JP7221060B2 - インクジェット記録装置およびインクジェット記録装置の制御方法 - Google Patents
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Description
インクの粘度制御を行うためにはインク粘度を把握する必要があり、例えば、特許文献1によれば、インク容器内のインクを印字ヘッドに供給するインク供給経路の途中に粘度測定器(粘度計)を配置し、インク容器内のインクのインク粘度を測定している。
しかし、インクジェット記録装置の稼働が停止されると、インク容器内のインクはインク供給回路に供給されなくなるため、粘度測定器を用いたインク粘度の制御はできなくなる。
そこで、本発明の目的は、稼動停止中においてインク容器内のインクのインク粘度が所定値になるように制御し、稼動開始直後に安定した稼動状態になるまでの時間を短縮できるインクジェット記録装置およびインクジェット記録装置の制御方法を提供することである。
まず、具体的な本発明の実施例を説明する前に、その理解を容易にするため本発明の基本的な考えを説明する。
本発明は、稼働停止中はインク容器内のインクが消費されないことに着目し、インク粘度の変動は専らインクに含まれている溶剤が揮発する量(溶剤揮発量)によるものであるという知見を利用する。すなわち、インク容器内のインクに含まれる溶剤の揮発量は、稼働停止の時間の長さに応じて多くなり、その分インク粘度は高くなる。そのため、溶剤揮発量を求め、その溶剤揮発量に見合う溶剤をインクタンクに補給することにより、インクの粘度を所定値に制御(例えば、稼働停止直後のインクの粘度に維持)できるとの考えを利用する。言い換えると、本発明は、溶剤揮発量を求めて、その求めた溶剤揮発量に見合って溶剤容器内の溶剤をインク容器に補給する制御を行うことにより、稼働停止中のインクの粘度を所定値に維持するものである。
次に、本発明の実施例1について図1~図4を用いて説明する。
図1は、実施例1のインクジェット記録装置の外観を示す斜視図である。図1に示すように、インクジェット記録装置400は、本体1に操作表示部3を備えている。また、外部に印字ヘッド2を備え、本体1と印字ヘッド2の間は導管4にて接続されている。
また、この実施例1では、本体1内に温度センサ48(温度検出器)を備えている。なお、温度センサ48は、印字ヘッド2内や導管4内、あるいは、本体外部に設けることでも良い。また、周囲温度ではなく、インク7Aの温度を直接検出しても良い。周囲温度(あるいはインク温度)の変動は、上述したように、主インク容器20内に保持されているインク7Aの時間あたりの溶剤揮発量に影響する。検出した周囲温度は、後述するように、溶剤揮発量を求める(演算する)ために利用される。この実施例では、本体1内の温度を検出している。
また、図1に示す実施例1では、本体1の内にバッテリー51を備えている。このバッテリー51は、後述する制御装置等を駆動するために設けられる。バッテリー51を本体内に搭載することにより、電源のコンセントがない場合でも稼働を可能にする。例えば、長期の稼働停止を行う場合に、インクジェット記録装置を電源のコンセントがない保管場所に移動したような場合でも、インク容器内のインクの粘度を所定値に制御することができるので便利である。52は電源ケーブルを示す。インクジェット記録装置を使用する際、外部から供給される電気を得るため、電源ケーブル52は外部端子(コンセント)と接続されている。電源ケーブル52が外部端子と接続された状態で稼動停止した場合、後述するインク粘度の制御(溶剤補給制御)は、電源ケーブル52から供給される電力を利用して実行される。また、電源ケーブル52が外部端子と接続されていない状態では、バッテリー51の電力を利用する。この実施例におけるバッテリー51は、電力の充電が可能なバッテリーが用いられる。そのため、装置稼働中などのように、電源ケーブル52が外部端子と接続された状態において、随時バッテリーを充電することができる。
次に、インクジェット記録装置の経路構成について図2を用いて説明する。図2は、インクジェット記録装置400の全体の経路構成を示す図である。
次に、インクジェット記録装置400の制御装置の機能について説明する。
図3はインクジェット記録装置の制御機能を示す制御装置のブロック図である。図3において、インクジェット記録装置400には、MPU(マイクロプロセッシングユニット)を備えた制御部300が備えられている。
制御部300は、装置を構成する各機器を制御する。すなわち、制御部300は、稼働時において、主インク容器20内のインク7Aをインク供給経路を介して印字ヘッド2に供給し、印字ヘッド2を制御して被印字対象に印字を行う制御を実行する。なお、稼働時におけるその他の制御内容はここでは省略する。
また、予定の印字作業が終了し、装置の稼働を停止した場合、制御部300は、主インク容器20内のインクの粘度を所定値に維持する制御を実施する。この稼働停止期間中におけるインク粘度制御については、後述する。記録部302には、インクジェット記録装置400を制御するためのプログラムが格納されており、制御部300はこのプログラムに基づいてインクジェット記録装置400を構成する各機器を制御するようになっている。また、制御部300は、計時機能(タイマー)を有しており、後述するように稼働停止後の時間や、稼働停止期間中において溶剤を補給した時点からの時間を計時する。
次に、稼動停止期間中のインク粘度の制御について説明する。図4は、実施例1におけるインク粘度の制御内容を示すフロー図である。実施例1では、温度センサ48が検出する温度と、直前に溶剤補給を行った時点から現在までの時間とを用いて溶剤揮発量を求め、この求めた溶剤揮発量に基づいて溶剤を主インク容器20に補充することにより、主インク容器20内のインク7Aのインク粘度を所定値に制御する。溶剤の補充は、電磁弁38を開き、ポンプ27を駆動して行う。
次にステップS102は最後(直前)に溶剤補給を行った時間から経過した時間を読み込んでいる状態を示す。
次にステップS103はインクジェット記録装置400に備えられている温度センサ48から周囲温度を検出している状態を示す。
次にステップS104では、はじめにステップS103で検知した温度と、記録部302(図3参照)に格納されている温度と時間当たりの溶剤揮発量データを照合する。照合し、導き出された時間当たりの溶剤揮発量データとステップS102で読み込んだ時間とを用いて、溶剤揮発量を算出する。このとき記録部302に揮発量データが格納されている場合算出した溶剤揮発量を合算する。
次に、ステップS105は、ステップS104で導いた溶剤揮発量が許容範囲であるかどうかを判断している状態を示す。許容範囲であった場合ステップS106に進み、許容範囲を超えていた場合ステップS108に進む。
次に、ステップS106は、ステップS104で算出した溶剤揮発量を記録部302に揮発量データとして格納している状態を示す。
次に、ステップS107では稼動停止時の濃度制御処理を終了している状態を示す。
次に、ステップS108は、溶剤容器22から主インク容器20に溶剤6を供給(補給)するシーケンスを実行している状態を示す。このときステップS104で算出した溶剤揮発量に応じて実行時間を変化させてもよい。なお、溶剤の補給(供給)量は、この実施例では求められた溶剤揮発量と同量の溶剤を補給する。しかし、必ずしもそのようにしなくても良い。すなわち、求められた溶剤揮発量に基づいてインク粘度が他の適切な値になるよう制御することもできる。
次に、ステップS109は、ステップS108で補給した溶剤量を用いて記録部302に格納されている溶剤揮発量データを調整し格納している状態を示す。
次に、ステップS110では、稼動停止期間中の粘度制御処理を終了している状態を示す。
以上説明したように、本発明の実施例1によれば、インクジェット記録装置400に備えられた温度センサ48の値と時間から溶剤揮発量を算出し、この溶剤揮発量に基づき主インク容器20に溶剤容器22の溶剤6を溶剤供給経路を利用して供給することによって稼動停止中でもインク粘度を所定値に保つことができる。
また、本実施例によれば、バッテリー51を備えているので、外部から電力の供給を受けることなく粘度制御処理100を行うことができる。
次に、本発明の実施例2について説明する。図5は、実施例2におけるインク粘度の制御内容を示すフロー図である。
実施例2は、稼働停止期間中におけるインク粘度の制御において、溶剤揮発量を求める方法が異なる。すなわち、実施例2では、溶剤揮発量を、稼働停止時点の主インク容器20内のインク7Aのインク量と、その後のインク量との差として求めるものである。したがって、実施例2の装置構成は、温度センサ48が設けられていないことを除いて、図1~図3の構成と同様の構成になる。
図5において、稼働停止状態になると、停止時インク粘度制御の処理が開始される。これが、ステップS201である。
ステップS202では、稼働停止時点における主インク容器20内のインク量を液面センサ46の検出値により検出し、この検出量を格納する。この場合、液面センサ46の液位そのものをインク量とみなすことで良い。
稼働停止時点あるいは最後の溶剤補給制御実施した時点から一定時間経したかどうかを確認する。これは、常時この粘度制御を行うと内蔵のバッテリーが消耗するため、一定時間毎にこの制御動作を起動するようにしているためである。ステップS203により、一定時間経過が確認できる(YESの場合)と、ステップS204に進む。
ステップS204では、その時点(現時点)におけるインク量(主インク容器内のインク量)を検出し、格納する。
次いで、ステップS205に進み、溶剤揮発量を演算する。現時点における溶剤揮発量は、ステップS202で格納した稼働停止時点のインク量から、現時点のインク量を差引くことにより求めることができる。
溶剤揮発量が求められると、ステップS206に進み、溶剤を補給する制御を実施する。具体的には、溶剤供給経路に設けた電磁弁38を開き、ポンプ27を駆動して、溶剤容器22内の溶剤を主インク容器20に補給する。この場合、溶剤揮発量に相当する溶剤を主インク容器20に供給すれば、稼働停止時のインク粘度に制御できる。しかし、溶剤は溶剤揮発量と同量の溶剤を補給せず、溶剤揮発量に基づき他の適切なインク粘度に制御するようにしても良い。ステップS206における溶剤補給制御が実施された後、ステップS207に進む。
ステップS207では、稼働停止状態が継続しているかどうかを判断する。稼働停止継続中(YESの場合)は、ステップS207に戻り、ステップS203~ステップS207の処理を継続する。
ステップS207において、稼働停止状態でなくなったと判断した場合(NOの場合)、ステップS208に進み、インク粘度制御が終了する。
この実施例2では、上記実施例1と同様の効果が得られる。さらに、実施例2では温度センサが不要であり、稼働時にインク量を制御するために設けられている液面センサをそのまま使用できるので、構成が簡単になる。また、実施例2では、直接インク量を求めて溶剤揮発量を演算しているので、実施例1のように温度毎に異なる単位時間当りの溶剤揮発量を予め求める必要がない。
Claims (7)
- 印字ヘッドと、インクを収容するインク容器と、前記インクを前記印字ヘッドに供給するインク供給経路と、溶剤を収容する溶剤容器と、前記溶剤を前記インク容器に補給する溶剤補給経路と、前記溶剤補給経路を制御して前記溶剤を前記インク容器に供給する制御部とを有するインクジェット記録装置であって、
前記制御部は、稼働停止期間中において、所定時間が経過する毎に、前記インク容器内の前記インクに含まれる溶剤揮発量を求め、今回演算された前記溶剤揮発量が一定値を超えているかどうか判断し、前記一定値を超えている場合には前記溶剤揮発量に基づいて前記溶剤を前記インク容器に供給し、前記一定値を超えていない場合には前記溶剤揮発量を記憶し、前記所定時間が経過した次回演算においては、前記記憶した前記溶剤揮発量を前記次回演算の前記溶剤揮発量に加算するインクジェット記録装置。 - 請求項1記載のインクジェット記録装置において、
前記制御部は、直前に前記溶剤を供給した時点からの時間を計時する計時装置と、前記インクの温度又は周辺の温度を検出する温度検出器とを備えており、前記溶剤揮発量は前記時間および前記温度から求めることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 請求項1記載のインクジェット記録装置において、前記制御部は、前記インク容器内のインク量を検出するインク量検出器を備えており、前記溶剤揮発量は稼働停止時の前記インク量および演算時点の前記インク量とから求めることを特徴とするインクジェット記録装置。
- 請求項1に記載のインクジェット記録装置において、装置本体内に、前記制御部を駆動する電源となるバッテリーを備えているインクジェット記録装置。
- 印字ヘッドと、インクを収容するインク容器と、前記インクを前記印字ヘッドに供給するインク供給経路と、溶剤を収容する溶剤容器と、前記溶剤を前記インク容器に補給する溶剤補給経路とを有するインクジェット記録装置の制御方法であって、
稼働停止期間中において、所定時間が経過する毎に、前記インク容器内の前記インクに含まれる溶剤揮発量を求め、今回演算された前記溶剤揮発量が一定値を超えているかどうか判断し、前記一定値を超えている場合には前記溶剤揮発量に基づいて前記溶剤を前記インク容器に供給し、前記一定値を超えていない場合には前記溶剤揮発量を記憶し、前記所定時間が経過した次回演算においては、前記記憶した前記溶剤揮発量を前記次回演算の前記溶剤揮発量に加算するインクジェット記録装置の制御方法。 - 請求項5記載のインクジェット記録装置の制御方法において、直前に前記溶剤を供給した時点からの時間と前記インクの温度又は周辺温度とを用いて前記溶剤揮発量を求めることを特徴とするインクジェット記録装置の制御方法。
- 請求項5記載のインクジェット記録装置の制御方法において、稼働停止時の前記インク容器内のインク量および演算時点の前記インク量とを用いて前記溶剤揮発量を求めることを特徴とするインクジェット記録装置の制御方法。
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