特許法第30条第2項適用 以下の展示会及び刊行物にて発表 1.展示日:平成30年9月19日(開催期間:平成30年9月19日~28日) 展示会名:第11回秋の合同商談会 開催場所:東和産業株式会社 ショールーム(和歌山県海南市藤白759番地) 2.発行日:平成30年9月19日刊行物名:第11回秋の合同商談会にて配布した商品企画書
以下、本発明に係る一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、浴槽を清掃する柄付き清掃具について説明するが、本発明の柄付き清掃具の清掃対象(被清掃物)は特に限定するものではなく、床面、便器、窓、水槽等を清掃するものであっても良い。
図1は本実施形態に係る柄付き清掃具の斜視図であり、図2は同平面図であり、図3は同分解斜視図である。なお、これらの図中における+X方向を右方向、+Y方向を前方向、+Z方向を上方向として説明するが、これらはあくまでも説明の便宜のためであり、各々相対的な位置関係を示すにすぎない。
これらの図に示すように、柄付き清掃具1は、一方向(図例では前後方向)に延びる柄部10と、柄部10の先端側に配置されたヘッド部20と、柄部10の先端部が取り付けられこの柄部10とともにヘッド部20を回転可能に挟持する連結部30と、ヘッド部20の下面に着脱自在に取り付けられた平面視略矩形状の清掃部40とを備え、このように柄部10は連結部30を介してヘッド部20に接続されている。
《柄部10》
図4ないし図6は、それぞれ柄部10の斜視図、一部拡大平面図、正面図である。柄部10は、これらの図に示すように、一端側(基端側)に配置された握持部11と、他端側(先端側)に配置されるとともに連結部30に取り付けられた柄接続部12(先端部に対応)と、握持部11と柄接続部12とを接続する柄本体13とを備え、本実施形態ではポリプロピレンなどの合成樹脂の一体成形品として構成されている。この柄部10は、長手方向に直交する断面が、握持部11から柄本体13にかけて漸次小さくなるように設定されるともに、柄本体13から柄接続部12にかけて漸次大きくなるように設定され、デザインを考慮しつつ柄部10の重量を抑制するように設定されている。
握持部11は、清掃具1の使用者が握持する部分であり、この観点で太さや形状が設計されている。本実施形態では、握持部11は、基端から長手方向中央部基端寄りに至るまで幅寸法、及び厚み寸法が漸次大きくなるように設定され、長手方向中央部基端寄りから先端側に向かって両寸法が漸次小さくなって、柄本体13に接続されている。なお、握持部11の基端部には、長手方向に直交する方向(図4では上下方向)に貫通する吊下用係合孔11Aが設けられている。
柄接続部12は、柄部10を連結部30に回転可能に取り付けるための部分であり、本実施形態では、約180°回転可能となるように連結部30に取り付けられている。また、この柄接続部12は、図1に明示するように、連結部30に取り付けられた状態において先端部がヘッド部20の上面に当接するように設定されている。
具体的には、この柄接続部12は、図5及び図6に明示するように、長手方向の先端に向かうに従って漸次拡幅するように設定され、正面視において幅方向(図6では左右方向)に細長い偏平な形状を有している。すなわち、柄接続部12は、柄本体13と略同等の厚みを有している一方、柄本体13よりも幅広に設定されている。柄接続部12の先端における幅寸法は、柄本体13の最小幅寸法の1.5~5.0倍に設定されるのが好ましく、本実施形態では約2.7倍に設定されている。後述するスリット12Aの開口端(先端)の幅寸法によるものの、柄接続部12を幅方向に偏平な形状に設計することにより、ヘッド部20の上面に対する接触面積を十分に確保することができ、またこの柄接続部12を先端に向かって漸次拡幅させることにより先端の幅寸法を確保しつつ清掃具1の重量を抑制して清掃具1の操作性を向上させることができる。
また、柄接続部12は、先端の幅方向中央部から柄部10の長手方向に沿って所定範囲に亘ってスリット12Aが設けられ、このスリット12Aによって先端部が二股状に分岐されている。具体的には、柄接続部12は、スリット12Aを介して相対向する第1及び第2分岐部12a,12bと、第1及び第2分岐部12a、12bの各対向面における先端部から同一軸線上において他方側に突出する第1及び第2係合ボス部12c,12dとを備え、これらの係合ボス部12c,12dを回転中心軸C(図5参照:「直交軸」に対応)として連結部30に対して柄部10が回転可能に取り付けられる。
スリット12Aは、後端側に配置された狭幅部12A1と、この狭幅部12A1の前端側(先端側)に連設され狭幅部12A1よりも幅が広い広幅部12A2とを備えている。この狭幅部12A1は、第1及び第2分岐部12a,12bが離間する方向に弾性変形できるように設けられたものであり、その長さは適宜設定されている。一方、広幅部12A2は、連結部30の後述する取付軸部32が配置されるためのものであり、狭幅部12A1に基づき第1及び第2分岐部12a,12bとを互いに離間する方向に弾性変形させて広幅部12A2に取付軸部32が配置される。
第1及び第2分岐部12a,12bは、第1及び第2係合ボス部12c,12dとともに、広幅部12A2に配置された連結部30の取付軸部32を軸支するものであり、この取付軸部32の中心軸C方向の移動を規制する役割も有する。この第1及び第2分岐部12a,12bは、柄部10が連結部30に対して回動した場合でも、この回動範囲において先端部がヘッド部20の上面に当接するように、先端が中心軸Cを中心とする円弧状に形成されている。具体的には、第1及び第2分岐部12a,12bの先端面は、清掃具1の組付状態において中心軸Cを中心として、当該中心軸Cからヘッド部20の上面への最短距離(ヘッド部20の上面に対する垂線の長さ)を半径とする半円柱の周面として構成されている。なお、柄部10の連結部30に対する回動について、後述するヘッド部20及び連結部30と同様に、所定のクリック構造を採用することにより、一時的に仮止状態に固定することができ、清掃具1の利便性を向上させることができる。
一方、第1及び第2係合ボス部12c,12dは、上記したように、中心軸Cを構成するものである。本実施形態では、これらの係合ボス部12c,12dは、先端面が相互に離間配置された円柱状にそれぞれ構成され、第1及び第2分岐部12a,12bから広幅部12A2内に突出するように設けられている。これらの係合ボス部12c,12dは、図6に明示するように、先端部の下端部、すなわち柄部10の長手方向及び中心軸Cの軸方向のそれぞれに直交する方向の端部が斜めに切り欠かれることにより、傾斜ガイド面12c1,12d1がそれぞれ設けられている。この傾斜ガイド面12c1,12d1は、柄部10を連結部30に取り付ける際に、連結部30における取付軸部32の上端に当接してこの傾斜ガイド面12c1,12d1に沿って第1及び第2分岐部12a,12bを弾性的に拡開させるためのものであり、この観点から適宜寸法設定されている。
一方、柄本体13は、上記したように、握持部11と柄接続部12とを接続するものであり、被清掃対象物に応じてその長さ寸法が適宜設定される。本実施形態では、柄本体13は、長手方向の直交断面における角部が面取りされた上下方向に細長い略矩形状を呈し、これにより上下方向への押し付け力に対しての剛性を向上させている。
《ヘッド部20》
次に、ヘッド部20について、図7ないし図9を用いて説明する。図7はヘッド部20及び連結部30を組み付け状態で示す底面図であり、図8は図7のVIII-VIII線断面図である。図9は本実施形態におけるヘッド部20の斜視図である。
ヘッド部20は、可撓性を有する板状体により構成されている。このヘッド部20は、本実施形態では清掃部40の平面視矩形状における対角線上に配置される板状体として構成され、中央交差部に厚み方向(上下方向)に貫通する貫通孔25が設けられている。具体的には、ヘッド部20は、柄部10が連結部30を介して接続される台座部20Aと、この台座部20Aを中心に清掃部40の平面視角部40a~40dに放射状に延びる板状のヘッド本体20Bと、ヘッド本体20Bの下面に突設されたファスナ用フック部20Cとを備え、本実施形態では全体が可撓性を有する合成樹脂(例えばポリプロピレン)によって一体成形されている。
台座部20Aは、柄部10と連結部30とにより挟持される部分であり、ヘッド本体20Bの上面から上方に向かって膨出(突出)している。本実施形態では、台座部20Aは、偏平円錐台状に構成されている。また、台座部20Aは、中心部に厚み方向に貫通する貫通孔25と、この貫通孔25の下端開口部の周囲にこの貫通孔25に連通する環状凹部26とを有する。
貫通孔25は、連結部30の後述する取付軸部32をヘッド部20の厚み方向に挿通させるものであり、本実施形態では平面視円形状を有する。一方、環状凹部26は、連結部30の取付軸部32を貫通孔25に挿通させた状態で、同じく後述する抜止フランジ部31を収容するためのものであり、貫通孔25と中心を同じくし当該貫通孔25よりも大きな外径を有する円環状に形成されている。この環状凹部26の外径は、抜止フランジ部31の外径を考慮して適宜設定されている。また、この環状凹部26は、周方向において所定間隔で外方に拡径する複数の拡径凹部26a(クリック凹部に対応)を有する。この拡径凹部26aには、連結部30の回転に伴い抜止フランジ部31のクリック凸部31a,31bが出入りする。これにより、台座部20Aは、連結部30の回転に対して、仮止めできるとともにクリック感が生じるようになされている。この拡径凹部26aの外縁は、図7に明示するように、周方向に滑らかな湾曲線によって接続されている。本実施形態では、拡径凹部26aは、環状凹部26の中心に対して点対称位置に配置されるとともに等間隔(図例では45°間隔)で全周に亘って配置されている。更に、この環状凹部26は、奥底面(上面)がヘッド部20の下面の一部を構成し、抜止フランジ部31と面接触するように、取付軸部32の軸線に沿った法線を有する平滑面に形成されている。
また、台座部20Aは、上面がヘッド部20の上面の一部を構成し、その上面周縁部が傾斜面として構成されるとともに頂面が取付軸部32の軸線に沿った法線を有する平滑面に形成されている。この台座部20Aの厚みは、ヘッド本体20Bの厚みよりも厚く設定され、この台座部20Aの剛性を向上させている。具体的には、台座部20Aの厚みは、ヘッド本体20B、特にその最小厚み(後述する押圧片24の厚み)の2倍以上であることが好ましく、2.5倍以上であることがより好ましい。また、台座部20Aの厚みは、厚くなりすぎるとヘッド部20の重量が大きくなって操作性が悪化することからヘッド本体20Bの厚みの5倍以下であることが好ましい。
一方、ヘッド本体20Bは、ポリプロピレン等の合成樹脂から構成された弾性部材によって可撓性を有する薄肉板状に形成され、浴槽の内壁面に沿った湾曲に応じて清掃部40とともに湾曲するとともに、この湾曲状態において清掃部40よりも大きい弾性回復力によって清掃部40を押圧するものである。このヘッド本体20Bに用いられる弾性部材は、清掃部40に用いられる素材に対して弾性回復力が大きいものが適宜採用される。
具体的には、ヘッド本体20Bは、台座部20Aから清掃部40の各角部40a~40d(外周縁部)にそれぞれ放射状に延設された押圧片21~24と、これらの押圧片21~24のうち鋭角を介して隣接する押圧片21と23,22と24の延設方向基端部同士を繋ぐ連結片27,28とを備えている。
押圧片21~24は、ヘッド本体20Bの主要構成部材であり、上記したように、浴槽の内壁面の湾曲形状に応じて湾曲するとともに、この湾曲状態において清掃部40よりも大きい弾性回復力によって清掃部40を押圧する機能を有する。押圧片21~24は、ヘッド部20に清掃部40が各平面視における図心を一致させて取り付けられた態様で清掃部40の角部40a~40dに向かって各々先端部が独立した状態で延びる押圧本体21a~24aと、各押圧本体21a~24aから上方に膨出する突出状補強部21b~24bとを備える。
押圧本体21a~24aは、薄肉板状体であり、前記ヘッド部20に対する清掃部40の取付態様において、清掃部40の平面視における対角線上に配置可能に構成されている。この押圧本体21a~24aは、清掃部40の平面形状に応じて長さ寸法が設定され、各先端が清掃部40の各角部40a~40dに位置するように寸法設定されている。これらの押圧本体21a~24aのうち、図例で前後方向に隣接する押圧本体21aと23a、22aと24aは、台座部20Aの中心から先端に延びる中心線が鋭角をなす一方、図例で左右方向に隣接する押圧本体21aと24a、22aと23aの中心線は鈍角をなしている。そして、鋭角を介して隣接する押圧本体21aと23a、22aと24a同士は、延設方向基端部(台座部20A側の端部)で重なり合い、この重合部が連結片27,28として構成されている。なお、各押圧本体21a~24aは、それぞれ基端部が滑らかに湾曲する円弧状の外縁を介して相互に隣接しており、これにより各押圧本体21a~24aの基端縁に応力集中が生じるのを可及的に抑制するように工夫されている。
また、押圧本体21a~24aは、台座部20Aから角部40a~40dに向かって延びる方向(延設方向)の先端部に向かうに従って縮幅することにより先窄まり形状を有する。この押圧本体21a~24aの先端部は円弧状形状を有し、清掃部40の上面に局所的に押圧力が作用しないように工夫されている。この押圧本体21a~24aの厚みは、弾性的に湾曲可能であれば特に限定されないが、合成樹脂を用いて適切に弾性的に湾曲させるためには0.5mm~3.0mmの範囲内に設定されるのが好ましく、本実施形態では約1.0mmに設定されている。
突出状補強部21b~24bは、押圧本体21a~24aの延設方向における基端部側の剛性を向上させるためのものであり、本実施形態ではその延設方向の基端が台座部20Aに接続されている。この突出状補強部21b~24bが設けられた部分の厚みは、当然の事ながら、押圧本体21a~24aよりも厚く設定される一方、台座部20Aの厚みよりも薄く設定されている。詳細には押圧本体21a~24aの厚みを加えた突出状補強部21b~24bの厚みは、押圧本体21a~24aの厚みに対して1.2倍~2.0倍の範囲内に設定されるのが好ましく、本実施形態では約1.5倍に設定されている。この突出状補強部21b~24bは、押圧本体21a~24aと同様に、延設方向の先端部に向かうに従って縮幅するとともに先端部が円弧状に形成され、本実施形態ではこの縮幅を押圧本体21a~24aと同程度の比率に設定されている。この突出状補強部21b~24bは、押圧本体21a~24aの先端部まで十分な押圧力を確保するために、押圧本体21a~24aの長さ寸法に対して0.3倍~0.7倍の範囲内に設定されるのが好ましい。また突出状補強部21b~24bの幅寸法は、長さ寸法と同様の観点から、押圧本体21a~24aの幅寸法に対して0.3倍~0.7倍の範囲内に設定されるのが好ましい。本実施形態では、突出状補強部21b~24bの両寸法は、押圧本体21a~24aの両寸法に対して約半分に設定されている。この突出状補強部21b~24bによって押圧本体21a~24aの基端部が補強されるので、押圧本体のみから構成される場合に比べて基端部の剛性を高めることができ、これにより押圧片21~24の先端部における弾性回復力を高めることができる。
押圧片21~24に戻って、押圧片21~24は、清掃部40が取り付けられた状態で、左右方向を軸(清掃部40の短辺方向の軸)とする湾曲(図11参照)、前後方向を軸(清掃部40の長辺方向の軸)とする湾曲(図12参照)、又は対角方向を軸とする湾曲(図13参照)のそれぞれが90°以上になるように構成されるのが好ましい。すなわち、鋭角を介して隣接する押圧片21と23、22と24同士は対となる押圧片21~24の各先端が指向する方向の延長線が90°以下の鋭角で交差するように設定されるのが好ましく、同様に鈍角を介して隣接する押圧片21と24、22と23同士、又は対角に配置された押圧片21と22、23と24同士は、対となる押圧片21~24の先端が指向する方向の延長線が90°以下の鋭角で交差するように設定されるのが好ましい。本実施形態では、押圧片21~24は、清掃部40が取り付けられた状態で、上記の各軸を中心とする湾曲について、それぞれ90°以上になるように構成されている。
一方、連結片27,28は、突出状補強部21b~24bと同様に、台座部20Aの周囲におけるヘッド本体20Bの剛性を高めるものであり、本実施形態では、上記したように、鋭角を介して隣接する押圧本体21aと23a、22aと24a同士の延設方向基端部で重なり合うことによって構成されている。なお、本実施形態においても、鈍角を介して隣接する押圧本体21aと24a、22aと23aの延設方向基端部同士を繋ぐ薄状片を別途設けて連結片としても良い。
《連結部30》
次に、連結部30について、図7、図8及び図10を主に用いて説明する。図10は連結部30の斜視図である。
この連結部30は、柄部10の先端部が取り付けられることにより当該柄部10をヘッド部20に間接的に接続させるとともに、この柄部10とともにヘッド部20を相対的に回転可能に挟持するものである。
具体的には、連結部30は、ヘッド部20の環状凹部26内に収容される円盤状の抜止フランジ部31(抜出防止部及びフランジ部に対応)と、この抜止フランジ部31の中央部から上方に突出し、ヘッド部20の貫通孔25に挿通される取付軸部32とを備え、ポリプロピレンなどの合成樹脂による一体成形品として構成されている。
抜止フランジ部31は、連結部30が貫通孔25を通じて上方に抜出することを防止するものであるとともに、柄接続部12の先端部とともにヘッド部20を挟持するものである。この抜止フランジ部31は、上面が上下方向(取付軸部32の軸線方向)に沿った法線を有する平滑面に形成された略円盤状に形成されている。この抜止フランジ部31の外径は、貫通孔25の外径よりも大きく設定され、これにより抜止フランジ部31の外縁が貫通孔25よりも大きくなっている。この抜止フランジ部31の外径は、貫通孔25の外径よりも大きければ特に限定するものではないが、適度な範囲で確実に連結部30の上方への抜出を防止する観点で、直径が貫通孔25の直径の1.3倍から4.0倍の範囲内に設定されるのが好ましい。このため、組付状態において、抜止フランジ部31は、ヘッド部20の下面、より詳しくは環状凹部26の奥底面に重なり合った状態で係合する。
また、抜止フランジ部31は、周方向に所定間隔で径方向の外方に膨出するクリック凸部31a,31bを有し、上記したように、連結部30の回転に伴いヘッド部20の拡径凹部26aに出入りすることによって仮止め機能とクリック機能とを発揮する。このクリック凸部31a,31bの先端部の形状は、拡径凹部26aと同様に、径方向外方に膨出する滑らかな湾曲状に形成され、連結部30の回転に伴い拡径凹部26aの出入りがし易いようになっている。本実施形態では、クリック凸部31a,31bは、抜止フランジ部31の中心に対して点対称位置に2箇所に突設されている。
更に、抜止フランジ部31は、その外周縁部であって、クリック凸部31a,31bの径方向内側部分のそれぞれに、連結部30の回転軸を中心とする円弧状の進退許容孔31c,31dが厚み方向に貫通して設けられている。この進退許容孔31c,31dは、クリック凸部31a,31bが抜止フランジ部31の径方向への進退移動を許容するために設けられたものであり、この進退許容孔31c、31dとクリック凸部31a,31bとの間の部分の弾性変形が可能になる。このため、これらの進退許容孔31c、31dの周方向の長さ寸法や径方向の幅寸法は、クリック凸部31a,31bの周方向の長さ寸法及び突出寸法に鑑みてこれらの寸法以上に設定されている。
一方、取付軸部32は、連結部30の回転軸となるものであり、抜止フランジ部31の中心部から前記回転軸に沿って上方に突出して設けられている。抜止フランジ部31を基準に言い換えれば、取付軸部32の下端部の全周から軸径方向の外方に向かって突出した状態に抜止フランジ部31が設けられている。この取付軸部32は、組付状態においてヘッド部20の貫通孔25に挿通されるとともに先端部がヘッド部20の上面から突出してこの先端部(図例では上端部)に柄部10の柄接続部12が軸支される。
具体的には、取付軸部32は、抜止フランジ部31の中心部から上方に短く突出する嵌合ボス部32Aと、嵌合ボス部32Aの上端に連続して設けられ柄接続部12が回転可能に連結される偏平軸部32Bとを有する。嵌合ボス部32Aは、ヘッド部20の貫通孔25に嵌合され、連結部30の軸回りの回転位置を規制するものであり、その外径は貫通孔25の外径と同等ないしはそれよりも若干小さく設定されている。本実施形態では、嵌合ボス部32Aの先端は、組付状態において貫通孔25内に配置されるように寸法設定されている。
一方、偏平軸部32Bは、嵌合ボス部32Aと同径の円柱体がその軸心に沿って左右対称にそれぞれ周面の一部が切り欠かれて、径方向に偏平な厚みを有する突出体として構成されている。この偏平軸部32Bは、上端部に厚み方向に貫通する柄取付孔33と、一端が柄取付孔33の各開口端に連通し他端が偏平軸部32Bの外縁にまで延びる一対の取付凹部32a,32bとを有する。本実施形態では、取付凹部32a,32bは、柄取付孔33の上方に設けられている。
柄取付孔33は、その両端部から柄接続部12の第1及び第2係合ボス部12c,12dが嵌合され、柄部10を連結部30に取り付けるためのものである。この柄取付孔33は、偏平軸部32Bの厚み方向、言い換えれば取付軸部32の軸線(前記回転軸)に直交する方向に延びている。一方、取付凹部32a,32bは、柄取付孔33の各開口端部を偏平軸部32Bの外方に開放するものである。すなわち、取付凹部32a,32bは、柄部10の係合ボス部12c,12dを柄取付孔33に嵌合するために、柄取付孔33の各開口端部をその軸線と直交する方向に開放して、各係合ボス部12c,12dの先端部を偏平軸部32Bの外側から柄取付孔33に案内するための溝部としての役割を有する。従って、柄取付孔33、及び取付凹部32a、32bはこれらの役割を果たすことができるように各種寸法設定されている。
《清掃部40》
次に、清掃部40について、図3を主に用いて説明する。
清掃部40は、清掃対象物の浴槽を清掃するための柔軟な素材からなるブロック状、板状、又はシート状体であり、ヘッド部20の下面に着脱自在に取り付けられている。清掃部40の素材は、例えばスポンジ、不織布、織布等の柔軟な素材を単体ないしは複合体として用いることができる。また、清掃部40の材質についても、ポリウレタン、ナイロン、アクリル、ポリエチレンなどの種々の合成樹脂を単体ないしは組み合わせて用いることができる。
本実施形態では、清掃部40は、ヘッド部20のファスナ用フック部20Cが着脱自在に係止するループシートからなる被係止層41と、この被係止層41の下面に積層された発泡層42と、発泡層42の下面に積層された清掃層43とを備え、全体として柔軟な弾性ブロック状体として構成されている。この清掃部40の厚みt(図1参照)は、5mm以上30mm以下であることが好ましく、10mm以上25mm以下であることがより好ましい。本実施形態では清掃部40の厚みtが15mmに設定されている。すなわち、清掃部40の厚みtが薄すぎると、使用に伴ってへたり易くなり、一方、厚すぎると清掃部40の変形可能量が大きくなるため、このブロック状体を入隅部等に押し当てた際に、この清掃部40において壁面の形状変化を吸収してしまい、ヘッド部20が十分に湾曲せずヘッド部20による押し付け効果が減殺される虞がある。従って、清掃部40の厚みを上記範囲内に設定することにより、ヘッド部20による押し付け効果を適正に発揮することができる。
清掃部40の形状は、例えば清掃対象物や被清掃面に応じて適宜設定することができる。例えば、清掃部40は、平面視において、略矩形状や略正方形状などの略多角形状や、略楕円型状、略長円形状、略円形状、略星形形状など種々の形状を採用し得るが、本実施形態では、清掃部40は、一方向(図例では左右方向)に幅広な平面視略矩形状に設定されている。
具体的には、清掃部40の形状は、本実施形態では、平面視において、4つの角部40a、40b、40c、40d(図2及び図3を参照。)のそれぞれの先端部が丸められた形状であり、かつ4辺のそれぞれが内側に向かって湾曲している略矩形状に形成されている。清掃部40の4辺のそれぞれを内側に向かって湾曲した形状とすることで、デザイン性を向上させることができるだけでなく、例えば浴槽の湯水吐出突出部の側面等に清掃部40の湾曲した側面を押し当てることにより、湯水吐出突出部の側面の清掃容易性が向上する。
清掃部40の大きさについても適宜設定することができるが、清掃部40の図心と最先端部との間の長さL1(図2を参照。)は、40mm以上であることが好ましく、60mm以上であることがより好ましい。
《組み付け》
上記のような構成を有する柄付き清掃具1は、例えば次のようにして組み付けられる。
まず、ヘッド部20に連結部30を組み付ける。具体的には、図3及び図8に示すように、連結部30の取付軸部32をヘッド部20の貫通孔25に下方から挿通し、抜止フランジ部31を環状凹部26内に収容する。このとき、抜止フランジ部31の上面は環状凹部26の奥底面に当接し、嵌合ボス部32Aが貫通孔25内に配置される。またこのとき、連結部30のクリック凸部31a,31bをヘッド部20の拡径凹部26aに収容させておくのが好ましい。
次に、連結部30に柄部10を取り付ける。すなわち、ヘッド部20の台座部20Aから上方に突出する取付軸部32の柄取付孔33に、柄部10を横倒しにした状態で、柄部10の第1及び第2係合ボス部12c,12dを強制的に嵌め入れる。具体的には、取付軸部32における取付凹部32a,32bの上端に、第1及び第2係合ボス部12c,12dの傾斜ガイド面12c1,12d1を一致させた状態で強制的に下方に押し下げると、この傾斜ガイド面12c1,12d1に沿って柄接続部12の第1及び第2分岐部12a,12bが弾性的に拡開して、第1及び第2係合ボス部12c,12dが取付凹部32a,32b内に案内されながら柄取付孔33に至り、このとき第1及び第2分岐部12a,12bが弾性回復して第1及び第2係合ボス部12c,12dが柄取付孔33に強制的に嵌め入れられる。
この柄部10が連結部30に取り付けられた状態では、柄接続部12の先端部と連結部30の抜止フランジ部31との間で、ヘッド部20の台座部20Aが、取付軸部32を回転軸として回転可能に挟持された状態になっている(このヘッド部20の回転を「首回り状態」の回転ということもある)。しかも、クリック凸部31a,31bと拡径凹部26aとの協働によって、45°ずつクリック感をもって間歇的に回転させて仮止状態で保持することができる。加えて、柄部10は、連結部30に対して中心軸C回りに回転可能に取り付けられている(このヘッド部20の回転を「首振り状態」の回転ということもある)。
これらのため、本実施形態の清掃具1によれば、柄部10をわざわざ持ち直さずとも、状況に応じてヘッド部20を柄部10に対して首振り状態及び首回り状態に回転させることにより、浴槽の内壁面を隅々まで清掃することができ、良好な操作性を発揮する。
しかも、柄部10は、その柄接続部12が取付軸部32の上端部に取り付けられ、この取付け状態において柄接続部12の円弧状先端部がヘッド部20の台座部20Aの頂面に当接する。このため、連結部30をヘッド部20に取り付けるにあたって、ひいては柄部10をヘッド部20に取り付けるにあたって、別途部材を用いるのではなく、柄部10を有効に利用して部品点数の増加を回避することができ、別途部材を用いる場合に比べて製造時の工程数の増加、ひいては製造コストの増加を抑制することができる。
ここで、柄接続部12の先端部が円弧状に形成され、上記のように柄部10を中心軸C回りに首振り可能に構成した場合には、柄接続部12の先端部と台座部20Aの頂面との接触面積の低下が懸念される。しかしながら、柄接続部12は、先端部の幅寸法が柄本体13の幅寸法よりも大きいため、両寸法が一定である場合に比べて柄部10とヘッド部20との接触面積を確保することができる。このため、柄部10は、ヘッド部20の首振り機能を担保しつつ、連結部30とともにヘッド部20を安定的に挟持することができ、このような場合でも、ガタつきもなく安定して回転させることができる。
組付方法に戻って、最後に、ヘッド部20に清掃部40を取り付ける。具体的には、図3に示すように、清掃部40の被係止層41を上方に向けて、この被係止層41にヘッド部20を、その平面視における図心を清掃部40の平面視における図心に一致(ないしは略一致)させた状態で重ね合わせると、ヘッド部20のファスナ用フック部20Cが被係止層41を構成するループシートに取り外し可能に係止され、これにより清掃部40をヘッド部20に取り付けられる。なお、この取付にあたって、図心を必ずしも一致させる必要はないが、少なくとも押圧片21~24の先端が平面視において清掃部40の外縁からはみ出ないようにすることが、押圧片21~24による浴槽の傷つきを防止の観点から好ましい。
《使用方法》
このように組み付けられた柄付き清掃具1は、例えば以下のようにして使用する。この使用方法を図11ないし図13を主に用いて説明する。なお、図11ないし図13は、柄付き清掃具1のそれぞれ異なる使用態様を表す模式図である。
この柄付き清掃具1を使用する場合には、まず使用者が握持部11を保持して被清掃面である浴槽の壁面に押し付ける。壁面が平面である場合には、清掃部40を壁面に沿って摺動させることにより、当該壁面を清掃することができる。
一方、浴槽内の湯水吐出突出部がある場合には、この突出部の側面に清掃部40の湾曲した側面を押し当てることにより、湯水吐出突出部の側面に沿って当該側面だけでなく、その周囲の壁面もくまなく清掃することができる。
また、例えば、浴槽内の側壁面と底壁面とから構成され、或いは直交隣接する側壁面から構成される入隅部等を清掃する場合には、この入隅部にヘッド部20を強く押し当てることで側壁面と底壁面とを連続して清掃することができる。
すなわち、図11に示すD1方向に沿った断面において2平面からなる入隅部がある場合には、ヘッド部20は清掃部40とともにD1方向に直交する軸(湾曲軸)回りに湾曲させることができ、押圧片21~24(具体的には押圧本体21a~24a及び突出状補強部21b~24b)が先窄まり形状に形成されていることと相俟って、この湾曲状態でヘッド部20、具体的には押圧片21~24で清掃部40のD1方向の端部にまで押圧力を作用させることができる。これにより、この清掃具1によれば、周囲を含めて入隅部をくまなく清掃することができる。
一方、図12に示すD2方向に沿った断面において2平面からなる入隅部がある場合でも、同様に、ヘッド部20は清掃部40とともにD2方向に直交する軸(湾曲軸)回りに湾曲させることができ、この入隅部もくまなく清掃することができる。しかも、図12に示すように、このD2方向に直交する軸回りに湾曲させる場合には、湾曲する一対の押圧片21~24の間に連結片27,28が存在するため、各押圧片21~24に作用する押圧力を図11の場合に比べて大きくすることができ、入隅部の周囲を特に清掃した場合には好適である。すなわち、この清掃具1によれば、状況に応じてヘッド部20を回転させるなどして清掃部40の周縁部に作用する押圧力を変更して清掃することができ、優れた清掃性を発揮することができる。
また、押圧片21~24が先窄まり形状に形成されているので、押圧片21~24は先端に向かうに従って湾曲し易いため、入隅部に対する清掃部40の位置を調整することにより、被清掃面の形状により追随し易くなり、また押圧片21~24による押し付け力も調整することができる。
また、図13に示すように、直交隣接する側壁面と底壁面とから構成される入隅部においても、台座部20Aから清掃部40の角部40a~40dに向かって放射状に延びる押圧片21~24を有し、各々独立した押圧片21~24が複数の軸(湾曲軸)回りに湾曲して各壁面に清掃部40を押し付けることができるので、このような3次元的な入隅部も容易に清掃することができる。
すなわち、本実施形態における柄付き清掃具1によれば、ヘッド部20は、可撓性を有する板状体により構成され、より詳しくは、ヘッド部20は、台座部20Aと台座部20Aから清掃部40の角部40a~40dにまで延び、可撓性素材から構成されることにより清掃部40の湾曲に応じて湾曲するとともに、清掃部40よりも大きい弾性回復力によって清掃部40を押圧するヘッド本体20Bとを備えるので、清掃部40とともにヘッド本体20Bをも、例えば各種入隅部に沿って、特定の軸を中心とする湾曲だけでなく、種々の方向に沿った複数の湾曲軸を中心に湾曲させることができる。このため、柄部10を持ち直すことなく、浴槽内壁面をくまなく清掃することができる。しかも、ヘッド本体20Bは、台座部20Aから清掃部40の角部40a~40dにまで延びており、清掃部40よりも高い弾性回復力によって清掃部40を押圧するので、外周縁部を含めた清掃部40を十分に押し付けた状態で浴槽の入隅部を清掃することができるので、優れた清掃性を実現することができる。
しかも、このようにヘッド部20を可撓性素材によって構成した場合には、台座部20Aの剛性が低くなって、ヘッド部20に対する柄部10の取付強度の低下も懸念されるが、この清掃具1によれば、台座部20Aが押圧片21~24に対して厚く形成されるとともに、柄接続部12の先端部と連結部30の抜止フランジ部31とでこの台座部20Aが挟持されているので、この取付強度を十分に担保することができる。
《変形例》
なお、以上に説明した柄付き清掃具1は、本発明の柄付き清掃具の一実施形態であり、その具体的構成等についてはその趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、本実施形態の変形例について説明する。
(1)前記実施形態では、柄部10と連結部30との取付にあたって、柄部10の第1及び第2係合ボス部12c,12dを、連結部30の柄取付孔33に強制的に嵌め入れるものとなされているが、両者の接続構造についてはこれに限定するものではない。例えば、別途ピン部材を用いて連結部30に柄部10を軸支させるものであっても良い。ただし、前記実施形態のように、第1及び第2係合ボス部12c,12dが第1及び第2分岐部12a,12bに一体成形されたものを用いるのが、柄部10と連結部30との取付についても部品点数の増加を抑えられる観点から望ましい。
(2)本発明の抜出防止部は、前記実施形態のような抜止フランジ部31に限定されるものではなく、貫通孔25を通じた抜出防止部の抜出が防止できるのであればその具体的形状については限定されない。例えば、抜出防止部について、平面視円形状に限らず、ヘッド部が連結部の軸回りに回転可能に構成される限りにおいて、多角形、楕円、長円形等、公知の形状であっても良い。また、取付軸部32の下部から外側に向かって突出する1ないし複数本の棒状体であっても良いし、同様に突出する一ないし複数枚の舌片などであっても良い。
ただし、本実施形態のように構成すれば、抜止フランジ部31の上面がヘッド部20の下面に安定して面接触状態に係合させることができ、これにより連結部30に対するヘッド部20のガタつきを効果的に抑制することができる。
(3)前記実施形態では、柄部10は連結部30に回転自在に取り付けられているが、連結部30に対する柄部10の角度は所定角度で固定された状態で両者が取り付けられるものであっても良い。この場合には、柄部は連結部に対して回動しないので、柄部の先端面をヘッド部の上面に面接触状態に当接させるように構成することができ、両者でヘッド部を安定して回転自在に挟持することができる。
ただ、本実施形態のように、柄部10がヘッド部20に首振り状態に連結されており、柄接続部12の先端部が円弧状に形成されるのが、清掃具1の操作性の観点から好ましく、しかも、先端部が円弧状に形成されているので、前記のように首振りさせても柄接続部12の先端をヘッド部20の上面に適切に当接した状態で維持することができ、両者がガタつくようなことも防止することができる。
(4)前記実施形態では、柄接続部12の先端部の幅寸法が柄本体13の幅寸法に対して大きく設定されているが、同等又はそれ以下であっても勿論良い。ただし、前記実施形態のように構成すれば、各寸法が一定である場合に比べて柄部10とヘッド部20との接触面積を確保することができ、柄部10は、中心軸C回りの回転機能を担保しつつ、抜止フランジ部31とともにヘッド部20を安定的に挟持することができる。
(5)前記実施形態では、ヘッド部20に対する柄部10の首回り状態の回転にあたって、クリック凸部31a,31bと拡径凹部26aとの協働により、クリック感をもって仮止状態に保持できるように構成されているが、これに限定されるものではない。このクリック機構の具体的構成については、ヘッド部及び連結部のいずれか一方に設けられたクリック凸部と、他方に設けられるとともに前記連結部の前記ヘッド部に対する相対的な回転に伴って前記クリック凸部が挿脱するクリック凹部とを備えるものであれば、具体的構成については特に限定するものではない。例えば、前記実施形態において、クリック凸部と拡径凹部(クリック凹部)とが設けられている部材が逆になるものであっても良い。或いは、抜止フランジ部31の上面に半球状のクリック凸部が突設され、環状凹部26の奥底面に、連結部30のヘッド部20に対する回転に伴い前記半球状のクリック凸部が挿脱される半球状の凹部が形成されて、これによりクリック機構が構成されているものであっても良い。