関連出願の相互参照
本出願は、2017年3月16日に出願された米国仮特許出願第62/472,345号の利益を主張する。その出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
背景
乳癌は、今日、女性の間で最も一般に診断される悪性腫瘍であり、毎年、米国で200,000例近くの、世界で1,700,000例近くの、新しい症例が診断されている。乳腺腫瘍の約70%が、このサブセットの腫瘍における鍵である発癌ドライバー(Spicer DV & Pike MC.Breast cancer preventionthrough modulation of endogenous hormones.Breast Cancer Res Treat.1993;28:179~193)であるエストロゲン受容体アルファ(ERα)が陽性であるため、1)、フルベストラントがその例である、選択的エストロゲン受容体ダウンレギュレーター(SERD)、2)タモキシフェンがその例である、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、及び3)エストロゲンの全身的レベルを低減させるアロマターゼ阻害剤を含む、ERα機能を弱めるためのいくつかのクラスの療法が開発されてきた。これらの療法は、臨床において、ERα+乳腺腫瘍の発症及び進行を減らすのに非常に有効であった。しかしながら、これらの異なるクラスの化合物に関連する、オンターゲットの傾向が存在する。例えば、タモキシフェンは、子宮内膜中でシグナリング活性を活性化させて、臨床において子宮内膜癌のリスクの増加へと至らせることが示されてきた(Fisherら、(1994)J.Natl Cancer Inst.4月6日;86(7):527~37;van Leeuwenら、(1994)Lancet、2月19日;343(8895):448~52)。対照的に、フルベストラントは純粋な拮抗薬であるので、ERα活性が骨の成形に重要であるために閉経後の女性において骨密度の低下へと至らせるおそれがある。オンターゲットの副作用に加え、臨床的耐性もまた、これらのクラスのERα拮抗薬に対して出現し始めており、これが、次世代の化合物を開発する必要性に光を当てている。
耐性のいくつかの機序が、種々の内分泌療法への耐性のインビトロ及びインビボのモデルを用いて確認されてきた。これらには、増加したERα/HER2「クロストーク」(Shouら、Mechanisms of tamoxifen resistance:increased estrogen receptor-HER2/neu cross-talk in ER/HER2-positive breast cancer(2004)J Natl Cancer Inst.6月16日;96(12):926~35)、ERα活性化補助因子/補助抑制因子の異常な発現(Osborneら、Role of the estrogen receptor coactivator AIB1(SRC-3) and HER-2/neu in tamoxifen resistance in breast cancer(2003)J Natl Cancer Inst.3月5日;95(5):353~61)、又はER非依存性増殖を可能にするためのERαの完全な欠損(Osborne CK,Schiff R(2011)Annu Rev Med 62:233~47)が挙げられる。
耐性の臨床的に重要な機序を同定することを希望して、最近、患者から単離された内分泌療法耐性メタスターゼの遺伝学を深く特徴決定するための大きな努力がなされている。いくつかの独立した研究室が、最近、耐性腫瘍対原発腫瘍において観察される多数の遺伝的病変を発表してきた(Liら、Endocrine-therapy-resistant ESR1 variants revealed by genomic characterization of breast-cancer-derived xenografts(2013年)Cell Rep.9月26日;4(6):1116~30;Robinsonら、Activating ESR1 mutations in hormone-resistant metastatic breast cancer(2013年)Nat Genet.12月;45(12):1446~51;Toyら、ESR1 ligand-binding domain mutations in hormone-resistant breast cancer(2013年)Nat Genet.2013年12月;45(12):1439~45)。これらの中でESR1(ERαタンパク質をエンコードする遺伝子)のリガンド結合ドメインにおける高度反復突然変異が、約30%の耐性腫瘍において内分泌療法ナイーブ腫瘍と比べて有意に富化されていることが見出され(Jeselsohnら、Emergence of constitutively active estrogen receptor-alpha mutations in pretreated advanced estrogen receptor-positive breast cancer(2014年)Clin Cancer Res.4月1日;20(7):1757~67;Liら、(2013年)Cell Rep.9月26日;4(6):1116~30;Toyら、(2013)Nat Genet.2013年12月;45(12):1439~45;Robinsonら、(2013)Nat Genet.12月;45(12)1446~51;Merenbakh-Laminら、D538G mutaion in estrogen receptor-alpha:A novel mechanism for acquired endocrine resistance in breast cancer(2013年)Cancer Res.12月1日;73(23):6856~64;Yuら、Cancer therapy.Ex vivo culture of circulating breast tumor cells for individualized testing of drug susceptibility(2014年)Science7月11日号;345(6193):216~20;Segal and Dowett Estrogen receptor mutations in breast cancer-new focus on an lod target(2014),Clin Cander Res 4月1日;20(7):1724~26;Chandarlapatyら、Prevalence of ESR1 Mutations in Cell-Free DNA and Outcomes in Metastatic Breast Cancer:A Secondary Analysis of the BOLERO-2 Crinical Trial.JAMA Oncol.(2016年)2:1310~1315)、これらの突然変異が、臨床的耐性を機能的に駆動する潜在性を示唆している。
ESR1のリガンド結合ドメインにおける高度反復突然変異は、野生型ESR1に比して、より短い全生存期間を有する、より攻撃的な疾患生物学と関連している(Chandarlapatyら、(2016年))。更に、ERα突然変異(ERαMUT)は、ERαの恒常的な活性化へと至らせ、現存するクラスの内分泌療法に対する耐性を授ける。現在の内分泌療法が、ERαMUTセッティングにおいて部分的にのみ有効であり、且つ内分泌療法耐性転移のかなりの割合が、増殖/生存についてのERαシグナリングに依存したままであり続けるという事実は、1)ERαWT/ERαMUTの異常な活性を克服することができる次世代のERα療法を開発する必要性が続いていること、及び/又は2)臨床における抗エストロゲン療法の効果を更に増強しうる細胞経路を確定し標的とする必要性が続いていることを示唆している。
乳癌、特にERα陽性乳癌の治療における進展にもかかわらず、乳癌のための改善された治療を提供する必要性が存在する。
概要
実施形態は、有効量の化合物1と有効量のCDK4/6阻害剤とを含む組合せ療法を提供する。更なる実施形態は、有効量の化合物2又は化合物3と有効量のCDK4/6阻害剤とを含む組合せ療法を提供することができる。一定の実施形態では、CDK4/6阻害剤はパルボシクリブである。他の実施形態では、CDK4/6阻害剤はリボシクリブである。他の実施形態では、CDK4/6阻害剤はアベマシクリブである。本明細書で提供される組合せ療法は、乳癌細胞の生存能力の、増強された低下へと至らせることができ、且つ治療を必要とする患者における乳癌の腫瘍増殖の阻害へと至らせることができる。一定の実施形態では、乳癌細胞はER陽性乳癌細胞である。
実施形態は、(E)-N,N-ジメチル-4-((2-((5-((Z)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エンアミド又はその薬学的に許容される塩と、CDK4/6阻害剤又はその薬学的に許容される塩との組合せを患者に投与することを含む、治療を必要とする患者における乳癌を治療する方法を提供することができる。いくつかの実施形態では、(E)-N,N-ジメチル-4-((2-((5-((Z)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エンアミド又はその薬学的に許容される塩は、50mgから1000mgの間の1日用量で投与される。いくつかの実施形態では、(E)-N,N-ジメチル-4-((2-((5-((Z)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エンアミド又はその薬学的に許容される塩は、50mgから500mgの間の1日用量で投与される。いくつかの実施形態では、(E)-N,N-ジメチル-4-((2-((5-((Z)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エンアミド又はその薬学的に許容される塩は、50mg~300mgの1日用量で投与される。
実施形態は、(E)-4-((2-(4-((E)-1-(1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)フェノキシ)エチル)アミノ-N,N-ジメチルブタ-2-エンアミド又はその薬学的に許容される塩と、CDK4/6阻害剤又はその薬学的に許容される塩との組合せを患者に投与することを含む、治療を必要とする患者における乳癌を治療する方法を提供することができる。いくつかの実施形態では、(E)-4-((2-(4-((E)-1-(1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)フェノキシ)エチル)アミノ)-N,N-ジメチルブタ-2-エンアミド又はその薬学的に許容される塩は、50mg~1000mgの間の1日用量で投与される。いくつかの実施形態では、(E)-4-((2-(4-((E)-1-(1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)フェノキシ)エチル)アミノ)-N,N-ジメチルブタ-2-エンアミド又はその薬学的に許容される塩は、50mgから500mgの間の1日用量で投与される。いくつかの実施形態では、(E)-4-((2-(4-((E)-1-(1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)フェノキシ)エチル)アミノ)-N,N-ジメチルブタ-2-エンアミド又はその薬学的に許容される塩は、50mg~300mgの1日用量で投与される。
実施形態は、(E)-N,N-ジメチル-4-((2-(4-((E)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)フェノキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エンアミド又はその薬学的に許容される塩と、CDK4/6阻害剤又はその薬学的に許容される塩との組合せを患者に投与することを含む、治療を必要とする患者における乳癌を治療する方法を提供することができる。いくつかの実施形態では、(E)-N,N-ジメチル-4-((2-(4-((E)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)フェノキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エンアミド又はその薬学的に許容される塩は、50mgから1000mgの間の1日用量で投与される。いくつかの実施形態では、(E)-N,N-ジメチル-4-((2-(4-((E)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)フェノキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エンアミド又はその薬学的に許容される塩は、50mgから500mgの間の1日用量で投与される。いくつかの実施形態では、(E)-N,N-ジメチル-4-((2-(4-((E)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)フェノキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エンアミド又はその薬学的に許容される塩は、50mg~300mgの1日用量で投与される。
いくつかの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、例えば6-アセチル-8-シクロペンチル-5-メチル-2-{[5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2イル]アミノ}ピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン(パルボシクリブ);7-シクロペンチル-2-(5-ピペラジン-1-イル-ピリジン-2-イルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボン酸ジメチルアミド(リボシクリブ);及びN-(5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)-5-フルオロ-4-(4-フルオロ-1-イソプロピル-2-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)ピリミジン-2-アミン(アベマシクリブ)から選択される。
いくつかの実施形態では、CDK4/6阻害剤はパルボシクリブである。パルボシクリブは、例えば75、100又は125mg/日の投与量で投与することができる。典型的には、1回の投与量は、連続21日間、単一のカプセルとして経口投与され、7日の治療オフ期間が続く。
いくつかの実施形態では、CDK4/6阻害剤はリボシクリブである。リボシクリブは、例えば200、400又は600mg/日の投与量で投与することができる。典型的には、リボシクリブは、連続21日間、200mgのカプセル又は錠剤として経口投与され、7日の治療オフ期間が続く。
いくつかの実施形態では、CDK4/6阻害剤はアベマシクリブである。アベマシクリブは、例えば200、300又は400mg/日の投与量で投与することができる。典型的には、アベマシクリブは、1日2回、100、150又は200mg/用量の投与量で投与される。アベマシクリブは、典型的には、連続21日間又は連続28日間投与された後、7日間の治療オフ期間が続く。
いくつかの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、G1T-38(2’-((5-(4-イソプロピルピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7’,8’ジヒドロ-6’H-スピロ[シクロヘキサネル,9’ピラジノ[1’,2’:1,5]ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6’-オン二塩酸塩)である。G1T-38は、例えば10mg/kg、50mg/kg、100mg/kg、200mg/kg、300mg/kg、500mg/kgの投与量で、又は10~500mg/kg若しくは50~300mg/kgの範囲で投与することができる。
いくつかの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、G1T-28(2’-((5-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ-7’,8’-ジヒドロ-6’H-スピロ[シクロヘキサン-1,9’-ピラジノ[1’,2’:1,5]ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6’-オン)である。G1T-28は、例えば190から200mg/m2の間の投与量で投与することができる。
いくつかの実施形態では、CDK4/6阻害剤はAT-7519である。AT-7519は、例えば14.4~32.4mg/m2の投与量で投与することができる。AT-7519は、3週間ごとに投与することができ、薬剤は、第1日、第4日、第8日及び第11日に与えられる。一実施形態では、用量は、27mg/m2であり、上記の頻度で付与される。
いくつかの実施形態では、CDK4/6阻害剤はFLX-925である。いくつかの実施形態では、CDK4/6阻害剤はアルボシジブである。アルボシジブは、例えば8から122mg/m2の間の量で投与することができる。アルボシジブは、72時間の点滴として投与することができる。アルボシジブの最大耐用量は、40、50又は78mg/m2であると報告されている。
いくつかの実施形態では、(E)-N,N-ジメチル-4-((2-((5-((Z)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エンアミド又はその薬学的に許容される塩と、CDK4/6阻害剤又はその薬学的に許容される塩とは、別々の製剤として投与される。典型的には、各製剤用量の投与間の時間は、12時間を超えない。いくつかの実施形態では、(E)-N,N-ジメチル-4-((2-((5-((Z)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エンアミド又はその薬学的に許容される塩と、CDK4/6又はその薬学的に許容される塩とは、単一の製剤として投与される。いくつかの実施形態では、(E)-N,N-ジメチル-4-((2-((5-((Z)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エンアミド又はその薬学的に許容される塩と、CDK4/6阻害剤又はその薬学的に許容される塩とは、他の治療剤と共に順次投与される。いくつかの実施形態では、(E)-N,N-ジメチル-4-((2-((5-((Z)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エンアミド又はその薬学的に許容される塩と、CDK4/6阻害剤又はその薬学的に許容される塩とは、同時に投与される。
いくつかの実施形態では、投与される(E)-N,N-ジメチル-4-((2-((5-((Z)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エンアミドの形態は、遊離塩基の形態である。いくつかの実施形態では、投与される(E)-N,N-ジメチル-4-((2-((5-((Z)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エンアミドの形態は、塩酸塩の形態である。
更なる実施形態は、(E)-N,N-ジメチル-4-((2-((5-((Z)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エンアミド又はその薬学的に許容される塩と、CDK4/6阻害剤又はその薬学的に許容される塩とを含む医薬製剤を提供することができる。いくつかの実施形態では、(E)-N,N-ジメチル-4-((2-((5-((Z)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エンアミドは、遊離塩基の形態である。いくつかの実施形態では、(E)-N,N-ジメチル-4-((2-((5-((Z)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エンアミドは、塩酸塩の形態である。
更なる実施形態は、(E)-N,N-ジメチル-4-((2-((5-((Z)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エンアミド又はその薬学的に許容される塩とCDK4/6阻害剤との組合せの、乳癌の治療における使用を提供することができる。更なる実施形態は、(E)-N,N-ジメチル-4-((2-((5-((Z)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エンアミド又はその薬学的に許容される塩とCDK4/6阻害剤との組合せの、乳癌の治療のための薬品の調製における使用を提供することができる。
いくつかの実施形態では、(E)-4-((2-(4-((E)-1-(1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)フェノキシ)エチル)アミノ)-N,N-ジメチルブタ-2-エンアミド又はその薬学的に許容される塩と、CDK4/6阻害剤又はその薬学的に許容される塩とは、別々の製剤として投与される。典型的には、各製剤用量の投与間の時間は、12時間を超えない。いくつかの実施形態では、(E)-4-((2-(4-((E)-1-(1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)フェノキシ)エチル)アミノ-N,N-ジメチルブタ-2-エンアミド又はその薬学的に許容される塩と、CDK4/6阻害剤又はその薬学的に許容される塩とは、単一の製剤として投与される。いくつかの実施形態では、(E)-4-((2-(4-((E)-1-(1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)フェノキシ)エチル)アミノ-N,N-ジメチルブタ-2-エンアミド又はその薬学的に許容される塩と、CDK4/6阻害剤又はその薬学的に許容される塩とは、他の治療剤と共に順次投与される。いくつかの実施形態では、(E)-4-((2-(4-((E)-1-(1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)フェノキシ)エチル)アミノ-N,N-ジメチルブタ-2-エンアミド又はその薬学的に許容される塩と、CDK4/6阻害剤又はその薬学的に許容される塩とは、同時に投与される。
いくつかの実施形態では、投与される(E)-4-((2-(4-((E)-1-(1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)フェノキシ)エチル)アミノ-N,N-ジメチルブタ-2-エンアミドの形態は、遊離塩基の形態である。いくつかの実施形態では、投与される(E)-4-((2-(4-((E)-1-(1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)フェノキシ)エチル)アミノ)-N,N-ジメチルブタ-2-エンアミドの形態は、塩酸塩の形態である。
更なる実施形態は、(E)-4-((2-(4-((E)-1-(1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)フェノキシ)エチル)アミノ-N,N-ジメチルブタ-2-エンアミド又はその薬学的に許容される塩と、CDK4/6阻害剤又はその薬学的に許容される塩とを含む医薬製剤を提供することができる。いくつかの実施形態では、(E)-4-((2-(4-((E)-1-(1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)フェノキシ)エチル)アミノ)-N,N-ジメチルブタ-2-エンアミドは、遊離塩基の形態である。いくつかの実施形態では、(E)-4-((2-(4-((E)-1-(1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)フェノキシ)エチル)アミノ)-N,N-ジメチルブタ-2-エンアミドは、塩酸塩の形態である。
更なる実施形態は、乳癌の治療における、(E)-4-((2-(4-((E)-1-(1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)フェノキシ)エチル)アミノ)-N,N-ジメチルブタ-2-エンアミド又はその薬学的に許容される塩とCDK4/6阻害剤との組合せの使用を提供することができる。更なる実施形態は、乳癌の治療のための医薬の調製における、(E)-4-((2-(4-((E)-1-(1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)フェノキシ)エチル)アミノ)-N,N-ジメチルブタ-2-エンアミド又はその薬学的に許容される塩とCDK4/6阻害剤との組合せの使用を提供することができる。
いくつかの実施形態では、(E)-N,N-ジメチル-4-((2-(4-((E)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)フェノキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エンアミド又はその薬学的に許容される塩と、CDK4/6阻害剤又はその薬学的に許容される塩とは、別々の製剤として投与される。典型的には、各製剤用量の投与間の時間は、12時間を超えない。いくつかの実施形態では、(E)-N,N-ジメチル-4-((2-(4-((E)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)フェノキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エンアミド又はその薬学的に許容される塩と、CDK4/6阻害剤又はその薬学的に許容される塩とは、単一の製剤として投与される。いくつかの実施形態では、(E)-N,N-ジメチル-4-((2-(4-((E)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)フェノキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エンアミド又はその薬学的に許容される塩と、CDK4/6阻害剤又はその薬学的に許容される塩は、他の治療剤と共に順次投与される。いくつかの実施形態では、(E)-N,N-ジメチル-4-((2-(4-((E)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)フェノキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エンアミド又はその薬学的に許容される塩と、CDK4/6阻害剤又はその薬学的に許容される塩は、同時に投与される。
いくつかの実施形態では、投与される(E)-N,N-ジメチル-4-((2-(4-((E)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)フェノキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エンアミドの形態は、遊離塩基の形態である。いくつかの実施形態では、投与される(E)-N,N-ジメチル-4-((2-(4-((E)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)フェノキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エンアミドの形態は、塩酸塩の形態である。
更なる実施形態は、(E)-N,N-ジメチル-4-((2-(4-((E)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)フェノキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エンアミド又はその薬学的に許容される塩と、CDK4/6阻害剤又はその薬学的に許容される塩とを含む医薬製剤を提供することができる。いくつかの実施形態では、(E)-N,N-ジメチル-4-((2-(4-((E)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)フェノキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エンアミドは、遊離塩基の形態である。いくつかの実施形態では、(E)-N,N-ジメチル-4-((2-(4-((E)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)フェノキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エンアミドは、塩酸塩の形態である。
更なる実施形態は、(E)-N,N-ジメチル-4-((2-(4-((E)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)フェノキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エンアミド又はその薬学的に許容される塩とCDK4/6阻害剤との組合せの、乳癌の治療における使用を提供することができる。更なる実施形態は、(E)-N,N-ジメチル-4-((2-(4-((E)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)フェノキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エンアミド又はその薬学的に許容される塩とCDK4/6阻害剤との組合せの、乳癌の治療のための薬品の調製における使用を提供することができる。
異なる用量の化合物1とパルボシクリブとで144時間処置したMCF7.6細胞の生存力を示す。化合物1とパルボシクリブとは、インビトロでMCF7.6細胞の増殖を相乗的に阻害する。細胞生存力の阻害率を、CellTiter-Gloを用いて測定し、Chaliceソフトウェアを用いて、組合せの化合物1とパルボシクリブとのそれぞれの用量についてのLoewe相加性を超える過剰な阻害率を算出した。
異なる用量の化合物1とパルボシクリブとで144時間処置したMCF7.7細胞の生存力を示す。化合物1とパルボシクリブとは、インビトロでMCF7.7細胞の増殖を相乗的に阻害する。細胞生存力の阻害率を、CellTiter-Gloを用いて測定し、Chaliceソフトウェアを用いて、組合せの化合物1とパルボシクリブとのそれぞれの用量についてのLoewe相加性を超える過剰な阻害率を算出した。
異なる用量の化合物1とパルボシクリブとで144時間処置したST941細胞の生存力を示す。化合物1とパルボシクリブとは、インビトロでST941細胞の増殖を相乗的に阻害する。細胞生存力の阻害率を、CellTiter-Gloを用いて測定し、Chaliceソフトウェアを用いて、組合せの化合物1とパルボシクリブとのそれぞれの用量についてのLoewe相加性を超える過剰な阻害率を算出した。
異なる用量の化合物2とパルボシクリブとで144時間処置したMCF7.6細胞の生存力を示す。化合物2とパルボシクリブとは、インビトロでMCF7.6細胞の増殖を相乗的に阻害する。細胞生存力の阻害率を、CellTiter-Gloを用いて測定し、Chaliceソフトウェアを用いて、組合せの化合物2とパルボシクリブとのそれぞれの用量についてのLoewe相加性を超える過剰な阻害率を算出した。
異なる用量の化合物2とパルボシクリブとで144時間処置したMCF7.7細胞の生存力を示す。化合物2とパルボシクリブとは、インビトロでMCF7.7細胞の増殖を相乗的に阻害する。細胞生存力の阻害率を、CellTiter-Gloを用いて測定し、Chaliceソフトウェアを用いて、組合せの化合物2とパルボシクリブとのそれぞれの用量についてのLoewe相加性を超える過剰な阻害率を算出した。
異なる用量の化合物2とパルボシクリブとで144時間処置したST941細胞の生存力を示す。化合物2とパルボシクリブとは、インビトロでST941細胞の増殖を相乗的に阻害する。細胞生存力の阻害率を、CellTiter-Gloを用いて測定し、Chaliceソフトウェアを用いて、組合せの化合物2とパルボシクリブとのそれぞれの用量についてのLoewe相加性を超える過剰な阻害率を算出した。
異なる用量の化合物3とパルボシクリブとで144時間処置したMCF7.7細胞の生存力を示す。化合物3とパルボシクリブとは、インビトロでMCF7.7細胞の増殖を相乗的に阻害する。細胞生存力の阻害率を、CellTiter-Gloを用いて測定し、Chaliceソフトウェアを用いて、組合せの化合物3とパルボシクリブとのそれぞれの用量についてのLoewe相加性を超える過剰な阻害率を算出した。
ERαWT/Y537Sを内部に持つST941乳癌患者由来の皮下の腫瘍異種移植片を保持するメスヌードマウスにおける、経口化合物1とパルボシクリブとの、抗腫瘍効果(左)及び体重効果(右)を示す。化合物1 3mg/kgとパルボシクリブ25mg/kg又は75mg/kgとを、QDに経口付与した。データは、平均±SEM(腫瘍体積及び体重)を表す(N=8)。*第38日におけるP<0.0001対ビヒクル対照(2元配置ANOVA、続いてテューキーの検定)
ERαWT/Y537Sを担持するST941乳癌患者由来の皮下の腫瘍異種移植片を保持するメスヌードマウスにおける、経口化合物1とパルボシクリブとの、抗腫瘍効果(左)及び体重効果(右)を示す。化合物1 10mg/kgとパルボシクリブ25mg/kg又は75mg/kgとを、QDに経口付与した。データは、平均±SEM(腫瘍体積及び体重)を表す(N=8)。*第38日におけるP<0.0001対ビヒクル対照(2元配置ANOVA、続いてテューキーの検定)
実施形態の詳細な説明
本明細書で提供されるのは、乳癌を治療するのに有用でありうる1種又は複数のER-α阻害剤と1種又は複数のCDK4/6阻害剤との組合せ療法である。いくつかの実施形態では、乳癌は、ER-α+である。実施形態では、乳癌は、ER-α突然変異を発現しており、これは、L536Q(Robinsonら、Nat Genet.2013年12月;45(12))、L536R(Toyら、Nat Genet.2013年12月;45(12):1439~45)、Y537S(Toyら、Nat Genet.2013年12月;45(12):1439~45;Robinsonら、Nat Genet.2013年12月;45(12);Jeselsohnら、Clin Cancer Res.2014年4月1日;20(7):1757~67)、Y537N(Toyら、Nat Genet.2013年12月;45(12):1439~45;Jeselsohnら、Clin Cancer Res.2014年4月1日;20(7):1757~67)、Y537C(Toyら、Nat Genet.2013年12月;45(12):1439~45;Jeselsohnら、Clin Cancer Res.2014年4月1日;20(7):1757~67)、及びD538G(Toyら、Nat Genet.2013年12月;45(12):1439~45;Robinsonら、Nat Genet.2013年12月;45(12);Jeselsohnら、Clin Cancer Res.2014年4月1日;20(7):1757~67;Merenbakh-Laminら、Cancer Res.2013年12月1日;73(23):6856~64)であってよく、これらの全ては、それらの、ER-α突然変異の教示のために、それらの全体が参照により組み込まれる。
そのため、本明細書で開示される組合せもまた、更なる徴候及び遺伝子型の治療のために有用でありうる。ESR1突然変異体(Y537C/N)は、子宮内膜癌の373の事例のうち4つの事例で、最近発見された(Kandothら、Nature 2013年5月2日;497(7447):67~73;Robinsonら、Nat Genet.2013年12月;45(12))。ESR1突然変異体Y537C/Nが、現在、市場にあるSOC療法への耐性を有意に駆動することが示されてきたため、本明細書で開示されている化合物は、ERαMUT子宮内膜がんを治療するのに有用でありうる。
本明細書で報告されている実施形態は、転移性ER陽性乳癌における内分泌療法耐性を妨げ克服するための効果的なアプローチとして最近出現したサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4及び6を標的にする作用剤を使用する細胞周期阻害を含む(Mancuso and Massarweh,Endocrine therapy and strategies to overcome therapeutic resistance in breast cancer.Curr Probl Cancer.2016年;40:95~105)。療法耐性腫瘍において観察されるESR1突然変異体における富化とは対照的に、他の癌関連遺伝子における突然変異体は、こうした強固な富化を示さず、このことは、耐性を促進することにおけるERα突然変異体の重要性を強く示唆している(Jeselsohnら、(2014年)Clin Cancer Res.4月1日;20(7):1757~67)。
化合物1は、小分子ERα阻害剤であり、その構造は式Iで示され、且つ化学名(E)-N,N-ジメチル-4-((2-(4-((E)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エンアミドを有する。
化合物1及びその合成は、2016年12月1日に公開された米国特許出願公開第2016/0347717 A1号で報告されている。この文献は、参照により本明細書に組み込まれる。単独で、又は本明細書に記載のように組合せで使用されるとき、化合物1は、以下の1日用量のうちのいずれかで患者へ投与されうる:50mg~1000mg、50mg~500mg、50mg~300mg、50mg、100mg、200mg、300mg、500mg又は1000mg。個々の投与量は、50mg~1000mg、50mg~500mg、50mg~300mg、50mg、100mg、200mg、300mg、500mg又は1000mgであってもよい。1日用量は、周期的レジメンの一部であってもよい。いくつかの実施形態では、周期的レジメンは、14日又は21日続くものである。1日用量は、単回投与として投与されても複数回投与として投与されてもよい。
化合物2は、小分子ERα阻害剤であり、その構造は式IIで示され、且つ化学名(E)-4-((2-(4-((E)-1-(1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)フェノキシ)エチル)アミノ)-N,N-ジメチルブタ-2-エンアミドを有する。
化合物2及びその合成は、2016年12月1日に公開された米国特許出願公開第2016/0347717 A1号で報告されている。化合物2はまた、ERα+乳癌を含む乳癌のための治療剤として、単独で、又は本明細書に記載のように組合せで使用されてもよい。単独で、又は本明細書に記載のように組合せで使用されるとき、化合物2は、以下の1日用量のいずれかで患者に投与されうる:50mg~1000mg、50mg~500mg、50mg~300mg、50mg、100mg、200mg、300mg、500mg又は1000mg。個々の投与量は、50mg~1000mg、50mg~500g、50mg~300mg、50mg、100mg、200mg、300mg、500mg又は1000mgであってもよい。1日用量は、周期的レジメンの一部であってもよい。いくつかの実施形態では、周期的レジメンは、14日間又は21日間続く。1日用量は、単回投与として投与されても複数回投与として投与されてもよい。
化合物3は、小分子ERα阻害剤であり、その構造は式IIIで示され、且つ化学名(E)-N,N-ジメチル-4-((2-(4-((E)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)フェノキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エンアミドを有する。
化合物3及びその合成は、2016年12月1日に公開された米国特許出願公開第2016/0347717 A1号で報告されている。化合物3はまた、ERα+乳癌を含む乳癌のための治療剤として、単独で、又は本明細書に記載のように組合せで使用されてもよい。単独で、又は本明細書に記載のように組合せで使用されるとき、化合物3は、以下の1日用量のいずれかで患者に投与されうる:50mg~1000mg、50mg~500mg、50mg~300mg、50mg、100mg、200mg、300mg、500mg又は1000mg。個々の投与量は、50mg~1000mg、50mg~500g、50mg~300mg、50mg、100mg、200mg、300mg、500mg又は1000mgであってもよい。1日用量は、周期的レジメンの一部であってもよい。いくつかの実施形態では、周期的レジメンは、14日間又は21日間続く。1日用量は、単回投与として投与されても複数回投与として投与されてもよい。
パルボシクリブ(6-アセチル-8-シクロペンチル-5-メチル-2-{[5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル]アミノ}ピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン)は、シクリン依存性キナーゼ(CDK)4及び6の、FDA承認の阻害剤である。パルボシクリブは、以下の構造を有する:
米国特許第6,936,612号、第7,208,489号及び第7,456,168号を参照されたく、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。パルボシクリブは、PFSにおける有意な改善へと至らせる内分泌療法と組合せたとき、一次転移疾患状況と二次転移疾患状況との両方において活性を示し、これは、組合せ療法が、内分泌療法を受けている患者において耐性の開始を遅らせることができることを示唆している(Finnら、The cyclin-dependent kinase 4/6 inhibitor palbociclib in combination with letrozole versus letrozole alone as first-line treatment of oestrogen receptor-positive,HER2-negative,advanced breast cancer(PALOMA-1/TRIO 18):a rancomised phase 2 study.Lancet Oncol.(2015年)16(I):25~35)。最近、フェーズIII PALOMA-3治験はまた、アロマターゼ阻害剤治療において進行した患者における、フルベストラントとの組合せでのパルボシクリブの有意な活性も示し、これは、この組合せがまた、内分泌療法への耐性を克服するための実行可能な戦略としても役立ちうることを示唆している。
リボシクリブ(7-シクロペンチル-2-(5-ピペラジン-1-イル-ピリジン-2-イルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボン酸ジメチルアミド)は、シクリン依存性キナーゼ(CDK)4及び6の、FDA承認の阻害剤である。リボシクリブは、以下の構造を有する:
米国特許出願公開第20120115878号、国際出願PCTの国際公開第2007140222号、国際出願PCTの国際公開第2012061156号、国際出願PCTの国際公開第2011130232号、国際出願PCTの国際公開第2011101417号及び国際出願PCTの国際公開第2010020675号を参照されたく、これらの全ては、参照により本明細書に組み込まれる。
アベマシクリブは、CDK4/6の阻害剤であり、名称N-(5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)-5-フルオロ-4-(4-フルオロ-1-イソプロピル-2-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)ピリミジン-2-アミンを有する。アベマシクリブは、以下の構造を有する:
O’Learyら、「Treating Cancer with Selective CDK 4/6 Inhibitors」Nat.Rev.(2016年3月31日にオンライン公開);国際出願PCTの国際公開第2016110224号、米国特許出願公開第20100160340;及び国際出願PCTの国際公開第2016025650号を参照されたく、これらの全ては、参照により本明細書に組み込まれる。
G1T-38(GZ-38-1又はG1T38-1とも称される)は、CDK4/6の、報告されている阻害剤である。Research Triangle Park,North CarolinaのGI Therapeutics,Inc.により研究されているG1T-38は、4月16~20日にルイジアナ州ニューオーリンズで開かれた2016 AACR Annual Meetingの、J.Sorrentino、J.Bisi、P.Roberts及びJ.Strumによる「G1T38,A Novel,Oral,Potent and Selective CDK 4/6 Inhibitor for the Treatment of RB Competent Tumors」と題されたAbstract#2824で報告されており、この文献は、参照により本明細書に組み込まれる。G1T38は、化学名2’-((5-(4-イソプロピルピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7’,8’ジヒドロ-6’H-スピロ[シクロヘキサネル,9’ピラジノ[1’,2’:1,5]ピロロ[2,3-d]ピリミジン]-6’-オン二塩酸塩を有し、その構造を以下に明らかにする:
Bisiら、「Preclinical development of G1T38:A novel,potento and selective inhibitor of cyclin dependent kinase 4/6 for use as an oralantineoplastic in patients with CDK4/6 sensitive tumors」,Oncotarget,Advance Publications 2017(2017年3月15日)、米国特許出願公開第20140275066 A1号、米国特許第9,487,530 B2号、及び国際出願PCTの国際公開第2014144326号を参照されたく、これらの全ては、参照により本明細書に組み込まれる。
G1T-28(トリラシクリブとも称される)は、CDK4/6の阻害剤であり、名称2’-((5-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7’,8’-ジヒドロ-6’H-スピロ[シクロヘキサン-1,9’-ピラジノ[1’,2’:1,5]ピロロ[2,3-d]ピリミジン]-6’-オンを有する。G1T-28は、以下の構造を有する:
例えば、Bisiら、「Preclinical Characterization of G1T28:A Novel CDK 4/6 Inhibitor for Reduction of Chemotherapy-induced Myelosuppression」Mol.Cancer Ther.;15(5) 783~93,2016年5月、米国特許出願公開第20160220569号、国際出願PCTの国際公開第2014144326号、国際公開第2014144847号及び国際公開第2016040848号を参照されたく、これらの全ては、参照により本明細書に組み込まれる。
AT-7519は、CDK4/6の阻害剤であり、名称N-(4-ピペリジニル)-4-(2,6-ジクロロベンゾイルアミノ)-1H-ピラゾール-3-カルボキサミドを有する。AT-7519は、以下の構造を有する:
例えば、国際出願PCTの国際公開第2005012256号、国際公開第2006077424号、国際公開第2006077426号、国際公開第2008001101号、国際公開第2006077425号、国際公開第2006077428号、国際公開第2008007113号、国際公開第008007122号及び国際公開第2008009954号を参照されたく、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。
FLX-925(AMG-925としても知られる)は、CDK4/6の阻害剤であり、名称2-ヒドロキシ-1-[2-[[9-(trans-4-メチルシクロヘキシル)-9H-ピリド[4’,3’:4,5]ピロロ[2,3-d]ピリミジン-2-イル]アミノ]-7,8-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-6(5H)-イル]エタノンを有する。FLX-925は、以下の構造を有する:
例えば、米国特許出願公開第2014163052号、及び国際出願PCTの国際公開第2012129344号を参照されたく、それらの両方は、参照により本明細書に組み込まれる。
アルボシジブは、CDK4/6の阻害剤であり、名称2-(2-クロロフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-8-((3S,4R)-3-ヒドロキシ-1-メチルピペリジン-4-イル)-4H-クロメン-4-オンを有する。アルボシジブは、以下の構造を有する:
例えば、米国特許出願公開第2011189175号、国際出願PCTの国際公開第2000044362号、国際公開第200104147号、国際公開第2001053293号、国際公開第2001053294号、国際公開第2002022133号、国際公開第2007010946号を参照されたく、これらの全ては、参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、組合せ療法は、化合物1の、CDK4/6阻害剤との組合せにおける投与を含む。一定の実施形態では、CDK4/6阻害剤はパルボシクリブである。他の実施形態では、CDK4/6阻害剤はリボシクリブである。なおも他の実施形態では、CDK4/6阻害剤はアベマシクリブである。なおも他の実施形態では、CDK4/6阻害剤はG1T-38である。更なる実施形態では、CDK4/6阻害剤はトリラシクリブである。なおも他の実施形態では、CDK4/6阻害剤はAT-7519である。更なる実施形態では、CDK4/6阻害剤はFLX-925である。更なる実施形態では、CDK4/6阻害剤はアルボシジブである。
本明細書で提供されるのは、乳癌を治療するための、治療剤の組合せ、及び作用剤の組合せを投与するための方法である。本明細書で使用されるとき、「治療剤の組合せ」及び類似の用語は、(1)化合物1及び/又はその薬学的に許容される塩と(2)CDK4/6阻害剤及び/又はその薬学的に許容される塩との2つのタイプの治療剤の組合せを指す。本明細書で使用される「組合せ」(用語「治療剤の組合せ」中に含まれる)は、これらのタイプの治療剤が個々に製剤化されて共投与される、又は個々に製剤化されて順次投与される、単一の剤形中に共製剤化されることを指す。
化合物1は、小分子ERα阻害剤であり、その構造は式Iで示され、化学名(E)-N,N-ジメチル-4-((2-(5-((Z)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エンアミドを有する。
化合物1及びその合成は、2016年12月1日に公開された米国特許出願公開第2016/0347717 A1号で報告されている。この文献は、参照により本明細書に組み込まれる。化合物1はまた、ERα+乳癌を含む乳癌のための治療剤として、単独で、又は本明細書に記載のように組合せで使用されてもよい。単独で、又は本明細書に記載のように組合せで使用されるとき、化合物1は、以下の1日用量のうちのいずれかで患者へ投与されうる:50mg~1000mg、50mg~500mg、50mg~300mg、50mg、100mg、200mg、300mg、500mg又は1000mg。個々の投与量は、50mg~1000mg、50mg~500mg、50mg~300mg、50mg、100mg、200mg、300mg、500mg又は1000mgであってもよい。1日用量は、周期的レジメンの一部であってもよい。いくつかの実施形態では、周期的レジメンは、14日又は21日続くものである。1日用量は、単回投与として投与されても複数回投与として投与されてもよい。
化合物2は、小分子ERα阻害剤であり、その構造は式IIで示され、化学名(E)-4-((2-(4-((E)-1-(1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)フェノキシ)エチル)アミノ)-N,N-ジメチルブタ-2-エンアミドを有する。
化合物2及びその合成は、2016年12月1日に公開された米国特許出願公開第2016/0347717 A1号で報告されている。化合物2はまた、ERα+乳癌を含む乳癌のための治療剤として、単独で、又は本明細書に記載のように組合せで使用されてもよい。単独で、又は本明細書に記載のように組合せで使用されるとき、化合物2は、以下の1日用量のいずれかで患者に投与されうる:50mg~1000mg、50mg~500mg、50mg~300mg、50mg、100mg、200mg、300mg、500mg又は1000mg。個々の投与量は、50mg~1000mg、50mg~500g、50mg~300mg、50mg、100mg、200mg、300mg、500mg又は1000mgであってもよい。1日用量は、周期的レジメンの一部であってもよい。いくつかの実施形態では、周期的レジメンは、14日又は21日続くものである。1日用量は、単回投与として投与されても複数回投与として投与されてもよい。
化合物3は、小分子ERα阻害剤であり、その構造は式IIIで示され、化学名(E)-N,N-ジメチル-4-((2-(4-((E)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)フェノキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エンアミドを有する。
化合物3及びその合成は、2016年12月1日に公開された米国特許出願公開第2016/0347717 A1号で報告されている。この文献は、参照により本明細書に組み込まれる。化合物3はまた、ERα+乳癌を含む乳癌のための治療剤として、単独で、又は本明細書に記載のように組合せで使用されてもよい。単独で、又は本明細書に記載のように組合せで使用されるとき、化合物3は、以下の1日用量のいずれかで患者に投与されうる:50mg~1000mg、50mg~500mg、50mg~300mg、50mg、100mg、200mg、300mg、500mg又は1000mg。個々の投与量は、50mg~1000mg、50mg~500g、50mg~300mg、50mg、100mg、200mg、300mg、500mg又は1000mgであってもよい。1日用量は、周期的レジメンの一部であってもよい。いくつかの実施形態では、周期的レジメンは、14日又は21日続くものである。1日用量は、単回投与として投与されても複数回投与として投与されてもよい。
本明細書での使用に好適なCDK4/6阻害剤には、例えばリボシクリブ、パルボシクリブ及びアベマシクリブ、G1T-38、トリラシクリブ、AT-7519、FLX-925及びアルボシジブ、並びにそれらの薬学的に許容される塩及び水和物が挙げられる。
治療剤の組合せを投与することは、個々の治療剤を単一の製剤若しくは単位剤形における組合せにおいて投与すること、組合せの個々の治療剤を同時にしかし別々に投与すること、又は組合せする個々の作用剤を順次にしかし任意の好適な経路により投与することを含む。組合せする個々の治療剤の投与量は、組合せする他の作用剤と比べて、作用剤のうちの1種をより頻繁に投与することを必要とすることがある。したがって、適当な投与量を認めるために、包装済み医薬製品は、組合せする作用剤を含有している1種又は複数の剤形を含有してもよく、且つ組合せする作用剤のうちの1種を含有するが組合せするうちの他の作用剤を含有しない1種又は複数の剤形を含有していてもよい。
本明細書で報告される組合せは、化合物1及びCDK4/6阻害剤のうちの1種又は複数が薬学的に許容される塩として又は遊離塩基として投与される実施形態を含むことができる。両方の化合物が同一の薬学的に許容される塩として投与されることは必要ではないが、両方の化合物がそうであってもよい。特定の実施形態では、組合せは、化合物1の遊離塩基形態と、CDK4/6阻害剤の遊離塩基形態とを含む。他の実施形態では、組合せは、化合物1のHCl形態と、CDK4/6阻害剤のHCl形態とを含む。いくつかの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、遊離塩基であってもよい。いくつかの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、薬学的に許容される塩であってもよい。いくつかの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、水和物であってもよい。
本明細書で使用される「薬学的に許容される塩」は、本開示における化合物の、酸付加塩又は塩基付加塩を指す。薬学的に許容される塩は、親化合物の活性を保持し、それが投与される対象に、且つそれが投与される関連において、過度に有害な効果又は望ましくない効果を一切授けない任意の塩である。薬学的に許容される塩には、金属錯体、及び無機酸とカルボン酸との両方の塩が挙げられるがこれらに限定されない。薬学的に許容される塩にはまた、金属塩、例えばアルミニウム塩、カルシウム塩、鉄塩、マグネシウム塩、マンガン塩及び錯塩が挙げられる。加えて、薬学的に許容される塩には、酸塩、例えば酢酸塩、アスパルギン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、アキセチル塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ブタン酸塩、カルシウムエデト酸塩、カンシル酸塩、炭素塩、クロロ安息香酸塩、クエン酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストリン酸塩、エシル塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、グリコールイルアルサニリン酸塩、ヘキサミン塩、ヘキシルレゾルシノール酸塩、ヒドラバミン酸塩、ヒドロ臭素酸塩、塩化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、ヒドロキシナフトイン酸塩、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル窒素酸塩、メチル硫黄塩、ムチン酸塩、ムコン酸塩、ナプシル酸塩、窒素酸塩、シュウ酸塩、p-ニトロメタンスルホン酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩、一水素リン酸塩、二水素リン酸塩、フタル酸塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、スルファミン酸塩、スルファニル酸塩、スルホン酸塩、硫酸塩、タンニン塩、酒石酸塩、テオクリン酸塩、トルエンスルホン酸塩などが挙げられるがこれらに限定されない。
実施形態は、塩酸塩であってもよい。薬学的に許容される塩は、システインを含むがこれに限定されないアミノ酸から誘導されうる。化合物を塩として生成するための方法は、当業者に既知である(例えばStahlら、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,Wiley-VCH;Verlag Helvetica Chimica Acta,Zurich,2002年;Bergeら、J.Pharm.Sci.66:1,1977年を参照されたい)。
組合せ治療剤(例えば化合物1とCDK4/6阻害剤)の「有効量」は、対象又は患者において未治療で残されている乳癌に比べて観察可能な治療便益を提供するのに十分な量である。
本明細書で報告されている活性剤は、薬学的に許容される担体と組合せされてその医薬製剤が提供されうる。担体及び製剤の特定の選択は、組成物が意図される特定の投与経路に依存することになる。
本明細書で使用される「薬学的に許容される担体」は、共製剤化された化合物の薬理的活性を破壊しない非毒性の担体、補助剤又はビヒクルを指す。本発明の組成物中に使用されうる薬学的に許容される担体、補助剤又はビヒクルには、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム;飽和の植物脂肪酸、水、塩又は電解物の部分的グリセリド混合物、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、トリケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレングリコール及びウール脂肪が挙げられるがこれらに限定されない。
本発明の組成物は、非経口の、経口の、吸入噴霧剤の、局所的な、直腸の、経鼻の、バッカルの、膣の又は埋め込みリザーバ投与などに好適でありうる。いくつかの実施形態では、製剤は、天然の又は非天然の源からの成分を含む。いくつかの実施形態では、製剤又は担体は、無菌形態で提供されうる。無菌の担体の非限定的な例には、内毒素フリー水又は発熱物質フリー水が挙げられる。
本明細書で使用される用語「非経口」は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、関節滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、肝臓内、損傷内及び頭蓋内の注射又は点滴技術が挙げられる。特定の実施形態では、化合物は、静脈内、経口、皮下、又は筋肉内投与を介して投与される。本発明の組成物の無菌の注射剤の形態は、水性又は油性懸濁液でありうる。これらの懸濁液は、好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用して、当技術分野で既知の技術に従って製剤化されうる。無菌の注射剤の製品はまた、非毒性の非経口的に受容可能な希釈液又は溶媒中の、無菌の注射剤の溶液又は懸濁液でもありうる。利用されうる受容可能なビヒクル及び溶媒の中では、水、リンゲル溶液及び等張性の塩化ナトリウム溶液がある。加えて、無菌の不揮発性油が、溶媒又は懸濁媒体として、従来、利用されている。
この目的のために、合成のモノグリセリド又はジグリセリドを含む、任意の無刺激の不揮発性油が利用されうる。脂肪酸及びそれらのグリセリド誘導体が、天然の薬学的に許容される油であるような、注射剤、例えばオリーブ油又はヒマシ油、特にそれらのポリオキシエチル化バージョンにあるものの調製において有用である。これらの油溶液又は懸濁液はまた、長鎖アルコールの希釈剤又は分散剤、例えばカルボキシメチルセルロース、又はエマルション及び懸濁液を含む薬学的に許容される剤形の製剤中で通常使用される類似の分散剤も含有しうる。他の通常使用される界面活性剤、例えば、Tweens、Spans、及び薬学的に許容される固体の、液体の、又は他の剤形の製造において通常使用される他の乳化剤もまた、製剤化の目的のために使用されうる。
経口投与については、化合物又は塩は、カプセル、錠剤、水性懸濁液又は溶液を含むがこれらに限定されない受容可能な経口の剤形で提供されうる。経口使用のための錠剤の事例では、通常使用される担体には、ラクトース及びトウモロコシデンプンが挙げられる。滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムもまた添加されてもよい。カプセル形態での経口投与について、有用な希釈剤には、ラクトース及び乾燥トウモロコシデンプンが挙げられる。水性懸濁液が経口使用のために必要であるとき、活性成分が、乳化剤及び懸濁剤と共に組合せされうる。所望であれば、一定の甘味剤、芳香剤又は着色剤もまた添加されてもよい。加えて、保存剤もまた添加されてもよい。薬学的に許容される保存剤の好適な例には、種々の、溶媒等の抗菌剤及び抗真菌剤、例えばエタノール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、第四級アンモニウム塩及びパラベン(例えばメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベンなど)が挙げられるがこれらに限定されない。
「即放性」は、投与後に薬剤の放出が即時に開始する従来の放出を含むことが意味される。本明細書で使用されるとき、用語「即放性」は、薬剤の溶解又は吸収を遅らせる又は延長させる意図なしに、薬剤が、胃腸の内容物中で溶解することを可能にする剤形を含む。この目的は、薬剤について、投与後に急速に放出されること、例えば薬剤について、溶出試験において溶解の開始後およそ30分内に薬剤の少なくとも80%を放出することが可能なことである。
「徐放性」又は「持続放出性」は、その、時間経過及び/又は位置の薬剤放出特性が、溶液等の従来の剤形又は即放性剤形では付与されない治療目的又は好都合な目的を実現させるように選ばれる剤形を含む。
用語「定常状態」は、所与の活性剤、又は活性剤の組合せのための血漿レベルが実現されており、且つそれが、その後に続く活性剤の用量で、最小有効治療レベルにあるレベルに、又は最小有効治療レベルを超えるレベルに、及び所与の活性剤についての最小毒性血漿レベルを下回るレベルに維持されることを意味する。
本明細書で使用される用語「単一の製剤」は、有効量の両方の治療剤を患者に送達するために製剤化された単一の担体又はビヒクルを指す。単一のビヒクルは、有効量の作用剤のそれぞれを、任意の薬学的に許容される担体又は賦形剤と一緒に送達するように設計されている。いくつかの実施形態では、ビヒクルは、錠剤、カプセル、ピル又はパッチである。
用語「単位用量」は、本明細書では、治療される患者に、両方の作用剤を一緒に、1つの剤形で同時に投与することを意味するように使用される。いくつかの実施形態では、単位用量は、単一の製剤である。一定の実施形態では、単位用量は、各ビヒクルが、有効量の少なくとも1種の作用剤(化合物1又はCDK4/6阻害剤)を、薬学的に許容される担体及び賦形剤と一緒に含むように、1種又は複数のビヒクルを含む。いくつかの実施形態では、単位用量は、同時に患者に投与される1種又は複数の錠剤、カプセル、ピル又はパッチである。作用剤が「同時に」投与されるとき、作用剤は、単一の単位用量として、又は近接した時間内に投与される別々の用量として、のいずれかで投与されてもよく、非限定的な例では、両方の作用剤は、互いに5分内で別々に投与されうる。
本明細書で使用される用語「用量範囲」は、特定される作用剤の量の受容可能なバリエーションの上限及び下限を指す。典型的には、特定の範囲内の任意の量にある作用剤の用量が、治療を受けている患者に投与されうる。
用語「治療する」は、本明細書では、対象における疾患の少なくとも1つの徴候を、和らげる、低減させる又は緩和させることを意味するように使用される。例えば、乳癌に関して、用語「治療する」は、開始(即ち、疾患、又は疾患の徴候の、臨床診断より前の期間)を停止させること、遅らせること、及び/又は疾患の徴候が進行する又は悪化するリスクを低減することを意味しうる。用語「保護する」は、本明細書では、対象において、疾患の症状の進行又は持続又は悪化を、適切は場合にはすべて、防止する、遅延させる又は治療することを意味するように使用される。
用語「対象」又は「患者」は、乳癌に罹る又は苦しむ可能性がある動物を含むことが意図される。対象又は患者の例には、哺乳動物、例えばヒト、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、マウス、ウサギ、ラット、及びトランスジェニック非ヒト動物が挙げられる。一定の実施形態では、対象はヒトであり、例えば、乳癌に罹っている、乳癌に罹るリスクにある、又は潜在的に乳癌に罹る可能性のあるヒトである。
用語「約」又は「およそ」は、通常、所与の値又は範囲の20%内、より好ましくは10%内、なおも最も好ましくは5%内を意味する。代替的には、特に生物系において、用語「約」は、およそlog(即ち桁)内、好ましくは所与の値の2倍内を意味する。
本発明を記載するのに関連する用語「a」及び「an」及び「the」並びに類似の言及の使用(特に以下の「請求項の範囲」との関連で)は、本明細書で別段の指定がない限り、又は文脈により明らかに逆のことを言っていない限り、単数と複数との両方をカバーすると解釈されることになる。用語「含む」、「有する」、「挙げられる」及び「含有する」は、別段の記載がない限り、オープンエンドの用語(即ち「挙げられるがこれらに限定されない」を意味する)として解釈されることになる。本明細書における値の範囲の引用は、本明細書において別段の指定がない限り、範囲内に落とし込まれているそれぞれの別々の値へと個々に参照させる省略表現方法として役立つことが単に意図されており、且つそれぞれの別々の値は、あたかも値が本明細書に個々に引用されているかのように、本明細書中に組み込まれる。
本明細書で開示される1種又は複数の化合物を使用して治療されうる、例となる細胞増殖性障害には、乳癌、乳房の前癌又は前癌状態、乳房の良性の増殖又は病変、及び乳房の悪性の増殖又は病変、及び乳房以外の体内の組織及び器官における転移性の病変が挙げられるがこれらに限定されない。乳房の細胞増殖性障害には、乳房の過形成、化生及び異形成が挙げられる。
治療されるべき乳癌は、男性又は女性の対象において起こりうる。治療されるべき乳癌は、閉経前の女性の対象又は閉経後の女性の対象において起こりうる。治療されるべき乳癌は、30歳以上の対象、又は30歳より若い対象において起こりうる。治療されるべき乳癌は、50歳以上の対象、又は50歳より若い対象において起こりうる。治療されるべき乳癌は、70歳以上の対象、又は70歳より若い対象において起こりうる。
本明細書で開示される化合物又はその薬学的に許容される塩は、乳房の細胞増殖性障害を治療する又は予防するために、又はあまねく人口に対して乳癌が発症するリスクが高い対象における乳癌を治療する又は予防するために、使用することができ、又はこうした目的のために好適な候補者を確定するために使用することができる。あまねく人口に対して乳癌が発症するリスクが高い対象は、乳癌の家族の病歴又は個人の病歴を有する女性の対象である。あまねく人口に対して乳癌が発症するリスクが高い対象は、30歳超、40歳超、50歳超、60歳超、70歳超、80歳超又は90歳超の女性である。
本明細書で使用される用語「増強された効果」は、一緒に投与される2種の作用剤の作用が、個々の作用剤が他方の作用剤の共投与なしで単独で投与されたときよりも大きい又は改善された結果をもたらすことを指す。作用剤の一緒の投与は、それらが同時に又は順次に投与されたときに、増強された効果をもたらすことができる。作用剤の順次投与には、数秒、数分、数時間又は数日に分けた投与が挙げられる。作用剤の一緒の投与は、作用剤が、単一の製剤の一部として投与されたとき、又は別々の製剤で投与されたとき、のいずれかで投与されたときに、増強された効果をもたらすことができる。一緒に投与されうる作用剤の例には、化合物1とCDK4/6阻害剤とが挙げられる。一緒に投与されうる作用剤の更なる例には、i)化合物1とリボシクリブ、ii)化合物1とパルボシクリブ、及びiii)化合物1とアベマシクリブが挙げられる。
増強された効果のより大きい又は改善された結果には、例えばi)腫瘍応答の改善された質、ii)腫瘍応答の改善された速度、及びiii)別の方法で個々の作用剤が単独で投与されたとして実現されたであろう応答の付加よりも大きい腫瘍応答、のうちの1つ又は複数が挙げられる。腫瘍応答の改善された質の例には、部分的退縮(PR)、不変の疾患(SD)又は進行性疾患(PD)に代わる完全な退縮(CR)が挙げられる。腫瘍応答の改善された質の別の例には、不変の疾患(SD)又は進行性疾患(PD)に代わる部分的退縮(PR)が挙げられる。腫瘍応答の改善された質の別の例には、進行性疾患(PD)に代わる不変の疾患(SD)が挙げられる。例えばマウス、ラット、イヌ、サル、又は他の動物において、作用剤の一緒の投与が、個々の作用剤がそれぞれ単独で投与されたときに実現された対応する応答の付加よりも大きい、腫瘍応答の増強された効果に帰着するかどうかを決定するための対照研究が行われてもよい。こうした対照研究は、例えば生じた腫瘍体積又は転移又は他の状態を評価することができる。同様に、対照研究は、より速い腫瘍応答に帰着する増強された効果を決定するのにも使用することができる。
治療の方法
本明細書で提供されるのは、乳癌の治療のために有用な組合せ療法である。以下で検討されるように、本明細書で提供される組合せは、多くの利点を有しうる。
本明細書で開示される組合せの1つの利点は、腫瘍増殖の阻害の処置及び乳癌の治療における、化合物1とCDK4/6阻害剤との組合せの予期せぬ増強された効果である。
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、化合物1とCDK4/6阻害剤との組合せを含有する単一の医薬製剤である。本明細書で提供される1つの利点は、いずれかの薬剤の単一の用量での治療と比べて、乳癌の治療においてもたらされる増強された効果である。薬剤が、単一の単位用量又は単一の製剤で提供されたとき、乳癌に罹っている患者における「ピルの負担」は増大しない。
上に特定したように、1つの態様では、本明細書で提供されるのは、発症の開始を、治療する、予防する、停止させる、遅らせるのに、及び/又は発症のリスクを低減させるのに、又は哺乳動物における乳癌を後退させるのに有用な薬剤の組合せであり、これは、前記哺乳動物に、有効量の化合物1と有効量のCDK4/6阻害剤とを含む組合せ療法剤を投与することを含む。
いくつかの実施形態では、治療される対象(例えば患者)は、1種又は複数の乳癌治療剤に、例えば化合物1に、非応答性又は耐性であると決定される。他の実施形態では、治療される個体は、化合物1治療剤に応答性であるが、この治療剤は、CDK4/6阻害剤の投与により改善される。例えば、患者が、化合物1を投与される(例えば、いくらかの期間、例えば1日超、2日超、3日超、1週超、21日間、1か月超などで、例えば1日当たり50mg~600mg、1日当たり200mg~400mg、又は1日当たり300mg)。その時間の後、CDK4/6阻害剤が、化合物1との組合せにおいてその患者に投与されうる。
CDK4/6阻害剤の量は、使用されるCDK4/6阻害剤に応じて多様であってよい。例えば、パルボシクリブは、例えば75、100又は125mg/日の投与量で投与されてもよく、リボシクリブは、200、400又は600mg/日の投与量で投与されてもよい。典型的には、ある投与量が、単一のカプセルとして連続21日間経口投与された後、7日間の治療オフ期間が続く。
1日用量は、14~21日間又はそれ以上続く周期的レジメンの一部であってもよい。1日用量の量は、単回投与で投与されても複数回投与で投与されてもよい。
当業者であれば、活性薬剤の有効用量が、投与される実際の量よりも低いことがあることを認めている。そのように、本明細書で提供されるのは、治療用量を実現させるのに必要な用量である。
様々な実施形態では、本明細書で提供されるのは、乳癌を有する個体に、有効量の化合物1とCDK4/6阻害剤とを投与することによって乳癌を治療する方法である。作用剤の組合せの量は、乳癌を治療するのに有効なものである。一実施形態では、作用剤の組合せは、増強された効果を有する。一実施形態では、特定の投与量で単独に投与される作用剤のうちの1種又は複数が有効でありうるとしても、各作用剤を同一用量にて組合せして投与されたときに、治療はより有効である。例えば、一実施形態では、化合物1とパルボシクリブとの組合せは、いずれかの作用剤の単独での投与よりも有効である。別の実施形態では、化合物1とリボシクリブとの組合せは、いずれかの作用剤の単独での投与よりも有効である。
投与量
乳癌の治療のための作用剤の組合せの最適な用量は、既知の方法を用いて、各個体のために経験的に決定することができ、且つ、作用剤の活性度;個体の年齢、体重、一般健康状態、性及び食事;投与の時間及び経路;並びに個体が取る他の薬物治療を含む様々な要素に依存することになる。最適な投与量は、当技術分野で周知の通例の試験及び手順を用いて確立することができる。
本発明の組合せ療法について、化合物1の1日用量は50mg~1000mgの範囲である。いくつかの実施形態では、化合物1の1日用量は1000mg以下である。一定の実施形態では、化合物1の1日用量は500mg以下である。様々な実施形態では、化合物1の1日用量は300mg以下である。一定の実施形態では、化合物1の1日用量は50mgである。一実施形態では、1日用量は300mgである。
本発明の組合せ療法について、化合物2の1日用量は50mg~1000mgの範囲内である。いくつかの実施形態では、化合物2の1日用量は1000mg以下である。一定の実施形態では、化合物2の1日用量は500mg以下である。様々な実施形態では、化合物2の1日用量は300mg以下である。一定の実施形態では、化合物2の1日用量は50mgである。一実施形態では、1日用量は300mgである。
本発明の組合せ療法について、化合物3の1日用量は50mg~1000mgの範囲内である。いくつかの実施形態では、化合物3の1日用量は1000mg以下である。一定の実施形態では、化合物3の1日用量は500mg以下である。様々な実施形態では、化合物3の1日用量は300mg以下である。一定の実施形態では、化合物3の1日用量は50mgである。一実施形態では、1日用量は300mgである。
投与の時間は、両方の薬剤が、午前中又は夜のいずれかに、同時に、別々に又は順次に投与されるように、選ぶことができる。別法では、一方の薬剤が午前中に、他方が夜に投与されうる。一定の実施形態では、両方の薬剤が、1日1回、午前中又は夜のいずれかに、単一の錠剤、カプセル、ピル、パッチ又はゼリーの製剤として投与されうる。
担体材料と組み合わされて単一の剤形を生成しうる作用剤の組合せの量は、治療される個体、及び投与の特定の方法に応じて多様であることになる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の作用剤の組合せを含有する単位剤形は、作用剤が単独で投与されるときに典型的に施される組合せのうちの各作用剤の量を含有することになる。
医薬製剤及び投与経路
本明細書で提供されるのは、乳癌の治療のための作用剤の組合せを含む医薬製剤である。医薬製剤は、担体又は賦形剤、安定剤、芳香剤及び/又は着色剤を更に含んでもよい。
作用剤の組合せは、当技術分野で既知の様々な投与経路を用いて投与することができる。投与経路には、経口投与が挙げられる。一定の実施形態では、作用剤の組合せを含む医薬製剤は、液体、シロップ、錠剤、カプセル、粉末、スピンクル、チュウタブ又は溶解性ディスクの形態で経口的に摂取されうる。別法では、本発明の医薬製剤は、静脈内又は経皮的に投与されうる。更なる投与経路が、当業者には既知である(例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences,Gennaro A.R.,Ed.,20th Edition,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.を参照されたい)。
いくつかの実施形態では、化合物1とCDK4/6阻害剤とは、ペースト、ゼリー又は懸濁液として製剤化される。例えば、薬剤は、ゼラチン状溶液又は半固形状にある、薬剤粒子、マイクロカプセル化粒子又は薬剤ポリマー粒子の形態に、溶解され、封入され又は懸濁される。経口ゼリー製剤の利点は、この製剤が、錠剤、カプセル又はピルを飲み込むことが難しい患者に薬剤を投与することがより容易であることである。一定の実施形態では、両方の作用剤が完全に混合されて、適当な媒体中で懸濁されてペースト又はゲルを形成する。更なる作用剤が任意選択で混合されて、経口投与の間に風味を提供することができる。ラズベリー及び甘味料で風味付けされたピーナッツバター又はアルギネートは、多くの好適な味覚マスキング剤の例である。様々な実施形態では、ペースト又はゼリーはまた、局所投与のために、当技術分野で既知の好適な結合剤又は賦形剤と共に製剤化することができる。
錠剤、カプセル又はピルの形態にある持続放出性製剤を調製する方法は、当技術分野で既知である。いくつかの実施形態では、持続放出性製剤は、薬剤の有効成分を、ポリマーで、好ましくは水不溶性ポリマーでコーティングして調製される。例えば、水不溶性ポリマーが、医薬分野において、持続放出性コーティング剤、腸コーティング剤又は胃コーティング剤として使用される。水不溶性ポリマーには、例えばエチルセルロース、精製済みシェラック、白色シェラック、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸エステル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル、カルボキシメチルエチル-セルロース、セルロース酢酸エステルフタル酸エステル、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーLD、メタクリル酸コポリマーS、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE又はポリビニルアセタールジエチルアミノ酢酸エステルを挙げることができる。
水不溶性ポリマーの、置換の種類、程度、及び分子量は、有効成分の水中又はアルコール中溶解性、所望の持続放出レベルなどに依存することができる。水不溶性ポリマーは、単独で使用することも組合せで使用することもできる。コーティング助剤として水添油、ステアリン酸又はセタノール、及び可塑剤として中鎖トリグリセリド、トリアセチン、クエン酸トリエチル又はセタノールを更に組み込むことができる。
いくつかの実施形態では、持続放出性製剤は、マトリックス型の錠剤又は顆粒である。有効成分を、異なる3種以下のポリマーでコーティングすることができる。これらの異なる3種のポリマーには、1)水不溶性ポリマー、例えばエチルセルロース、2)pH独立性ゲル化ポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び3)pH依存性ゲル化ポリマー、例えばアルギン酸ナトリウムを挙げることができる。これらの異なる3種のポリマーは、薬剤の放出速度を減ずるために一緒に使用することができる。
剤形:放出の性質
持続放出性製剤は、ある程度の持続的効果を実現させることができる。しかしながら、有効成分の曝露及び/又は生物学的利用能は、様々な要素、例えば、吸収ウィンドウ、製剤中に使用される担体又は賦形剤、製剤の送達方法、及び/又は患者の胃腸管を通る有効成分の通過時間に基づいて多様でありうる。
組合せ療法は、持続放出機能を実施するための少なくとも1種の持続放出性部分、及び即放機能を実施するための1種の即放性部分を含有することができる。一定の実施形態では、組合せ療法剤が単一の剤形にあるとき、それは、持続放出性部分を構成している持続放出性顆粒と、即放性部分を構成している即放性顆粒との混合物、カプセルを持続放出性顆粒と即放性顆粒とで充填して得たカプセル製品、又は即放性部分から構成されている外層が、持続放出性部分を構成している内部コア上に形成されているプレスコーティング錠剤から形成される、錠剤の形態にあることができる。しかしながら、上記の実施形態への制限はない。
その上、組成物中、若しくは即放性部分中、若しくは持続放出性部分中、各薬剤を封じ込める状態に特に制限はなく、化合物1は、組成物中、即放性部分中、若しくは持続放出性部分中に均一に分散されてもよく、又は組成物、即放性部分若しくは持続放出性部分のうちの1つの部分のみに含有されてもよく、又は濃度勾配が存在するように含有されてもよい。
本発明による組成物中の持続放出性部分は、薬剤放出を制御するための、少なくとも1種のpH非依存性ポリマー物質又はpH依存性ポリマー物質を含有することができる。
本明細書において使用されるpH非依存性ポリマー物質は、その電荷状態が、胃腸管中に一般に見出されるpH条件下で、具体的にはpH1~pH8でほとんど変化しないポリマー物質を含むことができる。このことは、例えば、その電荷状態が、アミノ基等の塩基官能基、又はカルボン酸基等の酸性官能基等の、pHに応じて変化する官能基を有していないポリマー物質を意味する。本発明による組成物に持続放出機能を付与するためにpH非依存性ポリマー物質が含まれうるが、別の目的のためにも含まれうることに留意されたい。その上、本発明において使用されるpH非依存性ポリマー物質は、水不溶性であってもよく、又は水中で膨潤し又は水中で溶解してゲルを形成してもよい。
水不溶性pH非依存性ポリマー物質の例には、セルロースエーテル、セルロースエステル、及びメタクリル酸-アクリル酸コポリマー(商品名Eudragit、Rohm GmbH & Co.KG,Darmstadt,Germanyにより製造)が挙げられるがこれらに限定されない。例には、セルロースアルキルエーテル、例えばエチルセルロース(商品名Ethocel、Dow Chemical Company,USAにより製造)、エチルメチルセルロース、エチルプロピルセルロース又はイソプロピルセルロース、及びブチルセルロース、セルロースアラルキルエーテル、例えばベンジルセルロース、セルロースシアノアルキルエーテル、例えばシアノエチルセルロース、セルロース有機酸エステル、例えばセルロース酢酸エステル酪酸エステル、セルロース酢酸エステル、セルロースプロピオン酸エステル又はセルロース酪酸エステル、並びにセルロース酢酸エステルプロピオン酸エステル、エチルアクリレート-メチルメタクリレートコポリマー(商品名Eudragit NE、Rohm GmbH & Co.KG,Darmstadt,Germanyにより製造)、及びアミノアルキルメタクリレートコポリマーRS(商品名Eudragit RL、Eudragit RS)が挙げられるがこれに限定されない。本発明において使用される水不溶性ポリマーの平均粒径について特に制限はないが、通常、この平均粒径が低いほど性能は良好であり、平均粒径は、好ましくは0.1~100μm、より好ましくは1~50μm、特に好ましくは3~15μm、最も好ましくは5~15μmである。その上、水可溶性又は水膨潤性pH非依存性ポリマー物質の例には、ポリエチレンオキシド(商品名Polyox、Dow Chemical Companyにより製造、分子量100,000~7,000,000)、低置換ヒドロキシプロピルセルロース(商品名L-HPC、信越化学工業株式会社、日本により製造)、ヒドロキシプロピルセルロース(商品名HPC、日本曹達株式会社、日本により製造)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名Metolose 60SH、65SH、90SH、信越化学工業株式会社、日本により製造)及びメチルセルロース(商品名Metolose SM、信越化学工業株式会社、日本により製造)が挙げられるがこれらに限定されない。
いくつかの実施形態では、単一のpH非依存性ポリマー物質が組成物中に含有されてもよく、又は複数のpH非依存性ポリマー物質が含有されてもよい。pH非依存性ポリマー物質は、本明細書に報告されている実施形態において使用される場合、水不溶性ポリマー物質であってもよく、より好ましくはエチルセルロース、エチルアクリレート-メチルメタクリレートコポリマー(商品名Eudragit NE)、又はアミノアルキルメタクリレートコポリマーRS(商品名Eudragit RL、Eudragit RS)であってもよい。特に好ましいのは、エチルセルロース及びアミノアルキルメタクリレートコポリマーRSのうちの少なくとも1種である。最も好ましいのは、エチルセルロースである。組成物中に含有されているpH非依存性ポリマー物質の量について特に制限はなく、その量は、持続した薬剤放出を制御する等の目的に従って適当であるように調節することができる。
本明細書で報告されている実施形態において使用されうるpH依存性ポリマー物質は、その電荷状態が、胃腸管中で一般に見出されるpH条件下、具体的にはpH1~pH8で変化するポリマー物質であってもよい。このことは、例えば、その電荷状態が、アミノ基等の塩基官能基、又はカルボン酸基等の酸性官能基等の、pHに応じて変化する官能基を有するポリマー物質を意味する。pH依存性ポリマー物質のpH依存性官能基は、好ましくは酸性官能基であり、ここで、pH依存性ポリマー物質は最も好ましくはカルボン酸基を有する。
本発明において使用されるpH依存性ポリマー物質は、水不溶性であってもよく、又は水中で膨潤して又は水中で溶解してゲルを形成してもよい。本発明において使用されるpH依存性ポリマー物質の例には、腸ポリマー物質が挙げられるがこれに限定されない。腸ポリマー物質の例には、メタクリル酸-メチルメタクリレートコポリマー(Eudragit L100、Eudragit S100、Rohm GmbH & Co.KG,Darmstadt,Germanyにより製造)、メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマー(Eudragit L100-55、Eudragit L30D-55、Rohm GmbH & Co.KG,Darmstadt,Germanyにより製造)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸エステル(HP-55、HP-50、信越化学工業株式会社、日本により製造)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル(AQOAT、信越化学工業株式会社、日本により製造)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC、フロイント産業株式会社、日本により製造)及びセルロース酢酸エステルフタル酸エステルが挙げられるがこれらに限定されない。
水中で膨潤し又は水中で溶解してゲルを形成するpH依存性ポリマー物質の例には、アルギニン酸、ペクチン、カルボキシビニルポリマー及びカルボキシメチルセルロースが挙げられるがこれらに限定されない。本発明において、単一のpH依存性ポリマー物質が組成物中に含有されていてもよく、又は複数のpH依存性ポリマー物質が含有されていてもよい。本発明において使用されるpH依存性ポリマー物質は、好ましくは腸ポリマー物質であり、より好ましくはメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマー、メタクリル酸-メチルメタクリレートコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸エステル、又はヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル、特に好ましくはメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーである。
本発明による組成物の製造方法においてpH依存性ポリマー物質を使用するとき、粉末タイプ若しくは顆粒タイプ、又はpH依存性ポリマー物質が前もって溶媒中に分散された懸濁液タイプの市販製品をそれ自体で使用することができ、又はこうした市販製品を、水又は有機溶媒中に分散させて使用することができる。pH依存性ポリマー物質の粒径が小さいほど性能は良好であり、ここで、pH依存性ポリマー物質は、好ましくは粉末タイプのものである。メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーの事例では、1つの例はEudragit L100-55である。本発明において使用されるpH依存性ポリマー物質の平均直径について特定の制限はないが、平均直径は、好ましくは0.05~100μm、より好ましくは0.05~70μm、最も好ましくは0.05~50μmである。その上、pH依存性ポリマー物質の量について特定の制限はなく、例えば、腸ポリマー物質の事例では、その量は、組成物の100重量部に対して、一般に0.1~90重量部、好ましくは1~70重量部、より好ましくは5~60重量部、特に好ましくは10~50重量部である。
本明細書で報告される実施形態による組合せ療法は、更に、必要に応じて、種々の添加剤、例えば希釈剤、滑沢剤、結合剤及び崩壊剤、並びに保存剤、着色剤、甘味剤、可塑剤、皮膜コーティング剤など等の、種々の薬学的に許容される担体のうちの任意のものを含有してもよい。希釈剤の例には、ラクトース、マンニトール、二塩基性リン酸カルシウム、デンプン、予ゼラチン化デンプン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、合成アルミニウムシリケート、マグネシウムアルミネートメタシリケートなどが挙げられるがこれらに限定されない。滑沢剤の例には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ステアリルフマル酸ナトリウムなどが挙げられるがこれらに限定されない。結合剤の例には、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられるがこれらに限定されない。崩壊剤の例には、カルボキシメチルセルロース、カルシウムカルボキシメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、ナトリウムカルボキシメチルデンプン、低置換ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられるがこれらに限定されない。保存剤の例には、パラオキシ安息香酸エステル、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられるがこれらに限定されない。着色剤の好ましい例には、水不溶性レーキ顔料、天然顔料(例えばβ-カロテン、クロロフィル、赤色の酸化第二鉄)、黄色の酸化第二鉄、赤色の酸化第二鉄、黒色の酸化第二鉄などが挙げられるがこれらに限定されない。甘味剤の好ましい例には、ナトリウムサッカリン、グリチルリチン酸二カリウム、アスパルテーム、ステビアなどが挙げられるがこれらに限定されない。可塑剤の例には、グリセロール脂肪酸エステル、クエン酸トリエチル、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどが挙げられるがこれらに限定されない。皮膜コーティング剤の例には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられるがこれらに限定されない。
製造方法
本明細書において報告されている実施形態を製造するために、単一の従来の方法、又は従来の方法の組合せを使用することができる。例えば、持続放出性部分又は即放性部分として顆粒を含有する薬剤を製造するとき、顆粒化が主な操作であるが、これは、混合、乾燥、ふるい及び分類等の他の操作と組み合わせることができる。顆粒化の方法として、例えば結合剤及び溶媒が粉末に添加されて顆粒化が実施される湿式顆粒化法、粉末が圧縮されて顆粒化が実施される乾式顆粒化法、加熱時に溶融する結合剤が添加されて加熱及び顆粒化が実施される溶融顆粒化法などを用いることができる。
更に、顆粒化法に従って、遊星型ミキサー、スクリューミキサーなどを用いる混合顆粒化法、Henschelミキサー、Superミキサーなどを用いる高速混合顆粒化法、円筒状顆粒化装置、回転顆粒化装置、スクリュー押出成形顆粒化装置、ペレットミルタイプ顆粒化装置などを用いる押出成形顆粒化法、湿式高剪断顆粒化法、流動床顆粒化法、圧縮顆粒化法、クラッシング顆粒化法又は噴霧顆粒化法等の操作方法を用いることができる。顆粒化の後、乾燥機、流動床などを用いる乾燥、クラッキング及びふるいが実施されて、使用するための顆粒又は微細顆粒を得ることができる。その上、本発明による組成物を調製するときに、顆粒化溶媒を使用してもよい。こうした顆粒化溶媒について特定の制限はなく、水、又は種々の有機溶媒のうちの任意のもの、例えば水、メタノール若しくはエタノール等の低級アルコール、アセトン又はメチルエチルケトン等のケトン、メチレンクロリド、又はこれらの混合物であってもよい。
実施形態に含有されている持続放出性顆粒では、少なくとも1種の薬剤、並びにpH非依存性ポリマー物質及びpH性ポリマー物質から選択される少なくとも1種が、一緒に混合され、希釈剤及び結合剤が必要に応じて添加され、顆粒化が実施されて顆粒物質を得る。得られた顆粒性物質を、箱形乾燥機、流動床乾燥機などを用いて乾燥させ、ミル又は振動子を用いてふるいを実施し、これにより、持続放出性顆粒を得ることができる。別法では、本発明における持続放出性顆粒を製造する方法として、少なくとも1種の薬剤、pH非依存性ポリマー物質及びpH依存性ポリマー物質から選択される少なくとも1種、並びに必要に応じて希釈剤及び結合剤を、ローラー圧縮機又はスラッグ錠剤化機等の乾式圧縮機を用いて添加して、混合しながら圧縮成形を実施し、次いで好適なサイズへクラッキングダウンして顆粒化を実施することが可能である。こうした顆粒化装置を用いて調製した顆粒性物質は、本発明による顆粒として又は微細顆粒として使用されてもよく、又は更にパワーミル、ロール顆粒化装置、ロータースピードミルなどを用いてクラッキングされ、ふるって、持続放出性顆粒を得てもよい。即放性顆粒もまた、持続放出性顆粒についてと同様に製造されうることに留意されたい。
圧縮成形製品は、薬剤を含有した持続放出性部分又は即放性部分として、又は単一の従来の方法を用いた本明細書で報告している組成物として、又は従来の方法の組合せとして、製造することができる。例えば、少なくとも1種の薬剤、pH非依存性ポリマー物質及びpH依存性ポリマー物質から選択される少なくとも1種、マンニトール若しくはラクトース等の希釈剤、ポリビニルピロリドン若しくは結晶セルロース等の結着剤、カルメロースナトリウム若しくはクロスポビドン等の崩壊剤、及びステアリン酸マグネシウム又はタルク等の滑沢剤が使用され、且つ常法を用いて錠剤化が実施され、これにより圧縮成形製品を得ることができる。この事例では、錠剤化は、圧縮成形製品を製造する方法において主な操作であるが、これは、混合、乾燥、糖コーティング形成及びコーティング等の他の操作と組み合わせることができる。
錠剤化のための方法の例には、少なくとも1種の薬剤及び薬学的に許容される添加剤が一緒に混合されて次いでその混合物が錠剤化機を用いて錠剤へと直接圧縮成形される直接圧縮成形、並びに本発明による持続放出性顆粒又は即放性顆粒が必要に応じて滑沢剤又は崩壊剤を添加した後に圧縮成形へと供される乾式顆粒圧縮又は湿式顆粒圧縮が挙げられるがこれらに限定されない。圧縮成形で用いられる錠剤化機について特に制限はなく、例えば、シングルパンチ錠剤化機、ロータリー錠剤化機、又はプレスコーティング錠剤化機を使用することができる。
本明細書における実施形態による、薬剤を含有した持続放出性顆粒若しくは即放性顆粒、又は圧縮成形製品は、組成物として顆粒の形態又は錠剤にあるように使用されうるが、組成物を製造するために更なる加工に供されてもよい。例えば、圧縮成形製品又は顆粒は、エチルセルロース、カゼイン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸コポリマーL、セルロース酢酸エステルフタル酸エステル、シェラックなどの皮膜ベース材料を用いて皮膜コーティングを付与し、又はショ糖、糖アルコール、アラビアガム粉末、タルクなどを含有する糖コーティング液体を用いて糖コーティングを付与し、このようにして皮膜コーティング錠剤又は糖コーティング錠剤を生成する。このコーティング技術における1種の溶媒は、精製水であってもよいが、アルコール、ケトン、エーテル又は塩化炭化水素、若しくはこれらの混合物等の有機溶媒もまた使用することができる。例えば、エタノール、アセトン、メチレンクロリドなどを、有機溶媒として使用することができる。その上、コーティング装置として、薬物を製造するためのコーティング技術において通常用いられる装置を用いることができ、例には、コーティング液体などを噴霧することによってコーティングが実施される噴霧コーティング装置、及び層化のためのローター流動床顆粒化装置が挙げられる。
カプセル製品を製造する事例では、カプセル製品は、上記の持続放出性顆粒又は即放性顆粒を充填して、又はミニ錠剤を、自動カプセル充填機を用いて硬ゼラチンカプセル又はHPMCカプセル充填して、製造することができる。別法では、経管投与、又は摂取時に水などと混合して使用されるドライシロップ用の調製の事例において、上記の持続放出性顆粒又は即放性顆粒を、これらの顆粒を分散させるために増粘剤又は分散剤と混合させて、次いでこの混合物を顆粒又は錠剤へと作製することができる。更に、液体又はゼリーを、水、及び分散剤、乳化剤、増粘剤、保存剤、pH調整剤、甘味剤、風味付け剤、芳香剤などから選択される物質を使用して作製することができる。しかしながら、他の製造方法に関して、上記のものには限定されない。
本明細書に記載の実施形態がより完全に理解されうるように、以下の実施例が明らかにされる。これらの実施例が例示目的のためのみであり、限定するものと解釈されないことが理解されるべきである。
総じて、以下のデータは、パルボシクリブとの組合せで、CDK4/6阻害剤が、ERαWT及び/又はERαY537Sを有する細胞株において、化合物1、2及び3について、患者由来のERαWT/Y537S乳癌の異種移植片モデルにおける化合物1について、抗増殖効果及び抗腫瘍効果を有意に増強できることを明示している。
材料及び方法
試験した細胞株
MCF7 BUS細胞(Coserら、(2003)PNAS 100(24):13994~13999)を、10%のFBS、L-グルタミン4mM及び1×非必須アミノ酸で補充したダルベッコ改変イーグル培地中で維持した。Lenti-X 293T細胞(Clontech、Cat#632180)を、10%のFBSで補充したダルベッコ改変イーグル培地中で通常のように培養した。ERWT(MCF7.6)又はERαY537S(MCF7.7)を過剰発現するように設計したMCF7株を、H3 Biomedicine,Inc.にてMCF7 BUS細胞から誘導した。ST941細胞株を、ERαにおける内在性Y537Sホットスポット突然変異に陽性の、患者由来の乳癌異種移植片(PDX)モデル(ST941)から誘導した。ウイルス生成のために使用するHEK293T細胞は、Clontechを源とした。全ての細胞株を、Mycobacterium汚染フリーであることを確かめ、それらの同一性を、9つのマーカーの短いタンデム反復分析により確認した。
細胞株の維持及び研究の条件
設計したMCF7株の増殖のための培地の条件には、10%v/vのFetal Bovine Serum(ATCC(登録商標)30-2021(商標))、L-グルタミン(ATCC(登録商標)30-2214(商標))2.0mM、1.0%の非必須アミノ酸(ThermoFisher#11140050)及びBlastidicin(ThermoFisher#A1113903)5μg/mLで補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(ATCO(登録商標)30-2002(商標))を含ませた。ST941細胞の増殖のための培地の条件には、20%v/vのFetal Bovine Serum(ATCC(登録商標)30-2021(商標))で補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(ATCC(登録商標)30-2002(商標))を含ませた。全ての細胞を、実験の前及び間に、37℃、5%CO2に、及び相対湿度95%に維持した。細胞を1週当たり2~3回継代し、継代回数を6から20回の間に制限した。インビトロ実験の間、細胞を適当な濃度で蒔いて、実験標的化合物の曝露期間を超えて、24時間の間及び少なくとも24時間、対数的増殖を実現させた。
部位特異的突然変異誘発及び細胞株の設計
QuikChange II XL Site-Directed Mutagenesis Kit(Agilent Technologies、Cat#200523)を用いて、ERα exon 8内にY537S突然変異体を生成した。野生型ESR1 cDNA(GeneCopoeia Inc.、Cat#GC-A0322、登録番号NM000125)をテンプレートとして、以下の変異誘発プライマー(ここでアンダータインしたヌクレオチドは部位突然変異を表す)と共に使用した:Y537S:F-AAG AAC GTG GTG CCC CTC TCT GAC CTG CTG CTG GAG ATG(配列ID NO:1)、R-CAT CTC CAG CAG CAG GTC AGA GAG GGG CAC CAC GTT CTT(配列ID NO:2)。WT及び突然変異によるESR1 cDNAを、呼称レンチウイルスベクターpLenti6.3/V5-Dest(Invitrogen、Cat#V533-06)へとクローンした。レンチウイルス粒子を作製するため、DNA(WT及び突然変異体ESR1)を、パッケージングプラスミドと共にHEK293T細胞中へ、lipofectamine 2000を用いて同時導入した。遺伝子導入48時間後、ウイルス含有培地をろ過し、MCF7細胞に、8μMのポリブレンの存在下、一晩添加した。翌日、細胞を、6μMのブラスチジンでの選択下、安定な発現のために2週間置いた。
化合物の調製及び細胞への提示
これらの調製方法は、以下の実施例1~3に関する。アッセイ用化合物を、90%ジメチルスルホキシド(DMSO)中のストックとして調製し、純度についてLC/MSにより評価し、DMSO中、低体積液体ハンドラー(VIAFLO ASSIST及びVIAFLO II electronic 16チャネルピペット、0.5~12.5μL)を用いて11ポイントハーフlog連続希釈において連続して希釈して、全ての試験で使用するマスター用量応答(MDR)源を創製した。
MDR源プレートから細胞プレートへの化合物の転写を、低エネルギーアコースティック転写(ATS100、EDC Biosystems)により、カスタムコンビネーション特異転写マップ(Transfer Track、BioSero)を用いて直接、果たした。アッセイプレートへの化合物の転写後、細胞が経験した用量応答の範囲は、典型的に2.5μM~25pM(5log)であり、アッセイにおけるDSMO最終濃度は、均一に0.1%であった。各アッセイプレートを、単一の作用剤としての各化合物の二重釈液列、二重の11×11コンビネーションマトリックス、ビヒクル/DSMO陰性対照、殺的陽性対照(0.5μMのボルテゾミブ+0.5μMのスタウロスポリン)及び静的制御剤シクロヘキサミド(3μM)を含有して自定式とした。
処理済み細胞の抗増殖活性の測定
細胞増殖及び生存能力のアッセイを、製造会社の指示書(CellTiter-Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay Technical Bulletin Instructions for Use of Product(s)G7570,G7571,G7572,G7573 Literature#TB288,Revised3/15)に従ってCellTiter-Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay reagent(Promega)を用いて144時間の後処理を実施し、次いで、マイクロタイタープレートリーダー(Envision、PE)上で発光信号を測定した。
細胞増殖率を、陽性対照として時間0(T0)信号を用いて、且つ陰性対照としてプレート内ビヒクルウェル(DMSO)を用いて、評価した。データを百分率の阻害率へ変換し、増殖率0%~100%の範囲に落とし込み、ここで、0%はT0での信号に等しく、100%は未阻止の増殖率又は最大の増殖率に等しい。0%での又はほぼ0%の細胞増殖率は、静的応答であると考えられる。
細胞の生存能力を、プレート内の殺的対照化合物(ボルテゾミブ0.5μM/スタウロスポリン0.5μM)についての応答データを用いて、且つ陰性対照としてT0信号を用いて、評価した。データを百分率の阻害率へ変換し、増殖率100%~0%の範囲に落とし込んだ。100%での又はほぼ100%の細胞増殖率は、殺的応答であると考えられる。
インビトロでの化合物相乗性の決定
化合物1、2及び3とCDK4/6阻害剤パルボシクリブとを、MCF7.6、MCF7.7及びST941乳癌細胞株モデルに対する単一の作用剤として及び組合せで、試験した。比較の百分率の阻害率データを、記載したインハウスデータ分析ソフトウェア(ECABIA、H3 Biomedicine)により算出し、次いで更なる分析(即ち-100%、0%及び100%を、それぞれ200%(殺的)、100%(静的)及び0%(効果なし)へと転換した)と適合性のあるChaliceソフトウェア(Horizon Discovery)フォーマットへと変換した。
次いで、組合せ効果を、Chaliceソフトウェアを用いて評価し、Loewe Additivity Model(Lehar Jら、2009及びZimmermann GRら、2006)を用いて、組合せ応答を、それらに合う単一の作用剤の効果と比較した。相乗効果が起きたところの薬剤濃度範囲を、完全Dose-matrix ChartをLoewe Additivity Model Chartと比較することによって、且つExcess Response Chartを直接観察することによって、Chaliceにおいて可視化することができる。量的評価は、1つの研究内でなすことができ、又はChalice相乗効果スコアにより提供される組合せの応答の分野及び強度によって同様に実施されている研究又はアクロスアンカード研究について行うことができる。他の添加剤のみの組合せでのセルフクロス実験及び試験を、ベースライン対照として役立てた。
異種移植片生成、抗腫瘍活性の用量及び測定
ERα
WT/Y537S乳癌を表している、患者由来の異種移植片(PDX)を生成するために、ERα
WT/Y537Sを保持するST941異種移植片モデル(ST941)からの固形の腫瘍組織を70mg切片に切り、Matrigel(Corning、354234)と混合し、エストラジオール(Sigma-Aldrich、E1024-25G)を含有する飲料水で補充したメスの胸腺欠損ヌード(Crl:NU(NCr)-Foxn1nu)マウスの右側へ、皮下に埋め込んだ。腫瘍体積(TV)が125から250mm
3の間に達したとき、TVに基づいて72匹の動物を選択し、1群当たり動物8匹の9つの治療群にランダム化した。治療3日前に開始し、この研究の残りの間、外因性エストラジオールは飲料水中に補充しなかった。化合物1(3及び10mg/kg)及びパルボシクリブ(25及び75mg/kg)又はビヒクルでの経口(PO)治療を1日1回(QD)施した。化合物投与前に、PO投与体積(0.1mL/体重10g)を体重(BW)から算出した。体重及び腫瘍体積の測定値を、1週当たり2回報告した。
mm
3でのTVを、以下の式に従って算出した。
TV=長さ×幅
2×0.5
長さ:腫瘍の最大直径(mm)
幅:長さに対して直角の直径(mm)
腫瘍増殖阻害率%(TGI)を、次式:
(式中、DAY Xは、測定の任意の日である)
に従って算出した。
治療の抗腫瘍効果、安定した疾患(SD)及び進行性疾患(PD)は、Xenograft Model Response Criteria(以下を参照されたい)によって定義した。第0日の体重と比べて体重低下>20%を有するマウス、又は質量>10%の動物体重を有する腫瘍を保持するマウスは、動物に痛みが一切なく且つ苦しませないように安楽死させた。全ての研究を、START IACUCにより明らかにされてSTART Animal Care and Use Program(Protocol 09-001)において規定されたガイドラインの下で実施した。
統計的分析
データは、TV及びBWについて平均±SEMで表す。第38日における、ビヒクル治療群と、化合物1又はパルボシクリブ治療群との間の腫瘍体積の差を、2元配置ANOVA、続いてテューキーの検定によって分析した。相対的な体重変化を、2元配置ANOVA、続いてテューキーの検定によって分析した。統計的分析を、GraphPad Prism version7.0(GraphPad Software、La Jolla,CA)を用いて実施した。
異種移植片モデル応答の評価基準
進行性疾患(PD):3回連続測定値>開始体積の120%、又は最良の応答から3回連続の、増大する測定値。不変の疾患(SD):3回連続測定値>開始体積の50%及び<開始体積の120%。
インビボの異種移植片研究のための化合物1とパルボシクリブとの製剤
以下に報告するインビボの異種移植片の実施例4において、化合物1とパルボシクリブとを次のように製剤化した。このタイプの製剤は、例示的なものであり、本発明の特定の実施形態では必要とされない。これらの実施例では、パルボシクリブは、遊離塩基として提示した。化合物1を、5%デクトローズ中、10%の2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPβCD)中で製剤化し、透明になるまで、撹拌し、超音波処理した。
パルボシクリブを50mMの乳酸ナトリウム中、pH4.0にて製剤化した。化合物は、この製剤中、7日間安定であった。
実施例1 化合物1とパルボシクリブ
実施例1~4では、化合物1は、HCL塩として存在した。
図1、2及び3は、化合物1とパルボシクリブとが、インビトロの乳癌細胞モデルの増殖を相乗的に阻害することを示す。MCF7.6細胞を、異なる用量の化合物1とパルボシクリブとで144時間処置し、図1に表す。MCF7.7細胞を、異なる用量の化合物1とパルボシクリブとで144時間処置し、図2に表す。ST941細胞を、異なる用量の化合物1とパルボシクリブとで144時間処置し、図3に表す。細胞生存能力の阻害率を、CellTiter-Gloを用いて測定し、Chaliceソフトウェアを用いて、化合物1とパルボシクリブとのそれぞれの用量の組合せについてのLoewe相加性を超える過剰な阻害率を算出した。最高用量である化合物1 1.0μMとパルボシクリブ2.5μMとは、単一の作用剤としては細胞停滞に完全には帰着しなかったが、化合物1 1.0μMとパルボシクリブ2.5μMとの組合せを試験した全ての細胞モデルについては、完全な細胞停滞(即ち100%の効果)へと至った。加えて、組合せしたときに、より低い用量の化合物1とパルボシクリブとの範囲にわたり、対応する単一の作用剤の用量に比べて、細胞増殖をより大きい程度まで減少させた。相加性を超える過剰な阻害率を、Loewe Additivity Modelを用いて算出し、化合物1 0.010μMから、及びパルボシクリブ0.025μMから開始して、相乗的な値が観察された。
実施例2 化合物2とパルボシクリブ
図4、5及び6は、化合物2とパルボシクリブとが、インビトロの乳癌細胞モデルの増殖を相乗的に阻害することを示す。MCF7.6細胞を、異なる用量の化合物2とパルボシクリブとで144時間処置し、図4に表す。MCF7.7細胞を、異なる用量の化合物2とパルボシクリブとで144時間処置し、図5に表す。ST941細胞を、異なる用量の化合物2とパルボシクリブとで144時間処置し、図6に表す。細胞生存能力の阻害率を、CellTiter-Gloを用いて測定し、Chaliceソフトウェアを用いて、化合物2とパルボシクリブとのそれぞれの用量の組合せについてのLoewe相加性を超える過剰な阻害率を算出した。最高用量である化合物2 1.0μMとパルボシクリブ2.5μMとは、単一の作用剤としては細胞停滞に完全には帰着しなかったが、化合物2 1.0μMとパルボシクリブ2.5μMとの組合せを試験した全ての細胞モデルについては、完全な細胞停滞(即ち100%の効果)へと至った。加えて、組合せたときに、より低い用量の化合物2とパルボシクリブとの範囲にわたり、対応する単一の作用剤の用量に比べて、細胞増殖をより大きい程度まで減少させた。相加性を超える過剰な阻害率を、Loewe Additivity Modelを用いて算出し、化合物2 0.010μMから、及びパルボシクリブ0.025μMから開始して、相乗的な値が観察された。
実施例3 化合物3とパルボシクリブ
図7は、化合物3とパルボシクリブとが、インビトロのMCF7.7乳癌細胞モデルの増殖を相乗的に阻害することを示す。MCF7.7細胞を、異なる用量の化合物3とパルボシクリブとで144時間処置した。細胞生存能力の阻害率を、CellTiter-Gloを用いて測定し、Chaliceソフトウェアを用いて、化合物3とパルボシクリブとのそれぞれの用量の組合せについてのLoewe相加性を超える過剰な阻害率を算出した。最高用量である化合物3 1.0μMとパルボシクリブ2.5μMとは、単一の作用剤としては細胞停滞に完全には帰着しなかったが、化合物3 1.0μMとパルボシクリブ2.5μMとの組合せは、完全な細胞停滞(即ち100%の効果)へと至った。加えて、組合せたときに、より低い用量の化合物3とパルボシクリブとの範囲にわたり、対応する単一の作用剤の用量に比べて、細胞増殖をより大きい程度まで減少させた。相加性を超える過剰な阻害率を、Loewe Additivity Modelを用いて算出し、化合物3 0.010μMから、及びパルボシクリブ0.025μMから開始して、相乗的な値が観察された。
実施例4 ERα
WT/Y537S
を担持している皮下乳癌患者由来の腫瘍異種移植片を保持するメスのヌードマウスにおける経口化合物1とパルボシクリブとの抗腫瘍効果及び体重効果
図8及び図9は、化合物1 3mg/kg及び10mg/kgで、単一の作用剤として、毎日、経口で治療したメスのヌードマウス、又はERαWT/Y537Sを保持しているST941 PDXモデルにおいてパルボシクリブ25mg/kg及び75mg/kgとの組合せで治療したメスのヌードマウスの、抗腫瘍効果(左)及び体重効果(右)を示す。単一の作用剤としての、25mg/kgでのパルボシクリブは、腫瘍増殖を有意に阻害せずTGIは13%であったが、その一方で、75mg/kgでは、腫瘍増殖を有意に阻害しTGIは69%であり、第38日にSDを引き起こさなかった(P<0.0001、図8及び図9)。単一の作用剤の、3mg/kg及び10mg/kgでの化合物1は、腫瘍増殖の有意な阻害をもたらし、TGIは、それぞれ50%及び71%であり(P<0.0001)(図8及び図9)、第38日に1/8匹のマウスでSDを誘発した。
化合物1 3mg/kgとパルボシクリブ25mg/kg又は75mgとの組合せは、ビヒクル対照に対して、腫瘍増殖の阻害率の有意な増強に帰着し、第38日にSDがそれぞれ6/8匹及び8/8匹のマウスで誘発された(TGIは、それぞれ80%及び88%、P<0.0001)(図8)。
化合物1 10mg/kgとパルボシクリブ25mg/kg又は75mgとの組合せはまた、ビヒクル対照に対して、腫瘍増殖阻害率の有意な増強に帰着し、第38日にSDがそれぞれ6/8匹及び8/8匹のマウスで誘発された(TGIは、それぞれ86%及び91%、P<0.0001)(図9)。更に、化合物1 3又は10mg/kgとパルボシクリブ75mg/kgとの組合せは、より長期間の治療で、応答の耐久性を増強し、退縮が観察された。