以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図9に基づいて説明する。図1には、第1の実施形態に係るプロジェクタ装置10の概略構成が示されている。
プロジェクタ装置10は、例えば水平面(XY平面)と平行な床上に設置された設置台の上面上(若しくは床上)に載置されて、又は天井から吊り下げられて使用される。
プロジェクタ装置10は、図1に示されるように、装置本体11、光強度可変装置18、照度センサ16などを備えている。
装置本体11は、例えばDVDビデオレコーダ、パーソナルコンピュータ、USBメモリ等の外部装置17(図7参照)からの画像情報に基づいた光束をスクリーンSの被投射面に投射する投射光学系14と、制御装置19(図7参照)と、これらを収容する筐体12とを有している。
投射光学系14は、一例として、光源としての3つのレーザダイオードLD1〜LD3、3つのコリメートレンズCR1〜CR3、2つのダイクロイックミラーDM1、DM2、偏向反射器20などを有している。
レーザダイオードLD1は、一例として、赤色レーザであり、赤色光を+X方向に射出するように配置されている。
レーザダイオードLD2は、一例として、青色レーザであり、青色光を−Y方向に射出するように、レーザダイオードLD1の+X側かつ+Y側に配置されている。
レーザダイオードLD3は、一例として、緑色レーザであり、緑色光を−Y方向に射出するように、レーザダイオードLD2の+X側に配置されている。
コリメートレンズCR1は、一例として、レーザダイオードLD1の+X側に配置されており、レーザダイオードLD1から射出された赤色光を略平行光とする。
コリメートレンズCR2は、一例として、レーザダイオードLD2の−Y側に配置されており、レーザダイオードLD2から射出された青色光を略平行光とする。
コリメートレンズCR3は、一例として、レーザダイオードLD3の−Y側に配置されており、レーザダイオードLD3から射出された緑色光を略平行光とする。
ダイクロイックミラーDM1及びDM2は、それぞれ、例えば誘電体多層膜などの薄膜から成り、特定の波長の光を反射し、それ以外の波長の光を透過させる。
ダイクロイックミラーDM1は、一例として、コリメートレンズCR1の+X側かつコリメートレンズCR2の−Y側に、X軸及びY軸に対して例えば45°傾斜して配置されており、コリメートレンズCR1を介した赤色光を+X方向に透過させ、コリメートレンズCR2を介した青色光を+X方向に反射する。
なお、コリメートレンズCR1を介した赤色光及びコリメートレンズCR2を介した青色光は、それぞれダイクロイックミラーDM1の中央付近に入射する。
ダイクロイックミラーDM2は、一例として、ダイクロイックミラーDM1の+X側かつコリメートレンズCR3の−Y側に、X軸及びY軸に対して例えば45°傾斜して配置されており、ダイクロイックミラーDM1を透過した赤色光及び青色光を+X方向に透過させ、コリメートレンズCR3を介した緑色光を+X方向に反射する。
なお、ダイクロイックミラーDM1を介した赤色光及び青色光、並びにコリメートレンズCR2を介した緑色光は、それぞれダイクロイックミラーDM2の中央付近に入射する。
ダイクロイックミラーDM2を介した3つの光(赤色光、青色光及び緑色光)は、1つの光に合成されて、偏向反射器20に入射する。
この場合、3つのレーザダイオードLD1〜LD3の発光強度の強弱のバランスにより、合成された光(以下、合成光CLと称する)の色が表現されるようになっている。
偏向反射器20は、ダイクロイックミラーDM2の+X側に配置されており、ダイクロイックミラーDM2及び後述するフィルタ部材22を介した合成光CL(入射光)を概ね−Y側に偏向する。
偏向反射器20は、一例として、図2(A)に示されるように、矩形板状ミラーから成る反射部材20aと、該反射部材20aよりも大きな矩形枠状部材から成り、反射部材20aの外側に配置された第1支持部材20bと、該第1支持部材20bよりも大きな矩形枠状部材から成り、第1支持部材20bの外側に配置された第2支持部材20cとを有する。
反射部材20aは、その長手方向に平行な第1軸の周りに回転可能に第1支持部材20bに支持されている。第1支持部材20bは、第1軸に略直交する第2軸の周りに回転可能に第2支持部材20cに支持されている。
すなわち、反射部材20aは、第2支持部材20cに対し、互いに略直交する第1軸及び第2軸の周りに独立に回転可能となっている(図2(B)参照)。なお、ここでは、一例として、第2軸が水平に延びている。
以上より、偏向反射器20は、反射部材20aを第1軸及び第2軸の少なくとも一方の周りに回転させつつ入射光を反射させることにより、反射光の反射方向を変える。すなわち、偏向反射器20は、入射光の反射角度を変えて反射光の反射方向を変えることで、入射光を偏向する。
偏向反射器20により偏向された合成光CLは、筐体12の−Y側の側壁に嵌め込まれた透明部材21(射出窓)を介してXZ平面に平行に配置されたスクリーンS上に投射され、この結果、スクリーンS上で光スポットが走査される。なお、ここでは、スクリーンSは、XZ平面に平行に配置されている。
ここで、制御装置19は、スクリーンS上に画像を表示するために、スクリーンS上に図3に示されるような軌跡の走査線を描くように偏向反射器20を動作させる。なお、図3において、X軸方向に延び、Z軸方向に等間隔で並ぶ複数の実線矢印が、実際に画像表示に使われる走査線であり、破線が、画像表示に使われない帰線である。
詳述すると、図3において、偏向反射器20により、光スポットは、スクリーンSにおける−X側かつ+Z側の隅(第1位置)から、+X方向に、所定距離Lだけ走査された後、第1位置の−Z側の第2位置に移動される。このような動作が、光スポットが、第(N−1)位置(例えばN=15)の−Z側の第N位置に至るまで繰り返される。そして、光スポットは、第N位置から+X方向に所定距離Lだけ走査された後、第1位置に戻される。以後、光スポットは、同様の手順で、繰り返し走査される。
ところで、一般に、テレビジョンでは1秒間に60回の画面描画が必要である。そして、画像の垂直方向の解像度が例えば480本だとすると、水平方向の走査周波数は、480×60=28800、すなわち約30kHz程度必要となる。また、光スポットによる走査が視覚的に気にならないようにするには、偏向反射器を高速に動作させる必要がある。
そこで、本実施形態では、このような高い周波数の振動を実現するために、偏向反射器20を構成する反射部材20a、第1及び第2支持部材20b、20cは、半導体プロセスで薄型かつ小型に形成されている。これにより、偏向反射器20の上記各構成部の固有振動周波数を高くすることができる。
制御装置19は、外部装置17からの画像信号に基づいて、偏向反射器20における反射部材20aの第1軸及び第2軸周りの位置と同期して、3つのレーザダイオードLD1〜LD3から射出される光を独立に変調する。なお、偏向反射器20における反射部材20aの第1軸及び第2軸周りの位置情報は、制御装置19に出力されるようになっている(図7参照)。
この動作は、ブラウン管テレビジョンの場合と基本的に同じである。ブラウン管テレビジョンでは、レーザ光の代わりに電子ビームを、偏向反射器の代わりに偏向コイルによって電子ビームの向きを変えている。
なお、一般に、偏向反射器で光スポットを走査する場合、走査範囲は偏向反射器の反射部材の回転角度に依存する。すなわち、偏向反射器からスクリーンまでの距離を一定にした場合、偏向反射器の反射部材の回転角度を大きくするほどスクリーンに投射される画像は大きくなる。
照度センサ16は、筐体12の周囲の明るさを検出する例えばフォトトランジスタ、フォトダイオード等を含むセンサであり、図1に示されるように、一例として筐体12の+X側の側面に取り付けられている。照度センサ16は、その検出情報を制御装置19に出力する(図7参照)。
なお、照度センサ16は、筐体12の+X側の側面に限らず、例えば他の側面、上面、下面などに取り付けられることとしても良い。
光強度可変装置18は、筐体12内に収容されており、図4(A)及び図4(B)に示されるように、フィルタ部材22、フィルタ部材22を動作させるYリニアモータ25(アクチュエータ)、フィルタ部材22とYリニアモータ25の一部とを連結するリンク26などを含む。
フィルタ部材22は、一例として、ダイクロイックミラーDM2と偏向反射器20との間の合成光CLの光路上にYZ平面に平行に配置されたX軸方向を厚さ方向とする扇形の板状部材から成る。フィルタ部材22の材料としては、光を吸収するものが用いられている。なお、以下では、「ダイクロイックミラーDM2と偏向反射器20との間の合成光CLの光路」を、単に「合成光CLの光路」と称する。
フィルタ部材22は、その周方向に並んだ光透過率が異なる複数(例えば7つ)の同形かつ同大の扇形部分22a〜22gを有する。すなわち、フィルタ部材22は、光透過率が異なる複数(例えば7つ)の領域に均等に分割されている。
ここで、7つの扇形部分22a〜22gの光透過率を、それぞれ22a1〜22g1とすると、22a1<22b1<22c1<22d1<22e1<22f1<22g1の関係が成立する。ここでは、一例として、22a1=1/64、22b1=1/32、22c1=1/16、22d1=1/8、22e1=1/4(25%)、22f1=1/2(50%)、22g1=1(100%)に設定されている(図5参照)。
7つの扇形部分22a〜22gは、一例として、光透過率が小さいものから大きいものの順に、フィルタ部材22の周方向(図4(A)の矢印P方向)に並んでいる。
Yリニアモータ25は、一例として、固定子25a(コイルユニット)と、Y軸方向に延びる可動子25b(複数の磁石を含む磁石ユニット)とを有するムービングマグネット型のリニアモータである。なお、Yリニアモータは、コイルユニットを可動子とし、かつ磁石ユニットを固定子とするムービングコイル型のリニアモータであっても良い。
Yリニアモータ25では、可動子25bが固定子25aに対してY軸方向に所定ストロークで移動可能な状態で対向配置されている。固定子25aには、制御装置19からの指示の下、電流が供給されるようになっている(図7参照)。
リンク26は、YZ平面に平行に延びる部材から成り、その一端部が可動子25bの−Y側の端部にX軸周りに回転自在に接続されており、その他端部が、筐体12に固定されたX軸方向に延びる軸部材28にX軸周りに回転自在に支持されている。そして、リンク26の他端部には、フィルタ部材22の頂点部分が固定されている。フィルタ部材22の半径は、軸部材28と合成光CLの光路との距離よりも長く設定されている。
以上の構成より、固定子25aに電流が供給されると、可動子25bが固定子25aに対してY軸方向に移動し、これに連動(同期)して、リンク26及びフィルタ部材22が軸部材28を支点にX軸周りに回動する。
そして、可動子25bが固定子25aに対して+Y方向に移動するとき、フィルタ部材22は、図4(A)の矢印P方向に回動し、可動子25bが固定子25aに対して−Y方向に移動するとき、フィルタ部材22は、図4(B)の矢印Q方向(矢印Pと反対方向)に回動する。
ここで、可動子25bが固定子25aに対する移動ストロークの最も+Y側の端に位置しているとき、フィルタ部材22は、回動範囲における一端(矢印P方向の端)に位置し、扇形部分22aが合成光の光路上に位置している(図4(A)参照)。一方、可動子25bが固定子25aに対する移動ストロークの最も−Y側の端に位置しているとき、フィルタ部材22は、回動範囲における他端(矢印Q方向の端)に位置し、扇形部分22gが合成光の光路上に位置している(図4(B)参照)。
この場合、可動子25bの固定子25aに対する位置、すなわちフィルタ部材22の回動位置を制御することで、フィルタ部材22の7つの扇形部分22a〜22gのうちのいずれか1つを合成光CLの光路上に位置させることができる。
Yリニアモータ25は、照度センサ16からの検出情報に基づいて、制御装置19により駆動制御される(図7参照)。
以上より、光強度可変装置18は、照度センサ16からの検出情報に基づく制御装置19からの指示の下、Yリニアモータ25を駆動して、フィルタ部材22を合成光CLの光路に直交する方向(X軸周り)に所定量回動させることで、7つの扇形部分22a〜22gのうちのいずれか1つを合成光CLの光路上に位置させることができる。
ところで、一般に、画像を投射するプロジェクタ装置は、明るい環境において投射画像が見え易くなるように明るい画像を投射することが望ましく、暗い環境において投射画像が見え易くなるように、すなわち人が眩しく感じないように暗い画像を投射することが望ましい。
そこで、本実施形態では、制御装置19は、照度センサ16からの検出情報に基づいて、周囲が明るいほど光透過率が高い部分が合成光CLの光路上に位置するように、逆に言うと、周囲が暗いほど光透過率が低い部分が合成光CLの光路上に位置するようにYリニアモータ25を駆動(制御)することとしている。
すなわち、図5に示されるように、フィルタ部材22は、装置本体11の周囲が明るいほど、合成光CLの光路上におけるフィルタ部材22の透過率が段階的に高くなるように、その回動方向(X軸周り)に関する位置(以下、回動位置と称する)がYリニアモータ25を介して制御装置19により制御される。
結果として、プロジェクタ装置10からスクリーンS上に投射される画像の明度は、周囲が明るいほど高くなり、逆に言うと、周囲が暗いほど低くなる。
以上のように構成されるプロジェクタ装置10の動作を、図6を参照しつつ説明する。プロジェクタ装置10は、透明部材21(射出窓)がスクリーンSに向けられた状態で、例えば、設置台、床面上などに載置され、又は天井から吊り下げられている。
プロジェクタ装置10に電源が投入されると、制御装置19は、照度センサ16からの検出情報を取得し(ステップS1)、この検出情報に基づいて、フィルタ部材22の回動位置を決定する(ステップS2)。なお、フィルタ部材22は、当初、扇形部分22a〜22gのいずれか1つが合成光CLの光路上に位置する回動位置に位置している。
そして、制御装置19は、Yリニアモータ25を駆動して、フィルタ部材22を所定量回動させ、決定した回動位置に位置させる(ステップS3)。但し、制御装置19は、決定した回動位置が現時点の回動位置と同じである場合には、フィルタ部材22を回動させない。この結果、フィルタ部材22の7つの扇形部分22a〜22gのうち、筐体12の周囲の明るさに応じた一の扇形部分が合成光CLの光路上に位置する。
次いで、3つのレーザダイオードLD1、LD2及びLD3から、それぞれ赤色光、青色光及び緑色光が射出される。この際、各レーザダイオードは、外部装置17からの画像情報に基づいて制御装置19により変調制御される。
レーザダイオードLD1から射出された赤色光は、コリメートレンズCR1で平行光とされ、ダイクロイックミラーDM1、DM2を順次透過する。レーザダイオードLD2から射出された青色光は、コリメートレンズCR2で平行光とされ、ダイクロイックミラーDM1で反射され、ダイクロイックミラーDM2を透過する。レーザダイオードLD3から射出された緑色光は、コリメートレンズCR3で平行光とされ、ダイクロイックミラーDM2で反射される。
ダイクロイックミラーDM2を透過した赤色光及び青色光、並びにダイクロイックミラーDM2で反射された緑色光は、合成され、その合成光CLは、フィルタ部材22に入射する。そして、合成光CLは、光強度が減衰(低減)された状態で、フィルタ部材22から射出される。
フィルタ部材22から射出された合成光CLは、偏向反射器20に入射する。
偏向反射器20は、制御装置19により、外部装置17からの画像情報に基づいて、反射部材20aの第1軸及び第2軸周りの位置が制御されている。
これにより、偏向反射器20に入射した合成光CLは、上記画像情報に応じて偏向反射器20で反射されつつ反射方向が変えられる。
この結果、スクリーンS上で光スポットが走査され、スクリーンS上に、上記画像情報に応じたフルカラー画像が装置本体11の周囲の明るさに応じた明度で表示される。
上記ステップS1〜S3は、プロジェクタ装置10に電力が供給されている間、繰り返し行われる。
なお、筐体12の周囲の明るさは、例えばプロジェクタ装置10が設置された室内における照明器具からの照明光の強弱の変化、室内に入射する太陽光の強弱による変化などにより変化する。
ところで、従来、プロジェクタ装置の周囲の明るさに基づいて、レーザダイオードを制御して光の強度を変更することが行われている。
しかしながら、レーザダイオードから射出される光を偏向反射器により偏向することで画像を表示する走査型のプロジェクタ装置の場合、以下に説明するように、レーザダイオードの出力を制御して光の強度を変更すること(光の明るさを調整すること)は、レーザダイオードの特性上、困難である。
図8には、レーザダイオードに供給される電流とレーザダイオードの出力との関係を示すグラフが示されている。なお、図8では、光の最大出力及び電流の最大値を1として正規化されている。
ここで、ディスプレイの明るさをレーザダイオードの出力の強度変調で表す場合、その明るさを人の視覚の特性に合わせるためにγ(ガンマ)特性として表される強度補正が行われている。
すなわち、明るさの強弱レベルをx、レーザダイオードの出力(光の強度)をyとすると、y=xγと表される補正が行われる。ここで、xは、電流であり、γの値としては、例えば2.2又は1.8が用いられる。
図9には、一例として、γ=2.2とした場合のxとyとの関係を示すグラフが示されている。横軸が電流(x)を示し、縦軸が出力(光の強度)を示す。両軸とも最大値1で正規化した場合が示されている。
γ特性を考慮すると、図9から分かるように、出力が0.1以下の領域も、画像における暗部の階調表現として利用される。ここで、出力が0.1以下の領域とは、図8から分かるように、ほぼレーザ発振のスレッショルド電流(閾値電流)付近に対応する領域を意味する。
レーザダイオードは、本来、スレッショルド電流値より大きい直線的な出力特性を持つ電流範囲で使用されることが望ましい。
しかしながら、画像の明暗表現にγ特性を持たせると、レーザダイオードの低出力範囲を微妙にコントロールする必要が生じる。ここで、出力が0.1以下の領域においてレーザダイオードの出力を下げると、画像における暗部のコントロール幅が著しく狭くなる。
このため、走査型のプロジェクタでは、レーザダイオードの出力を制御して投射される画像の明度を変化させようとすると、その制御が煩雑(困難)になる。
本実施形態のプロジェクタ装置10では、装置本体11は、3つのレーザダイオードLD1〜LD3から射出され偏向反射器20で偏向された合成光CLをスクリーンSの被投射面に投射して画像を表示する。
そして、プロジェクタ装置10は、装置本体11の周囲の明るさを検出する照度センサ16と、該照度センサ16からの検出情報に基づいて、合成光CLの光路上に、フィルタ部材22の光透過率が異なる7つの扇形部分22a〜22gのうちのいずれか1つを位置させて合成光CLの強度を変更可能な光強度可変装置18とを備えている。
この場合、合成光CLは、装置本体11の周囲の明るさに応じた光透過率を有する扇形部分を透過する。すなわち、合成光CLの強度を、装置本体11の周囲の明るさに応じて、減衰させることができる。より詳細には、合成光CLの強度を、装置本体11の周囲が暗いほど、大きく減衰させることができる。
この結果、レーザダイオードの制御を煩雑にすることなく、装置本体11の周囲の明るさに応じて、スクリーンSに投射される画像の明度を適正化できる。
すなわち、プロジェクタ装置10は、簡易な構成により、装置本体11の周囲の明るさに関わらず人が見易い明度の画像をスクリーンS上に表示することができる。
また、フィルタ部材22は、ダイクロイックミラーDM2と偏向反射器20との間の光の光路上に配置されているため、偏向される前の合成光CLをフィルタ部材22に入射させることができる。この場合、フィルタ部材を例えば偏向反射器20と透明部材21との間の光の光路上などの偏向反射器20の後段に位置させる場合に比べて、フィルタ部材22を小さくすることができ、結果として、装置本体11を小型化できる。
また、フィルタ部材22は、光透過率が異なる多数(例えば7つ)の扇形部分を有するため、スクリーンS上に表示される画像の明度を多段階に調整することができる。
また、光強度可変装置18では、扇形の板状部材から成るフィルタ部材22をその頂点部分が支持された軸部材28を支点に回動させることとしている。このため、仮にフィルタ部材22と同一面積の例えば多角形状の板状部材から成るフィルタ部材を回動又はスライドさせることとした場合に比べて、筐体12内における設置スペースを小さくすることができ、この結果、装置本体11の小型化を図ることができる。
以下に、本発明の第2の実施形態を説明する。第2の実施形態では、上記第1の実施形態と異なる点を説明する。
第2の実施形態は、図10(A)及び図10(B)に示されるように、上記第1の実施形態に比べて、光強度可変装置の構成、すなわちフィルタ部材及び該フィルタ部材を動作させるアクチュエータの構成が異なる。
第2の実施形態の光強度可変装置118のフィルタ部材122は、一例として、YZ平面に平行でX軸方向を厚さ方向とする矩形板状部材から成り、Y軸方向に隣接し、異なる光透過率を有する2つの矩形部分122a、122bを含む。
2つの矩形部分122a、122bのうち、−Y側の矩形部分122aの光透過率は、例えば1/2(50%)に設定され、+Y側の矩形部分122bの光透過率は、例えば1(100%)に設定されている。
また、光強度可変装置118は、一例として、アクチェータとしてのソレノイド126を含む。
ソレノイド126は、Y軸方向を軸線方向とする固定コイル126aと、該固定コイル126aに−Y側から挿入されたプランジャ126b(可動鉄芯)とを有する。
固定コイル126aは、制御装置(不図示)に接続されており、照度センサ16からの検出情報に基づいて、制御装置から電流が供給されるようになっている。
プランジャ126bは、Y軸方向に延びる磁性部材から成り、その−Y側の端部は、フィルタ部材122の+Y側の端部に固定されている。また、プランジャ126bの+Y側の端部には、Y軸方向を軸線方向とする圧縮コイルばね128の−Y側の端が接続されている。圧縮コイルばね128の+Y側の端は、筐体12に接続されている。
固定コイル126aに電流が供給されていない状態では、プランジャ126bは、固定コイル126aから最も−Y側に突出しており、フィルタ部材122の+Y側の矩形部分122bが合成光CLの光路上に位置している(図10(B)参照)。
図10(B)に示される状態から、固定コイル126aに電流が供給されると、プランジャ126bは、固定コイル126aに発生する吸引力により、圧縮コイルばね128の弾性力に抗して、固定コイル126a内に所定距離Hだけ引き込まれる、すなわち+Y方向に所定距離Hだけ移動する。このとき、フィルタ部材122の−Y側の矩形部分122aが合成光CLの光路上に位置する(図10(A)参照)。
図10(A)に示される状態から、固定コイル126aへの電流供給が停止されると、圧縮コイルばね128の作用により、プランジャ126bが、固定コイル126aに対して−Y方向に所定距離Hだけ移動する。このとき、フィルタ部材122の+Y側の矩形部分122bが合成光CLの光路上に位置する(図10(B)参照)。
第2の実施形態では、制御装置は、照度センサ16からの検出情報に基づいて、ソレノイド126への通電のON/OFFを制御することで、フィルタ部材122をY軸方向に所定距離Hだけ移動させて、合成光CLの光路上における光透過率を変更する。この結果、筐体12の周囲の明るさに応じて、スクリーンS上に投射される画像の明度を2段階で調整することができる。
第2の実施形態によると、フィルタ部材における光透過率が異なる部分を2つとすることで、上記第1の実施形態に比べて、フィルタ部材を小さくできるので装置本体11の小型化を図ることができ、かつソレノイド126への通電のON/OFFでフィルタ部材122を動作させるので制御が簡単である。
また、光強度可変装置118は、ソレノイド126、圧縮コイルばね128などで構成されているので、上記第1の実施形態に比べて、低コスト化を図ることができる。
以下、本発明の第3の実施形態を説明する。第3の実施形態では、上記第1及び第2の各実施形態と異なる点を説明する。
第3の実施形態では、上記第1及び第2の各実施形態に比べて、図11に示されるように、光強度可変装置の構成、すなわちフィルタ部材及びアクチェータの構成が異なる。
第3の実施形態の光強度可変装置218のフィルタ部材222は、柔軟性を有する細長い矩形のシート状部材から成り、その長手方向に沿って光透過率が徐々に変化する。すなわち、フィルタ部材222は、その長手方向の一端から他端にかけて光透過率が徐々に大きくなる。
詳述すると、フィルタ部材222は、合成光CLの光路の−Y側、すなわち光の光路上から外れた位置に配置されたZ軸方向を軸線方向とするローラ224の+X側かつ−Y側の外周部分に、その長手方向がXY平面に平行となり、+Z方向から見て略直角に曲げられた状態で巻き掛けられている。
すなわち、フィルタ部材222は、YZ平面に平行な一方部分222aと、該一方部分222aに連続し、XZ平面に平行な他方部分222bとを有する。
ローラ224は、図示は省略されているが、その軸線周りに回転自在に筐体12に支持されている。
また、第3の実施形態の光強度可変装置218は、一例として、ローラ224の−X側に配置され、Z軸方向に延びる回転軸216aを有するサーボモータ216(アクチュエータ)を含む。サーボモータ216は、照度センサ16(図1参照)からの検出情報に基づいて、制御装置(不図示)により駆動制御される。
フィルタ部材222の一方部分222aは、合成光CLの光路に直交しており、その+Y側の端に、Y軸方向を軸線方向とする引っ張りコイルばね226の−Y側の端が接続されている。引っ張りコイルばね226の+Y側の端は、筐体12に接続されている。なお、一方部分222aは、合成光CLの光路に直交しているが、これに限らず、要は、合成光CLの光路に交差していれば良い。
フィルタ部材222の他方部分222bの−X側の端には、例えば柔軟性のある細長い接続部材223の一端部が接続されている。接続部材223の他端部は、サーボモータ216の回転軸216aに同軸に取り付けられた円柱部材217に巻き付けられている。
以上より、サーボモータ216が一方向に回転駆動され、接続部材223が円柱部材217から繰り出されると、フィルタ部材222は、引っ張りばね226の作用により、テンションが付与された状態で、その他方部分222bが+X方向に移動するとともに、その一方部分222aが+Y方向に移動する。このとき、ローラ224は、図11の矢印K方向に回転する。
一方、サーボモータ216が他方向に回転駆動され、接続部材223が円柱部材217に巻き取られると、フィルタ部材222は、テンションが付与された状態で、引っ張りばね226の弾性力に抗して、その他方部分222bが−X方向に移動するとともに、その一方部分222aが−Y方向に移動する。このとき、ローラ224は、図11の矢印K方向と反対方向に回転する。
すなわち、フィルタ部材222は、円柱部材217(回転軸216a)の回転に伴い、その一方部分222a及び他方部分222bの分量を入れ替えながら移動する。
第3の実施形態では、制御装置(不図示)は、照度センサ16(図1参照)からの検出情報に基づいて、サーボモータ216の駆動を制御することで、フィルタ部材222の一方部分222aを、合成光CLの光路に直交する方向(Y軸方向)に移動させて、合成光CLの光路上における光透過率を変更する。この結果、装置本体の周囲の明るさに応じて、スクリーンS上に投射される画像の明度を適正化することができる。
第3の実施形態によると、フィルタ部材222は、合成光CLの光路に直交する方向に光透過率が徐々に変化するので、フィルタ部材222の位置を細かく制御することにより、スクリーンS上に表示される画像の明度を細かく調整することができる。
すなわち、上記第1及び第2の各実施形態に比べ、筐体12の周囲の明るさに応じて、スクリーンS上に表示される画像の明度を、より適正化することができる。
また、細長い帯状部材から成るフィルタ部材222を略直角に曲げて配置することで、筐体12内におけるフィルタ部材222の設置スペースを小さくでき、この結果、装置本体の小型化を図ることができる。
以下に、本発明の第4の実施形態を説明する。第4の実施形態では、上記第2の実施形態に比べて、図12に示されるように、光強度可変装置の構成のうち、フィルタ部材の構成が異なる。
第4の実施形態の光強度可変装置は、光透過率が均一であるフィルタ部材322を複数(例えば3つ)有している。そこで、以下では、3つのフィルタ部材322を、それぞれ、第1〜第3フィルタ部材322a〜322cとも称する。
ここでは、3つのフィルタ部材322a〜322cの光透過率は、一例として、それぞれ、1/8、1/4、1/2に設定されている。
3つのフィルタ部材322は、それぞれ、合成光CLの光路上に位置する光減衰位置と、該光減衰位置から退避する退避位置との間を、ソレノイド324a、324b、324c(アクチュエータ)により、個別に移動可能となっている。なお、ソレノイドの構成は、上記第2の実施形態と同様なので、その説明は省略する。
ここで、3つのフィルタ部材322の光減衰位置は、X軸方向にずれており、3つのフィルタ部材322は、それぞれ単独で、又は少なくとも2つがX軸方向に重なった状態で光減衰位置に位置することが可能となっている。
すなわち、第4の実施形態の光強度可変装置では、3つのフィルタ部材322の全てを退避位置に位置させることで光透過率1(100%)を得ることでき、3つのフィルタ部材322のいずれか1つを光減衰位置に位置させることで光透過率1/8、1/4、1/2を得ることができ、また、3つのフィルタ部材322のうちの少なくとも2つを光減衰位置に位置させることで、その少なくとも2つのフィルタ部材322の光透過率を加算した総光透過率を得ることもできる。
なお、3つのフィルタ部材322が光減衰位置に位置するときの総光透過率は、3つのフィルタ部材322の光透過率1/8、1/4、1/2を加算した値である7/8である。
また、2つのフィルタ部材322a、322bが光減衰位置に位置するときの総光透過率は、2つのフィルタ部材322a、322bの光透過率1/8、1/4を加算した値である3/8である。
また、2つのフィルタ部材322b、322cが光減衰位置に位置するときの総光透過率は、2つのフィルタ部材322b、322cの光透過率1/4、1/2を加算した値である3/4である。
また、2つのフィルタ部材322c、322aが光減衰位置に位置するときの総光透過率は、2つのフィルタ部材322c、322aの光透過率1/8、1/2を加算した値である5/8である。
第4の実施形態では、制御装置は、照度センサ16からの検出情報に基づいて、3つのフィルタ部材322の位置を光減衰位置と退避位置との間で個別に制御することで、合成光CLの光路における光透過率を変更する。この結果、装置本体の周囲の明るさに応じて、スクリーンS上に投射される画像の明度を適正化することができる。
第4の実施形態によると、光透過率が均一な、すなわち構成が単純な複数のフィルタ部材を単独で又は組み合わせて用いることで、コストダウンを図ることができ、かつフィルタ部材の数(例えば3つ)よりも多い数(例えば8つ)の異なる光透過率を得ることができる。
なお、本発明は、上記第1〜第4の各実施形態で説明したものに特に限定されることなく、種々の変形が可能である。例えば、上記第1の実施形態では、Yリニアモータを用いて、異なる光透過率を有する7つの扇形部分を含むフィルタ部材22を多段階(7段階)に制御しているが、これに限らず、例えば、図13(A)及び図13(B)に示されるように、異なる光透過率を有する2つの扇形部分422a、422bを含むフィルタ部材422、並びに該フィルタ部材422を動作させるソレノイド126及び圧縮コイルばね128を用いて、フィルタ部材422を2段階に制御しても良い。この場合、フィルタ部材422を小さくできるので装置本体の小型化を図ることができるとともに、フィルタ部材422の制御が2段階なので制御が簡単である。
この場合、図13(A)に示されるように、ソレノイド126の固定コイル126aに電流が供給されていない状態で、光透過率が低い(例えば1/2)扇形部分422aを合成光CLの光路上に位置させることで、電源の異常時、電源投入直後の初期化時などに不用意に強いレーザ光が外部に漏れることを防止でき、安全性を高めることができる。
上記第1〜第4の各実施形態では、スクリーンS上を走査する偏向器として偏向反射器20が用いられているが、これに限られない。例えば、図14に示されるように、第1反射部材120a及び該第1反射部材120aを第3軸周りに回転可能に支持する支持部材120bにより構成される第1偏向反射器120と、第2反射部材220a及び該第2反射部材220aを第4軸周りに回転可能に支持する支持部材220bにより構成される第2偏向反射器220とを組み合わせて用いることとしても良い。すなわち、フィルタ部材を透過した合成光CLを第1反射部材120aで反射(偏向)し、その反射光を、第2反射部材220aで反射(偏向)して、その反射光をスクリーンS上に投射させても良い。この場合、第1及び第2偏向反射器120、220の各構成部も、半導体プロセスで薄型かつ小型に形成されることが好ましい。また、この場合、第1偏向反射器120の代わりに、例えば、多角形柱状の部材から成るポリゴンミラーを用いても良い。
上記第1〜第4の各実施形態におけるフィルタ部材又はフィルタ部材の複数部分の光透過率の値は、一例であって、適宜変更可能である。
上記第1〜第3の各実施形態におけるフィルタ部材の形状、フィルタ部材の複数部分の形状及び大きさは、一例であって、適宜変更可能である。
上記第1の実施形態では、フィルタ部材22は、光透過率が異なる部分を7つ有しているが、これに限らず、例えば、2つ〜6つでも良いし、8つ以上でも良い。
上記第3の実施形態では、フィルタ部材222の光透過率が、フィルタ部材222の長手方向に沿って徐々に変化するが、段階的に変化することとしても良い。
上記第4の実施形態では、3つのフィルタ部材322a、322b、322cの光透過率を互いに異ならせているが、これに限らず、3つのフィルタ部材のうち、少なくとも2つのフィルタ部材の光透過率を等しくしても良い。
上記第4の実施形態では、各フィルタ部材322は、光透過率が均一であるが、これに限らず、光透過率が異なる複数部分を有していても良い。
上記第4の実施形態では、フィルタ部材を3つ用いているが、これに限らず、1つ、2つ又は4つ以上用いても良い。フィルタ部材を複数用いる場合、全てのフィルタ部材の光透過率を互いに異ならせても良いし、少なくとも2つのフィルタ部材の光透過率を等しくしても良い。
上記第1の実施形態では、フィルタ部材22の光透過率を段階的に変化させるようにしているが、これに代えて、例えば、フィルタ部材22の光透過率を周方向に沿って徐々に変化するように、すなわち光透過率の変化にグラデーションを持たせても良い。この場合、光透過率をより細かく変化させることができるため、筐体12の周囲の明るさに応じて、スクリーンS上に表示される画像の明度をより適正化することができる。
上記第1及び第3の各実施形態では、フィルタ部材22の光透過率をフィルタ部材22の周方向に沿って順次大きくなるように(又は小さくなるように)変化させているが、これに限らず、フィルタ部材22の光透過率をフィルタ部材22の周方向に沿って光透過率の極大値(又は極小値)を少なくとも1つ持つように変化させても良い。
上記第1、第2及び第4の各実施形態では、フィルタ部材を動作させるアクチュエータとして、リニアモータ又はソレノイドが採用されているが、これに限らず、例えば、モータを含む送りねじ機構、モータを含むラックアンドピニオン機構、エアシリンダ、オイルシリンダなどを採用しても良い。
上記第1〜第4の各実施形態では、フィルタ部材を自動的に動作させることとしているが、これに併せて、ユーザが例えば操作部を介してマニュアルで動作させることとしても良い。この場合、例えば、装置本体11に異常が発生した場合等の緊急時に光透過率が最も低減されるようにアクチュエータを動作させることにより、レーザ光による被害を抑制することができる。
上記第1〜第3の各実施形態では、フィルタ部材は、光透過率が0(ゼロ)の部分を有していないが、これに限らず、例えば、光を遮断する(光透過率が0の)部分を有するフィルタ部材を採用し、装置本体11の異常発生時にレーザ光を遮断することとしても良い。
上記第4の実施形態では、光を遮断する(光透過率がゼロの)部材を、合成光CLの光路上に位置する遮断位置と該遮断位置から退避する退避位置との間で移動可能に設けて、装置本体11の異常発生時にレーザ光を遮断することとしても良い。
上記第1〜第4の各実施形態では、フィルタ部材の材料に光を吸収するものを用いたが、これに代えて、光を一部反射する材料をフィルタ部材の少なくとも一部に用いても良い。
上記第1〜第4の各実施形態では、光の強度を減衰する部材としてフィルタ部材が用いられているが、これに限らず、例えば、液晶シャッタ、液晶シャッタアレイなどの光の強度を減衰できるものであれば、いかなるものを用いても良い。
上記第1〜第4の各実施形態では、光源として、3つのレーザダイオードが用いられたが、2つ以下又は4つ以上用いられても良い。すなわち、プロジェクタ装置は、カラー画像に限らず、モノクロ画像を表示するものであっても良い。なお、レーザダイオードを1つ用いる場合は、2つのダイクロイックミラーは不要であり、レーザダイオードを2つの用いる場合は、1つのダイクロイックミラーは不要であり、レーザダイオードを4つ以上用いる場合は、ダイクロイックミラーを追加する必要がある。
上記第1〜第4の各実施形態では、各レーザダイオードに対応してコリメートレンズが設けられているが、少なくとも1つのコリメートレンズを設けなくても良い。
上記第1〜第4の各実施形態では、フィルタ部材は、ダイクロイックミラーDM2と偏向反射器20との間の光の光路上に配置されるが、これに限らず、例えば、偏向反射器20と透明部材21との間の光の光路上に配置されることとしても良いし、透明部材21の−Y側に配置されることとしても良い。