JP7221592B2 - 多孔質絶縁層形成用組成物、非水電解質二次電池用電極、非水電解質二次電池及び非水電解質二次電池用電極の製造方法 - Google Patents

多孔質絶縁層形成用組成物、非水電解質二次電池用電極、非水電解質二次電池及び非水電解質二次電池用電極の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、多孔質絶縁層形成用組成物、非水電解質二次電池用電極、非水電解質二次電池及び非水電解質二次電池用電極の製造方法に関する。
非水電解質二次電池は、比較的高いエネルギー密度を有する一方で、安全性を確保することも求められる。この為に例えば、電池の内部短絡等に起因する異常加熱時にセパレータの孔を溶融によって閉塞させることにより、電池内部の内部抵抗を増加させるシャットダウン機能が、利用されている。また、セパレータによる上記シャットダウン機能とは別に、電極表面上に多孔質絶縁層を直接形成して、内部短絡を防止する方法も検討されている(例えば特許文献1)。
このような耐熱絶縁層を有する電極は、例えば、以下のようにして作成される。まず、集電体上に水系スラリーとしての活物質含有ペーストを塗布、乾燥し、その後加圧して活物質層を形成する。次いで、多孔質絶縁層を構成する材料スラリーを活物質層上に塗布、乾燥して多孔質絶縁層を形成する。
特開2008-226566号公報
ここで、材料スラリーを活物質層上に塗布すると、材料スラリー中の溶媒に起因して、活物質層が膨潤することにより、この密度が低下することを本発明者らは見出した。すなわち、活物質層は圧延後も空隙を有していることから、材料スラリーを塗工すると、スラリー中の液体成分が活物質層中に一部浸透する。浸透した液体成分は、活物質層中の構成材料に影響を与える。圧延後の電極は残留応力を有しているが、浸透した液体成分が構成材料の弾性率等の物性に影響を与える結果、残留応力のバランスが崩れて一部残留歪みが開放され、活物質層の層厚は増大するという現象に至る。活物質層の層厚が設計厚みよりも大きくなった場合、電池素子を外装ケースに挿入する際に不具合が生じうる。一層当たりの活物質層の層厚の増大は僅かであるが、通常電池素子は、複数の電極およびセパレータを積層した積層体、あるいは長尺状の電極を捲回した捲回体であるため、複数の活物質層の層厚の増大による電池素子の厚みの増大は無視できない。
このような問題は、非水電解質二次電池の高エネルギー密度化のために活物質層の圧延をより大きな圧力で行う場合、より一層顕著となる。すなわち、電池設計上の電極密度(活物質層の充填率)が低い場合は、多孔質絶縁層形成後の電極厚み増大を考慮して、電極圧延時にあらかじめ活物質層の設計電極密度を高く設定することで対処可能であった。しかしながら、近年の非水電解質二次電池の高エネルギー密度化に伴い、設計電極密度は高くなっているため、活物質層を予め設計電極密度よりも高い電極密度まで圧延しておくことが困難な傾向にある。また、電池の長寿命化の要請により、例えば負極活物質としては難配向性黒鉛粒子を使用する傾向もある結果、電極圧延時にかける圧力も大きくなっている。圧延済み電極は大きな残留応力と歪みを内包しているため、材料スラリーを塗工、乾燥した時の膜厚増大の問題が一層深刻となっており、非水電解質二次電池の外装ケースへの装填ができないといった生産上の問題にも発展し得る。
そこで、本発明においては、電極の活物質層の層厚の増大を抑制することのできる、多孔質絶縁層形成用組成物および非水電解質二次電池用電極の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明においては、これにより製造された非水電解質二次電池用電極および非水電解質二次電池を提供することも目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、集電体の主面に配置された活物質層上に多孔質絶縁層を形成するための多孔質絶縁層形成用組成物であって、
前記活物質層は、リチウムイオンを電気化学的に吸蔵および放出可能な活物質と、活物質層結着剤とを少なくとも含み、
前記多孔質絶縁層形成用組成物は、有機溶媒を含む溶媒と、絶縁性無機粒子とを少なくとも含み、
前記活物質層結着剤のハンセン溶解度パラメータと前記有機溶媒のハンセン溶解度パラメータとの距離が8.0(MPa)1/2以上である、多孔質絶縁層形成用組成物。
本観点によれば、多孔質絶縁層を形成した際に、電極の活物質層の厚みが増大することが防止される。
前記活物質のハンセン溶解度パラメータと前記有機溶媒のハンセン溶解度パラメータとの距離が5.0(MPa)1/2以上であってもよい。
本観点によれば、電極の活物質層の厚みの増大がより一層抑制される。
前記活物質のハンセン溶解度パラメータと前記有機溶媒のハンセン溶解度パラメータとの距離が8.0(MPa)1/2以上であってもよい。
本観点によれば、電極の活物質層の厚みの増大がより一層抑制される。
前記有機溶媒は、下記式(I)で表されるハンセン溶解度パラメータの距離Ra(MPa)1/2が5.0(MPa)1/2以上であってもよい。
Figure 0007221592000001

(式中、δD(solvent)(MPa)1/2は前記有機溶媒の分散項を、δP(solvent)(MPa)1/2は前記有機溶媒の極性項を、δH(solvent)(MPa)1/2は前記有機溶媒の水素結合項を、それぞれ示す。)
本観点によれば、電極の活物質層の厚みの増大がより一層抑制される。
また、上記多孔質絶縁層形成用組成物は、さらに、結着剤を含んでもよい。
本観点によれば、多孔質絶縁層を好適に形成することができる。
また、前記溶媒が、水を含んでもよい。
本観点によれば、絶縁性無機粒子の分散性を向上させることができる。
また、1atmにおける前記有機溶媒の沸点が160℃以上であってもよい。
本観点によれば、多孔質絶縁層形成用組成物の物性の変化を抑制することができる。
また、前記有機溶媒は、アルコール系化合物を含んでもよい。
アルコール系化合物は、絶縁性無機粒子、ポリオレフィン系ポリマー粒子の分散性や結着剤の溶解性の観点から、好適に用いられ、さらに電極の活物質層の厚みの増大がより一層抑制される。
また、前記有機溶媒は、グリコールアルキルエーテル系化合物を含んでもよい。
グリコールアルキルエーテル系化合物は、絶縁性無機粒子、ポリオレフィン系ポリマー粒子の分散性や結着剤の溶解性の観点から、好適に用いられる。
また、上記多孔質絶縁層形成用組成物は、さらに、ポリオレフィン系ポリマー粒子を含んでもよい。
本観点によれば、非水電解質二次電池の安全性を向上させることができる。
本発明の他の観点によれば、集電体と、
前記集電体の主面に配置された活物質層と、
上記多孔質絶縁層形成用組成物によって前記活物質層上に形成された多孔質絶縁層と、を有し、
前記活物質層は、リチウムイオンを電気化学的に吸蔵および放出可能な活物質と活物質層結着剤とを少なくとも含む、非水電解質二次電池用電極が提供される。
本観点によれば、製造された非水電解質二次電池用電極において、活物質層の厚みの増大が抑制されている。
本発明の他の観点によれば、上記非水電解質二次電池用電極を含む、非水電解質二次電池が提供される。
本観点によれば、製造された非水電解質二次電池において、活物質層の厚みの増大が抑制されている。
本発明の他の観点によれば、集電体の主面に配置された活物質層上に、多孔質絶縁層形成用組成物を用いて多孔質絶縁層を形成する工程を有し、
前記活物質層は、リチウムイオンを電気化学的に吸蔵および放出可能な活物質と、活物質層結着剤とを少なくとも含み、
前記多孔質絶縁層形成用組成物は、有機溶媒を含む溶媒と、絶縁性無機粒子とを少なくとも含み、
前記活物質層結着剤のハンセン溶解度パラメータと前記有機溶媒のハンセン溶解度パラメータとの距離が8.0(MPa)1/2以上である、非水電解質二次電池用電極の製造方法が提供される。
本観点によれば、非水電解質二次電池を高温、高電圧下で充放電した際のサイクル寿命を改善することができる。
以上説明したように本発明によれば、非水電解質二次電池の電極の厚さの増大を抑制することができる。
本発明の実施形態に係る非水電解質二次電池の概略構成を示す説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.多孔質絶縁層形成用組成物>
まず、本発明の一実施形態に係る多孔質絶縁層形成用組成物について説明する。本実施形態に係る多孔質絶縁層形成用組成物は、非水電解質二次電池用電極の活物質層上に多孔質絶縁層を形成するために用いられる。本実施形態に係る多孔質絶縁層形成用組成物は、有機溶媒を含む溶媒と絶縁性無機粒子とを少なくとも含み、また多孔質絶縁層を形成するための材料、例えば、結着剤等を含む。
(1.1 溶媒)
上述したように、本実施形態に係る多孔質絶縁層形成用組成物は、有機溶媒を含む溶媒を含む。そして、活物質層中の結着剤(活物質層結着剤)のハンセン溶解度パラメータ(以下、「HSP」ともいう)と上記有機溶媒のHSP距離(以下、「第1のHSP距離」ともいう)が8.0(MPa)1/2以上である。
多孔質絶縁層形成用組成物に含まれる有機溶媒のHSPと活物質層中の活物質層結着剤のHSPとの距離(第1のHSP距離)が上述した関係を満足することにより、活物質層上に多孔質絶縁層形成用組成物を塗布した場合においても、活物質層の膨潤が防止される。これにより、電極の活物質層の厚みが増大することが防止される。
活物質層は、一般に密度の調整を目的として圧延を受けているため、残留応力を内包している。
残留応力を内包していても、形状が安定しているのは、活物質層が内包する残留応力のバランスが取れていることに因る。
従来の多孔質絶縁層形成用組成物に一般的に使用されている有機溶媒は、第1のHSP距離が上記の範囲を満足しないため、活物質層結着剤を膨潤させてしまう。この結果、活物質層結着剤の弾性率が大きく低下し、活物質層中の残留応力のバランスが崩れてしまい、活物質層の層厚が増大するという形で残留歪みが解放される。一方で、本実施形態においては、有機溶媒が上記の第1のHSP距離の関係を有する。したがって、多孔質絶縁層形成用組成物を活物質層上に塗布した場合であっても、活物質層結着剤の膨潤が抑制される結果、残留歪みの開放も抑制され、活物質層の層厚の増大も抑制される。
HSPは、正則溶液理論から導かれ材料の蒸発潜熱と密度から求められるヒルデブラントのSP値を、極性項δ、水素結合項δ、分散項δ、の3成分に分割した拡張概念である。これは三次元空間上の1点として表現される。したがって、第1のHSP距離の算出において、結着剤と溶媒のHSPの比較は、下記式に示す、三次元空間上の2点間距離(HSP距離)として議論される。なお、本明細書中において、HSP、HSP間の距離および各成分(極性項δ、水素結合項δ、分散項δ)は、別段の定義がない限り、「(MPa)1/2」で表される単位に基づき表示される。
Figure 0007221592000002
式中、δD(binder)は活物質層結着剤の分散項を、δD(solvent)は有機溶媒の分散項を、δP(binder)は活物質層結着剤の極性項を、δP(solvent)は有機溶媒の極性項を、δH(binder)は活物質層結着剤の水素結合項を、δH(solvent)は有機溶媒の水素結合項を、それぞれ示す。
また、上記の第1のHSP距離の上限は特に限定されないが、一般的な溶媒においては30(MPa)1/2以下の数値に収まる。
複数の有機溶媒が混合している場合は、それぞれの有機溶媒のHSP、および体積混合比率から、混合溶媒のHSPを計算し、そのHSPと活物質層結着剤のHSPとの距離(第1のHSP距離)を8.0以上とすればよい。混合溶媒のHSPはHSPの3次元空間上に配置されるそれぞれの溶媒の1点にそれぞれの体積混合比率の重みをつけた上で、重心を計算することにより求められる。
さらに、活物質層中に複数種の活物質層結着剤が含まれる場合、有機溶媒は、活物質層結着剤の総質量に対して45質量%以上の活物質層結着剤について、上記の第1のHSP距離の関係を満足する必要がある。また、有機溶媒は、活物質層中の活物質層結着剤の総質量に対し、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上100質量%以下の活物質層結着剤と、上記の第1のHSP距離を満足する。さらには、活物質層中のすべての種類の活物質層結着剤について上記の第1のHSP距離の関係を満足することが好ましい。これにより、より確実に活物質層の膨潤を防止することができる。
また、活物質層の活物質のハンセン溶解度パラメータと有機溶媒のハンセン溶解度パラメータとの距離(以下、「第2のHSP距離」ともいう)は、5.0(MPa)1/2以上であることが好ましい。
活物質層中の活物質は、主に活物質層結着剤によって結着されているが、一方で、活物質同士の間の摩擦力も、活物質層内の残留応力のバランスの維持、ひいては層厚の維持に寄与し得る。
活物質と有機溶媒との間で、第2のHSP距離が上記の関係を満足することにより、活物質表面との相互作用、活物質と結着剤の接着界面への浸透、および内部空隙への有機溶媒の浸透が抑制される。
この結果、活物質同士の摩擦力が低減することや、活物質と結着剤の界面の剥離が抑制され、活物質層の層厚の増大がより一層低減される。
また、上記の第2のHSP距離の上限は特に限定されないが、水を除く一般的な溶媒においては20(MPa)1/2以下の数値に収まる。また、第2のHSP距離は、より好ましくは8.0以上であり、これにより活物質層の層厚の増大がより一層抑制される。
なお、第2のHSP距離は、活物質層結着剤のハンセン溶解度パラメータを活物質のハンセン溶解度パラメータと置き換えた以外は上述した第1のHSP距離と同様にして、計算される。また、多孔質絶縁層形成用組成物中に複数の有機溶媒が混合されている場合も、活物質層結着剤のハンセン溶解度パラメータを活物質のハンセン溶解度パラメータと置き換えた以外は第1のHSP距離と同様にして、第2のHSP距離を算出することができる。
また、活物質層中に複数種の活物質が含まれる場合、有機溶媒は、活物質の総質量に対して好ましくは45質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上100質量%以下の活物質と、上記の第2のHSP距離を満足する。さらには、活物質層中のすべての種類の活物質について上記の第2のHSP距離の関係を満足することが好ましい。これにより、より確実に活物質層の膨潤を防止することができる。
各種溶媒のHSPについては、例えばHansen Solubility Parameter in Practice 4th Edition などのソフトウェア上のデータベースとして使用可能である。
活物質層結着剤のHSPは、以下のようにして求められる。活物質層結着剤(乾燥させた固形状態)をHSPが既知の溶媒に浸漬し、それぞれの溶媒に対する重量膨潤度を計測する。ここで使用される溶媒としては、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、1-ブタノール、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン、N-メチル-2-ピロリドン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、メチルイソブチルケトン、酢酸n-ブチル、クロロホルム、酢酸メチル、ピリジン、ヘキサフルオロイソプロパノール、ジエチレングリコール、γ-ブチロラクトン、2-アミノエタノール、シクロヘキサノン、1,1,2,2-テトラブロモエタン、1-ブロモナフタレン、アニリンなど、親水性溶媒および疎水性溶媒を幅広く複数選択する。それぞれの溶媒に対して、膨潤度が重量で3.0以上の溶媒を「膨潤溶媒」、3.0未満の溶媒を「非膨潤溶媒」と分類する。HSP三次元空間上に配置される試験に使用した溶媒の各点に対し、「膨潤溶媒」に分類された溶媒の点を内包し、かつ「非膨潤溶媒」に分類された溶媒の点は含まない球を計算する。この球の半径を最大化したときの球の中心座標を活物質層結着剤のHSPとする。なお、活物質層結着剤のHSPを実験的に求めることが困難な場合、文献値に基づき、HSPを得てもよい。
活物質のHSPは実験的に求めてもよいが、困難な場合、文献値に基づきHSPを得てもよい。また、具体的な活物質のHSPについての文献値が入手困難な場合、同活物質に相当する化合物についての文献値にて代用することができる。例えば、Langmuir2008;24;10560-4に記載のグラフェン(graphene)に関する文献値に基づき、HSPを得てもよい。同文献によれば、グラフェンの分散項δは18.0(MPa)1/2、グラフェンの極性項δは9.3(MPa)1/2、グラフェンの水素結合項δは7.7(MPa)1/2である。したがって、有機溶媒は、下記式(I)に示されるHSP距離Raが、好ましくは5.0(MPa)1/2以上、より好ましくは8.0(MPa)1/2以上である。これにより、活物質層の層厚の増大がより一層低減される。
Figure 0007221592000003
式(I)中、δD(solvent)は有機溶媒の分散項を、δP(solvent)は有機溶媒の極性項を、δH(solvent)は有機溶媒の水素結合項を、それぞれ示す。
このような有機溶媒としては、上記HSPの関係、特に第1のHSP距離の関係を満足するものであれば特に限定されず、例えばグリコールアルキルエーテル系化合物、アルコール系化合物等の既知の各種有機溶媒を用いることができる。これらの有機溶媒は、活物質層の一般的な結着剤と上記の第1のHSP距離の関係を満足させやすく、絶縁性無機粒子の分散性や後述する多孔質絶縁層結着剤の溶解性の観点から、好適に用いられる。特に、第1のHSP距離および第2のHSP距離を同時に大きくできる観点から、アルコール系化合物が好ましい。なお、有機溶媒は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
アルコール系化合物としては、例えば炭素数が3以上10以下、好ましくは4以上8以下であり、無置換またはアルコキシ基置換の直鎖状または分岐の低級アルキルアルコールまたは脂肪族アルコールが挙げられる。このようなアルコール系化合物としては、具体的には、2-プロパノール、1-ブタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-メチル-1-ペンタノール、2-エチル-1-ペンタノール、2-メチル-1-ヘキサノール、2-エチル-1-ヘキサノール、2-メチル-1-ヘプタノール、2-エチル-1-ヘプタノール、2-プロピル-1-ヘプタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-エトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチル-1-ペンタノール、3-エトキシ-3-メチル-1-ペンタノール、1-ノナノール、1-デカノール等が挙げられる。アルコール系化合物がアルコキシ基により置換されている場合、アルコキシ基の炭素数は、特に限定されないが、例えば1~4、好ましくは1~3、より好ましくは1または2である。
なお、アルコール系化合物は、一価アルコールであってもよいし、多価アルコールであってもよい。しかしながら、アルコール系化合物は、好ましくは一価アルコールである。これにより、活物質層の層厚の増大がより一層抑制される。
上述した中でも、好ましいアルコール系化合物は、1-ブタノール、1-ヘキサノール、2-エチル-1-ヘキサノール、および3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールである。特に好ましいアルコール系化合物は、2-エチル-1-ヘキサノール、および3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールである。
グリコールアルキルエーテル系化合物としては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル(ethylene glycol monomethyl ether)、エチレングリコールモノエチルエーテル(ethylene glycol monoethyl ether)等のモノアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(diethylene glycol monomethyl ether)ジエチレングリコールモノエチルエーテル(diethylene glycol monoethyl ether)等のジアルキレングリコールモノアルキルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(triethylene glycol monomethyl ether)トリエチレングリコールモノエチルエーテル(triethylene glycol monoethyl ether)等のトリアルキレングリコールモノアルキルエーテルや、その他重合度が3以上のアルキレングリコールモノアルキルエーテルが挙げられる。グリコールアルキルエーテル系化合物中のアルコキシ基の炭素数は、特に限定されないが、例えば1~4、好ましくは1~3、より好ましくは1または2である。
また、グリコールアルキルエーテル系化合物は、エチレングリコール骨格を有することが好ましい。特に好ましいグリコールアルキルエーテル系化合物は、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、およびエチレングリコールモノエチルエーテルである。
また、有機溶媒の沸点は、好ましくは100℃以上、より好ましくは130℃以上250℃以下である。これにより多孔質絶縁層形成時における溶媒の揮発およびこれに伴う粘性の変化を防止し、均一な厚さの多孔質絶縁層を形成することができる。
また、溶媒は、水を含んでいてもよい。水は、活性剤層中の活物質層結着剤の溶解性に優れる一方で、多孔質絶縁層形成用組成物の各材料の溶解および分散に適している。溶媒中における水の含有量は、溶媒に対し、例えば70質量%以下、好ましくは50質量%以下である。
多孔質絶縁層形成用組成物中における溶媒の含有量は、特に限定されず、適宜製造条件に応じて選択可能であるが、例えば15質量%以上60質量%以下、好ましくは、20質量%以上45質量%以下である。
(1.2 絶縁性無機粒子)
また、多孔質絶縁層形成用組成物は、絶縁性無機粒子を含む。絶縁性無機粒子は、多孔質絶縁層形成用組成物の固形分における主成分である。絶縁性無機粒子は、セパレータと活物質層との間の絶縁性を担保し、不本意な内部短絡を防止する。
このような絶縁性無機粒子としては、特に限定されず、例えば、酸化鉄、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、TiO、BaTiO、ZrO等の酸化物粒子、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物粒子、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウム等の難溶性のイオン結晶粒子、シリコン、ダイヤモンド等の共有結合性結晶粒子、モンモリロナイト等の粘土粒子、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン等の鉱物資源由来物質またはこれらの人造物が挙げられる。
また、金属粒子、SnO、スズ-インジウム酸化物(ITO)等の酸化物粒子、カーボンブラック、グラファイト等の炭素質粒子等の導電性粒子の表面を、電気絶縁性を有する材料で表面処理することで、電気絶縁性を持たせた微粒子であってもよい。
また、絶縁性無機粒子の平均粒径は、特に限定されないが、例えば、0.01μm以上5μm以下、好ましくは0.1μm以上1μm以下である。なお、本明細書において、平均粒径は、体積基準頻度累積D50粒径を示し、レーザー回折・散乱式粒径分布測定装置により測定することができる。
また、多孔質絶縁層形成用組成物中の絶縁性無機粒子の含有量は、多孔質絶縁層形成用組成物中の固形分に対し、例えば20質量%以上98質量%以下、好ましくは、30質量%以上95質量%以下である。
(1.3 結着剤)
多孔質絶縁層形成用組成物は、結着剤(多孔質絶縁層結着剤)を含んでもよい。
多孔質絶縁層結着剤としては、特に限定されず、多孔質絶縁層に用いることのできる既知の結着剤を1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
このような結着剤としては、例えばビニル基含有単量体の重合体または共重合体が挙げられる。ビニル基含有単量体としては、特に限定されず、エチレン:アクリル酸、メタクリル酸および(メタ)アクリル酸塩:アクリロニトリル:ビニルアルコール:酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル:(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル、スチレン等が挙げられる。
また、多孔質絶縁層結着剤は、下記式(1)で表される単量体単位(A)を1種以上含む高分子Xを含んでもよい。
Figure 0007221592000004
式中、RおよびRは、それぞれ出現毎に独立して、水素原子または炭素数1~3のアルキル基であり、
環Xは、窒素原子を少なくとも1個環構成成分として有し、少なくとも1以上の水素原子が炭素数1~3のアルキル基によって置換してもよい、複素環式基である。
このような単量体単位(A)を含む高分子Xは、上述した溶媒、特にグリコールアルキルエーテル系化合物に溶解しやすい。また、単量体単位(A)により、高分子Xの弾性率が向上することから強固な多孔質絶縁層の形成にも有利である。
なお、上記RおよびRにおいて、炭素数1~3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。RおよびRは、好ましくは、それぞれ出現毎に独立して、水素原子またはメチル基であり、より好ましくは水素原子である。
環Xを構成する環としては、例えば、ピラゾリル基、ピラゾリジニル基等の窒素原子を含む複素環式基、モルホリニル基等の窒素原子および酸素原子を含む複素環式等が挙げられる。これらの中でも、環Xを構成する環は、好ましくは、窒素原子および酸素原子を含む複素環式基であり、より好ましくはモルホリニル基である。
なお、環Xを構成する環の環員数は、特に限定されず、例えば4~10、好ましくは4~7である。
なお、環Xを構成する環に存在する1個以上の水素原子は、炭素数1~3のアルキル基、より具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基等によって置換されてもよい。一方で、環Xを構成する環に存在する水素原子のいずれもが置換されなくてもよい。
また、高分子Xにおける単量体単位(A)の含有量は、特に限定されないが、例えば、20質量%以上、好ましくは40質量%以上98質量%以下である。これにより、上述した溶媒、特にグリコールエーテル系化合物に対し高分子Xがより容易に溶解する。
上記高分子Xは、さらに、下記式(2)で表される単量体単位(B)、下記式(3)で表される単量体単位(C)のうちいずれか一方または両方を含んでいてもよい。なお、各単量体単位(B)、単量体単位(C)は、それぞれ、1種単独または2種以上組み合わせて高分子Xに含有されることができる。
Figure 0007221592000005
式中、R~Rは、それぞれ出現毎に独立して、水素原子または炭素数1~3のアルキル基であり、
Lは、2価の連結基であり、
Yは、酸素原子を少なくとも1個環構成成分として有し、少なくとも1個以上の水素原子が炭素数1~3のアルキル基によって置換してもよい、複素環式基である。
また、高分子が上記式(2)で表される単量体単位(B)を1種以上含む場合、グリコールエーテル系化合物に対し高分子Xがより容易に溶解する。
式(2)中のRおよびRにおいて、炭素数1~3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。RおよびRは、好ましくは、それぞれ出現毎に独立して、水素原子またはメチル基であり、より好ましくは水素原子である。
また、Lは、二価の連結基であり、例えば、単結合、炭素数1~5のアルキレン基、ポリオキリエチレン基等が挙げられる。炭素数1~5のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、プロピレン基等が挙げられる。炭素数1~5のアルキレン基を構成する水素原子は、炭素数1~3のアルキル基、より具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基等によって置換されてもよい。
Yを構成する環としては、例えば、フラニル基、ピラニル基、2,5-ジヒドロフラニル基等の酸素原子を含む不飽和複素環式基、テトロヒドロフラニル基、テトロヒドロピラニル基、ジオキサン-イル基等の酸素原子を含む飽和複素環式基、モルホリニル基等の窒素原子および酸素原子を含む複素環式等が挙げられる。これらの中でも、環Xを構成する環は、好ましくは、酸素原子を含む飽和複素環式基であり、より好ましくはテトロヒドロフラニル基である。
なお、Yを構成する環の環員数は、特に限定されず、例えば4~10、好ましくは4~7である。
なお、Yを構成する環に存在する1個以上の水素原子は、炭素数1~3のアルキル基、より具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基等によって置換されてもよい。一方で、Yを構成する環に存在する水素原子のいずれもが置換されなくてもよい。
また、高分子X中、単量体単位(A)と前記単量体単位(B)との質量比(A)/(B)は、好ましくは50/50~100/0である。これにより、溶媒がグリコールエーテル系化合物を含む場合、溶媒に対して高分子Xがさらにより容易に溶解することができる。
特に、高分子Xが単量体単位(C)を1種以上含む場合、絶縁性無機粒子の分散性や、活物質層に対する結着性が向上する。また、高分子Xが単量体単位(C)を1種以上含み、かつ多孔質絶縁層形成用組成物がポリオレフィン系ポリマー粒子を含む場合、ポリオレフィン系ポリマー粒子が組成物中において安定した分散状態を維持しやすくなる。
式(3)中のR~Rにおいて、炭素数1~3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。R~Rは、好ましくは、それぞれ出現毎に独立して、水素原子またはメチル基であり、より好ましくは水素原子である。
また、単量体単位(A)と前記単量体単位(C)との質量比(A)/(C)は、好ましくは40/60~60/40である。これにより、結着剤の結着性とポリオレフィン系ポリマー粒子の分散性とを同時により優れたものとすることができる。
また、高分子Xは、イオン性単量体単位を含んでもよいが、多孔質絶縁層形成用組成物がポリオレフィン系ポリマー粒子を含有しない場合、イオン性単量体単位の含有量は、好ましくは0.5質量%以上50質量%以下、より好ましくは2質量%以上30質量%以下である。これにより、絶縁性無機粒子の分散性や、活物質層に対する結着性がより一層向上する。また、多孔質絶縁層形成用組成物がポリオレフィン系ポリマー粒子を含有する場合、イオン性単量体単位の含有量は、好ましくは2質量%以上5質量%以下である。これにより、ポリオレフィン系ポリマー粒子の分散安定性が良好に維持される。なお、イオン性単量体単位とは、例えば水を含む溶媒中において電離等により、正または負の電荷を生じうる官能基を有する単量体単位を言う。
イオン性単量体単位としては、特に限定されないが、例えば、下記式(4)で表される単量体単位(D)が挙げられる。
Figure 0007221592000006
式中、R~Rは、それぞれ出現毎に独立して、水素原子または炭素数1~3のアルキル基であり、
は、一価のカチオン基であり、
式中のZとOとは、イオン結合により結合していてもよい。
式(4)中のRおよびRにおいて、炭素数1~3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。RおよびRは、好ましくは、それぞれ出現毎に独立して、水素原子またはメチル基であり、より好ましくは水素原子である。
また、Zとしては、例えば、水素イオン、アンモニウムイオン、有機カチオン、金属イオン等の無機カチオン、および金属錯体等の金属錯化物が挙げられる。
有機カチオンとしては、アミン類のカチオン化物が挙げられる。このようなアミン類としては、第1級、第2級、第3級のいずれであってもよく、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、メチルエミン、ジメチルエミン、トリエチルエミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンレンジアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族アミン、アニリン等の芳香族アミン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オキサゾール、チアゾール等の非芳香族複素環式アミンが挙げられる。
なお、高分子Xは、上記以外の単量体単位を含んでもよい。
また、高分子Xは、単量体単位(A)、(B)および(C)の合計の含有量が、質量割合で高分子X全体に対し、例えば50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは95質量%以上である。
多孔質絶縁層結着剤に含まれ得る重合体、共重合体および高分子の結合様式は特に限定されず、該高分子は、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体、ブロック共重合体またはグラフト共重合体であってもよい。
多孔質絶縁層結着剤に含まれ得る重合体、共重合体および高分子の重量平均分子量も、特に限定されず、例えば50,000以上2,000,000以下、好ましくは100,000以上1,000,000以下である。なお、重量平均分子量は、ポリエチレンオキシド(PEO)を標準物質として換算する、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定することができる。
また、多孔質絶縁層形成用組成物中の多孔質絶縁層結着剤の含有量は、多孔質絶縁層形成用組成物中の固形分に対し、例えば2質量%以上10質量%以下、好ましくは3質量%以上7質量%以下である。
(1.4 ポリオレフィン系ポリマー粒子)
また、多孔質絶縁層形成用組成物は、ポリオレフィン系ポリマー粒子を含んでもよい。ポリオレフィン系ポリマー粒子は、比較的低い融点を有することから、非水電解質二次電池が異常加熱した際に溶融してリチウムイオンの移動を遮断する。これにより、非水電解質二次電池の安全性能がより一層向上する。
ポリオレフィン系ポリマー粒子としては、例えば、ポリエチレン系ポリマー粒子、ポリプロピレン系ポリマー粒子が挙げられる。
また、ポリオレフィン系ポリマー粒子の平均粒径は、特に限定されないが、例えば、0.5μm以上4μm以下、好ましくは0.7μm以上2μm以下である。一般に多孔質絶縁層は、比較的薄い(例えば4μm以下)薄膜として形成される。したがって、ポリオレフィン系ポリマー粒子の平均粒径も比較的小さくすることが要求される。ポリオレフィン系ポリマー粒子は、粒径が小さい場合には比較的分散しにくいが、上述した単量体単位(A)および(B)を含む高分子を結着剤として用いることにより、多孔質絶縁層中に均一に分散することができる。
また、多孔質絶縁層形成用組成物中のポリオレフィン系ポリマー粒子の含有量は、多孔質絶縁層形成用組成物中の固形分に対し、例えば20質量%以上80質量%以下である。
以上説明した本実施形態に係る多孔質絶縁層形成用組成物においては、活物質層の結着剤のハンセン溶解度パラメータと8.0以上の距離を有するハンセン溶解度パラメータの有機溶媒を採用している。したがって、多孔質絶縁層形成用組成物を活物質層上に塗工した場合であっても、活物質層の膨潤が抑制される。
<2.非水電解質二次電池の構成>
以下では、図1を参照して、上述した本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池10の具体的な構成について説明を行う。図1は、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の構成を説明する説明図である。また、非水電解質二次電池10は、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池用電極としての負極30を有している。
図1に示す非水電解質二次電池10は、本実施形態に係る二次電池の一例である。図1に示すように、非水電解質二次電池10は、正極20と、負極30と、セパレータ(separator)層40とを備える。なお、非水電解質二次電池10の形態は、特に限定されないが、例えば、円筒形、角形、ラミネート(laminate)形、またはボタン(button)形等のいずれであってもよい。
正極20は、集電体21と、集電体21の主面上に配置される正極活物質層22とを備える。集電体21は、導電体であればどのようなものでも良く、例えば、アルミニウム(Al)、ステンレス鋼(stainless steel)、およびニッケルメッキ鋼(nickel-plated steel)等であってもよい。
なお、本明細書において「主面」とはある薄板のうち他の面よりも遥かに面積大きい面を示す。例えば、集電体21においては、主面は、箔状の集電体21の表面および裏面を意味し、端面、側面等を意味しない。
正極活物質層22は、少なくとも正極活物質および結着剤(正極活物質層結着剤)を含み、導電剤をさらに含んでもよい。なお、正極活物質、導電剤、および結着剤の含有量は、特に制限されず、従来の非水電解質二次電池において適用される含有量であれば、いずれであってもよい。
正極活物質は、例えば、リチウムを含む遷移金属酸化物または固溶体酸化物であり、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵および放出することができる物質であれば特に制限されない。リチウムを含む遷移金属酸化物としては、LiCoO等のLi・Co系複合酸化物、LiNiCoMn等のLi・Ni・Co・Mn系複合酸化物、LiNiO等のLi・Ni系複合酸化物、またはLiMn等のLi・Mn系複合酸化物等を例示することができる。固溶体酸化物としては、LiMnCoNi(1.150≦a≦1.430、0.45≦x≦0.6、0.10≦y≦0.15、0.20≦z≦0.28)、LiMnCoNi(0.3≦x≦0.85、0.10≦y≦0.3、0.10≦z≦0.3)、LiMn1.5Ni0.5等を例示することができる。なお、正極活物質の含有量(含有比)は、特に制限されず、非水電解質二次電池の正極活物質層に適用可能な含有量であればよい。また、これらの化合物を単独または複数種、混合して用いてもよい。
導電剤は、例えば、ケッチェンブラック(ketjen black)やアセチレンブラック(acetylene black)等のカーボンブラック(carbon black)、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンナノチューブ(carbon nanotubes)、グラフェン(graphene)、カーボンナノファイバ(carbon nanofibers)等の繊維状炭素、または、これら繊維状炭素とカーボンブラック(carbon black)との複合体等である。ただし、導電剤は、正極の導電性を高めるためのものであれば特に制限されずに使用することができる。導電剤の含有量は特に制限されず、非水電解質二次電池の正極活物質層に適用可能な含有量であればよい。
結着剤は、例えば、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene difluoride)等のフッ素含有樹脂、スチレンブタジエンゴム(styrene-butadiene rubber)等のスチレン含有樹脂、エチレンプロピレンジエン三元共重合体(ethylene-propylene-diene terpolymer)、アクリロニトリルブタジエンゴム(acrylonitrile-butadiene rubber)、フッ素ゴム(fluoroelastomer)、ポリ酢酸ビニル(polyvinyl acetate)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)、ポリエチレン(polyethylene)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol)、カルボキシメチルセルロース(carboxymethylcellulose)もしくはこれらの誘導体(カルボキシメチルセルロース類(例えばカルボキシメチルセルロースの塩))またはニトロセルロース(nitrocellulose)等である。ただし、結着剤は、正極活物質および導電剤を集電体21上に結着させることができ、かつ正極の高電位に耐える耐酸化性および電解液安定性を有するものであれば、特に制限されない。また、結着剤の含有量も特に制限されず、非水電解質二次電池の正極活物質層に適用可能な含有量であればよい。
正極活物質層22は、例えば、正極活物質、導電剤、および結着剤を適当な有機溶媒(例えば、N-メチル-2-ピロリドン(N-methyl-2-pyrrolidone)など)に分散させて正極スラリー(slurry)を形成し、該正極スラリーを集電体21上に塗工し、乾燥、圧延することで形成することができる。なお、圧延後の正極活物質層22の密度は、特に制限されず、非水電解質二次電池の正極活物質層に適用可能な密度であればよい。
負極30は、本実施形態に係る二次電池用負極の一例である。負極30は、箔状の集電体31と、集電体31に接して配置された負極活物質層32と、負極活物質層32上に配置される多孔質絶縁層33とを有する。
集電体31は、特に限定されず、例えば、銅、アルミニウム、鉄、ニッケル、ステンレス鋼またはこれらの合金もしくはこれらのメッキ鋼、例えばニッケルメッキ鋼で構成されることができる。集電体31は、特に、銅もしくはニッケルまたはこれらの合金で構成されることが好ましい。
負極活物質層32は、集電体31に接して、より具体的には一方の主面が集電体31上に接着されるようにして配置されている。負極活物質層32は、少なくとも負極活物質を含む。本実施形態においては、負極活物質層32は、負極活物質と、結着剤(負極活物質層結着剤)とを含む。
負極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵および放出することができる物質であれば特に限定されないが、例えば、黒鉛活物質(人造黒鉛、天然黒鉛、人造黒鉛と天然黒鉛との混合物、人造黒鉛を被覆した天然黒鉛等)、Si系活物質またはSn系活物質(例えばケイ素(Si)もしくはスズ(Sn)もしくはそれらの酸化物の微粒子、ケイ素もしくはスズを基本材料とした合金)、金属リチウム及びLiTi12等の酸化チタン系化合物等が挙げられる。負極活物質としては、以上のうち1種以上を用いることができる。ケイ素の酸化物は、SiO(0≦x≦2)で表される。
負極活物質層32中における負極活物質の含有量は、特に限定されないが、例えば、60.0~100質量%、好ましくは、80~99.5質量%、より好ましくは90~99質量%であることができる。
負極活物質層結着剤は、正極活物質層22を構成する結着剤と同様のものが使用可能である。上述した中でも、スチレン含有樹脂、フッ素含有樹脂、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース類から選択される1種以上のバインダを含むことが好ましい。なお、スチレン含有樹脂としては、スチレンブタジエンゴムが好ましく、フッ素含有樹脂としては、ポリフッ化ビニリデンが好ましい。カルボキシメチルセルロース類としては、カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース塩等のカルボキシメチルセルロース誘導体が挙げられる。カルボキシメチルセルロース塩としては、例えばカルボキシメチルセルロースとアルカリ金属イオンとの塩、より具体的にはカルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカリウム、カルボキシメチルセルロースリチウムが挙げられる。
また、負極活物質層32中における負極活物質層結着剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、0~40質量%、好ましくは、0.5~20質量%、より好ましくは1~10質量%であることができる。
負極活物質層32は、例えば、上述した負極活物質および負極活物質層結着剤を適当な溶媒(例えば、水など)に分散させて負極スラリーを形成し、該負極スラリーを集電体31上に塗工し、乾燥、圧延することで形成することができる。なお、圧延後の負極活物質層32の厚さは、特に制限されず、リチウムイオン二次電池の負極活物質層に適用可能な厚さであればよい。また、負極活物質層32は、黒鉛活物質を選択的に含んで形成されてもよい。
なお、負極活物質層32は、上述した方法に限定されず、加熱蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等の物理蒸着法や、化学蒸着法(CVD)により形成することもできる。
多孔質絶縁層33は、負極30とセパレータ層40との間に配置されるように、負極活物質層32上に形成されている。多孔質絶縁層33は、非水電解質二次電池10における不本意な内部短絡を防止する。本実施形態において、多孔質絶縁層33は、上述した多孔質絶縁層形成用組成物を塗工し、乾燥させることにより形成されている。したがって、多孔質絶縁層は、例えば絶縁性無機粒子と、多孔質絶縁層結着剤とを含み、さらに任意にポリオレフィン系ポリマー粒子を含む。絶縁性無機粒子、多孔質絶縁層結着剤、ポリオレフィン系ポリマー粒子に関する構成については、上述した通りである。
セパレータ層40は、通常セパレータと、電解液とを含む。セパレータは、特に制限されず、リチウムイオン二次電池のセパレータとして使用されるものであれば、特に制限されず、どのようなものも使用可能である。セパレータとしては、優れた高率放電性能を示す多孔膜や不織布等を単独あるいは併用して使用することが好ましい。また、セパレータは、Al、Mg(OH)、SiO等の無機物によってコーティング(coating)されていてもよく、上述した無機物をフィラー(filler)として含んでいてもよい。
このようなセパレータを構成する材料としては、例えば、ポリエチレン(polyethylene)、ポリプロピレン(polypropylene)等に代表されるポリオレフィン(polyolefin)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate),ポリブチレンテレフタレート(polybuthylene terephthalate)等に代表されるポリエステル(polyester)系樹脂、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene difluoride)、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(vinylidene difluoride-hexafluoropropylene copolymer)、フッ化ビニリデン-パーフルオロビニルエーテル共重合体(vinylidene difluoride-perfluorovinylether copolymer)、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン共重合体(vinylidene difluoride-tetrafluoroethylene copolymer)、フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン共重合体(vinylidene difluoride-trifluoroethylene copolymer)、フッ化ビニリデン-フルオロエチレン共重合体(vinylidene difluoride-fluoroethylene copolymer)、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロアセトン共重合体(vinylidene difluoride-hexafluoroacetone copolymer)、フッ化ビニリデン-エチレン共重合体(vinylidene difluoride-ethylene copolymer)、フッ化ビニリデン-プロピレン共重合体(vinylidene difluoride-propylene copolymer)、フッ化ビニリデン-トリフルオロプロピレン共重合体(vinylidene difluoride-trifluoropropylene copolymer)、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(vinylidene difluoride-tetrafluoroethylene-hexafluoropropylene copolymer)、フッ化ビニリデン-エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(vinylidene difluoride-ethylene-tetrafluoroethylene copolymer)等を使用することができる。なお、セパレータの気孔率は、特に制限されず、従来のリチウムイオン二次電池のセパレータが有する気孔率を任意に適用することが可能である。
電解液は、電解質塩と、溶媒とを含む。
電解質塩は、リチウム塩等の電解質である。電解質塩は、例えば、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、LiSCN、LiBr、LiI、LiSO、Li10Cl10、NaClO、NaI、NaSCN、NaBr、KClO4、KSCN等のリチウム(Li)、ナトリウム(Na)またはカリウム(K)の1種を含む無機イオン塩、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CFSO、LiC(CSO、(CHNBF、(CHNBr、(CNClO、(CNI、(CNBr、(n-CNClO、(n-CNI、(CN-maleate、(CN-benzoate、(CN-phtalate、ステアリルスルホン酸リチウム(lithium stearylsulfate)、オクチルスルホン酸リチウム(lithium octylsulfate)、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム(lithium dodecylbenzenesulphonate)等の有機イオン塩等を使用することができる。なお、これらの電解質塩は、単独、あるいは2種類以上混合して使用されてもよい。また、電解質塩の濃度は、特に制限はないが、例えば、0.5~2.0mol/L程度の濃度を使用することができる。
溶媒は、電解質塩を溶解する非水溶媒である。溶媒は、例えば、プロピレンカーボネート(propylene carbonate)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate)、ブチレンカーボネート(buthylene carbonate)、クロロエチレンカーボネート(chloroethylene carbonate)、ビニレンカーボネート(vinylene carbonate)等の環状炭酸エステル類、γ-ブチロラクトン(γ-butyrolactone)、γ-バレロラクトン(γ-valerolactone)等の環状エステル類、ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate)、ジエチルカーボネート(diethyl carbonate)、エチルメチルカーボネート(ethylmethyl carbonate)等の鎖状カーボネート類、ギ酸メチル(methyl formate)、酢酸メチル(methyl acetate)、酪酸メチル(methyl butyrate)等の鎖状エステル類、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)またはその誘導体、1,3-ジオキサン(1,3-dioxane)、1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)、1,2-ジメトキシエタン(1,2-dimethoxyethane)、1,4-ジブトキシエタン(1,4-dibutoxyethane)、またはメチルジグライム(methyldiglyme)等のエーテル類、アセトニトリル(acetonitrile)、ベンゾニトリル(benzonitrile)等のニトリル類、ジオキソラン(dioxolane)またはその誘導体、エチレンスルフィド(ethylene sulfide)、スルホラン(sulfolane)、スルトン(sultone)またはその誘導体等を、単独で、またはそれら2種以上を混合して使用することができる。なお、溶媒を2種以上混合して使用する場合、各溶媒の混合比は、従来のリチウムイオン二次電池で用いられる混合比が適用可能である。
なお、電解液は、負極SEI(Solid Electrolyte Interface)形成剤、界面活性剤等の各種添加剤が添加されてもよい。
このような添加剤としては、例えば、コハク酸無水物(succinic anhydride)、リチウムビスオキサラートボレート(lithium bis(oxalate)borate)、テトラフルオロホウ酸リチウム(lithium tetrafluoroborate)、ジニトリル(dinitrile)化合物、プロパンスルトン(propane sultone)、ブタンスルトン(butane sultone)、プロペンスルトン(propene sultone)、3-スルフォレン(3-sulfolene)、フッ素化アリルエーテル(fluorinated arylether)、フッ素化アクリレート(fluorinated methacrylate)等を使用することができる。また、このような添加剤の含有濃度としては、一般的なリチウムイオン二次電池における添加剤の含有濃度が使用可能である。
以上説明した本実施形態に係る非水電解質二次電池10は、負極30の製造時において、多孔質絶縁層33の形成に本実施形態に係る多孔質絶縁層形成用組成物を用いている。したがって、負極活物質層32の不本意な層厚の増大が抑制されている。
なお、上述した説明においては、負極30が多孔質絶縁層33を備えるものとして説明したが、本発明は図示の態様に限定されない。例えば、正極20は、多孔質絶縁層を備えていてもよい。この場合においても正極20の正極活物質層22の層厚の増大が抑制される。またこの場合、負極30は、多孔質絶縁層を備えていなくてもよい。
<2.非水電解質二次電池の製造方法>
続いて、非水電解質二次電池10の製造方法について説明する。本実施形態に係る非水電解質二次電池10の製造方法は、集電体の主面上に配置された活物質層上に、多孔質絶縁層形成用組成物を用いて多孔質絶縁層を形成する工程を有する。ただし、非水電解質二次電池10の製造方法は、以下の方法に制限されず、任意の製造方法を適用することが可能である。
正極20は、以下のように製造される。まず、正極活物質、導電剤、および正極活物質層結着剤を所望の割合で混合したものを、有機溶媒(例えば、N-メチル-2-ピロリドン)に分散させて正極スラリーを形成する。次に、正極スラリーを集電体21上に形成(例えば、塗工)し、乾燥させることで、正極活物質層22を形成する。
なお、塗工の方法は、特に限定されないが、例えば、ナイフコーター(knife coater)法、グラビアコーター(gravure coater)法等を用いてもよい。以下の各塗工工程も同様の方法により行われる。
さらに、圧縮機により正極活物質層22を所望の厚みとなるように圧縮する。これにより、正極20が製造される。ここで、正極活物質層22の厚みは特に制限されず、従来の非水電解質二次電池の正極活物質層が有する厚みであればよい。
負極30も、正極20と同様の方法に製造される。まず、負極活物質、および負極活物質層結着剤を所望の割合で混合したものを、溶媒(例えば、水)に分散させることで負極スラリーを形成する。なお、負極スラリーには、選択的に黒鉛活物質が混合されてもよい。
次に、負極スラリーを集電体31上に形成(例えば、塗工)し、乾燥させて、負極活物質層32を形成する。さらに、圧縮機により負極活物質層32を所望の厚みとなるように圧縮する。ここで、負極活物質層32の厚みは特に制限されず、従来の非水電解質二次電池の負極活物質層が有する厚みであればよい。
その後、多孔質絶縁層形成用組成物によって多孔質絶縁層33を形成する。具体的には、負極活物質層32上に、多孔質絶縁層形成用組成物を塗工し、乾燥させることにより、多孔質絶縁層33を形成する。これにより、負極30が製造される。
なお、多孔質絶縁層33が本実施形態に係る多孔質絶縁層形成用組成物を用いて形成されることにより、多孔質絶縁層形成用組成物の塗工時において、負極活物質層32の膨潤が抑制される。この結果、負極30の不本意な厚さの増大が防止される。
続いて、セパレータ40を正極20および負極30にて挟み込むことで、電極構造体を製造する。次に、製造した電極構造体を所望の形態(例えば、円筒形、角形、ラミネート形、ボタン形等)に加工し、該形態の容器に挿入する。さらに、該容器内に所望の電解液を注入することで、セパレータ40内の各気孔に電解液を含浸させる。これにより、非水電解質二次電池10が製造される。
なお、上記の説明においては、負極活物質層32上に多孔質絶縁層33を形成したが、本発明は、上述した実施態様に限定されない。例えば、正極活物質層22上に多孔質絶縁層形成用組成物によって多孔質絶縁層を形成してもよい。この場合、負極活物質層32上に多孔質絶縁層を形成しなくてもよい。
以下、本発明を具体的な実施例に基づきより詳細に説明する。しかしながら、以下の実施例は、あくまでも本発明の一例であり、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(多孔質絶縁層用結着剤の合成)
<結着剤1の合成>
撹拌子、温度計を装着した500mlのフラスコ内に、アゾイソブチロニトリル70.6mg、N-ビニルホルムアミド10.0g、アクロイルモルフォリン9.5g、アクリル酸0.5gを仕込んで撹拌した後、トリエチレングリコールモノメチルエーテル180.0gとエタノールアミン0.424gを順に加えた。系内を窒素置換し、600rpmにて撹拌しながら、系内温度を65℃に昇温して12時間反応させた。反応後の溶液の不揮発分を測定したところ、9.7質量%(転化率96%)であった。その後、加熱減圧蒸留によって反応後の溶液から開始剤残渣および未反応単量体を除去した。この溶液を室温まで冷却した後、エタノールアミンを添加してpH8に調整することで、共重合体溶液を得た。固形分は10%であった。
<結着剤2の合成>
結着剤1の合成において、溶媒をトリエチレングリコールモノメチルエーテルからジエチレングリコールモノメチルエーテルに変更した以外は同様にして、10%共重合体溶液を得た。
<結着剤3の合成>
結着剤1の合成において、反応系内の組成の変更を行った。すなわち、結着剤1の合成において、N-ビニルホルムアミド8.0g、アクロイルモルフォリン11.0g、アクリル酸1.0gを仕込んで撹拌した後、トリエチレングリコールモノメチルエーテル180.0gとエタノールアミン0.848gを順に加えた以外は同様にして、10%共重合体溶液を得た。
<結着剤4の合成>
結着剤1の合成において、反応系内の組成の変更を行った。すなわち、結着剤1の合成において、N-ビニルホルムアミド10.0g、アクロイルモルフォリン4.9g、アクリル酸0.5g、およびアクリル酸テトラヒドロフラニル4.6gを仕込んで撹拌した後、ジエチレングリコールモノメチルエーテル180.0gとエタノールアミン0.424gを順に加えた以外は同様にして、共重合体水溶液を得た。
<結着剤5の合成>
結着剤1の合成において、反応系内の組成の変更を行った。すなわち、結着剤1の合成において、アクロイルモルフォリン14.0g、アクリル酸6.0gを仕込んで撹拌した後、ジエチレングリコールモノメチルエーテル180.0gとエタノールアミン5.088gを順に加えた以外は同様にして、共重合体水溶液を得た。
<結着剤6の合成>
結着剤1の合成において、反応系内の組成の変更を行った。すなわち、結着剤1の合成において、アクロイルモルフォリン19.0g、アクリル酸1.0gを仕込んで撹拌した後、ジエチレングリコールモノメチルエーテル180.0gとエタノールアミン0.848gを順に加えた以外は同様にして、共重合体水溶液を得た。
<結着剤8の合成>
撹拌子、温度計を装着した500mlのフラスコ内に、2-エチルヘキシルアクリレート12.0g、イソボルニルアクリレート22.0g、アクリロニトリル4.0g、メタクリル酸2.0g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.8gおよびイオン交換水115gを仕込んで撹拌した後、系内を窒素置換し、600rpmにて撹拌しながら、系内温度を70℃に昇温した。系内温度が70℃に達した後、過硫酸カリウム0.27gをイオン交換水5.0gに溶解した水溶液を添加して12時間反応させた。反応後の水性分散液の不揮発分(固形分)を測定したところ、25.0質量%(転化率100%)であった。その後、加熱減圧蒸留によって反応液を不揮発分40質量%まで濃縮した液に、エタノール200mlを加えることで固形物を沈殿分離させた。この固形物を回収し、エタノール100mlで2回洗浄後、80℃で10時間減圧乾燥した後、2-エチルヘキサノール460gを加えて室温で撹拌することで、共重合体溶液を得た。固形分は8%であった。
<結着剤9の合成>
結着剤5の合成において、ジエチレングリコールモノメチルエーテルに代えて3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールを使用したこと以外は同様にして共重合体溶液を得た。
(電極作製)
人造黒鉛(鱗状造粒物、比表面積1.7m/g、平均粒子径15μm)、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、スチレンブタジエン系水分散体を固形分の質量比97.5:1.0:1.5で水溶媒中に溶解分散させることで、負極合剤スラリーを作製した。ついで、この負極合剤スラリーを厚さ10μmの銅箔集電体の両面塗布、乾燥したのちロールプレスにより圧延を行い、銅箔集電体上に負極活物質層を有する負極電極を作製した。電極塗工量26mg/cm(両面換算)、電極密度1.65g/cmであった。ここで、負極活物質層中の結着剤は、スチレンブタジエンゴムおよびカルボキシメチルセルロースである。
(多孔質絶縁層形成用組成物の作製)
(実施例1)
結着剤1に対し、前記結着剤1に含まれるトリエチレングリコールモノメチルエーテルと同量のイオン交換水を加え、トリエチレングリコールモノメチルエーテルとイオン交換水との質量比1:1の混合溶媒溶液に調製した(固形分5.3%)。この混合溶媒溶液と平均粒径(D50)が0.9μmであるベーマイト粒子を固形分質量比で5:45となるように混合し、ビーズミルにて分散させて分散液を得た(固形分35.7%)。また、ポリエチレンワックスの水分散体(平均粒子径1μm、固形分40%)に対し、当該水分散体に含まれる水と同量のトリエチレングリコールモノメチルエーテルを撹拌しながら徐々添加することで、ポリエチレンワックスの混合溶媒分散体を調製した(固形分25.0%)。この分散液とポリエチレンワックスの混合溶媒分散体を重量比で28:36の割合で混合し、自転公転ミキサーで撹拌することにより、多孔質絶縁層形成用組成物を作製した(最終固形分30%)。
この多孔質絶縁層形成用組成物を負極電極の負極活物質層(活物質層)上に乾燥後の厚さが片面あたり3μmになるように両面にワイヤーバーを用いて塗工した。乾燥はオーブンにて60℃、15分とした。得られた多孔質絶縁層形成負極の負極活物質層の厚みを計測して、多孔質絶縁層形成前の膜厚と比較し、片面あたりの膜厚の増大量を算出した。負極活物質層、および多孔質絶縁層の厚み計測は、クライオクロスクセクションポリッシャーにより電極の断面出し加工後、走査型電子顕微鏡(SEM)観察を行い、10視野における厚み計測の平均値として算出した。
また、トリエチレングリコールモノメチルエーテルと負極活物質層結着剤のHSPの距離、トリエチレングリコールモノメチルエーテルの沸点、負極活物質層(活物質層)の厚み変化量を表1に示す。なお、トリエチレングリコールモノメチルエーテルのHSPは、Hansen Solubility Parameter in Practice 4th Edition から引用した。また、負極活物質層結着剤のHSPは、HSPが既知の溶媒を用い、上述し方法により実験的に求めた。他の実施例および比較例の溶媒および負極活物質層結着剤についても同様である。負極活物質(黒鉛)のHSPとしては、Langmuir2008;24;10560-4に記載のグラフェンについてのHSPを使用した。
(実施例2)
実施例1において結着剤1に代えて結着剤2に変更し、トリエチレングリコールモノメチルエーテルに代えてジエチレングリコールモノメチルエーテルを使用した以外は実施例1と同様にして多孔質絶縁層形成用組成物を作製し、負極電極に塗工した。結果を表1に示す。
(実施例3)
前記結着剤3と平均粒径(D50)が0.9μmであるベーマイト粒子を固形分質量比で5:95となるように混合し、トリエチレングリコールモノメチルエーテルを加えて固形分30%になるように調整した。その後、ビーズミルにて分散させることで多孔質絶縁層形成用組成物(溶媒:トリエチレングリコールモノメチルエーテル)を作製した。その後、実施例1と同様に負極電極に塗工した。結果を表1に示す。
(実施例4)
前記結着剤4と平均粒径(D50)が0.9μmであるベーマイト粒子を固形分質量比で5:95となるように混合し、ジエチレングリコールモノメチルエーテルを加えて固形分30%になるように調整した。その後、ビーズミルにて分散させることで多孔質絶縁層形成用組成物(溶媒:ジエチレングリコールモノメチルエーテル)を作製した。その後、実施例1と同様に負極電極に塗工した。結果を表1に示す。
(実施例5)
前記結着剤5と平均粒径(D50)が0.9μmであるベーマイト粒子を固形分質量比で5:95となるように混合し、ジエチレングリコールモノメチルエーテルを加えて固形分30%になるように調整した。その後、ビーズミルにて分散させることで多孔質絶縁層形成用組成物(溶媒:ジエチレングリコールモノメチルエーテル)を作製した。その後、実施例1と同様に負極電極に塗工した。結果を表1に示す。
(実施例6)
前記結着剤6と平均粒径(D50)が0.9μmであるベーマイト粒子を固形分質量比で5:95となるように混合し、2-エトキシエタノール(エチレングリコールモノエチルエーテル)を加えて固形分30%になるように調整した。その後、ビーズミルにて分散させることで多孔質絶縁層形成用組成物(溶媒:2-エトキシエタノール)を作製した。その後、実施例1と同様に負極電極に塗工した。結果を表1に示す。
(実施例7)
結着剤7としての重量分子量70,000~100,000のビニルブチラール-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体(Aldrich社製)と、平均粒径(D50)が0.9μmであるベーマイト粒子を固形分質量比で5:95となるように混合し、1-ブタノールを加えて固形分30%になるように調整した。その後、ビーズミルにて分散させることで多孔質絶縁層形成用組成物(溶媒:1-ブタノール)を作製した。その後、実施例1と同様に負極電極に塗工した。結果を表1に示す。
(実施例8)
実施例7において、1-ブタノールに代えて3-メトキシ-1-ブタノールを使用したこと以外は同様にして多孔質絶縁層形成用組成物を作製し、実施例1と同様に負極電極に塗工した。結果を表1に示す。
(実施例9)
実施例7において、1-ブタノールに代えて2-エチル-1-ヘキサノールを使用したこと以外は同様にして多孔質絶縁層形成用組成物を作製し、実施例1と同様に負極電極に塗工した。結果を表1に示す。
(実施例10)
結着剤8と平均粒径(D50)が0.9μmであるベーマイト粒子を固形分質量比で5:95となるように混合し、2-エチル-1-ヘキサノールを加えて固形分30%になるように調整した。その後、ビーズミルにて分散させることで多孔質絶縁層形成用組成物(溶媒:2-エチル-1-ヘキサノール)を作製した。その後、実施例1と同様に負極電極に塗工した。結果を表1に示す。
(実施例11)
実施例7において、1-ブタノールに代えて1-ヘキサノールを使用したこと以外は同様にして多孔質絶縁層形成用組成物を作製し、実施例1と同様に負極電極に塗工した。結果を表1に示す。
(実施例12)
実施例7において、1-ブタノールに代えて3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールを使用したこと以外は同様にして多孔質絶縁層形成用組成物を作製し、実施例1と同様に負極電極に塗工した。結果を表1に示す。
(実施例13)
結着剤9と平均粒径(D50)が0.9μmであるベーマイト粒子を固形分質量比で5:95となるように混合し、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールを加えて固形分30%になるように調整した。その後、ビーズミルにて分散させることで多孔質絶縁層形成用組成物(溶媒:3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール)を作製した。その後、実施例1と同様に負極電極に塗工した。結果を表1に示す。
(実施例14)
実施例7において、1-ブタノールに代えて1-ヘプタノールを使用したこと以外は同様にして多孔質絶縁層形成用組成物を作製し、実施例1と同様に負極電極に塗工した。結果を表1に示す。
(実施例15)
結着剤9と平均粒径(D50)が0.9μmであるベーマイト粒子を固形分質量比で5:45となるように混合し、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールを加えて固形分45%になるように調整した後、ビーズミルにて分散させてベーマイトの分散液を作製した。また、酸化高密度ポリエチレンワックスを3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール中に固形分15%となるように投入し、ホモジナイザーで撹拌後、ビーズミルによって分散させてポリオレフィン系粒子の分散液を別に作製した。前記のベーマイトの分散液とポリエチレンワックスの分散液を固形分質量比で50:50(結着剤9:ベーマイト粒子:酸化高密度ポリエチレンワックス=5:45:50)となるように混合し、プラネタリーミキサーで撹拌することにより多孔質絶縁層形成用組成物(溶媒:3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、固形分22.5%)を作製した。その後、実施例1と同様に負極電極に塗工した。結果を表1に示す。
(実施例16)
結着剤8と平均粒径(D50)が0.9μmであるベーマイト粒子を固形分質量比で5:45となるように混合し、2-エチル-1-ヘキサノールを加えて固形分45%になるように調整した後、ビーズミルにて分散させてベーマイトの分散液を作製した。また、酸化高密度ポリエチレンワックスを2-エチル-1-ヘキサノール中に固形分15%となるように投入し、ホモジナイザーで撹拌後、ビーズミルによって分散させてポリオレフィン系粒子の分散液を別に作製した。前記のベーマイトの分散液とポリエチレンワックスの分散液を固形分質量比で50:50(結着剤9:ベーマイト粒子:酸化高密度ポリエチレンワックス=5:45:50)となるように混合し、プラネタリーミキサーで撹拌することにより多孔質絶縁層形成用組成物(溶媒:2-エチル-1-ヘキサノール、固形分22.5%)を作製した。その後、実施例1と同様に負極電極に塗工した。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例3において結着剤1に代えてアクリル系ゴムのN-メチル-2-ピロリドン(N-methylpyrrolidone、NMP)溶液に変更して固形分30%の多孔質絶縁層形成用組成物(溶媒:NMP)を作製した。その後、実施例1と同様に負極電極に塗工した。結果を表1に示す。
なお、表中、「SBR」はスチレンブタジエンゴムを、「CMC」はカルボキシメチルセルロースを、「NVf」はN-ビニルホルムアミドを、「ACMO」はアクロイルモルフォリンを、「AA」はアクリル酸を、「MAA」はメタクリル酸を、「THFA」はアクリル酸テトラヒドロフラニルを、「2EHA」は2-エチルヘキシルアクリレート(アクリル酸-2-エチルヘキシル)を、「IBOA」はイソボルニルアクリレート(アクリル酸イソボルニル)を、「VA」はビニルアルコールを、「VB」は酪酸ビニル(ビニルブチラール)を、「VAc」は酢酸ビニルを、「AN」はアクリロニトリルを、それぞれ示す。
Figure 0007221592000007
表1に示すように、実施例1~16に係る多孔質絶縁層形成用組成物を用いて多孔質絶縁層を形成した場合、比較例1に係る多孔質絶縁層形成用組成物を用いた場合と比較して、活物質層の厚みの増大が抑制されていた。特に溶媒として水を含まない実施例3~16に係る多孔質絶縁層形成用組成物を用いた場合、活物質層の厚みの増大の抑制効果が大きかった。
さらに、実施例1~16においては、活物質とのHSP距離がいずれも5.0以上であったが、8.0以上であった実施例7~10および16に係る孔質絶縁層形成用組成物を用いて多孔質絶縁層を形成した場合、活物質層の厚みの増大がより一層抑制されていた。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
10 非水電解質二次電池
20 正極
21 正極集電体
22 正極活物質層
30 負極
31 負極集電体
32 負極活物質層
33 多孔質絶縁層
40 セパレータ層

Claims (13)

  1. 集電体の主面に配置された活物質層上に多孔質絶縁層を形成するための多孔質絶縁層形成用組成物であって、
    前記活物質層は、リチウムイオンを電気化学的に吸蔵および放出可能な活物質と、活物質層結着剤とを少なくとも含み、
    前記多孔質絶縁層形成用組成物は、有機溶媒を含む溶媒と、絶縁性無機粒子とを少なくとも含み、
    1atmにおける前記有機溶媒の沸点が130℃以上であり、
    前記活物質層結着剤のハンセン溶解度パラメータと前記有機溶媒のハンセン溶解度パラメータとの距離が8.0(MPa)1/2以上である、多孔質絶縁層形成用組成物。
  2. 前記活物質のハンセン溶解度パラメータと前記有機溶媒のハンセン溶解度パラメータとの距離が5.0(MPa)1/2以上である、請求項1に記載の多孔質絶縁層形成用組成物。
  3. 前記活物質のハンセン溶解度パラメータと前記有機溶媒のハンセン溶解度パラメータの距離が8.0(MPa)1/2以上である、請求項1または2に記載の多孔質絶縁層形成用組成物。
  4. 前記有機溶媒は、下記式(I)で表されるハンセン溶解度パラメータの距離Raが5.0(MPa)1/2以上である、請求項1に記載の多孔質絶縁層形成用組成物。
    Figure 0007221592000008
    (式中、δD(solvent)(MPa)1/2は前記有機溶媒の分散項を、δP(solvent)(MPa)1/2は前記有機溶媒の極性項を、δH(solvent)(MPa)1/2は前記有機溶媒の水素結合項を、それぞれ示す。)。
  5. さらに、結着剤を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の多孔質絶縁層形成用組成物。
  6. 前記溶媒が、水を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の多孔質絶縁層形成用組成物。
  7. 1atmにおける前記有機溶媒の沸点が160℃以上である、請求項1~6のいずれか一項に記載の多孔質絶縁層形成用組成物。
  8. 前記有機溶媒は、アルコール系化合物を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の多孔質絶縁層形成用組成物。
  9. 前記有機溶媒は、グリコールアルキルエーテル系化合物を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の多孔質絶縁層形成用組成物。
  10. さらに、ポリオレフィン系ポリマー粒子を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の多孔質絶縁層形成用組成物。
  11. 集電体と、
    前記集電体の主面に配置された活物質層と、
    請求項1~10のいずれか一項に記載の多孔質絶縁層形成用組成物によって前記活物質層上に形成された多孔質絶縁層と、を有し、
    前記活物質層は、リチウムイオンを電気化学的に吸蔵および放出可能な活物質と活物質層結着剤とを少なくとも含む、非水電解質二次電池用電極。
  12. 請求項11に記載の非水電解質二次電池用電極を含む、非水電解質二次電池。
  13. 集電体の主面に配置された活物質層上に、多孔質絶縁層形成用組成物を用いて多孔質絶縁層を形成する工程を有し、
    前記活物質層は、リチウムイオンを電気化学的に吸蔵および放出可能な活物質と活物質層結着剤とを少なくとも含み、
    前記多孔質絶縁層形成用組成物は、有機溶媒を含む溶媒と絶縁性無機粒子とを少なくとも含み、
    1atmにおける前記有機溶媒の沸点が130℃以上であり、
    前記活物質層結着剤のハンセン溶解度パラメータと前記有機溶媒のハンセン溶解度パラメータとの距離が8.0(MPa)1/2以上である、非水電解質二次電池用電極の製造方法。
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