発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1と図2に示すように、第1実施形態例に係るパチンコ機(遊技機)Pは、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の外枠1と、外枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた内枠2と、内枠2の前面に扉状に開閉自在に取り付けられた前面扉3等を備えている。外枠1と内枠2によって、本体枠(枠体)4が構成されており、この本体枠4は後述する遊技盤を保持している。前面扉3には、ガラスやプラスチック等からなる透明板6が取り付けられている。
外枠1の左側枠部には、上側軸受け体1Aと下側軸受け体1Bが固着されている。一方、内枠2の左側枠部の上下両端には、第1ピン(図示せず)が設けられている。これら両第1ピンを上側軸受け体1Aと下側軸受け体1Bに軸支することによって、内枠2を外枠1に対して開閉自在に支持する第1ヒンジ機構が構成されている。
内枠2の右側枠部は第1ヒンジ機構と反対側の自由端側であり、この右側枠部にはシリンダ錠7が設けられている。図示は省略されているが、内枠2の右側面にはシリンダ錠7を有する施錠装置が設置されている。この施錠装置は内枠2の裏面側に突出する後部施錠杆と、内枠2の前面側に突出する前部施錠杆とを備えている。常態では、施錠装置の後部施錠杆によって外枠1に対して内枠2が施錠されると共に、前部施錠杆によって内枠2に対して前面扉3が施錠されている。シリンダ錠7の鍵穴に図示せぬ鍵を差し込んでこれを一方向(例えば時計回り)へ回動すると、後部施錠杆が下動して内枠2が開錠されるようになっている。また、シリンダ錠7の鍵穴に差し込んだ鍵を他方向(反時計回り)へ回動すると、前部施錠杆が上動して前面扉3が開錠されるようになっている。
前面扉3の左側枠部の上下両端には、第2ピン(図示せず)が設けられており、これら両第2ピンを内枠2の左側枠部に突設した上下の支持板2a,2bに軸支することによって、前面扉3を内枠2の左側枠部に対して開閉自在に支持する第2ヒンジ機構が構成されている。
図3に示すように、内枠2の上部内側には遊技盤5が収納されており、この遊技盤5は遊技球が流下する遊技領域50を有している。遊技領域50は、遊技盤5の下方に配設された発射装置40の発射強度に応じて遊技球の進入度合いを互いに異にする左打ち領域50Aおよび右打ち領域50Bを含んでいる。左打ち領域50Aはパチンコ機Pに正対した遊技者から見て遊技盤5の左側に位置し、右打ち領域50Bは同遊技者から見て遊技盤5の右側に位置している。
遊技盤5には、内ガイドレール70および外ガイドレール71が固定されており、これら内ガイドレール70と外ガイドレール71とによって発射装置40により発射された遊技球を遊技盤5の遊技領域50に案内可能とする湾曲形状の案内通路73が形成されている。外ガイドレール71は、遊技盤5の下端部の中央よりも左側の位置から湾曲して遊技盤5の左端部まで延びるとともに、この左端部から湾曲して遊技盤5の上端部まで延び、さらに、この上端部から湾曲して遊技盤5の右上部まで延びている。具体的には、外ガイドレール71は、遊技盤5の下端部の中央よりも左側の位置から左端部に至る範囲において下に凸となるように湾曲しており、遊技盤5の左端部から上端部を経由して右上部に至る範囲において上に凸となるように湾曲している。
一方で、内ガイドレール70は、外ガイドレール71よりも遊技領域50の内側に設けられており、外ガイドレール71の一部と対向するように配置されている。具体的には、内ガイドレール70は、外ガイドレール71の基端部と対向する位置から外ガイドレール71の左端部に対向する範囲において下に凸となるように湾曲しており、外ガイドレール71の左端部から左上部に対向する範囲において僅かに上に凸となるように湾曲している。
このように、外ガイドレール71および内ガイドレール70が遊技盤5に設けられていることから、左打ち領域50Aには、所定の発射強度未満で発射された遊技球が進入し、右打ち領域50Bには、所定の発射強度以上で発射された遊技球が進入することとなる。なお、外ガイドレール71には、遊技盤5に対する取り付け用の複数の孔部が形成されているが、この詳細については後述する。
また、遊技盤5の遊技領域50には、演出表示装置52、第1始動入賞口53、一般入賞口54等が設けられており、遊技盤5よりも下方の内枠2には遊技球を遊技領域50に向けて発射する発射装置40等が配設されている。なお、図示は省略しているが、遊技領域50の右打ち領域50Bには、第2始動入賞口や大入賞口が配設されている。
内枠2の左側枠部には、上下方向に沿って一対の保持部材8a,8bが設けられている。遊技盤5は、例えば合成樹脂材料からなるレールベース75(図9~11も参照)を遊技領域50の周りに有しており、このレールベース75は、遊技盤5が内枠2に収納された状態において保持部材8a,8bと衝突しないように形成されている。具体的には、遊技盤5の左下領域5aにおいては、レールベース75は、下方の保持部材8aとの干渉を避けるために、左側面から所定形状に切り取られた切欠き部60を有している。また、遊技盤5の左上領域5bにおいては、レールベース75は、上方の保持部材8bとの干渉を避けるために、遊技領域50に沿って半アーチ形状に形成されている。このように構成された遊技盤5の左下領域5aおよび左上領域5bによって、遊技盤5をその左側部から内枠2に挿入可能な構成が実現されている。
一方で、遊技盤5の右上領域5cと右下領域5dにおいては、上下方向に一対の固定機構9a,9bが設けられている。詳細な説明は省略するが、遊技盤5を内枠2に挿入した状態で、固定機構9a,9bのつまみを所定方向に回動させることにより、遊技盤5が内枠2にロックされるようになっている。なお、図3においては、下方の固定機構9bは前面側を蓋部で閉じられた状態になっているが、この蓋部の背面側においては上方の固定機構9aと同様につまみを有したロック構造となっている。
図1および図2に戻り、前面扉3は、ベース部材30(図6参照)と、ベース部材30の前面側に配置される前面ユニット31とで構成されている。ベース部材30は、その中央に透明板6によって塞がれる開口部300を有しており、この開口部300を除いた位置に前面ユニット31が設けられている。この前面ユニット31は、透明板6の下方に位置して遊技球を収容可能な上段受皿13および下段受皿14と、下段受皿14の右側方に取り付けられて遊技球の発射操作を行うための操作ハンドル16とを有している。また、この前面ユニット31は、前面扉3に設けられる各種演出装置の基台となるものであり、前面ユニット31の所定位置に各種演出装置が設けられている。具体的には、透明板6の上方から左側方にかかる部位を囲むように装飾レンズ10が設けられ、透明板6の右上方に回転灯ユニット11が設けられ、回転灯ユニット11の真下であって透明板6の右側方にサイドパネルユニット12が設けられ、上段受皿13の前面中央に演出操作ユニット15が設けられ、透明板6の左右下方と上方にスピーカ17a~17dが設けられている。
装飾レンズ10の内部には複数のLED(図示せず)が設けられており、これらLEDが遊技の進行に伴って種々の色や発光パターンで発光するという演出が行われるようになっている。回転灯ユニット11には環状に配置した複数のLED(図示せず)が設けられており、各LEDが配置順に点灯と消灯を繰り返すことにより、恰も回転灯が発光しているような演出を実行できるようになっている。サイドパネルユニット12は前方に向けて突出するように形成された略長方形薄板状の装飾用装置であって、この装置に内装されたデザインシート(図示せず)の視認性を高めるためのものである。
上段受皿13には、図示せぬ遊技球貸出装置により貸し出される遊技球や、パチンコ機Pの賞球払出装置から払い出される賞球が導かれるようになっており、この上段受皿13が遊技球で一杯になると、その後に貸し出されたり払い出されたりする遊技球は下段受皿14に導かれるようになっている。操作ハンドル16は遊技者が所定方向へ向けて回転操作できるように形成されており、遊技者が操作ハンドル16を回転操作すると、上段受皿13に受容されている遊技球が前述した発射装置40(図3参照)に送られ、この発射装置40により操作ハンドル16の回転角度に応じた強度で遊技球が発射されるようになっている。演出操作ユニット15は、遊技の進行に伴って実行される演出の切り替え等を行えるようになっている。スピーカ17a~17dは、遊技の進行に応じて、遊技に関する様々な音を出力できるようになっている。なお、操作ハンドル16の詳細については後述する。
本実施形態例では、スピーカ17a~17dは何れも、磁石やコイル等から構成された駆動回路を包囲する円筒状の外装ケースと、この外装ケースの前方に取り付けられるホーン部とを有している。そして、これらスピーカ17a~17dのうち、透明板6の右下方に設けられたスピーカ17bと透明板6の上方に設けられたスピーカ17c,17dは、前面扉3の前面ユニット31内にその外装ケースが収容されるように配置されている。一方で、透明板6の左下方に設けられたスピーカ(以下、左スピーカと言う。)17aは、上段受皿13とのスペースの制約により、前面扉3の背面側に外装ケースが突出するように配置されている。詳細は後述するが、図5に示すように、前面扉3は、この左スピーカ17aの形状や配置位置に合わせて背面側に突出している突出部3aを有している。そして、本体枠4が保持する遊技盤5は、この突出部3aとの衝突を回避できるように構成されている。
図4に示すように、このパチンコ機Pの背面側には、遊技に関する主要な処理を行う主制御基板18と、主制御基板18からの指令を受けて演出表示装置52やスピーカ17a~17d等の各種演出装置を制御する副制御基板19と、前述した賞球払出装置20と、主制御基板18からの指令を受けて賞球払出装置20を制御する払出制御基板21と、操作ハンドル16の回転操作量に応じて発射装置40の作動を制御する発射制御基板22と、大当たり回数等の各種情報を遊技場のホールコンピュータに出力する外部端子基板23等が設けられている。主制御基板18には、CPU(Central Processing Unit)と、予め定められた制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)と、生成された処理情報の一時記憶および記憶した情報の削除を行うRAM(Random Access Memory)等が実装されており、このCPUがROMに格納された各種プログラムやデータを読み込んで実行することにより、遊技に関する主要な処理が行われる。
図3に示すように、本実施形態例に係るパチンコ機Pでは、発射装置40により発射されて遊技盤5の遊技領域50を流下する遊技球が、一般入賞口54または第1始動入賞口53に入球すると、所定個数の遊技球が賞球として払い出される。また、遊技球が第1始動入賞口53に入球した場合には、特別遊技を実行させるか否かを決定する大当たりの電子抽選が行われる。このとき、演出表示装置52では、遊技状況に応じて遊技に関する各種演出が表示され、遊技が進行していくようになっている。
図6と図7に示すように、前面扉3の上記したベース部材30は、例えば合成樹脂材料からなる縦長方形状の板状部材である。このベース部材30は、中央の開口部300に対する左下領域であって、遊技領域50を除いた遊技盤5の左下領域5aと対向する位置に、背面側に突出する突出部3aを有している。この突出部3aは、左スピーカ17aの形状や配置位置に合わせて形成されている。ここで、左スピーカ17aは、上記したように円筒状の外装ケースを有しており、この外装ケースが前面扉3の背面側に突出するように配置されている。そのため、突出部3aは、左スピーカ17aの突出している外装ケースの側面を覆う第1壁部3bと、左スピーカ17aの突出している外装ケースの底面を覆う第1底部3cとから構成されている。第1壁部3bは、前面扉3(ベース部材30)から遊技盤5に向かって下方に傾斜するように設けられている。第1底部3cは、前面扉3(ベース部材30)から遊技盤5に向かって上方に傾斜するように設けられている。第1壁部3bの遊技盤5側の一端と第1底部3cの前面扉3側の周端とが連結されて、第1壁部3bと第1底部3cとが一体となっている。これら第1壁部3bと第1底部3cとによって形成された空間内に、左スピーカ17aの突出している外装ケースが収められることになる。
なお、ベース部材30の開口部300よりも下方の領域の右側には、上記した施錠装置の周囲を囲むように形成された窪み部300aや操作ハンドル16を挿通させるための開口部300b等が設けられている。
本実施形態例では、図5,7,8に示すように、遊技盤5の左下領域5aであって前述した案内通路73を構成する外ガイドレール71(図3も参照)の外周側に、前面扉3の突出部3aとの衝突を避けるための逃げ部5fが設けられている。この逃げ部5fは、前面扉3が内枠2に対して閉じている状態(以下、前面扉3の閉状態と言う。)において、突出部3aを収納する収納部として機能し、前面扉3の突出部3aと遊技盤5の左下領域5aとが互いに干渉し合うことが避けられるようになっている。
逃げ部5fは、前面扉3の閉状態において、突出部3aと対向するレールベース75を有底形状の凹部となるように形成したものである。具体的には、逃げ部5fは、前面扉3の閉状態において最も遊技盤5側に位置する第1壁部3bの周部分と対向する第2壁部5gと、第1底部3cの略上半分と対向する第2底部5hとから構成されている。第2壁部5gは、第1壁部3bの形状に合わせて略半円形状に曲がるように形成されている。第2底部5hは、第1底部3cの傾斜に合わせて遊技盤5の前面側から背面側に向かって深くなるように形成されており、逃げ部5f自体が遊技盤5を貫通しないようになっている。
図8に示すように、前面扉3の突出部3aが遊技盤5の逃げ部5fに収納された状態において、突出部3aの外面と逃げ部5fの内面とは互いに接触しないようになっている。具体的には、突出部3aの第1壁部3bと逃げ部5fの第2壁部5gとが互いに離れて位置しているとともに、突出部3aの第1底部3cと逃げ部5fの第2底部5hとが互いに離れて位置している。こうして、前面扉3の閉状態においては、前面扉3の突出部3aと遊技盤5の左下領域5aとの干渉を避けるだけでなく、突出部3aが逃げ部5fに接触して衝撃を受けることを防止できるようになっている。
なお、逃げ部5fは、図5に示すように、その左側において、上記した遊技盤5を保持する保持部材8aの周りに形成された切欠き部60とつながっている。具体的には、切欠き部60の右側部分が逃げ部5fの左側部分に入り込んだようになっている。この切欠き部60の入り込んだ部分も、前面扉3の突出部3aの一部との衝突を避けるようになっている。そのため、本実施形態例では、逃げ部5fは、切欠き部60の右側部分を利用して、突出部3aとの衝突を避けるための空間を形成している。
以上説明したように、本実施形態例に係るパチンコ機(遊技機)Pでは、前面扉3には、この前面扉3が本体枠(外枠1および内枠2)4に対して閉じている状態において、この本体枠4の遊技領域50を除いた遊技盤5の左下領域(遊技盤の一部)5aと対向する位置に、左スピーカ(演出装置)17aが設けられている。遊技盤5は、前面扉3の閉状態において突出部3aと対向する位置に、前面扉3との衝突を避けるための逃げ部5fを有している。したがって、前面扉3を本体枠4に対して閉じるときに、前面扉3と遊技盤5の左下領域5aとが互いに干渉し合うことが避けられ、本体枠4に対する前面扉3の開閉を適切に行うことができる。
また、本実施形態例に係るパチンコ機Pでは、上記した逃げ部5fは、遊技盤5(レールベース75)の左下領域5aであって前述した案内通路73を構成する外ガイドレール71の外周側に形成されている(図3,11参照)。外ガイドレール71は、遊技盤5の下端部の中央よりも左側の位置から左端部に至る範囲において下に凸となるように湾曲しているので、遊技盤5の左下領域5aの大半が空いたスペースとなっている。そのため、このようなスペースに逃げ部5fを形成することにより、遊技盤5の空いたスペースを有効活用することができる。
また、本実施形態例に係るパチンコ機Pでは、前面扉3は、左スピーカ17aが設けられている位置に前面扉3の背面側に突出する突出部3aを有している。この構成によれば、左スピーカ17aが上段受皿13とのスペースの制約により、前面扉3の背面側に突出するように配置しなければならない場合であっても、左スピーカ17a(外装ケース)を適切に保護して配置することができる。
また、本実施形態例に係るパチンコ機Pでは、逃げ部5fは、遊技盤5に設けられた有底形状の凹部になっている。そのため、逃げ部5fを形成する際に、遊技盤5に貫通孔を設ける場合に比べて、遊技盤5の強度の低下を抑制することができる。
また、本実施形態例に係るパチンコ機Pでは、遊技盤5の左下領域5aには、遊技盤5を内枠2に保持する保持部材8a,8bの配置を確保するための切欠き部60が設けられており、逃げ部5fは、この切欠き部60の右側部分を利用して、前面扉3の突出部3aとの衝突を避けるための空間を形成している。そのため、遊技盤5に逃げ部5fを形成する際に、既存の遊技盤5の形状を有効活用して逃げ部5fを効率良く形成することができる。
なお、上記実施形態例では、遊技領域50を除いた遊技盤5の左下領域5aと対向する位置に、左スピーカ(演出装置)17aが前面扉3の背面側に突出するように設けられ、遊技盤5の左下領域5aに逃げ部5fが形成されていたが、これに限られない。スピーカ(演出装置)は、遊技盤5の一部と対向する位置に前面扉3の背面側に突出するように設けられればよく、逃げ部は前面扉3の閉状態においてこのスピーカと対向する位置に設けられればよい。例えば、スピーカが遊技盤5の左上領域5bと対向する位置に前面扉3の背面側に突出するように設けられた場合、前面扉3のこのスピーカが設けられた位置に背面側に突出する突出部が設けられ、逃げ部はこの突出部との衝突を避けるように遊技盤5の左上領域5bに設けられればよい。こうすれば、上記実施形態例と同様の効果を奏することができる。
また、上記実施形態例では、本発明が適用される演出装置の一例として、左スピーカ17aを挙げて説明をしたが、これに限られない。例えば、この演出装置には、遊技の進行に応じて発光するランプや、大当たり時またはリーチ発生時に所定動作を行う役物等も含まれる。この場合、これらランプや役物等が、前面扉3において遊技盤5の一部と対向する位置に設けられたとしても、上記実施形態例と同様に、前面扉3の背面側の対応する位置に突出部が設けられるとともに、遊技盤5にこの突出部との衝突を避けるための逃げ部が設けられるようにすればよい。
また、上記実施形態例では、左スピーカ17aが前面扉3の背面側に突出するように設けられたことに合わせて、前面扉3のベース部材30が背面側に突出する突出部3aを有していたが、これに限られない。例えば、前面扉3のベース部材30自体はこのような突出部3aを有することなく、左スピーカ17aが背面側に直接露出するようにしてもよい。この場合、遊技盤5の左下領域5aに形成される逃げ部5fは、左スピーカ17aと直接衝突することを避けるようになっているとともに、この左スピーカ17aは逃げ部5fに直接収納されることになる。
また、上記実施形態例では、左スピーカ17aが前面扉3の背面側に突出するように配置されていたが、これに限られない。例えば、左スピーカ17a自体は前面扉3の背面側に突出するように設けられなくてもよく、左スピーカ17aに付随する配線等を格納する空間を形成する部分として、左スピーカ17aが配置された前面扉3の背面側に突出する突出部が設けられてもよい。
次に、外ガイドレール71の詳細な構成について、図9~図15を参照して説明する。以下においては、図中に示してある軸の方向に基づいて、上下、左右、および前後方向を規定するものとする。
図9に示すように、遊技盤5は、化粧板74と、化粧板74の前面74aに取り付けられる前述したレールベース75と、レールベース75に取り付けられる外ガイドレール71と、を有している。なお、図9には示していないが、外ガイドレール71の内側には内ガイドレール70(図3参照)が配設され、化粧板74に対してレールベース75、外ガイドレール71および内ガイドレール70が取り付けられることにより、遊技盤5の盤面に前述した案内通路73(図3参照)が形成される。
化粧板74には、その前面74aに図3に示した第1始動入賞口53や一般入賞口54等を構成する各種部材が配設される。レールベース75は樹脂により形成されており、その内周面75aは図11に示すように正面視において円弧状に湾曲している。内周面75aの基端側には、外ガイドレール71の基端部71aを支持する基端支持部750aが形成されており、内周面75aの先端側には、外ガイドレール71の先端部71bを支持する先端支持部750bが形成されている。内周面75aにおける基端支持部750aと先端支持部750bとの間には、図9,10に示すように、複数(第1実施形態例では5つ)のボス75bが形成されている。複数のボス75bは、これらの配置間隔が均等にならないように形成されている。複数のボス75bの各々が、外ガイドレール71の後述する孔部に挿入可能になっている。なお、左スピーカ17a(前面扉3の突出部3a)との衝突をさけるための前述した逃げ部5fは、レールベース75の内周面75aによりも外周側であって、レールベース75の左下領域に形成されている。
外ガイドレール71は、弾性および屈曲性を有する帯状の金属板から構成されており、レールベース75の内周面75aに沿って取り付けられる。つまり、外ガイドレール71は、レールベース75を介して遊技盤5(化粧板74)に取り付けられることになる。外ガイドレール71の基端部71aは、L字状に屈曲しており、レールベース75の基端支持部750aに嵌め込まれて支持される。また、外ガイドレール71の先端部71bは、U字状に屈曲しており、レールベース75の先端支持部750bに嵌め込まれて支持される。
外ガイドレール71の基端部71aと先端部71bとの間には、略横長楕円状の複数(第1実施形態例では5つ)の孔部(案内部)71cが形成されている。各孔部71cは、図10,12に示すように、レールベース75の内周面75aに形成されたボス75bに挿入可能となっている。複数の孔部71cは、外ガイドレール71の基端部71aから先端部71bに至る範囲を円弧状に湾曲させた状態で遊技盤5に取り付けるための取付位置に案内する機能を有している。よって、複数の孔部71cをボス75bに挿入することにより、外ガイドレール71を遊技盤5の予め定められた取付位置に取り付けることができる。
また、図13に示すように、複数の孔部71cは、前後方向において、外ガイドレール71における化粧板74に近い側に形成されている。そのため、遊技球が外ガイドレール71に沿って移動している際に、この遊技球と、孔部71cおよびボス75bとが接触しないようになっている。したがって、外ガイドレール71に沿って移動している遊技球と、孔部71cおよびボス75bとが干渉することを防止して、当該遊技球を円滑にガイドすることができる。また、外ガイドレール71に沿って移動する遊技球の軌道を安定させることができるので、各種の入賞口(第1始動入賞口53、第2始動入賞口、大入賞口、一般入賞口54)に対する入賞率を設計値通りとした遊技を提供することができる。
また、図13において黒矢印で示すように、レールベース75の内周面75aは、後方から前方に向かうにつれて右方に若干傾斜している。そして、このレールベース75の内周面75aに沿って配置されている外ガイドレール71も、後方から前方に向かうにつれて右方に若干傾斜している。そのため、遊技球が、外ガイドレール71に沿って移動している際に、遊技盤5の正面に配置されている透明板6(図1参照)と衝突し難くすることができ、透明板6を適切に保護することができる。
次に、外ガイドレール71の遊技盤5(レールベース75)への取付作業について説明する。
最初に、外ガイドレール71の先端部71bをレールベース75の先端支持部750bに嵌め込んで支持させる。次に、レールベース75のボス75bを外ガイドレール71の孔部71cに挿入した後に、外ガイドレール71の基端部71aをレールベース75の基端支持部750aに嵌め込んで支持させる。この際に、外ガイドレール71は、レールベース75の内周面75aに沿って円弧状に配置されるため、周方向の内側に向かって変形した状態となっている。この状態において、外ガイドレール71は、周方向の外側に向かって元の形状に復帰する弾性力を生じているので、外ガイドレール71をレールベース75の内周面75aに密着させることができる。以上により、外ガイドレール71の遊技盤5への取付作業が完了する。
次に、図14および図15を参照して、外ガイドレール71の孔部71cが形成されている範囲と、その範囲内に形成されている孔部71cの個数との関係について説明する。なお、以下の説明においては、外ガイドレール71の長手方向に沿った中間の部分を外ガイドレール71の「中間部71d」とし、外ガイドレール71がレールベース75に取り付けられた状態において、外ガイドレール71の最も左方に位置する部分を外ガイドレール71の「左端部71e」とし、外ガイドレール71の最も上方に位置する部分を外ガイドレール71の「上端部71f」とする。また、図14においては、説明の便宜上、外ガイドレール71を直線状に延ばした状態で示している。
図14,15に示すように、外ガイドレール71の基端部71aから左端部71eまでの範囲を「第1範囲R1」とし、左端部71eから上端部71fまでの範囲を「第2範囲R2」とし、上端部71fから先端部71bまでの範囲を「第3範囲R3」とすると、外ガイドレール71の第1範囲R1には3個の孔部71cが形成され、第2範囲R2には2個の孔部71cが形成され、第3範囲R3には孔部71cは形成されていない。よって、孔部71cの個数は、第1範囲R1(3個)の方が第2範囲R2(2個)よりも多く、第2範囲R2(2個)の方が第3範囲R3(0個)よりも多い。
ここで、外ガイドレール71の基端部71aは先端部71bに比べて発射装置40に近い位置に配設されており、この基端部71a側には発射装置40から発射された遊技球が発射時の勢いをほぼ維持した状態で衝突する。そのため、外ガイドレール71の基端部71a側は、その衝突時に受ける衝撃が先端部71b側よりも大きい。よって、外ガイドレール71の基端部71a側が、遊技球の衝突に起因してレールベース75に対してずれてしまい、遊技に支障を来さないように設計する必要がある。
そこで、外ガイドレール71の基端部71a側に近くなる程、孔部71cの個数(およびこれに対応するボス75bの個数)を多くすることにより、基端部71a側を確実かつ正確にレールベース75に固定することができる。一方で、外ガイドレール71の先端部71b側に近くなる程、孔部71cの個数を少なくすることにより、先端部71b側の加工やレールベース75に対する取り付けを容易にすることができる。
このように、孔部71cの個数は、外ガイドレール71の第1範囲R1、第2範囲R2、および第3範囲R3との関係で上記のように設定されているので、外ガイドレール71をレールベース75に適切に取り付けることができる。なお、外ガイドレール71の先端部71b側は、遊技球の衝突時に受ける衝撃が基端部71a側よりも小さく、遊技に支障を来す可能性が小さいため、上記のように孔部71cの個数を少なくしても、上記した基端部71a側のような問題は生じない。
なお、上記実施形態例では、孔部71cの個数は、第1範囲R1(3個)の方が第2範囲R2(2個)よりも多く、第2範囲R2(2個)の方が第3範囲R3(0個)よりも多くなっていたが、この構成に限られない。例えば、孔部71cの個数は、第1範囲R1においては第2範囲R2以上であり、第2範囲R2においては第3範囲R3以上であってもよい。また、孔部71cの個数は、第1範囲R1においては第3範囲R3以上であり、第2範囲R2においては第3範囲R3以上であってもよい。さらに、孔部71cの個数は、第1範囲R1においては、第2範囲R2以上であり、また、第3範囲R3以上であってもよい。これらの場合でも、上記実施形態例と同様の効果を奏することができる。
また、複数の孔部71cは、外ガイドレール71の左端部71eおよび上端部71fには形成されていない(図14参照)。外ガイドレール71がレールベース75に取り付けられた状態では、外ガイドレール71の第1範囲R1(基端部71aから左端部71eまでの範囲)は下に凸の円弧状に湾曲しており、外ガイドレール71の第2範囲R2(左端部71eから上端部71fまでの範囲)および第3範囲R3(上端部71fから先端部71bまでの範囲)は上に凸の円弧状に湾曲している。よって、外ガイドレール71の左端部71eは、左右方向において外ガイドレール71が左方から右方に向かって曲がる部分であり、外ガイドレール71の上端部71fは、上下方向において外ガイドレール71が上方から下方に向かって曲がる部分である。そのため、これら左端部71eおよび上端部71fは負荷がかかり易いので、このような部分に孔部71cを形成しないことにより外ガイドレール71の耐久性が低下することを防止できる。
また、複数の孔部71cは、外ガイドレール71の第3範囲R3には形成されていない。この構成によれば、外ガイドレール71の上端部71fから先端部71bまでの範囲である第3範囲を通過する遊技球は、発射装置40による発射時に比べてその勢いが失われているため、先端部71bをレールベース75の先端支持部750bに支持させるだけで十分に第3範囲R3をレールベース75に固定することができる。したがって、外ガイドレール71の第3範囲R3の加工やレールベース75に対する取り付けをさらに容易にすることができる。
また、複数の孔部71cは、その配置間隔が均等にならないように形成されている。この構成によれば、外ガイドレール71全体に亘って均等に孔部71cが形成されることによって外ガイドレール71の基端部71a側のレールベース75に対する固定力が低下することを防止することができる。特に、第1実施形態例では、複数の孔部71cの配置間隔は、外ガイドレール71の基端部71a側の方が先端部71bより狭くなっているので、基端部71a側において、レールベース75に対する固定力を向上させることができる。また、先端部71b側において、その加工やレールベース75に対する取り付け易さを向上させることができる。
なお、上記実施形態例では、複数の孔部71cの個数は、5個であったが、この構成に限られず、3以上の自然数であれば種々の個数を採用することができる。
また、上記実施形態例では、外ガイドレール71の基端部71aから左端部71eまでの範囲を第1範囲R1とし、左端部71eから上端部71fまでの範囲を第2範囲R2とし、上端部71fから先端部71bまでの範囲を第3範囲R3とすると、孔部71cの個数は、第1範囲R1(3個)の方が第2範囲R2(2個)よりも多く、第2範囲R2(2個)の方が第3範囲R3(0個)よりも多くなっていたが、この構成に限られない。例えば外ガイドレール71の基端部71aから左端部71eまでの範囲を「第4範囲R4」とし、左端部71eから先端部71bまでの範囲を「第5範囲R5」とすると、外ガイドレール71の第4範囲R4には3個の孔部71cが形成され、第5範囲R5には2個の孔部71cが形成されてもよい。この場合、孔部71cの個数は、第4範囲R4(3個)の方が第5範囲R5(2個)よりも多くなる。この構成によれば、外ガイドレール71の基端部71aから左端部71eまでの範囲である第4範囲R4に、それよりも先端部71b側の範囲である第5範囲R5よりも多くの孔部71cを形成しているので、外ガイドレール71の基端部71a側をさらに確実かつ正確にレールベース75に固定することができる。
また、外ガイドレール71の基端部71aから上端部71fまでの範囲を「第6範囲R6」とし、上端部71fから先端部71bまでの範囲を「第7範囲R7」とすると、外ガイドレール71の第6範囲R6には5個の孔部71cが形成され、第7範囲R7には孔部71cが形成されていなくてもよい。この場合、孔部71cの個数は、第6範囲R6(5個)の方が第7範囲R7(0個)よりも多くなる。この構成によれば、外ガイドレール71の上端部71fから先端部71bまでの範囲である第7範囲R7に、それよりも基端部71a側の範囲である第6範囲R6よりも少ない孔部71cを形成しているので、外ガイドレール71の加工やレールベース75に対する取り付けをさらに容易にすることができる。
さらに、外ガイドレール71の基端部71aから中間部71dまでの範囲を「第8範囲R8」とし、中間部71dから先端部71bまでの範囲を「第9範囲R9」とすると、外ガイドレール71の第8範囲R8には4個の孔部71cが形成され、第9範囲R9には1個の孔部71cが形成されてもよい。この場合、孔部71cの個数は、第8範囲R8(4個)の方が第9範囲R9(1個)よりも多くなる。この構成によれば、外ガイドレール71の中間部71dという比較的分かり易い基準部に対して基端部71a側の方が先端部71b側よりも多くの孔部71cを形成すればよいので、外ガイドレール71に対する孔部71cの設計を容易にすることができる。
なお、上記実施形態例では、本発明を構成する案内部の例として、レールベース75のボス75bに嵌め込まれる孔部71cを挙げて説明したが、これに限られない。例えば外ガイドレール71に所定間隔を存して切欠部(案内部)を複数形成し、これら切欠部に対応するようにレールベース75に突出部を形成してもよい。この場合、外ガイドレール71の切欠部にレールベース75の突出部が嵌め込まれることにより、外ガイドレール71がレールベース75に取り付けられる。また、例えば外ガイドレール71に所定間隔を存して位置決用孔部(案内部)を複数形成し、これら位置決用孔部に対応するようにレールベース75に位置決めピンを形成してもよい。この場合、外ガイドレール71の位置決用孔部にレールベース75の位置決めピンが挿入されることにより、外ガイドレール71がレールベース75に取り付けられる。このような構成を採用した場合でも、上記実施形態例と同様の効果を奏することができる。
以上説明したように、本実施形態例に係るパチンコ機(遊技機)Pでは、案内通路73(図3参照)を構成する外ガイドレール71の基端部71aから先端部71bに至る範囲が、複数の孔部(案内部)71cによって遊技盤5の所定位置に湾曲した状態で取り付けられている。そして、これら孔部71cの個数は、外ガイドレール71の第1範囲R1の方が第2範囲R2よりも多く、第2範囲R2の方が第3範囲R3よりも多い(図14,15参照)。これにより、発射装置40からの衝撃を受け易い外ガイドレール71の基端部71a側を確実かつ正確にレールベース75に固定することができ、また、外ガイドレール71の先端部71b側の加工やレールベース75に対する取り付けを容易にすることができる。したがって、外ガイドレール71を遊技盤5(レールベース75)に適切に取り付けることができる。
次に、図16~図22を参照して、第1実施形態例に係るパチンコ機Pの操作ハンドル16の詳細について説明する。
図16,17に示すように、操作ハンドル16は、取付部材76および意匠ケース77と一体化された操作ハンドルユニット160として、前面扉3の右下隅部に取り付けられている(図1,2も参照)。操作ハンドルユニット160が前面扉3に取り付けられた状態では、操作ハンドル16は前面側に斜めに突出している。
取付部材76は、略矩形状部材であり、複数の孔部76aを有している。これら孔部76aは、前面扉3の右下隅部に対する取付部材76の取り付け、およびこの取付部材76に対する操作ハンドル16および意匠ケース77の取り付けのために形成されている。
意匠ケース77は、樹脂製の箱状部材であり、その中央部に開口77Aを有している。この開口77Aには、操作ハンドル16の後述するベース体が挿通される。
図16~図18に示すように、操作ハンドル16は、取付部材76に固定されるベース体16aと、ベース体16aに回転操作可能に支持される操作リング16bと、操作ハンドル16の前面を覆うフェイスカバー16cと、を有している。ベース体16aは、略円筒状の基体部16a1と、基体部16a1よりも大径の大径部16a2と、を有しており、これら基体部16a1と大径部16a2とが段差部16a3を介して接続されている。段差部16a3および大径部16a2で囲まれた空間内に、第1ガイド軸16a4、第2ガイド軸16a5、および第3ガイド軸16a6が、操作リング16bの回転軸方向に沿って前方に突出するように設けられている。第1ガイド軸16a4および第2ガイド軸16a5は、その空間内における右上領域に設けられており、第1ガイド軸16a4の方が第2ガイド軸16a5よりも操作リング16bの周方向に沿って反時計回り寄りに配置されている。第3ガイド軸16a6は、その空間内における左下領域であって、操作リング16bの回転軸Xに関して第1ガイド軸16a4と対称となる位置に設けられている。なお、詳細な説明は省略するが、上記した大径部16a2における前端部の左側には、発射装置による遊技球の発射を停止させる停止ボタン16a7が設けられている(図18(b)参照)。
操作リング16bは、ベース体16aに相対回転可能に支持されている。この操作リング16bは、ベース体16aの大径部16a2と対向するリング状のリング部16b1と、リング部16b1の内側に設けられた平面部16b2と、を有している。リング部16b1の外周面には、操作リング16bの外径方向に突出する複数(例えば3個)の第1指掛部16b3、第2指掛部16b4、および第3指掛部16b5が形成されている。具体的には、これら第1~第3指掛部16b3~16b5は、リング部16b1の上側の外周面において、第1指掛部16b3、第2指掛部16b4、および第3指掛部16b5の順で時計回りとなるように配置されている。遊技者がこれら第1~第3指掛部16b3~16b5に指を掛けることにより、操作リング16bを容易に回転操することができる。なお、第1~第3指掛部16b3~16b5の寸法の詳細については後述する。
平面部16b2には、操作リング16bの回転軸方向に沿って貫通するとともに、操作リング16bの周方向に沿って湾曲する長孔状の上ガイド孔16b20、および下ガイド孔16b21が設けられている。上ガイド孔16b20および下ガイド孔16b21は、操作リング16bの回転軸X回りに180度位相をずらして配置されている。そして、上ガイド孔16b20を上記した第1ガイド軸16a4および第2ガイド軸16a5が貫通しており、下ガイド孔16b21を上記した第3ガイド軸16a6が貫通している。
また、平面部16b2には、その中心位置において操作リング16bの回転軸方向に沿って前方に突出する中心突起16b30が設けられている。そして、この中心突起16b30の外周には、コイルバネ16b40が巻き付けられている。中心突起16b30の近傍には係止部16b31が設けられており、このコイルバネ16b40の一端部が係止部16b31によって係止されている。一方、このコイルバネ16b40の他端部は、上記した下ガイド孔86b21を貫通している第3ガイド軸16a6に巻き付けられて係止されている。
フェイスカバー16cは、操作ハンドル16の最も正面側に配置されており、略半球状に形成されている。フェイスカバー16cの背面側には、上記した第3ガイド軸16a6の先端に対面するネジ穴(図示せず)と、上記した中心突起16b30の先端部が相対回転可能に挿入される中心穴(図示せず)と、が設けられている。第3ガイド軸16a6、ならびに第3ガイド軸16a6の後端部と連続するベース体16a(大径部16a2および段差部16a3)は後方からネジを挿入可能に構成されている。フェイスカバー16cの中心穴に中心突起16b30の先端部が挿入された状態で、フェイスカバー16cのネジ穴にネジを螺号することにより、フェイスカバー16cがベース体16aに固定されている。これにより、操作リング16bは、フェイスカバー16cとベース体16aとの間に回転自在に挟持される。
このように構成された操作ハンドル16において、操作リング16bの上記した第1ガイド軸16a4または第2ガイド軸16a5が、上ガイド孔16b20の周方向端部に接触したとき、および上記した第3ガイド軸16a6が、下ガイド孔86b21の周方向端部に接触したときに、操作リング16bはそれ以上回転することを規制される。つまり、第1~第3ガイド軸16a4,16a5,16a6、上ガイド孔16b20、および下ガイド孔16b21は、操作リング16bの回転をガイドする機能と、その回転角度を一定範囲内に規制するストッパーとしての機能と、の双方を有している。
操作リング16bの中心突起16b30に巻き付けられたコイルバネ16b40は、反時計回りの反発力(弾性力)を発揮できる状態で組み込まれている。そのため、操作リング16bは、遊技者が回転操作していないときは、コイルバネ16b40の反発力を受けて、第2ガイド軸16a5が上ガイド孔16b20における時計回り方向の端部に接触し、かつ、第3ガイド軸16a6が下ガイド孔16b21における時計回り方向の端部に接触した図19(a)に示す初期位置で静止している。なお、フェイスカバー16cの中心部Оから第1指掛部16b3の最外径部16b3´へと向かう矢印が水平方向となす角度を回転操作角度とすると、このときの回転操作角度はφ0度となっている。
図19(a)に示すように、操作リング16bが初期位置にあるときに、遊技者が時計回り方向に所定の大きさの力を操作リング16bに作用させると、当該操作リング16bは、コイルバネ16b40の弾性力に抗して図中時計回り方向に回転し始め、発射装置40による遊技球の発射が開始する。
図19(b)に示すように、操作ハンドル16の回転操作角度がφ1度になるまで、遊技者が操作リング16bに作用させる力を徐々に強めていくと、第1ガイド軸16a4は上ガイド孔16b20の中央よりもやや反時計回り寄りの位置に相対的に変位し、第2ガイド軸16a5は上ガイド孔16b20の中央に相対的に変位し、第3ガイド軸16a6は下ガイド孔16b21の中央に相対的に変位する。このとき、発射装置40によって発射された遊技球は、遊技盤5の遊技領域50における左打ち領域50Aに向かって進行した後に、当該左打ち領域50Aを流下する。以下においては、このときの操作リング16bの回転操作位置を「左打ち基準位置」という。なお、この左打ち基準位置は所謂ブッコミ狙いで遊技球を発射する際の回転操作位置である。
図19(c)に示すように、操作ハンドル16の回転操作角度φ2度になるまで、遊技者が操作リング16bに作用させる力をさらに強めていくと、上記した第1ガイド軸16a4は上ガイド孔16b20における反時計回り方向の端部に接触し、第2ガイド軸16a5は上ガイド孔16b20の中央よりもやや反時計回り寄りの位置に相対的に変位し、第3ガイド軸16a6は下ガイド孔16b21における反時計回り方向の端部に接触する。このとき、発射装置40によって発射された遊技球は、遊技盤5の遊技領域50における右打ち領域50Bに向かって進行した後に、当該右打ち領域50Bを流下する。以下においては、このときの操作リング16bの位置を「右打ち基準位置(最大回転位置)」という。
遊技者が操作リング16bに対する時計回り方向の付勢を解除すると、操作リング16bはコイルバネ16b40の弾性力によって初期位置に復帰する。
このように、遊技者が操作リング16bの時計回り方向における回転操作量を変化させ、当該操作リング16bの回転操作位置を調整することにより、遊技者は遊技盤5の遊技領域50における所望の領域に向けて遊技球を発射することができる。そして、このとき遊技者が操作リング16bを回転操作させる際に必要な力(以下「回転トルク」という。)Nの大きさは、操作リング16bの中心突起16b30に巻き付けられたコイルバネ16b40の性質(例えばバネ定数k[N/m])やコイルバネ16b40の一端部および他端部の係止態様等を含む種々の要素によって変動する。例えばバネ定数kの値が大きい程、また、コイルバネ16b40の一端部および他端部が周方向に巻回されている程、回転トルクNの大きさが増加することなる。このような回転トルクNの大きさを増加させる要素のことを「回転トルク増加要素」という。なお、回転トルクNの大きさと、操作ハンドル16の回転操作位置との関係の詳細については後述する。
次に、図20(a),(b)を参照して、操作ハンドル16のリング部16b1の外周面に形成された第1~第3指掛部16b3~16b5の寸法の詳細について説明する。
前述したように、第1~第3指掛部16b3~16b5は、操作リング16bのリング部16b1の外周面から外径方向に突出するように形成されているが、正面視におけるこれら第1~第3指掛部16b3~16b5の最外径部16b3´~16b5´と、フェイスカバー16cの中心部Оと、の距離Dは、以下のように設定されている。具体的には、第1指掛部16b3の最外径部16b3´と中心部Оとの距離D1は、53.4[mm]に設定されている。また、第2指掛部16b4の最外径部16b4´と中心部Оとの距離D2は、45.6[mm]に設定されている。さらに、第3指掛部16b5の最外径部16b5´と中心部Оとの距離D3は、39.3[mm]に設定されている。また、正面視におけるフェイスカバー16cの最外径部と中心部0との距離Eは、34.6[mm]に設定されている。なお、フェイスカバー16cの中心部0からフェイスカバー16cの最外径部へと向かう矢印(距離Eの矢印)が斜めになっているのは、操作ハンドル16が前面側に斜めに突出しているためである。
また、操作ハンドルユニット160が前面扉3の右下隅部に取り付けられた状態では、前面扉3の下端縁3Aは、意匠ケース77の下端縁77aより若干下方に位置しており、前面扉3の右端縁3Bは、意匠ケース77の右側縁77bよりも若干右方に位置している(図20(a)参照)。この場合、前面扉3の下端縁3Aとフェイスカバー16cの中心部Оとの距離F1は、40.0[mm]に設定されており、前面扉3の右端縁3Bと中心部Оとの距離G1は、49.1[mm]に設定されている。
さらに、前面扉3が内枠2に対して閉じられた状態では、内枠2の下端縁2Aは前面扉3の下端縁3Aよりも若干下方に位置しており、内枠2の右端縁2Bは前面扉3の右端縁3Bよりも若干右方に位置している(図20(b)参照)。この場合、内枠2の下端縁2Aとフェイスカバー16cの中心部Оとの距離F2は、45.0[mm]に設定されており、内枠2の右端縁2Bと中心部Оとの距離G2は、51.1[mm]に設定されている。
操作ハンドル16が初期位置(図19(a)参照)にある場合、第1指掛部16b3は略左方を向いており、第2指掛部16b4は略上方を向いており、第3指掛部16b5は右斜め上方を向いている。この場合、何れの指掛部16b3~16b5も前面扉3の下端縁3Aよりも下方に突出しておらず、また、前面扉3の右端縁3Bよりも右方に突出していない。さらに、何れの指掛部16b3~16b5も内枠2の下端縁2Aよりも下方に突出しておらず、また、内枠2の右端縁2Bよりも右方に突出していない。
次に、操作ハンドル16が左打ち基準位置(図19(b)参照)にある場合、第1指掛部16b3は左斜め上方を向いており、第2指掛部16b4は右斜め上方を向いており、第3指掛部16b5は略右方を向いている。ここで、前面扉3の右端縁3Bと中心部Оとの距離G1(49.1[mm])および内枠2の右端縁2Bと中心部Оとの距離G2(51.1[mm])は、第3指掛部16b5の最外径部16b5´と中心部Оとの距離D3(39.3[mm])よりも大きいため、第3指掛部16b5が前面扉3の右端縁3Bおよび内枠2の右端縁2Bよりも右方に突出することはない。
以上より、操作ハンドル16が左打ち基準位置にある場合、何れの指掛部16b3~16b5も前面扉3の下端縁3Aよりも下方に突出しておらず、また、前面扉3の右端縁3Bよりも右方に突出していない。さらに、何れの指掛部16b3~16b5も内枠2の下端縁2Aよりも下方に突出しておらず、また、内枠2の右端縁2Bよりも右方に突出していない。
次に、操作ハンドル16が右打ち基準位置(図19(c)参照)にある場合、第1指掛部16b3は略上方を向いており、第2指掛部16b4は右方を向いており、第3指掛部16b5は略下方を向いている。ここで、前面扉3の右端縁3Bと中心部Оとの距離G1(49.1[mm])および内枠2の右端縁2Bと中心部Оとの距離G2(51.1[mm])は、第2指掛部16b4の最外径部16b4´と中心部Оとの距離D2(45.6[mm])よりも大きい。そのため、第2指掛部16b4が前面扉3の右端縁3Bおよび内枠2の右端縁2Bよりも右方に突出することはない。また、前面扉3の下端縁3Aと中心部Оとの距離F1(40.0[mm])および内枠2の下端縁2Aと中心部Оとの距離F2(45.0[mm])は、第3指掛部16b5の最外径部16b5´と中心部Оとの距離D3(39.3[mm])よりも大きい。そのため、第3指掛部16b5が前面扉3の下端縁3Aおよび内枠2の下端縁2Aよりも下方に突出することはない。
以上より、操作ハンドル16が右打ち基準位置にある場合、何れの指掛部16b3~16b5も前面扉3の下端縁3Aよりも下方に突出しておらず、また、前面扉3の右端縁3Bよりも右方に突出していない。さらに、何れの指掛部16b3~16b5も内枠2の下端縁2Aよりも下方に突出しておらず、また、内枠2の右端縁2Bよりも右方に突出していない。
このように、操作ハンドル16の第1~第3指掛部16b3~16b5は、操作ハンドル16が初期位置および右打ち基準位置にある場合、前面扉3の下端縁3Aおよび内枠2の下端縁2Aから下方に突出していない。そのため、作業者が前面扉3または前面扉3が取り付けられた内枠2を床等に置いた場合でも、第1~第3指掛部16b3~16b5が床等と接触しない。したがって、床等との接触に起因して操作ハンドル16が破損するリスクを低減することができる。特に、昨今のパチンコ機の前面扉には、演出効果の向上を目的として大型の意匠部材が設置されることが多く、このような意匠部材が設置された前面扉は非常に重量が大きくなるため、作業者は前面扉3を床等に置く機会が増えている。そこで、このようなパチンコ機において、この操作ハンドル16の第1~第3指掛部16b3~16b5の寸法を採用すれば、大型の意匠部材を前面扉に設置しつつも、操作ハンドルの指掛部を適切に保護することができる。
また、操作ハンドル16の第1~第3指掛部16b3~16b5は、操作ハンドル16が左打ち基準位置にある場合において、前面扉3の下端縁3Aおよび内枠2の下端縁2Aから下方に突出していない。つまり、操作ハンドル16の第1~第3指掛部16b3~16b5は、操作ハンドル16が初期位置、右打ち基準位置、および左打ち基準位置の如何なる回転操作位置にある場合でも、前面扉3の下端縁3Aおよび内枠2の下端縁2Aから下方に突出していない。そのため、作業者が前面扉3または前面扉3が取り付けられた内枠2を床等に置いた場合でも、第1~第3指掛部16b3~16b5と床等との接触を確実に防ぐことができるので、床等との接触に起因して操作ハンドル16が破損するリスクをさらに低減することができる。
また、操作ハンドル16の第1~第3指掛部16b3~16b5は、操作ハンドル16が初期位置および右打ち基準位置にある場合、前面扉3の右端縁3Bおよび内枠2の右端縁2Bから右方に突出していない。そのため、作業者が前面扉3または前面扉3が取り付けられた内枠2を床等に置いた場合でも、第1~第3指掛部16b3~16b5が周囲に配置されている物等と接触しない。したがって、そのような周囲の物等との接触に起因して操作ハンドル16が破損するリスクを低減することができる。
また、操作ハンドル16の第1~第3指掛部16b3~16b5は、操作ハンドル16が左打ち基準位置にある場合、前面扉3の右端縁3Bおよび内枠2の右端縁2Bから右方に突出していない。つまり、操作ハンドル16の第1~第3指掛部16b3~16b5は、操作ハンドル16が初期位置、右打ち基準位置、および左打ち基準位置の如何なる位置にある場合でも、前面扉3の右端縁3Bおよび内枠2の右端縁2Bから右方に突出していない。そのため、作業者が前面扉3または前面扉3が取り付けられた内枠2を床等に置いた場合でも、第1~第3指掛部16b3~16b5と周囲に配置された物等との接触を確実に防ぐことができるので、そのような周囲の物等との接触に起因して操作ハンドル16が破損するリスクをさらに低減することができる。
また、第1指掛部16b3は、第2指掛部16b4および第3指掛部16b5よりも突出量が大きいが、操作ハンドル16が右打ち基準位置にある場合、この第1指掛部16b3の最外径部16b3´が回転軌道の最下点に位置しない。このように設計しておけば、操作ハンドル16のフェイスカバー16cの下端部と、前面扉3の下端縁3Aまたは内枠2の下端縁2Aとの距離(図20(a),(b)参照)は比較的小さいので、第1指掛部16b3の最外径部16b3´が前面扉3の下端縁3Aおよび内枠2の下端縁2Aから下方に突出することをさらに確実に防止することができる。
なお、上記実施形態では、操作ハンドル16の第1~第3指掛部16b3~16b5は、初期位置および最大回転位置において、前面扉3の下端縁3Aおよび右端縁3Bと、内枠2の下端縁2Aおよび右端縁2Bと、の双方から突出しないように形成されていたが、この構成に限られない。第1~第3指掛部16b3~16b5は、初期位置および最大回転位置において、前面扉3の下端縁3Aおよび右端縁3Bと、内枠2の下端縁2Aおよび右端縁2Bと、の何れか一方から突出しないように形成されていてもよい。
次に、図21,22を参照して、操作ハンドル16の回転トルクNの大きさと、操作ハンドル16の回転操作位置との関係の詳細について説明する。
図21は、本実施形態例の操作ハンドル16(実施例)と、実施例に対する比較例1~3についての回転操作位置に対する回転トルクNの大きさの実測値を示している。なお、実施例については実線で示し、比較例1~3については二点鎖線、点線、および一点鎖線で示している。
図21に示すように、実施例(操作ハンドル16)では、初期位置から回転操作を開始させるために必要な回転トルク(以下、「第1回転トルク」という。)の大きさは、6.8[N・mm]となった。また、左打ち基準位置に回転操作させるために必要な回転トルク(以下、「第2回転トルク」という。)の大きさは、13.6[N・mm]となった。さらに、右打ち基準位置に回転操作させるために必要な回転トルク(以下、「第3回転トルク」という。)の大きさは、23.8[N・mm]となった。これにより、図22に示すように、第2回転トルクと第1回転トルクとの差分ΔAは6.8[N・mm]であり、第3回転トルクと第2回転トルクとの差分ΔBは10.2[N・mm]であることが導出される。
また、図22に示すように、実施例では、左打ち基準位置までの回転操作角度φ1(以下、「第1回転操作角度」という。)は49.0度となり、右打ち基準位置までの回転操作角度(以下、「第2回転操作角度」という。)は100.0度となった。
以上より、実施例では、第3回転トルクと第2回転トルクとの差分ΔB(10.2[N・mm])は、第2回転トルクと第1回転トルクとの差分ΔA(6.8[N・mm])よりも大きく、この差分ΔAの2倍(13.8[N・mm])よりも小さいことが分かる。つまり、実施例は、回転操作位置に対する回転トルクNの大きさが図21に示す値を取るように、操作リング16bの中心突起16b30にコイルバネ16b40を巻き付けて、このコイルバネ16b40の両端部を係止している(図18(a)参照)。そのため、第1回転トルクの大きさを小さくすることができ、しかも回転トルクNの変化量を抑えている(つまり、図21に示す曲線の傾きを小さくしている。)。
具体的には、差分ΔA(第2回転トルクと第1回転トルクとの差分)が小さくなっているので、初期位置から左打ち基準位置までの間に回転トルクが急激に増加せず、遊技者はスムーズに操作ハンドル16を回転操作することができる。また、差分ΔB(第3回転トルクと第2回転トルクとの差分)が小さくなっているので、左打ち基準位置から右打ち基準位置までの間に回転トルクが急激に増加せず、遊技者はスムーズに操作ハンドル16を操作することができる。このように、初期位置から左打ち基準位置を経由して右打ち基準位置に至るまで操作ハンドル16を楽に操作することができるため、長時間に亘る遊技でも遊技者を疲労し難くすることができる。
また、実施例では、操作ハンドル16の左打ち基準位置に対応する第1回転操作角度(49.0度)は、右打ち基準位置に対応する第2回転操作角度(100.0度)の半分以下の値になっている。一般的には、遊技中においては右打ちよりも左打ちを行うことの方が多いため、操作ハンドル16を左打ち基準位置に瞬時に回転操作できるようにしており、遊技者の負担をさらに軽減できる。
比較例1は、実施例に比べて前述した回転トルク増加要素が大きく影響している操作ハンドルである。この比較例1では、図21に示すように、第1回転トルクの大きさは59.4[N・mm]になっており、第2回転トルクの大きさは79.2[N・mm]になっており、第3回転トルクの大きさは143.6[N・mm]になっていた。これにより、図22に示すように、第2回転トルクと第1回転トルクの差分ΔAは19.8[N・mm]であり、第3回転トルクと第2回転トルクの差分ΔBは64.4[N・mm]であることが導出される。また、第1回転操作角度は60.0度になっており、第2回転操作角度は120.0度になっていた。
以上より、比較例1では、第3回転トルクと第2回転トルクの差分ΔB(64.4[N・mm])は、第2回転トルクと第1回転トルクの差分ΔA(19.8)よりも大きく、この差分ΔAの2倍(39.6[N・mm])よりも大きいことが分かる。よって、第1回転トルクが大きく、また、操作ハンドルを回転操作せるにつれて回転トルクの変化量が大きくなるので(つまり、図21に示す曲線の傾きが急激に増加していくので)、長時間に亘る遊技で遊技者は非常に疲労する。
比較例2は、比較例1よりも回転トルク増加要素は大きく影響していないが、実施例に比べて回転トルク増加要素が大きく影響している操作ハンドルである。この比較例2では、図21に示すように、第1回転トルクの大きさは57.6[N・mm]になっており、第2回転トルクの大きさは62.4[N・mm]になっており、第3回転トルクの大きさは91.2[N・mm]になっていた。これにより、第2回転トルクと第1回転トルクの差分ΔAは、4.8[N・mm]であり、第3回転トルクと第2回転トルクの差分ΔBは、28.8[N・mm]であることが導出される。また、第1回転操作角度は40.0度になっており、第2回転操作角度は120.0度になっていた。
以上より、比較例2では、第3回転トルクと第2回転トルクの差分ΔB(28.8)は、第2回転トルクと第1回転トルクの差分ΔA(4.8)よりも大きく、この差分ΔAの2倍(9.6)よりも大きいことが分かる。よって、第1回転トルクが比較例1と同様に大きく、また、比較例1ほどではないものの、操作ハンドルを回転操作せるにつれて回転トルクの変化量が徐々に大きくなるので(つまり、図21に示す曲線の傾きが緩やかに増加していくので)、長時間に亘る遊技で遊技者は疲労し易い。
比較例3は、比較例2よりも回転トルク増加要素が大きく影響していないが、実施例に比べて回転トルク増加要素が大きく影響している操作ハンドルである。この比較例3では、図21に示すように、第1回転トルクの大きさは29.7[N・mm]になっており、第2回転トルクの大きさは54.5[N・mm]になっており、第3回転トルクの大きさは94.1[N・mm]になっていた。これにより、図22に示すように、第2回転トルクと第1回転トルクの差分ΔAは、24.8[N・mm]であり、第3回転トルクと第2回転トルクの差分ΔBは、39.6[N・mm]であることが導かれる。また、第1回転操作角度は45.0度になっており、第2回転操作角度は110.0度になっていた。
以上より、比較例3について、第3回転トルクと第2回転トルクの差分ΔB(39.6[N・mm])は、第2回転トルクと第1回転トルクの差分ΔA(24.8)よりも大きく、この差分ΔAの2倍(49.6[N・mm])よりも小さいことが分かる。よって、比較例3は、第1回転トルクが比較例1.2よりは小さいが実施例よりは大きく、また、比較例2よりも操作ハンドルを回転操作せるにつれて回転トルクの変化量が大きくなるので(つまり、図21に示す曲線の傾きが増加していくので)、遊技者は疲労し易い。
このように、実施例と比較例1~3とを比べて明らかなように、実施例(操作ハンドル16)は長時間に亘る遊技でも遊技者が疲労し難い最適な操作ハンドルである。
次に、図23~図26を参照して、第2実施形態例に係るパチンコ機P´について説明する。図23に示すように、このパチンコ機(遊技機)P´は、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の外枠101と、外枠101に扉状に開閉自在に取り付けられる内枠102と、内枠102の前面に扉状に開閉自在に取り付けられる前面扉103等を備えている。内枠102は後述する遊技盤を保持しており、前面扉103はガラスやプラスチック等からなる透明板104を保持している。透明板104は、前後方向に沿って2つ設けられており(図25参照)、これら透明板104が前面扉103の中央に形成された開口部103aを塞ぐように前面扉103に取り付けられている。
前面扉103には、透明板104の下方に遊技球を収容可能な上段受皿105および下段受皿106が設けられており、下段受皿106の右側方に遊技球の発射操作を行うための操作ハンドル107が設けられている。また、前面扉103には、遊技における演出効果を高めるための種々の部材が配設されている。具体的には、透明板104の上方に意匠部材108が設けられ、透明板104の左側方にかかる部位を囲むように装飾レンズユニット109が設けられ、透明板104の右上方に回転灯ユニット110が設けられ、回転灯ユニット110の真下であって透明板104の右側方にサイドパネルユニット111が設けられ、上段受皿105の前面中央に演出操作ボタンユニット112が設けられ、透明板104の左右下方に一対のスピーカ113a,113bが設けられている。
上段受皿105には、パチンコ機P´の側方に設置された図示せぬ遊技球貸出装置により貸し出される遊技球や、パチンコ機Pの賞球付与装置から付与される賞球が導かれるようになっており、この上段受皿105が遊技球で一杯になると、その後に貸し出されたり払い出されたりする遊技球は下段受皿106に導かれるようになっている。操作ハンドル107は遊技者が所定方向へ向けて回転操作できるように形成されており、遊技者が操作ハンドル107を回転操作すると、上段受皿105に収容されている遊技球が遊技盤の下方に配設された発射装置(図示せず)に送られる。そして、この発射装置により操作ハンドル107の回転角度に応じた強度で遊技球が発射されるようになっている。
意匠部材108は、箱形状を有しており、透明板104の上方領域を大きく占める大型の部材である。この意匠部材108の内部には、複数のLED(図示せず)が設けられており、これらLEDが遊技の進行に伴って種々の色や発光パターンで発光するという演出が行われるようになっている。なお、意匠部材108と、遊技盤205の遊技領域150における誘導通路15cとの位置関係の詳細については後述する。
装飾レンズユニット109の内部にも、意匠部材108と同様に、複数のLED(図示せず)が設けられており、種々の色や発光パターンで発光するという演出が行われるようになっている。回転灯ユニット110には環状に配置した複数のLED(図示せず)が設けられており、各LEDが配置順に点灯と消灯を繰り返すことにより、恰も回転灯が発光しているような演出を実行できるようになっている。サイドパネルユニット111は前方に向けて突出するように形成された略長方形薄板状の装飾用装置であって、この装置に内装されたデザインシート(図示せず)の視認性を高めるためのものである。演出操作ボタンユニット112は、遊技の進行に伴って実行される演出の切り替え等を行えるようになっている。スピーカ113a,113bは、遊技の進行に応じて遊技に関する様々な音を出力するようになっている。
図示は省略するが、このパチンコ機P´の背面側には、第1実施形態例のパチンコ機Pと同様に、主制御基板と、副制御基板と、賞球払出装置と、払出制御基板と、発射制御基板と、外部端子基板等が設けられている。
また、このパチンコ機P´では、外枠101と内枠102とによって本体枠114が構成されており、この本体枠114によって図24に示す遊技盤205が保持されている。この遊技盤205は、第1実施形態例のパチンコ機Pと同様に、その遊技領域150において左打ち領域150Aおよび右打ち領域150Bを含んでいる。そして、発射装置によって発射された遊技球は、発射強度に応じて、内ガイドレール170および外ガイドレール171からなる案内通路173を経由して、左打ち領域150Aまたは右打ち領域150Bに進入するようになっている。左打ち領域150Aには、第1始動入賞口153に遊技球を導く直線状に並んだ複数の釘(道釘)154や道釘154の上流側に配設された風車155等が設けられている。一方、右打ち領域150Bには、ゲート156、第2始動入賞口157および第2始動入賞口157を開閉可能する可変部材157aや大入賞口158および大入賞口158を開閉する開閉扉158a等が設けられている。
また、遊技領域150には、遊技球を左打ち領域150Aから右打ち領域150Bに誘導する誘導通路15cが含まれている。誘導通路15cは、遊技領域150における上方領域であって、遊技中に所定条件の成立に基づいて可動する可動役物161の上方に円弧状に形成されている。さらに、誘導通路15cは、外周側に位置する外周部150cと、内周側に位置する内周部151c、とを有しており、外周部150cと内周部151cとに挟まれた空間を遊技球が通過することになる。
次に、図25を参照して、前述した意匠部材108と誘導通路15cとの位置関係について説明する。なお、図25は、図23のC-C線断面図であり、この図に示される誘導通路15cは円弧状の誘導通路15cの頂部である。
図25に示すように、意匠部材108は、上面部108aと、上面部108aの前面側と接続している前面部10bと、前面部108bの下端部と接続している下面部108cと、を有している。上面部108aは、前面扉103に保持された透明板104よりも前方に突出しており、前面部108bは下方に向かうにつれて後方に傾斜している。下面部108cは、前面部108bと透明板104との間に挟まれている。
下面部108cは、前面部108bの下端部と接続して水平に延びる水平部108c1と、水平部108c1の後端部108c10と接続して前方から後方に向かって上方に傾斜している傾斜部108c2と、傾斜部108c2と接続して湾曲している湾曲部108c3と、を有している。下面部108cにおいては、前後方向において、最も前方に水平部108c1が位置しており、最も後方に湾曲部108c3が位置している。また、上下方向において、最も上方に湾曲部108c3が位置しており、最も下方に水平部108c1が位置している。
水平部108c1は、上下方向において、遊技盤205の誘導通路15cよりも下方に位置している。傾斜部108c2は、前後方向において傾斜角度θ[°]で上方傾斜しており、水平部108c1と湾曲部108c3とを接続している。湾曲部108c4の前端部108c30は傾斜部108c2と接続しており、湾曲部108c4の後端部108c31は透明板104と接触している。湾曲部108c3は、前後方向において下に凸となるように湾曲しており、傾斜部108c2の傾斜面を含む平面Mよりも下方に位置していない。湾曲部108c4の後端部108c21の後方には、2枚の透明板104を介して上述した誘導通路15cが配設されている。
図26(a),(b)は、図25と同様に、円弧状の誘導通路15cの頂部を示している。この誘導通路15cの頂部において、誘導通路15cの外周部150cおよび内周部150c2は、上下方向に所定間隔をあけて遊技盤205の盤面205aに対して垂直に立設している。以下においては、外周部150cの頂部を通る水平な直線を「第1基準線K1」といい、内周部151cの頂部を通る水平な直線を「第2基準線K2」という。
図26(a)を参照して、第1基準線K1に対する水平部108c1および湾曲部108c3の位置関係について説明する。
水平部108c1は、上述したように上下方向において遊技盤205の誘導通路15cよりも下方に位置しているので、第1基準線K1の下方に位置している。そして、水平部108c1と第1基準線K1との上下方向に沿った距離L1は、遊技球の直径R(11mm)以上(例えば40mm)となるように設定されている。つまり、水平部108c1は第1基準線K1よりも下方に距離L1(≧R)離れた位置に配置されている。そのため、意匠部材108が第1基準線K1よりも下方に占有するスペースS1を十分に確保することができる。したがって、意匠部材108を大型化することができる。
湾曲部108c3は、その後端部108c31が上下方向において第1基準線(外周部150cの頂部を通る水平な直線)K1よりも下方に位置するように配置されている。そして、湾曲部108c3の後端部108c31と、第1基準線K1との上下方向に沿った距離L2は、遊技球の直径R以下(例えば4mm)となるように設定されている。つまり、湾曲部108c3の後端部108c31は第1基準線K1よりも下方に距離L2(≦R)離れた位置に配置されている。しかも、上述したように、湾曲部108c3は、上記した平面M(傾斜部108c2の傾斜面を含む平面)よりも下方に位置していない。そのため、遊技球GB1が誘導通路15cの外周部150cに沿って移動している場合でも、この遊技球GB1に対する遊技者の視線LS1が湾曲部108c3によって遮られることなく、遊技球GB1を確実に視認することができる。したがって、大型化した意匠部材108を前面扉103に設置した場合でも、この設置に起因して遊技者が視認し難くなり易い誘導通路15cにおける遊技球の視認性を十分に確保することができる。すなわち、このパチンコ機P´では、意匠部材108の大型化を実現しつつも、この大型化した意匠部材108に因る遊技球の視認性の低下を防止することができる。
次に、図26(b)を参照して、第2基準線K2に対する水平部108c1および湾曲部108c3の第2基準線K2に対する位置関係について説明する。
水平部108c1は、上述したように上下方向において遊技盤205の誘導通路15cよりも下方に位置しているので、第2基準線K2の下方に位置している。そして、水平部108c1と、第2基準線K2との上下方向に沿った距離L3は、遊技球の直径(11mm)以上(例えば22mm)となるように設定されている。つまり、水平部108c1は第2基準線K2よりも下方に距離L3(≧R)離れた位置に配置されている。そのため、意匠部材108が第2基準線K2よりも下方に占有するスペースS2を十分に確保することができる。したがって、意匠部材108を大型化することができる。
湾曲部108c3は、その後端部108c31が上下方向において第2基準線(内周部151cの頂部を通る水平な直線)K2よりも上方に位置するように配置されている。そして、湾曲部108c3の後端部108c31と、第2基準線K2との上下方向における距離L4は、遊技球の直径以上(例えば14mm)となるように設定されている。つまり、湾曲部108c3の後端部108c31は、第2基準線K2よりも上方に距離L4(≧R)離れた位置に配置されている。しかも、湾曲部108c3は上記した平面M(傾斜部108c2の表面を含む平面)よりも下方に位置していない。そのため、遊技球GB2が誘導通路15cの内周部151cに沿って移動している場合でも、この遊技球GB2に対する遊技者の視線LS2が湾曲部108c3によって遮られることなく、遊技球GB2を確実に視認することができる。したがって、大型化した意匠部材108を前面扉103に設置した場合でも、この設置に起因して遊技者が視認し難くなり易い誘導通路15cにおける遊技球の視認性を十分に確保することができる。すなわち、このパチンコ機P´では、意匠部材108の大型化を実現しつつも、この大型化した意匠部材108に因る遊技球の視認性の低下を防止することができる。
なお、上記実施形態例では、湾曲部108c3は上記した平面M(傾斜部108c2の傾斜面を含む平面)よりも下方に位置しない構成であったが、この構成に限られない。誘導通路15cを通過する遊技球に対する遊技者の視線が湾曲部108c3によって遮られない範囲内において、湾曲部108c3は上記した平面Mよりも下方に位置してもよい。