以下、本発明の熱拡散デバイスについて説明する。
しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する個々の好ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
以下に示す各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもない。第2実施形態以降では、第1実施形態と共通の事項についての記述は省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態毎には逐次言及しない。
以下の説明において、各実施形態を特に区別しない場合、単に「本発明の熱拡散デバイス」という。
以下では、本発明の熱拡散デバイスの一実施形態として、ベーパーチャンバーを例にとって説明する。本発明の熱拡散デバイスは、ヒートパイプなどの熱拡散デバイスなどにも適用可能である。
以下に示す図面は模式的なものであり、その寸法や縦横比の縮尺などは実際の製品とは異なる場合がある。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るベーパーチャンバーの一例を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示すベーパーチャンバーのII-II線に沿った断面図である。図3は、図2に示すベーパーチャンバーのIII-III線に沿った断面図である。図4は、図2に示すベーパーチャンバーのIV-IV線に沿った断面図である。
図1に示すベーパーチャンバー1は、気密状態に密閉された中空の筐体10を備える。筐体10は、図3および図4に示すように、厚さ方向Zに対向する第1内壁面11aおよび第2内壁面12aを有する。図2に示すように、ベーパーチャンバー1は、さらに、筐体10の内部空間に封入された作動媒体20と、筐体10の内部空間に配置されたウィック30と、を備える。
筐体10には、図2に示すように、封入した作動媒体20を蒸発させる蒸発部(evaporation portion)EPが設定されている。筐体10には、さらに、蒸発した作動媒体20を凝縮させる凝縮部(condensation portion)CPが設定されていてもよい。図1に示すように、筐体10の外壁面には、発熱素子である熱源(heat source)HSが配置される。熱源HSとしては、電子機器の電子部品、例えば中央処理装置(CPU)等が挙げられる。筐体10の内部空間のうち、熱源HSの近傍であって熱源HSによって加熱される部分が、蒸発部EPに相当する。一方、蒸発部EPから離れた部分が、凝縮部CPに相当する。また、蒸発した作動媒体20は凝縮部CP以外でも凝縮され得る。本実施形態では、蒸発した作動媒体20を特に凝縮させやすい部分を凝縮部CPとして表現する。
ベーパーチャンバー1は、全体として面状である。すなわち、筐体10は、全体として面状である。ここで、「面状」とは、板状およびシート状を包含し、幅方向Xの寸法(以下、幅という)および長さ方向Yの寸法(以下、長さという)が厚さ方向Zの寸法(以下、厚さまたは高さという)に対して相当に大きい形状、例えば幅および長さが、厚さの10倍以上、好ましくは100倍以上である形状を意味する。
ベーパーチャンバー1の大きさ、すなわち、筐体10の大きさは、特に限定されない。ベーパーチャンバー1の幅および長さは、用途に応じて適宜設定することができる。ベーパーチャンバー1の幅および長さは、各々、例えば、5mm以上500mm以下、20mm以上300mm以下または50mm以上200mm以下である。ベーパーチャンバー1の幅および長さは、同じであっても、異なっていてもよい。
筐体10は、外縁部が接合された対向する第1シート11および第2シート12から構成されることが好ましい。第1シート11および第2シート12を構成する材料は、ベーパーチャンバーとして用いるのに適した特性、例えば熱伝導性、強度、柔軟性、可撓性等を有するものであれば、特に限定されない。第1シート11および第2シート12を構成する材料は、好ましくは金属であり、例えば銅、ニッケル、アルミニウム、マグネシウム、チタン、鉄、またはそれらを主成分とする合金等であり、特に好ましくは銅である。第1シート11および第2シート12を構成する材料は、同じであっても、異なっていてもよいが、好ましくは同じである。
筐体10が第1シート11および第2シート12から構成される場合、第1シート11および第2シート12は、これらの外縁部において互いに接合される。かかる接合の方法は、特に限定されないが、例えば、レーザー溶接、抵抗溶接、拡散接合、ロウ接、TIG溶接(タングステン-不活性ガス溶接)、超音波接合または樹脂封止を用いることができ、好ましくはレーザー溶接、抵抗溶接またはロウ接を用いることができる。
第1シート11および第2シート12の厚さは、特に限定されないが、各々、好ましくは10μm以上200μm以下、より好ましくは30μm以上100μm以下、さらに好ましくは40μm以上60μm以下である。第1シート11および第2シート12の厚さは、同じであっても、異なっていてもよい。また、第1シート11および第2シート12の各シートの厚さは、全体にわたって同じであってもよく、一部が薄くてもよい。
第1シート11および第2シート12の形状は、特に限定されない。例えば、図3および図4に示す例では、第1シート11は、厚みが一定の平板形状であり、第2シート12は、外縁部が外縁部以外の部分よりも厚い形状である。
あるいは、第1シート11は、厚みが一定の平板形状であり、第2シート12は、厚みが一定で、かつ、外縁部に対して外縁部以外の部分が外側に凸の形状であってもよい。この場合、筐体10の外縁部に凹みが形成される。そのため、ベーパーチャンバーを搭載する際などに外縁部の凹みを利用することができる。また、外縁部の凹みに他の部品などを配置することができる。
ベーパーチャンバー1全体の厚さは、特に限定されないが、好ましくは50μm以上500μm以下である。
作動媒体20は、筐体10内の環境下において気-液の相変化を生じ得るものであれば特に限定されず、例えば、水、アルコール類、代替フロン等を用いることができる。例えば、作動媒体は水性化合物であり、好ましくは水である。
ウィック30は、第1多孔体41と第2多孔体42と第3多孔体43と第4多孔体44とを含む。これらの多孔体は、毛細管力によって作動媒体20を輸送するウィックとして機能する。さらに、筐体10の支持体として多孔体を利用することにより、ベーパーチャンバー1の軽量化を図ることができる。
第1多孔体41、第2多孔体42、第3多孔体43および第4多孔体44は、各々、筐体10の第1内壁面11aおよび第2内壁面12aを内側から支持している。これらの多孔体を筐体10の内部空間に配置することにより、筐体10の機械的強度を確保しつつ、筐体10外部からの衝撃を吸収することができる。
図3に示す例では、第1多孔体41は、第1内壁面11aおよび第2内壁面12aに接しており、同様に、第3多孔体43は、第1内壁面11aおよび第2内壁面12aに接している。また、図4に示す例では、第2多孔体42は、第1内壁面11aおよび第2内壁面12aに接している。図示されていないが、図4に示す例と同様に、第4多孔体44は、第1内壁面11aおよび第2内壁面12aに接している。第1多孔体41、第2多孔体42、第3多孔体43および第4多孔体44は、第1内壁面11aおよび第2内壁面12aのいずれか一方に接していてもよく、第1内壁面11aおよび第2内壁面12aに接していなくてもよい。
第1多孔体41、第2多孔体42、第3多孔体43および第4多孔体44は、例えば、金属多孔体、セラミックス多孔体または樹脂多孔体から構成される。第1多孔体41、第2多孔体42、第3多孔体43および第4多孔体44は、例えば、金属多孔質焼結体、セラミックス多孔質焼結体等の焼結体から構成されてもよい。第1多孔体41、第2多孔体42、第3多孔体43および第4多孔体44は、銅またはニッケルの金属多孔質焼結体から構成されることが好ましい。第1多孔体41、第2多孔体42、第3多孔体43および第4多孔体44を構成する材料は、同じであっても、異なっていてもよいが、好ましくは同じである。
図2に示すように、第1多孔体41は、厚さ方向Zに垂直な方向(本実施形態では長さ方向Y)に沿って延びている。図2および図4に示すように、第1多孔体41は、その延びる方向において第1分断領域(dividing region)R1を介して分断されている。
図2に示すように、第3多孔体43は、第1多孔体41が延びる方向(本実施形態では長さ方向Y)に沿って延びている。図2に示すように、第3多孔体43は、その延びる方向において第2分断領域R2を介して分断されている。
図2に示すように、隣り合うウィック30の間には、気相の作動媒体20が流通する蒸気流路50が形成されている。
一方、各々のウィック30において、第1多孔体41と第3多孔体43との間には、第1多孔体41および第3多孔体43が延びる方向(本実施形態では長さ方向Y)に沿って間隔が設けられることにより液体流路51が形成されている。液体流路51は、液相の作動媒体20が流通する液体流路として利用することができる。第1多孔体41または第3多孔体43を挟んで蒸気流路50と液体流路51とを交互に配置することにより、熱輸送効率を向上させることができる。
蒸気流路50の幅は、液体流路51の幅よりも大きい。蒸気流路50の幅は、1000μm以上3000μm以下であることが好ましく、1000μm以上2000μm以下であることがより好ましい。液体流路51の幅は、50μm以上500μm以下であることが好ましい。なお、上記断面において、厚さ方向Zで蒸気流路50の幅が異なる場合には、最も広い部分の幅を蒸気流路50の幅と定義する。同様に、厚さ方向Zで液体流路51の幅が異なる場合には、最も広い部分の幅を液体流路51の幅と定義する。
図2および図4に示すように、第2多孔体42は、第1分断領域R1に嵌まるように、第1多孔体41と隙間を空けて配置されている。
図2に示すように、第4多孔体44は、第2分断領域R2に嵌まるように、第3多孔体43と隙間を空けて配置されている。
ベーパーチャンバー1において、筐体10は、1組の隣り合う第1分断領域R1および第2分断領域R2を結ぶ曲げ線L(図2参照)を境に曲げることが可能である。
図5は、図4に示すベーパーチャンバーが曲げられた状態を模式的に示す断面図である。
図5に示すように、第1分断領域R1に位置する曲げ線Lを境に筐体10が曲げられた場合、曲げの起点となる部分には第1多孔体41が存在しないため、曲げの応力が第1多孔体41にかかることがない。したがって、第1多孔体41に生じるクラック等の粗大な欠陥を防ぐことができる。
その一方で、第1多孔体41が分断されていると、ウィック30の毛細管力が低下する。そこで、第1分断領域R1に嵌まるように第2多孔体42が配置されることで、ウィック30の毛細管力を保持することができる。また、第2多孔体42が配置されることで、筐体10が曲げられた際に蒸気流路50が潰れにくくなるため、高い均熱性を維持することができる。
図示されていないが、上記と同様、第2分断領域R2に位置する曲げ線Lを境に筐体10が曲げられた場合、第3多孔体43に生じるクラック等の粗大な欠陥を防ぐことができる。さらに、第2分断領域R2に嵌まるように第4多孔体44が配置されることで、ウィック30の毛細管力を保持することができる。また、第4多孔体44が配置されることで、筐体10が曲げられた際に蒸気流路50が潰れにくくなるため、高い均熱性を維持することができる。
以上のように、ベーパーチャンバー1においては、ウィック30が第1多孔体41、第2多孔体42、第3多孔体43および第4多孔体44を含むため、筐体10が曲げられた場合において、ウィック30の毛細管力が保持され、高い熱輸送能力が維持される。
図2に示すように、厚さ方向Zに垂直な断面を見て、第1多孔体41が延びる方向と直交する方向(本実施形態では幅方向X)における多孔体の寸法を幅と定義したとき、第2多孔体42の幅は、第1多孔体41の幅と同じでもよく、第1多孔体41の幅よりも小さくてもよいが、第1多孔体41の幅よりも大きいことが好ましい。この場合、曲げの起点となる部分のウィック30の幅が周囲のウィック30幅よりも大きくなるため、筐体10が曲げられた際に蒸気流路50がより潰れにくくなる。
第2多孔体42の幅が第1多孔体41の幅よりも大きい場合、第2多孔体42の幅は、第1多孔体41の幅の120%以上300%以下であることが好ましい。
同様の理由により、第4多孔体44の幅は、第3多孔体43の幅と同じでもよく、第3多孔体43の幅よりも小さくてもよいが、第3多孔体43の幅よりも大きいことが好ましい。また、第4多孔体44の幅は、第2多孔体42の幅と同じでもよく、異なってもよい。
第4多孔体44の幅が第3多孔体43の幅よりも大きい場合、第4多孔体44の幅は、第3多孔体43の幅の120%以上300%以下であることが好ましい。
ウィック30の毛細管力を保持する観点からは、図5に示すように、第1多孔体41が延びる方向および厚さ方向Zに沿った断面を見たとき、筐体10が曲げられた状態において、曲げ線Lを挟んだ第1多孔体41と第2多孔体42との間隔が、0mm以上0.1mm以下であることが好ましく、0mm以上0.05mm以下であることがより好ましい。上記のとおり、曲げ線Lを挟んだ第1多孔体41と第2多孔体42との間隔は0mmでもよく、すなわち、曲げ線Lを挟んだ第1多孔体41と第2多孔体42とが接していてもよい。
同様の理由により、第3多孔体43が延びる方向および厚さ方向Zに沿った断面を見たとき、筐体10が曲げられた状態において、曲げ線Lを挟んだ第3多孔体43と第4多孔体44との間隔が、0mm以上0.1mm以下であることが好ましく、0mm以上0.05mm以下であることがより好ましい。上記のとおり、曲げ線Lを挟んだ第3多孔体43と第4多孔体44との間隔は0mmでもよく、すなわち、曲げ線Lを挟んだ第3多孔体43と第4多孔体44とが接していてもよい。曲げ線Lを挟んだ第3多孔体43と第4多孔体44との間隔は、曲げ線Lを挟んだ第1多孔体41と第2多孔体42との間隔と同じでもよく、異なってもよい。
なお、曲げ線Lを挟んだ第1多孔体41と第2多孔体42との間隔とは、上記断面において、最も広い部分の間隔を意味する。曲げ線Lを挟んだ第3多孔体43と第4多孔体44との間隔も同様である。
第1分断領域R1に配置される第2多孔体42の形状は、第2分断領域R2に配置される第4多孔体44の形状と異なってもよいが、同じであることが好ましい。
第1分断領域R1に嵌まるように第1多孔体41と隙間を空けて第2多孔体42が配置される限り、第2多孔体42の形状は特に限定されないが、図4に示すように、第1多孔体41が延びる方向および厚さ方向Zに沿った断面を見たとき、第2多孔体42が鋭角を1点以上有することが好ましい。この場合、第2多孔体42の鋭角を利用して、筐体10の曲がる角度を調整することができる。具体的には、鋭角と接していない筐体10の内壁面に対応する外壁面が内側になるように筐体10が曲げられることが好ましい。
一方、第1多孔体41が延びる方向と直交する方向および厚さ方向Zに沿った断面を見たとき、第2多孔体42は、鋭角を1点以上有してもよく、鋭角を有しなくてもよい。例えば、第2多孔体42の断面形状は長方形等でもよい。
図4に示す例では、第2多孔体42の断面形状は、鋭角を2点有する台形である。本実施形態では、第2多孔体42の鋭角は、どちらも筐体10の第1内壁面11aと接している。そのため、図5に示すように、第2多孔体42の鋭角と接していない筐体10の第2内壁面12aに対応する外壁面、すなわち、第2シート12の外壁面が内側になるように筐体10が曲げられる。
図4に示すように、第1多孔体41が延びる方向および厚さ方向Zに沿った断面を見たとき、第2多孔体42が鋭角を1点以上有し、かつ、筐体10が曲げられた状態において、曲げ線Lに最も近い第1多孔体41が配置された筐体10の外壁面に対する、その第1多孔体41に最も近い第2多孔体42が配置された筐体10の外壁面の曲げ角度θ1(図5参照)と、その第2多孔体42の鋭角の角度α2(図4参照)との関係が、0°<θ1≦90°-α2を満たすことが好ましい。
図6は、図5の変形例である。
図6に示すように、第2多孔体42が鋭角を2点有する場合、筐体10が2段階で曲げられてもよい。図6では、曲げ線L1およびL2を境に筐体10が曲げられている。
図7は、図4の変形例である。
図7に示すベーパーチャンバー1Aでは、第2多孔体42Aの断面形状は、鋭角を1点有する台形である。
第1多孔体41が延びる方向および厚さ方向Zに沿った断面において、第2多孔体42が鋭角を1点以上有する場合、第2多孔体42の断面形状は台形以外の形状でもよい。また、上記断面において、第2多孔体42は鋭角を有しなくてもよく、例えば、第2多孔体42の断面形状は長方形等でもよい。
第2分断領域R2に嵌まるように第3多孔体43と隙間を空けて第4多孔体44が配置される限り、第4多孔体44の形状は特に限定されないが、図4に示す例と同様に、第3多孔体43が延びる方向および厚さ方向Zに沿った断面を見たとき、第4多孔体44が鋭角を1点以上有することが好ましい。この場合、第4多孔体44の鋭角を利用して、筐体10の曲がる角度を調整することができる。
一方、第3多孔体43が延びる方向と直交する方向および厚さ方向Zに沿った断面を見たとき、第4多孔体44は、鋭角を1点以上有してもよく、鋭角を有しなくてもよい。例えば、第4多孔体44の断面形状は長方形等でもよい。
図2に示す例と同様に、第3多孔体43が延びる方向および厚さ方向Zに沿った断面を見たとき、第4多孔体44が鋭角を1点以上有し、かつ、筐体10が曲げられた状態において、曲げ線Lに最も近い第3多孔体43が配置された筐体10の外壁面に対する、その第3多孔体43に最も近い第4多孔体44が配置された筐体10の外壁面の曲げ角度θ3(図示せず)と、その第4多孔体44の鋭角の角度α4(図示せず)との関係が、0°<θ3≦90°-α4を満たすことが好ましい。角度θ3は角度θ1と同じであることが好ましく、角度α4は角度α2と同じであることが好ましい。
第3多孔体43が延びる方向および厚さ方向Zに沿った断面において、第4多孔体44が鋭角を2点有する場合、筐体10が2段階で曲げられてもよい。
第3多孔体43が延びる方向および厚さ方向Zに沿った断面において、第4多孔体44が鋭角を1点以上有する場合、第4多孔体44の断面形状は台形以外の形状でもよい。また、上記断面において、第4多孔体44は鋭角を有しなくてもよく、例えば、第4多孔体44の断面形状は長方形等でもよい。
第1多孔体41が延びる方向および厚さ方向Zに沿った断面を見たとき、第2多孔体42が鋭角を1点以上有することに代えて、または、第2多孔体42が鋭角を1点以上有することに加えて、第1多孔体41が鋭角を1点以上有してもよい。この場合、第1多孔体41の鋭角を利用して、筐体10の曲がる角度を調整することができる。
一方、第1多孔体41が延びる方向と直交する方向および厚さ方向Zに沿った断面を見たとき、第1多孔体41は、鋭角を1点以上有してもよく、鋭角を有しなくてもよい。例えば、第1多孔体41の断面形状は長方形等でもよい。
第1多孔体41が延びる方向および厚さ方向Zに沿った断面を見たとき、第1多孔体41が鋭角を1点以上有し、かつ、筐体10が曲げられた状態において、曲げ線Lに最も近い第1多孔体41が配置された筐体10の外壁面に対する、その第1多孔体41に最も近い第2多孔体42が配置された筐体10の外壁面の曲げ角度θ1(図5参照)と、その第1多孔体41の鋭角の角度α1(図示せず)との関係が、0°<θ1≦90°-α1を満たすことが好ましい。
第1多孔体41が延びる方向および厚さ方向Zに沿った断面を見たとき、第1多孔体41が鋭角を1点以上有し、第2多孔体42が鋭角を1点以上有し、かつ、筐体10が曲げられた状態において、曲げ線Lに最も近い第1多孔体41が配置された筐体10の外壁面に対する、その第1多孔体41に最も近い第2多孔体42が配置された筐体10の外壁面の曲げ角度θ1(図5参照)と、その第1多孔体41の鋭角の角度α1(図示せず)と、その第2多孔体42の鋭角の角度α2(図4参照)との関係が、0°<θ1≦90°-α1-α2を満たすことが好ましい。角度α2は角度α1と同じでもよく、異なっていてもよい。
第1多孔体41が延びる方向および厚さ方向Zに沿った断面において、第1多孔体41が鋭角を2点有する場合、筐体10が2段階で曲げられてもよい。
第1多孔体41が延びる方向および厚さ方向Zに沿った断面において、第1多孔体41が鋭角を1点以上有する場合、第1多孔体41の断面形状は台形以外の形状でもよい。また、上記断面において、第1多孔体41は鋭角を有しなくてもよく、例えば、第1多孔体41の断面形状は長方形等でもよい。
第3多孔体43が延びる方向および厚さ方向Zに沿った断面を見たとき、第4多孔体44が鋭角を1点以上有することに代えて、または、第4多孔体44が鋭角を1点以上有することに加えて、第3多孔体43が鋭角を1点以上有してもよい。この場合、第3多孔体43の鋭角を利用して、筐体10の曲がる角度を調整することができる。
一方、第3多孔体43が延びる方向と直交する方向および厚さ方向Zに沿った断面を見たとき、第3多孔体43は、鋭角を1点以上有してもよく、鋭角を有しなくてもよい。例えば、第3多孔体43の断面形状は長方形等でもよい。
第3多孔体43が延びる方向および厚さ方向Zに沿った断面を見たとき、第3多孔体43が鋭角を1点以上有し、かつ、筐体10が曲げられた状態において、曲げ線Lに最も近い第3多孔体43が配置された筐体10の外壁面に対する、その第3多孔体43に最も近い第4多孔体44が配置された筐体10の外壁面の曲げ角度θ3(図示せず)と、その第3多孔体43の鋭角の角度α3(図示せず)との関係が、0°<θ3≦90°-α3を満たすことが好ましい。角度θ3は角度θ1と同じであることが好ましく、角度α3は角度α1と同じであることが好ましい。
第3多孔体43が延びる方向および厚さ方向Zに沿った断面を見たとき、第3多孔体43が鋭角を1点以上有し、第4多孔体44が鋭角を1点以上有し、かつ、筐体10が曲げられた状態において、曲げ線Lに最も近い第3多孔体43が配置された筐体10の外壁面に対する、その第3多孔体43に最も近い第4多孔体44が配置された筐体10の外壁面の曲げ角度θ3(図示せず)と、その第3多孔体43の鋭角の角度α3(図示せず)と、その第4多孔体44の鋭角の角度α4(図示せず)との関係が、0°<θ3≦90°-α3-α4を満たすことが好ましい。角度α4は角度α3と同じでもよく、異なっていてもよい。角度θ3は角度θ1と同じであることが好ましく、角度α3は角度α1と同じであることが好ましく、角度α4は角度α2と同じであることが好ましい。
第3多孔体43が延びる方向および厚さ方向Zに沿った断面において、第3多孔体43が鋭角を2点有する場合、筐体10が2段階で曲げられてもよい。
第3多孔体43が延びる方向および厚さ方向Zに沿った断面において、第3多孔体43が鋭角を1点以上有する場合、第3多孔体43の断面形状は台形以外の形状でもよい。また、上記断面において、第3多孔体43は鋭角を有しなくてもよく、例えば、第3多孔体43の断面形状は長方形等でもよい。
第1多孔体41が延びる方向および厚さ方向Zに沿った断面を見たとき、筐体10が曲げられた状態において、曲げ線Lに最も近い第1多孔体41が配置された筐体10の外壁面に対する、その第1多孔体41に最も近い第2多孔体42が配置された筐体10の外壁面の曲げ角度θ1は、10°以上45°以下であることが好ましく、10°以上30°以下であることがより好ましい。
第3多孔体43が延びる方向および厚さ方向Zに沿った断面を見たとき、筐体10が曲げられた状態において、曲げ線Lに最も近い第3多孔体43が配置された筐体10の外壁面に対する、その第3多孔体43に最も近い第4多孔体44が配置された筐体10の外壁面の曲げ角度θ3は、10°以上45°以下であることが好ましく、10°以上30°以下であることがより好ましい。角度θ3は角度θ1と同じであることが好ましい。
上述のとおり、厚さ方向Zに垂直な断面を見て、第1多孔体41が延びる方向と直交する方向における多孔体の寸法を幅と定義したとき、第1多孔体41の幅および第3多孔体43の幅は、各々、50μm以上300μm以下であることが好ましい。これにより、高い毛細管力を得ることができる。第1多孔体41の幅は、第3多孔体43の幅と同じでもよく、異なっていてもよい。第1多孔体41の幅および第3多孔体43の幅は、厚さ方向Zで一定でもよく、一定でなくてもよい。また、厚さ方向Zで幅が一定である多孔体と、厚さ方向Zで幅が一定でない多孔体とが混在してもよい。
第2多孔体42の幅および第4多孔体44の幅は、各々、60μm以上500μm以下であることが好ましい。第2多孔体42の幅は、第4多孔体44の幅と同じでもよく、異なっていてもよい。第2多孔体42の幅および第4多孔体44の幅は、厚さ方向Zで一定でもよく、一定でなくてもよい。また、厚さ方向Zで幅が一定である多孔体と、厚さ方向Zで幅が一定でない多孔体とが混在してもよい。
第1多孔体41の高さおよび第3多孔体43の高さは、各々、20μm以上300μm以下であることが好ましく、50μm以上200μm以下であることがより好ましい。第1多孔体41の高さは、第3多孔体43の高さと同じでもよく、異なっていてもよい。
第2多孔体42の高さおよび第4多孔体44の高さは、各々、20μm以上300μm以下であることが好ましく、50μm以上200μm以下であることがより好ましい。第2多孔体42の高さは、第4多孔体44の高さと同じでもよく、異なっていてもよい。また、第2多孔体42の高さは、第1多孔体41の高さと同じでもよく、異なっていてもよい。同様に、第4多孔体44の高さは、第3多孔体43の高さと同じでもよく、異なっていてもよい。
次に、以上のように構成されたベーパーチャンバー1の作用について説明する。
蒸発部EPでは、第1多孔体41および第3多孔体43の表面に位置する液相の作動媒体20が、筐体10の内壁面を介して加熱されて蒸発する。作動媒体20が蒸発することで、蒸発部EP近傍における蒸気流路50内の気体の圧力が高まる。これにより、気相の作動媒体20が、蒸気流路50内を凝縮部CP側に向かって移動する。
凝縮部CPに到達した気相の作動媒体20は、筐体10の内壁面を介して熱を奪われて凝縮し、液滴となる。上述のとおり、気相の作動媒体20は凝縮部CP以外でも凝縮され得る。作動媒体20の液滴は、毛細管力によって第1多孔体41の細孔内および第3多孔体43の細孔内に浸み込む。また、第1多孔体41の細孔内および第3多孔体43の細孔内に浸み込んだ液相の作動媒体20の一部は、液体流路51内に流入する。したがって、第1多孔体41、第3多孔体43および液体流路51によって液体流路が形成される。
第1多孔体41の細孔内と第3多孔体43の細孔内と液体流路51内との液相の作動媒体20は、毛細管力によって蒸発部EP側に移動する。途中、第1多孔体41が分断された第1分断領域R1において、液相の作動媒体20は、毛細管力によって、凝縮部CP側の第1多孔体41から第2多孔体42を通って、蒸発部EP側の第1多孔体41に移動する。同様に、第3多孔体43が分断された第2分断領域R2において、液相の作動媒体20は、毛細管力によって、凝縮部CP側の第3多孔体43から第4多孔体44を通って、蒸発部EP側の第3多孔体43に移動する。そして、第1多孔体41の細孔と第3多孔体43の細孔と液体流路51とから蒸発部EPへと、液相の作動媒体20が供給される。蒸発部EPに到達した液相の作動媒体20は、再び蒸発部EPにおける第1多孔体41および第3多孔体43の表面から蒸発する。
なお、図2に示すように、蒸発部EP内に液体流路51が到達していることが好ましい。蒸発部EP内には、液体流路51およびウィック30が含まれてもよいし、液体流路51が含まれずにウィック30のみが含まれてもよいし、液体流路51およびウィック30が含まれなくてもよい。
また、蒸発部EP内には、曲げ線Lが配置されないことが好ましい。すなわち、蒸発部EP内には、第2多孔体42および第4多孔体44が配置されないことが好ましい。
蒸発して気相となった作動媒体20は、再び蒸気流路50を通って凝縮部CP側へと移動する。このように、ベーパーチャンバー1は、作動媒体20の気-液の相変化を繰り返し利用して、蒸発部EP側で回収した熱を凝縮部CP側に繰り返し輸送することができる。
第1多孔体41および第3多孔体43の孔径は、各々、50μm以下であることが好ましい。孔径を小さくすることで、高い毛細管力を得ることができる。第1多孔体41および第3多孔体43の孔径は、同じでもよく、異なっていてもよい。なお、孔の形状は特に限定されない。
第2多孔体42および第4多孔体44の孔径は、各々、50μm以下であることが好ましい。孔径を小さくすることで、高い毛細管力を得ることができる。第2多孔体42および第4多孔体44の孔径は、同じでもよく、異なっていてもよい。また、第2多孔体42の孔径は、第1多孔体41の孔径と同じでもよく、異なっていてもよい。同様に、第4多孔体44の孔径は、第3多孔体43の孔径と同じでもよく、異なっていてもよい。なお、孔の形状は特に限定されない。
図2に示すように、少なくとも1組の隣り合うウィック30の蒸発部EP側の端部同士が接続され、液体流路51同士が連通していてもよい。また、少なくとも1組の隣り合うウィック30の蒸発部EPと反対側の端部同士、例えば、凝縮部CP側の端部同士が接続され、液体流路51同士が連通していてもよい。
上記のとおり、ベーパーチャンバー1では、ウィック30間に蒸気流路50および液体流路51が形成される。中でも、図2に示すように、蒸発部EPにおける流路の密度が、蒸発部EPから離れた部分における流路の密度、例えば、凝縮部CPにおける流路の密度よりも高いことが好ましい。これにより、最大熱輸送量を向上させることができる。
ベーパーチャンバー1は、例えば、以下の方法により製造される。以下の例では、第1多孔体41、第2多孔体42、第3多孔体43および第4多孔体44は、銅などの金属多孔質焼結体から構成される。なお、ベーパーチャンバー1を製造する方法は、上記の構成を得られる方法であれば特に限定されない。
まず、第1シート11の表面のうち、第1内壁面11aとなる表面に、第1多孔体41および第3多孔体43を形成するための銅ペーストなどの金属ペーストを塗布する。金属ペーストを塗布する方法としては、例えば、スクリーン印刷などの印刷が挙げられる。
金属ペーストが塗布された第1シート11を加熱することにより、金属ペーストが金属多孔質焼結体になる。その結果、第1シート11上に第1多孔体41および第3多孔体43が形成される。
図8は、第1シート上に形成された第1多孔体および第3多孔体の一例を模式的に示す平面図である。図9は、図8中の矢印IXに示す方向から見た第1多孔体の断面図である。図10は、図8中の矢印Xに示す方向から見た第1多孔体の断面図である。
図8に示す例では、印刷などの方法により、長さ方向Yに沿って金属ペーストが第1シート11上に塗布される。その結果、長さ方向Yに沿って第1多孔体41および第3多孔体43が第1シート11上に形成される。第1多孔体41には第1分断領域R1が形成され、第3多孔体43には第2分断領域R2が形成される。図9に示すように、金属ペーストの塗布方向に垂直な方向から見た断面においては、第1多孔体41の断面形状が長方形となる。同様に、第3多孔体43の断面形状も長方形となる。一方、図10に示すように、金属ペーストの塗布方向に平行な方向から見た断面においては、第1多孔体41の断面形状が台形となる。同様に、第3多孔体43の断面形状も台形となる。
別途、第2シート12の表面のうち、第2内壁面12aとなる表面に、第2多孔体42および第4多孔体44を形成するための銅ペーストなどの金属ペーストを塗布する。金属ペーストを塗布する方法としては、例えば、スクリーン印刷などの印刷が挙げられる。第2多孔体42および第4多孔体44を形成するための金属ペーストは、第1多孔体41および第3多孔体43を形成するための金属ペーストと同じでもよく、異なっていてもよい。
金属ペーストが塗布された第2シート12を加熱することにより、金属ペーストが金属多孔質焼結体になる。その結果、第2シート12上に第2多孔体42および第4多孔体44が形成される。
図11は、第2シート上に形成された第2多孔体および第4多孔体の一例を模式的に示す平面図である。図12は、図11中の矢印XIIに示す方向から見た第2多孔体の断面図である。図13は、図11中の矢印XIIIに示す方向から見た第2多孔体の断面図である。
図11に示す例では、印刷などの方法により、幅方向Xに沿って金属ペーストが第2シート12上に塗布される。その結果、幅方向Xに沿って第2多孔体42および第4多孔体44が第2シート12上に形成される。図12に示すように、金属ペーストの塗布方向に平行な方向から見た断面においては、第2多孔体42の断面形状が台形となる。同様に、第4多孔体44の断面形状も台形となる。一方、図13に示すように、金属ペーストの塗布方向に垂直な方向から見た断面においては、第2多孔体42の断面形状が長方形となる。同様に、第4多孔体44の断面形状も長方形となる。
なお、第1シート11および第2シート12を加熱する順序は特に限定されず、例えば、第1シート11と第2シート12とを接合した後でもよい。
その後、第1多孔体41の第1分断領域R1に第2多孔体42が嵌まり、第3多孔体43の第2分断領域R2に第4多孔体44が嵌まるように、第1シート11と第2シート12とを重ね合わせ、外縁部を接合する。この際、液相の作動媒体20を封入するための封入口を形成しておく。これにより、内部空間を有する筐体10が作製される。
筐体10の封入口から液相の作動媒体20を注入した後、封入口を塞ぐ。
以上の工程を経て、ベーパーチャンバー1が製造される。
ベーパーチャンバー1は、上記以外の方法により製造されてもよい。例えば、第2多孔体42および第4多孔体44を形成するための金属ペーストを塗布する方向は、第1多孔体41および第3多孔体43を形成するための金属ペーストを塗布する方向と同じでもよい。また、第1多孔体41および第3多孔体43を形成するための金属ペーストを第1シート11上に塗布し、第2多孔体42および第4多孔体44を形成するための金属ペーストも第1シート11上に塗布してもよい。あるいは、第1多孔体41および第3多孔体43を形成するための金属ペーストを第2シート12上に塗布し、第2多孔体42および第4多孔体44を形成するための金属ペーストも第2シート12上に塗布してもよい。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係るベーパーチャンバーでは、第1分断領域には、第1多孔体が延びる方向に複数の第2多孔体が配置され、第2分断領域には、第3多孔体が延びる方向に複数の第4多孔体が配置されている。
図14は、本発明の第2実施形態に係るベーパーチャンバーの一例を模式的に示す断面図である。
図14に示すベーパーチャンバー2では、第1分断領域R1には、第1多孔体41が延びる方向に複数の第2多孔体42が配置されている。図示されていないが、第2分断領域R2には、第3多孔体43が延びる方向に複数の第4多孔体44が配置されている。図14に示す例では、第1分断領域R1に5つの第2多孔体42が配置されているが、第1分断領域R1には、2つ以上の第2多孔体42が配置されていればよい。同様に、第2分断領域R2には、2つ以上の第4多孔体44が配置されていればよい。
第1分断領域R1に複数の第2多孔体42が配置され、第2分断領域R2に複数の第4多孔体44が配置されることで、各々の第2多孔体42または第4多孔体44が配置されている箇所で筐体10を曲げることができる。そのため、第1実施形態で説明した曲げ角度θ1およびθ3よりも大きな角度で筐体10を曲げることができる。
第1分断領域R1に配置される第2多孔体42の数は、第2分断領域R2に配置される第4多孔体44の数と異なってもよいが、同じであることが好ましい。第1分断領域R1に配置される第2多孔体42の形状は、第2分断領域R2に配置される第4多孔体44の形状と異なってもよいが、同じであることが好ましい。
第1多孔体41が延びる方向および厚さ方向Zに沿った断面において、第2多孔体42の形状は、それぞれ同じでもよく、異なるものが含まれてもよい。同様に、第3多孔体43が延びる方向および厚さ方向Zに沿った断面において、第4多孔体44の形状は、それぞれ同じでもよく、異なるものが含まれてもよい。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係るベーパーチャンバーでは、第1多孔体は、複数の第1分断領域を有し、第3多孔体は、複数の第2分断領域を有する。1組の隣り合う第1分断領域および第2分断領域を結ぶ曲げ線のうち、少なくとも1本の曲げ線を境に曲げられる筐体の向きは、別の曲げ線を境に曲げられる筐体の向きと同じである。
図15は、本発明の第3実施形態に係るベーパーチャンバーの一例を模式的に示す断面図である。
図15に示すベーパーチャンバー3では、第1多孔体41は、複数の第1分断領域R1を有する。図示されていないが、第3多孔体43は、複数の第2分断領域R2を有する。図15に示す例では、第1多孔体41は、2つの第1分断領域R1を有しているが、3つ以上の第1分断領域R1を有してもよい。同様に、第3多孔体43は、2つの第2分断領域R2を有してもよく、3つ以上の第2分断領域R2を有してもよい。
1組の隣り合う第1分断領域R1および第2分断領域R2を結ぶ曲げ線L1およびL2のうち、1本の曲げ線L1を境に曲げられる筐体10の向きは、別の曲げ線L2を境に曲げられる筐体10の向きと同じである。
第1多孔体41が複数の第1分断領域R1を有し、第3多孔体43が複数の第2分断領域R2を有することで、曲げ部と直線部とを組み合わせることができる。そのため、空間の形状に合わせて筐体10を曲げることができる。
第1多孔体41が3つ以上の第1分断領域R1を有し、第3多孔体43が3つ以上の第2分断領域R2を有する場合、1組の隣り合う第1分断領域R1および第2分断領域R2を結ぶ曲げ線のうち、少なくとも1本の曲げ線L1を境に曲げられる筐体10の向きが、別の曲げ線L2を境に曲げられる筐体10の向きと同じであればよい。
第1多孔体41が有する第1分断領域の数は、第3多孔体43が有する第2分断領域R2の数と異なってもよいが、同じであることが好ましい。
それぞれの第1分断領域R1に配置される第2多孔体42の数は、同じでもよく、異なっていてもよい。同様に、それぞれの第2分断領域R2に配置される第4多孔体44の数は、同じでもよく、異なっていてもよい。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態に係るベーパーチャンバーでは、第1多孔体は、複数の第1分断領域を有し、第3多孔体は、複数の第2分断領域を有する。1組の隣り合う第1分断領域および第2分断領域を結ぶ曲げ線のうち、少なくとも1本の曲げ線を境に曲げられる筐体の向きは、別の曲げ線を境に曲げられる筐体の向きと異なる。
図16は、本発明の第4実施形態に係るベーパーチャンバーの一例を模式的に示す断面図である。
図16に示すベーパーチャンバー4では、第1多孔体41は、複数の第1分断領域R1を有する。図示されていないが、第3多孔体43は、複数の第2分断領域R2を有する。図16に示す例では、第1多孔体41は、2つの第1分断領域R1を有しているが、3つ以上の第1分断領域R1を有してもよい。同様に、第3多孔体43は、2つの第2分断領域R2を有してもよく、3つ以上の第2分断領域R2を有してもよい。
1組の隣り合う第1分断領域R1および第2分断領域R2を結ぶ曲げ線L1およびL2のうち、1本の曲げ線L1を境に曲げられる筐体10の向きは、別の曲げ線L2を境に曲げられる筐体10の向きと異なる。
第1多孔体41が複数の第1分断領域R1を有し、第3多孔体43が複数の第2分断領域R2を有することで、曲げ部と直線部とを組み合わせることができる。そのため、第3実施形態と同様、空間の形状に合わせて筐体10を曲げることができる。
第1多孔体41が3つ以上の第1分断領域R1を有し、第3多孔体43が3つ以上の第2分断領域R2を有する場合、1組の隣り合う第1分断領域R1および第2分断領域R2を結ぶ曲げ線のうち、少なくとも1本の曲げ線L1を境に曲げられる筐体10の向きが、別の曲げ線L2を境に曲げられる筐体10の向きと異なっていればよい。
第1多孔体41が有する第1分断領域の数は、第3多孔体43が有する第2分断領域R2の数と異なってもよいが、同じであることが好ましい。
それぞれの第1分断領域R1に配置される第2多孔体42の数は、同じでもよく、異なっていてもよい。同様に、それぞれの第2分断領域R2に配置される第4多孔体44の数は、同じでもよく、異なっていてもよい。
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態に係るベーパーチャンバーでは、厚さ方向に垂直な断面を見たとき、1組の隣り合う第1分断領域および第2分断領域を結ぶ曲げ線は、筐体の輪郭線に対して傾斜している。
図17は、本発明の第5実施形態に係るベーパーチャンバーの一例を模式的に示す断面図である。
図17に示すベーパーチャンバー5では、厚さ方向Zに垂直な断面を見たとき、1組の隣り合う第1分断領域R1および第2分断領域R2を結ぶ曲げ線Lは、筐体10の輪郭線に対して傾斜している。
1組の隣り合う第1分断領域R1および第2分断領域R2を結ぶ曲げ線Lが筐体10の輪郭線に対して傾斜していることで、空間の形状に合わせて筐体10を曲げることができる。
[第6実施形態]
第6実施形態では、ウィックが第1多孔体と第2多孔体とを含み、第3多孔体と第4多孔体とを含まない点が第1実施形態~第5実施形態と異なる。
図18は、本発明の第6実施形態に係るベーパーチャンバーの一例を模式的に示す断面図である。図19は、図18に示すベーパーチャンバーのXIX-XIX線に沿った断面図である。
図18に示すベーパーチャンバー6では、ウィック30Aは、第1多孔体41と第2多孔体42とを含む。図2に示すベーパーチャンバー1と異なり、ウィック30Aは、第3多孔体43と第4多孔体44とを含まない。そのため、ベーパーチャンバー6では、液体流路51は形成されないが、第1多孔体41および第2多孔体42によって液体流路が形成される。
図18に示すように、第1多孔体41は、厚さ方向Zに垂直な方向(本実施形態では長さ方向Y)に沿って延びている。図18に示すように、第1多孔体41は、その延びる方向において第1分断領域R1を介して分断されている。
図18および図19に示すように、隣り合うウィック30の間には、蒸気流路50が形成されている。
図18に示すように、第2多孔体42は、第1分断領域R1に嵌まるように、第1多孔体41と隙間を空けて配置されている。
ベーパーチャンバー6において、筐体10は、第1分断領域R1を含む曲げ線L(図18参照)を境に曲げることが可能である。
以上のように、ウィック30Aが第3多孔体43と第4多孔体44とを含まず、第1多孔体41と第2多孔体42とを含むベーパーチャンバー6においても、ベーパーチャンバー1と同様の効果が期待できる。
本発明の第6実施形態に係るベーパーチャンバーは、ウィックが第3多孔体と第4多孔体とを含まない点を除いて、本発明の第1実施形態と同様の構成を有する。
本発明の第6実施形態に係るベーパーチャンバーでは、本発明の第2実施形態と同様に、第1分断領域には、第1多孔体が延びる方向に複数の第2多孔体が配置されていてもよい。
本発明の第6実施形態に係るベーパーチャンバーでは、本発明の第3実施形態と同様に、第1多孔体は、複数の第1分断領域を有し、それぞれの第1分断領域を含む曲げ線のうち、少なくとも1本の曲げ線を境に曲げられる筐体の向きは、別の曲げ線を境に曲げられる筐体の向きと同じであってもよい。
本発明の第6実施形態に係るベーパーチャンバーでは、本発明の第4実施形態と同様に、第1多孔体は、複数の第1分断領域を有し、それぞれの第1分断領域を含む曲げ線のうち、少なくとも1本の曲げ線を境に曲げられる筐体の向きは、別の曲げ線を境に曲げられる筐体の向きと異なっていてもよい。
本発明の第6実施形態に係るベーパーチャンバーでは、本発明の第5実施形態と同様に、厚さ方向に垂直な断面を見たとき、第1分断領域を含む曲げ線は、筐体の輪郭線に対して傾斜していてもよい。
[その他の実施形態]
本発明の熱拡散デバイスは、上記実施形態に限定されるものではなく、熱拡散デバイスの構成、製造条件等に関し、本発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
本発明の熱拡散デバイスにおいて、厚さ方向Zから見た筐体10の平面形状は特に限定されず、例えば、三角形または矩形などの多角形、円形、楕円形、これらを組み合わせた形状などが挙げられる。また、筐体10の平面形状は、L字型、C字型(コの字型)などであってもよい。また、筐体10の内部に貫通口を有していてもよい。筐体10の平面形状は、熱拡散デバイスの用途、熱拡散デバイスの組み入れ箇所の形状、近傍に存在する他の部品に応じた形状であってもよい。
上記実施形態では、第1多孔体41および第2多孔体42を含むウィック30は、厚さ方向Zからの筐体10の平面視で、筐体10の内部空間の全体に配置される例を示したが、局所的に配置されてもよい。例えば、厚さ方向Zからの筐体10の平面視で、筐体10の内部空間の縁端に沿ってのみウィック30が配置されてもよいし、筐体10の短手方向の中央部付近にのみウィック30が配置されてもよい。
本発明の熱拡散デバイスにおいて、筐体10が第1シート11および第2シート12から構成される場合、第1シート11と第2シート12とは、端部が一致するように重なっていてもよいし、端部がずれて重なっていてもよい。
本発明の熱拡散デバイスにおいて、筐体10が第1シート11および第2シート12から構成される場合、第1シート11を構成する材料と、第2シート12を構成する材料とは異なっていてもよい。例えば、強度の高い材料を第1シート11に用いることにより、筐体10にかかる応力を分散させることができる。また、両者の材料を異なるものとすることにより、一方のシートで一の機能を得、他方のシートで他の機能を得ることができる。上記の機能としては、特に限定されないが、例えば、熱伝導機能、電磁波シールド機能等が挙げられる。
本発明の熱拡散デバイスでは、第1多孔体41が延びる方向に垂直な断面において、第1多孔体41は、厚さ方向Zで幅が一定であってもよく、厚さ方向Zで幅が一定でなくてもよい。例えば、第1多孔体41が延びる方向に垂直な断面において、第1多孔体41は、第1内壁面11a側の端部の幅よりも第2内壁面12a側の端部の幅が狭くてもよい。この場合、幅が一定である部分が含まれてもよい。
本発明の熱拡散デバイスでは、ウィック30が第3多孔体43と第4多孔体44とを含む場合、第3多孔体43が延びる方向に垂直な断面において、第3多孔体43は、厚さ方向Zで幅が一定であってもよく、厚さ方向Zで幅が一定でなくてもよい。例えば、第3多孔体43が延びる方向に垂直な断面において、第3多孔体43は、第1内壁面11a側の端部の幅よりも第2内壁面12a側の端部の幅が狭くてもよい。この場合、幅が一定である部分が含まれてもよい。
本発明の熱拡散デバイスにおいて、筐体10は、複数の蒸発部EPを有してもよい。
本発明の熱拡散デバイスでは、図2に示すベーパーチャンバー1と異なり、幅方向Xおよび長さ方向Yに対して斜めの方向に沿って延びるウィック30が存在してもよい。例えば、ウィック30は、蒸発部EPから放射状に延びてもよい。
本発明の熱拡散デバイスでは、蒸気流路50内に、筐体10の第1内壁面11aおよび第2内壁面12aを内側から支持する複数の支柱が配置されていてもよい。
蒸気流路50内に複数の支柱が配置される場合、支柱間は、蒸気流路50が分断される。支柱は、筐体10の第1内壁面11aおよび第2内壁面12aを内側から支持する。液体流路51の本数が少ない場合には、蒸気流路50内に支柱を配置することによって筐体10を支持することが可能である。
蒸気流路50内に複数の支柱が配置される場合、全ての蒸気流路50内に支柱が配置されることが好ましいが、支柱が配置されない蒸気流路50が存在してもよい。
支柱は、第1内壁面11aおよび第2内壁面12aの両方に接していてもよく、第1内壁面11aおよび第2内壁面12aのいずれか一方に接していてもよく、第1内壁面11aおよび第2内壁面12aの両方に接していなくてもよい。
支柱を形成する材料は、特に限定されないが、例えば、樹脂、金属、セラミックス、またはそれらの混合物、積層物等が挙げられる。また、支柱は、筐体10と一体であってもよく、例えば、第1シート11または第2シート12の内壁面をエッチング加工すること等により形成されていてもよい。
支柱の形状は、筐体10を支持できる形状であれば特に限定されないが、支柱の高さ方向に垂直な断面の形状としては、例えば、矩形等の多角形、円形、楕円形等が挙げられる。
支柱の高さは、特に限定されず、ウィック30の高さと同じでもよく、異なっていてもよい。
支柱の高さは、一の熱拡散デバイスにおいて、同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、ある領域における支柱の高さと、別の領域における支柱の高さが異なっていてもよい。
支柱の幅は、熱拡散デバイスの筐体の変形を抑制できる強度を与えるものであれば特に限定されないが、支柱の端部の高さ方向に垂直な断面の円相当径は、例えば100μm以上2000μm以下であり、好ましくは300μm以上1000μm以下である。支柱の円相当径を大きくすることにより、熱拡散デバイスの筐体の変形をより抑制することができる。一方、支柱の円相当径を小さくすることにより、作動媒体の蒸気が移動するための空間をより広く確保することができる。
支柱の配置は、特に限定されないが、好ましくは所定の領域において均等に、より好ましくは全体にわたって均等に、例えば支柱間の距離が一定となるように配置される。支柱を均等に配置することにより、熱拡散デバイス全体にわたって均一な強度を確保することができる。
本発明の熱拡散デバイスは、第1多孔体41、第2多孔体42、第3多孔体43および第4多孔体44以外のウィックをさらに備えてもよい。例えば、本発明の熱拡散デバイスは、第1内壁面に沿って配置されたウィック、および、第2内壁面に沿って配置されたウィックのうち、少なくとも一方のウィックをさらに備えてもよい。
第1内壁面に沿って配置されたウィックおよび第2内壁面に沿って配置されたウィックは、毛細管力により作動媒体を移動させることができる毛細管構造を有するウィックであれば特に限定されない。ウィックの毛細管構造は、従来の熱拡散デバイスにおいて用いられている公知の構造であってもよい。毛細管構造としては、細孔、溝、突起などの凹凸を有する微細構造、例えば、多孔構造、繊維構造、溝構造、網目構造などが挙げられる。
第1内壁面に沿って配置されたウィックおよび第2内壁面に沿って配置されたウィックの材料は特に限定されず、例えば、エッチング加工または金属加工により形成される金属多孔膜、メッシュ、不織布、焼結体、多孔体などが用いられる。ウィックの材料となるメッシュは、例えば、金属メッシュ、樹脂メッシュ、もしくは表面コートしたそれらのメッシュから構成されるものであってよく、好ましくは銅メッシュ、ステンレス(SUS)メッシュまたはポリエステルメッシュから構成される。ウィックの材料となる焼結体は、例えば、金属多孔質焼結体、セラミックス多孔質焼結体から構成されるものであってよく、好ましくは銅またはニッケルの多孔質焼結体から構成される。ウィックの材料となる多孔体は、例えば、金属多孔体、セラミックス多孔体、樹脂多孔体から構成されるもの等であってもよい。
第1内壁面に沿って配置されたウィックおよび第2内壁面に沿って配置されたウィックの大きさおよび形状は、特に限定されないが、例えば、筐体の内部において蒸発部から凝縮部まで連続して設置できる大きさおよび形状を有することが好ましい。
第1内壁面に沿って配置されたウィックおよび第2内壁面に沿って配置されたウィックの厚さは、特に限定されないが、各々、例えば2μm以上200μm以下であり、好ましくは5μm以上100μm以下、より好ましくは10μm以上40μm以下である。第1内壁面に沿って配置されたウィックおよび第2内壁面に沿って配置されたウィックの厚さは、部分的に異なっていてもよい。第1内壁面に沿って配置されたウィックの厚さは、第2内壁面に沿って配置されたウィックの厚さと同じでもよく、異なっていてもよい。
本発明の熱拡散デバイスは、放熱を目的として電子機器に搭載され得る。したがって、本発明の熱拡散デバイスを備える電子機器も本発明の1つである。本発明の電子機器としては、例えばスマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン、ゲーム機器、ウェアラブルデバイス等が挙げられる。本発明の熱拡散デバイスは上記のとおり、外部動力を必要とせず自立的に作動し、作動媒体の蒸発潜熱および凝縮潜熱を利用して、二次元的に高速で熱を拡散することができる。そのため、本発明の熱拡散デバイスを備える電子機器により、電子機器内部の限られたスペースにおいて、放熱を効果的に実現することができる。