設置し、地上から前記注入管装置2を通じて2種類の溶液X、Yを別々に注入し、他方の揚水管装置3で地下水を揚水し地盤中に局所的な動水勾配θを形成して地下水流れを生じさせ、注入した前記2種類の溶液X、Yを地盤1内で混合させ反応させて地盤中に微細で水に難溶性の析出物8を発生させ地盤の透水性を低下させる方法において、
前記注入管装置2は、2種類の溶液X、Yを別々に送給する2本の注入管10、11及び注入孔18を上下に仕切る複数の仕切り手段6を備え、前記仕切り手段6により上下に仕切られた複数の注入区間7A〜7Dから地盤1中へ2種類の溶液X、Yを互い違いの順列で注入する構成とし、
注入孔18内へ設置した注入管装置2は、前記仕切り手段6で注入孔18を上下方向に複数の注入区間7A〜7Dに仕切った後に、各注入区間7A〜7Dから地盤1中へ2種類の溶液X、Yを互い違いの順列でそれぞれ水平方向に注入させ、
揚水孔内へ設置した揚水管装置3で、地盤1中の地下水を揚水して地盤中に局所的な動水勾配θを形成し地下水流れを生じさせ、
地盤1中へ注入した前記2種類の溶液X、Yを地盤内で混合させ反応させて地盤1中に微細で水に難溶性の析出物8を複数層発生させ地盤の透水性を低下させることを特徴とする。
地盤中へ注入する2種類の水溶液X、Yは、+2価又は+3価の鉄イオンを含む水溶液と、これを酸化させる水溶液であることを特徴とする。
地盤中へ注入する2種類の水溶液X、Yは、硫酸第1鉄水溶液(溶存鉄)と過マンガン酸カリウム水溶液(酸化剤)であることを特徴とする。
地盤1中に掘削した注入孔18へ挿入して2種類の溶液X、Yを別々に注入し、前記2種類の溶液X、Yを地盤内で混合させ反応させて地盤1中に微細で水に難溶性の析出物8を発生させ地盤の透水性を低下させる注入管装置であって、
地盤1中へ注入する2種類の溶液X、Yを別々に送給し地盤内へ注入する2本の注入管10、11と、仕切り手段6としてのパッカーゴム6cを膨脹させる1本の給水圧管12とを主要部とし、
前記パッカーゴム6cの取り付け位置には、前記各管の外周を覆うパッカーシリンダ6aと、各管を貫通させて固定するシリンダヘッド6bを備え、前記パッカーシリンダ6aの外周にパッカーゴム6cが注入孔18の孔壁に向かって膨脹可能に取り付けられており、パッカーシリンダ6a内を通る前記給水圧管12と接続されていること、
前記2本の注入管10、11には、前記パッカーシリンダ6a及びパッカーゴム6cから成る仕切り手段6で仕切られた注入区間7A〜7Dの位置毎に、2種類の溶液X、Yのいずれか一方の注入管10又は11にのみ、且つ上下に異なる注入区間の位置毎に異なる注入管に複数の注入口13…が上下方向に分布する配置で設けられ、各管の先端は閉止されていることをそれぞれ特徴とする。
また、上下に仕切られた複数の注入区間7A〜7Dに対して2種類の溶液X、Yを互い違いの順列で注入するので、中間の注入区間に注入した溶液はその上下の注入区間に注入した異種の溶液と混合、反応する機会、度合いが高く、その分地盤1内へ注入した2種類の溶液X、Yの接触効率が高まる。よって混合、反応することのないまま地盤中へ浸透し残留する溶液量の割合はぐんと低減し、相対的に地盤の透水性を低下させるために必要な溶液の注入量を節減できる。
注入孔18内へ設置した注入管装置2は、前記仕切り手段6で注入孔18を上下方向に複数の注入区間7A〜7Dに仕切った後に、各注入区間7A〜7Dから地盤1内へ2種類の溶液X、Yを互い違いの順列でそれぞれ水平方向に注入して、前記2種類の溶液X、Yを地盤中で混合させ反応させて地盤1内に微細で水に難溶性の析出物8を複数層発生させ地盤1の透水性を低下させる。
地盤1中へ注入する2種類の溶液X、Yを別々に送給し地盤内へ注入する2本の注入管10、11と、仕切り手段6としてのパッカーゴム6cを膨脹させる1本の給水圧管12とを主要部とする。
前記パッカーゴム6cの取り付け位置には、前記各管の外周を覆うパッカーシリンダ6aと、各管を貫通させて固定するシリンダヘッド6bを備え、前記パッカーシリンダ6aの外周にパッカーゴム6cが注入孔18の孔壁に向かって膨脹可能に取り付け、該パッカーゴム6cはパッカーシリンダ6a内を通る前記給水圧管12と接続する。
前記2本の注入管10、11には、前記パッカーシリンダ6aおよびパッカーゴム6cから成る仕切り手段6で仕切られる注入区間の位置毎に、2種類の溶液のいずれか一方の注入管にのみ、且つ上下に異なる注入区間7A〜7Dの位置毎に異なる注入管10又は11に複数の注入口13を上下方向に分布する配置で設け、各管10、11、12の先端は閉止する。
図1は、請求項2に係る発明の実施例として、施工対象地盤1中に一定の間隔Lをあけて注入管装置2(いわゆるリチャージ井戸)と揚水管装置3(揚水井戸)とを対の関係で設置した施工図を示している。
注入管装置2からは、第1の水溶液X(例えば硫酸第1鉄水溶液)と第2の水溶液Y(例えば過マンガン酸カリウム水溶液)の2種類を、それぞれ後述する別異の注入管および注入ポンプ4を使用して(又は注入ポンプを使用することなく重力作用で)別々に注入する。他方の揚水管装置3からは揚水ポンプ5により地下水の揚水を行い、もって地盤中の地下水に局所的な動水勾配θを生じさせ、前記2種類の水溶液X、Yの地盤中への浸透と混合、反応を促進することは上記特許文献4、5の発明と同様である。
但し、本発明に係る地盤の透水性を低下させる方法は、図1のように、注入管装置2(リチャージ井戸)と揚水管装置3(揚水井戸)とを対の関係で設置して実施する内容に限らない。注入管装置2と揚水管装置3とを対の関係で設置して地盤中の地下水に局所的な動水勾配θを生じさせ、前記2種類の水溶液X、Yの浸透と混合、反応を促進することは好ましい実施態様であるが、実施の条件や目的によっては、注入管装置2のみを設置して、2種類の水溶液X、Yの注入を一方的に行う方法によっても、地盤の透水性を低下させる目的は達成できる(請求項1に係る発明)。
また、注入する2種類の水溶液としては、+2価又は+3価の鉄イオンを含む水溶液と、これを酸化させる水溶液の組合せ、具体的には硫酸第1鉄水溶液(溶存鉄)と過マンガン酸カリウム水溶液(酸化剤)を使用することができる。
先ず図3は、注入管装置2を構成する仕切り手段である合計5個のパッカー部6と、前記パッカー部6によって地盤の注入孔を上下方向に仕切る四つの注入区間7A〜7Dの関係、および2種類の溶液XとYを別々に送給する2本の注入管10、11との関連する構成の全体図を示す。一例として、一つのパッカー部6の長さは320mm、一つの注入区間7の長さは670mm程度で、前記長さを1ピッチとする繰り返しで構成されている。
図3はまた、上記2本の注入管10、11のうち、1本の注入管10は最下位の注入区間7Dに到達しているが、他の1本の注入管11は次上位の注入区間7Cで止まっている構成を示している。2種類の溶液XとYを注入する必要上の構成である。
上記一つの注入区間7には、いずれか1本の注入管10又は11にのみ、2種類の溶液XとYのうちの一方の溶液のみを注出する複数の注入口13…が、一例として口径が5mmの大きさで、管軸方向に25mmピッチで一列又は円周方向に複数列に分布する配置で多数設けられている。
上下に隣接するパッカー部6、6のシリンダ6a及びシリンダヘッド6bの間は、連結具としての連結環15aとスプリングスナップ15bを利用した連結ワイヤー16で一連に強固に連結されている。
しかる後に、注入管装置2の2本の注入管10、11を、2種類の溶液X、Yの供給源20、21(図1参照)と接続して、2種類の溶液X、Yを別々に注入してゆき、注入した前記2種類の溶液X、Yを地盤内で混合させ反応させて地盤中に微細で水に難溶性の析出物8を発生させ地盤の透水性を低下させる。
2 注入管装置
3 揚水管装置
X 第1の水溶液
Y 第2の水溶液
10、11 注入管
18 注入孔
6 仕切り手段(パッカー部)
7A〜7D 注入区間
6a シリンダ
6c パッカーゴム
13 注入口
Claims (5)
- 地盤中に注入孔を掘削し、前記注入孔へ注入管装置を挿入して設置し、地上から前記注入管装置を通じて2種類の溶液を別々に注入し、注入した前記2種類の溶液を地盤内で混合させ反応させて地盤中に微細で水に難溶性の析出物を発生させ地盤の透水性を低下させる方法において、
前記注入管装置は、2種類の溶液を別々に送給する2本の注入管、及び注入孔を上下に仕切る複数の仕切り手段を備え、前記仕切り手段により上下に仕切られた複数の注入区間から地盤中へ2種類の溶液を互い違いの順列で注入する構成とし、
注入孔内へ設置した注入管装置は、前記仕切り手段で注入孔を上下方向に複数の注入区間に仕切った後に、各注入区間から地盤中へ2種類の溶液を互い違いの順列でそれぞれ水平方向に注入させ、
前記2種類の溶液を地盤内で混合させ反応させて地盤中に微細で水に難溶性の析出物を複数層発生させ地盤の透水性を低下させることを特徴とする、地盤の透水性を低下させる方法。 - 地盤中に一定の間隔を空けて注入孔と揚水孔を掘削し、前記注入孔へは注入管装置を挿入し、揚水孔へは揚水管装置を挿入してそれぞれ設置し、地上から前記注入管装置を通じて2種類の溶液を別々に注入し、他方の揚水管装置で地下水を揚水し地盤中に局所的な動水勾配を形成して地下水流れを生じさせ、注入した前記2種類の溶液を地盤内で混合させ反応させて地盤中に微細で水に難溶性の析出物を発生させ地盤の透水性を低下させる方法において、
前記注入管装置は、2種類の溶液を別々に送給する2本の注入管、及び注入孔を上下に仕切る複数の仕切り手段を備え、前記仕切り手段により上下に仕切られた複数の注入区間から地盤中へ2種類の溶液を互い違いの順列で注入する構成とし、
注入孔内へ設置した注入管装置は、前記仕切り手段で注入孔を上下方向に複数の注入区間に仕切った後に、各注入区間から地盤中へ2種類の溶液を互い違いの順列でそれぞれ水平方向に注入させ、
揚水孔内へ設置した揚水管装置で、地盤中の地下水を揚水して地盤中に局所的な動水勾配を形成し地下水流れを生じさせ、
地盤中へ注入した前記2種類の溶液を地盤内で混合させ反応させて地盤中に微細で水に難溶性の析出物を複数層発生させ地盤の透水性を低下させることを特徴とする、地盤の透水性を低下させる方法。 - 地盤中へ注入する2種類の水溶液は、+2価又は+3価の鉄イオンを含む水溶液と、これを酸化させる水溶液であることを特徴とする、請求項1又は2に記載した地盤の透水性を低下させる方法。
- 地盤中へ注入する2種類の水溶液は、硫酸第1鉄水溶液(溶存鉄)と過マンガン酸カリウム水溶液(酸化剤)であることを特徴とする、請求項1又は2に記載した地盤の透水性を低下させる方法。
- 地盤中に掘削した注入孔へ挿入して2種類の溶液を別々に注入し、前記2種類の溶液を地盤内で混合させ反応させて地盤中に微細で水に難溶性の析出物を発生させ地盤の透水性を低下させる注入管装置であって、
地盤中へ注入する2種類の溶液を別々に送給し地盤内へ注入する2本の注入管と、仕切り手段としてのパッカーゴムを膨脹させる1本の給水圧管とを主要部とし、
前記パッカーゴムの取り付け位置には、前記各管の外周を覆うパッカーシリンダと、各管を貫通させて固定するシリンダヘッドを備え、前記パッカーシリンダの外周にパッカーゴムが注入孔の孔壁に向かって膨脹可能に取り付けられ、パッカーシリンダ内を通る前記給水圧管と接続されていること、
前記2本の注入管には、前記パッカーシリンダ及びパッカーゴムから成る仕切り手段で仕切られた注入区間の位置毎に、2種類の溶液のいずれか一方の注入管にのみ、且つ上下に異なる注入区間の位置毎に異なる注入管に複数の注入口が上下方向に分布する配置で設けられ、各管の先端は閉止されていることをそれぞれ特徴とする、注入管装置。
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