以下、本発明に係る通信アンテナ及びそれを備えたアンテナ装置の実施形態について図面を用いて説明する。なお、各図面上の各構成要素の寸法比は、実際の寸法比と必ずしも一致していない。
(第1の実施形態)
図1(a)及び(b)に示すように、本発明の第1の実施形態に係る通信アンテナ200は、ホーン201と、給電導波管202と、少なくとも1つの同軸コネクタ203,204と、を備え、ミリ波の周波数帯域(例えば、約20GHz~46GHz)を使用するものである。
ホーン201は、Y軸に垂直な断面形状が矩形であり、給電導波管202側の端部から矩形の開口面201aに向かってフレア状に広がるように構成されている。ホーン201の4つの内壁面には、2種類の直線偏波の偏波面に沿って各内壁面をそれぞれ2等分する4つのリッジ205,206,207,208が設けられていてもよい。この場合、通信アンテナ200は、クアッドリッジホーンアンテナ(Quad-Ridged Horn Antenna)となる。
給電導波管202は、Y軸に垂直な断面形状が矩形であり、ホーン201の開口面201aと反対側の端部に連続するように構成されている。
ホーン201と給電導波管202とは同一の金属部材209により一体形成されていてもよい。金属部材209としては、真鍮、アルミニウム、銅などの導電性材料を用いることができる。金属部材209は、切削加工費及び組立性の観点から、全体として直方体形状を成している。
同軸コネクタ203は、中心導体210と、中心導体210の周囲を取り囲む絶縁体211と、絶縁体211の周囲を取り囲む外部導体212と、外部導体212に電気的に接続されたフランジ213と、を有する。中心導体210、外部導体212、及びフランジ213は、例えばステンレスに金メッキ処理若しくはパッシベーション処理が施されてなる。パッシベーション処理とは、ステンレスの組成元素であるクロムによる酸化膜(不動態被膜)を生成する処理である。なお、同軸コネクタ204の構成は同軸コネクタ203と同様であるため、以下では断りがない限り、同軸コネクタ203についてのみ説明する。
中心導体210は、その先端が給電導波管202内に突出する。不図示の同軸ケーブルを介して後述する信号処理部40aから中心導体210に試験信号が給電されると、中心導体210と金属部材209との間に高周波の電圧が印加される。これにより、通信アンテナ200は、試験信号の電波を外部に放射する。また、中心導体210は、外部から電波を受信すると、受信した給電導波管202内の電波を不図示の同軸ケーブルに向けて出力する。すなわち、同軸コネクタ203及び給電導波管202は、いわゆる同軸-導波管変換器を構成している。
フランジ213は、給電導波管202及びホーン201を構成する金属部材209に同軸コネクタ203を取り付けるためのものであり、例えば、2つのねじ孔213a,213bを有している。フランジ213は、2つのねじ孔213a,213bに挿通される2つのねじ214a,214bにより、給電導波管202及びホーン201を構成する金属部材209に電気的に接続するように固定される。
ここで、給電導波管202及びホーン201を構成する金属部材209は、同軸コネクタ203のフランジ213を含む少なくとも一部を取り囲むように、給電導波管202に向かって形成された座ぐり部215を有している。なお、フランジ213は、座ぐり部215の底面215aに取り付けられる。
ここで、同軸コネクタ203の中心導体210は、Z軸方向に延伸する。一方、同軸コネクタ204の中心導体210は、X軸方向に延伸する。このように同軸コネクタ203,204のそれぞれの中心導体210が配置されることにより、通信アンテナ200は、偏波面が互いに直交する2つの直線偏波の電波を送受信することができる。なお、同軸コネクタ203の中心導体210は、リッジ208を突き刺すように配置されてもよい。同様に、同軸コネクタ204の中心導体210は、リッジ205を突き刺すように配置されてもよい。
図2(a)及び(b)は、従来の通信アンテナ300の構成を示している。通信アンテナ300は、座ぐり部215を有していない点で、本実施形態に係る通信アンテナ200と異なる。このため、図3において矢印で示すように、通信アンテナ300では、同軸コネクタ203において主に中心導体210から漏れる電波が、金属部材209の面に沿って通信アンテナ300の外部に漏れてしまうという問題がある。さらに、通信アンテナ300では、外来波が同軸コネクタ203の中心導体210に入り込むという問題もある。
これに対して、本実施形態に係る通信アンテナ200においては、直進性の高いミリ波に対して、座ぐり部215の内壁215bがシールド壁として機能する。このため、図3において矢印で示すように、同軸コネクタ203において主に中心導体210から漏れる電波は、この内壁215b間で反射を繰り返すうちに減衰し、通信アンテナ200の外部に漏れ出しにくくなる。また、逆に、座ぐり部215の内壁215bは、外来波が同軸コネクタ203の中心導体210に入り込むことも抑制することができる。
また、本実施形態に係る通信アンテナ200においては、座ぐり部215の底面215aに同軸コネクタ203のフランジ213が取り付けられるため、従来の通信アンテナ300と比較して、同軸コネクタ203をより給電導波管202に近い位置に配置して、中心導体210の長さを短く構成することが可能になる。これにより、本実施形態に係る通信アンテナ200は、周波数拡張に伴う高周波領域における挿入損失の増大を抑えることができる。
さらに、本実施形態に係る通信アンテナ200においては、座ぐり部215の底面215aに同軸コネクタ203のフランジ213が取り付けられるため、従来の通信アンテナ300と比較して、同軸コネクタ203が金属部材209から突出する長さを短く構成することが可能になる。これにより、本実施形態に係る通信アンテナ200は、後述するアンテナ装置内に他のアンテナが近接して配置される状態であっても、アンテナ装置への配置と取り付け作業を容易にすることができる。
なお、図4(a)~(c)に示す通信アンテナ240においては、同軸コネクタ203のフランジ213は、2つのねじ孔213c,213dがホーン201及び給電導波管202の中心軸に対して対称になるように、金属部材209の座ぐり部215に配置されている。すなわち、フランジ213の長手方向がホーン201及び給電導波管202の中心軸に対して垂直になるように同軸コネクタ203が配置されている。同軸コネクタ203は、フランジ213の2つのねじ孔213c,213dに挿通される2つのねじ214c,214dにより金属部材209に固定される。なお、図4(c)では、X軸方向に突出する同軸コネクタ203の図示を省略している。
フランジ213の2つのねじ孔213a,213bがホーン201及び給電導波管202の中心軸に沿って配置された図5の上段の通信アンテナ200と比較して、フランジ213の2つのねじ孔213c,213dがホーン201及び給電導波管202の中心軸に対して対称な位置に配置された図5の下段(図4(c)も参照)の通信アンテナ240では、Y軸方向の長さを長さLだけ短くすることができる。これにより、図5の下段の通信アンテナ240は、後述するアンテナ装置内に他のアンテナが近接して配置される状態であっても、アンテナ装置への配置と取り付け作業を容易にすることができる。
図6~図8は、本実施形態に係る通信アンテナの他の構成例を示している。なお、図6~図8では、同軸コネクタ204の図示を省略している。図6(a)及び(b)に示す通信アンテナ250は、図1に示した構成と比較して、金属部材209に座ぐり部215に加えて段差216が設けられた構成となっている。この段差216が更なるシールド壁として機能することにより、同軸コネクタ203において主に中心導体210から漏れる電波は、通信アンテナ250の外部に更に漏れ出しにくくなる。また、逆に、段差216は、外来波が同軸コネクタ203の中心導体210に入り込むことも更に抑制することができる。
図7(a)及び(b)に示す通信アンテナ260は、図4に示した構成と比較して、金属部材209に座ぐり部215に加えて段差217が設けられた構成となっている。この段差217が更なるシールド壁として機能することにより、同軸コネクタ203において主に中心導体210から漏れる電波は、通信アンテナ260の外部に更に漏れ出しにくくなる。また、逆に、段差217は、外来波が同軸コネクタ203の中心導体210に入り込むことも更に抑制することができる。
図8(a)~(c)に示す通信アンテナ270は、図4に示した構成と比較して、金属部材209に座ぐり部215に加えて2つの段差218a,218bが設けられた構成となっている。これらの段差218a,218bが更なるシールド壁として機能することにより、同軸コネクタ203において主に中心導体210から漏れる電波は、通信アンテナ270の外部に更に漏れ出しにくくなる。また、逆に、段差218a,218bは、外来波が同軸コネクタ203の中心導体210に入り込むことも更に抑制することができる。
さらに、図8(a)~(c)に示す通信アンテナ270では、フランジ213を固定する2つのねじ214c,214dが給電導波管202を跨ぐように配置されている。これにより、同軸コネクタ203をより給電導波管202に近い位置に配置して、中心導体210の長さを更に短く構成することが可能になり、周波数拡張に伴う高周波領域における挿入損失の増大を更に抑えることができる。
以上説明したように、本実施形態に係る通信アンテナ200,240,250,260,270は、同軸コネクタ203,204のフランジ213を含む少なくとも一部を取り囲むように、給電導波管202に向かって形成された座ぐり部215を有する。これにより、本実施形態に係る通信アンテナ200,240,250,260,270は、従来品のアンテナの外形形状を大型化することなく直方体形状を維持するとともに、シールド性能を確保して周波数拡張に対応することができる。また、本実施形態に係る通信アンテナ200,240,250,260,270は、座ぐり部215を設けない従来品の構成と比較して、中心導体210を短くすることができるため、拡張された周波数の上限付近における挿入損失の増大を抑制することができる。
また、本実施形態に係る通信アンテナ200,240,250,260,270は、座ぐり部215の底面215aに同軸コネクタ203のフランジ213が取り付けられるため、座ぐり部215を設けない従来品の構成と比較して、同軸コネクタ203が金属部材209から突出する長さを短く構成することが可能になる。これにより、本実施形態に係る通信アンテナ200,240,250,260,270は、アンテナ装置内に他のアンテナが近接して配置される状態であっても、アンテナ装置への配置と取り付け作業を容易にすることができる。
また、本実施形態に係る通信アンテナ200,240,250,260,270は、フランジ213の長手方向がホーン201及び給電導波管202の中心軸に対して垂直になるように同軸コネクタ203が配置されるため、ホーン201及び給電導波管202の延伸方向の金属部材209の長さを短くすることができる。これにより、本実施形態に係る通信アンテナ200,240,250,260,270は、アンテナ装置内に他のアンテナが近接して配置される状態であっても、アンテナ装置への配置と取り付け作業を容易にすることができる。
また、本実施形態に係る通信アンテナ200,240,250,260,270は、ホーン201の開口面201aの形状が矩形である矩形ホーンアンテナを構成することができる。
また、本実施形態に係る通信アンテナ200,240,250,260,270は、ホーン201の4つの内壁面に、互いに直交する直線偏波の偏波面に沿って各内壁面をそれぞれ等分する4つのリッジ205~208が設けられたことにより、帯域幅を広帯域化しつつ、互いに直交する直線偏波の電波を送受信することができる。
(第2の実施形態)
続いて、本発明の第2の実施形態に係る通信アンテナについて、図面を参照しながら説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して適宜説明を省略する。また、第1の実施形態と同様の動作についても適宜説明を省略する。
図9(a)~(c)に示すように、本実施形態に係る通信アンテナ280は、ホーン221と、給電導波管222と、少なくとも1つの同軸コネクタ223と、を備え、ミリ波の周波数帯域(例えば、約20GHz~46GHz)を使用するものである。
ホーン221は、Y軸に垂直な断面形状が矩形であり、給電導波管222側の端部から矩形の開口面221aに向かってフレア状に広がるように構成されている。ホーン221の4つの内壁面には、2種類の直線偏波の偏波面に沿って各内壁面をそれぞれ2等分する4つのリッジが設けられていてもよい。この場合、通信アンテナ280は、クアッドリッジホーンアンテナ(Quad-Ridged Horn Antenna)となる。ホーン221は、開口面221aと反対側の端部で給電導波管222に接続するためのフランジ部224を有する。ホーン221は、フランジ部224の複数のねじ孔225に挿通される複数のねじ226により、給電導波管222に接続されるようになっている。
給電導波管222は、Y軸に垂直な断面形状が矩形であり、ホーン221の開口面221aと反対側の端部に連続するように構成されている。さらに、給電導波管222は、ホーン221に接続するためのフランジ部227を有する。給電導波管222は、フランジ部227の複数のねじ孔228に挿通される複数のねじ226により、ホーン221に接続されるようになっている。
ホーン221と給電導波管222とは、それぞれ金属部材229,230により構成されている。金属部材229,230としては、真鍮、アルミニウム、銅などの導電性材料を用いることができる。
同軸コネクタ223は、中心導体231と、中心導体231の周囲を取り囲む絶縁体232と、絶縁体232の周囲を取り囲む外部導体233と、外部導体233に電気的に接続されたフランジ234と、を有する。中心導体231、外部導体233、及びフランジ234は、例えばステンレスに金メッキ処理若しくはパッシベーション処理が施されてなる。
フランジ234は、給電導波管222を構成する金属部材230に同軸コネクタ223を取り付けるためのものであり、例えば、ホーン221及び給電導波管222の中心軸に対して対称な位置に配置される2つのねじ孔235c,235dを有している。フランジ234は、2つのねじ孔235c,235dに挿通される2つのねじ236c,236dにより、給電導波管222を構成する金属部材230に電気的に接続するように固定される。
ここで、給電導波管222を構成する金属部材230は、同軸コネクタ223のフランジ234を含む少なくとも一部を取り囲むように形成された壁部237を有している。
中心導体231は、その先端が給電導波管222内に突出する。不図示の同軸ケーブルを介して後述する信号処理部40aから中心導体231に試験信号が給電されると、中心導体231と金属部材230との間に高周波の電圧が印加される。これにより、通信アンテナ280は、試験信号の電波を外部に放射する。また、中心導体231は、外部から電波を受信すると、受信した給電導波管222内の電波を不図示の同軸ケーブルに向けて出力する。すなわち、同軸コネクタ223及び給電導波管222は、いわゆる同軸-導波管変換器を構成している。
図10(a)及び(b)は従来の通信アンテナ310,320の構成を、図10(c)は本実施形態に係る通信アンテナ280の構成をそれぞれ示している。図10(a)に示す通信アンテナ310は、ねじ止め箇所が4箇所(手前側2箇所と奥側の不図示の2箇所)ある。また、通信アンテナ310は、壁部237を有していない点で、本実施形態に係る通信アンテナ280と異なる。このため、従来の通信アンテナ310では、同軸コネクタ311において主に中心導体231から漏れる電波が、外部に漏れてしまうという問題がある。また、本実施形態の通信アンテナ280と比較して、給電導波管222を構成する金属部材230に4つのねじ孔のタップ加工をするための長さL1(Y軸方向)が余分に必要となり、外形寸法が大きくなるという問題もある。
図10(b)に示す通信アンテナ320は、同軸コネクタ321がガラスビーズ322で封止されたタイプであるとともに、同軸コネクタ321そのものを金属部材230に形成されたねじ穴にねじ込む形状である点で、本実施形態に係る通信アンテナ280と異なる。このため、従来の通信アンテナ320では、はんだ付け等でガラスビーズ322を金属部材230側に固定する必要があり、ホットプレートを使用する作業工数や、はんだ付けに適した金属部材230の材料の選定が必要となる。また、本実施形態の通信アンテナ280と比較して、給電導波管222を構成する金属部材230に同軸コネクタ321の径に等しいねじ穴のタップ加工をするための長さL2(Y軸方向)が余分に必要となり、外形寸法が大きくなるという問題もある。
これに対して、本実施形態に係る通信アンテナ280においては、直進性の高いミリ波に対して、壁部237がシールド壁として機能する。このため、同軸コネクタ223において主に中心導体231から漏れる電波は、この壁部237の間で反射を繰り返すうちに減衰し、通信アンテナ280の外部に漏れ出しにくくなる。また、逆に、壁部237は、外来波が同軸コネクタ223の中心導体231に入り込むことも抑制することができる。
また、本実施形態に係る通信アンテナ280は、Y軸方向の長さを従来の通信アンテナ310,320と比較して短くできることに伴い、中心導体231の先端が給電導波管222内に突出する位置をホーン221に近づけることができる。これにより、本実施形態に係る通信アンテナ280は、周波数拡張に伴う高周波領域における挿入損失の増大を抑えることができる。
さらに、本実施形態に係る通信アンテナ280は、Y軸方向の長さを従来の通信アンテナ310,320と比較して短くできるため、後述するアンテナ装置内に他のアンテナが近接して配置される状態であっても、アンテナ装置への配置と取り付け作業を容易にすることができる。
また、図11に示す通信アンテナ290のように、ホーン221と給電導波管222とは、同一の金属部材230により一体形成されていてもよい。これにより、本実施形態に係る通信アンテナ290は、Y軸方向の長さを従来の通信アンテナ310,320と比較して更に短くすることができる。これに伴い、本実施形態に係る通信アンテナ290は、高周波領域における挿入損失の増大を更に抑制し、アンテナ装置への配置と取り付け作業を更に容易にすることができる。
以上説明したように、本実施形態に係る通信アンテナ280,290は、同軸コネクタ223のフランジ234を含む少なくとも一部を取り囲むように形成された壁部237を有するため、従来品のアンテナの外形形状を大型化することなく、シールド性能を確保して周波数拡張に対応することができる。また、同軸コネクタ223は、2つのねじ孔235c,235dを有するフランジ234の長手方向がホーン221及び給電導波管222の中心軸に対して垂直になるように金属部材230に配置される。このため、本実施形態に係る通信アンテナ280,290は、従来品の構成と比較して、中心導体231の給電導波管222内での露出箇所からホーン221までの距離を短くすることができる。これにより、本実施形態に係る通信アンテナ280,290は、拡張された周波数の上限付近における挿入損失の増大を抑制することができる。
また、本実施形態に係る通信アンテナ280,290は、ホーン221の開口面221aの形状が矩形である矩形ホーンアンテナを構成することができる。
(第3の実施形態)
続いて、本発明の第3の実施形態に係るアンテナ装置について、図面を参照しながら説明する。なお、第1又は第2の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して適宜説明を省略する。また、第1又は第2の実施形態と同様の動作についても適宜説明を省略する。
本実施形態に係る測定装置1は、本発明のアンテナ装置に相当している。測定装置1は、全体として図12に示すような外観構造を有し、かつ、図13に示すような機能ブロックにより構成されている。ただし、図12においては、OTAチャンバ50について側面から透視した状態における各構成要素の配置態様を示している。
図12及び図13に示すように、本実施形態に係る測定装置1は、統合制御装置10、NRシステムシミュレータ20、信号解析装置30、信号処理部40a,40b、スプリアス信号処理部41、及びOTAチャンバ50を有している。
統合制御装置10は、NRシステムシミュレータ20や信号解析装置30と、例えばイーサネット(登録商標)等のネットワーク19を介して相互に通信可能に接続されている。さらに統合制御装置10は、ネットワーク19を介して、OTAチャンバ50内に配置された構成要素を制御するための制御手段とも接続されている。測定装置1は、OTAチャンバ50に対する制御手段として、例えばDUT姿勢制御部17を有している。
統合制御装置10は、ネットワーク19を介して、NRシステムシミュレータ20、信号解析装置30、及びOTAチャンバ50に対する制御手段を統括的に制御するものであり、例えば、パーソナル・コンピュータ(PC)により構成される。なお、DUT姿勢制御部17は、例えば、図14に示すように、統合制御装置10に設けられていてもよい。以下においては、統合制御装置10が図14に示す構成を有するものとして説明する。
測定装置1は、例えば、図12に示すような複数のラック90aを有するラック構造体90を用い、各ラック90aに各構成要素を載置した態様で運用される。図12においては、ラック構造体90の各ラック90aに、それぞれ、統合制御装置10、NRシステムシミュレータ20、信号解析装置30、OTAチャンバ50を載置した例を挙げている。
ここでは、便宜上、OTAチャンバ50の構成から先に説明する。OTAチャンバ50は、5G無線端末の性能試験に際してのOTA試験環境及びスプリアス測定環境を実現するものであって、コンパクト・アンテナ・テスト・レンジ(Compact Antenna Test Range:以下、CATR)の一例として用いられる。スプリアス測定とは、5G無線端末の目標発振周波数での通信中にそれ以外の帯域でどの程度の不要な電波、つまり、スプリアス(spurious)波を放射しているかを測定する技術である。
OTAチャンバ50は、図12、図13に示すように、例えば、直方体形状の内部空間51を有する金属製の筐体本体部52により構成される。OTAチャンバ50は、この内部空間51に、DUT100と、DUT100のアンテナ110(被試験アンテナ)に対向する試験用アンテナ5及びスプリアス測定用の複数の受信アンテナ6とを、外部からの電波の侵入及び外部への電波の放射を防ぐ状態に収容する。試験用アンテナ5及び複数の受信アンテナ6としては、例えばホーンアンテナなどの指向性を持ったミリ波用のアンテナを用いることができる。例えば、試験用アンテナ5は、第1又は第2の実施形態の通信アンテナ200,240,250,260,270,280,290のうちのいずれかであってもよい。また、後述する試験用アンテナ5の開口面5aは、開口面201a,221aのいずれかであってもよい。試験用アンテナ5は、DUT100の送信特性又は受信特性の測定やスプリアス測定を行うための無線信号をアンテナ110との間で送信又は受信するようになっている。
OTAチャンバ50の内部空間51には、さらに、DUT100のアンテナ110から放射された無線信号の電波を試験用アンテナ5及び複数の受信アンテナ6の開口面へと折り返す電波経路を実現するリフレクタ7が収容されている。また、OTAチャンバ50の内面全域、つまり、筐体本体部52の底面52a、側面52b及び上面52c全面には、電波吸収体55が貼り付けられ、外部への電波の放射規制機能が強化されている。このように、OTAチャンバ50は、周囲の電波環境に影響されない内部空間51を有する電波暗箱を実現している。本実施形態で用いる電波暗箱は、例えば、Anechoic型のものである。
被試験対象とされるDUT100は、例えばスマートフォンなどの無線端末である。DUT100の通信規格としては、セルラ(LTE、LTE-A、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、1xEV-DO、TD-SCDMA等)、無線LAN(IEEE802.11b/g/a/n/ac/ad等)、Bluetooth(登録商標)、GNSS(GPS、Galileo、GLONASS、BeiDou等)、FM、及びデジタル放送(DVB-H、ISDB-T等)が挙げられる。また、DUT100は、5Gセルラ等に対応したミリ波帯の無線信号を送受信する無線端末であってもよい。
本実施形態において、例えば、DUT100は5G NRの無線端末であり、DUT100のアンテナ110は、5G NR規格に準拠した規定の周波数帯域(ミリ波帯)内の無線信号を送信又は受信するものである。アンテナ110は、例えばMassive-MIMOアンテナなどのアレーアンテナであり、本発明における被試験アンテナに相当する。OTAチャンバ50内に配置される試験用アンテナ5は、DUT100のアンテナ110と同一の規定の周波数帯域の無線信号を送信又は受信するものである。これに対し、複数の受信アンテナ6は、上述した規定の周波数帯域とは異なるあらかじめ設定された複数の区分周波数帯域の無線信号を各々受信するものである。ここで、各区分周波数帯域は、規定の周波数帯域の下限の周波数よりも低い周波数から、規定の周波数帯域の上限の周波数よりも高い周波数までの周波数帯域(帯域外領域及びスプリアス領域)が区分されたものである。なお、以下においては、帯域外領域及びスプリアス領域をまとめて「スプリアス周波数帯域」とも称し、各区分周波数帯域の無線信号を「スプリアス信号」とも称する。
図19は、本実施形態におけるOTAチャンバ50内に配置される複数の受信アンテナ6の使用可能な周波数帯域分類を示す表図である。図19においては、複数の受信アンテナ6が使用する6GHz~87GHzの全周波数帯域が、例えば、番号1,2,3,4,・・・に対応して、6GHz~20GHz、20GHz~40GHz、40GHz~60GHz、60GHz~87GHz、・・・という複数の帯域(区分周波数帯域)に区分されている。
本実施形態において、OTAチャンバ50は、例えば、図19における周波数帯域分類中、番号1,2,3,4にそれぞれ対応する区分周波数帯域を使用する4つの受信アンテナ6を内部空間51内に配置するものである。また、OTAチャンバ50は、試験用アンテナ5として、ミリ波の周波数帯域(例えば、約20GHz~46GHz)を既定の周波数帯域として使用するアンテナを採用する構成であってもよい。
次に、OTAチャンバ50の内部空間51における姿勢可変機構56、試験用アンテナ5、受信アンテナ6、及びリフレクタ7の配置態様について説明する。図12に示すように、OTAチャンバ50において、内部空間51における筐体本体部52には、クワイエットゾーン(quiet zone)QZ内に配置されたDUT100の姿勢を順次変化させる姿勢可変機構56が設けられている。ここで、クワイエットゾーンQZとは、DUT100が試験用アンテナ5からほぼ均一な振幅と位相で照射される空間領域の範囲を表している(例えば、非特許文献1参照)。クワイエットゾーンの形状は、通常、球形である。このようなクワイエットゾーンQZにDUT100を配置することにより、周りからの散乱波の影響を抑えた状態でOTA試験を行うことが可能になる。
姿勢可変機構56は、例えば、2軸方向に回転する回転機構を備える2軸ポジショナであり、後述するアンテナ保持部61により試験用アンテナ5及び複数の受信アンテナ6の位置が固定された状態で、DUT100を2軸の自由度をもって回転させるようなOTA試験系(Combined-axes system)を構成する。具体的には、姿勢可変機構56は、駆動部56a,56bと、ターンテーブル56cと、支柱56dと、被試験対象載置部としてのDUT載置部56eと、を有する。
駆動部56a,56bは、回転駆動力を発生させるステッピングモータなどの駆動用モータからなる。ターンテーブル56cは、駆動部56aの回転駆動力により、互いに直交する2軸のうちのいずれか一方の軸の周りに所定角度回転するようになっている。支柱56dは、ターンテーブル56cに連結され、ターンテーブル56cから一方の軸の方向に延びて、駆動部56aの回転駆動力によりターンテーブル56cと共に回転するようになっている。DUT載置部56eは、支柱56dの側面から2軸のうちの他方の軸の方向に延びて、駆動部56bの回転駆動力により他方の軸の周りに所定角度回転するようになっている。DUT100は、DUT載置部56eに載置される。
なお、上記の一方の軸は、例えば、底面52aに対して鉛直方向に延びる軸(図中のx軸)である。また、上記の他方の軸は、例えば、支柱56dの側面から水平方向に延びる軸である。このように構成された姿勢可変機構56は、DUT載置部56eに保持されているDUT100を、例えば、DUT100の中心を回転中心として、3次元のあらゆる方向にアンテナ110が向く状態に順次姿勢を変化させ得るように回転させることを可能とする。すなわち、本実施形態の測定装置1は、上記のような姿勢可変機構56により、「ブラックボックス」方法(Black-box approach)での試験が可能である。
OTAチャンバ50において、筐体本体部52の所要位置には、DUT100との間でリンク(呼)を確立又は保持するための2種類のリンクアンテナ8,9a,9bがそれぞれ設けられている。リンクアンテナ8は、LTE用のリンクアンテナであり、ノンスタンドアローンモード(Non-Standalone mode)で使用される。一方、リンクアンテナ9a,9bは、5G用のリンクアンテナであり、スタンドアローンモード(Standalone mode)で使用される。リンクアンテナ8,9a,9bは、姿勢可変機構56に保持されるDUT100に対して指向性を有するように設置されている。
なお、スプリアス測定は、全放射電力(Total Radiated Power:TRP)を測定することにより行われる。このため、スプリアス測定中には、姿勢可変機構56による回転とは無関係にDUT100のアンテナ110がその筐体からみて一定方向にビームを出射している状態を保持する必要がある。まず、スプリアス測定を開始する前には、試験用アンテナ5によりDUT100とNRシステムシミュレータ20との間で呼接続の確立が行われる。その後は、DUT100の回転によって呼接続が切断されないようにするために、DUT100の近傍に設けられたリンクアンテナ9a,9bにより、DUT100とNRシステムシミュレータ20との間の呼接続が維持される。なお、2つのリンクアンテナ9a,9bは、DUT100の中心に対して点対称となる位置に配置されることが望ましい。
また、OTAチャンバ50において、筐体本体部52の下方位置にはアンテナ保持部61が設けられ、該アンテナ保持部61は、試験用アンテナ5及び複数の受信アンテナ6を互いに離間した状態で保持している。
OTAチャンバ50において、リフレクタ7は、後述するオフセットパラボラ(図18参照)型の構造を有するものである。リフレクタ7は、図12に示すように、OTAチャンバ50の側面52bの所要位置にリフレクタ保持具58を用いて取り付けられている。リフレクタ7は、その回転放物面から定まる焦点位置Fに配置されている1つの試験用アンテナ5から放射された試験信号の電波を回転放物面で受け、姿勢可変機構56に保持されているDUT100に向けて反射させるとともに、上記試験信号を受信したDUT100がアンテナ110から放射する被測定信号の電波を回転放物面で受け、該試験信号の電波を放射した試験用アンテナ5に向けて反射させることが可能な位置及び姿勢で配設されている。すなわち、リフレクタ7は、試験用アンテナ5とアンテナ110との間で送受信される無線信号の電波を、回転放物面を介して反射するようになっている。
ここで、OTAチャンバ50にリフレクタ7を搭載することのメリット、及びリフレクタ7の好ましい形態について図16~図18を参照して説明する。図16は、例えば、試験用アンテナ5と同等のアンテナATから放射された電波の無線端末100Aに対する電波の伝わり方を示す模式図である。無線端末100Aは、DUT100と同等のものである。図16において、(a)は、電波がアンテナATから無線端末100Aへ直接伝わる場合(Direct Far Field:ダイレクトファーフィールド)の例を示し、(b)は、電波がアンテナATから回転放物面を有する反射鏡7Aを介して無線端末100Aへ伝わる場合(CATR)の例を示している。
図16(a)に示すように、アンテナATを放射源とする電波は、同位相の点を結んだ面(波面)が放射源を中心にして球状に拡がりながら伝搬する性質がある。このとき、破線で示すような、散乱、屈折、反射などの外乱による生じる干渉波も発生する。また、放射源から近い距離では、波面は湾曲した球面(球面波)であるが、放射源から遠くなると波面は平面(平面波)に近くなる。一般に、波面を球面と考える必要のある領域が近傍界(NEAR FIELD)と呼ばれ、波面を平面とみなしてよい領域が遠方界(FAR FIELD)と呼ばれている。図16(a)に示す電波の伝搬にあって、無線端末100Aは、正確な測定を行ううえで、球面波を受信するよりも、平面波を受信することが好ましい。
平面波を受信するためには、無線端末100Aが遠方界に設置される必要がある。ここで、無線端末100Aの最大直線サイズをD、電波の波長をλとするとき、遠方界は、アンテナATから2D2/λ以遠の距離となる。具体的に、D=0.4m(メートル)、波長λ=0.01m(28GHz帯の無線信号に相当)とした場合には、アンテナATからおおよそ30mの位置が近傍界と遠方界との境界となり、それより遠い位置に無線端末100Aを置く必要が生じる。なお、本実施形態においては、最大直線サイズDが、例えば、5cm(センチメートル)から33cm程度のDUT100の測定を想定している。
このように、図16(a)に示すダイレクトファーフィールド法にあっては、アンテナATと無線端末100A間の伝搬距離が大きく、しかも、伝搬ロスが大きいという特性がある。そこで、その対処法として、例えば、図16(b)に示すように、アンテナATの電波を反射させて、無線端末100Aの位置にその反射波を到達させるように、回転放物面を有する反射鏡7Aを配置する方法がある。この方法によれば、アンテナATと無線端末100A間の距離を短縮し得るのみならず、反射鏡7Aの鏡面での反射後直ぐの距離から平面波の領域が拡がるため、伝搬ロスの低減効果も見込むことができる。平面波の度合は、同位相の波の位相差で表すことができる。平面波の度合として許容し得る位相差は、例えば、λ/16である。位相差は、例えば、ベクトル・ネットワーク・アナライザ(VNA)で評価することができる。
図16(b)に示す反射鏡7Aとして用い得るものとして、例えば、パラボラ(図17参照)、あるいはオフセットパラボラ(図18参照)がある。パラボラは、図17に示すように、アンテナ中心Oを通る軸に対して対称な鏡面(回転放物面)を有し、その回転放物面から定まる焦点位置Fに回転放物面の方向に指向性を有する一次放射器を設置することで、一次放射器から放射された電波を上記軸方向と平行な方向に反射する機能を有する。逆に、パラボラは、焦点位置Fに例えば本実施形態における試験用アンテナ5を配置することで、上記軸方向と平行な方向に回転放物面に対して入射する電波(例えば、DUT100が送信した無線信号)を反射させ、試験用アンテナ5へと導くことができる。しかしながら、パラボラは、正面(z方向)から見た平面形状が真円であって、構造が大きく、OTAチャンバ50のリフレクタ7として配置するには不向きである。
これに対し、オフセットパラボラは、図18に示すように、回転放物面の軸に対して非対称な鏡面(真円型のパラボラ(図17参照)の回転放物面の一部を切り出した形状)を有し、一次放射器を、そのビーム軸が回転放物面の軸に対して、例えば、角度α傾いた状態で設置することで、一次放射器から放射された電波を回転放物面の軸方向と平行な方向に反射する機能を有する。このオフセットパラボラは、焦点位置Fに例えば本実施形態における試験用アンテナ5を配置することで、該試験用アンテナ5から放射された電波(例えば、DUT100に対する試験信号の電波)を回転放物面で該回転放物面の軸方向と平行な方向に反射させるとともに、回転放物面の軸方向と平行な方向に回転放物面に対して入射する電波(例えば、DUT100から送信された被測定信号)を該回転放物面で反射させ、試験用アンテナ5へと導くことができる。オフセットパラボラは、鏡面が垂直に近づくような配置が可能であり、パラボラ(図17参照)よりも構造が大幅に小さくて済む。
上述した知見に基づき、本実施形態におけるOTAチャンバ50では、図12に示すように、オフセットパラボラ(図18参照)を用いたリフレクタ7を、DUT100と試験用アンテナ5及び複数の受信アンテナ6との間の電波伝搬経路に配置している。リフレクタ7は、試験用アンテナ5の開口面の中心が焦点位置となるように筐体本体部52の側面52bに取り付けられている。
リフレクタ7の軸RS1に対して、DUT100のアンテナ110から送信されてリフレクタ7により反射された無線信号の電波の進行方向(以下、「ビーム軸BS1」とも称する)は、所定の角度α傾いている。すなわち、リフレクタ7と、アンテナ保持部61により保持されている試験用アンテナ5(焦点位置に配置)とは、リフレクタ7の軸RS1に対してビーム軸BS1が所定の角度α傾いたオフセット状態となっている。リフレクタ7は、試験用アンテナ5のビーム軸BS1上に焦点位置Fを有している。
図20に示すように、アンテナ保持部61は、試験用アンテナ5の開口面5aと、複数の受信アンテナ6(6-1,6-2,6-3,6-4)の開口面6-1a,6-2a,6-3a,6-4aとが、ビーム軸BS1に対して垂直となる同一の平面61aに配置されるように、試験用アンテナ5及び複数の受信アンテナ6を保持するようになっている。ここで、垂直とは、平面61aがビーム軸BS1に対して90±10度程度の角度を成すことを示すものとする。この平面61aは、例えば、試験用アンテナ5及び複数の受信アンテナ6の開口面に対応してくり抜かれた開口部を有する直方体形状の電波吸収体の一面からなる。なお、図19における番号1,2,3,4は、それぞれ受信アンテナ6-1,6-2,6-3,6-4に対応している。
すなわち、アンテナ保持部61は、リフレクタ7の焦点位置でインバンド用の試験用アンテナ5を保持するとともに、リフレクタ7の焦点位置F外でアウトバンド用の4つの受信アンテナ6を保持する。ここで、4つの受信アンテナ6の配置は、クワイエットゾーンQZの品質(Quality of quiet zone:QoQZ)を非特許文献1の"Annex D: Quality of the quiet zone validation"に記載された測定方法で各受信アンテナ6について評価した結果が、例えばQoQZ≦1dBを満たすようなものであればよい。なお、所望のクワイエットゾーンQZのサイズに応じて、リフレクタ7の大きさや内部空間51の広さの下限値が決まる。例えば、クワイエットゾーンQZの直径Φを33cmとする場合には、4つの受信アンテナ6の開口面6-1a,6-2a,6-3a,6-4aの中心が、平面61a内において焦点位置Fから60mm以内の距離にあるように配置されることが望ましい。
なお、上述した傾き角度αは、例えば、30度に設定することができる。この場合、試験用アンテナ5及び複数の受信アンテナ6は、仰角30度でリフレクタ7に対向するように、試験用アンテナ5及び複数の受信アンテナ6の開口面がビーム軸BS1に対して垂直となる角度でアンテナ保持部61に保持されることになる。オフセットパラボラ型のリフレクタ7を採用することで、リフレクタ7自体が小さくて済むうえに、鏡面が垂直に近づくような姿勢での配置が可能となり、OTAチャンバ50の構造を縮減させ得るというメリットが生まれる。
なお、上記の受信アンテナ6-1,6-2,6-3,6-4は、第1又は第2の実施形態の通信アンテナ200,240,250,260,270,280,290のうちのいずれかであってもよい。この場合、開口面6-1a,6-2a,6-3a,6-4aは、開口面201a,221aのいずれかに対応する。
ここで図13~図15を参照し、本実施形態に係る測定装置1の機能構成についてさらに詳しく説明する。本実施形態に係る測定装置1(図13参照)において、統合制御装置10は、例えば、図14に示すような機能構成を有し、NRシステムシミュレータ20及び信号解析装置30は、例えば、図15に示すような機能構成を有する。NRシステムシミュレータ20は、本発明における送受信特性測定装置を構成する。
図14に示すように、統合制御装置10は、制御部11、操作部12、表示部13を有している。制御部11は、例えば、コンピュータ装置によって構成される。このコンピュータ装置は、例えば、図14に示すように、測定装置1の機能を実現するための所定の情報処理や、NRシステムシミュレータ20及び信号解析装置30を対象とする統括的な制御を行うCPU(Central Processing Unit)11aと、CPU11aを立ち上げるためのOS(Operating System)やその他のプログラム及び制御用のパラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)11bと、CPU11aが動作に用いるOSやアプリケーションの実行コードやデータ等を記憶するRAM(Random Access Memory)11cと、所定の信号が入力される入力インターフェース機能と所定の信号を出力する出力インターフェース機能を有する外部インターフェース(I/F)部11dと、図示しないハードディスク装置などの不揮発性の記憶媒体と、各種入出力ポートと、を有する。
外部I/F部11dは、ネットワーク19を介して、NRシステムシミュレータ20及び信号解析装置30に対して通信可能に接続されている。また、外部I/F部11dは、OTAチャンバ50における姿勢可変機構56ともネットワーク19を介して接続されている。入出力ポートには、操作部12、表示部13が接続されている。操作部12は、コマンドなど各種情報を入力するための機能部であり、表示部13は、上記各種情報の入力画面や測定結果など、各種情報を表示する機能部である。
上述したコンピュータ装置は、CPU11aがRAM11cを作業領域としてROM11bに格納されたプログラムを実行することにより制御部11として機能する。制御部11は、図14に示すように、呼接続制御部14、信号送受信制御部15、及びDUT姿勢制御部17を有している。呼接続制御部14、信号送受信制御部15、及びDUT姿勢制御部17も、CPU11aがRAM11cの作業領域でROM11bに格納された所定のプログラムを実行することにより実現されるものである。
呼接続制御部14は、リフレクタ7の焦点位置Fに配置された試験用アンテナ5と、リンクアンテナ9a,9bとを駆動してDUT100との間で制御信号(無線信号)を送受信させることにより、NRシステムシミュレータ20とDUT100との間に呼(無線信号を送受信可能な状態)を確立又は維持する制御を行う。
信号送受信制御部15は、操作部12におけるユーザ操作を監視し、ユーザにより所定のスプリアス測定開始操作が行われたことを契機に、呼接続制御部14での呼接続制御を経て、NRシステムシミュレータ20に対して信号送信指令を送信する。さらに、信号送受信制御部15は、試験用アンテナ5を介して試験信号を送信させる制御を行うとともに、信号受信指令を送信し、複数の受信アンテナ6を介してスプリアス信号を受信させる制御を行う。
また、信号送受信制御部15は、操作部12におけるユーザ操作を監視し、ユーザによりDUT100の送信特性及び受信特性の測定に係る所定の送受信特性測定開始操作が行われたことを契機に、呼接続制御部14での呼接続制御を経て、NRシステムシミュレータ20に対して信号送信指令を送信する。さらに、信号送受信制御部15は、試験用アンテナ5を介して試験信号を送信させる制御を行うとともに、信号受信指令を送信し、試験用アンテナ5を介して被測定信号を受信させる制御を行う。
DUT姿勢制御部17は、姿勢可変機構56に保持されているDUT100の測定時の姿勢を制御するものである。この制御を実現するために、例えば、ROM11bには、あらかじめ、DUT姿勢制御テーブル17aが記憶されている。DUT姿勢制御テーブル17aは、例えば、駆動部56a,56bとしてステッピングモータを採用している場合には、該ステッピングモータの回転駆動を決定する駆動パルス数(運転パルス数)を制御データとして格納している。
DUT姿勢制御部17は、DUT姿勢制御テーブル17aをRAM11cの作業領域に展開し、該DUT姿勢制御テーブル17aに基づき、上述したように、アンテナ110が3次元のあらゆる方向に順次向くようにDUT100が姿勢変化するよう姿勢可変機構56を駆動制御する。
また、本実施形態に係る測定装置1において、NRシステムシミュレータ20は、例えば、図15(a)に示すような機能構成を有し、信号解析装置30は、例えば、図15(b)に示すような機能構成を有している。
図15(a)に示すように、NRシステムシミュレータ20は、例えば、信号測定部21、制御部22、操作部23、表示部24を有しており、姿勢可変機構56によりDUT100の姿勢が変化されるごとに、DUT100の送信特性又は受信特性の測定を行うものである。信号測定部21は、信号発生部21a、デジタル/アナログ変換器(DAC)21b、変調部21c、RF部21dの送信部21eにより構成される信号発生機能部と、RF部21dの受信部21f、アナログ/デジタル変換器(ADC)21g、解析処理部21hにより構成される信号解析機能部とを有している。
信号測定部21の信号発生機能部において、信号発生部21aは、基準波形を有する波形データ、具体的には、例えば、I成分ベースバンド信号と、その直交成分信号であるQ成分ベースバンド信号を生成する。DAC21bは、信号発生部21aから出力された基準波形を有する波形データ(I成分ベースバンド信号及びQ成分ベースバンド信号)をデジタル信号からアナログ信号に変換して変調部21cに出力する。変調部21cは、I成分ベースバンド信号と、Q成分ベースバンド信号とのそれぞれに対してローカル信号をミキシングし、さらに両者を合成してデジタル変調信号を出力する変調処理を行う。RF部21dは、変調部21cから出力されたデジタル変調信号から各通信規格の周波数に対応した試験信号を生成し、生成した試験信号を送信部21eにより試験用アンテナ5を介してDUT100に向けて出力する。
また、信号測定部21の信号解析機能部において、RF部21dは、アンテナ110を介して上記試験信号が入力されたDUT100から出力された規定の周波数帯域の被測定信号を、試験用アンテナ5及び信号処理部40bを経由して受信部21fで受信したうえで、該被測定信号をローカル信号とミキシングすることで中間周波数帯域の信号(IF信号)に変換する。ADC21gは、RF部21dの受信部21fでIF信号に変換された被測定信号を、アナログ信号からデジタル信号に変換して解析処理部21hに出力する。なお、信号処理部40bは、ダウンコンバータ、増幅器、周波数フィルタ等により構成されており、試験用アンテナ5から入力される被測定信号に対して、周波数変換(ダウンコンバート)、増幅、周波数選択の各処理を施すようになっている。
解析処理部21hは、ADC21gが出力するデジタル信号である被測定信号を、デジタル処理によって、I成分ベースバンド信号とQ成分ベースバンド信号とにそれぞれ対応する波形データを生成したうえで、該波形データに基づいてI成分ベースバンド信号及びQ成分ベースバンド信号を解析する処理を行う。解析処理部21hは、DUT100に対する送信特性の測定において、例えば、等価等方放射電力(Equivalent Isotropically Radiated Power:EIRP)、全放射電力(TRP)、変調精度(EVM)、送信パワー、コンスタレーション、スペクトラムなどを測定可能である。また、解析処理部21hは、DUT100に対する受信特性の測定において、例えば、受信感度、ビット誤り率(BER)、パケット誤り率(PER)などを測定可能である。ここで、EIRPは、被試験アンテナの主ビーム方向の無線信号強度である。また、TRPは、被試験アンテナから空間に放射される電力の合計値である。
制御部22は、上述した統合制御装置10の制御部11と同様、例えば、CPU、RAM、ROM、各種入出力インターフェースを含むコンピュータ装置によって構成される。CPUは、信号発生機能部、信号解析機能部、操作部23、及び表示部24の各機能を実現するための所定の情報処理や制御を行う。
操作部23、表示部24は、上記コンピュータ装置の入出力インターフェースに接続されている。操作部23は、コマンドなど各種情報を入力するための機能部であり、表示部24は、上記各種情報の入力画面や測定結果など、各種情報を表示する機能部である。
図15(b)に示すように、信号解析装置30は、信号解析部31、制御部32、操作部33、表示部34を有しており、姿勢可変機構56によりDUT100の姿勢が変化されるごとに、DUT100のスプリアス測定を行うものである。信号解析部31は、RF部31a、ADC31b、解析処理部31cを有し、スプリアス信号処理部41から入力されるスプリアス信号に対して、スプリアス測定に関する解析処理や、NRシステムシミュレータ20の信号解析機能部と同等の解析処理を施す。スプリアス信号処理部41は、試験信号が入力されたDUT100から被測定信号とともに出力される複数の区分周波数帯域の無線信号(スプリアス信号)を、各区分周波数帯域に対応するそれぞれの受信アンテナ6を介して受信する。なお、スプリアス信号処理部41は、ダウンコンバータ、増幅器、周波数フィルタを有している。
スプリアス信号処理部41は、各受信アンテナ6がそれぞれ受信したスプリアス信号に対して、周波数変換(ダウンコンバート)、増幅、周波数選択の各処理を施したうえで、該スプリアス信号を信号解析部31のRF部31aに送信するようになっている。RF部31aは、受信した該スプリアス信号をローカル信号とミキシングすることでIF信号に変換する。ADC31bは、RF部31aでIF信号に変換されたスプリアス信号を、アナログ信号からデジタル信号に変換して解析処理部31cに出力する。解析処理部31cは、受信した各区分周波数帯域のスプリアス信号の周波数分布及び電力を解析する。なお、信号解析装置30は、スプリアス信号処理部41を組み込んだ構成であってもよい。
次に、本実施形態に係る測定装置1を用いるDUT100のスプリアス測定処理について、図21のフローチャートを参照して説明する。図21においては、スプリアス周波数帯域のうち(図19参照)、それぞれ、番号1、番号2、番号3、番号4で示す各区分周波数帯域をそれぞれ使用可能な4つの受信アンテナ6が焦点位置F外に配置された状態でスプリアス測定が行われるものとする。また、図21においては、DUT100のスプリアス測定処理を開始することを指示するスプリアス測定開始操作が統合制御装置10の操作部12で行われる場合について説明する。なお、スプリアス測定開始操作は、信号解析装置30の操作部33で行われるようにしてもよい。
測定装置1において、DUT100のスプリアス測定を行うためには、まず、OTAチャンバ50の内部空間51内にDUT100をセットする必要がある。これにより、測定装置1では、スプリアス測定の最初の処理として、ユーザにより、OTAチャンバ50の姿勢可変機構56のDUT載置部56eに被試験対象のDUT100を保持させる作業が行われる(保持ステップS1)。
DUT100のセット作業が行われた後、統合制御装置10は、例えば、制御部11が、操作部12においてスプリアス測定開始操作が行われたか否かを監視する(ステップS2)。
ここで、上記スプリアス測定開始操作が行われていないと判定された場合(ステップS2でNO)、制御部11は上記ステップS2の監視を続行する。これに対し、上記スプリアス測定開始操作が行われたと判定された場合(ステップS2でYES)、制御部11は、スプリアス測定を行う区分周波数帯域の順番を示すnを、1番目の区分周波数帯域を示すn=1にセットする(ステップS3)。なお、この例においては、nの最大値は4である。
次に、制御部11の呼接続制御部14は、焦点位置Fに配置された試験用アンテナ5を使用し、DUT100との間で制御信号(無線信号)を送受信することにより呼接続制御を実施する(ステップS4)。ここでNRシステムシミュレータ20は、DUT100に対して試験用アンテナ5を介して制御信号(呼接続要求信号)を無線送信させる一方で、該呼接続要求信号を受信したDUT100が接続要求された周波数を設定したうえで送信してくる制御信号(呼接続応答信号)を受信する呼接続制御を行う。この呼接続制御により、NRシステムシミュレータ20とDUT100との間には、リフレクタ7の焦点位置Fに配置された試験用アンテナ5とリフレクタ7とを介して無線信号を送受信可能な状態が確立される。
なお、NRシステムシミュレータ20から試験用アンテナ5及びリフレクタ7を介して送られてくる無線信号をDUT100が受信する処理はダウンリンク(DL)処理とされる。逆に、リフレクタ7及び試験用アンテナ5を介してNRシステムシミュレータ20に対して無線信号をDUT100が送信する処理はアップリンク(UL)処理とされる。試験用アンテナ5は、リンク(呼)を確立する処理、ならびにリンク確立後のダウンリンク(DL)及びアップリンク(UL)の処理を実行するために用いられるものであり、リンクアンテナの機能を兼ねている。
ステップS4での呼接続の確立後、統合制御装置10のDUT姿勢制御部17は、クワイエットゾーンQZ内に配置されたDUT100の姿勢を姿勢可変機構56により所定の姿勢に制御する(姿勢可変ステップS5)。
ステップS5で姿勢可変機構56によりDUT100が所定の姿勢に制御された後、統合制御装置10の信号送受信制御部15は、NRシステムシミュレータ20に対して信号送信指令を送信する。NRシステムシミュレータ20は、上記信号送信指令に基づき、DUT100に対し、リフレクタ7の焦点位置Fに配置されている試験用アンテナ5を介して試験信号を出力する制御を行う(試験信号出力ステップS6)。
NRシステムシミュレータ20による試験信号送信制御は以下のように実施される。NRシステムシミュレータ20(図15(a)参照)において、上記信号送信指令を受けた制御部22は、信号発生機能部を制御し、信号発生部21aで試験信号を生成するための信号を発生させる。その後、この信号をDAC21bでデジタル/アナログ変換処理し、さらに変調部21cで変調処理を行った後、RF部21dでデジタル変調信号から各通信規格の周波数に対応した試験信号を生成し、当該試験信号(DLデータ)を送信部21eにより試験用アンテナ5を介してDUT100に向けて出力する。
送信部21eと試験用アンテナ5の間には信号処理部40aが設けられ、信号処理部40aはアップコンバータ、増幅器、周波数フィルタ等により構成されている。信号処理部40aは、試験用アンテナ5に出力する試験信号に対して、周波数変換(アップコンバート)、増幅、周波数選択の各処理を施す。なお、信号送受信制御部15は、ステップS6で試験信号送信の制御を開始した後、測定対象のスプリアス周波数帯域の全ての区分周波数帯域についてのスプリアス測定が終了するまでの間、試験信号を適宜のタイミングで送信するよう制御する。
これに対し、DUT100は、試験用アンテナ5及びリフレクタ7を介して送られてくる試験信号(DLデータ)を、ステップS5による上記姿勢制御に基づいて順次変化する異なる姿勢の状態でアンテナ110により受信するとともに、該試験信号に対する応答信号である被測定信号を送信するように動作する。
ステップS6で試験信号が送信開始された後、引き続き、信号解析装置30は、リフレクタ7の焦点位置F外に配置されているn番目の受信アンテナ6-nにより受信されたスプリアス信号の受信処理を行う(スプリアス信号受信ステップS7)。この受信処理においては、受信アンテナ6-nにより受信された信号は、スプリアス信号処理部41に入力され、該スプリアス信号処理部41により、周波数変換(ダウンコンバート)、増幅、周波数選択の各処理を施された後、信号解析装置30の信号解析部31に入力される。
引き続き、信号解析装置30は、ステップS7で受信処理された信号(受信アンテナ6-nにより受信されたスプリアス信号)を解析し、該解析結果を記憶する制御を行う(解析ステップS8)。このとき、信号解析装置30では、制御部32が信号解析部31を制御し、スプリアス信号処理部41から入力されたスプリアス信号を、RF部31a、ADC31bを介して取り込み、解析処理部31cによって当該スプリアス信号について、例えば、周波数分布や電力を解析する制御が行われる。また、制御部32は、スプリアス信号の解析結果を、図示しないRAM等の記憶領域に記憶する制御を行う。
引き続き、統合制御装置10では、例えば、DUT姿勢制御部17が、n番目の区分周波数帯域について、所望の全ての姿勢に関してDUT100のスプリアス測定が終了したか否かを判定する(ステップS9)。ここで、n番目の区分周波数帯域についてのスプリアス測定が終了していないと判定された場合(ステップS9でNO)、ステップS5以降の処理を続行する。
これに対し、n番目の区分周波数帯域についてのスプリアス測定が終了したと判定された場合(ステップS9でYES)、制御部11は、上記nが、最後の区分周波数帯域であることを示すn=4に達したか否かを判定する(ステップS10)。ここで、n=4に達していないと判定された場合(ステップS10でNO)、制御部11は、nの値をインクリメントして(ステップS11)、ステップS5以降の処理を続行する。
これに対し、n=4に達したと判定された場合(ステップS10でYES)、統合制御装置10は、図21に示す上記一連のスプリアス測定処理を終了する。
なお、本実施形態に係る測定装置1では、上記ステップS6でNRシステムシミュレータ20から試験信号を送信した後、引き続き、当該NRシステムシミュレータ20において、制御部22により、上記試験信号を受信したDUT100がアンテナ110から送信する被測定信号を測定する制御が行われてもよい。あるいは、上記試験信号のNRシステムシミュレータ20による測定処理は、図21に示すスプリアス測定処理とは独立に、任意のタイミングで行われてもよい。
なお、上記実施形態では、例えば、6GHz~87GHzのスプリアス周波数帯域(図19参照)を4つの受信アンテナ6でカバーする例を挙げているが、本発明は、これに限らず、任意のスプリアス周波数帯域を任意の数の受信アンテナ6でカバーする構成としてもよい。なお、本発明は、電波暗箱だけではなく電波暗室にも適用できる。
以上説明したように、本実施形態に係る測定装置1においては、スプリアス測定用の複数の受信アンテナ6が、リフレクタ7の回転放物面から定まる焦点位置F外に配置されている。これにより、スプリアス測定用の複数の受信アンテナ6をリフレクタ7の焦点位置Fに順次配置させる必要が無くなり、測定装置1の耐久性が高まる。さらに、本実施形態に係る測定装置1は、ミリ波帯の無線信号を送受信するDUT100に対して各区分周波数帯域のスプリアス測定を間断なく行うことができるため、広範な周波数帯域にわたって効率的なスプリアス測定を行うことができる。
また、本実施形態に係る測定装置1は、試験用アンテナ5あるいは受信アンテナ6-1、6-2、6-3、6-4として、第1又は第2の実施形態の通信アンテナ200,240,250,260,270,280,290のうちのいずれかを用いることにより、5GのFR2の通信領域拡張に対応した測定を行うことができる。
また、本実施形態に係る測定装置1は、信号解析装置30を備えることにより、規定の周波数帯域の無線信号を送信又は受信するアンテナ110を有するDUT100について、該規定の周波数帯域とは異なる複数の区分周波数帯域のスプリアス信号を容易に測定可能である。
また、本実施形態に係る測定装置1においては、複数の受信アンテナ6の開口面6-1a,6-2a,6-3a,6-4aの中心が、焦点位置FからクワイエットゾーンQZのサイズに応じた距離以内に配置される。例えば、クワイエットゾーンQZの直径Φを33cmとする場合には、各受信アンテナ6から無線信号の電波を放射した場合のクワイエットゾーンQZにおける振幅偏差が0.6dB未満となる、焦点位置Fからの距離以内(例えば、60mm以内)に、開口面6-1a,6-2a,6-3a,6-4aの中心が配置されることが望ましい。これにより、本実施形態に係る測定装置1は、複数の受信アンテナ6を焦点位置Fに配置したときとほぼ同等の品質のスプリアス測定結果を得ることができる。
また、本実施形態に係る測定装置1においては、試験用アンテナ5の開口面5aと、複数の受信アンテナ6の開口面6-1a,6-2a,6-3a,6-4aとが、アンテナ110から送信されてリフレクタ7により反射された無線信号の電波の進行方向に対して垂直となる同一の平面61aに配置される。これにより、本実施形態に係る測定装置1は、良好な品質のスプリアス測定結果を得ることができる焦点位置F外の位置に複数の受信アンテナ6を容易に配置できる。
以上、本発明の実施の形態について開示したが、本発明の範囲を逸脱することなく本実施の形態に変更を加えられ得ることは容易である。例えば、通信規格の更新に伴う周波数帯域の上限値と下限値の変更に対しても、本発明の実施の形態は、このような変更が加えられた等価物が特許請求の範囲に記載された発明に含まれることを前提として開示されている。