以下、本発明の真空包装機の一実施形態を添付図面を参照して説明する。図1~図4に示したように、本発明の真空包装機10は、チャンバ20内を油回転真空ポンプにより脱気して負圧化させ、チャンバ20内に収容した包装袋の開口周縁部を封止装置30によって封止することにより、包装袋内を脱気した状態にて密封して真空包装するものである。真空包装機10は、ケーシング11の上部に設けられたチャンバ20と、チャンバ20内にて包装袋の開口周縁部を密封する封止装置30と、ケーシング11でチャンバ20の下側となる下部にチャンバ20内を脱気して負圧化させる油回転真空ポンプ40とを備えている。
図1~図3に示したように、ケーシング11は略直方体形状をし、ケーシング11の上部にはチャンバ20が設けられている。チャンバ20は、ケーシング11の上部に設けたチャンバベース21と、チャンバベース21の上側で水平軸線回りに回動可能に支持されたチャンバカバー22とを備え、チャンバベース21の上側をチャンバカバー22により開閉自在に塞ぐことで内部に包装袋を収容する密閉空間が形成されている。
図2に示したように、チャンバベース21は、上面が開口した浅い箱形をし、ステンレス等の板金部材をプレス加工によって形成したものである。図3に示したように、チャンバベース21の前部には他の部分より浅く形成された段部21aが形成されており、段部21aの上側には封止装置30を構成する下側ブロック31が上下に移動可能に設けられている。
図1及び図2に示したように、チャンバカバー22は、チャンバベース21の上面開口を開閉自在に塞ぐ耐圧性のアクリル材等の透明性のある材料を用いた蓋体であり、チャンバベース21との間に包装袋を収容する密閉空間を形成するものである。チャンバカバー22の後端部はケーシング11の後端部に水平軸線回りに回動可能に軸支されており、チャンバカバー22の前部は上下に回動可能となっている。図1に示したように、チャンバカバー22は水平位置にあるときにはチャンバベース21の上面開口を塞ぐ閉塞位置となっている。図2に示したように、チャンバカバー22の前部を上側に回動させると、チャンバカバー22は傾斜位置になってチャンバベース21の上面を開放する開放位置となる。
図2及び図3に示したように、チャンバカバー22の下面の周縁部にはシール部材としてゴム製のパッキン23が設けられており、パッキン23はチャンバカバー22を閉じて閉塞位置としたときにチャンバベース21とチャンバカバー22との間を気密にシールする。ケーシング11の後部にはガススプリング12が設けられている。ガススプリング12は、チャンバカバー22の前部を上方に付勢しており、チャンバカバー22をチャンバベース21から開放する開放位置に付勢している。ケーシング11の右側面の前端部にはストッパ13が水平軸線回りに回動可能に設けられており、ストッパ13はチャンバカバー22の前部上面に係止して、チャンバカバー22が開放位置に回動するのを防ぐ機能を有している。
図4に示したように、ケーシング11の後部にはチャンバカバー22の開閉状態を検知するカバー開閉検知器14が設けられている。カバー開閉検知器14はリードスイッチ等の近接スイッチを用いたものであり、チャンバカバー22の後部にはカバー開閉検知器14によりチャンバカバー22が閉止状態であること検知させる磁石15が設けられている。チャンバカバー22がチャンバベース21の上面開口を塞ぐ閉塞位置にあるときには、磁石15はカバー開閉検知器14に近接して、カバー開閉検知器14はオン信号を出力することで閉止状態を検知する。チャンバカバー22がチャンバベース21の上面開口を開放する開放位置にあるときには、磁石15はカバー開閉検知器14から離間し、カバー開閉検知器14はオフ信号を出力することで開放状態を検知する。
図3及び図4に示したように、チャンバ20の前部には封止装置30が設けられている。封止装置30はチャンバ20内に収容した包装袋の開口周縁部を熱溶着によって封止して包装袋を密封するものである。封止装置30は包装袋の開口周縁部を挟持する下側及び上側ブロック31,32とを備えている。下側ブロック31はアルミニウム製の角パイプ部材よりなり、チャンバベース21の段部21aの上側に着脱可能かつ上下に移動可能に支持されている。下側ブロック31の上面にはニクロム材よりなる帯板形状のヒータ33が設けられている。上側ブロック32は弾性変形可能なシリコーン製のブロック体よりなり、下側ブロック31の上側に対向する位置にて、チャンバカバー22の下面前部に取り付けられている。
図3及び図4に示したように、チャンバベース21の段部21aの下面には下側ブロック31を上下に昇降させる左右一対の昇降機構34が設けられている。各昇降機構34はチャンバベース21の段部21aの底壁を貫通する支持軸35と、支持軸35を上下動させる昇降シリンダ36とを備えている。図4に示したように、支持軸35の軸方向の中間部には鍔部37が設けられており、鍔部37は昇降シリンダ36内を上部空間36aと下部空間36bとに気密に仕切っている。昇降シリンダ36の上部空間36aには支持軸35の外周にばね部材38が介装されており、ばね部材38は鍔部37を介して支持軸35を下側に付勢している。
図3及び図4に示したように、ケーシング11内の下部には油回転真空ポンプ40が設けられている。油回転真空ポンプ40は、主としてチャンバ20内を吸引し、チャンバ20内の密閉空間の空気を排気して、チャンバ20内を負圧吸引するものである。油回転真空ポンプ40は油によりロータ、ステータ、翼板等の部品の間の気密及び無効空間の減少を図っている容積位相式真空ポンプである。
図4に示したように、ケーシング11内には油回転真空ポンプ40とチャンバ20とを接続する吸引管(吸引経路)41が設けられており、吸引管41には真空弁42が介装されている。チャンバ20内の空気は真空弁42の開放によって油回転真空ポンプ40に吸引可能となる。吸引管41にはチャンバ20と真空弁42との間に外気を導入する外気導入管43が接続されており、外気導入管43は第1管部43aと、第1管部43aから分岐した第2管部43bとを備えている。第1及び第2管部43a,43bにはこれらを開閉する第1及び第2外気導入弁44,45が介装されている。第1外気導入弁44は第2外気導入弁45より弁口径が大きく形成されており、第1外気導入弁44を開放したときにはチャンバ20内に速く外気が導入され、第2外気導入弁45を開放したときには、第1外気導入弁44を開放したときよりもチャンバ20内にゆっくりと外気が導入される。なお、第2外気導入弁45は後述する暖気工程後の換気工程で、油回転真空ポンプ40を作動させた状態で開放されてもチャンバ20内の圧力が5kPa(真空度95%)を維持することができる程度の細い径となっている。
吸引管41には外気導入管43の第1管部43aを介して圧力検出管46が接続されており、圧力検出管46にはチャンバ20の圧力を検出する真空計47が設けられている。チャンバ20内を油回転真空ポンプ40により脱気していないときには、真空計47により検出されるチャンバ20内の圧力は大気圧と同じ100kPa(abs)であり、このときの真空度は0%である。チャンバ20内を油回転真空ポンプ40により脱気して負圧化させ、真空計47により検出されるチャンバ内の圧力が0kPa(abs)であるときには、真空度は100%である。なお、真空計47によって直接検出されるのはチャンバ20内の圧力であるが、以後の説明では、真空計47によって検出された圧力をチャンバ20内の真空度Pに置き換えて説明をする。
吸引管41には油回転真空ポンプ40と真空弁42との間からシリンダ管48が分岐しており、シリンダ管48は昇降シリンダ36の上部空間36aに接続されている。シリンダ管48には三方弁49が介装されており、三方弁49の2つのポートはシリンダ管48の油回転真空ポンプ40側と昇降シリンダ36側に接続され、三方弁49の残る1つのポートは外気側に開放されている。三方弁49の油回転真空ポンプ40側と昇降シリンダ36側を連通状態で油回転真空ポンプ40を作動させると、昇降シリンダ36の上部空間36aは負圧化され、支持軸35はばね部材38の付勢力に抗して上昇する。三方弁49の昇降シリンダ36側と外気側とを連通状態にすると、昇降シリンダ36の上部空間36aは負圧化されないようになり、支持軸35はばね部材38の付勢力によって下降する。
図3及び図4に示したように、チャンバ20には収容した包装袋の膨らみを検知する膨らみ検知部50が設けられている。膨らみ検知部50はチャンバカバー22の下面前部に水平軸線回りに回動可能に支持された膨らみ検知板51と、膨らみ検知板51の後端に固定した磁石52と、磁石52を介して膨らみ検知板51の位置を検出するリードスイッチ等の近接スイッチよりなる膨らみ検知器53とを備えている。
膨らみ検知板51は下側及び上側ブロック31,32と同様に左右方向に広がる帯板形状をしている。膨らみ検知板51は、チャンバカバー22の下面の上側ブロック32の直ぐ後側に配置され、後側が上下動するように前部が水平軸線回りに回動可能に支持されている。膨らみ検知板51の左端部の後端には磁石52が固定されており、磁石52は膨らみ検知板51の回動によって上下動する。チャンバ20内に収容した包装袋が膨らんでいないときには、膨らみ検知板51は斜め下方に傾斜しており、膨らみ検知板51の後端の磁石52はチャンバ20内の下部に位置(下位置)する(図3及び図4の実線にて示した)。チャンバ20内に収容した包装袋が膨らんだときには、膨らみ検知板51は膨らんだ包装袋によって持ち上げられて回動し、膨らみ検知板51の後端の磁石52はチャンバ20内の上部に位置(上位置)する(図3及び図4の二点鎖線で示した)。
膨らみ検知器53は、包装袋が膨らんだときに上側に回動する膨らみ検知板51の後端の磁石52の位置を検知することで包装袋の膨らみを検知するものである。膨らみ検知器53はチャンバベース21の外側にて上位置となった膨らみ検知板51の磁石52に対向する位置に配置されている。包装袋が膨らんでなくて膨らみ検知板51の磁石52が下位置にあるときには、膨らみ検知器53は下位置にある磁石52が離間していることでオフ信号を出力する。包装袋が膨らんで膨らみ検知板51の磁石52が上位置にあるときには、膨らみ検知器53は上位置にある磁石52が近接することでオン信号を出力する。
図1及び図2に示したように、ケーシング11の前面には操作パネル60が設けられており、操作パネル60には各種操作スイッチ61と、液晶パネルよりなる表示パネル62とが設けられている。図5に示したように、操作スイッチ61は第1~第6操作スイッチ61a~61fを備えている。第1操作スイッチ61aは後述する包装プログラムを実行可能な状態と実行不可な状態とを切り替える切替操作スイッチである。第2操作スイッチ61bは表示パネル62にて選択項目を決定する操作スイッチである。第3操作スイッチ61cは後述する水抜き運転プログラムを実行するための操作スイッチである。第4操作スイッチ61dは表示パネル62にて表示されている階層を1つ上の階層に戻すための操作スイッチである。第5及び第6操作スイッチ61e,61fは表示パネル62にて表示される各種選択項目を選択するのに用いる操作スイッチである。
真空包装機10は制御装置70を備えており、図6に示したように、この制御装置70はカバー開閉検知器14と、ヒータ33と、油回転真空ポンプ40と、真空弁42と、第1及び第2外気導入弁44,45と、真空計47と、三方弁49と、膨らみ検知器53と、操作パネル60とに接続されている。制御装置70はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。
制御装置70は、包装袋を脱気した状態で密封して真空包装する包装プログラムがROMに記憶されている。制御装置70のROMには、常温以下の温度の食材及び調理物の包装に適した通常の包装プログラムと、常温より温度の高い食材及び調理物の包装に適したホットパック用の包装プログラムとが記憶されている。通常の包装プログラムとホットパック用の包装プログラムの各々は真空度等の制御条件の異なる複数の包装プログラムが設定されており、真空度等の制御条件を調理物に応じて変更可能としている。
通常の包装プログラムを図7に示したフローチャートにより、ホットパック用の包装プログラムを図8に示したフローチャートにより説明する。包装プログラムの実行前は、真空弁42、第2外気導入弁45が閉止状態となっており、三方弁49の昇降シリンダ36側と外気側とが連通されている(油回転真空ポンプ40側が閉止状態となっている)。
通常の包装プログラムを実行するときに、操作パネル60の操作スイッチ61を操作して通常の包装プログラムを選択した状態では、図7に示したように、制御装置70は、ステップ101にて、カバー開閉検知器14からオン信号が入力されたか否かを判定している。チャンバカバー22が閉じられるまでは、カバー開閉検知器14からオン信号が入力されないので、制御装置70はステップ101にてNOと判定して包装プログラムを終了する。チャンバカバー22が閉じられるまで、制御装置70がステップ101の判定処理でNOの判定を繰り返し実行しており、包装袋B(図3の二点鎖線で示した)の開口周縁部が下側ブロック31の上側に載るようにして、包装袋Bをチャンバベース21に寝かせて置き、チャンバカバー22が閉じられて磁石15がカバー開閉検知器14に接近すると、カバー開閉検知器14から制御装置70にオン信号が入力され、制御装置70はステップ101にてYESと判定してステップ102に進める。
制御装置70は、ステップ102にて、真空弁42を開放させ、第1外気導入弁44を閉止させるとともに油回転真空ポンプ40を作動させると、チャンバ20内は油回転真空ポンプ40によって脱気されて負圧化していく。制御装置70は、ステップ103にて、真空計47によって検出されるチャンバ20内の真空度Pが予め設定された真空度Px以上(所定圧力以下)となったか否かを繰り返し判定する。チャンバ20内の圧力が徐々に低下し、真空計47によって検出されるチャンバ20内の真空度Pが予め設定された真空度Px以上(所定圧力以下)となると、制御装置70は、ステップ103にてYESと判定してステップ104に進める。制御装置70は、ステップ104にて、真空弁42を閉止させてチャンバ20内の脱気を中止してステップ105に進める。
チャンバ20内が所定圧力として設定された真空度Px以上(所定圧力以下)となって包装袋内も脱気されると、制御装置70は、ステップ105にて、三方弁49の昇降シリンダ36側と油回転真空ポンプ40側とを連通させることにより(外気側を閉止状態とすることにより)、昇降シリンダ36の上部空間36aを油回転真空ポンプ40によって負圧化させ、支持軸35をばね部材38の付勢力に抗して上昇させて、下側ブロック31を上昇する支持軸35によって上昇させる。下側ブロック31は上昇する支持軸35によって上側ブロック32に押しつけられ、包装袋の開口周縁部は下側ブロック31と上側ブロック32とによって挟持される。制御装置70は、ステップ106にて、ヒータ33に通電させて発熱させると、包装袋の開口周縁部は熱溶着によって閉じられて、包装袋が脱気された状態(真空状態)で密封される。
制御装置70は、ステップ107にて、油回転真空ポンプ40の作動を停止させるとともに第1外気導入弁44を開放し、ステップ108にて、三方弁49の昇降シリンダ36側と外気側とを連通させる(油回転真空ポンプ40側を閉止状態とする)。チャンバ20内は第1外気導入弁44から導入される外気によって大気圧に戻され、チャンバカバー22は負圧吸引されずにガススプリング12の付勢力によって開放される。また、三方弁49の昇降シリンダ36側と外気側とを開放させたことで、昇降シリンダ36の上部空間36aに外気が導入されて負圧状態が解除され、支持軸35はばね部材38の付勢力によって下降し、下側ブロック31は上側ブロック32から離間し、包装袋の開口周縁部は下側及び上側ブロック31,32から挟持された状態が解除される。このようにして、包装袋は脱気された状態(真空状態)で密封される。
ホットパック用の包装プログラムを実行するときに、操作パネル60の操作スイッチを操作してホットパック用の包装プログラムを選択した状態では、図8に示したように、制御装置70は、ステップ201にて、カバー開閉検知器14からオン信号が入力されたか否かを判定している。チャンバカバー22が閉じられるまでは、カバー開閉検知器14からオン信号が入力されないので、制御装置70はステップ201にてNOと判定して包装プログラムを終了する。チャンバカバー22が閉じられるまで、制御装置70がステップ201の判定処理でNOの判定を繰り返し実行しており、包装袋B(図3の二点鎖線で示した)の開口周縁部が下側ブロック31の上側に載るようにして、包装袋Bをチャンバベース21に寝かせて置き、チャンバカバー22が閉じられて磁石15がカバー開閉検知器14に接近すると、カバー開閉検知器14から制御装置70にオン信号が入力され、制御装置70はステップ201にてYESと判定してステップ202に進める。
チャンバ20内に収容した包装袋内に過剰な量の被包装物が収容されている場合には、チャンバ20内を脱気して負圧化させる前に膨らみ検知板51が上位置に位置する場合がある。膨らみ検知板51が上位置に位置すると、チャンバ20内を脱気して負圧化させたときに、膨らみ検知器53によって包装袋の膨らみを検知できないおそれがある。このため、制御装置70は、ステップ202にて、膨らみ検知器53からオン信号が入力されているか否かを判定することで、膨らみ検知板51が包装袋によって持ち上げられているか否かを判定する。膨らみ検知器53からオン信号が入力されていると、制御装置70は、ステップ202にてYESと判定し、ステップ203にて操作パネル60の表示パネル62にエラーの表示をさせて包装プログラムを終了する。なお、制御装置70は、ステップ203におけるエラーの表示に代えて、ブザー等の音によるエラーの報知をするようにしてもよい。
これに対し、包装袋内に適切な量の被包装物が収納されている(包装袋内に過剰な量の被包装物が収納されていない)ときには、膨らみ検知器53からオン信号が入力されないことになり、制御装置70は、ステップ202にてNOと判定してステップ204に進める。制御装置70は、ステップ204にて、後述する袋内排気制御の実行回数R=0にし、ステップ205(ステップ220)の袋内排気制御に進める。
図9に示したように、制御装置70は、袋内排気制御としてステップ221にて、油回転真空ポンプ40を作動させ、真空弁42を開放させ、第1外気導入弁44を閉止させ、これらと同時に三方弁49を昇降シリンダ36側と油回転真空ポンプ40側とを連通状態(外気側を閉止状態)として下側ブロック31を上昇させる。チャンバ20内は油回転真空ポンプ40によって脱気されて負圧化され、昇降シリンダ36の上部空間36aも負圧化されて支持軸35が上昇し、下側ブロック31は上昇して上側ブロック32に押しつけられ、包装袋の開口周縁部は下側ブロック31と上側ブロック32とにより挟持されて包装袋の開口部が一時的に閉じられる。
ステップ221の処理によって、チャンバ20内の包装袋の開口部を一時的に閉じた状態で、チャンバ20内を脱気して負圧化させると、包装袋は内部の水分が気化することによって膨らむようになる。制御装置70は、ステップ222にて、膨らみ検知器53からのオン信号の入力の有無に基づいて、包装袋が膨らんだか否かを判定する。包装袋が膨らむまでは、制御装置70はステップ222の判定処理でNOの判定を繰り返し実行し、包装袋がチャンバ20内の負圧化によって膨らみ検知板51を上位置まで押し上げるまで膨らみ、膨らみ検知器53から制御装置70にオン信号の入力があると、制御装置70はステップ222にてYESと判定してステップ223に進める。
制御装置70は、ステップ223にて、真空弁42を閉止してチャンバ20内の脱気を一時的に中断するとともに、真空計47により検出された真空度PをRAMに記憶させる。制御装置70は、ステップ224にて、三方弁49を昇降シリンダ36側と外気側を連通状態(油回転真空ポンプ40側を閉止状態)とすることで、下側ブロック31を下降させる。下側ブロック31を下降させることで、包装袋の開口部が開放され、包装袋内に充満している気体がチャンバ20内に排出される。
制御装置70は、ステップ225にて、真空弁42を所定の追加時間だけ開放させ、包装袋の開口部から内部の気体をさらに排出させ、ステップ226にて、5秒間待機する。次に、制御装置70は、ステップ227にて、第2外気導入弁45を開放してチャンバ20内に一時的に吸気するようにする。ステップ227の処理は、包装袋内にて被包装物が沸騰した状態であると、以後の処理にて包装袋の膨らみを検知することができなくなるのを防ぐためのものであり、チャンバ20内に外気を導入して真空度を低下させるものである。制御装置70は、ステップ227にて、ステップ223にて検出した真空度Pより低い真空度として、真空度Pから10%(10%は一例であり、これに限られるものでない)減じた値まで第2外気導入弁45を開放して、チャンバ20内に外気を導入する。
制御装置70は、ステップ228にて、ステップ223のタイミングで検出してRAMに記憶させた真空度Pとなるまで真空弁42を開放してチャンバ20内を脱気する。ステップ223のタイミングで検出した真空度Pは包装袋内の被包装物が吹きこぼれることのない程度に包装袋を膨らますまでの真空度であるので、包装袋を開放した状態でステップ223にて検出した真空度Pまでチャンバ20内を脱気しても、包装袋内の被包装物が吹きこぼれることがない。
ステップ228の処理後に、制御装置70は、ステップ229にて、袋内排気制御の実行回数R=R+1として実行回数Rに1を加算してステップ230に進める。次に、制御装置70は、ステップ230にて、この袋内排気制御を5回以上実行したか否かを判定する。袋内排気制御を5回以上実行していなければ、制御装置70はNOと判定してステップ221から始まる袋内排気制御を繰り返し実行する。なお、ステップ230の処理後に再びステップ221から始まる袋内排気制御を実行するときには、油回転真空ポンプ40は作動中であり、真空弁42は開放され、第1外気導入弁44は閉止された状態であるので、ステップ221に戻したときにも油回転真空ポンプ40は継続して作動し、真空弁42は開放され、第1外気導入弁44は閉止された状態を維持する。
袋内排気制御を実行することで、包装袋内は徐々に脱気され、袋内排気制御を5回実行したときに、制御装置70は、ステップ230にてYESと判定してステップ206に進める。ステップ206以後の処理は、最後の袋内排気制御と包装袋の開口周縁部の封止処理を実行する処理である。制御装置70は、ステップ206にて、真空弁42を開放するとともに、下側ブロック31を上側ブロック32に押しつけるように上昇させて、チャンバ20内を負圧化させた状態で包装袋の開口周縁部を下側ブロック31と上側ブロック32とにより挟持させて包装袋の開口部を再び一時的に閉じる。ステップ206の処理によって、チャンバ20内の包装袋の開口部を一時的に閉じた状態で、チャンバ20内が引き続き脱気されて負圧化されると、包装袋は内部の水分が気化することによって膨らむようになる。
制御装置70は、ステップ207にて、膨らみ検知器53からのオン信号の入力の有無に基づいて、包装袋が膨らんだか否かを判定する。包装袋が膨らむまでは、制御装置70はステップ207の判定処理でNOの判定を繰り返し実行し、包装袋がチャンバ20内の負圧化によって膨らみ検知板51を上位置まで押し上げるまで膨らみ、膨らみ検知器53から制御装置70にオン信号の入力があると、制御装置70はステップ207にてYESと判定してステップ208に進める。
制御装置70は、ステップ208にて、真空弁42を閉止してチャンバ20内の脱気を一時的に中断するとともに下側ブロック31を下降させ、ステップ209にて5秒間待機させることで、包装袋内に残る気体を排出させる。制御装置70は、ステップ210にて、下側ブロック31を上側ブロック32に押しつけるように上昇させ、包装袋の開口周縁部を下側ブロック31と上側ブロック32とにより挟持させて包装袋の開口部を閉じる。制御装置70は、ステップ211にて、ヒータ33に通電させると、包装袋の開口周縁部は熱溶着によって閉じられて、包装袋が脱気された状態(真空状態)で密封される。制御装置70は、ステップ212にて、油回転真空ポンプ40の作動を停止させるとともに、第1外気導入弁44を開放することでチャンバ20内の負圧状態を解消させるとともに、下側ブロック31を下降させて、ホットパック用の包装プログラムを終了する。
この真空包装機10においては、上述したホットパック用の包装プログラムを実行すると、油回転真空ポンプ40の油に水が混入するようになり、油に水が混入した油回転真空ポンプ40ではチャンバ20内を十分に脱気できないおそれがある。このため、制御装置70は、油回転真空ポンプ40の油に含まれる水を気化させて水抜きをする水抜き運転プログラムを備えており、油回転真空ポンプ40の油に含まれる水は水抜き運転プログラムを実行することで取り除かれる。水抜き運転プログラムは、操作パネル60の第3操作スイッチ61cを操作することによって実行可能となっているとともに、包装プログラムを実行可能な状態と実行不可な状態とを切り替える切替操作スイッチである第1操作スイッチ61aをオフ操作して包装プログラムを実行不可な状態に切り替えたときに自動水抜きプログラムにより自動で実行されるように制御されている。
水抜き運転プログラムは、真空弁42を開放するとともに油回転真空ポンプ40を作動させて、油回転真空ポンプ40の油に含まれる水を加熱気化させる暖気工程と、暖気工程後に油回転真空ポンプを作動させた状態で第2外気導入弁45を開放して、暖気工程を行ったときに気化させた水を排気とともに放出する換気工程と、を交互に実行して油回転真空ポンプ40の油に含まれる水を取り除くプログラムである。
図10に示したように、水抜き運転プログラムのための第3操作スイッチ61cを操作する、または、後述する第1操作スイッチ61aをオフ操作して包装プログラムを実行不可な状態に切り替えたときに、制御装置70はステップ301から始まる水抜き運転プログラムを実行する。制御装置70は、ステップ301にて、カバー開閉検知器14からオン信号が入力されたか否かを判定して、カバー開閉検知器14からオン信号が入力されなければNOと判定してステップ301に戻す。制御装置70は、カバー開閉検知器14からオン信号が入力されるまでステップ301の判定処理でNOの判定を繰り替えし実行しているときに、チャンバカバー22が閉じられてカバー開閉検知器14から制御装置70にオン信号が入力されると、制御装置70は、ステップ301にてYESと判定してステップ302に進める。制御装置70は、ステップ302にて、真空弁42を開放させ、第1外気導入弁44を閉止させるとともに油回転真空ポンプ40を作動させる。
油回転真空ポンプ40の油に含まれる水を気化させるために、油回転真空ポンプ40を負圧環境下で作動させる必要があり、チャンバベース21をチャンバカバー22により閉塞することによって、チャンバ20が密閉されている必要がある。チャンバベース21がチャンバカバー22により閉塞されているときには、ステップ302にてチャンバ20内を脱気開始してから所定時間として10秒程度でチャンバ20内の真空度が密閉されているときの密閉真空度として規定された30%以上となる。
制御装置70は、ステップ303にて10秒経過するまで待機し(ステップ303でのNOの判定)、10秒経過するとYESと判定してステップ304に進める。制御装置70は、ステップ304にて真空計47により検出される真空度が30%以上か否かを判定し、チャンバベース21がチャンバカバー22により閉塞されずに、チャンバ20内の真空度が30%より低ければ、制御装置70は、ステップ304にてNOと判定し、ステップ305に進める。制御装置70は、ステップ305にて操作パネル60の表示パネル62にチャンバ20が密閉されていない旨のエラー情報を出力し、ステップ306にて真空弁42を閉止し、油回転真空ポンプ40の作動を停止させるとともに第1外気導入弁44を開放して水抜き運転プログラムを終了する。
これに対し、ステップ302にてチャンバ20内を脱気開始してから10秒経過後に真空計47により検出される真空度が30%以上であるときには、制御装置70は、ステップ304にてYESと判定してステップ307に進める。また、油回転真空ポンプ40の油に水が含まれていないときには、ステップ302にてチャンバ20内を脱気開始してから30秒程度でチャンバ20内の真空度が99.5%以上となる。制御装置70は、ステップ307にて30秒経過するまで待機し(ステップ307でのNOの判定)、30秒経過するとYESと判定してステップ308に進める。
制御装置70は、ステップ308にて真空計47により検出される真空度が99.5%以上であるか否かを判定し、真空計47により検出される真空度が99.5%以上となっているときには、制御装置70は、ステップ308にてYESと判定してステップ306に進める。制御装置70は、ステップ306にて真空弁42を閉止し、油回転真空ポンプ40の作動を停止させるとともに第1外気導入弁44を開放して水抜き運転プログラムを終了する。
これに対し、ステップ302にてチャンバ20内を脱気開始してから30秒経過後に真空計47により検出される真空度が99.5%より低いときには、制御装置70は、ステップ308にてNOと判定してステップ309に進める。制御装置70は、ステップ309にて、暖気工程の実行時間が経過したか否かを判定し、暖気工程の実行時間が経過するまでステップ302から始まった暖気工程を実行する。暖気工程の実行時間が経過すると、制御装置70は、ステップ309にてYESと判定し、暖気工程を終了してステップ310から始まる換気工程に進める。
制御装置70は、ステップ310にて、油回転真空ポンプ40を作動させた状態で第2外気導入弁45を開放させて換気工程を開始すると、暖気工程を実行したときに油に含まれていて気化した水は排気とともに排出されるようになる。制御装置70は、ステップ311にて、換気工程の実行時間が経過したか否かを判定し、換気工程の実行時間が経過するまでステップ310から始まった暖気工程を実行する。換気工程の実行時間が経過すると、制御装置70は、ステップ311にてYESと判定して、ステップ312にて、第2外気導入弁45を閉止してステップ302に戻す。
制御装置70は、ステップ302から始まる暖気工程と、ステップ310から始まる換気工程を交互に実行することにより、油回転真空ポンプ40の油に含まれる水は気化して取り除かれるようになる。暖気工程と換気工程を交互に実行しているときに、ステップ302から30秒経過したときに検出される真空度が99.5%以上となると、制御装置70は、ステップ308にてYESと判定し、ステップ306にて真空弁42を閉止し、油回転真空ポンプ40の作動を停止させるとともに第1外気導入弁44を開放して水抜き運転プログラムを終了する。
上述したように、水抜き運転プログラムは、操作パネル60の第3操作スイッチ61cを操作することによって実行可能となっているとともに、包装プログラムを実行可能な状態と実行不可な状態とを切り替える切替操作スイッチである第1操作スイッチ61aをオフ操作して包装プログラムを実行不可な状態に切り替えたときに自動水抜きプログラムにより自動で実行される制御されている。制御装置70の自動水抜きプログラムは、包装プログラムが実行不可な状態に切り替えられた、すなわち、包装プログラムを実行しないために包装作業に支障をきたさないタイミングに切り替えられたときに、自動で水抜き運転プログラムが実行されるように制御されている。
また、制御装置70の自動水抜きプログラムには、自動水抜きプログラムを実行したときに水抜き運転プログラムを実行する自動水抜きモードと、自動水抜きプログラムを実行しても水抜き運転プログラムを実行しない非自動水抜きモードとが設定可能となっている。自動水抜きモードは、主としてホットパック用の包装プログラムにより包装作業をする頻度が高いとき、すなわち、油回転真空ポンプの油に水が含まれやすい使用状況に適しており、非自動水抜きモードは、主として通常の包装プログラムにより包装作業をする頻度が高いとき、すなわち、油回転真空ポンプの油に水が含まれにくい使用状況に適している。操作スイッチ61を構成する各種操作スイッチ61b~62fを操作することにより、自動水抜きモードと非自動水抜きモードとを相互に変更可能となっている。
第1操作スイッチ61aがオンされている状態では、チャンバベース21がチャンバカバー22により閉塞されることによって磁石15がカバー開閉検知器14に接近すると、カバー開閉検知器14から制御装置70にオン信号が入力され、選択されている包装プログラム(図7または、図8と図9に示した)が実行されるようになっている。この状態で水抜き運転プログラムが自動で実行されると、包装プログラムによる包装作業に支障が生じるおそれがある。図11に示したように、制御装置70は、ステップ401にて、第1操作スイッチ61aがオフ操作されて、包装プログラムが実行不可な状態に切り換えられたか否かを判定し、第1操作スイッチ61aがオフ操作されなければNOと判定して自動水抜きプログラムを終了する。制御装置70は、ステップ401の判定処理でNOの判定を繰り返し実行して待機しているときに、ユーザが包装袋の包装作業を終えて第1操作スイッチ61aをオフ操作すると、制御装置70は、ステップ401にてYESと判定してステップ402に進める。
制御装置70は、ステップ402にて、自動水抜きモードに設定されているか否かを判定し、非自動水抜きモードに設定されているときには、ステップ402にてNOと判定して水抜き運転プログラムを実行することなく自動水抜きプログラムを終了する。これに対し、自動水抜きモードに設定されているときには、制御装置70は、ステップ402にてYESと判定してステップ403に進め、ステップ403で上述したステップ301から始まる水抜き運転プログラムを実行してから自動水抜きプログラムを終了する。
上記のように構成した真空包装機10は、チャンバベース21をチャンバカバー22により開閉自在に塞ぐことで内部に包装袋を収容する密閉空間が形成されるチャンバ20と、チャンバ20内に設けられて包装袋の開口周縁部を封止して包装袋を密封する封止装置30と、チャンバ20内の密閉空間を脱気して負圧化させる油回転真空ポンプ40と、油回転真空ポンプ40と封止装置30との作動を制御してチャンバ20内に収容した包装袋を真空包装する包装プログラム及び油回転真空ポンプ40を作動させることで油回転真空ポンプ40に含まれる水を気化させて水抜きをする水抜き運転プログラムとを有する制御装置70と、包装プログラムを実行可能な状態と実行不可な状態とを切り替える第1操作スイッチ(切替操作スイッチ)61aを有した操作パネル60とを備えている。
この真空包装機10においては、制御装置70は、第1操作スイッチ61aにより包装プログラムが実行不可な状態に切り替えられたことを判定する切替判定手段(ステップ401)と、切替判定手段により包装プログラムが実行不可な状態に切り替えられたときに水抜き運転プログラム(ステップ300)を自動で実行する実行手段(ステップ403)とを含む自動水抜きプログラムを備えている。これによって、第1操作スイッチ61aにより包装プログラムが実行不可な状態に切り替えられたときに、水抜き運転プログラムが自動で実行されるので、包装袋を真空包装する作業が遮られることなく適切なタイミングで水抜き運転プログラムが自動で実行されるようになり、油回転真空ポンプ40の油に水が含まれることに起因するチャンバ20の脱気能力の低下を防ぐことができる。
また、制御装置70は、ステップ300による水抜き運転プログラムにより油回転真空ポンプ40を作動開始させてから所定時間経過として10秒経過後に真空計47により検出される真空度がチャンバ20内が密閉されているときの密閉真空度として例えば30%以上とならないときに、水抜き運転プログラムを中断するように制御している。チャンバ20内を負圧化させた状態で水抜き運転プログラムを実行しないと、油回転真空ポンプ40の油に混入した水を気化させる効率を上げることができないので、真空計47により検出される真空度がチャンバカバー22によりチャンバベース21を閉塞したことを検知する真空度とならないときに、水抜き運転プログラムを中断(中止)するように制御することにより、チャンバカバー22によりチャンバベース21が閉塞されていないときのような油回転真空ポンプ40の油に含まれる水を気化させることができない状態で、油回転真空ポンプ40を無駄に作動させるのを防ぐことができる。なお、チャンバカバー22によりチャンバベース21を閉塞したことを検知する密閉真空度として例えば真空度30%以上としたが、これに限られるものでなく、チャンバカバー22をチャンバベース21に負圧吸引するのに必要な真空度であればよい。
また、この真空包装機10においては、制御装置70は、水抜き運転プログラムを中断するように制御したときに、水抜き運転プログラムが中断されたことに関する情報を所定の出力装置として表示パネル62に出力するように制御している。これによって、水抜き運転プログラムを実行するときに、チャンバカバー22によりチャンバベース21を閉塞するのを促すことができ、水抜き運転プログラムを実行させたときに油回転真空ポンプ40の油に含まれる水を確実に気化させることができるようになる。なお、水抜き運転プログラムが中断されたことに関する情報を所定の出力装置として表示パネル62に出力しているが、これに限られるものでなく、水抜き運転プログラムを促す情報であってもよいし、表示パネル62以外のランプを表示させたり、ブザー等の警告音で水抜き運転プログラムが中断されたことを報知してもよい。
また、この真空包装機10においては、制御装置70は、第1操作スイッチ61aをオフ操作することで包装プログラムを実行不可な状態に切り替えたときに、自動水抜きプログラムによって水抜き運転プログラムが自動で実行される自動水抜きモードと、第1操作スイッチ61aをオフ操作することで包装プログラムを実行不可な状態に切り替えられたときでも、自動水抜きプログラムによって水抜き運転プログラムが実行されない非自動水抜きモードとを備え、自動水抜きモードと非自動水抜きモードを選択可能としている。これによって、通常の包装プログラムだけを実行する環境下では、油回転真空ポンプ40の油に水が混入しにくいので、水抜き運転プログラムを実行する必要がなく、非自動水抜きモードに設定することにより、水抜き運転プログラムを無駄に実行するのを防ぐことができ、油回転真空ポンプ40を無駄に作動させるのを防ぐことができる。