JP7224737B2 - 自動変速機のロックアップ制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両に搭載される自動変速機のロックアップ制御装置に関する。
従来、車両発進後の速度比(エンジン回転数に対するタービン回転数の比)が所定値以上になった時点でのロックアップ制御時に油圧学習を実行する。この油圧学習が所定回数実行されるまではスリップスタート制御の実行を禁止する。油圧学習が所定回数実行されてスリップスタート制御実行許可条件が成立すると、次回の車両発進時にスリップスタート制御を実行する、車両の制御装置が開示されている(特許文献1参照)。
特開2012-047254号公報
特許文献1に開示された装置にあっては、ロックアップクラッチのピストンストローク学習において、トルク、回転、トルク容量係数τが変化する過渡状態では、発進直後からのロックアップのシーンで学習を行えない場合がある。ピストンストローク学習を行えないとロックアップクラッチの締結時に挙動変化が発生したり、締結に時間がかかってしまったり、運転者に違和感を与える場合がある、という課題があった。
本発明は、上記課題に着目してなされたもので、ドライブロックアップ締結時において、クラッチ劣化を反映するドライブ学習値の補正により、ロックアップ締結時に運転者へ与える違和感を抑制することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、走行用駆動源と変速機構の間に配置されたトルクコンバータに有するロックアップクラッチと、ロックアップクラッチの締結/解放を制御するロックアップコントローラと、を備える。
この自動変速機のロックアップ制御装置において、ロックアップコントローラは、ドライブ学習制御部と、コースト学習制御部と、を備える。
ドライブ学習制御部は、走行用駆動源の駆動力が駆動輪に伝達されるドライブ状態のとき、ロックアップクラッチへの油圧が上昇している途中でクラッチ容量の発生を開始するミートポイントに基づいてドライブ学習値を取得する。
コースト学習制御部は、駆動輪からの駆動力で走行用駆動源が連れ回されるコースト状態のとき、ロックアップクラッチへの油圧が低下している途中でクラッチスリップの発生を開始するスリップポイントに基づいてコースト学習値を取得する。
ドライブ学習制御部は、コースト学習制御部からのコースト学習値により算出したロックアップクラッチの劣化代に基づき、ドライブ学習値を補正したドライブ学習補正値を取得する。
上記解決手段を採用したため、ドライブロックアップ締結時において、クラッチ劣化を反映するドライブ学習値の補正により、ロックアップ締結時に運転者へ与える違和感を抑制することができる。
実施例1のロックアップ制御装置が適用された自動変速機を搭載するエンジン車を示す全体システム図である。 自動変速機のロックアップ制御系を示す詳細構成図である。 ロックアップクラッチの詳細構成と学習結果を利用する対象であるロックアップピストンストローク中の棚圧指示値を示す説明図である。 ロックアップコントローラにて実行されるロックアップ制御処理の流れを示すフローチャートである。 背景技術での初期圧学習値を得るロックアップ学習制御処理で用いられるロックアップトルク推定値特性と実ロックアップトルク特性を示す対比特性図である。 背景技術でのロックアップクラッチのクラッチトルク容量の初期誤差と劣化後誤差を示す課題説明図である。 ドライブ学習収束時においてコースト学習値の劣化代を用いた劣化補正によるドライブ学習補正値を示すタイムチャートである。 ドライブ学習未収束時においてコースト学習値の劣化代を用いた劣化補正によるドライブ学習補正値を示すタイムチャートである。 アクセル開度の変化に対してロックアップピストンストローク中の棚圧指示値のOK幅を示す棚圧指示幅特性図である。 実施例1でのロックアップクラッチのクラッチトルク容量の初期誤差とF/T後誤差と劣化後誤差を示す効果説明図である。
以下、本発明の自動変速機のロックアップ制御装置を実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
実施例1のロックアップ制御装置は、前進9速・後退1速のギヤ段を有するシフト・バイ・ワイヤ及びパーク・バイ・ワイヤによる自動変速機を搭載したエンジン車(車両の一例)に適用したものである。以下、実施例1の構成を「全体システム構成」、「ロックアップ制御系の詳細構成」、「ロックアップ締結制御処理構成」に分けて説明する。
[全体システム構成(図1)]
エンジン車の駆動系には、図1に示すように、エンジン1と、トルクコンバータ2と、自動変速機3と、プロペラシャフト4と、駆動輪5と、を備えている。自動変速機3のトランスミッションケースには、変速のためのスプールバルブや油圧制御回路やソレノイドバルブ等により構成されるコントロールバルブユニット6が取り付けられている。
トルクコンバータ2は、エンジン1からの入力トルクを増幅する機能や伝達トルク変動を滑りにより吸収する機能を有する流体継手である。このトルクコンバータ2には、クラッチ締結によってエンジン1のクランク軸とギヤトレーン3aの入力軸を直結するロックアップクラッチ2aを内蔵する。
自動変速機3は、ギヤトレーン3aとパークギヤ3bとを内蔵する。ギヤトレーン3aは、複数のプラネタリギヤ列と摩擦要素を有し、複数の摩擦要素のうち締結要素の組み合わせにより前進9速・後退1速のギヤ段を達成する。パークギヤ3bは、ギヤトレーン3aの出力軸(=変速機出力軸)をギヤ噛み合いにより固定する。
コントロールバルブユニット6は、ソレノイドバルブとして、摩擦要素毎に設けられるクラッチソレノイド20と、油圧源からの油路に設けられるライン圧ソレノイド21、潤滑ソレノイド22、ロックアップソレノイド23を有する。これらのソレノイドバルブは何れも3方向リニアソレノイド構造であり、変速機コントロールユニット10からの制御指令を受けて調圧作動する。
エンジン車の電子制御系には、図1に示すように、変速機コントロールユニット10(略称:「ATCU」という。)と、エンジンコントロールモジュール11(略称:「ECM」という。)と、CAN通信線70と、を備える。ここで、変速機コントロールユニット10は、センサモジュールユニット71(略称:「USM」という。)からのイグニッション信号(IGN信号)によって起動/停止をする。
変速機コントロールユニット10は、コントロールバルブユニット6の上面位置に機電一体に設けられ、ユニット基板にメイン基板温度センサ31と、サブ基板温度センサ32と、を互いに独立性を担保しながら冗長系により備える。即ち、メイン基板温度センサ31とサブ基板温度センサ32は、センサ値情報を変速機コントロールユニット10に送信するが、周知の自動変速機ユニットとは異なり、オイルパン内で変速機作動油(ATF)に直接接触していない温度情報を送信する。この変速機コントロールユニット10は、他にロックアップ油圧センサ12、タービン回転センサ13、出力軸回転センサ14、第3クラッチ油圧センサ15からの信号を入力する。さらに、シフタコントロールユニット18、中間軸回転センサ19、等からの信号を入力する。
ロックアップ油圧センサ12は、ロックアップクラッチ2aのロックアップ油圧を検出し、ロックアップ油圧PLUを示す信号を変速機コントロールユニット10に送信する。タービン回転センサ13は、トルクコンバータ2のタービン回転数(=変速機入力軸回転数)を検出し、タービン回転数Ntを示す信号を変速機コントロールユニット10に送信する。出力軸回転センサ14は、自動変速機3の出力軸回転数を検出し、出力軸回転数No(=車速VSP)を示す信号を変速機コントロールユニット10に送信する。第3クラッチ油圧センサ15は、第3クラッチK3のクラッチ油圧を検出し、第3クラッチ油圧PK3を示す信号を変速機コントロールユニット10に送信する。
シフタコントロールユニット18は、運転者によるシフタ181へのセレクト操作により選択されたレンジ位置を判定し、レンジ位置信号を変速機コントロールユニット10に送信する。なお、シフタ181は、モーメンタリ構造であり、操作部181aの上部にPレンジボタン181bを有し、操作部181aの側部にロック解除ボタン181c(N→R時のみ)を有する。そして、レンジ位置として、Hレンジ(ホームレンジ)とRレンジ(リバースレンジ)とDレンジ(ドライブレンジ)とN(d),N(r)(ニュートラルレンジ)を有する。中間軸回転センサ19は、中間軸(インターミディエイトシャフト=第1キャリアC1に連結される回転メンバ)の回転数を検出し、中間軸回転数Nintを示す信号を変速機コントロールユニット10に送信する。
変速機コントロールユニット10では、ロックアップクラッチ2aの解放/スリップ締結/締結によるロックアップ制御を行う。さらに、図外の変速マップ上での車速VSPとアクセル開度APOによる運転点(VSP,APO)の変化を監視することで、
1.オートアップシフト(アクセル開度を保った状態での車速上昇による)
2.足離しアップシフト(アクセル足離し操作による)
3.足戻しアップシフト(アクセル戻し操作による)
4.パワーオンダウンシフト(アクセル開度を保っての車速低下による)
5.小開度急踏みダウンシフト(アクセル操作量小による)
6.大開度急踏みダウンシフト(アクセル操作量大による:「キックダウン」)
7.緩踏みダウンシフト(アクセル緩踏み操作と車速上昇による)
8.コーストダウンシフト(アクセル足離し操作での車速低下による)
と呼ばれる基本変速パターンによる変速制御を行う。
エンジンコントロールモジュール11は、アクセル開度センサ16、エンジン回転センサ17、等からの信号を入力する。
アクセル開度センサ16は、運転者のアクセル操作によるアクセル開度を検出し、アクセル開度APOを示す信号をエンジンコントロールモジュール11に送信する。エンジン回転センサ17は、エンジン1の回転数を検出し、エンジン回転数Neを示す信号をエンジンコントロールモジュール11に送信する。
エンジンコントロールモジュール11では、エンジン単体の様々な制御に加え、変速機コントロールユニット10との協調制御によりエンジントルク制限制御等を行う。変速機コントロールユニット10とは、双方向に情報交換可能なCAN通信線70を介して接続されているため、変速機コントロールユニット10から情報リクエストが入力されると、アクセル開度APOやエンジン回転数Neの情報を変速機コントロールユニット10に出力する。さらに、推定算出によるエンジントルクTeやタービントルクTtの情報を変速機コントロールユニット10に出力する。また、変速機コントロールユニット10から上限トルクによるエンジントルク制限要求が入力されると、エンジントルクを所定の上限トルクにより制限したトルクとするエンジントルク制限制御が実行される。
[ロックアップ制御系の詳細構成(図2、図3)]
自動変速機3のロックアップ制御系には、図2に示すように、ロックアップクラッチ2aと、ロックアップコントローラ100と、ロックアップソレノイド23と、を備えている。なお、以下の説明において「LU」とあるのは「ロックアップ」の略称である。
ロックアップクラッチ2aは、エンジン1(走行用駆動源)とギヤトレーン3a(変速機構)の間に配置されたトルクコンバータ2に有する多板摩擦クラッチである。このロックアップクラッチ2aは、図3に示すように、ロックアップピストン2bと、ロックアップ油室2cと、リターンスプリング2dとを有し、ロックアップ油室2cへのロックアップ油圧の供給によりストロークするロックアップピストン2bにより締結される。なお、ロックアップ油圧は、ロックアップコントローラ100からのロックアップ制御指示(締結指示/解放指示)にしたがってロックアップソレノイド23によって調圧される。
ロックアップコントローラ100は、タービン回転センサ13からのタービン回転数Nt、出力軸回転センサ14からの車速VSP、エンジンコントロールモジュール11からのアクセル開度APOやエンジントルクTeやエンジン回転数Ne、ロックアップ油圧センサ12からのロックアップ油圧PLU、等の情報を入力する。
ロックアップコントローラ100には、図2に示すように、初期ドライブ学習実施部101と、ドライブ学習制御部102と、コースト学習制御部103と、学習値記憶部104と、ロックアップ制御部105と、を有する。
ここで、「ドライブ学習」とは、エンジン1の駆動力が駆動輪5に伝達されるドライブ状態のとき、ロックアップクラッチ2aへの油圧が上昇している途中でクラッチ容量の発生を開始するミートポイントに基づいてドライブ学習値を取得する制御をいう。ドライブ学習実施条件としては、クラッチ解放条件、エンジントルク安定条件、スロットル開度条件、スロットル開度安定条件、油温条件、油量収支判定条件、等があり、これらの条件を全て満足するときにドライブ学習が実施される。なお、「ドライブ学習値」とは、ミートポイントが検知されたときのLU指示値、又は、LUピストンストローク値をいう。「ミートポイント」は、ロックアップ油圧センサ12からのロックアップ油圧PLUの変化特性を監視したとき、ロックアップ油圧PLUの急上昇が開始した点とする。
「コースト学習」とは、駆動輪5からの駆動力でエンジン1が連れ回されるコースト状態のとき、ロックアップクラッチ2aへの油圧が低下している途中でクラッチスリップの発生を開始するスリップポイントに基づいてコースト学習値を取得する制御をいう。コースト学習実施条件としては、クラッチ締結条件、アクセル開度ゼロ条件、フューエルカット条件、油温条件、油量収支判定条件、等があり、これらの条件を全て満足するときにコースト学習が実施される。なお、「コースト学習値」とは、スリップポイントが検知されたときのLU指示値、又は、LUピストンストローク値をいう。「スリップポイント」は、エンジン回転センサ17からのエンジン回転数Neとタービン回転センサ13からのタービン回転数Ntを監視し、Ne=Nt(ロックアップ状態)からNe<Nt(スリップ状態)へ移行した点とする。
初期ドライブ学習実施部101は、市場への出荷前に実施されるファイナルテスト(F/T)の際、ドライブ学習実施条件に設定し、ドライブ学習収束値を取得することが可能な学習経験回数によるドライブ学習を実施する。この初期ドライブ学習実施部101にて取得された初期ドライブ学習値は、ドライブ学習制御部102とコースト学習制御部103へ出力される。
ドライブ学習制御部102は、コースト学習制御部103からのコースト学習値により算出したコースト学習でのロックアップクラッチ2aの劣化代に基づき、ドライブ学習値を補正したドライブ学習補正値を取得する。ここで、ドライブ学習でのロックアップクラッチ2aの劣化代は、要求によりコースト学習制御部103から劣化補正値を入力し、入力した劣化補正値をドライブ学習への学習値変換処理することにより取得される劣化補正変換値とする。
ドライブ学習制御部102では、ドライブ学習値が収束したことを判定すると、収束判定後のドライブ学習収束値を劣化補正変換値により補正することで、ドライブ学習補正値を取得する。一方、ドライブ学習値が収束していないことを判定すると、コースト学習制御部103からの収束判定後のコースト学習収束値をドライブ学習への学習値変換処理することで、ドライブ学習補正値を取得する。
コースト学習制御部103は、コースト学習でのロックアップクラッチ2aの劣化代を、劣化後のコースト学習平均値から劣化前のコースト学習収束値を差し引いた劣化補正値とする。そして、劣化補正値の情報をドライブ学習制御部102へ出力する。なお、「劣化後のコースト学習平均値」は、収束したときの値を起点として、最新学習値の差分に重み(ゲイン)を掛けた値を、前回のコースト学習平均値に加算することで算出する。
コースト学習制御部103では、初期ドライブ学習実施部101から初期ドライブ学習値を入力すると、初期ドライブ学習値をコースト学習への学習値変換処理することで、初期コースト学習値を取得する。そして、初期ドライブ学習の実施中に、初期コースト学習値に基づいて劣化前のコースト学習収束値を取得する。
学習値記憶部104は、ドライブ学習制御部102にて算出されたドライブ学習補正値と、コースト学習制御部103にて算出されたコースト学習値を、最新の学習値情報に更新しながら記憶する。学習値記憶部104に記憶されているドライブ学習値とコースト学習値は、ロックアップ制御部105からの要求に応じて読み出される。
ロックアップ制御部105は、Dレンジでの1速発進時、ロックアップ解放状態で車速VSPが低車速域に設定したロックアップ開始車速になるとロックアップソレノイド23へのロックアップ締結指示の出力を開始する。そして、クラッチ差回転(エンジン回転数Neとタービン回転数Ntの回転数差)が大きいほど低下勾配が大きな目標スリップ回転変化率によって実スリップ量をゼロに向かって収束させるロックアップ収束制御を行う。このロックアップ収束制御において、図3に示すように、イニシャル圧指示値に続くロックアップピストンストローク中の棚圧指示値(例えば、ドライブ学習値-オフセット値)の大きさを決める情報としてドライブ学習値が用いられる。
なお、ロックアップ収束制御により実スリップ量がゼロに収束した後は、伝達トルク変動に対してスリップを許容しない完全締結状態にするのではなく、ロックアップクラッチ2aのスリップ量をゼロ(締結状態)に保つゼロスリップ制御を継続する。ここで、「ゼロスリップ制御」とは、ロックアップクラッチ2aの締結トルク容量を、入力トルクであるエンジントルクTeに一致させることで、エンジントルクTeを上限とするトルクをクラッチ締結状態で伝達する制御である。
即ち、Dレンジでの1速発進時に車速VSPが低車速域のロックアップ開始車速になるとクラッチ締結を開始し、クラッチ締結状態になるとギヤトレーン3aでのアップシフトやダウンシフトにかかわらずゼロスリップ制御を継続する。このように、ロックアップ締結の基本制御は、エンジン1の燃費性能を優先する制御である。そして、ロックアップクラッチ2aへの入力トルクが変動するギヤトレーン3aでの変速に対しては、ロックアップ解放により対応するのではなく、ゼロスリップ制御でのスリップ(クラッチ滑り)による対応で変速挙動変化を抑えるようにしている。
ロックアップ制御部105は、Dレンジでのアクセル足離し操作によるコースト減速中、ロックアップ締結状態で車速VSPが低車速域に設定したロックアップ解除車速になるとロックアップソレノイド23へのロックアップ解放指示の出力を開始する。このロックアップ解放制御において、ロックアップ解放圧指示値(例えば、コースト学習値+オフセット値)の大きさを決める情報としてコースト学習値が用いられる。
コースト容量を学習制御する目的は、ロックアップ解除応答性を向上させるため、コースト減速時(フューエルカット状態)において、ロックアップ油圧を可能な限り下げることにある。即ち、コースト時ロックアップ油圧は、工場出荷時の初期学習値(未学習)は高いが、ユーザによる普段乗りの中で学習が行われ、コースト時のエンジントルク(負トルク)と釣り合う容量のコースト時ロックアップ油圧まで下げられる。
このように、コースト時ロックアップ油圧を、初期学習値からコースト学習制御による学習値の更新を経験し、低いロックアップ油圧まで下げることで得られる性能効果としては、エンジンストールの防止(急減速時)、LU解除挙動変化の改善(緩減速時)、チップイン挙動変化の改善(コーストからの再加速時)等がある。
[ロックアップ締結制御処理構成(図4)]
図4に示すロックアップ締結制御処理は、ファイナルテストによる初期ドライブ学習が実施済みであり、市場でのイグニッションスイッチのオン操作によりスタートする。なお、市場でのバラツキや劣化補償のため、ドライブ学習実施条件が成立する毎に新たなドライブ学習補正値を取得するドライブ学習が実施され、コースト学習実施条件が成立する毎に新たなコースト学習値を取得するコースト学習が実施される。
ステップS1では、スタートに続き、ファイナルテストによる初期ドライブ学習にてドライブ学習値は収束したか否かを判断する。YES(ドライブ学習値は収束している)の場合はステップS2へ進み、NO(ドライブ学習値は収束していない)の場合はステップS6へ進む。
ステップS2では、S1でのドライブ学習値は収束しているとの判断に続き、コースト学習制御部103からコースト学習値の劣化補正値を入力し、ステップS3へ進む。ここで、「劣化補正値」は、コースト学習制御部103において、劣化後のコースト学習平均値から劣化前のコースト学習収束値を差し引いた値とされる。
ステップS3では、S2での劣化補正値の入力に続き、コースト学習による劣化補正値をドライブ学習による劣化補正値に変換する学習値変換処理により、劣化補正変換値を算出し、ステップS4へ進む。ここで、学習値変換処理では、例えば、予め実験等により決められたコースト学習値とドライブ学習値の変換特性を用いる。
ステップS4では、S3での劣化補正変換値の算出に続き、ドライブ学習値収束判断時のドライブ学習補正値を算出し、ステップS5へ進む。ここで、ドライブ学習値収束判断時のドライブ学習補正値は、ドライブ学習値=(ドライブ学習収束値-劣化補正変換値)の式を用いる。
ステップS5では、S4でのドライブ学習補正値の算出に続き、算出されたドライブ学習補正値をドライブ学習値として記憶更新し、ステップS8へ進む。
ステップS6では、S1でのドライブ学習値は収束していないとの判断に続き、コースト学習制御部103からコースト学習収束値を入力し、ステップS7へ進む。ここで、「コースト学習収束値」は、コースト学習制御部103において、ファイナルテストによる初期ドライブ学習にて算出される値で、劣化前のコースト学習収束値として設定されている。
ステップS7では、S6でのコースト学習収束値の入力に続き、ドライブ学習値未収束判断時のドライブ学習補正値を算出し、ステップS8へ進む。ここで、ドライブ学習値未収束判断時のドライブ学習補正値は、コースト学習収束値をドライブ学習収束値に変換する学習値変換処理により算出し、学習値変換処理では、例えば、予め実験等により決められたコースト学習値とドライブ学習値の変換特性を用いる。
ステップS8では、S7でのドライブ学習補正値の算出に続き、算出されたドライブ学習補正値をドライブ学習値として記憶更新し、ステップS8へ進む。
ステップS9では、S5又はS8でのドライブ学習値の記憶に続き、ロックアップクラッチ2aが解放されているドライブ状態で、車速VSPがロックアップ開始車速以上であるか否かを判断する。YES(車速VSP≧ロックアップ開始車速)の場合はステップS10へ進み、NO(車速VSP<ロックアップ開始車速)の場合はステップS11へ進む。
ステップS10では、S9でのVSP≧ロックアップ開始車速であるとの判断に続き、ロックアップ締結指示値(LUピストンストローク中の棚圧指示値)の決定に、学習値記憶部104に記憶されているドライブ学習値を用い、ステップS13へ進む。
ステップS11では、S9でのVSP<ロックアップ開始車速であるとの判断に続き、ロックアップクラッチ2aが締結されているコースト状態で、車速VSPがロックアップ解除車速以下であるか否かを判断する。YES(車速VSP≦ロックアップ解除車速)の場合はステップS12へ進み、NO(車速VSP>ロックアップ解除車速)の場合はステップS13へ進む。
ステップS12では、S11での車速VSP≦ロックアップ解除車速であるとの判断に続き、ロックアップ解放指示値の決定に、学習値記憶部104に記憶されているコースト学習値を用い、ステップS13へ進む。
ステップS13では、S10でのLU締結指示値の出力、又は、S11でのNOの判断、又は、S12でのLU解放指示値の出力に続き、イグニッションオフであるか否かを判断する。YES(イグニッションオフ)の場合はエンドへ進み、NO(イグニッションオン)の場合はステップS1へ戻る。なお、イグニッションオフになっても、学習値記憶部104に記憶保存されているドライブ学習値とコースト学習値の最新更新値はそのまま保存しておく。
次に、「背景技術の課題及び課題解決方策」を説明する。そして、実施例1の作用を、「初期ドライブ学習実施作用」、「ロックアップ学習制御作用」に分けて説明する。
[背景技術の課題及び課題解決方策(図5、図6)]
背景技術におけるロックアップ学習制御としては、走行中にロックアップクラッチが非締結状態から締結状態へ移行するとき、エンジントルクTeとトルクコンバータ伝達トルクτNe2との差分に基づいてロックアップ伝達トルク推定値Tlu#を算出する。そして、ロックアップ伝達トルク推定値Tlu#が上昇傾向に入ったと判断されたときの締結開始油圧を初期圧学習値とするのが知られている。
しかし、実ロックアップ伝達トルクTluは、
Tlu=Te-τNe^2-iω'
であり、本来の物理モデルだと、回転慣性成分iω'も考慮するが、ロックアップ伝達トルク推定値Tlu#は検討要素が足りていない。このため、図5に示すように、実ロックアップ伝達トルクTlu(実線)よりもロックアップ伝達トルク推定値Tlu#(点線)が大きくなり、誤差が発生する。なお、実ロックアップ伝達トルクTluとロックアップ伝達トルク推定値Tlu#の誤差の発生原因は、τの応答遅れ(時間方向のバラツキ)、Neの応答遅れ(時間方向のバラツキ)の寄与度が大きいことによる。
よって、Dレンジ1速段でロックアップ締結を開始する自動変速機の場合、ロックアップ締結時の回転変化、アクセル開度変化が大である。このため、ロックアップ伝達トルク推定値Tlu#を用いて初期圧学習値を取得する背景技術のロックアップ学習制御の場合、実ロックアップ伝達トルクTluとロックアップ伝達トルク推定値Tlu#の誤差がそのまま反映されてしまう。
次に、学習補正を行うにあたって、ロックアップクラッチの初期バラツキ、ファイナルテスト後のバラツキ、劣化後のバラツキを検討した。バラツキ検討の結果、初期バラツキに対してファイナルテストにおいて補正しないと、図6に示すように、初期のクラッチトルク容量のバラツキ幅が、劣化後のバラツキ幅にそのまま反映されることがわかった。つまり、LUピストンストロークの性能成立幅を超えるクラッチトルク容量バラツキの原因がロックアップクラッチの劣化によることを知見した。
そして、クラッチトルク容量がLUピストンストロークの性能成立幅より高い側にばらつくと、ロックアップ締結時、ロックアップ挙動変化により車両前後方向に挙動変化が発生する。一方、クラッチトルク容量がLUピストンストロークの性能成立幅より低い側にばらつくと、ロックアップ締結時、締結完了までに時間がかかってしまい運転者にラグ感を与える。よって、ドライブ学習は、ロックアップ締結時の挙動変化にかかわる重要な性能であるため、ロックアップクラッチの劣化に合わせたクラッチトルク容量(=ロックアップ差圧)の補正が必要である。
これに対し、本発明者等は、初期ドライブ学習はファイナルテストで実施するが、その後、市場でのバラツキ保証のために、ロックアップクラッチの劣化補正ができる方策が必要であるとの観点から具体的な方策を検討した。そして、方策検討によって、
(A) ロックアップクラッチの劣化代は、ドライブ学習値とコースト学習値の両方の値に含まれる。
(B) μ劣化の依存度がドライブシーンとコーストシーンで異なるが、それぞれの劣化に対する感度を把握することにより調整可能である。
(C) コースト学習はドライブ学習に比べて学習頻度が高いし、コースト学習値はドライブ学習値に比べて収束しやすい。
という点に着目した。
上記着目点に基づいて、本開示は、エンジン1とギヤトレーン3aの間に配置されたトルクコンバータ2に有するロックアップクラッチ2aと、ロックアップクラッチ2aの締結/解放を制御するロックアップコントローラ100と、を備える。この自動変速機3のロックアップ制御装置において、ロックアップコントローラ100は、ドライブ学習制御部102と、コースト学習制御部103と、を備える。ドライブ学習制御部102は、エンジン1の駆動力が駆動輪5に伝達されるドライブ状態のとき、ロックアップクラッチ2aへの油圧が上昇している途中でクラッチ容量の発生を開始するミートポイントに基づいてドライブ学習値を取得する。コースト学習制御部103は、駆動輪5からの駆動力でエンジン1が連れ回されるコースト状態のとき、ロックアップクラッチ2aへの油圧が低下している途中でクラッチスリップの発生を開始するスリップポイントに基づいてコースト学習値を取得する。ドライブ学習制御部102は、コースト学習制御部103からのコースト学習値により算出したロックアップクラッチ2aの劣化代に基づき、ドライブ学習値を補正したドライブ学習補正値を取得する、という手段を採用した。
即ち、コースト学習値のうちロックアップクラッチ2aの劣化代のみが切り分けられ、ドライブ学習値にコースト学習で得られた劣化代を反映することで、ドライブ学習補正値が取得される。このとき、ドライブ学習へ反映する劣化代を取得するコースト学習は、学習実施条件が厳しいドライブ学習頻度に比べて学習頻度が高いため、市場での劣化補正に関しても問題無く対応できる。
よって、ロックアップクラッチ2aの劣化代によるクラッチトルク容量のバラツキが抑えられ、ロックアップ締結時にクラッチトルク容量のLUピストンストローク性能成立幅の範囲内とすることが可能になる。この結果、ドライブロックアップ締結時において、クラッチ劣化を反映するドライブ学習値の補正により、ロックアップ締結時に運転者へ与える挙動変化やラグによる違和感を抑制することができる。
[初期ドライブ学習実施作用(図2)]
初期ドライブ学習実施部101では、市場への出荷前に実施されるファイナルテストの際、テスト条件をドライブ学習実施条件に設定することで、ドライブ学習収束値を取得することが可能な学習経験回数によるドライブ学習が実施される。そして、この初期ドライブ学習実施部101にて取得された初期ドライブ学習値は、ドライブ学習制御部102とコースト学習制御部103へ出力される。
初期ドライブ学習値を入力するドライブ学習制御部102では、ドライブ学習値が収束したか否かを判定し、ドライブ学習値の収束判定がなされると、初期ドライブ学習の実施中にてドライブ学習収束値が取得される。なお、原則としては、初期ドライブ学習の実施中にてドライブ学習収束値が取得されるが、学習値バラツキによりドライブ学習値の収束判定がなされないと、市場でのドライブ学習の経験を加えた後、ドライブ学習収束値が取得されることになる。
初期ドライブ学習値を入力するコースト学習制御部103では、入力された初期ドライブ学習値をコースト学習への学習値変換処理することで、初期コースト学習値が取得される。そして、初期ドライブ学習の実施中に、初期コースト学習値に基づいて劣化前のコースト学習収束値が取得される。
このように、ロックアップコントローラ100は、市場へ出荷する前、ドライブ学習収束値を取得することが可能な学習経験回数による初期ドライブ学習を実施する初期ドライブ学習実施部101を有する。
例えば、初期ドライブ学習を実施しないと、市場でのドライブ学習を多数回経験しないと、ドライブ学習収束値を取得することができず、ドライブ学習収束値を取得するまで時間を要し、この間、ドライブ学習値の補正を実施することができない。これに対し、ドライブ学習収束値を取得することが可能な学習経験回数による初期ドライブ学習を実施することで、市場への出荷直後からの早期タイミングにてドライブ学習収束値を用いたドライブ学習値の補正を実施することができることになる。
コースト学習制御部103は、初期ドライブ学習実施部101から初期ドライブ学習値を入力すると、初期ドライブ学習値をコースト学習への学習値変換処理することで、初期コースト学習値を取得する。そして、初期ドライブ学習の実施中に、初期コースト学習値に基づいて劣化前のコースト学習収束値を取得する。
例えば、市場への出荷前に実施されるファイナルテストの際、ドライブ学習収束値を取得することが可能な学習経験回数による初期ドライブ学習と、コースト学習収束値を取得することが可能な学習経験回数による初期コースト学習を実施する案が考えられる。しかし、この場合、ファイナルテストでの学習負荷を増大してしまう。これに対し、ドライブ学習とコースト学習は互いに調整可能な相関関係を有することを利用し、学習値変換処理により初期コースト学習値を取得することで、初期コースト学習を実施することなく、コースト学習収束値を取得することができることになる。
[ロックアップ学習制御作用(図4、図7~図10)]
ドライブ学習値が収束している場合、図4のフローチャートにおいて、S1→S2→S3→S4→S5へと進む。S2では、コースト学習制御部103からコースト学習値の劣化補正値が入力される。S3では、コースト学習による劣化補正値をドライブ学習による劣化補正値に変換する学習値変換処理により、劣化補正変換値が算出される。S4では、ドライブ学習値収束判断時のドライブ学習補正値が、ドライブ学習値=(ドライブ学習収束値-劣化補正変換値)の式を用いて算出される。S5では、算出されたドライブ学習補正値がドライブ学習値として記憶更新される。
ドライブ学習値が収束していない場合、図4のフローチャートにおいて、S1→S6→S7→S8へと進む。S6では、コースト学習制御部103からコースト学習収束値が入力される。S7では、ドライブ学習値未収束判断時のドライブ学習補正値が、コースト学習収束値をドライブ学習収束値に変換する学習値変換処理により算出される。S8では、算出されたドライブ学習補正値がドライブ学習値として記憶更新される。
そして、S9にて、ロックアップクラッチ2aが解放されているドライブ状態で、車速VSPがロックアップ開始車速以上であると判断されるとS10へ進む。S10では、ロックアップ締結指示値(LUピストンストローク中の棚圧指示値)を決定する際、学習値記憶部104に記憶されているドライブ学習値が用いられる。
S9にてロックアップ締結条件が成立しないが、S11にてロックアップクラッチ2aが締結されているコースト状態で、車速VSPがロックアップ解除車速以下であると判断されるとステップS12へ進む。S12では、ロックアップ解放指示値の決定に、学習値記憶部104に記憶されているコースト学習値が用いられる。なお、S13にてイグニッションオンと判断されている間は、S1~S12の処理が繰り返される。
このように、コースト学習制御部103は、コースト学習でのロックアップクラッチ2aの劣化代を、劣化後のコースト学習平均値から劣化前のコースト学習収束値を差し引いた劣化補正値としている。
即ち、コースト学習でのロックアップクラッチ2aの劣化代(CST)が、図7に示すように、平均値から収束値を差し引いた劣化補正値とされる。つまり、劣化前のコースト学習収束値を基準値とし、劣化の進行により徐々に基準値から学習値が離れてゆくことによる乖離幅が劣化補正値とされることになる。このため、コースト学習でのロックアップクラッチ2aの劣化代を、劣化前のコースト学習収束値を基準として精度良く取得することができることになる。
ドライブ学習制御部102は、ドライブ学習でのロックアップクラッチ2aの劣化代を、コースト学習制御部103からの劣化補正値をドライブ学習への学習値変換処理することにより取得される劣化補正変換値としている。
即ち、ドライブ学習値はLUストローク時、コースト学習値はコーストフューエルカット時に使用され、それぞれシーンが異なるため、摩擦係数μ、トルク等に対する依存度が異なり、それぞれのシーンでの劣化後の補正値の絶対量も異なる。つまり、ドライブ学習でのロックアップクラッチ2aの劣化代(Drive)は、図7に示すように、コースト学習でのロックアップクラッチ2aの劣化代(CST)よりも小さい。そこで、劣化補正代にある程度の感度があると考え、それを変換関数や補正係数として定義して補正可能とする。このため、ドライブ学習でのロックアップクラッチ2aの劣化代を、コースト学習での劣化補正値に基づいて精度良く取得することができることになる。
ドライブ学習制御部102は、ドライブ学習値が収束したことを判定すると、収束判定後のドライブ学習収束値を劣化補正変換値により補正することで、ドライブ学習補正値を取得している(図4のS1→S2→S3→S4)。
即ち、ドライブ学習が収束している場合は、図7に示すように、収束判定後のドライブ学習収束値を劣化補正変換値により補正することでドライブ学習補正値が取得できる。しかし、ドライブ学習が未収束の状態でコースト学習での劣化補正値をドライブ学習へ反映すると、図8に示すように、未収束の状態が保持される様な補正となり、収束側への補正はなされない。このために、コースト学習での劣化補正値をドライブ学習へ反映するのは、ドライブ学習値とコースト学習値が共に収束している状態を前提として行う。
よって、ロックアップクラッチ2aの劣化代によるクラッチトルク容量のバラツキが抑えられ、図9に示すように、ロックアップ締結時にクラッチトルク容量のLUピストンストローク性能成立幅(OK幅)の範囲内とすることができる。LUピストンストローク性能成立幅は、図9のロックアップピストンのストローク中の棚圧指示値が上限(点線)以下で、且つ、下限(実線)以上の場合であり、上限(点線)より高い場合は、車両の挙動変化がNG領域となり、下限(実線)より低い場合は、イナーシャフェーズ開始までの時間が長い(ラグ)NG領域となる。このため、ドライブ学習値とコースト学習値が共に収束していることを前提作動条件とし、コースト学習での劣化補正値をドライブ学習へ反映する補正を行うことで、ロックアップ締結時に運転者へ与える挙動変化やラグによる違和感を抑制することができる。
例えば、実施例1では、初期バラツキに対してファイナルテストにおいてドライブ学習を実施し、ファイナルテスト後にコースト学習での劣化補正値をドライブ学習へ反映する補正を行っている。このため、図10に示すように、初期のクラッチトルク容量のバラツキ幅が、ファイナルテスト後も劣化後もOK幅の範囲内に収まることが判明した。
ドライブ学習制御部102は、ドライブ学習値が収束していないことを判定すると、コースト学習制御部103からの収束判定後のコースト学習収束値を、ドライブ学習への学習値変換処理することで、ドライブ学習補正値を取得している(図4のS1→S6→S7)。
例えば、ファイナルテストの実施後、製品バラツキ等によってはドライブ学習の経験回数が不足し、ドライブ学習値が収束に至らない場合があり得る。このとき、前提作動条件が不成立であることで、ドライブ学習値の補正を全く行わないとすると、ロックアップ締結時にLUピストンストロークの性能が初期状態から劣化分悪化するのみとなる。これに対し、ドライブ学習値が収束していない場合の対策案として、コースト学習値とドライブ学習値の関係から、コースト学習収束値に補正をかけた値をドライブ学習値に反映する。つまり、劣化補正ではなく、コースト学習収束値のドライブ学習側への反映である。このため、ドライブ学習値が収束していない場合、コースト学習収束値をドライブ学習側へ反映することで、ロックアップ締結時にLUピストンストロークの性能が初期状態から劣化分により悪化するのを防止することができることになる。
以上述べたように、実施例1の自動変速機3のロックアップ制御装置にあっては、下記に列挙する効果が得られる。
(1) 走行用駆動源(エンジン1)と変速機構(ギヤトレーン3a)の間に配置されたトルクコンバータ2にロックアップクラッチ2aと、ロックアップクラッチ2aの締結/解放を制御するロックアップコントローラ100と、を備える自動変速機3のロックアップ制御装置において、
ロックアップコントローラ100は、
走行用駆動源(エンジン1)の駆動力が駆動輪5に伝達されるドライブ状態のとき、ロックアップクラッチ2aへの油圧が上昇している途中でクラッチ容量の発生を開始するミートポイントに基づいてドライブ学習値を取得するドライブ学習制御部102と、
駆動輪5からの駆動力で走行用駆動源(エンジン1)が連れ回されるコースト状態のとき、ロックアップクラッチ2aへの油圧が低下している途中でクラッチスリップの発生を開始するスリップポイントに基づいてコースト学習値を取得するコースト学習制御部103と、を備え、
ドライブ学習制御部102は、コースト学習制御部103からのコースト学習値により算出したコースト学習でのロックアップクラッチ2aの劣化代に基づき、ドライブ学習値を補正したドライブ学習補正値を取得する。
このため、ドライブロックアップ締結時において、クラッチ劣化を反映するドライブ学習値の補正により、ロックアップ締結時に運転者へ与える違和感を抑制することができる。
(2) コースト学習制御部103は、コースト学習でのロックアップクラッチ2aの劣化代を、劣化後のコースト学習平均値から劣化前のコースト学習収束値を差し引いた劣化補正値とする。
このため、コースト学習でのロックアップクラッチ2aの劣化代を、劣化前のコースト学習収束値を基準として精度良く取得することができる。
(3) ドライブ学習制御部102は、ドライブ学習でのロックアップクラッチ2aの劣化代を、コースト学習制御部103からの劣化補正値をドライブ学習への学習値変換処理することにより取得される劣化補正変換値とする。
このため、ドライブ学習でのロックアップクラッチ2aの劣化代を、コースト学習での劣化補正値に基づいて精度良く取得することができる。
(4) ドライブ学習制御部102は、ドライブ学習値が収束したことを判定すると、収束判定後のドライブ学習収束値を劣化補正変換値により補正することで、ドライブ学習補正値を取得する。
このため、ドライブ学習値とコースト学習値が共に収束していることを前提作動条件とし、コースト学習での劣化補正値をドライブ学習へ反映する補正を行うことで、ロックアップ締結時に運転者へ与える挙動変化やラグによる違和感を抑制することができる。
(5) ドライブ学習制御部102は、ドライブ学習値が収束していないことを判定すると、コースト学習制御部103からの収束判定後のコースト学習収束値を、ドライブ学習への学習値変換処理することで、ドライブ学習補正値を取得する。
このため、ドライブ学習値が収束していない場合、コースト学習収束値をドライブ学習側へ反映することで、ロックアップ締結時にLUピストンストロークの性能が初期状態から劣化分により悪化するのを防止することができる。
(6) ロックアップコントローラ100は、市場へ出荷する前、ドライブ学習収束値を取得することが可能な学習経験回数による初期ドライブ学習を実施する初期ドライブ学習実施部101を有する。
このため、市場への出荷直後からの早期タイミングにてドライブ学習収束値を用いたドライブ学習値の補正を実施することができる。
(7) コースト学習制御部103は、初期ドライブ学習実施部101から初期ドライブ学習値を入力すると、初期ドライブ学習値をコースト学習への学習値変換処理することで、初期コースト学習値を取得し、
初期ドライブ学習の実施中に、初期コースト学習値に基づいて劣化前のコースト学習収束値を取得する。
このため、ドライブ学習とコースト学習は互いに調整可能な相関関係を有することを利用し、学習値変換処理により初期コースト学習値を取得することで、初期コースト学習を実施することなく、コースト学習収束値を取得することができる。
以上、本発明の自動変速機のロックアップ制御装置を実施例1に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、ドライブ学習制御部102として、収束判定後のドライブ学習収束値を劣化補正変換値により補正することで、ドライブ学習補正値を取得する例を示した。しかし、ドライブ学習制御部としては、例えば、ドライブ学習収束値や劣化補正変換値を用いることなく、コースト学習でのロックアップクラッチの劣化分をコースト学習値に対する比率により把握し、これをドライブ学習値に反映する例であっても良い。要するに、コースト学習値により算出したコースト学習でのロックアップクラッチの劣化代に基づき、ドライブ学習値を補正したドライブ学習補正値を取得するものであれば良い。
実施例1では、自動変速機として、前進9速後退1速の自動変速機3の例を示した。しかし、自動変速機としては、前進9速後退1速以外の有段変速段を持つ自動変速機の例としても良いし、ベルト式無段変速機と多段変速機とを組み合わせた副変速機付き無段変速機としても良いし、ベルト式無段変速機としても良い。
実施例1では、エンジン車に搭載される自動変速機3のロックアップ制御装置の例を示した。しかし、エンジン車に限らず、ハイブリッド車や電気自動車等の自動変速機のロックアップ制御装置としても適用することが可能である。
1 エンジン(走行用駆動源)
2 トルクコンバータ
2a ロックアップクラッチ
2b ロックアップピストン
2c ロックアップ油室
2d リターンスプリング
3 自動変速機
3a ギヤトレーン
4 プロペラシャフト
5 駆動輪
10 変速機コントロールユニット
100 ロックアップコントローラ
101 初期ドライブ学習実施部
102 ドライブ学習制御部
103 コースト学習制御部
104 学習値記憶部
105 ロックアップ制御部
11 エンジンコントロールユニット
12 ロックアップ油圧センサ
13 タービン回転センサ
14 出力軸回転センサ
16 アクセル開度センサ
17 エンジン回転センサ
23 ロックアップソレノイド

Claims (7)

  1. 走行用駆動源と変速機構の間に配置されたトルクコンバータに有するロックアップクラッチと、前記ロックアップクラッチの締結/解放を制御するロックアップコントローラと、を備える自動変速機のロックアップ制御装置において、
    前記ロックアップコントローラは、
    前記走行用駆動源の駆動力が駆動輪に伝達されるドライブ状態のとき、前記ロックアップクラッチへの油圧が上昇している途中でクラッチ容量の発生を開始するミートポイントに基づいてドライブ学習値を取得するドライブ学習制御部と、
    前記駆動輪からの駆動力で前記走行用駆動源が連れ回されるコースト状態のとき、前記ロックアップクラッチへの油圧が低下している途中でクラッチスリップの発生を開始するスリップポイントに基づいてコースト学習値を取得するコースト学習制御部と、を備え、
    前記ドライブ学習制御部は、前記コースト学習制御部からの前記コースト学習値により算出したコースト学習での前記ロックアップクラッチの劣化代に基づき、前記ドライブ学習値を補正したドライブ学習補正値を取得する
    ことを特徴とする自動変速機のロックアップ制御装置。
  2. 請求項1に記載された自動変速機のロックアップ制御装置において、
    前記コースト学習制御部は、前記コースト学習での前記ロックアップクラッチの劣化代を、劣化後のコースト学習平均値から劣化前のコースト学習収束値を差し引いた劣化補正値とする
    ことを特徴とする自動変速機のロックアップ制御装置。
  3. 請求項2に記載された自動変速機のロックアップ制御装置において、
    前記ドライブ学習制御部は、ドライブ学習での前記ロックアップクラッチの劣化代を、前記コースト学習制御部からの前記劣化補正値をドライブ学習への学習値変換処理することにより取得される劣化補正変換値とする
    ことを特徴とする自動変速機のロックアップ制御装置。
  4. 請求項3に記載された自動変速機のロックアップ制御装置において、
    前記ドライブ学習制御部は、前記ドライブ学習値が収束したことを判定すると、収束判定後のドライブ学習収束値を前記劣化補正変換値により補正することで、前記ドライブ学習補正値を取得する
    ことを特徴とする自動変速機のロックアップ制御装置。
  5. 請求項3に記載された自動変速機のロックアップ制御装置において、
    前記ドライブ学習制御部は、前記ドライブ学習値が収束していないことを判定すると、前記コースト学習制御部からの収束判定後のコースト学習収束値を、ドライブ学習への学習値変換処理することで、前記ドライブ学習補正値を取得する
    ことを特徴とする自動変速機のロックアップ制御装置。
  6. 請求項1から5までの何れか一項に記載された自動変速機のロックアップ制御装置において、
    前記ロックアップコントローラは、市場へ出荷する前、前記ドライブ学習収束値を取得することが可能な学習経験回数による初期ドライブ学習を実施する初期ドライブ学習実施部を有する
    ことを特徴とする自動変速機のロックアップ制御装置。
  7. 請求項6に記載された自動変速機のロックアップ制御装置において、
    前記コースト学習制御部は、前記初期ドライブ学習実施部から初期ドライブ学習値を入力すると、前記初期ドライブ学習値をコースト学習への学習値変換処理することで、初期コースト学習値を取得し、
    初期ドライブ学習の実施中に、前記初期コースト学習値に基づいて劣化前のコースト学習収束値を取得する
    ことを特徴とする自動変速機のロックアップ制御装置。
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