JP2007130897A - 液体噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本体側に記憶されている液体充填量情報と異なる液体充填量を収容した液体収容体を取り付けても、新品として適切な処理を実施させることができる液体噴射装置を提供する。
【解決手段】カートリッジがプリンタに初めて装填された場合はフラグがオン(セット)され(S10,S20)、カートリッジが新品であるか否かが判断される(S50)。カートリッジが新品であると判断する条件は、複数色のインクが充填されているカートリッジの場合、全色についてインク消費量が「0」、あるいは取付け回数が「0」であることである。プリンタ本体側に記憶された設定インクエンド値Zと異なるインクエンド値Zoのインクが充填されたカートリッジが取り付けられても、取付け回数が「0」であれば新品と判断される。
【選択図】図8
【解決手段】カートリッジがプリンタに初めて装填された場合はフラグがオン(セット)され(S10,S20)、カートリッジが新品であるか否かが判断される(S50)。カートリッジが新品であると判断する条件は、複数色のインクが充填されているカートリッジの場合、全色についてインク消費量が「0」、あるいは取付け回数が「0」であることである。プリンタ本体側に記憶された設定インクエンド値Zと異なるインクエンド値Zoのインクが充填されたカートリッジが取り付けられても、取付け回数が「0」であれば新品と判断される。
【選択図】図8
Description
本発明は、未使用の新品の液体収容体(例えばカートリッジ)が取り付けられたことを認識して所定の処理を行う液体噴射装置に関する。
この種の液体噴射装置として、インクジェット式プリンタ(以下、「プリンタ」という)が知られている。プリンタは、インクカートリッジ(以下、「カートリッジ」という)が着脱可能に装填できるように構成され、装填されたカートリッジから供給されるインクを印刷ヘッドから噴射(吐出)することにより印刷が行われる。
例えば特許文献1には、カートリッジに電気的に書替え可能な半導体記憶手段(不揮発性メモリ)を付帯し、カートリッジ側の半導体記憶手段からインク消費量情報(インク使用量)を読み取って、本体側の記憶手段から読み取ったインク消費量(インク使用量)と比較して両者が一致しなければカートリッジが交換されたと認識する判定が行われるようになっていた。また、識別データ(シリアルNo.)が同じカートリッジであっても、インク消費量が異なる場合は、カートリッジ側の半導体記憶手段に記憶されたインク消費量を読み込んで本体側の記憶手段のインク消費量を更新する処理が行われる。このため、装着されているカートリッジのインク消費量が正確に分かるので、例えばインク残量がインクエンドになればその旨を適切に表示できるようになっていた。また、インク消費量からインク残量を計算してインク使用可能量(インクエンド値)との割合でホストコンピュータの画面等の表示部にインク残率情報を表示させるようになっている。
ところで、新品のカートリッジが装填される際は、カートリッジの供給口にヘッドの供給針が差し込まれる際に供給口を覆っているフィルムを破るときにエアを巻き込むため、新品のカートリッジが装着されたときには印刷ヘッドのノズル開口からインクを所定量強制吸引する交換クリーニング(交換シーケンス)が実施され、この種の混入エアを除去するようにしている。しかし、一度取り外したカートリッジを再装着するときにはすでに供給口のフィルムが破れているため、エアの巻き込みがなく、交換クリーニングを必要としない。そこで、従来、カートリッジ側の半導体記憶手段にはインク消費量情報が記憶されており、カートリッジ側に記憶されたインク消費量情報と本体側の記憶手段に記憶されたインク消費量情報を比較して異なる場合だけでなく、インク消費量が「0」である場合に装填されているカートリッジが新品であると判定して交換クリーニングをするようになっていた。
特開2001−71469号公報
ところで、カートリッジのインク充填量は、プリンタの使われ方(印刷頻度、印刷モード、印刷枚数等)や、クリーニングシーケンス内容(クリーニング頻度やインク吸引量等)などの想定される使用条件から適切な量に決められる。プリンタの量産開始前の製造開発段階で、その機種にとっての適合カートリッジのインク充填量は決められており、そのインク充填量データがプリンタのファームウェア、さらにはホストコンピュータにインストールされるドライバプログラムに組み込まれるなどされる。よって、例えば製品量産開始間際に、印刷モードや印刷処理内容(クリーニングシーケンス等含む)などに変更があると、その変更に応じた適切なインク充填量にするようにカートリッジも変更を余儀なくされる。そして、インク充填量を減らす場合、カートリッジ側のインク消費量情報は可変のため、減らした分をインク消費量として予め加算することで対応できる。しかし、そのためインク充填量を減らした場合、そのカートリッジが新品であってもインク消費量がすでに加算されているので、プリンタ本体側は新品と認識せず使い古されたカートリッジと認識してしまうことになっていた。このため、新品のカートリッジに交換されたときに実行される交換クリーニング等の交換シーケンスが実行されなくなるという問題があった。
また、印刷実行時やインク残量確認を行うときは、ホストコンピュータの画面上でインク残率表示(インク消費量/インク使用可能量(インクエンド値)×100)が行われる。本体側の記憶手段にはインク残率を計算するためにインクエンド値を固定値で記憶しているが、量産間際ではこの値を変更することができない。しかし、カートリッジ側のインク充填量を減らしたものである場合は、新品のカートリッジであってもインク消費量は加算されているため、インク残量は少なくなっており、インク残量表示が、インクが既に消費されたときのようにインク残量が100%未満の値に表示されてしまうという問題があった。
なお、インク充填量を減らしてもインク消費量情報を変えない場合は、実際にインクエンドになってもインクが残っていると本体は認識するため、インクを吐出できなくなる問題がある。
このように、プリンタ本体側に記憶されている液体充填量情報と異なる液体充填量を収容したカートリッジを取り付けた場合、新品と認識されず新品で実施されるべき交換クリーニング等の所定の処理が行われなかったり、新品であるにもかかわらず液体残量が適切に表示されなかったりする問題があった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、本体側に記憶されている液体充填量情報と異なる液体充填量を収容した液体収容体を取り付けても、新品として適切な処理を実施させることができる液体噴射装置を提供することにある。
本発明は、液体を噴射する液体噴射手段を有するとともに該液体噴射手段に液体を供給する液体収容体が着脱可能に取り付けられる液体噴射装置であって、液体噴射装置の本体側に設けられた記憶手段であって当該本体側に取り付けられるべき液体収容体の液体充填量に関する第1液体充填量情報を記憶する第1記憶手段と、前記液体収容体に設けられた記憶手段であって該液体収容体の液体充填量に関する第2液体充填量情報と該液体収容体が前記本体側に取り付けられた取付け履歴情報とを記憶する第2記憶手段と、前記液体収容体が液体噴射装置の本体側に取り付けられた状態において前記第2記憶手段から情報を読み取る情報取得手段と、前記第2記憶手段から読み取った第2液体充填量情報から定まる液体充填量と前記第1記憶手段から読み取った第1液体充填量情報から定まる液体充填量との差分に相当する液量を前記液体収容体の消費量に含める液体消費量を取得する消費量取得手段と、前記液体消費量が液体の消費されていないときの値をとるか又は前記取付け履歴情報が初めて取り付けられたときの値をとる場合は、前記液体収容体が未使用の新品であると判定する判定手段とを備えたことを要旨とする。
ここで、「第2液体充填量情報」とは、液体収容体に収容されている実際の液体充填量を反映している情報であって、その情報を使って、第1液体充填量情報から定まる液体充填量と第2液体充填量情報から定まる液体充填量との差分である液量を消費量に含める液体消費量を、第1液体充填量情報と共に用いられることで演算等の手法により取得できる情報であれば足りる。例えば液体充填量そのものの値を示すデータや、液体充填量と相関関係にあるデータ(例えばインクエンド値等)が挙げられる。もちろん第2液体充填量情報は、一つの情報からなるものに限らず、複数の情報から構成されていてもよい。さらにその情報(複数情報含む)単独で液体充填量が定まる必要はなく、第2液体充填量情報と一緒に用いられることで液体充填量が定まってもよく(例えば相対値)、さらには液体消費量を取得できるのであれば、液体充填量が定まる必要もない。また、第2液体充填量情報は、第1液体充填量情報と同種のデータ等である必要はなく、第1液体充填量情報と異種のデータ等の組み合わせて用いられても構わない。また、「第1液体充填量情報」についても同様であり、液体噴射装置の本体側に取り付けられるべき液体収容体の液体充填量を反映している情報であって、その情報を使って、第1液体充填量情報から定まる液体充填量と第2液体充填量情報から定まる液体充填量との差分である液量を消費量に含める液体消費量を、第2液体充填量情報と共に用いられることで算出できる情報であれば足りる。その他は第1液体充填量情報に同じである。
また、「取付け履歴情報」とは、液体収容体が本体側に過去に取り付けられたことの有無を判定できる情報であればよく、例えば取付け回数、過去の取付けの有無情報などが挙げられる。さらに、ここでいう「液体消費量」とは、液体が消費された分量そのものを指す量(値)に限らず、液体が消費された分量を直接又は間接的に示す量(値)であれば足り、例えば液体が消費された残りの分量を示す液体残量もここでいう液体消費量に含められ、さらに液体充填量に対する割合、比などの相対値として表される値も含む。以下の発明においても同様である。
これによれば、液体収容体が液体噴射装置の本体側に取り付けられた状態では、情報取得手段により液体収容体側の第2記憶手段から読み取った第2液体充填量情報から定まる液体充填量と、本体側の第1記憶手段から読み取った第1液体充填量情報から定まる液体充填量との差分に相当する液量を消費量に含める液体収容体の液体消費量が、消費量取得手段により取得される。例えば液体収容体が未使用の新品であっても、本体側に取付けられるべき液体収容体の液体充填量と異なる液体充填量の液体が充填された液体収容体を本体側に取付けた場合は、第1液体充填量情報から定まる液体充填量と第2液体充填量情報から定まる液体充填量とが異なることになるため、既に液体が消費された使用済みの値として液体消費量が取得される。しかし、取付け履歴情報は初めて取り付けられたときの値となっている。このため、判定手段は、液体消費量が液体の消費されていないときの値ではないが、取付け履歴情報が初めて取り付けられたときの値であることから、この液体収容体を未使用の新品であると判定する。このため、例えば第1記憶手段に既に第1液体充填量情報が記憶された液体噴射装置の本体に対して、第1液体充填量情報から定まる液体充填量と異なる液体充填量の液体収容体を取り付けても、その液体収容体を新品と判定できることから、新品の液体収容体に対して行う所定の処理を実施させることが可能となる。新品の液体収容体に対して行う所定の処理としては、新品の液体収容体が取り付けられたときに該液体収容体から液体を排出させる液体排出処理が挙げられる。液体排出処理としては、新品の液体収容体に交換したときに液体中に混入したエア等の除去等の目的で液体噴射の実施に先立って予め所定量の液体を排出させる交換排出処理などが挙げられる。もちろん、所定の処理は、液体排出処理以外のその他の処理であってもよく、例えば新品の液体収容体が取り付けられた回数を計数する計数処理など、取付け履歴情報の更新処理であってもよい。
また、本発明の液体噴射装置では、前記液体収容体は複数種の液体を複数の収容室に別々に収容するものであって、前記第2記憶手段には前記複数種の液体毎に第2液体充填量情報が記憶されており、前記消費量取得手段は前記液体毎に液体消費量を求め、
前記判定手段は、複数種の液体すべてについて液体消費量が液体の消費されていないときの値をとるか又は前記取付け履歴情報が初めて取り付けられたときの値をとる場合は、前記液体収容体が未使用の新品であると判定することが好ましい。
前記判定手段は、複数種の液体すべてについて液体消費量が液体の消費されていないときの値をとるか又は前記取付け履歴情報が初めて取り付けられたときの値をとる場合は、前記液体収容体が未使用の新品であると判定することが好ましい。
これによれば、液体収容体に収容されている複数種の液体が、それぞれの第1液体充填量情報から定まる液体充填量と異なる液体充填量でそれぞれ充填されていても、取り付け履歴情報が初めて取り付けられたときの値をとることから、液体収容体が新品であることを適切に判定することができる。また、複数種の液体すべてについて液体消費量が液体の消費されていないときの値をとるときは、液体収容体が新品であることを適切に判定することができる。
また、本発明の液体噴射装置では、前記判定手段により液体収容体が未使用の新品と判定されると、該液体収容体から所定量の液体を排出させる初期排出処理を行う液体排出手段をさらに備えたことが好ましい。
これによれば、新品の液体収容体を本体側に取り付けると、液体排出手段により液体収容体から所定量の液体を排出させる初期排出処理が行われる。初期排出処理として例えば交換排出処理が実施されれば、例えば新品の液体収容体を交換のために本体側に連結させる際に混入した混入エアを除去することができる。
また、本発明の液体噴射装置では、前記液体消費量のデータを用いて前記液体収容体の液体残量を演算する演算手段をさらに備え、前記演算手段は、前記液体消費量を変数とする所定の計算式に基づいて前記液体消費量から前記液体収容体の液体残量を演算する残量演算手段と、前記計算式に含まれる補正定数であって前記液体消費量の値が前記差分に相当する液量の値に達するまでは前記計算式に基づく計算結果である液体残量が満充填時の値に演算されるように前記計算式を補正する当該補正定数を前記差分に相当するオフセット値に応じて変化する値として求める補正手段とを備えたことが好ましい。なお、ここでいう「液体消費量」とは、前述のように、液体を消費した量を直接又は間接的に示される値であればよくその中には液体残量も含まれるが、液体消費量として液体残量を用いた場合の液体残量と、演算手段が演算の結果求めた液体残量とは、変数と計算結果の関係にあり、両者は異なるものである。
これによれば、演算手段を構成する残量演算手段は、消費量取得手段により取得された液体消費量を所定の計算式の変数に格納するなどして、該液体消費量から、前記計算式に基づいて液体収容体の液体残量を演算する。この演算に先立ち、補正手段は、前記計算式に含まれる補正定数を求める。液体消費量の値が液体収容体側の液体充填量と本体側の液体充填量との差分に相当する液量の値に達するまでは前記計算式に基づく計算結果である液体残量が満充填時の値に演算されるように前記計算式を補正する補正定数を求め、該補正定数を含む前記計算式によって、残量演算手段により液体残量を求める演算が行われる。このため、液体消費量が前記差分に相当する液量の値に達するまでは、液体残量が満充填時の値に求められる。また、補正定数は、前記差分に相当するオフセット値に応じて変化する値として求められるので、液体収容体の液体充填量を少なくした分量(差分)に応じて適切な補正定数を求めることができる。よって、第1液体充填量情報から定まる液体充填量より少なめの液体しか充填されていない新品の液体収容体を本体側に取り付けた場合においても、液体残量を満充填時の値に求めることができる。このように液体残量を適切な値として求めることができるため、液体噴射装置の出荷後に液体収容体の液体充填量を変更したり、液体充填量の異なる液体収容体を液体噴射装置の本体側に取り付けたりすることが許容されるようになる。
本発明は、液体を噴射する液体噴射手段を有するとともに該液体噴射手段に液体を供給する液体収容体が着脱可能に取り付けられる液体噴射装置であって、液体噴射装置の本体側に設けられた記憶手段であって当該本体側に取り付けられるべき液体収容体の液体充填量に関する第1液体充填量情報を記憶する第1記憶手段と、前記液体収容体に設けられた記憶手段であって該液体収容体の液体充填量に関する第2液体充填量情報を記憶する第2記憶手段と、前記液体収容体が液体噴射装置の本体側に取り付けられた状態において前記第2記憶手段から情報を読み取る情報取得手段と、前記第2記憶手段から読み取った第2液体充填量情報から定まる液体充填量と前記第1記憶手段から読み取った第1液体充填量情報から定まる液体充填量との差分に相当する液量を前記液体収容体の消費量に含める液体消費量を取得する消費量取得手段と、前記液体収容体が未使用の新品であるか否かを判定する判定手段と、前記液体消費量のデータを用いて前記液体収容体の液体残量を演算する演算手段とを備え、前記演算手段は、前記液体消費量を変数とする所定の計算式に基づいて液体残量を演算し、前記計算式は、前記液体消費量を変数とする所定の計算式に基づいて前記液体消費量から前記液体収容体の液体残量を演算する残量演算手段と、前記計算式に含まれる補正定数であって前記液体消費量の値が前記差分に相当する液量の値に達するまでは前記計算式に基づく計算結果である液体残量が満充填時の値に演算されるように前記計算式を補正する当該補正定数を前記差分に相当するオフセット値に応じて変化する値として求める補正手段とを備えたことを要旨とする。
これによれば、演算手段を構成する残量演算手段は、液体消費量から、液体消費量を変数とする所定の計算式に基づいて液体収容体の液体残量を演算する。この演算に先立ち、補正手段は、前記計算式に含まれる補正定数を求める。液体消費量の値が液体収容体側の液体充填量と本体側の液体充填量との差分に相当する液量の値に達するまでは前記計算式に基づく計算結果である液体残量が満充填時の値に演算されるように前記計算式を補正する補正定数を求め、該補正定数を含む前記計算式によって、残量演算手段により液体残量を求める演算が行われる。このため、液体消費量が前記差分に相当する液量の値に達するまでは、液体残量が満充填時の値に求められる。また、補正定数は、前記差分に相当するオフセット値に応じて変化する値として求められるので、液体収容体の液体充填量を少なくした分量(差分)に応じて適切な補正定数を求めることができる。よって、第1液体充填量情報から定まる液体充填量より少なめの液体しか充填されていない新品の液体収容体を本体側に取り付けた場合においても、液体残量を満充填時の値に求めることができる。このように液体残量を適切な値として求めることができるため、液体噴射装置の出荷後に液体収容体の液体充填量を変更したり、液体充填量の異なる液体収容体を液体噴射装置の本体側に取り付けたりすることが許容されるようになる。
また、本発明の液体噴射装置では、前記液体収容体が未使用の新品であるか否かを判定する判定手段をさらに備え、前記補正手段は、前記判定手段により新品と判定された前記液体収容体の前記第2記憶手段から読み取られた前記第2液体充填量情報から定まる液体充填量と前記第1液体充填量情報から定まる液体充填量との差分に相当するオフセット値を求め、該オフセット値に応じて変化する値として前記補正定数を求めることが好ましい。
これによれば、新品と判定された液体収容体の第2記憶手段から読み取られた第2液体充填量情報を用いて定まる前記差分の液量に相当するオフセット値に応じた補正定数が設定されるので、液体収容体の液体充填量が本体側に設定された液体充填量に対してどのような量に変更されていても、その液体収容体を新品で取り付けたときは最初の液体残量がその満充填時の値として求められる。
また、本発明の液体噴射装置では、前記液体収容体は複数種の液体を複数の収容室に別々に収容するものであって、前記第2記憶手段は前記液体毎の第2液体充填量情報が記憶される記憶領域を有し、前記消費量取得手段は前記液体毎に液体消費量を求め、前記演算手段は、前記補正手段により前記液体毎に前記補正定数を求めるとともに、前記残量演算手段により前記液体毎の液体消費量から前記液体毎の前記補正定数を含む前記計算式に基づき前記液体毎の前記液体残量をそれぞれ演算することが好ましい。
これによれば、液体毎に液体消費量が求められ、それぞれの液体消費量から液体毎の補正定数を含む計算式に基づき液体毎の液体残量がそれぞれ演算される。このため、液体収容体の液体充填量を液体毎に個々に変更することが可能となる。
また、本発明の液体噴射装置では、前記本体側に取り付けられた前記液体収容体が前記判定手段により新品と判定されると、前記液体噴射手段による液体噴射処理の実施前に予め前記液体収容体から所定量の液体を排出する初期排出処理を実施する液体排出手段をさらに備え、前記補正手段は、前記初期排出処理で消費される初期排出量の値を求め、前記液体消費量の値が前記差分と前記初期排出量の和に相当する値に達するまでは前記計算式に基づく計算結果である液体残量が満充填時の値に演算されうる前記補正定数を前記オフセット値と前記初期排出量の各値に応じて変化する値として求めることが好ましい。
これによれば、本体側に取り付けられた液体収容体が新品と判定されると、液体排出手段により液体収容体から所定量の液体を排出させる初期排出処理が行われる。この初期排出処理の終了後においては、初期排出量の分が液体消費量として加えられることになる。この状態で演算手段により液体残量が演算される場合、補正手段により求められた補正定数が計算式に適用されることにより、液体消費量が、差分(本体側に設定された液体充填量と液体収容体の液体充填量の差分)と初期排出量の和に相当する値に達するまでは、計算式に基づく計算結果である液体残量が満充填時の値に演算される。また、補正定数は、オフセット値と初期排出量の各値に応じて変化する値として求められるので、液体収容体の液体充填量を少なくした分量(差分)と初期排出量に応じた適切な補正定数を求めることができる。このため、液体収容体の液体充填量が本体側に設定された液体充填量に対してどのような量に減らされ、液体排出処理でどのような量の液体が排出されても、その液体収容体を新品で取り付けたときは液体排出処理の終了後において、最初の液体残量がその満充填時の値として求められ、満充填時の値を下回ることを回避できる。
また、本発明の液体噴射装置では、前記本体側に取り付けられた前記液体収容体が前記本体にとって初めて取り付けられた初回品であるか否かを判定する初回判定手段と、前記本体側に取り付けられた前記液体収容体が初回品と判定されると、前記液体噴射手段の噴射口に至るまでの流路に液体を充填する初期充填処理を実施する初期充填手段とをさらに備え、前記補正手段は、前記初期充填処理で消費される初期充填量の値を求め、前記液体消費量の値が前記差分と前記初期充填量の和に相当する値に達するまでは前記計算式に基づく計算結果である液体残量が満充填時の値に演算されうる前記補正定数を前記オフセット値と前記初期充填量の各値に応じて変化する値として求めることが好ましい。
これによれば、新品の液体収容体が本体側に初めて取り付けられた初回品と判定された際は、初期充填手段により初期充填処理が実施され、液体収容体から液体噴射手段の噴射口に至るまでの流路に液体が充填される。この初期充填処理の終了後においては、初期充填量が液体消費量として加えられることになる。この状態で演算手段により液体残量が演算される場合、補正手段により求められた補正定数が計算式に適用されることにより、液体消費量が、差分(本体側に設定された液体充填量と液体収容体の液体充填量の差分)と初期充填量の和に相当する値に達するまでは、計算式に基づく計算結果である液体残量が満充填時の値に演算される。また、補正定数は、オフセット値と初期充填量の各値に応じて変化する値として求められるので、液体収容体の液体充填量を少なくした分量(差分)と初期充填量に応じた適切な補正定数を求めることができる。このため、液体収容体の液体充填量が本体側に設定された液体充填量に対してどのような量に減らされ、初期充填処理でどのような量の液体が排出されても、その液体収容体を新品で取り付けたときは初期充填処理の終了後において、最初の液体残量がその満充填時の値として求められ、満充填時の値を下回ることを回避できる。
また、本発明の液体噴射装置では、前記判定手段は、前記本体側に取り付けられた前記液体収容体が交換された新品であるか否かを判定し、前記本体側に取り付けられた前記液体収容体が交換された新品と判定されると、前記液体噴射手段による液体噴射処理の実施前に予め所定量の液体を排出させる交換排出処理を実施する交換排出手段をさらに備え、前記補正手段は、前記交換排出処理で消費される液体排出量の値を求め、前記液体消費量の値が前記差分と前記液体排出量の和に相当する値に達するまでは前記計算式に基づく計算結果である液体残量が満充填時の値に演算されうる前記補正定数を前記オフセット値と前記液体排出量の各値に応じて変化する値として求めることが好ましい。
これによれば、本体側に取り付けられている液体収容体が交換された新品であると判断された際は、例えば交換時の連結時に液体中に混入した虞のあるエアの除去等の目的で、交換排出手段により交換排出処理が実施され、液体収容体から所定量(液体排出量)の液体が排出される。この交換排出処理の終了後においては、交換排出処理で排出された液体排出量分が液体消費量として加えられることになる。この状態で演算手段により液体残量が演算される場合、補正手段により求められた補正定数が計算式に適用されることにより、液体消費量が、差分(本体側に設定された液体充填量と液体収容体の液体充填量の差分)と液体排出量の和に相当する値に達するまでは、計算式に基づく計算結果である液体残量が満充填時の値に演算される。また、補正定数は、オフセット値と液体排出量の各値に応じて変化する値として求められるので、液体収容体の液体充填量を少なくした分量(差分)と液体排出量に応じた適切な補正定数を求めることができる。このため、液体収容体の液体充填量が本体側に設定された液体充填量に対してどのような量に減らされ、交換排出処理でどのような量の液体が排出されても、その液体収容体を新品で取り付けたときは交換排出処理の終了後において、最初の液体残量がその満充填時の値として求められ、満充填時の値を下回ることを回避できる。
また、本発明の液体噴射装置では、前記演算手段は、前記残量演算手段が前記液体消費量から前記計算式に基づき演算した前記液体残量がその最大値を超える値をとる場合は、当該液体残量の値を最大値に置き換えることが好ましい。
これによれば、残量演算手段が計算式に基づき計算して求めた液体残量が最大値を超えた場合でも、液体残量を最大値として得ることができる。
また、本発明の液体噴射装置では、前記残量演算手段は、前記液体消費量が所定値に達するまで用いられる前記計算式である第1計算式と、前記液体消費量が所定値を超えた範囲で用いられる第2計算式とを切り替えて使用するように構成され、前記第2計算式は、前記液体消費量が前記所定値のときに前記第1計算式に基づく計算結果と前記第2計算式に基づく計算結果とが略等しい値をとるとともに前記液体消費量が液体エンドの値に達したときに前記第2計算式に基づく計算結果である液体残量が液体の空になったときの値に演算される計算式であることが好ましい。
また、本発明の液体噴射装置では、前記残量演算手段は、前記液体消費量が所定値に達するまで用いられる前記計算式である第1計算式と、前記液体消費量が所定値を超えた範囲で用いられる第2計算式とを切り替えて使用するように構成され、前記第2計算式は、前記液体消費量が前記所定値のときに前記第1計算式に基づく計算結果と前記第2計算式に基づく計算結果とが略等しい値をとるとともに前記液体消費量が液体エンドの値に達したときに前記第2計算式に基づく計算結果である液体残量が液体の空になったときの値に演算される計算式であることが好ましい。
これによれば、液体消費量が所定値に達するまでは、液体消費量から第1計算式に基づき液体残量が算出され求、液体消費量が所定値を超える範囲では、液体消費量から第2計算式に基づき液体残量が算出される。液体消費量の所定値における第1計算式の計算結果と第2計算式の計算結果が略等しいことから、第1計算式から第2計算式に切り替わる前後において液体残量の値の連続性が維持される。このため、使用される計算式が切り替わった際に、液体充填量が増えたり急減したりする不自然な値の動きを回避できる。また、液体消費量が液体エンドに達したときには、第2計算式に基づく演算の結果、液体残量は液体収容体が空になったときの値に正しく算出される。この結果、液体が空に近づいた領域では正確な液体残量を知ることができるので、液体噴射処理の途中で液体が空にならないように早めに液体収容体を交換したり、早めに交換用の液体収容体を用意したりするなどの準備を適切に行うことができる。
また、本発明の液体噴射装置では、前記第2計算式は、前記液体消費量を変数にもち補正定数を含まない計算式であることが好ましい。
これによれば、液体消費量が所定値に達した以降は、補正されていない実際の残量と近似の液体残量が求められる。このため、液体残量を正しく把握できるので、液体噴射処理の途中で液体が空になる事態を未然に防いだり、事前に液体収容体を新品のものと交換するなどの準備をしたりすることができる。
これによれば、液体消費量が所定値に達した以降は、補正されていない実際の残量と近似の液体残量が求められる。このため、液体残量を正しく把握できるので、液体噴射処理の途中で液体が空になる事態を未然に防いだり、事前に液体収容体を新品のものと交換するなどの準備をしたりすることができる。
また、本発明の液体噴射装置では、前記第1計算式は、前記変数と前記補正定数を含むとともに前記液体消費量が前記補正定数に等しい値になったときに液体残量の最大値に略等しい値をとる変数項と、該変数項との和で表された正の定数項とを有することが好ましい。
これによれば、例えば液体充填量の少ない新品の液体収容体を取り付けたときに、液体充填量の差分あるいは液体排出量などが液体の消費量とみなされて、液体噴射処理の未実施の状態であるにもかかわらず液体消費量が補正定数に等しい値をとったとする。このとき、液体残量の演算に際して、第1計算式を構成する変数項の値が液体残量の最大値に略等しくなり、定数項が正の値をとるので、液体残量はその最大値より定数項の値分だけ大きな値として得られる。このため、液体噴射処理の未実施の状態において既に消費されたとみなされる液量の値が補正定数の値に対して多少ばらついても、液体残量を満充填時の値として得ることができる。
また、本発明の液体噴射装置では、前記第1計算式は、前記変数と前記補正定数を含むとともに前記液体消費量が前記所定値のときに零の値をとる変数項と、該変数項との和で表された正の定数項とを有し、前記第2計算式は、前記液体消費量が前記所定値のときに前記定数項の値に略等しいことが好ましい。
これによれば、液体消費量が所定値のときに変数項が零となり、定数項が正の値をとる。第2計算式は、液体消費量が所定値のときに定数項の値に等しいことから、液体消費量が所定値の前後で第1計算式から第2計算式に切り替わるときに液体残量の値の連続性が維持される。つまり、補正定数の値に応じて液体消費量に対する液体残量の変化率(傾き)が変更されるが、補正定数の値よらず(つまり液体収容体における液体充填量の変更分(差分)あるいは初期排出量の値によらず)、液体消費量が所定値に達したときの液体残量が1つの値に収束する。そして、この収束点から空の値になるまで共通の一定の変化率で液体残量が減少することになる。
また、本発明の液体噴射装置では、前記液体噴射装置の本体と通信可能に接続されるホストコンピュータが有する表示装置の画面に液体残量を表示させるために、前記演算手段が演算した液体残量のデータを、該ホストコンピュータに送信する送信手段を有することが好ましい。
これによれば、演算手段が演算した液体残量のデータが送信手段によりホストコンピュータに送信され、ホストコンピュータの表示装置の画面に液体残量が表示される。このため、ホストコンピュータで液滴噴射処理の指令などのため操作を行うユーザに液体残量を表示によって知らせることができる。
以下、本発明を液体噴射装置としてのインクジェット式プリンタに適用した一実施形態を、図1〜図10に従って説明する。
図1は、プリンタの全体構成を示す。図1に示すように、プリンタ10は、本体11内に架設されたガイド軸12に沿って主走査方向Xに往復移動可能なキャリッジ13を備える。キャリッジ13は、ガイド軸12に沿って張設されるとともにキャリッジモータ14が正逆転駆動されることにより正逆回転可能な無端状のタイミングベルト15の一部に固定され、キャリッジモータ14が正逆転駆動されることにより主走査方向Xに沿って往復移動する。キャリッジ13の下部には液体としてのインクを噴射(吐出)する印刷ヘッド16が搭載されている。印刷ヘッド16にインクを供給するインクカートリッジ(以下、「カートリッジ17」という)は、プリンタ10に交換可能に装填された状態でキャリッジ13に直接又は管路(チューブ)を介して接続されている。カートリッジ17については後述するが、キャリッジ13に装填されるいわゆるキャリッジオンタイプと、本体11の収容部に装填されるいわゆるオフキャリッジタイプのうちいずれかの装填方式をとる。
図1は、プリンタの全体構成を示す。図1に示すように、プリンタ10は、本体11内に架設されたガイド軸12に沿って主走査方向Xに往復移動可能なキャリッジ13を備える。キャリッジ13は、ガイド軸12に沿って張設されるとともにキャリッジモータ14が正逆転駆動されることにより正逆回転可能な無端状のタイミングベルト15の一部に固定され、キャリッジモータ14が正逆転駆動されることにより主走査方向Xに沿って往復移動する。キャリッジ13の下部には液体としてのインクを噴射(吐出)する印刷ヘッド16が搭載されている。印刷ヘッド16にインクを供給するインクカートリッジ(以下、「カートリッジ17」という)は、プリンタ10に交換可能に装填された状態でキャリッジ13に直接又は管路(チューブ)を介して接続されている。カートリッジ17については後述するが、キャリッジ13に装填されるいわゆるキャリッジオンタイプと、本体11の収容部に装填されるいわゆるオフキャリッジタイプのうちいずれかの装填方式をとる。
本体11内において印刷ヘッド16の下方位置には、印刷ヘッド16と印刷用紙18とのギャップを規定するプラテン19が配置されている。また、本体11内には、印刷用紙18を搬送するための一対の搬送ローラ20,21と、駆動用の搬送ローラ20を回転駆動させる紙送りモータ22とが設けられ、印刷時は紙送りモータ22が駆動されて搬送ローラ20が回転駆動することにより印刷用紙18は両搬送ローラ20,21に挟持された状態で紙送りされる。なお、紙送りモータ22により、図示しない給紙ローラ及び排紙ローラも回転駆動されるようになっており、印刷用紙18の給紙・紙送り・排紙の動作が共通の紙送りモータ22の駆動により行われる。印刷ヘッド16のノズルからインク滴を噴射(吐出)しながら行われるキャリッジ13の1走査と、印刷用紙18の所定量の紙送り動作が交互に繰り返し実施されることにより、印刷用紙18への印刷は進められる。
キャリッジ13の移動経路上の一端(同図では右端)位置が印刷休止中にキャリッジ13が待機するホームポジションとなっており、ホームポジションに位置するキャリッジ13の下方に相当する位置には、印刷ヘッド16のクリーニング等を行うメンテナンス装置25が配置されている。メンテナンス装置25は、印刷ヘッド16においてインク滴が噴射されるノズル開口が形成されているノズル形成面16aを封止するためのキャップ26、ノズル形成面16aを払拭するためのワイパ27及びノズル開口から印刷ヘッド16内の増粘したインクなどを強制吸引するための負圧をキャップ26の内側に導入するポンプ28(吸引ポンプ)(図4参照)を備えている。プラテン19の下側にはポンプ28により吸引された廃インクが排出される廃液タンク29が配置されている。
図2はオフキャリッジタイプのカートリッジ及びカートリッジホルダを示す。また、図3はオンキャリッジタイプのカートリッジを示し、(a)は1色インク収容タイプ、(b)は複数色インク収容タイプをそれぞれ示す。
図2に示すオフキャリッジタイプのカートリッジ31は、略四角板状のケース32内に、例えばシアン、マゼンタ、イエロ、ブラックの4色のインクがそれぞれ充填されたインクパック(図示せず)が収容されたものであり、前面にはインクパックと同数(本例では4つ)の供給口部32a及び一対の位置決め凹部(図示せず)を有する。また、ケース32の底面端部に凹設された溝部32b内には後述する各種カートリッジ情報等のデータをプリンタ本体側に転送する回路基板33(IC基板)が実装されている。カートリッジ31がプリンタ本体の収容部に装填されると、カートリッジ31は、カートリッジホルダ34の前面(対向面)に突設された一対(同図では1本のみ図示)の位置決め針34aがカートリッジ31側の位置決め凹部に嵌挿されて位置決めされるとともに、供給針34bが供給口部32aに差し込まれることで各インクパック内のインクがカートリッジホルダ34側へ供給可能な状態に連結される。カートリッジホルダ34に供給された各色のインクは、インク色毎のチューブ(図示せず)を介して印刷ヘッド16へ供給されるようになっている。また、カートリッジホルダ34には1本の廃インク導入針34cが突設されており、カートリッジ17側の排出口部(図示せず)に差し込まれるようになっている。ポンプ28にて吸引されて廃インクチューブ(図示せず)から排出される廃インクは、廃インク導入針32cからカートリッジ17内に導入されてカートリッジ17内に回収されるようになっている。
回路基板33は同図における下面に接続端子33aが形成され、カートリッジ17が装填された状態において、カートリッジホルダ34から突設された接続部34dの上面に形成された接続端子45(図5参照)と接続端子33aが電気的に接続されるようになっている。そして、これらの接続端子33aを介して半導体記憶手段39(図5参照)からインクの種類、インク残量、シリアル番号や有効期限等のデータの授受が実行される。
一方、図3に示すようにオンキャリッジタイプの場合、図3(a)に示す例えば黒用のカートリッジ35とカラー用のカートリッジ36とを個別に用意され、キャリッジ13にそれぞれ着脱可能に装填される。黒用のカートリッジ35は、例えばブラック(k)のインクがインク室35aに収容されており、キャリッジ13のカートリッジホルダ部(図示せず)に装填されたときにカートリッジホルダ側に突設された供給針(図示せず)が差し込まれるインク供給口部35bを有している。
カラー用のカートリッジ36には、例えばシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)の3色のインクが各インク室36a(収容室)に区画されて個別に収容されており、キャリッジ13側のカートリッジホルダに装填されたときにキャリッジ13側のカートリッジホルダに突設されたインク色毎の供給針が差し込まれるインク色毎のインク供給口部を有している。また、カートリッジ35,36の前面には、後述する各種カートリッジ情報を本体側との間でやり取りする転送処理を行う回路基板37(IC基板)及びキャリッジ13側のカートリッジホルダに装填されたときにキャリッジ側の接続端子45(図4、図5参照)の電極(図示せず)と接続される電極38aを有する接続端子38が設けられている。
図4は、プリンタの電気的構成を示すブロック図である。
プリンタ10は、これを統括制御するプリンタコントローラ41、モータドライバ42,43、印刷ヘッドドライバ44、カートリッジ17が装填されたときにカートリッジ17側の接続端子38と接続される接続端子45、及び操作パネル46を備える。プリンタコントローラ41は、モータドライバ42,43を介してそれぞれキャリッジモータ14及び紙送りモータ22を駆動制御するとともに、印刷ヘッドドライバ44を介して印刷ヘッド16を駆動制御する。
プリンタ10は、これを統括制御するプリンタコントローラ41、モータドライバ42,43、印刷ヘッドドライバ44、カートリッジ17が装填されたときにカートリッジ17側の接続端子38と接続される接続端子45、及び操作パネル46を備える。プリンタコントローラ41は、モータドライバ42,43を介してそれぞれキャリッジモータ14及び紙送りモータ22を駆動制御するとともに、印刷ヘッドドライバ44を介して印刷ヘッド16を駆動制御する。
プリンタコントローラ41は、CPU51、印刷処理回路52(例えばASICからなる印刷処理用集積回路)、ROM53、RAM54、不揮発性メモリ55(EEPROM)及びインターフェイス56,57を備え、これらはバス58を介して互いに接続されている。CPU51は不揮発性メモリ55に記憶されたファームウェアプログラムを実行することによりモータドライバ42,43を介してキャリッジモータ14及び紙送りモータ22をそれぞれ駆動制御する。
CPU51は、プリンタ10に装填されたカートリッジ17の接続端子38とプリンタ側の接続端子45とが電気的に接続された状態において、接続端子45とデータ線(図示せず)を介して接続されたインターフェイス57を通じて回路基板37(カートリッジIC)と通信可能に接続される。
ホストコンピュータ60から送信された印刷データは、インターフェイス56を介してRAM54の受信バッファ領域に一時記憶され、印刷処理回路52によりコマンド解釈処理及び画像展開処理が順次行われ、印刷ヘッド16からの吐出順序にドット配列された例えば4階調のビットマップデータに1走査分ずつ変換される。CPU51はモータドライバ42に指令信号を送信してキャリッジモータ14の1走査の駆動を開始して、このキャリッジ13の1走査の移動中に、RAM54の出力バッファ領域から読み出した1走査分のビットマップデータに基づき印刷ヘッド16からインク液を吐出させる。そして、キャリッジ13が1走査する度にモータドライバ42に指令信号を送信してキャリッジモータ14を駆動させることで所定量の紙送りを実施し、インク滴を吐出する印刷ヘッド16の1走査と所定量の紙送りとを交互に繰り返すことで印刷が行われる。
また、CPU51は、カートリッジ17に付帯された回路基板37(カートリッジIC)上に実装された半導体記憶手段39と接続端子38、45を介してデータ転送することにより半導体記憶手段39から情報を読み取ったり書き込んだりすることが可能となっている。
操作パネル46は、表示部47と操作スイッチ48を有しており、図示しないインターフェイスを介してCPU51と接続されている。操作スイッチ48は、電源スイッチ48a、印刷実行スイッチ48b、クリーニングスイッチ48cなどからなる。
CPU51は、定期クリーニングの実施時期になったことを計時するための後述のクリーニングタイマ(以下、「タイマ88」という)(図5参照)を備える。また、CPU51は、カートリッジ装填(取付け)の有無、カートリッジが装填されている場合には、そのカートリッジがプリンタ10にとって初めて装填された1stカートリッジであるか、交換された新品の交換カートリッジであるかどうかを判断する。CPU51は、1stカートリッジの装填を検出したとき、新品の交換カートリッジを検出したとき、タイマ88の計時時間が定期クリーニングの時期に達したとき、及びクリーニングスイッチ48cが操作されたときに、印刷ヘッド16からインクを強制的に吸引する吸引クリーニングを実施する。
この際、CPU51は、まずキャリッジモータ14を駆動制御してキャリッジ13をホームポジションに移動させ、キャリッジ13がホームポジションに到達してノズル形成面16aがキャップ26により封止されると、紙送りモータ22を逆転駆動させることでポンプ28を駆動させる。ポンプ28が駆動されることにより、封止されたキャップ26の内部に負圧が導入されて、ノズル形成面16aのノズル開口から増粘等したインクを吸引する吸引クリーニングが行われる。吸引された廃インクはポンプ28から排出されて廃液タンク29に排出される。
初めて装填された1stカートリッジであるときには、カートリッジ17から印刷ヘッド16に至る流路及び印刷ヘッド16内の流路にインクで充填する必要があるため、ポンプ28が比較的長い所定時間(例えば2〜10秒の範囲内の値)駆動され、流路全体にインクを充填させる「初期充填」が行われる。新品の交換カートリッジであるときには、その供給口部32aに供給針34bが差し込まれる過程で供給口部32aを覆うフィルムが破られるときに供給針34bの導入孔からエアを巻き込む可能性があるので、巻き込まれたエアを流路内のインク中から除去又は消滅させるために、ポンプ28が比較的短い所定時間(例えば0.5秒〜4秒の範囲内の値)駆動される「交換クリーニング」を実施する。なお、カートリッジ装填時に供給針の形状因子の違い等によりエアを巻き込む可能性の極めて低い機種のプリンタである場合は、交換クリーニングを廃止することもできる。
図5は、カートリッジ管理機能を実現する機能構成を示すブロック図である。ファームウェアのプログラムは一部にカートリッジ管理プログラムを含んでおり、本実施形態では、CPU51がカートリッジ管理プログラムを実行することでカートリッジ管理部(以下、単に「管理部70」という)が構築されている。もちろん、管理部70を回路によりハードウェアで構成することもできる。図8及び図9に示すフローチャートはカートリッジ管理プログラムの一部を示す。
図5に示す管理部70は、管理制御部71、演算部72、クリーニング管理部73、インク消費量カウンタ74、インクカートリッジ交換カウンタ(以下、「交換カウンタ78」と称す)、1stインクカートリッジフラグ79、記憶部80を備えている。
管理制御部71は、カートリッジ17を識別して初期充填や交換クリーニングなどカートリッジに必要な初期吸引処理の管理、インク消費量等のカウンタやフラグの管理、ホストコンピュータ60からの要求に応じてインク残量R(%)を演算するときの管理などを行う。初期充填又は交換クリーニングが必要と判断した場合は、クリーニング管理部73に初期充填又は交換クリーニングの実施を指令する。また、ホストコンピュータ60からインク残量R(%)の演算要求があった場合は、演算に必要なデータ(インク消費量x,インクエンド値Z,Zo等)を与えて、演算部72にインク残量R(%)を演算させる。
クリーニング管理部73は、前述のタイマ88を有し、タイマ88により前回のクリーニングからの経過時間を計時してその計時時間が所定時間に達すると、メンテナンス装置25を駆動制御して吸引クリーニングを実施する。また、クリーニング管理部73は、カートリッジ17の初期充填又は交換クリーニングが必要と判断した管理制御部71からのクリーニング指令を受け付けたときにも、メンテナンス装置25を駆動制御してその指令内容に応じた吸引クリーニングを実施する。
インク消費量カウンタ74(74c,74m,74y,74k)は、プリンタ10に装填されるカートリッジ17のインク残量をインク色毎に管理するインク色と同数(本例では4色)備えられている。なお、カウンタ74c,74m,74y,74kは、例えばCPU51内の回路の一部として備えられたカウンタ(ハードウェア)を使用してもよいし、CPU51が実行するプログラムによりソフトウェアとして構築されたカウンタ機能を用いてもよい。
インク消費量カウンタ74(74c,74m,74y,74k)のカウント値は、「0」から開始されてインクが消費される度にその消費量分だけカウントアップされる。本実施形態では、インク吐出回数(すなわちドット数)から消費量をカウントアップし、またクリーニング時のインク消費量は、クリーニングモード毎に対応付けられたテーブルデータから引き当てたインク吸引量をカウントアップすることによりインク消費量を計数する。なお、インク滴は大・中・小の3種類あり、これらの液滴サイズ別に1回の吐出における消費量を考慮して計数する。
記憶部80は、適合カートリッジのインクエンド値Zをインク色毎に記憶する記憶領域81〜84、ニアエンド値Yの情報記憶する記憶領域85を有している。詳しくは、記憶領域81〜84には、インク充填量情報(第1液体充填量情報)として、シアン、マゼンタ、イエロ、ブラックのインクエンド値Zc,Zm,Zy,Zkの各データが記憶されている。これらインクエンド値Zc,Zm,Zy,Zkは、プリンタ10に適合するものと設定された適合カートリッジのインク充填量から決まるデフォルト値(固定値)である。また、ニアエンド値Yのデータも、インク色毎に設定されている。例えば4色である本例では、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックについて、それぞれニアエンド値Yc,Ym,Yy,Ykが設定されている。
また、1stインクカートリッジフラグ79は、管理制御部71が回路基板37(カートリッジIC)との通信によりカートリッジ17が装填されていることを検出すると、そのカートリッジ17がプリンタ10に初めて装填されたものであるか否かを判断し、初めて装填されたカートリッジであるときにセットされるフラグである。また、装填されているカートリッジ17が新品であると判断した場合には、1stインクカートリッジフラグ79がセット状態にあれば、初期充填処理を実行し、リセット状態にあるときには交換クリーニングを実施する。
一方、回路基板37は、取付け回数カウンタ91、カートリッジ側の記憶部92を有している。取付け回数カウンタ91は、例えば回路基板37を構成する半導体記憶手段39に設けられた取付け回数Mのデータを格納する所定記憶領域により構築されている。もちろんカートリッジICを構成するマイクロコンピュータが備えるカウンタを使用したり、マイクロコンピュータがプログラムを実行することにより構築されたカウンタ機能を用いたりしてもよい。取付け回数カウンタ91は、カートリッジ17がプリンタ10に装填された取付け回数M(装填回数)を計数する機能を有している。新品のカートリッジ17では取付け回数カウンタ91の計数値である取付け回数Mは「0」に設定されている。
記憶部92は、半導体記憶手段39(不揮発性メモリ)の所定記憶領域からなり、カートリッジ17のインクエンド値Zoのデータが記憶されている。カートリッジ17が複数色インク収容タイプ(図2又は図3(b)のタイプ)である場合は、インク色毎にインクエンド値Zoのデータが記憶されている。図2のカートリッジ31の場合は、半導体記憶手段39に4色分のインクエンド値Zo(Zoc,Zom,Zoy,Zok)のデータが記憶され、図3(b)のカートリッジ36の場合は、3色分のインクエンド値Zo(Zoc,Zom,Zoy)のデータが半導体記憶手段39の記憶領域92aに記憶されている。また、半導体記憶手段39の記憶領域92bには、カートリッジ17のシリアルNo.のデータ(識別データ)も記憶されている。さらに半導体記憶手段39には、インク消費量xoを記憶するための記憶領域92cが用意されている。図2のカートリッジ31の場合は、記憶領域92cに4色分のインク消費量xo(xoc,xom,xoy,xok)のデータが記憶されるようになっており、図3(b)のカートリッジ36の場合は、記憶領域92cに3色分のインク消費量xo(xoc,xom,xoy)のデータが記憶されるようになっている。
記憶部92に記憶されたインクエンド値Zoは、本例では、インク重量又はインク体積に相当する値を示すデータとしているが、プリンタ側の設定インクエンド値Z(デフォルト値)に対する割合(%)で示されてもよく、例えば「80%」というデータとして記憶部92に記憶されてもよい。例えば製品量産開始間際に、印刷モードや印刷処理内容に変更があったために、カートリッジ17のインク充填量を少なく変更した場合、半導体記憶手段39の記憶部92には、設定インクエンド値Zより少ないインクエンド値Zo(<Z)のデータが記憶されることになる。
図5に示すように、ホストコンピュータ60は、本体61と、表示装置62と、キーボード63及びマウス64からなる入力装置65とを備えている。本体61内に設けられたハードディスク(図示せず)には、印刷ドライバプログラムがインストールされており、印刷ドライバプログラムをホストコンピュータ60が実行することで印刷ドライバ66が構築されている。
印刷ドライバ66は、印刷ドライバ66は印刷データの生成機能、印刷データをプリンタ10に送信するなどの通信機能及びインク残量表示機能などを有する。インク残量表示機能は、インク残量確認の操作が入力装置65を介して行われたとき及び入力装置65により印刷実行操作がなされたときに、表示装置62の画面62a上にインク残量情報を含む管理画面を表示する機能である。このインク残量表示が必要になると、印刷ドライバ66はプリンタ10に対してインク残量送信要求を送信し、プリンタ10にインク残量Rの演算及びその演算されたインク残量Rのデータ送信を要求する。プリンタ10からインク残量Rのデータを受信した印刷ドライバ66は、その受信データに基づきインク残量Rがグラフィカル表示されたイメージを含む管理画面データを生成し、表示装置62の画面62aにインク残量情報を含む管理画面を表示する。
インク残量送信要求を受信した管理制御部71から演算の指令を受け付けると、演算部72はインク残量Rを演算する。このとき、カートリッジ17が複数色インク収容タイプである場合は、インク色毎にインク残量Rを演算する。演算部72は、インク残量Rの演算に必要な各種データを管理制御部71を介して又はデータ保存元に直接アクセスして取得し、それらの各種データ(インク消費量x等)を用いて所定の計算式に基づきインク残量Rを算出する。
演算部72は、以下の計算式に基づいてインク残量R(%)を算出する。
(A)新品カートリッジ交換時からニアエンド表示まで(0≦x≦Yの範囲)。
R(%)=(Y−x)/(Y−a)・100+(Z−Y)/Z・100 …(1)
(B)ニアエンド以降(Y<xの範囲)。
R(%)=(Z−x)/Z・100 … (2 )
ここで、Yは、ニアエンドのインク消費量カウント値(ニアエンド閾値)(Yc,Ym,Yy,Ykのいずれかの値)、Zは、インクエンドのインク消費量カウント値(インクエンド閾値)で表された設定インクエンド値(Zc,Zm,Zy,Zkのいずれかの値)、xはインク消費量(インク消費量カウンタ74c,74m,74y,74kのいずれかの値)、aは補正量である。Y値、Z値、x値は、インク残量演算の対象となったインク色に対応する値が採用される。補正量aは、a=b+cで表される。ここで、b値は、カートリッジ装填時に最初にインクが吸引される初期吸引量bであり、交換されたカートリッジが新品のときに行われる交換クリーニング時の交換クリーニング吸引量b1と、プリンタ本体に初めてカートリッジが装填されたときに行われる初期充填時の初期充填量b2とがある。また、c値は、プリンタ本体側に装填されるべき適合カートリッジのインク充填量から決まるインクエンド値である設定インクエンド値Zと、カートリッジ側に記憶されているカートリッジの実際のインク充填量から決まるインクエンド値Zoとの差分として表されるオフセット値である。本例では、オフセット値cは、c=Z−Zoで示される。もちろん、インクエンド値Zoが、デフォルト値である設定インクエンド値Zに対する割合(%)で示されたデータである場合は、オフセット値cは、c=Z・(100−Zo)/100で示される。このオフセット値cも、インク残量演算の対象となったインク色に対応するZ値及びZo値を用いて求められる。なお、本実施形態では、前記(1)式が第1計算式、前記(2)式が第2計算式となる。また、前記(1)式中において、補正量aは、インク消費量xを変数とする一次関数の傾き(勾配)を補正する補正定数として機能し、a値が大きくなるほど傾き(勾配)|ΔR/Δx|(=1/(Y−a)・100)は大きくなる。
(A)新品カートリッジ交換時からニアエンド表示まで(0≦x≦Yの範囲)。
R(%)=(Y−x)/(Y−a)・100+(Z−Y)/Z・100 …(1)
(B)ニアエンド以降(Y<xの範囲)。
R(%)=(Z−x)/Z・100 … (2 )
ここで、Yは、ニアエンドのインク消費量カウント値(ニアエンド閾値)(Yc,Ym,Yy,Ykのいずれかの値)、Zは、インクエンドのインク消費量カウント値(インクエンド閾値)で表された設定インクエンド値(Zc,Zm,Zy,Zkのいずれかの値)、xはインク消費量(インク消費量カウンタ74c,74m,74y,74kのいずれかの値)、aは補正量である。Y値、Z値、x値は、インク残量演算の対象となったインク色に対応する値が採用される。補正量aは、a=b+cで表される。ここで、b値は、カートリッジ装填時に最初にインクが吸引される初期吸引量bであり、交換されたカートリッジが新品のときに行われる交換クリーニング時の交換クリーニング吸引量b1と、プリンタ本体に初めてカートリッジが装填されたときに行われる初期充填時の初期充填量b2とがある。また、c値は、プリンタ本体側に装填されるべき適合カートリッジのインク充填量から決まるインクエンド値である設定インクエンド値Zと、カートリッジ側に記憶されているカートリッジの実際のインク充填量から決まるインクエンド値Zoとの差分として表されるオフセット値である。本例では、オフセット値cは、c=Z−Zoで示される。もちろん、インクエンド値Zoが、デフォルト値である設定インクエンド値Zに対する割合(%)で示されたデータである場合は、オフセット値cは、c=Z・(100−Zo)/100で示される。このオフセット値cも、インク残量演算の対象となったインク色に対応するZ値及びZo値を用いて求められる。なお、本実施形態では、前記(1)式が第1計算式、前記(2)式が第2計算式となる。また、前記(1)式中において、補正量aは、インク消費量xを変数とする一次関数の傾き(勾配)を補正する補正定数として機能し、a値が大きくなるほど傾き(勾配)|ΔR/Δx|(=1/(Y−a)・100)は大きくなる。
図6はインク消費量カウンタの値であるインク消費量x及びその閾値等を示している。インク消費量カウンタ74の値であるインク消費量xは、「0」から計数が開始されて、インクが消費される度にその消費量分の値がカウントアップされる。ニアエンド値Yは、インク消費量xがこの値に達すると、インクエンド(空インク状態)に近づいた旨を知らせるニアエンド表示を行うための閾値であり、インクエンド値Zは、インク消費量xがこの値に達すると、インクエンド(空インク状態)に達した旨を知らせるインクエンド表示を行うための閾値である。インクエンド値Zは、印刷途中にインク消費量xがインクエンド値Zに達したとしても、その印刷を最後の頁まで終えられるように、インク充填量Wより所定量小さな値に設定されている。ニアエンド値Y及びインクエンド値Zは、前述のようにインク色毎に設定されている(Y値はYc,Ym,Yy,Ykのいずれかの値、Z値はZc,Zm,Zy,Zkのいずれかの値)。
また、図6において、b値は初期吸引量であり、交換クリーニング吸引量b1と初期充填量b2のどちらかの値をとる。c値はオフセット値(c=Z−Zo)であり、カートリッジのインクエンド値Zoが設定インクエンド値Zより少ない場合に正の値をとる。新品のカートリッジ17が装填された場合、初期吸引処理の終了後においては、(b+c)に相当するインク量は既に消費されたインク消費量xとみなされる。このインク消費量x(=b+c)が演算部72で用いられる計算式の変数xに代入されてインク残量Rが算出されたときに、その計算結果が「100」以上の値となるように、前記(1)の計算式は、(b+c)で表されるaを補正量(補正定数)として含んでいる。
本実施形態では、プリンタに装填されるカートリッジとしては2種類がある。プリンタ10の量産開始間際又は製品出荷後にインク充填量の変更がなかった場合、カートリッジに充填されているインク充填量Woがプリンタ10に装填されるべき適合カートリッジのインク充填量Wと同じである、図7(a)に示すAカートリッジ17Aが装填されることになる。一方、プリンタ10の量産開始間際又は製品出荷後にインク充填量を減らす変更があった場合、カートリッジに充填されているインク充填量Woがプリンタ10に装填されるべき適合カートリッジのインク充填量Wより少なくなっている、図7(b)に示すBカートリッジ17Bが装填されることになる。Aカートリッジ17Aでは、そのインク充填量Wo(=W)から決まるインクエンド値Zoが設定インクエンド値Zに一致し(Zo=Z)、Bカートリッジ17Bでは、そのインク充填量Wo(<W)から決まるインクエンド値Zoが設定インクエンド値Zより少なくなっている(Zo<Z)。従来のインク残量管理方法であれば、インクエンド値Zoが設定インクエンド値Zより少ない新品のカートリッジは、その少ないインク量分が既に消費されているとみなされ、初期装填又は交換クリーニング終了後の印刷前の段階において、インク残量として100%未満の値が表示されてしまうが、本実施形態ではこのような場合にもインク残量Rは100%に表示される。
以下、本実施形態のカートリッジ管理処理について図8及び図9のフローチャートに従って説明する。図8は、カートリッジ管理処理プログラムを示すフローチャート、図9は、インク残量表示ルーチンを示すフローチャートである。まず図8に示すカートリッジ管理処理について説明する。CPU51が図8のフローチャートの各処理を実行することにより、図5に示す管理制御部71が主体となって、演算部72及びクリーニング管理部73等に所定の処理を実施させる。
まずステップS10では、本体に装填されているカートリッジ17がプリンタ10にとって初めての1stインクカートリッジであるか否かを判断する。本例では、初期充填の実施の有無を管理する初期充填管理フラグ(図示せず)が不揮発性メモリ55の所定記憶領域に用意されており、この初期充填管理フラグがリセット(OFF)されていれば、1stインクカートリッジと判断する。1stインクカートリッジであった場合は、ステップS20に進み、1stインクカートリッジでなかった場合はステップS30に進む。なお、当該1stインクカートリッジ(初回品)の判定処理を実行するCPU51により初回判定手段が構成される。
ステップS20では、1stインクカートリッジフラグ79をセットする。
ステップS30では、インクカートリッジが交換されたか否かを判断する。インクカートリッジが交換されたか否かの判断は、例えば特許文献1に記載された判定法と同様の方法を用いて行う。すなわち、記憶領域87に記憶されている前回まで装填されていたカートリッジのシリアル番号と、今回装填されているカートリッジのシリアル番号を比較して、両者が一致しなければ交換されたと判断する。前回と今回でシリアル番号が一致しても、インク消費量カウンタ74の計数値であるインク消費量xと、現在(今回)装填されているカートリッジ17の半導体記憶手段39(記憶領域93c)から読み取ったインク消費量xoとを比較し、両者が一致しなければ、カートリッジが交換されたと判断する。このとき、装填されているカートリッジ17が複数色インク収容タイプのカートリッジ31,36である場合は、インク色毎にインク消費量x,xoを比較し、1色でも値が異なれば交換されたと判断する。
ステップS30では、インクカートリッジが交換されたか否かを判断する。インクカートリッジが交換されたか否かの判断は、例えば特許文献1に記載された判定法と同様の方法を用いて行う。すなわち、記憶領域87に記憶されている前回まで装填されていたカートリッジのシリアル番号と、今回装填されているカートリッジのシリアル番号を比較して、両者が一致しなければ交換されたと判断する。前回と今回でシリアル番号が一致しても、インク消費量カウンタ74の計数値であるインク消費量xと、現在(今回)装填されているカートリッジ17の半導体記憶手段39(記憶領域93c)から読み取ったインク消費量xoとを比較し、両者が一致しなければ、カートリッジが交換されたと判断する。このとき、装填されているカートリッジ17が複数色インク収容タイプのカートリッジ31,36である場合は、インク色毎にインク消費量x,xoを比較し、1色でも値が異なれば交換されたと判断する。
ステップS40では、フラグ(1stインクカートリッジフラグ)をOFF(リセット)にする。
次のステップS50では、インク消費量xを更新する。すなわち、カートリッジ17側の半導体記憶手段39(記憶領域92c)にインク消費量xoが既に格納されていてカートリッジが新品でない場合は、インク消費量カウンタ74のインク消費量xをインク消費量xoに更新する。一方、カートリッジ17側の半導体記憶手段39(記憶領域92c)にインク消費量xoがまだ格納されていない場合は、設定インクエンド値Zとインクエンド値Zoとを比較して一致しないときは、両者の差を計算して取得した値をインク消費量x(=Z−Zo)としてインク消費量カウンタ74に設定する。よって、Zo=ZであるAカートリッジ17Aが装填された場合は、インク消費量x=0に設定され、Zo<ZであるBカートリッジ17Bが装填された場合は、インク消費量x>0が設定される。この更新は、インク色毎のインク消費カウンタ74c,74m,74y,74kのそれぞれについて行う。なお、設定インクエンド値Zとインクエンド値Zoとの差を計算してインク消費量xを取得する当該処理を実行するCPU51により、新品の判定に用いられる液体消費量を取得する消費量取得手段が構成される。
次のステップS50では、インク消費量xを更新する。すなわち、カートリッジ17側の半導体記憶手段39(記憶領域92c)にインク消費量xoが既に格納されていてカートリッジが新品でない場合は、インク消費量カウンタ74のインク消費量xをインク消費量xoに更新する。一方、カートリッジ17側の半導体記憶手段39(記憶領域92c)にインク消費量xoがまだ格納されていない場合は、設定インクエンド値Zとインクエンド値Zoとを比較して一致しないときは、両者の差を計算して取得した値をインク消費量x(=Z−Zo)としてインク消費量カウンタ74に設定する。よって、Zo=ZであるAカートリッジ17Aが装填された場合は、インク消費量x=0に設定され、Zo<ZであるBカートリッジ17Bが装填された場合は、インク消費量x>0が設定される。この更新は、インク色毎のインク消費カウンタ74c,74m,74y,74kのそれぞれについて行う。なお、設定インクエンド値Zとインクエンド値Zoとの差を計算してインク消費量xを取得する当該処理を実行するCPU51により、新品の判定に用いられる液体消費量を取得する消費量取得手段が構成される。
次のステップS60では、インクカートリッジが新品であるか否かを判断する。ここで、新品の判断条件は、全色のインク消費量「0」であるか、あるいはカートリッジの取付け回数「0」であることで判断する。例えば図2又は図3(b)に示すカートリッジ31,36のように複数色のインクを収容するタイプのものは、インク消費量が全色について「0」であること、あるいは取付け回数「0」であることが、新品と判断する条件となる。一方、図3(a)に示す1色のインクのみ収容するタイプのカートリッジ35である場合は、その1色についてのインク消費量「0」、あるいは取付け回数「0」であることが、新品と判断される条件となる。
例えばBカートリッジ17Bの場合、インクエンド値Zoが設定インクエンド値Zよりも少なく(Zo<Z)、最初のインク消費量xをx=Z−Zoにより算出すると、インク消費量xがx>0となって新品の条件のうち1つを満たさないが、取付け回数「0」なので、新品と判断される。また、Aカートリッジ17Aの場合は、Zo=Zなので、算出したインク消費量x=0となり、また取付け回数「0」となるので、2つの条件を共に満たし、新品と判断される。Aカートリッジ17Aについては取付け回数が「1」以上であっても、インク消費量xが「0」であれば、新品と判断される。例えばカートリッジを装填後直ぐ取り外したり、カートリッジ装填状態で電源を投入後直ぐ切断したりしてインクが消費されなかった場合などが、これに該当する。Bカートリッジ17Bについてはこのような操作がなされたときに限り、新品でないと判断されるがその頻度は極めて低い。カートリッジ17が新品であればステップS70に進み、新品でなければステップS150に進む。なお、このステップS60の処理を実行するCPU51により、新品か否かを判定する判定手段が構成されている。
ステップS70では、インクエンド値Z,Zoを読み出して、オフセット値c=Z−Zoを算出する。ここで、インクエンド値Zoは、設定インクエンド値Z(デフォルト値)に対する割合(%)で示される場合と、重量や体積などの値で示される場合とがあるが、本例では、重量に相当する値で示されるので、両者の差をとる計算式により算出する。例えば設定インクエンド値Zに対する割合でインクエンド値Zo(%)が設定されている場合は、オフセット値c=Z・(100−Zo)/100により算出する。なお、この処理を実行するCPU51により、液体残量の演算に用いられる液体消費量を取得する消費量取得手段が構成される。
ステップS80では、フラグ(1stI/Cフラグ)がON(セット)であるか否かを判断する。フラグONであればステップS90に進み、フラグONでなければ(つまりフラグOFFであれば)ステップS110に進む。
ステップS90では、初期充填を実施する。すなわち、プリンタ10に初めてカートリッジ17が装填されたときで流路にまだインクが充填されていないので、流路全体にインクを充填できるように、交換クリーニングに比べ比較的長い所定時間の吸引動作を行う。図2に示すオフキャリッジタイプのカートリッジ31の場合、カートリッジ31から印刷ヘッド16までの流路長が相対的に長いので、オンキャリッジタイプのカートリッジ35,36に比べて初期充填量が多くなる。初期充填が実施された結果、カートリッジ17と印刷ヘッド16間の流路及び印刷ヘッド16内の流路がインクで充填される。
ステップS100では、b値に初期充填量b2を設定する。つまり、b値の記憶領域に値「b2」を格納する。
ステップS110では、交換クリーニングを実施する。すなわち、カートリッジ17が新品である場合は、その交換時に供給針が供給口部に差し込まれる過程で供給口部を覆うフィルムを破ったときにエアを巻き込む可能性があるので、巻き込んだエアを除去又は消滅できるように所定量のインクを吸引する。巻き込んだエアを除去又は消滅させる目的で行われ比較的少量の吸引で済むので、交換クリーニング時のインク吸引時間は初期充填に比べ短い。交換クリーニングが実施された結果、カートリッジ交換時に仮にエアを巻き込んだとしてもそのエアは除去又は消滅されるので、その後の印刷品質が良好に保たれる。
ステップS110では、交換クリーニングを実施する。すなわち、カートリッジ17が新品である場合は、その交換時に供給針が供給口部に差し込まれる過程で供給口部を覆うフィルムを破ったときにエアを巻き込む可能性があるので、巻き込んだエアを除去又は消滅できるように所定量のインクを吸引する。巻き込んだエアを除去又は消滅させる目的で行われ比較的少量の吸引で済むので、交換クリーニング時のインク吸引時間は初期充填に比べ短い。交換クリーニングが実施された結果、カートリッジ交換時に仮にエアを巻き込んだとしてもそのエアは除去又は消滅されるので、その後の印刷品質が良好に保たれる。
次のステップS120では、b値に交換クリーニング吸引量b1を設定する。つまり、b値の記憶領域に値「b1」を格納する。
次のステップS130では、補正量aをa=b+cにより算出する。すなわち、フラグON(セット)であってb値に初期充填量b2が設定された場合(S100)は、補正量aは、a=b2+cと算出される。一方、フラグOFF(リセット)であってb値に交換クリーニング吸引量b1が設定された場合(S120)は、補正量aは、a=b1+cと算出される。算出した補正量aは不揮発性メモリ55の所定記憶領域に記憶される。なお、ステップS70,S80,S100,S120及びS130の処理を実行するCPU51により補正手段が構成される。
次のステップS130では、補正量aをa=b+cにより算出する。すなわち、フラグON(セット)であってb値に初期充填量b2が設定された場合(S100)は、補正量aは、a=b2+cと算出される。一方、フラグOFF(リセット)であってb値に交換クリーニング吸引量b1が設定された場合(S120)は、補正量aは、a=b1+cと算出される。算出した補正量aは不揮発性メモリ55の所定記憶領域に記憶される。なお、ステップS70,S80,S100,S120及びS130の処理を実行するCPU51により補正手段が構成される。
ステップS140では、インクカートリッジ交換カウンタ78をインクリメントする。こうして新品のカートリッジ17が装填されたと判断されたときは、インクカートリッジ交換カウンタ78がインクリメントされて、プリンタ10で使用された新品カートリッジの個数(装填回数)が計数されることになる。新品カートリッジの使用個数の情報は、例えばプリンタ10のメンテナンス時においてプリンタ10の履歴情報の1つとして用いられる。なお、本実施形態では、新品のカートリッジが取り付けられたときに行われる所定の処理として、交換クリーニング、新品カートリッジの取付け回数を計数する計数処理が行われる。
次のステップS150では、カートリッジ17側の取付け回数カウンタ91をインクリメントする。取付け回数カウンタ91の計数値によって、現在のカートリッジ17が何回装填されたかその取付け回数(装填回数)がカウントされる。
次のステップS160では、インク消費量xを記憶する。すなわち、初期吸引処理の内容(初期充填又は交換クリーニング)に応じて、テーブルデータを参照して、初期充填量又は交換クリーニング吸引量を引き当て、その引き当てた量をインク消費量カウンタ74に計数してインク消費量xを更新する。このとき既にテーブルデータを参照して引き当ててS100又はS120で設定したb値をインク消費量カウンタ74に計数してもよい。もちろん、交換クリーニング及び初期充填の実際の動作時間をタイマ88で計時し、その動作時間に応じて、テーブルデータを参照して、あるいは所定の計算により、初期充填量又は交換クリーニング吸引量を求め、その求めた量を初期充填量b2の設定(S100)又は交換クリーニング吸引量b1の設定(S120)に用いることもできる。そしてその求めた量を、インク消費量カウンタ74に計数してインク消費量xを更新する方法を採用することもできる。さらにこのステップS160では、インク消費量カウンタ74を更新すると、カートリッジ17側の半導体記憶手段39の記憶領域92cに、その更新したインク消費量カウンタ74のカウント値をインク消費量xoとして書き込む処理まで行う。
インク消費量xoが書き込まれた後は、ステップS30におけるカートリッジ交換の判定は、インク消費量カウンタ74のカウント値で示されるインク消費量xとカートリッジ側に書き込まれたインク消費量xoとを比較することにより行われることになる。なお、ステップS60でカートリッジが新品ではないと判定されたときでも、フラグONの場合は、別途他の処理で初期充填が行われる。
また、1stインクカートリッジでなく新品カートリッジの交換でもない場合も、インクが消費されれば、別フローでの処理で、その消費インク量が求められるとともにその求められた消費インク量に相当する値をインク消費量カウンタ74に計数することで、インク消費量x,xoが更新されるようになっている。例えば所定のクリーニング時期になったときに実施されるタイマクリーニング又はユーザがクリーニングスイッチ48cを操作して実施されるマニュアルクリーニングなどの吸引クリーニング実施時には、そのときのクリーニング内容からテーブルデータを参照して引き当てたインク吸引量の値がインク消費量カウンタ74に計数されるとともに、そのカウント値がインク消費量xoとして半導体記憶手段39の記憶領域92cに書き込まれて更新される。さらに、印刷が行われるときには、印刷ヘッド16のノズルから噴射されるインク滴を、インク滴サイズ(大・中・小)を考慮して重量計数することによりその印刷におけるインク消費量をインク色毎に算出し、その算出値をインク色毎のインク消費量カウンタ74に計数する。そして、それぞれのカウント値がインク消費量xoとして対応するインク色のカートリッジ17の半導体記憶手段39(記憶領域92c)に書き込まれて更新される。
次に、図9に示すインク残量表示ルーチンについて説明する。ホストコンピュータ60では、ユーザが入力装置65を操作して、印刷実行又はインク残量表示機能を選択したとき、ホストコンピュータ60(印刷ドライバ66)はインク残量表示を行う。この際、ホストコンピュータ60は、プリンタ10に対してインク残量R(%)の計算結果の送信を要求するインク残量送信要求を出す。
まずステップS210では、インク残量送信要求があったか否かを判断する。インク残量送信要求を受信した場合はステップS220に進み、インク残量送信要求を受信していない場合は当該ルーチンを終了する。
ステップS220では、インク消費量xを読み出す。すなわち、インク消費量カウンタ74のカウント値を読み出してインク消費量xを取得する。
ステップS230では、補正量aを読み出す。すなわち、図8で示される処理のステップS100で演算した補正量aを記憶部80の所定記憶領域から読み出す。
ステップS230では、補正量aを読み出す。すなわち、図8で示される処理のステップS100で演算した補正量aを記憶部80の所定記憶領域から読み出す。
ステップS240では、インク消費量xがニアエンドYに達していない(x<Y)かどうかを判断する。インク消費量xがまだニアエンドYに達しておらずx<Yであれば、ステップS260に進み、インク消費量xが既にニアエンドYに達しておりx<Yでなければ、ステップS280に進む。
ステップS250では、インク残量R(%)を、R=(Y−x)/(Y−a)・100+(Z−Y)/Z・100 により算出する。なお、この計算処理を実行するCPU51により残量演算手段が構成される。
ステップS260では、インク残量Rが100を超える値である(R>100)か否かを判断する。R>100であればステップS270に進み、R>100でなければステップS320に進む。
ステップS270では、インク残量Rの値を「100」にする(R=100)。つまりインク残量Rの計算結果が100%を超える値となった場合は、インク残量Rをその最大値(100%)に変換する。
ステップS280では、インク残量R(%)を、R=(Z−x)/Z・100 により算出する。
ステップS290では、インク消費量xがインクエンドZに達していない(x<Z)かどうかを判断する。インク消費量xがまだインクエンドZに達しておらずx<Zであれば、ステップS300に進んでニアエンド判定を行う。一方、インク消費量xが既にインクエンドZに達しておりx<Zでなければ、ステップS310に進んでインクエンド判定を行う。
ステップS290では、インク消費量xがインクエンドZに達していない(x<Z)かどうかを判断する。インク消費量xがまだインクエンドZに達しておらずx<Zであれば、ステップS300に進んでニアエンド判定を行う。一方、インク消費量xが既にインクエンドZに達しておりx<Zでなければ、ステップS310に進んでインクエンド判定を行う。
次のステップS320では、ホストコンピュータ60にインク残量R(%)及び判定結果(ニアエンド判定、インクエンド判定等)のデータを送信する。なお、この送信処理を実行するCPU51により送信手段が構成される。
こうしてインク残量R等のデータを受信したホストコンピュータ60においては、印刷ドライバ66がインク残量Rのデータに基づき例えばインク残量R(%)がグラフィカル表示されたイメージを含む管理画面データを生成して、表示装置62の画面62aにインク残量のイメージを含む管理画面を表示する。また、ニアエンド判定又はインクエンド判定が行われたときは、管理画面の中でその旨が表示される。なお、図9のインク残量表示ルーチンとは別に、インク消費量xがニアエンドY又はインクエンドZに達したかどうかを判断する処理が、プリンタ10内のCPU51により別途行われている。この処理でニアエンド判定又はインクエンド判定がなされた場合は、その判定結果がホストコンピュータ60(印刷ドライバ66)に送信されて画面62aにその旨が表示されると共に、例えばプリンタ10の表示部47にもその旨が表示される。
図10は、インク残量表示ルーチンで算出されたインク残量(%)を示すグラフである。このグラフでは、横軸がインク消費量x、縦軸がインク残量R(%)で示されている。同グラフには、Aカートリッジ17A及びBカートリッジ17Bのそれぞれについて、初めて装填される1stカートリッジである場合、2回目以降の交換カートリッジである場合の、インク消費量xとインク残量R(%)との関係が示されている。同図において「交換クリーニングA」は、Aカートリッジ17Aで交換クリーニングが行われたときにとるグラフ線(一点鎖線)、「交換クリーニングB」は、Bカートリッジ17Bで交換クリーニングが行われたときにとるグラフ線(実線)である。また、「初期充填A」は、Aカートリッジ17Aで初期充填が行われたときにとるグラフ線(一点鎖線)、「初期充填B」は、Bカートリッジ17Bで初期充填が行われたときにとるグラフ線(実線)である。また、参考として補正量a=0のカートリッジも破線で示している。補正量a=0の例は、例えば新品のカートリッジを装填しても供給針の形状因子等からエアを巻き込みにくく交換クリーニングが不要な機種において新品のカートリッジに交換したときにとるインク残量R(%)に相当する。
補正量a(=b+c)については、Aカートリッジ17Aはオフセット値c=0であるので、「交換クリーニングA」では、補正量aが「a=b1」(b1は交換クリーニング吸引量)となり、「初期充填A」では、補正量aが「a=b2」(b2は初期充填量(b2>b1))となる。また、Bカートリッジ17Bはオフセット値c>0であるので、「交換クリーニングB」では、補正量aが「a=b1+c」となり、「初期充填B」では、補正量aが「a=b2+c」となる。
このグラフから分かるようにインク残量R(%)の算出に、前記(1)式を採用することにより、どのグラフ線も、インク消費量xがニアエンドYのときのインク残量Rを表す点G(Y,(Z−Y)/Z・100)を通り、点Gからインク消費量xの少ない側に引かれたグラフ線の傾き(勾配)(|ΔR/Δx|)が、補正量aが大きいほど大きくなっている。つまり、初期吸引量bとオフセット値cとの和が大きいほど、グラフ線の傾き(勾配)が大きくなっている。そして、前記(1)式の右辺第1項はx=aのときに「100」となり、第2項がY,Zの値から決まる正の定数(=(Z−Y)/Z・100>0)になるので、初期吸引が終わって印刷ができる状態になったときのインク消費量x=aでは、インク残量R(%)は必ず100より大きな値をとる(R>100)。このため、初期吸引が終わって印刷ができる状態になったとき(x=aのとき)には、初期吸引量b及びオフセット値cの値にかかわらず常にインク残量R(%)が100%となる。そして、前記(1)式の右辺第2項(=(Z−Y)/Z・100)の値に相当する分量(%)のインクが、初期吸引終了後さらに消費されるまではインク残量R(%)が100%に維持され、その分量(%)のインクが消費されてから100%未満の値をとるようになる計算式となっている。例えばY=0.9Zであれば前記(1)式からx=aのときに算出されるインク残量Rの値は「110」となり、グラフの傾き(勾配)kがk=|ΔR/Δx|で表されることから、この例では、初期吸引終了後さらにインク量Δx=10/k(=(Y−a)/10)のインクが消費されるまでインク残量Rは100%を維持する。
そして、インク消費量xがニアエンドYに達すると、前記(1)式の右辺第1項が「0」となり、どのグラフ線もx=Yのときに、インク残量Rは前記(1)式の右辺第2項の定数をとり、点G(Y,(Z−Y)/Z・100)を通る。そして、点Gを境にインク残量Rの算出に用いられる計算式が前記(1)式から前記(2)式に切り替わるが、前記(2)式もx=YのときにR=(Z−Y)/Z・100となり、点Gを通るので、インク残量Rの値の連続性は維持される。そしてこの点Gからさらにインクが消費される過程では、インク残量R(%)は、どのグラフ線も前記(2)式から決まる共通の線上を移動する。このため、インク消費量xがニアエンドYを超えてからインクエンドZに達するまでは、カートリッジ17にかかわらず(つまり、初期吸引量b及びオフセット値cに関係なく)、ほぼ正確なインク残量R(%)が表示されることになる。
カートリッジ17のインク充填量は、プリンタ10の使われ方(印刷頻度、印刷モード、印刷枚数等)や、クリーニングシーケンス内容(クリーニング頻度やインク吸引量等)などの想定される使用条件から適切な量に決められる。このようにプリンタ10の量産開始前の製造開発段階で、その機種に適合するカートリッジの設定インク充填量は決められ、その決められた設定インク充填量データがプリンタ10のファームウェアとなるプログラムデータ(例えばその一部であるインク残量表示プログラムデータ等)、さらには印刷ドライバプログラムデータに組み込まれるなどされる。例えば製品量産開始間際に、印刷モードや印刷処理内容(クリーニングシーケンス等含む)などに変更があると、その変更内容に応じてカートリッジのインク充填量も変更を余儀なくされる。しかし、プリンタ販売後はこのプログラムデータの変更は実質上不可能なので、この設定インク充填量は変更不能なデータとなる。インク残量(%)の算出に補正量aが考慮されない計算式が用いられると、初期吸引量bやオフセット値cはインク消費量とみなされてしまい、初期吸引終了後の印刷ができる状態になったときにインク残量R(%)が100%未満の値をとることになるが、本実施形態では、このような初期吸引終了後においてもインク残量R(%)が100%となる。
なお、ユーザが初期充填終了後に流路のインク充填を確実なものとするために仮にマニュアルクリーニングを実行した場合でも、最初の印刷前にインク残量が100%を切らないように、b値を初期充填量b2にマニュアルクリーニングの想定される回数(例えば3回)分のインク吸引量b3を加えた値とすることもできる(a=b2+b3+c)。マニュアルクリーニングを連続して複数回実施された場合は、例えば4回に達するまでは回数が増える度にインク吸引量を段階的に増やす設定とするのが好ましい。すなわち、b=b2+b3(但し、b3=bm1+bm2+bm3で、bm1、bm2、bm3はそれぞれマニュアルクリーニング1回目、2回目、3回目のインク吸引量で、bm1<bm2<bm3<b2)とし、このb値を適用して補正量aを決めるようにするとよい。
以上、詳述したように本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)全色のインク消費量xが「0」あるいはカートリッジ17の取付け回数「0」であることを新品のカートリッジである判断条件とした。このため、インクエンド値Zoがプリンタ10側の設定インクエンド値Zと異なる新品のBカートリッジ17Bを装填した場合でも、新品であると認識できる。このため、新品のときに実施されるべき、交換クリーニング及びカートリッジ交換カウンタの計数処理を実施させることができる。よって、プリンタ10の出荷後(販売後)においても、カートリッジ17の充填量を変更することができる。例えば量産開始直前に印刷モードやクリーニング条件等に変更があって適切なインク充填量が変更されて、既にファームウェアの変更等ができない段階であっても、カートリッジのインク充填量を変更することができる。さらに同一カートリッジを用いる異機種のプリンタ間において無理をしてカートリッジを共通にしていたが、ファームウェアは共通のまま機種に応じた適切なインク充填量を設定することもできる。
(1)全色のインク消費量xが「0」あるいはカートリッジ17の取付け回数「0」であることを新品のカートリッジである判断条件とした。このため、インクエンド値Zoがプリンタ10側の設定インクエンド値Zと異なる新品のBカートリッジ17Bを装填した場合でも、新品であると認識できる。このため、新品のときに実施されるべき、交換クリーニング及びカートリッジ交換カウンタの計数処理を実施させることができる。よって、プリンタ10の出荷後(販売後)においても、カートリッジ17の充填量を変更することができる。例えば量産開始直前に印刷モードやクリーニング条件等に変更があって適切なインク充填量が変更されて、既にファームウェアの変更等ができない段階であっても、カートリッジのインク充填量を変更することができる。さらに同一カートリッジを用いる異機種のプリンタ間において無理をしてカートリッジを共通にしていたが、ファームウェアは共通のまま機種に応じた適切なインク充填量を設定することもできる。
(2)複数色のインクを収容するカートリッジ17については、色毎(インク毎)にインクエンド値Zo(3色のカートリッジ36の場合はZo=Zc,Zm,Zy、4色のカートリッジ31の場合はZo=Zc,Zm,Zy,Zk)を記憶した。このため、色毎にインク消費量x(=xc,xm,xy,xk,)及びインク残量R(%)を求めることができる。従って、インクエンド値Zoを色毎に設定変更することができる。よって、色毎に設定インクエンド値Zから減量させる量を適宜設定して適宜なインクエンド値Zoに変更することができる。
(3)インク消費量xからインク残量Rを計算する計算式として前記(1)式を採用したので、プリンタ10側に設定された設定インクエンド値Zと、カートリッジ17のインクエンド値Zoが異なっていても、新品のBカートリッジ17Bを装填したときにインク残量Rを100%と適切に表示させることができる。このため、プリンタ10の量産開始間際又は製品出荷後にカートリッジ17内のインクエンド値Zoを変更しても、インク残量R(%)を適切に表示することができる。
(4)インク消費量xがニアエンドYに達してからは前記(2)式を採用したので、インク消費量xがニアエンドYからインクエンドZに至るまでの範囲では、インク残量Rを実際の残量に近い適切な値として表示させることができる。このため、インク消費量xがニアエンドYに達してニアエンド表示がなされたときに、インク残量R(%)がニアエンドに相当する適切な残量に表示されるので、例えばニアエンド表示がなされた割りに表示されたインク残量Rが多く感じる不都合を回避できる。
(5)前記(1)式及び(2)式は所定値(ニアエンドY)をどちらも通る直線を表す式なので、インク消費量xが所定値(ニアエンドY)に達してから、インク残量Rの算出式を前記(1)式から前記(2)式に切り替えても、インク残量Rを連続的に変化させることができる。このため、ニアエンドを境にインク残量Rが不連続な値をとる不自然な減り方の表示を回避でき、途中で算出式の切り替えがあってもインク残量Rを自然な減少の仕方で表示できる。
(6)前記(1)式及び(2)式は共にインク残量Rがインク消費量xの変化に対して一定の傾きで減少する計算式であるので、演算が比較的簡単で済み、CPU51にも負担がかかりにくい。
(7)初期吸引量bとオフセット値cの和を補正量aとし、インク消費量xが補正量aとなったときにインク残量Rが100%以上の値をとるように補正量aにより計算結果が補正されるような計算式(1)を採用した。このため、初期吸引量b(初期排出量)が交換クリーニング吸引量b1でも初期充填量b2(b1<b2))でも、補正量aの値に応じてインク消費量xに対するインク残量Rを表すグラフの傾きが変化することにより、新品のカートリッジ17を装填した最初は初期吸引終了後においてインク残量Rを100%と表示させることができる。さらにオフセット値cがどのような値であっても、補正量aの値に応じてインク消費量xに対するインク残量Rを表すグラフの傾きが変化することにより、新品のカートリッジ17を装填した最初は初期吸引終了後においてインク残量Rを100%と表示させることができる。従って、オフセット値cとしてマニャルクリーニングの吸引量も見込んだ値を設定しておけば、初期吸引処理後にユーザがマニュアルクリーニングを実施してもその実施後においてインク残量Rを100%に表示することもできる。
(8)計算式のインク消費量xに補正量aを代入したときにインク残量Rが「100」より大きな値をとるような計算式(つまり前記(1)式の右辺第2項の値だけ「100」より大きな値となる計算式)としている。計算結果が「100」を超える場合(R>100)は、100%に値を置き換えるので、インク残量Rは100%を最大値とする値として表示できる。このとき、前記(1)式より算出されたR値が「100」以上の値をとるうちはインク残量Rが100%に保持され、所定量のインクがさらに消費されるまで100%に維持される。このため、仮にユーザが吸引量の比較的少量のマニュアルクリーニングを最初に実施したり、何らかの原因(例えば途中で電源が切られる等の原因)により初期充填や交換クリーニングの吸引量が少し多めに実施されたりしても、最初の印刷が行われるときにはインク残量Rを100%に表示させることができる。
尚、発明の実施の形態は、上記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように変更してもよい。
(変形例1)前記実施形態では、インク残量Rの演算に前記(1)式及び(2)式を用したが、計算式はこれらの式に限定されない。補正量aをインク消費量xに代入したときに計算結果であるR値が満充填時の値(「100」以上の値)となる計算式を適宜採用することができる。例えば以下の計算式のように、インク消費量xの全範囲(0≦x≦Zの範囲)において1つの計算式を採用することもできる。
R(%)=(Z−x)/(Z−a)・100・k …(3)
ここで、Zはインクエンド、aは補正量(a=b+c)、kは定数(例えば1≦k<2)である。k=1のときは、インク消費量xが補正量aのときにインク残量Rが100%となり、x=aのときにR>100としたい場合は、k>1とする。この計算式を採用した場合も、新品のカートリッジ17Bを装填したときに最初のインク残量Rを100%に表示でき、しかもインク消費量xがインクエンドZに達したときにインク残量Rを「0」にできる。
(変形例1)前記実施形態では、インク残量Rの演算に前記(1)式及び(2)式を用したが、計算式はこれらの式に限定されない。補正量aをインク消費量xに代入したときに計算結果であるR値が満充填時の値(「100」以上の値)となる計算式を適宜採用することができる。例えば以下の計算式のように、インク消費量xの全範囲(0≦x≦Zの範囲)において1つの計算式を採用することもできる。
R(%)=(Z−x)/(Z−a)・100・k …(3)
ここで、Zはインクエンド、aは補正量(a=b+c)、kは定数(例えば1≦k<2)である。k=1のときは、インク消費量xが補正量aのときにインク残量Rが100%となり、x=aのときにR>100としたい場合は、k>1とする。この計算式を採用した場合も、新品のカートリッジ17Bを装填したときに最初のインク残量Rを100%に表示でき、しかもインク消費量xがインクエンドZに達したときにインク残量Rを「0」にできる。
(変形例2)前記実施形態では、第1計算式(前記(1)式)から第2計算式(前記(2)式)に切り替える所定値をニアエンドYとしたが、所定値はニアエンドYに限定されない。例えばx=M(≠Y)のときに計算式を切り替えるようにしてもよい。この場合、前記(1)式及び(2)式においてYをMに置き換えた計算式を採用すれば、x=Mの前後におけるR値の連続性は維持できる。なお、所定値は、インクエンドに近いほど前記(1)式(第1計算式)で示されるインク残量Rのグラフ線が急勾配にならずインクの減りが速く感じられないので好ましい。また、ニアエンドY及びインクエンドZなどインク残量Rに関する報知がなされるインク消費量のときは、正確な残量を報知できる前記(2)式の値を採用することが好ましく、これらを考慮して所定値を決めることが望ましい。
(変形例3)初期充填処理や交換排出処理などの液体排出処理は、前記実施形態における初期充填吸引や交換クリーニング吸引のようなインク吸引法に限定されない。例えば液体収容体(カートリッジ)内にポンプで流体(エア又はインク廃液)を供給するなどしてカートリッジ内を加圧することでインクを排出させる加圧法を採用できる。
(変形例4)前記実施形態では、新品のカートリッジであるか否かの判定に用いる取付け履歴情報として取付け回数を採用し、取付け回数が1回目であることをもって新品と判定する方法を採用したが、取付け履歴情報は取付け回数に限定されない。例えば新品であることを示す情報(例えば新品であれば「1」、新品でなければ「0」にする1ビット情報)を半導体記憶手段39に記憶する構成を採用することもできる。この方法でも、設定インクエンド値Zとインクエンド値Zoが異なってインク消費量xが例えば正の値をとっても、カートリッジを新品と判定できる。
(変形例5)前記実施形態では、カートリッジを新品と判定したときに、補正量aを補正定数に含む計算式を用いる構成としたが、この計算式を用いるのは新品と判定されたときに限定されない。新品でなくても、半導体記憶手段39に補正量aを求めるために必要な情報(例えばインクエンド値Zo)が記憶されていたり、本体側の不揮発性メモリ55に必要な情報(例えばシリアルNo.とインクエンド値Zo)が記憶されていたりすれば、補正量aを補正定数に含む計算式を用いてもよい。この構成であれば、1度装填済みの満充填に近いカートリッジを再度装填したときにインク残量Rを満充填に近い値として表示でき、また新品で装填したカートリッジを1度取り外して再度装填したときにインク残量Rが異なる不自然さを解消することもできる。
(変形例6)前記実施形態では、カートリッジ側の第2液体充填量情報としてインクエンド値Zoを採用し、インク重量やインク体積の値を示すデータ、あるいは設定インクエンド値(デフォルト値)に対する割合(%)とする例を示したが、これに限定されない。第2液体充填量情報は、液体充填量から一義的に決まる、液体充填量に関する情報であれば足りる。そして、その情報を使って、液体噴射装置(例えばプリンタ)側に設定(記憶)された第1液体充填量情報から定まる液体充填量(設定液体充填量)と液体収容体側に設定(記憶)された第2液体充填量情報から定まる液体充填量との差分である液量を消費量に含める液体消費量を算出できる情報であれば足りる。第1液体充填量情報についても同様である。例えば設定充填量とインク充填量をそれぞれ第1及び第2液体充填量情報とすることができる。また、上記の条件を満たせばニアエンドを第1及び第2液体充填量情報として用いることもできる。また、上記の条件を満たせば、異なる種類のデータ、例えばインク充填量とインクエンドをそれぞれ第1及び第2液体充填量情報に含めることもできる。すなわち、直接的な差分が前記各液体充填量の差分とならない異なるデータ種であっても、他の情報を一緒に用いることにより液体消費量を算出できるのであれば、それら異なる種類のデータのうち一方と前記他の情報とをもって液体充填量情報とすることもできる。このように液体充填量情報は複数の情報からなるものであってもよい。
また、差分が前記各液体充填量の差分に略等しくなる、インクエンド値やインク充填量などの値を、導くことができる情報でもよい。例えばその情報単独で導くことができる情報、あるいはその情報と第1記憶手段(本体側)に記憶された他の情報とから演算等により間接的に導くことができる情報、さらに複数の情報から導くことができる当該複数の情報からなるものでもよい。単独の情報としては、例えばインクエンド値であればその比例値、逆数値などが挙げられる。また、第1記憶手段側(本体側)の他の情報(複数情報含む)とから間接的に導くことができる情報としては、例えば他の情報の値(設定インクエンド値Z)又は他の情報から導かれた値(設定インクエンド値Z)に対する割合、比、差分などの情報が挙げられる。さらに、複数の情報としては、設定インクエンド値とその差分情報、あるいは体積と比重などが挙げられる。なお、第1液体充填量情報と第2液体充填量情報を用いて液体消費量を求める場合、その演算過程において各液体充填量は必ずしも求める必要はなく、消費量取得手段は液体消費量さえ取得できれば足りる。
(変形例7)前記実施形態では、液体噴射装置としてのインクジェット式のプリンタに具体化したが、この限りではなく、インク以外の他の液体(機能材料の粒子が分散されている液状体を含む)を噴射する液体噴射装置に具体化することもできる。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置であってもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に、本発明を適用してもよい。
以下、前記実施形態および各変形例から把握される技術的思想を記載する。
(1)請求項12乃至15のいずれか一項に記載の液体噴射装置において、前記所定値はニアエンドであることを特徴とする。これによれば、液体消費量がニアエンドに到達するまでは、液体残量は、新品の液体収容体を本体側に取り付けた最初に満充填時の値(例えば100%)として求められ、その後インクが消費されるに連れて、その後速やかにあるいは暫く満充填時の値に維持された後に、満充填時の値から減少し始めて、ニアエンドに達するまで徐々に減少する。そして、液体消費量がニアエンドに達してから液体エンドに至るまでは、ほぼ正確な液体残量が演算される。
(1)請求項12乃至15のいずれか一項に記載の液体噴射装置において、前記所定値はニアエンドであることを特徴とする。これによれば、液体消費量がニアエンドに到達するまでは、液体残量は、新品の液体収容体を本体側に取り付けた最初に満充填時の値(例えば100%)として求められ、その後インクが消費されるに連れて、その後速やかにあるいは暫く満充填時の値に維持された後に、満充填時の値から減少し始めて、ニアエンドに達するまで徐々に減少する。そして、液体消費量がニアエンドに達してから液体エンドに至るまでは、ほぼ正確な液体残量が演算される。
(2)請求項12乃至15及び前記技術的思想(1)のいずれか一項に記載の液体噴射装置において、前記第1計算式は、前記液体消費量が所定値に達するまでは最初満充填時の値で所定値まで前記液体消費量の変化に対して一定の傾きで減る計算式であり、前記第2計算式は、前記液体消費量が所定値から液体エンドまでは前記液体消費量の変化に対して一定の傾きで減るとともに実際の残量に近似した値を算出可能な計算式であることを特徴とする。これによれば、液体消費量の変化に対して一定の傾きで減少する計算式なので、計算式が比較的簡単で演算手段の演算処理の負荷が少なく済む。
(3)請求項4乃至7のいずれか一項に記載の液体噴射装置において、前記補正手段は、前記判定手段により新品と判定された前記液体収容体が本体側に取り付けられた状態で前記第1記憶手段及び第2記憶手段から読み取った前記第1及び第2液体充填量情報のそれぞれから定まる各液体充填量の差分に相当する液量の値と略等しい値を前記補正定数とすることを特徴とする。これによれば、液体収容体を新品に交換した際に交換排出処理が行われない場合(実施形態では図10におけるa=0の場合)、液体充填量の少ない新品の液体収容体を取り付けた最初に、液体残量として満充填時の値を得ることができる。
(4)請求項4乃至7及び前記技術的思想(3)のいずれか一項に記載の液体噴射装置において、前記補正手段は、前記判定手段により新品と判定された前記液体収容体が本体側に取り付けられたときに前記液体噴射手段による液体噴射処理実施前に予め行われる液体排出処理の終了後に前記消費量取得手段に取得される前記液体消費量の値を求め、該液体消費量の値に略等しい値を補正定数とすることを特徴とする。これによれば、液体充填量が少ない新品の液体収容体を取り付けた液体排出処理実施後で液体噴射処理未実施の状態において、液体残量として満充填時の値を得ることができる。
10…液体噴射装置としてのプリンタ、11…本体、13…キャリッジ、14…キャリッジモータ、14…タイミングベルト、16…液体噴射手段(液体噴射ヘッド)としての印刷ヘッド、17…液体収容体(液体カートリッジ)としてのカートリッジ、22…液体排出手段、初期充填手段及び交換排出手段を構成する紙送りモータ、25…メンテナンス装置、26…液体排出手段、初期充填手段及び交換排出手段を構成するキャップ、28…液体排出手段、初期充填手段及び交換排出手段を構成するポンプ、31…カートリッジ、33…回路基板(カートリッジIC)、33a…情報取得手段を構成する接続端子(カートリッジ側)、35…カートリッジ、36…カートリッジ、36a…収容室としてのインク室、37…回路基板(カートリッジIC)、38…情報取得手段を構成する接続端子(カートリッジ側)、39…第2記憶手段としての半導体記憶手段(不揮発性メモリ)、45…情報取得手段を構成する接続端子(本体側)、47…表示部、51…情報取得手段、送信手段を構成するとともに消費量取得手段、演算手段、残量演算手段、補正手段としてのCPU、55…第1記憶手段としての不揮発性メモリ、56…送信手段を構成するインターフェイス、57…情報取得手段を構成するインターフェイス、60…ホストコンピュータ、62…表示装置、62a…画面、66…印刷ドライバ、71…管理制御部、72…演算手段としての演算部、73…クリーニング管理部、74,74c,74m,74y,74k…消費量取得手段を構成するインク消費量カウンタ、79…初回判定手段を構成する1stインクカートリッジフラグ、81〜84…記憶領域、88…タイマ、91…判定手段を構成する取付け回数カウンタ、98…インクカートリッジ交換カウンタ、Z,Zc,Zm,Zy,Zk…第1液体充填量情報としての設定インクエンド値、Zo(Zoc,Zom,Zoy,Zok)…第2液体充填量情報としてのインクエンド値、x,xc,xm,xy,xk…インク消費量(本体側)、xo,xoc,xom,xoy,xok…インク消費量(カートリッジ側)、b…初期排出量としての初期吸引量、b1…交換クリーニング吸引量、b2…初期充填量、c…オフセット値、a…補正量(補正定数)。
Claims (16)
- 液体を噴射する液体噴射手段を有するとともに該液体噴射手段に液体を供給する液体収容体が着脱可能に取り付けられる液体噴射装置であって、
液体噴射装置の本体側に設けられた記憶手段であって当該本体側に取り付けられるべき液体収容体の液体充填量に関する第1液体充填量情報を記憶する第1記憶手段と、
前記液体収容体に設けられた記憶手段であって該液体収容体の液体充填量に関する第2液体充填量情報と該液体収容体が前記本体側に取り付けられた取付け履歴情報とを記憶する第2記憶手段と、
前記液体収容体が液体噴射装置の本体側に取り付けられた状態において前記第2記憶手段から情報を読み取る情報取得手段と、
前記第2記憶手段から読み取った第2液体充填量情報から定まる液体充填量と前記第1記憶手段から読み取った第1液体充填量情報から定まる液体充填量との差分に相当する液量を前記液体収容体の消費量に含める液体消費量を取得する消費量取得手段と、
前記液体消費量が液体の消費されていないときの値をとるか又は前記取付け履歴情報が初めて取り付けられたときの値をとる場合は、前記液体収容体が未使用の新品であると判定する判定手段と
を備えたことを特徴とする液体噴射装置。 - 請求項1に記載の液体噴射装置において、
前記液体収容体は複数種の液体を複数の収容室に別々に収容するものであって、前記第2記憶手段には前記複数種の液体毎に第2液体充填量情報が記憶されており、
前記消費量取得手段は前記液体毎に液体消費量を求め、
前記判定手段は、複数種の液体すべてについて液体消費量が液体の消費されていないときの値をとるか又は前記取付け履歴情報が初めて取り付けられたときの値をとる場合は、前記液体収容体が未使用の新品であると判定することを特徴とする液体噴射装置。 - 請求項1又は2に記載の液体噴射装置において、
前記判定手段により液体収容体が未使用の新品と判定されると、該液体収容体から所定量の液体を排出させる初期排出処理を行う液体排出手段をさらに備えたことを特徴とする液体噴射装置。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液体噴射装置において、
前記液体消費量のデータを用いて前記液体収容体の液体残量を演算する演算手段をさらに備え、
前記演算手段は、前記液体消費量を変数とする所定の計算式に基づいて前記液体消費量から前記液体収容体の液体残量を演算する残量演算手段と、
前記計算式に含まれる補正定数であって前記液体消費量の値が前記差分に相当する液量の値に達するまでは前記計算式に基づく計算結果である液体残量が満充填時の値に演算されるように前記計算式を補正する当該補正定数を前記差分に相当するオフセット値に応じて変化する値として求める補正手段と
を備えたことを特徴とする液体噴射装置。 - 液体を噴射する液体噴射手段を有するとともに該液体噴射手段に液体を供給する液体収容体が着脱可能に取り付けられる液体噴射装置であって、
液体噴射装置の本体側に設けられた記憶手段であって当該本体側に取り付けられるべき液体収容体の液体充填量に関する第1液体充填量情報を記憶する第1記憶手段と、
前記液体収容体に設けられた記憶手段であって該液体収容体の液体充填量に関する第2液体充填量情報を記憶する第2記憶手段と、
前記液体収容体が液体噴射装置の本体側に取り付けられた状態において前記第2記憶手段から情報を読み取る情報取得手段と、
前記第2記憶手段から読み取った第2液体充填量情報から定まる液体充填量と前記第1記憶手段から読み取った第1液体充填量情報から定まる液体充填量との差分に相当する液量を消費量に含める液体消費量を前記第1及び第2液体充填量情報を用いて求める消費量取得手段と、
前記液体消費量のデータを用いて前記液体収容体の液体残量を演算する演算手段と
を備え、
前記演算手段は、前記液体消費量を変数とする所定の計算式に基づいて前記液体消費量から前記液体収容体の液体残量を演算する残量演算手段と、
前記計算式に含まれる補正定数であって前記液体消費量の値が前記差分に相当する液量の値に達するまでは前記計算式に基づく計算結果である液体残量が満充填時の値に演算されるように前記計算式を補正する当該補正定数を前記差分に相当するオフセット値に応じて変化する値として求める補正手段と
を備えたことを特徴とする液体噴射装置。 - 請求項5に記載の液体噴射装置において、
前記液体収容体が未使用の新品であるか否かを判定する判定手段をさらに備え、
前記補正手段は、前記判定手段により新品と判定された前記液体収容体の前記第2記憶手段から読み取られた前記第2液体充填量情報から定まる液体充填量と前記第1液体充填量情報から定まる液体充填量との差分に相当するオフセット値を求め、該オフセット値に応じて変化する値として前記補正定数を求めることを特徴とする液体噴射装置。 - 請求項5又は6に記載の液体噴射装置において、
前記液体収容体は複数種の液体を複数の収容室に別々に収容するものであって、前記第2記憶手段は前記液体毎の第2液体充填量情報が記憶される記憶領域を有し、
前記消費量取得手段は前記液体毎に液体消費量を求め、
前記演算手段は、前記補正手段により前記液体毎に前記補正定数を求めるとともに、前記残量演算手段により前記液体毎の液体消費量から前記液体毎の前記補正定数を含む前記計算式に基づき前記液体毎の前記液体残量をそれぞれ演算することを特徴とする液体噴射装置。 - 請求項4、6乃至7のいずれか一項に記載の液体噴射装置において、
前記本体側に取り付けられた前記液体収容体が前記判定手段により新品と判定されると、前記液体噴射手段による液体噴射処理の実施前に予め前記液体収容体から所定量の液体を排出する初期排出処理を実施する液体排出手段をさらに備え、
前記補正手段は、前記初期排出処理で消費される初期排出量の値を求め、前記液体消費量の値が前記差分と前記初期排出量の和に相当する値に達するまでは前記計算式に基づく計算結果である液体残量が満充填時の値に演算されうる前記補正定数を前記オフセット値と前記初期排出量の各値に応じて変化する値として求めることを特徴とする液体噴射装置。 - 請求項4乃至8のいずれか一項に記載の液体噴射装置において、
前記本体側に取り付けられた前記液体収容体が前記本体にとって初めて取り付けられた初回品であるか否かを判定する初回判定手段と、
前記本体側に取り付けられた前記液体収容体が初回品と判定されると、前記液体噴射手段の噴射口に至るまでの流路に液体を充填する初期充填処理を実施する初期充填手段とをさらに備え、
前記補正手段は、前記初期充填処理で消費される初期充填量の値を求め、前記液体消費量の値が前記差分と前記初期充填量の和に相当する値に達するまでは前記計算式に基づく計算結果である液体残量が満充填時の値に演算されうる前記補正定数を前記オフセット値と前記初期充填量の各値に応じて変化する値として求めることを特徴とする液体噴射装置。 - 請求項4、6乃至9のいずれか一項に記載の液体噴射装置において、
前記判定手段は、前記本体側に取り付けられた前記液体収容体が交換された新品であるか否かを判定し、
前記本体側に取り付けられた前記液体収容体が交換された新品と判定されると、前記液体噴射手段による液体噴射処理の実施前に予め所定量の液体を排出させる交換排出処理を実施する交換排出手段をさらに備え、
前記補正手段は、前記交換排出処理で消費される液体排出量の値を求め、前記液体消費量の値が前記差分と前記液体排出量の和に相当する値に達するまでは前記計算式に基づく計算結果である液体残量が満充填時の値に演算されうる前記補正定数を前記オフセット値と前記液体排出量の各値に応じて変化する値として求めることを特徴とする液体噴射装置。 - 請求項4乃至10のいずれか一項に記載の液体噴射装置において、
前記演算手段は、前記残量演算手段が前記液体消費量から前記計算式に基づき演算した前記液体残量がその最大値を超える値をとる場合は、当該液体残量の値を最大値に置き換えることを特徴とする液体噴射装置。 - 請求項4乃至11のいずれか一項に記載の液体噴射装置において、
前記残量演算手段は、前記液体消費量が所定値に達するまで用いられる前記計算式である第1計算式と、前記液体消費量が所定値を超えた範囲で用いられる第2計算式とを切り替えて使用するように構成され、前記第2計算式は、前記液体消費量が前記所定値のときに前記第1計算式に基づく計算結果と前記第2計算式に基づく計算結果とが略等しい値をとるとともに前記液体消費量が液体エンドの値に達したときに前記第2計算式に基づく計算結果である液体残量が液体の空になったときの値に演算される計算式であることを特徴とする液体噴射装置。 - 請求項12に記載の液体噴射装置において、
前記第2計算式は、前記液体消費量を変数にもち補正定数を含まない計算式であることを特徴とする液体噴射装置。 - 請求項12又は13に記載の液体噴射装置において、
前記第1計算式は、前記変数と前記補正定数を含むとともに前記液体消費量が前記補正定数に等しい値になったときに液体残量の最大値に略等しい値をとる変数項と、該変数項との和で表された正の定数項とを有することを特徴とする液体噴射装置。 - 請求項12乃至14のいずれか一項に記載の液体噴射装置において、
前記第1計算式は、前記変数と前記補正定数を含むとともに前記液体消費量が前記所定値のときに零の値をとる変数項と、該変数項との和で表された正の定数項とを有し、前記第2計算式は、前記液体消費量が前記所定値のときに前記定数項の値に略等しいことを特徴とする液体噴射装置。 - 請求項4乃至15のいずれか一項に記載の液体噴射装置において、
前記液体噴射装置の本体と通信可能に接続されるホストコンピュータが有する表示装置の画面に液体残量を表示させるために、前記演算手段が演算した液体残量のデータを、該ホストコンピュータに送信する送信手段を有することを特徴とする液体噴射装置。
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- 2005-11-10 JP JP2005326449A patent/JP2007130897A/ja active Pending
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