JP7221889B2 - 徐放性フェロモン製剤並びにこれを用いたクワコナカイガラムシ及びマツモトコナカイガラムシの同時防除方法 - Google Patents

徐放性フェロモン製剤並びにこれを用いたクワコナカイガラムシ及びマツモトコナカイガラムシの同時防除方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7221889B2
JP7221889B2 JP2020009992A JP2020009992A JP7221889B2 JP 7221889 B2 JP7221889 B2 JP 7221889B2 JP 2020009992 A JP2020009992 A JP 2020009992A JP 2020009992 A JP2020009992 A JP 2020009992A JP 7221889 B2 JP7221889 B2 JP 7221889B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mealybug
sustained
mulberry
matsumoto
release
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020009992A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021116248A (ja
JP2021116248A5 (ja
Inventor
康彦 轡田
美与志 山下
剛 金生
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shin Etsu Chemical Co Ltd filed Critical Shin Etsu Chemical Co Ltd
Priority to JP2020009992A priority Critical patent/JP7221889B2/ja
Priority to KR1020210008460A priority patent/KR20210095808A/ko
Publication of JP2021116248A publication Critical patent/JP2021116248A/ja
Publication of JP2021116248A5 publication Critical patent/JP2021116248A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7221889B2 publication Critical patent/JP7221889B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01NPRESERVATION OF BODIES OF HUMANS OR ANIMALS OR PLANTS OR PARTS THEREOF; BIOCIDES, e.g. AS DISINFECTANTS, AS PESTICIDES OR AS HERBICIDES; PEST REPELLANTS OR ATTRACTANTS; PLANT GROWTH REGULATORS
    • A01N37/00Biocides, pest repellants or attractants, or plant growth regulators containing organic compounds containing a carbon atom having three bonds to hetero atoms with at the most two bonds to halogen, e.g. carboxylic acids
    • A01N37/06Unsaturated carboxylic acids or thio analogues thereof; Derivatives thereof

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Agronomy & Crop Science (AREA)
  • Pest Control & Pesticides (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Dentistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Environmental Sciences (AREA)
  • Catching Or Destruction (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Description

本発明は、徐放性フェロモン製剤並びにこれを用いたクワコナカイガラムシ及びマツモトコナカイガラムシの同時防除方法に関するものである。
クワコナカイガラムシ(Comstock mealybug、学名:Pseudococcus comstocki)は、リンゴ、ナシ、モモ、ブドウ等の多くの果樹を加害し、かつこの害虫の排泄物がすす病の原因となることから、この害虫による収量及び品質の低下が大きな問題となっている。現状、クワコナカイガラムシの防除は殺虫剤を用いて行われているが、カイガラムシ類は虫体がロウ状物質に覆われているため、その効果は充分なものではない。また、殺虫剤使用による作物への残留や環境及び健康への影響から、性フェロモン物質を用いた交信攪乱(Mating disruption)や大量誘殺(Mass trapping)等の新たな防除技術の開発が求められている。
一方、マツモトコナカイガラムシ(Matsumoto mealybug、学名:Crisicoccus matsumotoi)は、ナシ、カキ、ブドウ等の落葉果樹の重要害虫であり、本種に対しても主に殺虫剤を用いた防除が実施されている。しかしながら、しばしばリサージェンス(誘導多発生)を引き起こし、クワコナカイガラムシと同様、十分な効果が得られていなかった。また、マツモトコナカイガラムシとクワコナカイガラムシは同所的に発生する場合が多く、両種を対象とした徐放性フェロモン製剤が強く望まれている。
クワコナカイガラムシ及びマツモトコナカイガラムシの性フェロモン物質は、それぞれ2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-イル=アセテート及び3-メチル-3-ブテニル=5-メチルヘキサノエートと同定されており、製造方法も既に確立されている(特許文献1~2)。
特開2018-16600号公報 特開2012-250962号公報
しかし、クワコナカイガラムシ及びマツモトコナカイガラムシは勿論のこと、同時に2種以上のカイガラムシを対象とした徐放性フェロモン製剤は、これまで開発されていなかった。これは、これまでに報告されているカイガラムシ類は、フェロモン研究、利用の主な対象とされてきたガ類のように種別間で共通する性フェロモン物質を有することが無く、種ごとに異なっているためである。すなわち、特定の化合物を複数種に同時に作用させることができず、複数成分の放出挙動を同時に調節することも困難であるため、2種以上の害虫を対象とした徐放性フェロモン製剤の報告が無かったと推察される。
また、クワコナカイガラムシのみを対象とした徐放性フェロモン製剤と、マツモトコナカイガラムシのみを対象とした徐放性フェロモン製剤とを併用する場合、設置本数が多くなり、設置にかかる時間や手間が増え、経済的ではない。
さらに、上述したように、クワコナカイガラムシの性フェロモン物質とマツモトコナカイガラムシの性フェロモン物質は、異なる構造を有しているため、炭素数や官能基の違い等の化学構造的要因によってポリマーとの相溶性が異なり、放出速度も異なる。放出速度の異なる2つの化合物を混合して製剤化しようとすると、徐放性フェロモン製剤の効果持続期間にずれが生じるため、片方のフェロモン原体を無駄にすることにもなると考えられた。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、クワコナカイガラムシ及びマツモトコナカイガラムシの性フェロモン物質を備えたフェロモン製剤並びにこれを用いたクワコナカイガラムシとマツモトコナカイガラムシの同時防除方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、予想に反して、2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-イル=アセテートと3-メチル-3-ブテニル=5-メチルヘキサノエートとを所定の割合で混合して同一容器内に収納することによって、放出速度の差を小さくできることを見出し、本発明を為すに至った。
本発明の1つの態様によれば、性フェロモン物質として、質量比80:20から20:80の範囲で、2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-イル=アセテート及び3-メチル-3-ブテニル=5-メチルヘキサノエートを少なくとも含む混合物と、前記混合物を収納するための高分子材料からなる容器とを備え、クワコナカイガラムシ及びマツモトコナカイガラムシを対象とする徐放性フェロモン製剤徐放性フェロモン製剤が提供される。
また、本発明の別の態様では、前記徐放性フェロモン製剤を圃場に設置して、前記徐放性フェロモン製剤中の前記性フェロモン物質を前記圃場に放出するステップを少なくとも含むクワコナカイガラムシ及びマツモトコナカイガラムシの同時防除方法が提供される。
本発明の徐放性フェロモン製剤によれば、2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-イル=アセテートを性フェロモン物質として有するクワコナカイガラムシと3-メチル-3-ブテニル=5-メチルヘキサノエートを性フェロモン物質として有するマツモトコナカイガラムシとを同時に長期間にわたり防除することが可能となるため、経済的、労力的に省力化でき、果樹等の被害を抑制することができる。
実施例1の2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-イル=アセテートの質量の残存率及び3-メチル-3-ブテニル=5-メチルヘキサノエートの質量の残存率の経時変化の結果を示す。 実施例2の2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-イル=アセテートの質量の残存率及び3-メチル-3-ブテニル=5-メチルヘキサノエートの質量の残存率の経時変化の結果を示す。 実施例3の2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-イル=アセテートの質量の残存率及び3-メチル-3-ブテニル=5-メチルヘキサノエートの質量の残存率の経時変化の結果を示す。 比較例1の2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-イル=アセテートの質量の残存率及び比較例2の3-メチル-3-ブテニル=5-メチルヘキサノエートの質量の残存率の経時変化の結果を示す。 実施例4の2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-イル=アセテートの質量の残存率及び3-メチル-3-ブテニル=5-メチルヘキサノエートの質量の残存率の経時変化の結果を示す。 比較例3の2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-イル=アセテートの質量の残存率及び比較例4の3-メチル-3-ブテニル=5-メチルヘキサノエートの質量の残存率の経時変化の結果を示す。 実施例5及び比較例5のクワコナカイガラムシの誘殺数の結果を示す。 実施例5及び比較例5のマツモトコナカイガラムシの誘殺数の結果を示す。
本発明の徐放性フェロモン製剤は、2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-イル=アセテートを性フェロモン物質として有するクワコナカイガラムシと、3-メチル-3-ブテニル=5-メチルヘキサノエートを性フェロモン物質として有するマツモトコナカイガラムシを対象とし、2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-イル=アセテート及び3-メチル-3-ブテニル=5-メチルヘキサノエートを少なくとも含む混合物と、前記混合物を収納するための高分子材料からなる容器とを備える。
性フェロモン物質は、天然物であってもよいが、生産性の観点から合成することが好ましい。
2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-イル=アセテートは、2-メチル-3-ブテン-2-イル=2-メチル-2-プロペニル=エーテルを塩基存在下でウイティッヒ転移反応させた後、得られた化合物をアセチル化して得られる。
3-メチル-3-ブテニル=5-メチルヘキサノエートは、マロン酸エステルを3-メチルブチルハライドと塩基の存在下でアルキル化し、続いてハロゲン化金属と水存在下にて脱炭酸して、得られた5-メチルヘキサン酸エステルを用いて3-メチル-3-ブテノールとルイス酸存在下にてエステル交換反応をして得られる。
2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-イル=アセテート及び3-メチル-3-ブテニル=5-メチルヘキサノエートの質量比は、80:20から20:80、好ましくは、75:25から25:75、より好ましくは75:25から50:50である。マツモトコナカイガラムシの性フェロモン物質である3-メチル-3-ブテニル=5-メチルヘキサノエートは、ポリエチレン等の通常の高分子材料からなる容器からの放出速度が、クワコナカイガラムシの性フェロモン物質である2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-イル=アセテートと比較して速い。しかしながら、上記2つの性フェロモン物質をある範囲の割合で混合することにより、放出速度の差を小さくすることが可能である。
このように2成分を混合することにより、放出速度が揃う理由としては、放出の速い3-メチル-3-ブテニル=5-メチルヘキサノエートによる可塑効果により、放出の遅い2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-イル=アセテートが放出されやすくなることが考えられる。また、放出の速い3-メチル-3-ブテニル=5-メチルヘキサノエートは、2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-イル=アセテートで希釈されたことで、放出速度が抑制されるものと推測される。
なお、2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-イル=アセテートの質量比率が25よりも小さい場合、上記の希釈効果が薄れることにより、3-メチル-3-ブテニル=5-メチルヘキサノエートの放出期間が極端に短くなるおそれがある。また、2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-イル=アセテートの質量比率が75を超えた場合は上記の可塑効果が薄れることにより、2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-イル=アセテートの単位時間当たりの放出量が、極端に減少してしまうおそれがある。
前記混合物には、BHT(ブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、没食子酸イソアミル、没食子酸プロピル等の合成酸化防止剤、NDGA(ノルジヒドログアヤレチン酸)、グアヤク脂等の天然酸化防止剤等の抗酸化剤や、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル等のパラアミノ安息香酸系、オキシベンゾン(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、メトキシ桂皮酸誘導体、サリチル酸誘導体等の紫外線吸収剤等の添加剤を含有しても良い。各添加剤の含有量は、好ましくは0.01~5質量%であり、その合計の含有量は、好ましくは0.02~10質量%である。
前記高分子材料の材質は、クワコナカイガラムシ及びマツモトコナカイガラムシの性フェロモン物質を長期間にわたり放出可能な材料であれば、特に限定されるものではない。例えば、上記性フェロモン物質の放出部分が、ポリエチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、酢酸ポバール、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、脂肪族ポリエステル、芳香族変性脂肪族ポリエステル、変性ポリビニルアルコール又はこれらの組み合わせからなるものが挙げられる。これらの材質のうち、コスト及び加工性の観点から、エチレン-酢酸ビニル共重合体又はポリエチレンが好ましい。また、ベンガラ等の顔料や紫外線吸収剤等の添加剤を含有してもよい。
前記高分子材料からなる容器の形状は、特に限定されず、細管、ラミネート製の袋及びアンプルが挙げられるが、好ましくは細管である。細管は、好ましくは0.50~1.50mmの内径を有し、好ましくは0.30~0.70mmの厚さを有する。また、細管長はどのような長さでも構わないが、短すぎると設置が難しい場合があるため、10cm以上が望ましい。
徐放性フェロモン製剤の設置としては、交信撹乱を行う圃場内に均一に、好ましくは50~500箇所/10a、より好ましくは50~100箇所/10aである。
一つの放散箇所からの放散量は、圃場環境や気象条件等によって一概には言えないが、圃場に均一に漂わせることが出来る量であれば特に制限はないが、好ましくは0.5mg~4000mg/日/箇所、より好ましくは0.5mg~1000mg/日/箇所である。
前記徐放性フェロモン製剤の有効作用期間は、徐放性フェロモン製剤の容器に封入された、クワコナカイガラムシの性フェロモン物質とマツモトコナカイガラムシの性フェロモン物質とを含む混合液が、害虫に作用する期間であり、単に月数や日数を意味するものでなく、徐放性フェロモン製剤の使用場面によって変化するものである。
交信撹乱による害虫の防除は、例えば、対象害虫の性フェロモン物質を大気中に放散させ、雌雄間の交信を撹乱させて交尾率を下げ、次世代の誕生を抑制することにより行われる。この場合、徐放性フェロモン製剤は、害虫の成虫の発生期間中、安定して性フェロモン物質を放散する性能が要求される。
クワコナカイガラムシ成虫は年2回、地域によっては年3回発生し、発生期間は6月~9月である。マツモトコナカイガラムシ成虫は4月~11月の間に年2~3回発生することが知られている。また、ブドウ栽培等で用いられる加温ハウスでは成虫発生時期がさらに延び、1月から成虫が見られる場合もある。ほぼ年間を通して成虫の発生が見られる場合、両種の成虫の発生が同時に終息したタイミングで新たな製剤を設置する必要があるが、製剤が効果を発揮する期間が長ければ再設置作業の回数が少なくて済み、労力やコストを抑えることができる。本発明による徐放性フェロモン製剤は、長期間にわたり、安定的に徐放性フェロモン製剤に含まれる混合液の混合比率が一定に保たれる放出を維持するものである。
以下、本発明の具体的態様を実施例及び比較例によって説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1
酢酸ビニルユニットを0.5質量%含有するEVAを加工温度130~250℃にて、内径1.18mm、肉厚0.55mmのチューブ状に押し出し、高分子製チューブ状の容器を得た。2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-イル=アセテート(A)及び3-メチル-3-ブテニル=5-メチルヘキサノエート(B)を75:25の質量比で混合した混合液200mgに、安定剤としてBHT(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール)及びHBMCBT(2-(2'-ヒドロキシ-3'-tert-ブチル-5'-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール)をそれぞれ2質量%含むように加え、混合物を調製した。前記混合物を前記チューブ状の容器の一端より注入した後、両端を高周波過熱しながら加圧して液体を封じ、溶接部分を切断して長さ20cmの徐放性フェロモン製剤を作製した。これらを風速0.3m/秒、温度25℃を保った恒温槽に設置し、徐放性フェロモン製剤内部の混合物を放出させた。
31日後、61日後、91日後の各日数経過後に徐放性フェロモン製剤を3本ずつ回収し、2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-イル=アセテートの残存量及び3-メチル-3-ブテニル=5-メチルヘキサノエート残存量を内部標準法/ガスクロマトグラム分析により、定量した。さらに、2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-イル=アセテートの残存率(a)、3-メチル-3-ブテニル=5-メチルヘキサノエート残存率(b)、2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-イル=アセテート及び3-メチル-3-ブテニル=5-メチルヘキサノエートの合計質量の残存率について、3本における平均値を算出した。結果を表1及び図1に示す。
実施例2
2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-イル=アセテート及び3-メチル-3-ブテニル=5-メチルヘキサノエートを50:50の質量比に変更した以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1及び図2に示す。
実施例3
2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-イル=アセテート及び3-メチル-3-ブテニル=5-メチルヘキサノエートを25:75の質量比に変更した以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1及び図3に示す。
比較例1
2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-イル=アセテート(A)200mgに、安定剤としてBHT(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール)及びHBMCBT(2-(2'-ヒドロキシ-3'-tert-ブチル-5'-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール)をそれぞれ2質量%含むように加え、混合物を調製した。実施例1と同様のチューブ状の容器に、前記混合物を前記チューブ状の容器の一端より注入した後、両端を高周波過熱しながら加圧して液体を封じ、溶接部分を切断して長さ20cmの徐放性フェロモン製剤Aを作製した。これらを風速0.3m/秒、温度25℃を保った恒温槽に設置し、徐放性フェロモン製剤内部の混合物を放出させた。
31日後、61日後、91日後の各日数経過後に徐放性フェロモン製剤を3本ずつ回収し、2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-イル=アセテートの残存量を内部標準法/ガスクロマトグラム分析により、定量した。さらに、2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-イル=アセテートの残存率(a)について、3本における平均値を算出した。結果を表1及び図4に示す。
比較例2
3-メチル-3-ブテニル=5-メチルヘキサノエート(B)200mgに、安定剤としてBHT(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール)及びHBMCBT(2-(2'-ヒドロキシ-3'-tert-ブチル-5'-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール)をそれぞれ2質量%含むように加え、混合物を調製した。実施例1と同様のチューブ状の容器に、前記混合物を前記チューブ状の容器の一端より注入した後、両端を高周波過熱しながら加圧して液体を封じ、溶接部分を切断して長さ20cmの徐放性フェロモン製剤Bを作製した
れらを風速0.3m/秒、温度25℃を保った恒温槽に設置し、徐放性フェロモン製剤内部の混合物を放出させた。
31日後、61日後、91日後の各日数経過後に徐放性フェロモン製剤を3本ずつ回収し、2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-イル=アセテートの残存量を内部標準法/ガスクロマトグラム分析により、定量した。さらに、2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-イル=アセテートの残存率(a)について、3本における平均値を算出した。結果を表1及び図4に示す。
実施例4
高密度ポリエチレンを加工温度130~250℃にて、内径0.84mm、肉厚0.55mmのチューブ状に押し出し、高分子製チューブ状の容器を得た。高分子製チューブ状の容器を高密度ポリエチレンに変更した以外、実施例1と同様に行った。結果を表1及び図5に示す。
比較例3
高分子製チューブ状の容器を高密度ポリエチレンに変更した以外、比較例1と同様に行った。結果を表1及び図6に示す。
比較例4
高分子製チューブ状の容器を高密度ポリエチレンに変更した以外、比較例2と同様に行った。結果を表1及び図6に示す。なお、表1において、Aは2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-イル=アセテートを表し、Bは3-メチル-3-ブテニル=5-メチルヘキサノエートを表す。
Figure 0007221889000001
実施例5及び比較例5
<クワコナカイガラムシ及びマツモトコナカイガラムシの交信撹乱試験>
福島県福島市の10アールのリンゴ圃場2ヶ所において、2019年4月25日にクワコナカイガラムシ及びマツモトコナカイガラムシの性フェロモントラップを1台ずつ設置して、4~11日間隔(7月5日~8月2日を除く)で誘殺されるクワコナカイガラムシ雄成虫及びマツモトコナカイガラムシ雄成虫の数をカウントした。両圃場におけるクワコナカイガラムシ及びマツモトコナカイガラムシの誘殺を確認した後、7月1日に前記交信撹乱剤100本を、前記リンゴ圃場の一方に均一に設置し、処理区とした(実施例5)。他方のリンゴ圃場は、交信攪乱剤を処理しない対照区とした(比較例5)。
2019年4月25日~9月6日の期間の各リンゴ圃場におけるクワコナカイガラムシ及びマツモトコナカイガラムシの誘殺数を図7及び図8に示す。
7月1日以降、実施例5の交信撹乱剤処理区におけるクワコナカイガラムシの誘殺数は1であったのに対し、比較例5の対照区における誘殺数は280であった。また、7月1日以前のマツモトコナカイガラムシの誘殺数は、実施例5の交信撹乱剤処理区の方が比較例5の対照区と比較して多かったにもかかわらず、7月1日以降、実施例5の交信撹乱剤処理区におけるマツモトコナカイガラムシの誘殺数は0であった。これらのことから、性フェロモン物質として2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-イル=アセテート及び3-メチル-3-ブテニル=5-メチルヘキサノエートを少なくとも含んでなる混合物のクワコナカイガラムシ及びマツモトコナカイガラムシに対する交信撹乱効果が確認された。

Claims (3)

  1. 性フェロモン物質として、質量比80:20から20:80の範囲で、2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-イル=アセテート及び3-メチル-3-ブテニル=5-メチルヘキサノエートを少なくとも含む混合物と、前記混合物を収納するための高分子材料からなる容器とを備え、クワコナカイガラムシ及びマツモトコナカイガラムシを対象とする徐放性フェロモン製剤。
  2. 前記高分子材料が、エチレン-酢酸ビニル共重合体又はポリエチレンである請求項1に記載の徐放性フェロモン製剤。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の徐放性フェロモン製剤を圃場に設置し、前記徐放性フェロモン製剤中の前記性フェロモン物質を前記圃場に放出するステップを少なくとも含むクワコナカイガラムシ及びマツモトコナカイガラムシの同時防除方法。
JP2020009992A 2020-01-24 2020-01-24 徐放性フェロモン製剤並びにこれを用いたクワコナカイガラムシ及びマツモトコナカイガラムシの同時防除方法 Active JP7221889B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020009992A JP7221889B2 (ja) 2020-01-24 2020-01-24 徐放性フェロモン製剤並びにこれを用いたクワコナカイガラムシ及びマツモトコナカイガラムシの同時防除方法
KR1020210008460A KR20210095808A (ko) 2020-01-24 2021-01-21 서방성 페로몬 제제 그리고 이것을 사용한 가루깍지벌레 및 버들가루깍지벌레의 동시 방제 방법

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020009992A JP7221889B2 (ja) 2020-01-24 2020-01-24 徐放性フェロモン製剤並びにこれを用いたクワコナカイガラムシ及びマツモトコナカイガラムシの同時防除方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2021116248A JP2021116248A (ja) 2021-08-10
JP2021116248A5 JP2021116248A5 (ja) 2021-09-16
JP7221889B2 true JP7221889B2 (ja) 2023-02-14

Family

ID=77174029

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020009992A Active JP7221889B2 (ja) 2020-01-24 2020-01-24 徐放性フェロモン製剤並びにこれを用いたクワコナカイガラムシ及びマツモトコナカイガラムシの同時防除方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP7221889B2 (ja)
KR (1) KR20210095808A (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN117397681B (zh) * 2023-12-15 2024-02-27 中国医学科学院药用植物研究所 一种枸杞实蝇性信息素及其应用

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008100920A (ja) 2006-10-17 2008-05-01 Arysta Lifescience Corp 害虫駆除材
JP2012126692A (ja) 2010-12-17 2012-07-05 Shin-Etsu Chemical Co Ltd フェロモン物質としてカルボン酸を有する害虫用徐放性フェロモン製剤
JP2012250962A (ja) 2011-06-07 2012-12-20 National Institute For Agro-Environmental Science マツモトコナカイガラムシの性誘引物質、及び性誘引剤
JP2013543049A (ja) 2010-11-22 2013-11-28 アリゾナ ケミカル カンパニー エルエルシー ポリマーマトリックス中の活性液体を含有する組成物および物品ならびにその製造および使用方法
JP5913701B1 (ja) 2015-08-06 2016-04-27 前田工繊株式会社 仮設兼用型の本設土構造物およびその構築方法
JP2018016600A (ja) 2016-07-29 2018-02-01 信越化学工業株式会社 2,6−ジメチル−1,5−ヘプタジエン−3−オール及び2,6−ジメチル−1,5−ヘプタジエン−3−イル=アセテートの製造方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6034931B2 (ja) * 1979-05-25 1985-08-12 大塚製薬株式会社 2,6−ジメチル−1,5−ヘプタジエン誘導体及び該誘導体を有効成分として含有する性誘引剤
JPS5913701A (ja) * 1982-07-13 1984-01-24 Nitto Electric Ind Co Ltd フェロモン製剤

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008100920A (ja) 2006-10-17 2008-05-01 Arysta Lifescience Corp 害虫駆除材
JP2013543049A (ja) 2010-11-22 2013-11-28 アリゾナ ケミカル カンパニー エルエルシー ポリマーマトリックス中の活性液体を含有する組成物および物品ならびにその製造および使用方法
JP2012126692A (ja) 2010-12-17 2012-07-05 Shin-Etsu Chemical Co Ltd フェロモン物質としてカルボン酸を有する害虫用徐放性フェロモン製剤
JP2012250962A (ja) 2011-06-07 2012-12-20 National Institute For Agro-Environmental Science マツモトコナカイガラムシの性誘引物質、及び性誘引剤
JP5913701B1 (ja) 2015-08-06 2016-04-27 前田工繊株式会社 仮設兼用型の本設土構造物およびその構築方法
JP2018016600A (ja) 2016-07-29 2018-02-01 信越化学工業株式会社 2,6−ジメチル−1,5−ヘプタジエン−3−オール及び2,6−ジメチル−1,5−ヘプタジエン−3−イル=アセテートの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021116248A (ja) 2021-08-10
KR20210095808A (ko) 2021-08-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
DE2449546C2 (de) Insektizide Mittel
JP5840477B2 (ja) アリ防除剤
EA018175B1 (ru) Водные микроэмульсии, содержащие органические инсектицидные соединения
CN105722390A (zh) 用于控制和驱避叮咬性节肢动物的协同制剂
RU2035862C1 (ru) Инсектицидная эмульсия
JP7221889B2 (ja) 徐放性フェロモン製剤並びにこれを用いたクワコナカイガラムシ及びマツモトコナカイガラムシの同時防除方法
DE2348930A1 (de) Insektizide mittel
JP2015027982A (ja) 害虫防除用エアゾール、及びこれを用いた害虫防除方法
CN107517965A (zh) 一种八字地老虎诱剂组合物及其应用
JPS5815901A (ja) 水を基にしたエ−ロゾル組成物
JP2008063242A (ja) 衛生害虫駆除剤
BRPI0616198A2 (pt) nicotinilas, piretràides e cetoenàis como formulaÇço em forma de gel ou de espuma para culturas perenes
JP6326382B2 (ja) 飛翔害虫忌避剤
KR101468450B1 (ko) 해충 방제용 부직포형 페로몬 방출기 및 이의 용도
JP7033869B2 (ja) アリ防除剤
JP6561021B2 (ja) ロープ状フェロモン製剤及びこれを用いた交信撹乱方法
JPH03246202A (ja) ゴム・プラスチック成型品
PH26016A (en) An insecticidal article for electric fumigator
CA2205597C (en) Acrolein-releasing composition and use thereof
JPS5879909A (ja) 低魚毒性殺虫・殺ダニ剤及びその製造法
JP6823544B2 (ja) チェスナットトートリクス防除用徐放性製剤及びこれを用いた防除方法
WO1992005699A1 (en) Insecticide composition
JP2023077079A (ja) 害虫忌避組成物
WO2017037726A1 (en) Insecticidal incense formulation composition, method of manufacture and applications thereof
RU2214093C2 (ru) Средство борьбы с кератофагами

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210623

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220120

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20221202

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230105

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230202

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7221889

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150