JP7222638B2 - 樹脂組成物、積層体、及び硬化膜 - Google Patents
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Description
[1]
高周波回路基板の絶縁膜用の樹脂組成物であって、以下の成分:
(A)樹脂、
(B)多孔性化合物、および
(C)複素環化合物
を含むことを特徴とする樹脂組成物。
[2]
前記(A)樹脂が、芳香族環を有する構造単位を50質量%以上有する、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]
前記(B)多孔性化合物がエアロゲルである、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]
前記(C)複素環化合物が、テトラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、チアゾール、インダゾール、イミダゾールの群からなるいずれか1種を少なくとも含む、[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5]
(D)重合開始剤をさらに含む、[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6]
(E)熱架橋剤をさらに含む、[1]~[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7]
前記(E)熱架橋剤が窒素原子を含む、[6]に記載の樹脂組成物。
[8]
比誘電率が1を超え3.0以下である、[1]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[9]
誘電正接が2.0×10-3~9.5×10-3の範囲である、[1]~[8]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[10]
高周波回路基板の絶縁膜形成用の積層体であって、
仮支持体と、
前記仮支持体の上に設けられ、(A)樹脂、(B)多孔性化合物、および(C)複素環化合物を含む樹脂組成物と、
を備える、積層体。
[11]
前記高周波回路基板がプリント配線板である、[10]に記載の積層体。
[12]
前記プリント配線板が、フレキシブルプリント配線板(FPC)である、[11]に記載の積層体。
[13]
基材上に、[10]~[12]のいずれかに記載の積層体をラミネートし、露光処理、及び/又は加熱処理して得られた硬化膜。
まず、本実施の形態に係る樹脂組成物について説明する。
本発明の樹脂組成物は、高周波回路基板の絶縁膜用の樹脂組成物であって、以下の成分:(A)樹脂、(B)多孔性化合物、および(C)複素環化合物を含むことを特徴とする。
前記樹脂組成物は、所望により、その他の成分を含んでよい。
このような樹脂組成物は、(A)樹脂と(B)多孔性化合物を含有することで、低誘電率化を実現することができる。さらに、(C)複素環化合物を含有することで、密着性と防錆性を向上できる。その結果、本発明の樹脂組成物を用いて作製された膜は、導体への密着性と防錆性と低誘電率の両立を図ることができ、高周波回路基板の絶縁膜用の樹脂組成物として特に好適である。
本実施の形態に係る(A)樹脂は、高分子体のことであり、必要とする誘電正接特性に合わせていかなる樹脂を用いてもよい。その例としては、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール前駆体等が挙げられ、誘電正接が低い樹脂の例としては、ポリオレフィン、PTFE等のフッ素化ポリオレフィン、液晶ポリマーなどが挙げられる。また、フェノール性水酸基含有樹脂やカルボキシル基含有樹脂は、誘電率が劣るものの、アルカリ水溶液での感光現像性を付与可能である。その例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等の共重合体や、酸変性エポキシ樹脂、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール前駆体等が挙げられる。
芳香族構造を提供できるモノマーとして、具体的には、スチレン、フェニルエーテル、ベンゾオキサゾール誘導体等が挙げられる。
本実施の形態に係る(B)多孔性化合物とは、低密度構造体を示し、超臨界乾燥法を用いて作製されたエアロゲルや凍結乾燥で作製されたクライオゲル、溶剤の蒸発乾燥を用いて作製されたキセロゲル等が挙げられ、数10~数100nm孔径の多孔質を有し、空隙率が90%以上の化合物を示す。空隙の大きさや体積分率はゲル生成の工程、及び乾燥又は凍結による工程の最適化で制御することができる。
エアロゲルを構成する材料はシリカ(SiO2)、有機ポリマーやその焼結体であるカーボン、アルミナ(Al2O3)、及びチタニア(TiO2)をはじめとした金属酸化物などさまざまな物質が挙げられる。これらの中でもシリカを含むエアロゲルが好ましく、経時変化に伴う大気中の水分吸着がほとんどない疎水化されたシリカエアロゲルが防錆性の観点からより好ましい。
(C)複素環化合物を含むことで、導体密着性、配線防錆性に優れる。
本実施の形態に係る複素環化合物とは、防錆効果を有する化合物を示す。例えば、金属表面に被膜を形成して金属の腐食又は錆を防止する物質等である。
を併用してもよい。
(D)重合開始剤をさらに含むことが好ましい。(D)重合開始剤を含むことで、密着性が改善する。
本実施の形態に係る(D)重合開始剤は、活性光線や熱によりラジカルを発生し、エチレン性不飽和基含有化合物等を重合することができる化合物である。活性光線でラジカルを発生する開始剤としては、ベンゾフェノン、N-アルキルアミノアセトフェノン、オキシムエステル、アクリジン及びホスフィンオキサイド等の構造を含む化合物が挙げられる。その例としては、ベンゾフェノン、N,N,N’,N’-テトラメチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N,N’,N’-テトラエチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン、4-メトキシ-4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパノン-1、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド等の芳香族ケトン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)(BASFジャパン(株)製、Irgacure Oxe02)、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-3-シクロペンチルプロパン-1,2-ジオン-2-(o-ベンゾイルオキシム)(上州強力電子材料(株)製、PBG305)、1,2-プロパンジオン,3-シクロヘキシル-1-[9-エチル-6-(2-フラニルカルボニル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,2-(O-アセチルオキシム)(日興ケムテック(株)製TR-PBG-326、製品名)等のオキシムエステル化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;9-フェニルアクリジン、1,7-ビス(9,9’-アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;N-フェニルグリシン等のN-フェニルグリシン誘導体;クマリン化合物;オキサゾール化合物;2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド化合物が挙げられる。
(D)重合開始剤は、単独、又は2種以上混合して用いることもできる。
(E)熱架橋剤をさらに含むことが好ましい。(E)熱架橋剤を含むことで、誘電率、誘電正接は悪化する傾向にあるが、防錆性と密着性が改善する。
樹脂組成物には、機械物性を向上させる観点、及び感光現像性を考慮した場合、より高い防錆性能を発現させるという観点から、(E)熱架橋剤を更に配合することが好ましい。
(E)熱架橋剤の例としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビスマレイミド化合物、及びブロックイソシアネート化合物等が挙げられる。エポキシ化合物の例としては、ビスフェノールA型基を含むエポキシ化合物や水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル(たとえば共栄社化学(株)製エポライト4000)等が挙げられる。オキセタン化合物としては、1,4-ビス{[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ビス[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル、4,4’-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メチル]ビフェニル、4,4′-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ビフェニル、エチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)ジフェノエート、トリメチロールプロパントリス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ポリ[[3-[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]プロピル]シラセスキオキサン]誘導体、オキセタニルシリケート、フェノールノボラック型オキセタン、1,3-ビス[(3-エチルオキセタンー3-イル)メトキシ]ベンゼン、OXT121(東亞合成製、商品名)、OXT221(東亞合成製、商品名)等が挙げられる。ビスマレイミド化合物としては、1,2-ビス(マレイミド)エタン、1,3-ビス(マレイミド)プロパン、1,4-ビス(マレイミド)ブタン、1,5-ビス(マレイミド)ペンタン、1,6-ビス(マレイミド)ヘキサン、2,2,4-トリメチル-1,6-ビス(マレイミド)ヘキサン、N,N’-1,3-フェニレンビス(マレイミド)、4-メチル-N,N’-1,3-フェニレンビス(マレイミド)、N,N’-1,4-フェニレンビス(マレイミド)、3-メチル-N,N’-1,4-フェニレンビス(マレイミド)、4,4’-ビス(マレイミド)ジフェニルメタン、3,3’-ジエチル-5,5’-ジメチル-4,4’-ビス(マレイミド)ジフェニルメタン又は2,2-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンが挙げられる。ブロックイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート系ブロックイソシアネート(例えば、旭化成(株)製デュラネートSBN-70D、SBB-70P、SBF-70E、TPA-B80E、17B-60P、MF-B60B、E402-B80B、MF-K60B、及びWM44-L70G、三井化学(株)製タケネートB-882N、Baxenden社製7960、7961、7982、7991、及び7992など)、トリレンジイソシアネート系ブロックイソシアネート(例えば、三井化学(株)製タケネートB-830など)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネ-ト系ブロックイソシアネート(例えば、三井化学(株)製タケネートB-815N、大榮産業(株)製ブロネートPMD-OA01、及びPMD-MA01など)、1,3―ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン系ブロックイソシアネート(例えば、三井化学(株)製タケネートB-846N、東ソー(株)製コロネートBI-301、2507、及び2554など)、イソホロンジイソシアネート系ブロックイソシアネート(例えば、Baxenden社製7950、7951、及び7990など)が挙げられる。これらの中で、転写フィルムの保存安定性の観点から、ブロックイソシアネートやビスマレイミド化合物が好ましい。(E)熱架橋剤は単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施の形態において、成分(A)~(E)に加えて、任意にて、更にシランカップリング剤等の密着性付与剤、重合性化合物、可塑剤、難燃剤等も樹脂組成物に含有させることが出来、これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
次に、上記樹脂組成物を用いた転写フィルムについて説明する。転写フィルムは、樹脂組成物より成る樹脂層と仮支持体とを含み、場合によっては樹脂層を保護する保護フィルムを更に含む。具体的には、転写フィルムは、仮支持体上に前記の樹脂組成物より成る層が積層されてなる積層体であり、保護フィルムが必要な場合は、樹脂層の支持体側とは反対側の表面に保護フィルムを有する。
転写フィルムに感光現像性を付与した場合、前記転写フィルムを用いた樹脂パターンの形成は、以下の工程:
基材上に前記転写フィルム(積層体)をラミネートするラミネート工程;
該ラミネートされた転写フィルムに露光する露光工程;及び
該露光された転写フィルムを現像する現像工程;
を含む樹脂パターンの製造方法によって行うことができる。更に、樹脂パターンを導体部の保護膜として用いるために、現像工程後に、樹脂パターンを後露光処理及び/又は加熱処理に供して、硬化膜パターンを形成する工程を樹脂パターンの製造方法に含むことが好ましい。感光現像性がない場合は、露光工程、及び現像工程が省略され、ラミネート工程と加熱処理により所望の硬化膜を得ることができる。
テフロン(登録商標)製の碇型攪拌器を取り付けた、容量2Lのセパラブルフラスコ中で、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキフェニル)ヘキサフルオロプロパン(6FAP)73.3g(0.20mol)、ピリジン21.1g(0.27mol)、GBL440g、及びジメチルアセトアミド(DMAc)147gを室温(25℃)で混合攪拌し溶解させた。
別途GBL88g中に4-エチニルフタル酸無水物3.4g(0.02mol)を混合させたものを滴下ロートより滴下した。滴下に要した時間は25分、反応液温は最大で28℃であった。滴下終了後、湯浴により反応液を50℃に加温し18時間撹拌した後、反応液のIRスペクトルの測定を行い1385cm-1及び1772cm-1のイミド基の特性吸収が現れたことを確認した。
6FAPが溶解した後の反応容器を、メタノールにドライアイスを加えた容器に浸して冷却した。特許第4878662号の参考例1に記載されている方法で製造したビス(クロロカルボニル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン47.5g(0.18mol)をGBL142gに溶解させ、-10~-19℃に保って30分を要して反応容器に滴下した。滴下終了後、反応容器を氷浴に浸し、0~10℃に保って2時間攪拌した。さらにピリジン9.49g(0.12mol)を反応容器に加えた。
カラム:昭和電工社製 商標名 Shodex 805M/806M直列
容離液:NMP 40℃
流速 :1.0ml/分
検出器:日本分光社製 商標名 RI-930
検量線:ポリスチレン標準サンプルを用いて規定された検量線{ポリスチレン標準サンプル(昭和電工(株)製Shodex STANDARD SM-105)による検量線使用}
撹拌機、還流冷却器、不活性ガス導入口及び温度計を備えた2Lフラスコに、エチルメチルケトンを100質量%仕込み、窒素ガス雰囲気下で75℃に昇温し、メタクリル酸20質量%、スチレン55質量%、メタクリル酸メチル25質量%、アゾ系重合開始剤(和光純薬社製、V-601)を2時間掛けて均一に滴下した。滴下後、75℃で10時間撹拌を続け、反応終了後に、エチルメチルケトンを用いて得られた樹脂溶液を希釈し、酸当量が410、重量平均分子量(Mw)が約23,000である樹脂溶液(固形分41質量%)(A-2)を得た。
カラム:昭和電工(株)製Shodex(登録商標)(KF-807、KF-806M、KF-806M、KF-802.5)4本直列、
溶離液:テトラヒドロフラン
検量線:ポリスチレン標準サンプルを用いて規定された検量線{ポリスチレン標準サンプル(昭和電工(株)製Shodex STANDARD SM-105)による検量線使用}
テフロン(登録商標)製の碇型攪拌器を取り付けた、容量500mLのセパラブルフラスコ中に、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド6g(0.019mol)、尿素15g(0.25mol)、濃度5mMの酢酸水溶液45mLを混合した。これらの混合物を撹拌したまま、トリメトキシ(メチル)シラン12g(0.088mol)、トリメトキシ(ビニル)シラン3g(0.02mol)の混合物を投入し、室温で60分撹拌した。別途、ホモジナイザー(プライミクス(株)製 ホモミクサーMarkII 2.5型)を備えた付けた容器に1,3,5-トリメチルベンゼン1040g、ポリプロピレングリコール2000を60g投入し、80℃に加熱した。その後、上述で得られたゾル状物を投入し、3500rpmで12時間撹拌し、イソプロパノールで5回洗浄を行い、未反応物を除去した後、遠心分離を行った。得られた粉末を30℃で2日間、真空乾燥を行い、多孔性化合物B-1を得た。
実施例及び比較例における評価用フィルムは、次のようにして作製した。
<転写フィルムの作製>
下記表1に示す組成に従って、複数の成分をそれぞれ250mlのプラスチックボトルに量り取り、固形分濃度が47質量%となるように表1に記載の各溶剤を投入し、ノンバブリングニーダ(株式会社日本精機製作所製 NBK-2)を用いて溶解・混合を行って、樹脂組成物調合液(実施例1~13、及び比較例1~4)を調製した。
上記で得られた20μmの転写フィルム上の保護フィルムを剥がしながら、易剥離処理されたPET上(サイズ:20cm×10cm)に、ホットロールラミネーター(大成ラミネーター(株)製、VA-400III )を用いてラミネートを繰り返し、厚み1mmのシート状サンプルを作製した。ロール温度は100℃、エアー圧力は0.4MPaとし、ラミネート速度は1.0m/分とした。得られた厚み1mmのサンプルの片面にあるPETフィルムを剥がし、PETを剥がした面側に易剥離処理PET上に再度ラミネートを行った。
さらに、両面易剥離処理PET付きのサンプルをSUS板で挟み、熱風循環式オーブンにて、表1に記載の所定の温度と時間で加熱し、樹脂を硬化させた。硬化物させたサンプルから易剥離処理PETを剥離し、評価用サンプルを得た。評価用サンプルを、空洞共振器法(JIS-C-2565規格準拠)を用いて、周波数5GHzにおける誘電率、及び誘電正接を測定した。
<試験用基材の作製>
特許第4515123号明細書の実施例2に記載の通りに感光性樹脂積層体を作製して、感光性樹脂積層体を、保護フィルムを剥がしながら、カプトン上にスパッタ銅が積層されたフレキシブル基材の銅表面(サイズ:5cm×10cm)上に、ホットロールラミネーターにてラミネートした。その際ロール温度100℃、エアー圧力は0.4MPaとし、ラミネート速度は1.5m/分とした。そして15分静置後、仮支持体の上にPETマスクを置き、PETマスク側から平行光露光機により120mJ/cm2で露光した。PETマスクは、ライン/スペース=80μm/80μmパターンのものを使用した。その後、15分以上静置した後、仮支持体を剥離し、(株)フジ機工製現像装置を用い、フルコーンタイプのノズルにて現像スプレー圧0.15MPaで、30℃の1質量%Na2CO3水溶液を最小現像時間の2倍の時間スプレーして、感光性樹脂層の未露光部分を溶解除去した。ここで、最小現像時間とは、感光性樹脂組成物層の未露光部分が完全に溶解除去されるまでに要する最小の時間をいう。その際、水洗工程は、フラットタイプのノズルにて水洗スプレー圧0.15MPaで、現像工程と同時間処理し、エアーブローにより乾燥させ銅表面上にレジストパターンを形成した。
上記エッチング後、液温50℃の3wt%のNaOH水溶液へ浸漬し、ディップ方式にてレジストの除去を行い、水洗及び風乾処理を行った。これにより、樹脂上にITOが積層され、さらにその上に銅配線パターンが形成された試験用基材を得た。銅配線パターンをより詳細に述べると、長さ8cm、幅80μmの銅ラインが、ライン:スペース=1:1で10本形成されている。
前記手法にて作製した、銅配線が形成された基材の、銅配線が存在する面へ、本発明に記載の感光性樹脂層の厚みが20μmの感光性樹脂積層体の保護フィルムを剥がしながら、ホットロールラミネーター(大成ラミネーター(株)製、VA-400III )を用いてラミネートした。その際、ロール温度は100℃、エアー圧力は0.4MPa、ラミネート速度は1.0m/分とした。
アルカリ水溶液現像を想定した、実施例8、11、12においては、15分静置後に保護膜の仮支持体側から散乱光露光機によって100mJ/cm2の露光量を全面露光した。15分静置後、仮支持体を剥離後、(株)フジ機工製現像装置を用い、フルコーンタイプのノズルにて現像スプレー圧0.12MPaで、30℃の1質量%Na2CO3水溶液(実施例8,及び実施例11においては23℃の2.38質量%TMAH水溶液)を所定時間スプレーして現像処理し、その後にフラットタイプのノズルにて水洗スプレー圧0.12MPaで、水洗処理し、エアーブローにより乾燥させた。その後、散乱光露光機にて感光層側から300mJ/cm2の露光量で露光し、続いて、熱風循環式オーブンにて表1に記載の所定の温度と時間で加熱し、サンプルを作製した。
作製したサンプルを85℃、85%RHの恒温恒湿オーブン(アドバンテック東洋(株)製、THN050FA)に保管した。所定時間経過したところで、オーブンから取り出し、保護膜面及び保護膜とは逆の面から顕微鏡にて観察し、銅配線の変色又は腐食の有無を確認し、以下のように判定した。
A:85℃、85%RHの環境下で500時間以上経過後に変色が発生
B:85℃、85%RHの環境下で350時間以上500時間未満に変色が発生
C:85℃、85%RHの環境下で200時間以上350時間未満に変色が発生
D:85℃、85%RHの環境下で200時間未満に変色又は腐食が発生
被覆部防錆性においては、Cランク以上が高周波デバイスの導体保護膜として実用上必要であり、Bランク以上が良好な結果であると考えられる。
<サンプル作製法>
被覆部防錆性評価と同様の方法でサンプルを作製した。
上記処理後のサンプルを、JIS規格 K5400を参考に、100マスのクロスカット試験を実施した。試験面にカッターナイフを用いて、1×1mm四方の碁盤目の切り傷を入れ、碁盤目部分にメンディングテープ#810(スリーエム(株)製)を強く圧着させ、テープの端をほぼ0°の角度で緩やかに引き剥がした後、碁盤目の状態を観察し、以下の評点に従ってクロスカット密着性を評価した。
A:全面積中、ほぼ剥がれなし
B:全面積中、5%未満で剥がれがある
C:全面積中、5~10%の剥がれがある
D:全面積中、10~35%の剥がれがある
クロスカット試験においては、Cランク以上が高周波デバイスの導体保護膜として実用上必要であり、Bランク以上が良好な結果であると考えられる。
また、実施例1と実施例8、実施例3と実施例9,10を比較することにより、(A)樹脂、(B)多孔性化合物、(C)複素環化合物からなる組成物に、(D)重合開始剤をさらに加えることで、(A)樹脂と(B)多孔性化合物の化学反応を促進し、(C)複素環化合物との相互作用が高まり密着性がより改善されることが確認された。
さらに、実施例1,8と実施例11、実施例2と実施例12、実施例3,10と実施例13を比較することにより、(E)熱架橋剤を加えることで、低誘電を維持したまま、防錆性と密着性がさらに改善されることが確認された。
Claims (12)
- 高周波回路基板の絶縁膜用の樹脂組成物であって、以下の成分:
(A)芳香族構造を有する樹脂、
(B)多孔性化合物、
(C)複素環化合物、および
(D)活性光線または熱によりラジカルを発生する重合開始剤
を含むことを特徴とする樹脂組成物。 - 前記(A)樹脂が、芳香族環を有する構造単位を50質量%以上有する、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記(B)多孔性化合物がエアロゲルである、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 前記(C)複素環化合物が、テトラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、チアゾール、インダゾール、イミダゾールの群からなるいずれか1種を少なくとも含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- (E)熱架橋剤をさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記(E)熱架橋剤が窒素原子を含む、請求項5に記載の樹脂組成物。
- 周波数5GHzにおける比誘電率が1を超え3.0以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 周波数5GHzにおける誘電正接が2.0×10-3~9.5×10-3の範囲である、請求項1~7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 高周波回路基板の絶縁膜形成用の積層体であって、
仮支持体と、
前記仮支持体の上に設けられ、(A)芳香族構造を有する樹脂、(B)多孔性化合物、(C)複素環化合物、および(D)活性光線または熱によりラジカルを発生する重合開始剤を含む樹脂組成物と、
を備える、積層体。 - 前記高周波回路基板がプリント配線板である、請求項9に記載の積層体。
- 前記プリント配線板が、フレキシブルプリント配線板(FPC)である、請求項10に記載の積層体。
- 基材上に、請求項9~11のいずれか1項に記載の積層体をラミネートし、露光処理、及び/又は加熱処理して得られた硬化膜。
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