JP7219907B2 - 下部尿路症状改善用組成物 - Google Patents

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本発明は、畜尿症状、排尿症状、排尿後症状、過活動膀胱などの下部尿路症状改善用組成物に関する。
健常人の膀胱は、最大で300~500mlの尿を溜めることができる。成人では、膀胱内に約200mlの尿が溜まると、尿意に関するシグナルが脳に送られ、初発尿意を感じる。かかるシグナルを脳が受け取ると副交感神経が興奮し、その結果、膀胱のムスカリン受容体が刺激され平滑筋(排尿筋)が収縮する。一方、蓄尿段階では、交感神経が優位になり、排尿筋は弛緩した状態にある。
現代の高齢化かつストレス過剰な社会の進展に伴い、下部尿路症状(Lower Urinary Tract Symptom:LUTS)を有する中高年者が増えている。LUTSを有する男性患者の受診率は女性よりも高く、医療経済上の負担が大きい。LUTSは自覚的な煩わしさやQOLの低下と密接に関係しており、LUTSを来す疾患の疾患重症度、治療選択及び治療効果判定における重要な評価項目となっている。一方、LUTSの疾患特異性は低く、それだけで原因疾患を診断することは困難である。また、LUTSの重症度は必ずしも客観的所見の重症度と相関しない。
LUTSは、蓄尿と排尿(尿排出)に関連する症状を網羅する症状である。原因としては下部尿路機能障害(Lower Urinary Tract Dysfunction:LUTD)が示唆されるが、膀胱炎、前立腺炎、尿道炎、膀胱癌、膀胱結石などの器質的疾患でも起こり得る。
2002年の国際禁制学会(International Continence Society:ICS)によるICS用語基準に基づき、LUTSは蓄尿症状、排尿症状及び排尿後症状を含む総称的な症状として用いられている。なお、LUTSは、従前の広義の排尿障害に相当する。
LUTSにおいて、生殖器・尿路痛症候群及び下部尿路機能障害を示唆する症状症候群があり、そのうちの一つが過活動膀胱(Overactive Bladder:OAB)である。OABは、蓄尿段階の膀胱が過剰に反応する結果、突然の強い尿意を感じる症候群であり、通常は昼間頻尿及び夜間頻尿を伴い、加齢とともに有病率が増加することが報告されている。OABの患者では、交感神経と副交感神経との調和が崩れ、蓄尿時にも関わらず排尿筋が不随意に収縮することから尿意切迫感や頻尿が起こると考えられている。ただし、他の尿道-膀胱機能障害による場合もある。
男性において、OABは、前立腺肥大症を伴うことが報告されている。前立腺は、膀胱の直ぐ下で尿道を取り囲むように存在する。前立腺が加齢に伴って肥大化すると、膀胱出口の尿道が圧迫され、尿勢減弱や残尿感を引き起こす。女性のOAB患者は、加齢や出産などによって骨盤底筋が緩むことが原因で「腹圧性尿失禁」(くしゃみや咳、運動などで一過的に腹部に力が加わる動作の際の尿漏れ)を高頻度で併発することが報告されている。これは、女性の尿道が男性の尿道よりも短いためである。
LUTSは、膀胱から尿道までを含めた範囲において、様々な要因で発症する加齢性の症状であるといえる。したがって、LUTSを予防することは、快適な高齢者生活を送る上で極めて重要である。
LUTSの治療の一つに薬物療法がある。例えば、OABの治療にはオキシブチニンやソリフェナシンなどの抗コリン薬、ミラベグロンなどのβ3アドレナリン受容体作動薬が使用され、前立腺肥大症の治療にはタムスロシンなどのα1アドレナリン受容体遮断薬、タダラフィルなどのホスホジエステラーゼ5阻害薬、デュタステリドなどの5α還元酵素阻害薬、クロルマジノンなどの抗アンドロゲン薬などが使用されている。
LUTSの治療としては、長期間に及ぶことがあることから、長期間の服用に対して安全性が高い有効成分によることが望まれる。例えば、特許文献1には、ノビレチン、タンゲレチン、3’,4’,5,7-テトラメチルケルセチン、シネンセチンといった天然物由来の物質を有効成分とする排尿障害を改善する組成物が記載されている。
国際公開第2016/075960号
確かに、特許文献1に記載の組成物の有効成分であるノビレチン、タンゲレチン、3’,4’,5,7-テトラメチルケルセチン及びシネンセチンは、天然物由来のポリメトキシフラボノイドであり、長期間の服用に適している。しかし、本発明者らの調べたところでは、LUTSの改善作用は限定的であり、例えば、重度のLUTSを有する患者にとっては満足できるものではない。
そこで、本発明は、特許文献1に記載の組成物と比べて、優れたLUTSの改善作用を有するLUTS改善用組成物を提供することを、本発明が解決しようとする課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、種々の成分、とりわけ食経験のある成分について鋭意検討を積み重ねたところ、驚くべきことに、ノビレチンやタンゲレチンといったポリメトキシフラボノイドとアミノ酸の一種であるグリシンとを組み合わせることにより、それぞれ単独ではほとんどみられないか、又はみられたとしても程度が小さいLUTSの改善作用が顕著に大きくなった。このことは、ポリメトキシフラボノイドとグリシンとを組み合わせることによって、相加的というよりもむしろ相乗的ともいえる非常に優れたLUTSの改善作用が得られることを示す。
上記の結果として、本発明者らは、有効成分として、いずれも食経験のあるポリメトキシフラボノイドとグリシンとを組み合わせて含有するLUTSの改善に有用な組成物を創作することに成功した。本発明は、かかる知見や成功例に基づいて完成された発明である。
したがって、本発明の一態様によれば、以下[1]~[7]の組成物及び方法が提供される。
[1]ポリメトキシフラボノイドと、グリシンとを有効成分として含有する、下部尿路症状改善用組成物。
[2]柑橘類のポリメトキシフラボノイド含有物と、グリシンとを有効成分として含有する、下部尿路症状改善用組成物。
[3]前記ポリメトキシフラボノイドは、ノビレチン、タンゲレチン、3’,4’,5,7-テトラメチルケルセチン及びシネンセチンからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリメトキシフラボノイドである、[1]~[2]のいずれか1項に記載の組成物。
[4]前記組成物は、畜尿症状、排尿症状及び排尿後症状からなる群より選ばれる少なくとも1種の下部尿路症状を改善するための組成物である、[1]~[3]のいずれか1項に記載の組成物。
[5]前記組成物は、飲食品又は医薬品の形態にある下部尿路症状改善用組成物である、[1]~[4]のいずれか1項に記載の組成物。
[6]前記組成物は、有効成分の投与量が、下記(1)~(3)の少なくとも1種の投与量である、[1]~[5]のいずれか1項に記載の組成物。
(1)成人1日あたりのノビレチンの投与量が30mg以上である
(2)成人1日あたりのタンゲレチンの投与量が15mg以上である
(3)成人1日あたりのグリシンの投与量が3g以上である
[7][1]~[6]のいずれか1項に記載の組成物を、個体に投与することにより、該個体の下部尿路症状を改善する工程を含む、下部尿路症状の改善方法。
本発明の一態様の組成物及び方法によれば、天然物由来であり、かつ、食経験がある、ポリメトキシフラボノイド及びグリシンを有効成分として摂取することにより、効果的にLUTSやLUTSをもたらす疾患や病態を改善、緩和、回復、治療又は予防することが期待できる。
図1は、後述する実施例に記載があるとおりの、実施例群における排尿関連症状を測定した結果を示した図である。 図2は、後述する実施例に記載があるとおりの、比較例群における排尿関連症状を測定した効果を示した図である。
以下、本発明の一態様である組成物及び方法の詳細について説明するが、本発明の技術的範囲は本項目の事項によってのみに限定されるものではなく、本発明はその目的を達成する限りにおいて種々の態様をとり得る。
本明細書における各用語は、別段の定めがない限り、当業者により通常用いられている意味で使用され、不当に限定的な意味を有するものとして解釈されるべきではない。
「組成物」との用語は、通常用いられている意味のものとして特に限定されないが、例えば、2種以上の物質が組み合わさってなる物であり、具体的には、有効成分と別の物質とが組み合わさってなるもの、有効成分の2種以上が組み合わさってなるものなどが挙げられ、より具体的には、有効成分の1種以上と固形担体又は溶媒の1種以上とが組み合わさってなる固形組成物及び液性組成物などが挙げられる。
「下部尿路症状」との用語は、通常用いられている意味のものとして特に限定されないが、例えば、日本泌尿器科学会編、「男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドライン」(2017年4月20日 発行)の「3 定義と解説」において定義されているとおりの意味のものである。下部尿路症状には、適当な検査の結果として判明する客観的な症状に加えて、自覚的な主観的な症状が含まれる。
本明細書では、下部尿路症状をLUTSと略す場合がある。LUTSには、昼間頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感、尿失禁、膀胱知覚といった蓄尿相にみられる症状である畜尿症状;尿勢低下、尿線分割・尿線散乱、尿線途絶、排尿遅延、腹圧排尿、終末滴下といった排尿相にみられる症状である排尿症状;残尿感、排尿後尿滴下といった排尿直後にみられる症状である排尿後症状;膀胱痛症候群、過活動膀胱(OAB)、膀胱出口部閉塞といった症状症候群などが含まれる。
畜尿症状のうち、昼間頻尿は、例えば、日中の排尿回数が多過ぎるという愁訴であるといえる。例えば、1日の排尿回数が8回以上の場合は頻尿と診断され得る。夜間頻尿は、例えば、夜間に排尿のために1回以上起きなければならないという愁訴であるといえる。尿意切迫感は、例えば、急に起こる、抑えられない強い尿意で、我慢することが困難であるという愁訴であるといえる。徐々に強くなる通常の「強い尿意」ではなく、予測困難で「急に起こる強い尿意」の場合に用いられる。尿失禁は、例えば、尿が不随意に漏れるという愁訴であるといえる。尿失禁のうち、夜尿症は、例えば、睡眠中に不随意に尿が漏れるという愁訴であるといえる。尿失禁には、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、溢流性尿失禁、反射性尿失禁、真性尿失禁などが含まれる。膀胱知覚は、例えば、膀胱充満感はわかるが、明らかな尿意を感じない「低下」や膀胱充満感や尿意がない「欠如」などの5つに分類される。
排尿症状のうち、尿勢低下は、例えば、尿の勢いが弱いという愁訴であるといえる。尿勢低下によって排尿時間が長くなる傾向にある。尿線分割及び尿線散乱は、例えば、尿線が排尿中に分割及び散乱することがあるという愁訴であるといえる。尿線途絶は、例えば、尿線が排尿中に1回以上途切れるという愁訴であるといえる。排尿遅延は、例えば、排尿開始が困難で、排尿準備ができてから排尿開始までに時間がかかるという愁訴であるといえる。腹圧排尿は、例えば、排尿の開始、尿線の維持又は改善のために、腹圧(いきみ)を要するという愁訴であるといえる。終末滴下は、例えば、排尿の終了が延長し尿が滴下する程度まで尿流が低下するという愁訴であるといえる。
排尿後症状のうち、残尿感は、例えば、排尿後に完全に膀胱が空になっていない感じがするという愁訴であるといえる。残尿感は、実際的な残尿の有無に関係なく生じ得る。排尿後尿滴下は、例えば、排尿直後に不随意的に尿が出てくるという愁訴であるといえる。
LUTSの原因となる疾患や病態は限定されず、例えば、畜尿障害や排尿障害を含む下部尿路障害などの下部尿路の疾患及び病態、前立腺の疾患及び病態、神経系の疾患及び病態、薬剤性、多尿、睡眠障害、心因性といったその他の疾患及び病態などが挙げられる。
下部尿路の疾患及び病態としては、例えば、膀胱炎、間質性膀胱炎、膀胱癌、膀胱結石、膀胱憩室、週活動膀胱、低活動膀胱などの膀胱の疾患及び病態;尿道炎、尿道狭窄、尿道憩室といった尿道の疾患などが含まれる。前立腺の疾患及び病態としては、例えば、前立腺肥大症、前立腺炎、前立腺癌などが含まれる。神経系の疾患及び病態としては、脳血管障害、認知症、パーキンソン病、多系統萎縮症、正常圧水頭症、進行性核上性麻痩、大脳白質病変などの脳の疾患;脊髄損傷、多発性硬化症、脊髄腫瘍、脊椎変性疾患(脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア)、脊髄血管障害、二分脊椎などの脊髄の疾患;糖尿病、骨盤内手術後などの末梢神経の疾患及び病態などが挙げられる。
「症状改善作用」との用語は、通常用いられている意味のものとして特に限定されないが、例えば、症状が出ている状態を症状が出ていない状態へ向かう作用に加えて、症状が出ている状態を悪化させない作用、症状が出ていない状態を維持する作用、症状が出ていない状態から症状が出ている状態へ向かうことを妨げる作用などが含まれる。具体的には、「症状改善作用」には、症状の発生の防止及び遅延並びに発生の危険性の低下;症状及び状態の好転;症状及び状態の悪化の防止及び遅延;症状をもたらす機能の維持並びに悪化の防止及び遅延などを包含するが、これに限定されない。
「ポリメトキシフラボノイド」は、通常用いられている意味のものとして特に限定されないが、例えば、下記一般式(I)
Figure 0007219907000001
(一般式(I)中、
は水素又は水酸基であり;R~R10はそれぞれ独立して水素、-OH又は-OCHであり、ただし、R~R10のうち3個以上は-OCHである。)
で示される化合物である。
「グリシン」との用語は、通常用いられている意味のものとして特に限定されないが、例えば、示性式がHNCHCOOHであるものとして、アミノ酸の略称として「Gly」や「G」と表記されるものであるということができる。
本発明の一態様の組成物は、有効成分として、少なくともポリメトキシフラボノイド及びグリシンを含有する。本発明の一態様の組成物は、これらの有効成分を含有することにより、下部尿路症状改善作用を有する。
本発明の一態様の組成物におけるポリメトキシフラボノイドは特に限定されないが、例えば、一般式(I)においてR及びRのうち少なくとも1個がメトキシ基であり、かつ、R~R10のうち少なくとも2個がメトキシ基であるポリメトキシフラボノイドなどが挙げられ、好ましくはノビレチン、タンゲレチン、3’,4’,5,7-テトラメチルケルセチン及びシネンセチンである。ポリメトキシフラボノイドは、これらのうちの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
ポリメトキシフラボノイド及びグリシンは、結晶化された純度の高いポリメトキシフラボノイド及びグリシンに加えて、合成、発酵及び/又は天然物から抽出された状態のポリメトキシフラボノイド含有物及びグリシン含有物であってもよい。ポリメトキシフラボノイド及びグリシンを取得する方法は特に限定されない。例えば、市販されているポリメトキシフラボノイド及びグリシンを使用してもよい。
一般的に、柑橘類の果皮などには、ポリメトキシフラボノイドが多く含まれていることが知られている。そこで、ポリメトキシフラボノイドは、ポリメトキシフラボノイドを含有する柑橘類の部分や該部分から抽出して得られる抽出物などのポリメトキシフラボノイド含有物であってもよい。すなわち、本発明の別の一態様の組成物は、有効成分として、少なくとも柑橘類のポリメトキシフラボノイド含有物及びグリシンを含有する。
柑橘類は、ノビレチン、タンゲレチン、3’,4’,5,7-テトラメチルケルセチン、シネンセチンといったポリメトキシフラボノイドを含有する柑橘類植物であれば特に限定されない。柑橘類としては、例えば、キノット、ジャッファ・オレンジ、ジョッパ、ネーブルオレンジ、バレンシアオレンジ、福原オレンジ、ブラッドオレンジ、ベルガモットなどのオレンジ類;オランジェロ、グレープフルーツなどのグレープフルーツ類;カボス、清岡橙、コブミカン、三宝柑、シークヮーサー、シトロン、スダチ、ダイダイ、新姫、ブッシュカン、ゆうこう、柚柑、ユズ、ライム、レモンなどの香酸柑橘類;カクテルフルーツ、カワノナツダイダイ、黄蜜柑、ジャバラ、湘南ゴールド、スウィーティー、夏ミカン、八朔(ハッサク)、はるか、媛小春、日向夏などの雑柑類;安芸の輝き(デコポン)、伊予柑、愛媛果試第28号、清見、佐賀果試34号(デコポン)、師恩の恵、シラヌヒ(デコポン)、せとか、せとみ、大将季(デコポン)、タンカン、はるみ、肥の豊(デコポン)、マーコット、麗紅などのタンゴール類;アグリフルーツ、サマーフレッシュ、スイートスプリング、セミノール、タンジェロ、ミネオラなどのタンジェロ類;安政柑、河内晩柑、晩白柚、ブンタン(ザボン)などのブンタン類;温州ミカン、大津四号、カラマンシー、甘平、紀州ミカン、コウジ(柑橘類)、桜島ミカン、タチバナ、藤中みかん、ポンカン、マンダリンオレンジなどのミカン類;カラタチなどのカラタチ属;長葉金柑、長実金柑、寧波金柑、福州金柑、香港金柑、丸実金柑などのキンカン属などが挙げられるが、好ましくはミカン科ミカン亜科カンキツ属後生カンキツ亜属ミカン区の柑橘類及びミカン科ミカン亜科カンキツ属初生カンキツ亜族ダイダイ区の柑橘類であり、より好ましくはシークヮーサー(Citrus depressa)、ウンシュウミカン(C.unshiu)、タチバナ(C.tachibana)、コウジ(C.leiocarpa)、ギリミカン(C.tardiva)、ジミカン(C.succosa)、キシュウ(C.kinokuni)、コベニミカン(C.erythrosa)、スンキ(C.sunki)、チチュウカイマンダリン(C.deliciosa)、キング(C.nobilis)、ポンカン(C.retuculata)、ダンシータンジェリン(C.tangerina)、ハナユ(C.hanayu)、マンダリンオレンジ(C.reticulata)、サンキ(C.sunki)、コウライタチバナ(C.nippokoreana)、シラヌヒ及び清見などであり、さらに好ましくはシークヮーサーである。また、これらの柑橘類は1種又は2種以上であればよく、上記具体例として挙げた柑橘類の交配種であってもよい。
柑橘類のポリメトキシフラボノイド含有物は、ポリメトキシフラボノイドを含有する部分であれば、果実、根、幹、枝、葉、花のいずれの部分を用いてもよいが、ポリメトキシフラボノイドを多く含有することが知られている果実及び果皮であることが好ましく、乾燥果皮粉末であることがより好ましい。柑橘類のポリメトキシフラボノイド含有物は、例えば、柑橘類の果実から果肉に含まれる果汁を搾り出すようになされる搾汁処理により得られる搾汁残渣であってもよい。
柑橘類のポリメトキシフラボノイド抽出物は、ポリメトキシフラボノイドを高濃度で含有する柑橘類の抽出物であることが好ましい。柑橘類のポリメトキシフラボノイド抽出物におけるポリメトキシフラボノイド濃度(含有量)は特に限定されないが、例えば、柑橘類のポリメトキシフラボノイド抽出物の乾燥質量あたりポリメトキシフラボノイドが1%wt%以上、好ましくは10wt%以上である。それぞれの上限は特に限定されないが、典型的にはポリメトキシフラボノイドの総量として100wt%である。柑橘類のポリメトキシフラボノイド抽出物におけるポリメトキシフラボノイドの含有量は、国際公開第2014/057727号明細書に記載の方法によって測定できる。
柑橘類からポリメトキシフラボノイドを抽出する工程は特に限定されないが、例えば、柑橘類の果実や搾汁残渣を、メタノールやエタノールなどのポリメトキシフラボノイド可溶性の有機溶媒で抽出処理する工程などが挙げられる。この際、柑橘類の果実や搾汁残渣を抽出処理に供する前に、乾燥処理、細断処理、粉末化処理、アワモリ菌などを用いた発酵処理に供することや該抽出処理の後にアルカリ処理することにより得た不溶性成分を再度抽出処理に供することなどをすれば、ノビレチン及びタンゲレチンなどのポリメトキシフラボノイドが高含有率又は高含有量で存在する柑橘類のポリメトキシフラボノイド抽出物を得ることができる。このような柑橘類のポリメトキシフラボノイド抽出物を得る方法については、例えば、国際公開第2014/057727号明細書や特開2015-202065号公報などを参照できる。
本発明の一態様の組成物が有する下部尿路症状改善作用は、下部尿路症状の少なくともいずれか1種の症状を改善する作用であれば特に限定されないが、例えば、畜尿症状、排尿症状、排尿後症状及び過活動膀胱などが挙げられ、好ましくは頻尿、昼間頻尿、夜間頻尿及び尿意切迫感;尿勢低下及び尿線途絶;残尿感;前立腺肥大並びに過活動膀胱である。
下部尿路症状改善作用は、本発明の一態様の組成物を服用する個体に対して、服用前と一定期間の服用後に、下部尿路症状に関する聴取又は質問票による回答により評価することができる。聴取する際の質問事項としては日中及び夜間の排尿回数、質問票としては過活動膀胱症状スコア(OABSS)質問票、国際前立腺症状スコア(IPSS)及びIPSS-QOLスコア質問票を含めることが好ましい。各質問票については、日本泌尿器科学会編、「男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドライン」(2017年4月20日 発行)に記載のものを用いることができる。
下部尿路症状改善作用は、後述する実施例に記載がある方法により、本発明の一態様の組成物を服用する個体に対して、服用前と一定期間の服用後との間に、統計的に有意な低下がみられるか否かにより評価することができる。例えば、服用から3週間又は6週間後に、服用前に対して「夜間排尿回数」、「OABSS夜間回数」、「OBSS切迫感」、「IPSS残尿」、「IPSS頻尿」及び「IPSS尿意切迫」からなる群から選ばれる1種、2種、3種、4種、5種又は6種の項目について統計的に有意な低下がみられる場合に、下部尿路症状改善作用があると評価することができる。本発明の一態様の組成物が有する下部尿路症状改善作用の程度は特に限定されないが、例えば、ポリメトキシフラボノイド単独が有する下部尿路症状改善作用及び/又はグリシン単独が有する下部尿路症状改善作用よりも大きい程度である。
本発明の一態様の組成物は、下部尿路症状改善作用を有することによって、安眠効果、体力増強効果、尿不安解消効果などの様々な効果を奏することが期待されるものであることから、睡眠促進用組成物、安眠用組成物、体力増強用組成物、尿不安解消用組成物、QOL(Quality of life)改善用組成物といった態様をとり得る。
ポリメトキシフラボノイド及びグリシンは、長期にわたりヒトに摂取されてきた実績があり安全性が高いことから、本発明の一態様の組成物は、実用性が高く、そのままで、又は加工することにより、種々の用途に適用可能である。
本発明の一態様の組成物は、その摂取方法について特に限定されず、例えば、経口的又は非経口的に適用され得る。非経口的な適用としては、皮内、皮下、静脈内、筋肉内投与などによる注射及び注入;経皮;鼻、咽頭などの粘膜からの吸入などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の一態様の組成物の摂取個体は特に限定されず、例えば、動物、中でも哺乳類が挙げられ、哺乳類としてはヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジなどが挙げられ、これらの中でもヒトであることが好ましい。摂取個体は、健常な個体であってもよいが、下部尿路症状の改善が望まれる個体であることが好ましい。
本発明の一態様の組成物は、通常用いられる形態であれば特に限定されず、例えば、固形状、液状、ゲル状、懸濁液状、クリーム状、シート状、スティック状、粉状、粒状、顆粒状、錠状、棒状、板状、ブロック状、ペースト状、カプセル状、カプレット状などの各形態を採り得る。
本発明の一態様の組成物は、下部尿路症状改善作用を有する限り、有効成分と他の成分とを組み合わせて含有し得る。すなわち、本発明の一態様の組成物は、ポリメトキシフラボノイド又は柑橘類のポリメトキシフラボノイド抽出物及びグリシンに加えて、本発明の目的を達成し得る限り、他の成分として種々のものを配合できる。
他の成分としては、例えば、糖質甘味料、安定化剤、乳化剤、澱粉、澱粉加工物、澱粉分解物、食塩、着香料、着色料、酸味料、風味原料、栄養素、果汁、卵などの動植物性食材、賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、香油、保存剤、緩衝剤、光沢剤などの通常の食品加工や医薬品加工に使用される添加物などを挙げることができる。他の成分の使用量は、本発明の課題の解決を妨げない限り特に限定されず、適宜設定され得る。
賦形剤としては、例えば、乳糖、ブドウ糖、白糖、マンニトール、馬鈴薯デンプン、デキストリン、トウモロコシデンプン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、結晶セルロース、カンゾウ末、ゲンチアナ末などを挙げることができる。結合剤としては、例えば、デンプン、トラガントゴム、ゼラチン、シロップ、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースなどを挙げることができる。崩壊剤としては、例えば、デンプン、寒天、ゼラチン末、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、結晶セルロース、炭酸カルシウム、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースなどを挙げることができる。滑沢剤としては、例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウムなどを挙げることができる。着色剤としては、飲食品や経口用医薬品に添加することが許容されているものなどを使用することができ、特に限定されない。
錠剤や顆粒剤とする場合には、所望により、白糖、ゼラチン、精製セラック、グリセリン、ソルビトール、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、フタル酸セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルメタクリレート、メタアクリル酸重合体などを用いてコーティングしてもよく、複数層でコーティングすることもできる。さらに顆粒剤や粉剤をエチルセルロースやゼラチンのようなカプセルに詰めてカプセル剤とすることもできる。
本発明の一態様の組成物におけるポリメトキシフラボノイド及び柑橘類のポリメトキシフラボノイド抽出物の含有量は、グリシンと組み合わせることにより下部尿路症状改善作用が認められる量であれば特に限定されないが、経口用組成物としては、例えば、組成物全体に対して、ポリメトキシフラボノイドが0.1mg~10,000mg、好ましくは1mg~1,000mg、より好ましくは10mg~500mg、さらに好ましくは20mg~100mgになるような量であり;ノビレチンが0.01mg~1,000mg、好ましくは1mg~500mg、より好ましくは10mg~200mg、さらに好ましくは20mg~100mgになるような量であり;及び/又は、タンゲレチンが0.01mg~1,000mg、好ましくは1mg~500mg、より好ましくは5mg~200mg、さらに好ましくは10mg~100mgになるような量である。
本発明の一態様の組成物におけるグリシンの含有量は、ポリメトキシフラボノイド又は柑橘類のポリメトキシフラボノイド抽出物と組み合わせることにより下部尿路症状改善作用が認められる量であれば特に限定されないが、経口用組成物としては、例えば、組成物全体に対して、1mg~100,000mg、好ましくは10mg~10,000mg、より好ましくは100mg~5,000mgである。
本発明の一態様の組成物の摂取量は特に限定されず、摂取個体の年齢、体格、症状などの摂取個体の特性;摂取方法;適用部位などに合わせて適宜設定することができる。本発明の一態様の組成物の摂取量は、例えば、一般成人に対して、1mg~20,000mg/日であり、好ましくは0.1g~5g/日である。
本発明の一態様の組成物の摂取回数は特に限定されないが、例えば、1日1~3回であり、使用個体の下部尿路症状の程度や摂取量に応じて適宜回数を増減することができる。本発明の一態様の組成物の摂取期間は、一定期間、すなわち3日以上、好ましくは1週間以上、より好ましくは3週間以上、さらに好ましくは6週間以上、なおさらに好ましくは6ヶ月以上にわたって継続的に投与する。本発明の一態様の組成物の摂取は、毎日行うことが好ましいが、期間中継続的に摂取する限り、毎日摂取しなくてもよい。
本発明の一態様の組成物は、該組成物を単独で、又は該組成物を配合する飲食品用組成物や医薬品用組成物などの形態をとり得る。したがって、本発明の具体的な一態様は、有効成分を含有する、又は本発明の一態様の組成物を含有する、飲食品用組成物、医薬品用組成物、医薬部外品用組成物、化粧品用組成物、動物飼料用組成物などである。
本発明の一態様の組成物が飲食品用組成物である場合は、摂取後に少なくとも下部尿路症状改善作用が発揮し得る限り、あらゆる飲食品の形態をとり得るが、例えば、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、ゼリー、ペーストなどの剤状食品;果汁飲料、野菜ジュース、果物野菜ジュース、茶飲料、コーヒー飲料、スポーツドリンク、清涼飲料、健康飲料などの飲料;ヨーグルトやチーズなどの乳製品;スープ、麺、プリン、ジャムなどの加工飲食品;チューインガム、キャンディー、錠菓、グミゼリー、チョコレート、ビスケット、スナックなどの菓子;アイスクリーム、シャーベット、氷菓などの冷菓;せんべいなどの米菓;羊羹その他の大豆を原料とする菓子などに添加して一般的な飲食品の形態とすることができる。
飲食品用組成物の具体的な一態様は、例えば、生体に対して一定の機能性を有する飲食品である機能性飲食品である。機能性飲食品は、例えば、特定保健用飲食品、機能性表示飲食品、栄養機能飲食品、保健機能飲食品、特別用途飲食品、栄養補助飲食品、健康補助飲食品、サプリメント、美容飲食品などのいわゆる健康飲食品に加えて、乳児用飲食品、妊産婦用飲食品、高齢者用飲食品などの特定者用飲食品を包含する。さらに機能性飲食品は、コーデックス(FAO/WHO合同食品規格委員会)の食品規格に基づく健康強調表示(Health claim)が適用される健康飲食品を包含する。
飲食品用組成物の包装形態は特に限定されず、適用される形態などに応じて適宜選択できるが、例えば、コーティング紙、PETやPTPなどのプラスチック、アルミなどの金属、ガラスなどを素材とするパック、瓶、缶、パウチ、1層又は積層(ラミネート)のフィルム袋などが挙げられる。
本発明の一態様の組成物が医薬品用組成物である場合は、適用後に少なくとも下部尿路症状改善作用が発揮し、それに伴い下部尿路症状をきたす疾患の予防効果又は治療効果が現われる限り、あらゆる医薬品の形態をとり得る。医薬品用組成物は、本発明の目的を達成し得る限り、柑橘類のポリメトキシフラボノイド抽出物以外の下部尿路症状改善を有する他の生理活性物質を配合してもよい。また、本発明の一態様の医薬品用組成物は、他の生理活性物質を有効成分として含有する他の医薬品と併用してもよい。かかる医薬品としては、例えば、抗コリン剤、α1阻害薬、アドレナリン受容体作動薬(ミラベグロン、TAK259など)、ポリ硫酸ペントサン、塩酸ヒアルロン酸ナトリウム、フラボキサート、セルニチンポーレンエキス、β3受容体刺激薬などが挙げられるが、これらに限定されない。
医薬品用組成物の剤型は特に限定されないが、例えば、注射剤(筋肉、皮下、皮内)、経口製剤、点鼻製剤などが例示される。医薬品用組成物は、膀胱炎、間質性膀胱炎、膀胱癌、膀胱結石、膀胱憩室、週活動膀胱、低活動膀胱、尿道炎、尿道狭窄、尿道憩室、前立腺肥大症、前立腺炎、前立腺癌、脳血管障害、認知症、パーキンソン病、多系統萎縮症、正常圧水頭症、進行性核上性麻痩、大脳白質病変、脊髄損傷、多発性硬化症、脊髄腫瘍、脊椎変性疾患(脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア)、脊髄血管障害、二分脊椎、糖尿病、骨盤内手術後などの疾患を治療又は予防するための医薬品用組成物という態様をとり得る。
本発明の一態様の組成物の製造方法は特に限定されず、例えば、ポリメトキシフラボノイド又は柑橘類のポリメトキシフラボノイド抽出物及びグリシンと、任意に他の成分とを混合して、所望の剤形に成形する方法などが挙げられる。
本発明の一態様の組成物の使用方法は特に限定されないが、例えば、本発明の一態様の組成物が経口用組成物である場合は、経口用組成物をそのまま、若しくは水などとともに、又は水などで希釈するなどして、飲食することにより経口摂取することができる。使用個体の好みなどに応じて、本発明の一態様の組成物と他の固体物や液状物とを混ぜて経口摂取してもよい。本発明の一態様の組成物を口腔崩壊剤形とした場合は、水なしで経口摂取することができる。
本発明の一態様の方法は、本発明の一態様の組成物を個体に投与することにより、該個体の下部尿路症状を改善する工程を含む、下部尿路症状の改善方法である。投与方法や個体の下部尿路症状の改善効果の確認方法などは、上記項目を適宜参照できる。また、本発明の一態様の方法は、本発明の課題を解決し得る限り、上記した工程の前段若しくは後段又は工程中に、種々の工程や操作を加入することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得る限り、本発明は種々の態様をとることができる。なお、実施例中の「排尿障害」は従前の広義の排尿障害を意味し、下部尿路症状と同義である。
[例1.ノビレチン、タンゲレチン及びグリシンを含有する組成物による排尿障害改善評価]
(1-1.目的)
排尿障害のある成人ボランティアに対する、ノビレチン及びタンゲレチン含有物並びにグリシンを含有する製剤の排尿障害改善作用について評価した。
特許第5735184号公報の実施例1の記載を参照して、シークヮーサーの搾り粕から60wt%ノビレチン及び30wt%タンゲレチンを含有するノビレチン及びタンゲレチン含有物を得た。
(1-2.カプセル剤)
賦形剤としてデキストリンを用いて、ノビレチン及びタンゲレチン含有物 50mgと、グリシン 3gとを含有するカプセル剤を実施例1のカプセル剤とし、ノビレチン及びタンゲレチン含有物 50mgのみを含有するカプセル剤を比較例1のカプセル剤とした。
頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感及び/又は切迫性尿失禁といった排尿障害の症状が2ヵ月以上前からあるが、治療を受けていない未治療の成人ボランティア42名を対象例とした。
(1-3.群分け)
42例のうち、25例(男7例、女18例、年齢48±14歳)を実施例1のカプセル剤を経口的に服用する実施例群とし、残りの17例(男13例、女4例、年齢65±13歳)を比較例1のカプセル剤を経口的に服用する比較例群とした。
(1-4.試験方法)
カプセル剤は、1日1回朝、連日的に服用(内服)した。カプセル剤の服用前(0日)、カプセル剤服用3週間後及びカプセル剤服用6週間後に、各対象例について、排尿関連症状としての日中排尿回数(実数)、夜間排尿回数(実数)、過活動膀胱症状スコア(OABSS)、国際前立腺症状スコア(IPSS)及びIPSS-QOLスコアを測定した。このうち、OABSS、IPSS及びIPSS-QOLについては、日本泌尿器科学会編、「男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドライン」(2017年4月20日 発行)を参照して測定した。
測定して得られた数値を各群内で平均±標準偏差で表し、カプセル剤の服用前の数値に対するカプセル剤服用3週間後及びカプセル剤服用6週間後の数値を、paired t-testで検定して、p<0.05を「*」とし、P<0.01を「**」として統計的に有意なものとした。
(1-5.評価)
実施例群及び比較例群の結果をそれぞれ図1及び図2に示す。なお、両群ともに、副作用などの有害事象は認められなかった。
図1及び図2が示すとおり、比較例群において有意差があるものと認められた項目である「昼間排尿回数」、「OABSS夜間回数」、「OABSS切迫感」、「IPSS-QOL」、「IPSS残尿」、「IPSS尿勢低下」、「IPSS夜間頻尿」及び「IPSS-合計」については、実施例群においても有意差がみられた。特に、「昼間排尿回数」、「OABSS夜間回数」、「OABSS切迫感」、「IPSS残尿」及び「IPSS尿勢低下」の項目については、比較例群に対して、実施例群において顕著な低下がみられた。
また、驚くべきことに、比較例群では統計的に有意な低下がみられなかった項目である「夜間排尿回数」、「OABSS切迫性尿」、「IPSS頻尿」、「IPSS尿線途絶」及び「IPSS尿意切迫」について、実施例群では統計的に有意な低下がみられた。
以上の結果より、ノビレチン及びタンゲレチンに加えて、グリシンを含有する組成物は、排尿障害の改善、特に昼夜の排尿回数を低減し、さらに頻尿や排尿の切迫感を改善する作用を有することがわかった。
また、参考例群として、排尿障害のある未治療の成人ボランティア50例に対して、グリシンのみを含有するカプセル剤を服用させた。上記と同様にして、カプセル剤の服用前(0日)及びカプセル剤服用4週間後に、各対象例について、日中排尿回数(実数)及び夜間排尿回数(実数)を測定した。
参考例群では日中排尿回数(実数)及び夜間排尿回数(実数)の低減効果は見られなかった。
ノビレチン及びタンゲレチン含有物やグリシンの単独では、昼夜の排尿回数を低減するといった排尿障害の改善作用はほとんどみられないか、又はみられたとしても程度が小さかった。このことを勘案すれば、図1によって示される、ノビレチン及びタンゲレチン含有物並びにグリシンを組み合わせて含有する組成物が有する排尿障害の改善作用は、相加的というよりもむしろ相乗的ともいえる格別顕著に優れた作用であることがわかる。
したがって、ノビレチン及びタンゲレチン含有物並びにグリシンを含有する組成物は、排尿障害改善作用を有する組成物として有用であり、さらに過活動膀胱や尿勢減弱といった男性下部尿路症状や前立腺肥大症の治療や予防についても有用であることが示唆される。
本発明の一態様の組成物は、使用個体に対して下部尿路症状を改善させることが可能になる有用な組成物である。

Claims (4)

  1. ポリメトキシフラボノイドと、グリシンとを有効成分として含有する、ヒト用下部尿路症状改善用組成物であって、
    前記ポリメトキシフラボノイドはノビレチン及びタンゲレチンであり、
    前記下部尿路症状改善は昼間排尿回数、夜間排尿回数、OABSS夜間回数、OABSS切迫感、OABSS合計、IPSS-QOL、IPSS残尿、IPSS頻尿、IPSSS尿意切迫、IPSS尿勢低下及びIPSS合計からなる群から選ばれる少なくとも一種の下部尿路症状の改善である、前記組成物。
  2. 前記ポリメトキシフラボノイドは、柑橘類のポリメトキシフラボノイド含有物である、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記組成物は、飲食品又は医薬品の形態にある下部尿路症状改善用組成物である、請求項1~2のいずれか1項に記載の組成物。
  4. 前記組成物は、有効成分の投与量が、下記(1)~(3)の少なくとも1種の投与量である、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
    (1)成人1日あたりのノビレチンの投与量が30mg以上である
    (2)成人1日あたりのタンゲレチンの投与量が15mg以上である
    (3)成人1日あたりのグリシンの投与量が3g以上である
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