JP7333735B2 - 低誘電感光性樹脂組成物、及びその硬化物 - Google Patents
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Description
[1]
高周波回路基板の絶縁膜形成用の感光性樹脂組成物であって、アルカリ可溶性樹脂を含み、かつ下記の条件(1)~(4):
(1)該感光性樹脂組成物の硬化物が、1GHz~28GHzの範囲において、誘電正接(Df)が0.0100未満である;
(2)該感光性樹脂組成物の硬化物が、1GHz~28GHzの範囲において、高周波になるにつれて、誘電正接が低下する;
(3)該感光性樹脂組成物から成る厚み25μmの感光性樹脂層を含む積層体が、1質量%炭酸ナトリウム現像液で、70μm以下の円孔パターンを解像する;及び
(4)該感光性樹脂組成物から成る厚み8μmの感光性樹脂層を含む積層体の赤外分光法による赤外吸収スペクトルにおいて、波数700cm-1付近のスペクトルのピーク強度(I)と、波数1450cm-1付近のスペクトルのピーク強度(II)とのピーク強度比(I/II)が、2.9以上である;
を満たすことを特徴とする感光性樹脂組成物。
[2]
前記感光性樹脂組成物が、以下の成分:
(A)アルカリ可溶性樹脂;
(B)光重合開始剤;
(C)少なくとも1つエチレン性不飽和基を有する重合性化合物;
(D)架橋剤;及び
(E)少なくとも2つのアルコール性水酸基を有する化合物
を含み、前記(A)成分であるアルカリ可溶性樹脂が:
(A-1)芳香族環を有する構造単位を70質量%以上有し、かつアクリル酸の構造単位を20質量%以上有する樹脂と、
(A-2)前記(A-1)成分以外の光架橋性を有するカルボキシル基含有樹脂;
を含むことを特徴とする項目1に記載の感光性樹脂組成物。
[3]
前記(D)成分が、窒素原子を含有する化合物である、項目1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
[4]
前記(D)成分が、ブロックイソシアネートである、項目1~3のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[5]
前記(E)成分が、芳香族基をさらに有する、項目1~4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[6]
(F)リン原子を有し、23℃で固体状である難燃剤をさらに含有する、項目1~5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[7]
前記(B)成分が、オキシムエステルである、項目1~6のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[8]
高周波回路基板の絶縁膜形成用の転写フィルムであって、
仮支持体と、
前記仮支持体の上に設けられた、項目1~7のいずれかに記載の感光性樹脂組成物から成る感光性樹脂層と、
を備える積層体である、転写フィルム。
[9]
前記高周波回路基板が、プリント配線板である、項目8に記載の転写フィルム。
[10]
前記高周波回路基板が、フレキシブルプリント配線板(FPC)である、項目9に記載の転写フィルム。
[11]
基板上に、項目8~10のいずれかに記載の転写フィルムをラミネートし、露光処理及び/又は加熱処理して得られた硬化膜。
[12]
高周波回路基板の絶縁膜形成用の転写フィルムであって、
仮支持体と、
前記仮支持体の上に設けられた、感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層と、
を備え、
前記感光性樹脂組成物が、以下の成分:
(A)アルカリ可溶性樹脂;
(B)光重合開始剤;
(C)少なくとも1つエチレン性不飽和基を有する重合性化合物;
(D)架橋剤;及び
(E)少なくとも2つのアルコール性水酸基を有する化合物
を含み、前記(A)成分であるアルカリ可溶性樹脂が:
(A-1)芳香族環を有する構造単位を70質量%以上有し、かつアクリル酸の構造単位を20質量%以上有する樹脂と、
(A-2)前記(A-1)成分以外の光架橋性を有するカルボキシル基含有樹脂と、
を含むことを特徴とする
積層体である、転写フィルム。
まず、本実施の形態に係る樹脂組成物について説明する。
本発明の樹脂組成物は、高周波回路基板の絶縁膜用の感光性樹脂組成物であって、アルカリ可溶性樹脂を含み、かつ下記の条件(1)~(4)を満たすことを特徴とする感光性樹脂組成物である。
(1)該感光性樹脂組成物の硬化物が、1GHz~28GHzの範囲において、誘電正接(Df)が0.0100未満である。
(2)該感光性樹脂組成物の硬化物が、1GHz~28GHzの範囲において、高周波になるにつれて、誘電正接が低下する。
(3)該感光性樹脂組成物から成る厚み25μmの感光性樹脂層を含む積層体が、1質量%炭酸ナトリウム現像液で、70μm以下の円孔パターンを解像する。
(4)該感光性樹脂組成物から成る厚み8μmの感光性樹脂層を含む積層体の赤外分光法による赤外吸収スペクトルにおいて、芳香族由来の波数700cm-1付近のスペクトルのピーク強度(I)と、脂肪族由来の波数1450cm-1付近のスペクトルのピーク強度(II)と、のピーク強度比(I/II)が2.9以上である。
(A)アルカリ可溶性樹脂、但し、(A)成分であるアルカリ可溶性樹脂が:
(A-1)芳香族環を有する構造単位を70質量%以上有し、かつアクリル酸を20質量%以上有する樹脂と、
(A-2)上記(A-1)成分以外の光架橋性を有するカルボキシル基含有樹脂と、
を含む;
(B)光重合開始剤;
(C)重合性化合物;
(D)架橋剤;及び
(E)少なくとも2つのアルコール性水酸基を有する化合物;
を含むことができる。
本実施の形態に係る(A)アルカリ可溶性樹脂は、カルボキシル基を含有する高分子体、又はフェノール性水酸基を含有する高分子体のことであり、その例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、等の共重合体、又はエポキシ樹脂に不飽和カルボン酸化合物を反応させ、さらに多塩基酸無水物を反応させた酸変性エポキシ樹脂、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール前駆体等が挙げられる。
本実施の形態に係る(B)光重合開始剤とは、活性光線によりラジカルを発生し、エチレン性不飽和基含有化合物等を重合することができる化合物である。
本実施の形態に係る(C)少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有する化合物は、その構造中に少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有することによって重合性を有する化合物である。エチレン性不飽和二重結合を有する化合物は、(C1)分子中に重合性基を3つ以上有する化合物を含むことが好ましく、更に、(C2)分子中に重合性基を1つ有する化合物を含むことがより好ましい。また、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物は、上記以外の化合物を組み合わせて使用することが出来る。
本実施の形態に係る(D)熱架橋剤とは、熱により付加反応、又は縮合重合反応を起こす化合物を意味する。これらの反応は(A)アルカリ可溶性樹脂と(D)熱架橋剤、(D)熱架橋剤同士、及び(D)熱架橋剤と後述されるその他の成分の組み合わせで起き、その反応温度としては、150℃以上が好ましい。感光性樹脂組成物は、(D)熱架橋剤を含むことで、絶縁信頼性と密着性が改善する。
本実施の形態に係る(E)アルコール性水酸基を有する化合物は、化合物中の構造に水酸基を少なくとも2つ有する化合物である。
本実施形態に係る組成物においては、その硬化膜に難燃性を付与する観点から、(F)難燃剤を更に含むことが好ましい。本実施の形態に係る(F)難燃剤は、化合物中の構造にリン原子を有し、23℃で固体状の化合物である。感光性樹脂組成物は、(F)難燃剤を含むことで誘電特性がさらに改善する。
本実施形態に係る組成物においては、その硬化膜の密着性と絶縁信頼性の観点から、(G)防錆剤を更に含むことが好ましい。本実施の形態に係る(G)防錆剤は、防錆効果を有する化合物をいい、例えば、金属表面に被膜を形成して金属の腐食又は錆を防止する物質等である。
本実施の形態において、成分(A)~(G)に加えて、任意にて、更にシランカップリング剤等の密着性付与剤、重合性化合物、可塑剤等も樹脂組成物に含有させることが出来、これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
次に、上記樹脂組成物を用いた転写フィルムについて説明する。転写フィルムは、樹脂組成物から成る樹脂層と仮支持体とを含み、場合によっては樹脂層を保護する保護フィルムを更に含む。具体的には、転写フィルムは、仮支持体上に、上記で説明された感光性樹脂組成物から成る感光性樹脂層が積層されて成る積層体であり、保護フィルムが必要な場合は、感光性樹脂層の支持体側とは反対側の表面に保護フィルムを有する。本実施の形態に係る転写フィルムも、上記で説明された高周波数回路基板の絶縁膜を形成するために使用されることができる。
転写フィルムに感光現像性を付与した場合、その転写フィルムを用いた樹脂パターンの形成は、以下の工程:
基材上に上記で説明された転写フィルム(積層体)をラミネートするラミネート工程;
該ラミネートされた転写フィルムに露光する露光工程;及び
該露光された転写フィルムを現像する現像工程;
を含む樹脂パターンの製造方法によって行うことができる。更に、樹脂パターンを導体部の保護膜として用いるために、現像工程後に、樹脂パターンを後露光処理及び/又は加熱処理に供して、硬化膜パターンを形成する工程を樹脂パターンの製造方法に含むことが好ましい。感光現像性がない場合は、露光工程、及び現像工程が省略され、ラミネート工程と加熱処理により所望の硬化膜を得ることができる。
撹拌機、還流冷却器、不活性ガス導入口及び温度計を備えた2Lフラスコに、エチルメチルケトンを100質量%仕込み、窒素ガス雰囲気下で75℃に昇温し、アクリル酸20質量%、スチレン75質量%、メタクリル酸シクロヘキシル5質量%、及びアゾ系重合開始剤(和光純薬社製、V-601)を2時間掛けて均一に滴下した。滴下後、75℃で10時間撹拌を続け、反応終了後に、エチルメチルケトンを用いて得られた樹脂溶液を希釈し、酸当量が430、重量平均分子量(Mw)が約27,000であるアルカリ可溶性樹脂溶液(固形分50質量%)(A1)を得た。
撹拌機、還流冷却器、不活性ガス導入口及び温度計を備えた2Lフラスコに、エチルメチルケトンを100質量%仕込み、窒素ガス雰囲気下で75℃に昇温し、アクリル酸22質量%、スチレン75質量%、メタクリル酸シクロヘキシル3質量%、及びアゾ系重合開始剤(和光純薬社製、V-601)を2時間掛けて均一に滴下した。滴下後、75℃で10時間撹拌を続け、反応終了後に、エチルメチルケトンを用いて得られた樹脂溶液を希釈し、酸当量が391、重量平均分子量(Mw)が約32,000であるアルカリ可溶性樹脂溶液(固形分50質量%)(A2)を得た。
撹拌機、還流冷却器、不活性ガス導入口及び温度計を備えた2Lフラスコに、エチルメチルケトンを100質量%仕込み、窒素ガス雰囲気下で75℃に昇温し、アクリル酸24質量%、スチレン74質量%、アクリル酸-n-ブチル2質量%、及びアゾ系重合開始剤(和光純薬社製、V-601)を2時間掛けて均一に滴下した。滴下後、75℃で10時間撹拌を続け、反応終了後に、エチルメチルケトンを用いて得られた樹脂溶液を希釈し、酸当量が358、重量平均分子量(Mw)が約27,000であるアルカリ可溶性樹脂溶液(固形分50質量%)(A3)を得た。
撹拌機、還流冷却器、不活性ガス導入口及び温度計を備えた2Lフラスコに、エチルメチルケトンを100質量%仕込み、窒素ガス雰囲気下で75℃に昇温し、メタクリル酸25質量%、スチレン55質量%、メタクリル酸メチル20質量%、及びアゾ系重合開始剤(和光純薬社製、V-601)を2時間掛けて均一に滴下した。滴下後、75℃で10時間撹拌を続け、反応終了後に、エチルメチルケトンを用いて得られた樹脂溶液を希釈し、酸当量が344、重量平均分子量(Mw)が約31,000であるアルカリ可溶性樹脂溶液(固形分50質量%)(A1’)を得た。
撹拌機、還流冷却器、不活性ガス導入口及び温度計を備えた2Lフラスコに、エチルメチルケトンを100質量%仕込み、窒素ガス雰囲気下で75℃に昇温し、メタクリル酸28質量%、スチレン62質量%、アクリル酸-n-ブチル10質量%、及びアゾ系重合開始剤(和光純薬社製、V-601)を2時間掛けて均一に滴下した。滴下後、75℃で10時間撹拌を続け、反応終了後に、エチルメチルケトンを用いて得られた樹脂溶液を希釈し、酸当量が307、重量平均分子量(Mw)が約20,000であるアルカリ可溶性樹脂溶液(固形分50質量%)(A2’)を得た。
上記で説明された重量平均分子量(Mw)を測定するためのGPCの分析条件を以下に記す。
GPC装置:日本分光(株)製
カラム:昭和電工(株)製Shodex(登録商標)(KF-807、KF-806M、KF-806M、KF-802.5)4本直列、
溶離液:テトラヒドロフラン
検量線:ポリスチレン標準サンプルを用いて規定された検量線{ポリスチレン標準サンプル(昭和電工(株)製Shodex STANDARD SM-105)による検量線使用}
実施例及び比較例における評価用フィルムは、次のようにして作製した。
<転写フィルムの作製>
下記表1に示す組成に従って、複数の成分をそれぞれ250mlのプラスチックボトルに量り取り、固形分濃度が47質量%となるようにエチルメチルケトンを投入し、撹拌機を用いて溶解・混合を行って、感光性樹脂組成物調合液(実施例1~12、及び比較例1~6)を調製した。
<サンプル作製法>
上記で作製した感光性樹脂層の厚みが25μmの感光性樹脂積層体の保護フィルムを剥がしながら、サイズ:10cm×15cmのフレキシブル銅張積層板(メタロイヤル(登録商標)、Toray Advanced Materials Korea Inc製品名)上に、ホットロールラミネーター(大成ラミネーター(株)製、VA-400III)を用いて、ラミネートを行い、上から順に仮支持体フィルム/感光性樹脂層/フレキシブル銅張積層板の3層構造から成る積層体を得た(ラミネート条件はロール温度85℃、エアー圧力0.2MPa、及び速度2.0m/分であった)。15分静置後、仮支持体フィルムの上にPETマスクとストゥーファー21段ステップタブレット(光学密度0.00を1段目とし、1段毎に光学密度が0.15ずつ増加するステップタブレット)を並べて置き、PETマスク及びステップタブレット側から各組成の最適露光量を決定し、平行光露光機((株)オーク製作所社製、HMW―801)により露光した。PETマスクとしては、未露光部分が円孔となるパターンを有するものを使用した。その後、15分以上静置した後、仮支持体を剥がし、(株)フジ機工製現像装置を用い、フルコーンタイプのノズルにて現像スプレー圧0.12MPaで、30℃の1質量%Na2CO3水溶液を感光性樹脂層が完全に溶解するまでの時間(ブレークポイント)の2倍の現像時間に亘ってスプレーして現像し、感光性樹脂層の未露光部分を溶解除去した。その際、水洗工程は、フラットタイプのノズルにて水洗スプレー圧0.06MPaで、現像工程と同じ時間に亘って行い、水洗されたサンプルをエアーブローにより乾燥させて、現像性評価用のサンプルを作製した。上記最適露光量とは、ストゥーファー21段ステップタブレットを介して露光した場合に残膜する段数が8~9段となるような露光量を意味する。
作製した保護膜付き基板の感光性樹脂層を除去した円孔70μm部分の基材表面状態を顕微鏡で観察し、以下のように判定した。
A:基材表面に変化なし。
B:基材表面の銅がわずかに赤く変色するが、現像残さなし。
C:基材表面の銅が赤く変色し、現像残さが発生する。
現像性評価においては、Bランク以上が実用上良好な結果であると考えられる。
<サンプル作製法>
上記で作製した感光性樹脂層の厚みが25μmの感光性樹脂積層体の保護フィルムを剥がしながら、サイズ:10cm×15cmのフレキシブル銅張積層板(メタロイヤル(登録商標)、Toray Advanced Materials Korea Inc製品名)上に、ホットロールラミネーター(大成ラミネーター(株)製、VA-400III)を用いて、ラミネートを行い、上から順に仮支持体フィルム/感光性樹脂層/フレキシブル銅張積層板の3層構造から成る積層体を得た(ラミネート条件はロール温度85℃、エアー圧力0.2MPa、及び速度2.0m/分であった)。15分静置後、仮支持体フィルムの上にPETマスクとストゥーファー21段ステップタブレット(光学密度0.00を1段目とし、1段毎に光学密度が0.15ずつ増加するステップタブレット)を並べて置き、PETマスク及びステップタブレット側から各組成の最適露光量(定義は2.現像性評価と同様)を決定し、平行光露光機((株)オーク製作所社製、HMW―801)により露光した。PETマスクとしては、未露光部分が円孔となるパターンを有するものを使用した。その後、15分以上静置した後、仮支持体を剥がし、(株)フジ機工製現像装置を用い、フルコーンタイプのノズルにて現像スプレー圧0.12MPaで、30℃の1質量%Na2CO3水溶液を感光性樹脂層が完全に溶解するまでの時間(ブレークポイント)の2倍の現像時間に亘ってスプレーして現像し、感光性樹脂層の未露光部分を溶解除去した。その際、水洗工程は、フラットタイプのノズルにて水洗スプレー圧0.06MPaで、現像工程と同じ時間に亘って行い、水洗されたサンプルをエアーブローにより乾燥させた。その後、散乱光露光機にて感光層側から300mJ/cm2の露光量で露光し、続いて、露光後の熱風循環式オーブンにて175℃、60分間の条件で加熱し、サンプルを作製した。
上記で作製した感光性樹脂層/フレキシブル銅張積層板から成る積層体を1cm幅×15cmのサイズに加工し、加工したサンプルの感光性樹脂層面にポリオレフィンプライマー:セメダインPPX-3(セメダイン株式会社製品名)を用いて表面処理を行い、自然乾燥させた。別途、2cm幅に加工したガラエポ基板上に瞬間接着剤:セメダインPPX(セメダイン株式会社製品名)を塗り、処理を行った感光性樹脂層面をガラエポ基板側に向けた状態でゴムローラーを用いて張り合わせ、ピール強度評価用サンプルを作製した。ピール強度評価用サンプルは温度23℃/湿度50%の条件で24時間静置後に下記の条件でピール強度の測定を行った。
(条件)
測定装置:引張試験機 テンシロンRTM-500(ORIENTEC製)
引張速度:50mm/分
引張荷重:5kgf
剥離モード:90°剥離
(基準)
A:ピール強度が0.5N/cm以上
B:ピール強度が0.25N/cm以上、0.5N/cm未満
C:ピール強度が0.25N/cm未満
なお、ピール強度評価においては、Bランク以上が実用上良好な結果であると考えられる。
<サンプル作製法>
あらかじめL/S=50/50μmでイオンマイグレーション評価用の櫛形配線をパターニングしたフレキシブル銅張積層板(エスパネックス:MC12-25-00HRM、日鉄ケミカル&マテリアル製品名)の導体上に、上記で作製した感光性樹脂層の厚みが25μmの感光性樹脂積層体の保護フィルムを剥がしながら、ロール式熱真空ラミネーター(エム・シー・ケー社製、MVR-250)を用いてラミネートを行い、上から順に仮支持体フィルム/感光性樹脂層/フレキシブル銅張積層板の3層構造から成る積層体を得た(ラミネート条件は、ロール温度80℃、エアー圧力0.4MPa、真空度=100Pa、及び速度2.0m/分であった)。15分静置後、支持フィルムの上にPETマスクとストゥーファー21段ステップタブレット(光学密度0.00を1段目とし、1段毎に光学密度が0.15ずつ増加するステップタブレット)を並べて置き、PETマスク及びステップタブレット側から各組成の最適露光量(定義は2.現像性評価と同様)を決定し、平行光露光機((株)オーク製作所社製、HMW―801)により露光した。PETマスクとしては、未露光部分が円孔となるパターンを有するものを使用した。その後、15分以上静置した後、仮支持体を剥がし、(株)フジ機工製現像装置を用い、フルコーンタイプのノズルにて現像スプレー圧0.12MPaで、30℃の1質量%Na2CO3水溶液を感光性樹脂フィルム層が完全に溶解するまでの時間(ブレークポイント)の2倍の現像時間に亘ってスプレーして現像し、感光性樹脂層の未露光部分を溶解除去した。その際、水洗工程は、フラットタイプのノズルにて水洗スプレー圧0.06MPaで、現像工程と同じ時間に亘って行い、水洗されたサンプルをエアーブローにより乾燥させた。その後、散乱光露光機にて感光層側から3000mJ/cm2の露光量で露光し、続いて、露光後の熱風循環式オーブンにて150℃、60分間の条件で加熱し、キュアを行い、フレキシブルプリント配線板の積層体を得た。その後、電磁波シールドフィルム(SF-PC5600-C、タツタ電線株式会社製)をフレキシブルプリント配線板の感光性樹脂層の陰極側電極と一部接続するように位置合わせを行い、真空プレス(北川精機製)を用いて、170℃、3MPa、及び5分の条件下で積層した後、熱風循環式オーブンにて150℃、及び60分間の条件下で加熱し、キュアを行った。
上記の方法で作製した電磁場シールドフィルム付きのプリント配線板を、下記の装置と条件を用いて、絶縁抵抗値を測定し、絶縁抵抗値の値が低下するまでの時間を確認することで絶縁信頼性を評価した。
下記の装置を用いて下記の条件下で電圧50VDCをプリント配線板に1000時間連続して印加した。
イオンマイグレーション装置:AMI-050-U-5(エスペック社製)
恒温恒湿オーブン:PR-2KT(エスペック社製)
温湿度条件:85℃/85%RH
電圧:50VDC
A:絶縁抵抗値が変化するまでの時間が500hr以上
B:絶縁抵抗値が変化するまでの時間が250hr以上500hr未満
C:絶縁抵抗値が変化するまでの時間が250hr未満
絶縁信頼性試験の結果においては、Bランク以上が実用上良好な結果であると考えられる。
<サンプル作製法>
上記で作製した感光性樹脂層の厚みが25μmの感光性樹脂積層体の保護フィルムを剥がしながら、サイズ:10cm×15cmの易剥離PET(X-25、リンテック株式会社製品名)上に、ホットロールラミネーター(大成ラミネーター(株)製、VA-400III)を用いて、ラミネートを行い、上から順に仮支持体フィルム/感光性樹脂層/易剥離PETの3層構造から成る積層体を得た(ラミネート条件はロール温度85℃、エアー圧力0.2MPa、及び速度2.0m/分であった)。15分静置後、仮支持体フィルムの上にPETマスクとストゥーファー21段ステップタブレット(光学密度0.00を1段目とし、1段毎に光学密度が0.15ずつ増加するステップタブレット)を並べて置き、PETマスク及びステップタブレット側から各組成の最適露光量(その定義は、上記「2.現像性評価」と同様である)を決定し、平行光露光機((株)オーク製作所社製、HMW―801)により露光した。PETマスクとしては、未露光部分が円孔となるパターンを有するものを使用した。その後、15分以上静置した後、仮支持体を剥がし、(株)フジ機工製現像装置を用い、フルコーンタイプのノズルにて現像スプレー圧0.12MPaで、30℃の1質量%Na2CO3水溶液を感光性樹脂層が完全に溶解するまでの時間(ブレークポイント)の2倍の現像時間に亘ってスプレーして現像し、感光性樹脂層の未露光部分を溶解除去した。その際、水洗工程は、フラットタイプのノズルにて水洗スプレー圧0.06MPaで、現像工程と同じ時間に亘って行い、水洗されたサンプルをエアーブローにより乾燥させた。その後、散乱光露光機にて感光層側から300mJ/cm2の露光量で露光し、続いて、露光後の熱風循環式オーブンにて175℃、及び60分間の条件下で加熱し、サンプルを作製した。
上記で作製した誘電正接評価用サンプルを、下記の測定機器を用い、空洞共振器法(JIS-C-2565規格準拠)に基づき、周波数2.45GHz、及び10GHzにおける誘電正接をそれぞれ測定した。測定結果を以下のように判定した。
ネットワークアナライザ:PNA Network Analyzer E8362B(KEYSIGHT TECHNOLOGIES社製)
共振器:空洞共振器
(判定基準)
A:誘電正接0.008未満
B:誘電正接0.008以上、0.01未満
C:誘電正接0.01以上
誘電正接測定結果においては、Bランクまでが実用上良好な結果であると考えられる。
<サンプル作製法>
感光性樹脂層の厚みが8μmの感光性樹脂積層体を5cm×5cmにカットし、仮支持体側から各組成の最適露光量で露光し、そして15分以上静置した後、保護フィルムを剥離し、(株)フジ機工製現像装置を用い、フルコーンタイプのノズルにて現像スプレー圧0.12MPaで、33℃の1質量%Na2CO3水溶液を45秒間に亘ってスプレーして現像し、感光性樹脂層の未露光部分を溶解除去した。その際、水洗工程は、フラットタイプのノズルにて水洗スプレー圧0.12MPaで、現像工程と同じ時間に亘って行い、水洗されたサンプルをエアーブローにより乾燥させた。現像後15分以上静置した後、散乱光露光機にて感光性樹脂層側から350mJ/cm2の露光量で露光した。15分以上静置した後、続いて、熱風循環式オーブンにて150℃で30分間処理を行い、5cm×5cmサイズのサンプルを作製した。最適露光量は、上記「2.現像性評価」用サンプル作製方法と同様の定義である。
上記方法で作製したサンプルを赤外分光光度計(Thermo Fisher SCIENTIFIC社製、CONTINUμM FT/IR Microscope)を用いてATR法で400cm-1~4000cm-1の波数領域を測定した。得られたIRスペクトルから、芳香族由来のピーク(I)(700cm-1付近)と脂肪族由来のピーク(II)(1450cm-1付近)のそれぞれのピーク強度を求めた。ピーク強度比は上記計算式(2)に示す計算式を用いて算出した。
また、実施例1と実施例3の対比より、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)光重合開始剤、(C)少なくとも1つエチレン性不飽和基を有する重合性化合物、(D)架橋剤、及び(E)少なくとも2つのアルコール性水酸基を有する化合物から成る感光性樹脂組成物に、(F)リン原子を有し、かつ23℃で固体状である難燃剤をさらに加えることで、密着性、絶縁信頼性、及び低誘電正接がさらに改善されることが確認された。
Claims (11)
- 高周波回路基板の絶縁膜形成用の感光性樹脂組成物であって、(A)アルカリ可溶性樹脂を含み、かつ下記の条件(1)~(4):
(1)該感光性樹脂組成物の硬化物が、1GHz~28GHzの範囲において、誘電正接(Df)が0.0100未満である;
(2)該感光性樹脂組成物の硬化物は、10GHzで測定される誘電正接が2.45GHzで測定される誘電正接より低い;
(3)該感光性樹脂組成物から成る厚み25μmの感光性樹脂層を含む積層体が、1質量%炭酸ナトリウム現像液で、70μm以下の円孔パターンを解像する;及び
(4)該感光性樹脂組成物から成る厚み8μmの感光性樹脂層を含む積層体の赤外分光法による赤外吸収スペクトルにおいて、波数700cm-1付近のスペクトルのピーク強度(I)と、波数1450cm-1付近のスペクトルのピーク強度(II)とのピーク強度比(I/II)が、2.9以上である;
を満たし、
以下の成分:
前記(A)アルカリ可溶性樹脂;
(B)光重合開始剤;
(C)少なくとも1つエチレン性不飽和基を有する重合性化合物;
(D)架橋剤;及び
(E)少なくとも2つのアルコール性水酸基を有する化合物
を含み、前記(A)成分であるアルカリ可溶性樹脂が:
(A-1)芳香族環を有する構造単位を70質量%以上有し、かつアクリル酸の構造単位を20質量%以上有する樹脂
を含むことを特徴とする感光性樹脂組成物。 - 更に、以下の成分:
(A-2)前記(A-1)成分以外の光架橋性を有するカルボキシル基含有樹脂
を含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。 - 前記(D)成分が、窒素原子を含有する化合物である、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(D)成分が、ブロックイソシアネートである、請求項1~3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(E)成分が、芳香族基をさらに有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- (F)リン原子を有し、23℃で固体状である難燃剤をさらに含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(B)成分が、オキシムエステルである、請求項1~6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- 高周波回路基板の絶縁膜形成用の転写フィルムであって、
仮支持体と、
前記仮支持体の上に設けられた、請求項1~7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層と、
を備える積層体である、転写フィルム。 - 前記高周波回路基板が、プリント配線板である、請求項8に記載の転写フィルム。
- 前記高周波回路基板が、フレキシブルプリント配線板(FPC)である、請求項9に記載の転写フィルム。
- 基板上に、請求項8~10のいずれか1項に記載の転写フィルムをラミネートし、露光処理及び/又は加熱処理して得られた硬化膜。
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