JP7222240B2 - 液滴形成装置及び液滴形成方法 - Google Patents
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Description
本発明の液滴形成装置は、液を収容する液収容部と、液収容部の底部に配置され、吐出孔を備える膜状部材と、膜状部材を変形させる変形手段と、膜状部材を変形させる吐出信号、及び、膜状部材の残留振動を抑制する抑制信号のいずれかを選択的に出力して変形手段を駆動する駆動部と、を有し、更に必要に応じて、その他の手段を有する。
また、抑制信号は、膜状部材の固有振動周期T0を含み、抑制信号の振幅は、吐出信号の振幅以下であり、吐出信号の出力が終了してから抑制信号の出力を開始するまでの間隔時間Tiは、次式、Ti=(m-1/2)×T0、を満たす。ただし、式中、mは、正の整数を示す。
本発明の液滴形成装置は、本発明の液滴形成方法を実施する装置として動作する。即ち、本発明の液滴形成装置は、本発明の液滴形成方法を実施することと同義であるので、本発明の液滴形成装置の説明を通じて本発明の液滴形成方法の詳細についても明らかにする。
本発明の液滴形成装置は、一定の液量範囲では共振周波数が安定する場合があるという知見に基づくものである。
なお、以下では、共振周波数を「固有振動数」と称することもある。
[液滴形成装置の構造]
第1の実施形態に係る液滴形成装置について説明する。
図3は、第1の実施形態に係る液滴形成装置を例示する断面図である。
図3に示すように、第1の実施形態に係る液滴形成装置1は、液を収容する液室2と、吐出孔(ノズル)3aが形成されたメンブレン3と、圧電素子4と、圧電素子4に駆動信号を出力する駆動部5とを有する。
なお、本実施形態では、便宜上、液室2の液面が存在する側を上側、圧電素子4が存在する側を下側とする。また、各部位において、液室2が存在する側の面を上面、圧電素子4が存在する面を下面とする。
液Aとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
液室2の材質としては、例えば、金属、シリコン、セラミックなどが挙げられる。
液室2の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
液室2に収容可能な液Aの量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1μL~1mLとしてもよく、液Aが細胞を分散させた細胞懸濁液などである場合には、1μL~50μLとしてもよい。
メンブレン3は、圧電素子4により変形させられる。
メンブレン3としては、本実施形態では、平均厚みが40μmで、直径が20mmの円形SUS板を用いた。
メンブレン3の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属材料、セラミック材料、高分子材料などが挙げられ、ある程度の硬さがある材質であることが好ましい。メンブレン3の材質がある程度の硬さがあると、メンブレン3が容易に振動せず、また振動を抑制しやすい。
金属材料としては、例えば、ステンレス鋼、ニッケル、アルミニウムなどが挙げられる。
セラミック材料としては、例えば、二酸化ケイ素、アルミナ、ジルコニアなどが挙げられる。
吐出孔3aの形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、真円状などが挙げられる。
吐出孔3aの形状が真円状の場合、吐出孔3aの直径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20μm以上200μm以下が好ましい。吐出孔3aの直径が好ましい範囲であると、吐出される液滴形状の安定化の点で有利である。
圧電素子4の形状としては、メンブレン3の形状に合わせた形状が好ましい。例えば、メンブレン3を平面視したときの形状が円形である場合には、吐出孔3aの周囲に平面形状が円環状(リング状)の圧電素子4を配置することが好ましい。
圧電材料としては、例えば、ジルコン酸チタン酸鉛、ビスマス鉄酸化物、ニオブ酸金属物、チタン酸バリウム、これらに金属や異なる酸化物を加えた材料などが挙げられる。
第1の実施形態に係る液滴形成装置が液滴を形成する過程について説明する。
図4は、吐出信号及び抑制信号の一例を示す説明図である。図5A~図5Cは、第1の実施形態に係る液滴形成装置の動作を示す説明図である。
図4に示す吐出信号Pj及び抑制信号Psが圧電素子4に出力された場合には、図5A~図5Cに示すように液滴Dを形成するとともに、メンブレン3の残留振動を抑制することができる。
メンブレン3の固有振動周期Toは、例えば、レーザドップラー振動計(LV-1800、株式会社小野測器製)を用いて測定することができる。
抑制信号Psの電圧は、吐出信号Pjの最大電圧以下にする。抑制信号Psの電圧が吐出信号Pjの最大電圧を超えると、抑制信号Psにより不要な振動が発生し、残留振動の長期化を招きやすくなる。
抑制信号Psとしては、メンブレン3の固有振動周期Toに基づく信号であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、三角波、正弦波、矩形波、ローパスフィルタを介してエッジを緩やかにした三角波などとしてもよい。この場合には、三角波などの周期をメンブレン3の固有振動周期Toに合わせるようにする。
第2の実施形態の液滴形成装置は、第1の実施形態の液滴形成装置に加え、液室2の液量を検出可能な液量検出手段を更に有する。第1の実施形態ではメンブレン3の固有振動周期Toを固定値として扱っていたが、メンブレン3の固有振動周期Toは、液室2の液量、即ち液室2に収容されている液Aの重さに応じて変化する。このことから、第2の実施形態では、液量検出手段の検出結果に基づき、現状の液量に応じたメンブレン3の固有振動周期Toを求め、メンブレン3の残留振動をより抑制し得る抑制信号を出力することが可能になる。ここでは、液量検出手段について説明する。
図7に示すように、第2の実施形態では、第1の実施形態の液滴形成装置1において、液室2の内壁面の深さ方向に所定の間隔で複数の電極6を設けることにより、液室2の液量を検出可能な液量検出手段とした。この場合には、液室2に収容する液Aとして導電性の液を用い、複数の電極6間の抵抗値などを計測することにより、液室2の液量を検出することができる。これにより、液室2の液量に対するメンブレン3の固有振動周期Toを予め計測して作成したデータテーブルを参照することにより、液室2の液量に応じたメンブレン3の固有振動周期Toを求めることができる。
光センサ7は、液室2の液面に向けて光を照射し、液面で反射した反射光を受光することにより、照射光と反射光の位相差に基づいて液面までの距離を測定することができる。
図9は、第2の実施形態の変形例に係る液滴形成装置において、液室の液量とメンブレンの固有振動数との関係を例示する図である。図9では、破線が測定値、実線が解析解(補正)を示す。
液滴形成装置1では、図9に示すように、液室2内の液量に応じてメンブレン3の固有振動周波数(1/To)が変化するが、固有振動周波数の変化が少ない範囲が存在する。このため、第2の実施形態の変形例の液滴形成装置では、光センサ7で液室2内の液量を検出した結果に基づいて吐出信号Pj及び抑制信号Psを出力し、固有振動周波数の変化が少ない所定の範囲の液量になるように制御し、安定した状態で液滴形成する。
図10Aは、間隔時間Tiを0To~4/8To(0.0μsec~66.7μsec)としたときの結果を示す。図10A中において、太線が参考例(Ref)、細線が0To(0μsec)、一点鎖線が1/8To(16.7μsec)、破線が2/8To(33.3μsec)、点線が3/8To(50.0μsec)、細かい点線が4/8To(66.7μsec)としたときの結果を示す。
図10Bは、間隔時間Tiを5/8To~8/8To(83.3μsec~133.3μsec)としたときの結果を示す。図10B中において、太線が参考例(Ref)、一点鎖線が5/8To(83.3μsec)、破線が6/8To(100.0μsec)、点線が8/8To(133.3μsec)としたときの結果を示す。
なお、図10A及び図10B中の参考例では、抑制信号Psを出力しない場合に発生する残留振動を示している。
次に、液滴形成装置1は、図12に示すようなテーブルデータを参照し、抑制信号Ps、間隔時間Ti、吐出信号Pj、及び次の液量検出までの繰り返し吐出回数Nを求める。また、次式、Ti=(m-1/2)×T0、から間隔時間Tiを求め、それぞれ吐出条件として設定する(S103)。
「初期充填量」のデータ項目は、本変形例では、液室にインクを供給した後、光センサで液室内の液量を検出した結果に該当する。
「最適固有振動数」のデータ項目は、本変形例では、液室内の液量に対し、安定して液滴形成が可能となるメンブレンの最適な固有振動数(1/To)である。
「液量範囲」のデータ項目は、本変形例では、抑制信号Psを印加したときに、参考例よりもメンブレンの残留振動が抑制される液量範囲である。
「固有振動数範囲」のデータ項目は、本変形例では、液量範囲に対応するメンブレンの固有振動数範囲である。
<1> 液を収容する液収容部と、
前記液収容部の底部に配置され、吐出孔を備える膜状部材と、
前記膜状部材を変形させる変形手段と、
前記膜状部材を変形させて前記液を吐出させる吐出信号、及び、前記膜状部材の残留振動を抑制する抑制信号のいずれかを出力して前記変形手段を駆動する駆動部と、
を有し、
前記抑制信号が、前記膜状部材の固有振動周期T0に基づく信号であり、
前記抑制信号の振幅が、前記吐出信号の振幅以下であり、
前記吐出信号の出力が終了してから前記抑制信号の出力を開始するまでの間隔時間Tiが、次式、Ti=(m-1/2)×T0、を満たすことを特徴とする液滴形成装置である。
ただし、前記式中、mは、正の整数を示す。
<2> 前記駆動部が、複数の前記抑制信号を出力する前記<1>に記載の液滴形成装置である。
<3> 前記液収容部の液量を検出する液量検出手段を更に有し、
前記駆動部が、前記液量検出手段の検出結果に基づいて前記変形手段を駆動する前記<1>から<2>のいずれかに記載の液滴形成装置である。
<4> 液を収容可能な液収容部と、
前記液収容部の底部に配置され、吐出孔を備える膜状部材と、
前記膜状部材を変形可能な変形手段と、
前記膜状部材を変形させ、前記液を吐出させる吐出信号、及び、前記膜状部材の残留振動を抑制する抑制信号のいずれかを出力して前記変形手段を駆動する駆動部と、
を有する液滴形成装置を用い、
前記液収容部に前記液を収容し、前記膜状部材に対し、前記膜状部材を変形させて前記液を吐出させる吐出信号、及び、前記膜状部材の残留振動を抑制する抑制信号のいずれかを出力して前記変形手段を駆動する駆動工程を含み、
前記抑制信号が、前記膜状部材の固有振動周期T0に基づく信号であり、
前記抑制信号の振幅が、前記吐出信号の振幅以下であり、
前記吐出信号の出力が終了してから前記抑制信号の出力を開始するまでの間隔時間Tiが、次式、Ti=(m-1/2)×T0、を満たすことを特徴とする液滴形成方法である。
ただし、前記式中、mは、正の整数を示す。
<5> 前記駆動工程は、複数の前記抑制信号を出力する前記<4>に記載の液滴形成方法である。
<6> 前記液収容部の液量を検出する液面検出工程を更に含み、
前記駆動工程が、前記液面検出工程の検出結果に基づいて前記変形手段を駆動する前記<4>から<5>のいずれかに記載の液滴形成方法である。
2 液室(液収容部)
3 メンブレン(膜状部材)
3a 吐出孔
4 圧電素子(変形手段)
5 駆動部
6 電極(液量検出手段)
7 光センサ(液量検出手段)
D 液滴
Claims (4)
- 液を収容可能な液収容部と、
前記液収容部の底部に配置され、吐出孔を備える膜状部材と、
前記膜状部材を変形可能な変形手段と、
前記膜状部材を変形させ、前記液を吐出させる吐出信号、及び、前記膜状部材の残留振動を抑制する抑制信号のいずれかを出力して前記変形手段を駆動する駆動部と、
を有し、
前記抑制信号が、前記膜状部材の固有振動周期T0に基づく信号であり、
前記抑制信号の振幅が、前記吐出信号の振幅以下であり、
前記吐出信号の出力が終了してから前記抑制信号の出力を開始するまでの間隔時間Tiが、次式、Ti=(m-1/2)×T0、を満たすことを特徴とする液滴形成装置。
ただし、前記式中、mは、正の整数を示す。 - 前記駆動部が、複数の前記抑制信号を出力する請求項1に記載の液滴形成装置。
- 前記液収容部の液量を検出する液量検出手段を更に有し、
前記駆動部が、前記液量検出手段の検出結果に基づいて前記変形手段を駆動する請求項1から2のいずれかに記載の液滴形成装置。 - 液を収容可能な液収容部と、
前記液収容部の底部に配置され、吐出孔を備える膜状部材と、
前記膜状部材を変形可能な変形手段と、
前記膜状部材を変形させ、前記液を吐出させる吐出信号、及び、前記膜状部材の残留振動を抑制する抑制信号のいずれかを出力して前記変形手段を駆動する駆動部と、
を有する液滴形成装置を用い、
前記液収容部に前記液を収容し、前記膜状部材に対し、前記膜状部材を変形させて前記液を吐出させる前記吐出信号、及び、前記膜状部材の前記残留振動を抑制する前記抑制信号のいずれかを出力して前記変形手段を駆動する駆動工程を含み、
前記抑制信号が、前記膜状部材の固有振動周期T0に基づく信号であり、
前記抑制信号の振幅が、前記吐出信号の振幅以下であり、
前記吐出信号の出力が終了してから前記抑制信号の出力を開始するまでの間隔時間Tiが、次式、Ti=(m-1/2)×T0、を満たすことを特徴とする液滴形成方法。
ただし、前記式中、mは、正の整数を示す。
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