以下、本開示の技術の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。
なお、本明細書にて用いる「第1」、「第2」、及び「第3」等などの用語は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、プロジェクタ又はレンズ内に存在する構成要素の数を限定するものではない。
「第1実施形態」
(プロジェクタと屈曲光学系を有する投射レンズの基本構成)
図1に示すように、本実施形態のプロジェクタ10は、投射装置に相当し、投射レンズ11と、本体部12とを備える。本体部12は、筐体に相当する。投射レンズ11の一端部は本体部12に取り付けられている。図1は、プロジェクタ10を使用しない場合に、投射レンズ11を収納した収納状態を示している。
本体部12は、ベース部12Aと、突出部12Bとを備えている。ベース部12Aは、画像形成ユニット26(図4参照)及び制御基板(図示せず)等の主要部品を収容する。
ベース部12Aは、図1に示す平面視において、横長の略矩形状である。突出部12Bは、ベース部12Aの長手方向に延びる一辺において、一方の端部から突出している。突出部12Bは略矩形状であり、突出部12Bの幅は、ベース部12Aの一辺の長さの略半分程度である。そのため、本体部12は、ベース部12Aと突出部12Bとを合わせた全体として、平面視において、略L字形状である。なお、略L字形状は、本体部の形状の一例であり、突出部12Bとベース部12Aのそれぞれの形状及び配置を含めて適宜変更が可能である。
図1において、突出部12Bの左横に生じる空間は、投射レンズ11が配置される空間である。この空間は、不使用時の投射レンズ11の外形が収まる空間であるため、ここでは、投射レンズ11を収納する収納部12Cと呼ぶ。突出部12Bと同様に平面視において略矩形状をしている。つまり、図1において、本体部12の外周面のうち、上側の側面12D及び左側の側面12Eを、側面12Dと側面12Eとが交差する方向に延長したと仮定する。この延長された各側面12D及び側面12Eを外縁として画定される空間が、収納部12Cである。そのため、本体部12は、単体では略L字形状であるが、収納部12Cを含めた全体としてみると、平面視において略矩形状になる。収納部12Cは、プロジェクタ10を縦置きした場合の突出部12Bの高さに対して、ベース部12A側に窪んでいる部分と見ることもできるため、窪み部とも言える。
投射レンズ11は、プロジェクタ10を使用しない場合においては、矩形状の収納部12Cから出っ張らないよう変形されたうえで、収納部12Cに収納される。そのため、図1に示すように、収納状態においては、プロジェクタ10は、L字状の本体部12と投射レンズ11とを組み合わせた全体として、略直方体形状になり、外周面の凹凸が少なくなる。これにより、収納状態においては、プロジェクタ10の持ち運び及び収納がしやすい。
投射レンズ11には、画像形成ユニット26で形成された画像を表す光束が本体部12から入射する。投射レンズ11は、入射した光束に基づく画像光を、光学系により拡大して結像する。これにより、投射レンズ11は、画像形成ユニット26で形成された画像の拡大像を投射画像Pとしてスクリーン36(図4参照)に投射する。すなわち、投射レンズ11は、電気光学素子の一例である画像形成ユニット26からの光が通過する投射レンズの一例である。また、スクリーン36は、投射画像Pが投射される対象物を意味し、スクリーン36としては、専用のスクリーンの他、部屋の壁面の他、床面及び天井などでもよい。また、プロジェクタ10を室外で使用する場合は、建物の外壁などもスクリーン36に含まれる。
投射レンズ11は、一例として、光軸を2回屈曲させる屈曲光学系(図2及び図3参照)を有しており、図1に示す収納状態では、投射レンズ11は、全体として、上方に凸の略U字形状をしている。投射レンズ11は、入射側端部14A、中間部14B、及び出射側端部14Cを備えている。中間部14Bの両端のうちの一端には、入射側端部14Aが接続され、中間部14Bの両端のうちの他端には、出射側端部14Cが接続される。入射側端部14Aには、本体部12からの光が入射する。出射側端部14Cには、出射レンズ16が設けられている。本体部12から入射側端部14Aに入射された光は中間部14Bを介して出射側端部14Cに導かれる。出射側端部14Cは、本体部12から入射側端部14A及び中間部14Bを介して導かれた光を出射レンズ16からスクリーン36に向けて光を出射する。
入射側端部14Aは、本体部12に取り付けられる。入射側端部14Aの取り付け位置は、図1の左右方向において、突出部12Bに隣接した位置であり、ベース部12Aの中央付近に位置する。投射レンズ11の収納状態において、中間部14Bは、ベース部12Aの中央付近から、突出部12Bとは反対の端部側、すなわち、図1において左側に延びている。出射側端部14Cの角部14Dと、突出部12Bの角部12Fとは、図1における左右方向において略対称をなす位置に配置される。
出射側端部14Cの外形は、突出部12Bの外形とほぼ同様の形状で形成されており、投射レンズ11の外形と本体部12の外形とに統一感を持たせている。このため、収納状態においては、投射レンズ11の外形が、あたかも本体部12の外形の一部を構成するようなデザインになっている。
図2及び図3に示すように、投射レンズ11は、屈曲光学系を備えている。屈曲光学系は、第1光軸A1、第2光軸A2、及び第3光軸A3を有する。第2光軸A2は、本例においては、第1光軸A1に対して90°屈曲した光軸である。第3光軸A3は、本例においては、第2光軸A2に対して90°屈曲した光軸である。
入射側端部14Aは、本体部12に対して回転不能に取り付けられている。中間部14Bは、入射側端部14Aに対して第1光軸A1回りに回転可能である。中間部14Bには、出射側端部14Cが連結されているため、中間部14Bが入射側端部14Aに対して回転すると、出射側端部14Cも第1光軸A1回りに回転する。第1光軸A1回りの回転可能範囲は360°未満であり、本例においては180°である。第1光軸A1回りの回転可能範囲が360°未満に制限されているのは、突出部12Bが入射側端部14Aに隣接している状態において、突出部12Bと投射レンズ11との干渉を防止するためである。
なお、本例では、中間部14Bと入射側端部14Aとを分離した構成とし、第1光軸A1回りに回転する部分を中間部14Bのみとしている。しかし、例えば、中間部14Bと入射側端部14Aとを一体的に構成してもよく、その場合は、中間部14Bとともに入射側端部14Aを第1光軸A1回りに回転可能となるようにしてもよい。
また、出射側端部14Cは、中間部14Bに対して第2光軸A2回りに回転可能である。中間部14Bとは異なり、第2光軸A2回りの出射側端部14Cの回転に制限はない。例えば、出射側端部14Cを360°以上回転させることも可能である。
まとめると、出射側端部14Cは、第1光軸A1と第2光軸A2との2軸を回転軸として回転可能である。これにより、ユーザは、本体部12を移動させることなく、投射レンズ11の投射方向を変化させることができる。
図2は、設置面18に対して、プロジェクタ10を横置きにした状態を示し、図3は、設置面18に対して、プロジェクタ10を縦置きにした状態を示す。このように、プロジェクタ10は、横置きの姿勢及び縦置きの姿勢で使用することが可能である。
図3に示すように、突出部12Bの側面12Dには、操作パネル22が設けられている。操作パネル22は、複数の操作スイッチを有する。操作スイッチは、例えば、電源スイッチ及び調整用スイッチ等である。調整用スイッチは、各種の調整を行うためのスイッチである。調整用スイッチには、例えば、スクリーン36に投射される画像の画質調整、及び台形補正を行うためのスイッチが含まれる。さらに、調整用スイッチには、後述するレンズシフト機構57(図5等参照)及び遮光機構65(図6等参照)を操作するためのスイッチも含まれる。レンズシフト機構57は、画像の投射位置の調整に用いられる。遮光機構65は、投射レンズ11が投射する光の一部を減光するために用いられる。
図4に示すように、本体部12には、画像形成ユニット26が設けられている。画像形成ユニット26は、投射する画像を形成する。画像形成ユニット26は、画像形成パネル32、光源34、及び導光部材(図示せず)等を備えている。画像形成パネル32は、電気光学素子の一例である。
光源34は、画像形成パネル32に光を照射する。導光部材は、光源34からの光を画像形成パネル32に導光する。画像形成ユニット26は、例えば、画像形成パネル32としてDMDを使用した反射型の画像形成ユニットである。DMDは、周知の通り、光源34から照射される光の反射方向を変化させることが可能な複数のマイクロミラーを有しており、各マイクロミラーを画素単位で二次元に配列した画像表示素子である。DMDは、画像に応じて各マイクロミラーの向きを変化させることで、光源34からの光の反射光のオンオフを切り替えることにより、画像に応じた光変調を行う。
光源34の一例としては、白色光源が挙げられる。白色光源は、白色光を発する。白色光源は、例えば、青色光を発するレーザ光源と、青色光を励起光として黄色光を発する蛍光体とを組み合わせることで実現される光源である。
図5及び図6に示すように、投射レンズ11は、レンズ鏡胴40を備えている。レンズ鏡胴40は、屈曲光学系を収容する。レンズ鏡胴40は、第1鏡胴部41、第2鏡胴部42、及び第3鏡胴部43を備えている。第1鏡胴部41、第2鏡胴部42、及び第3鏡胴部43の各々は、レンズを収容している。第1鏡胴部41に収容されているレンズは、第1光軸A1上に配置されている。第2鏡胴部42に収容されているレンズは、第2光軸A2上に配置されている。第3鏡胴部43に収容されているレンズは、第3光軸A3上に配置されている。第1鏡胴部41の中心軸は、第1光軸A1と略一致している。第2鏡胴部42の中心軸は、第2光軸A2と略一致している。第3鏡胴部43の中心軸は、第3光軸A3と略一致している。なお、図5及び図6は、図2及び図4で示した略U字形状の状態におけるレンズ鏡胴40を示している。
なお、本明細書においては、説明を簡略化するため、図において各々レンズの詳細な構成は省略している。そのため、図において1枚のレンズとして示されているレンズでも、実際には、1枚で構成されている場合もあれば、複数枚のレンズで構成されている場合もある。
第1鏡胴部41は、最も入射側に位置する鏡胴部であり、第3鏡胴部43は、最も出射側に位置する鏡胴部であり、第2鏡胴部42は、第1鏡胴部41と第3鏡胴部43の間に位置する鏡胴部である。投射レンズ11が有する光学系は、画像形成パネル32から入射する光束を拡大してスクリーン36に投射する拡大光学系である。そのため、入射側は縮小側と同義であり、出射側は拡大側と同義である。以下において、入射側を縮小側と、出射側を拡大側と言い換える場合もある。
さらに、レンズ鏡胴40は、第1ミラー保持部44および第2ミラー保持部46を備えている。第1ミラー保持部44は、第1ミラー48を保持し、第2ミラー保持部46は、第2ミラー49を保持する。第1ミラー48及び第2ミラー49は、それぞれ、屈曲光学系を構成する光学素子の1つであり、光軸を屈曲させる反射部である。第1ミラー48は、第1光軸A1の光を折り曲げて第2光軸A2の光にする第1反射部の一例である。第2ミラー49は、第2光軸A2の光を折り曲げて第3光軸A3の光にする第2反射部の一例である。第1ミラー保持部44は、第1鏡胴部41と第2鏡胴部42との間に配置されている。第2ミラー保持部46は、第2鏡胴部42と第3鏡胴部43との間に配置されている。
レンズ鏡胴40は、出射レンズ16等の一部を除いて、外装カバー50で覆われている。外装カバー50は、第1外装カバー50A、第2外装カバー50B、及び第3外装カバー50Cを有する。第1外装カバー50Aは、入射側端部14Aに対応している外装カバーであり、第2外装カバー50Bは、中間部14Bに対応する外装カバーであり、第3外装カバー50Cは、出射側端部14Cに対応する外装カバーである。
第1外装カバー50Aは、第1鏡胴部41を覆い、入射側端部14Aの外周面を構成する。第2外装カバー50Bは、主として、第1ミラー保持部44と第2鏡胴部42とを覆い、中間部14Bの外周面を構成する。第3外装カバー50Cは、主として、第2ミラー保持部46と第3鏡胴部43とを覆い、出射側端部14Cの外周面を構成する。
また、図7にも示すように、レンズ鏡胴40の外部には、各種のアクチュエータが配置されている。具体的には、第1鏡胴部41の外周面には、ズーム用モータ51が設けられており、第2ミラー保持部46の外周面には、フォーカス用モータ52が設けられている。また、第1ミラー保持部44の外周面には、ソレノイド53(図6参照)が設けられており、第2鏡胴部42の外周面には、ソレノイド54が設けられている。ソレノイド53は、第1回転ロック機構を構成する。ソレノイド54は、第2回転ロック機構を構成する。
図6において、第1鏡胴部41は、内筒41A、外筒41B、ズームレンズ鏡胴41C、カム筒41D、及びフォーカス調整筒41Eを備えている。内筒41Aの第1光軸A1における入射側の端部には、内筒41Aの径方向の外側に向けて突出するフランジ56が設けられている。フランジ56は、図5に示すレンズシフト機構57(図24も参照)にレンズ鏡胴40を取り付けるための取り付け部である。投射レンズ11は、レンズシフト機構57を介して本体部12に取り付けられる。レンズシフト機構57は、本体部12に固定される。また、内筒41Aは、レンズシフト機構57に固定される。レンズシフト機構57及び内筒41Aは、本体部12に対して第1光軸A1回りに回転不能である。外筒41Bは、内筒41Aの出射側に配置されており、内筒41Aの外周面の一部を覆う。外筒41Bは、内筒41Aに対して第1光軸A1回りに回転可能に取り付けられている。
第1鏡胴部41は、第1光学系L1を保持する。第1光学系L1は、第1光軸A1の光が通過する第1光学系の一例である。第1光学系L1は、例えば、レンズFA、レンズ群Z1及びレンズZ2で構成される。レンズ群Z1は、レンズZ11及びレンズZ12で構成される。内筒41A内には、カム筒41Dとズームレンズ鏡胴41Cとが収容されている。ズームレンズ鏡胴41Cは、2群のズームレンズを有する。2群のズームレンズは、レンズ群Z1とレンズZ2とで構成されている。ズームレンズ鏡胴41Cの内部には、レンズZ11とレンズZ12の間に、固定絞りStが設けられている。
カム筒41Dは、ズーム用モータ51の駆動によって回転する。内筒41Aの外側には、円筒状のギヤ58が設けられている。ギヤ58を介して、ズーム用モータ51の駆動力がカム筒41Dに伝達される。レンズ鏡胴40内には、レンズ群Z1及びレンズZ2を含むズームレンズが設けられており、レンズ鏡胴40の外部には、ズームレンズを駆動するズーム用モータ51が配置されている。ズーム用モータ51は、第2電気駆動部の一例である。
フォーカス調整筒41Eは、内筒41Aの入射側の端部に取り付けられており、内筒41Aに対して第1光軸A1回りに回転可能である。フォーカス調整筒41Eの出射側の端部の外周面と、内筒41Aの内周面には、それぞれネジ溝が形成されており、各ネジ溝が噛み合う。内筒41Aは本体部12に対して固定されているため、フォーカス調整筒41Eが内筒41Aに対して回転すると、ネジの作用によってフォーカス調整筒41Eが第1光軸A1に沿って移動する。この移動により、フォーカス調整筒41E内のフォーカス調整用のレンズFAは、第1光軸A1に沿って移動する。
外筒41Bの外周面には、第1回転位置検出センサ59が設けられている。第1回転位置検出センサ59は、内筒41Aに対する外筒41Bの回転位置を検出する。第1回転位置検出センサ59は、例えばフォトセンサである。内筒41Aの外周面には、第1回転位置検出センサ59によって光学的に読み取られるパターンが形成されたパターン形成部(図示せず)が設けられている。パターン形成部には、内筒41Aの周方向の位置に応じて異なる複数のパターンが形成されている。外筒41Bの回転位置に応じて、第1回転位置検出センサ59によって読み取られるパターンが変化する。これにより、内筒41Aに対する外筒41Bの回転位置が検出される。
また、レンズ鏡胴40内において、内筒41Aの出射側の端部には、遮光機構65が設けられている。内筒41Aは、本体部12に対して第1光軸A1回りに回転しないため、遮光機構65も第1光軸A1回りに回転しない。遮光機構65は、後述するように、電気光学素子の一例である画像形成パネル32が発する光の一部を遮光する遮光部の一例である。本例において、遮光機構65は、レンズ鏡胴40内に配置されている。
第1ミラー保持部44は、外筒41Bの出射側の端部に取り付けられている。このため、第1ミラー保持部44は、内筒41Aに対する外筒41Bの第1光軸A1回りの回転に伴って、第1光軸A1回りに回転する。第1ミラー保持部44は、第1ミラー48の反射面が、第1光軸A1及び第2光軸A2のそれぞれに対して45°の角度をなす姿勢で第1ミラー48を保持する。第1ミラー48は、ガラス等の透明部材に反射膜をコーティングした鏡面反射型のミラーである。
第2鏡胴部42は、外筒42Aと内筒42Bとを備えている。外筒42Aは、入射側の端部が第1ミラー保持部44に取り付けられている。内筒42Bは、外筒42Aに対して第2光軸A2回りに回転可能に取り付けられている。
第2鏡胴部42は、第2光学系L2を保持する。第2光学系L2は、第2光軸A2の光が通過する第2光学系の一例である。第2光学系L2は、例えば、レンズL21及びレンズL22で構成される。外筒42Aは、レンズL21を保持する。内筒42Bは、レンズL22を保持する。レンズL22は、一例として、2枚構成のレンズである。
本例において、第2光学系L2は、リレーレンズとして機能する。より具体的には、第1鏡胴部41の第1光学系L1は、第1ミラー保持部44内において、中間像MIを形成する。第2光学系L2は、この中間像MIを被写体として、中間像MIを表す光束を第2ミラー保持部46及び第3鏡胴部43に中継する。レンズ鏡胴40内において中間像MIを形成することにより、中間像MIよりも拡大側のレンズ径の大径化を抑制することができる。すなわち、投射レンズ11は、画像形成パネル32の画像表示面のサイズの画像を投射画像Pのサイズまで拡大する。そのため、中間像MIを形成しない場合は、縮小側から拡大側に向かって広がる光束を通過させるために、縮小側から拡大側に向かってレンズ径を拡大させつづけなければならない。しかし、中間像MIを形成することにより、光束をいったん絞ることができるため、中間像MIよりも拡大側のレンズ径の大径化を抑制することができる。
第2鏡胴部42において、第2ミラー保持部46は、内筒42Bの出射側の端部に取り付けられている。このため、第2ミラー保持部46は、外筒42Aに対する内筒42Bの第2光軸A2回りの回転に伴って、第2光軸A2回りに回転する。
外筒42Aの外周面には、第2回転位置検出センサ60が設けられている。第2回転位置検出センサ60は、外筒42Aに対する内筒42Bの回転位置を検出する。第2回転位置検出センサ60は、第1回転位置検出センサ59と同様に、例えばフォトセンサである。内筒42Bの外周面には、第2回転位置検出センサ60によって光学的に読み取られるパターンが形成されたパターン形成部(図示せず)が設けられている。パターン形成部には、内筒42Bの周方向の位置に応じて異なる複数のパターンが形成されている。内筒42Bの回転位置に応じて、第2回転位置検出センサ60によって読み取られるパターンが変化する。これにより、外筒42Aに対する内筒42Bの回転位置が検出される。
投射レンズ11のように、複数の光軸が互いに回転する屈曲光学系を備えている場合、光軸の回転に応じて、スクリーン36に投射される投射画像Pの表示姿勢が変化する。本体部12は、第1回転位置検出センサ59及び第2回転位置検出センサ60によって検出される回転位置に応じて、画像形成パネル32で形成する画像の天地左右を変化させる。
第2ミラー保持部46は、第2ミラー49の反射面が、第2光軸A2及び第3光軸A3のそれぞれに対して45°の角度をなす姿勢で第2ミラー49を保持する。第2ミラー49は、第1ミラー48と同様の鏡面反射型のミラーである。
第2ミラー保持部46の出射側の端部46Aは、第3鏡胴部43を構成している。第3鏡胴部43は、端部46Aに加えて、固定筒43Aと、出射レンズ保持枠43Bと、フォーカスレンズ鏡胴43Cとを備えている。
第3鏡胴部43は、第3光学系L3を保持する。第3光学系L3は、第3光軸A3の光が通過する光学系であり、第3光学系L3は、第3光軸A3から光を投射する投射光学系の一例である。第3光学系L3は、例えば、レンズL31、レンズL32、及び出射レンズ16で構成される。端部46Aは、中心軸が第3光軸A3と略一致する筒状部であり、レンズL31を保持するレンズ保持枠として機能する。
端部46Aの出射側には、固定筒43Aが取り付けられている。固定筒43Aの出射側の端部には、出射レンズ保持枠43Bが取り付けられている。固定筒43Aは、内周側で、フォーカスレンズ鏡胴43Cを第3光軸A3方向に移動可能に保持する。フォーカスレンズ鏡胴43Cは、フォーカス用のレンズL32を保持する。フォーカス用モータ52は、固定筒43Aの外周に配置されたギヤ62及び駆動ピン62Aを介して、レンズL32を移動する。
また、第1鏡胴部41の内筒41A及び外筒41Bは、第1ミラー48(第1反射部の一例)及び第2光学系L2(第2光学系の一例)を第1光軸A1回りに回転させる第1回転機構の一例である。また、第2鏡胴部42の外筒42A及び内筒42Bは、第2ミラー49(第2反射部の一例)及び第3光学系L3(投射光学系の一例)を第2光軸A2回りに回転させる第2回転機構の一例である。
図3に示したように、こうした第1回転機構によって、投射レンズ11は、本体部12に対して、中間部14B及び出射側端部14Cが第1光軸A1回りに回転する。また、第2回転機構によって、中間部14Bに対して出射側端部14Cが第2光軸A2回りに回転する。
(遮光機構の配置と中間像の形成位置との関係)
図8は、投射レンズ11の光線図の一例である。図8に示すように、画像形成パネル32が発する光は、第1光学系L1に入射する。第1光学系L1は、入射した光を中間像MIとして結像する。本例では、中間像MIの形成位置は、第1ミラー48と第2光学系L2との間に設定されている。中間像MIとして結像された光は、第2光学系L2を通過して、第2ミラー49に入射する。第2ミラー49で反射した光は、第3光学系L3に入射する。第3光学系L3に入射した光は、第3光学系L3を通って、出射レンズ16からスクリーン36に向けて投射される。
図8は、画像形成パネル32の中心32Aに対して第1光軸A1がオフセットされた状態の例である。画像形成パネル32の中心32Aは、第1光軸A1よりも図8の下方に向けてオフセットされている。これに対応して、投射画像Pの投射位置は、第3光軸A3よりも、図8の上方に向けてオフセットされている。
また、投射レンズ11の出射端である出射レンズ16の近傍においては、軸上光線と軸外光線とが最も分散している。レンズ鏡胴40内の光路において、軸上光線と軸外光線の分散度合いが比較的高い位置は、中間像MIの形成位置の縮小側又は拡大側の近傍である。後述するように、遮光機構65は、出射レンズ16から投射される光の周辺光量を減光するために用いられる。その目的から考えれば、投射画像Pの画面全体の明るさが低下することは好ましくなく、投射レンズ11を通過する光の周辺の光線のみが遮光機構65によって遮光されることが好ましい。周辺の光線のみを遮光するためには、軸上光線と軸外光線の分散度合いが比較的高いところが好ましいため、遮光機構65は、中間像MIの形成位置の縮小側の近傍に配置されている。具体的には、遮光機構65は、中間像MIの形成位置の縮小側において、形成位置を基準に1枚目のレンズZ2と、第1ミラー48との間に配置されている。レンズZ2は、言い換えれば、中間像MIの形成位置の縮小側において、最も中間像MIに近いレンズである。
(投射レンズの姿勢変化)
図9から図12を用いて、プロジェクタ10における投射レンズ11の姿勢変化について説明する。まず、図9は、投射レンズ11が収納状態にある場合の外観図であり、図9Aが平面図、図9Bが正面図、図9Cが側面図である。ここで、図9に示す投射レンズ11の姿勢を、第1光軸A1回りの回転位置及び第2光軸回りA2の回転位置のそれぞれの初期位置とする。初期位置において、投射レンズ11の第1光軸A1回りの回転角度は0°であり、第2光軸A2回りの回転角度も0°である。
図10は、プロジェクタ10を第1光軸A1方向から見た正面図である。図10に示すように、本例において、投射レンズ11は、本体部12に対して、第1光軸A1回りに90°間隔で回転する。これにより、投射レンズ11において、第1光軸A1回りに第2光軸A2を90°間隔で回転させることが可能である。上述のとおり、第1光軸A1回りの投射レンズ11の回転範囲は本例においては180°である。図10Aに示す回転位置は、図9Bにも示した初期位置であり、第1光軸A1回りの回転角度が0°の位置である。図10Aに示す初期位置を基準に反時計方向を正とすると、図10Bに示す投射レンズ11の回転位置は、回転角度が正方向(+)に90°の回転位置である。図10Cに示す投射レンズ11の回転位置は、回転角度が負方向(-)に90°の回転位置である。このように、投射レンズ11は、第1光軸A1回りの回転位置を、図10Aから図10Cに示す3つの回転位置に変更することが可能である。
図11及び図12は、図10Bに示したように投射レンズ11を第1光軸A1回りに正方向(+)に90°回転させた状態のプロジェクタ10の平面図である。図11及び図12に示すように、本例の投射レンズ11において、出射側端部14Cは、中間部14Bに対して、第2光軸A2回りに90°間隔で回転する。これにより、投射レンズ11において、第2光軸A2回りに第3光軸A3を90°間隔で回転させることが可能である。上述のとおり、第2光軸A2回りの出射側端部14Cの回転範囲は本例においては360°以上である。図11Aに示す回転位置は、図9に示した第2光軸A2回りの初期位置であり、出射側端部14Cの回転角度が0°の位置である。
なお、図9では、投射レンズ11の第1光軸A1回りの回転位置が初期位置の状態を示しているのに対して、図11Aでは、第1光軸A1回りの回転位置が正方向(+)に90°回転している。しかし、出射側端部14Cの第2光軸A2回りの回転位置についていえば、図11Aは、図9と同様である。図11Aに示す第2光軸A2回りの回転位置は、初期位置を基準に時計方向を正とすると、図11Bに示す出射側端部14Cの回転位置は、回転角度が90°の回転位置である。また、図12において、図12Aに示す出射側端部14Cの回転位置は、回転角度が180°の回転位置である。図12Bに示す出射側端部14Cの回転位置は、回転角度が270°の回転位置である。このように、投射レンズ11において、出射側端部14Cは、第1光軸A1回りの回転位置を、図11A、図11B、図12A、及び図12Bに示す4つの回転位置に変更することが可能である。
このように、投射レンズ11は、第1光軸A1回りに90°間隔で3つの回転位置に偏光可能であり、第2光軸A2回りに90°間隔で4つの回転位置に変更可能である。そのため、本体部12に対する投射レンズ11の姿勢は3×4で12通りに変化させることが可能である。また、プロジェクタ10は、図2に示した横置きの姿勢(床置きの場合と天井吊り下げの場合の両方を含む)と、図3に示した縦置きの姿勢(床置きの場合と天井吊り下げの場合の両方を含む)の両方で使用することが可能である。そのため、横置きの場合と縦置きの場合を区別すると、投射レンズ11は、12×2で合計24通りの姿勢に変化させることが可能である。もちろん、24通りの中には、図1に示す収納状態のように実質的に使用できない姿勢も含まれるが、光軸が直線で屈曲光学系を持たない従来型のプロジェクタの場合は投射レンズの姿勢は1通りであるため、それと比較すると、投射レンズ11の姿勢のバリエーションは多い。
(投射レンズの姿勢変化に応じた投射画像の表示姿勢の変化)
次に、図13から図24を用いて、投射レンズ11の姿勢変化に応じた投射画像Pの表示姿勢の変化について説明する。図13は、投射レンズ11の姿勢が図11Aに示す場合における投射画像Pの表示姿勢を概念的に示す説明図である。すなわち、投射レンズ11の第1光軸A1回りの回転位置が正方向(+)に90°の位置であり、第2光軸A2回りの出射側端部14Cの回転位置は0°の位置である。この姿勢では、第1光軸A1と第3光軸A3とが平行である。なお、図13においては、第1光学系L1を1枚のレンズとして概念的に示している。
本例の画像形成パネル32において、画像表示面の形状は、例えば16:9のアスペクト比を有する長方形である。プロジェクタ10において、画像形成パネル32は、本体部12が横置きの姿勢のときに、画像表示面が横長になるように配置されている。すなわち、本体部12が横置きの場合は、画像表示面の長手方向は本体部12の設置面18(図2参照)と略平行である。なお、画像形成パネル32のアスペクト比は、4:3でもよいし、16:9よりもさらに細長形状となるアスペクト比としてもよい。
画像形成パネル32から発する光束は、第1光学系L1に入射する。第1光学系L1に入射した光束は、第1ミラー48で反射した後、中間像MIが形成される。中間像MIは、第1光学系L1によって結像された画像であるため、画像形成パネル32で表示される画像とは天地左右が逆転する。しかし、第1光軸A1における画像表示画面の長手方向と第2光軸A2における中間像MIの長手方向は、本体部12の設置面18との関係では略平行を保っており、第1ミラー48による第1光軸A1から第2光軸A2への光路の屈曲によって、設置面18に対する姿勢に変化はない。
中間像MIからの光束は、第2ミラー49で反射するが、第1光軸A1と第3光軸A3とは平行であるため、第2光軸A2における中間像MIの長手方向と、第3光軸A3から投射される投射画像Pの長手方向とは、設置面18との関係では略平行である。すなわち、図13の場合においては、プロジェクタ10が横置きの姿勢の場合は、例えば、部屋の壁面に対して投射レンズ11から投射される投射画像Pの表示姿勢は横長となる。
図14から図17は、図12Aに示す状態、すなわち、図11Aに示す状態から出射側端部14Cのみを180°回転させた場合の投射レンズ11の姿勢を示す。図15は、図14に示す姿勢のプロジェクタ10の三面図であり、図15Aは平面図、図15Bは正面図、図15Cは側面図である。
図16は、投射レンズ11の姿勢が図14に示す場合における投射画像Pの表示姿勢を概念的に示す説明図である。すなわち、投射レンズ11の姿勢が図14に示す場合は、図9に示す初期位置を基準とすると、投射レンズ11の第1光軸A1回りの回転位置が正方向(+)に90°の位置であり、第2光軸A2回りの出射側端部14Cの回転位置は180°の位置である。図16と図13の違いは、出射側端部14Cが第2光軸A2回りに180°回転している点である。このように出射側端部14Cが第2光軸A2回りに180°回転しても、図16の姿勢では、図13と同様に、第1光軸A1と第3光軸A3とが平行である。
そのため、中間像MIからの光束は、第2ミラー49で反射するが、第1光軸A1と第3光軸A3とは平行であるため、第2光軸A2における中間像MIの長手方向と、第3光軸A3から投射される投射画像Pの長手方向とは、それぞれ、設置面18に対して略平行である。そのため、図17に示すように、投射レンズ11の姿勢が図14及び図16に示す姿勢のプロジェクタ10を部屋66の床面に横置きし、かつ、投射画像Pを壁面に投射した場合の投射画像Pの表示姿勢は横長となる。投射画像Pの表示姿勢は、図16の場合も図13と同様である。
図18及び図19は、図14及び図16に示す状態から、投射レンズ11を第1光軸A1回りに時計方向に90°回転させ場合の投射レンズ11の姿勢を示す。図19は、投射レンズ11の姿勢が図18に示す場合における投射画像Pの表示姿勢を概念的に示す説明図である。図18に示す投射レンズ11の姿勢は、図9に示す初期位置を基準とすると、投射レンズ11の第1光軸A1回りの回転位置が0°であり、第2光軸A2回りの出射側端部14Cの回転位置は180°である。
図19と、図13及び図16との違いは、投射レンズ11が第1光軸A1回りに時計方向に90°回転している点である。このように投射レンズ11が第1光軸A1回りに90°回転しても、図19の姿勢では、図13及び図16と同様に、第1光軸A1と第3光軸A3とが平行である。
そのため、中間像MIからの光束は、第2ミラー49で反射するが、第1光軸A1と第3光軸A3とは平行であるため、第2光軸A2における中間像MIの長手方向と、第3光軸A3から投射される投射画像Pの長手方向とは、それぞれ設置面18に対して略平行である。したがって、投射レンズ11の姿勢が図18に示す場合において、プロジェクタ10を横置きした場合は、図14に示す姿勢の場合と同様に、部屋66の壁面に投射される投射画像Pの表示姿勢は、図17と同様に横長となる。
これに対して、図20から図23に示す投射レンズ11の姿勢では、図13、図16及び図19の場合と異なり、投射画像Pの表示姿勢が変化する。
図20から図23は、図14に示す状態から出射側端部14Cのみを90°回転させた場合の投射レンズ11の姿勢を示す。図21は、図20に示す姿勢のプロジェクタ10の三面図であり、図21Aは平面図、図21Bは正面図、図21Cは側面図である。
図22は、投射レンズ11の姿勢が図20に示す場合における投射画像Pの表示姿勢を概念的に示す説明図である。すなわち、投射レンズ11の姿勢が図20に示す場合は、図9に示す初期位置を基準とすると、投射レンズ11の第1光軸A1回りの回転位置が正方向(+)に90°の位置であり、第2光軸A2回りの出射側端部14Cの回転位置は90°の位置である。
図22と図16の違いは、出射側端部14Cが第2光軸A2回りに90°回転している点である。このように出射側端部14Cが第2光軸A2回りに90°回転した図22の姿勢では、図16と異なり、第1光軸A1と第3光軸A3とが直交する。これは、出射側端部14Cの第2光軸A2回りの回転により、第2ミラー49の反射方向が90°変化していることを意味する。
この場合、第2光軸A2における中間像MIの長手方向は設置面18に対して略平行であるが、中間像MIからの光束が第2ミラー49で反射すると、第3光軸A3から投射される投射画像Pの長手方向は、設置面18に対して90°回転する。したがって、投射レンズ11の姿勢が図20に示す場合において、図23に示すように、プロジェクタ10が横置きの姿勢の場合は、部屋66の壁面に投射される投射画像Pの表示姿勢は、図17の表示姿勢を基準にすると90°回転して縦長になる。
このように、第1光軸A1及び第2光軸A2の2軸のそれぞれで回転する投射レンズ11の場合、プロジェクタ10の本体部12の姿勢が同じ場合でも、投射レンズ11の姿勢によっては、投射画像Pの表示姿勢が横長と縦長に変化する。
(レンズシフト機構)
図24は、レンズシフト機構57を示す。レンズシフト機構57は、第1光軸A1と交差する平面内において、電気光学素子の一例である画像形成パネル32に対してレンズ鏡胴40をシフトさせる。具体的には、レンズシフト機構57は、第1光軸A1と直交するX-Y平面内において、レンズ鏡胴40をシフトさせる。
レンズシフト機構57は、ベース板71、第1移動板72及び第2移動板73を有する。第1移動板72は、X軸及びY軸に対して45°傾けた第1シャフト74を介してベース板71に取り付けられている。第1シャフト74はベース板71に固定されている。第1移動板72は、第1シャフト74の軸方向に移動可能に支持されている。第1移動板72には、第2シャフト76が固定されている。第2シャフト76は、第1シャフト74と直交しており、X軸及びY軸に対して、第1シャフト74とは逆向きに45°傾けた姿勢で配置されている。第2移動板73は、第2シャフト76の軸方向に移動可能に支持されている。レンズ鏡胴40のフランジ56は、第2移動板73に固定されている。
第1移動板72及び第2移動板73は、それぞれX軸及びY軸に対して45°傾けた方向に移動するが、第1移動板72及び第2移動板73の移動量を組み合わせることにより、レンズ鏡胴40をX方向及びY方向に沿って移動させることができる。第1移動板72及び第2移動板73は、それぞれソレノイド又はモータなどの電気駆動部77によって駆動される。
図25から図27に示すように、レンズシフト機構57を用いることにより、本体部12を移動させることなく、投射画像Pの投射位置をシフトさせることができる。図25から図27は、本例のレンズ鏡胴40を、図24に示すY方向(図の上下方向)にシフトさせる例を示す。
図25は、画像形成パネル32の中心32Aと第1光軸A1とが一致している状態を示す。図25の状態では、投射画像Pの画像中心POと第3光軸A3とが一致する。この図25の状態から、画像形成パネル32を基準として、レンズ鏡胴40を、図26に示すように上方にシフトさせると、画像形成パネル32の中心32Aに対して、第1光軸A1が上方にシフトする。これにより、第3光軸A3に対して、投射画像Pの画像中心POも上方にシフトする。その結果、投射画像Pの投射位置が上方にシフトする。
また、図25に示す状態から、画像形成パネル32を基準として、図26とは反対方向、すなわち、図27に示すように、レンズ鏡胴40を下方にシフトさせると、画像形成パネル32の中心32Aに対して、第1光軸A1が下方にシフトする。これにより、第3光軸A3に対して、投射画像Pの画像中心POも下方にシフトする。これにより、投射画像Pの投射位置が下方にシフトする。
図28から図31は、レンズシフト機構57の使用例を示す説明図である。図28及び図29は、投射レンズ11の姿勢が図14に示す姿勢のプロジェクタ10を床面に横置きして、投射画像Pを壁面に投射する使用例である。図17に示したとおり、この場合は、投射画像Pの表示姿勢は横長になる。
図28に示すように、レンズシフト機構57を用いて。レンズ鏡胴40を、画像形成パネル32に対して、Y軸(図24参照)における上方にシフトさせると、投射画像Pの投射位置が図28Aに示す位置から、図28Bに示すように上方にシフトする。また、図29に示すように、レンズ鏡胴40を、画像形成パネル32に対して、X軸(図24参照)における左方向にシフトさせると、投射画像Pの投射位置が図29Aに示す位置から、図29Bに示す左側にシフトする。
図30及び図31は、投射レンズ11の姿勢が図20に示す姿勢のプロジェクタ10を床面に横置きして、投射画像Pを壁面に投射する使用例である。図23に示したとおり、この場合は、投射画像Pの表示姿勢は縦長になる。
図30に示すように、レンズシフト機構57を用いて、レンズ鏡胴40を、画像形成パネル32に対して、Y軸(図24参照)における上方にシフトさせると、投射画像Pの投射位置が図30Aに示す位置から、図30Bに示すように上方にシフトする。また、図31に示すように、レンズ鏡胴40を、画像形成パネル32に対して、X軸(図24参照)における左方向にシフトさせると、投射画像Pの投射位置が図31Aに示す位置から、図31Bに示す左側にシフトする。
(遮光機構)
図32に示すように、遮光機構65は、第1遮光部81及び第2遮光部82を有している。遮光機構65は、画像形成パネル32から発し、第1光軸A1を通過する光束BM1の周辺光線を遮光する。画像形成パネル32の画像表示画面が長方形であるため、光束BM1も、第1光軸A1と直交する断面形状が長方形である。第1遮光部81は、光束BM1の長辺方向に延びており、第2遮光部82は、光束BM1の短辺方向に伸びている。すなわち、第1遮光部81は、遮光する光(光束BM1)が通る光軸(第1光軸A1)方向に交差する第1方向(長辺方向及びX方向に相当)に延びる第1遮光部の一例である。第2遮光部82は、第1光軸A1と第1方向(第1遮光部81の長辺方向)に交差する第2方向(短辺方向及びY方向に相当)に延びる第2遮光部の一例である。
第1遮光部81は2つ設けられている。2つの第1遮光部81は、光束BM1の対向する2つの長辺に沿って配置されており、それぞれが第1光軸A1を挟んで対向する位置に配置されている。第2遮光部82も2つ設けられており、2つの第2遮光部82は、光束BM1の対向する2つの短辺に沿って配置されており、それぞれが第1光軸A1を挟んで対向する位置に配置されている。
第1遮光部81は、第1ベース基板83に取り付けられている。第1ベース基板83は、内筒41Aに固定されている。第1遮光部81は、第1ベース基板83に対して、Y方向に移動自在に設けられている。第2遮光部82は、第2ベース基板84に取り付けられている。第2ベース基板84は、内筒41Aに固定されている。第2遮光部82は、第2ベース基板84に対して、X方向に移動自在に設けられている。
図33は、第1遮光部81の取り付け構造及び移動機構を示す。第1遮光部81の中央部には、Y方向に突出する取り付け部81Aが設けられている。取り付け部81Aにおいて、第1ベース基板83と対向する面には、Y方向の移動をガイドするガイド部81Bが設けられている。第1ベース基板83には、このガイド部81Bと係合することにより、第1遮光部81のY方向の移動をガイドするレール部83Aが設けられている。また、第1ベース基板83には、レール部83Aと平行に、第1遮光部81の移動方向に延びるガイドシャフト83Bが設けられている。ガイドシャフト83Bは、第1ベース基板83に固定される。
また、第1遮光部81の取り付け部81Aには、ガイドシャフト83Bに挿通されるスライダ81Cが設けられている。ガイドシャフト83Bにはコイルバネ85が設けられる。コイルバネ85の一端はガイドシャフト83Bの端部に係合し、他端は、スライダ81Cに係合する。コイルバネ85は、縮む方向に付勢力を発するバネであり、スライダ81Cを、Y方向において、内筒41Aの外側に向けて引っ張る。このコイルバネ85によって、第1遮光部81は、光束BM1から退避する初期位置に付勢される。
ソレノイド86は、第1遮光部81を移動させるための第1電気駆動部の一例である。ソレノイド86は、第1ベース基板83に固定される。ソレノイド86は、プランジャを突出方向に移動させることにより、スライダ81Cを、コイルバネ85の付勢力に抗して、内筒41Aの内側に向けて押圧する。これにより、第1遮光部81は、初期位置からY方向に沿って第1光軸A1に向けて移動する。第1遮光部81が初期位置から第1光軸A1に向けて移動すると、第1遮光部81が光束BM1の光路内に進入し、光束BM1の周辺光線を遮光する。第1遮光部81が光束BM1の周辺光線を遮光する位置を遮光位置と呼ぶ。ソレノイド86がプランジャを退避させると、コイルバネ85の付勢力によって第1遮光部81が初期位置に復帰する。
第1遮光部81を遮光位置に移動することにより、光束BM1の周辺光線の一部が遮光される。また、ソレノイド86のプランジャの突出量を連続的又は段階的に調整することにより、第1遮光部81の移動量を調整してもよい。第1遮光部81による遮光量を調整することが可能となる。
また、第1ベース基板83は、遮光機構65が配置される位置における第1光学系L1の半径と同等の半径を持つ略扇形形状をしている。こうした形状を持つことにより、第1ベース基板83は、第1光学系L1の径方向において第1遮光部81よりも外側を通過する漏れ光を遮光する。
図33においては、第1遮光部81の取り付け構造及び移動機構を説明したが、第2遮光部82についても同様である。すなわち、第2ベース基板84は、内筒41Aに固定される。第2遮光部82は、第2ベース基板84に対してX方向に移動自在に取り付けられる。第2遮光部82は、ソレノイド86及びコイルバネ85の付勢力によって、光束BM1から退避する退避位置と、光束BM1の周辺の光線を遮光する遮光位置との間で移動する。ソレノイド86は、第1遮光部81に対する第1電気駆動部であるとともに、第2遮光部82を移動させるための第1電気駆動部の一例でもある。
2つの第1遮光部81及び2つの第2遮光部82は、それぞれ独立に移動可能である。例えば、図34は、片方(図において左側)の第2遮光部82が遮光位置にある状態を示している。これにより、ハッチングで示すように、長方形の光束BM1の左側の周辺の光線が一部遮光される。図35は、片方(図において上側)の第1遮光部81が遮光位置にある状態を示している。これにより、ハッチングで示すように、長方形の光束BM1の上側の周辺光線が一部遮光される。図36は、第1遮光部81と第2遮光部82が1つずつ遮光位置にある状態を示している。これにより、ハッチングで示すように、光束BM1の長辺側及び短辺側を通過する周辺光線が一部遮光される。図37は、対向する2つの第1遮光部81が遮光位置にある状態を示している。これにより、ハッチングで示すように、光束BM1の対向する2つの長辺側を通過する周辺光線が一部遮光される。
図38に示すように、レンズシフト機構57及び遮光機構65は、操作パネル22から入力される操作指示(レンズシフト操作指示及び遮光部操作指示)に基づいて、本体部12に設けられた制御部75によって制御される。制御部75は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサであり、図示しないメモリと協働して、制御プログラムを実行することにより、本体部12の各部を制御する。
制御部75は、操作パネル22からの操作指示を受け付けると、例えば投射画像Pとして操作画面を表示する。操作画面において、レンズシフト又は遮光部の操作メニューが選択されると、制御部75は、選択された操作メニューに応じて、レンズシフト操作指示及び遮光部操作指示を受け付ける。レンズシフト操作指示としては、左右方向又は上下方向の方向を指定したシフト指示が入力され、制御部75は入力されたシフト指示に従って、レンズシフト機構57を制御することにより、レンズ鏡胴40をシフトさせる。遮光部操作指示としては、例えば、最初に、2つの第1遮光部81及び2つの第2遮光部82のうちのどれを移動対象とするかの選択指示が入力される。制御部75は、選択指示に従って移動対象を選択する。この後、移動量の指示が入力されると、制御部75は、入力された移動量に応じて移動対象(第1遮光部81又は第2遮光部82)を移動させる。
上記構成による作用について説明する。プロジェクタ10は、図10から図12において示したとおり、投射レンズ11の姿勢を様々に変化させて、使用することが可能である。そのため、例えば、図39に示すように、投射レンズ11の姿勢によっては、出射レンズ16が出射する光の光路内に本体部12が進入してしまう場合がある。この場合には、本体部12によって投射画像Pとして投射される光の一部が遮光される、いわゆるケラレが生じる。このように本体部12によるケラレが生じると、投射画像Pの周辺が暗くなったり、画面が一部カットされてしまうことがあるが、プロジェクタ10を使用することは可能である。このようなケラレが生じる場合は、図40において領域Kで示すように、本体部12に対して出射レンズ16の光が照射されてしまうことになる。この場合、本体部12に照射される光量が多いか、あるいは照射時間が長時間になる場合は、本体部12の塗装などに悪影響を及ぼすことにもなりかねない。
図39及び図40に示す投射レンズ11の姿勢では、第1光軸A1と第3光軸A3とが平行であるため、投射画像Pの表示姿勢は縦長となる。この場合は、図41に示すように、長辺方向の片方の第1遮光部81を使用することにより、光束BM1の下側の光線を一部遮光する。これにより、出射レンズ16の下方に位置する本体部12の領域Kに向かう光が減光される。この減光により、本体部12の塗装などに対する悪影響を抑制することができる。
同様に、図42に示すような姿勢でプロジェクタ10を使用する場合も、図43に示すように、本体部12によるケラレが生じるおそれがある。この場合は、出射レンズ16から出射される光の一部は、本体部12の領域Kに照射される。図42及び図43に示す投射レンズ11の姿勢では、第1光軸A1と第3光軸A3とが直交するため、投射画像Pの表示姿勢は縦長となる。このような場合は、長辺方向の片方の第1遮光部81を使用することにより、光束BM1の左側の周辺光線を一部遮光することができる。これにより、本体部12において、領域Kに向かう光を減光することができる。この減光により、本体部12の塗装などに対する悪影響が抑制される。
また、遮光機構65に加えてレンズシフト機構57を用いれば、ケラレに起因する本体部12への悪影響をさらに抑制することができる。すなわち、レンズシフト機構57は、図28から図31に示したように、投射画像Pの投射位置をシフトさせることができる。レンズシフト機構57を用いることにより、例えば、図39及び図40に示す姿勢の場合は、投射位置を上方にシフトさせることで、領域Kに向かう光の光量を軽減することができる。シフト量が多ければ、ケラレを回避することもできる。また、図42及び図43に示す姿勢の場合は、レンズシフト機構57を用いることにより、本体部12とは反対方向に投射位置をシフトさせることで、領域Kに向かう光の光量を軽減することができる。この場合も、シフト量が多ければ、ケラレを回避することもできる。
また、遮光機構65は、ケラレによって本体部12へ照射される光を減光する目的に代えて、又はそれに加えて、次のような目的にも使用することが可能である。すなわち、複数台のプロジェクタ10を使用することにより、画面サイズの大きな画像を投射することが可能である。図45及び図46に示すように、例えば、2台のプロジェクタ10を使用して、各プロジェクタ10の2つの投射画像Pの投射位置を隣接させることにより、1つの投射画像Pの2倍の画面サイズの連結画像を生成することができる。連結画像としては種々のものが考えられるが、例えば、パノラマ撮影した風景画像などがある。連結画像の構成要素となる複数の投射画像Pのデータは、例えばコンピュータ88から各プロジェクタ10に出力される。
このような連結画像を投射する場合、各投射画像Pの間に隙間が生じると目立つため、各投射画像Pの端部が一部重複するように投射位置が調整される。各投射画像Pが重複するつなぎ目Sにおいては、そのままでは他の部分と比べて輝度が高くなる。遮光機構65は、つなぎ目Sにおける輝度を抑制するために用いられる。
上述したとおり、プロジェクタ10は、投射レンズ11の姿勢を変化させることにより、投射画像Pの表示姿勢を、図45に示すように横長にしたり、図46に示すように縦長にすることが可能である。例えば、図45に示すように表示姿勢が横長の投射画像Pを横方向に並べて連結画像を生成する場合は、つなぎ目Sは投射画像Pの短辺方向になる。この場合は、図47に示すように、光束BM1の短辺方向に位置する第2遮光部82を使用することにより、光束BM1の短辺方向の一部の周辺光線を遮光する。一方、図46に示すように表示姿勢が縦長の投射画像Pを横方向に並べて連結画像を生成する場合は、つなぎ目Sは投射画像Pの長辺方向になる。この場合は、図48に示すように、光束BM1の長辺方向に位置する第1遮光部81を使用することにより、光束BM1の長辺方向の一部の周辺光線を遮光する。これにより、つなぎ目Sにおける輝度が抑制される。
なお、本例では、2台のプロジェクタ10を用いて2枚の投射画像Pを連結する例で説明したが、もちろん、3台以上のプロジェクタ10を用いて3枚以上の投射画像Pを連結してもよい。
以上説明したように、本開示の技術に係る投射レンズ11は、第1光学系L1と、第1ミラー48(第1反射部の一例)と、第2光学系L2と、第2ミラー49(第2反射部の一例)と、第3光学系L3(投射光学系の一例)と、第1回転機構及び第2回転機構と、画像形成パネル32(電気光学素子の一例)が発する光の一部を遮光する遮光部としての遮光機構65とを備えている。
投射レンズ11のように、投射レンズが、折れ曲がった光軸と、一例として回転機構によって実現される投射方向を変化させる機能とを持つ場合には、光軸が折れ曲がっていない一直線の光軸を持つ投射レンズ又は投射方向を変化させる機能を持たない投射レンズと比較して、投射レンズ11の姿勢変化によって、本体部12によるケラレが生じる場合が多い。上述したとおり、本開示の技術に係る投射レンズ11は、遮光機構65によって光の一部を遮光する機能を備えているため、本体部12に照射される光の照射量を軽減することができる。このため、本開示の技術に係る投射レンズ11及びプロジェクタ10(投射装置)によれば、ケラレに起因する本体部12への悪影響を抑制することができ、遮光部を持たない従来の投射レンズ及びプロジェクタよりも有用性が高い。
また、複数台のプロジェクタ10を使用して連結画像を生成する場合において、遮光機構65は、つなぎ目Sの輝度抑制に使用することも可能である。遮光機構65は、こうしたつなぎ目Sの輝度抑制にも使用することができるため、その意味でも、本開示の技術に係る投射レンズ11及びプロジェクタ10(投射装置の一例)は、従来の投射レンズ及びプロジェクタよりも有用性が高い。
なお、上記例においては、遮光部としての遮光機構65は、遮光する光が通る光軸方向(一例として第1光軸A1)に交差する第1方向(一例として光束BM1の長辺方向)に延びる第1遮光部81と、光軸方向及び第1方向に交差する第2方向(一例として光束BM1の短辺方向)に延びる第2遮光部82とを有している。しかし、遮光部としては、第1遮光部81及び第2遮光部82を両方持たなくてもよく、片方だけでもよい。例えば、第1遮光部81及び第2遮光部82のうち、使用頻度の高い遮光部だけを設けるだけでも、上述した有用性を向上する効果を期待できる。
もちろん、遮光部として、第1遮光部81及び第2遮光部82の2つの遮光部を有していることにより、投射レンズ11の様々な姿勢変化に柔軟に対応することが可能である。つまり、ケラレによって本体部12に照射される光を減光する場合は、投射レンズ11の姿勢変化によって、光束BM1の長辺方向の遮光が必要な場合と、短辺方向の遮光が必要になる場合とが生じる。第1遮光部81と第2遮光部82の両方を有していることにより、それぞれの場合に柔軟に対応することが可能である。
また、連結画像のつなぎ目Sの減光に遮光部を用いる場合においても、第1遮光部81と第2遮光部82の両方を有している方が好ましい。投射レンズ11は姿勢変化により、投射画像Pの表示姿勢が縦長と横長に変化するため、第1遮光部81と第2遮光部82を表示姿勢に応じて使い分けられる方が便利である。また、横長の投射画像Pを縦方向に並べて連結したり、縦長の投射画像Pを縦方向に並べて連結する場合もある。そのような場合でも、第1遮光部81と第2遮光部82の両方があれば、輝度抑制が必要な部分に柔軟に対応することができる。
また、2つの第1遮光部81及び2つの第2遮光部82は、それぞれが光軸(一例として第1光軸A1)を挟んで対向する位置に配置されているため、投射レンズ11の様々な姿勢変化に対して、より柔軟に対応することが可能である。
なお、上記例では、対向して配置される第1遮光部81及び第2遮光部82をそれぞれ1組ずつ設けた例で説明したが、2組以上設けてもよい。例えば、第1遮光部81及び第2遮光部82をそれぞれ2組設けて、各組を対向して配置した場合、各組の第1遮光部81及び第2遮光部82の配置は、八角形状の配置になる。投射レンズ11の姿勢は多様であるため、第1遮光部81及び第2遮光部82の数を増やすことにより、投射レンズ11の様々な姿勢変化に対して、より柔軟に対応することが可能となる。
また、第1遮光部81及び第2遮光部82は、それぞれ独立に移動可能である。そのため、第1遮光部81及び第2遮光部82の一方だけを使用することにより、必要最小限の遮光が可能になる。
また、ソレノイド86を一例として示したように、第1遮光部81及び第2遮光部82を移動させるための第1電気駆動部を有しているため、操作が簡単である。
また、レンズ鏡胴40の外部には、第2電気駆動部としてのズーム用モータ51及びフォーカス用モータ52が配置されており、第1電気駆動部としてのソレノイド86は、レンズ鏡胴40内に配置されている。第2電気駆動部をレンズ鏡胴40の外部に配置することにより、レンズ鏡胴40内のスペースを有効に使用することできる。また、第2電気駆動部をレンズ鏡胴40の内部に配置する場合と比べて、レンズ鏡胴40の大径化を抑制することができる。
また、遮光部の一例である遮光機構65は、レンズ鏡胴40内に配置されている。こうすることで、レンズ鏡胴40の外部に遮光部を配置する場合と比べて、投射レンズ11の外観の見栄えがよい。また、遮光部をレンズ鏡胴40の外部に配置する場合は、遮光部を設けた状態では投射レンズ11を収納状態が出来ないなど、使用上の制約が生じる場合が考えられる。レンズ鏡胴40内に遮光部を配置することにより、そのような不都合を回避することができる。
また、投射レンズ11は、遮光部を含む遮光機構65に加えて、レンズ鏡胴40をシフトさせるレンズシフト機構57を備えている。上述したとおり、レンズシフト機構57は、投射位置をシフトさせることで、ケラレに起因する本体部12への光を減光したり、ケラレを回避することができるという遮光機構65との相乗効果が期待できる。さらに、レンズシフト機構57は、複数の投射画像Pを連結する場合においても有効である。すなわち、複数の投射画像Pを連結する場合は、各投射画像Pが隣接するように投射位置の調整が必要になる。本体部12を移動させることにより投射位置を調整することも可能であるが、レンズシフト機構57を用いることにより、本体部12を移動させる場合と比べて、投射位置の調整を簡便に行うことができる。
また、本例の投射レンズ11は、レンズ鏡胴40を第1光軸A1回りに回転させる第1回転機構と、出射側端部14Cを第2光軸A2回りに回転させる第2回転機構の両方を備えている。このように2軸回転型の投射レンズ11の場合は、投射レンズ11の姿勢変化も多いため、本体部12によるケラレも生じやすく、本体部12に向かう光の減光が必要となる場面も多いと考えられる。そのため、こうした2軸回転型の投射レンズ11に対しては、遮光部は特に有効である。
(遮光部が配置される範囲)
上述したように、遮光部としての遮光機構65を配置する位置は、軸上光線と軸外光線が分散している位置である中間像MIの形成位置の近傍が好ましい。上記例においては、第1遮光部81及び第2遮光部82は、第1ミラー48とレンズZ2の間に配置されている。この位置であれば、軸上光線と軸外光線とが比較的分散しているため、周辺の光線のみを減光することが可能となり、投射画像Pの画面全体の明るさの低下が抑制される。
しかし、遮光部を配置する位置は、上記例に限定されない。第1遮光部81及び第2遮光部82の位置は、中間像MIの形成位置を基準に縮小側(入射側)又は拡大側(出射側)に向かって4枚目にあるレンズよりも、形成位置側に配置されていればよい。この範囲であれば、軸上光線と軸外光線とが比較的分散していると考えられるためである。
図49を用いて具体的に説明すると、遮光部を配置する範囲は、中間像MIの形成位置を基準として、縮小側であれば範囲R1内、拡大側であれば範囲R2内である。本例においては、中間像MIの縮小側には、レンズZ2、レンズZ12、レンズZ11、及びレンズFAがあり、レンズFAが4枚目である。範囲R1は、レンズFAよりも中間像MIの形成位置側の範囲である。また、中間像MIの拡大側には、レンズL21、2枚構成のレンズL22、及びレンズL31があり、レンズL31が4枚目である。範囲R2は、レンズL31よりも中間像MIの形成位置側の範囲である。
例えば、図50に示すように、範囲R1内において、中間像MIの形成位置から1枚目のレンズZ2の縮小側に、遮光部を含む遮光機構65を配置してもよい。また、図51に示すように、レンズL21の縮小側であって、レンズL21と第1ミラー48との間に遮光機構65を配置してもよい。また、図52に示すように、レンズL21の拡大側であって、レンズL21とレンズL22の間に遮光機構65を配置してもよい。このように、遮光機構65は、第2光軸A2上に配置してもよい。
なお、第1遮光部81及び第2遮光部82の位置として、より好ましくは、中間像MIの形成位置を基準に縮小側(入射側)又は拡大側(出射側)に向かって2枚目にあるレンズよりも、形成位置側である。
さらに、中間像MIの形成位置を基準に縮小側又は拡大側のいずれかに向かって4枚目以内にある3枚のレンズのうち、像面湾曲を補正するためのレンズ特性を有しているレンズがある場合は、遮光機構65は、その補正用のレンズに隣り合って配置されていることが好ましい。ここで、レンズに隣り合うとは、そのレンズと遮光機構65との間に別のレンズなどの光学素子が配置されていないという意味である。
例えば、本例のレンズZ2は、像面湾曲を補正するためのレンズ特性を有しており、中間像MIの形成位置を基準に縮小側又は拡大側のいずれかに向かって4枚目以内にある3枚のレンズのうち、
図49の例では、遮光機構65は、レンズZ2の拡大側に隣り合って配置されており、図50の例では、遮光機構65は、レンズZ2の縮小側に隣り合って配置されている。
さらに、電気光学素子の一例である画像形成パネル32に最も近いレンズをT1、遮光機構65と隣り合うレンズ(像面湾曲を補正するためのレンズ特性を有するレンズ)をT2とし、さらに、レンズT1の遮光機構65側の面の有効径をDT1、レンズT2の画像形成パネル32側の面の有効径をDT2、及び有効径比であるDT1/DT2をAとした場合において、Aは、下記の条件式1を満たすことが好ましい。
1.1 ≦A≦2.5・・・・条件式1
画像形成パネル32に最も近いレンズT1は、図49及び図50の例では、レンズFAである。Aが条件式1の上限である2.5を超えると遮光機構65と隣り合うレンズT2(図40及び図50の例においてはレンズZ2)のレンズ径が大きくなりすぎてしまい、レンズ鏡胴40全体が大型化してしまう。また、1.1を下回ると、遮光機構65をいれても適切な遮光効果をうまないばかりか、レンズT2にレンズ特性としてもたせた像面湾曲補正の効果も薄れてしまう。
また、有効径比であるAは、下記条件式2を満たすことがより好ましい。
1.2 ≦A≦2.5・・・・条件式2
なお、レンズT2は、中間像MIの形成位置を基準に縮小側又は拡大側のいずれかに向かって4枚目以内に配置されていることが好ましいが、レンズT2は、4枚目以降に配置されていてもよい。その場合でも、レンズT2とレンズT1の有効径比Aが上記条件式1又は条件式2を満たしていると、上記効果が期待できる。
(遮光部の変形例)
遮光部としては、上記例のように第1遮光部81及び第2遮光部82が分離した形態でなくてもよく、図53に示すように、第1遮光部91及び第2遮光部92が一体に形成された屈曲型遮光部90でもよい。屈曲型遮光部90は、一例として略L字形状に屈曲している。屈曲型遮光部90は、X方向(第1方向の一例)とY方向(第2方向の一例)に移動可能である。
図54に示すように、屈曲型遮光部90は、X方向に延びる第1支持板93に対して、X方向に移動可能に連結される。連結は、屈曲型遮光部90のピン90Aと、第1支持板93に形成され、X方向に長い長穴93Aとの係合によって行われる。X方向において、屈曲型遮光部90は、バネ95によって左方向の退避位置に付勢されている。また、第1支持板93は、Y方向に延びる第2支持板94に対してY方向に移動可能に連結される。連結は、第1支持板93のピン93Bと、第2支持板94に形成され、Y方向に長い長穴94Aとの係合によって行われる。Y方向において、第1支持板93は、バネ95によって上方の退避位置に付勢されている。屈曲型遮光部90のX方向の移動と、第1支持板93のY方向の移動は、図示しないソレノイドなどの第1電気駆動部によって行われる。
このような屈曲型遮光部90は第1遮光部91と第2遮光部92とが一体に形成されているため、1つの部材で光束BM1の長辺方向と短辺方向を遮光することができる。このような屈曲型遮光部90を用いることにより、遮光部の構成を簡略化できる場合がある。
なお、遮光部の構成は、これ以外でもよく、例えば、巻き取り式の遮光フィルムでもよいし、短冊状の複数枚の遮光板で構成され、不使用時においては、複数枚の遮光板がブラインドのように折りたたみ可能に収納されるタイプのものでもよい。
また、遮光部としては、図55及び図56に示す遮光機構96のように、レンズ鏡胴40の外部、具体的には、出射レンズ16の拡大側(出射面側)に取り付ける外付けタイプでもよい。図55に示すように、遮光機構96は出射側端部14Cの端部に着脱自在である。
図56に示すように、遮光機構96には、第1遮光部97と第2遮光部98とが1組ずつ設けられている。第1遮光部97はY方向に移動自在であり、第2遮光部98はX方向に移動自在である。遮光機構96には、電気駆動部は設けられていない。遮光機構96は、つまみ99をマニュアル操作することによって、第1遮光部97及び第2遮光部98の遮光位置と退避位置の切り替えを行うマニュアル式である。遮光部としてはこのようなマニュアル式でもよい。
また、図57に示すように、遮光部としての遮光機構65は、投射レンズ11に設けられていなくてもよく、本体部12に設けられていてもよい。遮光機構65は、例えば、画像形成パネル32と投射レンズ11の入射端との間に配置される。より具体的には、遮光機構65は、画像形成パネル32の拡大側に配置されるプリズム(図示せず)の拡大側に配置される。なお、レンズシフト機構57は、投射レンズ11ではなく、本体部12に取り付けられていてもよい。このように、投射レンズ11ではなく、プロジェクタ10の本体部12が、遮光機構65及びレンズシフト機構57を備えていてもよい。
なお、上記例では、第1光軸A1から第3光軸A3の3つの光軸を持つ3軸の屈曲光学系を有し、第1光軸A1回りに第1ミラー48(第1反射部の一例)及び第2光学系L2を回転させる第1回転機構と、第2光軸A2回りに第2ミラー49(第2反射部の一例)及び第3光学系L3を回転させる第2回転機構とを有する投射レンズ11を例に説明した。しかし、第1回転機構と第2回転機構はいずれか1つのみでもよい。この場合でも、屈曲光学系を有することにより、投射レンズ11の姿勢変化によって、ケラレによって本体部12へ光が照射される問題は生じ得る。そのため、回転機構が1つしか無い場合でも、本開示の技術は有効である。
「第2実施形態」
上記実施形態では、3軸の屈曲光学系を有する投射レンズ11を例に説明したが、2軸の屈曲光学系を有する投射レンズでもよい。図58から図63に示す第2実施形態のプロジェクタ100の投射レンズ110は、2軸の屈曲光学系を有する投射レンズの一例である。図58及び図59に示すように、投射レンズ110は、第1光軸A1の光が通過する第1光学系L1と、第1光軸A1の光を反射する第1ミラー48(反射部の一例)と、第2光軸A2から光を投射する第2光学系L2と、第1ミラー48及び第2光学系L2を第1光軸A1回りに回転させる回転機構と、遮光部としての遮光機構65とを備えている。投射レンズ110において、第2光学系L2は投射光学系の一例である。
図60及び図61に示すように、プロジェクタ100において、投射レンズ110は、第1光軸A1回りに回転する。図60及び図61に示す投射レンズ110の姿勢は、図58及び図59に示す状態から、投射レンズ110を第1光軸A1回りに反時計方向に90°回転させた姿勢である。図60及び図61に示す姿勢では、プロジェクタ100を床面に横置きした場合は、投射レンズ110の出射レンズ16は天井を向く。これにより、天井に投射画像Pを投射することができる。
このような2軸の屈曲光学系を有する投射レンズ110においても、本体部12の形状又は投射レンズ110の取り付け位置等によっては、本体部12によるケラレが生じる場合もある。その場合には、ケラレに起因する本体部12に照射される光を減光する必要が生じるので、遮光機構65は有効である。
また、プロジェクタ100において、投射レンズ110の回転位置が、90°間隔ではなく、45°間隔に設定される場合も考えられる。図62及び図63は、投射レンズ110の第1光軸A1回りの回転位置を45°にした状態を示す。図62及び図63に示す投射レンズ110の姿勢で投射画像Pを、図60及び図61に示す場合と同様に、壁面に投射する場合は、投射画像Pの表示姿勢が変化する。つまり、図58及び図59の場合は、投射画像Pの表示姿勢が横長になるのに対して、図62及び図63の場合は、投射画像Pが縦長になる。このように、第1光軸A1及び第2光軸A2が直交している場合において、第1光軸A1回りに第1ミラー48及び第2光学系L2を45°回転させると、投射画像Pの表示姿勢が変化する。
このようなプロジェクタ100を用いて、図45及び図46に示したように連結画像を投射する場合は、投射画像Pの表示姿勢によって連結画像のつなぎ目Sが変化する。第1遮光部81及び第2遮光部82を有する遮光機構65は、投射画像Pの表示姿勢の変化に応じて連結画像のつなぎ目Sの位置が変化した場合でも、この変化に柔軟に対応することが可能である。
(その他)
また、図64に示すように、3軸の屈曲光学系の投射レンズ11を持つプロジェクタ10においても、投射レンズ11を90°間隔ではなく、45°間隔で回転させてもよい。この場合でも、本開示の技術に係る遮光機構65は有効である。
上記実施形態においては、レンズシフト機構57は、電気光学素子の一例である画像形成パネル32に対して投射レンズ11をシフトさせる態様で説明したが、これに限定されず、例えば、レンズシフト機構は、投射レンズ11の代わりに電気光学素子を投射レンズ11に対してシフトさせてもよい。つまり、本開示の技術に係るレンズシフト機構は、第1光軸と交差する平面内において、電気光学素子と投射レンズとの相対的な位置をシフトさせるレンズシフト機構であり、レンズシフト機構57はその一例である。
上記実施形態においては、光軸が2回屈曲した3つの光軸を有する投射レンズを例に説明したが、光軸が1回屈曲した2つの光軸を有する投射レンズに本開示の技術を適用してもよい。また、4つ以上の光軸を有する投射レンズに本開示の技術を適用してもよい。4つ以上の光軸を有する投射レンズの場合は、4つ以上のうち光軸のうち相対的に出射側にある光軸が出射側光軸であり、出射側光軸よりも入射側の直前にある光軸が第1入射側光軸である。
なお、上記例では、各々電気駆動部として、モータ及びソレノイドを挙げたが、電気によって動作するものであれば他のものでもよい。
電気光学素子に相当する画像形成パネル32としては、DMDの代わりにLCDを使用した透過型画像形成パネルを用いてもよい。また、DMDの代わりにLED(Light emitting diode)及び/又は有機EL(Electro luminescence)のような自発光型素子を用いたパネルを用いても良い。反射部としては、鏡面反射型の代わりに、全反射型のミラーを用いてもよい。
上記例では、光源34としてレーザ光源を用いている例を説明したが、これに限らず、水銀ランプ及び/又はLEDを光源34として用いても良い。また、上記例では、青色レーザ光源と黄色蛍光体を用いたが、これに限らず、黄色蛍光体の代わりに緑色蛍光体と赤色蛍光体を用いても良い。また、黄色蛍光体の代わりに緑色レーザ光源と赤色レーザ光源を用いても良い。
本明細書において、「A及び/又はB」は、「A及びBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「A及び/又はB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、A及びBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「及び/又は」で結び付けて表現する場合も、「A及び/又はB」と同様の考え方が適用される。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。