JP7379421B2 - 試験装置及び試験方法 - Google Patents

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Description

本発明は、OTA(Over The Air)環境の電波暗箱を用いて、被試験対象の送信特性又は受信特性を測定する試験装置及び試験方法に関する。
近年、マルチメディアの進展に伴い、セルラ、無線LAN等の無線通信用のアンテナが実装された無線端末(スマートフォン等)が盛んに生産されるようになっている。今後は、特に、ミリ波帯の広帯域な信号を使用するIEEE802.11adや5Gセルラ等に対応した無線信号を送受信する無線端末が求められる。
無線端末の設計開発会社又はその製造工場においては、無線端末が備えている無線通信アンテナに対して、通信規格ごとに定められた送信電波の出力レベルや受信感度を測定し、これらのRF(Radio Frequency)特性が所定の基準を満たすか否かを判定する性能試験が行われる。また、性能試験では、RRM(Radio Resource Management)特性の測定も行われる。RRM特性の測定は、基地局と無線端末間の無線リソース制御、例えば隣接基地局間のハンドオーバ等が正しく動作するか否かを確認するために行われる。
4G、あるいは4Gアドバンスから5Gへの世代移行に伴い、上述した性能試験の試験方法も変わりつつある。例えば、5G NR(New Radio)システム用の無線端末を被試験対象(Device Under Test:DUT)とする性能試験においては、4Gや4Gアドバンス等の試験で主流であったDUTのアンテナ端子と試験装置とを有線接続する方法は、高周波回路にアンテナ端子を付けることによる特性劣化や、アレーアンテナの素子数が多くアンテナ端子を全素子に付けることがスペース面・コスト面を考慮して現実的でないことなどの理由で使用できない。このため、DUTを試験用アンテナとともに周囲の電波環境に影響されない電波暗箱の中に収容し、試験用アンテナからDUTに対する試験信号の送信と、試験信号を受信したDUTからの被測定信号の試験用アンテナでの受信とを無線通信により行う、いわゆるOTA試験が行われるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
OTA試験では、電波暗箱内に配置された試験用アンテナにより、例えば球形のクワイエットゾーン(quiet zone)が形成され、DUTはクワイエットゾーン内に配置される。ここで、クワイエットゾーンとは、OTA試験環境を構成する電波暗箱において、DUTが試験用アンテナからほぼ均一な振幅と位相の電波で照射される空間領域の範囲を表す概念である(例えば、非特許文献1参照)。このようなクワイエットゾーンにDUTを配置することにより、周りからの散乱波の影響を抑えた状態でOTA試験を行うことが可能になる。
特開2020-085784号公報
3GPP TR 38.810
図16は、DUTのRRM特性を測定する従来の試験装置の電波暗箱の天板を取り除いて上方から見た平面図である。従来の試験装置では、リフレクタ207を介してDUT100と電波を送受信するリフレクタ反射型の試験用アンテナ206aと、DUT100と電波を送受信する試験用アンテナ206b,206c,206d,206e,206fとを備えている。5個の試験用アンテナ206b,...,206fは、DUT100の配置位置(原点O)において、リフレクタ反射型の試験用アンテナ206aからの電波到来方向を基準に、互いに異なる5つの到来角度(30°,60°,90°,120°,150°)を形成するよう配置されている。試験では試験用アンテナ206a,...,206fから選択された2つの試験用アンテナを用いて、異なる複数の到来角度に関してRRM特性等の送受信特性を測定するようになっている。しかしながら、試験用アンテナの数が多いと装置コストや設置コストが高くなるので、試験用アンテナの個数を削減することが望まれていた。
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであって、被試験対象のRRM特性等の送受信特性についての遠方界測定を少ないアンテナ数で実施できる試験装置及び試験方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る試験装置は、被試験アンテナ(110)を有する被試験対象(100)の送信特性又は受信特性を測定する試験装置(1)であって、周囲の電波環境に影響されない内部空間を有する電波暗箱(50)と、前記内部空間におけるクワイエットゾーン(QZ)内に配置された前記被試験対象の姿勢を順次変化させる姿勢可変機構(56)と、前記内部空間に収容され、前記被試験対象の送信特性又は受信特性を測定するための無線信号を前記被試験アンテナとの間で送信又は受信する第1の試験用アンテナ(6a)及び第2の試験用アンテナ(6b)と、前記第1の試験用アンテナが放射した無線信号を反射して平面波の無線信号に変換するリフレクタ(7)と、前記第2の試験用アンテナから放射された無線信号を反射して前記被試験アンテナに送るとともに、前記被試験アンテナから放射された無線信号を反射して前記第2の試験用アンテナに送る平面状のミラー(9)と、前記第1の試験用アンテナからの電波到来方向を基準に遠方界に設置された前記被試験対象に対して複数の到来角度で無線信号を送信又は受信することができるように、前記第2の試験用アンテナの位置を移動させるアンテナ可動機構(60)と、を備え、前記アンテナ可動機構は、前記第2の試験用アンテナを保持するアンテナ保持部(600)と、前記アンテナ保持部を円上で移動させる移動機構(700)とを備え、前記アンテナ保持部は、前記第2の試験用アンテナを保持する柱状の支柱(61)を有し、前記支柱は、前記移動機構に取り付けられた一端部が他端部よりも前記円の中心軸の側に寄るように鉛直方向に対して傾斜し、前記第2の試験用アンテナと前記平面状のミラーを前記柱状の支柱に沿って間隔をおいて保持することを特徴とする
上記のように、本実施形態に係る試験装置は、第1の試験用アンテナからの電波到来方向を基準に遠方界に設置された被試験対象に対して複数の到来角度で無線信号を送信又は受信することができるように、第2の試験用アンテナの位置を移動させるアンテナ可動機構を備えている。この構成により、被試験対象のRRM特性等の送受信特性についての遠方界測定において、試験を行う到来角度の数に応じて試験用アンテナを設ける必要がなく、アンテナ数を削減することができる。これにより、アンテナ等の機器コスト及び取り付け作業コストを低減することができる。
また、上述のように、本発明に係る試験装置において、前記アンテナ可動機構は、前記第2の試験用アンテナを保持するアンテナ保持部(600)と、前記アンテナ保持部を円上で移動させる移動機構(700)とを備える構成であ
この構成により、本発明に係る試験装置は、アンテナ数を削減することができることに加えて、到来角度が異なっても第2の試験用アンテナと被試験対象との距離を常に一定にすることができる。
また、上述のように、本発明に係る試験装置において、前記アンテナ保持部は、前記第2の試験用アンテナを保持する柱状の支柱(61)を有し、前記支柱は、前記移動機構に取り付けられた一端部が他端部よりも前記円の中心軸の側に寄るように鉛直方向に対して傾斜している構成であ
この構成により、本発明に係る試験装置は、アンテナ可動機構の占有(設置)面積及び占有空間(体積)を小さくすることができ、電波暗箱の限られた内部空間を効率的に使用することができる。
また、上述のように、本発明に係る試験装置、前記第2の試験用アンテナから放射された無線信号を反射して前記被試験アンテナに送るとともに、前記被試験アンテナから放射された無線信号を反射して前記第2の試験用アンテナに送る平面状のミラー(9)を備え、前記アンテナ保持部は、前記第2の試験用アンテナと前記平面状のミラーを前記柱状の支柱に沿って間隔をおいて保持する構成であ
この構成により、本発明に係る試験装置は、第2の試験用アンテナと被試験アンテナとの間で送受信される無線信号の経路をミラーにより変えることができるので、電波暗箱の限られた内部空間においても遠方界測定に必要なアンテナ間距離を確保することができる。
また、本発明に係る試験装置において、前記移動機構は、移動台(72)を直線移動させる直線運動部(701)と、円弧状のレール(76)と、前記アンテナ保持部が固定され前記レールに沿って移動可能な可動台(77)と、前記移動台と前記可動台とを連結し、前記移動台の直線移動により前記可動台を前記レールに沿って移動させるリンク(703)とを備え、前記リンクは、前記リンクの長手方向が前記移動台の移動方向に対して常に直交するように、前記移動台に連結されている構成であってもよい。
この構成により、本発明に係る試験装置は、試験を行う到来角度の数だけ試験用アンテナを設ける必要がなく、アンテナ数を削減することができる上に、所定範囲内で任意の到来角度になるように第2の試験用アンテナを設置することができる。しかも、電波暗箱内で被試験対象が保持されている中央の姿勢可変機構を避けて、アンテナ可動機構を周辺に設置することができ、電波暗箱の限られた内部空間を効率的に使用することができる。
また、本発明に係る試験装置において、前記移動機構は、移動台(72)を直線移動させる直線運動部(701)と、円弧状のレール(76)と、前記アンテナ保持部が固定され前記レールに沿って移動可能な可動台(77)と、前記移動台と前記可動台とを連結し、前記移動台の直線移動により前記可動台を前記レールに沿って移動させるリンク(703)とを備え、前記リンクは、該リンクの長手方向が前記移動台の移動方向に対してなす角度が前記移動台の位置に応じて変わるように、前記移動台に連結されている構成であってもよい。
この構成により、本発明に係る試験装置は、直線運動部の長手方向の長さを短くすることができ、これにより、電波暗箱内で被試験対象が保持されている中央の姿勢可変機構を避けて、電波暗箱の限られた内部空間を効率的に使用することができる。
また、本発明に係る試験装置において、前記移動機構は、内周面又は外周面に複数の歯が形成されたリング状又は円弧状のラック(81)と、前記ラックの歯に係合する歯車を有し、回転駆動部により回転することで前記ラックに沿って移動するピニオン(82)と、前記ピニオンに取り付けられた可動台(84)とを備え、前記アンテナ保持部は、前記可動台に取り付けられている構成であってもよい。
この構成により、本発明に係る試験装置は、電波暗箱内で被試験対象が保持されている中央の姿勢可変機構を避けて、アンテナ可動機構を周辺に設置することができ、電波暗箱の限られた内部空間を効率的に使用することができる。
また、本発明に係る試験装置において、前記移動機構は、内周面又は外周面に複数の歯が形成されたリング状又は円弧状のラック(85)と、前記ラックの歯に係合する歯車を有し、回転駆動部により回転することで前記ラックを回転移動させるピニオン(86)と、前記ラックに取り付けられた可動台(88)とを備え、前記アンテナ保持部は、前記可動台に取り付けられている構成であってもよい。
この構成により、本発明に係る試験装置は、電波暗箱内で被試験対象が保持されている中央の姿勢可変機構を避けて、アンテナ可動機構を周辺に設置することができ、電波暗箱の限られた内部空間を効率的に使用することができる。
また、本発明に係る試験方法は、上記いずれかに記載の試験装置を用いる試験方法であって、前記複数の到来角度のうち一の到来角度を選択するステップと、前記選択された到来角度となるように前記アンテナ可動機構により前記第2の試験用アンテナを移動させるステップと、前記クワイエットゾーン内に配置された前記被試験対象の姿勢を順次変化させるステップと、前記被試験対象の姿勢が変化されるごとに、前記第1及び第2の試験用アンテナを用いて前記被試験対象の送信特性又は受信特性の測定を行うステップと、を含むことを特徴とする。
上述のように、本発明に係る試験方法に用いる試験装置は、第1の試験用アンテナからの電波到来方向を基準に遠方界に設置された被試験対象に対して複数の到来角度で無線信号を送信又は受信することができるように、第2の試験用アンテナの位置を移動させるアンテナ可動機構を備えている。そして、本試験方法は、選択された到来角度となるようにアンテナ可動機構により第2の試験用アンテナを移動させるステップを含んでいる。これにより、被試験対象のRRM特性等の送受信特性についての遠方界測定を少ないアンテナ数で実施することができる。アンテナ数が削減されることにより、アンテナ等の機器コスト及び取り付け作業コストを低減することができる。
本発明によれば、被試験対象のRRM特性等の送受信特性についての遠方界測定を少ないアンテナ数で実施できる試験装置及び試験方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る試験装置全体の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態に係る試験装置の機能構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る試験装置の統合制御装置の機能構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る試験装置のNRシステムシミュレータの機能構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る試験装置の電波暗箱の天板を取り除いて上方から見た平面図である。 電波暗箱の正面側の側板を取り除いて正面側から見た正面図である。 電波暗箱内での試験用アンテナとミラーの配置を示す模式図である。 第1の実施形態に係るアンテナ可動機構の構造及び動作を示す図である。 アンテナ保持部の変形例1を示す図である。 変形例1のアンテナ保持部に保持された試験用アンテナとミラーの配置を示す模式図である。 アンテナ保持部の変形例2を示す図である。 本発明の実施形態に係る試験装置を用いて行う試験方法の概略を示すフローチャートである。 第2の実施形態に係るアンテナ可動機構の構造及び動作を示す図である。 第3の実施形態に係るアンテナ可動機構の概略構造を示す図である。 第4の実施形態に係るアンテナ可動機構の概略構造を示す図である。 従来の試験装置の電波暗箱の天板を取り除いて上方から見た平面図である。
以下、本発明の実施形態に係る試験装置及び試験方法について、図面を参照して説明する。なお、各図面上の各構成要素の寸法比は、実際の寸法比と必ずしも一致していない。
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る試験装置1は、アンテナ110を有するDUT100の送信特性又は受信特性を測定するものであり、例えば、DUT100のRF特性やRRM特性を測定するようになっている。このために、試験装置1は、電波暗箱(OTAチャンバーともいう)50と、2つの試験用アンテナ6a、6b(以下、試験用アンテナ6と総称することもある)と、姿勢可変機構56と、統合制御装置10と、NRシステムシミュレータ20と、信号処理部40とを備えている。統合制御装置10とNRシステムシミュレータ20と信号処理部40は、測定装置2を構成している。
図1は、試験装置1の外観構造を示し、図2は、試験装置1の機能ブロックを示す。ただし、図1においては、電波暗箱50について正面から透視した状態における各構成要素の配置態様を示している。
図1及び図2に示すように、電波暗箱50は、周囲の電波環境に影響されない内部空間51を有している。試験用アンテナ6は、電波暗箱50の内部空間51に設置され、DUT100の送信特性又は受信特性を測定するための無線信号をアンテナ110との間で送信又は受信するようになっている。姿勢可変機構56は、電波暗箱50の内部空間51におけるクワイエットゾーンQZ内に配置されたDUT100の姿勢を変化させるようになっている。統合制御装置10、NRシステムシミュレータ20、及び信号処理部40は、姿勢可変機構56により姿勢を変化させたDUT100に対して1又は2の試験用アンテナ6を用いて、DUT100の送信特性又は受信特性の測定を行うようになっている。
試験装置1は、例えば、図1に示すような複数のラック収納部90aを有するラック構造体90と共に用いられ、各ラック収納部90aに各構成要素を載置した態様で運用される。図1は、ラック構造体90の3つのラック収納部90aに、それぞれ統合制御装置10、NRシステムシミュレータ20、及び電波暗箱50を載置した例を示す。以下、各構成要素について説明する。
(電波暗箱)
電波暗箱50は、無線端末の送信又は受信特性の測定に用いられ、例えば5G用の無線端末の性能試験に際してのOTA試験環境を実現するものである。図1及び図2に示すように、電波暗箱50は、例えば、直方体形状の内部空間51を有する金属製の筐体本体部52により構成されている。電波暗箱50は、内部空間51に、DUT100と、DUT100のアンテナ110と直接又は間接に対向する2つの試験用アンテナ6を、外部からの電波の侵入及び外部への電波の放射を防ぐ状態に収容するようになっている。
また、電波暗箱50の内面全域、つまり、筐体本体部52の底面52a、側面52b及び上面52c全面には、電波吸収体55が貼り付けられ、内部空間51の無響特性を確保すると共に、外部への電波の放射規制機能が強化されている。このように、電波暗箱50は、周囲の電波環境に影響されない内部空間51を形成している。本実施形態で用いる電波暗箱50は、例えば、CATR(Compact Antenna Test Range)方式の無響チャンバー(Anechoic Chamber)である。
(DUT)
被試験対象とされるDUT100は、例えばスマートフォンなどの無線端末である。DUT100の通信規格としては、セルラ(LTE、LTE-A、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、1xEV-DO、TD-SCDMA等)、無線LAN(IEEE802.11b/g/a/n/ac/ad等)、Bluetooth(登録商標)、GNSS(GPS、Galileo、GLONASS、BeiDou等)、FM、及びデジタル放送(DVB-H、ISDB-T等)が挙げられる。また、DUT100は、5Gセルラ等に対応したミリ波帯の無線信号を送受信する無線端末であってもよい。
本実施形態において、DUT100は例えば5G NRの無線端末である。5G NRの無線端末については、ミリ波帯の他、LTE等で使用する他の周波数帯も含む既定の周波数帯を通信可能周波数範囲とすることが5G NR規格によって規定されている。よって、DUT100のアンテナ110は、DUT100の送信特性又は受信特性の被測定対象である既定の周波数帯(5G NRバンド)の無線信号を送信又は受信するものである。アンテナ110は、例えばMassive-MIMOアンテナ等のアレーアンテナであり、本発明における被試験アンテナに相当する。
本実施形態において、DUT100は、電波暗箱50内での送受信特性に関する測定中、試験用アンテナ6及び必要に応じてリフレクタ7又はミラー9を介して試験信号及び被測定信号を送受信できるようになっている。
(姿勢可変機構)
次に、電波暗箱50の内部空間51に設けられた姿勢可変機構56について説明する。図1に示すように、電波暗箱50の筐体本体部52における内部空間51側の底面52a(床)には、クワイエットゾーンQZ内に配置されたDUT100の姿勢を変化させる姿勢可変機構56が設けられている。姿勢可変機構56は、例えば、2軸の各軸周りに回転する回転機構を備える2軸ポジショナである。姿勢可変機構56は、試験用アンテナ6を設定した状態で、DUT100を2軸周りの回転自由度をもって回転させるようなOTA試験系(Combined-axes system)を構成する。具体的には、姿勢可変機構56は、駆動部56aと、ターンテーブル56bと、支柱56cと、被試験対象載置部としてのDUT載置部56dとを有する。
駆動部56aは、回転駆動力を発生させるステッピングモータなどの駆動用モータからなり、例えば、底面52aに設置される。ターンテーブル56bは、駆動部56aの回転駆動力により、互いに直交する2軸のうちの一方の軸の周りに所定角度回転するようになっている。支柱56cは、ターンテーブル56bに連結され、ターンテーブル56bから一方の軸の方向に延びて、駆動部56aの回転駆動力によりターンテーブル56bと共に回転するようになっている。DUT載置部56dは、支柱56cの側面から2軸のうちの他方の軸の方向に延びて、駆動部56aの回転駆動力により他方の軸の周りに所定角度回転するようになっている。DUT100は、DUT載置部56dに載置される。
なお、上記の一方の軸は、例えば、底面52aに対して鉛直方向に延びる軸(図中のY軸)である。また、上記の他方の軸は、例えば、支柱56cの側面から水平方向に延びる軸である。このように構成された姿勢可変機構56は、DUT載置部56dに保持されているDUT100を、例えば、DUT100の中心を回転中心として、試験用アンテナ6及びリフレクタ7に対して3次元のあらゆる方向にアンテナ110が向く状態に順次姿勢を変化させ得るように回転させることができる。
OTA試験系では、姿勢可変機構56の2つの回転軸の交点である回転中心(原点Oともいう)に、DUT100の中心又はアンテナ110の中心が配置されるようになっている。DUT100が配置される位置は、OTA試験系の原点Oであり、電波暗箱50内に配置されたDUT100の中心又はアンテナ110の中心の位置である。すなわち、原点Oは、姿勢可変機構56によりDUT100を2軸周りに回転させたときの不動の回転中心に対応する。
(リンクアンテナ)
電波暗箱50において、筐体本体部52の所要位置には、DUT100との間でリンク(呼)を確立又は維持するための2種類のリンクアンテナ5、8がそれぞれ保持具57、59を用いて取り付けられている。リンクアンテナ5は、LTE用のリンクアンテナであり、ノンスタンドアローンモード(Non-Standalone mode)で使用される。一方、リンクアンテナ8は、5G用のリンクアンテナであり、5Gの呼を維持するために使用される。リンクアンテナ5、8は、姿勢可変機構56に保持されるDUT100に対して指向性を有するようにそれぞれ保持具57、59によって保持されている。なお、上記のリンクアンテナ5、8を使用する代わりに、試験用アンテナ6をリンクアンテナとして兼用することも可能であるため、以下においては、試験用アンテナ6がリンクアンテナの機能を兼ねるものとして説明する。
(近傍界と遠方界)
次に、近傍界と遠方界について説明する。電波がアンテナからDUT100へ直接伝わる場合をDFF(Direct Far Field)方式といい、電波がアンテナから回転放物面を有するリフレクタ7を反射してDUT100へ伝わる場合をIFF(Indirect Far Field)方式という。
アンテナを放射源とする電波は、同位相の点を結んだ面(波面)が放射源を中心にして球状に拡がりながら伝搬する性質がある。放射源から近い距離では、波面は湾曲した球面(球面波)であるが、放射源から遠くなると波面は平面(平面波)に近くなる。一般に、波面を球面と考える必要のある領域が近傍界(NEAR FIELD)と呼ばれ、波面を平面とみなしてよい領域が遠方界(FAR FIELD)と呼ばれている。DUT100は、正確な測定を行ううえで、球面波を受信するよりも、平面波を受信する方が好ましい。
平面波を受信するためには、DUT100が遠方界に設置される必要がある。DUT100内でのアンテナ110の位置及びアンテナサイズが分かっていないとき、遠方界は、アンテナから2D/λ以遠の領域となる。ここで、Dは、DUT100の最大直線サイズ、λは電波の波長である。なお、DUT100内でのアンテナ110の位置及びアンテナサイズが分かっているとき、Dはアンテナサイズである。
本実施形態では、試験用アンテナ6aの電波をリフレクタ7の回転放物面で反射させ、DUT100の位置にその反射波を到達させる方式であるCATR方式を利用している。この方式によれば、試験用アンテナ6aとDUT100間の距離を短縮でき、リフレクタ7の反射鏡面での反射後直ぐの距離から平面波の領域が拡がるため、伝搬ロスを低減することもできる。平面波の度合は、同位相の波の位相差で表すことができる。平面波の度合として許容し得る位相差は、例えば、λ/16である。位相差は、例えば、ベクトル・ネットワーク・アナライザ(VNA)で評価することができる。
(試験用アンテナ)
次に、試験用アンテナ6について説明する。
図5は、本実施形態に係る試験装置1の電波暗箱50の天板を取り除いて上方から見た平面図であり、図6は、電波暗箱50の正面側の側板(図6における下側の側板)を取り除いて正面側から見た正面図である。
図5及び図6に示すように、試験用アンテナ6は、第1の試験用アンテナとして1個のリフレクタ反射型の試験用アンテナ6aと、第2の試験用アンテナとして1個のミラー反射型の試験用アンテナ6bとを含んでいる。リフレクタ反射型の試験用アンテナ6aは、リフレクタ7を介してアンテナ110との間でDUT100の送信特性又は受信特性を測定するための無線信号(以下、測定用の無線信号ともいう)を送信又は受信するようになっている。ミラー反射型の試験用アンテナ6bは、ミラー9を介して、DUT100が備えるアンテナ110との間で、DUT100の送信特性又は受信特性を測定するための無線信号を送信又は受信するようになっている。各試験用アンテナ6は、水平偏波アンテナと垂直偏波アンテナを備えている(図2参照)。
(リフレクタ反射型の試験用アンテナ)
まず、リフレクタ反射型の試験用アンテナ6aについて説明する。
リフレクタ反射型の試験用アンテナ6aは、リフレクタ7と共に用いられ、一次放射器として機能する。試験用アンテナ6aとしては、例えば、ホーンアンテナ等の指向性を持ったミリ波用のアンテナを用いることができる。リフレクタ7は、曲面状に湾曲した例えばアルミニウム製の反射面を有し、測定用の無線信号の電波を反射するものであり、真円型のパラボラの回転放物面の一部を切り出したオフセットパラボラ型の構造を有するものである。リフレクタ7は、図1に示すように、電波暗箱50の側面52bの所要位置にリフレクタ保持具58を用いて取り付けられている。
リフレクタ7は、その回転放物面から定まる焦点位置に配置されている一次放射器としての試験用アンテナ6aから放射された試験信号の電波を回転放物面で受け、姿勢可変機構56に保持されているDUT100に向けて反射させる(送信時)。また、リフレクタ7は、上記試験信号を受信したDUT100がアンテナ110から放射する被測定信号の電波を回転放物面で受け、試験用アンテナ6aに向けて反射させる(受信時)。リフレクタ7は、これら送信と受信が同時に可能な位置及び姿勢で配設されている。すなわち、リフレクタ7は、試験用アンテナ6aとDUT100のアンテナ110との間で送受信される無線信号の電波を、回転放物面で反射するようになっている。
この構成により、試験用アンテナ6aから放射された電波(例えば、DUT100に対する試験信号)を回転放物面で該回転放物面の軸方向と平行な方向に反射させるとともに、回転放物面の軸方向と平行な方向にて回転放物面に対して入射する電波(例えば、DUT100から送信された被測定信号)を該回転放物面で反射させ、試験用アンテナ6aへと導くことができる。別言すれば、リフレクタ7は、試験用アンテナ6aから放射された球面波の電波を平面波の電波に変換してDUT100に送ると共に、DUT100から放射されリフレクタ7に入射する平面波の電波を試験用アンテナ6aに集束させるものである。オフセットパラボラは、パラボラ型に比べて、リフレクタ7自体が小さくて済むうえに、鏡面が垂直に近づくような配置が可能であるので、電波暗箱50の構造を小型化し得る。
図6に示すように、リフレクタ反射型の試験用アンテナ6aは、DUT100の配置位置(原点O)を通る水平面HPより下方に配置されている。試験用アンテナ6aから放射されリフレクタ7で反射した電波ビームはZ軸負方向に伝搬され、所要半径のクワイエットゾーンQZを形成するようになっている。
(ミラー反射型の試験用アンテナ)
次に、ミラー反射型の試験用アンテナ6bについて説明する。
ミラー反射型の試験用アンテナ6bは、測定用の無線信号の電波を反射する平面状のミラー9を介して、DUT100のアンテナ110との間で無線信号を送信又は受信するようになっている。ミラー9は、例えばアルミニウム製であり、平坦な鏡面を有している。ミラー反射型の試験用アンテナ6bから放射された電波ビームは、ミラー9において鏡面反射するようになっている。
図7は、電波暗箱50内でのミラー9とミラー反射型の試験用アンテナ6bの配置を示す模式図である。ミラー9と試験用アンテナ6bは、アンテナ保持部600により保持された状態で、アンテナ可動機構(図示せず)により原点Oを通るy軸を中心にθ方向に回転移動できるようになっている。試験用アンテナ6bは、水平面HPより下方に配置され、ミラー9は、ミラー面上の電波ビームの反射点P5が水平面HP上に位置するように、配置されている。試験用アンテナ6bから放射された電波ビームは、ミラー9で反射してDUT100が配置されている原点Oに送られる。また、DUT100のアンテナ110から放射された電波ビームは、ミラー9で反射して試験用アンテナ6bに送られる。仮に、ミラー9が無いとすると、電波暗箱50の外部に試験用アンテナ6Aが配置されることとなり、遠方界測定に要するアンテナ間距離(O-PA間距離)を確保することができない。ミラー9により電波ビームの伝搬経路を曲げることにより、試験用アンテナ6bを電波暗箱50内に配置すると共に、遠方界測定に必要なアンテナ間距離を確保することができる。
具体的には、図7において、O-P5間距離とP5-P15間距離とを足し合わせた距離は、遠方界測定に要するアンテナ間距離であるO-PA間距離に等しくなっている。P5は、試験用アンテナ6bから放射された電波ビームがミラー9上で反射する反射点を示し、P15は、試験用アンテナ6bの開口中心であり、PAは仮想的な試験用アンテナ6Aの開口中心である。O-P5間の伝搬経路は水平面HP上にある。なお、リフレクタ反射型の試験用アンテナ6aから放射された電波ビームは、リフレクタ7上の反射点P0で反射されてDUT100が配置された原点Oに送られ、P0-O間の伝搬経路も、水平面HP上にある。
リフレクタ反射型の試験用アンテナ6aは、いわゆる間接遠方界(IFF)を形成し、ミラー反射型の試験用アンテナ6bは、直接遠方界(DFF)を形成するようになっている。間接遠方界とは、球面波を平面波に変換するようなリフレクタを用いる反射型のアンテナにより形成される遠方界をいい、直接遠方界とは、そのようなリフレクタを用いないアンテナにより直接形成される遠方界をいう。なお、ミラー反射型の試験用アンテナ6bは、ミラー9を用いて電波ビームを反射させているが、試験用アンテナ6bから遠方界までに電波ビームの進む距離は、ミラーのない場合と同じであるので、DEF型のアンテナと考えることができる。
例えば、アンテナ110のアンテナサイズDが分かっている場合には、ミラー反射型の試験用アンテナ6bから対応するミラー9を経由してDUT100のアンテナ110までの距離は、2D2/λより大きくするとよい。Dはアンテナ110のアンテナサイズ、λはミラー反射型の試験用アンテナ6から送信される電波の波長である。これにより、DUT100の遠方界測定を行うことができる。
ミラー反射型の試験用アンテナ6b及びミラー9は、リフレクタ反射型の試験用アンテナ6aのリフレクタ7を反射してクワイエットゾーンQZを通る電波ビームの経路外に配置されている。この構成により、本実施形態に係る試験装置1は、良好なクワイエットゾーンQZを形成することができる。
また、本実施形態では、ミラー反射型の試験用アンテナ6bが形成するクワイエットゾーンは、リフレクタ反射型の試験用アンテナ6aが形成するクワイエットゾーンQZと同一であるとしているが、これに限定されない。ミラー反射型の試験用アンテナ6bが形成するクワイエットゾーンと、リフレクタ反射型の試験用アンテナ6aが形成するクワイエットゾーンQZとが異なっていてもよい。例えば、リフレクタ反射型の試験用アンテナ6aが形成するクワイエットゾーンQZの方を広くしておくと、リフレクタ反射型の試験用アンテナ6aを単独で使用してRF特性等を測定する場合に、広いクワイエットゾーンを利用することができる。
(到来角度)
図5及び図6に示すように、アンテナ可動機構60は、試験用アンテナ6aからの電波到来方向(Z軸負方向)を基準にDUT100に対して異なる複数の到来角度で無線信号を送信又は受信することができるように、試験用アンテナ6b及びミラー9の位置を各々円上で移動させるようになっている。複数の到来角度は、例えば30°、60°、90°、120°、150°である。このように、所定の角度範囲内を均等に漏れなく測定できるので、DUT100のRRM特性等の送受信特性の遠方界測定を精度よく行うことができる。これにより、例えば規格3GPP TR 38.810 V16.2.0 (2019-03)に規定されたRRM特性を精度よく測定することができる。
ここで、「到来角度(AoA(Angle of Arrival))」とは、DUT100が配置されている原点Oを通る特定の直線(例えばZ軸)に対して、試験用アンテナ6から原点Oに到来する電波ビーム又は電波ビームの中心が形成する角度をいう。到来角度は、2つの試験用アンテナによっても規定することができる。この場合は、一の試験用アンテナから原点Oに到来する電波ビームの方向である電波到来方向を基準に、他の試験用アンテナから原点Oに到来する電波ビーム又は電波ビームの中心が形成する角度を「到来角度」又は「相対的な到来角度」という。
(アンテナ可動機構)
次に、アンテナ可動機構60について説明する。
アンテナ可動機構60は、試験用アンテナ6aからの電波到来方向を基準に遠方界に設置されたDUT100に対して複数の到来角度で無線信号を直接的に送信又は受信することができるように、試験用アンテナ6bの位置を円上で移動させるようになっている。このために、アンテナ可動機構60は、アンテナ保持部600と、移動機構700とを備えている。
<アンテナ保持部>
アンテナ保持部600は、試験用アンテナ6bと平面状のミラー9を保持するようになっている。試験用アンテナ6bとミラー9は、所要の間隔をあけてアンテナ保持部600に保持されている。ミラー9は、試験用アンテナ6bから放射された無線信号の電波を反射してDUT100のアンテナ110に送るとともに、DUT100のアンテナ110から放射された無線信号の電波を反射して試験用アンテナ6bに送るようになっている。アンテナ可動機構60は、試験用アンテナ6bとともに平面状のミラー9の位置を移動させるようになっている。
この構成により、試験用アンテナ6bとDUT100のアンテナ110との間で送受信される無線信号の経路をミラー9により変えることができるので、電波暗箱50の限られた狭い内部空間51であっても遠方界測定に必要なアンテナ間距離を確保することができる。
図8に示すように、アンテナ保持部600は、試験用アンテナ6bとミラー9を長手方向に間隔を置いて保持する長細い棒状あるいは柱状の支柱61を有している。具体的には、支柱61の一端に、支柱61の長手方向に直交する方向に延びたミラー取付部62が設けられ、ミラー取付部62の端部にミラー9が所定の角度で傾斜して取り付けられている。また、支柱61の長手方向中間にて、該長手方向に直交する方向に延びたアンテナ取付部63が設けられ、アンテナ取付け部63の端部に角度調整台64が取り付けられ、角度調整台64に試験用アンテナ6bが所定の角度となるように取り付けられている。支柱61の他端は、支持板65の上面に取り付けられ、支持板65は、固定具66によって可動台77に、可動台77から少し浮かせて固定されている。図8の支柱61は、支柱61の長手方向が鉛直方向となるように構成されている。
試験用アンテナ6bの角度と、ミラー9の角度は、試験用アンテナ6bから放射された無線信号の電波ビームがミラー9の全面で反射してDUT100に送られるように設定されている。
可動台77は、円弧状のレール76にスライド自在に取り付けられており、DUT100が設置されている原点Oを通る鉛直線を回転軸(y軸)として形成される円軌道に沿った方向D2に移動できるようになっている。可動台77がレール76の長手方向のいずれの位置にあっても、可動台77及び可動台77に取り付けられたアンテナ保持部600は、試験用アンテナ6bから放射された無線信号の電波ビームがミラー9で反射してDUT100に向けて送られるような方向に向いている。
本実施形態では、支持板65を用いているが、支柱61の端部を可動台77に直接固定するようにしてもよい。
<アンテナ保持部の変形例1>
図9は、アンテナ保持部の変形例1の構成を示す図である。図9に示すように、変形例1のアンテナ保持部600Aの支柱61は、移動機構700の可動台77に取り付けられた一端部が他端部よりも試験用アンテナ6b又はミラー9の円軌道の中心軸(y軸)の側(図9における左側あるいは電波暗箱50の床の中央側)に寄るように、鉛直方向に対して角度φで傾斜している(図10参照)。図9では、支柱61の下端が可動台77に直接固定されている。図8のアンテナ保持部600と比べて、図9の符号Wで示す領域が開放され、領域Wと支柱61とで画定される空間Vが開放される。
このように、変形例1のアンテナ保持部600Aを用いた試験装置1では、アンテナ可動機構60の占有(設置)面積及び占有空間(体積)を小さくすることができ、電波暗箱50の限られた内部空間51を効率的に使用することができる。
図10は、変形例1のアンテナ保持部600Aを用いた試験装置1において、電波暗箱50内でのミラー9とミラー反射型の試験用アンテナ6bの配置を示す模式図である。ミラー9と試験用アンテナ6bは、アンテナ保持部600Aにより保持された状態で、アンテナ可動機構(図示せず)により原点Oを通るy軸を中心にθ方向に回転できるようになっている。試験用アンテナ6bから放射された電波ビームは、ミラー9で反射してDUT100が配置されている原点Oに送られる。また、DUT100のアンテナ110から放射された電波ビームは、ミラー9で反射して試験用アンテナ6bに送られる。仮に、ミラー9が無いとすると、電波暗箱50の外部に試験用アンテナ6Aが配置されることとなり、遠方界測定に要するアンテナ間距離(O-PA間距離)を確保することができない。ミラー9により電波ビームの伝搬経路を曲げることにより、試験用アンテナ6bを電波暗箱50内に配置すると共に、遠方界測定に必要なアンテナ間距離を確保することができる。
具体的には、図10において、O-P5間距離とP5-P15間距離とを足し合わせた距離は、遠方界測定に要するアンテナ間距離であるO-PA間距離に等しくなっている。
<アンテナ保持部の変形例2>
図11は、アンテナ保持部の変形例2の構成を示す図である。図11に示すように、アンテナ保持部600Bの支柱61は、変形例1と同様に、移動機構700の可動台77に取り付けられた一端部が他端部よりも試験用アンテナ6bの円軌道の中心軸(y軸)の側(図11における左側あるいは電波暗箱50の床の中央側)に寄るように、鉛直方向に対して角度φで傾斜している。図11では、支柱61の上端にアンテナ取付部63を介して試験用アンテナ6bが取り付けられている。変形例1と同様に、図8のアンテナ保持部600と比べて、図11の符号Wで示す領域が開放され、領域Wと支柱61とで画定される空間Vが開放される。
変形例2のアンテナ保持部600Bを用いた試験装置1でも、変形例1と同様に、アンテナ可動機構60の占有(設置)面積及び占有空間(体積)を小さくすることができ、電波暗箱50の限られた内部空間51を効率的に使用することができる。変形例2は、ミラーを用いなくても遠方界測定に必要なアンテナ間距離を確保できる場合に有効である。
<移動機構>
図8に戻って、移動機構700は、直線運動部701と、円運動部702と、直線運動を円運動に変換するリンク703とを備えている。
<直線運動部>
直線運動部701は、ボールねじ70と、ボールねじ70に嵌められ、ボールねじ70の回転により直線移動するナット部71と、ナット部71の上部に取り付けられ、ナット部71と共に移動する移動台又は移動テーブル72と、ボールねじ70を回転させるモータ73と、移動テーブル72の直線移動をガイドするリニアガイド74とを備えている。
モータ73によりボールねじ70が回転すると、ボールねじ70に嵌められたナット部71が直線方向D1に移動することで、ナット部71に取り付けられた移動テーブル72が直線運動するようになっている。
移動テーブル72の上面にはボールねじ70の長手方向に直交する方向に2つのピン75a、75bが間隔をあけて立設されている。
<円運動部>
円運動部702は、円弧状のレール76と、レール76上に跨り、レール76に沿って移動可能な可動台77とを備えている。可動台77の上面には1つのピン78が立設されている。
<リンク>
リンク703は、直線運動部701の移動テーブル72の直線運動を、円運動部702の可動台77の円運動の一部に変換するものであり、移動テーブル72と可動台77とを連結するようになっている。具体的には、リンク703は、細長い板状で一端側にピン穴79aが形成され、他端側に長穴79bが形成されている。リンク703の一端側のピン穴79aには、可動台77に立設されたピン78が通され、リンク703は、ピン78を中心に旋回できるようになっている。リンク703の他端側の長穴79bには、2つのピン75a、75bが通され、リンク703は、2つのピン75a、75bの並び方向(直線運動の方向D1に直交する方向)に移動できるようになっている。すなわち、リンク703の長手方向は直線運動部701の移動テーブル72の移動方向に対して直交している。
モータ73を駆動することによりボールねじ70が回転し、それによりナット部71に取り付けられた移動テーブル72が直線移動し、移動テーブル72の直線移動に伴い、可動台77がレール76に沿って移動するようになっている。図8は、可動台77が位置P25にあり(A図)、移動テーブル72が直線運動部701の右端の位置P35にある場合を示している。この配置では、試験用アンテナ6aよりDUT100に到来する電波ビームの方向を基準に試験用アンテナ6bは例えば到来角度150°で電波ビームを放射することができる。
直線運動部701の移動テーブル72を中央の位置P33に移動させると、円運動部702の可動台77は位置P23に従動する(B図)。このとき、試験用アンテナ6bは例えば到来角度90°で電波ビームを放射することができる。同様に、移動テーブル72を左端の位置P31に移動させると、可動台77は位置P21に従動する(C図)。このとき、試験用アンテナ6bは例えば到来角度30°で電波ビームを放射することができる。
移動テーブル72の位置を移動させることにより、例えば、30°、60°、90°、120°、150°の到来角度を形成することができる。
上述した構成により、本実施形態に係る試験装置1は、試験を行う到来角度の数だけ試験用アンテナを設ける必要がなく、アンテナ数を削減することができる。また、所定範囲内で任意の到来角度が形成されるように試験用アンテナ6bを移動することができる。しかも、DUT100が保持されている中央の姿勢可変機構56を避けて、アンテナ可動機構60を周辺に設置することができ、アンテナ可動機構60の占有(設置)面積及び占有空間(体積)も小さく抑えられ、電波暗箱50の限られた内部空間51を効率的に使用することができる。
本実施形態では、アンテナ可動機構60は、電波暗箱50の床に配置しているが、配置場所はこれに限定されず、天井に配置してもよいし、水平に限らず、垂直あるいは傾斜して配置してもよい。
次に、本実施形態に係る試験装置1の測定装置2を構成する統合制御装置10、NRシステムシミュレータ20、及び信号処理部40について、図2~図4を参照して説明する。
(統合制御装置)
統合制御装置10は、以下に説明するように、NRシステムシミュレータ20、姿勢可変機構56、及びアンテナ可動機構60を統括的に制御するものである。このために、統合制御装置10は、例えばイーサネット(登録商標)等のネットワーク19を介して、NRシステムシミュレータ20、姿勢可変機構56、及びアンテナ可動機構60と相互に通信可能に接続されている。
図3は、統合制御装置10の機能構成を示すブロック図である。図3に示すように、統合制御装置10は、制御部11、操作部12、及び表示部13を有している。制御部11は、例えば、コンピュータ装置によって構成される。このコンピュータ装置は、例えば、図3に示すように、CPU(Central Processing Unit)11aと、ROM(Read Only Memory)11bと、RAM(Random Access Memory)11cと、外部インタフェース(I/F)部11dと、図示しないSSD(Solid State Drive)やハードディスク装置等の不揮発性の記憶媒体と、各種入出力ポートとを有する。
CPU11aは、NRシステムシミュレータ20等を対象とする統括的な制御を行うようになっている。ROM11bは、CPU11aを立ち上げるためのOS(Operating System)やその他のプログラム及び制御用のパラメータ等を記憶するようになっている。RAM11cは、CPU11aが動作に用いるOSやアプリケーションの実行コードやデータ等を記憶するようになっている。外部インタフェース(I/F)部11dは、所定の信号が入力される入力インタフェース機能と所定の信号を出力する出力インタフェース機能を有している。
外部I/F部11dは、ネットワーク19を介して、NRシステムシミュレータ20に対して通信可能に接続されている。また、外部I/F部11dは、電波暗箱50における姿勢可変機構56やアンテナ可動機構60ともネットワーク19を介して接続されている。入出力ポートには、操作部12及び表示部13が接続されている。操作部12は、コマンド等の各種情報を入力するための機能部であり、表示部13は、上記各種情報の入力画面や測定結果等の各種情報を表示する機能部である。
上述したコンピュータ装置は、CPU11aがRAM11cを作業領域としてROM11bに格納されたプログラムを実行することにより制御部11として機能する。制御部11は、図3に示すように、呼接続制御部14、信号送受信制御部15、DUT姿勢制御部17、及びアンテナ位置制御部18を有している。呼接続制御部14、信号送受信制御部15、DUT姿勢制御部17、及びアンテナ位置制御部18も、CPU11aがRAM11cの作業領域でROM11bに格納された所定のプログラムを実行することにより実現されるものである。
呼接続制御部14は、試験用アンテナ6を駆動してDUT100との間で制御信号(無線信号)を送受信させることにより、NRシステムシミュレータ20とDUT100との間に呼(無線信号を送受信可能な状態)を確立する制御を行う。
信号送受信制御部15は、操作部12におけるユーザ操作を監視し、ユーザによりDUT100の送信特性及び受信特性の測定に係る所定の測定開始操作が行われたことを契機に、呼接続制御部14での呼接続制御を経て、NRシステムシミュレータ20に対して信号送信指令を送信する。更に、信号送受信制御部15は、NRシステムシミュレータ20に対して、試験用アンテナ6を介して試験信号を送信させる制御を行うとともに、NRシステムシミュレータ20に信号受信指令を送信し、試験用アンテナ6を介して被測定信号を受信させる制御を行う。
また、信号送受信制御部15は、2つの試験用アンテナ6を用いて行うRRM特性等の送受信特性の試験では、到来角度の設定を行うようになっている。具体的には、所定の複数の到来角度(例えば、30°、60°、90°、120°、150°)のうち1つの到来角度を選択して測定条件として設定(RAM11c等に記憶)する。到来角度はユーザが選択してもよいし、制御部11等が自動で選択するようにしてもよい。
アンテナ位置制御部18は、設定された到来角度に基づいて、試験用アンテナ6bの位置を制御する。図5及び図6に示すように、例えば、設定した到来角度が30°の場合、試験用アンテナ6bを位置P11に移動させ、ミラー9を位置P1に移動させるように制御する。このため、例えば、ROM11bには、あらかじめ、到来角度と試験用アンテナ6bの位置との対応関係を示す到来角度-アンテナ位置対応テーブル18aが記憶されている。到来角度-アンテナ位置対応テーブル18aは、制御実行時にRAM11cの作業領域に展開されて使用される。なお、到来角度の設定や、試験用アンテナ6bの位置の制御は、NRシステムシミュレータ20の制御部22が行うようにしてもよい。
DUT姿勢制御部17は、姿勢可変機構56に保持されているDUT100の測定時の姿勢を制御するものである。この制御を実現するために、例えば、ROM11bには、あらかじめ、DUT姿勢制御テーブル17aが記憶されている。DUT姿勢制御テーブル17aは、例えば、駆動部56aとしてステッピングモータを採用している場合には、該ステッピングモータの回転駆動を決定する駆動パルス数(運転パルス数)を制御データとして格納している。
DUT姿勢制御部17は、DUT姿勢制御テーブル17aをRAM11cの作業領域に展開し、該DUT姿勢制御テーブル17aに基づき、上述したように、アンテナ110が3次元のあらゆる方向に順次向くようにDUT100が姿勢変化するよう姿勢可変機構56を駆動制御する。
(NRシステムシミュレータ)
図4に示すように、本実施形態に係る試験装置1のNRシステムシミュレータ20は、信号測定部21、制御部22、操作部23、及び表示部24を有している。信号測定部21は、信号発生部21a、デジタル/アナログ変換器(DAC)21b、変調部21c、RF部21dの送信部21eにより構成される信号発生機能部と、RF部21dの受信部21f、アナログ/デジタル変換器(ADC)21g、解析処理部21hにより構成される信号解析機能部とを有している。なお、信号測定部21は、使用する2つの試験用アンテナ6a、6bに対応できるように、2セット設けるようにしてもよい。
信号測定部21の信号発生機能部において、信号発生部21aは、基準波形を有する波形データ、具体的には、例えば、I成分ベースバンド信号と、その直交成分信号であるQ成分ベースバンド信号を生成する。DAC21bは、信号発生部21aから出力された基準波形を有する波形データ(I成分ベースバンド信号及びQ成分ベースバンド信号)をデジタル信号からアナログ信号に変換して変調部21cに出力する。変調部21cは、I成分ベースバンド信号と、Q成分ベースバンド信号とのそれぞれに対してローカル信号をミキシングし、更に両者を合成してデジタル変調信号を出力する変調処理を行う。RF部21dは、変調部21cから出力されたデジタル変調信号から各通信規格の周波数に対応した試験信号を生成し、生成した試験信号を送信部21eにより信号処理部40に出力する。
信号処理部40は、使用する一の試験用アンテナ6aとの間で送受信する信号の周波数変換等の信号処理を行う第1信号処理部40aと、使用する他の試験用アンテナ6bとの間で送受信する信号の周波数変換等の信号処理を行う第2信号処理部40bと、を備えている。第1信号処理部40aは、使用する一の試験用アンテナ6aに送信する試験信号に信号処理を施して試験用アンテナ6aに出力する。第2信号処理部40bは、使用する他の試験用アンテナ6bに送信する試験信号に信号処理を施して試験用アンテナ6bに出力する。
また、信号測定部21の信号解析機能部において、RF部21dは、上記試験信号をアンテナ110により受信したDUT100から送信された被測定信号を、信号処理部40を経由して受信部21fで受信したうえで、該被測定信号をローカル信号とミキシングすることで中間周波数帯の信号(IF信号)に変換する。ADC21gは、RF部21dの受信部21fでIF信号に変換された被測定信号を、アナログ信号からデジタル信号に変換して解析処理部21hに出力する。
解析処理部21hは、ADC21gが出力するデジタル信号である被測定信号を、デジタル処理によって、I成分ベースバンド信号とQ成分ベースバンド信号とにそれぞれ対応する波形データを生成したうえで、該波形データに基づいてI成分ベースバンド信号及びQ成分ベースバンド信号を解析する処理を行う。解析処理部21hは、DUT100に対する送信特性(RF特性)の測定において、例えば、等価等方放射電力(Equivalent Isotropically Radiated Power:EIRP)、全放射電力(Total Radiated Power:TRP)、スプリアス放射、変調精度(EVM)、送信パワー、コンスタレーション、スペクトラムなどを測定可能である。また、解析処理部21hは、DUT100に対する受信特性(RF特性)の測定において、例えば、受信感度、ビット誤り率(BER)、パケット誤り率(PER)などを測定可能である。ここで、EIRPは、DUT100のアンテナ110の主ビーム方向の無線信号強度である。また、TRPは、DUT100のアンテナ110から空間に放射される電力の合計値である。
解析処理部21hは、DUT100のRRM特性について、例えば、一方の試験用アンテナからもう一方の試験用アンテナへのハンドオーバ動作が正常に行われるか否か等を解析することもできるようになっている。
制御部22は、上述した統合制御装置10の制御部11と同様、例えば、CPU、RAM、ROM、各種入出力インタフェースを含むコンピュータ装置によって構成される。CPUは、信号発生機能部、信号解析機能部、操作部23及び表示部24の各機能を実現するための所定の情報処理や制御を行う。
操作部23、表示部24は、上記コンピュータ装置の入出力インタフェースに接続されている。操作部23は、コマンドなど各種情報を入力するための機能部であり、表示部24は、上記各種情報の入力画面や測定結果など、各種情報を表示する機能部である。
本実施形態では、統合制御装置10とNRシステムシミュレータ20とを別装置としているが、1つの装置として構成してもよい。この場合には、統合制御装置10の制御部11とNRシステムシミュレータ20の制御部22とを統合して1つのコンピュータ装置により実現してもよい。
(信号処理部)
次に、信号処理部40について説明する。
信号処理部40は、NRシステムシミュレータ20と試験用アンテナ6の間に設けられ、使用する一の試験用アンテナ6aとの間で送受信する信号の周波数変換等の信号処理を行う第1信号処理部40aと、使用する他の試験用アンテナ6bとの間で送受信する信号の周波数変換等の信号処理を行う第2信号処理部40bと、を備えている。
第1信号処理部40aは、アップコンバータ、ダウンコンバータ、増幅器、周波数フィルタ等を備え、使用する一の試験用アンテナ6aに送信する試験信号に対して、周波数変換(アップコンバート)、増幅、周波数選択等の信号処理を施して試験用アンテナ6aに出力する。また、第1信号処理部40aは、使用する一の試験用アンテナ6aから入力される被測定信号に対して、周波数変換(ダウンコンバート)、増幅、周波数選択等の信号処理を施して信号測定部21に出力するようになっている。
第2信号処理部40bは、アップコンバータ、ダウンコンバータ、増幅器、周波数フィルタ等を備え、使用する他の試験用アンテナ6bに送信する試験信号に対して、周波数変換(アップコンバート)、増幅、周波数選択等の信号処理を施して試験用アンテナ6bに出力する。また、第2信号処理部40bは、使用する他の試験用アンテナ6bから入力される被測定信号に対して、周波数変換(ダウンコンバート)、増幅、周波数選択等の信号処理を施して信号測定部21に出力するようになっている。
(試験方法)
次に、本実施形態に係る試験装置1を用いて行う試験方法について、図12のフローチャートを参照して説明する。以下では、2つの試験用アンテナを用いて行う試験(例えばRRM特性等の送受信特性の測定)について説明するが、これは試験方法の一例であり、試験の種類により具体的な試験方法が異なるのは勿論である。
まず、ユーザは、電波暗箱50の内部空間51内に設けられた姿勢可変機構56のDUT載置部56dに対して試験対象のDUT100をセットする(ステップS1)。
次いで、ユーザは、統合制御装置10の操作部12を用いて、DUT100の送信特性及び受信特性についての測定の開始を制御部11に指示する測定開始操作を行う。この測定開始操作は、NRシステムシミュレータ20の操作部23により行うようにしてもよい。
制御部11は、予め定められた到来角度のうち1つを設定する(ステップS2)。例えば、予め定められた到来角度が30°、60°、90°、120°、150°の場合、制御部11は、そのうちの1つの到来角度(例えば30°)を選択し、測定すべき到来角度として設定(例えばRAM11cに記憶)する。到来角度の設定はユーザが行ってもよい。
次いで、制御部11は、ステップS2で設定された到来角度となるように、試験用アンテナ6bの位置を移動させる。例えば、設定された到来角度が30°の場合、試験用アンテナ6bを位置P11に、ミラー9を位置P1に移動させ、到来角度が60°の場合、試験用アンテナ6bを位置P12に、ミラー9を位置P2に移動させ、到来角度が90°の場合、試験用アンテナ6bを位置P13に、ミラー9を位置P3に移動させ、到来角度が120°の場合、試験用アンテナ6bを位置P14に、ミラー9を位置P4に移動させ、到来角度が150°の場合、試験用アンテナ6bを位置P15に、ミラー9を位置P5に移動させるように制御する。
制御部11の呼接続制御部14は、試験用アンテナ6を使用し、DUT100との間で制御信号(無線信号)を送受信することにより呼接続制御を実施する(ステップS4)。具体的には、NRシステムシミュレータ20は、DUT100に対して試験用アンテナ6を介して所定周波数を有する制御信号(呼接続要求信号)を無線送信する。一方、該呼接続要求信号を受信したDUT100は、接続要求された周波数を設定したうえで制御信号(呼接続応答信号)を返信する。NRシステムシミュレータ20は、この呼接続応答信号を受信し正常に応答が行われたことを確認する。これら一連の処理が呼接続制御である。この呼接続制御により、NRシステムシミュレータ20とDUT100との間に、試験用アンテナ6を介して所定周波数の無線信号を送受信可能な状態が確立される。
なお、NRシステムシミュレータ20から試験用アンテナ6を介して送られてくる無線信号をDUT100により受信する処理は、ダウンリンク(DL)処理と称される。逆に、DUT100により試験用アンテナ6を介してNRシステムシミュレータ20に対して無線信号を送信する処理は、アップリンク(UL)処理と称される。試験用アンテナ6は、リンク(呼)を確立する処理、ならびにリンク確立後のダウンリンク(DL)及びアップリンク(UL)の処理を実行するために用いられるものであり、リンクアンテナの機能を兼ねている。
ステップS4での呼接続の確立後、統合制御装置10のDUT姿勢制御部17は、クワイエットゾーンQZ内に配置されたDUT100の姿勢を姿勢可変機構56により所定の姿勢に制御する(ステップS5)。
姿勢可変機構56によりDUT100が所定の姿勢に制御された後、統合制御装置10の信号送受信制御部15は、NRシステムシミュレータ20に対して信号送信指令を送信する。NRシステムシミュレータ20は、この信号送信指令に基づき、選択された試験用アンテナ6を介してDUT100に試験信号を送信する(ステップS6)。
NRシステムシミュレータ20による試験信号送信制御は、以下のように実施される。NRシステムシミュレータ20(図4参照)において、信号発生部21aは、上記信号送信指令を受けた制御部22の制御下で、試験信号を生成するための信号を発生する。次いで、DAC21bは、信号発生部により発生された信号をデジタル/アナログ変換処理する。次いで、変調部21cは、デジタル/アナログ変換により得られたアナログ信号に変調処理を行う。次いで、RF部21dは、変調信号から各通信規格の周波数に対応した試験信号を生成し、送信部21eは、この試験信号(DLデータ)を信号処理部40に送る。
信号処理部40は、電波暗箱50内又は外に設けられており、周波数変換(アップコンバート)、増幅、周波数選択等の信号処理を行い、試験用アンテナ6に送り、試験用アンテナ6が該信号をDUT100に向けて出力する。なお、2つの試験用アンテナの信号処理を行うために、信号処理部40では複数の信号の処理を並行して行うことができる。
なお、信号送受信制御部15は、ステップS6で試験信号送信の制御を開始した後、DUT100の送信特性及び受信特性の測定が終了するまでの間、試験信号を適宜のタイミングで送信するよう制御する。
一方、DUT100は、試験用アンテナ6を介して送られてくる試験信号(DLデータ)を、ステップS5による上記姿勢制御に基づいて順次変化する異なる姿勢の状態でアンテナ110により受信するとともに、該試験信号に対する応答信号である被測定信号を送信する。
ステップS6で試験信号の送信を開始した後、引き続き、信号送受信制御部15による制御下で受信処理が行われる(ステップS7)。この受信処理では、試験用アンテナ6が、上記試験信号を受信したDUT100から送信される被測定信号を受信し、信号処理部40に出力する。信号処理部40は、周波数変換(ダウンコンバート)、増幅、周波数選択等の信号処理を行い、NRシステムシミュレータ20に出力する。
NRシステムシミュレータ20は、信号処理部40により周波数変換された被測定信号を測定する測定処理を実行する(ステップS8)。
具体的には、NRシステムシミュレータ20のRF部21dの受信部21fは、信号処理部40により信号処理された被測定信号を入力する。RF部21dは、制御部22の制御下で、受信部21fに入力された被測定信号をより周波数が低いIF信号に変換する。次いで、ADC21gは、制御部22の制御下で、IF信号をアナログ信号からデジタル信号に変換して解析処理部21hに出力する。解析処理部21hは、I成分ベースバンド信号とQ成分ベースバンド信号とにそれぞれ対応する波形データを生成する。更に、解析処理部21hは、制御部22の制御下で、生成された波形データに基づいて被測定信号を解析する。なお、2つの試験用アンテナの信号処理を行うために、信号処理部40は複数の信号の処理を並列で行うことができる。
より具体的には、NRシステムシミュレータ20において、解析処理部21hは、制御部22の制御下で、被測定信号の解析結果に基づいてDUT100の送信特性及び受信特性を測定する。
例えば、DUT100の送信特性(RF特性)については次のように行う。まず、NRシステムシミュレータ20が、制御部22の制御下で、試験信号としてアップリンク信号送信のリクエストフレームを送信する。DUT100は、該アップリンク信号送信のリクエストフレームに応答してアップリンク信号フレームを被測定信号としてNRシステムシミュレータ20に送信する。解析処理部21hは、このアップリンク信号フレームに基づいてDUT100の送信特性を評価する処理を行う。
また、DUT100の受信特性(RF特性)については例えば次のように行う。解析処理部21hは、制御部22の制御下で、NRシステムシミュレータ20から試験信号として送信した測定用フレームの送信回数と、測定用フレームに対してDUT100から被測定信号として送信されるACK及びNACKの受信回数の割合をエラー率(PER)として算出する。
また、DUT100のRRM特性については、例えば解析処理部21hが、制御部22の制御下で、一の試験用アンテナから他の試験用アンテナへのハンドオーバ動作が正常に行われるか否か等をDUT100の姿勢を変えて試験するようにしてもよい。
ステップS8において、解析処理部21hは、制御部22の制御下で、DUT100の送信特性及び受信特性の測定結果を図示しないRAM等の記憶領域に記憶する。この測定結果は、表示部24又は表示部13に表示するようにしてもよい。
次いで、統合制御装置10の制御部11は、所望の全ての姿勢に関してDUT100の送信特性及び受信特性の測定が終了したか否かを判定する(ステップS9)。ここで、測定が終了していないと判定された場合(ステップS9でNO)、ステップS5に戻って処理を続行する。
制御部11は、全ての姿勢について測定が終了していると判定された場合(ステップS9でYES)、全ての到来角度について測定が終了しているか否かを判定する(ステップS10)。
制御部11は、全ての到来角度について測定が終了していないと判定された場合(ステップS10でNO)、ステップS2に戻って処理を続行する。制御部11は、全ての到来角度について測定が終了していると判定された場合(ステップS10でYES)、試験を終了する。
(作用・効果)
以上述べたように、本実施形態に係る試験装置1は、試験用アンテナ6aからの電波到来方向を基準に遠方界に設置されたDUT100に対して複数の到来角度で無線信号を直接的に送信又は受信することができるように、試験用アンテナ6bの位置を円上で移動させるアンテナ可動機構60を備えている。この構成により、DUT100のRRM特性等の送受信特性についての遠方界測定において、試験を行う到来角度の数に応じて試験用アンテナを設ける必要がなく、アンテナ数を削減することができる。これにより、アンテナ等の機器コスト及び取り付け作業コストを低減することができる。
また、本実施形態に係る試験装置1は、試験用アンテナ6bとDUT100のアンテナ110との間で送受信される無線信号の経路をミラー9により変えることができるので、電波暗箱50の限られた狭い内部空間51においても遠方界測定に必要なアンテナ間距離を確保することができる。
また、本実施形態に係る試験装置1は、アンテナ可動機構60が、直線運動部701による直線運動をリンク703によって円運動部702の円運動に変換する構成であるので、電波暗箱50内でDUT100が保持されている中央の姿勢可変機構56を避けて、アンテナ可動機構60を周辺に設置することができ、アンテナ可動機構60の占有(設置)面積及び占有空間(体積)も小さく、電波暗箱50の限られた内部空間51を効率的に使用することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る試験装置について説明する。
第2の実施形態に係る試験装置1は、アンテナ可動機構60Bにおいて直線運動部701とリンク703が角度可変で連結されている点で、90°に固定されて連結されている第1の実施形態と相違している。その他の構成要素は同一であり、同一の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。
図13は、第2の実施形態に係るアンテナ可動機構60Bの構造及び動作の概略を示す図である。図13では、アンテナ保持部600は図示が省略されている。図13に示すように、リンク703は、リンク703の長手方向が直線運動部701の移動テーブル72の直線運動方向に対してなす角度が移動テーブル72の位置に応じて変わるように、移動テーブル72に連結されている。具体的には、移動テーブル72の上面に1つのピン75が立設され、ピン75が、リンク703の長穴79bに通されている。これにより、リンク703は、ピン75を支点として回転することができるとともに、長穴79bの長手方向に長穴79bの長さ分だけ移動可能となっている。
移動テーブル72は、モータ73の駆動により、直線運動部701のボールねじ70及びリニアガイド74に沿って直線運動の方向D3に移動できるようになっている。アンテナ保持部600又は600Aが取り付けられる可動台77には、ピン78が立設され、ピン78が、リンク703のピン穴79aに通されている。これにより、直線運動部701の移動テーブル72が直線運動の方向D3に移動することにより、リンク703により連結された可動台77が円弧状のレール76に沿って円運動の方向D4に移動できるようになっている。すなわち、直線運動部701により駆動される移動テーブル72の直線運動が、リンク703により可動台77の円運動に変換されるようになっている。
図13は、可動台77が位置P25にあり(A図)、移動テーブル72が位置P45にある場合を示している。この配置では、可動台77にアンテナ保持部600が取り付けられ、アンテナ保持部600に試験用アンテナ6bとミラー9が取り付けられると、試験用アンテナ6aよりDUT100に到来する電波ビームの方向を基準に試験用アンテナ6bは例えば到来角度150°で電波ビームを放射することができる。
移動テーブル72を中央の位置P43に移動させると、可動台77は位置P23に従動する(B図)。このとき、試験用アンテナ6bは例えば到来角度90°で電波ビームを放射することができる。同様に、移動テーブル72を左端の位置P41に移動させると、可動台77は位置P21に従動する(C図)。このとき、試験用アンテナ6bは例えば到来角度30°で電波ビームを放射することができる。
上述した構成により、本実施形態に係る試験装置1は、第1の実施形態より直線運動部701の長手方向の長さを短くすることができ、これにより、電波暗箱50内でDUT100が保持されている中央の姿勢可変機構56を避けて、電波暗箱50の限られた内部空間51を効率的に使用することができる。
本実施形態では、アンテナ可動機構60Bは、電波暗箱50の床に配置しているが、配置場所はこれに限定されず、天井に配置してもよいし、水平に限らず、垂直あるいは傾斜して配置してもよい。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る試験装置について説明する。
第3の実施形態に係る試験装置1は、アンテナ可動機構60Cにおいてラック・ピニオンを用いて円運動を実現している点で、直線運動を円運動に変換している第1及び第2の実施形態と相違している。その他の構成要素は同一であり、同一の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。
図14は、第3の実施形態に係るアンテナ可動機構60Cが有する移動機構800の構造の概略を示す図である。図14では、アンテナ保持部600は図示を省略している。図14に示すように、アンテナ可動機構60Cは、外周面に複数の歯81aが形成されたリング状のラック81と、ラック81の歯81aに係合する歯車82aを有し、モータなどの回転駆動部(図示せず)により回転することでラック81に沿って円運動の方向D5に移動するピニオン82と、ピニオン82に取り付けられた可動台84とを備えている。また、ガイド用の従動輪83が、ラック81を挟んでピニオン82に対向して配置されている。
リング状のラック81の中央には、DUT100を保持する姿勢可変機構56が配置されるようになっている。可動台84には、アンテナ保持部600が取り付けられ、アンテナ保持部600に試験用アンテナ6bとミラー9が取り付けられるようになっている。モータなどの回転駆動部によりピニオン82をラック81に沿って円運動させ任意の位置に移動させることにより、試験用アンテナ6aよりDUT100に到来する電波ビームの方向を基準に試験用アンテナ6bは任意の到来角度で電波ビームを放射することができる。
可動台84の位置を移動させることにより、例えば、30°、60°、90°、120°、150°の到来角度を形成することができる。
本実施形態では、アンテナ可動機構60Cは、電波暗箱50の床に配置しているが、配置場所はこれに限定されず、天井に配置してもよいし、水平だけでなく、垂直あるいは傾斜して配置してもよい。また、ラック81の外周面に歯81aを形成し、ピニオン82をラック81の外側に配置しているが、ラック81の内周面に歯を形成し、ピニオン82をラック81の内側に配置するようにしてもよい。また、本実施形態では、ラック81はリング状であるが、要求されている到来角度を形成可能な範囲をカバーする円弧状にしてもよい。
本実施形態に係る試験装置1は、上述した構成により、DUT100のRRM特性等の送受信特性についての遠方界測定において、試験を行う到来角度の数に応じて試験用アンテナを設ける必要がなく、アンテナ数を削減することができる。これにより、アンテナ等の機器コスト及び取り付け作業コストを低減することができる。また、本実施形態に係る試験装置1は、電波暗箱50内でDUT100が保持されている中央の姿勢可変機構56を避けて、アンテナ可動機構60Cを周辺に設置することができ、電波暗箱50の限られた内部空間51を効率的に使用することができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係る試験装置について説明する。
第4の実施形態に係る試験装置は、アンテナ可動機構60Dにおいてラックを移動(回転)させている点で、ピニオンを移動(円運動)させている第3の実施形態と相違している。その他の構成要素は同一であり、同一の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。
図15は、第4の実施形態に係るアンテナ可動機構60Dが有する移動機構800の構造の概略を示す図である。図15に示すように、アンテナ可動機構60Dは、内周面に複数の歯85aが形成されたリング状のラック85と、ラック85の歯85aに係合する歯車86aを有し、モータなどの回転駆動部(図示せず)により回転することでラック85を回転移動させるピニオン86と、ラック85に取り付けられた可動台88とを備えている。また、ラック85の下には、ラック85をスライド自在に支持し回転運動をガイドするガイド部87が設けられている。
リング状のラック85の中央には、DUT100を保持する姿勢可変機構56が配置されるようになっている。可動台88には、アンテナ保持部600が取り付けられ、アンテナ保持部600に試験用アンテナ6bとミラー9が取り付けられるようになっている。モータなどの回転駆動部によりピニオン86を回転駆動することにより、ラック85が従動して可動台88を円運動させ任意の位置に移動させることにより、試験用アンテナ6aよりDUT100に到来する電波ビームの方向を基準に試験用アンテナ6bは任意の到来角度で電波ビームを放射することができる。
可動台88の位置を移動させることにより、例えば、30°、60°、90°、120°、150°の到来角度を形成することができる。
本実施形態では、アンテナ可動機構60Dは、電波暗箱50の床に配置しているが、配置場所はこれに限定されず、天井に配置してもよいし、水平に限らず、垂直あるいは傾斜して配置してもよい。また、ラック85の内周面に歯85aを形成し、ピニオン86をラック85の内側に配置しているが、ラック85の外周面に歯を形成し、ピニオン86をラック85の外側に配置するようにしてもよい。また、本実施形態では、ラック85はリング状であるが、要求されている到来角度を形成可能な範囲をカバーする円弧状にしてもよい。
本実施形態に係る試験装置1は、上述した構成により、DUT100のRRM特性等の送受信特性についての遠方界測定において、試験を行う到来角度の数に応じて試験用アンテナを設ける必要がなく、アンテナ数を削減することができる。これにより、アンテナ等の機器コスト及び取り付け作業コストを低減することができる。また、本実施形態に係る試験装置1は、電波暗箱50内でDUT100が保持されている中央の姿勢可変機構56を避けて、アンテナ可動機構60Dを周辺に設置することができ、電波暗箱50の限られた内部空間51を効率的に使用することができる。
以上述べたように、本発明は、被試験対象のRRM特性等の送受信特性についての遠方界測定を少ないアンテナ数で実施できるという効果を有し、無線端末の試験装置及び試験方法の全般に有用である。
1 試験装置
2 測定装置
5、8 リンクアンテナ
6、6a、6b 試験用アンテナ
7 リフレクタ
9 ミラー
10 統合制御装置
11、22 制御部
11a CPU
11b ROM
11c RAM
11d 外部インタフェース部
12、23 操作部
13、24 表示部
14 呼接続制御部
15 信号送受信制御部
17 DUT姿勢制御部
17a DUT姿勢制御テーブル
18 アンテナ位置制御部
18a 到来角度-アンテナ位置対応テーブル
19 ネットワーク
20 NRシステムシミュレータ
21 信号測定部
21a 信号発生部
21b DAC
21c 変調部
21d RF部
21e 送信部
21f 受信部
21g ADC
21h 解析処理部
40 信号処理部
40a 第1信号処理部
40b 第2信号処理部
50 電波暗箱
51 内部空間
52 筐体本体部
52a 底面
52b 側面
52c 上面
55 電波吸収体
56 姿勢可変機構
56a 駆動部
56b ターンテーブル
56c 支柱
56d DUT載置部
57、59 保持具
58 リフレクタ保持具
60 アンテナ可動機構
600 アンテナ保持部
61 支柱
62 ミラー取付部
63 アンテナ取付部
64 角度調整台
65 支持板
66 固定具
700、800 移動機構
701 直線運動部
70 ボールねじ
71 ナット部
72 移動テーブル(移動台)
73 モータ
74 リニアガイド
75a、75b ピン
702 円運動部
76 レール
77 可動台
78 ピン
703 リンク
79a ピン穴
79b 長穴
81、85 ラック
82、86 ピニオン
83 従動輪
84、88 可動台
87 ガイド部
90 ラック構造体
90a ラック収納部
100 DUT(被試験対象)
110 アンテナ(被試験アンテナ)
QZ クワイエットゾーン
HP 水平面

Claims (6)

  1. 被試験アンテナ(110)を有する被試験対象(100)の送信特性又は受信特性を測定する試験装置(1)であって、
    周囲の電波環境に影響されない内部空間を有する電波暗箱(50)と、
    前記内部空間におけるクワイエットゾーン(QZ)内に配置された前記被試験対象の姿勢を順次変化させる姿勢可変機構(56)と、
    前記内部空間に収容され、前記被試験対象の送信特性又は受信特性を測定するための無線信号を前記被試験アンテナとの間で送信又は受信する第1の試験用アンテナ(6a)及び第2の試験用アンテナ(6b)と、
    前記第1の試験用アンテナが放射した無線信号を反射して平面波の無線信号に変換するリフレクタ(7)と、
    前記第2の試験用アンテナから放射された無線信号を反射して前記被試験アンテナに送るとともに、前記被試験アンテナから放射された無線信号を反射して前記第2の試験用アンテナに送る平面状のミラー(9)と、
    前記第1の試験用アンテナからの電波到来方向を基準に遠方界に設置された前記被試験対象に対して複数の到来角度で無線信号を送信又は受信することができるように、前記第2の試験用アンテナの位置を移動させるアンテナ可動機構(60)と、
    を備え
    前記アンテナ可動機構は、前記第2の試験用アンテナを保持するアンテナ保持部(600)と、前記アンテナ保持部を円上で移動させる移動機構(700)とを備え、
    前記アンテナ保持部は、前記第2の試験用アンテナを保持する柱状の支柱(61)を有し、前記支柱は、前記移動機構に取り付けられた一端部が他端部よりも前記円の中心軸の側に寄るように鉛直方向に対して傾斜し、前記第2の試験用アンテナと前記平面状のミラーを前記柱状の支柱に沿って間隔をおいて保持する試験装置。
  2. 前記移動機構は、移動台(72)を直線移動させる直線運動部(701)と、円弧状のレール(76)と、前記アンテナ保持部が固定され前記レールに沿って移動可能な可動台(77)と、前記移動台と前記可動台とを連結し、前記移動台の直線移動により前記可動台を前記レールに沿って移動させるリンク(703)とを備え、
    前記リンクは、前記リンクの長手方向が前記移動台の移動方向に対して常に直交するように、前記移動台に連結されている、請求項に記載の試験装置。
  3. 前記移動機構は、移動台(72)を直線移動させる直線運動部(701)と、円弧状のレール(76)と、前記アンテナ保持部が固定され前記レールに沿って移動可能な可動台(77)と、前記移動台と前記可動台とを連結し、前記移動台の直線移動により前記可動台を前記レールに沿って移動させるリンク(703)とを備え、
    前記リンクは、該リンクの長手方向が前記移動台の移動方向に対してなす角度が前記移動台の位置に応じて変わるように、前記移動台に連結されている、請求項に記載の試験装置。
  4. 前記移動機構は、内周面又は外周面に複数の歯が形成されたリング状又は円弧状のラック(81)と、前記ラックの歯に係合する歯車を有し、回転駆動部により回転することで前記ラックに沿って移動するピニオン(82)と、前記ピニオンに取り付けられた可動台(84)とを備え、
    前記アンテナ保持部は、前記可動台に取り付けられている、請求項に記載の試験装置。
  5. 前記移動機構は、内周面又は外周面に複数の歯が形成されたリング状又は円弧状のラック(85)と、前記ラックの歯に係合する歯車を有し、回転駆動部により回転することで前記ラックを回転移動させるピニオン(86)と、前記ラックに取り付けられた可動台(88)とを備え、
    前記アンテナ保持部は、前記可動台に取り付けられている、請求項に記載の試験装置。
  6. 請求項1~のいずれか一項に記載の試験装置を用いる試験方法であって、
    前記複数の到来角度のうち一の到来角度を選択するステップと、
    前記選択された到来角度となるように前記アンテナ可動機構により前記第2の試験用アンテナを移動させるステップと、
    前記クワイエットゾーン内に配置された前記被試験対象の姿勢を順次変化させるステップと、
    前記被試験対象の姿勢が変化されるごとに、前記第1及び第2の試験用アンテナを用いて前記被試験対象の送信特性又は受信特性の測定を行うステップと、を含む試験方法。
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