JP7222013B2 - コイル挿入ガイド装置及びコイル挿入ガイド方法 - Google Patents
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Description
本発明は、コイル挿入ガイド装置及びコイル挿入ガイド方法に関する。
従来、巻回状態のコイルを、ステータコアの径方向の内方から外方へ移動させることによってステータコアのスロット内に挿入する際に、巻回状態のコイルの外周側にガイド治具を配置させ、そのガイド治具によってコイルの移動を案内する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この方法では、巻回状態のコイルに予め絶縁部材が装着されており、ガイド治具によって、コイルと絶縁部材とを一緒にスロットに向けて移動させるようにしている。
しかしながら、ガイド治具によってコイルと絶縁部材との移動を案内する場合、ガイド治具に負荷がかかり易く、ガイド治具が破損し易い。これに対して、予め絶縁部材をスロット内に挿入する場合は、コイル挿入時に、コイルがスロット内の絶縁部材を噛み込むことによって、絶縁部材が破損するおそれがある、という課題がある。
本発明は、コイルをスロット内に挿入する際に、コイルがスロット内の絶縁部材を噛み込むおそれのないコイル挿入ガイド装置及びコイル挿入ガイド方法を提供することを目的とする。
(1) 本発明に係るコイル挿入ガイド装置は、径方向(例えば、後述のY方向)に開口する開口部(例えば、後述の開口部22a)を有する複数のスロット(例えば、後述のスロット22)内に絶縁部材(例えば、後述の絶縁紙24)が挿入されたステータコア(例えば、後述のステータコア2)を位置決めする位置決め治具(例えば、後述の位置決め治具3)と、前記位置決め治具に、前記ステータコアの軸方向(例えば、後述のZ方向)の端面(例えば、後述の端面2a)に対して当接可能に設けられるガイド部材(例えば、後述のカフスガイド33)と、を備え、前記スロットに前記ステータコアの径方向に沿って挿入されるコイル(例えば、後述の帯状コイル100)を前記ガイド部材によって案内するコイル挿入ガイド装置(例えば、後述のコイル挿入ガイド装置30)であって、前記ガイド部材は、ガイド溝(例えば、後述のガイド溝331)を有し、前記ガイド溝は、前記ステータコアの前記端面に近い側に、前記スロットに連通するとともに前記ステータコアの前記端面からはみ出した前記絶縁部材のカフス部(例えば、後述のカフス部24a)を収容して支持するカフス部支持溝部(例えば、後述のカフス部支持溝部331a)と、前記端面から遠い側に、前記カフス部支持溝部よりも前記スロットの内側に向けて突出し、前記コイルを当接させて前記コイルの移動を案内するコイル案内溝部(例えば、後述のコイル案内溝部331b)と、を有する。
(2) 上記(1)に記載のコイル挿入ガイド装置において、前記ガイド部材は、前記スロットの前記開口部から前記コイルの挿入方向に沿って次第に前記端面からの高さが高くなるように形成され、前記コイル案内溝部によって案内される前記スロット内の前記コイルの移動に伴って、前記ステータコアの軸方向に沿う張力(例えば、後述の張力F)を付与するように前記コイルの移動を案内してもよい。
(3) 上記(1)又は(2)に記載のコイル挿入ガイド装置において、前記コイル案内溝部における前記コイルとの当接部位(例えば、後述の角部331c,333c)は、R形状を有してもよい。
(4) 本発明に係るコイル挿入ガイド方法は、径方向(例えば、後述のY方向)に開口する開口部(例えば、後述の開口部22a)を有する複数のスロット(例えば、後述のスロット22)内に絶縁部材(例えば、後述の絶縁紙24)が挿入されたステータコア(例えば、後述のステータコア2)の前記スロットに、前記ステータコアの径方向に沿って挿入されるコイル(例えば、後述の帯状コイル100)の移動を案内するコイル挿入ガイド方法であって、前記ステータコアの軸方向(例えば、後述のZ方向)の端面(例えば、後述の端面2a)に近い側に、前記スロットに連通するとともに前記端面からはみ出した前記絶縁部材のカフス部(例えば、後述のカフス部24a)を収容して支持するカフス部支持溝部(例えば、後述のカフス部支持溝部331a)と、前記端面から遠い側に、前記カフス部支持溝部よりも前記スロットの内側に向けて突出し、前記コイルを当接させて前記コイルの移動を案内するコイル案内溝部(例えば、後述のコイル案内溝部331b)と、を有するガイド溝(例えば、後述のガイド溝331)が設けられるガイド部材(例えば、後述のカフスガイド33)を、前記端面に当接させ、前記カフス部支持溝部によって、前記カフス部を支持するとともに、前記コイル案内溝部によって、前記スロット内に挿入される前記コイルの移動を案内する。
(5) 上記(4)に記載のコイル挿入ガイド方法において、前記ガイド部材を、前記スロットの前記開口部から前記コイルの挿入方向に沿って次第に前記端面からの高さが高くなるように形成し、前記コイル案内溝部によって案内される前記スロット内の前記コイルの移動に伴って、前記コイルに対して前記ステータコアの軸方向に沿う張力(例えば、後述の張力F)を付与するように前記コイルの移動を案内してもよい。
上記(1)によれば、予めスロット内に挿入される絶縁部材のカフス部が、ガイド部材のガイド溝のカフス部支持溝部によって支持されるため、カフス部がスロットに対して位置決めされるとともに、スロット内のコイルの移動が、ガイド溝のコイル案内溝部にコイルが当接することによって、カフス部を噛み込むことなく案内される。そのため、コイルをスロット内に挿入する際に、コイルがスロット内の絶縁部材を噛み込むおそれのないコイル挿入ガイド装置を提供することができる。
上記(2)によれば、コイルがスロット内に挿入されるに従って、スロット内のコイルにステータコアの軸方向の張力が付与されるため、スロット内のコイルの湾曲が抑制され、スロット内でコイルと絶縁部材とが干渉することによる絶縁部材の破損が抑制される。
上記(3)によれば、コイルとガイド部材のコイル案内溝部との当接部位がR形状であるため、コイルの表面に設けられる保護被膜の損傷が抑制される。
上記(4)によれば、予めスロット内に挿入される絶縁部材のカフス部が、ガイド部材のガイド溝のカフス部支持溝部によって支持されるため、カフス部がスロットに対して位置決めされるとともに、スロット内のコイルの移動が、ガイド溝のコイル案内溝部にコイルが当接することによって、カフス部を噛み込むことなく案内される。そのため、コイルをスロット内に挿入する際に、コイルがスロット内の絶縁部材を噛み込むおそれのないコイル挿入ガイド方法を提供することができる。
上記(5)によれば、コイルがスロット内に挿入されるに従って、スロット内のコイルにステータコアの軸方向の張力が付与されるため、スロット内のコイルの湾曲が抑制され、スロット内でコイルと絶縁部材とが干渉することによる絶縁部材の破損が抑制される。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、コイル挿入ガイド装置30を備えるコイル装着装置1を示す。、コイル装着装置1は、ステータコア2と、ステータコア2を位置決めして固定する位置決め治具3と、ステータコア2の内側に挿入され、帯状コイル100を円環状に巻き取ったコイル巻取治具4と、コイル巻取治具4に巻き取られた帯状コイル100を拡張させるコイル拡張機構部5と、を備える。
ステータコア2は、図2及び図3に示すように、例えば、薄肉のコアプレートが複数積層された積層体からなる円環部21を有する。円環部21の中心には、軸方向に貫通する貫通孔20を有する。ステータコア2は、ステータコア2の軸方向に貫通する複数のスロット22を有する。スロット22は、円環部21の周方向に沿って一定の間隔で放射状に配列され、円環部21の径方向の内方の貫通孔20に向けて開口する開口部22aを有する。本実施形態のステータコア2は、72個のスロット22を有する。ステータコア2の円環部21の外周には、一定の間隔で突出する6つの耳部23を有する。なお、ステータコア2及び位置決め治具3において、図2及び図3に示すように、スロット22が配列されるX方向が周方向であり、貫通孔20の中心から放射方向に沿うY方向が径方向であり、図2に示すZ方向(図3の紙面に対する垂直方向)が軸方向である。
位置決め治具3は、図1、図2及び図3に示すように、ステータコア2の軸方向の寸法に略等しい軸方向の寸法を有する六角柱形状を有し、ステータコア2を挿入して配置可能なステータコア挿入孔31を中央に有する。本実施形態のコイル装着装置1において、位置決め治具3は、ステータコア挿入孔31内に固定されたステータコア2の軸方向が水平方向になるように、コイル装着装置1の基台11の中央部に固定される。
位置決め治具3は、ステータコア挿入孔31内のステータコア2を所定の位置及び姿勢に固定する。詳しくは、位置決め治具3は、図2及び図3に示すように、ステータコア2の6つの耳部23の位置に対応して、ステータコア挿入孔31内に対して突出及び後退するように移動可能な6つのコア押さえブロック32を有する。位置決め治具3は、ステータコア挿入孔31内にステータコア2が挿入された後、コア押さえブロック32を、図示しないシリンダ等のアクチュエータの駆動によって、それぞれステータコア挿入孔31内に向けて突出させる。これによって、コア押さえブロック32は、図2に示すように、それぞれステータコア2の耳部23を把持し、ステータコア挿入孔31内のステータコア2を所定の位置及び姿勢に固定する。
ステータコア2のスロット22には、図3及び図4に示すように、それぞれ絶縁部材である絶縁紙24が予め装着されている。絶縁紙24は、ステータコア2を軸方向から見たときのスロット22の略コ字状の内面形状に倣うように、略コ字状に折り曲げられて形成される。すなわち、絶縁紙24は、ステータコア2の径方向に延びるスロット22の内壁面に沿う一対の径方向部241,241と、径方向部241,241の径方向外側の端部同士をステータコア2の周方向に沿って連結する周方向部242と、を有する。
図4に示すようにスロット22内に装着された絶縁紙24は、カフス部24aを有する。カフス部24aは、絶縁紙24の径方向部241,241及び周方向部242がステータコア2の軸方向に延長されてスロット22からはみ出し、ステータコア2の軸方向の端面2aから外側に突出する部位である。図4は、ステータコア2の一方の端面2aからはみ出した絶縁紙24の一方のカフス部24aのみを示すが、カフス部24aは、ステータコア2の軸方向の両方の端面2a,2aからそれぞれはみ出している。
図1及び図2に示すように、予めステータコア2が固定された位置決め治具3の軸方向の両端面3a,3aには、それぞれ複数のカフスガイド33が周方向に沿って一定の間隔で放射状に配列するように取り付けられる。カフスガイド33は、後述の帯状コイル100をステータコア2のスロット22内に挿入する際の移動を案内するガイド部材である。この位置決め治具3とカフスガイド33とによって、コイル挿入ガイド装置30が構成される。カフスガイド33は、それぞれ図示しないシリンダ等のアクチュエータの駆動によって、ステータコア2の径方向に沿って進退移動可能に設けられる。なお、図3では、コア押さえブロック32の説明の理解を容易にするため、カフスガイド33は図示を省略している。
カフスガイド33は、ステータコア2の径方向に沿って長尺な薄板状に形成される。図5に示すように、カフスガイド33の内端33a側には、絶縁紙24のカフス部24aをステータコア2の周方向の両側から挟むように支持するガイド溝331を有する。ガイド溝331は、カフスガイド33の内端33a側に、カフスガイド33の長さ方向に沿ってコ字状に切り欠かれ、位置決め治具3の内方に向けて開口している。カフスガイド33のガイド溝331よりも外端33b側には、カフスガイド33の径方向の移動範囲を規制する長孔332が設けられる。
図6及び図7に示すように、カフスガイド33は、長孔332よりも内端33aに向かうに従って、板厚が徐々に薄くなるテーパ面33cを有する。テーパ面33cは、位置決め治具3の端面3aに対向する底面33dとは反対側の面に設けられる。これによって、カフスガイド33の内端33a側は板厚が薄く、外端33bに向かうに従って次第に板厚が厚くなるように形成される。したがって、カフスガイド33がステータコア2の端面2aに配置された際に、カフスガイド33は、内端33a側から外端33bに向かうに従って、次第に端面2aからの高さが高くなるように形成される。ガイド溝331は、カフスガイド33においてテーパ面33c設けられる領域に亘って設けられている。ステータコア2の径方向に沿うガイド溝331の溝深さDは、ステータコア2の径方向に沿うスロット22の深さ以上である。
図7に示すように、ガイド溝331は、ステータコア2の周方向に沿う溝幅が相対的に広いカフス部支持溝部331aと、ステータコア2の周方向に沿う溝幅が相対的に狭いコイル案内溝部331bと、によって形成される。カフス部支持溝部331aとコイル案内溝部331bとは、カフスガイド33の板厚方向(図6及び図7の上下方向)に連続して形成される。カフス部支持溝部331aは、位置決め治具3に固定されたステータコア2の端面2aに近い側に配置され、コイル案内溝部331bは、位置決め治具3に固定されたステータコア2の端面2aから遠い側に配置される。
カフス部支持溝部331aは、カフスガイド33の板厚方向における位置決め治具3の端面3aに対向する底面33dの側に配置される。ステータコア2の周方向に沿うカフス部支持溝部331aの溝幅W1は、ステータコア2の周方向に沿うスロット22の幅に略等しい。ステータコア2の軸方向に沿うカフス部支持溝部331aの高さH1は、ステータコア2の端面2aからはみ出すカフス部24aの突出高さ以上の高さを有する。この高さH1は、ガイド溝331の長さ方向に沿って一定である。カフス部支持溝部331aは、カフスガイド33がステータコア2のスロット22に向けて前進した際に、カフス部24aにおける一対の径方向部241,241の部位をステータコア2の周方向の両側から挟むように支持する(図22参照)。
コイル案内溝部331bは、カフスガイド33の板厚方向におけるテーパ面33cの側に配置され、カフス部支持溝部331aとテーパ面33cとの間の全体に亘って設けられる。ステータコア2の周方向に沿うコイル案内溝部331bの溝幅W2は、ステータコア2の周方向に沿うスロット22の開口幅よりも狭い。したがって、コイル案内溝部331bは、スロット22内に装着された絶縁紙24よりもスロット22の内部に向けて僅かに突出するように配置される。しかし、コイル案内溝部331bの溝幅W2は、スロット22内に挿入される後述の帯状コイル100の直状部102の幅Wc以上である(図25参照)。そのため、コイル案内溝部331bは、直状部102のスロット22内への挿入を阻害することはない。
なお、本実施形態の位置決め治具3は、1つの端面3a当たり、ステータコア2の1つおきのスロット22に対応する36個のカフスガイド33を有する。カフスガイド33は、位置決め治具3の径方向内側に移動してガイド位置に位置決めされた際に、隣り合うカフスガイド33,33間の内端33a側の周方向の離隔距離が、ガイド溝331のコイル案内溝部331bの溝幅W2に一致するように配置される。
図6及び図7に示すように、カフスガイド33の内端33a側の両側面には、カフスガイド33の長さ方向に沿って、底面33d側のカフスガイド33の全体の幅を狭くする切り欠き部333a,333aを有する。この切り欠き部333aは、カフス部支持溝部331aと同じ一定の高さH1を有する。これによって、全てのカフスガイド33が径方向内側に移動して、対応する絶縁紙24のカフス部24aを挟むように支持した際(図21参照)、周方向に隣り合うカフスガイド33,33の切り欠き部333a,333aは、カフス部支持溝部331aと同様に、カフスガイド33,33の間に配置されるスロット22の絶縁紙24のカフス部24aをステータコア2の周方向の両側から挟むように支持するカフス部支持溝部を形成する。さらに、カフスガイド33の切り欠き部333aよりもテーパ面33c側の外側面には、切り欠き部333aよりも側方に張り出した張出部333bが形成される。これによって、隣り合うカフスガイド33,33の張出部333b,333bとの間には、コイル案内溝部331bと同様のコイル案内溝部が形成される。
位置決め治具3の両端面3a,3aには、図5に示すように、カフスガイド33にそれぞれ対応して一対ずつ設けられる内径側規制ピン34a及び外径側規制ピン34bを有する。カフスガイド33の長孔332は、一対の内径側規制ピン34a及び外径側規制ピン34bを内側に係合させて、位置決め治具3の両端面3a,3aに取り付けられる。
内径側規制ピン34aは、カフスガイド33が位置決め治具3の径方向外側に向けて移動した際に、長孔332の内端部332aに当接することによって、図2に示すように、カフスガイド33を最も径方向外側の非ガイド位置に位置決めする。非ガイド位置では、カフスガイド33の内端33aは、ステータコア挿入孔31よりも径方向の外側に配置される。
外径側規制ピン34bは、カフスガイド33が位置決め治具3の径方向内側に向けて移動した際に、長孔332の外端部332bに当接することによって、カフスガイド33を最も径方向内側のガイド位置に位置決めする。このとき、カフスガイド33の内端33aは、コイル巻取治具4よりも径方向外側に配置される(図20及び図21参照)。
なお、ステータコア2は、位置決め治具3のステータコア挿入孔31に、軸方向のいずれか一方側から挿入されるため、ステータコア2の挿入側と反対側に配置されるカフスガイド33は、図5に示すように、外径側規制ピン34bが長孔332の内端部332aに当接した状態で、内端33a側がステータコア2の円環部21に干渉するように配置されていてもよい。しかし、内径側規制ピン34a及び外径側規制ピン34bは、位置決め治具3の内部に設けたシリンダ等のアクチュエータを有する図示しない進退機構によって、位置決め治具3の表面に対する突出及び陥没を選択可能に構成してもよい。これによって、図5に示すようにカフスガイド33が配置される場合、必要に応じて、内径側規制ピン34a及び外径側規制ピン34bを位置決め治具3の表面に対して陥没させることによって、カフスガイド33をさらに径方向外側に移動させ、図2に示すように、カフスガイド33をステータコア2の円環部21から完全に退避させた状態にすることができる。
コイル巻取治具4は、図8に示すように、略円筒状の治具本体41と、治具本体41の外周に放射状に突出する複数の櫛歯部42と、周方向に隣り合う櫛歯部42の間によって形成される複数の櫛歯状溝43と、治具本体41の中心に開口する軸孔44と、を有する。
櫛歯部42及び櫛歯状溝43は、治具本体41の軸方向の両端部にそれぞれ設けられる。治具本体41の両端部の櫛歯部42及び櫛歯状溝43のそれぞれの位相は軸方向に揃えられている。治具本体41の周方向に配列される櫛歯状溝43の数は、ステータコア2に設けられるスロット22の数に一致している。したがって、本実施形態のコイル巻取治具4は、72個の櫛歯状溝43を有する。コイル巻取治具4は、ステータコア2の円環部21の内側に挿入可能となるように、櫛歯部42の先端の位置によって規定されるコイル巻取治具4の外径が、ステータコア2の内径よりも小径になるように形成されている。
コイル巻取治具4には、ステータコア2に装着するための帯状コイル100が円環状に巻き取られる。図9に示すように、帯状コイル100は、断面形状が略矩形状の平角導線101によって形成される長尺帯状のコイルである。平角導線101は、例えば、銅、アルミニウム等の導電性の高い金属によって形成される。
帯状コイル100は、複数の直状部102と複数のコイルエンド部103とを有する。直状部102は、ステータコア2のスロット22内に挿入される部位であり、それぞれ略直線状に延びて一定の間隔で平行に配置される。コイルエンド部103は、直状部102よりも帯状コイル100の側端寄りの位置にそれぞれ配置され、隣り合う直状部102の一方端部同士と他方端部同士とを略三角形の山型状に交互に連結する。コイルエンド部103は、帯状コイル100がステータコア2のスロット22に装着された際に、スロット22からステータコア2の軸方向にそれぞれ突出するように配置される部位である。本実施形態の帯状コイル100は、複数の直状部102と複数のコイルエンド部103とがそれぞれ折り曲げ形成された6本の平角導線101を、直状部102が一定の間隔で平行に並列するように束ねることによって、長尺帯状に形成される。
コイル巻取治具4は、図10に示すように、ステータコア2の内側に挿入される前に、帯状コイル100の直状部102を櫛歯状溝43の外方からそれぞれ順次挿入することによって、帯状コイル100を多重に巻き取っている。これによって、図11に示すように、帯状コイル100が円環状に巻き取られたコイル巻取治具4が構成される(コイル巻取工程)。
治具本体41の軸方向の櫛歯部42間の距離は、帯状コイル100の直状部102の長さに対応している。そのため、コイル巻取治具4に巻き取られた帯状コイル100の直状部102は、治具本体41の両端部の同位相の櫛歯状溝43,43に亘って収容される。多重に巻き取られた帯状コイル100のコイルエンド部103は、櫛歯状溝43から治具本体41の軸方向にそれぞれ円筒状に突出する。このようにして帯状コイル100が円環状に巻き取られたコイル巻取治具4は、図1、図2及び図3に示すように、位置決め治具3に固定されたステータコア2の貫通孔20の内側に、例えば、図示しないロボットの動作によって挿入される。なお、図1では、コイル巻取治具4の帯状コイル100は図示を省略している。
ステータコア2の内側の貫通孔20に挿入されたコイル巻取治具4は、位置決め治具3を間に挟んでその両側にそれぞれ配置されるコイル拡張機構部5によって、所定の位置及び姿勢に保持される。本実施形態のコイル拡張機構部5は、図1に示すように、略円柱状の外観形状を有し、ステータコア2の内側に挿入されたコイル巻取治具4に対して軸方向から対向している。
図1及び12に示すように、コイル拡張機構部5には、位置決め治具3を固定する基台11上に、位置決め治具3を挟んで対面するように、一対の支持基板12,12が立設される。コイル拡張機構部5は、支持基板12からステータコア2の内側に挿入されるコイル巻取治具4に向けてそれぞれ水平方向に突出している。コイル拡張機構部5は、支持基板12が図示しないモータ等の駆動によって基台11上を直線的に移動することによって、コイル巻取治具4に対して当接する方向及び離隔する方向にそれぞれ移動可能に設けられる。
コイル拡張機構部5は、図12及び図13に示すように、支持基板12からステータコア2の内側に挿入されたコイル巻取治具4に向けて延びる主軸部51を中心に有する。主軸部51の先端には、ステータコア2の内側においてコイル巻取治具4を所定の位置及び姿勢に保持する保持部52が設けられる。保持部52は、主軸部51の先端に配置される円形状の端板部521の中心から突出する軸突部522と、軸突部522の径方向外側の端板部521から軸突部522と同一方向に突出する1つの位置決め突部523と、を有する。軸突部522は、コイル巻取治具4の軸孔44に嵌合する。位置決め突部523は、コイル巻取治具4の軸孔44の径方向外側に設けられる1つの位置決め孔45に嵌合する。
コイル巻取治具4の位置決め孔45及び保持部52の位置決め突部523は、互いに嵌合した際に、位置決め治具3に固定されるステータコア2のスロット22の位相と、ステータコア2の内側に挿入されたコイル巻取治具4の櫛歯状溝43の位相とが一致するように、予め位置決めされて設けられている。したがって、コイル拡張機構部5が位置決め治具3に向けて移動し、コイル巻取治具4の軸孔44及び位置決め孔45と保持部52の軸突部522及び位置決め突部523とが嵌合すると、図5に示すように、コイル巻取治具4は、ステータコア2のスロット22に対して櫛歯状溝43の位相を合わせた状態で保持される。これによって、ステータコア2のスロット22の内部とコイル巻取治具4の櫛歯状溝43の内部とが、径方向に連通する。
コイル拡張機構部5は、主軸部51の外周側にコイル拡張部53を有する。コイル拡張部53は、主軸部51の外周側に嵌合する可動筒部531と、可動筒部531のさらに外周側に配置される複数の可動腕部532と、可動腕部532の先端にそれぞれ設けられる複数の駒部材533と、を有する。
可動筒部531は、主軸部51の長さよりも短い長さを有し、支持基板12の後方に配置されるシリンダ等のアクチュエータ54の駆動によって、主軸部51の軸方向に沿って摺動可能に設けられる。
可動腕部532は、主軸部51の軸方向に沿って延び、可動筒部531の外周側において周方向に一定の間隔をおいて複数配置される。本実施形態のコイル拡張部53は、主軸部51の周方向に沿って配列される12本の可動腕部532を有する。支持基板12の表面には、主軸部51を中心にして径方向外側に向けて放射状に配列される12本のガイドレール121が設けられる。可動腕部532の後端532bは、それぞれガイドレール121に沿って移動可能に取り付けられる。可動腕部532は、ガイドレールから可動筒部531の軸方向に沿って屈曲して保持部52の外周近傍まで延びている。可動腕部532の先端532aは、それぞれ回動可能に取り付けられる2つずつのリンク部534を介して、可動筒部531の先端側の外周面に連結される。
駒部材533は、略扇形状を有し、可動腕部532の先端にそれぞれ1つずつ設けられる。したがって、本実施形態のコイル拡張部53は、12個の駒部材533を有する。図15及び図16に示すように、駒部材533は、周方向の一方端部に一対の係合突片533aをそれぞれ有し、周方向の他方端部に、一対の係合突片533aと係合する一対の係合溝533bをそれぞれ有する。一対の係合突片533aは、コイル拡張部53の軸方向に平行に配置され、それぞれコイル拡張部53の周方向に向けて平行に突出している。12個の駒部材533は、周方向に隣り合う駒部材533,533の一対の係合突片533aと一対の係合溝533bとが互いに係合し合うことによって、保持部52の外周側に円環状に配列される。
図12、図13及び図14に示すコイル拡張機構部5のコイル拡張部53は、可動筒部531が主軸部51の後端側(支持基板12側)に後退した状態を示す。このとき、可動腕部532は、それぞれ放射状のガイドレール121の内方端側に移動し、可動筒部531の外周面に最も近接するように配置される。これによって、コイル拡張部53は、図15及び図16に示すように、12個の駒部材533を互いに密接させるように最も縮径する。コイル拡張部53が最も縮径したときの外径は、帯状コイル100が巻き取られたコイル巻取治具4から軸方向に円筒状に突出するコイルエンド部103の内径よりも僅かに小さい。コイル拡張機構部5は、コイル拡張部53が縮径した状態で、コイル巻取治具4の軸方向に円筒状に突出するコイルエンド部103に挿入され、保持部52によってコイル巻取治具4を保持する。
次に、可動筒部531が、アクチュエータ54の駆動によって、主軸部51に沿ってコイル巻取治具4に向けて前進すると、可動筒部531に連結されるリンク部534が、それぞれ可動筒部531の径方向外側に向けて張り出すように回動し、可動腕部532をガイドレールに沿ってそれぞれ外側に平行移動させる。これによって、12本の可動腕部532は、可動筒部531から径方向外側に離隔する。このとき、コイル拡張部53は、図17、図18及び図19に示すように、隣り合う駒部材533間の距離を互いに広げるように移動させて拡径する。最も拡径したコイル拡張部53の外径は、コイル巻取治具4の外径よりもやや大きい。
なお、図18及び図19に示すように、コイル拡張部53が最も拡径した際、隣り合う駒部材533,533同士は離隔するが、駒部材533,533間には係合溝533bから離れた一対の係合突片533aが周方向に張り出している。そのため、コイル拡張部53を周方向に見た場合、隣り合う駒部材533,533の間は一対の係合突片533aによって連続し、コイル拡張部53を径方向に貫通するような溝部は形成されない。
次に、コイル装着装置1において、コイル巻取治具4に巻き取られた帯状コイル100を、位置決め治具3に固定されたステータコア2の内側からスロット22に挿入する際に案内するコイル挿入ガイド方法について説明する。
コイル巻取治具4には、ステータコア2の内側に挿入される前に、上記のように、コイル巻取工程において、帯状コイル100が円環状に巻き取られる。帯状コイル100が円環状に巻き取られたコイル巻取治具4が位置決め治具3に固定されたステータコア2の内側に挿入された後は、図20に示すように、カフスガイド33が、図示しないアクチュエータの駆動によって径方向内側に向けて移動する。
カフスガイド33が径方向内側に向けて移動すると、図21に示すように、カフスガイド33のガイド溝331が、対応するスロット22内の絶縁紙24のカフス部24aを周方向の両側から挟み込むように支持する。詳しくは、図22に示すように、ガイド溝331のカフス部支持溝部331aは、カフス部24aの一対の径方向部241,241の部位を挟むように支持する。カフス部24aよりもステータコア2の軸方向外側(図22における紙面上方)には、ガイド溝331のコイル案内溝部331bが、カフス部24aを覆い隠すように配置される。
このとき、周方向に隣り合うカフスガイド33,33の間にも、カフスガイド33の切り欠き部333aによって形成されるカフス部支持溝部によって、カフスガイド33,33間のスロット22の絶縁紙24のカフス部24aが、周方向の両側から挟み込まれるように支持される。さらに、そのカフス部24aを覆い隠すように、カフスガイド33,33の張出部333b,333bが配置される。このように、スロット22内の全ての絶縁紙24のカフス部24aが、カフスガイド33のカフス部支持溝部331a及び切り欠き部333aによって支持されることにより、全ての絶縁紙24は、スロット22内の所定の位置に位置決めされる。
なお、図20では、コイル巻取治具4を保持するコイル拡張機構部5は図示されていないが、カフスガイド33によるカフス部24aの支持動作は、位置決め治具3にステータコア2が固定された後で、後述するコイル拡張部53の動作によって帯状コイル100がステータコア2のスロット22内に挿入される前までの適宜のタイミングで行われる。
ステータコア2の内側に挿入されたコイル巻取治具4は、コイル拡張部53を縮径させた状態のコイル拡張機構部5がコイル巻取治具4に向けてそれぞれ移動することによって、コイル拡張機構部5の保持部52によって保持される(コイル巻取治具保持工程)。
さらに、カフスガイド33のガイド溝331のカフス部支持溝部331aによってスロット22内の絶縁紙24のカフス部24aが位置決めされた後、図23及び図24に示すように、コイル拡張機構部5のコイル拡張部53がそれぞれアクチュエータ54の駆動によって拡径する。これによって、コイル拡張部53は、コイル巻取治具4に巻き取られた帯状コイル100のコイルエンド部103を、帯状コイル100の内方から外方に向けて拡張させるように押圧する。コイル拡張部53によって押圧された帯状コイル100は徐々に拡張する。これに伴い、直状部102は、櫛歯状溝43にガイドされながら、櫛歯状溝43と連通するステータコア2のスロット22に向けて移動する。これによって、帯状コイル100の直状部102は、ステータコア2のスロット22に干渉することなく、スロット22の開口部22aからスロット22内に挿入される(コイル拡張工程)。
ここで、図25に示すように、コイル巻取治具4の櫛歯状溝43は、外径側に縮幅部43aを有する。コイル巻取治具4の周方向に沿う縮幅部43aの溝幅W3は、カフスガイド33のガイド溝331のコイル案内溝部331bの溝幅W2よりも狭い。しかし、この縮幅部43aの溝幅W3は、帯状コイル100の直状部102の幅Wcに略等しい。これによって、スロット22に向けて移動する櫛歯状溝43内の直状部102が縮幅部43aを通過する際に、直状部102の位置が、スロット22内に挿入される直前で、スロット22の開口部22aの中央を通るスロット中心線22bに沿うように位置補正される。そのため、櫛歯状溝43内の直状部102は、スロット22の開口部22aを通って絶縁紙24の内側に円滑に挿入される。
スロット22の開口部22aを通過する直状部102は、図26に示すように、カフスガイド33のガイド溝331のコイル案内溝部331b及び張出部333bに当接しながらスロット22内を移動することによって、コイル案内溝部331b及び張出部333bに沿って案内される。コイル案内溝部331bは、カフス部支持溝部331aよりも幅狭であるため、カフス部支持溝部331aによって支持されるカフス部24aが直状部102と接触することはない。したがって、スロット22内に挿入される直状部102が、スロット22との間で絶縁紙24のカフス部24aを噛み込むことは防止される。
直状部102がスロット22内に挿入された帯状コイル100のコイルエンド部103は、図26に示すように、カフスガイド33のガイド溝331及び隣り合うカフスガイド33,33の間から外側に屈曲して延びるとともに、ガイド溝331のコイル案内溝部331bとテーパ面33cとの間の角部331c及び張出部333bとテーパ面33cとの間の角部333cに当接する(図6におけるP1位置)。帯状コイル100は、直状部102が挿入方向に沿ってスロット22内に奥深く挿入されるに従って徐々に拡径し、周方向に隣り合う直状部102,102同士の間隔が広がるため、コイルエンド部103と直状部102とが成す内側の角度θが次第に大きくなるように変形する。このとき、スロット22内の直状部102には、ステータコア2の周方向に湾曲しようとする応力が作用する。直状部102がスロット22内で湾曲すると、スロット22内の絶縁紙24の径方向部241と接触して絶縁紙24を損傷させるおそれがある。
しかし、本実施形態のカフスガイド33はテーパ面33cを有するため、スロット22の開口部22aから帯状コイル100の直状部102の挿入方向に沿って次第に端面2aからの高さが高くなるように形成される。したがって、帯状コイル100と当接する角部331c,333cも、テーパ面33cに沿って端面2aから遠ざかるように形成される。そのため、直状部102がスロット22内に奥深く挿入されるのに伴って、直状部102の両端のコイルエンド部103,103には、図27において矢印で示すように、角部331c,333cを支点にして、直状部102に対してステータコア2の軸方向(図27の上下方向)に沿う張力Fが付与される(図6におけるP2位置)。これによって、スロット22内の直状部102は真っ直ぐに延ばされ、スロット22内を移動する際に、直状部102が湾曲して絶縁紙24を損傷させることは抑制される。
ガイド溝331のコイル案内溝部331bにおいて、帯状コイル100との当接部位である角部331c,333cは、それぞれ丸みを有するR形状に形成されている。そのため、コイルエンド部103が角部331cと接触しても、帯状コイル100の表面に形成されている保護被膜の損傷は抑制される。コイル案内溝部331b及び張出部333bの全体が、丸みを有する円弧形状に形成されてもよい。
2つのコイル拡張機構部5のコイル拡張部53がそれぞれ最も拡径すると、コイル巻取治具4の帯状コイル100の直状部102は、図28に示すように、ステータコア2のスロット22内にそれぞれ完全に挿入され、帯状コイル100はステータコア2のスロット22内に装着される。2つのコイル拡張機構部5のコイル拡張部53は、同時に拡径するように動作してもよいし、直状部102がスロット22の開口部22aに対して径方向に斜めに挿入されるように、時間差を設けて順次拡径するように動作してもよい。
その後、カフスガイド33が径方向外側に移動してステータコア2の端面2aから完全に退避するとともに、コイル拡張部53がそれぞれ縮径し、コイル拡張機構部5はそれぞれコイル巻取治具4から離隔する。これによって、図29に示すように、ステータコア2のスロット22内に帯状コイル100が装着されたステータ200が得られる。
以上のように、本実施形態のコイル挿入ガイド装置30は、径方向(Y方向)に開口する開口部22aを有する複数のスロット22内に絶縁部材である絶縁紙24が挿入されたステータコア2を位置決めする位置決め治具3と、位置決め治具3に、ステータコア2の軸方向(Z方向)の端面2aに対して当接可能に設けられるガイド部材であるカフスガイド33と、を備え、スロット22にステータコア2の径方向に沿って挿入される帯状コイル100の直状部102をカフスガイド33によって案内する。カフスガイド33は、ガイド溝331を有する。ガイド溝331は、ステータコア2の端面2aに近い側に、スロット22に連通するとともにステータコア2の端面2aからはみ出した絶縁紙24のカフス部24aを収容して支持するカフス部支持溝部331aと、端面2aから遠い側に、カフス部支持溝部331aよりもスロット22の内側に向けて突出し、帯状コイル100を当接させて帯状コイル100の直状部102の移動を案内するコイル案内溝部331bと、を有する。これによれば、予めスロット22内に挿入される絶縁紙24のカフス部24aが、カフスガイド33のガイド溝331のカフス部支持溝部331aによって支持されるため、カフス部24aがスロット22に対して位置決めされる。さらに、スロット22内の帯状コイル100の直状部102の移動が、ガイド溝331のコイル案内溝部331bに帯状コイル100が当接することによって、カフス部24aを噛み込むことなく案内される。そのため、帯状コイル100の直状部102をスロット22内に挿入する際に、帯状コイル100がスロット22内の絶縁紙24を噛み込むおそれはない。
本実施形態のコイル挿入ガイド装置30において、カフスガイド33は、スロット22の開口部22aから帯状コイル100の挿入方向に沿って次第に端面2aからの高さが高くなるように形成され、コイル案内溝部331bによって案内されるスロット22内の帯状コイル100の直状部102の移動に伴って、ステータコア2の軸方向に沿う張力Fを付与するように帯状コイル100の移動を案内する。これによれば、帯状コイル100の直状部102がスロット22内に挿入されるに従って、スロット22内の直状部102にステータコア2の軸方向の張力Fが付与されるため、スロット22内の直状部102の湾曲が抑制される。したがって、スロット22内で直状部102と絶縁紙24とが干渉することによる絶縁紙24の破損が抑制される。
本実施形態のコイル挿入ガイド装置30において、コイル案内溝部331bにおける帯状コイル100との当接部位である角部331c,333cは、R形状を有する。これによれば、帯状コイル100の表面に設けられる保護被膜の損傷が抑制される。
本実施形態のコイル挿入ガイド方法は、径方向(Y方向)に開口する開口部22aを有する複数のスロット22内に絶縁部材である絶縁紙24が挿入されたステータコア2のスロット22に、ステータコア2の径方向に沿って挿入される帯状コイル100の移動を案内する。ステータコア2の軸方向(Z方向)の端面2aに近い側に、スロット22に連通するとともに端面2aからはみ出した絶縁紙24のカフス部24aを収容して支持するカフス部支持溝部331aと、端面2aから遠い側に、カフス部支持溝部331aよりもスロット22の内側に向けて突出し、帯状コイル100を当接させて帯状コイル100の移動を案内するコイル案内溝部331bと、を有するガイド溝331が設けられるガイド部材であるカフスガイド33を、端面2aに当接させ、カフス部支持溝部331aによって、カフス部24aを支持するとともに、コイル案内溝部331bによって、スロット22内に挿入される帯状コイル100の移動を案内する。これによれば、予めスロット22内に挿入される絶縁紙24のカフス部24aが、カフスガイド33のガイド溝331のカフス部支持溝部331aによって支持されるため、カフス部24aがスロット22に対して位置決めされる。さらに、スロット22内の帯状コイル100の直状部102の移動が、ガイド溝331のコイル案内溝部331bに帯状コイル100が当接することによって、カフス部24aを噛み込むことなく案内される。そのため、帯状コイル100の直状部102をスロット22内に挿入する際に、帯状コイル100がスロット22内の絶縁紙24を噛み込むおそれはない。
本実施形態のコイル挿入ガイド方法は、カフスガイド33を、スロット22の開口部22aから帯状コイル100の挿入方向に沿って次第に端面2aからの高さが高くなるように形成し、コイル案内溝部331bによって案内されるスロット22内の帯状コイル100の移動に伴って、帯状コイル100の直状部102に対してステータコア2の軸方向に沿う張力Fを付与するように帯状コイル100の移動を案内する。これによれば、帯状コイル100の直状部102がスロット22内に挿入されるに従って、スロット22内の直状部102にステータコア2の軸方向の張力Fが付与されるため、スロット22内の直状部102の湾曲が抑制され、スロット22内で直状部102と絶縁紙24とが干渉することによる絶縁紙24の破損が抑制される。
以上説明した実施形態のコイル装着装置1は、ステータコア2及びコイル巻取治具4の軸方向が水平方向に配置されるように構成されるが、ステータコア2及びコイル巻取治具4の軸方向が垂直方向等の水平方向以外の方向に配置されるように構成されてもよい。
帯状コイル100が円環状に巻き取られたコイル巻取治具4は、いずれか一方のコイル拡張機構部5の保持部52に取り付けられて保持された状態で、位置決め治具3に固定されたステータコア2の内側に挿入されてもよい。
コイル挿入ガイド装置30は、位置決め治具3の両端面3a,3aに、それぞれステータコア2のスロット22に対応する数のカフスガイド33が設けられてもよい。
2 ステータコア
2a 端面
22 スロット
24 絶縁紙(絶縁部材)
24a カフス部
3 位置決め治具
30 コイル挿入ガイド装置
33 カフスガイド(ガイド部材)
331 ガイド溝
331a カフス部支持溝部
331b コイル案内溝部
100 帯状コイル
F 張力
2a 端面
22 スロット
24 絶縁紙(絶縁部材)
24a カフス部
3 位置決め治具
30 コイル挿入ガイド装置
33 カフスガイド(ガイド部材)
331 ガイド溝
331a カフス部支持溝部
331b コイル案内溝部
100 帯状コイル
F 張力
Claims (5)
- 径方向に開口する開口部を有する複数のスロット内に絶縁部材が挿入されたステータコアを位置決めする位置決め治具と、
前記位置決め治具に、前記ステータコアの軸方向の端面に対して当接可能に設けられるガイド部材と、を備え、前記スロットに前記ステータコアの径方向に沿って挿入されるコイルを前記ガイド部材によって案内するコイル挿入ガイド装置であって、
前記ガイド部材は、ガイド溝を有し、
前記ガイド溝は、前記ステータコアの前記端面に近い側に、前記スロットに連通するとともに前記ステータコアの前記端面からはみ出した前記絶縁部材のカフス部を収容して支持するカフス部支持溝部と、前記端面から遠い側に、前記カフス部支持溝部よりも前記スロットの内側に向けて突出し、前記コイルを当接させて前記コイルの移動を案内するコイル案内溝部と、を有する、コイル挿入ガイド装置。 - 前記ガイド部材は、前記スロットの前記開口部から前記コイルの挿入方向に沿って次第に前記端面からの高さが高くなるように形成され、前記コイル案内溝部によって案内される前記スロット内の前記コイルの移動に伴って、前記ステータコアの軸方向に沿う張力を付与するように前記コイルの移動を案内する、請求項1に記載のコイル挿入ガイド装置。
- 前記コイル案内溝部における前記コイルとの当接部位は、R形状を有する、請求項1又は2に記載のコイル挿入ガイド装置。
- 径方向に開口する開口部を有する複数のスロット内に絶縁部材が挿入されたステータコアの前記スロットに、前記ステータコアの径方向に沿って挿入されるコイルの移動を案内するコイル挿入ガイド方法であって、
前記ステータコアの軸方向の端面に近い側に、前記スロットに連通するとともに前記端面からはみ出した前記絶縁部材のカフス部を収容して支持するカフス部支持溝部と、前記端面から遠い側に、前記カフス部支持溝部よりも前記スロットの内側に向けて突出し、前記コイルを当接させて前記コイルの移動を案内するコイル案内溝部と、を有するガイド溝が設けられるガイド部材を、前記端面に当接させ、
前記カフス部支持溝部によって、前記カフス部を支持するとともに、前記コイル案内溝部によって、前記スロット内に挿入される前記コイルの移動を案内する、コイル挿入ガイド方法。 - 前記ガイド部材を、前記スロットの前記開口部から前記コイルの挿入方向に沿って次第に前記端面からの高さが高くなるように形成し、前記コイル案内溝部によって案内される前記スロット内の前記コイルの移動に伴って、前記コイルに対して前記ステータコアの軸方向に沿う張力を付与するように前記コイルの移動を案内する、請求項4に記載のコイル挿入ガイド方法。
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