本発明の第1実施形態に係るローラ1及びローラケース10について、図1~図6を参照して説明する。ローラケース10は、製造されたローラ1を搬送(出荷)する場合や保管する場合等において、ローラ1を保護する容器として使用される。
図6に示すように、ローラ1は、円筒状のローラ本体2の内周面がローラ支持軸3(回転軸5)の外周面に固定的に支持された所謂軸付きローラである。なお、以下の説明において、上下方向は略鉛直方向を意味し、前後方向は上下方向と略直交するローラ支持軸3(回転軸5)の軸方向を意味し、左右方向は、上下方向及び前後方向と略直交する方向を意味する。各方向は、ローラケース10に収納されたローラ1の回転軸5が略水平に延びる状態を想定した方向である。
ローラ本体2は、弾性を有する軟質多孔質素材によって形成されている。ローラ本体2の外周面は、曲面形状であってもよく、多数の突起が曲面から突出する等の凹凸形状であってもよい。軟質多孔質素材としては、高分子化合物多孔質素材、例えば含水状態で弾性を有するポリビニルアセタール系多孔質素材(PVAt系多孔質素材)や、乾燥及び含水状態で共に弾性を有するポリウレタン系多孔質素材などが使用される。
本実施形態のローラ支持軸3は、回転軸5と前後のストッパ7とを備え、回転軸5及びストッパ7は、金属やプラスチックなどの硬質な材料によって形成されている。回転軸5は、例えば、ローラ本体2の内径以上の外径を有する略円柱状又は略円管形状であり、ローラ本体2の内径部に挿入されてローラ本体2を保持する。回転軸5の一端側(前端側)及び他端側(後端側)には、ローラ支持軸3(回転軸5)の軸方向に延びてローラ本体2の両端面(前後の端面)から突出する回転軸端部6が一体的に設けられている。回転軸端部6の外周には雄ネジ8が形成され、回転軸端部6の端面には、断面円形状の軸端面穴6aが形成されている。
図3、図4及び図6に示すように、ストッパ7は、ローラ本体2の外径よりも僅かに小さい外径を有するドーナツ板状であり、ストッパ7の内径面には、回転軸端部6の雄ネジ8と螺合可能な雌ネジ9が形成されている。前後のストッパ7は、各ストッパ7の雌ネジ9を前後の回転軸端部6の雄ネジ8に螺合して締め込むことによってローラ本体2の端面近傍で回転軸5に固定(装着)され、回転軸5に対するローラ本体2の軸方向の移動を阻止する。
回転軸端部6とストッパ7とは、ローラ支持軸3の軸端部4を構成する。なお、回転軸にストッパを装着せず、雄ネジが形成されていない回転軸端部によってローラ支持軸の軸端部を構成してもよい。また、ストッパ7をネジの螺合以外の構造によって回転軸端部6に固定してもよい。
本実施形態では、回転軸5の前端(前側の回転軸端部6の先端)は、前側のストッパ7の前端面から僅かに前方へ突出し(図3参照)、回転軸5の後端(後側の回転軸端部6の先端)は、後述する支持凹部44と係合可能なように後側のストッパ7の後端面から大きく後方へ突出する(図4参照)。
なお、回転軸5の外周の断面形状は、円形に限定されず、例えば多角形や凹凸を有する形状等であってもよい。ローラ本体2は、回転軸5との間の摩擦力のみによって回転軸5に保持されてもよく、接着剤等によって回転軸5に保持されてもよい。また、原料を含む液体(混合液)を型内で固化して多孔質素材(ローラ本体2)を製造する場合、回転軸5を型内にセットした状態で混合液を固化する(製造後のローラ本体2に回転軸5を挿入せずに、ローラ本体2を回転軸5と一体的に形成する)ことによって、回転軸5にローラ本体2を保持させてもよい。また、回転軸5の前端(前側の回転軸端部6)は、前側のストッパ7の前端面から前方へ突出していなくてもよい。
図3~図5に示すように、ローラ1が装着される装置40は、処理対象物の表面(被処理面)を洗浄する洗浄装置や、被処理面から液体を除去する吸液装置や、被処理面に対して液体を供給する給液装置などであり、ローラ本体2の外周面を被処理面に回転接触させることによって洗浄等が行われる。装置40には、ローラ支持軸3の前側(一端側)及び後側(他端側)の軸端部(係合部)4とそれぞれ係合可能な前側及び後側の軸係合部41,42が設けられ、ローラ支持軸3(回転軸5)は、前後の軸係合部41,42に前後の軸端部4をそれぞれ係合することによって、軸係合部41,42に対する相対回転が阻止された状態で装置40に装着される。装置40に装着された回転軸5は、前後の軸係合部41,42の少なくとも一方が駆動回転することによって回転し、回転軸5に固定的に支持されたローラ本体2が回転する。
本実施形態の前側の軸係合部41は、前側の軸端部4(回転軸端部6)の軸端面穴6aに挿入されて回転軸端部6の内周端と当接する支持凸部43を有し(図3参照)、後側の軸係合部42は、後側の軸端部4(回転軸端部6)が挿入されて回転軸端部6の外周端と当接する支持凹部44を有する(図4参照)。前後の軸係合部41,42の前後方向(軸方向)の相対距離は変更可能であり、前後の軸係合部41,42を十分に離間させた状態で軸係合部41,42の間に回転軸5を挿入し(図5(a)参照)、前後の軸係合部41,42の一方又は双方を移動させて両者を徐々に近づけ、前側の回転軸端部6の軸端面穴6aに支持凸部43を挿入するとともに、後側の回転軸端部6を支持凹部44に挿入することにより、回転軸5が軸係合部41,42によって前後から挟まれて支持される(図5(b)参照)。すなわち、ローラ1の前後の回転軸端部6は、装置40側の前後の軸係合部41,42とそれぞれ係合可能な係止部を構成する。ローラ1の回転軸5の軸心が装置40の駆動回転軸の軸心に一致し易いように、支持凸部43の外周面と支持凹部44の内周面とはそれぞれテーパ状に形成されており、装置40に装着された回転軸5の軸心は、装置40側の駆動回転軸の軸心と略一致する(図5(d)参照)。
なお、前後の軸係合部41,42の双方が支持凸部43であってもよく、反対に支持凹部44であってもよい。前後の軸係合部41,42の双方が支持凹部44の場合、回転軸5の前端及び後端(前後の回転軸端部6の各先端)を、支持凹部44と係合可能なように前側のストッパ7の前端面及び後側のストッパ7の後端面から前方及び後方へ大きく突出させる。また、支持凸部43及び/又は支持凹部44の形状は、テーパ状に限定されず、ローラ1の回転軸端部6と係合可能な形状であればよい。
図1~図5に示すように、ローラケース10は、下側の第1ケース体(下ケース)11と上側の第2ケース体(上ケース)12とを備える。本実施形態では、同一形状の2つのケース体20を第1ケース体11及び第2ケース体12として用いる。ケース体20(第1ケース体11及び第2ケース体12)は、その各部が真空成形等によって薄肉状に一体形成された樹脂製である。本実施形態のローラケース10(ケース体20)は、表面を指先で押圧すると弾性変形して凹む程度の肉厚を有し、ケース体20を形成する樹脂としては、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、PS(ポリスチレン)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、ABS(acrylonitrile butadiene styrene)、PC(ポリカーボネート)、PVC(ポリ塩化ビニル)などが用いられる。なお、第1ケース体11及び/又は第2ケース体12を透明又は半透明の樹脂で形成することにより、収容物(ローラ1)が外部から視認可能となる。また、第1ケース体11と第2ケース体12とを、同一形状とせず異なる形状としてもよく、表面を指先で押圧しても容易に変形しない硬さとしてもよい。
ケース体20は、矩形枠状(額縁状)のベース面部21と、ベース面部21の内周縁から軸交叉方向の一方側へ凹むカバー部22とを一体的に有する。第1ケース体11のカバー部22は第1カバー部13を構成し、第2ケース体12のカバー部22は第2カバー部14を構成する。カバー部22は、軸交叉方向の他方側へ開口する収容空間23(第1収容空間15、第2収容空間16)を区画する。ケース体20は、第1ケース体11及び第2ケース体12の双方として機能するように軸方向に対して左右対称に概略構成されている。2つのケース体20(第1ケース体11及び第2ケース体12)は、その一方(第1ケース体11)を、第1収容空間15が上方へ開口する姿勢(基本姿勢)で置き、他方(第2ケース体12)を、収容空間23が下方へ開口するように基本姿勢から反転(軸方向を中心として180度回転)させた姿勢(反転姿勢)で第1ケース体11に上方から重ねることによって使用される。
ベース面部21は、矩形枠の長辺となる左右1対のベース長面部24と、矩形枠の短辺となる前後1対のベース短面部25とを有する。ベース長面部24は、軸方向に沿って前後方向に延び、ベース短面部25は、軸交叉方向に沿って左右方向に延びる。
カバー部22は、左右1対のカバー側面部26と、前後1対のカバー端面部27と、カバー頂面部28とを有する。カバー側面部26は、ベース長面部24の軸方向の中央部分の内縁から軸交叉方向の一方側(図1中の下方)へ延びる矩形状であり、カバー頂面部28は、左右のカバー側面部26の端縁を連結する矩形状である。カバー頂面部28は、ケース体20を基本姿勢とした場合にはカバー底面部となり、反転姿勢とした場合にはカバー上面部となる。なお、カバー部22の形状は上記に限定されず、例えば、左右のカバー側面部とカバー端面部とが湾曲面状に連続する(全体で半円弧状に湾曲する)形状であってもよい。
前後のベース短面部25には、ベース短面部25から軸交叉方向の一方側(図1中の下方)へ半円弧状に凹むストッパ挿入部(前側ストッパ挿入部29及び後側ストッパ挿入部30)が形成されている。前側ストッパ挿入部29及び後側ストッパ挿入部30の内面は、ストッパ7の外周面に当接して支持可能なように、ストッパ7の外径と略等しい径を有する半円弧状の湾曲面である。第1ケース体11の前側ストッパ挿入部29及び後側ストッパ挿入部30は第1支持部を構成し、第2ケース体12の前側ストッパ挿入部29及び後側ストッパ挿入部30は第2支持部を構成する。
前側のカバー端面部27は、前側ストッパ挿入部29の後端縁及び前側ストッパ挿入部29の両側のベース短面部25の内縁と、左右のカバー側面部26の前端縁と、カバー頂面部28の前端縁とが区画する領域を閉止する。後側のカバー端面部27は、後側ストッパ挿入部30の前端縁及び後側ストッパ挿入部30の両側のベース短面部25の内縁と、左右のカバー側面部26の後端縁と、カバー頂面部28の後端縁とが区画する領域を閉止する。
左右のベース長面部24には、係止突部31及び係合凹部32がそれぞれ形成されている。右側及び左側の係止突部31は、ベース長面部24から軸交叉方向の他方側へ突出し、右側及び左側の係合凹部32は、左側及び右側の係止突部31と係合可能にベース長面部24から軸交叉方向の一方側へ凹む。基本姿勢のケース体20と反転姿勢のケース体20とが係合可能となるように、左側の係止突部31と右側の係合凹部32、及び左側の係合凹部32と右側の係止突部31は、それぞれ軸方向に対して左右対称に配置されている。なお、第1ケース体11と第2ケース体12とを異なる形状とする場合には、係止突部及び係合凹部の配置は上記に限定されない。
収容空間23が上方へ開口する基本姿勢で一方のケース体20(第1ケース体11)を置き、収容空間23が下方へ開口する反転姿勢の他方のケース体20(第2ケース体12)を、係止突部31と係合凹部32とを合わせて上方から重ねて押下げると、第2ケース体12の係止突部31が第1ケース体11の係合凹部32と係合し、第1ケース体11の係止突部31が第2ケース体12の係合凹部32と係合してケース閉状態となる。ケース閉状態は、係止突部31と係合凹部32との係合によって保持される。ケース閉状態では、第1ケース体11のベース面部21と第2ケース体12のベース面部21とが近接又は接触して相対向し、第1収容空間15と第2収容空間16とがローラ本体収容空間17を区画する。
係止突部31と係合凹部32との係合が解除され、第1ケース体11と第2ケース体12とが分離されてローラ本体収容空間17が開放されたケース開状態において、基本姿勢の第1ケース体11の前側ストッパ挿入部29及び後側ストッパ挿入部30に前後のストッパ7をそれぞれ上方から載置し、第1ケース体11に第2ケース体12を重ねてケース閉状態とすることにより、ローラケース10にローラ1が収納されたローラ収納状態となる。ローラ収納状態では、ローラ本体2が第1ケース体11及び第2ケース体12から離間した状態でローラ本体収容空間17に収容され、第1ケース体11の前側ストッパ挿入部29及び後側ストッパ挿入部30と第2ケース体12の前側ストッパ挿入部29及び後側ストッパ挿入部30との間で前後のストッパ7が軸交叉方向から挟まれて保持され、第1ケース体11及び第2ケース体12によってローラ本体2の略全体が覆われる。
前側ストッパ挿入部29の前端には、ケース前端面部33が形成され、後側ストッパ挿入部30の後端には、ケース後端面部34が形成されている。ローラ収納状態において、ケース前端面部33は、前側のストッパ7の前面に近接又は接触して前側のストッパ7の前方への移動を規制し、ケース後端面部34は、後側のストッパ7の後面に近接又は接触して後側のストッパ7の後方への移動を規制する。すなわち、ローラ収納状態における回転軸5の軸方向及び軸交叉方向の移動は、前側ストッパ挿入部29及びケース前端面部33と後側ストッパ挿入部30及びケース後端面部34とによって阻止され、ケース前端面部33とケース後端面部34とは、ローラ支持軸3の軸端部4と当接して軸方向へのローラ支持軸3の移動を規制する移動規制部として機能する。
ケース前端面部33には前開口35が形成され、ケース後端面部34には後開口36が形成されている。前開口35及び後開口36は、回転軸端部6の外径よりも僅かに大きい径を有する半円形状であり、ケース閉状態において、第1ケース体11の前開口35と第2ケース体12の前開口35とは円形状の前開口孔18を区画し、第1ケース体11の後開口36と第2ケース体12の後開口36とは円形状の後開口孔19を区画する。なお、前開口孔18及び後開口孔19の形状は、略円形に限定されず、略矩形状等の他の形状であってもよい。また、回転軸端部6がストッパ7から突出しないように構成した場合、対応する開口(前開口及び/又は後開口)は、回転軸端部6の内径(軸端面穴6aの径)よりも大きい径であればよい。
ローラ収納状態において、回転軸5の前端は、ケース前端面部33の近傍に位置して前開口孔18から前方へ露出し、回転軸5の後端は、後開口孔19を挿通して後方へ突出する。すなわち、第1ケース体11の前開口35及び後開口36は、第1ケース体11の前側ストッパ挿入部29及び後側ストッパ挿入部30に支持されたローラ支持軸3の前後の回転軸端部6をそれぞれ露出させる前端側及び後端側の第1開口部を構成する。また、第2ケース体12の前開口35及び後開口36は、第2ケース体12の前側ストッパ挿入部29及び後側ストッパ挿入部30に支持されたローラ支持軸3前後の回転軸端部6をそれぞれ露出させる前端側及び後端側の第2開口部を構成する。
このように、ローラケース10の前後に前開口孔18及び後開口孔19を設けているので、ローラ収納状態において、前側の回転軸端部6は、前開口孔18を介して露出して装置40の前側の軸係合部41(支持凸部43)と係合可能な状態となり、後側の回転軸端部6は、後開口孔19を介して露出して装置40の後側の軸係合部42(支持凹部44)と係合可能となる。また、前開口孔18及び後開口孔19は、第1ケース体11側と第2ケース体12側とにそれぞれ半円状に分割されるので、第1ケース体11と第2ケース体12との係合は、ローラ1を装置40側に装着した軸装着状態(前後の回転軸端部6が前後の軸係合部41,42と係合した状態)であっても解除可能である。
なお、カバー頂面部28に、外側へ突出してカバー頂面部28を補強する複数のリブを形成してもよい。さらに、複数のリブを畝状リブ及び環状リブによって構成し、一方のケース体20のカバー頂面部28の外面と他方のケース体20のカバー頂面部28の外面とを対向させて重ねることにより、畝状リブが環状リブの内側に挿入されて係合するように、2つの畝状リブと2つの環状リブとをカバー長面部28に対角状に配置してもよい。畝状リブと環状リブとの係合により、第1ケース体11と第2ケース体12との重なり状態が安定するので、ローラ収納状態のローラケース10を多段に安定して積み重ねておくことが可能となる。
ローラケース10にローラ1を収納する場合、ローラケース10をケース開状態とし、第1ケース体11を第1収容空間15が上方へ開口する基準姿勢で置き、第1ケース体11の上方からローラ1を下降させ、第1ケース体11の前側ストッパ挿入部29及び後側ストッパ挿入部30に前後のストッパ7をそれぞれ上方から載置する。係る回転軸載置状態では、ローラ本体2の下部が第1収容空間15に収まり、ローラ本体2の外周面及び両端面の下側領域が第1カバー部13に非接触状態で覆われる。
次に、係止突部31と係合凹部32との位置を合わせながら第1ケース体11に反転姿勢の第2ケース体12を上方から被せて、係止突部31を係合凹部32に係合する。係るローラ収納状態(ローラ1が収納されたケース閉状態)では、ローラ本体2の上部が第2収容空間16に収まり、ローラ本体2の外周面及び両端面の上側領域が第2カバー部14に非接触状態で覆われ、ローラ本体2がローラ本体収容空間17に収容される。また、ローラ収納状態では、第1ケース体11の前側ストッパ挿入部29及び後側ストッパ挿入部30と第2ケース体12の前側ストッパ挿入部29及び後側ストッパ挿入部30との間で前後のストッパ7が軸交叉方向から挟まれて保持され、ローラ本体5の略全体が第1ケース体11と第2ケース体12とによって覆われる。
ローラケース10からローラ1を取出す場合、第2ケース体12を第1ケース体11から引き離すように持ち上げ、係止突部31と係合凹部32との係合を解除してケース開状態とし、軸端部4を両手で摘んでローラ1(回転軸5)を引き上げ、ローラ1を第1ケース体11から取り出す。
上記ローラ1の収納や取出しに際しては、前後の軸端部4の端面に軸方向外側から両手の指先を当て、前後の軸端面穴6aに指先を引っ掛けて回転軸5を支持した状態で、ローラ1(回転軸5)を昇降させることができる。
また、ローラケース10に収納されたローラ1を装置40に装着する場合、図5に示すように、装置40の前後の軸係合部41,42を十分に離間させた状態で、回転軸5をケース収納状態のまま軸係合部41,42の間に挿入し(図5(a))、前後の軸係合部41,42の一方又は双方を移動させて両者を徐々に近づけ、前側の回転軸端部6の軸端面穴6aに支持凸部43を挿入するとともに、後側の回転軸端部6を支持凹部44に挿入することにより、回転軸5を軸係合部41,42によって前後から挟んで支持する(図5(b)参照)。これにより、ローラ1は、ローラケース10に収納された状態のまま装置40に装着される。
なお、軸係合部41,42の少なくとも一方がバネ等によって相手側に付勢され、係る付勢力に抗して一方の軸係合部を押込むことによって前後の回転軸端部6を前後の軸係合部41,42に係合可能に構成された装置40の場合、ケース収納状態のまま一方の回転軸端部6で一方の軸係合部を押込むことによって、ローラ1を装置40に装着することができる。例えば、前側の軸係合部41が後方に付勢されている場合、前側の回転軸端部6を前側の軸係合部41に係合させながら軸係合部41を前方へ十分に押込み、後側の回転軸端部6を後側の軸係合部42に係合させながら前方への押込みを解除することにより、前側の軸係合部41の付勢力によって回転軸5が前後の軸係合部41,42に挟まれて支持される。
ケース収納状態のローラ1を装置40に装着した後、作業者は、第1ケース体11と第2ケース体12とを掴んで軸交叉方向へ引き離し、係止突部31と係合凹部32との係合を解除してケース開状態とし、ローラ1からローラケース10を取外す(図(c)及び(d))。なお、軸交叉方向へのケース体20の移動スペースが制限されており(例えば上方には移動可能であるが、左右及び下方には移動不可であり)、2つのケース体20を同時に取外すことができない場合、一方のケース体20(例えば第2ケース体12)を取外した後(例えば上方へ引き上げて取外した後)、他方のケース体20(例えば第1ケース体11)を取外し可能な位置まで回転移動させて取外す(例えば上方へ引き上げて取外す)というように、2つのケース体20を1つずつ取外しもよい。
このように、ローラ1をローラケース10に収納する場合や収納されたローラ1をローラケース10から取出す場合、ローラ1を軸方向(前後方向)ではなく軸交叉方向(上下方向)に移動させるので、収納や取出しの作業を容易に行うことできる。また、収納時や取出し時にローラ本体2がローラケース10(第1ケース体11)に接触し難く、ローラ本体2の変形や損傷や汚れを確実に防止することができる。
また、作業者は、ローラ1の収納時や取出し時において、前後の軸端面穴6aに指先を引っ掛けて回転軸5を支持した状態で、ローラ1(回転軸5)を昇降させることができ、作業性が向上する。
また、ローラ収納状態における回転軸5の軸方向及び軸交叉方向の移動は、ストッパ挿入部29及びケース前端面部33と後側ストッパ挿入部30及びケース後端面部34とによって阻止されるので、ローラ1をローラケース10に収納して搬送する際等に、ローラケース10との接触に起因するローラ本体2の変形や損傷や汚れを確実に防止することができる。
さらに、ローラ収納状態のローラ1を装置40に装着する場合、作業者は、ローラ収納状態のままローラ1を装置40に装着して軸装着状態とした後、第1ケース体11と第2ケース体12との係合を解除して第1ケース体11及び第2ケース体12をローラ1から取外すことができる。従って、作業者は、収納されたローラ1を装置40に装着する際にローラ本体2を把持してローラケース1から取出す必要がなく、ローラ装着時のローラ本体2の変形や損傷や汚れを確実に防止することができる。
次に、本発明の第2実施形態について、図7~図12を参照して説明する。第2実施形態のローラケース50は、前後のフランジ(前側フランジ51及び後側フランジ52)によってローラ支持軸3の前端側及び後端側を支持したものであり、第1実施形態と共通する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図7~図12に示すように、本実施形態のローラ支持軸3は、回転軸5を備えるが第1実施形態のような前後のストッパ7は備えず、ローラ支持軸3の前端側及び後端側の軸端部4(回転軸端部6)には、軸落下規制部材としてのフランジ(前側フランジ51及び後側フランジ52)が着脱自在に取付けられる。
前後のフランジ51,52は、ローラ本体2の外径よりも大きい外径を有するドーナツ板状である。フランジ51,52は、硬質の金属製や樹脂製等であり、例えばPP、PE、ABSなどによって形成されている。フランジ51,52は、ケース体20よりも高い面剛性を有するように(ケース体20よりも変形し難いように)構成されている。フランジ51,52の面剛性をケース体20よりも高くする構成は、フランジ51,52をケース体20よりも硬質な素材によって形成する(例えば、フランジ51,52を金属板によって形成する)ことや、フランジ51,52をケース体20よりも厚肉に形成することによって得ることが可能であり、本実施形態では、フランジ51,52をケース体20よりも厚肉の樹脂板によって形成している。
前後の各フランジ51,52の中心部には、軸端部4(回転軸端部6)の外径と略同じか僅かに大きい内径を有する軸挿通孔53が形成され、軸挿通孔53を軸端部4が挿通した状態で、前後の軸端部4に前後のフランジ51,52がそれぞれ着脱可能に取付けられる。
前後のフランジ51,52は、ローラ支持軸3(回転軸5)から軸交叉方向に分かれて離脱可能な複数の分割フランジ(分割板)54を組合せることにより構成される。本実施形態の各フランジ51,52は、略同一の大きさ及び形状の2枚の分割フランジ54によって構成され、その分割面(組合面)はフランジ51,52の直径方向に沿って設定されている。ローラ支持軸3に対するフランジ51,52の取付状態(2枚の分割フランジ54を組合せた状態)は、フランジ51,52を第1ケース体11及び第2ケース体12の後述するフランジ係合溝(軸落下規制部材係合溝)55,56に係合し、第1ケース体11と第2ケース体12とを閉じてローラ収納状態とすることにより保持される。
前後のフランジ51,52を軸端部4に取付けた状態で、各フランジ51,52の外周縁部の全域は、ローラ本体2の外周面よりもローラ本体2の径方向外側へ突出する。本実施形態の軸端部4には、フランジ51,52とローラ本体2の端面との接触を防止するための段差57が形成されている。
なお、前側フランジ51及び後側フランジ52の一方のみを設け、他方側の軸端部4を直接ケース体20に支持してもよい。また、各フランジ51,52を、3枚以上の分割フランジを組合せることにより構成してもよい。
本実施形態のローラケース50も、第1実施形態と同様に、同一形状の2つのケース体20を第1ケース体11及び第2ケース体12として用いる。ケース体20の前後のベース短面部25には、第1実施形態のストッパ挿入部29,30に代えて、フランジ51,52の外周と係合可能なフランジ係合溝(前側フランジ係合溝55及び後側フランジ係合溝56)が形成されている。フランジ係合溝55,56は、ベース短面部25から軸交叉方向の一方側へ凹み、前後方向から視て半円弧状に延びる。
前側フランジ51を構成する2枚の分割フランジ54は、各分割フランジ54の何れもが第1ケース体11の前側フランジ係合溝55と第2ケース体12の前側フランジ係合溝55の双方と係合する姿勢でローラ支持軸3に取付けられ、後側フランジ52を構成する2枚の分割フランジ54は、各分割フランジ54の何れもが第1ケース体11の後側フランジ係合溝56と第2ケース体12の後側フランジ係合溝56の双方と係合する姿勢でローラ支持軸3に取付けられる。換言すると、ローラ支持軸3からの分割フランジ54の離脱方向は、第1ケース体11と第2ケース体12との分離方向と相違する方向に設定されている。本実施形態では、第1ケース体11と第2ケース体12との分離方向とローラ支持軸3からの分割フランジ54の離脱方向とが略直交するように、各方向が設定され、ケース体20の各フランジ係合溝55,56には2枚の分割フランジ54の略半分の領域がそれぞれ係合する。
前側フランジ係合溝55は、前側フランジ51の外周縁部の略半周分の領域と係合して、前側フランジ51を径方向外側から支持するとともに、前側フランジ51の軸方向への移動を規制する。後側フランジ係合溝56は、後側フランジ52の外周縁部の略半周分の領域と係合して、後側フランジ52を径方向外側から支持するとともに、後側フランジ52の軸方向への移動を規制する。
前側フランジ係合溝55の前側と後側フランジ係合溝56の後側とには、ベース短面部25から円弧状に凹む溝形状の軸対向溝部58がそれぞれ形成されている。軸対向溝部58の内径は、回転軸端部6の外径よりも僅かに大きく設定され、軸対向溝部58の内面は、回転軸端部6の外面と近接又は接触した状態で対向する。前側の軸対向溝部58の前端は前開口35を区画形成し、後側の軸対向溝部58の後端は後開口36を区画形成する。
なお、ローラケース10に外力が作用しない通常の状態では、ローラ支持軸3の前端側及び後端側は、前側フランジ51及び後側フランジ52によって支持され、軸対向溝部58によって支持されない。但し、本発明は、軸対向溝部58によるローラ支持軸3(回転軸5)の支持を除外するものではなく、軸対向溝部58とフランジ51,52とによってローラ支持軸3を支持してもよい。
また、各フランジ51,52の形状は、円板状に限定されず、回転軸5に取付けられた状態でフランジの外周縁部の略全域又は複数の領域がローラ本体2の外周面よりもローラ本体2の径方向外側へ突出する形状であればよい。フランジの外周縁部の複数の領域がローラ本体2の外周面よりも径方向外側へ突出する形状とした場合には、フランジを係る複数の領域で第1ケース体11と第2ケース体12との間に挟んで保持すればよい。
ローラケース10にローラ1を収納する場合、ローラケース10をケース開状態とし、第1ケース体11を第1収容空間15が上方へ開口する基準姿勢で置き、回転軸5に前後のフランジ51,52を組付けた状態(回転軸5の前後において2枚の分割フランジ54をそれぞれ組合せた状態)で、第1ケース体11の上方からローラ1を下降させ、第1ケース体11の前後のフランジ係合溝55,56に前後のフランジ51,52をそれぞれ上方から挿入して係合する。係る回転軸載置状態では、ローラ本体2の下部が第1収容空間15に収まり、ローラ本体2の外周面及び両端面の下側領域が第1カバー部13に非接触状態で覆われる。
次に、係止突部31と係合凹部32との位置を合わせながら第1ケース体11に反転姿勢の第2ケース体12を上方から被せて、係止突部31を係合凹部32に係合する。係るローラ収納状態(ローラ1が収納されたケース閉状態)では、ローラ本体2の上部が第2収容空間16に収まり、ローラ本体2の外周面及び両端面の上側領域が第2カバー部14に非接触状態で覆われ、ローラ本体2がローラ本体収容空間17に収容される。また、ローラ収納状態では、第2ケース体12の前後のフランジ係合溝55,56に前後のフランジ51,52がそれぞれ下方から挿入して係合し、第1ケース体11の前側フランジ係合溝55及び後側フランジ係合溝56と第2ケース体12の前側フランジ係合溝55及び後側フランジ係合溝56との間で前後のフランジ51,52が軸交叉方向から挟まれて保持され、ローラ本体5の略全体が第1ケース体11と第2ケース体12とによって覆われる。ローラ支持軸3の軸方向及び軸交叉方向の移動は、前側フランジ51及び後側フランジ52によって阻止される。
ローラケース10からローラ1を取出す場合、第2ケース体12を第1ケース体11から引き離すように持ち上げ、係止突部31と係合凹部32との係合を解除してケース開状態とし、軸端部4を両手で摘んでローラ1(回転軸5)を引き上げ、ローラ1を第1ケース体11から取り出すとともに、前後のフランジ51,52(各分割フランジ54)を回転軸5から外す。
また、ローラケース10に収納されたローラ1を装置40に装着する場合、第1実施形態と同様に、装置40の前後の軸係合部41,42を十分に離間させた状態で、回転軸5をケース収納状態のまま軸係合部41,42の間に挿入し、前後の軸係合部41,42の一方又は双方を移動させて両者を徐々に近づけ、前側の回転軸端部6の軸端面穴6aに支持凸部43を挿入するとともに、後側の回転軸端部6を支持凹部44に挿入することにより、回転軸5を軸係合部41,42によって前後から挟んで支持する。これにより、ローラ1は、ローラケース10に収納された状態のまま装置40に装着される。
ケース収納状態のローラ1を装置40に装着した後、作業者は、第1ケース体11と第2ケース体12とを掴んで軸交叉方向へ引き離し、係止突部31と係合凹部32との係合を解除してケース開状態とし、ローラ1からケース体20を取外すとともに、前後のフランジ51,52(各分割フランジ54)を回転軸5から外す。
このように、ローラ本体2よりも大径な前側フランジ51及び後側フランジ52が第1ケース体11(第1ケース体11の前側フランジ係合溝55及び後側フランジ係合溝56)と第2ケース体12(第2ケース体12の前側フランジ係合溝55及び後側フランジ係合溝56)との間に挟まれることによってローラ支持軸3の前端側及び後端側が保持されるので、ローラ収納状態のローラケース10に意図しない外力が作用した場合であっても、ローラ支持軸3の前端側及び後端側の保持が解除され難く、ローラ1をローラケース10に収納して搬送する際等に、ローラケース10との接触に起因するローラ本体2の変形や損傷や汚れを確実に防止することができる。
また、ローラ支持軸3の軸端部4がローラ本体2の端面から十分に突出していない場合であっても、前側フランジ51及び後側フランジ52を介してローラ支持軸3の前端側及び後端側を確実に支持することができる。
さらに、フランジ51,52を、ローラ支持軸3から軸交叉方向に分かれて離脱可能な2枚の分割フランジ54を組合せて構成しているので、ローラ1をローラ収納状態のまま装置40に装着して軸装着状態とし、第1ケース体11と第2ケース体12との係合を解除して第1ケース体11及び第2ケース体12をローラから取外す際に、フランジ51,52を複数の分割フランジ54に分割してローラ支持軸3から取外すことができる。
なお、本発明は、一例として説明した上述の実施形態、及びその実施例に限定されることはなく、上述の実施形態等以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
例えば、ローラ支持軸3の軸端部4がストッパ7を有さず、図13に示すように、ケース本体20に回転軸端部6を支持する軸支持部59が形成されている場合、ケース端面部(移動規制部)60を軸支持部59の端面から径方向内側へ突出させ、回転軸端部6の端面をケース端面部60に当接させることにより軸方向へのローラ支持軸3の移動を規制してもよい。また、ローラ支持軸3の軸端部4(回転軸端部6)に凹形状又は凸形状を形成し、回転軸端部6の凹形状又は凸形状と係合する凸形状又は凹形状をケース本体20に形成し、ケース本体20側の凸形状又は凹形状を、軸方向へのローラ支持軸3の移動を規制する移動規制部としてもよい。一例として、図14に示すように、回転軸端部6に環状の係合溝61を形成し、ケース本体20の軸支持部59に係合溝61に挿入されて係合する環状の又は複数の係止突起(移動規制部)62を形成し、係止突起62と係合溝61との係合により軸方向へのローラ支持軸3の移動を規制してもよい。